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JP2011080039A - 樹脂組成物、シーラントフィルム、積層フィルム、包装袋及びチューブ容器 - Google Patents

樹脂組成物、シーラントフィルム、積層フィルム、包装袋及びチューブ容器 Download PDF

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JP2011080039A JP2010189718A JP2010189718A JP2011080039A JP 2011080039 A JP2011080039 A JP 2011080039A JP 2010189718 A JP2010189718 A JP 2010189718A JP 2010189718 A JP2010189718 A JP 2010189718A JP 2011080039 A JP2011080039 A JP 2011080039A
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Abstract

【課題】袋を構成するために必要なヒートシール性能を有し、かつEVOHの香気成分の非吸着特性を維持し、単体でシーラントフィルムを構成することができ、メントール等の芳香成分を含有する食品の袋に好適な樹脂組成物、該樹脂組成物よりなるシーラントフィルム及び該シーラントフィルムを用いた積層フィルムを提供する。
【解決手段】この樹脂組成物は、エチレン−ビニルアルコール共重合体:70重量%以上、90重量%以下と、エチレン−酢酸ビニル共重合体:10重量%以上、30重量%以下とを含み、複数軸押出機を用いたリアクティブプロセッシング法で溶融混練してなる樹脂組成物であって、樹脂組成物を成膜してなる2枚のフィルムを140℃、0.3MPa、0.7secの条件でヒートシールしたときの、JIS Z0238で測定したシール強度が50gf/15mm以上である。
【選択図】なし

Description

本発明は、単体でシーラントフィルムを構成できる樹脂組成物、シーラントフィルム及び積層フィルム並びに包装袋等に関する。
従来、袋を構成するための積層フィルムは、最内層に、ヒートシール性を有するシーラントフィルムが使用され、共押しラミネート又はドライラミネートにより耐ガス透過性、耐透湿性、耐熱性、耐衝撃性、透明性等に優れる他のフィルムと積層される。
外層フィルムには、例えばナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルアルコール等が使用され、中間層フィルムには、アルミ箔、アルミもしくはガラス蒸着フィルム又はエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)よりなるフィルムが使用されている。また、最内層のシーラントフィルムには、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、メタロセン触媒を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂等が使用されている。
EVOHフィルムが中間層フィルムに利用されているのは、EVOHフィルムが、ハイガスバリア性,耐油性,耐有機溶剤性,保香性に優れていること、反面、突き刺し強度が小さいこと及びヒートシール性を有しないこと、などによるものである。
ポリオレフィン類のシーラントフィルムは、低温シールが可能で、かつ、ほこり等の付着にかかわらず高いヒートシール強度が得られるので汎用されている。しかし、ポリオレフィン類のシーラントフィルムは、バリア性を有していないこと、メントールを吸収し外層側へ拡散浸透してヒートシール箇所の接着剤の接着力が弱められ層間剥離を起こすのでメントールを含む物品の包装には適していないこと、メントール、その他の香りを吸着するので、袋を開封した時点では芳香が失われてしまい、それによって商品の評価を下げてしまうことに繋がること、が問題点として存在する。
従来において、耐ガス透過性に優れるシーラントフィルムの提供が要望されていて、いくつか提供されている。
従来のバリア性シーラントフィルムは、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)やメタキシリレンジアミンを主成分とするジアミン成分とアジピン酸を主成分とするジカルボン酸成分から重縮合により得られるナイロン(MXD6ナイロン)からなる中間層と、を導入し、その両側に接着性樹脂を介して積層されたシール性オレフィン系樹脂とからなる。この構成により、酸素バリア性を有しかつシール適性を備えるシーラントフィルムが実現されている。
しかし、このバリア性シーラントフィルムは、バリア層とシール層の間に接着性樹脂層を介在させることで、コストの上昇及び層構成の複雑化、接着強度及び耐衝撃性の安定等が懸念され、このため特許文献1に接着剤層のないガスバリア性フィルムが提案されている。
特許文献1に記載のガスバリア性フィルムは、オレフィンマクロモノマーと極性基を有するビニルモノマーとの共重合体からなるガスバリア性を有する樹脂層にポリオレフィンが、接着層を用いることなく積層されている。この構成により、親水性ポリマーのガスバリア樹脂層とポリオレフィン層とが直接積層されてなるガスバリアフィルムを提供できるとしている。
しかし、特許文献1に記載のガスバリア性フィルムは、極性ビニルモノマー等の共重合体によるバリア性或いはEVOH等との化学的親和性を重要視しているが、耐衝撃性は考慮されておらず、しかも特殊な極性ビニルモノマー等の共重合体を用いなければならず、コストダウンになるとは考え難い、として、特許文献2が提案されている。
特許文献2には樹脂組成物とシーラントフィルムが記載されている。樹脂組成物は、EVOH又はMXDナイロンからなるバリア性樹脂をベースとし、オレフィン系樹脂(実施例はメタロセン触媒を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体又は機能性ポリプロピレンブロックコポリマー)、ゴム成分及び相溶化剤を含む構成である。バリア性シーラントフィルムは、オレフィン系樹脂からなる第1層と、エチレン−ビニル共重合体又はMXDナイロンからなるバリア性樹脂をメイン樹脂として含み、さらにオレフィン系樹脂、ゴム成分及び相溶化剤を含む樹脂組成物からなる第2層と、オレフィン系樹脂からなる第3層からなり、第1層は第2層に接着性樹脂層を介して積層され、第2層は第3層に接着性樹脂層を介して積層されている。このシーラントフィルムは、耐衝撃性に優れ、且つ高い酸素バリア性を有する、と記載されている。さらに、シーラントフィルムの第1層側にプライマー剤層あるいはラミネート用接着剤層を介してバリア性フィルムがドライラミネートされ、積層フィルムが形成される。この積層フィルムによれば、機械的、物理的、化学的その他において優れた性質を有し、強度、強靭性等に優れ、更に、耐熱性、防湿性、耐ピンホール性、耐突き刺し性、透明性その他に優れた樹脂のフィルムを使用することができる、と記載されている。なお、特許文献2にはEVOHが50重量%含んでいれば高い酸素バリア性を有し、EVOHが50重量%よりも配合率が少ないと極端な酸素バリア性の低下が見られることが記載されている。
特許文献3に記載された多層シーラントフィルムは、インフレーション成形・共押出しラミネートにより製造される三層のフィルムである。このフィルムは、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブデン−1の群から選ばれた少なくとも1種の樹脂からなる最内層と、非晶性ポリオレフィン、接着性ポリオレフィン及びエチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)の少なくとも1種を主成分とする樹脂からなる接着剤層としての中間層と、EVOHからなる外層と、からなる三層シーラントフィルムであり、防汚染性に優れている、と記載されている。しかし、ガスバリア性の観点から、シーラントフィルムの外層に突き刺し強度が小さいEVOHを用いている点で好ましくない。
他方、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOHという)は、耐衝撃性や延伸性に問題があり、改善のため様々な樹脂との組み合わせによる混合樹脂が提案されている。
例えば、特許文献4には、EVOHフィルムの延伸性を改善するため、EVOHに3〜8重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、EVAという)を押出機にて溶融混合するに当たり、押出成形時の比エネルギーを0.020kW・h/kg以下で溶融混合するEVOH樹脂組成物の製造方法が開示されている。
また、特許文献5には、EVOH樹脂との接着性を改善するため、2〜40重量%のEVOHと60〜98重量%の酸変性ポリオレフィン樹脂とを押出機にて溶融混合するに当たり、押出成形時の比エネルギーを0.3kW・h/kg以上で溶融混合する変性ポリオレフィン樹脂組成物の製造方法が記載されている。
特開2000−318102号公報 特開2008−150539号公報 特開平10−201822号公報 特開平9−40825号公報 特開平6−136206号公報
特許文献2に開示されたシーラントフィルムは、中間層のバリアフィルムと、両側の外層のヒートシール性を有するフィルムと、を共押出しラミネートしてなる五層又は三層の積層フィルムであり、コストの上昇及び層構成の複雑化が課題として存在する。
特許文献4に開示されたEVOH樹脂組成物は、延伸性が改善されたことが記載されているが、接着性に関する開示はない。また、EVAの含有量が10重量%を越えると相溶性不良となることが記載されている。なお、本発明者らの追跡調査では、10%未満のEVA含有量ではEVOHの接着性改善はみられなかった。
また、特許文献5のように、接着特性に優れたポリオレフィン系樹脂を配合することにより、EVOHの接着特性を改善することが数多く試みられている。しかしながら、ポリオレフィン樹脂の含有量が増加するにつれ、ポリオレフィンの特性が表面化するため、EVOHの優れた非吸着性が失われるという課題がある。
特許文献5には、樹脂成形物の非吸着特性に関する記載がなく、また、この文献で述べられている接着特性は、樹脂組成物をEVOHと他の樹脂との接着剤として用いるものである。すなわち、ヒートシール特性については開示されていない。
本発明は、上述した点に鑑み案出されたものであり、その目的は、袋等を構成するために必要なヒートシール性能を有し、かつEVOHの香気成分の非吸着特性を維持し、単体でシーラントフィルムを構成することができ、メントール等の芳香成分を含有する食品や医薬品の袋に好適な樹脂組成物、該樹脂組成物よりなるシーラントフィルム及び該シーラントフィルムを用いた積層フィルムを提供することにある。
さらに、本発明の目的は、該積層フィルムより構成される包装用袋、袋包装体及びチューブ容器を提供することにある。
本発明者らは、単体でガスバリア性を有しかつヒートシール性を有し、さらにメントール等の芳香成分を吸着しない樹脂組成物及びシーラントフィルムを得るために、二軸押出機を用い、かつリアクティブプロセッシング法で溶融混練してなる混合樹脂の特性について鋭意探求した。その結果、EVOHをベース樹脂としかつEVAをブレンド樹脂とした二種混合樹脂について、EVOHに対してEVAを10〜30重量%としたときに、袋に必要なヒートシール強度があり、20重量%のときにピークがあること、EVAの含有量にかかわらずメントール等の芳香成分を吸着しないこと、一方、EVOHに対してEVAを40重量%としたときには相分離してしまうこと(フィルムとして成膜不能なこと)を見出して、本発明を完成するに至った。
上記目的を達成するため、本発明の樹脂組成物は、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH):70重量%以上、90重量%以下と、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA):10重量%以上、30重量%以下とを含み、溶融混練してなる樹脂組成物であって、該樹脂組成物を成膜してなる2枚のフィルムを140℃、0.3MPa、0.7secの条件でヒートシールしたときの、JIS Z0238で測定したシール強度が50gf/15mm以上である、ことを特徴とする。
この構成によれば、樹脂組成物単体のシーラントフィルムを構成できる。このシーラントフィルムは、高い酸素バリア性を有しかつ袋として必要なヒートシール性を有する。
上記EVOHとEVAとの割合は、エチレン−ビニルアルコール共重合体:80重量%以上、85重量%以下と、エチレン−酢酸ビニル共重合体:15重量%以上、20重量%以下である。この範囲ではヒートシール性を有するので好ましい。
本発明の樹脂組成物は、メントール等の芳香を有する物品の包装用に適するシーラントフィルムの材料とすることができる。
本発明のシーラントフィルムは、上記樹脂組成物によりフィルム成形されてなる。成形方法としてはTダイ成形等を用いることができる。また、シーラントフィルムとして使用するため、無延伸である方が好ましい。そして、本発明の積層フィルムは、袋形成時に最内層となる上記シーラントフィルムと、該シーラントフィルムと積層された他の単数又は複数のフィルムとからなる。
また本発明は、樹脂組成物からなるシーラントフィルムと、このシーラントフィルムの外側に積層された他の単数又は複数のフィルムとを有してなる積層フィルムを含むものである。
本発明は、上記積層フィルムを用いて、食品、医薬品、洗剤、インク、その他の油性材料、あるいは輸液バッグ用等のための製袋された包装袋を含む。遮光性を必要とする包装袋の場合には、積層フィルムは、上記他の単数又は複数のフィルムの中の一層が、遮光性樹脂組成物からなるのが好ましい。
本発明は、上記積層フィルムで製袋されてなる包装用袋、及びこの包装用袋に被包装物を包装してなる袋包装体を含む。さらに、本発明は、上記積層フィルムが胴部とされ、胴部の下端が充填のための開口とされ、胴部の上端に、キャップが被嵌される口部材の肩部周縁に被さりヒートシールされてなる、チューブ容器を含む。
本発明によれば、ベース樹脂としてEVOHを70重量%以上、90重量%以下含んでいるので、フィルムに成形しても、EVOHが有している高い酸素バリア性および非吸着性を全く損なうことのない樹脂組成物を提供することができる。さらに、本発明の樹脂組成物は、ベース樹脂のEVOHに10重量%以上、30重量%以下のEVAを複数軸押出機を用いたリアクティブプロセッシング法で溶融混合したものであって、ヒートシール性能を有するため、単体で高い酸素バリア性および非吸着性を有するシーラントフィルムを構成できる樹脂組成物である。
本発明によれば、上記樹脂組成物で構成されてなる単体で高い酸素バリア性を有するシーラントフィルムを最内層とした積層フィルムを構成することができる。この場合、シーラントフィルムが高い酸素バリア性を有しているから、中間層や外層にEVOHフィルム、その他の高い酸素バリア性を有するフィルムを用いなくても、高い酸素バリア性を有する包装用袋、袋包装体又はチューブ容器を構成することができ、飲食品、果汁、調理食品、水産練り食品、冷凍食品、肉製品、煮物、調味料その他の各種の飲食料品の包装に適し、また医薬品の包装に適している。
本発明のシーラントフィルムを最内層とする積層フィルムで包装袋を構成し、包装袋にメントール等の芳香成分を含む食品を保存した場合、メントールによる層間剥離が生じることが回避され、さらに、開封時までメントール等の芳香成分を保持できる。これは、従来のポリエチレン類のシーラントフィルムよりなる袋を、メントールを芳香する食品の袋に適用した場合、層間剥離が生じてしまい、開封時には食品からメントール等の成分が芳香しない状態になること、に比べ優位である。
本発明の実施形態に係る積層フィルムの拡大断面図である。 本発明の実施形態に係る積層フィルムを用いたチューブ容器を一部破断した正面図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
〔樹脂組成物の実施形態〕
本発明の樹脂組成物は、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH):70重量%以上、90重量%以下と、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA):10重量%以上、30重量%以下とを、溶融混練してなる樹脂組成物であって、該樹脂組成物を成膜してなる2枚のフィルムを140℃、0.3MPa、0.7secの条件でヒートシールしたときの、JIS Z0238で測定したシール強度が50gf/15mm以上である、ことを特徴とする。
シール強度についてさらに好ましい強さとして得るには、EVOHとEVAとの含有量の割合を、エチレン−ビニルアルコール共重合体:80重量%以上、85重量%以下と、エチレン−酢酸ビニル共重合体:15重量%以上、20重量%以下とする。この配合割合では、250gf/15mm以上のシール強度が得られる。
本発明の樹脂組成物は、EVOHが70重量%以上であるから高い酸素バリア性を有する。EVOHは、エチレンと酢酸ビニルとを共重合して得られた共重合体をケン化して得られるエチレン−ビニル酢酸共重合体ケン化物である。EVOHのビニルエステルのケン化度は、90モル%以上が好ましく、さらに98モル%以上であることが好ましい。ケン化度が高くなれば熱安定性と酸素バリア性が良くなる。すなわち、エチレンモル濃度を低下させると、酸素バリア性が良くなる。
本実施形態の樹脂組成物は、二軸押出機を用いたリアクティブプロセッシング法でEVOHとEVAとを溶融混練してなる。リアクティブプロセッシングは、ポリマーアロイを創製するために工業的に広く使われている技術である。しかしながら、リアクティブプロセッシングは、混練と高分子・高分子の化学反応を同時に行う技術であり、混練して出来てくる結果からその機構の想像をするに留まっている。本発明の樹脂組成物では、一般的にEVOHとEVAとは相溶性が低いが、リアクティブプロセッシングによって、押出成形時の樹脂に対するエネルギーを一定の大きさ以上与えて溶融混練すると、EVAの含有量が30重量%までは良好に相溶してフィルムとして必要な強度を有する成膜が実現でき、しかもEVOHの高い酸素バリア性,耐油性,耐有機溶剤性,非吸着性等を喪失することなく、EVAの含有量が20重量%のときをピーク値として、EVAの性質のヒートシール性を発現する結果が得られた。なお、押出機は、二軸押出機に限定されるもので無く、四軸押出機を用いることができる。
リアクティブプロセッシングによって、押出成形時の樹脂に対して与える比エネルギーは、2.0MJ/kg以上とするのが好ましい。この実施形態では、押出成形機のスクリューは、形状がフライトスクリューとパイナップル、ニーディングディスクからなるスクリューを用いて、樹脂に剪断力を与えている。ここで、比エネルギーとは、樹脂を溶融混合する際に、1kg当たりの樹脂を押し出すのに与えられたスクリュー駆動用モーターの消費電力で近似的に表され、数値が大きいほど混練の程度が高いことになる。具体的には、押出機のモーターに電流計と電圧計を取り付け、モーターの消費電力を測定し、これにモーターの力率、通常は0.85を乗じて得られる値である。
本発明の樹脂組成物は、EVOHの高い酸素バリア性が損なわれずかつEVAを混合したことでヒートシール性が発現する限りにおいて、プロピレン、イソブテン等の不飽和単量体、アクリル酸、メタアクリル酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸又はその塩/エステルを成分として含有させて機械的物性を高くしたものも含む。
なお、本発明の樹脂組成物は、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体以外に、熱安定剤、酸化防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、着色剤、可塑剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、成形助剤、水分吸収剤、ガス吸収剤等の添加物を含んでいてもよい。
熱安定剤及び酸化防止剤として、ヒンダードフェノール系化合物、ビタミンE系化合物、カルボン酸化合物、ホウ素化合物及びリン酸化合物から選ばれる1種類以上の化合物を1〜10000ppm程度添加してもよい。
カルボン酸化合物は、例えば、シュウ酸、コハク酸、安息香酸、クエン酸、酢酸、プロピオン酸又は乳酸である。
ホウ素化合物は、例えば、ホウ砂、オルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリメチル、それらの金属塩又はそれらのアルカリ土類金属塩である。
リン酸化合物は、例えば、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム又はリン酸水素二カリウムである。
スリップ剤は、例えば、炭化水素、アルコール、高級脂肪酸、エステル、一部のアルコールがエステル化した多価アルコール、高級脂肪酸金属塩、天然ワックス又は脂肪酸アミドであり、100〜10000ppm程度の範囲で本発明の樹脂組成物に含有させてもよい。
アンチブロッキング剤は、例えば、シリカ、ゼオライト、ポリマービーズ、脂肪酸エステル又はシリコーンパウダーであり、100〜10000ppm程度の範囲で本発明の樹脂組成物に含有させてもよい。
帯電防止剤は、例えば、グリセリン、界面活性剤又は導電性微粒子であり、100〜10000ppm程度の範囲で本発明の樹脂組成物に含有させてもよい。
着色剤は、例えば、無機顔料、有機顔料又は染料であり、1000〜100000ppm程度の範囲で本発明の樹脂組成物に含有させてもよい。
可塑剤は、例えば、フタル酸エステル、多価アルコール又はアミン化合物であり、1000〜100000ppm程度の範囲で本発明の樹脂組成物に含有させてもよい。
紫外線吸収剤は、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾフェノン系化合物又はヒンダードアミン系化合物であり、1000〜100000ppm程度の範囲で本発明の樹脂組成物に含有させてもよい。
抗菌剤は、例えば、銀ゼオライト、チオサルファイト銀錯体、ニトリル誘導体、イミダゾール誘導体、トリアジン誘導体、フェノールエーテル誘導体又はピロール誘導体であり、1000〜20000ppm程度の範囲で本発明の樹脂組成物に含有させてもよい。
成形助剤は、例えば、高級脂肪酸塩であり、用途に応じた濃度で含有させればよい。
水分吸収剤は、例えば、シリカゲル、ゼオライト又は塩化カルシウムであり、10000〜300000ppm程度の範囲で本発明の樹脂組成物に含有させてもよい。
ガス吸収剤は、例えば、活性炭、ゼオライト、鉄粉又はアスコルビン酸であり、10000〜300000ppm程度の範囲で本発明の樹脂組成物に含有させてもよい。
〔シーラントフィルムの実施形態〕
本実施形態の樹脂組成物から得られたフィルムは、高い酸素バリア性,耐油性,耐有機溶剤性,非吸着性等を有し、包装袋等の最内層のフィルムが必要とするヒートシール性を有し、メントールを吸着し浸透拡散することがない特性を有するフィルム成形であり、高い酸素バリア性を有するシーラントフィルムとなりうる。
なお、フィルム成形にあたり、本発明の樹脂組成物に成形助剤を適宜の濃度で添加してもよい。
このシーラントフィルムとしての具体的なヒートシール強度は、実施例で述べる。
このシーラントフィルムは、単体フィルムであり、従来の五層又は三層のシーラントフィルムに比べると、コストを大幅に低減できる。
本実施形態のシーラントフィルムのメントール吸着量は、シーラントフィルム1g当たり1mg未満である。なお、メントール吸着量は、メントール蒸気中で一週間暴露したシーラントフィルムのアセトン抽出物に含まれるメントール量をシーラントフィルム1g当たりに換算した値である。
〔積層フィルムの実施形態〕
本実施形態のシーラントフィルムは、基材フィルムに対してドライラミネート、押出ラミネート又は共押し出しラミネートにより最内層フィルムとして積層できる。シーラントフィルムの厚さは、10μm〜100μm位とすることができるが、要求される包装機能が高い酸素バリア性や非吸着性を保持することにあるから、40〜60μm位とするのが良い。中間層にEVOHフィルムを用い、これにTダイにより本実施形態のシーラントフィルムをラミネートする場合には、10〜30μmとしても良い。
本実施形態のシーラントフィルムと、このシーラントフィルムと積層された他の単数又は複数のフィルムとから積層フィルムが構成される。図1は、本実施形態の積層フィルムAの模式的な拡大断面図である。1は本実施形態のシーラントフィルム、2は中間層を形成するフィルム、3は外層フィルムである。外層フィルムには、耐突き刺し強度が大きい二軸延伸ポリアミドフィルム、あるいは二軸延伸PETフィルムを用いることができ、通常において裏刷り印刷を行い、中間層を形成するフィルム2とドライラミネート等により積層される。シーラントフィルム1は、中間層を形成するフィルム2に対してドライラミネートやサンドラミネート、押出ラミネート等、公知のラミネート方法により積層することができる。
要求される機能が高い酸素バリア性や非吸着性等を保持することにある積層フィルムでは、中間層を形成するフィルム2は、従来ではEVOHフィルムやアルミ箔やアルミ蒸着もしくはシリコン蒸着フィルムを用いていた。一方、本実施形態によれば、シーラントフィルム1を40〜80μm位とすれば、高い酸素バリア性,耐油性,耐有機溶剤性,非吸着性等を十分に有しているから、上記EVOHフィルムやアルミ箔等を省くことができる。従って、中間層を形成するフィルム2は、強度の保持、腰の強さ、あるいは遮光性保持の機能を持たせるために設けることができ、積層フィルムを構成するときの全体コストを大幅に低減できる。遮光性を保持するフィルムとして、外層フィルムの内面や中間フィルムに遮光印刷を行うことができる。しかし、高い酸素バリア性,耐油性,耐有機溶剤性,非吸着性等を一層高く保持することが要求される場合には、中間層2にEVOHフィルムを用いると、本実施形態のシーラントフィルム1と併せて、かかる要求が満たされる。この場合、EVOHフィルムと、本実施形態のシーラントフィルムとをドライラミネート、押出ラミネート又は共押し出しラミネートによりにより積層できる。
〔包装用袋・袋包装体の実施形態〕
本実施形態の積層フィルムから包装用袋や袋包装体が作られる。本実施形態の積層フィルムは、ロール状に巻かれ、原反ロールの形で提供され、製袋機に掛けられて包装袋とされ、または製袋充填包装機に掛けられて被包装物を包装した包装体となる。
本実施形態の包装用袋や袋包装体は、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、スタンディングパウチ等、ヒートシールの形態から分類される袋を含み、また、ワンピースタイプ、ツーピースタイプその他の注出口あるいは開封用ジッパー等を取り付けた袋を含む。
本実施形態の包装袋又は包装体は、高い酸素バリア性,耐油性,耐有機溶剤性,非吸着性等を有しているから、飲食品、調理食品、水産練り食品、冷凍食品、肉製品、煮物、調味料その他の各種の飲食料品の包装に適する。さらに、この包装袋又は包装体は、メントール等の芳香成分を含む医薬品、その他の物質の包装に適する。すなわち、メントールを芳香する物質を包装した場合、メントールがシーラントフィルムに拡散浸透しないので、シーラントフィルムとその外側に積層した基材フィルムとの層の境界面にメントールが浸み出ることが無いから、ドライラミネートでコーティングした接着剤の接着機能がメントールで喪失してしまうことが無い。又、メントールの喪失が無いから薬効が喪失してしまうことが無い。さらに、メントールの芳香を袋内に閉じ込めることができ、開封時にメントールが芳香するので、新鮮度を与える一つの条件を確保できる。なお、芳香成分はメントールに限られるわけではなく、リモネン、サリチル酸メチル、カンファーも本発明のシーラントフィルム、包装袋及び包装体に吸着されないので、これらの成分の喪失がない。さらに本発明のシーラントフィルム、包装袋及び包装体はトコフェロール等の芳香成分以外の化学成分も吸着しない。
本実施形態のシーラントフィルム、包装袋及び包装体のメントール、リモネン、サリチル酸メチル、カンファー及びトコフェロールの少なくとも1化合物の吸着量は、シーラントフィルム200m当たり1mg未満である。
上述した化合物の吸着量は、10%質量濃度の少なくとも1種の化合物を含むMEK溶液を一週間密封し、1種の化合物を含むMEK溶液を除去し、包装用袋のシーラントフィルムを十分にMEKで洗い流した後、シーラントフィルムからMEKを溶媒として得られる溶出物に含まれるメントール、リモネン、サリチル酸メチル、カンファー又はトコフェロールの少なくとも1化合物の重量を測定する。なお、密封期間中、シーラントには少なくとも1種の化合物を含むMEK溶液が接触することになる。
〔包装用袋・チューブ容器の実施形態〕
本実施形態の包装袋又は包装体は、高い酸素バリア性を有するシーラントフィルムを含む積層フィルムを用いてなるから、産業材料としての感光性材料、例えばフィルム、感光剤その他の物品を包装する自立性袋としても有用である。
本実施形態の樹脂組成物は、最内層のシーラントフィルムとして、ドライラミネート、押出ラミネート又は共押し出しラミネート等により二層又は三層以上の積層フィルムに形成され、高い酸素バリア性,耐油性,耐有機溶剤性,非吸着性等を有する。前記積層フィルムは、食品、医薬品、洗剤、インク、その他の油性材料、あるいは輸液バッグのための包装袋とされる。
図2に示すように、本実施形態の積層フィルムを用いて、歯磨き、練り状の薬、練り状のインク、練り状の食品を包装するためのチューブ容器を構成できる。このチューブ容器Bは、胴部4と、胴部4の上端にヒートシールにより一体に設けられる口肩部材5と、口肩部材5の口部分5aに嵌着されるキャップ6とからなる。胴部4は下端が開いている。口肩部材5は、歯磨きチューブや絵の具チューブの形態から容易に理解できるように、キャップ6が被嵌される口部分5aと、該口部分5aより胴部4に至る概略環状円錐形の肩部分5bとからなる一体形状体である。なお、口部分5aとキャップ6とは螺合形式又は強制嵌合形式等のいずれの構成であってもよい。
本実施形態のチューブ容器Bは、胴部4が本実施形態の積層フィルムを用いて構成され、最内層フィルム4aが本実施形態のシーラントフィルムであり、中間層フィルム4bがEVOHフィルムであり、外層フィルム4cがポリアミド等からなる。
口肩部材5は本実施形態の樹脂組成物を用いて成形される。そして、胴部4の下端が被包装物を充填するための開口として開かれていて、胴部4の上端に口肩部材5が嵌入され、かつ、胴部4の上端が折り曲げられて口肩部材5の肩部分5b周縁の上に被さり全周ヒートシールされてなる。すなわち、胴部4の最内層のシーラントフィルム4aと口肩部材5は、いずれも本実施形態の樹脂組成物からできているのでヒートシールが実現される。本実施形態のチューブ容器Bは、胴部4の下端より被包装物を充填した後に合掌状にヒートシールされる。
なお、本実施形態のチューブ容器は、三層以上とすることが好ましいが、二層構造であってもよい。
以下の実験例によって、本発明の樹脂組成物・シーラントフィルムの特性をさらに明らかにする。
まず、EVOH樹脂をベース樹脂として、EVA樹脂の含有量を変動させた溶融混合を行ったときのヒートシール強度を調べた。
EVOH樹脂(エバールF104B、(株)クラレ;以下実施例において同じ)をベース樹脂として、EVA樹脂(メルセンMX02、東ソー(株);以下実施例において同じ)7〜40重量部を表1のようにブレンドし、L/D=30の二軸押出機(ラボブラストミル、(株)東洋精機製作所;以下実施例において同じ)を用いて4.0MJ/kgの比エネルギーを与えて溶融混合した。混練してできたポリマーアロイをTダイで成膜し、厚み40μmのシーラントフィルムを得た。なお、二軸押出機は、フライトスクリューとパイナップル、ニーディングディスクからなるスクリューを備えている。
上記シーラントフィルムと厚さ12μmの二軸延伸PETフィルムとをドライラミネートした積層フィルム2枚を、シーラントフィルム同士を向かい合わせて、140℃、0.2MPa、0.7秒の条件でヒートシールし、ヒートシールした部分とヒートシールしていない部分とが、長さ方向に半分ずつ有するようにそれぞれ15mm幅に切り出した。
そして、JISZ0238に基づきT型剥離試験でシール強度を測定した。すなわち、ヒートシールしていない部分を開いてT形に保持し、引張力を与えてヒートシールした部分が剥がれていくときの引張力をもってシール強度とした。このシール強度を表1中に表示した。
また、上記シーラントフィルム100mm×100mmを40℃で発生させたメントール蒸気中で一週間暴露し、シーラントフィルムに吸着したメントールをアセトンで抽出し、ガスクロマトグラフィーで定量した値をメントール吸着量として測定し、このメントール吸着量を表1中に表示した。
Figure 2011080039
〔評価〕
シール強度が50gf/15mmより低いと、包装袋として必要なヒートシール強度に達していない。表1によれば、EVAの含有量が10重量%未満では、シール強度を得ることできない。EVAの含有量が10〜30重量%の範囲では包装袋として必要なヒートシール強度に達している。EVAの含有量が15〜20重量%の範囲では、シール強度が200gf/15mm以上であり、包装袋として必要なヒートシール強度を有する。EVAの含有量が20重量%の付近でシール強度がピークになる。EVAの含有量が40重量%では、EVOHとEVAとの相分離が起こり、包装フィルムとして必要な強度を有する成膜ができなかった。
以上のことから、EVAの含有量は10重量%以上、30重量%以下の範囲であることが必要である。
実施例1から、EVAの含有量は15重量%以上、20重量%以下の範囲でシール強度が大きく得られることが分かったので、実験例1として、EVOHの含有量を85重量%、EVAの含有量を15重量%に固定して比エネルギーを変動させた場合、実験例2として、EVOHの含有量を80重量%、EVAの含有量を20重量%に固定して比エネルギーを変動させた場合のそれぞれヒートシール強度を調べ、下記の表2、表3に纏めた。
EVOH樹脂とEVA樹脂は、実施例1の場合と同じメーカ製である。
Figure 2011080039
Figure 2011080039
〔評価〕
表2の結果によれば、0.7MJ/kgの比エネルギーを与えたときのシール強度が50gf/15mmより低い48gf/15mmである。また、表2の結果によれば、2.3MJ/kgの比エネルギーを与えたときのシール強度が98gf/15mmである。二つの結果から、2.0MJ/kgの比エネルギーを与えたときのシール強度が包装袋として必要な50gf/15mmを越えることが予想される。
以上のことから、本発明の樹脂組成物は、複数軸押出機を用いたリアクティブプロセッシング法により、2.0MJ/kgの比エネルギーを与えて溶融混練することが必要である。
EVOHの含有量を90%、EVAの含有量を10%としたシーラントフィルムを作製し、酸素透過度を測定し、併せて、EVOH100%のフィルム及び低密度ポリエチレン100%のシーラントフィルムについて酸素透過度を測定した。それらの結果を表4に示す。
Figure 2011080039
(評価)
表4の結果から、EVOHの含有量を90%、EVAの含有量を10%としたシーラントフィルムは、EVOH100%のフィルムと相違しない値が得られた。このことから、EVAの含有量をベストモードの15〜20%とした場合にも十分な酸素不透過性があることが予想される。
下記実験例1〜3及び比較例1〜3のシーラントフィルムについて、実施例1と同じ条件でメントール吸着量の測定を行った。
なお、1g当たりのメントール吸着量が1mg未満であれば、非吸着性に優れているものといえる。
(実験例1)
EVOH樹脂80重量%とEVA樹脂20重量%とをドライブレンドし、二軸押出機を用いて6.3MJ/kgの比エネルギーで混練した。混練してできたポリマーアロイをTダイで成膜し、厚み40μmのシーラントフィルムを得た。
〔実験例2〕
EVOH樹脂85重量%とEVA樹脂15重量%とをドライブレンドし、二軸押出機を用いて6.2MJ/kgの比エネルギーで混練した。混練してできたポリマーアロイをTダイで成膜し、厚み40μmのシーラントフィルムを得た。
〔実験例3〕
EVOH樹脂80重量%とEVA樹脂20重量%とをドライブレンドし、二軸押出機を用いて1.8MJ/kgの比エネルギーで混練した。混練してできたポリマーアロイをノズルから吐出してストランドを作製し、回転刀で切断してペレットを作製した。得られたポリマーアロイペレットを再度、二軸押出機により3.5MJ/kgの比エネルギーで混練し、Tダイで成膜して、厚み40μmのシーラントフィルムを得た(比エネルギーの合計は5.3MJ/kg)。
(比較例1)
EVOH樹脂80重量%とEVA樹脂20重量%とをドライブレンドし、二軸押出機を用いて0.4MJ/kgの比エネルギーで混練した。混練してできたポリマーアロイをTダイで成膜して、厚み40μmのシーラントフィルムを得た。
(比較例2)
EVOH樹脂のみを二軸押出機を用いて9.4MJ/kgの比エネルギーで混練しTダイで成膜して、厚み40μmのシーラントフィルムを得た。この比較例2は、ヒートシール性を有しないことが公知であるEVOH樹脂に十分に大きな比エネルギーを与えることでヒートシール性を発現するか否かを確認するために加えたものである。
(比較例3)
LDPE樹脂のみを二軸押出機を用いて混練し、Tダイで成膜して、厚み40μmのシーラントフィルムを得た。
実験例1〜3、比較例1〜3で得られた各シーラントフィルムと、厚さ12μmの二軸延伸PETフィルムとをドライラミネートした積層フィルム2枚を、シーラントフィルム同士を向かい合わせて、重ね合わせ面の面積の半分について140℃、0.2MPa、0.7秒の条件でヒートシールし、ヒートシールした部分とヒートシールしていない部分とが、長さ方向に半分ずつ有するようにそれぞれ15mm幅に切り出して、実施例1と同様にして、シール強度とメントール吸着を測定した。結果を表5に示す。なお、比較例3については、メントール吸着量の測定のみを行った。
Figure 2011080039
〔評価〕
表5から概略5.0MJ/kgの比エネルギーを与えて溶融混合すると、シール強度が360gf/15mmの大きさになるから、十分なシール強度が得られることが分かった。袋に必要なシール強度として、50gf/15mmを得るには、もっと小さな比エネルギーを与えれば足りることも分かった。
比較例1から0.4MJ/kgの比エネルギーを与えた場合には、十分なシール強度が得られないことが分かった。
また、LDPE樹脂のみではメントールを86mg/gも吸着してしまうのに対し、本発明を実施した実験例1乃至3ではメントールの吸着は認められなかった。
実施例4中の実験例1の条件で作製した厚み40μmのシーラントフィルムを用い、PET(厚み12μm)/アルミニウムシート(厚み9μm)/シーラントフィルム(厚み40μm)の構造を有する積層フィルムをドライラミネートで作製した。ついで、積層フィルムのシーラントフィルム同士をヒートシールし、三方を閉じた袋を作製した。
メントール、リモネン、サリチル酸メチル、カンファー及びトコフェロールの各10%質量濃度のMEK溶液20ミリリットルを袋に充填後密封し、溶液接触面積が200cmのサンプルを作製した。
また、シーラントフィルムに代えてLDPE(スズロンL N−280)を用いた積層フィルム:PET(厚み12μm)/アルミニウムシート(厚み9μm)/LDPE(厚み40μm)からなる袋を作製し、メントール、リモネン、サリチル酸メチル、カンファー及びトコフェロールの各10%質量濃度のMEK溶液20ミリリットルを袋に充填後密封し、溶液接触面積が200cmの対照サンプルを作製した。
サンプル及び対照サンプルを40℃で1週間保存した後、袋から溶液を取り出し、袋のシーラント表面及びLDPE表面をMEKで洗浄した後、シーラント又はLDPEに吸着した化学成分を、MEKを溶媒として溶出した。溶出液をガスクロマトグラフィーで分析し、収出された成分を定量した。結果を表6に示す。
Figure 2011080039
表6からサンプルのシーラントはメントール、リモネン、サリチル酸メチル、カンファーのようなにおい成分及び食品に含まれるトコフェロールのような化学成分を吸着又は浸透しないことが分かる。本発明の樹脂組成物及びシーラントフィルムは包装内容物成分を吸着又は浸透しないので、包装材料として優れた素材である。
A 積層フィルム、
1 シーラントフィルム、
2 中間層を形成するフィルム、
3 外層フィルム、
B チューブ容器
4 胴部
4a シーラントフィルム
4b 中間層フィルム
4c 外層フィルム
5 口肩部
5a 口部分
5b 肩部分
6 キャップ

Claims (10)

  1. エチレン−ビニルアルコール共重合体:70重量%以上、90重量%以下と、エチレン−酢酸ビニル共重合体:10重量%以上、30重量%以下とを含み、溶融混練してなる樹脂組成物であって、
    該樹脂組成物を成膜してなる2枚のフィルムを140℃、0.3MPa、0.7secの条件でヒートシールしたときの、JIS Z0238で測定したシール強度が50gf/15mm以上である、樹脂組成物。
  2. 複数軸押出機を用いたリアクティブプロセッシング法によって、前記エチレン−ビニルアルコール共重合体と前記エチレン−酢酸ビニル共重合体に2.0MJ/kg以上の比エネルギーを与えて溶融混練してなる、請求項1記載の樹脂組成物。
  3. エチレン−ビニルアルコール共重合体:80重量%以上、85重量%以下と、エチレン−酢酸ビニル共重合体:15重量%以上、20重量%以下である、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の樹脂組成物によりフィルム成形されてなる、シーラントフィルム。
  5. メントール蒸気中で一週間暴露したシーラントフィルムのアセトン抽出物に含まれるメントール量がシーラントフィルム1g当たり1mg未満である、請求項4に記載のシーラントフィルム。
  6. 請求項4記載のシーラントフィルムと、他の単数又は複数のフィルムとからなる、積層フィルム。
  7. 請求項6記載の積層フィルムで製袋された、包装用袋。
  8. 10%質量濃度のメントール、リモネン、サリチル酸メチル、カンファー及びトコフェロールの少なくとも1種を含有するMEK溶液を包装用袋に一週間密封し、包装用袋のシーラントフィルムからMEKを溶媒として得られる溶出物に含まれるメントール、リモネン、サリチル酸メチル、カンファー及びトコフェロールの少なくとも1つの化合物が、シーラントフィルム200m当たり1mg未満である、請求項7記載の包装用袋。
  9. 請求項6記載の積層フィルムで製袋充填包装されてなる、袋包装体。
  10. 請求項6記載の積層フィルムで胴部が形成され、胴部の下端が充填のための開口とされ、胴部の上端に、キャップが被嵌される口肩部材の肩部分周縁に被さりヒートシールされてなる、チューブ容器。
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