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JP2011167844A - 干渉縞防止剤を含有する転写シートとその加飾成形品 - Google Patents

干渉縞防止剤を含有する転写シートとその加飾成形品 Download PDF

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JP2011167844A
JP2011167844A JP2008152392A JP2008152392A JP2011167844A JP 2011167844 A JP2011167844 A JP 2011167844A JP 2008152392 A JP2008152392 A JP 2008152392A JP 2008152392 A JP2008152392 A JP 2008152392A JP 2011167844 A JP2011167844 A JP 2011167844A
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拓也 笠原
Atsumasa Matsumoto
篤昌 松本
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Nissha Printing Co Ltd
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Abstract

【課題】 図柄層が光透過性の金属蒸着層または艶層からなる転写シート用いて作成される加飾成形品が、虹状の干渉縞の発生を抑制し、装飾性の高いものなるための転写シートを提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明の転写シート100は基体シート1の上に、剥離層2、アンカー層3、図柄層4、接着層5が少なくとも順次形成された転写シート100において、アンカー層3または図柄層4の少なくともいずれか一方が干渉縞防止剤6を含有するように構成した。
【選択図】 図1

Description

この発明は、広くは成形品の装飾等に用いる転写シートに関し、特に転写シートを用いて作成される加飾成形品において、その表面に虹状の干渉縞が発生するのを防止する転写シートに関するものである。
携帯電話などの通信機器、自動車、家電製品などにおいて、プラスチック成形品の表面に、図柄や金属光沢を表現するため、転写シートを用いて装飾を行う方法がある。
このようにプラスチック成形品の表面に装飾する方法として転写法がある。転写法とは、基体シート上に図柄層や接着層等が形成された転写シートを用い、加熱加圧して上記転写層を被転写物に密着させ装飾を行う方法である。また、被転写物が樹脂成形品である場合に、転写法をより合理的に行う方法として、成形同時転写法がある。成形同時転写法とは、転写シートを成形金型内に挟み込み、金型内に樹脂を射出充満させ、冷却して樹脂成形品を得るのと同時に成形品表面に転写シートを密着させた後、基体シートを剥離して、被転写物面に図柄層や接着層等を転移して装飾を行う方法である。上記方法で加飾成形品を作成する際、その最表面に形成される図柄層を保護するために、図柄層の上に硬度が図柄層よりも高い剥離層を形成した転写シートを用いることがある。
さらには、上記当該転写シートにおいて、剥離層と図柄層との密着性を向上させるために、剥離層と図柄層との間にアンカー層を形成した転写シートを用いることがある(例えば、特許文献1)。
特開平06−135197号
しかし、特許文献1記載の転写シートのうち、図柄層が光透過性の金属蒸着層または艶感のある層(以下、艶層という)からなる転写シート用いて作成される加飾成形品に、波長が380nm〜780nmの光A(以下、可視光という)を照射した場合、当該加飾成形品200は図柄層201の上にアンカー層202を介して剥離層203が形成されているので、剥離層203表面で反射した光Xと、図柄層201とアンカー層202との界面で反射した光Yが干渉しあい剥離層203の表面に虹状の干渉縞が生じる。この縞が生じる傾向は可視光領域に極大のピークを有する蛍光灯等において特に顕著であり、このような光を加飾成形品200に照射すると、その装飾性あるいは金属光沢性といった品質が著しく低下するといった問題があった(図8参照)。
したがって、本発明は、上記のような問題点を解消し、図柄層が光透過性の金属蒸着層または艶層からなる転写シート用いて作成される加飾成形品が、虹状の干渉縞の発生を抑制し、装飾性の高いものなるための転写シートを提供することを目的とする。
本発明の転写シートは上記の目的を達成するために、次のように構成した。
すなわち、本発明の転写シートは基体シートの上に、剥離層、アンカー層、図柄層、接着層が少なくとも順次形成された転写シートにおいて、アンカー層または図柄層の少なくともいずれか一方が干渉縞防止剤を含有するよう構成した。
また、本発明の第2態様として、本発明の転写シートは剥離層と図柄層との間にアンカー層が2層以上形成され、これらアンカー層のうち少なくとも1層に干渉縞防止剤を含有するように構成した。
また、本発明の第3態様として、本発明の転写シートはアンカー層と図柄層とが直接接し、そのアンカー層と図柄層のいずれか少なくとも一方に干渉縞防止剤を含有するよう構成した。
また、本発明の第4態様として、本発明の転写シートは図柄層が、5nm〜50nmからなる半透過性の金属蒸着層または/かつ艶層からなるよう構成した。
また、本発明の第5態様として、本発明の転写シートは干渉縞防止剤がシリカ、アルミナ等の無機材料またはアクリル樹脂、ウレタン等の有機材料からなるよう構成した。
また、本発明の第6態様として、本発明の転写シートは干渉縞防止剤の平均粒子径が0.5μm〜10μmであるよう構成した。
また、本発明の第7態様として、本発明の転写シートはアンカー層と図柄層の界面の凹凸形状の二乗平均平方根粗さが0.1μm〜5μmであるよう構成した。
また、本発明の第8態様として、本発明の加飾成形品は樹脂成形品の上に、接着層、図柄層、アンカー層、剥離層が少なくとも順次形成された加飾成形品において、アンカー層または図柄層の少なくとも一方が干渉縞防止剤を含有するよう構成した。
また、本発明の第9態様として、本発明の加飾成形品はアンカー層と図柄層とが直接接し、その界面が凹凸形状であるよう構成した。
本発明の転写シートは、基体シートの上に剥離層、アンカー層、図柄層、接着層が少なくとも順次形成された転写シートにおいて、アンカー層または図柄層の少なくともいずれか一方が干渉縞防止剤を含有するように構成したので、当該転写シートを使用して得られる加飾成形品は、虹状の干渉縞の発生を抑制でき、装飾性の高いものとなる。
図面を参照しながら本発明の実施の形態について詳しく説明する。
図1は本発明の転写シート100の断面図である。図中、1は基体シート、2は剥離層、3はアンカー層、4は図柄層、5は接着層、6は干渉縞防止剤40は金属蒸着層、41は艶層、42は絵柄層である。なお各図において同じ構成部分については同じ符号を付している。
本発明の転写シート100は 基体シート1の上に、剥離層2、アンカー層3、図柄層4、接着層5が少なくとも順次形成された転写シートにおいて、アンカー層3または図柄層4の少なくともいずれか一方が干渉縞防止剤6を含有するように構成されている(図1、図2参照)。
基体シート1の材質としては、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂などの樹脂シート、アルミニウム箔、銅箔などの金属箔、グラシン紙、コート紙、セロハンなどのセルロース系シート、あるいは以上の各シートの複合体など、通常の転写シート100の基体シート1として離型性を有するものを使用することができる。また、基体シート1の表面が微細な凹凸を有する場合は、剥離層2または図柄層4転写層に凹凸が写し取られ、艶消しやヘアラインなどの表面形状を表現することができる。
基体シート1の剥離性を向上させるために、基体シート1と剥離層2との間に離型層を設けてもよい(図示せず)。
離型層は、転写後または成形同時転写後に基体シート1を剥離した際に、基体シート1とともに転写層から離型する層である。離型層の材質としては、メラミン系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース誘導体、尿素系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、パラフィン系樹脂およびこれらの複合物などを用いることができるが、構成材質の中に少なくもメラミン系樹脂が含まれていることが好ましい。これは、メラミン樹脂は耐熱性の高い熱硬化性樹脂であり、かつ金属蒸着層と適度な離型性を有し、かつ物理的、機械的な変化を起こさないので、離型層と接合状態にある金属蒸着層の白化、変色を抑止することができるからである。離型層の形成方法としては、ロールコート法、スプレーコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法があげある。
剥離層2は転写後、被転写物の最外面となる層であり、図柄層4を保護する層である。剥離層2の材質としては、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、ゴム系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂などのほか、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂などのコポリマーを用いるとよい。剥離層2に硬度が必要な場合には、紫外線硬化性樹脂などの光硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂などの放射線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂などを選定して用いるとよい。剥離層2の形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法、リップコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。
アンカー層3は、剥離層2と図柄層4との密着性を向上させる層である。また、アンカー層3は必要に応じて、剥離層2と図柄層4との間に2以上設けても良い。アンカー層3の材質としては、二液性硬化ウレタン樹脂、熱硬化ウレタン樹脂、メラミン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、塩素含有ゴム系樹脂、塩素含有ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ビニル系共重合体樹脂などを使用できる。アンカー層3の形成方法としては、下記記載の干渉縞防止剤6をアンカー層3中に混入した後、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法に代表される印刷法により剥離層2の上に形成することにより行うことができる。
図柄層4は樹脂成形品9を装飾する層であって、樹脂成形品9に金属光沢性を与える金属蒸着層40、樹脂成形品9に艶感を与える艶層41、または樹脂成形品の表面に様々な装飾を与える絵柄層42のうち少なくとも1以上からなり、アンカー層3の上に形成される。
図柄層4として金属蒸着層40は形成する場合、その形成方法としては、真空蒸着法、スパッターリング法、イオンプレーティング法、鍍金法などを用いるとよい。表現したい金属光沢色に応じて、アルミニウム、ニッケル、金、白金、クロム、鉄、銅、スズ、インジウム、銀、チタニウム、鉛、亜鉛などの金属、これらの合金または化合物を使用する。金属蒸着層40は、表現したい装飾に応じて、全面的に設ける場合や部分的に設けてもよい。
一部分に金属蒸着層40を形成する場合の形成方法としてはシーライト法とパスター法が挙げられる。
シーライト法とは金属蒸着層40を形成する前に水溶性樹脂層を部分的に形成し、金属を蒸着後、水洗により水溶性樹脂層とその上に形成された不要な金属蒸着層部位を除去し、部分的に金属蒸着層40を形成する方法である。ここで水溶性樹脂層の材質としては、たとえば、ポリビニルアルコール、デンプン、アルギド、エポキシ、ポリウレタンなどに代表される水溶性樹脂をバインダーとするインキが挙げられる。また形成方法としては、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法が挙げられる。
パスター法とは金属蒸着層40を形成した後、部分的に金属蒸着層40の上に耐アルカリ性樹脂層を形成し、その後のアルカリ洗浄により金属蒸着層40を部分的に形成する方法である。ここで耐アルカリ性樹脂層の材質としては塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体が挙げられる。耐アルカリ性樹脂層の形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。
図柄層4として艶層41を形成する場合、艶層41の材質としては、ポリビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、アルキッド樹脂などの樹脂をバインダーとし、適切な色の顔料または染料を着色剤として含有する着色インキを用いるとよい。
また、金属発色させる場合には、アルミニウム、チタン、ブロンズ等の金属粒子やマイカに酸化チタンをコーティングしたパール顔料を用いることもできる。また、艶層41は透過性であっても、遮光性であってもよい。艶層41の形成方法としては、絵柄層42の場合と同様に、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの通常の印刷法などを用いるとよい。
艶層41とは、図柄層4として構成されると、後述の方法で得られた加飾成形品110に可視光を照射したとき、特にその剥離層2表面に干渉縞が生じやすい層である。すなわち、加飾成形品110に380〜780nmの可視光を照射したとき、当該図柄層4を含む箇所の成型品の反射率の周期的変化の大きさの平均が0.5%以上であり、反射率の絶対値が10%以下である層である。加飾成形品110表面から艶層41表面までの光学的距離の2倍が、波長の整数倍である場合、反射光は強まり、波長の整数倍と半波長の差がある場合、反射光は弱めあう。その結果として生じる、反射光の波長に対する反射率の周期的変化の大きさの平均が0.5%以上である場合、干渉縞が見えやすくなる。反射率の絶対値が10%以下である場合、干渉縞は特に目立ちやすくなるものである。
図柄層4として絵柄層42を形成する場合、その材質としては艶層41と同様のものを用いるとよい。絵柄層42の形成方法としては、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの通常の印刷法などを用いるとよい。特に、多色刷りや階調表現を行うには、オフセット印刷法やグラビア印刷法が適している。また、単色の場合には、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法を採用することもできる。
ここで、アンカー層3または図柄層4の少なくともいずれかの一方が干渉縞防止剤6を含有することが好ましい。それは、当該転写シート100を用いて作成した、剥離層2、アンカー層3、図柄層4、接着層5、干渉縞防止剤6、樹脂成形品9からなる加飾成形品110に可視光を照射したとき、アンカー層3または図柄層4のいずれかが干渉縞防止剤6を含有することによって、加飾成形品110のアンカー層3と図柄層4との界面に入射してきた光P(以下、入射光Pという)は散乱するようになり、アンカー層3と図柄層4との界面で反射する光7(以下、反射光7という)の量は極めて小さくなる。その結果、当該加飾成形品110に可視光を照射しても、反射光7と剥離層2の表面での反射する光8(以下、反射光8という)とがほとんど干渉しなくなり、剥離層2の表面で干渉縞が生じにくくなるためである(図3参照)。すなわち、可視光領域に連続的にスペクトルを有する太陽光に代表される光を加飾成形品110に照射したときに加え、可視光領域に極大のピークを有する蛍光灯等のような光を照射したときであっても、アンカー層3に干渉縞防止剤6が含有されていることにより、剥離層2に干渉縞が極めて生じにくいといった効果をえることができる。干渉縞防止剤6のアンカー層3または図柄層4中での含有量は、好ましくは2〜10重量%で、より好ましくは2〜5重量%である。これは干渉縞防止剤6の含有量が2重量%未満であると、入射光Pに関して充分な散乱が生じず反射光7と反射光8が干渉し、加飾成形品110の剥離層2表面で干渉縞が発生するのに対し、干渉縞防止剤6の含有量が10重量%を越えるようになると、アンカー層3の透明性を保持できないようになり、当該転写シート100を用いて作成される加飾成形品110において図柄層4の装飾性の機能が著しく損なわれるようになるからである。また、図柄層4が艶層41や厚さが5nm〜50nmである光透過性の金属蒸着層40から構成される場合は、反射光7と反射光8との光の強度が近いものとなるので、剥離層2表面に顕著に干渉縞が発生しやすくなる。そのため、アンカー層3または図柄層4のいずれか一方に上記量の干渉縞防止剤6を含有させておくことが特に好ましい。
干渉縞防止剤6の材質として制限はないが、例えば、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機物、アクリル樹脂、ポリエチレン、ウレタン樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド等の有機高分子からなる干渉縞防止剤が挙げられる。干渉縞防止剤6の平均粒子径は、好ましくは0.5μm〜20μmであるが、より好ましくは0.5μm〜10μmである。この場合、アンカー層3と透過性を有する金属蒸着層40の界面は、二乗平均平方根粗さで0.1μm〜5μmであることが好ましい。上記界面の粗さが二乗平均平方根粗さで0.1μm以下であると、入射光Pは十分に散乱せず、反射光7と反射光8が干渉し、剥離層2の表面に干渉縞が生じるので、図柄層4の装飾性が損なわれるといった問題があるのに対し、上記界面の粗さが二乗平均平方根粗さで5μm以上となると、図柄層4に付与したデザインの形状が変形してしまうので、本発明の転写シート100を用い加飾成形品110を作成したとき、当該加飾成形品110の装飾性が失われるといった問題があるからである。また、剥離層2と図柄層4との間にアンカー層が2以上形成される場合、そのいずれの層(前アンカー層30または後アンカー層31)に干渉防止剤6が含有されていてもよいが(図4、図5参照)、剥離層2表面に現れる干渉縞を積極的に消失したい場合は、図柄層4と直接接する後アンカー層31に干渉防止剤6を含有させることが好ましい(図5参照)。それは、図柄層4と直接接する後アンカー層31に干渉縞防止剤を含有させることで、アンカー層3と図柄層4との界面で反射する光を直接的に散乱させることができるので、その結果、最も効果的に干渉縞の発生を抑えることができるからである。
接着層5は、被加飾面に上記の各層を接着するものである。また接着層5は、接着させたい部分に形成する。すなわち、接着させたい部分が全面的なら、接着層5を全面的に形成する。接着層5としては、被加飾の素材に適した感熱性あるいは感圧性の樹脂を適宜使用する。たとえば、被加飾の材質がアクリル系樹脂の場合はアクリル系樹脂を用いるとよい。また、被加飾の材質がポリフェニレンオキシド・ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン共重合体系樹脂、ポリスチレン系ブレンド樹脂の場合は、これらの樹脂と親和性のあるアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂などを使用すればよい。さらに、被加飾の材質がポリプロピレン樹脂の場合は、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩素化エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、環化ゴム、クマロンインデン樹脂が使用可能である。接着層5の形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。
次に、本発明の加飾成形品110について説明する。本発明の加飾成形品110は、樹脂成形品9の上に、接着層5、図柄層4、アンカー層3、剥離層2が少なくとも順次形成された加飾成形品110において、アンカー層3または図柄層4の少なくとも一方が干渉縞防止剤6を含有するように構成されている(図6参照)。
アンカー層3または図柄層4の少なくとも一方が干渉防止剤6を含むことによって、本発明の加飾成形品110に可視光を照射した場合であっても、入射光Pはほとんど反射せず散乱するため、反射光7と反射光8とがほとんど干渉しないようになり、剥離層2表面で発生する干渉縞等の虹の発生を抑制することができるので、装飾性が高いものとなる。
本発明の加飾成形品110は、2種類の方法により作成することができる。まず、その第一形態について説明する。
第一の形態としては、前述の転写シート100を用い射出成形による成形同時転写法を利用して被転写物である樹脂成形品9の表面に装飾を行い加飾形成品110を作成する方法である。(図7(a)〜(f)参照)。まず、可動型10と固定型11とからなる成形用金型内に転写シート100を送り込む(図7(a)参照)。その際、枚葉の転写シート100を1枚づつ送り込んでもよいし、長尺の転写シート100の必要部分を間欠的に送り込んでもよい。長尺の転写シート100を使用する場合、位置決め機構を有する送り装置を使用して、転写シート100のパターンと成形用金型との見当が一致するようにするとよい。また、転写シート100を間欠的に送り込む際に、転写シート100の位置をセンサーで検出した後に転写シート100を可動型10と固定型11とで固定するようにすれば、常に同じ位置で転写シート100を固定することができ、パターンの位置ずれが生じないので便利である。成形用金型を閉じた後、ゲートから溶融樹脂12を金型内に射出充満させ、被転写物を形成するのと同時にその面に転写シート100を接着させる(図7(b)参照)。被転写物である樹脂成形品9を冷却した後、成形用金型を開いて加飾成形品110を取り出す(図7(c)、(d)参照)。最後に、基体シート1を剥がすことにより(図7(e)参照)、転写が完了する(図7(f)参照)。
第二の形態は、転写シート100を用い、転写法を利用して被転写物面に装飾を行うことにより加飾成形品110を作成するものである。最初に樹脂成形品9の表面に、転写シート100の接着層5側を密着させる。次に、シリコンラバーなどの耐熱ゴム状弾性体を備えたロール転写機、アップダウン転写機などの転写機を用い、温度80〜260℃程度、圧力490〜1960Pa程度の条件に設定した耐熱ゴム状弾性体を介して転写シート100の基体シート1側から熱と圧力とを加える。このように行うことにより、接着層5が被転写物表面に接着する。最後に、冷却後に基体シート1を剥がすと、基体シート1と剥離層2との境界面で剥離が起こり、転写が完了する。
被転写物としては、樹脂成形品9など各種材質からなるものを用いることができる。被転写物は、透明、半透明、不透明のいずれでもよい。また、被転写物は、着色されていても、着色されていなくてもよい。樹脂としては、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、AN樹脂などの汎用樹脂を挙げることができる。また、ポリフェニレンオキシド・ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、超高分子量ポリエチレン樹脂などの汎用エンジニアリング樹脂やポスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリイミド樹脂、液晶ポリエステル樹脂、ポリアリル系耐熱樹脂などのスーパーエンジニアリング樹脂を使用することもできる。さらに、ガラス繊維や無機フィラーなどの補強材を添加した複合樹脂も使用できる。
PETフィルムの上にメラミン樹脂を1μm全面に塗布し、その上に厚さ1μmの剥離層を形成し、その上に平均粒子径2μmのシリカ粒子を10重量%含有するアンカー層を1μm、アクリル樹脂からなる艶層を3μm、クリル樹脂からなる接着層3μmをグラビア印刷法により順次形成し転写シートを得た。次に、得られた転写シートを成形同時転写法に用いて加飾成形品を得た。当該、得られた加飾成形品は、その表面に三波長蛍光灯から可視光を照射しても、干渉縞は観察されない装飾性の高いものであった。
比較例
PETフィルムの上にメラミン樹脂を1μm全面に塗布し、その上に厚さ1μmの剥離層を形成し、その上にアンカー層を1μm、アクリル樹脂からなる艶層を3μm、アクリル樹脂からなる接着層3μmをグラビア印刷法により順次形成し転写シートを得た。次に、得られた転写シートを成形同時転写法に用いて加飾成形品を得た。当該、得られた加飾成形品は、その表面に三波長蛍光灯から可視光を照射すると、その表面に干渉縞が観察され装飾性の低いものであった。
本発明は、携帯電話などの通信機器、自動車外装パーツ、自動車内部の情報機器、家電製品など、各種成形品において好適に用いることができ、産業上有用なものである。
本発明に係る転写シートの一実施例を示す断面図である 本発明に係る転写シートの一実施例を示す断面図である 本発明に係る加飾成形品の一実施例を示す断面図である 本発明に係る転写シートの一実施例を示す断面図である 本発明に係る転写シートの一実施例を示す断面図である 本発明に係る加飾成形品の一実施例を示す断面図である 本発明に係る加飾成形品の製造方法の一実施例を示す断面図である 従来技術に係る加飾成形品の一実施例を示す断面図である
符号の説明
1 基体シート
2 剥離層
3 アンカー層
4 図柄層
5 接着層
6 干渉縞防止剤
7 反射光
8 反射光
9 樹脂成形品
10 可動型
11固定型
12樹脂成形品
40 金属蒸着層
41 艶層
42 絵柄層
100 転写シート
110 加飾成形品
200 加飾成形品
201 図柄層
202 アンカー層
203 剥離層
A 可視光
P 入射光
X 反射光
Y 反射光

Claims (9)

  1. 基体シートの上に、剥離層、アンカー層、図柄層、接着層が少なくとも順次形成された転写シートにおいて、アンカー層または図柄層の少なくともいずれか一方が干渉縞防止剤を含有することを特徴とする転写シート。
  2. 剥離層と図柄層との間にアンカー層が2層以上形成され、これらアンカー層のうち少なくとも1層に干渉縞防止剤を含有する請求項1の転写シート。
  3. アンカー層と図柄層とが直接接し、そのアンカー層と図柄層のいずれか少なくとも一方に干渉縞防止剤を含有する請求項1〜2いずれか記載の転写シート。
  4. 図柄層が、5nm〜50nmからなる半透過性の金属蒸着層または/かつ艶層からなる請求項1〜3いずれか記載の転写シート。
  5. 干渉縞防止剤がシリカ、アルミナ等の無機材料またはアクリル樹脂、ウレタン等の有機材料からなる請求項1〜4いずれかに記載の転写シート。
  6. 干渉縞防止剤の平均粒子径が0.5μm〜10μmである請求項1〜5いずれかに記載の転写シート。
  7. アンカー層と図柄層の界面の凹凸形状の二乗平均平方根粗さが0.1μm〜5μmである請求項1〜6いずれかに記載の転写シート。
  8. 樹脂成形品の上に、接着層、図柄層、アンカー層、剥離層が少なくとも順次形成された加飾成形品において、アンカー層または図柄層の少なくとも一方が干渉縞防止剤を含有することを特徴とする加飾成形品。
  9. アンカー層と図柄層とが直接接し、その界面が凹凸形状である請求項8記載の加飾成形品。
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