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JP2011000848A - スリップキャスト成形のための型とそれの使用方法、および、関連した応用 - Google Patents

スリップキャスト成形のための型とそれの使用方法、および、関連した応用 Download PDF

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Abstract

【課題】大規模なターゲットを製造するため、相対密度が大きい圧粉体を生じるスリップキャスト成形のための型を提供する。
【解決手段】スリップキャスト成形のための型は、底面板10、不透水性の側壁20、および、成型スペース30を有する。底面板10は、水を吸収する多孔性材料でできている。不透水性の側壁20は、底面板10に取り付けられる。成型スペースは、底面板10および不透水性の側壁20によって定められる。型は、底面板10によって水を吸収するのみである。すべてのスラリーは、乾燥の間型に連続的に注入されるよりはむしろ型に注入される大きさである。したがって、型において形成される圧粉体は均一であり、高い相対密度を有する。圧粉体は、亀裂または変形を引き起こさずに焼結されることができるので、大きいサイズのスパッタリングターゲットの製造に適している。
【選択図】図1

Description

本発明は、スリップキャスト成形のための型に関し、特に大規模なターゲットを製造するために使われる大きい相対密度の圧粉体を生成するための型に関するものである。
低い伝導率および高い透過率を有するインジウム−スズ酸化物(ITO)でできている透明な伝導性のフィルムは、ディスプレイパネルの導電ガラス、太陽電池、および、電磁遮蔽ガラスに応用される。パネルの表示が大きくより精巧になるにつれて、ITO技術の開発傾向は、低い抵抗力、高い透過率、および、低温での薄膜の改良された平坦特性に重点が置かれるようになった。
マグネトロンスパッタリングは、低温で優れた光学および電気特性を有するITO薄膜を堆積させて、形成するための主な方法である。マグネトロンスパッタリングは容易に制御され、高い堆積速度と、安い堆積コストと、低い基板温度とを有し、基板への粘着力が向上したITO薄膜を形成し、さらに広い領域上にITO薄膜を堆積させることができる。
ITOスパッタリングターゲットを生じる方法は一般に、粉末原料を選択する工程、粉を混合する工程、圧粉体を形成するために成形する工程、焼結、機械加工、および、接着する工程を連続して含む。成形工程は、プレス成形またはスリップキャスト成形によって実行されてもよい。
プレス成形は容易に行われ、短い処理時間を必要とする、しかしながら、大きいサイズのITO薄膜の製造は、プレス成形では難しい。圧粉体の密度が同一であることを確実にするために、粉末原料は、成形前に粒状化されなければならない。
比較的、スリップキャスト成形はより複雑であり、長い乾燥期間を必要とする。しかしながら、スリップキャスト成形は、大きいサイズおよびさまざまな形状を有するITOターゲットを製造するために使われる。
プレス成形またはスリップキャスト成形によって製造される圧粉体は低い相対密度を有するので、焼結する前に圧粉体の相対密度を増やすために等方加圧を受けなくてはならない。等方加圧装置は高価であり、製造するのに制限を有する。
さらに、成形は、例えば粉末を均一に分散させる分散剤、圧粉体の強さを増やす結合材、圧粉体を型から外す離型剤、粉末間の摩擦を減少させるための潤滑剤のような添加剤を必要とする。しかしながら、高品質なITOターゲットのためには、ITOターゲットの高純度を確実にし、材料コストを減らすために添加剤はほとんど加えることができない。
したがって、圧粉体の相対密度を増やすこと、添加剤を少なくすること、圧粉体の容積を大きくすること、および、コストを下げることが成形工程にとって重要である。特にコストを下げることに関して、スリップキャスト成形は発展している。プレートのような圧粉体を製造するための従来のスリップキャスト成形は、少なくとも二つの側面から圧粉体の水を吸収するための少なくとも二つの水吸収プレートを有する石膏型を使用する。この種類の石膏型が成形時間を短くするために水を吸収することができるにもかかわらず、さまざまな欠陥が圧粉体において生じる可能性がある。例えば、スラリーを型に注入すると圧粉体に筋が形成されて、圧粉体の焼結密度の均一性を下げることになる。さらに、スラリーの水は異なる方向へ引かれ、それにより、粉末分子の粘着力を下げ、圧粉体の層間剥離および剥脱を引き起こす。その上、水吸収プレートが異なる吸収率を有する場合、圧粉体の内側および外側は異なる率で乾燥し、それによって、圧粉体の内部に空所またはくぼみが生じる。高圧下でのスリップキャスト成形でさえ、圧粉体において空所およびくぼみが形成される。
特開2007−055055号公報。 日本特許2007−055055号は、圧粉体を型から容易に外すために弧型に形成されるスラリー入口を開示する。
特開1997−272109号公報。 日本特許1997−272109号は、亀裂なく圧粉体を形成するために水を吸収することができないカバーを有する型を開示する。しかしながら、型は水を吸収する側壁を有するので、圧粉体でさまざまな欠陥がなお生じる。
台湾特許548256号公報。 台湾特許548256号は、陰圧下で圧粉体から水を放出することができるフィルタ膜を有する型を開示する。
本発明の主な目的は、大規模なターゲットを製造するため、相対密度が大きい圧粉体を生じるスリップキャスト成形のための型を提供することである。
目的を達成するため、本発明のスリップキャスト成形のための型は、底面板、不透水性の側壁、および、成型スペースを含む。底面板は、水を吸収する多孔性材料でできている。不透水性の側壁は、底面板に対して垂直に取り付けられる。成型スペースは、底面板および不透水性の側壁によって定められる。
本発明の型は、底部ボードを通じてのみ水が通過することができる。すべてのスラリーは、乾燥の間、連続的に注入されるよりはむしろ、型に注入される大きさである。したがって、型において形成される圧粉体は均一であり、高い相対密度を有する。圧粉体は亀裂または変形を引き起こさずに焼結されることができるので、大きいサイズのスパッタリングターゲットの製造に適している。
図1は、本発明の一実施態様のスリップキャスト成形のための型の斜視図である。 図2は、本発明のスリップキャスト成形のための型の他の実施態様の断面の側面図である。
図1に関して、本発明のスリップキャスト成形のための型は、底面板(10)、不透水性の側壁(20)、および、成型スペース(30)を有する。
底面板(10)は、例えば石膏、樹脂、重合体の半透膜、または、従来技術の当業者に周知の他の水を吸収する多孔性材料のような、水を吸収する多孔性材料でできている。より好ましくは、水を吸収する多孔性材料は、石膏である。
不透水性の側壁(20)は底面板(10)に垂直に取り付けられ、圧粉体から水を吸収するよりむしろ圧粉体の輪郭を形成するために用いられる。さまざまなサイズおよび形状の不透水性の側壁(20)が、圧粉体の仕様およびそれの必要条件に従って使うことができる。
不透水性の側壁(20)は、プラスチック、金属、ガラスまたは当業者に周知の他の不透水性の材料であってもよい。
さらに他の実施態様である図2を参照すると、不透水性の側壁(20´)は、底面板(10)と同じ材料でできていて、内部表面(22)および不透水性の隔壁(21)を有する。不透水性の隔壁(21)は板であってもよく、不透水性の側壁(20´)の内部表面(22)に取り付けられ、プラスチック、金属、ガラスまたは当業者に周知の他の防水材料であってもよい。不透水性の隔壁(21)は水の通過を防ぎ、さらに型からの圧粉体を外すのを補助する。
成型スペース(30)は底面板(10)と不透水性の側壁(20、20´)との間で定められ、圧粉体を形成するためにスラリーで満たされる。
本発明の圧粉体はスリップキャスト成形のための型によって形成され、50%またはそれを超える相対密度を有する。
本発明の型は底面板(10)によってのみ水を吸収するので、すべてのスラリーは、連続的に長い時間で注がれるよりはむしろ一回で型に注入される。したがって、本発明の型において形成される圧粉体は均一であり、高い相対密度を有する。圧粉体は、亀裂または変形を引き起こさずに焼結されることができるので、大きいサイズのスパッタリングターゲットの製造に適している。
本発明によってインジウム−スズ酸化物(ITO)スパッタリングターゲットを製造する方法は、スラリーを混合する工程、本発明の型を用いて圧粉体を形成するため、スラリーをスリップキャスト成形する工程、圧粉体を型から外し、乾燥させる工程、および、ITOスパッタリングターゲットを得るために圧粉体を焼結する工程、を含む。
スラリーを混合する工程においてスラリーは、粉末材料と、粉末材料を均一に分散させる微量の分散剤とを含む。
圧粉体を形成するためスラリーをスリップキャスト成形する工程において、圧粉体は50%以上の相対密度を有する。
ITOスパッタリングターゲットを得るために圧粉体を焼結する工程は、少なくとも一つの低温での予備焼結工程と、In分解を防ぐための少なくとも一つの高温での焼結工程とを含む。Inは、750℃以上でInOおよびOに分解し、InOは、より高温でInおよびOにさらに分解する。その分解は、スパッタリングターゲットの密度および伝導率に悪影響を与える。低温での予備焼結工程は、酸素雰囲気下での750℃以上、好ましくは約900℃以上の温度での圧粉体の焼結を含む。高温での焼結工程は、約1600℃での少なくとも95%の酸素雰囲気下での圧粉体の焼結を含む。
ITOスパッタリングターゲットを得るために圧粉体を焼結する工程において、ITOスパッタリングターゲットは、99%以上の相対密度を有する。
本発明のインジウム−スズ酸化物(ITO)スパッタリングターゲットは、前述の方法によって形成される。
追加的な結合剤はスラリーにおいて必要でなく、等方加圧または他のプレス装置はいずれも必要でない。本発明の型によって形成される圧粉体は、50%を超える相対密度を有する。したがって、本発明の型を用いると十分な相対密度を有する圧粉体を生じることができるので、等方加圧を必要とせず、ITOスパッタリングターゲットのコストはより安くなる。
1.本発明のスリップキャスト成形の型の作成。
石膏スラリーは、5cmの厚さの石膏底面板および5cmの厚さの石膏側壁を形成するために提供され、石膏側壁は、スラリーを受容する成型スペースを形成するため、石膏底面板の上側表面に取り付けられて結合された。それから、プラスチック・シートが、石膏側壁が水を吸収するのを防ぐために石膏側壁の内部表面に取り付けられた。
2.スラリーの混合。
インジウム−スズ酸化物(ITO)粉末および水が、混合物を形成するために5:1の比率において混合された。それから、0.3重量部の分散剤が、いかなる結合剤も加えずにその混合物に加えられた。分散剤を加えた混合物は、ITOスラリーを形成するために20時間ボールミル加工された。
3.スリップキャスト成形。
ITOスラリーは、型の該成型スペースに注入された。重力による力により、スリップキャスト成形に圧力が提供されたので、ITOスラリーは泡立つが、空気中に消えるので、消泡剤は必要でない。
4.型からの取り外し、および、乾燥。
圧粉体を形成するため、ITOスラリーの液体が石膏底面板で吸収されるまで、ITOスラリーは型にとどまる。それから、圧粉体は型から取り外され、乾燥される。圧粉体の密度は、アルキメデス法で4g/cmと測定された。したがって、相対密度は55%を超える。
5.焼結。
圧粉体は雰囲気炉に取り付けられ、通気下において900℃で予備焼結され、ITOスパッタリングターゲットを得るため、95%以上の酸素を有し1600℃で焼結された。機械加工後のITOスパッタリングターゲットの相対密度は、99.5%以上であり、平均分子サイズは0.5μmより小さかった。等方加圧装置が必要でないので、本発明は減少したコストで使われることができる。
比較例1
1.従来の型の作成。
石膏スラリーは、5cmの厚さの石膏底面板および5cmの厚さの石膏側壁を形成するために提供され、石膏側壁は、スラリーを受容する成型スペースを形成するため、石膏底面板の上側表面に取り付けられて結合された。
2.スラリーの混合。
本発明のITOスラリーと同じ組成のITOスラリーが得られた。
3.スリップキャスト成形。
ITOスラリーは、型の該成型スペースに注入された。重力による力により、スリップキャスト成形に圧力が提供されたので、ITOスラリーは泡立つが、空気中に消える。しかしながら、石膏底面板および石膏側壁は同時に液体をITOスラリーに吸収したので、ITOスラリーの上側表面は凹状になった。したがって、追加的なITOスラリーが連続的に型に供給される必要があった。
4.型からの取り外し、および、乾燥。
圧粉体を形成するため、ITOスラリーの液体が石膏底面板で吸収されるまで、ITOスラリーは型にとどまる。それから、圧粉体は型から取り外され、乾燥される。圧粉体の密度は、アルキメデス法で3.5g/cmと測定された。したがって、相対密度は49%を超える。
5.焼結。
圧粉体は、本発明における方法によって処理された。機械加工後のITOスパッタリングターゲットの相対密度は、約94.5%であった。ITOスパッタリングターゲットの表層において亀裂が観察された。さらに、ITOスパッタリングターゲットが切断された後、元のITOスラリーと追加的なITOスラリーとの間に間の起伏が観察された。
比較例2
1.カバーを有する従来の型の作成。
石膏スラリーは、5cmの厚さの石膏底面板、5cmの厚さの石膏側壁およびカバーを形成するために提供され、石膏側壁は、スラリーを受容する成型スペースを形成するため、石膏底面板の上側表面に取り付けられて結合された。カバーは、石膏側壁に取り付けられた。
2.スラリーの混合。
本発明のITOスラリーと同じITOスラリーが得られた。
3.スリップキャスト成形。
ITOスラリーが型の成型スペースに注入され、カバーが側壁に取り付けられた。したがって、石膏底面板、石膏側壁、および、カバーが、ITOスラリーから同時に液体を吸収した。
4.型からの取り外し、および、乾燥。
圧粉体を形成するため、ITOスラリーの液体が石膏底面板で吸収されるまで、ITOスラリーは型にとどまる。それから、圧粉体は型から取り外され、乾燥される。乾燥した圧粉体は、ゆるい構造を有した。圧粉体の密度は、アルキメデス法で3.3g/cmと測定された。したがって、相対密度は46%を超える。
5.焼結。
圧粉体は、本発明における方法によって処理された。機械加工後のITOスパッタリングターゲットの相対密度は、約92%であった。ITOスパッタリングターゲットの表層において亀裂および変形が観察された。さらに、ITOスパッタリングターゲットが切断された後、様々な空所がITOスパッタリングターゲットにおいて観察された。
したがって、本発明の型によって形成される圧粉体は、55%を超える相対密度を有し、コストが安く、圧粉体によって形成されるITOスパッタリングターゲットは、99.5%以上の相対密度を有する。

Claims (4)

  1. 水を吸収する多孔性材料でできている底面板と、
    該底面板に取り付けられる不透水性の側壁と、
    および、該底面板と該不透水性との側壁によって定められる成型スペースと、を含むスリップキャスト成形のための型。
  2. 前記不透水性の側壁が前記底面板と同じ材料でできていて、
    内部表面と、
    および、該不透水性の側壁の該内部表面に取り付けられた不透水性の隔壁とを有する、請求項1記載のスリップキャスト成形のための型。
  3. ITOスパッタリングターゲットが、
    スラリーの混合工程と、
    請求項1または2に記載の前記型を用いて圧粉体を形成するため前記スラリーのスリップキャスト成形工程と、
    該型からの取り外し工程、および、該圧粉体の乾燥工程と、
    および、該ITOスパッタリングターゲットを得るため該圧粉体の焼結工程と、を含む方法によって形成されることにおいて特徴付けられる、インジウム−スズ酸化物(ITO)スパッタリングターゲット。
  4. 前記ITOスパッタリングターゲットを得るため前記圧粉体を焼結する工程は少なくとも95%の酸素雰囲気下で、少なくとも一つの低温の予備焼結工程と、少なくとも一つの高温の焼結工程とを有する請求項3記載のITOスパッタリングターゲット。
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