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JP2011068647A - アスパラギン酸又はその塩含有固形製剤 - Google Patents

アスパラギン酸又はその塩含有固形製剤 Download PDF

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JP2011068647A
JP2011068647A JP2010193464A JP2010193464A JP2011068647A JP 2011068647 A JP2011068647 A JP 2011068647A JP 2010193464 A JP2010193464 A JP 2010193464A JP 2010193464 A JP2010193464 A JP 2010193464A JP 2011068647 A JP2011068647 A JP 2011068647A
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Tatsuharu Shimokawa
達張 下川
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Kowa Co Ltd
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Kowa Co Ltd
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Abstract

【課題】医薬品等の有効成分を製剤化する上で有用な製剤技術の提供。
【解決手段】アスパラギン酸又はその塩、スーパー崩壊剤及びケイ酸カルシウムを含有する固形製剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、アスパラギン酸又はその塩を含有する固形製剤に関する。
医薬品等の有効成分の服用に際しては、服用の容易性等の理由で、固形製剤が汎用される。固形製剤の剤形としては、錠剤、散剤、顆粒剤等種々のものが知られ、これらへの製剤化に際しては、様々な目的のもとに様々な製剤添加物が用いられている。
固形製剤を製するにあたって用いられる製剤添加物としては、剤形構成の主原料たるもの(賦形剤)、製剤化・製剤特性付与のためのもの(結合剤、崩壊剤、滑沢剤、流動化剤)、安定化・生理的性状改善のためのもの(矯味剤、芳香剤、着色剤)の3種に分けられる。
上記のうち、賦形剤とは、製剤の成型、増量、希釈等の目的で加えられる添加剤である。
また、崩壊剤とは、消化管内等での崩壊促進の目的で加えられる添加剤であり、特に、当該崩壊剤のうち、カルボキシメチルスターチナトリウム等の卓越した崩壊性を有する崩壊剤はスーパー崩壊剤と称されている。
また、結合剤とは、造粒処理や打錠の際に粒子間に結合性を付与するものであり、上記賦形剤や崩壊剤とは全く異なる目的で加えられるものである。当該結合剤としては、セルロース及びその誘導体(メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、カルメロースナトリウム)、デンプン及びその誘導体(コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、デキストリン、部分アルファー化デンプン、プルラン)、天然高分子化合物(アラビアゴム、カンテン、ゼラチン、トラガント、アルギン酸ナトリウム)、合成高分子化合物(ポビドン、ポリビニルアルコール)等が知られている。
また、流動化剤とは、流動性を改善する目的で用いられる製剤添加剤であり、当該流動化剤としては、軽質無水ケイ酸や含水二酸化ケイ素の二酸化ケイ素が知られている。
また、流動化剤を錠剤に添加することにより、硬度が増強され、摩損度が改善されることが知られている(非特許文献1)。
ところで、上記固形製剤の一種である錠剤は、包装時や輸送時に壊れないように、適当な硬度をもつことが要求され、また硬度は、圧縮応力や粒子間結合力等に依存することが知られている。
また、錠剤を製するに際しては、製剤化を容易にするため、打錠操作の前に造粒操作が汎用される。造粒操作としては、湿式造粒法、溶融造粒法や噴霧乾燥造粒法等が知られており、造粒操作の際には結合剤が汎用される。ここで、結合剤水溶液を利用する湿式造粒法において、水に可溶で粘性を示す結合剤を用いると、造粒装置への原料付着や原料の撹拌等に問題が発生しやすく、造粒操作において問題となり易い。
一方で、薬理作用をもつ医薬品等の有効成分が水に不安定な場合、結合剤水溶液を利用する湿式造粒法は不適であるため、これに換えて溶融造粒法や噴霧乾燥造粒法等が用いられるが、水に不安定かつ熱に不安定な有効成分には不適である。このため、結合剤溶液の溶媒として、水を有機溶媒に換えることもあるが、有機溶媒に不安定な有効成分の場合は、不適である。
また、結合剤溶液の溶媒としては、造粒後の造粒物の乾燥の点で、水と有機溶媒を比較すると、一般的に有機溶媒のほうが有利である。
ところで、製剤化に際し、製剤添加物は、有効成分との相互作用等を踏まえ検討されるべきものであるが、多岐にわたるため、慎重に検討した処方であっても、予想外の結果を生じることがある。また、有効成分の他に製剤添加物を別途添加することにより、製剤の全体質量が多くなるため、コンプライアンスの関係上、製剤中に配合する有効成分の種類の減少や配合量の減量を余儀なくされる。
このような実情の下、必要最小限の製剤添加物を用いて、製剤化可能な技術が求められている。
固形製剤の製剤化においては、剤形構成の主原料としての「賦形剤」は欠かすことができず、製剤化・製剤特性(特に、崩壊性)付与の観点で、「崩壊剤」も欠かすことができない。一方、「結合剤」は、上記賦形剤や崩壊剤と異なり、固形製剤中の成分粒子の結合に寄与するものであるが、添加せずとも製剤化できる場合がある。
しかし、「結合剤」を用いずに、固形製剤として錠剤に成形した場合は、適当な硬度を得ることができず、包装時や輸送時に錠剤が壊れるおそれがある。
ところで、アスパラギン酸は、生体内ではオキサロ酢酸にグルタミン酸のアミノ基を転移することにより合成されるアミノ酸である。体内の窒素代謝やエネルギー代謝に関与し、疲労回復を助け、抵抗力を高めるものとして知られている。特に、アスパラギン酸カリウムとアスパラギン酸マグネシウムの等量混合物として知られるアスパラギン酸カリウム・マグネシウムは、カリウムの補給とともにマグネシウムやアスパラギン酸の補給効果も期待できるものであることが知られている(非特許文献2)。
また、アスパラギン酸又はその塩の一部は、矯味剤、賦形剤といった固形製剤用の製剤添加物として知られている。すなわち、アスパラギン酸は賦形剤、矯味剤として、アスパラギン酸ナトリウムは矯味剤として、アスパラギン酸マグネシウムは矯味剤として用いられることが知られている。しかしながら、固形製剤における結合剤としての利用は全く知られていない。
また、ケイ酸化合物も、固形製剤用の製剤添加物として用いられており、例えば、軽質無水ケイ酸は流動化剤、崩壊剤等として用いられることは知られている。しかしながら、ケイ酸化合物のうち、ケイ酸カルシウムは、固形製剤における賦形剤としての利用は知られているものの、崩壊(補助)剤や流動化剤としての利用は全く知られていない。
表面科学 Vol.24,No.10,pp.608−613,2003 OTCハンドブック 2008−09 第505頁 株式会社学術情報流通センター
本発明の課題は、アスパラギン酸又はその塩を含有する固形製剤において、優れた硬度と崩壊性とを両立した固形製剤を提供することである。
本発明者は、まず、アスパラギン酸又はその塩の性質について鋭意検討したところ、意外にも、アスパラギン酸又はその塩を用いて製錠することにより、硬度の高い錠剤が得られることから、アスパラギン酸又はその塩が結合剤として有用であることを見出した。
そこで、本発明者は、当該アスパラギン酸又はその塩を含有する固形製剤に対する製剤添加物の配合を種々検討したところ、驚くべきことに、当該固形製剤に、スーパー崩壊剤を配合しただけでは十分な崩壊性が得られないにも拘わらず、スーパー崩壊剤とケイ酸化合物を併用することにより、硬度を損なうことなく崩壊性に優れる固形製剤が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の1)〜6)を提供するものである。
1)アスパラギン酸又はその塩、スーパー崩壊剤及びケイ酸化合物を含有する固形製剤。
2)ケイ酸カルシウムを有効成分とする固体製剤の崩壊性改善剤。
3)スーパー崩壊剤及びケイ酸化合物を有効成分として含有する崩壊性改善剤。
4)アスパラギン酸又はその塩、スーパー崩壊剤及びケイ酸化合物を有効成分とする結合性及び崩壊性改善剤。
5)ケイ酸カルシウムを有効成分とする固体製剤の流動性改善剤。
6)固形製剤の有効成分を、アスパラギン酸又はその塩、スーパー崩壊剤及びケイ酸化合物で製剤化する工程を含む、固形製剤の製造方法。
固形製剤に、アスパラギン酸又はその塩を含有せしめることにより、固形製剤の硬度を増強することができる。また、当該アスパラギン酸又はその塩を含有する固形製剤に、スーパー崩壊剤とケイ酸化合物とを配合することにより、硬度を損なうことなく、優れた崩壊性を有する固形製剤とすることができる。従って、本発明によれば、優れた硬度と崩壊性とを両立した固形製剤を提供することができる。
また、本発明によれば、複雑な工程や操作を行うことなく、結合剤としてのアスパラギン酸又はその塩、スーパー崩壊剤及びケイ酸化合物を用いることにより、各種薬理作用をもつ医薬等の有効成分を含有する固形製剤を、簡便かつ安価に製剤化できる。
さらには、アスパラギン酸は、体内の窒素代謝やエネルギー代謝に関与し、疲労回復を助けたり、抵抗力を高めるほか、アスパラギン酸の塩であるアスパラギン酸カリウムやアスパラギン酸カルシウムは、カリウムやカルシウムの補給用としても有用である。このため、アスパラギン酸又はその塩は、眼精疲労(特に調節性眼精疲労)の治療や緩和に有効である。
従って、アスパラギン酸又はその塩を用いた本発明にかかる製剤化技術によれば、アスパラギン酸又はその塩は結合剤として優れた効果を示すのみならず、アスパラギン酸やアスパラギン酸の塩のもつ薬効をも備える優れた固形製剤を提供することができる。
また、結合剤やその量によっては、製剤の全体質量が多くなり、製剤が大きくなりすぎるため、製剤中に配合する有効成分の種類の減少や配合量の減量が余儀なくされるというコンプライアンス上の問題が生じうるが、本発明によれば、アスパラギン酸又はその塩、スーパー崩壊剤及びケイ酸化合物を含有せしめることにより、硬度及び崩壊性に優れる固形製剤を提供することができる。
本発明において、アスパラギン酸又はその塩には、アスパラギン酸のみならず、アスパラギン酸の薬学上許容される塩、さらには水やアルコール等との溶媒和物が含まれ、このうち1種のみを用いてもよく、2種以上用いてもよい。また、アスパラギン酸にはD−体とL−体が存在するが、これらのいずれであってもよく、混合物であってもよい。
また、アスパラギン酸の塩としては、アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩等が挙げられる。
また、アスパラギン酸又はその塩としては、固形製剤の硬度増強、結合剤としての機能等の点から、アスパラギン酸、アスパラギン酸カリウム、アスパラギン酸カルシウム、アスパラギン酸ナトリウム及びアスパラギン酸マグネシウムからなる群より選ばれる1種以上が好ましく、アスパラギン酸塩がより好ましく、アスパラギン酸カリウム、アスパラギン酸カルシウム及びアスパラギン酸マグネシウムからなる群より選ばれる1種以上がさらに好ましく、アスパラギン酸カリウム及びアスパラギン酸マグネシウムからなる群より選ばれる1種以上が特に好ましい。
また、本発明において、アスパラギン酸又はその塩を2種以上用いる場合は、アスパラギン酸カリウムとアスパラギン酸マグネシウムを含む混合物が好ましい。このような混合物としては、アスパラギン酸カリウム・マグネシウム等量混合物等が挙げられる。
本発明においては、アスパラギン酸又はその塩として、アスパラギン酸の塩が好ましい。
また、アスパラギン酸又はその塩は、公知の化合物であり、公知の方法により製造できるほか、市販のものを用いることができる。
本発明に係るアスパラギン酸又はその塩を含有する固形製剤におけるアスパラギン酸又はその塩の含有量は、当該固形製剤の硬度増強、結合剤としての機能の他、アスパラギン酸やアスパラギン酸の塩自体のもつ薬効の点から、当該固形製剤を服用する者の性別、年齢、症状等に応じて、適宜検討して決定すればよいが、1日あたり、1〜1200mg服用できる量が好ましく、5〜800mg服用できる量がより好ましく、10〜400mg服用できる量が特に好ましい。
本発明に係る固形製剤中のアスパラギン酸又はその塩の含有量は、固形製剤の硬度増強、結合剤としての機能の他、アスパラギン酸やアスパラギン酸の塩自体のもつ薬効の点から、固形製剤100質量部に対し、0.5〜80質量部含有するのが好ましく、1〜75質量部含有するのがより好ましく、1.5〜50質量部含有するのが特に好ましい。
次に、スーパー崩壊剤について説明する。
本発明において、スーパー崩壊剤とは、水の高い浸透性と高い水膨潤性を有するものであって、崩壊剤として利用可能なものであれば、特に限定されるものではないが、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン等が挙げられる。スーパー崩壊剤は1種だけを用いてもよいし、2種以上組み合せて用いてもよい。スーパー崩壊剤としてはクロスポビドンが好ましい。
本発明の固形製剤におけるスーパー崩壊剤の含有量は、当該固形製剤に含まれるアスパラギン酸又はその塩による硬度増強や結合剤としての機能の他、アスパラギン酸やアスパラギン酸の塩自体のもつ薬効、並びに目する崩壊性とのバランスの点を踏まえ、適宜検討して決定すればよいが、固形製剤中に含まれるアスパラギン酸又はその塩100質量部に対し、0.5〜1000質量部含有するのが好ましく、1〜500質量部含有するのがより好ましく、5〜250質量部含有するのがさらに好ましく、5〜50質量部含有するのが特に好ましい。
次に、ケイ酸化合物について説明する。
また、本発明に用いられるケイ酸化合物としては、例えば、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、軽質無水ケイ酸、重質無水ケイ酸等が挙げられるが、本発明においては、ケイ酸カルシウム、軽質無水ケイ酸、重質無水ケイ酸が好ましい。アスパラギン酸又はその塩を含有する固形製剤を混合物や粒状物として打錠用原料とする場合やこれらを粒状製剤化する場合においては、混合物や粒状物の流動性が優れていることから、ケイ酸カルシウムが特に好ましい(後記実施例参照)。
本発明の固形製剤におけるケイ酸化合物の含有量は、当該固形製剤に含まれるアスパラギン酸又はその塩による硬度増強や結合剤としての機能の他、アスパラギン酸やアスパラギン酸の塩自体のもつ薬効、並びに目する崩壊性とのバランスの点を踏まえ、適宜検討して決定すればよいが、固形製剤中に含まれるアスパラギン酸又はその塩100質量部に対し、0.05〜1000質量部含有するのが好ましく、0.05〜500質量部含有するのがより好ましく、0.1〜250質量部含有するのがさらに好ましく、0.5〜150質量部含有するのがさらに好ましく、0.5〜50質量部含有するのが特に好ましい。
ここで、本明細書において「固形製剤の有効成分」とは、各種薬理作用をもつ医薬等の有効成分を意味する。すなわち、上記固形製剤の有効成分は、アスパラギン酸又はその塩に、特に限定されるものではなく、本発明に係る固形製剤には、所望により、アスパラギン酸又はその塩以外の有効成分を含有せしめることができる。
当該固形製剤の有効成分の好適な具体例としては、何ら限定されるべきものではないが、滋養強壮成分が好ましい。滋養強壮成分をさらに含ませることにより、アスパラギン酸又はその塩、及び滋養強壮成分の各々の薬効を有効活用することができ、滋養強壮保健薬、ビタミン主薬製剤又はビタミン含有保健薬等として有用であり、アスパラギン酸又はその塩の錠剤硬度増強剤、結合剤としての製剤的効果とをあわせて利用しうる。なお、アスパラギン酸又はその塩は、硬度増強剤、結合剤としてのみ用いてもよい。
滋養強壮成分としては、例えば、ビタミン成分、代謝賦活成分、アミノ酸成分、ミネラル成分、カフェイン成分、生薬成分等が挙げられる。
かかる滋養強壮剤成分における、ビタミン成分としては、例えば、ビタミンA類、ビタミンB類、ビタミンC類、ビタミンD類、ビタミンE類等が挙げられ、これらのうち1種のみを用いてもよく、2種以上用いてもよい。
このうち、ビタミンA類としては、例えば、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、ビタミンA油、肝油、強肝油等が挙げられる。
ビタミンB類としては、例えば、チアミン、チアミンジスルフィド、チアミン二リン酸、塩酸チアミン、硝酸チアミン、硝酸ビスチアミン、チアミンジセチル硫酸エステル塩、ビスチアミン、ジセチアミン、フルスルチアミン、オクトチアミン、シコチアミン、ビスイブチアミン、ビスベンチアミン、プロスルチアミン、ベンフォチアミン、塩酸ジセチアミン、塩酸フルスルチアミン等のビタミンB1;リボフラビン、リン酸リボフラビン、リン酸リボフラビンナトリウム、酪酸リボフラビン、フラビンアデニンジヌクレオチド、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム等のビタミンB2;ニコチン酸、ニコチン酸アミド、イノシトールヘキサニコチネート、ニコチン酸アミドアデニンジヌクレオチド、ニコチン酸アミドアデニンジヌクレオチドリン酸、ヘプロニカート等のビタミンB3;パントテン酸、パンテノール、パンテチン、パンテテイン、補酵素A、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウム等のビタミンB5;ピリドキシン、ピリドキサミン、ピリドキサール、塩酸ピリドキシン、リン酸ピリドキサール等のビタミンB6;ビオチン等のビタミンB7;葉酸、ジヒドロ葉酸、テトラヒドロ葉酸などのビタミンB9;シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン、メコバラミン、デオキシアデノシルコバラミン、塩酸ヒドロキソコバラミン、酢酸ヒドロキソコバラミン等のビタミンB12等が挙げられる。
ビタミンC類としては、例えば、アスコルビン酸、アスコルビン酸カルシウム、アスコルビン酸ナトリウム等が挙げられる。
ビタミンD類としては、例えば、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール等が挙げられる。
ビタミンE類としては、例えば、d−α−トコフェロール、l−α−トコフェロール、dl−α−トコフェロール、d−α−コハク酸トコフェロール、l−α−コハク酸トコフェロール、dl−α−コハク酸トコフェロール、d−α−コハク酸トコフェロールカルシウム、l−α−コハク酸トコフェロールカルシウム、dl−α−コハク酸トコフェロールカルシウム、d−α−酢酸トコフェロール、l−α−酢酸トコフェロール、dl−α−酢酸トコフェロール、d−α−ニコチン酸トコフェロール、l−α−ニコチン酸トコフェロール、dl−α−ニコチン酸トコフェロール等が挙げられる。
代謝賦活成分としては、例えば、ガンマーオリザノール;グルクロノラクトン、グルクロン酸アミド等のグルクロン酸類;コンドロイチン硫酸ナトリウム;イノシトール;塩化カルニチン;ルチン;オロチン酸;ウルソデオキシコール酸;アデノシン三リン酸二ナトリウム等が挙げられる。
アミノ酸成分としては、例えば、L−塩酸システイン、L−システイン、L−塩酸リジン、L−塩酸アルギニン、L−メチオニン、アミノエチルスルホン酸(タウリン)等が挙げられる。
ミネラル成分としては、例えば、グリセロリン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、乳酸カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、クエン酸カルシウム等が挙げられる。
カフェイン成分としては、例えば、カフェイン水和物、無水カフェイン、安息香酸ナトリウムカフェイン等が挙げられる。
生薬成分としては、例えば、ニンジン(人参)、ヨクイニン(ヨク苡仁)、インヨウカク(イカリソウ)、ロクジョウ(鹿茸)、ハンピ(反鼻)、ゴオウ(牛黄)、ローヤルゼリー、オウセイ(黄精)、クコシ(枸杞子)、ボレイ(牡蠣)、加工ダイサン(大蒜)(ニンニク加工物)等の生薬類;カミショウヨウサン(加味逍遙散)、ホチュウエッキトウ(補中益気湯)、リックンシトウ(六君子湯)、カミキヒトウ(加味帰脾湯)、ジュウゼンタイホトウ(十全大補湯)、ショウケンチュウトウ(小建中湯)、ハチミジオウガン(八味地黄丸)、セイシンレンシイン(清心蓮子飲)等の漢方処方等が挙げられる。
これら滋養強壮成分は、1種又は2種以上を本発明に係る固形製剤に含ませることができる。
これら滋養強壮成分の好適な具体例としては、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンE、ガンマーオリザノール、加工ダイサンが挙げられ、より好適には、ベンフォチアミン、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、シアノコバラミン、トコフェロールコハク酸エステルカルシウム、ガンマーオリザノール、加工ダイサンである。これらのうち、好適な組み合わせとしては、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンE、ガンマーオリザノール及び加工ダイサンの組み合わせが挙げられ、ベンフォチアミン、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、シアノコバラミン、トコフェロールコハク酸エステルカルシウム、ガンマーオリザノール及び加工ダイサンの組み合わせがより好ましい。
本発明に係る、アスパラギン酸又はその塩、及び滋養強制成分を含有する固形製剤において、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンE、ガンマーオリザノール、加工ダイサンは、当該固形製剤を服用する者の性別、年齢、症状等に応じて、適宜検討して決定すればよいが、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンE類、ガンマーオリザノール、加工ダイサンは、1日あたりの服用量、及び本発明に係る固形製剤中の含有比率を以下のものとするものが好ましい。
ビタミンB1は、1日あたり、0.1〜1000mg服用できる量が好ましく、0.5〜300mg服用できる量がより好ましく、1〜200mg服用できる量がさらに好ましい。含有比率は、アスパラギン酸又はその塩1質量部に対し、0.00005〜500質量部含有するものが好ましく、0.0005〜100質量部含有するものがより好ましく、0.001〜50質量部含有するものがさらに好ましい。
ビタミンB2は、1日あたり、0.1〜450mg服用できる量が好ましく、0.5〜100mg服用できる量がより好ましく、1〜50mg服用できる量がさらに好ましい。含有比率は、アスパラギン酸又はその塩1質量部に対し、0.005〜40質量部含有するものが好ましく、0.01〜30質量部含有するものがより好ましく、0.05〜20質量部含有するものがさらに好ましい。
ビタミンB6は、1日あたり、0.5〜1000mg服用できる量が好ましく、1〜500mg服用できる量がより好ましく、2.5〜100mg服用できる量がさらに好ましい。含有比率は、アスパラギン酸又はその塩1質量部に対し、0.0001〜1000質量部含有するものが好ましく、0.0005〜300質量部含有するものがより好ましく、0.001〜50質量部含有するものがさらに好ましい。
ビタミンB12は、1日あたり、0.001〜5mg服用できる量が好ましく、0.005〜3mg服用できる量がより好ましく、0.01〜1mg服用できる量がさらに好ましい。含有比率は、アスパラギン酸又はその塩1質量部に対し、0.0000005〜10質量部含有するものが好ましく、0.000005〜10質量部含有するものがより好ましく、0.00001〜10質量部含有するものがさらに好ましい。
ビタミンEは、1日あたり、1〜3000mg服用できる量が好ましく、2〜600mg服用できる量がより好ましく、5〜300mg服用できる量がさらに好ましい。含有比率は、アスパラギン酸又はその塩1質量部に対し、0.0001〜1000質量部含有するものが好ましく、0.001〜200質量部含有するものがより好ましく、0.01〜100質量部含有するものがさらに好ましい。
ガンマーオリザノールは、1日あたり、0.5〜100mg服用できる量が好ましく、2.5〜50mg服用できる量がより好ましく、5〜30mg服用できる量がさらに好ましい。含有比率は、アスパラギン酸又はその塩1質量部に対し、0.0001〜150質量部含有するものが好ましく、0.001〜20質量部含有するものがより好ましく、0.005〜5質量部含有するものがさらに好ましい。
加工ダイサンは、1日あたり、2〜2000mg服用できる量が好ましく、10〜400mg服用できる量がより好ましく、20〜200mg服用できる量がさらに好ましい。含有比率は、アスパラギン酸又はその塩1質量部に対し、0.001〜500質量部含有するものが好ましく、0.01〜100質量部含有するものがより好ましく、0.05〜50質量部含有するものがさらに好ましい。
本発明の固形製剤の製造方法において、「製剤化」としては、アスパラギン酸又はその塩、スーパー崩壊剤及びケイ酸化合物を用いて、医薬品等の各種有効成分(当然のことながら、アスパラギン酸及びその塩自体も有効成分とする場合をも含む)を製剤化するものであれば、特にその手段は限定されるものではないが、アスパラギン酸又はその塩を結合剤として用い、さらにスーパー崩壊剤及びケイ酸化合物のほか、各種有効成分及びその他通常用いられる製剤添加物を用いて、固形製剤に製剤化するのが好ましい。
好適な製剤化手段の具体例としては、混合;造粒;打錠、圧縮等の成型が挙げられる。
上記製剤化は、何ら特殊な操作等を要することなく、第十五改正日本薬局方製剤総則等に記載の公知の方法に基づき行うことができる。
また、本発明に係る固形製剤の剤形としては、例えば、錠剤;散剤、顆粒剤、細粒剤、丸剤等の粒状製剤;カプセル剤等が挙げられる。本発明に係る固形製剤の剤形としては、服用の簡便性や薬物服用量の管理等の点で、錠剤が特に好ましい。
本発明に係る固形製剤は、上述のとおり、第十五改正日本薬局方製剤総則等に記載の公知の方法に基づき製造することができる。例えば、固形製剤の剤形が散剤、顆粒剤、細粒剤、丸剤等の粒状製剤の場合、アスパラギン酸又はその塩、各種有効成分と賦形剤や崩壊剤等の適当な添加剤を用いて、押出造粒、転動造粒、撹拌造粒、流動層造粒、噴霧造粒、溶融造粒、破砕造粒等の公知の造粒方法により造粒することにより、製することができる。
なお、造粒は、造粒物中に含まれる各種有効成分の性状に応じ、湿式造粒法と乾式造粒法を選択すればよく、湿式造粒法を選択した場合において、有効成分として水に不安定な薬物を用いる場合は、造粒操作時に水以外の溶媒、例えば、エタノールなどのアルコール等の有機溶媒を用いればよい。また、有効成分として有機溶媒に不安定な薬物を用いる場合は、水を用いればよい。また、有効成分として水に不安定な薬物を用いる場合は、溶融造粒法や噴霧造粒法を用いればよい。得られた造粒物は、公知の方法により、さらにコーティング剤で被覆することもできる。
得られた造粒物は、適宜篩過して、散剤、顆粒剤等として、そのまま服用に供することもできるが、さらにこれらをカプセルに充填して、カプセル剤とすることもできる。
固形製剤が錠剤の場合は、アスパラギン酸又はその塩、各種有効成分と賦形剤や崩壊剤等の適当な添加剤の混合物を直接圧縮(直接粉末圧縮法)することや、上述の造粒物を圧縮(半乾式顆粒圧縮法、乾式顆粒圧縮法、湿式顆粒圧縮法等)することにより製錠することができる。圧縮に際しては、製剤添加物として、さらに滑沢剤を用いてもよい。
また、上記の圧縮法のほか、アスパラギン酸又はその塩、各種有効成分と賦形剤や崩壊剤等の適当な添加剤の混合物を、有効成分に応じた、適当な溶媒で湿潤させた練合物を一定の形状に成型することによっても、製錠化できる。
また、本発明の固形製剤を製造するにあたり、用いることができるアスパラギン酸及びその塩、スーパー崩壊剤、ケイ酸化合物以外の製剤添加物としては、賦形剤、滑沢剤等を挙げることができる。
賦形剤としては、例えば、クエン酸カルシウム、結晶セルロース、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、乳糖水和物、白糖、ブドウ糖水和物、マンニトール、無水リン酸水素カルシウム、リン酸水素カルシウム水和物等が挙げられる。
滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ショ糖脂肪酸エステル、フマル酸ステアリルナトリウム等が挙げられる。
また、用いることができる製剤添加物として、本発明の効果を損なわない範囲において、アスパラギン酸及びその塩以外の結合剤やスーパー崩壊剤以外の崩壊剤を用いることができる。
他の結合剤としては、例えば、結晶セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、カルメロースナトリウム、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、デキストリン、部分アルファー化デンプン、プルラン、アラビアゴム、カンテン、ゼラチン、トラガント、アルギン酸ナトリウム、ポビドン、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
他の崩壊剤としては、例えば、カルメロース、カルメロースカルシウム等が挙げられる。
本発明に係る固形製剤の服用経路は、有効成分の性状、吸収性等により適宜検討すればよいが、経口及び経直腸や経膣等の非経口が挙げられ、本発明に係る固形製剤としては、経口投与製剤が好ましい。また、本発明に係る固形製剤を経口投与する場合、このものを1日につき1〜4回程度に分けて、食前、食間、食後、就寝前等に服用することができる。
本発明に係る固形製剤は、アスパラギン酸又はその塩を必須とするものであり、このものの有用な薬効と結合剤としての製剤的効果も利用しうるので、医薬品、医薬部外品、食品、健康食品等として利用できる。なお、結合剤としての効果のみを利用してもよい。
本発明に係る固形製剤において、アスパラギン酸又はその塩と滋養強壮成分を含有する固形製剤は、アスパラギン酸又はその塩による優れた製剤的効果を備えるのみならず、滋養強壮成分が有する作用に基づき、例えば、夜盲症;骨歯の発育不良;くる病の予防;目の乾燥感の緩和;神経痛、筋肉痛・関節痛(腰痛、肩こり、五十肩など)、手足のしびれ、便秘、眼精疲労、口角炎、口唇炎、口内炎、舌炎、湿疹、皮膚炎、かぶれ、ただれ、にきび、肌あれ、赤鼻、目の充血、目のかゆみ等の諸症状の緩和;しみ、そばかす、日やけ・かぶれによる色素沈着等の諸症状の緩和;末梢血行障害による肩・首すじのこり、手足のしびれ、冷え、しもやけ等の諸症状の緩和;更年期における肩・首すじのこり、冷え、手足のしびれ、のぼせ等の諸症状の緩和;月経不順;肉体疲労時、妊娠・授乳期、発育期、病中病後の体力低下、老年期等における各種ビタミンの補給等の効能・効果を示す。したがい、滋養強壮成分を含有する本発明に係る固形製剤は、滋養強壮保健薬、ビタミン主薬製剤、ビタミン含有保健薬等として用いることができる。
本発明に係るアスパラギン酸又はその塩は、結合剤や錠剤硬度増強剤として機能する。また、それのみならず、後記実施例からも明らかなように、滋養強壮保健薬、ビタミン主薬製剤、ビタミン含有保健薬等に含まれる滋養強壮成分、特にビタミンB類、ビタミンE類、ガンマーオリザノール、加工ダイサンを固形製剤中における安定性改善作用を有する。より詳しくは、アスパラギン酸又はその塩は、ビタミンB類、ビタミンE類、ガンマーオリザノールの固形製剤中の含量を安定化し、また加工ダイサン(ニンニク加工物)の臭いを抑制する。
また、後記実施例に記載のとおり、ケイ酸化合物は、アスパラギン酸又はその塩及びスーパー崩壊剤を含有する固形製剤において、優れた崩壊性改善作用を有する。従って、ケイ酸化合物は、アスパラギン酸又はその塩及びスーパー崩壊剤を含有する固形製剤の崩壊性改善剤として使用でき、又当該固形製剤の崩壊性改善剤を製造するために使用できる。また、スーパー崩壊剤及びケイ酸化合物は、アスパラギン酸又はその塩を含有する固形製剤の崩壊性改善剤として使用できる。
また、ケイ酸化合物としてケイ酸カルシウムを用いる場合、ケイ酸カルシウムは優れた崩壊性改善作用と流動性改善作用を有するので、ケイ酸カルシウムを崩壊性改善剤(崩壊剤・崩壊補助剤)や流動性改善剤(流動化剤)として使用できる。
以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例1>
Figure 2011068647
上記表1に示す各成分を高速攪拌造粒機(バーチカルグラニュレーター FM−VG−25:(株)パウレック)に投入し、エタノールを加えることで造粒物を調製した。これを流動層乾燥機(フローコーター FLO−5B:フロイント産業(株))にて乾燥をして乾燥物を得て、次いで、この乾燥物を、整粒機(ニュースピードミル ND−10S:岡田精工(株))にて整粒し、整粒物を得た。
得られた整粒物5820g、ケイ酸カルシウム(フローライトRE:(株)トクヤマ)129.6g、トコフェロールコハク酸エステルカルシウム(コハク酸トコフェロールカルシウム:タマ生化学(株))414.3g、結晶セルロース(セオラスPH−102:旭化成ケミカルズ(株))51.3g、及びステアリン酸マグネシウム(ステアリン酸マグネシウム:太平化学産業(株))64.8gを、混合機(ボーレ容器混合機 PM−50:コトブキ技研工業(株))へ投入後混合し、打錠用顆粒を得た。これをロータリー式打錠機(HP−AP18−SS:(株)畑鐵工所)に投入し、打錠圧:600〜1800kg/cm2の条件で1錠当たり270mgの錠剤を製した。
<比較例1>
Figure 2011068647
上記表2に示す各成分を高速攪拌造粒機(バーチカルグラニュレーター FM−VG−25:(株)パウレック)に投入し、エタノールを加えることで造粒物を調製した。これを流動層乾燥機(フローコーター FLO−5B:フロイント産業(株))にて乾燥をして乾燥物を得て、次いでこの乾燥物を、整粒機(ニュースピードミル ND−10S:岡田精工(株))にて整粒し、整粒物を得た。
得られた整粒物5820g、ケイ酸カルシウム(フローライトRE:(株)トクヤマ)129.6g、トコフェロールコハク酸エステルカルシウム(コハク酸トコフェロールカルシウム:タマ生化学(株))414.3g、結晶セルロース(セオラスPH−102:旭化成ケミカルズ(株))51.3g、及びステアリン酸マグネシウム(ステアリン酸マグネシウム:太平化学産業(株))64.8gを、混合機(ボーレ容器混合機 PM−50:コトブキ技研工業(株))へ投入後混合し、打錠用顆粒を得た。これをロータリー式打錠機(HP−AP18−SS:畑鐵工所)に投入し、打錠圧:600〜1800kg/cm2の条件で1錠当たり270mgの錠剤を製した。
試験例1<硬度の評価>
実施例1及び比較例1で得た錠剤の硬度を測定した。硬度は、20錠をとり、1錠毎、錠剤硬度計(PTB−311E:PHARMATEST)で錠剤硬度を測定し、平均値を算出した。結果を表3に示した。
Figure 2011068647
表3から明らかなように、アスパラギン酸又はその塩を含有する錠剤(実施例1)は、アスパラギン酸又はその塩を含有しない錠剤(比較例1)に比して、硬度が約2倍となった。
アスパラギン酸又はその塩を含有する錠剤の硬度が約2倍になったことから、アスパラギン酸又はその塩は、硬度増強作用を有することが判明した。また、このことから、アスパラギン酸又はその塩は、優れた結合能(硬度増強作用)を有し、結合剤として利用できることが判明した。
<実施例2>
Figure 2011068647
上記表4に示す各成分を高速攪拌造粒機(バーチカルグラニュレーター FM−VG−25:(株)パウレック)に投入し、エタノールを加えることで造粒物を調製した。これを流動層乾燥機(フローコーター FLO−5B:フロイント産業(株))にて乾燥をして乾燥物を得て、次いで、この乾燥物を、整粒機(ニュースピードミル ND−10S:岡田精工(株))にて整粒し、整粒物を得た。
得られた整粒物4365.0g、トコフェロールコハク酸エステルカルシウム(コハク酸トコフェロールカルシウム:タマ生化学(株))310.7g、結晶セルロース(セオラスPH−102:旭化成ケミカルズ(株))135.7g、及びステアリン酸マグネシウム(ステアリン酸マグネシウム:太平化学産業(株))48.6gを、混合機(ボーレ容器混合機 PM−50:コトブキ技研工業(株))へ投入後混合し、打錠用顆粒を得た。これをロータリー式打錠機(HP−AP18−SS:(株)畑鐵工所)に投入し、打錠圧:1000kg/cm2の条件で1錠当たり270mgの錠剤を製した。
<実施例3>
実施例2におけるケイ酸カルシウムを97.2gに増量し、結晶セルロースを87.1gに減量した以外は、実施例2と同様にして、1錠当たり270mgの錠剤を製した。
<実施例4>
実施例2におけるケイ酸カルシウムを145.8gに増量し、結晶セルロースを38.5gに減量した以外は、実施例2と同様にして、1錠当たり270mgの錠剤を製した。
<実施例5>
実施例2におけるケイ酸カルシウムに換えて、軽質無水ケイ酸(アエロジル300:日本アエロジル(株))を用いた以外は、実施例2と同様にして、1錠当たり270mgの錠剤を製した。
<実施例6>
実施例5における軽質無水ケイ酸を97.2gに増量し、結晶セルロースを87.1gに減量した以外は、実施例5と同様にして、1錠当たり270mgの錠剤を製した。
<実施例7>
実施例5における軽質無水ケイ酸を145.8gに増量し、結晶セルロースを38.5gに減量した以外は、実施例5と同様にして、1錠当たり270mgの錠剤を製した。
<比較例2>
実施例2におけるケイ酸カルシウムを用いない以外は、実施例2と同様にして、1錠当たり270mgの錠剤を製した。
<比較例3>
比較例2におけるクロスポビドンに換えて、クロスカルメロースナトリウム(キッコレートND−2HS:ニチリン化学工業(株))を用いた以外は、比較例2と同様にして、1錠当たり270mgの錠剤を製した。
<比較例4>
比較例2におけるクロスポビドンに換えて、カルボキシメチルスターチナトリウム(エキスプロタブ:木村産業(株))を用いた以外は、比較例2と同様にして、1錠当たり270mgの錠剤を製した。
<比較例5>
比較例2におけるクロスポビドン388.8gを、クロスポビドン194.4g及びクロスカルメロースナトリウム194.4gに換えた以外は、比較例2と同様にして、1錠当たり270mgの錠剤を製した。
<比較例6>
比較例2におけるクロスポビドン388.8gを、クロスポビドン194.4g及びカルボキシメチルスターチナトリウム194.4gに換えた以外は、比較例2と同様にして、1錠当たり270mgの錠剤を製した。
試験例2<錠剤の物性評価>
実施例2〜7、比較例2〜6で得た錠剤の硬度及び崩壊度を測定した。硬度は、試験例1と同様にして算出した。また、崩壊度は、第十五改正日本薬局方一般試験法に記載の崩壊試験法に従い、30分以内に崩壊するものを「適合」、30分以内に崩壊しないものを「不適合」とし、補助盤を用いずに測定した(崩壊試験器:富山産業(株))。試験は6錠について行い、その平均値を算出した。結果を表5及び表6に示した。
Figure 2011068647
Figure 2011068647
アスパラギン酸マグネシウム・カリウム及びスーパー崩壊剤を含有し、ケイ酸カルシウムを含有しない錠剤は、十分な錠剤硬度を有するものの、30分以内に崩壊せず、崩壊試験の結果は「不適合」であった(比較例2〜6)。
一方、アスパラギン酸マグネシウム・カリウム、スーパー崩壊剤及びケイ酸化合物を含有する錠剤は、十分な錠剤硬度を有するのみならず、30分以内に崩壊し、崩壊試験の結果は「適合」であり、優れた崩壊性を示した(実施例2〜7)。
また、この結果から、ケイ酸カルシウムが、崩壊性改善剤(崩壊補助剤・崩壊剤)として作用することも明らかとなった(実施例2〜4及び比較例2)。
したがって、アスパラギン酸又はその塩、スーパー崩壊剤及びケイ酸化合物を含有する固形製剤は、十分な硬度を有し、かつ、優れた崩壊性を示すものであることが判明した。
試験例3<打錠用顆粒の物性(流動性)評価>
実施例2〜7で得た打錠用顆粒について安息角及び圧縮度を測定し、物性(流動性)を評価した。すなわち、安息角(°)を粉体特性評価装置(パウダテスタPT−S:細川ミクロン)で測定した。また、圧縮度(%)は、同じ粉体特性評価装置を用いて、ゆるみ見掛密度と固め見掛密度を測定し、この比により算出した。結果を表7に示す。
Figure 2011068647
得られた安息角と圧縮度の結果に基づき、Carrの流動性指数表を用いて、流動性の程度を評価した。この結果、実施例2〜4の打錠用顆粒の流動性の程度は、実施例5〜7の流動性のそれと比べて、良好なものであった。
したがって、アスパラギン酸又はその塩を含有する固形製剤を粒状物として打錠用原料とする場合やこのものを粒状製剤化する場合、ケイ酸化合物としては、ケイ酸カルシウムを用いることが好ましいことが判明した。
流動化剤として知られている軽質無水ケイ酸よりも、流動化剤としては知られていないケイ酸カルシウムを用いた打錠用顆粒の流動性の程度が良好であったことは意外なことであった。
すなわち、本試験例において、ケイ酸カルシウムが流動性改善剤(流動化剤)として作用することが新たに明らかとなった。
<実施例8>
Figure 2011068647
上記表8に示す各成分を高速攪拌造粒機(バーチカルグラニュレーター FM−VG−25:(株)パウレック)に投入し、エタノールを加えることで造粒物を調製した。これを流動層乾燥機(フローコーター FLO−5B:フロイント産業(株))にて乾燥をして乾燥物を得て、次いで、この乾燥物を、整粒機(ニュースピードミル ND−10S:岡田精工(株))にて整粒し、整粒物を得た。
得られた整粒物5820g、ケイ酸カルシウム(フローライトRE:(株)トクヤマ)129.6g、ビタミンE(コハク酸dl−α−トコフェロールカルシウム:タマ生化学(株))414.3g、結晶セルロース(セオラスPH−102:旭化成ケミカルズ(株))51.3g、及びステアリン酸マグネシウム(ステアリン酸マグネシウム:太平化学産業(株))64.8gを、混合機(ボーレ容器混合機 PM−50:コトブキ技研工業(株))へ投入後混合し、打錠用顆粒を得た。これをロータリー式打錠機(HP−AP18−SS:畑鐵工所)に投入し、1錠当たり270mgの素錠を製造した。
上記得られた素錠6480gに、ヒプロメロース(TC−5R:信越化学工業(株))384g、タルク(タルクMS:日本タルク(株))96g及び精製水4320gからなる懸濁したプロテクト掛液を用い、コーティング機(ドリアコーター DRC−650DS:(株)パウレック)にてプロテクト掛液を噴霧しながら乾燥を行い、1錠当たり280mgのプロテクト錠を得た。
上記得られたプロテクト掛錠6720gに、精製白糖(グラニュ糖CH:塩水港精糖(株))1472g、タルク(タルクMS:日本タルク(株))2496g、沈降炭酸カルシウム(カルシーF:三共精粉(株))2496g、アラビアゴム(アラビアゴム末:日本粉末薬品(株))608g、ゼラチン(ゼラチンE1:(株)ニッピ)128g及び精製水2400gからなる懸濁した下掛液を、コーティング機(ドリアコーター DRC−650DS:(株)パウレック)にて噴霧しながら乾燥を行い、1錠当たり430mgの下掛錠を得た。
上記得られた下掛錠10320gに、精製白糖(グラニュ糖CH:塩水港精糖(株))2208g、酸化チタン(酸化チタンNA−61:東邦チタニウム(株))176g、ゼラチン(ゼラチンE1:(株)ニッピ)16g及び精製水1280gからなる懸濁した色掛液を、コーティング機(ドリアコーター DRC−650DS:(株)パウレック)にて噴霧しながら乾燥を行い、1錠当たり480mgの色掛錠を得た。
上記得られた色掛錠11520gに、精製白糖(グラニュ糖CH:塩水港精糖(株))240g及び精製水128gからなる溶解した上掛液を、コーティング機(ドリアコーター DRC−650DS:(株)パウレック)にて噴霧しながら乾燥を行い、1錠当たり485mgの上掛錠を得た。
さらに、上記得られた上掛錠11640gに、カルナウバロウ(ポリシングワックス103:フロイント産業(株))1.2gを投入し、コーティング機(ドリアコーター DRC−650DS:(株)パウレック)にて艶出を行い、1錠当たり485mgの糖衣錠を得た。
<比較例7>
L−アスパラギン酸カリウム・マグネシウムに換えて、結晶セルロース(セオラスPH−101:旭化成ケミカルズ(株))を用いた以外は実施例8と同様にして、1錠当たり485mgの糖衣錠を得た。
試験例4<加工ダイサン(ニンニク加工物)由来の臭いの抑制の評価>
実施例8及び比較例7で得た各錠剤それぞれ180錠を25℃、60%RHの条件下で、製造直後、並びに8時間、1日、3日及び1週間保存したときの臭いの発生について、
0:加工ダイサン(ニンニク加工物)由来の不快臭を全く感じない。
1:加工ダイサン(ニンニク加工物)由来の不快臭をほとんど感じない。
2:加工ダイサン(ニンニク加工物)由来の不快臭を感じる。
3:加工ダイサン(ニンニク加工物)由来の不快臭を強く感じる。
の4段階で評価した。評価は10人で行い、平均値を算出した。結果を表9に示した。
Figure 2011068647
表9の結果より、アスパラギン酸又はその塩を含有しない比較例7の錠剤では、1日保存後において、加工ダイサン(ニンニク加工物)由来の不快臭が感じられた。
一方、アスパラギン酸又はその塩を含有する実施例8の錠剤では、1週間保存後においても加工ダイサン(ニンニク加工物)由来の不快臭はほとんど感じられなかった。
以上の試験結果より、アスパラギン酸又はその塩は、加工ダイサン(ニンニク加工物)由来の臭いの抑制作用を有することが明らかとなった。なお、加工ダイサン(ニンニク加工物)由来の臭いの発生原因・メカニズムの詳細は明らかでないが、ニンニク由来の臭いは一般に空気中の酸素による酸化によって生じるものと考えられており、従ってニンニク加工物が空気と接触し易い固形状の組成物において特に問題となる。
本試験例によれば、組成物が上記試験例のように固形状である場合においても、加工ダイサン(ニンニク加工物)由来の臭いが有効に抑制された。
試験例5<ビタミンB群、ビタミンE及びガンマーオリザノールの含量安定性の評価>
実施例8及び比較例7の各々の錠剤を180錠ずつガラスビン及び金属キャップを用いて包装し、40℃、75%RHの条件下で2ヶ月間及び4ヶ月間保存した。各保存期間後、糖衣錠をビンから取り出し、ベンフォチアミン、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、シアノコバラミン、コハク酸dl−α−トコフェロールカルシウム及びガンマーオリザノールの含量を、それぞれ日本薬局方外医薬品規格1997に記載のベンフォチアミンの定量法、第15改正日本薬局方 医薬品各条に記載のリボフラビンの定量法、第15改正日本薬局方 医薬品各条に記載の塩酸ピリドキシンの定量法、第15改正日本薬局方 医薬品各条に記載のシアノコバラミンの定量法、医薬部外品原料規格2006に記載のトコフェロールコハク酸エステルカルシウムの定量法、及び医薬部外品原料規格2006に記載のガンマ−オリザノールの定量法に準じて定量し、各薬物の含量を算出した。得られた各薬物の各保存期間後における含量を、試験開始時における含量を100%としたときの相対値として評価し、含量安定性の指標とした。結果を表10〜表15に示す。
Figure 2011068647
Figure 2011068647
Figure 2011068647
Figure 2011068647
Figure 2011068647
Figure 2011068647
表10〜表15の結果より、アスパラギン酸又はその塩を含有しない比較例7の錠剤においては、4ヶ月保存後においてベンフォチアミン、リボフラビン、ガンマーオリザノールで3%程度、塩酸ピリドキシン、コハク酸トコフェロールカルシウムで4%程度、シアノコバラミンで11%程度の含量低下が認められた。
一方、アスパラギン酸又はその塩を含有する実施例8の錠剤においては、いずれの成分についても4ヶ月保存後において含量低下がほとんど認められず含量安定性に優れていた。
従って、アスパラギン酸又はその塩は、ベンフォチアミン、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、シアノコバラミン、コハク酸dl−α−トコフェロールカルシウム及びガンマーオリザノールの安定化作用を有することが明らかとなった。特に、シアノコバラミンに対する安定化作用は顕著であった。
以上の試験結果より、アスパラギン酸又はその塩は、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12などのビタミンB群、ビタミンE及びガンマーオリザノールの安定化作用を有し、経時的な含量安定性を高めることが明らかとなった。
本発明によれば、アスパラギン酸又はその塩が有する結合剤としての能力を利用することにより、製剤化が容易に達成できるとともに、硬度の向上につながる。さらに、スーパー崩壊剤とケイ酸化合物を利用することにより、硬度が向上し、崩壊性に優れる固形製剤を提供することができる。
また、本発明によれば、アスパラギン酸又はその塩の有用な薬効をも備える優れた固形製剤を提供することができる。

Claims (7)

  1. アスパラギン酸又はその塩、スーパー崩壊剤及びケイ酸化合物を含有する固形製剤。
  2. スーパー崩壊剤が、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム及びクロスポビドンから選ばれる1種以上である請求項1記載の固形製剤。
  3. ケイ酸化合物が、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、軽質無水ケイ酸及び重質無水ケイ酸から選ばれる1種以上である請求項1又は2記載の固形製剤。
  4. アスパラギン酸又はその塩が、アスパラギン酸塩である請求項1〜3いずれか1項記載の固形製剤。
  5. 剤形が、錠剤である請求項1〜3いずれか1項記載の固形製剤。
  6. ケイ酸カルシウムを有効成分とする固体製剤の崩壊性改善剤。
  7. ケイ酸カルシウムを有効成分とする固体製剤の流動性改善剤。
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JPWO2013081044A1 (ja) * 2011-11-30 2015-04-27 富山化学工業株式会社 1−シクロプロピル−8−(ジフルオロメトキシ)−7−[(1r)−1−メチル−2,3−ジヒドロ−1h−イソインドール−5−イル]−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸のメタンスルホン酸塩水和物含有錠剤
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