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JP2011137348A - 溝上部構造の改修工法と切削円盤と溝蓋設置方法 - Google Patents

溝上部構造の改修工法と切削円盤と溝蓋設置方法 Download PDF

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JP2011137348A JP2009299291A JP2009299291A JP2011137348A JP 2011137348 A JP2011137348 A JP 2011137348A JP 2009299291 A JP2009299291 A JP 2009299291A JP 2009299291 A JP2009299291 A JP 2009299291A JP 2011137348 A JP2011137348 A JP 2011137348A
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Abstract


【課題】 本発明は、切削作業や蓋設置作業が容易で、効率よく改修工事ができる、溝上部構造の改修工法とその工法に用いる切削工具と溝側壁上部の切削除去後の新たな溝蓋の設置方法の提供を目的とする。
【解決手段】本発明の溝上部構造の改修工法は、円盤の側面にダイヤモンド細粉が施された切削円盤を用い、溝内幅よりも大径の回転する前記切削円盤を両溝側壁に掛け渡るように水平に維持させたまま垂直下方に押し下げながら当該両溝側壁の各々の内側を断面半月状に切削して行き、所望の深さ位置で一方の溝側壁の上部部分を水平に切り離すべく、当該一方の溝側壁の厚み方向に水平に切り込み、切り込んだ状態のままで当該溝側壁の延在方向に切断して行くことで、当該一方の溝側壁の上部部分を除去可能に切断することを特徴とする。
【選択図】 図3

Description

本発明は、溝上部構造の改修工法とその工法に用いる切削円盤とその工法による溝蓋設置方法であって、道路の側溝等の溝、例えば、両側の溝側壁のみがコンクリート製の溝或いは溝が断面コ字型のコンクリート製の溝等、既設のコンクリート製溝の上部構造の改修工事の工法に関し、詳しくは、溝の溝側壁上部を除去可能に切削する工法とその工法に用いる切削工具と溝側壁上部の切削除去後に行われる新たな溝蓋の設置方法とに関する。
既設のコンクリート製溝(以下、溝ともいう)、例えば道路の側溝等においては、路肩に設けられた溝の溝側壁(以下、溝側壁ともいう)の上部部分の破損が多く、これが破損すると、溝の蓋の治まりが悪くなって更に破損領域が拡大し易くなり、ガタツキによる騒音の発生という不都合が生じるため、破損具合に応じて、溝の両溝側壁の上部部分を溝の延在方向にわたって切削除去(以下、切削工法ともいう)して新たな蓋を設置(以下、蓋設置工法ともいう)する改修工事が行われている。
従来の一般的な改修工事は図10〜図18の工程順で行われる。
尚、図中に示す楕円形10A、10Bは、一般的に使用されている切断用の切削円盤であって、これらは円盤駆動機構を備えた切断装置に取り付けられて用いられものであるが、図では切断装置を省略してある。
先ず、従来の切削工法を図10〜図15に基づいて説明する。
図10において、溝1の内幅より小径の切削円盤10A(以下、小径切削円盤ともいう)を溝内に水平に挿入する。
次に図11において、この小径切削円盤10Aを一方の溝側壁2の内側から外側に向かって当該溝側壁2の幅の途中まで水平に切り込ませて、この切り込ませた状態のまま溝1の延在方向に水平に移動させて切削して行き、当該溝側壁2の厚さの途中の深さに達する一次切り込み11Aを形成する。
次に図12において、他方の溝側壁3にも前記図11で説明した工程と同様にして一次切り込み11Aを形成した後、後述の図13の工程で説明する切り離し用の大径の切削円盤10B(以下、大径切削円盤ともいう)を溝内に水平に挿入するため、溝側壁2の一部を一次切り込み部分即ち切断部分(切削面)11Aの深さまで、上方からハンマー等を用いて破壊する。
次に図13において、他方の溝側壁3の相対部分も前記図12で説明した工程と同様に破壊し、両破壊部分で大径切削円盤10Bを挿入するための破壊穴12(12、12)を形成する。
次に図14において、破壊穴12から大径切削円盤10Bを溝内に挿入し、両溝側壁2、3の一次切り込み11Aに当該大径切削円盤10Bの刃を入れ、溝側壁2をその厚み方向に深く当該溝側壁2の外側に達するまで切り込ませて、そのまま溝1の延在方向に移動させながら二次切込み11Bを形成し、一次切込み11Aと二次切り込み11Bとの形成で、両溝側壁2、3の上部部分を溝1の本体から完全に切り離す。
次に、蓋設置工法を、図15〜図18に基づいて説明する。
図15において、前記図14で説明した工程で、切り離された溝側壁上部部分は、適当な手段で除去する。例えば破砕機で粉砕しての除去でもよいし、クレ−ンの吊り上げで除去してもよい。
次に図16において、溝側壁上部部分が除去されて平らに整えられた両溝側壁2、3の切断面即ち切削面23、33に、後述の図18で説明する蓋100の設置面(下面)側に当該蓋100と一体的に成形して設けられた契合突起が挿入される嵌合穴13、13、13、13を穿設する。
次に図17において、切削面23、33の全面にわたって均等の厚さに接着剤を塗布する。
全面でなく部分的であったり、厚さが均等でなかったりすると、蓋100の設置が不安定となって、ガタツキが生じ易く、設計予定外の早期破損の不都合を生ずるため、特に、注意を要する。従来、接着剤として生コンクリートが用いられていたため、均等化が難しく、コンクリート型枠を設ける等の手間を要していたのである。
最後に、図18において、蓋100の設置面側(下面側)に一体的に設けられた契合突起(図示せず)を溝側壁2、3の切削面23、33に形成した嵌合穴13、13、13、13に嵌め合わせるようにして、蓋100を被せて設置を終える。
上記従来の切削工法では、切削円盤を小径と大径との2種類を用意して用いなければならない上に、図示されていない切断装置への前記それぞれの切削円盤の面倒な取替え作業が頻繁に必要となってしまうし、一次切り込み形成後に更に二次切り込み作業が必要となる上、大径切削円盤を用いるため、当該大径切削円盤を溝内に水平に差し入れように別途に破壊穴の作成作業も必要となる、という不都合があった。
又、上記従来の蓋設置工法では、両溝側壁の切削面に蓋の契合突起と合致する嵌合穴を所定位置に設けねばならず、嵌合穴の穿設位置に正確さが要求される上、蓋は所定位置に契合突起が設けられた特殊で専用の蓋を用意せねばならないし、接着剤の切削面への全面塗布作業では接着剤の溝内への流れ込みを防止を考慮したり、均等厚みでの塗布という、面倒で緊張を要する作業を要求される上、塗布された切削面への蓋の被せ作業にも同様の慎重さが要求されるため、作業にやり直しが多くなって、作業効率の面でも不都合があった。
本発明は、上記課題の解決を目的としてなされたもので、切削作業や蓋設置作業が容易で、効率よく改修工事ができる、溝上部構造の改修工法とその工法に用いる切削工具と溝側壁上部の切削除去後の新たな溝蓋の設置方法の提供を目的とする。
本発明は、前記目的を達成するためになされたもので、
請求項1の溝上部構造の改修工法の発明は、円盤の側面にダイヤモンド細粉が施された切削円盤を用い、溝内幅よりも大径の回転する前記切削円盤を両溝側壁に掛け渡るように水平に維持させたまま垂直下方に押し下げながら当該両溝側壁の各々の内側を断面半月状に切削して行き、所望の深さ位置で一方の溝側壁の上部部分を水平に切り離すべく、当該一方の溝側壁の厚み方向に水平に切り込み、切り込んだ状態のままで当該溝側壁の延在方向に切断して行くことで、当該一方の溝側壁の上部部分を除去可能に切断することを特徴とする。
請求項2の溝上部構造の改修工法の発明は、円盤の側面にダイヤモンド細粉が施された切削円盤を用い、溝内幅よりも大径の回転する前記切削円盤を両溝側壁に掛け渡るように水平に維持させたまま垂直下方に押し下げながら当該両溝側壁の各々の内側を断面半月状に切削して行き、所望の深さ位置で一方の溝側壁の上部部分を水平に切り離すべく、当該一方の溝側壁の厚み方向に水平に切り込み、切り込んだ状態のままで当該溝側壁の延在方向に切断した後、他方の溝側壁の上部部分も水平に切り離すべく、当該他方の溝側壁の厚み方向に水平に切り込み、切り込んだ状態のままで当該他方の溝側壁の延在方向に水平に切断して行くことで、溝の両溝側壁の上部部分を切除可能に切断することを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項2の溝上部構造の改修工法において、一方の溝側壁の延在方向に切断した後、前記切断終了位置において相対する他方の溝側壁の厚み方向に水平に切り込むことを特徴とする。
請求項4の請求項3の溝上部構造の改修工法の発明は、他方の溝側壁の厚み方向に水平に切り込んで、当該他方の溝側壁の断面半月状の切削部位に向けて当該他方の溝側壁の延在方向に水平に切断して行くことを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項4の溝上部構造の改修工法において、両溝側壁の断面半月状の切削部位において切削円盤を上方に引き上げて溝から外すことを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項1乃至請求項5の何れかの溝上部構造の改修工法において、切削円盤は外周縁にノコ刃を備えた円盤を用いることを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項1乃至請求項6の何れかの溝上部構造の改修工法において、ダイヤモンド細粉が円盤の両側面に施された切削円盤を用いることを特徴とする。
請求項8の切削円盤の発明は、円盤の外周縁にノコ刃を備えると共に円盤の少なくとも一方の側面にダイヤモンド細粉が施されたことを特徴とする。
請求項9の切削円盤の発明は、円盤の外周縁にノコ刃を備えると共に円盤の両側面にダイヤモンド細粉が施されたことを特徴とする。
請求項10の溝蓋設置工法の発明は、請求項1乃至請求項7に記載の何れかの切削工法によって平面状に切削された両溝側壁の切削面上の、新たに被せられる溝蓋の少なくとも四隅の位置に、各々前記切削面と蓋の下面との所定間隙を確保する間隙スペーサ部材を配置して溝蓋を安定設置することを特徴とする。
請求項11の発明は、請求項10に記載の溝蓋設置工法において、両溝側壁の各切削面上の溝側の縁に沿って、前記接着面上に施される接着剤の溝内への流入を防止する長尺仕切部材を各々配置することを特徴とする。
請求項12の発明は、請求項11に記載の溝蓋設置工法において、長尺仕切部材は溝蓋の重みを受けて圧縮する有弾性部材であることを特徴とする。
請求項13の発明は、請求項12に記載の溝蓋設置工法において、有弾性部材はスポンジであることを特徴とする請求項12に記載の溝蓋設置工法。
請求項14の発明は、請求項10乃至請求項13の何れかに記載の溝蓋設置工法において、間隙スペーサ部材と長尺仕切部材との配置部分を除く切削面上に施される接着剤はモルタルであることを特徴とする。
請求項15の発明は、請求項10乃至請求項14の何れかに記載の溝蓋設置工法において、溝側壁の切削面と溝蓋の下面との両面に互いの開口部が合致する凹部を穿ち、前記溝蓋を切削面に被せた際に前記両凹部に上下側部分が収まる嵌合部材を介在させて溝蓋の水平移動を防止することを特徴とする。
請求項16の発明は、請求項15に記載の溝蓋設置工法において、凹部は穿孔ドリル穴で、嵌合部材は前記穿孔ドリル穴に収まる棒材であることを特徴とする。
請求項17の発明は、請求項16に記載の溝蓋設置工法において、棒材は金属製棒材又は合成樹脂製棒材であることを特徴とする。
請求項1乃至請求項17の各発明によれば、何れも、従来のように小径と大径の2種類を切削円盤を用意する必要がなく、溝幅より径の大きな大径の切削円盤1種のみ用いれば済むので、従来のような大径切削円盤挿入用の破壊穴を別途作業で穿つ必要が無い上、面倒で煩雑な切削円盤の交換作業も無用となり、一度の切り込み作業で、切除目的の溝側壁上部部分を切除可能に切断することができ、切削作業を従来に較べて飛躍的に効率のよい溝上部構造の改修工事を行うことができる。
又、請求項10乃至請求項17の各発明によれば、何れも、従来の蓋設置工法とは異なり、溝蓋に契合突起のような成型加工を施す必要が無く、従って単純で凡用可能な平板形状の物を溝蓋として用いることができ、コスト削減と作業工程の削減ができる。
又、請求項10乃至請求項17の各発明によれば、何れも、接着剤が塗布された切削面への溝蓋の被せ作業が容易となる。
又、請求項10乃至請求項14の発明によれば、間隙スペーサ部材を用いることにより接着剤の均等厚みでの塗布作業が容易となる。
又、請求項11乃至請求項14の各発明によれば、何れも、接着剤の切削面への全面塗布作業において、接着剤の溝内への流れ込みが手軽で容易に防止できる。
以下、本発明を実施するための最良の形態として、道路の側溝に一般的に用いられる断面コ字型のコンクリート製溝の溝上部構造の改修工法とその工法において用いる切削円盤とその工法における溝蓋設置方法について、図1に基づいて説明する。
実施例の図1〜図9は、道路の側溝である両溝側壁の上部部分の切除から溝蓋を設置するまでの改修工程の第1工程から第8工程をほぼ工程順に模式的に示したもので、大別すると図1に示す第1工程から図4に示す第4工程までが切除工程、図5に示す第5工程〜図9に示す第8工程までが溝蓋設置工程である。
図1に示す第1工程において、図示の溝1は、既設の溝であって、既設の古い溝蓋(図示せず、以下これを旧溝蓋ともいう)を取り外した状態を示した斜視図である。尚、図中に示す両溝側壁2、3の上部内側の段差21、31は旧溝蓋の縁が納められていた受部(21、31)である。
図中の符号4はこの実施例で用いる切削円盤である。
この切削円盤4は、円盤4の一方の側面である下面側に図示していないダイヤモンド細粉がほぼ全面的に施されたもので、図示されていない回転駆動装置に着脱自在に取り付けられ、円盤の回転軸方向に回転する円盤のダイヤモンド細粉が施された面側(図示の例では下面)を被切削物例えばコンクリート面に押し付け行くことにより、当該コンクリート面が円形に切削されていき、当該円盤の外径に相応する内径の所望の深さの円筒状の凹穴或いは貫通穴を穿つ機能を備えたものである。以下、このような機能を備えた円盤と当該円盤を回転駆動する機構を備えた装置を円形穴穿設装置ともいう。
尚、切削円盤4として、この実施例では、円盤4の少なくとも一方の側面(この例では下面)にダイヤモンド細粉が施された切削円盤を用いているが、これに限らず、円盤4の両側面(上面及び下面)にダイヤモンド細粉が施された切削円盤(図示せず)を用いてもよいし、更に、前記の一方或いは両方の側面にダイヤモンド細粉を施して設けた円形穿設用円盤において、当該円盤4の外周縁にノコ刃を設けて切断ブレードとしても使用できる切削円盤(図示せず)を用いてもよい。
以下、この様な切削円盤を特殊切削円盤ともいう。又、このように円盤側面側での切削が可能な切削円盤を面切削円盤ともいう。
さて再び、図1の第1工程において、ここで使用する切削円盤4は、上記の通り円盤41の下面側にダイヤモンド細粉が施された切削円盤であり、図示のように、使用対象の溝1の内幅よりも径が大きく、両溝側壁2、3に掛け渡るが料側壁2、3外側即ち当該溝1の溝の幅外径より小さくて円盤4の半径が側壁の幅よりも大きい、大径の切削円盤を用いている。
この切削円盤4を図示されていない回転駆動装置に装着して、当該切削円盤4を両溝側壁2、3に掛け渡るように水平に維持させたままで回転させながら垂直下方に押し下げて行く。以下、この工程を垂直切削工程ともいう。
次に、図2に示す第2工程において、切削円盤4を両溝側壁2、3に掛け渡るよう水平にして、回転させながら垂直下方に押し下げて行と、図に示すように、両溝側壁2、3の各々の内側が、水平断面において半月状22、32で、垂直方向からみると半割筒状に切削される。以下、この切削形状を断面半月状ともいう。
図3に示す第3工程において、前記垂直切削工程即ち図1の第1工程において、所望の深さ位置に達したら、即ち、溝の深さ方向において、溝側壁2、3の上部部分を水平に切り離す位置に達したら、何れか一方の溝側壁2(同図においては左の溝側壁3)の厚み方向に、その位置から水平に円盤4を回転駆動させながら切り込み、更に切り込んだ状態のままで当該溝側壁2の延在方向に切断して行く。こうして、先ずは、何れか一方の溝側壁2の上部部分を除去可能に水平に切断する。
この切断部を図中の符号41で示す。以下、この溝側壁2の上部部分を除去可能に水平に切断する作業を水平切断工程ともいう。
図4に示す第4工程において、図4は左右の溝側壁2、3を水平切断して各々の上部部分を除去した状態を示す。
即ち、先の水平切断工程(第3工程)で、一方の溝側壁2を水平切断したら、水平切断しながら達した任意の位置、即ち、図3の第3工程において除去すべき当該一方溝側壁2の上部部分の延在長さ分の位置まで達したら、その到達位置において、円盤4を回転させながら、他方の溝側壁3(図3において右の溝側壁)の厚さ方向に水平に切り込み、更に切り込んだ状態のままで当該溝側壁3の延在方向、即ち、断面半月状の切削位置即ち断面半月状の切削部位32まで切断して行く。
このように、一方の溝側壁2(左)の延在方向に切断した後、当該切断終了位置において相対する他方の溝側壁3(右)の厚み方向に水平に切り込んで、更に延在方向に水平切断して行く。この水平切断工程は、実質的には先に述べた左の溝側壁2の水平切断工程と同様であるので、図示は省略する。
両溝側壁2、3の断面半月状の切削部位22、32において切削円盤4の回転を止めて垂直上方に引き上げることで、切削円盤4を溝1から容易に外すことができる。
こうして、左右の溝側壁2、3を水平切断して各々の上部部分を、適宜な常套手段で除去すると、左右の溝側壁2、3の水平切断部分(41)が図4に示すような平らな切削面23、33となる。
尚、除去可能に既設溝から分断される溝の上部部分は、必要に応じて適宜な常套手段を用いた除去補足準備作業工程が必要となる場合がある。
例えば、一方の溝側壁2(左)の延在方向に所要長さ切断し終えた切断終了位置において、切断終了位置から先に未切断の上部部分が残る場合には、当該切断終了位置において、適宜切断用の切削円盤を用いて垂直方向に切断しておく。
又、例えば、一方の溝側壁2(左)の切断終了位置に相対する他方の溝側壁2(右)の厚み方向に切り込みを受けた部位(以下、この部位を相対切断終了位置ともいう)においても、断面半月状と反対側方向に未切断の上部部分が残る場合には、当該相対切断終了位置において、適宜切断用の切削円盤を用いて垂直方向に切断しておく。
更に、例えば、両溝側壁2、3の断面半月状の切削部位22、32にも上部部分が残存して延在する場合にも、適宜切断用の切削円盤(図示せず)を用いて垂直方向に切断しておく。これらの、必要に応じての除去補足準備作業工程によって、除去対象の溝側壁2、3の上部部分が既設溝1から撤去可能な分離状態に切断される。
この実施例で用いる切削円盤4は一方の円盤側面即ち下面側にダイヤモンド細粉が施された切削円盤を用いているが、両側面に施された切削円盤(図示せず)を用いてもよいし、更に、これらの切削円盤自体の外周縁にノコ刃を備えた円盤、即ち鋸刃付切削円盤(図示せず)を用いてもよく、鋸刃付の切削円盤を用いれば、上記水平方向の切断が一段と効率のよい作業となる。
この実施例によれば、溝1の内幅より径が大きく溝の外幅よりは径の小さな特殊な切削円盤4という1種のみを用いれば済むので、従来のように、小径と大径の2種の切削円盤10A、10Bを用意する必要がなく、しかも、これら2種の切削円盤10A、10B即ち俗に言う丸鋸の煩雑な交換作業も無用となり、大径切削円盤挿入用の破壊穴12、12(図13)を別途作業も無用となる上、一度の切り込み作業で、切除目的の溝1の側壁2、3の上部部分を概ね切除可能に切断することができるから、除去対象の溝上部部分を除去可能な分離状態にする切削作業を従来に較べて飛躍的に効率よく行うことができ、溝上部構造の改修工事を容易に短期作業化することができ、且つ効率的を行うことができる。
次に、図5の第5工程〜図9の第9工程に基づいて、溝上部部分の撤去後に行われる溝蓋設置工法について説明する。
先ず、図5の第5工程において、平面状に切削された両溝側壁2、3の切削面23、33即ち後述する蓋10(図7〜図9)の下面側が接着される接着面上に被せられる予定の蓋即ち溝蓋10の少なくとも四隅若しくは四隅の近傍に置かれる予定の位置に、各々前記切削面23、33と蓋10の下面との間に、接着剤(図示せず)を塗布するに必要な所定間隙を確保するための間隙スペーサ部材5、5、5、5を少なくとも乗せ置くように配置しておく。以下、これを間隙スペーサ部材配設工程ともいう。
尚、この間隙スペーサ部材5、5、5、5の下面側にも適宜な接着剤(図示せず)を施してもよい。このような間隙スペーサ部材用接着剤を用いると、間隙スペーサ部材5、5、5、5の配置位置がより確実に保持されるので、他の作業によって引き起こされ易い位置ずれによる位置直し作業等の余計な作業が無用となる。
次に、図6及び図7に示す第6工程において、両溝側壁2、3の各切削面23、33即ち接着面(23、33)上の溝内側の縁に沿って、この接着面上に施される蓋用の接着剤(以下、蓋用接着剤ともいう)が溝1の内(溝内)へ流入するのを防止するために、堰止め用の長尺仕切部材6、6を各々配置する。以下、これを堰止用長尺部材配置工程ともいう。
この工程に用いる長尺仕切部材6、6、は溝蓋10の重みを受けて圧縮する有弾性部材を用いるのが好適であり、この例では合成樹脂製のスポンジを用いている。
尚、この長尺仕切部材6、6の下面側にも、間隙スペーサ部材5、5、5、5と同様に、適宜な接着剤(図示せず)を施してもよい。このような仕切部材用接着剤を用いると、間隙スペーサ部材5、5、5、5の場合と同様に、長尺仕切部材6、6の配置位置がより確実に保持されるので、他の作業によって引き起こされ易い位置ずれによる位置直し作業等の余計な作業が無用となる。
次に、図8に示す第7工程において、溝側壁2、3の切削面23、33と溝蓋10の下面との両面に、互いの開口部が合致する蓋ずれ防止手段を構成する一方の構成要素として切削面側に凹部7、7、7、7を、他方の溝蓋10の下面側には図8で想像線で示す受穴を穿ち、前記の溝蓋10を当該切削面23、33、に被せた際に前記切削面側の両凹部7、7、7、7(切削面側の凹部のみ図示)と前記想像線で示す受穴とに、棒状の上下側部分が各々収まる蓋ずれ防止手段を構成する他方の構成要素としての嵌合部材8、8、8、8を介在させるように配置する。
これにより、被せられた溝蓋10が水平移動即ち位置ずれが防止される。以下この作業工程を溝蓋位置固定工程ともいう。
この実施例では、蓋ずれ防止手段としての凹部7、7、7、7及び受部は穿孔ドリルで穴あけしてあり、蓋ずれ防止手段としての嵌合部材8、8、8、8は前記穿孔ドリル穴7、7に収まる棒材を用いているが、勿論これに限らず、例えば、凹部を箱状に形成し、嵌合部材は上下の箱状の凹部で形成される箱状空間に収まる箱状ブロック、例えば、市販のサイコロ状のコンクリート製コロであってもよい。
又、実施例の嵌合部剤として棒材8、8、8、8を用いているが、この棒材は鉄筋等の金属製棒材或いは合成樹脂製の棒材(合成樹脂製棒材)を用いてもよい。
次に、及び図9に示す第8工程において、間隙スペーサ部材5、5、5、5と長尺仕切部材6、6との配置部分を除く切削面23、33の平面上に蓋固定用の接着剤(以下、蓋用接着剤ともいう)としてモルタルを全面的に施す(図示せず)。
この場合、蓋用接着剤としてのモルタルの厚さ即ち盛り度合いは、被せられる溝蓋10の下面側に全面的に接触する量とするのが好適である。
尚、蓋用接着剤はモルタルに限らず適宜な接着剤を用いてもよい。
この実施例によれば、従来の蓋設置工法とは異なり、溝蓋に契合突起のような成型加工を施す必要が無く、従って単純で凡用可能な平板形状の物を溝蓋として用いることができ、当該溝蓋10の製造上のコスト削減と作業工程の削減ができるし、平板状の溝蓋10であれば、保管や搬送の際に単純な平積みとすることができるし、蓋用の接着剤が塗布された切削面23、33への溝蓋10の被せ作業も容易となる。
又、間隙スペーサ部材5、5、5、5を用いることにより蓋用の接着剤の均等厚みでの塗布作業が容易となる。
又、長尺仕切り部材6、6を用いることにより切削面23、33への蓋用の接着剤の全面塗布作業において、当該接着剤の溝内への流れ込みが手軽で容易に防止できるので、作業の迅速化を図ることができる。
上記実施例では道路の側溝の溝についての工法を説明したが、これに限らず、本発明は広くコンクリート製の溝の改修工事に適用することができる。
本発明の第1工程を示す斜視図である。 本発明の第2工程を示す斜視図である。 本発明の第3工程を示す斜視図である。 本発明の第4工程を示す斜視図である。 本発明の第5工程を示す斜視図である。 本発明の第6工程を示す斜視図である。 本発明の第6工程を示す正面図である。 本発明の第7工程を示す斜視図である。 本発明の第8工程を示す正面図である。 従来の第1工程を示す斜視図である。 従来の第2工程を示す斜視図である。 従来の第3工程を示す斜視図である。 従来の第4工程を示す斜視図である。 従来の第5工程を示す斜視図である。 従来の第6工程を示す斜視図である。 従来の第7工程を示す斜視図である。 従来の第8工程を示す斜視図である。 従来の第9工程を示す斜視図である。
1 溝
2 溝側壁(左)
22 切削部位(左)
23 切削面(左)
3 溝側壁(右)
32 切削部位(右)
33 切削面(右)
4 切削円盤
41 切断部
5 間隙スペーサ部材
6 長尺仕切部材
7 凹部(溝側壁)
8 棒材(嵌合部材)
10 溝蓋

Claims (17)

  1. 円盤の側面にダイヤモンド細粉が施された切削円盤を用い、溝内幅よりも大径の回転する前記切削円盤を両溝側壁に掛け渡るように水平に維持させたまま垂直下方に押し下げながら当該両溝側壁の各々の内側を断面半月状に切削して行き、所望の深さ位置で一方の溝側壁の上部部分を水平に切り離すべく、当該一方の溝側壁の厚み方向に水平に切り込み、切り込んだ状態のままで当該溝側壁の延在方向に切断して行くことで、当該一方の溝側壁の上部部分を除去可能に切断することを特徴とする溝上部構造の改修工法。
  2. 円盤の側面にダイヤモンド細粉が施された切削円盤を用い、溝内幅よりも大径の回転する前記切削円盤を両溝側壁に掛け渡るように水平に維持させたまま垂直下方に押し下げながら当該両溝側壁の各々の内側を断面半月状に切削して行き、所望の深さ位置で一方の溝側壁の上部部分を水平に切り離すべく、当該一方の溝側壁の厚み方向に水平に切り込み、切り込んだ状態のままで当該溝側壁の延在方向に切断した後、他方の溝側壁の上部部分も水平に切り離すべく、当該他方の溝側壁の厚み方向に水平に切り込み、切り込んだ状態のままで当該他方の溝側壁の延在方向に水平に切断して行くことで、溝の両溝側壁の上部部分を切除可能に切断することを特徴とする溝上部構造の改修工法。
  3. 一方の溝側壁の延在方向に切断した後、前記切断終了位置において相対する他方の溝側壁の厚み方向に水平に切り込むことを特徴とする請求項2の溝上部構造の改修工法。
  4. 他方の溝側壁の厚み方向に水平に切り込んで、当該他方の溝側壁の断面半月状の切削部位に向けて当該他方の溝側壁の延在方向に水平に切断して行くことを特徴とする請求項3の溝上部構造の改修工法。
  5. 両溝側壁の断面半月状の切削部位において切削円盤を上方に引き上げて溝から外すことを特徴とする請求項4の溝上部構造の改修工法。
  6. 切削円盤は外周縁にノコ刃を備えた円盤を用いることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかの溝上部構造の改修工法。
  7. ダイヤモンド細粉が円盤の両側面に施された切削円盤を用いることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかの溝上部構造の改修工法。
  8. 円盤の外周縁にノコ刃を備えると共に円盤の少なくとも一方の側面にダイヤモンド細粉が施されたことを特徴とする切削円盤。
  9. 円盤の外周縁にノコ刃を備えると共に円盤の両側面にダイヤモンド細粉が施されたことを特徴とする切削円盤。
  10. 請求項1乃至請求項7に記載の何れかの切削工法によって平面状に切削された両溝側壁の切削面上の、新たに被せられる溝蓋の少なくとも四隅の位置に、各々前記切削面と蓋の下面との所定間隙を確保する間隙スペーサ部材を配置して溝蓋を安定設置することを特徴とする溝蓋設置工法。
  11. 両溝側壁の各切削面上の溝側の縁に沿って、前記接着面上に施される接着剤の溝内への流入を防止する長尺仕切部材を各々配置することを特徴とする請求項10に記載の溝蓋設置工法。
  12. 長尺仕切部材は溝蓋の重みを受けて圧縮する有弾性部材であることを特徴とする請求項11に記載の溝蓋設置工法。
  13. 有弾性部材はスポンジであることを特徴とする請求項12に記載の溝蓋設置工法。
  14. 間隙スペーサ部材と長尺仕切部材との配置部分を除く切削面上に施される接着剤はモルタルであることを特徴とする請求項10乃至請求項13の何れかに記載の溝蓋設置工法。
  15. 溝側壁の切削面と溝蓋の下面との両面に互いの開口部が合致する凹部を穿ち、前記溝蓋を切削面に被せた際に前記両凹部に上下側部分が収まる嵌合部材を介在させて溝蓋の水平移動を防止することを特徴とする請求項10乃至請求項14の何れかに記載の溝蓋設置工法。
  16. 凹部は穿孔ドリル穴で、嵌合部材は前記穿孔ドリル穴に収まる棒材であることを特徴とする請求項15に記載の溝蓋設置工法。
  17. 棒材は金属製棒材又は合成樹脂製棒材であることを特徴とする請求項16に記載の溝蓋設置工法。
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