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JP2011208028A - アロファネート基含有ブロックポリイソシアネート - Google Patents

アロファネート基含有ブロックポリイソシアネート Download PDF

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JP2011208028A JP2010077557A JP2010077557A JP2011208028A JP 2011208028 A JP2011208028 A JP 2011208028A JP 2010077557 A JP2010077557 A JP 2010077557A JP 2010077557 A JP2010077557 A JP 2010077557A JP 2011208028 A JP2011208028 A JP 2011208028A
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Abstract

【課題】低極性溶剤に可溶であり、かつ低温硬化性を有するブロックポリイソシアネートを提供する。
【解決手段】本発明は、脂肪族ジイソシアネートモノマー及びモノアルコールから誘導された、溶剤を含まない状態で下記条件をすべて満足するポリイソシアネートと、ピラゾール系化合物とから得られたブロックポリイソシアネートである:
1)イソシアヌレート3量体濃度:30〜60質量%、
2)イソシアヌレート7量体以上の多量体の濃度:15〜40質量%、
3)アロファネート基/イソシアヌレート基の数比率:2/100〜20/100、
4)モノアルコール成分濃度:1〜5質量%、及び
5)脂肪族ジイソシアネートモノマー濃度:3質量%以下。
【選択図】なし

Description

本発明は、低極性溶剤に可溶であり、かつ低温硬化性を有するブロックポリイソシアネート、およびこれを含む塗料組成物に関する。
ポリイソシアネートを硬化剤とするウレタン系塗料組成物は、その組成物から形成された塗膜の耐薬品性、可とう性などが優れている。特に、脂肪族、脂環族ジイソシアネートから得られるポリイソシアネートを使用した場合、耐候性がより優れているため、常温硬化性の2液ウレタン塗料、熱硬化性の1液ウレタン塗料の形態で、建築、重防、自動車、工業用及びその補修など多岐にわたる分野で使用されている。
一般的に、塗料は作業性を確保するために溶剤を添加して使用される。溶剤の種類は、極性の高いものから低いものまで多岐に渡っている。溶剤の種類、濃度は、用途、硬化条件などにより決定される。一般に、ポリイソシアネートは、低極性溶剤への溶解性が低いため、その溶解性を向上させる技術が提案されている(特許文献1、2)。
1液ウレタン塗料の硬化剤であるブロックポリイソシアネートは、ブロックされていないポリイソシアネートと比較して、低極性溶剤への溶解性が劣る場合が多い。これはイソシアネート基がブロック剤と反応して形成されるウレタン結合などに起因すると考えることができる。従って、ブロックポリイソシアネートの低極性溶剤への溶解性を向上することが望まれている。また、ブロックポリイソシアネートの市場要求として低温硬化性があり、これに対する提案としてピラゾール系化合物をブロック剤とするブロックポリイソシアネートがある(特許文献3)。しかし、このブロックポリイソシアネートを硬化剤とした塗料から形成される塗膜は平滑性が劣る場合が多く、その使用は制限されている。
本発明者らは、ポリオールを原料の1つとするポリイソシアネートのイソシアネート基がピラゾール系化合物でブロックされたブロックポリイソシアネートを提案している(特許文献4)。このブロックポリイソシアネートは、高度な低温硬化性を有するが、低極性溶剤への溶解性の更なる向上が求められている。
特開平2−250872号公報 特開平7−330860号公報 EP0159117号公報 WO2009/075358
本発明の目的は、低極性溶剤に可溶であり、かつ低温硬化性を有するブロックポリイソシアネート、及びこれを含む塗料組成物の提供、並びにこれから形成された塗膜の平滑性の向上を目的としている。
本発明者らは鋭意検討した結果、脂肪族ジイソシアネートモノマー、モノアルコール、及びピラゾール系化合物であるブロック剤を反応して得られるブロックポリイソシアネートが前記課題を達成することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の構成を有する。
[1].脂肪族ジイソシアネートモノマー及びモノアルコールから誘導された、溶剤を含まない状態で下記条件をすべて満足するポリイソシアネートと、ピラゾール系化合物とから得られたブロックポリイソシアネート:
1)イソシアヌレート3量体濃度:30〜60質量%、
2)イソシアヌレート7量体以上の多量体の濃度:15〜40質量%、
3)アロファネート基/イソシアヌレート基の数比率:2/100〜30/100、
4)モノアルコール成分濃度:1〜5質量%、及び
5)脂肪族ジイソシアネートモノマー濃度:3質量%以下。
[2].脂肪族ジイソシアネートがヘキサメチレンジイソシアネートであることを特徴とする上記[1]項のブロックポリイソシアネート。
[3].上記[1]項又は[2]項のブロックポリイソシアネートを含む塗料組成物。
本発明によれば、低極性溶剤に対する高い溶解性を有し、かつ優れた低温硬化性を発揮するブロックポリイソシアネート含有塗料組成物を提供することができる。また、得られた塗膜は、高い硬度と十分な平滑性を有する。
以下、本発明について、詳細に述べる。
本発明に用いることのできる脂肪族ジイソシアネートモノマーとは、その構造の中にベンゼン環を含まないジイソシアネート化合物のモノマーである。脂肪族ジイソシアネートとしては、炭素数4〜30のものが好ましく、例えば、テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート、ペンタメチレン−1,5−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下HDIという)、2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、リジンジイソシアネート等を挙げることが出来る。また、脂肪族ジイソシアネートとして、脂環族のものを用いることもできる。このような脂環族ジイソシアネートとしては、炭素数8〜30のものが好ましく、イソホロンジイソシアネート(以下IPDIという)、1,3−ビス(イソシアネートメチル)−シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどがある。なかでも、耐候性、工業的入手の容易さから、HDIが好ましい。これらの脂肪族ジイソシアネートは、2種以上併用することもできる。
本発明に用いることのできるモノアルコールとは1分子に水酸基を1個有するアルコールである。モノアルコールの炭素数は、好ましくは2〜50であり、より好ましくは4〜10である。モノアルコールの炭素数を2以上とすることによって溶剤への溶解性を向上させることができ、この炭素数を50以下とすることによって、得られる塗膜硬度を高く保つことができる。
具体的なモノアルコールとしては、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、1−ペンタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、2,2−ジメチル−1−プロパノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、4−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノールなどが例示される。
これらの脂肪族ジイソシアネートモノマー及びモノアルコールからポリイソシアネートが誘導される。本発明に用いるポリイソシアネートを製造するための脂肪族ジイソシアネートモノマーとモノアルコールの仕込み質量比率は、好ましくはほぼ100:0.1〜100:2の範囲とすることができる。
脂肪族ジイソシアネートモノマーのイソシアネート基とモノアルコールの水酸基とのウレタン化反応後、後述するイソシアヌレート化反応と同時にアロファネート化反応を行うことができる。場合により、イソシアヌレート化反応時にウレタン化反応、これに続くアロファネート化反応を行うこともできる。生成されたポリイソシアネートは、イソシアヌレート基及びアロファネート基を含む。イソシアヌレート基を有するポリイソシアネートで硬化した塗膜は、耐侯性が良好であり、高い塗膜硬度を達成することができる。
本発明に用いるポリイソシアネートは、イソシアヌレート基とアロファネート基以外に例えば、ビウレット基、尿素基、ウレトジオン基、ウレタン基、オキサジアジントリオン基等を同時に含むことができる。ウレトジオン基を含む脂肪族ジイソシアネートモノマーの2量体濃度は2質量%以下が好ましい。1分子が有するイソシアネート基数が2である脂肪族ジイソシアネートモノマーの2量体濃度を2質量%以下とすることによって、硬化性の低下を防止することができる。
本発明に用いるイソシアヌレート基及びアロファネート基を有するポリイソシアネートの製造は、例えば触媒などによりイソシアヌレート化反応、アロファネート化反応を行い、所定の転化率になった時に反応を停止し、脂肪族ジイソシアネートモノマーを除去することによって行うことができる。
この際に使用するイソシアヌレート化反応触媒としては、例えば一般に塩基性を有するものが好ましく、(1)テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム等のテトラアルキルアンモニウムのハイドロオキサイドや、例えば酢酸、カプリン酸等の有機弱酸塩、(2)トリメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウム、トリエチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリエチルヒドロキシエチルアンモニウム等のヒドロキシアルキルアンモニウムのハイドロオキサイドや、例えば酢酸、カプリン酸等の有機弱酸塩、(3)酢酸、カプロン酸、オクチル酸、ミリスチン酸等のアルキルカルボン酸の例えば錫、亜鉛、鉛等のアルカリ金属塩、(4)ナトリウム、カリウム等の金属アルコラート、(5)ヘキサメチルジシラザン等のアミノシリル基含有化合物、(6)マンニッヒ塩基類、(7)第3級アミン類とエポキシ化合物との併用、(8)トリブチルホスフィン等の燐系化合物等がある。これら触媒の使用量は、原料である脂肪族ジイソシアネート及びモノアルコールの合計質量に対して、10ppm〜1%の範囲から選択することができる。上記反応を終了させるために、例えばリン酸、酸性リン酸エステルなどの酸性物質の添加による中和、熱分解、化学分解による不活性化を行うことができる。
これらイソシアヌレート化反応触媒は、ウレタン基とイソシアネート基とが反応してアロファネート基を形成するアロファネート化反応の触媒にもなり得る。
ポリイソシアネートの収率は、一般的に25〜70質量%である。高い収率で得られるポリイソシアネートは、粘度が高くなる。
イソシアヌレート化反応の反応温度は、好ましくは50〜200℃、より好ましくは50〜150℃である。反応温度を50℃以上とすることによって、反応の進行が速くなり、反応温度を200℃以下とすることによって、製品の着色など好ましくない副反応を抑制することができる。
上記の反応終了後、脂肪族ジイソシアネートモノマーは、薄膜蒸発缶、抽出などにより除去され、ポリイソシアネートは実質的にジイソシアネートモノマーを含まない状態となる。得られたポリイソシアネート中の残留するジイソシアネートモノマーの濃度は、ポリイソシアネート(溶剤を含まない状態)の質量に基づいて3質量%以下、好ましくは1質量%以下であり、更に好ましくは0.5質量%以下である。この濃度の下限は、小さい程良いが、例えば0.01質量以上であってよい。脂肪族ジイソシアネートモノマーの濃度が3質量%以下であることによって、これを使用して得られるブロックポリイソシアネートの硬化性を向上させることができる。
ここでのイソシアヌレート3量体とは、脂肪族ジイソシアネートモノマー3分子から形成されるイソシアヌレート基を有する化合物である。得られたポリイソシアネート中のイソシアヌレート3量体濃度は、ポリイソシアネート(溶剤を含まない状態)の質量に基づいて30〜60質量%であり、好ましくは40〜60質量%、更に好ましくは50〜60質量%である。イソシアヌレート3量体濃度が30質量%以上であることによって、ポリイソシアネートの粘度が適切な範囲に保たれ、これにより得られる塗膜の平滑性が良好となり、一方60質量%以下であることによって、塗膜の硬化性が高く維持される。
ここでのイソシアヌレート7量体とは、脂肪族ジイソシアネートモノマー7分子から形成されるイソシアヌレート基を有する化合物である。この化合物及びこれより高分子量の成分の合計であるイソシアヌレート7量体以上の多量体の濃度は、ポリイソシアネート(溶剤を含まない状態)の質量に基づいて15〜40質量%であり、好ましくは15〜35質量%、更に好ましくは15〜30質量%である。イソシアヌレート7量体以上の多量体の濃度が15質量であることによって、これを使用した塗料の硬化性が高く維持され、一方、40質量%以下であることによって、ポリイソシアネートの粘度が適切な範囲に保たれ、これにより得られる塗膜の平滑性が良好となる。
得られたポリイソシアネート中のアロファネート基とイソシアヌレート基との数比率は2/100〜30/100である。この比率が2/100以上であることによって、低極性溶剤への溶解性が改善され、一方30/100以下であることによって、これを用いた塗膜の硬化性、塗膜硬度の低下が防止される。アロファネート基は、イソシアネート基と水酸基とから形成されるウレタン基に、更にイソシアネート基が反応して形成される。使用されるモノアルコールの好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上がアロファネート化されうる。
得られたポリイソシアネート中のモノアルコール成分濃度は、ポリイソシアネート(溶剤を含まない状態)の質量に基づいて1〜5質量%であり、好ましくは1〜4質量%である。モノアルコール成分濃度が1質量%以上であることによって、低極性溶剤への希釈性を適度なレベルに保つことができ、一方5質量%以下であることによって、得られる塗膜の硬度の低下が抑制される。本発明に使用するモノアルコールは、その水酸基がイソシアネート基と反応し、ウレタン基或いはアロファネート基を形成し、ブロックポリイソシアネート中に存在する。
脂肪族ジイソシアネートモノマー及びモノアルコールから誘導されたポリイソシアネートの粘度は、25℃において、1500〜5000mPa.sの範囲が好ましく、更に好ましくは1600〜3000mPa.sである。ポリイソシアネートの数平均分子量は500〜700が好ましく、更に好ましくは550〜700である。
ポリイソシアネートの統計的平均の1分子が有するイソシアネート基数(イソシアネート基平均数)は、好ましくは3〜5、より好ましくは3〜4である。イソシアネート基平均数が3以上であることによって、架橋性が良好に保たれ、一方5以下であることによって、溶剤への溶解性の低下が抑制される。ポリイソシアネート中のイソシアネート基濃度は好ましくは10〜25質量%、より好ましくは15〜24質量%、更に好ましくは20〜23質量%である。
ポリイソシアネートをブロックするためのピラゾール系化合物は、特に限定されないが、代表的には、下記式で示される化合物である。
Figure 2011208028

(R及びRは、各々独立に、水素または炭素数1〜6のアルキル基である。)
アルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピルなどが挙げられる。具体的なピラゾール系化合物としては、ピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール、3−メチルピラゾールなどが挙げられ、3,5−ジメチルピラゾールが好ましい。
ポリイソシアネートとピラゾール系化合物との反応は、溶剤の有無に関わらず行うことができる。溶剤を用いる場合、イソシアネート基に対して不活性な溶剤を用いる必要がある。その溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤などが挙げられる。ポリイソシアネートとピラゾール系化合物との反応後、アルコールを溶剤として添加することもできる。このアルコールとしては、ブタノール、2−エチルヘキサノール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルなどが挙げられる。
ポリイソシアネートとピラゾール系化合物との反応では、必要に応じて、錫、亜鉛、鉛等の有機金属塩、3級アミン系化合物、ナトリウムなどのアルカリ金属のアルコラート等を触媒として用いてもよい。この反応は、一般に−20〜150℃の温度で行うことが出来るが、好ましくい反応温度は30〜100℃である。150℃以下の反応温度により副反応を抑制することができ、他方−20℃以上の反応温度により反応速度を高めることができる。
ブロックポリイソシアネートの前駆体であるポリイソシアネートに高分子量体が含まれる場合、得られるブロックポリイソシアネートの低極性溶剤への溶解性は、一般に低下する傾向がある。ここでいう高分子量体とは、イソシアヌレート基含有ポリイソシアネートであれば、脂肪族ジイソシアネートモノマー7分子から構成される7量体及びこれ以上の多量体成分を意味する。一方、高分子量体の存在は、硬化性の向上に効果がある。本発明者は、驚くべきことに、ブロック剤としてピラゾール系化合物を使用し、このような高分子量体を所定量有するポリイソシアネートを前駆体とするブロックポリイソシアネートは、低極性溶剤への溶解性が良好であることを見い出し、更にイソシアネート基とモノアルコールの水酸基が形成するアロファネート基をある程度含むことにより、硬度が高くかつ十分な平滑性を有する塗膜が得られることを見い出した。従来の常識からは、モノアルコールに由来するアロファネート基の存在により塗膜硬度の低下が予想されるため、このような発見は、意外なことであった。
得られたブロックポリイソシアネートは、典型的には、イソシアネート基と反応性を有する活性水素を分子内に2個以上有する化合物と混合され、塗料組成物となる。ブロックポリイソシアネートは、この活性水素含有化合物の活性水素と反応して架橋塗膜を形成する。前記の活性水素を2個以上有する化合物とは、例えばポリオール、ポリアミン、ポリチオールなどが挙げられ、多くの場合、ポリオールが使用される。このポリオールの例としては、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、フッ素ポリオール、エポキシポリオールなどが挙げられる。好ましいポリオールは、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、フッ素ポリオールである。これらポリオールの水酸基価は、好ましくは30〜200mgKOH/gであり、酸価は、好ましくは0〜30mgKOH/gであってよい。塗料組成物におけるブロックポリイソシアネートのイソシアネート基/ポリオールの水酸基の当量比は、好ましくは0.3〜1.5であり、この比は必要物性に応じて、適宜選択される。
塗料組成物には、必要に応じて、完全アルキル型、メチロール基型アルキル、イミノ基型アルキル等のメラミン系硬化剤を添加することができる。また、塗料組成物には、用途、目的に応じて各種溶剤、添加剤を用いることができる。溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸セロソルブなどのエステル類、ブタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類などの群から、目的及び用途に応じて適宜選択して使用することができる。これらの溶剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、塗料組成物には、必要に応じて、酸化防止剤、例えばヒンダードフェノール等;紫外線吸収剤、例えばベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン等;顔料、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、インジゴ、キナクリドン、パールマイカ等;金属粉顔料、例えばアルミ等;レオロジーコントロール剤、例えばヒドロキシエチルセルロース、尿素化合物、マイクロゲル等;硬化促進剤、例えば、錫化合物、亜鉛化合物、アミン化合物等を添加してもよい。
この様に調製された塗料組成物は、ディップ塗装、ロール塗装、カーテンフロー塗装、スプレー塗装、静電塗装、ベル塗装、電着塗装などにより、鋼板、表面処理鋼板などの金属、プラスチック、繊維などの有機・無機高分子、無機材料などの素材に、プライマーまたは上中塗りとして、あるいは、防錆鋼板を含むプレコートメタル、自動車塗装などに、美粧性、耐候性、耐酸性、防錆性、耐チッピング性などを付与するために有用である。また、この塗料組成物は、接着剤、粘着剤、エラストマー、フォーム、表面処理剤などのウレタン原料としても有用である。
本発明について、以下具体的な実施例に基づいて説明する。
まず、各種物性の測定・評価方法について説明する。
・数平均分子量の測定
数平均分子量は、下記の装置を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフ(以下GPCという)により測定した。分子量の検量は、ポリスチレンで行った。
装置:東ソー(株)HLC−802A
カラム:東ソー(株)G1000HXL×1本
G2000HXL×1本
G3000HXL×1本
キャリアー:テトラハイドロフラン
検出方法:示差屈折計
・イソシアヌレート3量体濃度
前記GPC測定で得られるイソシアヌレート3量体相当の分子量のピーク面積%を、その濃度として表した。
・イソシアヌレート7量体以上の多量体濃度
前記GPC測定で得られるイソシアヌレート7量体相当の分子量ピーク、及びより高分子量のピークの面積%を合計し、その濃度として表した。
・脂肪族ジイソシアネートモノマー濃度
前記GPC測定で得られる脂肪族ジイソシアネートモノマー相当の分子量ピークの面積%を、その濃度として表した。
・モノアルコール濃度
原料として使用したアルコールの質量を、得られたポリイソシアネートの質量で除して求めた。
・アロファネート基とイソシアヌレート基の数比率
Bruker社製FT−NMR DPX−400を用いて、重クロロフォルムCDCl3を溶媒に、サンプル濃度5質量%、400MHz、積算回数256回で、プロトン核磁気共鳴スペクトルを測定し、アロファネート基とイソシアヌレート基の積算値から、これらの基の数比率を求めた。
・粘度測定
東機産業株式会社E型粘度計RE−85Rを用いて、25℃で測定した。
・低極性溶剤希釈性
トルエンで希釈されたブロックポリイソシアネート70質量%溶液とn−ヘキサンを1.0:0.15(質量比)で混合し、23℃で外観観察を行った。均一透明状態を○、2相分離状態を×で表した。
・塗膜硬度
アクリルポリオール(Nuplex社の商品名Setalux1767、樹脂分の水酸基価150mgKOH)と、ブロックポリイソシアネートのイソシアネート基との当量比を1.0として、酢酸ブチルで樹脂分濃度が50質量%になるように希釈した。この組成物を、樹脂膜厚が40μmになるようにガラス板にアプリケーター塗装した。15分間の室温セッティング後、140℃のオーブン内に30分間保持した。この硬化塗膜の硬度を、ケーニッヒ硬度計(BYK Gardner社のPendulum hardness tester)を用いて、測定温度20℃、塗膜膜厚40μmで測定した。ケーニッヒ硬度が80未満の場合は×、80以上の場合は○で表した。
・塗膜外観
上記のように得られた硬化塗膜を肉眼観察し、塗膜表面にしわが観察される状態を×、しわが観察されない状態を○として表した。
[製造例1:ポリイソシアネートの製造]
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、HDI600質量部、2−エチルヘキサノール3.6質量部を仕込み、撹拌下で反応器内温度を80℃、2時間保持した。その後、イソシアヌレート化反応触媒であるテトラメチルアンモニウムカプリエートを加え、収率が30%になった時点で燐酸を添加し反応を停止した。反応液をろ過した後、薄膜蒸発缶を用いて未反応のHDIを除去した。得られたポリイソシアネートの25℃における粘度は1950mPa・s、イソシアネート基含有量は21.8質量%、数平均分子量は630、イソシアネート基平均数は3.3、ポリイソシアネート中の2−エチルヘキサノールの濃度は2.0質量%であった。その他の結果も含め、表1に示した。
[製造例2、3、比較製造例1、2:ポリイソシアネートの製造]
表1に記載した以外は製造例1と同様に、ポリイソシアネートの製造を実施した。結果を表1に示す。
[比較製造例3:ポリイソシアネートの製造]
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、HDI600質量部を仕込み、撹拌下で反応器内温度を80℃に保持した。イソシアヌレート化触媒テトラメチルアンモニウムカプリエートを加え、収率が40%になった時点で燐酸を添加し反応を停止した。反応液をろ過した後、薄膜蒸発缶を用いて未反応のHDIを除去した。得られたポリイソシアネートの25℃における粘度は2700mPa・s、イソシアネート含有量は22.1%、数平均分子量は660、イソシアネート基平均数は3.5であった。その他の結果も含め、表1に示す。
Figure 2011208028
[実施例1]
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、製造例1で得られたポリイソシアネート500質量部、トルエン308質量部を仕込み混合した。更に、3,5−ジメチルピラゾール262質量部(イソシアネート基/3,5−ジメチルピラゾール=1.05(当量比))を添加し、混合した。次いで、この混合液の温度を60℃に昇温した。この混合液をサンプリングし、赤外スペクトル測定により、イソシアネート基の特性吸収がなくなるまで保持した。固形分70質量%、有効イソシアネート基濃度14.6質量%(ブロックポリイソシアネート基準)のブロックポリイソシアネートが得られた。このブロックポリイソシアネートの低極性溶剤希釈性及び塗膜特性を評価した。結果を表2に示す。
[実施例2〜3、比較例1〜5]
表1に示す以外は実施例1と同様に、ブロックポリイソシアネートの製造及び各種物性の測定・評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 2011208028
[実施例4]
(塗料作成と塗膜性能)
アクリルポリオール(NUPLEX社の商品名Setalux1767、水酸基濃度4.5%(樹脂基準)、樹脂固形分75質量%)100質量部と、実施例1で得られたブロックポリイソシアネート80.5質量部(イソシアネート基/水酸基=1.0(当量比))、ジブチル錫ジラウレート0.7質量部(対樹脂濃度0.5質量%)、酢酸ブチル98質量部を混合し、固形分50質量%の塗料を調製した。この塗料を、PP板に樹脂膜厚40μmになるようにアプリケーター塗装した。室温で10分セッテングした後、所定温度で塗膜を硬化し、物性(塗膜硬度及び外観)を評価した。評価結果を表3に示す。
[実施例5、6、比較例6〜10]
表3に記載した以外は実施例4と同様に、塗料・塗膜の作成及び物性評価を実施した。結果を表3に示す。
Figure 2011208028
本発明のブロックポリイソシアネート及びこれを含む塗料組成物は、低極性溶剤に可溶でありかつ低温硬化性を有するため、塗料として幅広い分野で好適に利用できる。

Claims (3)

  1. 脂肪族ジイソシアネートモノマー及びモノアルコールから誘導された、溶剤を含まない状態で下記条件をすべて満足するポリイソシアネートと、ピラゾール系化合物とから得られたブロックポリイソシアネート:
    1)イソシアヌレート3量体濃度:30〜60質量%、
    2)イソシアヌレート7量体以上の多量体の濃度:15〜40質量%、
    3)アロファネート基/イソシアヌレート基の数比率:2/100〜20/100、
    4)モノアルコール成分濃度:1〜5質量%、及び
    5)脂肪族ジイソシアネートモノマー濃度:3質量%以下。
  2. 脂肪族ジイソシアネートがヘキサメチレンジイソシアネートであることを特徴とする請求項1に記載のブロックポリイソシアネート。
  3. 請求項1または2に記載のブロックポリイソシアネートを含む塗料組成物。
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