JP2011112623A - 2段x線検出器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】入射X線3を透過させる低エネルギー用シンチレータ12を有し、所定のエネルギー範囲のX線エネルギーを吸収し検出する低エネルギーX線検出器10と、低エネルギー用シンチレータ12を透過した透過X線4を再度透過させる高エネルギー用フィルタ22とその後方の高エネルギー用シンチレータ24を有し、前記エネルギー範囲のX線エネルギーを吸収し検出する高エネルギーX線検出器20とを備える。低エネルギーX線検出器10は、さらに、低エネルギー用シンチレータ12の前面に位置し、低エネルギー用シンチレータ内の発光を90度全反射する全反射プリズム14と、全反射プリズムで反射された発光光量に比例する電気信号を出力する低エネルギー用光電素子16とを備える。
【選択図】図1
Description
またX線の発生源としては、X線管が広く知られている。しかし、X線管により発生するX線は、低エネルギーであり、検査対象物へのX線透過能力が低い問題点がある。
そこで、加速器を用いてターゲットに電子線を衝突させ、高エネルギー(例えば950keV)のX線ビームを発生するX線源が提案されている(例えば特許文献1)。
しかし、この手段の場合、2枚のX線画像の撮像は、時間と場所が異なるため、その位置を正確に一致させるのが困難である問題点がある。また、この手段では、2組のX線発生装置とX線検出器を必要とするため、依然として高価となる。
この場合、2枚のX線画像の撮像は、時間と場所が同一であるため、その位置は一致している。しかし、この手段では、X線発生装置は1台ですむが、X線検出器は2台必要であり、さらに間にX線の特定の波長をカットする特殊なフィルタを必要とする問題点がある。
前記入射X線を透過させる低エネルギー用シンチレータを有し、該低エネルギー用シンチレータにより前記エネルギー範囲のX線エネルギーを吸収し検出する低エネルギーX線検出器と、
前記低エネルギー用シンチレータを透過した透過X線を再度透過させる高エネルギー用フィルタとその後方の高エネルギー用シンチレータを有し、該高エネルギー用シンチレータにより前記エネルギー範囲のX線エネルギーを吸収し検出する高エネルギーX線検出器と、を備えたことを特徴とする2段X線検出器が提供される。
前記低エネルギーX線検出器は、さらに、前記低エネルギー用シンチレータの前面に位置し、該低エネルギー用シンチレータ内の発光を90度全反射する全反射プリズムと、
該全反射プリズムで反射された前記発光光量に比例する電気信号を出力する低エネルギー用光電素子とを備える。
前記高エネルギー用シンチレータは、前記高エネルギー用フィルタの後方に位置し、前記エネルギー範囲のX線エネルギーを吸収し発光する矩形平板状の蛍光体であり、
前記高エネルギーX線検出器は、さらに、前記高エネルギー用シンチレータの側面に位置し、該高エネルギー用シンチレータ内の発光光量に比例する電気信号を出力する高エネルギー用光電素子とを備える。
また、低エネルギーX線検出器により、低エネルギー用シンチレータで吸収された前記エネルギー範囲のX線エネルギーを検出することができる。また、高エネルギー用光電素子により低エネルギー用シンチレータを透過したX線エネルギーは既知なので、低エネルギーX線検出器で検出したX線エネルギーから前記エネルギー範囲の入射X線のX線エネルギーを算出することができる。
従って、本発明による2段X線検出器では、計測対象とする所定のエネルギー範囲において、高エネルギーX線検出器と低エネルギーX線検出器のいずれかが検出できれば、前記エネルギー範囲内の2点以上において入射X線のX線エネルギーを同時に検出することができ、これから、被検査物の物質識別が可能となる。
本発明の2段X線検出器は、所定のエネルギー範囲で分布するX線1を用い、このX線1を被検査物2に照射しこれを透過した入射X線3のX線エネルギーを検出し、これから被検査物2の物質識別をするためのX線検出器である。
X線1は、好ましくはXバンドライナックX線源から得られる制動輻射X線であり、最大950keV(0.95MeV)のエネルギーを有し、数MeVのエネルギー範囲で分布する。
I=I0exp(−μx)・・・(1)
ここで、I0は物質に入射する前のX線強度、μは減弱係数(又は線吸収係数)である。
低エネルギーX線検出器10は、入射X線3を透過させる低エネルギー用シンチレータ12を有し、低エネルギー用シンチレータ12により前記エネルギー範囲の少なくとも一部(例えば低エネルギー領域)のX線エネルギーを吸収し検出する。
全反射プリズム14は、低エネルギー用シンチレータ12の前面に位置し、低エネルギー用シンチレータ12内の発光を図で下方に90度全反射する。全反射プリズム14は、X線及び可視光の透過率が高く、減弱係数μが無視できるほど小さい材料(例えば石英ガラス)が好ましい。
低エネルギー用光電素子16は、全反射プリズム14により図で下方に反射された低エネルギー用シンチレータ12内の発光5の光量に比例する電気信号6を出力する。
高エネルギー用フィルタ22は、透過X線4に直交して位置し、前記エネルギー範囲において低エネルギーのX線エネルギーを吸収する平板状(後述の実施例では、1.0mm厚)の金属板(例えば、Cu,Fe,AL等)である。
高エネルギーX線検出器20は、さらに、高エネルギー用光電素子26を備える。高エネルギー用光電素子26は、高エネルギー用シンチレータ24の側面(この図で下方)に位置し、高エネルギー用シンチレータ20内の発光7の光量に比例する電気信号8を出力する。
さらに、図1において、32は入射X線3の通路を限定するためにコリメータであり、後述の例では4〜6mmの間隔に保持されて2枚の金属平板(例えば鉛板)からなる。また34は、入射X線3の通路に外乱光が入射するのを防止する外乱防止治具であり、後述の例では4〜6mmの間隔に保持されて2枚の金属平板(例えば鉛板)からなる。
なお、コリメータ32、外乱防止治具34の形状は、機能を満たす限りで自由に変更できる。またこれらは本発明において必須ではなく、これらを省略することもできる。
この図において、低エネルギーX線検出器10を構成する低エネルギー用シンチレータ12、全反射プリズム14、及び低エネルギー用光電素子16と、高エネルギーX線検出器20を構成する高エネルギー用シンチレータ24、及び高エネルギー用光電素子26は、所定の厚さ(後述の例では2mm)内に平面状かつ厚さ方向に積層可能に配置されている。
なお、低エネルギーX線検出器10を構成する構成部品12,14,16の一部(例えば、低エネルギー用シンチレータ12を所定の厚さ(後述の例では2mm)内に構成せず、数チャンネル(例えば4ch)で1組にしてもよい。
なお、高エネルギー用フィルタ22も、同様に所定の厚さ(後述の例では2mm)内に平面状かつ厚さ方向に積層可能に配置してもよい。
この図において、X線1を被検査物2に照射しこれを透過した入射X線3、低エネルギー用シンチレータ12を透過した透過X線4、高エネルギー用フィルタ22を透過した透過X線4bのX線強度をそれぞれI3,I4,I4bとすると、式(1)から以下の式(2)(3)が成り立つ。ここで、μ1,x1は低エネルギー用シンチレータ12の減弱係数と厚さ、μ2,x2は、高エネルギー用フィルタ22の減弱係数と厚さである。また、全反射プリズム14の減弱係数と厚さは無視できるものとする。
I4b=I4exp(−μ2x2)・・・(3)
すなわち、低エネルギーX線検出器10により低エネルギー用シンチレータ12での減衰エネルギー(I3−I4)を検出すれば、これから入射X線3のX線強度I3を求めることができる。
図1に示した2段X線検出器を製作し、試験した。製作した2段X線検出器において、低エネルギー用シンチレータ12は0.5mm厚のCSI、全反射プリズム14は石英ガラス製、ミラーコーティング15は入射X線3(例えば波長0.01〜100Å)を透過し低エネルギー用シンチレータ12内の発光5(例えば波長600nm)を全反射する多層膜コーティングに設定した。
また、高エネルギー用フィルタ22は、1.0mm厚のCu、高エネルギー用シンチレータ24は幅15mm×高さ15×厚さ2mmのCdWO4であった。
先行研究の結果から、厚さが異なる2段のシンチレータで得られる投影データが予想とおり、図4から薄いシンチレータ(CsI)は低エネルギーのX線を、厚いシンチレータ(CdWO4)は高エネルギーのX線を採取していることが確認された。
従って、低エネルギー用シンチレータ12と高エネルギー用シンチレータ24で同時にX線を検出することで、0〜0.95MeVのエネルギー範囲で少なくともいずれか一方でX線を検出できることがわかる。
この図から、Xバンドライナックからの制動輻射X線を鉄、アルミなどのターゲットに照射すると、本発明の2段X線検出器で低エネルギー用シンチレータの透過率(R1)とシンチレータ12,24の総合透過率の比(R)の関係が物質によって変化することが分かった。これは本発明の2段X線検出器が物質判別手段として適用できることを示している。
また、低エネルギーX線検出器10により、低エネルギー用シンチレータ12で吸収された前記エネルギー範囲のX線エネルギー(I3−I4)を検出することができる。また、高エネルギー用光電素子26により低エネルギー用シンチレータ12を透過したX線エネルギーI4は既知(又は0)なので、低エネルギーX線検出器10で検出したX線エネルギー(I3−I4)から前記エネルギー範囲の入射X線3のX線エネルギーI3を算出することができる。
従って、本発明による2段X線検出器では、計測対象とする所定のエネルギー範囲において、高エネルギーX線検出器20と低エネルギーX線検出器10のいずれかが検出できれば、前記エネルギー範囲内の2点以上において入射X線のX線エネルギーを同時に検出することができ、これから、被検査物の物質識別が可能となる。
6 電気信号、7 発光(蛍光)、8 電気信号、9 出力、
10 低エネルギーX線検出器、
12 低エネルギー用シンチレータ、14 全反射プリズム、
15 ミラーコーティング、16 低エネルギー用光電素子、
20 高エネルギーX線検出器、
22 高エネルギー用フィルタ、24 高エネルギー用シンチレータ、
26 高エネルギー用光電素子、
30 演算装置(コンピュータ)、32 コリメータ、
34 外乱防止治具、36 遮蔽板(鉛板)
Claims (6)
- 所定のエネルギー範囲で分布するX線を用い、該X線を被検査物に照射しこれを透過した入射X線のX線エネルギーを検出しこれから被検査物の物質識別をするための2段X線検出器であって、
前記入射X線を透過させる低エネルギー用シンチレータを有し、該低エネルギー用シンチレータにより前記エネルギー範囲のX線エネルギーを吸収し検出する低エネルギーX線検出器と、
前記低エネルギー用シンチレータを透過した透過X線を再度透過させる高エネルギー用フィルタとその後方の高エネルギー用シンチレータを有し、該高エネルギー用シンチレータにより前記エネルギー範囲のX線エネルギーを吸収し検出する高エネルギーX線検出器と、を備えたことを特徴とする2段X線検出器。 - 前記低エネルギー用シンチレータは、前記入射X線に直交して位置し、前記エネルギー範囲のX線エネルギーを吸収し発光する平板状の蛍光体であり、
前記低エネルギーX線検出器は、さらに、前記低エネルギー用シンチレータの前面に位置し、該低エネルギー用シンチレータ内の発光を90度全反射する全反射プリズムと、
該全反射プリズムで反射された前記発光光量に比例する電気信号を出力する低エネルギー用光電素子とを備える、ことを特徴とする請求項1に記載の2段X線検出器。 - 前記全反射プリズムは、その全反射面に、前記入射X線を透過し前記低エネルギー用シンチレータ内の発光を反射するミラーコーティングを有する、ことを特徴とする請求項2に記載の2段X線検出器。
- 前記高エネルギー用フィルタは、前記透過X線に直交して位置し、前記エネルギー範囲のX線エネルギーを吸収する平板状の金属板であり、
前記高エネルギー用シンチレータは、前記高エネルギー用フィルタの後方に位置し、前記エネルギー範囲のX線エネルギーを吸収し発光する矩形平板状の蛍光体であり、
前記高エネルギーX線検出器は、さらに、前記高エネルギー用シンチレータの側面に位置し、該高エネルギー用シンチレータ内の発光光量に比例する電気信号を出力する高エネルギー用光電素子とを備える、ことを特徴とする請求項2に記載の2段X線検出器。 - 前記低エネルギーX線検出器を構成する前記低エネルギー用シンチレータ、全反射プリズム、及び低エネルギー用光電素子と、前記高エネルギーX線検出器を構成する前記高エネルギー用フィルタ、前記高エネルギー用シンチレータ、及び高エネルギー用光電素子は、所定の厚さ内に平面状かつ厚さ方向に積層可能に配置されている、ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の2段X線検出器。
- 前記低エネルギー用シンチレータ、全反射プリズム、及び高エネルギー用シンチレータは、前記厚さ方向側面に、前記入射X線、透過X線、低エネルギー用シンチレータ内の発光、又は高エネルギー用シンチレータ内の発光を遮断する遮蔽板を有する、ことを特徴とする請求項5に記載の2段X線検出器。
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