JP2011202561A - 内燃機関のバルブタイミング制御装置及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 カムシャフト3が挿入されて固定されるカムシャフト挿通孔601が設けられたロータ60と、進角作動室又は遅角作動室の少なくとも一方(遅角室R)に面するロータ60の外周面600に、内周側に窪むようにそれぞれ設けられた複数の凹部(軸方向溝617〜647)と、カムシャフト挿通孔601の内周面に設けられ、複数の凹部同士を連結する連通溝(環状溝505)と、を備えた。
【選択図】 図3
Description
実施例1の内燃機関のバルブタイミング制御装置1(以下、装置1という。)は、自動車の内燃機関(以下、機関という。)の吸気側に適用される。なお、本発明を機関の排気側の装置に適用してもよい。
まず、装置1の構成を、図1〜図4に基づき説明する。説明のため、装置1の回転軸Oが延びる方向にX軸を設け、カムシャフト3の側を負方向とする。図1は装置1を構成する各部材を分解して同軸上に並べ、斜めから見た図である。図2は、装置1の回転軸Oを通る部分断面を示す。図3及び図4は、フロントプレート8等を取り外した状態の装置1(ハウジング本体10にベーン部材6を組み付けたもの)をX軸正方向側から見た正面図である。図2は、図3のA−A視断面に略相当する。図2〜図4において、ベーン部材6に形成された溝を破線で示す。
カムボルト31は六角ボルトであり、正六角柱状の頭部310と、外周に雄ねじが形成された軸部311とを有している。頭部310には、座面の保護等のためのワッシャ(平座金)312が一体に形成されている。なお、カムボルトは1本に限らず、頭部310に座金を設けなくてもよく、また六角ボルトに限らず適当なものを採用可能である。さらにボルトのほかに適当な締結固定手段を採用してもよい。
端部30の内部には、カムボルト31(軸部311)が挿通される1つのボルト孔32、及び後述する遅角通路50及び進角通路51の一部として軸方向通路502,512等が形成されている。
ボルト孔32は、回転軸O上に、端部30のX軸正方向側の端面300から所定のX軸方向深さまで形成されており、大径部320と小径部321を有している。大径部320は端面から所定のX軸方向深さまで設けられており、大径部320の直径は、カムボルト31の軸部311よりも若干大きい。小径部321は、大径部320に対して段差を有してX軸負方向に所定の深さまで設けられており、小径部321の直径は、カムボルト31の軸部311と略同じである。小径部321の内周には、カムボルト31の雄ねじに対応する雌ねじが形成されている。
端部30のX軸正方向側の端面300には、ベーン部材6との位置決め用の凸部が設けられている。この凸部は、例えば端面300に設けられた凹部にピンを挿入設置することで設けることが可能である。
ハウジングHSGは、カムシャフト3の端部30に配置されている。ハウジングHSGには、スプロケット2が設けられており、スプロケット2を介してクランクシャフトからの回転力が伝達される。ベーン部材6は、カムボルト31によって端部30にX軸方向から固定されており、ハウジングHSGの内部に、ハウジングHSGに対して相対回動自在に収容されている。複数の作動室は、ハウジングHSGの内周に設けられたシュー11〜14とベーン部材6のベーン61〜64とによって区画された遅角室(遅角作動室)R1〜R4及び進角室(進角作動室)A1〜A4とを有している。位相変更機構4は、油圧給排機構5から作動油の供給を受け、又は油圧給排機構5へ作動油を排出することで、ハウジングHSG(クランクシャフト)に対するベーン部材6(カムシャフト3)の回転位相を変更する。油圧給排機構5は油圧回路を有しており、油圧回路から作動室に供給される作動油の圧力がベーン61〜64に作用することで、ベーン部材6がハウジングHSGに対して回転し、クランクシャフトに対するカムシャフト3の回転位相が変更される。油圧給排機構5による作動油の給排は、制御手段としてのコントローラCUにより制御される。
ハウジング本体10の内周には、内側に向かって突出する複数の(本実施例1では4つの)シュー11〜14が、ハウジング本体10と一体に成形されている。シュー11〜14は、ハウジングHSGにおける作動室を画成する内壁(隔壁部)である。具体的には、回転軸Oの周りの方向(以下、周方向という。)で略等間隔位置に、第1〜第4シュー11〜14が、ハウジング本体10の内周面から内径方向(回転軸Oに向かう方向)に向かって突設されている。図3に示すように、第1、第2、第3、第4シュー11,12,13,14は、X軸正方向側から見て、この順番で時計回り方向に並んでいる。各シュー11〜14はX軸方向に延びて形成されており、X軸に対して直角方向での断面は、内径方向に向かって幅が狭くなる略台形状に設けられている。各シュー11〜14の外径側(回転軸Oから離れる方向)の内部には、それぞれ孔110〜140がX軸方向に貫通形成されている。孔110〜140は、ボルトbが挿通するボルト孔である。各シュー11〜14のX軸正方向側の端面にはフロントプレート8が固定設置され、X軸負方向側の端面にはリアプレート9が固定設置される。
第3シュー13と第4シュー14の間の隙間、及び第4シュー14と第1シュー11の間の隙間の周方向幅は、略同じ大きさに設けられ、第2シュー12と第3シュー13の間の隙間は、これよりも僅かに大きく設けられている。第1シュー11と第2シュー12の間の隙間は、後述する幅広の第1ベーン61が収容されるため、その周方向幅が、他のシュー間の上記隙間よりも若干大きく設けられている。ボルト孔110〜140の中心を通る周方向における各シューの幅は、第3シュー13と第4シュー14が略同じ大きさに設けられ、第2シュー12はこれよりも僅かに大きく設けられている。第1シュー11の上記幅は、他の第2〜第4シュー12〜14よりも大きく(幅広に)設けられている。
X軸正方向側から見て、第1シュー11の時計回り方向側及び反時計回り方向側には、(ハウジング内径側の)先端部分にそれぞれ切り欠き部111,112が設けられている。第1シュー11の時計回り方向側には平面部113が形成され、第2シュー12の時計回り方向側及び反時計回り方向側には、それぞれ平面部123,124が形成されている。平面部113,123,124は、X軸方向から見て、ハウジング本体10の径方向(回転軸Oを通る直線)と略一致した直線状である。
第1シュー11の時計回り方向側には、(ハウジング外径側の)根元部分に肉盛り部114が設けられている。肉盛り部114と切り欠き部111との間に、上記平面部113が形成されている。ハウジング内周に面する肉盛り部114の側面は、X軸方向から見て、第1シュー11がハウジング本体10の内周面に沿って立ち上がり始める位置から(ハウジング本体10の内周面に対して)所定の角度を持って内径側に延び広がるように形成され、上記平面部113に連続する平らな斜面状である。
第3、第4シュー13,14の時計回り方向側及び反時計回り方向側には、先端部分にそれぞれ切り欠き部131,132,141,142が設けられている。なお、第2シュー12の先端部分には切り欠き部が設けられておらず、これにより、先端部分の周方向幅が他のシュー11,13,14よりも広く設けられている。第2シュー12の先端部分の、回転軸Oに対向する面は、X軸方向から見て、後述するベーン部材6の外周面600に沿って外径方向に向かって窪んだ円弧状に形成されている。
各シュー11〜14のハウジング外径側の底部には、それぞれ切り欠き部115〜145が設けられている。換言すると、ハウジング本体10の外周面において各シュー11〜14に対応する位置は、内径側に窪んだ凹形状に形成されている。X軸方向から見て、各シュー11〜14の本体部分とハウジング本体10の(各シュー11〜14が設けられていない)外周部分とを接続する部位の径方向肉厚は、ハウジング本体10の上記外周部分の径方向肉厚と略同じに設けられている。
各シュー11〜14においては、上記ハウジング外径側の切り欠き部115〜145及び先端側の切り欠き部111,131,141,112,132,142により、ボルト孔110〜140を取り囲む部分以外の肉厚が、可能な限り削減されている。ただし、X軸正方向側から見て、第1シュー11におけるボルト孔110の時計回り方向側、並びに第2シュー12における先端部分の時計回り方向側及び反時計回り方向側は、肉厚が他の部分よりも多く確保されている。
X軸正方向側から見て、第1シュー11の切り欠き部115における時計回り方向側には、上記肉盛り部114とボルト孔110とに挟まれて、凹部116が設けられている。凹部116は位置決め用の凹溝であり、X軸方向から見て、内径側に向かって半円状に窪んだ形状に設けられており、第1シュー11のX軸方向全範囲にわたって形成されている。切り欠き部115における凹部116の開口の周方向両側は、内径側に窪んだ凹形状に形成されており、切り欠き部115における他の部位に対して段差部を構成している。肉盛り部114は、第1シュー11に位置決め用凹部116を設けるだけの肉厚を確保することを可能にすると共に、後述する第1ベーン61が第1シュー11に当接しても強度の点で問題ないように、第1シュー11の根元部分における周方向での剛性を高めている。
第1〜第4シュー11〜14の先端部分には、それぞれシール溝117〜147が設けられている。シール溝117〜147は、X軸方向から見て外径側に向かって略矩形状に窪んだ形状に形成されており、シュー11〜14のX軸方向全範囲にわたって設けられている。第1、第3、第4シュー11,13,14のシール溝117,137,147は各先端部分の周方向略中央に設けられ、第2シュー12のシール溝127は先端部分の時計回り方向寄りに設けられている。シール溝117〜147の内部には、周方向から見て略コ字状のシール部材118〜148と、このシール部材118〜148をロータ60の外周面600へ向けて押圧するシールスプリング(板バネ119〜149)がそれぞれ嵌合保持されている。シール部材118〜148の面はロータ60の(X軸方向全範囲における)外周面600に当接しており、ロータ60がハウジングHSGに対して回転する際、ロータ60の外周面600に摺接する。切り欠き部111,131,141,112,132,142は、シール溝117〜147が設けられた各先端部分の強度を確保しつつ、可能な限り肉厚を削減できる形状に設けられている。
フロントプレート8の直径は、ハウジング本体10の外周の最大径と略同じ大きさに設けられている。フロントプレート8の内径側の略中央には、孔80がX軸方向に貫通形成されている。孔80は、(カムシャフト3への装置1の組み付け時に)カムボルト31が挿通する挿通孔であり、その直径がワッシャ312よりも僅かに大きい大径孔である。フロントプレート8の外径側には、周方向で略等間隔に、4つの孔81〜84がX軸方向に貫通形成されている。孔81〜84は、ボルトb1〜b4がそれぞれ挿通するボルト孔であり、ハウジング本体10の各シュー11〜14のボルト孔110〜140とX軸方向で対向するそれぞれの箇所に設けられている。フロントプレート8は、ボルトb1〜b4に対する(ボルト頭部が着座する面の)強度を確保できる程度に、X軸方向にできるだけ薄く形成されており、そのX軸方向厚さは、ハウジング本体10のX軸方向寸法の15%程である。
スプロケット2は、リアプレート9のX軸負方向側において、プレート本体9aの外周にプレート本体9aと一体に設けられている。スプロケット2は、X軸方向に延在する凸部(歯)を周方向略等間隔に複数有する歯車であり、チェーンが巻回され、チェーンを介してクランクシャフトにより回転駆動されて、リアプレート9と共に図3の時計回り方向に回転する。なお、スプロケット2は必ずしもリアプレートと一体に設けなくてもよい。また、スプロケットとチェーンに限らず、プーリとベルトにより動力を伝達するようにしてもよい。例えば、ハウジング本体の外周にプーリを設け、ベルトを巻回してもよい。本実施例1のようにチェーンとスプロケットを用いた場合、装置の軸方向小型化が容易である等の利点を有する。
プレート本体9aの直径は、ハウジング本体10の直径と略同じ大きさに設けられている。プレート本体9aのX軸方向厚さは、スプロケット2のX軸方向幅よりも薄く、フロントプレート8よりも若干厚く設けられている。
リアプレート9のX軸負方向側は、プレート本体9aの直径よりも僅かに大きい円筒状に、スプロケット2のX軸方向幅の半分弱ほどのX軸方向深さで肉抜きされている。
プレート本体9aの内径側の略中央には、孔90が、回転軸Oと略同軸に、リアプレート9をX軸方向(回転軸方向)に貫通して形成されている。孔90は、カムシャフト端部30が挿通される挿通孔であり、カムシャフト3に対してハウジングHSGを回転自在に支持する支持孔でもある。挿通孔90の直径は、フロントプレート8の大径孔80と略同じである。
プレート本体9aの外径側には、周方向で略等間隔に、4つの雌ねじ部91〜94が設けられている。雌ねじ部91〜94は、プレート本体9aをX軸方向に貫通して形成されたボルト孔をそれぞれ有しており、これらのボルト孔の内周に雌ねじが形成されている。この雌ねじに、ボルトb1〜b4のX軸負方向側先端部の雄ねじがそれぞれ螺着する。雌ねじ部(ボルト孔)91〜94は、ハウジング本体10の各シュー11〜14のボルト孔110〜140(及びフロントプレート8のボルト孔81〜84)とそれぞれX軸方向で対向する箇所に設けられている。プレート本体9aのX軸負方向側の面において、各ボルト孔の周囲は盛り上がって設けられており、これにより雌ねじ部91〜94のX軸方向厚さは、プレート本体9aの他の部位よりも厚くなっている。
X軸正方向側から見て、プレート本体9aには、(第1シュー11のボルト孔110と対向する)雌ねじ部91に時計回り方向で隣接して、孔95が、プレート本体9aをX軸方向に貫通して形成されている。孔95は、後述する係合凹部730を構成するための嵌合孔であって、X軸正方向側から見て、第1シュー11と第2シュー12により挟まれた油室において進角室A1側に偏った(第1シュー11の時計回り方向側に隣接した)位置に設けられている。
プレート本体9aには、孔95と雌ねじ部91の間であってこれらよりも若干外径側に、孔96が、プレート本体9aをX軸方向に貫通して形成されている。孔96は、ハウジング本体10との位置決め用の凹部であって、プレート径方向において、ハウジング本体10の位置決め用凹部116に対応する位置に形成されている。孔96は、X軸方向から見て、長円状であり、径方向に延びて周方向で互いに対向する2つの直線部と、半円弧状に形成されて径方向で互いに対向する2つの曲線部とを有している。孔96の内径側の(2つの直線部を含む)約2/3の部分は、位置決め用凹部116と略一致する形状に設けられている。孔96は、X軸正方向側から見て、嵌合孔95の反時計回り方向側に近接配置されている。孔96のリアプレート9における周方向位置は、孔96を位置決め用凹部116と略一致させたとき(辺々重ね合わせたとき)、第1シュー11のボルト孔110とリアプレート9の雌ねじ部91とが略同軸上に位置し、かつ、後述する第1ベーン61(平面部614)が第1シュー11(平面部113)に当接した状態(図3参照)で、第1ベーン61の後述する摺動用孔70とリアプレート9の嵌合孔95とが略同軸上に位置するように設けられている。
ロータ60における孔601のX軸正方向側の底部には、孔602が、回転軸O上に貫通形成されている。孔602は、X軸正方向側からカムボルト31の軸部311が挿通されるボルト孔である。孔602の直径は軸部311よりも若干大きい。ロータ60における孔601のX軸正方向側の底部には、孔602に連続して、孔603がX軸方向に貫通形成されている。孔603は、カムシャフト端面300に設けられた凸部と嵌合し、カムシャフト3に対するベーン部材6の周方向位置決めに用いられる位置決め孔であり、孔602から外径方向に延びて形成されている。孔603は、X軸方向から見て、半長円状であり、径方向に延びて周方向で互いに対向する2つの直線部と、半円弧状に形成された1つの曲線部とを有している。上記凸部は、X軸負方向側から孔603に挿通され、嵌合する。孔603の周方向寸法(上記直線部間の距離)は、上記凸部の周方向寸法よりも僅かに大きく設けられ、上記凸部が孔603に嵌合された状態で、ベーン部材6とカムシャフト3の周方向のガタが発生しない寸法に設定されている。
ロータ60のX軸正方向側の面には、ボルト孔602を囲んでロータ60と略同軸に、浅い有底円筒状の円形溝604が設けられている。換言すると、円形溝604の底面に、ボルト孔602が開口している。円形溝604の直径は、フロントプレート8の大径孔80と略同じであり、ワッシャ312よりも僅かに大きい。円形溝604のX軸方向深さは、ワッシャ312の略半分である。
ロータ60は、各シュー11〜14の先端部に嵌着されたシール部材118〜148に摺動しつつ、ハウジングHSGに対して回転可能に支持される。
各ベーン61〜64のX軸に対して直角方向の断面は、外径方向に向かうにつれて周方向幅が広くなる略台形状に形成されている。各ベーン61〜64のX軸方向長さはロータ60のX軸方向長さと略同じである。周方向における第2〜第4ベーン62〜64の幅は、略同じである。第1ベーン61の周方向幅は第2〜第4ベーン62〜64よりも広く、最大幅となっており、後述するロック機構7を収容可能としている。各ベーン61〜64の間隔は、ベーン部材6の重心を回転軸O上に近づけるように調整されている。ベーン部材6がハウジングHSG内に設置された状態で、各ベーン61〜64のX軸正方向側の面は、フロントプレート8のX軸負方向側の面に対して極僅かな隙間を介して対向している。各ベーン61〜64のX軸負方向側の面は、リアプレート9(プレート本体9a)のX軸正方向側の面に対して極僅かな隙間を介して対向している。第1ベーン61は第1シュー11と第2シュー12の間、第2ベーン62は第2シュー12と第3シュー13の間、第3ベーン63は第3シュー13と第4シューの間、第4ベーン64は第4シュー14と第1シュー11の間の隙間に、それぞれ配置される。
なお、作動油が給排される作動室として、進角室と遅角室のどちらか一方のみを有する構成としてもよい。また、進角室と遅角室の数は、それぞれ4に限定されない。換言すると、シューやベーンの数は、それぞれ4に限らず他の数であってもよい。また、作動室を形成するために、ハウジング本体に内周に内側に向かって突出するシューを、必ずしも設けなくてもよい。すなわち(突出するシューが設けられていない)ハウジング本体の内周面とベーンロータの外周面との間で作動室を画成してもよい。
第1ベーン61の内部には、孔70がX軸方向に貫通形成されている。孔70は、ロックピストン71を摺動自在に収容する摺動用孔であり、中空円筒状のシリンダであって、小径部701と大径部702からなる。小径部701の内周面の径は、大径部702の内周面の径よりも小さく設けられている。
ベーンロータ6のX軸正方向側の面には径方向溝605が設けられている。径方向溝605は、円形溝604と摺動用孔70のX軸正方向端(大径部702)とを接続し、これらを連通可能とする矩形状の切り欠き溝であり、円形溝604から第1ベーン61の根元部分を外径方向に延びて大径部702に連続するように形成されている。径方向溝605のX軸方向深さは、円形溝604よりも深く、ベーン部材6のX軸方向寸法の略10%である。
第1〜第4ベーン61〜64の外径側の先端部には、溝611〜641がX軸方向に沿ってそれぞれ形成されている。溝611〜641の内部には、ハウジング本体10の内周面に液密に摺接するシール部材612〜642と、シール部材612〜642を上記内周面に向けて押圧するシールスプリング(板バネ613〜643)とがそれぞれ嵌着保持されている。
X軸正方向側から見て、第1ベーン61の反時計回り方向側には、平面部614が形成されている。平面部614は、X軸方向から見て、ロータ60の回転軸Oを通る径方向直線と略一致した直線状である。第1ベーン61の反時計回り方向側の外径側には、平面部614に連続して、周方向で第1シュー11の肉盛り部114に対向する位置に、切り欠き部615が設けられている。切り欠き部615は、X軸方向から見て、外側に凸の略円弧状であり、孔70を取り囲むように、孔70に沿って略90度強の角度範囲にわたり設けられている。切り欠き部615は、第1ベーン61の先端部分と肉盛り部114との干渉を抑制して平面部614と第1シュー11の平面部113とが面同士で接触することを可能にすると共に(図3参照)、第1ベーン61の重量を少なくすることに役立っている。なお、肉盛り部114の形状を、平面状ではなく、例えばX軸方向から見て切り欠き部615の円弧状外側面と略同一の曲率を持った、内側に凸の円弧状の曲面に形成することとしてもよい。
X軸方向から見た第1ベーン61の形状は、摺動用孔70を取り囲む2つの径方向直線部分(平面部614等)とこれらを接続する略半円部分(切り欠き部615)に溝611を有する瘤状部分がくっついた形である。X軸方向から見て、摺動用孔70を取り囲む第1ベーン61の肉厚、及び溝611を取り囲む部位(上記瘤状部分)の肉厚は、必要最小限の大きさに設けられている。
X軸正方向側から見て、第1ベーン61の時計回り方向側には、内径側の根元部分から所定の周方向範囲にわたり、ロータ60の外周に沿って時計回り方向に延びる略矩形状の凸部616が設けられている。換言すると、凸部616は、ロータ60の外周面600から外径方向に所定量だけ突出し、第1ベーン61の根元部分に連続している。X軸正方向側から見て、凸部616の時計回り方向側の面は、回転軸Oを通る径方向直線と略一致した直線状であり、周方向で第2シュー12の平面部124と対向している。
ロータ60の外周には、溝617,627,637,647が設けられている。溝617〜647は、X軸正方向側から見て、それぞれ各ベーン61〜64の時計回り方向側の根元に隣接して、X軸方向全範囲にわたって延びて形成された軸方向溝であり、ロータ60の外周面600から回転中心Oに向かって窪んだ(内側に凸の)略半円弧状の凹部である。具体的には、第2〜第4ベーン62〜64の時計回り方向側の根元に隣接して(時計回り方向側の面に連続して)、それぞれ軸方向溝627,637,647が所定深さまで設けられている。第1ベーン61については、凸部616の時計回り方向側の根元に隣接して(凸部616の時計回り方向側の面に連続して)、軸方向溝617が同様の深さまで設けられている。各軸方向溝617〜647のロータ外周面600への開口部の周方向幅は、第2〜第4ベーン62〜64の根元部分の周方向幅と略等しく、各軸方向溝617〜647の深さ(最大値)の略2倍である。
一方、ロータ60の内周には、カムシャフト挿通孔601に、溝505が設けられている。溝505は、カムシャフト挿通孔601におけるX軸正方向側(ロータ60のX軸方向略中間位置)の内周面に周方向全範囲にわたって形成された環状溝であり、ベーン部材6がカムシャフト3に設置された状態(端部30がカムシャフト挿通孔601に挿入された状態)で、端部30の後述する環状溝504と径方向で対向する位置に設けられている。溝505は、上記内周面から外径方向に所定深さまで、具体的にはロータ外周面600に形成された軸方向溝617〜647と部分的に重なる深さまで、形成されている。
ロータ60の外周には、軸方向溝617〜647の底部に、それぞれ孔506,507,508,509が開口している。孔506〜509は、環状溝505と軸方向溝617〜647とが交差することで略矩形状に開口し、カムシャフト挿通孔601の内周面とロータ60の外周面600とを連通する連通孔である。孔506〜509は、環状溝505と同様、カムシャフト挿通孔601のX軸正方向側(ロータ60の軸方向略中間位置)に設けられている。孔506〜509は、軸方向溝617〜647と同様、X軸正方向側から見て、各ベーン61〜64の時計回り方向側の根元に隣接して設けられ、この部位でロータ60の外周に開口してそれぞれ各遅角室R1〜R4に連通する遅角側油孔である。
ロータ60のX軸負方向端面には、溝515,516,517,518が設けられている。溝515〜518は、ベーン部材6のX軸負方向側の面においてX軸方向所定深さまで形成され、カムシャフト挿通孔601のX軸負方向側から外径方向に延びるように設けられた径方向溝であり、カムシャフト挿通孔601とロータ外周面600とを連通する連通溝である。溝515〜518は、ベーン部材6を型成形する際に同時に形成されるため、型抜きを容易にするための抜きテーパが設けられており、X軸正方向側に向かうにつれてロータ周方向での幅が大きくなる。溝515〜518は、ベーン部材6がカムシャフト3に設置された状態で、端部30の後述する環状溝514と径方向で対向する位置に設けられている。溝515〜518は、X軸正方向側から見て、各ベーン61〜64の反時計回り方向側の根元に隣接して設けられ、この部位でロータ60の外周に開口してそれぞれ進角室A1〜A4に連通する進角側油溝である。X軸正方向側から見て、溝515〜518の時計回り方向側の縁は、隣接する各ベーン61〜64の反時計回り方向側の面よりも若干時計回り方向側に設けられており、溝515〜518は、ロータ60の外周において、ロータ外周面600だけでなく、部分的に各ベーン61〜64の反時計回り方向側の面にも開口している。
図3の第1ストッパ部による回転規制状態で、各進角室A1〜A4の容積がゼロになることは回避されている。第1シュー11の先端の切り欠き部111により形成される空間により第1進角室A1の容積が確保され、第2〜第4シュー12〜14とこれらに時計回り方向側で対向する第2〜第4ベーン62〜64との間で形成される空間(上記隙間)により第2〜第4進角室A2〜A4の容積が確保されている。また、各進角側油溝515〜518のロータ外周への開口は各シュー11〜14の内径側先端部によって完全には塞がれず、各進角側油溝515〜518の各進角室A1〜A4への開口が確保されている。さらに、図3の最遅角状態において、各進角側油溝515〜518は、各シュー11〜14のシール溝117〜147と径方向で重ならないように設けられている。具体的には、最遅角状態で、進角側油溝515〜518の反時計回り方向側の縁は、シール溝117〜147に設置されたシール部材118〜148の時計回り方向側の縁よりも僅かに時計回り方向側に位置する。
図3の位置からベーン部材6がハウジングHSGに対して時計回り方向に相対回転すると、図4に示すように、凸部616の時計回り方向側面が第2シュー12の反時計回り方向側面(平面部124)と面同士で接触し、当接する。このとき、各ベーン61〜64はそれぞれシューに対して若干の隙間を介して対向しており、互いに接触しない(非当接状態を維持する)。すなわち、ベーン部材6のハウジングHSGに対する時計回り方向の回転は、第2シュー12の内径側先端部(平面部124)と凸部616とが当接することで規制される。このように、凸部616と平面部124とにより、ベーン部材6の時計回り方向(進角方向)の相対回転を規制する第2ストッパ部が構成されている。凸部616と平面部124との当接面積(第2ストッパ部の当接面積S2)は、平面部113,614の当接面積(第1ストッパ部の当接面積S1)よりも小さく設けられている(S1>S2)。
図4の第2ストッパ部による回転規制状態で、各遅角室R1〜R4の容積がゼロになることは回避されている。各シュー12,13,14,11とこれらに反時計回り方向側で対向する各ベーン61〜64との間で形成される空間(上記隙間)により第1〜第4遅角室R1〜R4の容積が確保されている。また、遅角側油孔507〜509(軸方向溝627〜647)のロータ外周への開口は、それぞれシュー13,14,11の(ロータ外周面600に摺接する)先端部よりも反時計回り方向側に位置し、これらによって塞がれないため、各遅角側油孔507〜509の各遅角室R2〜R4への開口がそれぞれ確保されている。さらに、図4の最進角状態で、遅角側油孔506(軸方向溝617)のロータ外周への開口は、シュー12の(ロータ外周面600に摺接する)先端部と径方向で対向してこれにより塞がれる一方、シール溝127(シール部材128)と径方向で重ならず、これよりも僅かに反時計回り方向側に位置する。
以上のように、ベーン部材6がハウジングHSGに対して相対回転する全角度範囲にわたって、遅角室Rないし進角室Aの容積がゼロになることは回避されており、また、遅角側油孔507〜509の遅角室R2〜R4への開口及び進角側油溝515〜518の進角室A1〜A4への開口は確保されている。なお、第2シュー12の先端部126又は凸部616に切り欠き部等を設けることで、図4の最進角状態でも遅角側油孔506の第1遅角室R1への開口が確保されることとしてもよい。
油圧回路は、2系統の通路、すなわち各遅角室R1〜R4に対して作動油を給排する遅角通路50、及び各進角室A1〜A4に対して作動油を給排する進角通路51を有している。両通路50,51には、流路切換弁54を介して、供給通路52とドレン通路53が接続されている。供給通路52には、オイルパン55内の油を流路切換弁54へ圧送するポンプPが設けられている。ポンプPは、機関のクランクシャフトにより回転駆動され、例えば一方向の可変容量ベーンポンプを用いることができる。ドレン通路53の下流端はオイルパン55に連通している。
カムシャフト3とベーン部材6には、遅角通路50及び進角通路51の一部が形成されている。カムシャフト端部30には、溝500,504,510,514と孔502,512と孔501,503,511,513が設けられている。
溝500〜514は、端部30の外周面の周方向全範囲にわたり所定深さまで形成された環状溝であり、遅角通路用の溝500,504と進角通路用の溝510,514を有している。溝500,510は、端部30のX軸負方向側に設けられてシリンダヘッド内に配置され、この順にX軸負方向に向かって並んでいる。溝504,514は、端部30のX軸正方向側に設けられてベーンロータ6のカムシャフト挿通孔601内に配置され、この順にX軸負方向に向かって並んでいる。
孔502,512は、端部30の内部にX軸方向に延びて形成された軸方向通路であり、遅角用の通路502と進角用の通路512を有している。通路502,512は、(ボルト孔32より小さい)所定の直径を有して、それぞれカムシャフト端面300に開口している。X軸方向から見て、通路502は、回転軸Oを挟んで通路512と略対向する位置に設けられており、回転軸Oから通路502の中心軸までの距離は、回転軸Oから通路512の中心軸までの距離と略等しい。通路502のX軸方向寸法は溝500まで達する大きさに、通路512のX軸方向寸法は溝510まで達する大きさに、それぞれ設けられている。端部30がカムシャフト挿通孔601に挿入され設置された状態で、通路502,512の端面300における開口部は、カムシャフト挿通孔601のX軸正方向側の底面により塞がれる。
孔501〜513は、端部30の内部にX軸に対して略直角方向に延びて形成された径方向通路であり、遅角用の通路501,503と進角用の通路511,513を有している。通路501は溝500と軸方向通路502との間に、通路503は溝504と軸方向通路502との間に、通路511は溝510と軸方向通路512との間に、通路513は溝514と軸方向通路512との間に、それぞれ貫通形成されてそれらを接続している。
流路切換弁54からの遅角通路50は、回転体であるカムシャフト3(端部30)内の油路に接続する際、まず環状溝500と連通する。環状溝500は径方向通路501を介して軸方向通路502に連通し、軸方向通路502は径方向通路503を介して環状溝504と連通している。同様に、流路切換弁54からの進角通路51は、端部30において環状溝510と連通し、環状溝510は径方向通路511、軸方向通路512、及び径方向通路513を介して環状溝514と連通している。
ベーン部材6(ロータ60)には、遅角側の通路として上記溝505と孔506〜509が設けられ、進角側の通路として上記溝515〜518が設けられている。
端部30がカムシャフト挿通孔601に挿入され設置された状態で、ベーン部材6の環状溝505は端部30の環状溝504とX軸方向位置が略一致し、ベーン部材6の各進角側油溝515〜518は端部30の環状溝514とX軸方向位置が略一致する(大部分が重なる)。端部30内の遅角側通路501〜503は、環状溝504を介してベーン部材6の環状溝505と連通し、さらに遅角側油孔506〜509を介して各遅角室R1〜R4と連通する。各遅角側油孔506〜509は、ロータ60の内径側では環状溝504に連通し、外径側ではそれぞれ遅角室R1〜R4に連通する。また、端部30内の進角側通路511〜513は、環状溝514を介してベーン部材6の進角側油溝515〜518と連通し、各進角側油溝515〜518を介して各進角室A1〜A4と連通する。各進角側油溝515〜518は、ロータ60の内径側では環状溝514に連通し、外径側ではそれぞれ進角室A1〜A4に連通する。環状溝514を設けることにより、ベーン部材6における進角側油溝515〜518のロータ周方向でのレイアウト自由度を向上している。同様に、環状溝504又は環状溝505を設けることにより、ベーン部材6における遅角側油孔506〜509のロータ周方向でのレイアウト自由度を向上している。なお、遅角側の環状溝505と同様、進角側でも、ベーン部材6側(カムシャフト挿通孔601の内周面)に環状溝を設けることとしてもよい(実施例2参照)。
流路切換弁54は、進角室A1〜A4又は遅角室R1〜R4へ給排される作動油圧を制御する4ポート3位置の方向制御弁であり、いわゆる直動式のソレノイド弁である。流路切換弁54は、機関側(シリンダヘッド)に固定されたバルブボディと、バルブボディに固定されたソレノイドSOLと、バルブボディの内部に摺動自在に設けられたスプール弁体とを有している。バルブボディには、供給通路52と連通する供給ポート540、遅角通路50と連通する第1ポート541、進角通路51と連通する第2ポート542、及びドレン通路53と連通するドレンポート543が形成されている。ソレノイドSOLは、電磁コイルへの通電によってスプール弁体を押圧移動させる。電磁コイルは、ハーネスを介してコントローラCUに接続されている。スプール弁体が移動するに応じて、第1ポート541や第2ポート542が開閉される。ソレノイドSOLの非通電状態で、スプール弁体は、リターンスプリングRSのばね力によって、供給ポート540(供給通路52)と第2ポート542(進角通路51)とを連通し、かつ第1ポート541(遅角通路50)とドレンポート543(ドレン通路53)とを連通する位置に付勢されている。一方、ソレノイドSOLが通電された状態で、スプール弁体は、コントローラCUからの制御電流によって、リターンスプリングRSのばね力に抗して、供給ポート540(供給通路52)と第1ポート541(遅角通路50)とを連通し、かつ第2ポート542(進角通路51)とドレンポート543(ドレン通路53)とを連通する位置、又は所定の中間位置に移動制御されるようになっている。
コントローラCUは電子制御ユニットであり、機関回転数を検出するクランク角センサや吸入空気量を検出するエアフローメータ、スロットルバルブ開度センサ、機関の水温を検出する水温センサ等の各種センサ類からの信号を入力して、現在の機関運転状態を検出する。また、コントローラCUは、検出された機関運転状態に応じて流路切換弁54のソレノイドSOLにパルス制御電流を出力し、流路の切り替え制御を行うことで、進角室A1〜A4又は遅角室R1〜R4へ作動油を選択的に給排する。
係合凹部730のX軸方向深さは、係合部714のX軸方向長さ及びリアプレート本体9aのX軸方向厚さと略同じに設けられ、係合凹部730の径は、係合部714の径よりも若干大きめに設けられている。係合凹部730は、スリーブ73の軸を通る平面で切った断面が略台形であり、X軸正方向側の開口部に向かって徐々に大径となる。換言すると、係合凹部730は傾斜面を有しており、X軸負方向側の底部に向かって小径となるテーパ面が設けられている。X軸に対する係合凹部730の内周面(傾斜面)の傾きは、X軸に対する係合部714の外周面(傾斜面)の傾きに略等しい。
係合凹部730の位置は、係合凹部730に係合部714が係合するとき、ハウジングHSGとベーン部材6の相対回転角度が機関始動に最適な位相(最遅角位置)となるように設けられている。具体的には、係合凹部730は、図3の最遅角位置で、X軸方向から見てロックピストン71の先端(係合部714)と対向し、略一致する位置に設けられている。換言すると、ベーン部材6が最遅角側に相対回転して第1ストッパ部により回転が規制されたとき、X軸方向から見て、ロックピストン71(係合部714)の位置と係合凹部730の位置が重なる。また、このとき、図5に示すように、ロータ周方向における係合凹部730の軸心の位置が、係合部714の軸心に対して、図3の反時計回り方向(第1シュー11の側)に僅かにオフセットするように設けられている。
摺動用孔70には、ロックピストン71に作用する油圧力を発生させる受圧室が設けられている。具体的には、摺動用孔70における(小径部701のX軸正方向端面を含む)大径部702の内周面と、ロックピストン71における(大径部712のX軸負方向端面を含む)小径部711の外周面との間に、第1受圧室77が画成されている。また、係合部714の表面(X軸負方向側の先端面及び傾斜面)とリアプレート9のX軸正方向側の面(係合部714が係合凹部730に嵌り込んだロック状態では、スリーブ73の内周面と底面)との間に、第2受圧室78が画成されている。そして、第1ベーン61には、第1、第2受圧室77,78に作動室の油圧を導くための通路が設けられている。すなわち、第1ベーン61の内部に連通孔75が周方向に延びて形成されており、連通孔75を介して、遅角室R1と第1受圧室77とが接続されて常時連通し、遅角室R1の油圧が第1受圧室77に導かれる。一方、第1ベーン61のX軸負方向側の面には、連通溝76が周方向に延びて形成されており、連通溝76を介して、進角室A1と摺動用孔70のX軸負方向端とが接続されて常時連通し、進角室A1の油圧が第2受圧室78(ロック状態では係合凹部730)に導かれる。遅角室R1と進角室A1に選択的に供給される作動油は、それぞれ連通孔75と連通溝76を介して第1受圧室77と第2受圧室78に導かれ、ともにロックピストン71をX軸正方向側の後退方向へ付勢する油圧力を発生する。
摺動用孔70の内部には、ロックピストン71の背圧室72が設けられている。背圧室72は、摺動用孔70のX軸正方向側に設けられた低圧室であり、フロントプレート8のX軸負方向側の面と、摺動用孔70の内周面と、ロックピストン71(摺動部710)の内周面とにより画成されている。背圧室72は、径方向溝605を介して円形溝604と連通し、さらに大径孔80を介して装置の外部(外気)と連通しており、これにより大気圧(低圧空間)に解放されている(図2参照)。換言すると、径方向溝605と円形溝604は、ベーン部材6のX軸正方向側の端面に形成された呼吸用の溝であり、空気抜き孔として機能し、背圧室72の圧力を開放して低圧に維持するための背圧逃し部を構成している。
図6は、図7と同様の図であり、ベーン部材6の製造過程における中間状態(粗材)を示す。ベーン部材6は、大きく分けて型出し工程と切削工程とにより形成され、この工程順で製造される。
まず、型出し工程においてベーン部材6の粗材(素材)を型成形する。具体的には、鉄系金属材料を所定の成分に配合した粉末を成形金型に充填し、プレスにより圧縮成形して図6に示すような成形体(圧粉体Q1)をつくる。この圧粉体Q1は、完成品のベーン部材6(ロータ60及び各ベーン61〜64)と略同形状の一次加工品であり、この型成形時に、ロータ外周の溝617〜647、X軸負方向端の溝515〜518,76、及びX軸正方向端の溝604,605が、同時に成形される。カムシャフト挿通孔601と摺動用孔70の成形が不十分な点、及び環状溝505と連通孔75が成形されていない点で、圧粉体Q1は完成品のベーン部材6(図7)と異なる。圧粉体Q1は、焼結炉で加熱・焼結され、二次加工品としての焼結体Q2となる。焼結体Q2は、図6に示すように、焼結前(すなわち圧粉体Q1)と略同様の形状を有する成形体である。
切削工程は、付加的処理(後処理)としての機械加工を行う工程であり、型成形した粗材(焼結体)Q2に対して切削加工を施すことで、寸法精度を向上するとともに、型出し工程では成形が困難であった箇所を所定の形状に仕上げる。これにより図7に示す完成品Q3とする。なお、圧粉体Q1に対して切削加工を施した後に焼結を行ってもよい。
まず、切削工具を備えた旋盤を用いて孔の内周を加工する。
カムシャフト挿通孔601の内周を加工する際には、切削工具として、例えば図6(b)(c)に破線で示すような中刳りバイトBを用いる。型出し工程で大まかに成形されたカムシャフト挿通孔601の内周にバイトBを設置し、粗材Q2を回転軸Oの周りに回転させることで、カムシャフト挿通孔601の内周面を円筒状に削り取り(中刳りして)、加工する。これにより、カムシャフト挿通孔601の径方向の寸法精度を高める。高精度に加工する理由は、カムシャフト3(挿通部301)が挿入設置されるカムシャフト挿通孔601は、ベーン部材6とカムシャフト3との径方向位置決めに使用されるため、高い径方向寸法精度が必要となるからである。
また、同じ旋盤とバイトBを用いて、カムシャフト挿通孔601の内周におけるX軸方向所定範囲を他の箇所よりも大径に削り取ることで、環状溝505を形成する。なお、バイトB以外の適当な切削工具(バイト)を用いることとしてもよい。
これにより、遅角側油孔506〜509も同時に成形される。すなわち、前工程の型成形時、粗材状態(圧粉体Q1ないし焼結体Q2)において凹部(軸方向溝617〜647)が予め成形されている。遅角側油孔506〜509は、この予め成形された凹部(軸方向溝617〜647)の(ロータ内径側)底部が、切削加工される環状溝505の(ロータ外径側)底部と交差することにより、開口する。
なお、カムシャフト挿通孔601の内周を全周にわたって削り取るのではなく、カムシャフト挿通孔601の内周において、軸方向溝617〜647に相当する周方向位置(径方向から見て軸方向溝617〜647と重なる位置)のみを削り取ることで、遅角側油孔506〜509を開口させることとしてもよい。本実施例1のように周方向全範囲に設ければ、成形がより容易であり、一層の軽量化を図ることが可能である。逆に、凹部(軸方向溝617〜647)は、ベーン部材6のX軸方向全範囲に設けるのではなく、環状溝505に相当する軸方向位置(径方向から見て環状溝505と重なる位置)のみを窪ませることで形成することとしてもよい。本実施例1のように軸方向全範囲に設ければ、成形がより容易であり、一層の軽量化を図ることが可能である。
また、環状溝505よりX軸正方向側のカムシャフト挿通孔601の内周を若干大径に削り取る。これにより、カムシャフト3(挿通部301)のX軸正方向端の角部の逃げを形成する。すなわち、挿通部301のX軸正方向端の角部(面取り)がバイトBの先端の曲率Rよりも小さく鋭角である場合、バイトBの先端と略同形状に削り取られるカムシャフト挿通孔601のX軸正方向端の(内周面と底部との間で形成される)角部と挿通部301の上記角部とが干渉して、挿通部301のカムシャフト挿通孔601への挿入設置が不十分となるおそれがある。これに対して、カムシャフト挿通孔601の上記内周を若干大径に成形することで、曲率Rが大きい切削工具を用いた場合でも上記干渉を抑制し、挿通部301のX軸正方向端面300をカムシャフト挿通孔601のX軸正方向側の底面に密着させるように上記挿入設置を行うことを可能としている。
次に、摺動用孔70の内周面を円筒状に削り取り、小径部701と大径部702を精度よく加工形成する。例えば上記旋盤において(適当な治具を用いて)粗材Q2を設置し、大まかに成形された摺動用孔70の内周に適当な中刳りバイトを設置し、粗材Q2を摺動用孔70の軸周りに回転させることで加工を行う。また、例えばドリルを備えたフライス盤を用いて粗材Q2に穴あけ加工を行い、連通孔75を貫通形成する。
以上により、粗材Q2は、図7の最終的な形状を有する完成品Q3に成形される。
装置(VTCユニット)の組立ての際、まず、ハウジング本体10にリアプレート9を設置する。その際、位置決め手段により、ハウジング本体10とリアプレート9との周方向位置決めを行う。ハウジング本体10の位置決め用凹部116とリアプレート9の位置決め用孔96とがX軸方向で対向するように、治具を位置決め用孔96と位置決め用凹部116に嵌合させ、リアプレート9に対するハウジング本体10の回転位置を調整する。
具体的には、鉛直上方に延びるようにピン状の治具(位置決めピン)を設置する。(スリーブ73が嵌合孔95に固定された)リアプレート9のX軸正方向側の面を鉛直上方に向けつつ、上記治具がリアプレート9の位置決め用孔96に嵌合してこれを貫通するように、リアプレート9を設置する。この状態で、ハウジング本体10を、X軸正方向側(鉛直上方)からリアプレート9に組付ける。このとき、上記治具がハウジング本体10の位置決め用凹部116に挿入されて嵌合するように、ハウジング本体10を設置する。換言すると、治具を位置決め用孔96と位置決め用凹部116に嵌合させつつ、リアプレート9とハウジング本体10を重ねて設置する。これにより、ハウジング本体10に対するリアプレート9の周方向位置決めが行われる。このとき、リアプレート9の雌ねじ部(ボルト孔)91〜94がそれぞれハウジング本体10のボルト孔110〜140と略同軸上となる。上記治具の断面は、位置決め用孔96と同様の長円形状であって、孔96よりも僅かに小さめの寸法に設けられている。治具と位置決め用孔96と位置決め用凹部116の寸法は、治具が孔96と凹部116に嵌合した状態で、ハウジング本体10とリアプレート9の周方向のガタが発生しない寸法にそれぞれ設定されている。なお、治具を用いるのではなく、位置決め用孔96の代わりに突起(ピン等)をリアプレートに設け、これに位置決め用凹部116を嵌合することで位置決めを行ってもよい。本実施例1のように治具を用いた場合、ピン等の部品点数を削減できると共に、装置1の軽量化を図ることができる。
次に、ハウジング本体10にベーン部材6を挿入する。その際、作動室間をシールするようにシール部材118,612等を組み付ける。また、ロックピストン71をベーン部材6の摺動用孔70に挿入し、コイルスプリング74をロックピストン71の内部に挿入する。上記位置決めにより、第1ベーン61(平面部614)が第1シュー11(平面部113)に当接した最遅角位置では、係合凹部730が摺動用孔70(ロックピストン71)に対して(僅かにオフセットしつつ)略同軸上となる。
そして、X軸正方向側(鉛直上方)からフロントプレート8をハウジング本体10に取付け、ボルトb1〜b4により各部材を締結して一体とする。その後、装置1(ユニット)を上記治具から取り外す。
装置1を機関に取付ける際には、一体に組み付けられたユニットをカムシャフト3に取り付ける。まず、カムシャフト3の端部30(挿通部301)を、X軸負方向側から、上記ユニットのハウジングHSGに形成された挿通孔90に挿通するとともに、ハウジングHSG内に収容されたベーン部材6のカムシャフト挿通孔601に挿通・設置する。このとき、位置決め手段を用いて、カムシャフト3に対するベーン部材6の周方向位置決めを行う。
すなわち、カムシャフト挿通孔601の底面には位置決め孔603が設けられている。また、カムシャフト端面300には1つの凸部が設けられている。端部30をカムシャフト挿通孔601に設置する際、上記凸部が孔603に嵌合しつつ、端部30がカムシャフト挿通孔601の底面側に挿入されることで、上記底面とカムシャフト端面300とが当接する。このとき、上記嵌合により、ベーン部材6とカムシャフト3の相対回転が拘束され、回転方向(周方向)の相対位置決めが行われる。これにより、クランクシャフト(ハウジングHSG)に対するカムシャフト3(ベーン部材6)の初期位相が設定される。上記凸部と位置決め孔603は、装置1をカムシャフト3に取り付ける際、カムシャフト3に対するベーン部材6の回転位置を調整し、決定するための位置決め手段を構成している。なお、カムシャフト側の凸部は、端面300に設けられた軸方向通路502,512のいずれかの開口部にピンを挿入設置することで設けることとしてもよい。この場合、加工の手間を省くことが可能である。また、位置決め孔603はそこに凸部を嵌合して周方向の相対回転を拘束できるものであればよく、半長円状に限らず、例えば円形の断面形状を有していてもよい。本実施例1のように半長円状の断面としてロータ径方向に寸法の余裕を持たせることで、製造誤差等を吸収でき、凸部の嵌合が容易である。また、位置決め孔603を孔602に連続させず、孔602から分離した単独の孔として設けてもよい。
上記のように、カムシャフト3の挿通部301がカムシャフト挿通孔601に挿通・設置され、上記凸部が位置決め孔603に嵌合してベーン部材6とカムシャフト3とが周方向に相対位置決めされた状態で、カムボルト31を、X軸正方向側から、ハウジングHSGの大径孔80を通って、ベーン部材6のボルト孔602に挿通するとともに、カムシャフト3のボルト孔32に挿通・固定する。カムボルト31の頭部310(ワッシャ312)はロータ60のX軸正方向側(円形溝604)に位置する一方、ロータ60のX軸負方向側に突出したカムボルト31の軸部311はカムシャフト3のボルト孔32に挿通され、その雄ねじがボルト孔32の雌ねじに螺着する。これにより、ロータ60がカムシャフト3の端部30(端面300)にX軸正方向側から締結され、ベーン部材6がカムシャフト3(端部30)と一体に締付固定される。
以下、装置1及びその製造方法の作用を説明する。
まず、装置1の位相変換作用を説明する。なお、下記制御内容は様々に変更可能である。図3は機関停止時(機関始動時)の最遅角状態、図4は機関作動時の最進角状態をそれぞれ示す。
機関始動時は、予めロック機構7がベーン部材6を始動に最適な遅角側の初期位置に拘束している(図3)。このため、イグニッションスイッチをオン操作して始動が開始されると、円滑なクランキングによって良好な始動性が得られる。
機関始動後の所定の低回転低負荷域では、コントローラCUからの制御電流が流路切換弁54に出力されない。スプール弁体は、リターンスプリングRSのばね力によって、供給ポート540と第2ポート542とを連通し、第1ポート541とドレンポート543とを連通する位置に留まる。よって、ポンプPから吐出され、供給通路52から供給ポート540を介してバルブボディ内に流入した作動油は、第2ポート542から進角通路51内に流入し、ここからカムシャフト3の軸方向通路512及び径方向通路511等とベーン部材6の各進角側油溝515〜518を通って、各進角室A1〜A4に供給される。各進角室A1〜A4の内圧は、ポンプPの吐出圧が増大するに応じて上昇する。一方、各遅角室R1〜R4内の作動油は、遅角通路50及びドレン通路53を介してオイルパン55に排出され、各遅角室R1〜R3の内圧は低圧(大気圧)のままである。進角室A1の内圧が上昇するに伴って、この油圧が連通溝76(図5参照)から第2受圧室78に供給され、ロックピストン71(係合部714)はX軸正方向側の油圧力を受ける。上記油圧力がコイルスプリング74のばね力よりも大きくなると、ロックピストン71がX軸正方向に移動(後退)する。係合部714が係合凹部730から完全に抜け出すと、ロック状態が解除される。すなわち、ベーン部材6の自由な回転が許容され、バルブタイミングの任意の変更が可能な状態となる。各進角室A1〜A4に供給される油圧により、ベーン部材6は、ハウジングHSGに対して、図3に示す位置からハウジングHSGの回転方向(図3の矢印方向)に回転し、クランクシャフトに対するカムシャフト3の回転位相(相対回転変換角度)を進角側に変更させる。この結果、吸気弁の開閉タイミングが進角側となり、吸気弁と排気弁がともに開弁する期間であるバルブオーバーラップが大きくなって、かかる低回転低負荷時における慣性吸気の利用による燃焼効率が向上して機関回転の安定化と燃費の向上が図られる。図4に示すように、各進角室A1〜A4の容積が最大となり、各遅角室R1〜R4の容積が最小となる最進角側の位置にベーン部材6が相対回転すると、バルブオーバーラップが最大となる。
一方、機関の運転状態が例えば高回転高負荷域に移行したときは、コントローラCUから制御電流が流路切換弁54に出力される。スプール弁体は、リターンスプリングRSのばね力に抗して、供給ポート540と第1ポート541とを連通し、第2ポート542とドレンポート543とを連通する位置に移動する。よって、ポンプPから吐出された作動油は、流路切換弁54の第1ポート541から遅角通路50内に流入し、カムシャフト3の軸方向通路502及び径方向通路501等とベーン部材6の環状溝505及び各遅角側油孔506〜509を通って各遅角室R1〜R4に供給されるため、各遅角室R1〜R3の内圧は上昇する。一方、各進角室A1〜A4内の作動油は、進角通路51及びドレン通路53を介してオイルパン55に排出され、各進角室A1〜A4の内圧は低下する。このとき、ロック機構7において、第2受圧室78に供給される油圧は低下するものの、今度は遅角室R1の油圧の上昇に伴い、この油圧が連通孔75(図5参照)から第1受圧室77に供給され、ロックピストン71の大径部712の受圧面に油圧力として作用する。これにより、ロックピストン71がコイルスプリング74のばね力に抗して係合凹部730から抜け出した解除状態が維持される。よって、各遅角室R1〜R4の内圧が各進角室A1〜A4の内圧よりも大きくなると、ベーン部材6は、ハウジングHSGの回転方向(図3の矢印方向)とは反対側の反時計回り方向に、ハウジングHSGに対して回転し、クランクシャフトに対するカムシャフト3の回転位相(相対回転変換角度)を遅角側に変更させる。この結果、吸気弁の開閉タイミングが遅角側に制御され、バルブオーバーラップが小さくなって、かかる高回転高負荷時における機関の出力を向上させることができる。図3に示すように、各遅角室R1〜R4の容積が最大となり、各進角室A1〜A4の容積が最小となる最遅角側の位置にベーン部材6が相対回転すると、バルブオーバーラップが最小となる。
さらに、例えば、機関が中回転中負荷領域に移行した場合は、コントローラCUが流路切換弁54を制御してスプール弁体を中間移動位置に保持する。これによって、各遅角室R1〜R4及び各進角室A1〜A4の内圧がそれぞれ一定に保たれ、ベーン部材6が中間回転位置に制御される。よって、中回転中負荷域における最適なバルブタイミング制御が可能になり、燃費と機関出力の両方を満足させることが可能になる。
機関作動時、カムシャフト3の回転中、吸気弁を閉方向に付勢するバルブスプリングからカムシャフト3のカムへ伝達される回転反力により、カムシャフト3には、いわゆる交番トルク(反転トルク)が発生する。すなわちカム形状に起因して、カムシャフト3の(時計回り方向の)回転を妨げる(反時計回り方向の)負トルクと、カムシャフト3の回転をアシストする(時計回り方向の)正トルクが、カムシャフト3に交互に作用する。そして、交番トルクは、全体としてみると負トルク側へオフセットしている。すなわち、カムシャフト3の回転周期ごとに発生する正トルク及び負トルクを時間的に積分すると負となり、カムシャフト3には平均して負トルクが作用する。
機関が停止すると、ポンプPの作動が停止される。また、コントローラCUから流路切換弁54への通電が遮断される。よって、進角室A1〜A4と遅角室R1〜R4への作動油圧の供給が停止される。このため、機関停止直後には、カムシャフト3に発生するフリクション(負トルク側にオフセットした交番トルク)によって、ベーン部材6は、ハウジングHSGに対して、ハウジングHSGの回転方向(図3の矢印方向)とは反対方向、すなわち遅角側へ回転移動しようとする。
よって、機関の停止後、ベーン部材6は、カムシャフト3のフリクション(交番トルク)によって、予め機関(再)始動に適した所定の初期位置、すなわち図3に示す最遅角側の位置に移動する。換言すると、バルブタイミングが機関(再)始動に適した位相となる。また、ハウジングHSGに対してベーン部材6が最遅角側に相対回転したとき、ロック機構7のロックピストン71の位置と係合凹部730の位置が重なる。このため、機関停止時には、図5に示すように、コイルスプリング74のばね力により係合部714が進出し、係合凹部730内に嵌まり込んで係合する。これにより、ロックピストン71がベーン部材6の自由な相対回転を規制する。
以上のように、装置1では、機関停止時に、交番トルクによりベーン部材6をハウジングHSGに対して遅角側の初期位置に回転移動させることで、機関再始動時においても装置1を初期位置から制御可能としている。
ロック機構7は、ベーン部材6(ベーン61)に形成された摺動用孔70と、ロックピストン71と、ハウジングHSGの内面に設けられた係合凹部730と、コイルスプリング74と、を備え、機関の状態に応じてロックピストン71がベーン部材6に対し出没することにより、ハウジングHSGとベーン部材6の相対回動を規制し、又はこの規制を解除する。例えば、機関の停止後、交番トルクの付勢力によってベーン部材6が所定の初期位置に回動してきたとき、コイルスプリング74の付勢力によって自動的にロックピストン71を係合凹部730に係合させる。よって、ロック動作のための特別なアクチュエータを必要としないため、ロック機構7として例えばクラッチ機構やレバー機構を用いた場合よりも機構が簡便であり、ロック作動の信頼性を確保しつつ低コスト化できる。なお、ロックピストン71の付勢部材として、コイルスプリング以外の弾性部材、例えば板ばね等を用いてもよい。また、本実施例1では、ロックピストン71に流体圧が作用することによりロックピストン71が係合凹部730から退出し、ロックが解除されることとしたが、他の構成により解除機構を構成してもよい。本実施例1のように、作動室に供給されるオイルの圧力によって拘束が解除される構成とした場合、装置1の作動油圧をそのまま用いてロック解除を行うため、ロック解除動作のための特別なアクチュエータを必要としない。よって、機構が簡便であり、ロック作動の信頼性を確保しつつ低コスト化を実現できる。なお、進角側と遅角側どちらか一方のみの油圧によりロックを解除する構成としてもよく、例えば連通孔75を省略し、進角室A1の油圧が第2受圧室78に供給されるときにのみロックピストン71が解除状態となるようにしてもよい。本実施例1では、装置1の作動時、進角室A1と遅角室R1いずれか一方の油圧が導かれるときは常にロックピストン71が解除状態に保持される。具体的には、ロック機構7は、第1受圧室77に遅角室R1の油圧が導かれ、第2受圧室78に進角室A1の油圧が導かれ、機関の状態に応じて第1、第2受圧室77,78に油圧が供給されることで、コイルスプリング74の付勢力に抗してロックピストン71が作動するように構成されている。よって、ベーン部材6が進角方向又は遅角方向に回動するたびに係合・解除が繰り返されることが抑制される。したがって、装置1の作動を円滑化できるだけでなく、ロックピストン71の作動回数が低減され、これにより装置1の耐久性を向上できる。なお、第1受圧室77に進角室A1の油圧が導かれ、第2受圧室78に遅角室R1の油圧が導かれるように構成してもよい。
本実施例1では、摺動用孔70を異径の(段付きの)シリンダとし、これに対応してロックピストン71に大径部712と小径部711を設け、ロックピストン71を異径の(段付きの)ピンとしている。そして、摺動用孔70の小径部701の内周に小径部711が、大径部702の内周に大径部712が、それぞれ摺動自在に設けられている。これにより、摺動用孔70内で、第1受圧室77が画成されている。このように、異径の(段付きの)シリンダとピンを用いることで、第1受圧室77と第2受圧室78とを別々に液密に設けることが簡便に達成され、ロックピストン71に対して進角室A1と遅角室R1からの油圧力を別々に作用させる構成を容易に実現できる。なお、シリンダ(摺動用孔70)とロックピストン71の形状や、油路75や溝76の構成を適宜調整して、第1、第2受圧室77,78を任意の形状としたり任意の位置に設けたりしてもよい。ロックピストン71は、回転軸O以外の方向、例えばハウジングHSGの径方向に進退するものであってもよい。換言すると、ロックピストン71を収容するシリンダは、回転軸方向以外、例えばハウジング径方向に形成されていてもよい。本実施例1では、摺動用孔70は回転軸方向(X軸方向)に延びて形成され、ロックピストン71は回転軸方向にその先端(係合部714)が出没する。このようにロックピストン71が回転軸方向に作動するように構成することで、装置1の径方向大型化を抑制できる。また、ベーン部材6の回転による遠心力がロック機構7の作動に影響を及ぼすことを抑制できる。
また、背圧逃し部により、装置1の作動時、ロックピストン71は背圧室72内の圧力の影響を受けずに円滑に移動する。すなわち、係合部714が係合凹部730から離脱してロックピストン71がX軸正方向側へ移動し、背圧室72の容積が縮小しようとする際、背圧室72における空気は、背圧逃し部を介して装置外部の低圧空間へと伝わる。よって、背圧室72内は低圧に維持される。また、背圧室72内には、背圧室72の周囲の隙間から漏出してきた作動油が溜まる。この油も、背圧逃し部を介して装置外へ排出される。よって、背圧室72の容積が縮小しようとする際、空気や油によりこれが妨げられることなく、背圧が開放される。したがって、ベーン部材6の全ての相対回転範囲で、ロックピストン71の良好な作動(摺動用孔70における摺動)が確保され、ロック解除が円滑に行われる。
ロックピストン71の先端(係合部714)は、略円錐台の形状を有し、X軸負方向(係合凹部730)に向かって小径となるように設けられているため、係合凹部730に係合しやすい。係合凹部730も、X軸正方向側の開口に向かって大径となるように設けられているため、係合部714が係合しやすい。よって、ロックが円滑に行われる。
また、係合部714及び係合凹部730はともにテーパ面(傾斜面)を有している。そして、図3の第1ストッパ部による相対回転規制位置で、係合凹部730の軸心は、係合部714の軸心に対して、反時計回り方向(第1シュー11の側)へ周方向に僅かにオフセットしている。このため、ロック時にロックピストン71が係合凹部730に挿入されると、両者の傾斜面同士は、図3の時計回り方向側で互いに接触し、このとき第1ベーン61を図3の反時計回り方向(第1シュー11の側)に押し付ける分力を発生する(クサビ効果)。よって、ロックピストン71が係合凹部730に係合すると、第1ベーン61が第1シュー11に押し付けられるため、より確実に、ベーン部材6を相対回転規制位置(初期位置である最遅角位置)に固定することができる。なお、両傾斜面が接触するための構成として、軸心をオフセットさせる以外に、係合部714や係合凹部730の形状を適宜変化させる等してもよい。本実施例1のように軸心をオフセットさせた場合、構成が簡便である。また、係合時において上記反力を発生させる傾斜面を、係合部714もしくは係合凹部730のどちらか一方のみに設けることとしてもよい。この場合も、クサビ効果を得ることができる。本実施例1のように両方に傾斜面を設けた場合、押し付け力を効果的に得つつ、摩耗を低減できる。
上記のように凹部116と孔96は、装置1の各構成部材を組み付ける際、ハウジング本体10に対するリアプレート9の回転位置、すなわちロックピストン71と係合凹部730との周方向相対位置を調整し、決定するための位置決め手段を構成している。この位置決め手段を用いて、ロックピストン71と係合凹部730とが正確に位置決めされるため、上記クサビ効果を含め、ロックピストン71の円滑な係合作用が得られる。ここで、位置決め用孔96は嵌合孔95(係合凹部730)と近接した位置に設けられているため、ロックピストン71と係合凹部730との位置決めをより正確に行うことができる。
一方、上記両方向の回転規制時には、他のベーン62〜64はシューと接触しないように構成されていることで、これらのベーン62〜64の強度(耐久性)をも向上することができる。よって、相対回動を規制するための強度を十分に得つつ、ベーン部材6の耐久性を向上できる。
なお、(X軸正方向側から見て)時計回り方向側の相対回転を規制する構成として、凸部616を設ける代わりに、第1ストッパ部と同様、幅広の第1ベーン61を第2シュー12と接触させることとしてもよい。また、他のベーン62〜64とシュー12〜14のいずれか1組、又は複数組を当接させ、この当接部により第1、第2ストッパ部を設けることとしてもよい。また、この当接部を有するベーンを、第1ベーン61と同様、幅広に形成して剛性を高めることとしてもよい。また、幅広のベーン61をシュー11に接触させずに第1ストッパ部を構成することとしてもよい。例えば、X軸正方向側から見て、ベーン61の反時計回り方向側の根元にもシュー11と接触する突出部(凸部)を設け、これにより反時計回り方向側の相対回転を規制することとしてもよい。本実施例1のように、ベーン61の反時計回り方向側の根元には突出部を設けず、シュー11にベーン61自体が接触するように設けることで、ベーン部材6の相対回転角度範囲をより大きく確保することが可能である。
また、ハウジング本体10及びベーン部材6は、高硬度の材料である鉄系金属材料によって成形されている。よって、ストッパ部として機能するベーン61や凸部616やシュー11,12の剛性を高めて、装置1の耐久性をより向上することができる。
また、初期位置で機能する第1ストッパ部は、当接回数の多さや(機関停止時に油圧制御しないことに起因する)当接する力の強さにより、変形するおそれが高く、これにより回転規制位置(初期位置)が変化してしまうおそれがある。本実施例1では、第1ストッパ部の当接面積S1を、第2ストッパ部の当接面積S2よりも大きく設けている(S1>S2)。このため、当接する際に発生する面圧(当接面圧)は、第2ストッパ部よりも第1ストッパ部のほうが小さい。よって、第1ストッパ部の変形及び回転規制位置の変化をより効果的に抑制することができる。
ベーン部材6は鉄系金属材料により成形されるため、ロックピストン71の大径部712が摺動することに起因する摺動用孔70の摩耗を抑制できる。また、焼結により成形されるため、摺動用孔70における無数の微細孔には潤滑油が長時間滞留する。よって、機関を長時間(例えば数日〜数ヶ月)運転せず、その間、装置1を使用しなかった後、機関を再始動させたときに、装置1が作動してロックピストン71の大径部712の後端角部と摺動用孔70の内周面とが当接した場合でも、摺動用孔70に潤滑油が保持されているため、摩耗を抑制することができる。すなわち、装置1では、焼結金属の形状特性を利用し、これに潤滑油保持機能を持たせることで、摩耗低減効果を更に向上させている。
ロックピストン71とスリーブ73は、耐磨耗性の高い材料、具体的には鉄系金属材料で作られている。よって、ロックピストン71と係合凹部730(係合部714に対して摺接する傾斜面)の硬度を確保でき、特に摩耗を効果的に低減できる。したがって、ロックピストン71の作動悪化をより効果的に抑制できる。なお、スリーブ73を別部材とせず、係合凹部730をリアプレート9と一体に直接設けることとしてもよい。本実施例1では、スリーブ73は、リアプレート9とは別部材で構成されている。このため、係合凹部730の形状や材質等を、ロックピストン71の係脱(係合及び解除)に適したものに調整することが容易であると共に、上記係脱に際してリアプレート9が摩耗したり拗れたりすることを抑制できる。すなわち、耐磨耗性に特に適した材料を選択することができ、また傾斜面の加工精度を向上できる等の利点を有している。
例えば、ベーン部材6についてみると、幅広の第1ベーン61の反時計回り方向側には切り欠き部615が設けられ、時計回り方向側も溝611の周囲を残して切り欠かれており、これにより第1ベーン61が軽量化されている。また、ロータ60の外周には、複数の凹部としての軸方向溝617〜647がロータ60のX軸方向全範囲にわたって形成され、ロータ60の内周には、連通溝としての環状溝505がカムシャフト挿通孔601の周方向全範囲にわたって形成されている。よって、ロータ60の内外周を連通するための凹部ないし溝をX軸方向又は周方向で部分的に設けた場合(例えば単にロータ60の内外周を貫通する貫通孔を設けた場合)よりも、ロータ60を軽量化することができる。
また、ハウジングHSGについてみると、各シュー11,13,14の先端部に切り欠き部111〜141,112〜142が設けられ、ハウジング外周側(シューの底部)に切り欠き部115〜145が設けられている。また、凹部116が第1シュー11のX軸方向全範囲に形成されている。さらに、リアプレート9のX軸負方向側にも肉抜きが施されている。
なお、本実施例1では、構造が比較的簡単なフロントプレート8を、鋼材のプレス加工により成形することとしたが、他の材料(例えばアルミ系金属材料)や方法により成形してもよい。例えば、リアプレート9等と同様の粉末冶金法(焼結工法)のほか、鍛造や鋳造等により成形することとしてもよい。また、ハウジング本体10及びリアプレート9の材料や加工法も特に限定されず、他の金属材料の鋳造や鍛造、例えばアルミ系金属材料の押出成形によって形成してもよい。
本実施例1では、ベーン部材6において、各作動室(遅角室R1〜R4)に面するロータ60の外周面600に、内周側(内径側)に窪むようにそれぞれ設けられた複数の凹部(軸方向溝617〜647)と、ロータ60の内周面(カムシャフト挿通孔601の内周面)に、外周側(外径側)に窪むように設けられ、複数の凹部(軸方向溝617〜647)と連結する連通溝(環状溝505)と、を備えた。このように、連通溝(環状溝505)が複数の凹部(軸方向溝617〜647)と連結することで、カムシャフト3からの作動油を各作動室(遅角室R1〜R4)へ分配(供給)し、又は各作動室(遅角室R1〜R4)から作動油をカムシャフト3へ排出する複数の通路(遅角側油孔506〜509)が形成される。換言すると、連通溝(環状溝505)を形成することで、連通溝(環状溝505)と複数の凹部(軸方向溝617〜647)との重複部分において複数の孔(遅角側油孔506〜509)が開口し、これによりロータ60の内外周が連通する。すなわち、ベーン部材6において、ロータ60の内外周に溝を形成すれば各作動室にオイルを分配する複数のオイル通路が形成されるため、ドリル加工により複数の孔(オイル通路)を径方向に貫通形成する必要がない。したがって、ドリル加工する手間を削減し、加工時間を短縮することが可能である。また、単に孔を径方向に貫通させた(ドリル孔を設けた)場合に比べ、除肉する(削り取る)量が多いため、ベーン部材6の軽量化を図ることができる。また、環状溝505から各遅角室R1〜R4までの間は、通常の油通路(ロータ径方向に所定長さを有する貫通孔)ではなく、(ロータ径方向に長さをほとんど有しない)遅角側油孔506〜509によって連通されている。すなわち、環状溝505から各遅角室R1〜R4までの流路長が極めて短い。よって、遅角室R1〜R4に至る流路抵抗を小さくすることができる。したがって、遅角室R1〜R4への作動油の給排をより円滑化し、装置1の作動応答性向上に寄与することができる。
なお、本実施例1では、連通溝(環状溝505)を切削加工により成形することとしたが、粗材状態(粗材Q1)において型形成することとしてもよく、この場合もドリル加工を省略することで同様の作用効果を得ることができる。また、連通溝(環状溝505)は非連続でもよく、単一のものでなくてもよい。すなわち、各凹部(軸方向溝617〜647)と個別に連結する溝を複数設けてこれらを連通溝としてもよい。換言すると、連通溝は複数の凹部(軸方向溝617〜647)同士を連結するものでなくてもよい。
連通溝(環状溝505)は、カムシャフト挿通孔601の内周面において、カムシャフト3内を経由して給排されるオイルの給排部(環状溝504)と連通可能なX軸方向位置に設けられている。すなわち、本実施例1では、連通溝(環状溝505)を、ロータ径方向でオイルの給排部(環状溝504)と対向するX軸方向位置に設けたが、オイルの給排部(環状溝504)と連通可能なX軸方向位置であればよく、厳密に対向する位置に限らない。対向する位置に設ければ、環状溝505と環状溝504を接続する流路面積を最大とすることができ、効率がよい。
本実施例1では、複数の凹部(軸方向溝617〜647)を遅角室R1〜R4に面するロータ60の外周面600に設けたが、進角室A1〜A4に面するロータ60の外周面600に設けることとしてもよい。すなわち、連通溝(環状溝)と複数の凹部(軸方向溝)とを連結することで複数の孔を開口形成する構成を、遅角側の油路ではなく進角側の油路に適用してもよい。また、遅角側と進角側の両方の油路に適用することとしてもよい。
本実施例1では、上記連通溝を環状溝505に溝加工して、複数の凹部(軸方向溝617〜647)同士を連通することとした。このように連通溝を環状に加工することで、複数の凹部(軸方向溝617〜647)の全てが互いに連通するようになる。すなわち、連通溝の環状加工により、複数の遅角側油孔506〜509の全てを一度に開口成形する。換言すると、環状溝505はX軸方向で複数設けられておらず単一であり、しかもカムシャフト挿通孔601の周方向全範囲にわたって設けられている点でも単一である。よって、単一の溝を加工するだけで、上記複数のオイル通路を全て形成することができる。よって、工数をより削減し、加工時間をより効果的に短縮できる。また、環状の溝は加工が比較的容易であり、その深さが周方向で略一定であれば、深さを変化させる手間も要らない。よって、加工の手間を大幅に低減することができ、製造が容易である。また、カムシャフト挿通孔601の内周面を除肉する(削り取る)量を増大して、ベーン部材6をより効果的に軽量化することが可能である。また、環状溝505は、カムシャフト側のオイル給排部と、各作動室に連通する複数の通路とを連結する連通溝(中継のハブ通路)の機能を果たすため、カムシャフト3の外周面に上記連通溝(ハブ通路)を設けることを省略してもよくなり、これにより設計の自由度を向上できる。例えば、カムシャフト3の外周面に環状溝504を設けず、カムシャフト側のオイル給排部を径方向通路503とした場合でも(実施例2参照)、このカムシャフト側のオイル給排部(径方向通路503)と、各作動室に連通する複数の通路とを連通する流路の面積を、環状溝505により確保することができる。換言すると、本実施例1のように、環状溝505に加えてカムシャフト3の外周面にも環状溝504を設けた場合、上記流路面積を拡大して各作動室へのオイルの給排を円滑化できる。
また、連通溝(環状溝505)は切削加工によって加工される。すなわち、連通溝(環状溝505)はカムシャフト挿通孔601の内周に成形されるため、他の成形方法(例えば型成形)によるよりも、切削加工によれば連通溝(環状溝505)の成形が容易である。なお、旋盤加工以外の切削加工方法によってもよい。
さらに、本実施例1では、寸法精度向上のためカムシャフト挿通孔601の内周を切削加工すると同時に、連通溝(環状溝505)をも切削加工する。すなわち、同じカムシャフト挿通孔601の内周面の切削工程において、寸法精度向上のための切削加工だけでなく、連通溝(環状溝505)をも切削加工することで、遅角側油孔506〜509を成形することができる。よって、カムシャフト挿通孔601の内周を回転軸Oの周りに切削加工する工程とは別の工程、例えばドリル加工により複数の孔(オイル通路)を個別に径方向に貫通形成する専用の切削工程を追加することを回避できるため、工数及び加工時間を短縮し、追加的な加工設備を省略することもできる。
具体的には、環状溝505は旋盤加工によって加工される。よって、カムシャフト挿通孔601の内周に環状溝505を加工形成することがより容易であり、これにより複数の遅角側油孔506〜509の成形をより容易化できる。また、カムシャフト挿通孔601の精度を向上する加工に元々必要な機械設備である旋盤のみで足り、(遅角側油孔506〜509に相当する)ドリル孔を加工するための追加的な設備(フライス盤やボール盤等)の使用を省略することが可能である。換言すると、同一の加工設備でカムシャフト挿通孔601の精度を向上する加工と遅角側油孔506〜509を成形する加工とを両方行うことができる。
また、凹部(軸方向溝627〜647)が各ベーン62〜64の根元に形成されている場合、凹部(軸方向溝627〜647)が形成されたX軸方向部位におけるベーン62〜64とロータ60との接続部分の周方向寸法が小さくなり(肉厚が薄くなり)、ロータ60に対するベーン62〜64の固定強度を十分に確保できなくなるおそれがある。特に、本実施例1のように、ロータ60とベーン62〜64が一体に成形されている場合や、軸方向溝627〜647がロータ60の軸方向全範囲に設けられている場合は、上記おそれが高い。これに対し、本実施例1では、凹部(軸方向溝627〜647)はベーン62〜64の周方向一方の側(図3の時計回り方向側)だけに設けられている。よって、ベーン根元部分の肉厚が薄くなることを抑制し、ベーン62〜64の固定強度、例えばベーン62〜64に作用する油圧力に対する強度を向上することができる。なお、凹部(軸方向溝617〜647)は、ロータ60の軸方向全範囲に設けなくてもよい。この場合、凹部を、ベーンの周方向両側の根元に設けてもよい。なぜなら、両側の凹部はともに軸方向全範囲には設けられないため、上記強度不足をある程度抑制することが可能だからである。
また、上記のように、第1、第2ストッパ部による回転規制時には、第1ベーン61よりも肉薄のベーン62〜64は、シュー11〜14と接触しないように構成されている。このように接触による力の作用を回避することによっても、ベーン62〜64の固定強度を向上している。
X軸方向から見た凹部(軸方向溝617〜647)の形状は特に限定されず、例えば半楕円形状や矩形状や三角状に形成してもよい。本実施例1では、凹部(軸方向溝617〜647)は、X軸方向から見て略半円形状に形成されている。よって、角部を有する形状、例えばX軸方向から見て矩形状に形成した場合と比べ、凹部(軸方向溝617〜647)における応力集中の発生を抑制して、強度・耐久性を向上できる。特に、本実施例1のように、ロータ60とベーン61〜64が一体に成形され、かつ凹部(軸方向溝627〜647)が各ベーン62〜64の根元に形成されている場合、応力集中が発生するおそれが高いため、有効である。また、略半円形状に形成した場合、凹部(軸方向溝617〜647)の略半円形状の底部が内径方向、すなわち連通溝(環状溝505)の底部に向かって突出するため、連通溝(環状溝505)と交差・連結しやすい。よって、連通溝(環状溝505)を成形することで遅角側油孔506〜509を効率よく開口させることが可能である。また、凹部(軸方向溝617〜647)を型成形する場合に用いられる金型の摩耗を抑制することができ、これにより加工設備の耐久性も向上できる。
また、ロータ60とベーン61〜64は一体に成形される。よって、部品点数を削減できるとともに、加工や組付けのコストを低減できる。具体的には、これらは一体に型成形されるため、加工がより容易である。なお、粉末冶金法によらず、押出成形によりベーン部材6(粗材Q1)を一体に型成形してもよい。ここで、ベーン部材6の粗材状態(Q1)とは、粉末冶金法(焼結工法)を用いる場合は圧粉体となり、押出成形を用いる場合は押出材となる。ベーン部材6の材料は特に限定されない。鉄系金属材料のほか、アルミ系金属材料を用いることも可能である。また、ベーン部材6を型により一体成形するのではなく、他の方法(例えば鋳造や鍛造)により一体成形してもよい。また、ロータ60とベーン61〜64を一体成形せず、別部材としてもよい。
複数の凹部(軸方向溝617〜647)は、連通溝(環状溝505)を成形する前の工程において、ロータ60を型成形する際に同時に型成形される。すなわち、各凹部(軸方向溝617〜647)を個別に成形するのではなく、ロータ60を成形する際に複数同時に型成形するため、工数及び製造時間を短縮して、専用の加工工程や設備を追加的に設けずに済む。なお、連通溝(環状溝505)と異なり、複数の凹部(軸方向溝617〜647)は、ロータ60の外周600に形成されるため、金型によって成形することが容易である。また、凹部としての軸方向溝617〜647はロータ60の軸方向に延びるため、粉末冶金法によらず押出成形によった場合でも成形することが可能である。
具体的には、複数の進角側油溝515〜518は、粗材状態(Q1)で成形される。すなわち、ベーン部材6を型成形する際に同時に型成形される。よって、ベーン部材6に各作動室(進角室A1〜A4)への給排通路を設ける際、例えば複数の孔を個別にドリル加工する場合とは異なり、専用の加工工程や設備を追加的に設けずに済む。したがって、遅角側油孔506〜509を成形する場合と同様、製造コストを低減できる。複数の連通溝(進角側油溝515〜518)は、連通溝(環状溝505)と異なり、ベーン部材6の端面に形成されるため、金型によって成形することが容易である。
なお、進角側油溝515〜518を設ける代わりに、進角側油孔を設けることとしてもよい。例えば、凹部(軸方向溝617〜647)をX軸方向全範囲には設けず、少なくとも環状溝505に対応するX軸方向位置に部分的に設ける一方、ロータ外周面600に別途各進角室に開口する凹部(軸方向溝)を型成形等によりX軸方向所定位置に設け、さらにカムシャフト挿通孔601の内周には上記各進角室に開口する凹部(軸方向溝)と径方向で重なる位置に(環状溝505とは別の)環状溝を切削加工等により設けることで、各進角側油孔を各進角室に開口させることとしてもよい。この場合も、各進角側油孔をドリル加工する場合に比べて、成形の手間や加工時間を削減することができる。これに対し、本実施例1のように、進角側給排通路として油孔を設ける代わりに油溝515〜518を設けた場合、上記のようにスペース的に有利であるとともに、上記環状溝も成形する必要がない。すなわち、ベーン部材6の端面に径方向溝を成形するだけでよいため、より効果的に成形の手間や製造時間を削減できる。
溝515〜518は、各作動室においてベーン61〜64に近い側、具体的には各ベーン61〜64の根元に形成されている。よって、溝515〜518が設けられた各作動室(進角室A)の容積が小さくなる方向にベーン部材6がハウジングHSGに対して相対回転し、ベーン61〜64がそれぞれシュー11〜14に近づいても、溝515〜518の各進角室Aへの開口はハウジングHSG(シュー11〜14の先端)によって塞がれにくく、開口状態を保つことが容易である。したがって、各作動室(進角室A)への作動油の給排口を確保して装置1の制御性を担保しつつ、ベーン部材6の相対回転角度の範囲をできる限り大きな値に設定して、装置1のバルブタイミング制御範囲を拡大することが可能である。具体的には、各進角室Aの容積が小さくなる遅角方向にベーン部材6が最大限相対回転し、第1ストッパ部により回転が規制された状態(図3の最遅角位置)でも、各溝515〜518はシュー11〜14の先端によって完全には覆われず、各進角室A1〜A4へ開口する。なお、必要に応じて、各溝515〜518をベーン61〜64の根元ではなく、ベーン61〜64から周方向で若干離れた所定位置に設けてもよい。
また、X軸正方向側から見て、溝515〜518は、ロータ外周面600だけでなく、部分的に各ベーン61〜64の周方向側面にも開口している。これにより、ベーン部材6の反時計回り方向(進角側)への回転範囲を拡大しつつ各溝515〜518の進角室A1〜A4への開口を確保することを容易にしている。ここで、溝515〜518はベーン部材6のX軸負方向端面から所定深さまでしか設けられていないため、各ベーン61〜64の根元部分における強度を低下させるおそれは少ない。
なお、ベーン部材6の端面に形成される複数の油溝が遅角室に連通し、ロータ外周の凹部(軸方向溝)とロータ内周の連通溝(環状溝)とにより開口成形される複数の油孔が進角室に連通することとしてもよい。また、カムシャフト側のオイル給排部を1つのみ設け、一対設けないこととしてもよい。すなわち、上記複数の油溝と上記複数の油孔の一方を省略することとしてもよい。この場合、オイル給排部から進角室又は遅角室の一方にオイルを給排することで初期位置からベーン部材6を相対回転させる。オイルが給排されない側の作動室には付勢部材(例えばコイルスプリング)を設置しておけば、初期位置にベーン部材6を付勢して戻すことができる。さらに、進角室のみにオイル給排部からオイルを給排し、遅角室には付勢部材を設置しないこととしてもよく、この場合、フリクション(交番トルク)により、遅角側(従動側)の初期位置にベーン部材6が戻ることになる。
また、装置1ではフロントプレート8に大径孔80を設けているため、カムボルト31を締結することが容易である。すなわち、組み立てられた装置1のユニット(のベーン部材6)をカムシャフト3に取り付ければ、ハウジングHSGのX軸正方向側(フロントプレート8側)に、大径孔80によって開口部ができる。この開口部からカムボルト31を挿入して回転させるだけで、ベーン部材6をカムシャフト3に締結固定することが可能である。よって、カムシャフト3への装置1の取り付けを容易化できる。なお、大径孔80を介した開口部により、ロックピストン71の背圧逃がし部も同時に構成できる。
以下、実施例1の内燃機関のバルブタイミング制御装置及びその製造方法が奏する効果を列挙する。
(1)装置1は、クランクシャフトから回転が伝達され、内部に複数の作動室を有するハウジング部材(ハウジングHSG)と、ハウジング部材内に相対回転可能に設けられると共に、カムシャフト3が挿入されて固定されるカムシャフト挿通孔601が設けられたロータ60と、ロータ60の外周側に突出するように設けられ、それぞれの作動室を進角作動室(進角室A)と遅角作動室(遅角室R)に区画する複数のベーン61〜64と、進角作動室又は遅角作動室の少なくとも一方(遅角室R)に面するロータ60の外周面600に、内周側に窪むようにそれぞれ設けられた複数の凹部(軸方向溝617〜647)と、カムシャフト挿通孔601の内周面であって、カムシャフト3内を経由して給排されるオイルの給排部(環状溝504)と連通可能な位置に設けられ、複数の凹部同士を連結する連通溝(環状溝505)と、を備えた。
よって、進角作動室又は遅角作動室の少なくとも一方(遅角室R)にオイルを分配する複数のオイル通路を形成することが容易であり、製造を容易化できる。
よって、進角作動室又は遅角作動室の他方(進角室A)にオイルを分配する複数のオイル通路を形成することが容易である。また、装置1を軸方向に小型化することが可能である。
よって、ベーン部材6の相対回転を規制する構成(第1ストッパ部)を簡便化しつつ、ベーン部材6の耐久性を向上できる。特に、ロータ60とベーン61〜64が一体に成形され、かつ凹部(軸方向溝627〜647)が上記他のベーン62〜64の根元に形成されている場合、有効である。
よって、装置1の大型化を抑制しつつ簡便なロック機構7を設置して、機関始動時の異音の発生等を抑制できる。幅広のベーン61にストッパピストンを設けることで、上記(7)の効果を同時に得ることができる。
よって、複数の凹部を同時に型成形し、溝を環状に加工するだけで複数のオイル通路を同時に貫通形成することができるため、工数を削減し、加工時間を短縮できる。
よって、複数の分配溝を同時に型成形することで、製造コストを低減できる。
図8に示すように、カムシャフト端部30には、環状の溝514,504が設けられておらず、端部30の外周面には径方向通路503,513が開口している。径方向通路503は、ベーン部材6の環状溝505に直接連通している。
図9に示すように、ロータ60の内周側には溝519が設けられている。溝519は、カムシャフト挿通孔601におけるX軸負方向側の開口端の内周面に周方向全範囲にわたって形成された環状溝であり、換言すると、ロータ60のX軸負方向端面においてカムシャフト挿通孔601の周囲に形成されている。溝519は、溝515〜518や溝617〜647等と同時に、型出し工程において型成形される。
溝519は、端部30がカムシャフト挿通孔601に挿入された状態で、端部30の径方向通路513と径方向で対向する位置に設けられている。溝519には溝515〜518が接続されており、各溝515〜518の内径側が溝519に開口している。進角側油溝515〜518は、環状溝519を介して、互いに連通している。溝519は、溝515〜518とともに、進角側油溝を構成している。溝519は、カムシャフト挿通孔601の内周面から外径方向に所定深さまで、具体的には、環状溝505よりも浅く、ロータ外周面600に形成された軸方向溝617〜647と重ならず連通しない深さまで、形成されている。溝519のX軸方向寸法(ロータ60のX軸負方向端面からのX軸方向深さ)は、溝515〜518と同様に設けられている。進角通路51内のオイルは、カムシャフト3の径方向通路513、ベーン部材6の環状溝519、及び各進角側油溝515〜518を通って、各進角室A1〜A4に供給され、これと逆方向の経路で、各進角室A1〜A4内のオイルが排出される。
実施例2では、カムシャフト端部30の環状溝514,504を省略したため、これらを加工する手間(工数)を省略して、実施例1よりも製造コストを低減することが可能である。例えば、環状溝519は、カムシャフト側のオイル給排部(径方向通路513)と、各作動室(進角室A1〜A4)に連通する複数の通路515〜518とを連結する連通溝(中継のハブ通路)の機能を果たすため、カムシャフト3の外周面に上記連通溝(ハブ通路)を設けることを省略してもよい。本実施例2では、環状溝519を、ロータ径方向でオイル給排部(径方向通路513)と対向するX軸方向位置に設けたが、オイル給排部(径方向通路513)と連通可能なX軸方向位置であればよく、厳密に対向する位置に限らない。対向する位置に設ければ、径方向通路513と環状溝519を接続する流路面積を最大とすることができ、効率がよい。なお、端部30に実施例1と同様の環状溝514,504を設けることで、流路面積の拡大を図ることは妨げられない。
実施例2では、環状溝519を設けたため、この分だけ、実施例1よりも装置1(ベーン部材6)の軽量化を図ることが可能である。
また、溝519は、ロータ60を型成形する際に溝515〜518等と同時に型成形される。よって、工数及び製造時間を短縮して、専用の加工工程や設備を追加的に設けずに済む。なお、環状溝505と異なり、溝519は、ロータ60の端面に形成されるため、金型によって成形することが容易である。環状溝519を、カムシャフト挿通孔601の内周を加工する切削工程において、環状溝505とともに旋盤加工により形成することとしてもよい。この場合も、製造を容易化することができる。
なお、溝519を、カムシャフト挿通孔601の内周面から外径方向に、環状溝505と同程度の深さまで設けるとともに、周方向で軸方向溝617〜647に対応する部位(径方向から見て軸方向溝617〜647と重なる位置)のみ浅く設け、この部位で溝519と軸方向溝617〜647が連結(連通)しないようにしてもよい。また、軸方向溝617〜647を、(X軸方向で溝505に対応する部位には設けつつ)溝519に対応する部位(径方向から見て環状溝519と重なる位置)には設けず、その一方で、溝519を、カムシャフト挿通孔601の内周面から外径方向に、環状溝505と同程度の深さまで設けることとしてもよい。この場合も溝519と軸方向溝617〜647とが連結(連通)することを抑制しつつ、環状溝519を介した流路面積を拡大することが可能である。
装置1の製造方法では、カムシャフト挿通孔601の開口端におけるオイル給排部(径方向通路513)と対向する内周を環状溝519に溝加工して、複数の分配溝(進角側油溝515〜518)同士を連通する。
よって、製造コストを低減することが可能である。
以上、本発明を実現するための形態を、実施例1、2に基づいて説明してきたが、本発明の具体的な構成は実施例1、2に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。例えば、実施例1、2では、ロータ60に設ける孔601は、カムシャフト3の端部30(挿通部301)が挿入されて固定されるカムシャフト挿通孔であることとしたが、孔601には、カムシャフト3それ自体ではなく、カムシャフト3とともに回転する別部材(油路構成部材)を挿入設置することとしてもよい。
3 カムシャフト
60 ロータ
600 ロータ外周面
601 カムシャフト挿通孔
617〜647 軸方向溝(凹部)
61〜64 ベーン
504 環状溝(オイル給排部)
505 環状溝(連通溝)
HSG ハウジング(ハウジング部材)
A1〜A4 進角室(進角作動室)
R1〜R4 遅角室(遅角作動室)
Claims (2)
- クランクシャフトから回転が伝達され、内部に複数の作動室を有するハウジング部材と、
該ハウジング部材内に相対回転可能に設けられると共に、カムシャフトが挿入されて固定されるカムシャフト挿通孔が設けられたロータと、
該ロータの外周側に突出するように設けられ、それぞれの前記作動室を進角作動室と遅角作動室に区画する複数のベーンと、
前記進角作動室又は前記遅角作動室の少なくとも一方に面する前記ロータの外周面に、内周側に窪むようにそれぞれ設けられた複数の凹部と、
前記カムシャフト挿通孔の内周面であって、前記カムシャフト内を経由して給排されるオイル給排部と連通可能な位置に設けられ、前記複数の凹部同士を連結する連通溝と、
を備えたことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。 - クランクシャフトから回転が伝達され、内部に複数の作動室を有するハウジング部材と、
該ハウジング部材内に相対回転可能に設けられると共に、カムシャフトが挿入されて固定されるカムシャフト挿通孔が設けられたロータと、
該ロータの外周側に突出するように設けられ、それぞれの前記作動室を進角作動室と遅角作動室に区画する複数のベーンとを備え、
前記カムシャフト内を経由して給排されるオイル給排部から前記進角作動室又は前記遅角作動室の少なくとも一方にオイルを給排することでバルブタイミングが変更される内燃機関のバルブタイミング制御装置の製造方法であって、
前記進角作動室又は前記遅角作動室の少なくとも一方に面する外周面に、内周側に窪む複数の凹部が同時に形成されるように前記ロータを型成形し、
前記カムシャフト挿通孔における前記オイル給排部と対向する内周位置を環状溝に溝加工して、前記複数の凹部同士を連通する
ことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置の製造方法。
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