JP2011184724A - スパッタリングターゲットの製造方法、及び、光メディアの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】光メディアの記録信頼性を向上できる、スパッタリングターゲットの製造方法等を提供する。
【解決手段】石英ガラス容器及び石英ガラスボールを備えたボールミル中において石英粒子を粉砕する粉砕工程と、粉砕工程後のボールミル中にさらにZnO粒子を添加し、粉砕された石英粒子とZnO粒子とを前記ボールミル中で混合することにより混合物を得る混合工程と、混合物を焼結する工程と、を備える製造方法により得られる、SiO2及びZnOを主成分とする干渉膜24を有する光メディアスパッタリングターゲット。
【選択図】図2
【解決手段】石英ガラス容器及び石英ガラスボールを備えたボールミル中において石英粒子を粉砕する粉砕工程と、粉砕工程後のボールミル中にさらにZnO粒子を添加し、粉砕された石英粒子とZnO粒子とを前記ボールミル中で混合することにより混合物を得る混合工程と、混合物を焼結する工程と、を備える製造方法により得られる、SiO2及びZnOを主成分とする干渉膜24を有する光メディアスパッタリングターゲット。
【選択図】図2
Description
本発明は、スパッタリングターゲットの製造方法、及び、光メディアの製造方法に関する。
反射層を基板上に形成し、この反射層上に光記録層や、読取や書込み時に光が透過する透明カバー層等をさらに形成することにより製造される光ディスク(例えば、BD(ブルーレイ・ディスク)−ROM、BD−R、BD−RE等)、光カード等の光メディアが知られている。このような光メディアでは、光記録層の上側及び/又は下側に、記録の前後における光記録層の光学特性(例えば、反射率)の差を拡大する役割を果たす干渉膜を設ける場合がある。
そして、このような干渉膜として無機酸化物材料が知られており、例えば、特許文献1には、(SiO2)40(ZnO)60という組成の干渉膜(保護膜)をスパッタリングにより形成することが開示されている。また、特許文献2には、SiO2粒子及びZnS粒子の焼結体からなるスパッタリングターゲットを用いたスパッタリング法により、SiO2及びZnSを主成分として含む干渉膜を形成することが開示されている。特許文献3には、記録膜と接する面の材料にS(硫黄)を用いないことが開示されている。
ところで、記録層の信頼性を向上させるためには、特許文献3に開示されているように、干渉膜にはSを含まない方がよい。したがって、干渉膜として、SiO2及びZnOを主成分とする膜は非常に好適な特性を有する膜の1つである。一方、最近では、光メディアに対して光記録層の多層化による高密度記録化が求められるようになっており、これに伴い記録層が薄くなってきている。そして、従来公知のスパッタリングによりSiO2及びZnOを主成分とする干渉膜を形成しても、記録信頼性が十分で無いことが判明した。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、SiO2及びZnOを主成分とする干渉膜を有する光メディアの記録信頼性を向上できる、スパッタリングターゲットの製造方法、及び、光メディアの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等が検討したところ、SiO2及びZnOを主成分とする干渉膜中に不純物として含まれるAl、Zr、Fe、アルカリ金属、及びアルカリ土類金属が記録層に拡散することにより、光メディアの記録信頼性を低下させていることが判明した。そして、このAl、Zr、Fe、アルカリ金属、及びアルカリ土類金属は、干渉膜形成用のスパッタリングターゲットに由来することが判明した。
本発明に係る光メディア用スパッタリングターゲットの製造方法は、石英ガラス容器及び石英ガラスボールを備えたボールミル中において石英粒子を粉砕する粉砕工程と、粉砕工程後のボールミル中にさらにZnO粒子を添加し、粉砕された石英粒子とZnO粒子とを前記ボールミル中で混合することにより混合物を得る混合工程と、混合物を焼結する工程と、を備える。
本発明によれば、石英ガラス容器及び石英ガラスボールを備えたボールミル中において石英粒子を粉砕する。これにより、まず、原料となる石英粒子自体が高純度であることに加え、ボールミルが石英ガラス製であるので、硬度が高く粉砕し難い石英粒子を容易に粉砕できて、かつ、粉砕中における石英粒子に対するAl、Zr、Fe、アルカリ金属、及びアルカリ土類金属原子によるコンタミネーション(コンタミ)を抑えることができる。したがって、焼結させやすい小粒径かつ高純度の石英粒子を効率よく得ることができる。
また、粉砕工程後のボールミル中にさらにZnO粒子を添加し、粉砕された石英粒子とZnO粒子とを前記ボールミル中で混合して混合物を得るので、これらの混合物に対して、Al、Zr、Fe、アルカリ、及びアルカリ土類金属原子によるコンタミが起こることをより一層抑制できる。そして、このように高純度な混合物を焼結するので、Al、Zr、Fe、アルカリ、及びアルカリ土類金属原子の濃度を極めて抑えたスパッタリングターゲットを得ることができる。
ここで、粉砕工程では、粒径が100μm超の石英粒子を、粒径が100μm以下となるまで粉砕を行うことが好ましい。
これによれば、焼結対象となる混合物中の石英粒子の粒径が小さいので焼結性が高くなり、また、粉砕前の石英の粒径が大きいので比表面積が小さくなってコンタミを低減可能である。
ここで、混合物は、10〜60モル%のSiO2、及び、残部のZnOからなることが好ましい。
これによれば、干渉膜の屈折率を1.5〜1.8の間で自由に調整可能である。
また、混合工程で添加するZnO粒子の粒径は、0.1〜10μmであることが好ましい。
これによれば、SiO2粒子との相互分散性と焼結性を両立させられる効果がある。
本発明にかかる製造方法は、光記録層と、光記録層の上、及び/又は、下に配置された干渉層と、を備える光メディアの製造方法であって、上述の方法により製造されたスパッタリングターゲットを用いたスパッタリングにより干渉層を成膜する工程を備える製造方法である。
これによれば、記録信頼性の高い光メディアを得ることができる。また、この干渉層は硫黄(S)を含まないので、硫黄と記録膜とを接触させない第2干渉層を成膜する必要もなくなる。
本発明によれば、光メディアの記録信頼性の向上が可能となる。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において、同一または相当要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
(光メディア用スパッタリングターゲットの製造方法)
まず、本実施形態にかかる光メディア用スパッタリングターゲットの製造方法の一例について説明する。
まず、本実施形態にかかる光メディア用スパッタリングターゲットの製造方法の一例について説明する。
石英粒子、及び、ZnO粒子を用意する。
石英粒子は、結晶質であって元来純度が高いものであるが、中でも純度が99.95質量%以上であることが好ましい。石英粒子の粒径は特に限定されないが、100μm超、好ましくは、150〜250μm程度のものが入手しやすく、粒径がある程度大きい方が比表面積が小さく、表面に付着した不純物の混入も少ない。
また、ZnO粒子の純度は、99.9質量%以上が好ましい。ZnO粒子の粒径も特に限定されないが、0.1〜10μm程度が好ましい。
つづいて、石英粒子を、石英ガラス容器及び石英ガラスボールを備えたボールミル中で粉砕する。
石英ガラスは、結晶質ではなくガラス質のSiO2であるが、不純物が極めて少ない(例えば、金属不純物合計濃度50ppm以下)ものである。ボールの粒径は特に限定されないが、例えば、5〜20mmとすることができる。
ボールミル中での粉砕は、乾式でも、湿式でもよい。湿式の場合には、溶媒として、例えばエタノールを使用できる。
粉砕時間等は、石英粒子の粒径が所望の粒径となるように適宜調節すればよい。
粉砕終了時の粒径は特に限定されないが、焼結性を高める観点から、粒径100μm以下とすることが好ましい。製造効率の観点からは、30〜60μmが好ましい。本明細書及び特許請求の範囲において、粒径とは、粒子群の顕微鏡画像に基づく投影面積円相当径の個数平均値として求めることができ、具体的には、例えば、100個程度を平均すればよい。
粉砕終了時の粒径は特に限定されないが、焼結性を高める観点から、粒径100μm以下とすることが好ましい。製造効率の観点からは、30〜60μmが好ましい。本明細書及び特許請求の範囲において、粒径とは、粒子群の顕微鏡画像に基づく投影面積円相当径の個数平均値として求めることができ、具体的には、例えば、100個程度を平均すればよい。
つづいて、粉砕工程後のボールミル中にさらにZnO粒子を添加し、粉砕された石英粒子とZnO粒子とをボールミル中で混合して混合物を得る(混合工程)。ここでは、ZnO粒子や石英粒子の粉砕がさらに行なわれてもよい。
混合時間は特に限定されないが、例えば、5〜40時間程度とすることができる。
混合時の、石英粒子とZnO粒子との比率は特に限定されないが、石英粒子が10〜60モル%、残部がZnO粒子であることが好ましい。特に、石英粒子が40〜60モル%、残部がZnO粒子であることがより好ましい。
混合物の組成は、石英(SiO2)及びZnOが全体の99質量%以上、好ましくは99.9質量%以上、さらに好ましくは99.99質量%以上である。
また、混合物において、Al、Zr、Fe、アルカリ、及びアルカリ土類金属の合計濃度が100質量ppm以下であることが好ましい。特に好ましくは、アルカリ金属(Na等)、及び、アルカリ土類金属元素(Ca等)の各元素の濃度が1質量ppm以下であり、Alが30質量ppm以下であり、Fe、Zrがそれぞれ1質量ppm以下であることが好ましい。
また、混合物において、Al、Zr、Fe、アルカリ、及びアルカリ土類金属の合計濃度が100質量ppm以下であることが好ましい。特に好ましくは、アルカリ金属(Na等)、及び、アルカリ土類金属元素(Ca等)の各元素の濃度が1質量ppm以下であり、Alが30質量ppm以下であり、Fe、Zrがそれぞれ1質量ppm以下であることが好ましい。
続いて、得られた混合物を焼結する。なお、必要に応じて、焼結前に混合物から溶媒を除去することができる。焼結条件は特に限定されない。例えば、空気中等の酸素含有雰囲気中で高温高圧をかけて原料粉体を焼結すればよい。例えば、圧力は、100〜500kgf/cm2とすることができる。また、温度は、400〜1300℃とすることができる。
続いて、得られた焼結体を所定の大きさに切断等の加工をして、光メディア用スパッタリングターゲットが完成する。ターゲットの形状や大きさ等は特に限定されず、例えば、直径127〜300mm程度の円板とすることができる。
このようにして得られた光メディア用スパッタリングターゲットは、石英粒子とZnO粒子との焼結体である。この焼結体の組成は、上述の混合物の組成に基づき、石英(SiO2)及びZnO粒子を主成分とする。
本実施形態によれば、石英ガラス容器及び石英ガラスボールを備えたボールミル中において石英粒子を粉砕している。これにより、まず、原料となる石英粒子自体が高純度であることに加え、ボールミルが石英ガラス製であるので、硬度が高く粉砕し難い石英粒子を容易に粉砕できると共に、さらに粉砕中におけるAl、Zr、Fe、アルカリ金属、及びアルカリ土類金属原子によるコンタミを抑えることができ、焼結させやすい小粒径で純度の高い石英粒子を極めて効率よく得ることができる。容器及びボールからなるボールミルの材料として、通常用いられる、Al2O3、ZrO2、及び、メノウは使用できず、ステンレス等の金属、ナイロン等の樹脂も使用できない。
また、前記粉砕工程後のボールミル中にさらにZnO粒子を添加し、粉砕された石英粒子とZnO粒子とを前記ボールミル中で混合して混合物を得るので、これらの混合物に対して、Al、Zr、Fe、アルカリ金属、及びアルカリ土類金属原子によるコンタミが起こることをより一層抑制できる。そして、このように高純度な混合物を焼結するので、Al、Zr、Fe、アルカリ金属、及びアルカリ土類金属原子の濃度を極めて抑えたスパッタリングターゲットを得ることができる。具体的には、光メディア用スパッタリングターゲットのAl、Zr、Fe、アルカリ金属、及びアルカリ土類金属の合計濃度を100質量ppm以下、好ましくは50質量ppm以下、より好ましくは、10質量ppm以下とすることも容易である。混合物やターゲットの不純物濃度は、例えば、ICPにより測定できるが、各元素の1質量ppm未満は通常ノイズのレベルとなる。なお、ターゲット中において、Al、Zr、Fe、アルカリ金属、及びアルカリ土類金属は、通常、酸化物、例えばCaO,Na2O等として存在していることが多い。
(光ディスク200)
図1を参照して、本実施形態に係る光ディスク(光メディア)200について説明する。
図1を参照して、本実施形態に係る光ディスク(光メディア)200について説明する。
光ディスク200は、例えば、BD−RやBD−REといわれる書き込みが可能なディスクである。具体的なサイズとしては、例えば、外径が約120mm、厚みが約1.2mmである円盤状をなすことができる。この光ディスク200は、支持基板(基板)10、反射層20A、干渉層22、光記録層24、干渉層22、中間層30、反射層20B、干渉層22、光記録層24、干渉層22、透明カバー層40、及び、トップコート層50、を備えて構成されているものである。すなわち、この光ディスク200は、干渉層22/光記録層24/干渉層22という積層体を2層有する。本実施態様にかかる光ディスク200は、波長λが380nm〜450nm、好ましくは約405nmであるレーザビームLBを支持基板10とは反対側のトップコート層50側から入射することによってデータの記録や、必要に応じて読み取りを行うことが可能な光ディスクである。
支持基板10は、光ディスク200に求められる厚み(約1.2mm)を確保するために用いられる円盤状の基板であり、その一方の面には、その中心部近傍から外縁部に向けて、レーザビームLBをガイドしたり記録用の凹凸の下地となるためのグルーブG及びランドLが螺旋状に形成されている。支持基板10の材料としては種々の材料を用いることが可能である。例えば、ガラス、セラミックス、あるいは樹脂を用いることができる。これらのうち、成形の容易性の観点から樹脂が好ましい。このような樹脂としてはポリカーボネート樹脂、オレフィン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂、ABS樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。中でも、加工性などの点からポリカーボネート樹脂やオレフィン樹脂が特に好ましい。
反射層20Aは、トップコート層50の表面である光入射面SSから入射されるレーザビームLBを反射し、再びトップコート層50の表面である光入射面SSから出射させる役割を果たすとともに、レーザビームLBによる熱を速やかに放熱する役割を果たす。これにより、レーザビームLBに対する光反射率が高められるため再生特性を向上させることができる。反射層20Aの組成は、特に限定されないが、例えば、アルミニウム合金とすることができる。
反射層20Aの厚さは特に限定されないが、例えば、5〜300nmに設定することができる。
干渉層22、22は、記録の前後における光記録層24の光学特性の差を拡大する役割を果たすものである。本実施形態において、干渉層22は、上述のスパッタリングターゲットを用いたスパッタリングにより成膜されるものであり、上述のスパッタリングターゲットに基づく組成を有する。すなわち、干渉層22は、SiO2及びZnOを主成分とする。そして、Al、Zr、Fe、アルカリ金属、及び、アルカリ土類金属の合計濃度が少なく、例えば、50質量ppm以下である。スパッタリング方法は、特に限定されない。好適なスパッタリング方式は、DCスパッタリング法である。
干渉層の厚みは特に限定されないが、記録層を2層以上に多層化する観点からは、好ましくは3〜200nm程度の薄型のものが好ましく、より好ましくは50〜150nmである。
なお、本実施形態では、光記録層24の両側に干渉層22がそれぞれ配置されているが、干渉層22が光記録層24のいずれか一方側のみに配置されていても実施は可能である。
また、干渉層22は、光記録層24を物理的及び/又は化学的に保護する役割をも果たす場合もある。この場合、光記録層24はこれら干渉層22間に覆われることによって、光記録後、長期間にわたって記録情報の劣化が効果的に防止されることができる。
尚、光記録層24を挟む一対の干渉層22、22は、互いに同じ組成で構成されてもよいが、異なる組成で構成されてもよい。また、一対の干渉層22、22の少なくとも一方が、さらに他の干渉層を有する多層構造であっても構わない。
光記録層24は記録マークが形成されうる層であり、無機系、有機系等種々のものが採用できる。例えば、無機系では、金属又は合金層の単層膜、複数の金属又は合金層を積層した積層膜(例えば、Si層と、銅合金層との積層構造)が挙げられ、有機系では、アゾ色素等の有機色素層等が挙げられる。
記録用のレーザビームLBの焦点が光記録層24にフォーカスされると、熱により、アブレーション、相変化、溶融、混合、拡散、分解等をおこすことにより、記録マークが形成できる。このとき、光記録層において記録マーク部分とそれ以外の部分(ブランク領域)とでは再生用のレーザビームLBに対する反射率が大きく異なるため、これを利用してデータの記録・再生を行うことができる。
光記録層24の層厚は、特に限定されないが、例えば、2〜40nmに設定することが好ましく、2〜20nmであることがより好ましく、2〜15nmであることがさらに好ましい。特に薄型のものは、干渉層のAl、Zr、Fe、及びアルカリ金属による影響を受けやすく、Al、Zr、Fe、アルカリ金属、及びアルカリ土類金属低減の効果が大きく発揮される。
特に、本発明では、光ディスク200が、光記録層24に不可逆的に記録マークが形成される、いわゆる、追記型の光ディスク200(例えば、BD−R等)であると特に好適である。このような光記録層24は、Al、Zr、Fe、アルカリ、及びアルカリ土類金属の拡散による影響を受けやすいからである。この場合、光記録層24は、図2に示すように、少なくとも2以上の反応層24a、24b等を有する積層構造を備えている。光記録層24のうち未記録状態である領域は、複数の反応層24a,24b等が積層された状態になっているが、所定以上のパワーを持つ書込用レーザビームが照射されると、その熱によって、それぞれの反応層を構成する元素同士が部分的または全体的に混合されて記録マークとなる。このとき、記録マークが形成された部分とそれ以外の部分(ブランク領域)とでは、レーザビームに対する反射率が大きく異なるため、これを利用してデータの記録・再生を行うことができる。すなわち、書込用のレーザビームの照射により、一の反応層の構成元素は、他の反応層の構成元素と互いに混合しうるものである。
このような反応層に用いる材料としては、合金や金属等の無機材料が挙げられ、特にアルミニウム(Al)、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、炭素(C)、錫(Sn)、金(Au)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、ホウ素(B)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、ガリウム(Ga)、ジルコニウム(Zr)、銀(Ag)、ビスマス(Bi)および白金(Pt)からなる群より選ばれた一つの材料を主成分とするものが挙げられ、この場合、もう一方の反応層の材料としては上記群より選ばれた他の材料を主成分とすることが好ましい。特に、再生信号のノイズレベルをより低く抑えるために、一方の反応層の主成分がCu,Al,Zn及びAgから選択される一つであり、他方の反応層の主成分がSi,Ge及びSnから選択される1つであることが好ましい。なお、反応層の積層順は特に限定されない。ここで、主成分とは、最大モル比の成分である。
また、これらの反応層24a,24b等は、互いに接触していることが好ましい。また、反応層は3層以上でもよい。
このような光記録層24の膜厚は、特に限定されないが、厚くなればなるほどレーザビームのビームスポットが照射される表面の平坦性が悪化し、これに伴って再生信号のノイズレベルが高くなると共に、記録感度も低下する。また薄くしすぎると、記録前後のおける反射率の差が小さくなり、再生時に高いレベルの再生信号(C/N比)を得ることが出来なくなる。この点を考慮すれば、光記録層24の膜厚は、上述と同様に、2〜40nmに設定する事が好ましく、2〜20nmであることがより好ましく、2〜15nmであることがさらに好ましい。なお薄いほうが、Al、Zr、Fe、アルカリ金属、及びアルカリ土類金属による影響を受けやすい。
また、反応層のそれぞれの膜厚は特に限定されないが、それぞれの膜厚比(反応層24a/反応層24b)は、1.0付近が好ましい。
中間層30は、レーザビームLBに対して透明な層である。中間層の材料も特に限定されないが、例えば、樹脂材料が挙げられ、特に、UV硬化樹脂が挙げられる。中間層30の厚みは、平均20〜30μm程度であることが好ましい。中間層30の表面にも、支持基板10と同様に、グルーブGとランドLとが形成されている。
反射層20Bも反射層20Aと同様の膜である。反射層20Bは、レーザビームLBの一部を透過させる必要があるので、反射層20Aよりも薄いことが好ましい。
透明カバー層40は、レーザビームLBに対して透明な層である。透明カバー層40の材料としては、例えば、紫外線硬化型アクリル樹脂等の樹脂材料が挙げられる。厚みは、例えば、50〜100μm程度である。
トップコート層50は、光ディスク200の表面の保護を行うものである。トップコート層50の材料としては、例えば、紫外線硬化型アクリル樹脂等を利用できる。
次に、このような追記型の光ディスク200に対するデータの記録原理について図1を参照して説明する。このような光ディスク200に対してデータを記録する場合、光ディスク200に対して強度変調されたレーザビームLBをトップコート層50等の光透過層側から入射し光記録層24に照射する。
このとき、レーザビームLBを集束するための対物レンズの開口数(NA)は、通常、0.7以上、レーザビームLBの波長λは380nm〜450nmに設定され、好ましくは、対物レンズの開口数(NA)は0.85程度、レーザビームLBの波長λは405nm程度に設定される。通常、このようにして、(λ/NA)<640nmに設定される。
このようなレーザビームLBが光記録層24に照射されると、光記録層24が加熱され、光記録層24の材料のアブレーション、分解、相変化等が起こったり、複数の反応層24a,24bを構成する元素が互いに混合、拡散されたりして、光記録層に、物理的な変化や、化学的な変化が起こる。かかる変化部分は記録マークとなり、その反射率はそれ以外の部分(ブランク領域)の反射率と異なった値となることから、これを利用してデータの記録・再生を行うことが可能となる。
そして、このような光ディスク200は、上述の光メディア用スパッタリングターゲットを用いて製造されたAl,Zr,Fe、アルカリ金属、及びアルカリ土類金属の少ない干渉層22を有していることから、干渉層22からAl、Zr、Fe、アルカリ金属、及びアルカリ土類金属が光記録層に拡散し難い。したがって、光記録層24の記録信頼性が高くなる。
なお、上記の光ディスク200は、光記録層24及びこれを挟む一対の干渉層22を有する積層体を2組有する、いわゆる2層記録型のものであるが、この組合せを1つのみ有する1層記録型のものや、3つ以上有する多層記録型のものでも実施は可能である。
本発明は上記実施形態に限られずさまざまな変形態様が可能である。例えば、上記実施形態では光メディアとしてBDを例示しているが、BD以外の光ディスクでもよい。また、上記実施形態では光メディアとして円板形状の光ディスクを例示しているが、光メディアの平面形状は特に限定されず、例えば、矩形形状をした光カードでもよい。
(実施例1)
粒径160μmの石英粒子を用意した。石英ガラスボール及び容器を備えたボールミル中で、乾式で石英粒子を粉砕して、粒径60μmにまで粉砕した。
続いて、粒径3μmのZnO粒子を用意し、ボールミル中に追加し、10時間混合を行なった。SiO2とZnOとの混合モル比は50:50とした。
得られた混合粉を空気中で焼成した。焼成条件は、圧力200kgf/cm2、温度プロファイルは、500℃まで120分で加熱し、500℃に30分維持し、その後、1100℃に加熱、1100℃に120分維持し、その後、室温まで徐冷した。
そして、得られた焼結体を、平面研削盤と円筒研磨機により200mmφ、厚さ8mmに成形してそれぞれスパッタリング用ターゲットを得た。得られたターゲットのSEM写真を図3に、図3のスペクトル1の左上の点のEDXによる組成分析結果を図4に示す。
粒径160μmの石英粒子を用意した。石英ガラスボール及び容器を備えたボールミル中で、乾式で石英粒子を粉砕して、粒径60μmにまで粉砕した。
続いて、粒径3μmのZnO粒子を用意し、ボールミル中に追加し、10時間混合を行なった。SiO2とZnOとの混合モル比は50:50とした。
得られた混合粉を空気中で焼成した。焼成条件は、圧力200kgf/cm2、温度プロファイルは、500℃まで120分で加熱し、500℃に30分維持し、その後、1100℃に加熱、1100℃に120分維持し、その後、室温まで徐冷した。
そして、得られた焼結体を、平面研削盤と円筒研磨機により200mmφ、厚さ8mmに成形してそれぞれスパッタリング用ターゲットを得た。得られたターゲットのSEM写真を図3に、図3のスペクトル1の左上の点のEDXによる組成分析結果を図4に示す。
続いて、厚さ:1.1mm、直径:120mmのポリカーボネート製の支持基板をスパッタリング装置にセットし、この支持基板上に、アルミニウム(Al)を主成分としこれに6at%のニオブ(Nb)および5at%の銀(Ag)が添加された材料からなる反射層(層厚:80nm)、干渉層(層厚:30nm)、銅(Cu)を主成分としこれにアルミニウム(Al)が23at%添加された反応層24b(層厚:6nm)、シリコン(Si)からなる反応層24a(層厚:5nm)、干渉層(層厚:20nm)を順次スパッタ法により形成した。ここで、干渉層は、それぞれ実施例1で用意したターゲットを用いてスパッタリングにより成膜した。
次に、干渉層上に、アクリル系紫外線硬化性樹脂をスピンコート法によりコーティングし、これに紫外線を照射して透明カバー層(層厚:100μm)を形成し、実施例1のBD−R型の光メディアを作製した。
(実施例2)
粒径6μmのZnO粒子を用いた以外は実施例1と同様にした。
粒径6μmのZnO粒子を用いた以外は実施例1と同様にした。
(実施例3)
粉砕完了時の粒径を100μmとする以外は実施例1と同様にした。
粉砕完了時の粒径を100μmとする以外は実施例1と同様にした。
(実施例4)
粉砕完了時の石英粒子の粒径を200μmとする以外は実施例1と同様にした。
粉砕完了時の石英粒子の粒径を200μmとする以外は実施例1と同様にした。
(比較例1)
原料として、粒径150μmのシリカゲル粒子を用いる以外は実施例1と同様にした。
原料として、粒径150μmのシリカゲル粒子を用いる以外は実施例1と同様にした。
(比較例2)
粉砕工程にアルミナボール及びアルミナ容器を有するボールミルを用いる以外は実施例1と同様にした。
粉砕工程にアルミナボール及びアルミナ容器を有するボールミルを用いる以外は実施例1と同様にした。
(比較例3)
混合工程にアルミナボール及びアルミナ容器を有するボールミルを用いる以外は実施例1と同様にした。
混合工程にアルミナボール及びアルミナ容器を有するボールミルを用いる以外は実施例1と同様にした。
(比較例4)
粉砕工程にジルコニアボール及びジルコニア容器を有するボールミルを用いる以外は実施例1と同様にした。
粉砕工程にジルコニアボール及びジルコニア容器を有するボールミルを用いる以外は実施例1と同様にした。
(比較例5)
粉砕工程にステンレスボール及びステンレス容器を有するボールミルを用いる以外は実施例1と同様にした。
粉砕工程にステンレスボール及びステンレス容器を有するボールミルを用いる以外は実施例1と同様にした。
[焼結性の評価]
焼結性の評価指標として、焼結体の焼結密度を採用した。具体的には、混合物である焼結体の密度の理論値を単体の理論値(文献値)から内挿して求め、各実施例の焼結体の密度を比重計により測定し、この測定値を理論値で除することにより相対値としての焼結密度を取得した。
[不純物濃度の測定]
焼結体の不純物濃度を、ICPにより測定した。
[記録信頼性の評価]
パルステック社製のODU-1000を用い、光メディアに、線速3.9m/sで適切な記録パワーで信号を記録して、その信号を同じ線速で再生し、初期のジッター特性を測定した。その後、80℃80%RH、100時間で保管し、再度ジッター特性を測定した。その結果の数値が1%以内の変化であればOK、1%以上の変化であればNGとした。
[光記録層へのAl、Ze、Fe、アルカリ金属、及びアルカリ土類金属拡散の有無]
保存試験後の光メディアの断面をSIMS、ESCA等で観察し、これらの金属の光記録層への拡散の有無を確認した。
焼結性の評価指標として、焼結体の焼結密度を採用した。具体的には、混合物である焼結体の密度の理論値を単体の理論値(文献値)から内挿して求め、各実施例の焼結体の密度を比重計により測定し、この測定値を理論値で除することにより相対値としての焼結密度を取得した。
[不純物濃度の測定]
焼結体の不純物濃度を、ICPにより測定した。
[記録信頼性の評価]
パルステック社製のODU-1000を用い、光メディアに、線速3.9m/sで適切な記録パワーで信号を記録して、その信号を同じ線速で再生し、初期のジッター特性を測定した。その後、80℃80%RH、100時間で保管し、再度ジッター特性を測定した。その結果の数値が1%以内の変化であればOK、1%以上の変化であればNGとした。
[光記録層へのAl、Ze、Fe、アルカリ金属、及びアルカリ土類金属拡散の有無]
保存試験後の光メディアの断面をSIMS、ESCA等で観察し、これらの金属の光記録層への拡散の有無を確認した。
これらの結果を表1及び表2に示す。
なお、表2には記載していないが、Na、Ca以外のアルカリ金属、及びアルカリ土類金属及びFeについては、全ての実施例及び比較例について検出限界である1質量ppm未満であった。
10…支持基板、20A,20B…反射層、22…干渉層、24…光記録層、24a,24b…反応層、200…光ディスク。
Claims (6)
- 石英ガラス容器及び石英ガラスボールを備えたボールミル中において石英粒子を粉砕する粉砕工程と、
前記粉砕工程後のボールミル中にさらにZnO粒子を添加し、粉砕された石英粒子とZnO粒子とを前記ボールミル中で混合することにより混合物を得る混合工程と、
前記混合物を焼結する工程と、を備える、スパッタリングターゲットの製造方法。 - 前記粉砕工程では、粒径が100μm超の石英粒子を、粒径が100μm以下となるまで粉砕を行う請求項1記載の方法。
- 前記混合物は、10〜60モル%のSiO2、及び、残部のZnOからなる請求項1又は2記載の方法。
- 前記混合工程で添加する前記ZnO粒子の粒径は、0.1〜10μmである請求項1〜3の何れか一項記載の方法。
- 前記混合物における、Al、Zr、Fe、アルカリ金属、及びアルカリ土類金属の合計濃度が100質量ppm以下である請求項1〜4の何れか一項記載の方法。
- 光記録層と、前記光記録層の上、及び/又は、下に配置された干渉層と、を備える光メディアの製造方法であって、
請求項1〜5の何れか一項記載の方法により製造されたスパッタリングターゲットを用いたスパッタリングにより前記干渉層を成膜する工程を備える光メディアの製造方法。
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-
2010
- 2010-03-05 JP JP2010049530A patent/JP2011184724A/ja active Pending
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