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JP2011158581A - 光ファイバテープ層形成用液状硬化性樹脂組成物および光ファイバテープ心線 - Google Patents

光ファイバテープ層形成用液状硬化性樹脂組成物および光ファイバテープ心線 Download PDF

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JP2011158581A
JP2011158581A JP2010018442A JP2010018442A JP2011158581A JP 2011158581 A JP2011158581 A JP 2011158581A JP 2010018442 A JP2010018442 A JP 2010018442A JP 2010018442 A JP2010018442 A JP 2010018442A JP 2011158581 A JP2011158581 A JP 2011158581A
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curable resin
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宙志 山口
Kazuyuki Kondo
一幸 近藤
Takahiko Kurosawa
孝彦 黒澤
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JSR Corp
DSM IP Assets BV
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Abstract

【課題】ヤング率が低く、しかも外部応力に対する耐性と表面滑り性に優れ、薄型の光ファイバテープ層形成用として好適な液状硬化性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】組成物全体を100質量%として、(A)数平均分子量が1000以下のポリプロピレングリコールに由来する構造単位を平均1.1〜3個有するウレタン(メタ)アクリレートを40〜80質量%、(B)エチレン性不飽和基を1個有する化合物を15〜45質量%、及び(C)平均分子量1,500〜30,000のシリコーン化合物を0.1〜5質量%含有する液状硬化性樹脂組成物。
【選択図】図2

Description

本発明は、光ファイバテープ層形成用液状硬化性樹脂組成物に関する。
近年のブロードバンドサービスの拡大により光ファイバの伝送容量の一層の増大が求められており、1本の光ケーブルにより多数の光ファイバ素線を高密度に収容する必要が生じている。光ファイバ素線の高密度充填化の目的で広く使用されているのは、複数本の光ファイバ素線を1本のテープ状にまとめた光ファイバテープ心線(テープ型光ファイバ心線ともいう。)である。光ファイバテープ心線は、その形状によって、並列して配置された複数の光ファイバ素線の周囲に被覆(テープ層という。)を施して一体化したカプセル形構造を有する光ファイバテープ心線(図1(a)に例を示す)と、並列して配置された複数の光ファイバ素線のうち隣接する光ファイバ素線間に樹脂による接着層(本発明においては、この接着層もテープ層という。)を設けたエッジボンド形構造を有する光ファイバテープ心線(図1(b)に例を示す)がある。
カプセル形構造を有する光ファイバテープ心線の場合、光ファイバ素線を高密度で光ケーブル中に収容するためや、光ファイバ素線を分岐するための特性を考慮して、断面積を小さくした薄型形状の光ファイバテープ心線が多数発表されている(例えば、特許文献1〜3、非特許文献1参照)。このような光ファイバテープ心線は、テープ層の厚さを薄くしたカプセル形構造を有する光ファイバテープ心線(図2(a)、(b)に例を示す)、隣接する光ファイバ素線間のテープ層に凹部を設けたカプセル形構造を有する光ファイバテープ心線(図2(c)に例を示す)がある。また、エッジボンド形構造を有する光ファイバテープ心線(図2(d)に例を示す)も、断面積を小さくする目的には好適である。
多数の光ファイバテープ心線を光ケーブルに収容する必要から、このような光ファイバテープ心線のテープ層については、テープ層とテープ層が張り付きにくい(張り付き力が低い)ほか、外力に対する耐性、特に柔軟性(ヤング率が小さいこと)や優れた耐屈曲性(引張破断強度と引張破断伸びが大きいこと)が求められる。
また、光ファイバ素線の最外層が各光ファイバ素線を識別するための色素を含有する層(インキ層ともいう。)である場合には、インキ層と適度な密着性を有するテープ層が求められる。テープ層とインキ層との密着力が高すぎると、光ファイバを接続する際に、テープ層を剥離して各光ファイバ素線を取り出すことが困難となり、密着力が低すぎると、テープ層と光ファイバ素線の境界面が容易に剥離して光ファイバ素線の被覆層を傷つける可能性があるためである。
しかし、従来の光ファイバテープ心線のテープ層では、ヤング率が300〜1,000MPa程度、引張破断伸びが40〜60%程度であり、光ファイバテープ心線のこのような要請に対応するヤング率、引張破断伸び、張り付き力を両立させたテープ層を形成することが困難であった。また、従来の光ファイバテープ心線のテープ層では、インキ層との密着性は、1〜20N/m程度であり、前記諸特性と共にインキ層との密着性を両立させることはさらに困難であった。
特開2004−240014号公報 特開2006−208940号公報 特開2007−34078号公報
日本工業規格 JIS C6838「テープ形光ファイバ心線」
本発明の目的は、テープ層としてはヤング率が低く、外部応力に対する耐性(引張破断強度および引張破断伸び)に優れ、張り付き力が低く、しかも、インキ層との密着性に優れた光ファイバテープ心線のテープ層を形成するテープ層形成用として好適な液状硬化性樹脂組成物を提供することにある。
そこで本発明者らは、ウレタン(メタ)アクリレートを含有する液状硬化性樹脂組成物に種々の成分を配合して、その硬化物の光ファイバ被覆層としての強度や機能、耐屈曲性について検討してきたところ、脂肪族ポリエーテルポリオールに由来する特定の構造を有するウレタン(メタ)アクリレートを、エチレン性不飽和基を1個有する化合物及び特定のシリコーン化合物と組み合わせて用いることにより、上記目的が達成できることを見出した。
すなわち、本発明は、並列した複数の光ファイバ素線を有する光ファイバテープ心線において、任意の光ファイバ素線の中心点を通過する位置におけるテープ層の厚さが20μm以下、又は隣接する光ファイバ素線の各中心点を結ぶ線分の中間点を通過する位置におけるテープ層の厚さが200μm以下である光ファイバテープ心線(以下、「特定薄型光ファイバテープ心線」という。)のテープ層形成用に用いられる液状硬化性樹脂組成物であって、
組成物全体を100質量%として、
(A)脂肪族ポリオールに由来する構造単位を平均1個を超えて4個以下有するウレタン(メタ)アクリレートを40〜80質量%、
(B)エチレン性不飽和基を1個有する化合物を15〜45質量%、及び
(C)平均分子量1,500〜30,000のシリコーン化合物を0.1〜5質量%
含有する液状硬化性樹脂組成物を提供するものである。
また、本発明は、当該液状硬化性樹脂組成物を硬化して得られる、特定薄型光ファイバテープ心線のテープ層を提供するものである。
また、本発明は、当該テープ層を有する特定薄型光ファイバテープ心線を提供するものである。
本発明の液状硬化性樹脂組成物により得られる被覆は、テープ層としてはヤング率が低く、外部応力に対する耐性(引張破断強度および引張破断伸び)に優れ、張り付き力が低く、しかも、インキ層との密着性に優れたものである。薄型形状を有する光ファイバテープ心線のテープ層を形成する光ファイバテープ層形成用に好適である。
一般的な光ファイバテープ心線の例を示す模式図である。(a)カプセル形構造を有する光ファイバテープ心線の例。(b)エッジボンド形構造を有する光ファイバテープ心線の例。 特定薄型光ファイバテープ心線を示す模式図である。(a)光ファイバ素線間に凹部が無いカプセル形構造を有しており、光ファイバ素線間にもテープ層を有する特定薄型光ファイバテープ心線の例。(b)光ファイバ素線間に凹部が無いカプセル形構造を有しており、光ファイバ素線が相互に接触している特定薄型光ファイバテープ心線の例。(c)光ファイバ素線間に凹部があるカプセル形構造を有する特定薄型光ファイバテープ心線の例。光ファイバ素線間にテープ層を有していてもよく、光ファイバ素線が相互に接触していてもよい。(d)エッジボンド形構造を有する特定薄型光ファイバテープ心線の例。
本発明の液状硬化性樹脂組成物が用いられる薄型形状の光ファイバテープ心線は、並列した複数の光ファイバ素線を有する光ファイバテープ心線であって、テープ層の厚さを小さくすることにより外形寸法を小さくした光ファイバテープ心線である。このような薄型形状の光ファイバテープ心線の具体例としては、並列した複数の光ファイバ素線を有する光ファイバテープ心線において、該テープ心線を構成する任意の光ファイバ素線の中心点を通過する位置におけるテープ層の厚さが20μm以下である光ファイバテープ心線、又は隣接する光ファイバ素線の各中心点を結ぶ線分の中間点を通過する位置におけるテープ層の厚さが200μm以下である光ファイバテープ心線が好ましい(以下、総称して「特定薄型光ファイバテープ心線」という。)。特定薄型光ファイバテープ心線は、カプセル形構造を有していてもよく、エッジボンド形構造を有していてもよい。特定薄型光ファイバテープ心線を構成する光ファイバ素線の本数は任意であるが、JIS C6838との関係では2、4、5、8又は12本が典型的である。
なお、任意の光ファイバ素線の中心点を通過する位置におけるテープ層の厚さとは、任意の光ファイバ素線の中心点を通過する任意の直線と該光ファイバ素線の外周との交点を点Aとし、該直線と光ファイバテープ心線の外周との交点を点Bとした場合の、点Aと点Bとの直線距離のうち最短となる長さをいう。エッジボンド形構造を有する特定薄型光ファイバテープ心線(図2(d))の場合には、任意の光ファイバ素線の中心点を通過する位置におけるテープ層の厚さはゼロと解釈される。また、隣接する光ファイバ素線の各中心点を結ぶ線分の中間点を通過する位置におけるテープ層の厚さとは、隣接する光ファイバ素線の各中心点を結ぶ線分を線分Lとし、線分Lの中間点を点Mとした場合の、点Mを通り線分Lと直交する直線上にあるテープ層の幅をいう。
また、光ファイバ素線は、一般的には、石英やガラス等からなる1本のガラスファイバの外周を比較的柔軟な一次被覆層で被覆し、さらにその外周を一次被覆層よりも硬い二次被覆層で被覆された構造を有しており、二次被覆層の外周にアップジャケット層やインキ層を有している場合もある。光ファイバ素線を構成するガラスファイバの直径は、特に限定されないが、一般的には、125μmであり、光ファイバ素線の直径は、用途に応じて、250〜900μmであるが、光ケーブルに多数の光ファイバ素線を充填するためには各光ファイバ素線の直径も小さくすることが好ましく、特定薄型光ファイバテープ心線に用いられる光ファイバ素線の直径は、250μm程度であることが好ましい。
以下に、本発明の液状硬化性樹脂組成物に配合される各必須成分および非必須成分について説明する。
本発明の(A)成分であるウレタン(メタ)アクリレートは、脂肪族ポリオールに由来する構造単位を平均1個を超えて4個以下有するウレタン(メタ)アクリレートである。ウレタン(メタ)アクリレート分子中の脂肪族ポリオールに由来する構造単位の数は、平均1.0個を超えて4個以下が好ましく、平均1.1〜4個がさらに好ましく、平均1.5〜3個が特に好ましい。なお、ここで平均値は数平均である。
(A)成分は、柔軟な構造を有する脂肪族ポリオールに由来する構造を有するため、ウレタン(メタ)アクリレートがより柔軟な構造となり、硬化物のヤング率を低減させるために有用である。これに対して、脂肪族ポリオールに替えて、例えば芳香環構造や脂環構造等のより剛直な構造を有するポリオールを用いた場合には、ウレタン(メタ)アクリレートの構造がより剛直となって、硬化物のヤング率を増大させる傾向がある。
ウレタン(メタ)アクリレート分子中の脂肪族ポリオールに由来する構造単位の数が平均1個を超えていることにより、ウレタン(メタ)アクリレート分子中のウレタン結合の密度が増大して極性構造が増加するため、親水的構造を有するインキ層との密着性を上げることができる。他方、ウレタン(メタ)アクリレート分子中の脂肪族ポリオールに由来する構造単位の数が平均4個以下であることにより、ウレタン結合の密度が過大となって組成物の粘度が過大となることを防止することができる。
さらに、ウレタン(メタ)アクリレート分子中の脂肪族ポリオールに由来する構造単位の数が平均1個を超えていることにより、脂肪族ポリオールに由来する構造の見かけ上の分子量が増大するため、より柔軟な構造を有するウレタン(メタ)アクリレートが得られ、硬化物のヤング率を低減させ、耐屈曲性を改善し、張り付き力を低減させるために有用である。なお、本発明において、「脂肪族ポリオールに由来する構造の見かけ上の分子量」とは、数平均分子量Lの脂肪族ポリオールに由来する構造単位がウレタン(メタ)アクリレート分子中に平均m個ある場合にL×mの値に相当する分子量をいう。
このため、例えば、数平均分子量Lが9,000である脂肪族ポリオールをm=1で有するウレタン(メタ)アクリレート((A)成分に該当しない)よりも数平均分子量Lが4,500である脂肪族ポリオールをm=2で有するウレタン(メタ)アクリレート((A)成分に該当する)の方が、脂肪族ポリオールに由来する構造の見かけ上の分子量は同一であるが、ヤング率、耐屈曲性、張り付き力とインキ層との密着性のバランスに優れるテープ層を形成する上で好ましい。
(A)成分であるウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、脂肪族ポリオール、ジイソシアネートおよび水酸基含有(メタ)アクリレートとを反応させることにより製造される。すなわち、ジイソシアネートのイソシアネート基を、脂肪族ポリオールの水酸基および水酸基含有(メタ)アクリレートの水酸基と、それぞれ反応させることにより製造される。
この反応としては、例えば脂肪族ポリオール、ジイソシアネートおよび水酸基含有(メタ)アクリレートを一括に仕込んで反応させる方法;脂肪族ポリオールおよびジイソシアネートを反応させ、次いで水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させる方法;ジイソシアネートおよび水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させ、次いで脂肪族ポリオールを反応させる方法;ジイソシアネートおよび水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させ、次いで脂肪族ポリオールを反応させ、最後にまた水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させる方法等が挙げられる。
脂肪族ポリオールとしては、芳香環構造や脂環構造等の環状構造を有さず、脂肪族構造を有するポリオールであれば特に限定されないが、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール、ポリヘプタメチレングリコール、ポリデカメチレングリコール等脂肪族ポリエーテルポリオール、これらの脂肪族ポリエーテルポリオールとマレイン酸、フマール酸、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族カルボン酸とを反応して得られる脂肪族ポリエステルポリオール、前記脂肪族ポリエーテルポリオールとε−カプロラクトンとの反応物やポリ(ε−カプロラクトン)等の脂肪族ポリカプロラクトンポリオールの他、ポリテトラヒドロフランのポリカーボネート、1,6−ヘキサンジオールのポリカーボネート等の脂肪族ポリカーボネートポリオール等を挙げることができる。これらの脂肪族ポリオールは、単独であるいは二種類以上組み合わせて用いることができる。
上記の如き脂肪族ポリオールは、例えばPTMG650、PTMG1000、PTMG2000(以上、三菱化学製)、PEG1000、ユニセーフDC1100、DC1800(以上、日本油脂製)、PPG−400、PPG1000、EXCENOL720、1020(以上、旭硝子ウレタン製)、PPTG2000、PPTG1000、PTG400、PTGL2000(以上、保土谷化学製)、クラレポリオールP−2010、P−3010、P−4010、P−5010(以上、クラレ製)等の市販品としても入手することができる。
これらの脂肪族ポリオールの中では、脂肪族ポリエステルポリオール、脂肪族ポリカプロラクトンポリオール、脂肪族ポリカーボネートポリオールが、エステル結合やカルボニル結合等による極性基を有することによりテープ層とインキ層との密着性を特に改善できるため好ましい。
ここで用いられる脂肪族ポリオールの分子量は特に限定されないが、数平均分子量が12,000以下であると組成物の粘度が過大とならないため好ましい。脂肪族ポリオールに由来する構造の見かけ上の分子量は1,000〜12,000であると同様の理由により好ましい。ここで、数平均分子量は、ポリスチレンを分子量標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により求める。
ジイソシアネートとしては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチルフェニレンジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,6−ヘキサンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアネートエチル)フマレート、6−イソプロピル−1,3−フェニルジイソシアネート、4−ジフェニルプロパンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,5(または2,6)−ビス(イソシアネートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン等が挙げられる。特に、2,4−トリレンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)等が好ましい。これらのジイソシアネートは、単独あるいは二種類以上を組み合わせて用いることができる。
水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンポリオールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリロイルフォスフェート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンポリオールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、下記式(1)または(2)
(式(1)および式(2)中、R1は水素原子またはメチル基を示し、nは1〜15の数を示す)
で表される(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、アルキルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有化合物と、(メタ)アクリル酸との付加反応により得られる化合物を使用することもできる。
これら水酸基含有(メタ)アクリレートのうち、特に、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が好ましい。これらの、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物は、単独であるいは二種類以上組み合わせて用いることができる。
脂肪族ポリエーテルポリオール、ジイソシアネートおよび水酸基含有(メタ)アクリレートの使用割合は、脂肪族ポリエーテルポリオールに含まれる水酸基1当量に対してジイソシアネートに含まれるイソシアネート基が2.5〜4.0当量、水酸基含有(メタ)アクリレートの水酸基が0.5〜2.0当量となるようにするのが好ましい。
これらの化合物の反応においては、例えばナフテン酸銅、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、ジブチル錫ジラウレート、トリエチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、2,6,7−トリメチル−1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等のウレタン化触媒を、反応物の総量100質量部に対して0.01〜1質量部用いるのが好ましい。また、反応温度は、通常10〜90℃、特に30〜80℃で行うのが好ましい。
(A)成分のウレタン(メタ)アクリレートは、本発明の液状硬化性樹脂組成物の全組成中に40〜80質量%、好ましくは50〜75質量%、特に好ましくは55〜75質量%配合される。この範囲内であれば、硬化物の好ましいヤング率及び引張破断強度・引張破断伸びを発現するうえで好ましい。
本発明の液状硬化性樹脂組成物には、発明の効果を阻害しない範囲で、(A)成分以外のウレタン(メタ)アクリレートを配合することもできる。(A)成分以外のウレタン(メタ)アクリレートの構造は特に限定されるものではないが、例えば、芳香環構造や脂環構造等の環状構造を有するポリオールとジイソシアネートと水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレートや、ジイソシアネートと水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて得られるポリオール構造を有しないウレタン(メタ)アクリレート等を配合することにより、硬化物のヤング率を増大させる方向に調整することもできる。
(A)成分以外のウレタン(メタ)アクリレートは、本発明の液状硬化性樹脂組成物の全組成中に10質量%以下で配合することができ、5質量%以下が好ましい。10質量%を超えて配合すると、組成物の粘度が過大となったり、硬化物のヤング率が過大となる場合がある。
(B)成分であるエチレン性不飽和基を1個有する化合物(単官能性モノマー)としては、例えばN−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等のビニル基含有ラクタム;イソボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の脂環構造を有する(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、下記式(3)で示される(メタ)アクリレート等の芳香環構造を有する(メタ)アクリレート;アクリロイルモルホリン、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン等の複素環構造を有する(メタ)アクリレート等挙げられる。さらに、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、セチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル等を挙げることができる。これらのエチレン性不飽和基を1個有する化合物は、単独であるいは二種類以上組み合わせて用いることができる。
(式(3)中、R2、R3、R4およびR5は互いに独立で、水素原子またはメチル基であり、mは1〜5の整数である)
これらエチレン性不飽和基を1個有する化合物のうち、脂環構造、芳香環構造又は複素環構造等の環状構造を有する(メタ)アクリレートは、硬化物のヤング率が過度に低下するのを防止するために好ましく、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等のビニル基含有ラクタムは、硬化速度を増大させるために好ましい。
これらエチレン性不飽和基を1個有する化合物の市販品としては、IBXA(大阪有機化学工業製)、アロニックスM−111、M−113、M114、M−117、TO−1210(以上、東亞合成製)を使用することができる。
(B)成分のエチレン性不飽和基を1個有する化合物は、本発明の液状硬化性樹脂組成物の全組成中に15〜45質量%、好ましくは20〜40質量%、特に好ましくは25〜35質量%配合される。
本発明においては、(B)成分のエチレン性不飽和基を1個有する化合物の全量を100質量%として、その50質量%以上、好ましくは60〜100質量%が環状構造を有する(メタ)アクリレートであるのが、硬化物のヤング率が過度に低下するのを防止するために好ましい。環状構造を有する(メタ)アクリレートとしては、上記の脂環構造、芳香環構造又は複素環構造等の環状構造を有する(メタ)アクリレートのいずれであってもよいが、特にイソボルニル(メタ)アクリレートが硬化物のヤング率が過度に低下するのを防止する効果が大きいため好ましい。
本発明の液状硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、本発明の特性を損なわない範囲で、成分(B)以外のエチレン性不飽和基を2個以上有する化合物(多官能性モノマー)(B2)を含有することができる。エチレン性不飽和基を2個以上有する化合物の具体例としては、特に限定されないが、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン(「トリシクロデカンジイルジメタノールジ(メタ)アクリレート」とも言う)、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルの両末端(メタ)アクリル酸付加、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドの付加体であるジオールのジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドの付加体であるジオールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルに(メタ)アクリレートを付加させたエポキシ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジビニルエーテル等が挙げられる。
これら多官能性モノマーの市販品としては、例えば、NKエステル A−DCPユピマーUV(新中村化学工業製)、SA−1002(以上、三菱化学製)、アロニックスM−215、M−315、M−325、TO−1210(以上、東亞合成製)を使用することができる。
これらの多官能性モノマーの配合量は、本発明の液状硬化性樹脂組成物に0〜5質量%、特に0〜3質量%が好ましい。5質量%を超えると、硬化物中の架橋密度が上昇してヤング率が過度に増大する可能性がある。
本発明の(C)成分は、平均分子量1,500〜30,000のシリコーン化合物である。(C)成分を配合することにより、テープ層の張り付き力を改善して、光ファイバテープ素線を高密度で光ケーブル中に充填することができる。(C)成分の平均分子量が上記範囲であることにより、十分な表面性改善効果を得ることができる。より好ましい平均分子量は1,500〜20,000であり、さらに3,000〜15,000が好ましい。
当該シリコーン化合物としては、ポリエーテル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、ウレタンアクリレート変性シリコーン、ウレタン変性シリコーン、メチルスチリル変性シリコーン、エポキシポリエーテル変性シリコーン、アルキルアラルキルポリエーテル変性シリコーン等が挙げられ、このうちポリエーテル変性シリコーンが特に好ましい。ポリエーテル変性シリコーンとしては、少なくとも1個のケイ素原子に基R11−(R12O)s−R13−(ここで、R11は水酸基又は炭素数1〜10のアルコキシ基を示し、R12は炭素数2〜4のアルキレン基を示し(ここでR12は2種以上のアルキレン基が混在していてもよい)、R13は炭素数2〜12のアルキレン基を示し、sは1〜20の数を示す)が結合しているポリジメチルシロキサン化合物が好ましい。このうちR12としては、エチレン基、プロピレン基が好ましく、特にエチレン基が好ましい。当該シリコーン化合物の市販品としては、例えばSH28PA;ジメチルポリシロキサンポリオキシアルキレン共重合体、東レダウコーニング製、FM0411;サイラプレーン、チッソ、SF8428;ジメチルポリシロキサンポリオキシアルキレン共重合体(側鎖OH含有)、東レダウコーニング製、BYK UV3510(ビックケミー・ジャパン製、ジメチルポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体)、DC57(東レ・ダウコーニング・シリコーン製、ジメチルポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体)等を挙げることができる。また、(メタ)アクリロイル基等の反応性基を有するシリコーン化合物であってもよい。
(C)成分は、本発明の液状硬化性樹脂組成物の全組成中に0.1〜5質量%、好ましくは0.5〜3質量%配合される。5質量%を超えると、(C)成分が組成物中に溶解又は均一に分散することが困難となる場合があり、0.1質量%未満になると、張り付き力が過大となる場合がある。
さらに、本発明の液状硬化性樹脂組成物を紫外線で硬化させる場合には、組成物中に(D)光重合開始剤を含有することができる。
光重合開始剤としては、例えば1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4′−ジメトキシベンゾフェノン、4,
4′−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾ
インエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォフフィンオキシド;IRGACURE184、369、651、500、907、CGI1700、CGI1750、CGI1850、CG24−61;Darocure1116、1173(以上、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製);LucirinTPO(BASF製);ユベクリルP36(UCB製)等が挙げられる。
また、(D)光重合開始剤を用いる場合には、必要に応じて、さらに光増感剤を併用するのが好ましい。光増感剤としては、例えばトリエチルアミン、ジエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、エタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル;ユベクリルP102、103、104、105(以上、UCB製)等が挙げられる。
(D)光重合開始剤は、組成物の全組成中に0.1〜10質量%、特に0.3〜7質量%配合するのが好ましい。
本発明の液状硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、本発明の特性を損なわない範囲で各種添加剤、例えば、酸化防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定剤、シランカップリング剤、熱重合禁止剤、レベリング剤、界面活性剤、保存安定剤、可塑剤、滑剤、溶媒、フィラー、老化防止剤、濡れ性改良剤、塗面改良剤等を配合することができる。
なお、本発明の液状硬化性樹脂組成物は、熱および/または放射線によって硬化されるが、ここで放射線とは、赤外線、可視光線、紫外線、X線、電子線、α線、β線、γ線等をいう。
本発明の液状硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化被膜であるテープ層は、0.5〜40MPaのヤング率を示すのが好ましく、0.8〜20MPaがさらに好ましく、0.8〜5MPaが特に好ましい。また、該硬化被膜は、100%以上の引張破断伸びを示すのが好ましく、100〜150%がさらに好ましく、110〜130%が特に好ましい。該硬化被膜は、0.5〜10MPaの引張破断強度を示すのが好ましく、1〜7MPaがさらに好ましく、1〜5MPaが特に好ましい。ヤング率と引張破断伸びが上記範囲になることにより、多数の特定薄型光ファイバテープ心線を1本の光ケーブル中に充填することが容易になる。ヤング率と引張破断伸びに加えて引張破断強度が上記範囲になることにより、さらに外部応力に対する耐性が高まり、多数の特定薄型光ファイバテープ心線を1本の光ケーブル中に充填することがさらに容易になる。
次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は何らこれら実施例に限定されるものではない。各成分の配合量は、特に記載しない限り質量部である。
[製造例1:ポリプロピレングリコールに由来する構造単位を平均1.5個有するウレタン(メタ)アクリレート(A)の合成]
撹拌機を備えた反応容器に、数平均分子量700のポリプロピレングリコール41.4g、2,4−トリレンジイソシアネート17.2g、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.016gを仕込み、これらを撹拌しながら液温度が15℃になるまで冷却した。ジブチル錫ジラウレート0.054gを仕込み、液温度上昇が見られなくなったことを確認した後、1時間35℃で反応させた後、2−ヒドロキシエチルアクリレート9.2gを液温度が50℃以上にならないよう制御しながら滴下した後、65℃〜70℃に制御しながら2時間撹拌、反応させた。残留イソシアネートが0.1質量%以下になった時点を反応終了とした。得られたウレタンアクリレートをUA−1とする。
得られたウレタン(メタ)アクリレートUA−1は、下記式(4)で表される構造を有している。
HEA−TDI−(PPG700−TDI)1.5−HEA (4)
[式(4)において、HEAは2−ヒドロキシエチルアクリレートに由来する構造を表し、TDIは2,4−トリレンジイソシアネートに由来する構造を表し、PPG700は数平均分子量700のポリプロピレングリコールに由来する構造を表す。「−」はウレタン結合を示す。以上の式説明は、式(5)以降において同じ。]
[製造例2:ポリプロピレングリコールに由来する構造単位を平均3個有するウレタン(メタ)アクリレート(A)の合成]
攪拌機を備えた反応容器に、2,4−トルエンジイソシアネート134.8g、分子量3000のポリプロピレンオキシド68.9g、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.018gを仕込んだ。次いでジブチル錫ジウラレート0.061gを添加し、液温を25〜35℃に制御しながら1時間攪拌した。その後ヒドロキシエチルアクリレート1.7gを加え、液温50〜60℃にて1時間攪拌を継続させ、残留イソシアネートが0.1質量%以下になった時に反応を終了させ、ウレタンアクリレートを得た。得られたウレタンアクリレートをUA−2とする。
得られたウレタン(メタ)アクリレートUA−2は、下記式(5)で表される構造を有している。
HEA−TDI−(PPG3000−TDI)3−HEA (5)
[式(5)において、PPG3000は数平均分子量3000のポリプロピレングリコールに由来する構造を表す。]
[製造例3:脂肪族ポリエステルポリオールに由来する構造単位を平均2個有するウレタン(メタ)アクリレート(A)の合成]
攪拌機を備えた反応容器に、2,4−トルエンジイソシアネート2.6g、分子量5000のクラレポリオールP−5010:ポリ[(3−メチル−1,5−ペンタンジオール)−alt−(アジピン酸)]49.6g、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.013gを仕込んだ。次いでジブチル錫ジウラレート0.043gを添加し、液温を25〜35℃に制御しながら1時間攪拌した。その後ヒドロキシエチルアクリレート1.16gを加え、液温50〜60℃にて1時間攪拌を継続させ、残留イソシアネートが0.1質量%以下になった時に反応を終了させ、ウレタンアクリレートを得た。得られたウレタンアクリレートをUA−3とする。
得られたウレタン(メタ)アクリレートUA−3は、下記式(6)で表される構造を有している。
HEA−TDI−(P5010−TDI)2−HEA (6)
[式(6)において、P5010はクラレポリオールP−5010に由来する構造を表す。]
クラレポリオールP−5010:ポリ[(3−メチル−1,5−ペンタンジオール)−alt−(アジピン酸)]は、下記式(7)で表される構造を有する数平均分子量5,000の脂肪族ポリエステルポリオールである。
[比較製造例4:ポリプロピレングリコールに由来する構造単位を平均1個有するウレタン(メタ)アクリレート((A)成分に該当しない)の合成]
撹拌機を備えた反応容器に、数平均分子量700のポリプロピレングリコール36.909g、2,4−トリレンジイソシアネート18.366g、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.016gを仕込み、これらを撹拌しながら液温度が15℃になるまで冷却した。ジブチル錫ジラウレート0.054gを仕込み、液温度上昇が見られなくなったことを確認した後、1時間35℃で反応させた後、2−ヒドロキシエチルアクリレート12.245gを液温度が50℃以上にならないよう制御しながら滴下した後、65℃〜70℃に制御しながら2時間撹拌、反応させた。残留イソシアネートが0.1質量%以下になった時点を反応終了とした。得られたウレタンアクリレートをUA’−4とする。
得られたウレタン(メタ)アクリレートUA’−4は、下記式(8)で表される構造を有している。
HEA−TDI−PPG700−TDI−HEA (8)
[比較製造例5:ポリプロピレングリコールに由来する構造単位を平均1個有するウレタン(メタ)アクリレート((A)成分に該当しない)の合成]
攪拌機を備えた反応容器に、2,4−トルエンジイソシアネート9.0g、分子量3000のポリプロピレンオキシド85.0g、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.024を仕込んだ。次いでジブチル錫ジウラレート0.008gを添加し、液温を25〜35℃に制御しながら1時間攪拌した。その後ヒドロキシエチルアクリレート6.0gを加え、液温50〜60℃にて1時間攪拌を継続させ、残留イソシアネートが0.1質量%以下になった時に反応を終了させ、ウレタンアクリレートを得た。得られたウレタンアクリレートをUA’−5とする。
得られたウレタン(メタ)アクリレートUA’−5は、下記式(9)で表される構造を有している。
HEA−TDI−PPG3000−TDI−HEA (9)
[比較製造例6:ポリプロピレングリコールに由来する構造単位を平均1個有するウレタン(メタ)アクリレート((A)成分に該当しない)の合成]
攪拌機を備えた反応容器に、2,4−トルエンジイソシアネート3.71g、分子量8000のポリプロピレンオキシド93.7g、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.024gを仕込んだ。次いでジブチル錫ジウラレート0.08gを添加し、液温を25〜35℃に制御しながら1時間攪拌した。その後ヒドロキシエチルアクリレート2.47gを加え、液温50〜60℃にて1時間攪拌を継続させ、残留イソシアネートが0.1質量%以下になった時に反応を終了させ、ウレタンアクリレートを得た。得られたウレタンアクリレートをUA’−6とする。
得られたウレタン(メタ)アクリレートUA’−6は、下記式(10)で表される構造を有している。
HEA−TDI−PPG8000−TDI−HEA (10)
[式(10)において、PPG8000は数平均分子量3000のポリプロピレングリコールに由来する構造を表す。]
[比較製造例7:芳香環構造を有するポリオールに由来する構造単位を平均1.5個有するウレタン(メタ)アクリレート((A)成分に該当しない)の合成]
攪拌機を備えた反応容器に、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.018g、2,4−トリレンジイソシアネート26.4g、ジブチル錫ジラウレート0.06g添加した後攪拌しながら、15℃まで冷却した。ヒドロキシエチルアクリレートを液温度が20℃以下になるように制御しながら14.1g滴下した後、湯浴にして40℃にし1時間攪拌した。その後、液温を20℃に冷却し、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加ジオール(日本油脂製、DA400)を36.4gを添加した。発熱を確認した後に、65℃で3時間攪拌させ、残留イソシアネートが0.1質量%以下になった時を反応終了とした。得られた(A)ウレタン(メタ)アクリレートを、UA’−7とする。
得られたウレタン(メタ)アクリレートUA’−7は、下記式(11)で表される構造を有している。
HEA−TDI−(DA400−TDI)1.5−HEA (11)
[式(11)において、DA400はビスフェノール構造を有するジオールであるユニオールDA400(日本油脂製;数平均分子量400)に由来する構造を表す。]
実施例1〜3、比較例1〜5
撹拌機を備えた反応容器に、表1に従って各成分を入れ、均一な溶液になるまで液温度50℃で撹拌し、液状硬化性樹脂組成物を得た。表1中の組成は、質量部である。
試験例
前記実施例及び比較例で得た液状硬化性樹脂組成物を、以下のような方法で硬化させて試験片を作製し、下記の各評価を行った。結果を表1に併せて示す。
1.粘度:
組成物を25℃の恒温水槽で30分間放置した後、B型粘度計を用いて粘度を測定した。
2.ヤング率:
200μm厚のアプリケーターバーを用いてガラス板上に液状硬化性樹脂組成物を塗布し、これを空気下で1J/cm2のエネルギーの紫外線で照射して硬化させ、ヤング率測定用フィルムを得た。このフィルムから、延伸部が幅6mm、長さ25mmとなるよう短冊状サンプルを作成し、温度23℃、湿度50%で引張試験を行った。引張速度は1mm/minで2.5%歪みでの抗張力からヤング率を求めた。
3.引張破断伸び、引張破断強度:
引張試験器(島津製作所社製、AGS−50G)を用い、試験片の破断強度および破断伸びを下記測定条件にて測定した。
引張速度 :50mm/分
標線間距離(測定距離):25mm
測定温度 :23℃
相対湿度 :50%RH
4.張り付き力:
100μm厚のアプリケーターバーを用いてガラス板上に液状硬化性樹脂組成物を塗布し、これを1%又は5%酸素下で0.1J/cm2のエネルギーの紫外線で照射して硬化してフィルムを得た。フィルムの硬化面どうしを貼り合わせて、23℃50%相対湿度条件下に24時間静置した。この貼り合わせフィルムから幅1cmの短冊状サンプルを作製して、引っ張り速度50mm/minで180°ピール試験を行い、張り付き力を測定した。
5.インキ層との密着性:
ガラス上にセカンダリ材(JSR社製デソライト)を厚さ130μmで塗布し、3.5kWメタルハライドランプ(オーク社製SMX−3500/F−OS)を用いて空気雰囲気下で0.1J/cm2の紫外線を照射し、硬化フィルムを得た。その後UVインキ(DSM社製、751インキ)をスピンコーターにより塗布し、3.5kWメタルハライドランプ(オーク社製、SMX−3500/F−OS)を用いて、1%酸素濃度又は5%酸素濃度下で0.05J/cm2の紫外線を照射し、厚さ約10μm厚でセカンダリ材の上に硬化させた。この硬化フィルム上に各実施例・比較例の液状組成物を同じくスピンコーターで塗布(2000rpm、20秒)し、3.5kWメタルハライドランプ(オーク社製、SMX−3500/F−OS)を用いて空気雰囲気下で0.5J/cm2の紫外線を照射し多層硬化フィルムを得た。1cm幅に短冊を切り出し、JIS K6854に準拠し、90度剥離試験を実施した。UVインキから本発明による樹脂を剥がすことによって密着力を測定した。引っ張り速度は、5mm/minとした。
表1において、
Irgacure184;1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)。
Lucirin TPO:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ製)。
SH280PA;ジメチルポリシロキサンポリカルビノールのグラフト重合体(東レ・ダウコーニング製)。
SH190;ジメチルポリシロキサンポリカルビノールのグラフト重合体(東レ・ダウコーニング製)。
表1の結果から明らかなように、本発明の液状硬化性樹脂組成物で形成された硬化物は、ヤング率が低く、引張破断強度および引張破断伸びが大きく、張り付き力が低く、しかも、インキ層との密着力が高く、特定薄型光ファイバテープ心線のテープ層形成用として好適であった。
これに対して、(C)成分を含まない比較例1では、張り付き力が過大となった。比較例2は、(A)成分に替えて数平均分子量700の脂肪族ポリオールに由来する構造単位を1個のみ有するウレタン(メタ)アクリレートと数平均分子量3000の脂肪族ポリオールに由来する構造単位を1個のみ有するウレタン(メタ)アクリレートを配合した例であり、ヤング率が過大であるほか、張り付き力が過大であり、インキ層との密着力が過小である。比較例3は、(A)成分に替えて数平均分子量700の脂肪族ポリオールに由来する構造単位を1個のみ有するウレタン(メタ)アクリレートを配合した例であり、ヤング率が過大であり、引張破断強度が過小であるほか、インキ層との密着力が過小である。比較例4は、(A)成分に替えて数平均分子量8000の脂肪族ポリオールに由来する構造単位を1個のみ有するウレタン(メタ)アクリレートを配合した例であり、ポリオールの分子量が大きいためヤング率は低いが、引張破断強度が過小であるほか、インキ層との密着力が過小である。比較例5は、(A)成分に替えて数平均分子量が400である芳香族ポリオールに由来する構造単位を1個のみ有するウレタン(メタ)アクリレートを配合した例であり、ポリオールが剛直な構造を有しているためヤング率が過大であり、引張破断伸びが過小であり、インキ層との密着力が過小であった。
10 光ファイバ素線
20 テープ層
30 テープ層の厚さ

Claims (4)

  1. 並列した複数の光ファイバ素線を有する光ファイバテープ心線において、任意の光ファイバ素線の中心点を通過する位置におけるテープ層の厚さが20μm以下、又は隣接する光ファイバ素線の各中心点を結ぶ線分の中間点を通過する位置におけるテープ層の厚さが200μm以下である光ファイバテープ心線(以下、「特定薄型光ファイバテープ心線」という。)のテープ層形成用に用いられる液状硬化性樹脂組成物であって、
    組成物全体を100質量%として、
    (A)脂肪族ポリオールに由来する構造単位を平均1個を超えて4個以下有するウレタン(メタ)アクリレートを40〜80質量%、
    (B)エチレン性不飽和基を1個有する化合物を15〜45質量%、及び
    (C)平均分子量1,500〜30,000のシリコーン化合物を0.1〜5質量%
    含有する液状硬化性樹脂組成物。
  2. 成分(B)全体の50質量%以上が脂環構造又は芳香環構造を有する化合物である請求項1に記載の液状硬化性樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の液状硬化性樹脂組成物を硬化して得られる、特定薄型光ファイバテープ心線のテープ層。
  4. 請求項3に記載のテープ層を有する特定薄型光ファイバテープ心線。
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