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JP2011190827A - 動圧溝形成用金型および動圧型焼結含油軸受の製造方法 - Google Patents

動圧溝形成用金型および動圧型焼結含油軸受の製造方法 Download PDF

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JP2011190827A JP2010055363A JP2010055363A JP2011190827A JP 2011190827 A JP2011190827 A JP 2011190827A JP 2010055363 A JP2010055363 A JP 2010055363A JP 2010055363 A JP2010055363 A JP 2010055363A JP 2011190827 A JP2011190827 A JP 2011190827A
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正明 戸田
Akinari Ohira
晃也 大平
Hideyuki Tsutsui
英之 筒井
Naoko Ito
直子 伊藤
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NTN Corp
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Abstract

【課題】耐摩耗性に優れ交換寿命の延長が図れる動圧溝形成用金型、および、該金型を用いた動圧型焼結含油軸受の製造方法を提供する。
【解決手段】動圧溝形成用金型3は、円筒状の焼結金属素材の内周面に傾斜状の動圧溝を有する軸受面を成形して軸受本体を形成し、その軸受本体の内部の細孔内に潤滑油または潤滑グリースの含浸によって油を保有させる動圧型焼結含油軸受の製造方法に用いられる金型であって、上記動圧溝の領域を成形するための成形部を外周面に有し、上記軸受本体を形成する際に、焼結金属素材の内周面に挿入および加圧して、該内周面に動圧溝の領域を塑性加工により成形するものであり、上記動圧溝形成用金型3は、外周面に、窒化物系硬質被膜、炭化物系硬質被膜、硬質炭素被膜から選ばれた少なくとも1つの硬質被膜を有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、焼結金属製の軸受本体に潤滑油または潤滑グリースを含浸させて自己潤滑機能を持たせると共に、軸受隙間に介在する油の動圧油膜によって軸の外周面を浮上支持する動圧型焼結含油軸受の製造方法と、この製造の際に用いられる動圧溝形成用金型とに関する。
動圧型焼結含油軸受は、レーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンミラー用や磁気ディスクドライブ(HDD等)用のスピンドルモータなど、高速下で高回転精度が要求される機器や、DVD−ROM用のスピンドルモータのように、ディスクが載ることによって大きなアンバランス荷重が作用し高速で駆動する機器などに好適に使用されている。
上記のような情報機器関連の小型スピンドルモータでは、回転性能のより一層の向上と低コスト化が求められており、そのための手段として、スピンドルの軸受部を転がり軸受から焼結含油軸受に置き換えることが検討されている。しかし、焼結含油軸受は、真円軸受の一種であるため、軸の偏心が小さいところでは、不安定振動が発生しやすく、回転速度の1/2の速度で振れ回るいわゆるホワールが発生しやすい欠点がある。そこで、動圧型焼結含油軸受として、軸受面にヘリングボーン形やスパイラル形などの動圧溝を設け、軸の回転に伴う動圧溝の作用によって軸受隙間に動圧油膜を発生させて軸を浮上支持(非接触支持)することが従来より試みられている。
従来、軸受面における動圧溝の成形方法として、軸受素材よりも硬質の複数個のボールを円周等間隔に配列保持した軸状の治具を軸受素材の内周面に挿入し、治具の回転と送りによってボールに螺旋運動を与えながら、ボールを素材内周面に加圧して動圧溝の形成領域を塑性加工する方法が知られている(特許文献1参照)。また、この方法の改良方法として成形時に動圧溝に隣接する領域で起こる素材隆起を旋盤やリーマで除去加工する方法が知られている(特許文献2参照)。
また、特許文献1や特許文献2の方法では、治具の回転駆動機構と送り機構が必要であるため、製造設備が複雑になる。また、軸受面における動圧溝に隣接する領域の後加工が必要であるため、製造工数が多くなる。これらの対策として、軸受面の動圧溝の形成領域を成形するための第1成形部と動圧溝の形成領域以外の領域を成形するための第2成形部を有する成形型(サイジングピン)を円筒状の焼結金属素材の内周面に挿入し、焼結金属素材を第1パンチと第2パンチとで軸方向両側から拘束した状態で、焼結金属素材の外周面をダイに圧入して圧迫力を加え、その内周面を成形型に加圧して塑性変形させることにより、軸受面の動圧溝の形成領域とそれ以外の領域とを同時成形する方法が知られている(特許文献3参照)。この方法では、傾斜状の動圧溝を有する軸受面の成形加工を簡易な設備で、少ない工数で、かつ、精度良く行なうことができる。
特許第2541208号公報 特開平8−232958号公報 特開平11−190344号公報
しかしながら、特許文献3では溝を転写する動圧溝形成用金型であるサイジングピンの材質は限定されておらず、サイジングピンの金型材質として、耐摩耗性に優れる超硬合金などを用いた場合でも、生産個数が多くなると溝を転写するサイジングピンが摩耗し、製品の内径寸法や溝深さが必要公差内に入らなくなる場合がある。このため、サイジングピンの摩耗状況に合わせて新作のサイジングピンに交換しなくてはならず、サイジングピンの交換寿命を延長するためにサイジングピンの耐摩耗性を改良することが望まれている。
本発明はこのような問題に対処するためになされたものであり、耐摩耗性に優れ交換寿命の延長が図れる動圧溝形成用金型、および、該金型を用いた動圧型焼結含油軸受の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の動圧溝形成用金型は、円筒状の焼結金属素材の内周面に傾斜状の動圧溝を有する軸受面を成形して軸受本体を形成し、その軸受本体の内部の細孔内に潤滑油または潤滑グリースの含浸によって油を保有させる動圧型焼結含油軸受の製造方法に用いられる動圧溝形成用金型であって、上記動圧溝の領域を成形するための成形部を外周面に有し、上記軸受本体を形成する際に、上記焼結金属素材の内周面に挿入および加圧して、該内周面に上記動圧溝の領域を塑性加工により成形するものであり、上記動圧溝形成用金型は、外周面に、窒化物系硬質被膜、炭化物系硬質被膜、硬質炭素被膜から選ばれた少なくとも1つの硬質被膜を有することを特徴とする。
上記硬質被膜の膜厚が0.2〜8μmであることを特徴とする。また、上記硬質被膜の押し込み硬さが10GPa以上であることを特徴とする。
上記硬質被膜が硬質炭素被膜であることを特徴とする。また、上記動圧溝形成用金型は、該金型と上記硬質炭素被膜との間に金属中間層を有することを特徴とする。また、上記金属中間層がタングステン(以下、Wと記す)、クロム(以下、Crと記す)、珪素(以下、Siと記す)、チタン(以下、Tiと記す)から選ばれた少なくとも一つの金属元素を含むことを特徴とする。また、上記硬質炭素被膜がアンバランスド・マグネトロン・スパッタリング(以下、UBMSと記す)法により形成されたことを特徴とする。
上記硬質被膜は、その押し込み硬さが上記動圧溝形成用金型の外周面側から該硬質被膜の最表面側へと連続的もしくは段階的に高くなる被膜であることを特徴とする。
上記動圧溝形成用金型の基材が超硬合金材からなることを特徴とする。
本発明の動圧型焼結含油軸受の製造方法は、円筒状の焼結金属素材の内周面に傾斜状の動圧溝を有する軸受面を成形して軸受本体を形成し、その軸受本体の内部の細孔内に潤滑油または潤滑グリースの含浸によって油を保有させる動圧型焼結含油軸受の製造方法であって、上記軸受面の成形工程は、上述の本発明の動圧溝形成用金型を上記焼結金属素材の内周面に挿入し、該動圧溝形成用金型の動圧溝の領域を成形するための成形部を上記焼結金属素材の内周面に加圧して、該内周面に前記動圧溝の領域を塑性加工により成形する工程を含むことを特徴とする。
上記製造方法が対象とする動圧型焼結含油軸受は、磁気ディスクドライブ用のスピンドルモータに使用される軸受であることを特徴とする。
本発明の動圧溝形成用金型は、上述のように、傾斜状の動圧溝を外周面に有するサイジングピンであり、外周面に、窒化物系硬質被膜、炭化物系硬質被膜、硬質炭素被膜から選ばれた少なくとも1つの硬質被膜を有するので、耐摩耗性に優れる。このため、該動圧溝形成用金型を焼結金属素材の内周面に挿入および加圧して、該内周面に動圧溝の領域を塑性加工により成形する工程を含む動圧型焼結含油軸受の製造に用いた場合でも、該金型(サイジングピン)の交換寿命を延長できる。
特に、上記硬質被膜として硬質炭素被膜(DLC)を採用し、(1)金型と硬質炭素被膜との間に金属中間層を設けることや、(2)硬質炭素被膜の押し込み硬さを金型基材側から該硬質炭素被膜の最表面側へと連続的もしくは段階的に高くすることで、耐摩耗性および密着性をより向上させることができ、該金型(サイジングピン)の交換寿命のさらなる延長が図れる。
本発明の動圧型焼結含油軸受の製造方法は、円筒状の焼結金属素材の内周面に傾斜状の動圧溝を有する軸受面を成形して軸受本体を形成し、その軸受本体の内部の細孔内に潤滑油または潤滑グリースの含浸によって油を保有させる動圧型焼結含油軸受の製造方法であり、上記軸受面の成形工程は、上述の動圧溝形成用金型を焼結金属素材の内周面に挿入し、この動圧溝形成用金型の成形部を焼結金属素材の内周面に加圧して、該内周面に動圧溝の領域を塑性加工により成形する工程を含むので、簡易な設備で、少ない工数で製造を行なうことができ、加えて、動圧溝形成用金型(サイジングピン)の交換寿命が長く、製造コストの低減が図れる。
動圧型焼結含油軸受の一例を示す断面図である。 本発明の動圧溝形成用金型であるサイジングピンの一部拡大図である。 軸受本体の素材となる焼結金属素材を示す断面図である。 軸受面の成形工程の一例を示す断面図である。 軸受面の成形工程の一例を示す断面図である。 図4における工程(c)、工程(e)を示す要部拡大断面図である。 UBMS法の成膜原理を示す模式図である。 AIP機能を備えたUBMS装置の模式図である。 摩擦試験機を示す図である。 軸受面の成形工程の他の例を示す断面図である。 軸受面の成形工程の他の例を示す断面図である。
本発明の動圧溝形成用金型は、後述の動圧型焼結含油軸受の製造方法に用いられるものである。この製造方法が対象とする動圧型焼結含油軸受を図1に基づいて説明する。図1は、動圧型焼結含油軸受の一例を示す断面図である。動圧型焼結含油軸受1は、例えば、銅または鉄、あるいは、その両者を主成分とする焼結金属からなる軸受本体1aと、潤滑油または潤滑グリースの含浸によって軸受本体1aの細孔内に保有された油(潤滑油または潤滑グリースの基油)とで構成される。この動圧型焼結含油軸受1は、例えば、磁気ディスクドライブ用のスピンドルモータや、レーザビームプリンタのスキャナモータなどに用いられる。
軸受本体1aの内周には、支持すべき軸の外周面と軸受隙間を介して対向する軸受面1bが形成され、その軸受面1bに傾斜状の動圧溝1cが形成されている。図1に示す態様では、2つの軸受面1bが軸方向に離間して形成されている。また、各軸受面1bは、軸方向に対して一方に傾斜した複数の動圧溝1cを円周方向に配列形成した第1領域と、第1領域から軸方向に離隔し、軸方向に対して他方に傾斜した複数の動圧溝1cを円周方向に配列形成した第2領域と、第1領域と第2領域との間に位置する環状の平滑領域1dとを備えている。第1領域および第2領域の背(動圧溝1c間の領域)1eは、それぞれ平滑領域1dに連続している。軸受面1bには、動圧溝1cの形成領域を含む全領域にわたって表面開孔がほぼ均一に分布している。軸受本体1aと軸との間に相対回転が生じると、第1領域と第2領域にそれぞれ逆向きに傾斜形成された動圧溝1cによって、軸受隙間内の油が平滑領域1dに向けて引き込まれて動圧油膜を形成し、その動圧油膜によって軸の外周面が軸受面1bに対して浮上支持(非接触支持)される。
本発明の動圧溝形成用金型は、図1に示すような動圧型焼結含油軸受1の軸受本体1aの形成に際し用いられる。本発明の動圧溝形成用金型の一例を図2に基づいて説明する。図2は、動圧溝形成用金型であるサイジングピンの一部拡大図である。図2に示すように、動圧溝形成用金型であるサイジングピン3は、その外周面に、凸状の第1成形部3aと、凹状の第2成形部3bとを有する。第1成形部3aは、軸受面1bにおける動圧溝1cの領域(図1参照)を成形するものである。第2成形部3bは、動圧溝1c以外の領域(環状の平滑領域1d、背1e)を成形するものである。第1成形部3aと第2成形部3bとの段差(深さ)は、軸受面1bにおける動圧溝1cの深さ(図1参照)と同じ2〜4μm程度であるが、図2では誇張して図示されている。
サイジングピン3の材質としては、炭素工具鋼、合金工具鋼、高速度工具鋼、超硬合金などを挙げることができる。特に超硬合金は耐摩耗性に優れるため、金型材質として好適である。また、金型の表面硬度を上げるため、窒化処理やショットピーニングなどの表面処理を施してもよい。
本発明では、サイジングピン3において、第1成形部3aと第2成形部3bとを含む該金型の外周面に、窒化物系硬質被膜、炭化物系硬質被膜、硬質炭素被膜から選ばれた少なくとも1つの硬質被膜が形成されている。
窒化物系硬質被膜としては、TiN、TiBN、CrN、CrAlN、TiAlN、SiN、SiAlN、AlCrSiN、TiBON、ZrN、SiCN、AlNなどが挙げられる。また、炭化物系硬質被膜としては、SiC、TiCなどが挙げられる。また、本発明における硬質炭素被膜は、構造的にはダイヤモンド構造とグラファイト構造が混ざり合った両者の中間構造を有するものであり、ダイヤモンドライクカーボン(以下、DLCと記す)と呼ばれている硬質被膜である。以上の各被膜は、単独で形成することも、2種類以上を積層して形成することも可能である。また、耐摩耗性、摩擦特性、硬度、非粘着性等の機械的物性を向上させるのに有効な元素をドーピングして、硬質被膜を形成することもできる。
上記硬質被膜の膜厚は0.2〜8μmであることが好ましい。厚すぎると、成膜中に膜内に発生する応力が過大となり成膜中にクラックが生じるおそれがある。また、クラックが生じなくとも厚すぎる膜では残留応力が高いため剥離し易い傾向がある。逆に薄すぎると、硬質被膜が摩耗した場合、金型の寿命延長の効果が薄れるので好ましくない。少なくとも金型の寿命延長の効果が確認でき、かつ高い残留応力のために剥離することがないことから、上記硬質被膜の膜厚は0.4〜8μmであることがより好ましい。また、5μmをこえるとエッジ部では剥離し易くなる場合があることから、上記硬質被膜の膜厚は0.4〜5μmであることがさらに好ましい。
本発明の硬質被膜の押し込み硬さが10GPa以上であることが好ましい。10GPa未満であると金型表面に傷がつきやすく、耐摩耗性に劣り、金型の交換寿命が短くなるので好ましくない。
上述した硬質被膜の中でも、特に硬質炭素被膜(DLC)が摩擦摩耗特性に優れ、かつ被膜表面が平滑であることから、本発明の動圧溝形成用金型に形成する硬質被膜として好適である。例えば、硬質被膜に硬質炭素被膜(DLC)を使用することで、金型表面(被膜表面)の面粗さが金型基材と同程度にできるので、研磨、ラッピングなどの後加工が不要となる。この研磨、ラッピングなどの後加工は、他の硬質被膜を用いる場合には、被膜表面が荒れるので、製品表面に必要な面粗さに合わせるために必要となるものである。
硬質炭素被膜(DLC)の成膜方法としては、特に限定しないが、例えば熱、光、プラズマ(直流プラズマ、ホロカソードプラズマ、RFプラズマ、パルスプラズマ、表面波プラズマ)などを使用したCVD方式や、イオンビーム、イオン化蒸着、ホロカソードアーク、真空アーク蒸着、アンバランスド・マグネトロン・スパッタ(以下、UBMSと記す)、プラズマ昇華、電子ビーム蒸着などのPVD方式の成膜方式を挙げることができる。これらの中で、特に耐摩耗性に優れた硬質被膜が得られるUBMS式による成膜方式を採用することが好ましい。
UBMS装置を用いたUBMS法の成膜原理を図7に示す模式図を用いて説明する。図7に示すように、丸形のターゲット15の中心部と周辺部で異なる磁気特性を有する内側磁石14a、外側磁石14bが配置され、ターゲット15付近で高密度プラズマ19を形成しつつ、上記磁石14a、14bにより発生する磁力線16の一部16aがバイアス電源11に接続された基材12近傍まで達するようにしたものである。この磁力線16aに沿ってスパッタリング時に発生したArプラズマが基材12付近まで拡散する効果が得られる。このようなUBMS法により、基材12付近まで達する磁力線16aに沿ってArイオン17および電子が、通常のスパッタリングに比べてイオン化されたターゲット18をより多く基材12に到達させるイオンアシスト効果によって、緻密な被膜(層)13を成膜できる。硬質炭素被膜(DLC)の成膜に際しては、固体のターゲット15として黒鉛ターゲットを用いる。また、必要に応じて、装置内にメタンガスなどの炭素水素系ガスを導入し、炭素供給源とすることもできる。
硬質被膜として硬質炭素被膜(DLC)を採用する場合、該被膜は高い硬度およびヤング率を持つ反面、変形能が極めて小さく、基材との密着性が弱いという特性を有するので、基材である金型に対する硬質炭素被膜の密着性を向上させるために、金型と硬質炭素被膜との間に金属中間層を形成することが好ましい。金属中間層は、例えば、図7において金属中間層に対応するターゲット15を用いて形成することができる。
金属中間層は、W、Cr、Si、Tiから選ばれた少なくとも一つの金属元素を含むことが好ましい。これらの金属種を含むことで、炭素工具鋼、合金工具鋼、高速度工具鋼、超硬合金などからなる金型(サイジングピン)基材との密着性をより向上させることができる。また、金属中間層は、必要に応じて、組成の異なる複数の層とすることもできる。
また、硬質炭素被膜(DLC)に隣接する金属中間層は、金型または他の金属中間層側から、硬質炭素被膜側に向けて金属の含有量を減少させ、一方、炭素の含有量を連続的または段階的に増加させた傾斜層とすることが好ましい。この傾斜層が応力緩和層となり、金属中間層と硬質炭素被膜との間の密着性の向上が図れる。
硬質被膜は、その押し込み硬さが、金型の外周面側から、該被膜の最表面層側に向けて連続的または段階的に高くなる硬度傾斜被膜であることが好ましい。硬度傾斜被膜とすることで、金属中間層との間で急激な硬度差をなくすことができ、密着性の向上が図れる。硬度傾斜させた硬質炭素被膜(DLC)は、UBMS法において黒鉛ターゲットを用い、基材である金型に対するバイアス電圧を連続的または段階的に上昇させて成膜することで得られる。硬度が連続的または段階的に上昇するのは、DLC構造におけるグラファイト構造(sp)とダイヤモンド構造(sp)との構成比率が、バイアス電圧の上昇により後者に偏っていくためである。
本発明の動圧溝形成用金型であるサイジングピンは、以上のような硬質被膜を外周面に形成するので、耐摩耗性に優れ、これらの硬質被膜を有さないサイジングピンと比較して交換寿命を大幅に延長できる。
本発明の動圧型焼結含油軸受の製造方法は、円筒状の焼結金属素材の内周面に傾斜状の動圧溝を有する軸受面を成形して軸受本体を形成し、その軸受本体の内部の細孔内に潤滑油または潤滑グリースの含浸によって油を保有させる動圧型焼結含油軸受の製造方法であり、上記軸受面の成形工程において、上述の動圧溝形成用金型(サイジングピン)を焼結金属素材の内周面に挿入し、該動圧溝形成用金型の動圧溝の領域を成形するための成形部を焼結金属素材の内周面に加圧して、該内周面に動圧溝の領域を塑性加工により成形する工程を含むものである。
本発明の動圧型焼結含油軸受の製造方法の一例として、軸受面の成形工程において、上述の動圧溝形成用金型(サイジングピン)を焼結金属素材の内周面に挿入した後、焼結金属素材を第1パンチと第2パンチとで軸方向両側から拘束した状態で、焼結金属素材の外周面をダイに圧入して圧迫力を加え、その内周面を該動圧溝形成用金型の外周面に加圧して塑性変形させることにより、軸受面の動圧溝の形成領域とそれ以外の領域とを同時成形する方法を以下に説明する。
この製造方法では、ダイへの圧入に伴う焼結金属素材の軸方向の伸びを抑制し、軸受面の位置ずれを防止するため、焼結金属素材を第1パンチと第2パンチとで軸方向両側から拘束した状態でダイに圧入する構成を採用している。
焼結金属素材のダイへの圧入動作は、ダイを固定とし、動圧溝形成用金型と、第1パンチおよび第2パンチとを連動させて行なうこともできるが、動圧溝形成用金型と第1パンチおよび第2パンチとによる素材の拘束位置を保持し、ダイを焼結金属素材に対して軸方向移動させることにより行なうこともできる。
焼結金属素材を図3に示す。図3は、焼結金属素材の一例を示す断面図である。図3に示すように、焼結金属素材1’は、一種類以上の金属粉を混合して圧粉成形した後、焼成して所定の円筒形状の多孔質焼結体としたものである。この焼結金属素材1’は、銅または鉄、あるいは、その両者を主成分としたものが好ましい。この円筒形状の焼結金属素材1’に対して、例えば上述の軸受面成形加工を施すことで、図1に示す動圧型焼結含油軸受1の軸受本体1aを製造することができる。
軸受面の成形工程は、所定のサイジング加工を施した焼結金属素材1’の内周面に、完成品である軸受本体1aの軸受面1bに対応した形状の成形型を加圧することによって、軸受面1bの動圧溝1cの形成領域とそれ以外の領域(平滑領域1d、背1e)とを同時成形する工程である。この工程は、図4〜図6に示す工程(a)〜(h)からなる。なお、図6は図4における工程(c)、工程(e)を示す要部拡大断面図である。
軸受面の成形工程で使用する成形装置は、焼結金属素材1’の外周面を圧入する円筒状のダイ2、焼結金属素材1’の内周面を成形するサイジングピン(コアロッド)3、焼結金属素材1’の両端面を上下方向(軸方向)から押さえる上パンチ4および下パンチ5を主要な要素として構成される。6は、サイジングピン3および上パンチ4を駆動するラム(油圧ラム等)である。サイジングピン3はラム6に連結されており、ラム6と一体となって昇降動作を行なう。上パンチ4はラム6に連結されておらず、ラム6がある程度下降した後、ラム6に押されて下降動作を行なう。下パンチ5は固定である。ダイ2は、図示されていない駆動手段によって昇降駆動される。ここで、サイジングピン3が本発明の動圧溝形成用金型であり、その動圧溝成形部は上述の図2に拡大して示すものである。
図4(a)に示す初期状態において、ダイ2は下位置にあり、サイジングピン3、上パンチ4、およびラム6は上位置にある。ダイ2は下パンチ5に摺動自在に外挿され、下パンチ5はダイ2の成形孔の上端入口部で待機して焼結金属素材1’の下端面を受ける。サイジングピン3は、上パンチ4に摺動自在に挿入されている。
上記の初期状態から、ラム6を下降させて、サイジングピン3を焼結金属素材1’の内周面に挿入する(図4(b)参照)。この時、焼結金属素材1’の内周面とサイジングピン3の成形型(第1成形部3aを基準)との間には内径すきまTがある。内径すきまTの大きさは、例えば50μm(直径量)である。
ラム6をさらに下降させて、上パンチ4に当て、上パンチ4をサイジングピン3とともに下降させて、焼結金属素材1’の上端面に押し当て、焼結金属素材1’を上パンチ4と下パンチ5によって上下方向から加圧して拘束する(図4(c)、図6(c)参照)。
その後、焼結金属素材1’の上下方向の拘束状態を保持しながらダイ2を上昇させて、焼結金属素材1’の外周面をダイ2の成形孔に圧入する(図4(d)、(e)、図6(e))。この時の圧入代Sは、例えば150μm(直径量)である。
焼結金属素材1’はダイ2と上下パンチ4、5から圧迫力を受けて変形を起こし、内周面がサイジングピン3の外周面に加圧される。内周面の加圧量は、圧入代S(直径量150μm)と内径すきまT(直径量50μm)との差100μm(直径量)に略等しく、内周面から深さ50μm(半径量)までの表層部分がサイジングピン3の第1成形部3aと第2成形部3bとからなる成形型に加圧され、塑性流動を起こして該成形型に食い付く。これにより、成形型の形状が焼結金属素材1’の内周面に転写され、軸受面1bが図1に示す形状に成形される。
軸受面1bの成形が完了した後、焼結金属素材1’の上下方向の拘束状態を保持した状態でダイ2を下降させて(図5(f)参照)、焼結金属素材1’をダイ2から抜く(図5(g)参照)。その後、ラム6の上昇により、サイジングピン3および上パンチ4を上昇させて(上パンチ4の上昇は図示されていない駆動手段または復帰手段によってなされる)、サイジングピン3を焼結金属素材1’の内周面から抜く(図5(g)、(h)参照)。焼結金属素材1’をダイ2から抜くと、焼結金属素材1’にスプリングバックが生じ、その内径寸法が拡大するので、軸受面1bの動圧溝1cを崩すことなく、焼結金属素材1’の内周面からサイジングピン3の成形型を抜き取ることができる。これにより、軸受本体1aが完成する。
本発明の動圧型焼結含油軸受の製造方法の他の例として、軸受面の成形工程において、上述の動圧溝形成用金型(サイジングピン)を焼結金属素材の内周面に挿入した後、第1パンチで焼結金属素材の外周面をダイ(ダイは固定)に圧入し、その後、ダイ、第1パンチ、および第2パンチとで上記素材を圧縮して動圧溝を形成する方法を以下に説明する。この軸受面の成形工程を図10および図11に示す。
この例における軸受面の成形工程で使用する成形装置は上述の成形装置と同様であり、焼結金属素材1’の外周面を圧入する円筒状のダイ2、焼結金属素材1’の内周面を成形するサイジングピン(コアロッド)3、焼結金属素材1’の両端面を上下方向(軸方向)から押さえる上パンチ4および下パンチ5を主要な要素として構成される。
サイジングピン3と上パンチ4をサイジングピン3とともに下降させて、サインジングピン3を焼結金属素材1’の内周面に挿入するとともに、上パンチ4を焼結金属素材1’の上端面に押し当てる(図10(a)参照)。その後、上パンチ4で焼結金属素材1’を押して、焼結金属素材1’の外周面をダイ2の成形孔に圧入する(図10(b)参照)。この時の圧入代などは上述の場合と同様である。焼結金属素材1’はダイ2に圧入されているため、その内周面はサイジングピン3に抱きつく形になっている。
この後、下パンチ5を焼結金属素材1’の下端面に押し当てて、焼結金属素材1’を上下方向から加圧する(図11(a)参照)。焼結金属素材1’はダイ2と上下パンチ4、5から圧迫力を受けて変形を起こし、内周面がサイジングピン3の第1成形部3aと第2成形部3bとからなる成形型に加圧される。内周面の加圧量は、外径しめしろと内径すきまとの差に略等しく、内周面から所定深さまでの表層部分がサイジングピン3の成形型に加圧され、塑性流動を起こして該成形型に食い付く。これにより、成形型の形状が焼結金属素材1’の内周面に転写され、軸受面1bが図1に示す形状に成形される。
軸受面1bの成形が完了した後、図11(b)に示すように、焼結金属素材1’にサイジングピン3を挿入したままの状態で下パンチ5とサイジングピン3を連動して上昇させ、焼結金属素材1’をダイ2から抜く。焼結金属素材1’をダイ2から抜くと、焼結金属素材1’にスプリングバックが生じ、その内径寸法が拡大するので、軸受面1bの動圧溝1cを崩すことなく、焼結金属素材1’の内周面からサイジングピン3の成形型を抜き取ることができる。これにより、軸受本体1aが完成する。
上記した各方法において、焼結金属素材1’のスプリングバック量の半径量が動圧溝1cの深さよりも小さく、成形型が焼結金属素材1’の内周面に多少干渉する場合であっても、焼結金属素材1’の材料弾性による拡径量(半径量)を付加して、軸受面1bの形状を崩すことなく成形型を離型できればよい。サイジングピン3を焼結金属素材1’の内周面から抜く際において上記干渉が起こる場合であっても、本発明ではサイジングピン3の外周面に耐摩耗性に優れる硬質被膜が形成されているので、第1成形部3aと第2成形部3bとからなる成形型を含むサイジングピン3の外周面の摩耗を抑制できる。
以上のような工程を経て軸受本体1aを製造し、これに潤滑油または潤滑グリースを含浸させて油を保有させると、図1に示す動圧型焼結含油軸受1が完成する。なお、軸受面の形状は同図に示すものに限らず、例えばV字形状やスパイラル状の動圧溝を形成したものでもよい。また、軸受本体に1つの軸受面を形成したものでもよい。これらは、サイジングピンの成形型の形状、個数を変えることによって対応することができる。
各実施例および比較例に用いた基材および成膜に用いた装置は以下のとおりである。
(1)基材材質:超硬合金または冷間ダイス鋼SKD−11(表中において、「超硬」は超硬合金の略称であり、「SKD−11」は冷間ダイス鋼の略称である。)
(2)基材寸法;鏡面(Ra=0.005μm以下)30mm角、厚さ5mm
(3)UBMS法:神戸製鋼所製;UBMS202/AIP複合装置
(4)プラズマCVD法:神港精機社製;実験用パルスプラズマCVD装置
(5)アークイオンプレーティング(以下、AIPと記す)法:神戸製鋼所製;UBMS202/AIP複合装置
(6)HCD法:インターフェイス社製;3元ターゲット型HCD−PCD装置
UBMS202/AIP複合装置の概要を図8に示す。図8はAIP機能を備えたUBMS装置の模式図である。図8に示すように、UBMS202/AIP複合装置は、円盤21上に配置された基材22に対し、真空アーク放電を利用して、AIP蒸発源材料20を瞬間的に蒸気化・イオン化し、これを基材22上に堆積させて被膜を成膜するAIP機能と、スパッタ蒸発源材料(ターゲット)23、24を非平衡な磁場により、基材22近傍のプラズマ密度を上げてイオンアシスト効果を増大することによって、基材上に堆積する被膜の特性を制御できるUBMS機能を備える装置である。この装置により、基材上に、AIP被膜および複数のUBMS被膜(組成傾斜を含む)を任意に組合わせた複合被膜を成膜することができる。
実施例1〜実施例19および比較例1〜比較例2
表1に示す基材をアセトンで超音波洗浄した後、乾燥した。乾燥後、基材を表1に示す各装置に取り付けて、表1に示す種類の金属中間層、硬質被膜をそれぞれ成膜し、試験片を得た。なお、硬度傾斜有りは、硬質被膜の押し込み硬さを基材または金属中間層側から、最表層側に向けて徐々に増加させたものである。また、金属中間層であるCr層、Ti層、WC層は、UBMS202/AIP複合装置の成膜チャンバー内を5×10−3Pa程度まで真空引きし、ヒータで基材をベーキングして、Arプラズマにて基材表面をエッチング後、各方法にて形成した。得られた試験片を以下に示す膜厚試験、表面粗さ試験、硬度試験および摩耗試験に供し、膜厚、最大表面粗さ、硬度および比摩耗量を測定および/または評価した。結果および以下に示す総合判定結果を表1および表2に併記する。
<膜厚試験>
得られた試験片の膜厚を表面形状・表面粗さ測定器(テーラーホブソン社製:フォーム・タリサーフPGI830)を用いて測定した。膜厚は成膜部の一部にマスキングを施し、非成膜部と成膜部の段差から膜厚を求めた。
<表面粗さ試験>
得られた試験片の表面最大粗さRzをテーラーホブソン社製:フォーム・タリサーフPGI830を用いて測定した。測定結果を表1に併記する。なお、表面最大粗さが小さい方が、製品の表面形状が滑らかになるので好ましい。
<硬度試験>
得られた試験片の押し込み硬さをアジレント社製:ナノインデンタ(G200)を用いて測定した。測定結果を表1に併記する。なお、測定値は表面粗さの影響を受けない深さ(硬さが安定している箇所)の平均値を示しており、各試験片10箇所ずつ測定している。
<摩耗試験>
得られた試験片を、図9に示す摩擦試験機用いて摩耗試験を行なった。図9(a)は正面図を、図9(b)は側面図を、それぞれ表す。材質:焼結合金 Cu58.6%−Fe39%−Sn1.5%−C0.5%−ステアリン酸0.4%、表面粗さRa:0.2〜0.3μmであり、曲率:60mmである焼結合金を相手材27として回転軸25に取り付け、試験片26をアーム部28に固定して所定の荷重29を図面上方から印加して、ヘルツの最大接触面圧0.5GPa、室温(25℃)下、0.1m/sの回転速度で30分間、試験片26と相手材27との間に潤滑剤を介在させることなく、相手材27を回転させたときに、相手材27と試験片26との間に発生する摩擦力をロードセル30により検出した。上記試験条件および試験後の摩耗量から比摩耗量を算出した。
Figure 2011190827
Figure 2011190827
実施例1〜実施例19は、硬質被膜を形成しない各比較例に対して、耐摩耗性に優れた結果を示した。
本発明の動圧型焼結含油軸受の製造方法は、簡易な設備で、少ない工数で、かつ、精度良く製造を行なうことができ、加えて、動圧溝形成用金型(サイジングピン)の交換寿命が長く、製造コストの低減が図れるので、磁気ディスクドライブ用のスピンドルモータや、レーザビームプリンタのスキャナモータなどに用いられる動圧型焼結含油軸受の製造に好適に利用できる。
1 動圧型焼結含油軸受
1a 軸受本体
1b 軸受面
1c 動圧溝
1d 環状の平滑領域
1e 動圧溝間の領域
1’ 焼結金属素材
2 ダイ
3 サイジングピン(動圧溝形成用金型)
3a 第1成形部
3b 第2成形部
4 上パンチ
5 下パンチ
6 ラム
11 バイアス電源
12 基材
13 被膜(層)
14a 内側磁石
14b 外側磁石
15 ターゲット
16 磁力線
16a 磁力線の一部
17 Arイオン
18 ターゲット
19 高密度プラズマ
20 AIP蒸発源材料
21 円盤
22 基材
23、24 スパッタ蒸発源材料(ターゲット)
25 回転軸
26 試験片
27 相手材
28 アーム部
29 荷重
30 ロードセル

Claims (11)

  1. 円筒状の焼結金属素材の内周面に傾斜状の動圧溝を有する軸受面を成形して軸受本体を形成し、その軸受本体の内部の細孔内に潤滑油または潤滑グリースの含浸によって油を保有させる動圧型焼結含油軸受の製造方法に用いられる動圧溝形成用金型であって、
    該動圧溝形成用金型は、前記動圧溝の領域を成形するための成形部を外周面に有し、前記軸受本体を形成する際に、前記焼結金属素材の内周面に挿入および加圧して、該内周面に前記動圧溝の領域を塑性加工により成形するものであり、
    前記動圧溝形成用金型は、外周面に、窒化物系硬質被膜、炭化物系硬質被膜、硬質炭素被膜から選ばれた少なくとも1つの硬質被膜を有することを特徴とする動圧溝形成用金型。
  2. 前記硬質被膜の膜厚が0.2〜8μmであることを特徴とする請求項1記載の動圧溝形成用金型。
  3. 前記硬質被膜の押し込み硬さが10GPa以上であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の動圧溝形成用金型。
  4. 前記硬質被膜が硬質炭素被膜であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項記載の動圧溝形成用金型。
  5. 前記動圧溝形成用金型は、該金型と前記硬質炭素被膜との間に金属中間層を有することを特徴とする請求項4記載の動圧溝形成用金型。
  6. 前記金属中間層がタングステン、クロム、珪素、チタンから選ばれた少なくとも一つの金属元素を含むことを特徴とする請求項5記載の動圧溝形成用金型。
  7. 前記硬質炭素被膜がアンバランスド・マグネトロン・スパッタリング法により形成されたことを特徴とする請求項4ないし請求項6のいずれか一項記載の動圧溝形成用金型。
  8. 前記硬質被膜は、その押し込み硬さが前記動圧溝形成用金型の外周面側から該硬質被膜の最表面側へと連続的もしくは段階的に高くなる被膜であることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか一項記載の動圧溝形成用金型。
  9. 前記動圧溝形成用金型の基材が超硬合金材からなることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか一項記載の動圧溝形成用金型。
  10. 円筒状の焼結金属素材の内周面に傾斜状の動圧溝を有する軸受面を成形して軸受本体を形成し、その軸受本体の内部の細孔内に潤滑油または潤滑グリースの含浸によって油を保有させる動圧型焼結含油軸受の製造方法であって、
    前記軸受面の成形工程は、請求項1ないし請求項9のいずれか一項記載の動圧溝形成用金型を前記焼結金属素材の内周面に挿入し、該動圧溝形成用金型の動圧溝の領域を成形するための成形部を前記焼結金属素材の内周面に加圧して、該内周面に前記動圧溝の領域を塑性加工により成形する工程を含むことを特徴とする動圧型焼結含油軸受の製造方法。
  11. 前記動圧型焼結含油軸受は、磁気ディスクドライブ用のスピンドルモータに使用される軸受であることを特徴とする請求項10記載の動圧型焼結含油軸受の製造方法。
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