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JP2011172145A - カメラ - Google Patents

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Abstract

【課題】装着されたレンズにおける絞り機構の動作特性等に影響されることなく、動画撮影中の絞り駆動によるライブビュー画像の見栄えや、記録動画の画質向上を実現する。
【解決手段】感度(SV)、シャッタ速(TV)を絞り値(AV)に対して優先して変化させることにより、絞り203を可能な限り動作させないヒステリシス特性を有するプログラム線図を設定するとともに、ライブビュー中に目標とする露出レベルと現在の露出レベルとの差に応じて絞り変化量を変え、また、輝度追従速度を、絞り駆動領域(グラフC1)と非絞り駆動領域(グラフC0)とで変化させることで、ライブビューによる動画の明るさの急激な変動(ちらつき)を抑制し、画質の向上を実現する。
【選択図】図12

Description

本発明は、カメラに関する。
たとえば、多機能化等の目的で、撮像素子に結像した像を、常時モニタ表示することで、構図確認などが行えるライブビュー機能や、撮像素子に結像した像を連続して取り込んで記録する動画撮影機能が、デジタルカメラに搭載されている。
これらの連続した像が適正な明るさで表示、記録されるよう被写体の輝度変化に応じて、電子シャッタ速度、絞り、感度を制御して像の明るさを適正に保つ必要がある。
しかし、電子シャッタや、感度の制御のような電子制御による露出制御では、動画の次の画面への切替りの時間で制御変更完了するため、毎フレーム狙い通りの露出を設定できるが、機械的な駆動を伴う絞り制御では時間がかかるため、被写体輝度と絞り値、シャッタ速度、感度の関係が崩れ、露出が適正にならないフレームが発生することになり、ライブビュー表示や動画記録における画像の品質を落とすことになる。
この技術的課題に対し、動画記録向けのカメラにおいては、動画用に最適化された絞り機構を用いている。すなわち、絞りを無段階に切替可能な構成とし、時間をかけてゆっくり変化させて、時間あたりの輝度変動量を減らすことで、ちらつきを防ぐという手法である。
図1に、無段階絞りを用いたときの絞り制御を示す。撮像素子を制御する垂直同期信号をVDとする。VDの立ち上がりタイミングで1画面撮像する動作が開始する。
積分期間とは、撮像素子の画素が光を受けることによって出力される電流を電荷蓄積する時間であり、撮像の露光時間である。
図1では、数フレームにわたり、絞りがF5.6から、F4までゆっくり変化させた例を記載している。
このように、ゆっくり変更すれば、絞りにより微小変化した分、次のフレームで微小変化を打ち消す方向にシャッタや感度を制御するフィードバック制御により、絞り駆動中の誤差を微小なレベルに抑え結果として安定した露光量が得られる。
しかし、静止画撮影では、常にレスポンスの良さ(すなわち、レリーズタイムラグの短縮)が求められる。
被写体の輝度変動に対し、素早く対応し、常に適正露出で表示されることが求められるが、絞りをゆっくり動かす場合は、被写体が短時間に大きな輝度変動が生じた場合、カメラが追従できず適正露出で表示されるまで時間がかかりシャッタチャンスを逃すという技術的課題がある。
さらに静止画向けに設計された撮影レンズの絞りは、レリーズタイムラグを小さくする観点から素早く駆動することが求められているため、絞り駆動はステップ駆動が一般的である。
このような静止画撮影に特化したステップ駆動の絞りを持つレンズを動画で用いると、図2のような動作になる。すなわち、左から3回目の垂直同期信号VDの立ち上がりにおいて、絞りを変える場合、撮像の積分中に急激に露出を変化させることになるため、この積分期間の画像の明るさが不安定になる。
すなわち、静止画撮影に特化したレンズで動画撮影を行う場合には、絞り駆動中の正確な絞り値が不明、AV値を大きく変化させると、画像が一瞬明るくなり、ライブビュー画像の見栄えが劣化する、静止画用レンズでは、絞り駆動中は測光値が計測できないため、AV値が不明となる、等の技術的課題がある。
例えば図2の例では、AV5からAV4.5へ、絞りを開いた場合を考える。被写体輝度が微小であり変化分を無視できるレベルと仮定すると、絞り駆動後は絞り駆動前より、シャッタ速を0.5段早くする必要がある。
しかし、絞り駆動中は絞り値が不定となるため、絞り駆動前のシャッタ速、感度状態であれば、絞り駆動中のフレームは、異常に明るい画像がモニタに表示されたり、動画記録されることになる。
このような技術的課題があるため、静止画向けのレンズを装着したときは、動画記録中には絞りを変更しない静止画向け一眼カメラが一般的である。
撮像出力を、常時モニタに表示して構図確認できるライブビューにおいても動画撮影と同様に、絞りを駆動させると図2のような技術的課題が生じる。
この技術的課題の対策としては、駆動中露出ズレした画像を表示しない、または記録しないで、前のフレームの画像を表示させる、という処理や、できる限り絞り開放で制御する、というような処理が一般的である。
また、このような絞りを持つカメラでは、絞り駆動中は正しい測光値が得られないことを図2は示しており、このカメラでは絞り駆動中は測光しない、すなわち測光停止後、絞り駆動し、絞り駆動後に測光を再開するという排他的制御を行うことになる。
ステップ型の絞りを備えた交換レンズを用いたカメラにおける動画撮影時の対策として以下の従来技術が知られている。
特許文献1には、銀塩フィルム用レンズ装着時の動画撮影に使用される絞り段数を、制御可能な絞り段数よりも少なくし、動画撮影時に駆動する絞りの段数を粗くすることで、適切な動作を得ようとする技術が開示されている。
上述のとおり、絞り制御の段数を粗くすると、所定の制御範囲において絞り変動が発生するポイントが減るので頻度削減を見込めるが、絞りを駆動する際、絞りを駆動した分の露出ズレが大きくちらつきが大きくなるという別の技術的課題がある。
別の特許文献2では、シャッタ速で2つのポイントを設定し、被写体が明るくなった場合は高速シャッタ秒時で絞りを絞る側に駆動し、暗くなった場合は低速シャッタのポイントで絞りを開く、というヒステリシスを持たせることで、絞り駆動する輝度ポイントでの被写体の微小な輝度変動などで絞りが頻繁に動作し、絞り駆動機構の動作音が動画撮影の音声にノイズとして記録される、という技術的課題を解決しようとしている。
特開2002−290828号公報 特開2004−056699号公報
図3は、ヒステリシスを設けない場合の絞り駆動とシャッタ速と輝度との関係を示すプログラム線図である。高速シャッタをTV6、低速シャッタをTV5としている。また感度は説明の簡略化のためSV5で一定とする。
このような制御を行った場合の輝度と絞りの動きの関係を図4に図示する。被写体輝度BV4で絞りを1段変化させる場合、人の動きなどにより常時0.1段の輝度変動を持つ被写体の場合、0.1段変動するたびに絞りが動くため、明るさが不安定になる。
そこで、特許文献2の方法を用いると、図5のプログラム線図のように高速シャッタのポイントをTV7、低速シャッタポイントをTV5とおくことで、図6の輝度対絞りのプログラム線図で示されるように輝度1段の変動に対応して、BVの増加方向と減少方向とでAV値が異なるように変化するヒステリシスが構成されている。
このように構成すれば、BV4で絞りが一度AV3になれば、BV4から1段明るくならないと絞りがAV4に戻らないので、絞りが変わる頻度を減らせることができる。
しかし絞り駆動時、1段変化するということは、図2に示した絞り駆動中の間、露出が最大1段ズレを生じ、その瞬間、動画の見栄えが悪くなるという技術的課題が依然として残る。
このヒステリシスを小さく構成した場合、絞りを駆動する頻度が高くなる方向であることに加えて、被写体輝度が1段変化すれば、絞りも1段程度駆動することになる。
図7および図8に、0.5段のヒステリシスを構成した場合のプログラム線図の例を記載する。
輝度変動が0.5段程度であれば、絞り駆動は0.5段に収まるが、図8において被写体輝度が、4.6から5.6へ変動した場合、絞りはAV3からAV4へと1段変化するということが発生し、単に、ヒステリシス幅を細かく設定しても、絞りが大きく動くときは露出ズレが大きくなるのは変わらないという技術的課題を有する。
本発明の目的は、装着されたレンズにおける絞り機構の動作特性等に影響されることなく、動画撮影中の絞り駆動によるライブビュー画像の見栄えや、記録動画の画質向上を実現することが可能なカメラを提供することにある。
本発明は、動画撮影およびライブビュー表示の少なくとも一方が可能なカメラにおいて、
動画撮影およびライブビュー表示の少なくとも一方が可能なカメラにおいて、
撮影レンズにより結像された像を電気信号に変換する撮像手段と、
前記撮像手段が光信号を蓄積する時間を制御するシャッタ手段と、
前記撮像手段の受光量に対する光電変換の感度を設定する感度設定手段と、
被写体輝度を取得する被写体輝度取得手段と、
前記撮影レンズから入射する光量を制御する絞り手段の絞り値を制御する絞り制御手段と、
を備え、
前記絞り制御手段は、前記被写体輝度取得手段の出力する輝度情報と、前記絞り手段の前記絞り値と、前記シャッタ手段のシャッタ速度と、前記感度設定手段の感度とから、適正な露出レベルとの偏差を算出し、前記偏差に応じて所定時間、または前記撮像手段が所定数のフレームの画像を取得する動作時間あたりの前記絞り手段の前記絞り値の変化量を制御する、
ことを特徴としたカメラを提供する。
本発明によれば、装着されたレンズにおける絞り機構の動作特性等に影響されることなく、動画撮影中の絞り駆動によるライブビュー画像の見栄えや、記録動画の画質向上を実現することが可能なカメラを提供することができる。
本発明の参考技術である動画専用カメラの露出制御を示す線図である。 本発明の参考技術である静止画撮影に最適化された絞り機構を有するカメラにおける動画撮影の技術的課題を説明する線図である。 本発明の参考技術として、ヒステリシスを設けない場合の絞り駆動とシャッタ速と輝度との関係を示すプログラム線図である。 本発明の参考技術として、ヒステリシスを設けない場合の絞り駆動と輝度との関係を示すプログラム線図である。 本発明の参考技術として、1段分のヒステリシスを設けた場合の絞り駆動とシャッタ速と輝度との関係を示すプログラム線図である。 本発明の参考技術として、1段分のヒステリシスを設けた場合の絞り駆動と輝度との関係を示すプログラム線図である。 本発明の参考技術として、0.5段分のヒステリシスを設けた場合の絞り駆動とシャッタ速と輝度との関係を示すプログラム線図である。 本発明の参考技術として、0.5段分のヒステリシスを設けた場合の絞り駆動と輝度との関係を示すプログラム線図である。 本発明の一実施の形態であるカメラの構成を示す概念図である。 本発明の一実施の形態であるカメラの基本的な動作の一例を示すフローチャートである。 本発明の一実施の形態であるカメラにおける露出パラメータ算出処理の詳細の一例を示すフローチャートである。 本発明の一実施の形態であるカメラにおける露出パラメータ算出処理での輝度追従速度制御の一例を示す線図である。 本発明の一実施の形態であるカメラにおける輝度BVに対するAV値とTV値のヒステリシス制御例を示すプログラム線図である。 図13のヒステリシス制御における輝度と絞りの関係の一例を示す線図である。 本発明の一実施の形態であるカメラにおける露出パラメータ処理での輝度追従速度制御の変形例を示す線図である。 本発明の一実施の形態であるカメラにおける輝度追従速度制御で用いられる関数の絞り駆動領域の設定例を示す線図である。 一般的な撮像出力と、記録メディアに記録される動画ファイル、画像ファイルのデジタルデータの関係の一例を示す線図である。 本発明の一実施の形態であるカメラにおける輝度追従速度制御で用いられる関数の絞り駆動領域の設定例を示す線図である。
本実施の形態では、撮像素子から出力される画像をモニタに表示するライブビューや動画撮影において、動画撮影中に絞りを駆動したときの画像の明るさのゆらぎを抑制する制御を行うものであり、例えば、静止画撮影に最適化された絞り機構を有するレンズに対して有効である。
前回の露出での絞り値から次回の露出の絞り値を変更すると判断した場合には、被写体の輝度に露出制御の応答速度を変更することで、1回の絞り駆動で動かす絞りの駆動量を最適な値に抑制する。
すなわち、本実施の形態では、一態様として、例えば、ライブビュー表示や動画記録のような連続した撮像操作の像を用いる撮影において、絞り駆動中の絞り値が得られないカメラにおいても、動画の明るさちらつきを抑えるため絞り制御のヒステリシスを、例えば1/6段程度で構成すると同時に、動画撮影において、前回のフレームの露出での絞り値と次回のフレームの露出で設定する絞り値を異ならせることを判断した場合に、被写体の輝度変動に対する露出制御の応答速度を変更することで、1回の絞り駆動で動かす絞り駆動量を、絞り機構の特性に応じた絞り駆動量で制御する。
これにより、例えば、静止画向けに特化し、動画記録向けではない、ステップ駆動の絞り機構を備えたレンズを用いて撮影する場合においても、動画撮影において絞り駆動中の露出誤差や変動頻度を抑えることで明るさのちらつきを抑えることができ、被写体の輝度変動の応答も適切な状態で、ライブビューのモニタ表示画像の品質や動画記録における記録画像の品質向上を実現することが可能となる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図9は、本発明の一実施の形態であるカメラの構成を示す概念図である。本実施の形態では、カメラの一例として、レンズ交換が可能なデジタル一眼レフカメラに適用して場合を例示する。
本実施の形態のデジタル一眼レフカメラ(以下、単に「カメラ」と称することとする)は、ボディユニット100と、例えば交換可能なレンズユニット(すなわちレンズ鏡筒)200と、撮影した画像データを記録しておく記録メディア131を備えている。
レンズユニット200は、ボディユニット100の前面に設けられた、不図示のレンズマウントを介して着脱自在であり、当該カメラに対して交換可能である。
このレンズユニット200は、撮影レンズ210a(撮影レンズ)および210bと、絞り203(絞り手段)と、レンズ駆動機構204と、絞り駆動機構202と、レンズ制御用マイクロコンピュータ(以下、Lμcomと記す)201とから構成されている。
撮影レンズ210aおよび210bは、レンズ駆動機構204内に備えられている不図示のDCモータによって、光軸方向に駆動される。絞り203は、絞り駆動機構202内に備えられている不図示のステッピングモータによって駆動される。
また、Lμcom201は、レンズ駆動機構204や絞り駆動機構202などの、レンズユニット200内の各部を駆動制御する。このLμcom201は、後述するボディ制御用マイクロコンピュータ101(絞り制御手段)(以下、Bμcom101と略記する)と、通信コネクタ160を介して電気的に接続されており、Bμcom101と各種のデータの授受が可能であり、Bμcom101により制御される。
一方、ボディユニット100は、以下のように、撮像素子111(被写体輝度取得手段)(撮像手段)、撮像素子駆動IC110(シャッタ手段)(感度設定手段)、画像処理IC102、SDRAM104、シャッタユニット120(シャッタ手段)、シャッタ駆動制御回路121、通信コネクタ130、液晶モニタ140、カメラ操作スイッチ150、Bμcom101等を備えている。
レンズユニット200内の撮影レンズ210aおよび210b、絞り203を介して入射される不図示の被写体からの光束は、光軸上のフォーカルプレーン式のシャッタユニット120と、光学系を通過し、被写体像を光電変換するための撮像素子111に入射する。
撮影レンズ210aおよび210bを通った光束は、撮像素子111と撮像素子駆動IC110内の撮像素子111に結像される。撮像素子111は、撮像素子駆動IC110により光電変換制御される。撮像素子駆動IC110は、Bμcom101からの指示等に基づいて、撮像素子111における光電変換の感度を制御する。
すると、撮像素子111は、上述のようにして結像された被写体像を光電変換して、アナログ電気信号に変換する。前記電気信号は、撮像素子駆動IC110により、画像処理IC102が処理するためのデジタル電気信号に変換され、画像処理IC102により、画像信号に変換される。
また、ボディユニット100では、撮像素子111、撮像素子駆動ICと、記憶領域として設けられたSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)104と、液晶モニタ140と、通信コネクタ130を介して記録メディア131とが、画像処理を行うための画像処理IC102に接続されており、これらは、電子撮像機能とともに電子記録表示機能を提供できるように構成されている。
記録メディア131は、各種の半導体メモリカードや外付けのハードディスクドライブ(HDD)等の外部記録媒体であり、通信コネクタ130を介してボディユニット100と通信可能、且つ交換可能に装着される。
また、画像処理IC102は、このボディユニット100内の各部を制御するためのBμcom101に接続されている。このBμcom101は、連写時の撮影間隔を計測する図示されないタイマを有しているもので、カメラの全体の動作を制御する制御手段の他、計数手段、モード設定手段、検出手段、判定手段、演算手段等の機能を有している。
なお、Bμcom101は、通信コネクタ160と、シャッタ駆動制御回路121等と接続されており、更に、カメラの動作状態を表示出力によって撮影者へ告知するための液晶モニタ140と、カメラ操作スイッチ(SW)150と、図示しない電源と接続されている。
なお、Bμcom101とLμcom201とは、レンズユニット200をボディユニット100へ装着することにより、通信コネクタ160を介して通信可能に電気的接続がなされる。そして、Lμcom201がBμcom101に従属的に協働しながら、デジタルカメラとして稼動するようになっている。
この場合、Bμcom101は、図示しない不揮発性半導体メモリ等に格納された制御プログラム170を実行することで、上述のように、ボディユニット100およびレンズユニット200の全体を制御するとともに、後述のフローチャートのような制御動作を実現する。
シャッタ駆動制御回路121は、シャッタユニット120における不図示の先幕と後幕との動きを制御するとともに、Bμcom101との間で、シャッタの開閉動作を制御する信号と先幕が走行完了時の信号の授受を行う。
なお、本実施の形態の場合、シャッタユニット120の他に、動画撮影のために、撮像素子駆動IC110に電子シャッタ機能が設けられ、動画撮影時には、シャッタユニット120を開放とするとともに、Bμcom101によって電子シャッタ機能のシャッタ秒時が制御される構成となっている。
そして、静止画撮影時には、例えば、シャッタユニット120の動作によって所定のシャッタ秒時で静止画撮影が行われる。
液晶モニタ140は、カメラの動作状態を表示出力によってユーザ(撮影者)へ告知するためのものである。
カメラ操作スイッチ150は、例えば撮影動作の実行を指示するレリーズスイッチ、撮影モードを連写モードや通常撮影モードなどに切り替えるモード変更スイッチ、電源のオン・オフを切り替えるパワースイッチなど、ユーザがカメラを操作するために必要な操作ボタン(操作手段)を含むスイッチ群で構成される。
なお、ボディユニット100には、図示されない電源回路が設けられており、電源としての図示されない電池の電圧を、カメラの各回路ユニットが必要とする電圧に変換して供給する構成となっている。
また、特に図示しないが、ボディユニット100には、外部の音声等を検出するマイクロフォンが備えられており、画像処理IC102およびBμcom101は、撮像素子111から得られた動画とともに音声を記録して記録メディア131に格納することが可能になっている。
次に、本実施の形態のカメラによる撮影動作およびライブビュー動作について説明する。
<撮影動作>
まず、制御プログラム170を実行するBμcom101により画像処理IC102が制御されて、撮像素子111と撮像素子駆動IC110から画像データが画像処理IC102に入力されると、画像処理IC102は、この画像データを、一時保存用メモリであるSDRAM104に保存する。
なお、SDRAM104は、画像処理IC102が画像処理のためにワークエリアとしても使用される。また、画像処理IC102は、この画像データを所望の画像データ交換規格(たとえば、JPEGデータ)に変換する画像処理を行って、記録メディア131で保存させることができる。
シャッタ駆動制御回路121は、Bμcom101からシャッタを駆動制御するための信号を受け取るとシャッタユニット120を制御してシャッタの開閉動作を行わせる。このときに撮像素子111と撮像素子駆動IC110から出力された画像データに対して所定の画像処理を行って記録メディア131に記録することで静止画の撮影動作が完了する。
<ライブビュー動作と動画記録>
撮影レンズ210aおよび210bからの光束は撮像素子111と撮像素子駆動IC110へと導かれる。例えば1秒当たり30枚(フレーム)程度の割合で連続的に露光を行い、このときに撮像素子111と撮像素子駆動IC110から出力される画像データを、画像処理IC102によりビデオ信号に変換して液晶モニタ140に与えることで、被写体の動画像を液晶モニタ140に表示させることができる。
このような表示は「ライブビュー」と呼ばれており、周知である。なお、液晶モニタ140での画像データのライブビュー表示を本実施の形態のカメラで行わせるには、ユーザが上述したカメラ操作スイッチ150の中のモード変更スイッチを操作して、ライブビューモードを選択すればよい。なお、以降では、ライブビューを「LV」と略記することもある。
また、画像処理IC102により動画ファイルを生成して通信コネクタ130を介し記録メディア131に記録すれば動画記録となる。動画記録をユーザが行わせるには、カメラ操作スイッチ150に設けられた動画記録を開始停止させるスイッチを操作すればよい。
なお、LV動作時には、撮影レンズ210aおよび210bからの光束は常に撮像素子111と撮像素子駆動IC110へと導かれているので、被写体の明るさの測光処理や、被写体に対する周知の測距処理を、撮像素子111と撮像素子駆動IC110から出力される画像データに基づいて画像処理IC102に行わせることができる。
以降、このようにして、撮像素子111と撮像素子駆動IC110から出力される画像データに基づいて画像処理IC102およびBμcom101により行われる被写体の明るさの測光処理および被写体に対する測距および自動合焦の処理を、必要に応じて、それぞれ「LV測光」および「LVAF」と記すこととする。
図10は、本実施の形態のカメラの基本的な動作の一例を示すフローチャートである。
図11は、本実施の形態のカメラにおける露出パラメータ処理の詳細の一例を示すフローチャートである。
(ステップS10:)
ボディユニット100の電源ON時、またはレンズユニット200を接続した時、前記レンズユニット200が接続されていることをボディユニット100が認識した場合、ステップS20を行う。
(ステップS20:)
ボディユニット100と、レンズユニット200は、通信コネクタ160を介して、撮像素子111の垂直同期信号が、ボディユニット100からレンズユニット200へ伝えられる。
レンズユニット200のLμcom201からは、絞り制御速度、例えば絞り1ステップ駆動させるのに要する駆動時間などの情報がボディユニット100のBμcom101へ伝達される。ボディユニット100のBμcom101から所定絞り駆動時間をレンズユニット200に送信し、レンズユニット200のLμcom201がボディユニット100へ前記所定絞り駆動時間で動かせる絞り量を返信しても良い。
このような絞り駆動速度を示す情報を返さないレンズユニット200の場合は、絞り駆動時間として大きめの所定値を設定して扱う。
(ステップS30:)
前述のライブビュー動作を開始するあらかじめ決められた、絞り値、電子シャッタ速、感度で、撮影レンズ210aや撮像素子111を駆動し露出する。
(ステップS40:)
前の露出で得られた撮像出力から、前述のLV測光により被写体輝度を算出し、被写体輝度に応じてあらかじめ決められたプログラム線図により、次の露出の絞り、シャッタ秒時、感度の値を算出する。
本実施の形態では、本ステップS40の詳細例を示す後述の図11のような処理によって、LV中の被写体の輝度変化に応じて、可能な限り絞り値の変動を小さくする制御を行うことにより、LV中の画像のちらつき等を抑制して見栄えのよいLV画像をユーザに提示することを可能にする。
(ステップS50:)
ステップS40で算出された、絞り値、電子シャッタのシャッタ速でレンズユニット200、撮像素子111を制御して露出を行い、撮像出力Pを得る。得られた撮像出力Pと、設定した絞り値、電子シャッタのシャッタ速から、被写体の輝度を算出する。
ここで、もし撮像素子111が露出中に絞り203が駆動中であれば、被写体輝度の算出は行わないで前回の値を被写体輝度値とする。
(ステップS60:)
カメラ操作スイッチ150のレリーズスイッチボタンがONになったかどうか判断する。ONならステップS70へ移行し、そうでなければ、ステップS40、ステップS50をライブビュー中に反復する。
(ステップS70:)
ライブビューで得られた画像を、画像処理IC102により処理して記録メディア131に動画として記録開始する。
(ステップS80:)
前の露出で得られた撮像出力Pから、絞り値、シャッタ秒時、感度を算出する。上述のステップS40と同様の処理である。
(ステップS90:)
ステップS80で算出された、絞り値、電子シャッタのシャッタ速でレンズユニット200、撮像素子111を制御して露出を行い、撮像出力Pを得る。得られた撮像出力Pと、設定した絞り値、電子シャッタのシャッタ速から、被写体の輝度を算出する。
ここで、もし撮像素子111が露出中に絞り203が駆動中であれば、被写体輝度の算出は行わないで前回の値を被写体輝度値とする。
(ステップS100:)
カメラ操作スイッチ150のレリーズボタンの状態を確認する。ステップS60で押されたレリーズボタンが再度押されたときにステップS110へ移行する。押されなければ、ステップS80に戻り、レリーズボタンが再び押されるまで自動露出を繰返し行い、動画を記録し続け、レリーズボタンが押されたら、ステップS110へ移行する。
(ステップS110:)
動画記録を終了する。記録メディア131への画像記録を停止し、液晶モニタ140に動画記録を停止したことを告知する。記録停止後は、通常の記録しないライブビュー状態(ステップS30)に戻る。
この後、実際のカメラではステップS30のライブビュー動作開始に戻り、レリーズ待機状態になるが、簡単のため、ステップS110の完了後はカメラ動作終了として説明を進める。
次に、図11等を参照して、上述のステップS40、S80の「露出パラメータ決定」の動作の一例について説明する。
静止画の露出決定は、カメラの制御技術等で用いられるAPEX(Additive System of Photographic Exposure)演算を用いて、
BV:輝度値(Brightness Value)
SV:感度(Sensitive Value)
AV:絞り値(Aperture Value)
TV:露出時間(Time Value)
という、伝統的な表記を用いると、被写体輝度BVが得られたとき、適正露光となる撮影に用いるAV、TV、SVは、以下の(1)式の関係が成り立つように制御される。
BV+SV=AV+TV ……(1)
動画撮影おいては、前の露出で得られた撮像出力Pと、この露出で設定していたAV,TV,SVと、撮像出力適正レベルPから、
BV=AV+TV+SV+Log(P/P) ……(2)
という計算で求めるものとする。
撮像出力Pは一般的に照度に比例する出力値のため2を底とした対数をとり、何段相当、適正レベルからずれているか、「段」という単位系に置き換えている。
このBV値を適正にするAV、TV、SVを用いて、次の露出を行うのが基本である。
しかし本実施の形態では、必要に応じて、露出パラメータの変更を抑えることで、複数のフレームに渡って緩やかに適正にする制御を行う。本実施の形態におけるこの露出パラメータの制御は、カメラの露出が被写体の輝度変動に対して適正にするために、露出値を被写体輝度の変動に追従させる動作において、この追従の速さを制御する、という意味合いから輝度追従速度と呼ぶことにする。
スチル撮影では基本的に高速性(すなわち、小さなレリーズタイムラグ)が追求されるため、被写体の輝度変動に対し機敏に反応することが求められる。
公知の関係式である、前記(1)式の適正条件から、被写体の輝度変動がΔBVが発生したとき、
BV+ΔBV+SV≠AV+TV ……(3)
というように適正条件からΔBV分だけ外れる。
機敏に反応する場合、次の露出制御では単純にΔBV分、絞り値やシャッタ速、感度で構成される露出パラメータを変更すれば適性レベルの露出になる。
一方、本実施の形態のように、動画撮影時に被写体の輝度変動に対し、緩やかに対応させようとした場合は、次の露出制御でΔBVよりも少なく露出パラメータを変更する。
この輝度追従速度の制御をグラフで示したのが図12である。グラフの縦軸および横軸は絶対値で記載しており、露出ズレ量ΔBVが負であれば、縦軸のΔBV_nextも負で例えば実線のグラフC0では横軸ΔBVが−2の場合、縦軸ΔBV_nextは−2になる。同様にΔBVが+2の場合はΔBV_nextは+2として表している。
横軸は露出が適正条件からどのくらいずれているかを示す値としてΔBVを用いている。縦軸は、次の露出でずれている露出量のうち、どの程度まで適正に合せるかを示す。
実線のグラフC0は絞り駆動しない場合(絞り非変動領域)のときに行う露出制御を示している。
点線のグラフC1は、本実施の形態のように、前回の露出での絞り値から次回の露出で設定する絞り値を変更することを判断した場合(絞り変動領域)の輝度追従制御の一例を示している。
現在設定されている露出パラメータをそれぞれAV_now、TV_now、SV_nowとする。現在設定されている露出で得られたBV値をBv_nowとする。次回設定するべき露出パラメータをそれぞれAV_next,TV_next,SV_nextとする。すなわち、AV_nextは、絞り値の変化量である。
今回設定した露出パラメータで、適正になる輝度BV_calcは、
BV_calc=AV_now+TV_now−SV_now ……(4)
と定義する。
被写体の輝度変動が生じたとき、適正レベルからのズレ量ΔBVを今回取得したBV値から求める。
ΔBV=BV_now‐BV_calc ……(5)
このΔBVが図12における横軸のパラメータである。
縦軸のΔBV_nextは、次の露出パラメータを決める元になる値であるBV_nextを算出する値であり、
BV_next=BV_calc+ΔBV_next ……(6)
で示され、本実施の形態では次の露出で輝度BV_nextが適正になるようにAV値、TV値、SV値を決定する。
ΔBV_nextがΔBVよりも小さい場合、例えばΔBVが−1段で、現在の露出が1段アンダーであることを示しているとき、ΔBV_nextが−0.5段の場合、次の露出は0.5段アンダーになるように制御するような動きである。
このようにして、本実施の形態では、図12の点線のグラフC1の制御を実現するが、詳細は後述の図11のフローチャートの説明で行う。
次に絞り駆動領域、非変動領域について説明する。
図13は本実施の形態における、輝度BVに対するAV値とTV値の制御を示すプログラム線図である。一般的には、ここにBV値とSV値の線図も加わるが、説明簡略化のため、SV値は一定のSV(この場合、SV=5)で固定ということで説明を進める。
この図13に例示される本実施の形態のプログラム線図は、AV値とTV値の制御において、ヒステリシスが構成されている。ヒステリシスの形状は、TV値が長く、AV値は短く構成している。
すなわち、本実施の形態では、TV値の所定の制御範囲(図13の設定例では、TV_min=5からTV_max=7の範囲)で、可能な限り、AV値を変化させずに、TV値の変化で前記(1)式の関係を維持するように制御し、TV値が前記所定の制御範囲を逸脱しそうになったら、AV値を(この場合、後述のAV_min=3.0とAV_max=4の間で)変化させる、という制御が行われる。
絞りの状態が、TV=TV_min(この場合、5)(第1のシャッタ速)より小さい値になる暗い輝度の場合に、絞り203を開くようにする。同様に、明るくなる側も、絞りの状態がTV=TV_max(この場合、7)(第2のシャッタ速)よりもTV値を大きくなる明るい輝度の場合に、絞り203を閉じるようにしている。
図14は、本実施の形態における輝度と絞りの関係の一例を示す線図である。AV値を増やす輝度と減らす輝度の差が大きくなるようにヒステリシスが構成されている。絞り駆動領域(グラフC1)とは、前回の露出での絞り値と次回の露出で設定する絞り値を異ならせることを判断する領域であり、詳細を以下に、図11のフローチャートを参照して説明する。
次に、絞り駆動領域(グラフC1)における「露出パラメータ決定」の処理の一例について図11に基づいて説明する。
(ステップS210:)
前述の通り、得られている撮像出力P設定したときの露出パラメータで、適正になる輝度BV_calcを求める。
BV_calc=AV_now+TV_now−SV_now ……(7)
実際に得られた撮像出力Pから算出されるBV_nowが、適正レベルからのズレ量を示すΔBVを今回取得したBV値から求める。
ΔBV=BV_now‐BV_calc ……(8)
計算が完了したらステップS220へ進む。
(ステップS220:)
まず、絞り非駆動領域として扱い、図12における実線のグラフC0による制御、次の露出パラメータAV,Tv,SVを決める元になるBV_nextを次の(9)式で求める。
BV_next=BV_calc+F(ΔBV) ……(9)
図11のフローチャートでは、グラフC0として、一般的な表記の関数F()で記載している。
これは本実施の形態では、例として図15の実線のグラフC2のようにすることもできることを示している。すなわち、露出の応答速度を常に緩やかにしたい場合でも、本実施の形態の制御を使用できることを示している。
実際は絞り駆動領域(グラフC1)の輝度追従速度と、絞り非駆動領域(グラフC2)の輝度追従速度が大きく違いすぎないよう、グラフC0のF()を適切な関数にすることが考えられる。この実施の形態では図12の場合を例にとって説明を進める。(9)式の計算が完了したらステップS230へ進む。
(ステップS230:)
現在の露出が、アンダーであるかどうかを判断する。
次回の露出で適正となる輝度を示すBV_nextが、今回の撮像出力Pを得たときの露出パラメータで適正になる輝度BV_calcと比較し、BV_nextが小さければ、露出パラメータは暗い被写体に合せる。すなわち絞り203を開く、電子シャッタのシャッタ秒時を伸ばす、感度を上げる、の少なくとも一つを制御することになる。
現在の露出がアンダーの場合はステップS250へ移行し、現在の露出がアンダーではない場合はステップS240へ進む。
(ステップS240:)
ステップS230とは逆に、現在の露出がオーバ側かどうかを判断する。
BV_nextがBV_calcよりも大きい場合、現在よりも高輝度側に適した露出にする動作となり絞り203を閉じる側に駆動する、シャッタ秒時を短くする、感度を下げる、の少なくとも1つを制御することになる。
現在の露出がオーバ側である場合、ステップS300へ、現在の露出がオーバ側ではない場合、すなわち適正である場合はステップS350へ進む。
(ステップS250:)
上述のステップS230でBV_next<BV_calcが成立し、輝度BV_nextを適正にする場合、現在の絞り値でシャッタ秒時のみを変更したとき、TV値が5より小さくなるかを判断する。
現在の絞り値AV_nowと感度SV値(前述のとおりSV=5に固定して説明する)、BV_nextを用いて判断する。
適正露出が得られる条件式である前記(1)式を適用した(10)式で判断する。
BV_next+SV < AV_now+TV_min ……(10)
この式(10)が満たされた場合、絞り203を開く方向に変更しないとTV値はTV_min(この場合、TV_min=5)より小さくなることを示すので、ステップS260へ進む。
ここで絞りを変更しないと、TV値がTV_minより小さくなるときに、絞りを開く方向に変更するという判断の意味について説明する。
上述の図13のプログラム線図に例示されるように、一般的にカメラはプログラム線図によりBV値から、AV,TV,SVを選択して決定する。
本実施の形態において、TV値がTV_minより小さくなるときにのみ絞り203を開くという制御は、図13のヒステリシスを持ったプログラム線図による制御を実現するためのものである。ヒステリシスのあるプログラム線図については、上述の図3、図4、図5、図6、図7、図8で説明したとおりである。
本実施の形態では、SV値はSV=5に固定として話を進めるので、図13はAV値とTV値とBV値の関係が記載してある。縦軸は、AV値、横軸はTV値である。斜め線は輝度を示す。
後述するステップS300では式(15)により、TVがTV_max(この場合、TV_max=7)より大きくなる場合に絞り203を絞る方向とすることで、約2段分のヒステリシスを構成している。
この式(10)が不成立の場合、絞りを変更しなくてもTV値はTV_min(この場合、TV_min=5)より大きくなることを示すので絞りを変更する必要はないと判断してステップS350へ進む。
(ステップS260:)
あらかじめ決められた動画で絞りを使用する駆動範囲で一番小さい絞り値をAV_min(この場合、AV_min=3.0)とする。AV_minは、絞り203を開放にしたときのAV値で物理的に小さくできない場合や、例えばカメラの使い勝手上、被写界深度が浅すぎないようにするなど設計思想により決定される。
現在設定されている絞り値が、AV_minである場合は絞り203をこれ以上開くことはせず、TV値をTV_min未満にして適正にすることになる。よって絞り203を駆動しないと判断してステップS350へ進む。
現在設定されている絞り値がAV_minではない場合、ステップS270へ進む。
(ステップS270:)
ステップS230,S250,S260の判定条件がすべて成立した場合には、次回の露出では、現在の絞り値から絞り203を開く方法へ制御する必要がある。すなわち図12における絞り駆動領域(グラフC1)であることが確定したと考える。
輝度追従速度を遅く設定するため、BV_nextを再演算し、BV_calcからの変更量を、適正な露出レベルとの偏差であるΔBVに基づいて下記の式(11)によって小さくする。
BV_next=BV_calc+G(ΔBV) ……(11)
ΔBV_nextを与える関数G(ΔBV)は、図12の点線のグラフC1の制御を実現する関数であり、図16のようなΔBVに対するΔBV_nextの関係を格納したテーブル参照形式で実現することや近似関数などで求められる。関数G()は、ΔBVよりもG(ΔBV)の絶対値が小さく抑えるように演算している。
本実施の形態では、このような演算により輝度追従速度を抑えることで、後述するステップS280、S290の演算で計算される1回の絞り駆動で駆動する絞り量は抑えられ、絞り駆動中に生じる露出ズレ量も抑えることになる。結果として、絞り駆動中でも、ちらつきの少ない良好な動画撮影を実現している。
また、ちらつきを抑えるため、絞り値の変動量をむやみに抑えることは、輝度追従速度を遅くすることになり、輝度変動が大きい被写体に、なかなか露出追従せず構図が確認できない場合が生じる。
そこで、本実施の形態では、図12の点線のグラフC1で見るとおり、適正レベルからの露出ズレ量ΔBVが大きくなるほど、輝度追従させる量ΔBV_nextを増加させている。これにより、露出が大きくずれているときは、絞り値が大きく動くという動作になり、輝度変動が大きい被写体にも露出を的確に追従させることができる。
図17に、一般的な撮像出力Pと、記録メディアに記録される動画ファイル、画像ファイルのデジタルデータの関係式を記載する。一般的にガンマカーブと呼ばれるこの曲線C3は、撮像出力Pから動画像ファイルのフォーマットに変換するときに用いられる。
撮像出力Pよりもデータ量の少ないデータ形式に変換するため、撮像出力Pが小さい領域と大きい領域においては、データを圧縮することで、撮像出力PがΔDig分変化しても、画像ファイルのデータ変化量ΔDig’はそれよりも小さい変化量にしている。
このように撮像出力Pの持つ情報を、撮像出力Pの適正レベル付近の階調の情報量を多く持たせて画像ファイルに格納している。これは撮影時に記録される画像ファイルをモニタ再現しようとているライブビュー表示にも同じことがいえる。
このように撮像出力の適正レベルから離れた領域では、最終的な画像出力が圧縮されているため絞り駆動中の露出ズレが撮像の適正時に比べ、圧縮領域では比較的目立ちにくい。
そのためこの圧縮領域では、輝度追従速度を優先し大きく絞りを動かす制御にしている。この制御により、露出が合わない時間が長く構図が確認できないという問題を軽減し、十分構図が確認できる適正付近になったときには、輝度追従速度を遅くするかわりに、ちらつきが目立たないように絞りの駆動量を少しずつ合せるということを行うことで輝度追従とちらつき防止を両立可能にする動きになっている。
また、本実施の形態では、図16のように、ズレ量ΔBVの絶対値が3段以上では、一度に動かす絞りの駆動量を1.5段に設定している。これは、ちらつきが目立つ問題以外に、絞りの駆動量が大きいと絞りの駆動時間が長くなり複数のフレームに絞り駆動中の露出がズレた画像が入る頻度を減らす効果がある。
例えばレンズ交換式のカメラでは、装着されたレンズに備えられた絞り機構の駆動速度に応じて、この1.5段の数値を変更しても良い。例えば絞り駆動が遅いレンズの場合は、ΔBV_nextが最大1段となるような制御にする、ということが考えられる。
すなわち、絞りの特性に最適な輝度追従速度を設定することで、動画の品位と輝度追従速度を最適な状態(バランス)で制御することができる。
BV_nextの再演算が完了したらステップS280へ進む。
(ステップS280:)
このステップS280では、次回設定する絞り値を計算する。
所定の変化ステップ(この場合、0.2段分解能)で絞り値を決定するため、下記の(12)式の計算を行う。
n=(BV_next−(AV_min+TV_min−SV))÷0.2 ……(12)
nは小数点以下切捨てとする。また、n≦0の場合はn=0とする。そして、下記の(13)式により次回設定する絞り値を計算する。ただし、この場合、AV_min=3、である。
AV_next=AV_min+0.2×n ……(13)
この(13)式で、変化ステップを0.2段分解能としているのは、絞りとシャッタ速でヒステリシスを構成するためである。
式(12)の(AV_min+TV_min−SV)で示される輝度に相当する成分は、絞りが最も開いた場合(AV=AV_min)、かつTV値がTV_minの場合に適正露出となる輝度を示すものである。
式(12)は、BV_nextが、絞りを最も開くときに適正露出となる輝度よりも明るい分だけ、AV値をAV_minから増やして適正露出とするための絞り値の変化量を0.2段ステップで何段となるかを求める計算である。
したがって、式(13)の「0.2×n」は、絞り値の変化量を示すものである。
小数点以下切捨てにする理由は、次のステップS290で行うTV_nextの計算において、TV_nextがTV_min(この場合、5)を下回らないようにするためである。
先行するステップS270で、BV_nextとBV_calcの差を小さくしたことで、AV値の変化量が0.2段未満になり絞りがAV_calcと同じになることもあるが、絞りの変更の有無により輝度追従速度を変更するのではなく、ステップS230,S350,S260により絞り駆動領域か否かの判断で輝度追従速度を決めた方が、輝度追従速度が変わる頻度が高くなりすぎないので、LVでの画像表示の見栄え上良い。
(ステップS290:)
ステップS270,S280で決定されたBV値、AV値を用いて、(14)式で、次回の露出パラメータのTV値、TV_nextを算出する。
Tv_next=Bv_next+SV−AV_next ……(14)
この演算で、絞り駆動領域(グラフC1)かつ、絞り203を開く側に駆動する場合の次回露出パラメータである絞り、シャッタ速、感度が確定したので、露出パラメータ処理を終了する。
(ステップS300:)
輝度BV_nextを、絞りを変更せずに適正にする場合、シャッタ秒時を示すTV値が7より大きくなるかを判断する。
現在の絞り値AV_nowと感度SV値(この場合、SV=5に固定)、BV_nextを用いて判断する。
すなわち、適正露出が得られる条件式である上述の(1)式の関係を用いた次の(15)式で判断する。
BV_next+SV > AV_now+TV_max ……(15)
この(15)式が満たされた場合、絞り203を閉じる方向に変化させないとTV値はTV_max(この場合、TV_max=7)より大きくなることを示すのでステップS310へ進む。
ここで行っている、TV値がTV_maxより大きくなるときにのみ絞り203を閉じる変更をするという判断については、上述のステップS250で説明したとおりヒステリシスを構成するためである。
この(15)式が不成立の場合、絞りを変更しなくてもTV値はTV_min(この場合、TV_min=5)より大きくなることを示すので、絞りを変更する必要は無いと判断してステップS350へ進む。
(ステップS310:)
あらかじめ決められた動画撮影で絞りを使用する駆動範囲で一番大きい絞り値をAV_maxとする。AV_maxは、絞り203を一番絞ったときのAV値で物理的に大きくできない場合や、例えばカメラの使い勝手上、回折限界などで解像度が落ちないようにするなど設計思想により決定される。
現在設定されている絞り値が、ライブビューで使用する絞り203の駆動可能範囲で、一番大きい絞り値である場合は、これ以上絞りを動かさずTV値をTV_max(この場合、TV_max=7)以上にして適正にすることになる。よって、絞り203を駆動しないと判断してステップS350へ進む。
現在設定されている絞り値AV_nowが、AV_maxではない場合は、ステップS320へ進む。
(ステップS320:)
ステップS240,S300,S310により、次回の露出では、現在の絞り値から絞り203を閉じる方法へ制御する必要がある。すなわち図12における絞り駆動領域(グラフC1)であることが確定したと考える。
輝度追従速度を遅く設定するため、BV_nextを再演算し、BV_calcからの変更量を下記(16)式によって小さくする。
BV_next=BV_calc+H(ΔBV) ……(16)
ΔBVからΔBV_nextを与える関数H(ΔBV)は、図12の点線のグラフC1を実現する関数であり、図18のようなΔBVに対するΔBV_nextの関係を格納したテーブル参照形式で実現することや、近似関数などで求められる。関数H()は、ΔBVよりもH(ΔBV)の絶対値が小さく抑えるように演算している。
本実施の形態では、上述のステップS270で説明した関数G(ΔBV)との違いは符号のみであり、この制御の狙いはステップS270で説明したとおりである。
本実施の形態では、説明簡略化のために、関数H()を示す図12の点線のグラフC1は、上述の関数G()と同一に表記している。
ここで補足すると、絞り駆動中の露出ズレにより画像が一瞬明るく表示されるのと、暗く表示されるのを比較すると、明るく表示された方がちらつきが目立ちやすい。
画像が一瞬明るくなるのは、ユーザに眩しさを感じさせる点、見苦しさが異なるためと考えられる。そこで、本ステップS320の関数H(ΔBV)の絶対値は、上述のステップS270の関数G(ΔBV)の絶対値よりも大きくして、輝度追従速度をより早めにする、ということを行うこともできる。
絞り駆動領域におけるBV_nextが算出されたらステップS330の処理へ移動する。
(ステップS330:)
このステップS330では、次回設定する絞り値を計算する。
0.2段分解能で絞り値を決定するため、下記式(17)の計算を行う。
n=((AV_max+TV_max−SV)−BV_next)÷0.2 ……(17)
この(17)式では、nは小数点以下切り捨てとする。また、n≦0の場合はn=0とする。そして、下記の(18)式により次回設定する絞り値を計算する。ただし、この場合、AV_max=4である。
AV_next=AV_max−0.2×n ……(18)
変化幅の単位を0.2段分解能としているのは、上述のステップS280で説明したとおりである。
nを小数点以上切り捨てにする理由は、次のステップS340で行うTV_nextの計算において、AV_nextがAV_max未満の場合のとき、0.2段分解能による誤差分によりTV_nextがTV_max(この場合、TV_max=7)を上回らないようにするためである。
ステップS320で、BV_nextとBV_calcの差を小さくしたことで、AV値の変化量が0.2段未満になり絞りがAV_calcと同じになることもあるが、これも考え方は上述のステップS280での説明と同様である。
このステップS330で、AV_nextが確定した。(18)式の計算が完了したらステップS340へ進む。
(ステップS340:)
ステップS320,S330で決定されたBV値、AV値を用いて、次の(19)式で、次回の露出パラメータのTV値、TV_nextを算出する。
Tv_next=Bv_next+SV−AV_next ……(19)
この演算で、絞り駆動領域かつ、絞りを絞る側に駆動する場合の次回露出パラメータである絞り、シャッタ速、感度が確定したので、露出パラメータ処理を抜ける。
(ステップS350:)
ステップS230,S240によって、BV_calcとBV_nextが同じであり、露出を変える必要が無い場合、ステップS250,S260,S300,S310で、絞り非駆動領域(グラフC0)と判断された場合、絞り203を動かさないと判断されたので、現在の絞り値AV_nowを次の露出のAV_nextにそのまま用いる。すなわち、式(20)のようにする。
AV_next=AV_now ……(20)
輝度追従速度も、ステップS220で演算された値を用いて、上述の式(14)により、TV値、SV値を計算する。
このステップS350で、絞りを変更しない場合、次回の露出パラメータの絞り、シャッタ速、感度が確定したので露出パラメータ処理を抜ける。
以上が、上述の図10のステップS40、ステップS80における露出パラメータの決定の詳細例を記す図11のフローチャートの説明である。
ここで求められた露出パラメータを、図10のステップS50またはステップS90で設定した状態で、LV画像の表示や動画記録の露出が制御される。
上述のステップS60、ステップS100で、ステップS40、ステップS80に戻ることで、再び露出パラメータを算出する、という動作を繰り返すことで連続した動画が生成される。
このとき、本実施の形態の場合には、露出パラメータの算出方法において、輝度追従速度の計算と、AV値が細かく刻まれたヒステリシスを構成することで、露出が適正レベル近傍に有る場合は、絞りを小刻みに動かし、絞り駆動中に生じる明るさのちらつきを抑え、LV画像や記録動画の画質を向上させるとともに、露出がアンダーまたはオーバにあるときは絞りを比較的大きく駆動することで輝度追従速度を速め、LV表示中の静止画撮影でのシャッタチャンスを逃がさないような構成となっている。
なお、これまでの実施の形態ではSV値は固定(この場合、SV=SV=5)として説明してきたが、図13のプログラム線図においてSV値を可変にすれば、ヒステリシスの幅が広がり、明暗を繰り返す被写体の場合に絞り203が駆動する頻度をさらに抑えることができることも容易に知られる。
例えばステップS250において、TV値がTV_min(この場合、TV_min=5)を下回る条件としてSV値をSV=5で一定として計算したが、SV値をカメラがSV8まで変更することが可能なシステムでは、ステップS250の計算式(式(10))を、SV=8として、次の(21)式に変更すればよい。
BV_next+8−AV_now < TV_min ……(21)
そうすれば、さらに暗くならないと絞り203が開く方向に駆動しない動作となる。
そして図11のステップS290、S350の計算の後で、TV_nextがTV_min(この場合、TV_min=5)より小さくなる場合は、TV_nextをTV_minにして、SV値を、次の(22)式で、
SV_next=BV_next+TV_min−AV_next……(22)
と計算する処理を付加すればよい。
以上説明したように、本実施の形態によれば、感度(SV)、シャッタ速(TV)を絞り値(AV)に対して優先して変化させることにより、絞り203を可能な限り動作させないヒステリシス特性を有するプログラム線図を設定するとともに、目標とする露出レベルと現在の露出レベルとの差に応じて絞り変化量を変え、また、輝度追従速度を、絞り駆動領域と非絞り駆動領域とで変化させることで、ライブビューによる動画の明るさの急激な変動(ちらつき)を抑制する。
これにより、例えば、撮像素子111から出力される画像で構図を確認するライブビュー機能を搭載したレンズ交換式カメラにおいて、静止画撮影に最適化された、例えばステップ駆動タイプの絞り駆動機構202および絞り203を持つレンズユニット200を装着した場合でも、動画撮影中の絞り駆動によるライブビュー画像のちらつきに起因するライブビュー画像の見栄えや、記録動画の画質劣化を防止することができる。
すなわち、本発明の実施の形態によれば、装着されたレンズにおける絞り機構のステップ動作等の動作特性等に影響されることなく、動画撮影中の絞り駆動によるライブビュー画像の見栄えや、記録動画の画質向上を実現することが可能となる。
また、絞りの特性に最適な輝度追従速度を設定することで、動画の品位と輝度追従速度を最適な状態(バランス)で制御することができ、例えば、ライブビュー中の動画の記録における記録動画の画質の向上と、ライブビューによる構図確認での静止画撮影におけるレリーズタイムラグの短縮による静止画撮影の性能向上と、を両立させることができる。
さらに、ライブビューによる動画撮影中に絞り駆動機構の動作頻度や動作速度が減少するので、動画撮影中の絞り駆動機構の動作騒音が減少し、動画の画質とともに、動画に付随して記録される音声の音質も向上する。
なお、本発明は、上述の実施の形態に例示した構成に限らず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
例えば、カメラの構成は、上述の実施の形態に例示した構成に限らない。
100 ボディユニット
101 Bμcom
102 画像処理IC
104 SDRAM
110 撮像素子駆動IC
111 撮像素子
120 シャッタユニット
121 シャッタ駆動制御回路
130 通信コネクタ
131 記録メディア
140 液晶モニタ
150 カメラ操作スイッチ
160 通信コネクタ
170 制御プログラム
200 レンズユニット
201 Lμcom
202 絞り駆動機構
203 絞り
204 レンズ駆動機構
210a 撮影レンズ
210b DCモータ

Claims (3)

  1. 動画撮影およびライブビュー表示の少なくとも一方が可能なカメラにおいて、
    撮影レンズにより結像された像を電気信号に変換する撮像手段と、
    前記撮像手段が光信号を蓄積する時間を制御するシャッタ手段と、
    前記撮像手段の受光量に対する光電変換の感度を設定する感度設定手段と、
    被写体輝度を取得する被写体輝度取得手段と、
    前記撮影レンズから入射する光量を制御する絞り手段の絞り値を制御する絞り制御手段と、
    を備え、
    前記絞り制御手段は、前記被写体輝度取得手段の出力する輝度情報と、前記絞り手段の前記絞り値と、前記シャッタ手段のシャッタ速度と、前記感度設定手段の感度とから、適正な露出レベルとの偏差を算出し、前記偏差に応じて所定時間、または前記撮像手段が所定数のフレームの画像を取得する動作時間あたりの前記絞り手段の前記絞り値の変化量を制御する、
    ことを特徴としたカメラ。
  2. 前記絞り制御手段は、前回のフレームの露出と次回のフレームの露出とで前記絞り値を異ならせる場合に、前記絞り値の変化量を制御する、
    ことを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
  3. 同一の前記絞り値について、第1のシャッタ速よりも低速になる場合に前記絞り手段を開く側に駆動し、前記第1のシャッタ速よりも高速な第2のシャッタ速よりも高速になる場合に前記絞り手段を絞る側に駆動する動画のプログラム線図を持ち、
    前記絞り制御手段は、前記第1のシャッタ速と前記第2シャッタ速との差分よりも、前記絞り手段の前記絞り値の変化ステップを細かく制御するヒステリシスを持たせる、
    ことを特徴とする請求項2に記載のカメラ。
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