JP2011124258A - 窒化物系ダイオード - Google Patents
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Abstract
【解決手段】窒化物系ダイオード10は、シリコン基板11の(111)面上に形成されたバッファ層12と、アンドープのGaNからなるチャネル層13と、チャネル13層上に形成されたアンドープのAlGaNからなる電子供給層14と、電子供給層14上に形成されたカソード電極15およびアノード電極16とを備える。窒化物系ダイオード10はさらに、電子供給層14を、チャネル層13に達する深さまで部分的に除去したメサ18を備え、メサ18の一方の側面部18aにアノード電極16が接触している。アノード電極16がメサ18の側面部18aに接触することで、アノード電極16と2次元電子ガス層17とが電気的に接続されている。
【選択図】図1
Description
例えば、III族窒化物系化合物半導体である窒化ガリウム(GaN)は、GaAs系の材料に比べてそのバンドギャップエネルギーが大きいため、絶縁破壊電圧が高く、しかも耐熱温度が高く高温動作に優れているので、これらの材料、とくにGaN/AlGaN系半導体を用いた電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor:FET)やパワースイッチング用ダイオードの開発が進められている。
上述したAlGaN/GaNヘテロ構造を有するショットキーバリアダイオードとして、例えば、特許文献1及び非特許文献1等に開示されたものが知られている。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、高耐圧でかつ低オン電圧動作が可能な窒化物系ダイオードを提供するものである。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る窒化物系ダイオードの概略構成を示している。
本実施形態に係る窒化物系ダイオードは、一例としてAlGaN/GaNヘテロ接合構造を有する窒化物系ショットキーバリアダイオードとして構成されている。 この窒化物系ダイオード10は、図1に示すように、シリコン(111)基板11と、シリコン基板11の(111)面上に形成されたバッファ層12と、バッファ層12上に形成されたアンドープのGaN(第1の窒化物系化合物半導体)からなるチャネル層13と、チャネル13層上に形成されたアンドープのAlGaN(第2の窒化物系化合物半導体)からなる電子供給層14と、電子供給層14上に形成されたカソード電極15およびアノード電極16とを備えている。
図1で説明した窒化物系ダイオード10では、図2および図3に示すように、大電流性能を得るために長尺化する必要があるため、カソード電極15およびアノード電極16は、チャネル層13を電流が流れる方向a(図4参照)に対して垂直な方向b(図3参照)に長いフィンガー形状に形成され、カソード電極15とアノード電極16が交互に配置された櫛状の電極になっている。つまり、カソード電極15およびアノード電極16はフィンガー部15aおよび16aをそれぞれ有する(図3参照)。このような櫛状の電極構成に対応して、メサ18の側面部18a、18bは、図2および図3の破線で示すように、上記方向bに細長い形状になっている。メサ18の側面部18aには、フィンガー形状のアノード電極16の中心部全体(フィンガー部16aの中心部全体)が接触している(図2、図3参照)。一方、メサ18の側面部18bには、フィンガー形状のカソード電極15の中心部全体(フィンガー部15aの中心部全体)が接触している(図2、図3参照)。
シリコン基板11の(111)面上にバッファ層12を形成する。(工程1)では、まず、シリコン基板11をMOCVD装置内に導入し、ターボポンプでMOCVD装置内の真空度を1×10-6hPa以下になるまで真空引きした後、真空度を100hPaとし、基板11を1000℃に昇温した。温度が安定したところで、シリコン基板11を900rpmで回転させ、原料となるトリメチルアルミニウム(TMA)を100cm3/min、アンモニアを12リットル/minの流量でシリコン基板11の表面に導入し、AlNから成る層の成長を行った。成長時間は4minで膜厚は50nm程度である。次に、AlN(5nm)とGaN(20nm)の多層膜を約160対積層させる。GaN層は、トリメチルガリウム(TMG)を300cm3/min、アンモニアを12リットル/minの流量で成長を行なった。これによりバッファ層12が形成される。
次に、バッファ層12上にアンドープのGaNから成るチャネル層13を形成する。(工程2)では、アンモニアを12リットル/minの流量で流しながら温度上昇させ、1050℃に保った後に、TMGを300cm3/min、アンモニアを12リットル/minの流量でバッファ層12の上に導入してアンドープのGaNから成るチャネル層13の成長を行った。成長時間は2000secで、チャネル層13の膜厚は1000nmであった。
次に、チャネル層13上にアンドープのAlGaNから成る電子供給層14を形成する。(工程3)では、TMAを50cm3/min、TMGを100cm3/min、アンモニアを12リットル/minの流量で導入し、アンドープのAl0.2Ga0.75Nから成る電子供給層14の成長を行った。成長時間は40secで、電子供給層14の膜厚は20nmである。このようにして、図6(a)に示すエピタキシャル層構造が完成する。
次に、塩素ガス(Cl2ガス)などを用いて、チャネル層13および電子供給層14の一部をエッチング除去して素子分離を行う。
次に、電子供給層14のカソード電極およびアノード電極を形成する領域を塩素系ガスを用いてドライエッチングし、チャネル層13に達する深さまで部分的に除去し、メサ18を形成する(図6(b)参照)。
次に、メサ18の側面部18bと接触するように、カソード電極15を形成する。(工程6)では、上記(工程5)でエッチングにより除去することで露出したチャネル層13の表面の一部、メサ18の側面部18bの表面および電子供給層14の表面の一部にカソード電極15をリフトオフ法により形成する(図6(c)参照)。
即ち、チャネル層13の露出した表面および電子供給層14の表面全体にフォトレジスト(不図示)を塗布し、このフォトレジストを露光、現像して、カソード電極15の形成領域に開口部を形成し、さらに、開口部内とフォトレジスト上に金属膜をスパッタ法、真空蒸着法等により形成した後に、フォトレジストを除去することにより残った金属膜をカソード電極15とする。カソード電極15は、例えばTi、Al、Si、Ta、MoあるいはWなどの金属、またはそれらの合金(特にシリサイド合金が好ましい)を含む金属膜である。また、形成したカソード電極15に、オーミック接触を取るための熱処理を施す。
次に、カソード電極15を覆うように、SiO2等からなる絶縁膜19をチャネル層13および電子供給層14の表面全体に形成し、アノード電極の形成領域をエッチングして開口部19aを形成する(図7(a)参照)。
次に、メサ18の側面部18aと接触するように、アノード電極16をリフトオフ法により形成する。(工程8)では、まず、絶縁膜19の表面全体にフォトレジスト21を塗布し、このフォトレジスト21を露光、現像して、アノード電極16の形成領域に、絶縁膜19の開口部19aより大きい開口部21aを形成する(図7(b)参照)。
アノード電極16がメサ18の側面部18aにおいてチャネル層13と直に接触し、アノード電極16と2次元電子ガス層17とが電気的に接続されている。これにより、電子供給層14においてトンネル電流が生じることがないので、逆方向のリーク電流が低減される。これによって耐圧が向上すると共に、低オン電圧が実現できるため、低オン抵抗を実現できる。
図8は、本発明の第2の実施形態に係る窒化物系ダイオード10Aの概略構成を示している。
この窒化物系ダイオード10Aの特徴は、図1に示す上記第1の実施形態に係る窒化物系ダイオード10において、メサ18の上面全体にSiO2などの絶縁膜30が形成され、メサ18の側面部18aに接触するアノード電極16の一部が絶縁膜30上に延びている構成にある。つまり、アノード電極16が絶縁膜30上からメサ18の側面部18aにわたって形成されている。この窒化物系ダイオード10Aでは、メサ18の側面部18aにおいてチャネル層13と直に接触するアノード電極16が電子供給層14のメサ18の上面に接触する面積を極力低減させた構造になっている。窒化物系ダイオード10Aのその他の構成は、第1の実施形態に係る窒化物系ダイオード10と同様である。
まず、窒化物系ダイオード10の上記作製方法と同様に、図9(a)に示すエピタキシャル層構造を作製する
次に、電子供給層14のカソード電極およびアノード電極を形成する領域を塩素系ガスを用いてドライエッチングし、チャネル層13に達する深さまで部分的に除去し、メサ18を形成する(図9(b)参照)。
次に、メサ18の上面にSiO2などの絶縁膜30を形成する(図9(c)参照)。
即ち、絶縁膜30を覆うようにチャネル層13の露出した表面および電子供給層14の表面全体にフォトレジスト31を塗布し(図10(a)参照)、このフォトレジスト31を露光、現像して、カソード電極15の形成領域に開口部31aを形成し、さらに、開口部31a内とフォトレジスト31上に金属膜をスパッタ法、真空蒸着法等により形成した後に、フォトレジストを除去することにより残った金属膜をカソード電極15とする(図10(b)参照)。カソード電極15は、例えばTi、Al、Si、Ta、MoあるいはWなどの金属、またはそれらの合金(特にシリサイド合金が好ましい)を含む金属膜である。また、形成したカソード電極15に、オーミック接触を取るための熱処理を施す。
即ち、カソード電極15および絶縁膜30を覆うようにチャネル層13の露出した表面および電子供給層14の表面全体にフォトレジスト(図示省略)を塗布し、このフォトレジストを露光、現像して、アノード電極16の形成領域に開口部を形成し、さらに、開口部内とフォトレジスト上に金属膜をスパッタ法、真空蒸着法等により形成した後に、フォトレジストを除去することにより残った金属膜をアノード電極16とする(図10(c)参照)。アノード電極は、Ni、Pt、Pd、W、Ta、Alなどの金属或いはこれらの金属の合金を含む金属膜である。
その結果、図8に示した窒化物系ダイオード10Aを作製できた。
第2の実施形態によれば、メサ18の側面部18aにおいてチャネル層13と直に接触するアノード電極16が電子供給層14のメサ18上面に接触する面積を極力低減させた構造になっているので、逆方向のリーク電流が更に低減され、これによって、耐圧が更に向上する。
図11は、本発明の第3の実施形態に係る窒化物系ダイオード10Bの主要部を示す斜視図図である。図12は、窒化物系ダイオード10Bを上方から見た図で、図3と同様の模式図である。図13は図11のB−B線に沿った断面図である。この窒化物系ダイオード10Bの特徴は、図1に示す上記第1の実施形態に係る窒化物系ダイオード10Aにおいて、フィンガー形状のカソード電極15およびアノード電極16の各端部に電界が集中しやすいため、電界集中を緩和できるように、以下の構成を採用している点にある。
つまり、メサ18の一方の斜面には複数の側面部18aが形成されている(図11参照)。そして、メサ18は、フィンガー形状のアノード電極16とメサ18の各側面部18aとが接触する面積が、フィンガー部16aの先端側(図12で左側)へ向かって徐々に大きくなるように形成されている(図11、図12参照)。
窒化物系ダイオード10Bのその他の構成は、第2の実施形態に係る窒化物系ダイオード10Aと同様である。
フィンガー形状のアノード電極16とメサ18の各側面部18aとが接触する面積が、フィンガー部16aの先端側(図12で左側)へ向かって等価的に徐々に大きくなっているので、電界集中しやすいアノード電極16の端部での電界集中が緩和され、電界集中に対して強い構造が実現できる。
また、シリコン基板以外のSiC基板、サファイア基板、GaN基板、MgO基板、ZnO基板上など、GaNが結晶成長可能なあらゆる基板上の素子についても成り立つことは言うまでも無い。
11:シリコン基板 12:バッファ層
13:チャネル層
14:電子供給層
15:カソード電極
15a:フィンガー部
16:アノード電極
16a:フィンガー部
17:2次元電子ガス層
18:メサ
18a、18b:側面部
30:絶縁膜
Claims (9)
- 基板上に形成された第1の窒化物系化合物半導体からなるチャネル層と、
前記チャネル層上に形成され、第2の窒化物系化合物半導体からなる電子供給層と、
前記電子供給層上に形成されたカソード電極およびアノード電極と、
前記電子供給層の一部を、前記チャネル層に達する深さまで部分的に除去したメサと、を備え、
前記メサの側面部に、前記カソード電極およびアノード電極のうち、少なくとも前記アノード電極が接触していることを特徴とする窒化物系ダイオード。 - 前記メサの上面に絶縁膜が形成され、前記アノード電極が前記絶縁膜上から前記メサの側面部にわたって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の窒化物系ダイオード。
- 前記カソード電極および前記アノード電極は、フィンガー部を有し、
前記メサが前記フィンガー部の長手方向に沿って間欠的に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の窒化物系ダイオード。 - 前記メサは、前記カソード電極または前記アノード電極と前記メサの各側面部とが接触する面積が、前記フィンガー部の先端側へ向かって徐々に大きくなるように形成されていることを特徴とする請求項3に記載の窒化物系ダイオード。
- 前記第1のGaN系半導体材料はGaNであり、前記第2のGaN系半導体材料はAlGaNであることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の窒化物系ダイオード。
- 前記第1のGaN系半導体材料はInGaN或いはGaNであり、前記第2のGaN系半導体材料はInAlGaNであることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の窒化物系ダイオード。
- 前記アノード電極には、Ni、Pt、Pd、W、TaおよびAl、またはそれらの金属の合金を用いることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の窒化物系ダイオード。
- 前記カソード電極には、Ti、Al、Si、Ta、Mo、W、またはそれらの合金を用いることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の窒化物系ダイオード。
- 前記基板は導電性の基板であり、前記カソード電極またはアノード電極は前記基板の裏面に形成された裏面電極に電気的に接続されていることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の窒化物系ダイオード。
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