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JP2011017091A - 消臭性繊維構造体および繊維製品 - Google Patents

消臭性繊維構造体および繊維製品 Download PDF

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JP2011017091A
JP2011017091A JP2009160550A JP2009160550A JP2011017091A JP 2011017091 A JP2011017091 A JP 2011017091A JP 2009160550 A JP2009160550 A JP 2009160550A JP 2009160550 A JP2009160550 A JP 2009160550A JP 2011017091 A JP2011017091 A JP 2011017091A
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fiber
fiber structure
copolyester
deodorant
acid
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JP2009160550A
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Rei Yasumitsu
玲 安光
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Teijin Frontier Co Ltd
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Teijin Fibers Ltd
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Abstract

【課題】染色堅牢性に優れる消臭性繊維構造体および該消臭性繊維構造体を用いてなる繊維製品を提供する。
【解決手段】単繊維繊度が10dtex以下の特定の共重合ポリエステル繊維aを用いて繊維構造体を得る。
【選択図】なし

Description

本発明は、染色堅牢性に優れる消臭性繊維構造体および繊維製品に関する。
近年、快適生活を目指した生活環境の多様化に伴い、消臭性などの各種機能を有する繊維やそれを用いた繊維構造体が提案されている。例えば、消臭性微粒子を含有する繊維形成性熱可塑性高分子化合物を溶融紡糸して得られた機能性繊維(例えば特許文献1参照)や、消臭性微粒子を後加工によりバインダー樹脂を介して繊維構造体に付与して得られた消臭性繊維構造体などが提案されている(例えば特許文献2参照)。
しかしながら、これらの消臭性繊維構造体において、染色堅牢性の点で十分とはいえなかった。
特開平5−222614号公報 特開2004−270042号公報 特開2007−291567号公報
本発明は上記の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、染色堅牢性に優れる消臭性繊維構造体および該消臭性繊維構造体を用いてなる繊維製品を提供することにある。
本発明者は上記の課題を達成するため鋭意検討した結果、特定の共重合ポリエステル繊維で繊維構造体を構成することにより、染色堅牢性に優れる消臭性繊維構造体が得られることを見出し、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば「下記要件を満足しかつ単繊維繊度が10dtex以下の共重合ポリエステル繊維aを含むことを特徴とする消臭性繊維構造体。」が提供される。
(共重合ポリエステル繊維a)
共重合ポリエステルからなる共重合ポリエステル繊維であって、共重合成分として、酸成分中にスルホイソフタル酸の金属塩(A)および下記式(I)で表される化合物(B)を下記数式(1)および(2)を同時に満足するよう含有し、かつ該共重合ポリエステルのガラス転移温度が70〜85℃の範囲内にあり、かつ該共重合ポリエステルの固有粘度が0.55〜1.00dL/gの範囲内にある。
Figure 2011017091
[上記式中、Rは水素原子又は炭素数1〜10個のアルキル基を表し、Xは4級ホスホニ
ウムイオン又は4級アンモニウムイオンを表す。]
3.0≦A+B≦5.0 (1)
0.2≦B/(A+B)≦0.7 (2)
[上記数式中、Aは共重合ポリエステルを構成する全酸成分を基準とするスルホイソフタ
ル酸の金属塩(A)の共重合量(モル%)、Bは共重合ポリエステルを構成する全酸成分
を基準とする上記式(I)で表される化合物(B)の共重合量(モル%)を表す。]
その際、共重合ポリエステル繊維aがフィラメント数24本以上のマルチフィラメントであることが好ましい。また、前記マルチフィラメントが仮撚捲縮加工糸であることが好ましい。また、繊維構造体が織物または編物であることが好ましいが不織布であってもよい。また、繊維構造体がカチオン染料を用いて染色加工していることが好ましい。また、繊維構造体の消臭率が0.2%/(g/m)以上であることが好ましい。
ただし、前記消臭率は下記の方法により測定するものとする。まず、サンプル(10cm×10cm)をテドラーバッグに入れる。次いで、所定量(試験ガス種類:酢酸、初期濃度:500ppm)の試験ガスを注入し、2時間後の残存ガス濃度を成分対応検知管(ガステック社製)で測定する。ガス充填量は3L、希釈ガスは乾燥空気または窒素ガスとする。一方、サンプルを用いずに同様の評価を行い、空試験とする。次いで、下記の式に従って、残存ガス濃度の減少率をサンプルの目付(g/m)で割り、消臭率(%/(g/m))を算出する。
消臭率(%/(g/m))=(空試験の残存ガス濃度−サンプル入りの残存ガス濃度)/(空試験の残存ガス濃度)×100/(目付)
また、本発明によれば、前記の消臭性繊維構造体を用いてなる、スポーツ衣料、インナー衣料、紳士衣料、および婦人衣料の群より選ばれるいずれかの繊維製品が提供される。
本発明によれば、染色堅牢性に優れる消臭性繊維構造体および該消臭性繊維構造体を用いてなる繊維製品が得られる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明において、共重合ポリエステル繊維aを形成する共重合ポリエステルとは、テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体と、エチレングリコール成分とを重縮合反応せしめて得られるエチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とする共重合ポリエステルであり、共重合成分としてスルホイソフタル酸の金属塩(A)及び下記式(I)で表される化合物(B)を下記数式(1)及び(2)を同時に満足する状態で含有する共重合ポリエステルであり、該共重合ポリエステルのガラス転移温度が70〜85℃の範囲にあり、かつ得られる共重合ポリエステルの固有粘度が0.55〜1.00dL/gの範囲にあることを特徴とするポリエステルである。
Figure 2011017091
[上記式中、Rは水素又は炭素数1〜10個のアルキル基を表し、Xは4級ホスホニウム
塩又は4級アンモニウム塩を表す。]
3.0≦A+B≦5.0 (1)
0.2≦B/(A+B)≦0.7 (2)
[上記数式中、Aは共重合ポリエステルを構成する全酸成分を基準とするスルホイソフタル酸の金属塩(A)の共重合量(モル%)、Bは共重合ポリエステルを構成する全酸成分を基準とする上記式(I)で表される化合物(B)の共重合量(モル%)を表す。]
ここでテレフタル酸のエステル形成性誘導体とは、テレフタル酸の、ジメチルエステル、ジエチルエステル、ジプロピルエステル、ジブチルエステル、ジヘキシルエステル、ジオクチルエステル、ジデシルエステル、若しくはジフェニルエステル又はテレフタル酸ジクロライド、テレフタル酸ジブロマイドを挙げる事ができるが、これらの中でもテレフタル酸ジメチルエステルが好ましい。
(ポリエステルについて)
本発明に使用される共重合ポリエステル繊維aにおけるポリエステルとは、エチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステルであり、主たる繰り返し単位とはポリエステルを構成する全繰り返し単位あたり80モル%以上がエチレンテレフタレート単位であることを指している。他の20モル%以下の範囲内で他の成分が共重合されていても良い。好ましくは90モル%以上がエチレンテレフタレート単位であることである。その他の共重合成分としては、ジカルボン酸成分としてイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルメタンジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸を挙げる事ができ、グリコール成分として1,2−プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘプタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ビス(トリメチレングリコール)、ビス(テトラメチレングリコール)、トリエチレングリコール、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、1,4−シクロヘキサンジメタノールが挙げる事ができ、これらの1種以上のジカルボン酸と1種以上のグリコール成分を反応させて得られる成分を繰り返し単位として共重合されていても良い。
(スルホイソフタル酸の金属塩(A)について)
本発明に使用される共重合ポリエステル繊維aで使用されるスルホイソフタル酸の金属塩(A)としては、5−スルホイソフタル酸のアルカリ金属塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、ルビジウム塩、セシウム塩)が例示される。必要に応じてこれら化合物のマグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類塩を併用しても良い。また、これらのエステル形成性誘導体も好ましく例示される。エステル形成性誘導体としてはジメチルエステル、ジエチルエステル、ジプロピルエステル、ジブチルエステル、ジヘキシルエステル、ジオクチルエステル、ジデシルエステル、ジフェニルエステル、5−スルホイソフタル酸金属塩のジハロゲン化物を挙げる事ができるが、これらの中でもジメチルエステルが好ましい。これらの化合物群の中では、熱安定性、コストなどの面から、5−スルホイソフタル酸のアルカリ金属塩が好ましく例示され、特に5−ナトリウムスルホイソフタル酸又はそのジメチルエステルである5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチルが特に好ましく例示される。これらの条件を満たす化合物である場合に、繊維とした場合の充分なカチオン可染性と充分な繊維強度の両立が可能となる。
(化合物(B)について)
また、上記式(I)で表される化合物(B)としては、5−スルホイソフタル酸又はその低級アルキルエステルの4級ホスホニウム塩又は4級アンモニウム塩である。4級ホスホニウム塩、4級アンモニウム塩としては、リン原子又は窒素原子にアルキル基、ベンジル基又はフェニル基が結合した4級ホスホニウム塩、4級アンモニウム塩が好ましく、特に4級ホスホニウム塩であることが好ましい。また、4つある置換基は同一であっても異なっていても良い。上記式(I)で表される化合物の具体例としては、5−スルホイソフタル酸テトラブチルホスホニウム塩、5−スルホイソフタル酸エチルトリブチルホスホニウム塩、5−スルホイソフタル酸ベンジルトリブチルホスホニウム塩、5−スルホイソフタル酸フェニルトリブチルホスホニウム塩、5−スルホイソフタル酸テトラフェニルホスホニウム塩、5−スルホイソフタル酸ブチルトリフェニルホスホニウム塩、5−スルホイソフタル酸ベンジルトリフェニルホスホニウム塩、5−スルホイソフタル酸テトラメチルアンモニウム塩、5−スルホイソフタル酸テトラエチルアンモニウム塩、5−スルホイソフタル酸テトラブチルアンモニウム塩、5−スルホイソフタル酸テトラフェニルアンモニウム塩、5−スルホイソフタル酸ベンジルトリメチルアンモニウム塩、5−スルホイソフタル酸ベンジルトリメチルアンモニウム塩、あるいはこれらイソフタル酸誘導体のジメチルエステル、ジエチルエステル、ジプロプルエステル、ジブチルエステル、ジへキシルエステル、ジオクチルエステル、ジデシルエステルが好ましく例示される。これらのイソフタル酸誘導体の中でも、5−スルホイソフタル酸ジメチルテトラブチルホスホニウム塩、5−スルホイソフタル酸ジメチルベンジルトリブチルホスホニウム塩、5−スルホイソフタル酸ジメチルテトラフェニルホスホニウム塩、5−スルホイソフタル酸ジメチルテトラメチルアンモニウム塩、5−スルホイソフタル酸ジメチルテトラエチルアンモニウム塩、5−スルホイソフタル酸ジメチルテトラブチルアンモニウム塩、5−スルホイソフタル酸ジメチルベンジルトリメチルアンモニウム塩がより好ましく例示される。これらの条件を満たす化合物である場合に、ポリエステル繊維とした場合の充分なカチオン可染性と充分な繊維強度の両立が可能となる。
(数式(1)について)
本発明において、ポリエステルに共重合させる上記のスルホイソフタル酸の金属塩(A)と上記の化合物(B)の合計は共重合ポリエステルを構成する全酸成分を基準として、(A)成分と(B)成分の和A+Bが3.0〜5.0モル%の範囲である必要がある。3.0モル%より少ないと、常圧下でのカチオン染色では十分な染着を得ることができない。一方、5.0モル%より多くなると、得られるポリエステル糸の強度が低下するため実用に適さない。さらに染料を過剰に消費するため、コスト面でも不利である。好ましくは3.2〜4.8モル%であり、より好ましくは3.3〜4.7モル%である。
(数式(2)について)
また、スルホイソフタル酸の金属塩(A)と化合物(B)の成分比は上記のモル%の値にて、B/(A+B)が0.2〜0.7の範囲にある必要がある。0.2以下、つまり成分Aの割合が多い状態では、スルホイソフタル酸金属塩による増粘効果により、得られる共重合ポリエステルの重合度を上げることが困難になる。一方、0.7以上、つまり化合物(B)の割合が多い状態では、重縮合反応が遅くなり、さらに化合物(B)の比率が多くなると熱分解反応が進むため重合度を上げることが困難となる。さらに、化合物(B)の比率多くなると共重合ポリエステルの熱安定性が悪化し、溶融紡糸段階で再溶融した際の熱分解反応による分子量の低下が大きくなるため、得られるポリエステル糸の強度が低下するため、好ましくない。好ましくは0.23〜0.65であり、より好ましくは0.
25〜0.60である。
スルホイソフタル酸の金属塩(A)をポリエステルに共重合することによりカチオン可染性は付与する事ができるが、スルホン酸金属塩基間のイオン結合に由来すると思われる共重合ポリエステルの溶融粘度の増粘効果のため共重合ポリエステルを高重合度化することが困難であった。そのため十分に高い重合度、高い固有粘度を有する共重合ポリエステルが得られず、その高い固有粘度でない共重合ポリエステルから得られるポリエステル繊維は、繊維強度が著しく低下する問題があった。一方その問題を解消するためにスルホイソフタル酸のテトラアルキルアンモニウム塩又はスルホイソフタル酸のテトラアルキルホスホニウム塩、即ち化合物(B)をポリエステルに共重合することが開示されているが、当該化合物は重合反応中に熱分解を起こしやすいため、共重合量を上げようとすると熱分解反応が進みやすい問題があり、繊維強度を高い値にすることが依然として困難であった。本発明の共重合ポリエステルにおいては、これらのスルホイソフタル酸の金属塩(A)と化合物(B)を併用し、双方の化合物の共重合量、共重合比率、共重合ポリエステルのガラス転移温度及び固有粘度を特定の範囲に設定することによって、充分なカチオン染料による染色性と高い繊維強度を両立させ、且つ熱セット性が良好で捲縮を固定しやすいと言った物性をも同時に有する。この熱セット性が良好で捲縮を固定しやすいという物性をも有することは驚くべき事である。
(ガラス転移温度について)
前記共重合ポリエステルは、DSC(示差走査熱量測定)法による測定方法(昇温
速度=20℃/min)でのガラス転移温度(Tg)が70〜85℃の範囲であることが肝要である。Tgが70℃以下の場合、溶融紡糸による得られたポリエステル繊維の熱セット性が悪化し、仮撚捲縮加工性が悪化し、撚りがかからない状態となるため、該共重合ポリエステルからなる共重合ポリエステル繊維から得られる繊維構造体の風合いが悪化するおそれがある。ガラス転移温度を下げる方法としては、アジピン酸、セバシン酸、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどを共重合することで成されるが、本発明においてはこれら共重合成分が、上記のガラス転移温度の条件を満足する範囲であれば微量共重合されていても良い。Tgの好ましい値の範囲は71〜80℃である。
通常、ポリエチレンテレフタレートのガラス転移温度は70〜80℃くらいであることが知られているので、本発明において、共重合ポリエステルは、上述のように他の共重合成分が共重合されていても良いが、共重合した結果ガラス転移温度を著しく降下させる成分については共重合させることは好ましくない。ガラス転移温度を上記の値の範囲にするには、例えば上述の共重合ポリエステルの説明の項で挙げた共重合されても良い化合物の種類・共重合率を適宜調整して共重合させることを挙げる事ができる。
(固有粘度について)
前記共重合ポリエステルの固有粘度(溶媒:オルトクロロフェノール、測定温度:35℃)は0.55〜1.00dL/gの範囲であることが肝要である。固有粘度が0.55dL/g以下である場合、得られるポリエステル繊維の強度が不足し、一方、1.00dL/g以上とする場合、溶融粘度が高くなりすぎて溶融成型が困難になるため好ましくなく、また、溶融重合法に引続いて固相重合法により共重合ポリエステルの重縮合工程での生産コストが大幅に増大するため好ましくない。共重合ポリエステルの固有粘度としては、0.60〜0.90dL/gの範囲がさらに好ましい。共重合ポリエステルの固有粘度を0.55〜1.00dL/gの範囲にするためには、溶融重合を行う際の最終の重合温度、重合時間を調整したり、溶融重合法のみでは困難な場合には固相重合を行って適宜調整することができる。本発明においては、スルホイソフタル酸の金属塩(A)及び化合物(B)を上記数式(1)及び(2)を満たすようにポリエチレンテレフタレートに対して共重合を行うことで上述のような手法により固有粘度を0.55〜1.00dL/gにすることが可能となる。
(DEG含有量について)
前記共重合ポリエステルに含有されるジエチレングリコールは、2.5重量%以下であることが好ましい。より好ましくは2.2重量%以下、さらにより好ましくは1.85〜2.2重量%である。一般にカチオン可染性ポリエステルを製造する際には、ポリエステルの製造工程において副生するジエチレングリコール(DEG)量を抑制するために、DEG抑制剤として少量のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、水酸化テトラアルキルホスホニウム、水酸化テトラアルキルアンモニウム、トリアルキルアミンなどの少なくとも1種類を、使用するカチオン可染性モノマー(本発明の場合はスルホイソフタル酸の金属塩(A)及び化合物(B)の全モル量)に対して、1〜20モル%程度を添加することが好ましい。
(共重合ポリエステルの製造方法について)
前記共重合ポリエステルの製造は特に限定されず、スルホイソフタル酸の金属塩(A)(以下化合物Aと略称することがある。)及び化合物(B)を請求項1に記載の条件を満たすように留意する他は、通常知られているポリエステルの製造方法が用いられる。すなわち、テレフタル酸とエチレングリコールの直接エステル化反応させる、あるいはテレフタル酸ジメチルに代表されるテレフタル酸のエステル形成性誘導体とエチレングリコールとをエステル交換反応させて低重合体を製造する。次いでこの反応生成物を重縮合触媒の存在下で減圧加熱して所定の重合度になるまで重縮合反応させることにより製造される。スルホイソフタル酸を含有する芳香族ジカルボン酸及び/又はそのエステル誘導体(スルホイソフタル酸の金属塩(A)及び化合物(B))を共重合する方法についても通常知られている製造方法を用いる事ができる。これらの化合物の反応工程への添加時期は、エステル交換反応又はエステル化反応の開始当初から重縮合反応の開始までの任意の時期に添加することができる。
またエステル交換反応時の触媒についても通常のエステル交換反応を行う際に用いられる触媒化合物を用いる事ができる。重縮合触媒についても通常用いられるアンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、チタン化合物を用いる事ができる。またチタン化合物と芳香族多価カルボン酸又はその無水物との反応生成物、チタン化合物とリン化合物の反応生成物を用いても良い。
(その他添加剤について)
また、前記共重合ポリエステルは、必要に応じて少量の添加剤、例えば酸化防止剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、遮光剤又は艶消し剤などを含んでいても良い。特に酸化防止剤、艶消し剤などは特に好ましく添加される。
(溶融紡糸について)
前記共重合ポリエステルの製糸方法は、特に制限は無く、従来公知の方法が採用される。すなわち、乾燥した共重合ポリエステルを270〜300℃の範囲で溶融紡糸して製造することが好ましく、溶融紡糸の引取り速度は400〜5000m/分で紡糸することが好ましい。紡糸速度がこの範囲にあると、得られるポリエステル繊維の強度も十分なものであると共に、安定して巻取りを行うこともできる。さらに、上述の方法で得られた未延伸糸もしくは部分延伸糸を、延伸工程にて1.2倍〜6.0倍程度の範囲で延伸し、熱セットすることが好ましい。この延伸は未延伸ポリエステル繊維を一旦巻き取ってから行ってもよく、一旦巻き取ることなく連続的に行ってもよい。また、紡糸時に使用する口金の形状についても特に制限はなく、円形、扁平、くびれ付扁平、三角形・四角形等の多角形、3以上の多葉形、C型断面、H型断面、X型断面、中空断面のいずれであってもよい。
かくして得られた共重合ポリエステル繊維aにおいて、繊維強度(引張強度)が3.0cN/dtex以上(より好ましくは3.0〜5.0cN/dtex)であることが好ましい。なお、このような繊維強度を有する共重合ポリエステル繊維aは、前記のように共重合ポリエステルを紡糸、延伸することにより得られる。
かくして得られた共重合ポリエステル繊維aにおいて、総繊度を同一にした場合、単糸繊度が小さくかつフィラメント数が大きいほうが、単糸繊度が大きくかつフィラメント数が小さいものより、繊維の表面積が大きくなり、優れた消臭性が得られるため、単糸繊度が10dtex以下(好ましくは0.1〜5.0dtex)であることが肝要である。該単糸繊度が10dtexより大きいと、十分な消臭性が得られないおそれがある。
前記共重合ポリエステル繊維aの繊維形態は特に限定されないが、マルチフィラメント(長繊維)であることが好ましい。その際、該マルチフィラメントのフィラメント数としては、優れた消臭性を得る上で24〜288本であることが好ましい。また、総繊度(単糸繊度とフィラメント数との掛け算)としては、繊維構造体の風合いを損わずに優れた消臭性を得る上で36〜144dtexの範囲内であることが好ましい。
なお、前記共重合ポリエステル繊維aにおいて、単繊維の断面形状は特に限定されず、丸、三角、扁平、中空など公知の断面形状でよい。また、通常の空気加工(インターレース加工など)、仮撚捲縮加工、撚糸加工、カバリング加工などが施されていてもさしつかえない。さらには、他の繊維との複合糸であってもよい。特に、仮撚捲縮加工が施されたマルチフィラメント(仮撚捲縮加工糸)であると、単糸がばらけてみかけの繊維表面積が向上し消臭性がさらに向上し好ましい。非捲縮糸であると単繊維同士が凝集し、繊維のみかけ表面積が低下して十分な消臭性が得られないおそれがある。
(繊維構造体の製造について)
前記の共重合ポリエステル繊維aを用いて繊維構造体を製造する。その際、かかる繊維構造体は前記の共重合ポリエステル繊維aのみで構成されていてもよいが、他の繊維が含まれていてもよい。その際、他の繊維は布帛重量に対して40重量%以下であることが好ましい。かかる他の繊維としては、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルからなるポリエステルフィラメントが好ましい。
繊維構造体の構造としては特に限定されず、糸、綿、織物、編物、不織布、ロープなどいずれでもよいが、織物または編物が好ましい。その際、織物の織組織としては、平織、斜文織、朱子織等の三原組織、変化組織、変化斜文織等の変化組織、たて二重織、よこ二重織等の片二重組織、たてビロードなどが例示される。層数も単層でもよいし、2層以上の多層でもよい。編物の場合は、よこ編物であってもよいしたて編物であってもよい。よこ編組織としては、平編、ゴム編、両面編、パール編、タック編、浮き編、片畔編、レース編、添え毛編等が好ましく例示され、たて編組織としては、シングルデンビー編、シングルアトラス編、ダブルコード編、ハーフトリコット編、裏毛編、ジャガード編等が例示される。層数も単層でもよいし、2層以上の多層でもよい。
その際、消臭性の点で厚みが0.4〜1.5mmの布帛が好ましい。また、布帛の密度としては、消臭性の点で高密度のほうが好ましく、経緯とも80〜200本/2.54cmの範囲内であることが好ましい。織編物の密度が該範囲よりも小さいと十分な消臭性が得られないおそれがある。逆に、織編物の密度が該範囲より大きいと製編織性が困難となるおそれがある。
(染色加工について)
繊維構造体は染色加工されてなくてもよいが、染色加工を行う場合、染色加工はカチオン染料を用いて行うことが好ましい。カチオン染料を用いて染色を行うと、カチオン染料がイオン結合により繊維にしっかりと吸着されるため、優れた染色堅牢性が得られる。分散染料を用いた染色では、十分な染色堅牢性が得られないおそれがある。かかるカチオン染料は市販されている通常のカチオン染料でよい。また、染色加工の条件としては、高圧で染色してもよいが、前記共重合ポリエステル繊維aは常圧(100℃以下)で染色可能であるので、常圧(100℃以下)で染色することが地球環境にやさしく、また染色コストを低減することができ好ましい。なお、染色の際に、染色助剤等を用いることは何らさしつかえない。また、染色機も液流染色機、ビーム染色機、ジッガーなど通常の染色機でよく特に限定はない。
また、染色加工の前および/または後の工程において、なお、常法の精練、リラックス、プレセット、ファイナルセットなどの各種加工を施してもよい。さらには、起毛加工、撥水加工、カレンダー加工、紫外線遮蔽あるいは制電剤、抗菌剤、防虫剤、蓄光剤、再帰反射剤、マイナスイオン発生剤等の機能を付与する各種加工を付加適用してもよい。
かくして得られた消臭性繊維構造体には前記の共重合ポリエステル繊維aが含まれるので優れた消臭性を有する。その理由はまだ明らかにされていないが、共重合ポリエステル繊維aに含まれる親水性成分が影響しているのではないかと推定している。その際、繊維構造体の消臭率が0.2%/(g/m)以上であることが好ましい。
ただし、前記消臭率は下記の方法により測定するものとする。まず、サンプル(10cm×10cm)をテドラーバッグに入れる。次いで、所定量(試験ガス種類:酢酸、初期濃度:500ppm)の試験ガスを注入し、2時間後の残存ガス濃度を成分対応検知管(ガステック社製)で測定する。ガス充填量は3L、希釈ガスは乾燥空気または窒素ガスとする。一方、サンプルを用いずに同様の評価を行い、空試験とする。次いで、下記の式に従って、残存ガス濃度の減少率をサンプルの目付(g/m)で割り、消臭率(%/(g/m))を算出する。
消臭率(%/(g/m))=(空試験の残存ガス濃度−サンプル入りの残存ガス濃度)/(空試験の残存ガス濃度)×100/(目付)
なお、かかる測定方法は消臭加工繊維製品認証基準(制定者は社団法人繊維評価技術協議会、制定日は平成14年9月1日)に準ずるものである。
また、本発明の消臭性繊維構造体において、前記共重合ポリエステル繊維aがカチオン染料により着色することにより、優れた染色堅牢性を有する。その際、下記により測定した染料移行汚染堅牢性が3級以上であることが好ましい。
試験片(5cm×5cm)と、該試験片と同一の白布に検討布帛と添付片(5cm×5cm)とが接触するようにアルミ板2枚の間に挟み込んだ後、そのアルミ板の上に44.1N(4.5kgf)の荷重をかけ、恒温加熱処理機で120℃×80分の熱処理を行い、試験片から添付白布への染料移行状態を汚染用グレースケールで1〜5級に等級判定を行う。
また、かかる消臭性繊維構造体は布帛強度が高い。さらには、常圧で染色できるので、環境負荷が少ない。
また、かかる消臭性繊維構造体において、優れた消臭性を得る上で、目付が30〜300g/mの範囲内であることが好ましい。また、繊維構造体が織物である場合、優れた消臭性を得る上で、経糸のカバーファクターおよび緯糸のカバーファクターがいずれも500〜5000(さらに好ましくは、500〜2500)の織物であることが好ましい。なお、本発明でいうカバーファクターCFは下記の式により表されるものである。
経糸カバーファクターCF=(DWp/1.1)1/2×MWp
緯糸カバーファクターCF=(DWf/1.1)1/2×MWf
[DWは経糸総繊度(dtex)、MWは経糸織密度(本/2.54cm)、DWは緯糸総繊度(dtex)、MWは緯糸織密度(本/2.54cm)である。]
次に、本発明の繊維製品は、前記の消臭性繊維構造体を用いてなる、スポーツ衣料、インナー衣料、紳士衣料、および婦人衣料の群より選ばれるいずれかの繊維製品である。かかる繊維製品は前記の消臭性繊維構造体を用いているので、消臭性を有するだけでなく、優れた染色堅牢度を有し、布帛強度が高く、さらには、環境負荷が少ない。
次に本発明の実施例及び比較例を詳述するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例中の各測定項目は下記の方法で測定した。
(1)固有粘度:
ポリエステル試料を100℃、60分間でオルトクロロフェノールに溶解した希薄溶液を、35℃でウベローデ粘度計を用いて測定した値から求めた。なお、チップの固有粘度をηC、紡糸後の未延伸糸の固有粘度をηFと称する。
(2)ジエチレングリコール(DEG)含有量:
ヒドラジンヒドラート(抱水ヒドラジン)を用いてポリエステル試料チップを分解し、この分解生成物中のジエチレングリコールの含有量をガスクロマトグラフィー(ヒューレットパッカード社製(HP6850型))を用いて測定した。
(3)ポリマーのガラス転移温度(Tg):
示差走査熱量計(セイコーインスツルメント社製DSC:Q10型)を用いて、昇温速度=20℃/minで測定した。
(4)ポリエステル繊維の引張強度(破断強度)、引張伸度(破断伸度)
JIS L1013:1999 8.5に記載の方法に準拠して測定を行った。引張強度(破断強度)を繊維強度とする。
(5)全捲縮数(TC):
仮撚捲縮加工糸に0.044cN/dtexの張力をかけてカセ枠に巻取り、約3300dtexのカセを作る。得られたカセの一端に0.00177cN/dtex+0.177cN/dtexの荷重を負荷し、1分間経過後の長さ(L0)を測定する。次いで0.177cN/dtexの荷重を除去した状態で100℃の沸水中にて20分間処理する。沸水処理後、0.177cN/dtexの荷重を除去し、0.00177cN/dtexの荷重のみを負荷し24時間自由な状態で自然乾燥する。自然乾燥した試料に再び0.00177cN/dtex+0.177cN/dtexの荷重を負荷し、1分間経過後の長さ(L1)を測定する。次いで、0.177cN/dtexの荷重を除去し、1分間経過後の長さ(L2)を測定し、次式で全捲縮率TC(%)を算出する。この測定を10回実施し、その平均値で表した。
全捲縮率TC(%)=((L1−L2)/L0)×100
(6)カチオン可染性:
CATHILON BLUE CD−FRLH)0.2g/L、CD−FBLH0.2
g/L(いずれも保土ヶ谷化学株式会社製のカチオン可染性染料)、硫酸ナトリウム3g
/L、酢酸0.3g/Lの染色液中にて100℃(常圧)で1時間、浴比1:50で染色を行い、次式により染着率を求めた。
染着率=(OD−OD)/OD×100
OD:染色前の染液の576nmの吸光度
OD:染色後の染液の576nmの吸光度
染着率98%以上のものを可染性良好と判断した。
(7)厚み
織物については、その厚さをJIS L 1096−1998、6.5の厚さ測定法により、編物については、その厚さをJIS L 1018−1998、6.5の厚さ測定法により測定する。
(8)染料移行汚染堅牢性
試験片(5cm×5cm)と、該試験片と同一の白布に検討布帛と添付片(5cm×5cm)とが接触するようにアルミ板2枚の間に挟み込んだ後、そのアルミ板の上に44.1N(4.5kgf)の荷重をかけ、恒温加熱処理機で120℃×80分の熱処理を行い、試験片から添付白布への染料移行状態を汚染用グレースケールで1〜5級に等級判定を行った。等級が高いほど、堅牢度が良好である。
(9)消臭率
まず、サンプル(10cm×10cm)をテドラーバッグに入れる。次いで、所定量(試験ガス種類:酢酸、初期濃度:500ppm)の試験ガスを注入し、2時間後の残存ガス濃度を成分対応検知管(ガステック社製)で測定した。ガス充填量は3L、希釈ガスは乾燥空気または窒素ガスとした。一方、サンプルを用いずに同様の評価を行い、空試験とした。次いで、下記の式に従って、残存ガス濃度の減少率をサンプルの目付(g/m)で割り、消臭率(%/(g/m))を算出した。
消臭率(%/(g/m))=(空試験の残存ガス濃度−サンプル入りの残存ガス濃度)/(空試験の残存ガス濃度)×100/(目付)
(10)目付
JIS L 1096 6.4.2により目付(g/m)を算出した。
[実施例1]
テレフタル酸ジメチル100重量部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル4.1重量部とエチレングリコール60重量部の混合物に、酢酸マンガン0.03重量部、酢酸ナトリウム三水和物0.12重量部を添加し、140℃から240℃まで徐々に昇温しつつ、反応の結果生成するメタノールを系外に留出させながらエステル交換反応を行った。その後、正リン酸0.03重量部を添加し、エステル交換反応を終了させた。
その後、反応生成物に三酸化アンチモン0.05重量部と5−スルホイソフタル酸テトラブチルホスホネート2.8重量部と水酸化テトラエチルアンモニウム0.3重量部とトリエチルアミン0.003重量部を添加して重縮合槽に移し、285℃まで昇温し、30Pa以下の高真空にて重縮合反応を行い、重縮合槽の攪拌機電力の値が所定電力に到達した段階若しくは所定時間を経過した段階で反応を終了させ、常法に従いチップ化した。
このようにして得られたポリエステルチップを140℃、5時間乾燥後、紡糸温度285℃、巻取り速度400m/minで原糸を作り、次いで延伸同時仮撚加工により4.0倍に延伸して仮撚捲縮加工糸を得て、さらに常法に従い弛緩熱処理を実施し、共重合ポリエステル繊維a(190dtex/48フィラメントのマルチフィラメントからなる仮撚捲縮加工糸)とした。
次いで、経糸および緯糸として前記の仮撚捲縮加工糸(共重合ポリエステル繊維a)、を用い、緯二重織物(生機の経糸密度100本/2.54cm、生機の緯糸密度160本/2.54cm)を織成した後、80℃で精錬後、80℃で精錬後、CATHILON BLUE CD−FRLH)0.2g/L、CD−FBLH0.2g/L(いずれも保土ヶ谷化学株式会社製のカチオン可染性染料)、硫酸ナトリウム3g/L、酢酸0.3g/Lの染色液中にて100℃(常圧)で1時間、浴比1:50で染色を行った。その後、親水剤(高松油脂(株)製SR−1000)を5%owf用いて130℃30分間親水化処理を行い、乾燥、セットを行った。
得られた織物において、経糸密度140本/2.54cm、緯糸密度180本/2.54cm、厚み0.5mm、消臭率は0.35%/(g/m)であった。また、染料移行汚染堅牢性は4−5級であった。また、共重合ポリエステルの製造条件と評価結果の詳細を表1に示した。
Figure 2011017091
次いで、該織物を用いてTシャツ(スポーツ衣料)を得て着用したところ、染色堅牢性および消臭性に優れるものであった。
[実施例2]
実施例1において、共重合ポリエステル繊維aの総繊度/フィラメント数を75dtex/72フィラメントの双糸に変更する(織物のカバーファクターは実施例1と同じにする)こと以外は実施例1と同様にした。
得られた織物において、厚み0.5mm、消臭率は0.40%/(g/m)であった。また、染料移行汚染堅牢性は4−5級であった。
[比較例1]
実施例1において、共重合ポリエステル繊維aのかわりに総繊度190dtex/48フィラメントの、ポリエチレンテレフタレートからなる仮撚捲縮加工糸を使用し、染色は通常の分散染料を使用する以外は実施例1と同じにした。
得られた織物において、消臭率は0.1%/(g/m)であった。また、染料移行汚染堅牢性は1−2級であった。
[比較例2]
実施例1において、共重合ポリエステル繊維を総繊度190dtex/12フィラメントの仮撚捲縮加工糸を使用する以外は実施例1と同じにした。
得られた織物において、消臭率は0.02%/(g/m)であった。また、染料移行汚染堅牢性は4−5級であった。
本発明によれば、染色堅牢性に優れる消臭性繊維構造体および該消臭性繊維構造体を用いてなる繊維製品が提供され、その工業的価値は極めて大である。

Claims (7)

  1. 下記要件を満足しかつ単繊維繊度が10dtex以下の共重合ポリエステル繊維aを含むことを特徴とする消臭性繊維構造体。
    (共重合ポリエステル繊維a)
    共重合ポリエステルからなる共重合ポリエステル繊維であって、共重合成分として、酸成分中にスルホイソフタル酸の金属塩(A)および下記式(I)で表される化合物(B)を下記数式(1)および(2)を同時に満足するよう含有し、かつ該共重合ポリエステルのガラス転移温度が70〜85℃の範囲内にあり、かつ該共重合ポリエステルの固有粘度が0.55〜1.00dL/gの範囲内にある。
    Figure 2011017091
    [上記式中、Rは水素原子又は炭素数1〜10個のアルキル基を表し、Xは4級ホスホニ
    ウムイオン又は4級アンモニウムイオンを表す。]
    3.0≦A+B≦5.0 (1)
    0.2≦B/(A+B)≦0.7 (2)
    [上記数式中、Aは共重合ポリエステルを構成する全酸成分を基準とするスルホイソフタ
    ル酸の金属塩(A)の共重合量(モル%)、Bは共重合ポリエステルを構成する全酸成分
    を基準とする上記式(I)で表される化合物(B)の共重合量(モル%)を表す。]
  2. 共重合ポリエステル繊維aがフィラメント数24本以上のマルチフィラメントである、請求項1に記載の消臭性繊維構造体。
  3. 前記マルチフィラメントが仮撚捲縮加工糸である、請求項2に記載の消臭性繊維構造体。
  4. 繊維構造体が織物または編物である、請求項1〜3のいずれかに記載の消臭性繊維構造体。
  5. 繊維構造体がカチオン染料を用いて染色加工してなる、請求項1〜4のいずれかに記載の消臭性繊維構造体。
  6. 繊維構造体の消臭率が0.2%/(g/m)以上である、請求項1〜5のいずれかに記載の消臭性繊維構造体。
    ただし、前記消臭率は下記の方法により測定するものとする。まず、サンプル(10cm×10cm)をテドラーバッグに入れる。次いで、所定量(試験ガス種類:酢酸、初期濃度:500ppm)の試験ガスを注入し、2時間後の残存ガス濃度を成分対応検知管(ガステック社製)で測定する。ガス充填量は3L、希釈ガスは乾燥空気または窒素ガスとする。一方、サンプルを用いずに同様の評価を行い、空試験とする。次いで、下記の式に従って、残存ガス濃度の減少率をサンプルの目付(g/m)で割り、消臭率(%/(g/m))を算出する。
    消臭率(%/(g/m))=(空試験の残存ガス濃度−サンプル入りの残存ガス濃度)/(空試験の残存ガス濃度)×100/(目付)
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の消臭性繊維構造体を用いてなる、スポーツ衣料、インナー衣料、紳士衣料、および婦人衣料の群より選ばれるいずれかの繊維製品。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014037662A (ja) * 2012-08-20 2014-02-27 Kuraray Co Ltd 高応力シート
JP2014037661A (ja) * 2012-08-20 2014-02-27 Kuraray Kuraflex Co Ltd 高消臭機能を有する不織布シート
JP2014037645A (ja) * 2012-08-16 2014-02-27 Kuraray Co Ltd 消臭性メルトブローン不織布およびその製造方法

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