JP2011118298A - 定着装置、および画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】加圧ロール62は、定着ベルト61に押圧しながら接触する位置に設定された状態で定着ベルト61との間にニップ部を形成するロール本体部62Aと、ロール本体部が定着ベルト61から離間した位置に設定された状態で定着ベルト61と接触し、定着ベルト61に対して回転駆動力を伝達する動力伝達部62B,62Cとを含んで構成されている。
【選択図】図2
Description
例えば特許文献1には、磁束発生手段としての電磁誘導コイルが磁性金属製の芯金シリンダからなる定着ロールの内部に配置され、電磁誘導コイルにて生成した誘導磁界により定着ロールに渦電流を誘起させて、定着ロールを直接的に加熱する電磁誘導方式の定着装置が記載されている。
本発明は、ベルト部材で構成された定着部材を備えた定着装置において、定着可能状態に設定するまでの時間を低減することを目的とする。
請求項3に記載の発明は、前記加圧部材は、前記ニップ形成部と前記駆動力伝達部とが別体に構成されて当該加圧部材の回転軸に固定されたことを特徴とする請求項2記載の定着装置である。
請求項4に記載の発明は、前記加圧部材は、前記ニップ形成部と前記駆動力伝達部とが当該加圧部材の回転軸の方向に離間して配置されたことを特徴とする請求項3記載の定着装置である。
請求項5に記載の発明は、前記定着部材の内部に配置され、前記加圧部材からの押圧力により弾性変形して前記ニップ部を形成する弾性部材を有し、前記弾性部材は、前記駆動力伝達部と対向する領域が前記ニップ形成部と対向する領域よりも弾性変形率が低く構成されたことを特徴とする請求項2記載の定着装置である。
請求項2の発明によれば、本発明を採用しない場合に比較して、定着部材を定着可能状態に設定するに際して、定着部材からの熱の流出を抑制することができる。
請求項3の発明によれば、本発明を採用しない場合に比較して、駆動力伝達部の弾性変形が隣接するニップ形成部に対して及ぼす影響を低減して、駆動力伝達部とニップ形成部との隣接領域でのニップ圧を均一化することができる。
請求項4の発明によれば、本発明を採用しない場合に比較して、駆動力伝達部の弾性変形が隣接するニップ形成部に対して及ぼす影響をさらに低減することができる。
請求項5の発明によれば、本発明を採用しない場合に比較して、駆動力伝達部を予め想定した変形量で弾性変形され易く構成することができる。
請求項6の発明によれば、ベルト部材で構成された定着部材を備えた定着装置において、本発明を採用しない場合に比較して、定着可能状態に設定するまでの時間を低減することができる。
請求項7の発明によれば、本発明を採用しない場合に比較して、定着部材を定着可能状態に設定するに際して、定着部材からの熱の流出を抑制することができる。
[実施の形態1]
<画像形成装置の説明>
図1は本実施の形態の定着装置(定着器)60が適用される画像形成装置1の構成例を示した図である。図1に示す画像形成装置1は、所謂タンデム型のカラープリンタであり、画像データに基づき画像形成を行う画像形成部10と、画像形成装置1全体の動作を制御する主制御部31と、を備えている。さらには、例えばパーソナルコンピュータ(PC)3等との通信を行って画像データを受信する通信部32と、原稿から画像を読み取って読取画像データを生成する画像読取部33と、通信部32にて受信された画像データや画像読取部33によって生成された読取画像データ等に対し予め定めた画像処理を施し画像形成部10に転送する画像処理部34と、ユーザからの操作入力の受付やユーザに対する各種情報の表示を行うユーザインターフェース(UI)部35と、を備えている。
画像形成ユニット11各々は、現像器15に収容されるトナーを除いて略同様に構成され、それぞれがイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像を形成する。
このようにして、画像形成装置1での画像形成処理がプリント枚数分のサイクルだけ繰り返し実行される。
次に、本実施の形態の定着器60について説明する。
図2および図3は、本実施の形態の定着器60の構成を説明する図である。図2は用紙Pの搬入側から見た定着器60の正面図であり、図3は定着器60の図2におけるIII−III断面図である。
図2および図3に示すように、定着器60は、支持体69(図2参照)の内部に、交流磁界を生成する磁界生成部材の一例としてのIH(Induction Heating)ヒータ63と、IHヒータ63により電磁誘導加熱されてトナー像を定着する定着部材の一例としての定着ベルト61と、定着ベルト61の内部に配置された弾性部材64と、定着ベルト61に対向するように配置された加圧部材の一例としての加圧ロール62と、定着ベルト61からの用紙Pの剥離を補助する剥離補助部材70(図3参照)と、を備えている。
定着ベルト61は、原形が円筒形状の無端のベルト部材で構成され、例えば原形(円筒形状)時の直径が30mm、幅方向長が380mmに形成されている。また、図4(定着ベルト61の断面層構成図)に示したように、定着ベルト61は、基材層611と、基材層611の上に積層された導電発熱層612と、トナー像の定着性を向上させる弾性層613と、最外層に被覆された表面離型層614と、からなる多層構造で構成されている。
まず、定着ベルト61の基材層611は、薄層の導電発熱層612を支持するとともに、定着ベルト61全体としての機械的強度を形成する耐熱性のシート状部材で構成される。また、基材層611は、磁界を通過させる物性(比透磁率、固有抵抗)を持った材質、厚さで形成され、基材層611自身は、磁界の作用により発熱しないか、または発熱し難く構成される。具体的には、基材層611は、例えば、厚さ30〜200μmの非磁性ステンレススチール等の非磁性金属や、厚さ60〜200μmの樹脂材料等が用いられる。
ここで、IHヒータ63により生成される交流磁界の周波数は、一般に使用される汎用電源による20k〜100kHzである。それにより、導電発熱層612は、周波数20k〜100kHzの交流磁界が侵入し通過するように構成される。導電発熱層612を構成する材料としては、例えば、Au,Ag,Al,Cu,Zn,Sn,Pb,Bi,Be,Sb等の金属や、これらの金属合金が用いられる。
具体的には、導電発熱層612の構成として、厚さ2〜20μm、固有抵抗2.7×10−8Ω・m以下の例えばCu等の非磁性金属(比透磁率が概ね1の常磁性体)が用いられる。また、定着ベルト61を定着可能温度まで加熱するまでに要する時間(以下、「ウォームアップタイム」)を短縮する観点からも、導電発熱層612を薄層にして熱容量を小さく構成する。
定着ベルト61の表面離型層614は、用紙P上に保持された未定着トナー像と直接接触するため、トナーに対する離型性の高い材質が使用される。例えば、PFA(テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、シリコーン共重合体、またはこれらの複合層等が用いられる。表面離型層614の厚さとしては、薄すぎると、耐摩耗性の面で充分でなく、定着ベルト61の寿命を短くする。その一方で、厚すぎると、定着ベルト61の熱容量が大きくなりすぎ、ウォームアップタイムが長くなる。そこで、表面離型層614の厚さは、耐摩耗性と熱容量とのバランスを考慮し、1〜50μmに設定される。
本実施の形態の定着器60では、定着ベルト61の内部に、定着ベルト61の全幅に亘って弾性部材64を配置している。弾性部材64は、例えばゴム硬度15〜45°(JIS−A)のゴム、エラストマー等(例えば、シリコーンゴム)の弾性体で構成された外径が30mmの円筒状ロールで形成され、回転軸99に外嵌して固定(接合)されている。さらに、弾性部材64は、外周面が定着ベルト61の内周面と接着されている。それにより、定着ベルト61は、内部に回転軸99と弾性部材64とからなる弾性体ロールが嵌入された構成を有し、回転軸99の回転に伴って回転駆動される。
まず図2に示すように、加圧ロール62は、長手方向に関し、画像形成装置1にて使用される最大用紙(例えば、A3サイズ)の通紙領域(最大通紙領域Rmax)を含んだ領域に構成されたロール本体部62Aと、ロール本体部62Aの両端部領域(最大通紙領域Rmaxの外側領域)に形成された動力伝達部62B,62Cと、で構成されている。動力伝達部62B,62Cは、定着ベルト61に加圧ロール62が圧接(押圧しながら接触)される領域であるニップ部Nでの圧力(以下、「ニップ圧」)に対する弾性変形率が、ロール本体部62Aよりも大きく構成されている。ここでの「弾性変形率」とは、ニップ圧が作用した際の単位体積当たりの弾性変形量をいう。
また図2(後段図6も参照)に示すように、加圧ロール62には、加圧ロール62の回転中心を貫通するように回転軸94が設けられている。そして、回転軸94の一方の端部側には、駆動伝達ギヤ93が固定されるとともに、回転軸94は、支持体69において定着ベルト61方向に関して予め定められた範囲内で移動自在に支持され、かつ回転自在に支持されている。そして、加圧ロール62は、駆動伝達ギヤ93を介して駆動源である駆動モータ90からの駆動力を受けて、自らが図3の矢印C方向に回転する。それにより、加圧ロール62は定着ベルト61を従動させて回転させる。またその際に、加圧ロール62は定着ベルト61を押圧しながら定着ベルト61との接触位置にニップ部Nを形成し、このニップ部Nに未定着トナー像を保持した用紙Pを通過させることで、熱および圧力によって未定着トナー像を用紙Pに定着する。
次の図5は、加圧ロール62の長手方向の構成を説明する図である。図5(a)は、接離機構(以下、「リトラクト機構」)によって定着ベルト61に圧接された状態での加圧ロール62を示し、(b)は、定着ベルト61から離間された状態での加圧ロール62を示している。
図5(a)に示すように、本実施の形態の加圧ロール62では、リトラクト機構によって加圧ロール62が定着ベルト61に圧接されると、加圧ロール62におけるニップ形成部の一例としてのロール本体部62Aからの押圧力を受けて弾性変形した弾性部材64と、その反力を受けて弾性変形したロール本体部62Aとによってニップ部N(図3も参照)が形成される。その際に、ロール本体部62Aよりも弾性変形率が大きく構成されている動力伝達部62B,62Cは、ニップ部Nでのロール本体部62Aの表面位置Sと一致する表面位置まで圧縮される。すなわち、動力伝達部62B,62Cは、例えばシリコーンゴムを発泡させたゴム硬度15〜35°(JIS−A)の弾性体(スポンジ)で構成され、ロール本体部62Aよりも小径に形成された動力伝達支持部62J,62Kにより支持されている。それにより、動力伝達部62B,62Cは、弾性部材64の反力を受けて弾性変形したロール本体部62Aの外径と動力伝達支持部62J,62Kの外径との差分により形成された空間内に圧縮されて、動力伝達部62B,62Cの表面位置は、弾性変形したロール本体部62Aの表面位置Sと一致する。これによって、ニップ部Nのニップ圧は、両端部領域においても動力伝達部62B,62Cの影響を殆ど受けず、主にロール本体部62Aと弾性部材64との弾性力の均衡によって幅方向に亘って均一に設定される。
次の図6は、加圧ロール62の動力伝達部62B,62Cの構成を具体的に説明する図である。図6(a)は、動力伝達部62B,62Cの断面構成を示す図であり、(b)は、動力伝達部62B,62Cの組み立て構成を示す斜視図である。なお、図6では、一方の端部側の動力伝達部62Bを示しているが、他方の端部側の動力伝達部62Cも同様に構成されている。
まず、図6(b)に示すように、動力伝達部62B,62Cは、ロール本体部62Aと一体的に構成された動力伝達支持部62J,62Kに外嵌して装着され、動力伝達支持部62J,62Kに固定されている。そして、動力伝達部62B,62Cは、例えば、外径r1(32mm)と内径r2(26mm)との差の1/2である肉厚d1(=(r1−r2)/2)が3mmに形成されている。また、図6(a)に示すように、動力伝達部62B,62Cを支持する動力伝達支持部62J,62Kは、外径R2(=r2)が動力伝達部62B,62Cの内径r2と同じく、26mmで形成されている。それにより、動力伝達支持部62J,62Kでは、ロール本体部62Aの外径R1(28mm)との外径差の1/2である段差d0が、1mmに設定されている。
すなわち、剛性の高い(弾性変形率の低い)バックアップ部材が動力伝達部62B,62Cからの押圧力を受け止めることから、動力伝達部62B,62Cは予め想定される変形量で弾性圧縮され易い。そのため、ロール本体部62Aが定着ベルト61に圧接された状態では、動力伝達部62B,62Cは、ロール本体部62Aの表面位置Sと動力伝達支持部62J,62Kの外周面との段差d0により形成される空間内に圧縮される確実性が高まる。また、加圧ロール62が定着ベルト61から離間された状態では、動力伝達部62B,62Cは、予め想定される圧縮変形状態で定着ベルト61と接触(圧接)する確実性が高まる。
続いて、上記した加圧ロール62を定着ベルト61に対して接離する方向に移動させる移動手段の一例としてのリトラクト機構(接離機構)について説明する。
上記の図2に示したように、本実施の形態の定着器60は、リトラクト機構として、支持体69に回転自在に支持される回転軸81と、予め定められた角度範囲内で回転軸81を変位させる変位モータ80と、回転軸81の両端部領域であって加圧ロール62の回転軸94に対向する位置に固定され、回転軸81の変位により揺動するカム82,83と、を備えている。さらに、加圧ロール62の回転軸94の両端部領域に接続され、加圧ロール62を定着ベルト61から離間する方向(矢印方向)に付勢するバネ84,85を備えている。
続いて、図7(b)に示すように、カム82(カム83)の頂部F0が定着ベルト61の回転軸99方向とは角度θだけ傾くように、変位モータ80が回転軸81を変位させた状態では、加圧ロール62の回転軸94はバネ84,85(図2参照)の付勢力によりカム82(カム83)の側面F1に沿って、支持体69に設定された移動制限領域Wの範囲内で定着ベルト61側から離間する方向(図7(b)矢印方向)に移動する。それにより、加圧ロール62は、ロール本体部62Aが定着ベルト61から離間した位置に設定される。
なお、支持体69に設定された移動制限領域Wは、加圧ロール62を定着ベルト61から離間させるに際して、加圧ロール62のロール本体部62Aと定着ベルト61との間隙が、加圧ロール62の動力伝達部62B,62Cが定着ベルト61に圧接した状態を維持する範囲、例えばロール本体部62Aと定着ベルト61との間隙が1.5mmとなるように構成されている。
次に、加圧ロール62を駆動する機構(以下、「駆動機構」)について説明する。
まず、上記の図2に示したように、本実施の形態の定着器60は、駆動機構として、駆動源としての駆動モータ90と、駆動モータ90の回転軸91に固定された駆動伝達ギヤ92と、加圧ロール62の回転軸94に固定された駆動伝達ギヤ93と、を備えている。さらに、加圧ロール62の回転軸94により揺動自在に支持された揺動支持部材97と、揺動支持部材97に回転自在に支持された回転軸96に固定され、加圧ロール62側の駆動伝達ギヤ93と結合された伝達ギヤ95と、を備えている。伝達ギヤ95は、リトラクト機構により加圧ロール62に対する接離動作が行われても、揺動支持部材97を介して加圧ロール62側の駆動伝達ギヤ93との結合が維持される。また、揺動支持部材97は、伝達ギヤ95が駆動モータ90側の駆動伝達ギヤ92に向けて押圧されるように、不図示の付勢手段によって駆動伝達ギヤ92側に付勢されている。
図8は、駆動モータ90から加圧ロール62への駆動力の伝達を説明する図である。図8(a)は、リトラクト機構によって加圧ロール62が定着ベルト61に圧接された状態8を示し、(b)は、加圧ロール62のロール本体部62Aが定着ベルト61から離間された状態を示している。
一方、定着動作が開始され加圧ロール62がリトラクト機構によって定着ベルト61に圧接された状態においては、上記の駆動機構により回転駆動力が伝達される加圧ロール62は、加圧ロール62全体が定着ベルト61を従動回転させる。
次に、定着ベルト61の導電発熱層612に交流磁界を作用させて電磁誘導加熱するIHヒータ63について説明する。
図9は、本実施の形態のIHヒータ63の構成を説明する断面図である。図9に示すように、IHヒータ63は、例えば耐熱性樹脂等の非磁性体から構成される支持体631と、交流磁界を生成する励磁コイル632と、励磁コイル632を支持体631上に固定する例えばシリコーンゴム等の弾性体で構成された弾性支持部材633と、定着ベルト61の幅方向に沿って複数配置され、励磁コイル632にて生成された交流磁界の磁路を形成する磁心634と、を備えている。またIHヒータ63は、定着ベルト61の幅方向に沿って複数配置され、励磁コイル632にて生成された交流磁界を支持体631の長手方向に均すための調整用磁心639と、磁心634を上部から覆うように保持する磁心保持部材637と、磁心保持部材637を介して磁心634を支持体631側に加圧する例えばシリコーンゴム等の弾性体で構成された加圧部材636と、磁界を遮蔽して外部への漏洩を抑制するシールド635と、励磁コイル632に交流電流を供給する励磁回路638と、を備えている。
励磁コイル632は、相互に絶縁された例えば直径0.17mmの銅線材を例えば90本束ねたリッツ線が長円形状や楕円形状、長方形状等の中空きの閉ループ状に巻かれて構成されている。そして、励磁コイル632に励磁回路638から予め定めた周波数の交流電流が供給されることにより、励磁コイル632の周囲には、閉ループ状に巻かれたリッツ線を中心とする交流磁界が生成される。励磁回路638から励磁コイル632に供給される交流電流の周波数は、一般的な汎用電源により生成される20k〜100kHzが用いられる。
弾性支持部材633は、例えばシリコーンゴム等やフッ素ゴム等の弾性体で構成されたシート状部材である。弾性支持部材633は、励磁コイル632が支持体631の支持面631aに密着して固定されるように、励磁コイル632を支持体631に対して押圧するように設定されている。
磁心保持部材637の各々は、SUSや樹脂等の非磁性体で形成され、磁心634の一部または全部を覆うようにして磁心634各々を保持する。
調整用磁心639は、例えば焼成フェライト、フェライト樹脂等の高透磁率材質で構成される直方体形状(ブロック形状)の強磁性体が用いられる。そして、調整用磁心639は、磁心634により形成される交流磁界の支持体631長手方向(=定着ベルト61の幅方向)に生じる強弱を均すことにより、定着ベルト61の幅方向の温度むら(温度のばらつき、温度リップル)を低減している。
次に、定着ベルト61の内部に配置された弾性部材64の機能について説明する。
上記したように、本実施の形態の定着器60は、加圧ロール62を定着ベルト61に対して接離させるリトラクト機構を備えている。そして、定着動作を開始する前に定着ベルト61をIHヒータ63により定着可能温度まで上昇させる動作(ウォームアップ動作)を行う際には、リトラクト機構によって加圧ロール62のロール本体部62Aを定着ベルト61から離間させた位置に設定しておく。それにより、熱容量の小さな定着ベルト61から加圧ロール62に熱の流出が生し難い状態を設定する。これによって、定着ベルト61を効率的に加熱し、定着ベルト61を定着可能温度まで上昇させる時間(以下、「ウォームアップ時間」)を低減している。なお、ウォームアップ動作中は、加圧ロール62の動力伝達部62B,62Cが定着ベルト61を従動回転させる。
図10(a)に示すように、定着動作中においては、リトラクト機構によって加圧ロール62が定着ベルト61に圧接して配置される。それにより、ニップ部Nでは、弾性変形しながら定着ベルト61を介して弾性部材64を押圧する加圧ロール62と、加圧ロール62からの押圧力によって弾性変形する弾性部材64とによって、予め定められたニップ圧を持ったニップ部Nが形成される。
このように、加圧ロール62が定着ベルト61に圧接して配置された際には、加圧ロール62からの押圧力を弾性部材64が受けて弾性変形し、ニップ部Nを形成する。ここでのニップ圧は、弾性変形する加圧ロール62と弾性変形する弾性部材64との双方によって予め定められた圧力に安定的に設定される。
このように、本実施の形態の定着器60では、リトラクト機構によって加圧ロール62が定着ベルト61に圧接された状態、および加圧ロール62のロール本体部62Aが定着ベルト61から離間された状態の双方において加圧ロール62に対して駆動力を伝達する駆動機構を設け、定着ベルト61を従動回転させている。このことにより、定着ベルト61を回転駆動する構成を簡素化し、定着器60の低コスト化、小型化を図っている。
続いて、画像形成動作の流れについて説明しておく。
図11は、主制御部31が行う画像形成処理の内容の一例を説明するフローチャートである。
図11に示したように、主制御部31は、画像読取部33やUI部35や通信部32からの信号等に基づいて、画像読取部33に原稿が置かれるなどのユーザによる画像形成指示前に行われる操作(以下、「ユーザによる操作」)を監視する(ステップ101)。そして、主制御部31は、ユーザによる操作を認識した場合には(ステップ101でYes)、定着器60に対し、駆動モータ90(上記図2参照)をオンして、リトラクト機構により加圧ロール62が定着ベルト61のロール本体部62Aに圧接されていない状態にて定着ベルト61を回転させるように指示する(ステップ102)。さらにその後、主制御部31は、ウォーミングアップ動作の実行を指示する(ステップ103)。
加圧ロール62に設ける動力伝達部62B,62Cに関し、上記の図6に示した構成以外の他の構成について説明する。上記図6では、動力伝達部62B,62Cがロール本体部62Aと一体的に構成された動力伝達支持部62J,62Kに支持される構成について説明した。ここでは、動力伝達部62B,62Cをロール本体部62Aと別体とした構成について説明する。
図12(a),(b)に示すように、動力伝達部62B,62Cは、ロール本体部62Aと別体に構成され、回転軸94に外嵌して装着されている。そして、図12(a)に示すように、動力伝達部62B,62Cは、ロール本体部62Aとの間に回転軸94の方向に間隙gを持って配置されている。
それにより、加圧ロール62が定着ベルト61に圧接して配置された際に、動力伝達部62B,62Cとロール本体部62Aとが隣接する領域において、弾性変形しながらニップ部Nを形成する加圧ロール62のロール本体部62Aに対し、弾性変形した動力伝達部62B,62Cが回転軸94の方向から圧接して、ロール本体部62Aの両端部でのニップ圧が不均一となることを抑制する。すなわち、動力伝達部62B,62Cとロール本体部62Aとを別体に構成することで、動力伝達部62B,62Cの弾性変形がロール本体部62Aに影響を与え難くなる。さらに、動力伝達部62B,62Cとロール本体部62Aとの間の間隙gが弾性変形した動力伝達部62B,62Cと弾性変形したロール本体部62Aとを非接触に維持することで、動力伝達部62B,62Cの弾性変形がロール本体部62Aにさらに影響を与え難くなる。
このように、図12に示した動力伝達部62B,62Cの構成により、ロール本体部62Aの両端部でのニップ圧の均一性が確保される。
Claims (7)
- 電磁誘導により発熱する発熱層を有し、当該発熱層が電磁誘導加熱されることで記録材にトナーを定着する定着部材と、
前記定着部材に対して接離する方向に移動自在に構成されるとともに、当該定着部材との間に前記記録材が通過するニップ部を形成する加圧部材を備え、
前記加圧部材は、前記定着部材に押圧しながら接触する位置に設定された状態で当該定着部材との間に前記ニップ部を形成するニップ形成部と、当該ニップ形成部が当該定着部材から離間した位置に設定された状態で当該定着部材と接触し、当該定着部材に対して回転駆動力を伝達する駆動力伝達部とを含んで構成されたことを特徴とする定着装置。 - 前記加圧部材を前記定着部材に対して接離する方向に移動させる移動手段をさらに備え、
前記移動手段は、前記定着部材が予め定められた温度に加熱されるまで前記加圧部材の前記ニップ形成部を当該定着部材から離間した位置に設定し、当該定着部材が当該予め定められた温度に加熱されることにより、当該定着部材を押圧する位置に当該ニップ形成部を設定することを特徴とする請求項1記載の定着装置。 - 前記加圧部材は、前記ニップ形成部と前記駆動力伝達部とが別体に構成されて当該加圧部材の回転軸に固定されたことを特徴とする請求項2記載の定着装置。
- 前記加圧部材は、前記ニップ形成部と前記駆動力伝達部とが当該加圧部材の回転軸の方向に離間して配置されたことを特徴とする請求項3記載の定着装置。
- 前記定着部材の内部に配置され、前記加圧部材からの押圧力により弾性変形して前記ニップ部を形成する弾性部材を有し、前記弾性部材は、前記駆動力伝達部と対向する領域が前記ニップ形成部と対向する領域よりも弾性変形率が低く構成されたことを特徴とする請求項2記載の定着装置。
- トナー像を形成するトナー像形成手段と、
前記トナー像形成手段によって形成された前記トナー像を記録材上に転写する転写手段と、
前記記録材上に転写された前記トナー像を当該記録材に定着する定着手段とを有し、
前記定着手段は、
電磁誘導により発熱する発熱層を有し、当該発熱層が電磁誘導加熱されることで前記記録材に前記トナー像を定着する定着部材と、
前記定着部材に対して接離する方向に移動自在に構成されるとともに、当該定着部材との間に前記記録材が通過するニップ部を形成する加圧部材を備え、
前記加圧部材は、前記定着部材に押圧しながら接触する位置に設定された状態で当該定着部材との間に前記ニップ部を形成するニップ形成部と、当該ニップ形成部が当該定着部材から離間した位置に設定された状態で当該定着部材と接触し、当該定着部材に対して回転駆動力を伝達する駆動力伝達部とを含んで構成されたことを特徴とする画像形成装置。 - 前記加圧部材を前記定着部材に対して接離する方向に移動させる移動手段をさらに備え、
前記移動手段は、前記定着部材が予め定められた温度に加熱されるまで前記加圧部材の前記ニップ形成部を当該定着部材から離間した位置に設定し、当該定着部材が当該予め定められた温度に加熱されることにより、当該定着部材を押圧する位置に当該ニップ形成部を設定することを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
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