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JP2011218850A - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents

ハイブリッド車両の制御装置 Download PDF

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JP2011218850A JP2010086941A JP2010086941A JP2011218850A JP 2011218850 A JP2011218850 A JP 2011218850A JP 2010086941 A JP2010086941 A JP 2010086941A JP 2010086941 A JP2010086941 A JP 2010086941A JP 2011218850 A JP2011218850 A JP 2011218850A
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Abstract

【課題】ハイブリッド車両において、バッテリを効率的に昇温する。
【解決手段】ハイブリッド車両(10)は、内燃機関(200)と、内燃機関からの動力の入力により発電可能な第1回転電機MG1と、車軸に繋がる駆動軸(302)との間で動力の入出力が可能な第2回転電機MG2と、第1回転電機及び第2回転電機との間で電力の入出力が可能な蓄電手段(12)とを備える。ハイブリッド車両の制御装置(100)は、蓄電手段の温度を特定する温度特定手段と、特定された温度が所定温度より低い場合、第2回転電機の動作状態に応じて、蓄電手段において入出力される電力の絶対値が上昇するように第1回転電機の発電量を補正する発電量補正手段とを具備する。
【選択図】図6

Description

本発明は、動力源として内燃機関及び電動発電機を備えるハイブリッド車両の制御装置の技術分野に関する。
この種の装置として、ハイブリッド車両において、典型的に低温時に電力の入出力性能が低下するバッテリを、効率的に昇温するべく、バッテリ温度が所定値以下の場合に、発電機による発電を停止し、バッテリを継続して放電状態にするものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置によれば、バッテリの充電量が所定の制御領域にあって且つバッテリが放電状態にある場合に、減速時の制動動作に伴う発電を停止し、バッテリを継続して放電状態にするとされる。
また、ハイブリッド車両において、バッテリの昇温を効率的に行うべく、バッテリ温度が低い場合、バッテリ温度が高い場合と比較して増加させた目標蓄電量をバッテリに対し設定するものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。この装置によれば、第1及び第2のモータジェネレータがそのバッテリの発電機として動作する。
特開2003−272712号公報 特開2000−040532号公報
しかしながら、上述した特許文献1の装置によれば、典型的に加速時と比較して発熱し易い減速時に、発電機の制動動作による発電を禁止しており、本来有効な発熱が効果的に用いられない旨の技術的問題点がある。
また、上述した特許文献2の装置によれば、低バッテリ温度時にバッテリの目標蓄電量を増加させることでジュール熱による発熱量を増大可能であるが、第1及び第2のモータジェネレータの各動作状態の組み合わせによっては、必ずしも有効な発熱が得られない旨の技術的問題点がある。
本発明は、上述した問題点に鑑みなされたものであり、バッテリを効率的に昇温し得るハイブリッド車両の制御装置を提供することを課題とする。
上述した課題を解決するために、本発明に係るハイブリッド車両の制御装置は、内燃機関と、該内燃機関からの動力の入力により発電可能な第1回転電機と、車軸に繋がる駆動軸との間で動力の入出力が可能な第2回転電機と、前記第1回転電機及び前記第2回転電機との間で電力の入出力が可能な蓄電手段とを備えるハイブリッド車両を制御する装置であって、前記蓄電手段の温度を特定する温度特定手段と、前記特定された温度が所定温度より低い場合、前記第2回転電機の動作状態に応じて、前記蓄電手段において入出力される電力の絶対値が上昇するように前記第1回転電機の発電量を補正する発電量補正手段とを具備する。
本発明に係るハイブリッド車両は、駆動軸に対し動力供給可能な動力要素として、燃料種別、燃料の供給態様、燃料の燃焼態様、吸排気系の構成及び気筒配列等、その物理的、機械的又は電気的構成を問わない各種の態様を採り得る、燃料の燃焼により動力を生成可能な機関としての内燃機関と、例えばモータジェネレータ等の電動発電機として構成され得る第1及び第2回転電機とを少なくとも備えた車両である。
本発明に係るハイブリッド車両の制御装置は、主として、ハイブリッド車両における蓄電手段の充放電を制御する装置であって、例えば、一又は複数のCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、各種プロセッサ又は各種コントローラ、或いは更にROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、バッファメモリ又はフラッシュメモリ等の各種記憶手段等を適宜に含み得る、単体の或いは複数のECU(Electronic Controlled Unit)等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る。
本発明に係るハイブリッド車両の制御装置によれば、蓄電手段を効率的に昇温するべく先ず、温度センサ等の温度特定手段により、蓄電手段の温度が特定される。ここに、該温度に係る「特定」とは、蓄電手段の温度を直接又は間接的に検出、測定、推定、算出等すればよく、何らかの形で該温度を特定又は取得できればよい趣旨を示す。続いて、ECU等の発電量補正手段により、特定された温度が所定温度より低いか否かが判定され、該温度が所定温度より低い場合、第2回転電機の動作状態に応じて、第1回転電機の発電量が補正される。ここに、蓄電手段に係る「所定温度」とは、蓄電手段について暖機の要否を判定するべく予め設定される、蓄電手段の温度を示す。また、第2回転電機に係る「動作状態」とは、例えば、加速時等に駆動軸に動力を出力するべく第2回転電機が力行する力行状態(言い換えれば、放電状態)、及び減速時に駆動軸からの動力の入力により第2回転電機が発電する回生状態(言い換えれば、発電状態)を示す。
具体的には、発電量補正手段は、蓄電手段温度が所定温度より低く、第2回転電機が力行状態である場合、第1回転電機の発電量を比較的減少させる。即ち、第2回転電機が力行するための電力が蓄電手段から出力(即ち、放電)される際に、第1回転電機の発電により蓄電手段に入力(即ち、充電)される電力を減少させる。これにより、第1回転電機から蓄電手段に充電される電力を抑え、その抑えられた充電電力分、蓄電手段から放電される電力(言い換えれば、放電電流)を上昇させる。他方、発電量補正手段は、蓄電手段温度が所定温度より低く、第2回転電機が回生状態である場合、第1回転電機の発電量を比較的増大させる。即ち、第2回転電機による発電電力が蓄電手段に入力(即ち、充電)される際に、第1回転電機の発電により蓄電手段に入力(即ち、充電)される電力を増大させる。これにより、第1回転電機から蓄電手段に充電される電力を増やし、その増やした充電電力分、蓄電手段に充電される電力(言い換えれば、充電電流)を上昇させる。
このように、第2回転電機の動作状態に応じて、第1回転電機の発電量を増減することで、蓄電手段において入出力される電力の絶対値を上昇させる。これにより、第1回転電機の発電に伴う有効な発熱を利用して、蓄電手段を効率的に昇温することが可能である。
本発明に係るハイブリッド車両の制御装置の一の態様では、前記動作状態が力行状態及び回生状態のうちのいずれであるかを判定可能な動作状態判定手段を更に備え、前記発電量補正手段は、前記特定された温度が前記所定温度より低く、且つ前記動作状態判定手段により前記動作状態が前記回生状態であると判定された場合、予め設定される基準発電量より大きくなるように前記第1回転電機の発電量を補正する。
この態様によれば、発電量補正手段は、蓄電手段の温度が所定温度より低く、動作状態判定手段による判定の結果、第2回転電機の動作状態が回生状態である(言い換えれば、第2回転電機が回生状態にある)と判定された場合、第1回転電機の発電量を基準発電量より大きくする。ここに、第1回転電機に係る「基準発電量」とは、内燃機関の駆動に対応して予め設定される、第1回転電機における基準の発電量を示す。即ち、第2回転電機の回生状態時に、言い換えれば、減速時に、第1回転電機における発電量の増量分、蓄電手段に充電される電力(言い換えれば、充電電流)を上昇させる。これにより、減速時に、第1回転電機の発電量を補正しない場合と比較して、蓄電手段を効率的に昇温することが可能である。
本発明に係るハイブリッド車両の制御装置の他の態様では、前記蓄電手段の蓄電状態を特定する蓄電状態特定手段を更に備え、前記発電量補正手段は、前記特定された蓄電状態と、前記蓄電手段に予め設定される目標蓄電状態との差異に応じて、前記第1回転電機の発電量を補正する。
この態様によれば、発電量補正手段は、第1回転電機における発電量の補正を実行する際に、蓄電量センサ等の蓄電状態特定手段により特定された蓄電状態と、目標蓄電状態との差異に応じて、第1回転電機の発電量を補正する。ここに、蓄電手段に係る「蓄電状態」とは、典型的には、所謂SOC(State Of Charge)を示しており、ゼロ及び最大値間で任意の値を取り得る蓄電量又は蓄電された電荷量若しくは電圧を示す特定指標における、相対的又は絶対的な大小或いは高低を示す。また、蓄電手段に係る「目標蓄電状態」とは、蓄電手段を制御するPCU(Power Control Unit)等の蓄電制御手段における、制御目標とするSOCを示す。
具体的には、発電量補正手段は、上記補正の実行の際に、特定された蓄電状態と目標蓄電状態との差が所定差より大きい場合、第1回転電機における発電量の補正量を、例えば予め設定される補正量の半分の量にする。ここに、特定された蓄電状態及び目標蓄電状態に係る「所定差」とは、上記補正の実行後の蓄電状態が、蓄電手段における蓄電上限を上回る又は蓄電下限を下回るか否かを判定するための判定値を示す。即ち、第1回転電機における発電量の補正に先立って、特定された蓄電状態の偏差から、蓄電状態の上限超え及び下限割れの可能性の有無を判定し、該上限超え及び下限割れの可能性がある場合、第1回転電機における発電量の補正量を調整する。これにより、第1回転電機における発電量の補正時に生じ得る、蓄電状態の上限超え及び下限割れを回避することが可能である。
前記動作状態判定手段を備える態様では、前記蓄電手段の蓄電状態を特定する蓄電状態特定手段と、前記蓄電手段に予め設定される目標蓄電状態を変更可能な目標状態変更手段とを更に備え、前記目標状態変更手段は、前記特定された温度が前記所定温度より低く、且つ前記動作状態が前記回生状態であると判定された場合、前記特定された蓄電状態に応じて、前記目標蓄電状態が低減するように前記目標蓄電状態を変更してもよい。
このように構成すれば、PCU等の目標状態変更手段は、蓄電手段の温度が所定温度より低く、第2回転電機が回生状態にある(言い換えれば、減速時)と判定された場合であって、特定された蓄電状態が例えば所定状態に満たない場合、蓄電手段における目標蓄電状態を例えば予め設定される目標蓄電状態より低いものにする。ここに、蓄電状態に係る「所定状態」とは、第1回転電機における発電量の補正の実行後の蓄電状態が、蓄電手段における蓄電上限を上回るか否かを判定するための判定値を示す。即ち、第1回転電機における発電量の補正に先立って又は並行して、特定された蓄電状態から、蓄電状態の上限超えの可能性の有無を判定し、該上限超えの可能性がある場合、目標蓄電状態を低減する。その目標蓄電状態の低減分、蓄電手段に入力可能な電力が増大する。すると、例えば蓄電状態の上限超えを回避するための、第1回転電機に対する発電の制限が解消されることで、第1回転電機における発電量が増大する。これにより、減速時に、目標蓄電状態を低減しない場合と比較して、蓄電手段をより効率的に昇温することが可能である。
前記動作状態判定手段を備える態様では、当該ハイブリッド車両は、走行を補助する電動補機と、前記電動補機及び前記蓄電手段に接続されており、前記蓄電手段から入力される電力を前記電動補機に出力可能な補機蓄電手段とを更に備え、前記特定された温度が前記所定温度より低い場合であって、前記動作状態判定手段により前記動作状態が前記力行状態であると判定された場合、予め設定される基準蓄電量より大きくなるように前記補機蓄電手段の蓄電量を補正し、前記動作状態判定手段により前記動作状態が前記回生状態であると判定された場合、前記基準蓄電量より小さくなるように前記補機蓄電手段の蓄電量を補正する蓄電量補正手段とを更に具備してもよい。
本発明に係るハイブリッド車両において、小型バッテリ等の補機蓄電手段は、蓄電手段にDC−DCコンバータ等を介して接続されており、蓄電手段から出力(即ち、放電)される電力を蓄電すると共に、蓄電する電力を電動補機に出力可能である。パワステポンプ等である電動補機は、補機蓄電手段から出力(即ち、放電)される電力で駆動する。このように構成すれば、ECU等の蓄電量補正手段は、蓄電手段の温度が所定温度より低く、第2回転電機が力行状態にある(言い換えれば、加速時)と判定された場合、補機蓄電手段の蓄電量を基準蓄電量より大きくする。ここに、補機蓄電手段に係る「基準蓄電量」とは、補機蓄電手段において蓄電性能を保持するために最適とされる一定の蓄電量を示す。即ち、加速時に、補機蓄電手段の蓄電量の増量分、蓄電手段から補機蓄電手段に放電される電力(言い換えれば、放電電流)を上昇させる。すると、その放電電力の上昇分、蓄電手段から放電される電力(言い換えれば、放電電流)を上昇させる。他方、蓄電手段の温度が所定温度より低く、第2回転電機が回生状態にある(言い換えれば、減速時)と判定された場合、補機蓄電手段の蓄電量を基準蓄電量より小さくする。即ち、減速時に、補機蓄電手段の蓄電量の減量分、蓄電手段から補機蓄電手段に放電される電力(言い換えれば、放電電流)を減少させる。すると、その放電電力の減少分、蓄電手段に充電される電力(言い換えれば、充電電流)を上昇させる。
このように、第2回転電機の動作状態に応じて、補機蓄電手段の蓄電量を増減することで、補機蓄電手段と接続される蓄電手段において入出力される電力の絶対値を上昇させる。これにより、補機蓄電手段の蓄電容量を利用して、蓄電手段をより効率的に昇温することが可能である。
尚、上述したように補機蓄電手段の蓄電量を増減するのに並行して又は代えて、電動補機について予め設定される消費電力量が変更可能なものであれば、電動補機の消費電力量を大小させてもよい。これにより、加速時に、電動補機の消費電力量の増量分、蓄電手段から放電される電力を上昇させる。他方、減速時に、電動補機の消費電力量の減少分、蓄電手段に充電される電力を上昇させる。
前記動作状態判定手段を備える態様では、前記第1回転電機の要求発電量を特定する要求発電量特定手段と、前記動作状態が前記回生状態であると判定され且つ前記特定された前記第1回転電機の要求発電量の変化量が所定量より大きい場合、出力パワーを一定としたまま前記内燃機関の機関回転速度が低下するように前記内燃機関を制御する機関制御手段とを更に備えてもよい。
本発明において、ECU等の要求発電量特定手段は、機関回転速度及び機関トルクの積で表される内燃機関の要求出力パワーに対応する、第1回転電機の要求発電量を特定する。この特定の時期は、例えば発電量補正手段による第1回転電機の発電量の補正が行われる時期とする。このように構成すれば、ECU等の機関制御手段は、減速時に、特定された第1回転電機の要求発電量の変化量が所定量より大きい場合、内燃機関の出力パワー(即ち、機関出力パワー)を一定に維持しつつ、機関回転速度を低下させる。ここに、第1回転電機の要求発電量に係る「所定量」は、内燃機関により発生される騒音について、ドライバ或いは同乗者が違和感を覚える程に大きいか否かを判定するための判定値を示す。内燃機関による騒音は、要求発電量を特定するための一要素である機関回転速度に比例する。また、「出力パワーを一定としたまま」とは、出力パワーを一定とするように制御したまま或いは出力パワーの目標値を一定としたままの意味であり、各種内的或いは外的要因により結果として或いは実際には僅かに出力パワーが変動してもかまわない趣旨である。即ち、要求発電量の変化量が所定量より大きくなる場合、ドライバ或いは同乗者が違和感を覚える程に騒音が大きいとして、機関出力パワーを一定に維持しつつ機関回転速度を低下させる。これにより、減速時に、第1回転電機の発電量の増大に伴い大きくなり得る、内燃機関による騒音を抑制するので、ドライバ或いは同乗者が違和感を覚えることがなく、ドライバビリティの悪化を抑制することが可能である。
前記動作状態判定手段を備える態様では、前記第1回転電機の要求発電量を特定する要求発電量特定手段と、前記動作状態が前記回生状態であると判定され且つ前記特定された前記第1回転電機の要求発電量が増加する場合、前記内燃機関の機関回転速度が低下するように前記内燃機関を制御する第2機関制御手段とを更に備えてもよい。
このように構成すれば、ECU等の第2機関制御手段は、減速時に、特定された第1回転電機の要求発電量が増加する場合、内燃機関の出力パワーの変動に関係なく、機関回転速度を低下させる。即ち、第1回転電機の要求発電量が増加する場合、減速過程にある車速に同期した騒音を発生させるべく機関回転速度を徐徐に低下させる。これにより、減速時に、第1回転電機の発電量の増大に伴い大きくなり得る、内燃機関による騒音を車速に同期させて小さくすることが可能である。
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための形態から明らかにされる。
本発明の実施形態に係るハイブリッド車両の構成を概念的に表すブロック図である。 図1のハイブリッド車両におけるハイブリッド駆動装置の構成を概念的に表す構成図である。 図2のハイブリッド駆動装置の各部の動作状態を説明する動作共線図である。 本発明の実施形態の第1バッテリ温度制御処理に係る、バッテリ要求パワー対MG1発電補正量の関係を示すグラフである。 図4のグラフを用いる第1バッテリ温度制御処理を示すフローチャートである。 図5の第1バッテリ温度制御処理における、バッテリ電流等の時間的推移を示すグラフである。 本発明の実施形態の第2バッテリ温度制御処理に係る、バッテリ要求パワー対MG1発電補正量の関係を示すグラフである。 図7のグラフを用いる第2バッテリ温度制御処理を示すフローチャートである。 図8の第2バッテリ温度制御処理における、バッテリ電流等の時間的推移を示すグラフである。 本発明の実施形態の第3バッテリ温度制御処理に係る、バッテリパワー合計対発熱量の関係を示すグラフである。 図10のグラフに対応する第3バッテリ温度制御処理を示すフローチャートである。 図11の第3バッテリ温度制御処理における、バッテリ電流等の時間的推移を示すグラフである。 図1のハイブリッド車両におけるバッテリに係る電動補機装置の構成を概念的に表すブロック図である。 本発明の実施形態の第4バッテリ温度制御処理に係る、バッテリ要求パワー対補機バッテリ充電量の関係を示すグラフである。 図14のグラフを用いる第4バッテリ温度制御処理を示すフローチャートである。 図15の第4バッテリ温度制御処理における、バッテリ電流等の時間的推移を示すグラフである。 本発明の実施形態の第5バッテリ温度制御処理に係る、等エンジンパワー動作線を示すグラフである。 図17のグラフを用いる第5バッテリ温度制御処理を示すフローチャートである。 本発明の実施形態の第6バッテリ温度制御処理を示すフローチャートである。 図19の第6バッテリ温度制御処理における、機関回転速度等の時間的推移を示すグラフである。
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
<実施形態>
<実施形態の構成>
始めに、図1を参照し、本発明の実施形態に係るハイブリッド車両10の構成について説明する。ここに、図1は、ハイブリッド車両10の構成を概念的に表すブロック図である。
図1において、ハイブリッド車両10は、主として、ECU100、PCU11、バッテリ12、車速センサ13、アクセル開度センサ14及びハイブリッド駆動装置1000を備えた、本発明に係る「ハイブリッド車両」の一例である。
ECU100は、CPU、ROM及びRAM等を備え、ハイブリッド車両10の各部の動作を制御可能に構成された電子制御ユニットであり、本発明に係る「ハイブリッド車両の制御装置」の一例である。ECU100は、ROMに格納された制御プログラムに従って、後述する第1から第6バッテリ温度制御処理を実行可能に構成されている。
尚、ECU100は、本発明に係る「発電量補正手段」、「動作状態判定手段」及び「要求発電量特定手段」の一例たる発電制御部100aと、「目標状態変更手段」の一例たるSOC制御部100bと、「蓄電量補正手段」の一例たる補機バッテリ制御部100cと、本発明に係る「機関制御手段」、「第2機関制御手段」の一例たる騒音制御部100dとを有する一体の電子制御ユニットであり、これら各手段に係る動作は、全てECU100によって実行されるように構成されている。但し、本発明に係るこれら各手段の物理的、機械的及び電気的な構成はこれに限定されるものではなく、例えばこれら各手段は、複数のECU、各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等の各種コンピュータシステムとして構成されていてもよい。
PCU11は、バッテリ12から取り出した直流電力を交流電力に変換して後述するモータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2に供給すると共に、モータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2によって発電された交流電力を直流電力に変換してバッテリ12に供給することが可能に構成されたインバータを含み、バッテリ12と各モータジェネレータMG1,MG2との間の電力の入出力を、或いは各モータジェネレータMG1,MG2相互間の電力の入出力(即ち、この場合、バッテリ12を介さずに各モータジェネレータMG1,MG2相互間で電力の授受が行われる)を制御可能に構成された制御ユニットである。PCU11は、ECU100と電気的に接続されており、ECU100によってその動作が制御される構成となっている。
バッテリ12は、モータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2を力行するための電力を供給すると共に、モータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2の回生による発電電力を蓄電することが可能に構成された、本発明に係る「蓄電手段」の一例である。バッテリ12には、バッテリ温度センサ12a及びSOCセンサ12bが組み付けられている。
バッテリ温度センサ12aは、バッテリ12の温度を検出することが可能に構成された、本発明に係る「温度特定手段」の一例である。バッテリ温度センサ12aは、ECU100と電気的に接続されており、検出されたバッテリ温度は、ECU100によって一定又は不定の周期で参照される構成となっている。
SOCセンサ12bは、バッテリ12の蓄電状態を表す蓄電残量SOC(以後、単に「SOC」と称する)を検出することが可能に構成された、本発明に係る「蓄電状態特定手段」の一例である。SOCセンサ12bは、ECU100と電気的に接続されており、検出されたSOCは、ECU100によって一定又は不定の周期で参照される構成となっている。
車速センサ13は、ハイブリッド車両10の車速Vを検出することが可能に構成されたセンサである。車速センサ13は、ECU100と電気的に接続されており、検出された車速Vは、ECU100によって一定又は不定の周期で参照される構成となっている。
アクセル開度センサ14は、ハイブリッド車両10の図示せぬアクセルペダルの操作量たるアクセル開度Taを検出することが可能に構成されたセンサである。アクセル開度センサ14は、ECU100と電気的に接続されており、検出されたアクセル開度Taは、ECU100によって一定又は不定の周期で参照される構成となっている。
<ハイブリッド駆動装置の構成>
ハイブリッド駆動装置1000は、ハイブリッド車両10のパワートレインとして機能する動力ユニットである。ここで、図2を参照し、ハイブリッド駆動装置1000の詳細な構成について説明する。ここに、図2は、ハイブリッド駆動装置1000の構成を概念的に表す構成図である。
図2において、ハイブリッド駆動装置1000は、エンジン200、動力分割機構300、モータジェネレータMG1、モータジェネレータMG2及び減速機構500を備える。
エンジン200は、本発明に係る「内燃機関」の一例たる直列4気筒ガソリンエンジンであり、ハイブリッド車両10の主たる動力源として機能するように構成されている。尚、本発明における「内燃機関」とは、燃料種別、燃料の供給態様、燃料の燃焼態様、吸排気系の構成及び気筒配列等、その物理的、機械的又は電気的構成を問わない各種の態様を採り得る、燃料の燃焼により動力を生成可能な機関を包括する概念である。係る概念を満たす限りにおいて、本発明の内燃機関は、各種の態様を採り得る。
モータジェネレータMG1は、本発明に係る「第1回転電機」の一例たる電動発電機であり、電気エネルギを運動エネルギに変換する力行機能と、運動エネルギを電気エネルギに変換する回生機能とを備えた構成となっている。モータジェネレータMG2は、本発明に係る「第2回転電機」の一例たる電動発電機であり、モータジェネレータMG1と同様に、電気エネルギを運動エネルギに変換する力行機能と、運動エネルギを電気エネルギに変換する回生機能とを備えた構成となっている。尚、モータジェネレータMG1及びMG2は、例えば同期電動発電機として構成され、例えば外周面に複数個の永久磁石を有するロータと、回転磁界を形成する三相コイルが巻回されたステータとを備える構成を有していてもよいし、他の構成を有していてもよい。
動力分割機構300は、中心部に設けられたサンギア303と、サンギア303の外周に同心円状に設けられたリングギア301と、サンギア303とリングギア301との間に配置されてサンギア303の外周を自転しつつ公転する複数のピニオンギア305と、これら各ピニオンギアの回転軸を軸支するプラネタリキャリア306とを備えた、「差動機構」の一例たる動力伝達装置である。
ここで、サンギア303は、サンギア軸304を介してモータジェネレータMG1のロータ(符合は省略)に結合されており、その回転速度はモータジェネレータMG1の回転速度と等価である。また、リングギア301は、駆動軸302及び減速機構500を介してモータジェネレータMG2のロータに結合されており、その回転速度はモータジェネレータMG2の回転速度と等価である。更に、プラネタリキャリア306は、エンジン200のクランクシャフト205に結合されており、その回転速度はエンジン200の機関回転速度Neと等価である。
一方、駆動軸302は、ハイブリッド車両の駆動輪たる右前輪FR及び左前輪FLを夫々駆動するドライブシャフトSFR及びSFLと、デファレンシャル等の各種減速ギアを含む減速装置としての減速機構500を介して連結される。モータジェネレータMG2から駆動軸302に出力されるモータトルクは、減速機構500を介して各ドライブシャフトへと伝達され、同様に各ドライブシャフトを介して伝達される各駆動輪からの駆動力は、減速機構500及び駆動軸302を介してモータジェネレータMG2に入力される。即ち、モータジェネレータMG2の回転速度は、ハイブリッド車両10の車速Vと一義的な関係にある。
動力分割機構300は、係る構成の下で、エンジン200が発する動力を、プラネタリキャリア306とピニオンギア305とによってサンギア303及びリングギア301に所定の比率(各ギア相互間のギア比に応じた比率)で分配し、エンジン200の動力を2系統に分割することが可能となっている。
尚、「差動機構」の実施形態上の構成は、動力分割機構300のものに限定されない。例えば、差動機構は、複数の遊星歯車機構を備え、一の遊星歯車機構に備わる複数の回転要素が、他の遊星歯車機構に備わる複数の回転要素の各々と適宜連結され、一体の差動機構を構成していてもよい。
減速機構500は、予め設定された減速比に従って駆動軸302の回転速度を減速可能なギア機構を含み、またドライブシャフトSFL及びSFR相互間の回転速度差を吸収するデファレンシャル等の最終減速機を含むギア装置である。尚、減速機構500は、予め設定された減速比に従って駆動軸302の回転速度を減速するに過ぎないが、ハイブリッド車両10は、この種の減速装置とは別に、例えば、複数のクラッチ機構やブレーキ機構を構成要素とする複数の変速段を備えた有段変速装置を備えていてもよい。
<ハイブリッド駆動装置の動作>
次に、図3を参照し、ハイブリッド車両10の走行態様について説明する。ここに、図3は、ハイブリッド駆動装置1000の各部の動作状態を説明する動作共線図である。尚、同図において、図2と重複する要素に対し同一の符号を付して、その説明を適宜省略することとする。
図3において、縦軸は回転速度を表しており、横軸には、左から順にモータジェネレータMG1、エンジン200及びモータジェネレータMG2が表されている。ここで、動力分割機構300は遊星歯車機構により構成されており、サンギア303(即ち、実質的にモータジェネレータMG1)、プラネタリキャリア306(即ち、実質的にエンジン200)及びリングギア301(即ち、実質的にモータジェネレータMG2)のうち二要素の回転速度が定まれば、残余の一要素の回転速度が必然的に決定される。即ち、共線図上において各要素の動作状態は、ハイブリッド駆動装置1000の一動作状態について、一の直線(動作共線)によって表すことができる。
例えば、図3において、モータジェネレータMG2の動作点を図示白丸m1とし、エンジン200の反力トルクを負担するモータジェネレータMG1の動作点が図示白丸m3であるとすれば、エンジン200の動作点は必然的に図示白丸m2となる。ここで、車速V(即ち、モータジェネレータMG2の回転速度と一義的である)を一定とすれば、モータジェネレータMG1の回転速度を制御して、モータジェネレータMG1の動作点を図示白丸m4或いは白丸m5に変化させた場合、エンジン200の動作点は、夫々図示白丸m6或いは白丸m7に変化する。このように、モータジェネレータMG1を回転速度制御装置として利用し、エンジン200を所望の動作点で動作させることが可能となる。エンジン200の機関回転速度Neをある程度の範囲で自由に選択可能であれば、機関回転速度Neと駆動軸302との比たる変速比を、少なくともある程度の範囲で自由に設定することが可能となり、動力分割機構300を一種のCVT(Continuously Variable Transmission:無段変速装置)として機能させることができる。この場合、エンジン200の動作点は、基本的に、エンジンにおける要求出力パワー毎にエンジン200の燃料消費率が最小となる最適燃費動作点に制御される。
尚、本実施形態のハイブリッド駆動装置1000として、エンジン200、モータジェネレータMG1及びMG2を直列に配置すると共に動力分割機構300を介して接続するハイブリッドシステム(所謂、THS)を採用したが、ハイブリッド駆動装置はこれに限定されない。例えば、エンジンの動力によりジェネレータが発電し、この発電電力によりモータが駆動軸を駆動するシリーズ式ハイブリッドシステムを適用してもよい。
ここで、上述したように、エンジン200の動力が動力分割機構300を介してモータジェネレータMG1に伝達される場合、モータジェネレータMG1は、正回転の状態となって発電状態となる。本発明では、ECU100は、モータジェネレータMG2の動作状態に応じてモータジェネレータMG1の発電量を補正するために、第1から第6バッテリ温度制御処理を実行する。これにより、バッテリ12を効率的に昇温することが可能となっている。
<第1バッテリ温度制御処理>
<第1発電補正グラフ>
図4を参照し、第1バッテリ温度制御処理に係る、第1発電補正グラフについて説明する。ここに、図4は、モータジェネレータMG2の動作状態に応じて設定される、モータジェネレータMG1の発電補正量を示す第1発電補正グラフである。
図4に示される二次元グラフは、縦軸にMG1発電補正量、横軸にバッテリ要求パワーを表す。ここで、「MG1発電補正量」は、モータジェネレータMG1の発電量を補正するための発電量の補正量であって、具体的には、予め設定される基準発電量について増減するための発電量を示す。「バッテリ要求パワー」は、バッテリ12に要求される電力を示すが、但し、モータジェネレータMG1に係る電力を除いた、モータジェネレータMG2及び電動補機等に係る電力を示す。図4には、中心に零点が表されている。この零点から右側に進むほど、バッテリ12から放電すべき電力たるバッテリ要求パワーの増加に伴って、MG1発電補正量をマイナス側に大きく設定する。即ち、モータジェネレータMG1の発電量(以後、適宜「MG1発電量」と称する)は、主としてモータジェネレータMG2に係るバッテリ放電量の増加に伴って小さくなる。一方、零点から左側に進むほど、バッテリ12に充電すべき電力たるバッテリ要求パワーの増加に伴って、MG1発電補正量をプラス側に大きく設定する。即ち、MG1発電量は、モータジェネレータMG2によるバッテリ充電量の増加に伴って大きくなる。このように、モータジェネレータMG2の充放電、言い換えれば、回生状態及び力行状態に応じて、MG1発電量を補正することで、バッテリ12に入出力する電流の絶対値を大きくする。これにより、バッテリ12を効率的に昇温する。
続いて、図5を参照し、本実施形態における第1バッテリ温度制御処理の詳細について説明する。ここに、図5は、第1バッテリ温度制御処理を示すフローチャートである。
図5において、ECU100は、バッテリ温度センサ12aにより検出されたバッテリ温度Txが、バッテリ12について暖機の要否を判定するための所定温度T0より低いか否かを判定する(ステップS51)。この判定の結果、バッテリ温度Txが所定温度T0より高いと判定された場合(ステップS51:NO)、再度ステップS51の処理を実行する。
一方、ステップS51の判定の結果、バッテリ温度Txが所定温度T0より低いと判定された場合(ステップS51:YES)、ECU100は、バッテリ12について、入出力可能なパワー(言い換えれば、電力)の限界値まで、パワーの入出力に余裕があるか否かを判定する(ステップS52)。この判定では、具体的には、例えば、現在の入出力パワー(言い換えれば、バッテリ要求パワー)Pxと入出力パワー限界値Plmtとの差の絶対値Pdifが、所定値Pdif0より大きいか否かを判定する。この判定の結果、パワーの入出力に余裕がない(即ち、絶対値Pdifが所定値Pdif0より小さい)と判定された場合(ステップS52:NO)、再度ステップS51の処理を実行する。
一方、ステップS51の判定の結果、パワーの入出力に余裕がある(即ち、絶対値Pdifが所定値Pdif0より大きい)と判定された場合(ステップS52:YES)、ECU100における発電制御部100aは、図4のグラフを参照して、モータジェネレータMG2等への放電に使用されるバッテリ要求パワーPxが大きいほど(即ち、Px>0)、MG1発電補正量をマイナス側に大きく設定し、MG1発電量が、モータジェネレータMG1に予め設定される基準発電量より小さくなるようにMG1発電量を補正する。他方、モータジェネレータMG2の発電により充電されるバッテリ要求パワーPxが大きいほど(即ち、Px<0)、MG1発電補正量をプラス側に大きく設定し、MG1発電量が基準発電量より大きくなるようにMG1発電量を補正する(ステップS53)。これにより、一連の第1バッテリ温度制御処理を終了する。
ここで、図6を参照し、上述の第1バッテリ温度制御処理において、MG1発電量を補正した場合の作用効果について説明する。図6は、第1バッテリ温度制御処理における、車速、モータジェネレータMG1及びMG2の各パワー、並びにバッテリ12の入出力電流の各時間的推移を表す二次元グラフである。
図6に示される4つの二次元グラフは、縦軸に上から順番に、車速、MG2パワー、MG1パワー、及びバッテリ電流を、横軸に各二次元グラフに共通する時刻tを表す。横軸には時系列に、時刻t1、t2、t3及びt4が表されている。
時刻t1は、加速が始まる時刻であって、モータジェネレータMG2の力行動作によるMG2パワーの出力(即ち、プラスの値として表される)が始まる時刻である。この際、ステップS53にて、モータジェネレータMG2への放電に使用されるバッテリ要求パワーPxが大きくなり、MG1発電補正量がマイナス側に大きく設定される。このため、モータジェネレータMG1の発電量が小さくなり、MG1パワーがMG1発電量の補正前のパワー(即ち、図6において一点鎖線で示される)と比較して低減する。
時刻t2は、加速が終了する時刻であって、MG2パワーが零となる時刻である。この際、モータジェネレータMG2の動作状態に対応するMG1発電補正量が零となり、モータジェネレータMG1では、基準発電量の発電が行われ、これに対応するMG1パワーが出力される。
時刻t3は、減速が始まる時刻であって、モータジェネレータMG2の回生動作によるMG2パワーの入力(即ち、マイナスの値として表される)が始まる時刻である。この際、ステップS53にて、モータジェネレータMG2の発電により充電されるバッテリ要求パワーPxが大きくなり、MG1発電補正量がプラス側に大きく設定される。このため、モータジェネレータMG1の発電量が大きくなり、MG1パワーがMG1発電量補正前のパワー(即ち、図6において一点鎖線で示される)と比較して増大する。
時刻t4は、減速が終了する時刻であって、MG2パワーが零となる時刻である。この際、モータジェネレータMG2の動作状態に対応するMG1発電補正量が零となり、モータジェネレータMG1では、基準発電量の発電が行われ、これに対応するMG1パワーが出力される。
本実施形態の第1バッテリ温度制御処理によれば、モータジェネレータMG2の力行動作時にMG1発電量を低減し、モータジェネレータMG2の回生動作時にMG1発電量を増大することで、モータジェネレータMG1及びMG2の各動作の組み合わせによる、バッテリ要求パワーの相殺を軽減する。このため、バッテリ12において入出力されるバッテリ電流の絶対値が、MG1発電量の増減前のベース電流の値(即ち、図6において二点鎖線で示される)と比較して上昇する。これにより、特に減速時に、モータジェネレータMG1の発電に伴う有効な発熱を利用し、バッテリ12の暖機を比較的短時間で行うことが可能である。
尚、上記第1バッテリ温度制御処理において、バッテリ12の蓄電状態(即ち、SOC)が上限値を上回る又は下限値を下回るのを防止するために、上限値及び下限値の各々まで有余を持ったMG1発電補正値が設定されるが、バッテリ12のSOCに応じてMG1発電補正値を設定してもよい。
<第2バッテリ温度制御処理>
<第2発電補正グラフ>
次に、図7を参照し、第2バッテリ温度制御処理に係る、第2発電補正グラフについて説明する。ここに、図7は、バッテリ12のSOCに応じて設定される、モータジェネレータMG1の発電補正量を示す第2発電補正グラフである。
図7に示される二次元グラフは、図4の第1発電補正グラフと同様にして、縦軸にMG1発電補正量、横軸にバッテリ要求パワーを表す。図7には、図4の第1発電補正グラフにおけるMG1発電補正量(以後、適宜「第1MG1発電補正量」と称する)が実線で表されている。第1MG1発電補正量に対し、バッテリ12のSOCに応じたMG1発電補正量(以後、適宜「第2MG1発電補正量」と称する)が点線で表されている。第2MG1発電補正量は、具体的には、加減速前における、SOC制御中心からのずれ量に基づいて設定される。第2MG1発電補正量について、第1MG1発電補正量と同様にして、零点から右側に進むほど、バッテリ12から放電すべき電力たるバッテリ要求パワーの増加に伴って、MG1発電補正量をマイナス側に大きく設定するが、SOCの下限割れを回避するべく、マイナス側に第1MG1発電補正量より小さく設定する。一方、零点から左側に進むほど、バッテリ12に充電すべき電力たるバッテリ要求パワーの増加に伴って、MG1発電補正量をプラス側に大きく設定するが、SOCの上限超えを回避するべく、プラス側に第1MG1発電補正量より小さく設定する。このように、バッテリ12のSOCに応じてMG1発電量を補正することで、バッテリ12のSOCを上限値及び下限値間の最適領域に維持しつつ、バッテリ12に入出力する電流の絶対値を大きくする。これにより、SOC上限超え及び下限割れを回避してバッテリ12の劣化を抑制すると共に、バッテリ12を効率的に昇温する。
続いて、図8を参照し、本実施形態における第2バッテリ温度制御処理の詳細について説明する。ここに、図8は、第2バッテリ温度制御処理のフローチャートである。
図8において、ECU100は、図5におけるステップS51及びS52の処理と同様にして、バッテリ温度Txが所定温度T0より低いか否かを判定し(ステップS51)、バッテリ温度Txが所定温度T0より高いと判定された場合(ステップS51:NO)、再度ステップS51の処理を実行する。一方、ステップS51の判定の結果、バッテリ温度Txが所定温度T0より低いと判定された場合(ステップS51:YES)、ECU100は、バッテリ12について、入出力可能なパワーの限界値までパワーの入出力に余裕があるか否かを判定し(ステップS52)、パワーの入出力に余裕がないと判定された場合(ステップS52:NO)、再度ステップS51の処理を実行する。
一方、ステップS52の判定の結果、パワーの入出力に余裕があると判定された場合(ステップS52:YES)、発電制御部100aは、SOCセンサ12bにより検出されたSOCの値Sxと、SOC制御中心値Smid(即ち、本発明に係る「目標蓄電状態」の一例)とのずれ量Sdifが、バッテリ12についてSOC上限越え及び下限割れの可能性の有無を判定するための所定量Sdif0より大きいか否かを判定する(ステップS61)。この判定の結果、ずれ量Sdifが所定量Sdif0より小さい場合(ステップS61:NO)、図5におけるステップS53の処理と同様にして、放電に使用されるバッテリ要求パワーPxが大きいほど、基準発電量より小さくなるようにMG1発電量を補正し、充電されるバッテリ要求パワーPxが大きいほど、基準発電量より大きくなるようにMG1発電量を補正する(ステップS53)。これにより、一連の第2バッテリ温度制御処理を終了する。
一方、ステップS61の判定の結果、ずれ量Sdifが所定量Sdif0より大きい場合(ステップS61:YES)、図7のグラフを参照して、放電に使用されるバッテリ要求パワーPxが大きいほど、本来マイナス側に大きく設定される第1MG1発電補正量を、SOC下限割れを回避可能な程度に引き上げる。即ち、ずれ量Sdifが所定量Sdif0より小さい場合(即ち、ステップS52の処理)と比較して、MG1発電量が大きくなるようにMG1発電補正量を小さくする。他方、充電されるバッテリ要求パワーPxが大きいほど、本来プラス側に大きく設定される第1MG1発電補正量を、SOC上限越えを回避可能な程度に引き下げる。即ち、ステップS52の処理と比較して、MG1発電量が小さくなるようにMG1発電補正量を小さくする。(ステップS62)。これにより、一連の第2バッテリ温度制御処理を終了する。
ここで、図9を参照し、上述の第2バッテリ温度制御処理において、SOCのずれ量Sdifに基づいてバッテリ発電量を補正した場合の作用効果について説明する。図9は、第2バッテリ温度制御処理における、車速、バッテリ12の入出力電流及びSOCの各時間的推移を表す二次元グラフである。
図9に示される3つの二次元グラフは、縦軸に上から順番に、車速、バッテリ電流及びSOCを、横軸に各二次元グラフに共通する時刻tを表す。横軸には時系列に、時刻t5、t6及びt7が表されている。
時刻t5は、加速が始まる時刻である。この際、ステップS61にて、SOCのずれ量Sdifが所定量Sdif0より大きいと判定される。
時刻t6は、SOCが最下値をとる時刻であり、この最下値はSOC下限値Sminを下回っていない。これは、ステップS62にて、MG1発電補正量がずれ量Sdifに基づいて設定されることで、SOCの下限値割れが回避されるためである。
時刻t7は、SOCが最上値をとる時刻であり、この最上値はSOC上限値Smaxを上回っていない。これは、ステップS62にて、MG1発電補正量がずれ量Sdifに基づいて設定されることで、SOCの上限値越えが回避されるためである。
本実施形態の第2バッテリ温度制御処理によれば、SOCのずれ量Sdifに基づいて、第1バッテリ温度制御処理の場合(即ち、第1MG1発電補正量)よりMG1発電補正量を小さくすることで、SOCの上限値超え及び下限値割れを回避しつつ、バッテリ12において入出力される電流の絶対値が、MG1発電量の増減前のベース電流の値(即ち、図9において二点鎖線で示される)と比較して上昇する。これにより、バッテリ12の劣化を防止すると共に、モータジェネレータMG1の発電に伴う有効な発熱を利用し、バッテリ12の暖機を比較的短時間で行うことが可能である。
尚、上記第1及び第2バッテリ温度制御処理において、SOC上限値まで有余を持ったMG1発電補正値が設定されたり、ずれ量Sdifに基づいてMG1発電補正値が小さくなることで、SOC上限値超えが回避されるが、MG1発電補正値を変更することなく、SOC上限値超えを回避してもよい。
<第3バッテリ温度制御処理>
次に、図10を参照し、第3バッテリ温度制御処理に係る、モータジェネレータMG1と発熱との関係について説明する。ここに、図10は、バッテリパワー合計と発熱量との関係を示すグラフである。
図10に示される二次元グラフは、縦軸にバッテリ12の発熱量、横軸にバッテリ12のパワーの合計値を表す。図10には、略左右対称の二次曲線が表されており、二次曲線上には、点H1からH4が表されている。点H1から点H2への変移は、モータジェネレータMG1の力行動作を示し、点H3から点H4への変移は、モータジェネレータMG1の回生動作を示す。図10に示すように、モータジェネレータMG1の回生動作について、その力行動作より大きく発熱量が上昇する。また、典型的に、バッテリ12に入出力する電流の二乗は、バッテリ12の発熱量に相当するとされる。即ち、モータジェネレータMG2のみが放電を行う力行動作より、モータジェネレータMG1及びMG2が共に充電を行う回生動作の方が、効率的に大きな発熱量を得る。こうした回生動作時に、上記第2バッテリ温度制御処理にてMG1発電量を増大すると、バッテリ12について、SOC値が高い制御領域(以後、適宜「SOC高制御領域」と称する)に留まり易くなりSOC高制御領域の使用頻度が高まると共に、SOC上限超えが発生し易くなる。また、上記第2バッテリ温度制御処理にてSOC上限越えを回避可能な程度にMG1発電補正量を小さくすると、モータジェネレータMG1の発電に伴う有効な発熱を十分に利用できなくなってしまう。そこで、第3バッテリ温度制御処理では、SOC制御中心値Smidを所定領域分下げる。これにより、SOC高制御領域の使用頻度を低下させると共にSOC上限超えを回避してバッテリ12の劣化を抑制しつつ、バッテリ12を効率的に昇温する。
続いて、図11を参照し、本実施形態における第3バッテリ温度制御処理の詳細について説明する。ここに、図11は、第3バッテリ温度制御処理のフローチャートである。
図11において、ECU100は、図5及び図8におけるステップS51の処理と同様にして、バッテリ温度Txが所定温度T0より低いか否かを判定し(ステップS51)、バッテリ温度Txが所定温度T0より高いと判定された場合(ステップS51:NO)、再度ステップS51の処理を実行する。
一方、ステップS51の判定の結果、バッテリ温度Txが所定温度T0より低いと判定された場合(ステップS51:YES)、ECU100におけるSOC制御部100bは、SOC制御中心値Smidを、所定領域分下げたSOC制御中心値Smidxに変更する(ステップS71)。
続いて、ECU100は、図5及び図8におけるステップS52及びS53の処理と同様にして、バッテリ12について、入出力可能なパワーの限界値までパワーの入出力に余裕があるか否かを判定し(ステップS52)、パワーの入出力に余裕がないと判定された場合(ステップS52:NO)、再度ステップS51の処理を実行する。一方、ステップS52の判定の結果、パワーの入出力に余裕があると判定された場合(ステップS52:YES)、ECU100は、放電に使用されるバッテリ要求パワーPxが大きいほど、基準発電量より小さくなるようにMG1発電量を補正し、充電されるバッテリ要求パワーPxが大きいほど、基準発電量より大きくなるようにMG1発電量を補正する(ステップS53)。これにより、一連の第3バッテリ温度制御処理を終了する。
ここで、図12を参照し、上述の第3バッテリ温度制御処理において、SOC制御中心値Smidを下げる場合の作用効果について説明する。図12は、第3バッテリ温度制御処理における、車速、バッテリ12の入出力電流及びSOCの各時間的推移を表す二次元グラフである。
図12に示される3つの二次元グラフは、図9における3つの二次元グラフと同様にして、縦軸に上から順番に、車速、バッテリ電流及びSOCを、横軸に各二次元グラフに共通する時刻tを表す。横軸には時系列に、時刻t8及びt9が表されている。
時刻t8は、SOCが最下値をとる時刻であり、この最下値はSOC下限値Sminを下回っていない。時刻t9は、SOCが最上値をとる時刻であり、この最上値はSOC上限値Smaxを上回っていない。これは、ステップS71にて、SOC制御中心値Smidが、所定領域分下げた後のSOC制御中心値Smidxに変更されることで、SOCの上限越えが回避されるためである。こうしたSOC制御中心値Smidの下げ量は、例えば、時刻t8での最下値が下限値Sminを下回らないように、この最下値に基づいて設定される。
本実施形態の第3バッテリ温度制御処理によれば、MG1発電量の増減に先立ってSOC制御中心値Smidを下げることで、上記第1バッテリ温度制御処理にて少なからず制限される回生動作に係る、充電側のバッテリ電流の絶対値(即ち、図12において鎖線で示される)が上昇される。また、上記第2バッテリ温度制御処理にてMG1発電補正量が小さくなることで少なからず制限される回生動作に係るSOC(即ち、図12において鎖線で示される)について、最高値の上限値超えが回避されると共に、SOC高制御領域が広がることでSOC値の制御幅が広がる。これにより、SOC値が本来の制御中心値Smidから上限値Smaxまでの間の制御領域に集中することによる、充電効率の低下を防止する。故に、モータジェネレータMG1の発電に伴う有効な発熱を十分に利用しながらも、バッテリ12の劣化を確実に抑制しつつ、バッテリ12の暖機を比較的短時間で行うことが可能である。
尚、上記第1から第3バッテリ温度制御処理において、バッテリ12を昇温するべく、バッテリ12において入出力される電流の絶対値を上昇させるが、バッテリ12のみならず電動補機用のバッテリを利用して、バッテリ12において入出力される電流の絶対値を更に上昇させてもよい。
<第4バッテリ温度制御処理>
<電動補機装置の構成>
次に、図13を参照し、第4バッテリ温度制御処理に係る、ハイブリッド車両10における電動補機装置600の構成について説明する。ここに、図13は、電動補機装置600の構成を概念的に表すブロック図である。
図13において、電動補機装置600は、DC−DCコンバータ60、電動補機バッテリ61及び電動補機62を備える。DC−DCコンバータ60は、バッテリ12に直接に接続されており、バッテリ12から出力される電力を電動補機バッテリ61に入力する。
電動補機バッテリ61は、電動補機62に対し電動補機62を駆動するための電力を供給すると共に、バッテリ12からの電力を充電することが可能に構成された、本発明に係る「補機蓄電手段」の一例である。電動補機バッテリ61は、ECU100における補機バッテリ制御部100cの制御により、充電量を補正可能に構成されている。
電動補機62は、ハイブリッド車両10の走行を補助する一電機であり、電動補機バッテリ61からの電力供給により駆動される。
<補機バッテリ充電グラフ>
次に、図14を参照し、第4バッテリ温度制御処理に係る、補機バッテリ充電グラフについて説明する。ここに、図14は、バッテリ要求パワーに応じて設定される、電動補機バッテリ61の充電量を示す補機バッテリ充電グラフである。
図14に示される二次元グラフは、縦軸に補機バッテリ充電量、横軸にバッテリ要求パワーを表す。ここで、「補機バッテリ充電量」は、電動補機バッテリ61に充電可能である電力量を示す。また「バッテリ要求パワー」は、ハイブリッド車両10の走行に要求される、バッテリ12の全てのパワー(言い換えれば、電力)を示す。図14に示すように、補機バッテリ充電量について、零点から右側に進むほど、バッテリ12から放電すべき電力たるバッテリ要求パワーの増加に伴って、補機バッテリ充電量をプラス側に大きく設定する。即ち、補機バッテリ充電量は、バッテリ12の放電量の増加に伴って大きくなる。一方、零点から左側に進むほど、バッテリ12に充電すべき電力たるバッテリ要求パワーの増加に伴って、補機バッテリ充電量をマイナス側に大きく設定する。即ち、補機バッテリ充電量は、バッテリ12の充電量の増加に伴って小さくなる。上記第1から第3バッテリ温度制御手段におけるMG1発電量の増減と並行して、このように、バッテリ要求パワーに応じて電動補機バッテリ61の充電量を設定することで、バッテリ12に入出力する電流の絶対値を更に大きくする。これにより、バッテリ12をより効率的に昇温する。
続けて、図15を参照し、本実施形態における第4バッテリ温度制御処理の詳細について説明する。ここに、図15は、第4バッテリ温度制御処理のフローチャートである。
図15において、ECU100は、図5、図8及び図11におけるステップS51及びS52の処理と同様にして、バッテリ温度Txが所定温度T0より低いか否かを判定し(ステップS51)、バッテリ温度Txが所定温度T0より高いと判定された場合(ステップS51:NO)、再度ステップS51の処理を実行する。一方、ステップS51の判定の結果、バッテリ温度Txが所定温度T0より低いと判定された場合(ステップS51:YES)、ECU100は、バッテリ12について、入出力可能なパワーの限界値までパワーの入出力に余裕があるか否かを判定し(ステップS52)、パワーの入出力に余裕がないと判定された場合(ステップS52:NO)、再度ステップS51の処理を実行する。
一方、ステップS52の判定の結果、パワーの入出力に余裕があると判定された場合(ステップS52:YES)、ECU100における補機バッテリ制御部100cは、図14のグラフを参照して、放電に使用されるバッテリ要求パワーPxが大きいほど、補機バッテリ充電量をプラス側に大きく設定し、補機バッテリ充電量が、初期値として設定される基準充電量(即ち、「基準蓄電量」の一例、図16において点線で示される)より大きくなるように補機バッテリ充電量を補正する。他方、充電されるバッテリ要求パワーPxが大きいほど、補機バッテリ充電量をマイナス側に大きく設定し、補機バッテリ充電量が基準充電量より小さくなるように補機バッテリ充電量を補正する(ステップS81)。続いて、補機バッテリ制御部100cは、電動補機バッテリ61のSOC値Shxが、電動補機バッテリ61についてSOC下限割れの可能性の有無を判定するための下限ガード値Sh0より小さいか否かを判定する(ステップS82)。この判定の結果、SOC値Shxが下限ガード値Sh0より大きいと判定された場合(ステップS82:NO)、一連の第4バッテリ温度制御処理を終了する。
一方、ステップS82の判定の結果、SOC値Shxが下限ガード値Sh0より小さいと判定された場合(ステップS82:YES)、ステップS81にて補正される前の充電量たる基準充電量に補機バッテリ充電量を再度設定することで、電動補機バッテリ61についてSOC下限割れを回避する(ステップS83)。これにより、一連の第4バッテリ温度制御処理を終了する。
ここで、図16を参照し、上述の第4バッテリ温度制御処理において、補機バッテリ充電量を補正した場合の作用効果について説明する。図16は、第4バッテリ温度制御処理における、車速、モータジェネレータMG2のパワー、補機バッテリ充電量、及びバッテリ12の入出力電流の各時間的推移を表す二次元グラフである。
図16に示される4つの二次元グラフは、縦軸に上から順番に、車速、MG2パワー、補機バッテリ充電量及びバッテリ電流を、横軸に各二次元グラフに共通する時刻tを表す。横軸には時系列に、時刻t10及びt11が表されている。ここで、「バッテリ電流」は、バッテリ12について、モータジェネレータMG1及びMG2、並びに電動補機バッテリ61の各々との間で入出力される電流の合計値を示す。
時刻t10は、加速が始まる時刻であって、モータジェネレータMG2の力行動作が始まる時刻である。この際、ステップS81にて、補機バッテリ充電量が基準充電量より大きくなるように設定される。この設定は、モータジェネレータMG2の力行動作中、継続される。
時刻t11は、減速が始まる時刻であって、モータジェネレータMG2の回生動作が始まる時刻である。この際、ステップS81にて、補機バッテリ充電量が基準充電量より小さくなるように設定される。この設定は、モータジェネレータMG2の回生制動中、継続される。
本実施形態に係る第4バッテリ温度制御処理によれば、モータジェネレータMG2の力行動作時に補機バッテリ充電量を増大し、モータジェネレータMG2の回生動作時に補機バッテリ充電量を低減することで、バッテリ12において入出力されるバッテリ電流の絶対値が、補機バッテリ充電量の増減前のベース電流の値(即ち、図16において二点鎖線で示される)と比較して上昇する。このような補機バッテリ充電量の増減を、上記第1から第3バッテリ温度制御処理におけるMG1発電量の増減に並行して行う場合、バッテリ12の暖機を比較的短時間で行うことが可能である。
尚、上記第4バッテリ温度制御処理において、モータジェネレータMG2の力行動作中、補機バッテリ充電量を増大するのに並行して又は代えて、電動補機62の消費電力を大きくすることで、バッテリ12から出力されるバッテリ電流の絶対値を更に上昇させてもよい。他方、モータジェネレータMG2の回生動作中、補機バッテリ充電量を低減するのに並行して又は代えて、電動補機62の消費電力を小さくする、又は補機バッテリ制御手段100cにより電動補機バッテリ61の充電電力をバッテリ12に入力することで、バッテリ12に入力されるバッテリ電流の絶対値を更に上昇させてもよい。
尚、上記第1から第3バッテリ温度制御処理において、モータジェネレータMG2の回生動作時(即ち、減速時)にMG1発電量を増大する。このため、減速中にも関わらずエンジン騒音が大きくなり、ドライバビリティの悪化が懸念される。後述する第5及び第6バッテリ温度制御処理では、MG1発電量の増減と並行して、こうしたエンジン騒音を抑制するためのエンジン制御が行われる。
<第5バッテリ温度制御処理>
<第1エンジン動作点グラフ>
次に、図17を参照し、第5バッテリ温度制御処理に係る、エンジン動作点グラフについて説明する。ここに、図17は、減速時のエンジン騒音を抑制するための、エンジンの動作点を示すエンジン動作点グラフである。
図17に示される二次元グラフは、縦軸に機関トルク、横軸に機関回転速度を表す。図17には、エンジンの通常動作線が実線で表されており、この通常動作線上には、一動作点E1が表されている。典型的に、エンジン騒音は、機関回転速度の上昇に比例して大きくなる。このため、エンジン出力パワーを維持しつつエンジン騒音を抑制するためには、機関回転速度を下げると共に機関トルクを上げる必要がある。具体的には、例えば、点E1にあるエンジン動作点は、点線で表される等エンジンパワー動作線に沿って点E2に移動される。バッテリ12を昇温するべくMG1発電量を増大するためにエンジン出力パワーを高める過程で、このように、機関動作点を制御することでエンジン騒音を抑制する。
続けて、図18を参照し、本実施形態における第5バッテリ温度制御処理の詳細について説明する。ここに、図18は、第5バッテリ温度制御処理のフローチャートである。
図18において、ECU100は、図5における一連のステップS51からS53の処理と同様にして、バッテリ温度Txが所定温度T0より低いか否かを判定し(ステップS51)、バッテリ温度Txが所定温度T0より高いと判定された場合(ステップS51:NO)、再度ステップS51の処理を実行する。一方、ステップS51の判定の結果、バッテリ温度Txが所定温度T0より低いと判定された場合(ステップS51:YES)、バッテリ12について、入出力可能なパワーの限界値までパワーの入出力に余裕があるか否かを判定し(ステップS52)、パワーの入出力に余裕がないと判定された場合(ステップS52:NO)、再度ステップS51の処理を実行する。一方、ステップS52の判定の結果、パワーの入出力に余裕があると判定された場合(ステップS52:YES)、ECU100は、放電に使用されるバッテリ要求パワーPxが大きいほど、基準発電量より小さくなるようにMG1発電量を補正し、充電されるバッテリ要求パワーPxが大きいほど、基準発電量より大きくなるようにMG1発電量を補正する(ステップS53)。
続いて、ECU100は、車速センサ13による車速及びアクセル開度センサ14によるアクセル開度Taに基づいて、エンジン200に要求される出力パワー(以後、「エンジン要求パワー」と称する)を算出する。すると、ECU100は、ハイブリッド車両10が減速中であり、且つエンジン要求パワーに対応する、モータジェネレータMG1に要求される発電量(以後、「MG1要求発電量」と称する)Prxの増加量が、エンジン騒音の過大を判定するための所定量Pr0より大きいか否かを判定する(ステップS91)。この判定の結果、減速中であってもMG1要求発電量Prxの増加量が所定量Pr0より小さいと判定された場合(ステップS91:NO)、一連の第5バッテリ温度制御処理を終了する。
一方、ステップS91の判定の結果、減速中であって且つMG1要求発電量Prxの増加量が所定量Pr0より大きいと判定された場合(ステップS91:YES)、ECU100における騒音制御部100dは、図17のグラフを参照して、等エンジンパワーを維持しつつ機関回転速度が低下するようにエンジン動作点を等エンジンパワー動作線上で変移させる(ステップS92)。これにより、一連の第5バッテリ温度制御処理を終了する。
本実施形態に係る第5バッテリ温度制御処理によれば、減速時にエンジン騒音が過大であると判定された場合、等エンジンパワーを維持しつつ機関回転速度を低下させるようにエンジン200を制御する。これにより、バッテリ12の暖機を比較的短時間で行うべく、MG1発電量を増大するのに伴い発生するエンジン騒音を抑制することが可能である。
尚、上記第5バッテリ温度制御処理において、等エンジンパワーを出力可能な範囲でエンジン騒音を低減するが、等エンジンパワーを維持せずとも、エンジン騒音が車速と同期するようにエンジン騒音を低減してもよい。
<第6バッテリ温度制御処理>
次に、図19を参照し、本実施形態における第6バッテリ温度制御処理の詳細について説明する。ここに、図19は、第6バッテリ温度制御処理のフローチャートである。
図19において、ECU100は、図5及び図18における一連のステップS51からS53の処理と同様にして、バッテリ温度Txが所定温度T0より低いか否かを判定し(ステップS51)、バッテリ温度Txが所定温度T0より高いと判定された場合(ステップS51:NO)、再度ステップS51の処理を実行する。一方、ステップS51の判定の結果、バッテリ温度Txが所定温度T0より低いと判定された場合(ステップS51:YES)、バッテリ12について、入出力可能なパワーの限界値までパワーの入出力に余裕があるか否かを判定し(ステップS52)、パワーの入出力に余裕がないと判定された場合(ステップS52:NO)、再度ステップS51の処理を実行する。一方、ステップS52の判定の結果、パワーの入出力に余裕があると判定された場合(ステップS52:YES)、ECU100は、放電に使用されるバッテリ要求パワーPxが大きいほど、基準発電量より小さくなるようにMG1発電量を補正し、充電されるバッテリ要求パワーPxが大きいほど、基準発電量より大きくなるようにMG1発電量を補正する(ステップS53)。
続いて、ECU100は、車速センサ13による車速及びアクセル開度センサ14によるアクセル開度Taに基づいて、エンジン要求パワーを算出する。すると、ECU100は、ハイブリッド車両10が減速中であり、且つエンジン要求パワーに対応するMG1要求発電量Prxが増加中であるか否かを判定する(ステップS101)。この判定の結果、減速中であってもMG1要求発電量Prxが一定である場合(ステップS101:NO)、一連の第6バッテリ温度制御処理を終了する。
一方、ステップS101の判定の結果、減速中であって且つMG1要求発電量Prxが増加中であると判定された場合(ステップS101:YES)、騒音制御部100dは、エンジン出力パワーの変動に関わらず機関回転速度が低下するように(即ち、機関回転数差ΔNE/経過時間Δt<0となるように)、エンジン動作点を変移させる(ステップS102)。これにより、一連の第6バッテリ温度制御処理を終了する。
ここで、図20を参照し、上述の第6バッテリ温度制御処理において、機関回転速度を低下させた場合の作用効果について説明する。図20は、第6バッテリ温度制御処理における、車速、エンジンパワー及び機関回転速度の各時間的推移を表す二次元グラフである。
図20に示される3つの二次元グラフは、縦軸に上から順番に、車速、エンジンパワー及び機関回転速度、横軸に各グラフに共通する時刻tを表す。横軸には時系列に、時刻t12及びt13が表されている。
図20に示すように、車速が低下する、即ち、減速中に、ステップS53の処理にてMG1発電量を増大させるために、エンジンパワーが一期間(即ち、図20における時刻t12からt13までの間)上昇する。この場合、上記第1バッテリ温度制御処理(即ち、図20において点線で示される)では、上昇するエンジンパワーに比例して機関回転速度が大きくなる。この機関回転速度の増大が、過大なエンジン騒音を発生させる。これに対し、第6バッテリ温度制御処理では、ステップS102の処理にてエンジンパワーの変動に関わらず機関回転速度が徐徐に下げられる。
本実施形態に係る第6バッテリ温度制御処理によれば、減速時にエンジン要求パワー(実際には、MG1要求発電量)が増加する場合、エンジン出力パワーを維持することなく、車速に同期するように機関回転速度を下げる。これにより、バッテリ12の暖機を行うべく、MG1発電量を増大するのに伴い発生するエンジン騒音を確実に抑制することが可能である。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うハイブリッド車両の制御装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
10…ハイブリッド車両、11…PCU、12…バッテリ、100…ECU、200…エンジン、300…動力分割機構、1000…ハイブリッド駆動装置

Claims (4)

  1. 内燃機関と、
    該内燃機関からの動力の入力により発電可能な第1回転電機と、
    車軸に繋がる駆動軸との間で動力の入出力が可能な第2回転電機と、
    前記第1回転電機及び前記第2回転電機との間で電力の入出力が可能な蓄電手段と
    を備えるハイブリッド車両を制御するハイブリッド車両の制御装置であって、
    前記蓄電手段の温度を特定する温度特定手段と、
    前記特定された温度が所定温度より低い場合、前記第2回転電機の動作状態に応じて、前記蓄電手段において入出力される電力の絶対値が上昇するように前記第1回転電機の発電量を補正する発電量補正手段と
    を具備することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  2. 前記動作状態が力行状態及び回生状態のうちのいずれであるかを判定可能な動作状態判定手段
    を更に備え、
    前記発電量補正手段は、前記特定された温度が前記所定温度より低く、且つ前記動作状態判定手段により前記動作状態が前記回生状態であると判定された場合、予め設定される基準発電量より大きくなるように前記第1回転電機の発電量を補正する
    ことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。
  3. 前記蓄電手段の蓄電状態を特定する蓄電状態特定手段
    を更に備え、
    前記発電量補正手段は、前記特定された蓄電状態と、前記蓄電手段に予め設定される目標蓄電状態との差異に応じて、前記第1回転電機の発電量を補正する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のハイブリッド車両の制御装置。
  4. 前記第1回転電機の要求発電量を特定する要求発電量特定手段と、
    前記動作状態が前記回生状態であると判定され且つ前記特定された前記第1回転電機の要求発電量の変化量が所定量より大きい場合、出力パワーを一定としたまま前記内燃機関の機関回転速度が低下するように前記内燃機関を制御する機関制御手段と
    を更に備えることを特徴とする請求項2又は3に記載のハイブリッド車両の制御装置。
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