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JP2011066166A - スペーサ形成用フィルム、半導体ウエハー接合体の製造方法、半導体ウエハー接合体および半導体装置 - Google Patents

スペーサ形成用フィルム、半導体ウエハー接合体の製造方法、半導体ウエハー接合体および半導体装置 Download PDF

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JP2011066166A
JP2011066166A JP2009215056A JP2009215056A JP2011066166A JP 2011066166 A JP2011066166 A JP 2011066166A JP 2009215056 A JP2009215056 A JP 2009215056A JP 2009215056 A JP2009215056 A JP 2009215056A JP 2011066166 A JP2011066166 A JP 2011066166A
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spacer forming
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Toshihiro Sato
敏寛 佐藤
Masakazu Kawada
政和 川田
Masahiro Yoneyama
正洋 米山
Toyosei Takahashi
高橋  豊誠
Hirohisa Dejima
裕久 出島
Fumihiro Shiraishi
史広 白石
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Sumitomo Bakelite Co Ltd
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Sumitomo Bakelite Co Ltd
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Abstract

【課題】半導体ウエハーと透明基板とが優れた寸法精度のスペーサを介して接合された半導体ウエハー接合体を製造することができるスペーサ形成用フィルムおよび半導体ウエハー接合体の製造方法を提供すること、および、信頼性に優れた半導体ウエハー接合体および半導体装置を提供すること。
【解決手段】本発明のスペーサ形成用フィルムは、支持基材11の平均厚さをt[μm]とし、スペーサ形成層12の平均厚さをt[μm]とし、露光光の波長帯域における支持基材11の吸光係数をαE1[1/μm]とし、露光光の波長帯域におけるスペーサ形成層12の吸光係数をαE2[1/μm]としたとき、αE1×t+αE2×t≦−log10(0.2)、5≦t≦100、5≦t≦350、10≦t+t≦400の関係式をそれぞれ満たすことを特徴とする。
【選択図】図6

Description

本発明は、スペーサ形成用フィルム、半導体ウエハー接合体の製造方法、半導体ウエハー接合体および半導体装置に関する。
CMOSイメージセンサーやCCDイメージセンサー等の受光装置に代表される半導体装置としては、受光部が設けられた半導体基板と、半導体基板に対して受光部側に設けられ、受光部を囲むように形成されたスペーサと、該スペーサを介して半導体基板に接合された透明基板とを有するものが知られている。
このような半導体装置の製造方法は、一般に、複数の受光部が設けられた半導体ウエハーに、電子線硬化性の接着フィルム(スペーサ形成層)を貼り付ける工程と、該接着フィルムに対してマスクを介して電子線を選択的に照射し、接着フィルムを露光する工程と、露光した接着フィルムを現像し、スペーサを形成する工程と、形成されたスペーサ上に透明基板を接合する工程と、半導体ウエハーと透明基板とを接合した接合体をダイシングする工程とを有する(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、かかる従来の方法では、露光工程において、接着フィルムの半導体ウエハーとは反対側の面が露出しているため、接着フィルムに埃等の異物が付着しやすく、また、一旦異物が付着してしまうと取り除くことが困難となる。そのため、その付着した異物が接着フィルムの露光を妨げ、スペーサの寸法精度の低下を招くと言う問題がある。
また、露光工程の際に、接着フィルムにマスクが貼り付いてしまうと言う問題もある。このようなマスクの貼り付きを防止するために、接着フィルムとマスクとの間の距離を大きくすることも考えられるが、接着フィルムとマスクとの間の距離を大きくすると、マスクを介して接着フィルムに照射された露光光で形成される像が暈けてしまい、露光部分と未露光部分との境界が不明瞭となったり、その境界の位置精度の低下を招いたりする。そのため、十分な寸法精度でスペーサを形成することが難しい。
また、接着フィルムの半導体ウエハーとの境界部付近まで十分な強度の露光光が照射されないと、形成されるスペーサの寸法精度の低下を招いたり、接着フィルムと半導体ウエハーとの接合部に接合不良が生じたりする場合がある。
特開2008−91399号公報
本発明の目的は、半導体ウエハーと透明基板とが優れた寸法精度のスペーサを介して接合された半導体ウエハー接合体を製造することができるスペーサ形成用フィルムおよび半導体ウエハー接合体の製造方法を提供すること、および、信頼性に優れた半導体ウエハー接合体および半導体装置を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(15)に記載の本発明により達成される。
(1) シート状の支持基材と、
前記支持基材上に設けられ、透明基板と半導体ウエハーとの間に設けられるスペーサを露光、現像により形成し得る光硬化性を有するスペーサ形成層とを備えるスペーサ形成用フィルムであって、
前記支持基材の平均厚さをt[μm]とし、前記スペーサ形成層の平均厚さをt[μm]とし、前記露光に用いる露光光の波長帯域における前記支持基材の吸光係数をαE1[1/μm]とし、前記露光光の波長帯域における前記スペーサ形成層の吸光係数をαE2[1/μm]としたとき、下記<1>〜<4>の関係式をそれぞれ満たすことを特徴とするスペーサ形成用フィルム。
αE1×t+αE2×t≦−log10(0.2)・・・<1>
5≦t≦100 ・・・<2>
5≦t≦350 ・・・<3>
10≦t+t≦400 ・・・<4>
(2) 前記支持基材に入射する前記露光光の量をIE0とし、前記支持基材を透過した前記露光光の量をIE1とし、前記スペーサ形成層を透過した前記露光光の量をIE2としたとき、下記<5>〜<7>の関係式をそれぞれ満たす上記(1)に記載のスペーサ形成用フィルム。
E1/IE0≧0.2 ・・・<5>
0.1≦IE2/IE1≦0.9 ・・・<6>
0.1≦IE2/IE0≦0.9 ・・・<7>
(3) 前記支持基材は、樹脂材料を主材料として構成されている上記(1)または(2)に記載のスペーサ形成用フィルム。
(4) 前記樹脂材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートである上記(3)に記載のスペーサ形成用フィルム。
(5) 前記スペーサ形成層は、アルカリ可溶性樹脂と、熱硬化性樹脂と、光重合開始剤とを含む材料で構成されている上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のスペーサ形成用フィルム。
(6) 前記アルカリ可溶性樹脂は、(メタ)アクリル変性フェノール樹脂である上記(5)に記載のスペーサ形成用フィルム。
(7) 前記熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂である上記(5)または(6)に記載のスペーサ形成用フィルム。
(8) 上記(1)ないし(7)のいずれかに記載のスペーサ形成用フィルムを用意する工程と、
前記スペーサ形成層を半導体ウエハーの一方の面側に貼着する工程と、
前記支持基材を介して前記スペーサ形成層に選択的に前記露光光を照射することにより、露光処理を施す工程と、
前記支持基材を除去する工程と、
前記スペーサ形成層に現像液を用いて現像処理を施すことにより、スペーサを形成する工程と、
前記スペーサの前記半導体ウエハーとは反対の面に、透明基板を接合する工程とを有することを特徴とする半導体ウエハー接合体の製造方法。
(9) 上記(1)ないし(7)のいずれかに記載のスペーサ形成用フィルムを用意する工程と、
前記スペーサ形成層を透明基板の一方の面側に貼着する工程と、
前記支持基材を介して前記スペーサ形成層に選択的に前記露光光を照射することにより、露光処理を施す工程と、
前記支持基材を除去する工程と、
前記スペーサ形成層に現像液を用いて現像処理を施すことにより、スペーサを形成する工程と、
前記スペーサの前記透明基板とは反対の面に、半導体ウエハーを接合する工程とを有することを特徴とする半導体ウエハー接合体の製造方法。
(10) 前記露光光を前記支持基材を介して前記スペーサ形成層に照射するに際しては、前記支持基材に対して前記スペーサ形成層とは反対側にマスクを設置し、該マスクを介して前記露光光の照射を行う上記(8)または(9)に記載の半導体ウエハー接合体の製造方法。
(11) 前記マスクの設置に際し、前記マスクと、前記スペーサ形成層に対して前記支持基材とは反対側に設けられた前記半導体ウエハーまたは前記透明基板とにそれぞれ設けられたアライメントマークに基づいて、前記マスクの位置合わせを行う上記(10)に記載の半導体ウエハー接合体の製造方法。
(12) 前記露光工程における前記マスクと前記支持基材との間の距離は、0〜2000μmである上記(10)または(11)に記載の半導体ウエハー接合体の製造方法。
(13) 上記(8)ないし(12)のいずれかに記載の製造方法により製造されたことを特徴とする半導体ウエハー接合体。
(14) 上記(1)ないし(7)のいずれかに記載のスペーサ形成用フィルムを用いて形成されたスペーサを介して、半導体ウエハーと透明基板とが接合されていることを特徴とする半導体ウエハー接合体。
(15) 上記(13)または(14)に記載の半導体ウエハー接合体を個片化することにより得られたことを特徴とする半導体装置。
本発明にかかるスペーサ形成用フィルムによれば、支持基材を介してスペーサ形成層に露光光を照射するに際し、支持基材およびスペーサ形成層の厚さおよび材質等が最適化されているので、スペーサ形成層の厚さ方向の全域にわたって露光光を照射することができる。
また、本発明にかかる半導体ウエハーの製造方法よれば、露光工程において、スペーサ形成層が半導体ウエハーまたは透明基板と支持基材とによって覆われているので、スペーサ形成層に対する埃等の異物の付着を防止することができる。
また、露光工程において、マスクとスペーサ形成層との間に支持基材が介在しているため、マスクがスペーサ形成層に貼り付くのを防止することができる。そのため、マスクとスペーサ形成層との間の距離を小さくすることができる。これにより、マスクを介してスペーサ形成層に照射される露光光によって形成される像の暈けを防止することができる。
これらのようなことから、本発明にかかるスペーサ形成用フィルム、および、本発明にかかる半導体ウエハー接合体の製造方法では、半導体ウエハーと透明基板とが優れた寸法精度のスペーサを介して接合された半導体ウエハー接合体を製造することができる。
また、信頼性に優れた半導体ウエハー接合体および半導体装置を提供することができる。
本発明の実施形態にかかる半導体装置を示す断面図である。 本発明の実施形態にかかる半導体ウエハー接合体を示す縦断面図である。 図2に示す半導体ウエハー接合体を示す平面図である。 図1に示す半導体装置(図2に示す半導体ウエハー接合体)の製造方法の一例を示す工程図である。 図1に示す半導体装置(図2に示す半導体ウエハー接合体)の製造方法の一例を示す工程図である。 図4(d)に示す露光工程を説明するための図である。 図4(d)に示す支持基材およびスペーサ形成層の光の透過率を説明するためのグラフである。
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
<半導体装置(イメージセンサ)>
まず、本発明の半導体装置を説明する。
図1は、本発明の実施形態にかかる半導体装置を示す断面図である。なお、以下の説明では、説明の便宜上、図1中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
図1に示す半導体装置100は、後述する本発明の半導体ウエハー接合体1000を個片化することにより得られるものである。
このような半導体装置(受光装置)100は、図1に示すように、ベース基板101と、ベース基板101に対向配置された透明基板102と、ベース基板101の透明基板102側の面上に設けられた受光部103と、透明基板102と受光部103との間に設けられたスペーサ104と、ベース基板101の受光部103とは反対側の面上に設けられた半田バンプ106とを有する。
ベース基板101は、半導体基板であり、図示しない回路(後述する半導体ウエハーが備える個別回路)が設けられている。
このようなベース基板101の一方の面(上面)上には、そのほぼ全面に亘って受光部103が設けられている。
受光部103は、例えば、ベース基板101上に受光素子とマイクロレンズアレイとがこの順で積層された構成となっている。
受光部103が備える受光素子としては、例えば、CCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等が挙げられる。このような受光素子を備える受光部103は、受光部103で受光した光を電気信号に変換する。
透明基板102は、ベース基板101の一方の面(上面)に対向配置されており、ベース基板101の平面寸法と略同じ平面寸法となっている。
透明基板102としては、例えば、アクリル樹脂基板、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)基板、ガラス基板等が挙げられる。
スペーサ104は、受光部103および透明基板102にそれぞれ直接接着されている。これにより、ベース基板101と透明基板102とがスペーサ104を介して接合されている。
また、スペーサ104は、受光部103および透明基板102のそれぞれの外周縁部に沿うように枠状をなしている。これにより、受光部103と透明基板102との間には、空隙部105が形成されている。
ここで、受光部103の中心部を取り囲むようにスペーサ104が設けられているが、受光部103のうちスペーサ104によって取り囲まれた部分、すなわち空隙部105に露出している部分が実質的な受光部として機能する。
半田バンプ106は、導電性を有し、ベース基板101の下面において、このベース基板101に設けられた配線と電気的に接続されている。これにより、受光部103で光から変換された電気信号が半田バンプ106に伝達される。
<半導体ウエハー接合体>
次に、本発明の半導体ウエハー接合体を説明する。
図2は、本発明の実施形態にかかる半導体ウエハー接合体を示す縦断面図、図3は、図2に示す半導体ウエハー接合体を示す平面図である。
図2に示すように、半導体ウエハー接合体1000は、半導体ウエハー101’と、スペーサ104’と、透明基板102’とが順に積層した積層体で構成されている。すなわち、半導体ウエハー接合体1000は、半導体ウエハー101’と透明基板102’とがスペーサ104’を介して接合されている。
半導体ウエハー101’は、後述するような個片化工程を経ることにより、上述したような半導体装置100のベース基板101となる基板である。
また、半導体ウエハー101’には、複数の個別回路(図示せず)が設けられている。
そして、半導体ウエハー101’の一方の面(上面)上には、上記各個別回路毎に対応して、上述したような受光部103が形成されている。
スペーサ104’は、図3に示すように、平面視したときに、格子状をなし、半導体ウエハー101’上の各個別回路(受光部103)を取り囲むように形成されている。また、スペーサ104’は、半導体ウエハー101’と透明基板102’との間に複数の空隙部105を形成している。この複数の空隙部105は、平面視したときに、前述した複数の個別回路に対応して配置されている。
このスペーサ104’は、後述するような個片化工程を経ることにより、上述したような半導体装置100のスペーサ104となる部材である。
透明基板102’は、スペーサ104’を介して半導体ウエハー101’に接合されている。
この透明基板102’は、後述するような個片化工程を経ることにより、上述したような半導体装置100の透明基板102となる部材である。
このような半導体ウエハー接合体1000を後述するように個片化することにより、複数の半導体装置100を得ることができる。
<半導体装置(半導体ウエハー接合体)の製造方法>
次に、本発明の半導体装置(半導体ウエハー接合体)の製造方法の好適な実施形態について説明する。なお、以下では、本発明の半導体ウエハー接合体の製造方法について、前述した半導体装置100および半導体ウエハー接合体1000を製造する場合を一例として説明する。
図4および図5は、それぞれ、図1に示す半導体装置(図2に示す半導体ウエハー接合体)の製造方法の一例を示す工程図、図6は、図4(d)に示す露光工程を説明するための図、図7は、図4(d)に示す支持基材およびスペーサ形成層の光の透過率を説明するための図である。
半導体装置100の製造方法は、[A]半導体ウエハー接合体1000を製造する工程と、[B]半導体ウエハー接合体1000を個片化する工程とを有する。
ここで、半導体ウエハー接合体1000の製造方法(上記工程[A])は、《A1》半導体ウエハー101’上にスペーサ形成層12を貼り付ける工程と、《A2》スペーサ形成層12を選択的に除去してスペーサ104’を形成する工程と、《A3》スペーサ104’の半導体ウエハー101’とは反対側の面に透明基板102’を接合する工程と、《A4》半導体ウエハー101’の下面に所定の加工または処理を施す工程とを有する。
以下、半導体装置100の製造方法の各工程を順次詳細に説明する。
[A]半導体ウエハー接合体1000の製造工程
《A1》半導体ウエハー101’上にスペーサ形成層12を貼り付ける工程
A1−1
まず、図4(a)に示すように、スペーサ形成用フィルム1を用意する。
このスペーサ形成用フィルム1は、支持基材11と、支持基材11上に支持されたスペーサ形成層12とを有している。
支持基材11は、シート状をなし、スペーサ形成層12を支持する機能を有する。
この支持基材11は、光透過性を有している。これにより、後述する工程《A2》における露光処理において、支持基材11をスペーサ形成層12に付けたまま、支持基材11を介してスペーサ形成層12に露光光を照射することができる。
特に、支持基材11は、その厚さおよび吸光係数がスペーサ形成層12の厚さおよび吸光係数と所定の関係を有している(後述する(<1>〜<4>の関係式をそれぞれ満たす)。なお、支持基材11およびスペーサ形成層12の厚さおよび吸光係数については、後述する工程《A2》の説明とともに詳述する。
このような支持基材11の構成材料としては、前述したようなスペーサ形成層12を支持する機能を有するとともに、後述するような<1>〜<4>の関係式を満たすものであれば、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等が挙げられる。これらの中でも、支持基材11の構成材料としては、支持基材11の光透過性と破断強度のバランスを優れたものとすることができると言う点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)を用いるのが好ましい。
一方、スペーサ形成層12は、半導体ウエハー101’の表面に対して接着性を有する。これにより、スペーサ形成層12と半導体ウエハー101’とを接着(接合)することができる。
また、スペーサ形成層12は、光硬化性を有する。これにより、後述する工程《A2》における露光処理および現像処理により、所望の形状となるようにパターンニングして、スペーサ104’を形成することができる。
また、スペーサ形成層12は、熱硬化性を有する。これにより、後述する工程《A3》において、スペーサ104’と透明基板102’とを接合することができる。
このようなスペーサ形成層12は、前述したような接着性、光硬化性および熱硬化性を有するとともに、後述するような<1>〜<4>の関係式を満たすものであれば、特に限定されないが、アルカリ可溶性樹脂と熱硬化性樹脂と光重合開始剤とを含む材料(以下、「樹脂組成物」と言う)で構成されているのが好ましい。
以下、この樹脂組成物の各構成材料について詳述する。
(アルカリ可溶性樹脂)
アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、クレゾール型、フェノール型、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、カテコール型、レゾルシノール型、ピロガロール型等のノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ヒドロキシスチレン樹脂、メタクリル酸樹脂、メタクリル酸エステル樹脂等のアクリル系樹脂、水酸基およびカルボキシル基等を含む環状オレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂(具体的には、ポリベンゾオキサゾール構造およびポリイミド構造の少なくとも一方を有し、かつ主鎖または側鎖に水酸基、カルボキシル基、エーテル基またはエステル基を有する樹脂、ポリベンゾオキサゾール前駆体構造を有する樹脂、ポリイミド前駆体構造を有する樹脂、ポリアミド酸エステル構造を有する樹脂等)等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
このようなアルカリ可溶性樹脂を含んで構成されたスペーサ形成層12は、環境に対する負荷のより少ないアルカリ現像性を有するものとなる。
特に、前述したアルカリ可溶性樹脂の中でも、アルカリ現像に寄与するアルカリ可溶性基および二重結合の双方を有するものを用いるのが好ましい。
アルカリ可溶性基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基等が挙げられる。このアルカリ可溶性基は、アルカリ現像に寄与することができるとともに、熱硬化反応に寄与することもできる。また、アルカリ可溶性樹脂は、二重結合を有していることにより、光硬化反応に寄与することができる。
このようなアルカリ可溶性基および二重結合を有する樹脂としては、例えば、光および熱の両方で硬化可能な硬化性樹脂を挙げることができ、具体的には、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基およびビニル基等の光反応基を有する熱硬化性樹脂や、フェノール性水酸基、アルコール性水酸基、カルボキシル基、酸無水物基等の熱反応基を有する光硬化性樹脂等が挙げられる。このような光および熱の両方で硬化可能な硬化性樹脂をアルカリ可溶性樹脂として用いると、アルカリ可溶性樹脂と後述する熱硬化性樹脂との相溶性を向上させることができる。その結果、硬化後のスペーサ形成層12、すなわちスペーサ104’の強度を高めることができる。
なお、熱反応基を有する光硬化性樹脂は、さらに、エポキシ基、アミノ基、シアネート基等の他の熱反応基を有していてもよい。かかる構成の光硬化性樹脂としては、具体的には、(メタ)アクリル変性フェノール樹脂、(メタ)アクリロイル基含有アクリル酸重合体およびカルボキシル基含有(エポキシ)アクリレート等が挙げられる。また、カルボキシル基含有アクリル樹脂のような熱可塑性樹脂であっても構わない。
以上のようなアルカリ可溶性基および二重結合を有する樹脂(光および熱の両方で硬化可能な硬化性樹脂)の中でも、(メタ)アクリル変性フェノール樹脂を用いるのが好ましい。(メタ)アクリル変性フェノール樹脂を用いれば、アルカリ可溶性基を含有することから、現像処理により未反応の樹脂を除去する際に、現像液として通常用いられる有機溶剤の代わりに、環境に対する負荷のより少ないアルカリ液を適用することができる。さらに、二重結合を含有することにより、この二重結合が硬化反応に寄与することとなり、その結果として、樹脂組成物の耐熱性を向上させることができる。また、(メタ)アクリル変性フェノール樹脂を用いることにより、半導体ウエハー接合体1000の反りの大きさを確実に小さくできる点からも(メタ)アクリル変性フェノール樹脂が好ましく用いられる。
(メタ)アクリル変性フェノール樹脂としては、例えば、ビスフェノール類やフェノールノボラック類が備える水酸基と、エポキシ基および(メタ)アクリロイル基を有する化合物のエポキシ基とを反応させて得られた、(メタ)アクリロイル変性ビスフェノール樹脂、(メタ)アクリロイル変性フェノールノボラック樹脂が挙げられる。
また、上記の他に、(メタ)アクリル変性フェノール樹脂としては、エポキシ樹脂の両末端に(メタ)アクリロイル基が導入された(メタ)アクリロイル変性エポキシ樹脂の分子鎖中に、この(メタ)アクリロイル変性エポキシ樹脂の分子鎖中の水酸基と、二塩基酸中の一つのカルボキシル基とがエステル結合で結合することにより、二塩基酸が導入されている化合物(なお、この化合物中のエポキシ樹脂の繰り返し単位は1以上、分子鎖中に導入されている二塩基酸の数は1以上)が挙げられる。なお、かかる化合物は、例えば、先ず、エピクロルヒドリンと多価アルコールとを重合させて得られるエポキシ樹脂の両末端のエポキシ基と、(メタ)アクリル酸とを反応させることにより、エポキシ樹脂の両末端に(メタ)アクリロイル基が導入された(メタ)アクリロイル変性エポキシ樹脂を得、次いで、得られた(メタ)アクリロイル変性エポキシ樹脂の分子鎖中の水酸基と、二塩基酸の無水物を反応させることにより、この二塩基酸の一方のカルボキシル基とエステル結合を形成させることにより得られる。
ここで、光反応基を有する熱硬化性樹脂を用いる場合、この光反応基の変性率(置換率)は、特に限定されないが、アルカリ可溶性基および二重結合を有する樹脂の反応基全体の20〜80%程度であるのが好ましく、30〜70%程度であるのがより好ましい。光反応基の変性量を上記の範囲とすることで、特に解像性に優れる樹脂組成物を提供することができる。
一方、熱反応基を有する光硬化性樹脂を用いる場合、この熱反応基の変性率(置換率)は、特に限定されないが、アルカリ可溶性基および二重結合を有する樹脂の反応基全体の20〜80%程度であるのが好ましく、30〜70%程度であるのがより好ましい。熱反応基の変性量を上記の範囲とすることで、特に解像性に優れる樹脂組成物を提供することができる。
また、アルカリ可溶性樹脂としてアルカリ可溶性基および二重結合を有する樹脂を用いる場合、この樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、300000以下であることが好ましく、5000〜150000程度であるのがより好ましい。重量平均分子量が前記範囲内であると、支持基材11上にスペーサ形成層12を形成する際の成膜性に特に優れるものとなる。
ここで、アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は、例えばGPC(ゲル浸透クロマトグラム)を用いて評価でき、予め、スチレン標準物質を用いて作成された検量線により重量平均分子量を算出することができる。その際、測定溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を用い、40℃の温度条件下で測定する。
また、樹脂組成物におけるアルカリ可溶性樹脂の含有量は、特に限定されないが、この樹脂組成物全体に対して、15〜60重量%程度であるのが好ましく、20〜50重量%程度であるのがより好ましい。また、樹脂組成物が後述する充填材を含有する場合、アルカリ可溶性樹脂の含有量は、樹脂組成物の樹脂成分(充填材を除く全部の成分)に対して、10〜80重量%程度であるのが好ましく、15〜70重量%程度であるのがより好ましい。
アルカリ可溶性樹脂の含有量を上記の範囲内とすることで、スペーサ形成層12中におけるアルカリ可溶性樹脂および後述する熱硬化性樹脂の配合バランスを最適化することができる。そのため、後述する工程《A2》の露光処理および現像処理におけるスペーサ形成層12のパターンニングの解像性および現像性を優れたものとしつつ、その後のスペーサ形成層12、すなわちスペーサ104’の接着性を良好なものとすることができる。
これに対し、アルカリ可溶性樹脂の含有量が前記下限値未満であると、アルカリ可溶性樹脂による樹脂組成物中の他の成分(例えば、後述する光硬化性樹脂)との相溶性を向上させる効果が低下する場合がある。一方、アルカリ可溶性樹脂の含有量が前記上限値を超えると、現像性またはフォトリソグラフィ技術により形成されるスペーサ104’のパターニングの解像性が低下するおそれがある。
(熱硬化性樹脂)
熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、レゾールフェノール樹脂等のフェノール樹脂、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂、ユリア(尿素)樹脂、メラミン樹脂等のトリアジン環を有する樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、ベンゾオキサジン環を有する樹脂、シアネートエステル樹脂、エポキシ変性シロキサン等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
このような熱硬化性樹脂を含んで構成されたスペーサ形成層12は、露光、現像した後でも、その硬化により接着性を発揮するものとなる。これにより、スペーサ形成層12と半導体ウエハー101’とを接合して、露光、現像した後、透明基板102をスペーサ形成層12(スペーサ104’)に熱圧着することができる。
なお、この熱硬化性樹脂としては、前述したアルカリ可溶性樹脂として、熱で硬化可能な硬化性樹脂を用いた場合には、この樹脂とは異なるものが選択される。
また、上記の熱硬化性樹脂の中でも、特に、エポキシ樹脂を用いるのが好ましい。これにより、硬化後のスペーサ形成層12(スペーサ104’)の耐熱性および透明基板102との密着性をより向上させることができる。
さらに、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合、エポキシ樹脂としては、室温で固形のエポキシ樹脂(特にビスフェノール型エポキシ樹脂)と、室温で液状のエポキシ樹脂(特に室温で液状のシリコーン変性エポキシ樹脂)とを併用することが好ましい。これにより、優れた耐熱性を維持しつつ、可撓性と解像性との両方に優れるスペーサ形成層12をとすることができる。
樹脂組成物における熱硬化性樹脂の含有量は、特に限定されないが、この樹脂組成物全体に対して、10〜40重量%程度であるのが好ましく、15〜35重量%程度であるのがより好ましい。熱硬化性樹脂の含有量が前記下限値未満であると、熱硬化性樹脂によるスペーサ形成層12の耐熱性を向上する効果が低下する場合がある。一方、熱硬化性樹脂の含有量が前記上限値を超えると、熱硬化性樹脂によるスペーサ形成層12の靭性を向上させる効果が低下する場合がある。
また、熱硬化性樹脂として上述したようなエポキシ樹脂を用いる場合、熱硬化性樹脂には、このエポキシ樹脂の他に、フェノールノボラック樹脂をさらに含んでいるのが好ましい。エポキシ樹脂にフェノールノボラック樹脂を添加することにより、得られるスペーサ形成層12の現像性を向上させることができる。さらに、樹脂組成物中の熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂とフェノールノボラック樹脂との双方を含ませることにより、エポキシ樹脂の熱硬化性がより向上し、形成されるスペーサ104の強度をさらに向上させることができるという利点も得られる。
(光重合開始剤)
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾインメチルエーテル、ベンジルフィニルサルファイド、ベンジル、ジベンジル、ジアセチル等が挙げられる。
このような光重合開始剤を含んで構成されたスペーサ形成層12は、光重合により効率良くパターニングすることができる。
樹脂組成物中における光重合開始剤の含有量は、特に限定されないが、この樹脂組成物全体に対して、0.5〜5重量%程度であるのが好ましく、0.8〜3.0重量%程度であるのがより好ましい。光重合開始剤の含有量が下限値未満であると、スペーサ形成層12の光重合を開始する効果が十分に得られない場合がある。一方、光重合開始剤の含有量が前記上限値を超えると、スペーサ形成層12の反応性が高くなり、保存性や解像性が低下する場合がある。
(光重合性樹脂)
スペーサ形成層12を構成する樹脂組成物は、上記成分の他、光重合性樹脂を含んでいるのが好ましい。これにより、得られるスペーサ形成層12のパターニング性をより向上させることができる。
なお、この光重合性樹脂としては、前述したアルカリ可溶性樹脂として、光で硬化可能な硬化性樹脂を用いた場合には、この樹脂とは異なるものが選択される。
光重合性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、不飽和ポリエステル、アクリロイル基またはメタクリロイル基を、一分子中に少なくとも1個以上有する(メタ)アクリル系モノマーやオリゴマー等の(メタ)アクリル系化合物、スチレン等のビニル系化合物等が挙げられ、これらは単独で用いることも可能であり、また、2種類以上を混合して用いることもできる。
これらの中でも、(メタ)アクリル系化合物を主成分とする光重合性樹脂が好ましい。(メタ)アクリル系化合物は、光を照射した際の硬化速度が速く、これにより、比較的少量の露光量で樹脂をパターニングすることができる。
この(メタ)アクリル系化合物としては、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルのモノマー等が挙げられ、具体的には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレートのような2官能(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートのような三官能(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートのような四官能(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートのような六官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの(メタ)アクリル系化合物の中でも、(メタ)アクリル系多官能モノマーを用いるのが好ましい。これにより、スペーサ形成層12から得られるスペーサ104を優れた強度を発揮するものとすることができる。その結果、このスペーサ104を備える半導体装置100は、形状保持性により優れたものとなる。
なお、本明細書中において、(メタ)アクリル系多官能モノマーとは、3官能以上のアクリロイル基またはメタアクリロイル基を有する(メタ)アクリル酸エステルのモノマーのことを言うこととする。
さらに、(メタ)アクリル系多官能モノマーの中でも、特に、三官能(メタ)アクリレートまたは四官能(メタ)アクリレートを用いるのが好ましい。これにより、前記効果がより顕著となる。
なお、光重合性樹脂として、(メタ)アクリル系多官能モノマーを用いる場合、さらに、エポキシビニルエステル樹脂を含有するのが好ましい。これにより、スペーサ形成層12の露光時には、(メタ)アクリル系多官能モノマーとエポキシビニルエステル樹脂とがラジカル重合するため、形成されるスペーサ104の強度をより効果的に高めることができる。また、現像時には、スペーサ形成層12の露光していない部分のアルカリ現像液に対する溶解性を向上させることができるため、現像後の残渣を低減することができる。
エポキシビニルエステル樹脂としては、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、エポライト40Eメタクリル付加物、エポライト70Pアクリル酸付加物、エポライト200Pアクリル酸付加物、エポライト80MFアクリル酸付加物、エポライト3002メタクリル酸付加物、エポライト3002アクリル酸付加物、エポライト1600アクリル酸付加物、ビスフェノールAジグリシジルエーテルメタクリル酸付加物、ビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、エポライト200Eアクリル酸付加物、エポライト400Eアクリル酸付加物等が挙げられる。
光重合性樹脂に(メタ)アクリル系多官能モノマーが含まれる場合、樹脂組成物における(メタ)アクリル系多官能モノマーの含有量は、特に限定されないが、この樹脂組成物全体において、1〜50重量%程度であるのが好ましく、5%〜25重量%程度であるのがより好ましい。これにより、露光後のスペーサ形成層12すなわちスペーサ104の強度をより効果的に向上させることができ、半導体ウエハー101’と透明基板102とを貼り合せる際の形状保持性をより効果的に向上させることができる。
さらに、光重合性樹脂に、(メタ)アクリル系多官能モノマーの他にエポキシビニルエステル樹脂を含有する場合、エポキシビニルエステル樹脂の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物全体に対して、3〜30重量%程度であるのが好ましく、5%〜15重量%程度であるのがより好ましい。これにより、スペーサ形成層12の露光していない部分のアルカリ現像液に対する溶解性をより効果的に向上させることができる。
また、以上のような光重合性樹脂は、常温で液状であることが好ましい。これにより、スペーサ形成層12の光照射(例えば、紫外線照射)による硬化反応性をより向上させることができる。また、樹脂組成物中における光重合性樹脂とその他の配合成分(例えば、アルカリ可溶性樹脂)との混合作業を容易にすることができる。常温で液状の光重合性樹脂としては、例えば、前述した(メタ)アクリル化合物を主成分とする紫外線硬化性樹脂等が挙げられる。
なお、光重合性樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、5,000以下であるのが好ましく、150〜3000程度であるのがより好ましい。重量平均分子量が前記範囲内であると、スペーサ形成層12の感度に特に優れる。さらに、スペーサ形成層12の解像性にも優れる。
ここで、光重合性樹脂の重量平均分子量は、例えばGPC(ゲル浸透クロマトグラム)を用いて評価でき、前述したのと同様の方法を用いて算出することができる。
(無機充填材)
なお、スペーサ形成層12を構成する樹脂組成物中には、無機充填材を含有していてもよい。これにより、スペーサ形成層12により形成されるスペーサ104の強度をより向上させることができる。
ただし、樹脂組成物中における無機充填材の含有量が大きくなり過ぎると、スペーサ形成層12の現像後に半導体ウエハー101’上に無機充填材に起因する異物が付着したり、アンダーカットが発生してしまうという問題が生じる。そのため、樹脂組成物における無機充填材の含有量は、この樹脂組成物全体に対して、9重量%以下とするのが好ましい。
また、光重合性樹脂として、(メタ)アクリル系多官能モノマーを含有する場合には、アクリル系多官能モノマーの添加により、スペーサ形成層12により形成されるスペーサ104’の強度を十分に向上させることができるので、樹脂組成物中への無機充填材の添加を省略することができる。
無機充填材としては、例えば、アルミナ繊維、ガラス繊維のような繊維状充填材、チタン酸カリウム、ウォラストナイト、アルミニウムボレート、針状水酸化マグネシウム、ウィスカーのような針状充填材、タルク、マイカ、セリサイト、ガラスフレーク、鱗片状黒鉛、板状炭酸カルシウムのような板状充填材、炭酸カルシウム、シリカ、溶融シリカ、焼成クレー、未焼成クレーのような球状(粒状)充填材、ゼオライト、シリカゲルのような多孔質充填材等が挙げられる。これらを1種または2種以上混合して用いることもできる。これらの中でも、特に、球状(粒状)充填材、多孔質充填材を用いるのが好ましい。
無機充填材の平均粒子径は、特に限定されないが、0.01〜90μm程度であるのが好ましく、0.1〜40μm程度であるのがより好ましい。平均粒子径が前記上限値を超えると、スペーサ形成層12の外観異常や解像性不良となるおそれがある。また、平均粒子径が前記下限値未満であると、スペーサ104の透明基板102に対する加熱貼り付け時の接着不良となるおそれがある。
なお、平均粒子径は、例えばレーザ回折式粒度分布測定装置SALD−7000((株)島津製作所製)を用いて評価することができる。
また、無機充填材として多孔質充填材を用いる場合、この多孔質充填材の平均空孔径は、0.1〜5nm程度であるのが好ましく、0.3〜1nm程度であるのがより好ましい。
スペーサ形成層12を構成する樹脂組成物は、上述した成分に加え、本発明の目的を損なわない範囲で紫外線吸収剤、可塑性樹脂、レベリング剤、消泡剤、カップリング剤等の添加剤を含有することができる。
上述したような樹脂組成物によりスペーサ形成層12を構成することにより、スペーサ形成層12の可視光の透過率をより好適なものとすることができ、マスクアライメント性を向上することができる。また、スペーサ形成層12の露光光の透過率をより好適なものとすることができ、露光工程における露光不良をより効果的に防止することができる。その結果、より信頼性の高い半導体装置100を提供することができる。
A1−2
一方、図4(b)に示すように、半導体ウエハー101’の一方の面上に、複数の受光部103を形成する。具体的には、半導体ウエハー101’の一方の面上に、複数の受光素子と複数のマイクロレンズアレイとをこの順で積層する。
A1−3
次に、図4(c)に示すように、半導体ウエハー101’の前記一方の面側に、前述したスペーサ形成用フィルム1のスペーサ形成層12を貼着する(ラミネート加工)。
《A2》スペーサ形成層12を選択的に除去してスペーサ104’を形成する工程
A2−1
次に、図4(d)に示すように、スペーサ形成層12に露光光(紫外線)を照射し、露光処理を行う(露光工程)。
その際、図4(d)に示すように、スペーサ104の平面視形状に対応した平面視形状をなす光透過部201を備えるマスク20を介してスペーサ形成層12に露光光を照射する。
光透過部201は光透過性を有しており、光透過部201を透過した露光光は、スペーサ形成層12に照射される。これにより、スペーサ形成層12は、選択的に露光され、露光光が照射された部分が光硬化する。
また、スペーサ形成層12に対する露光処理は、図4(d)に示すように、スペーサ形成層12に支持基材11がついた状態で行い、支持基材11を介してスペーサ形成層12に露光光を照射する。
これにより、露光処理の際、支持基材11がスペーサ形成層12の保護層として機能し、スペーサ形成層12の表面に埃等の異物が付着するのを効果的に防止することができる。また、支持基材11上に異物が付着した場合であっても、その異物を容易に除去することが可能である。また、前述したようにマスク20を設置する際に、マスク20がスペーサ形成層12に貼り付いてしまうことなく、マスク20とスペーサ形成層12との距離をより小さくすることができる。その結果、マスク20を介してスペーサ形成層12に照射された露光光で形成される像が暈けるのを防止することができ、露光部と未露光部との境界をシャープなものとすることができる。その結果、優れた寸法精度でスペーサ104’を形成することができ、設計に近い所望の形状および寸法で空隙部105を形成することができる。これにより、半導体装置100の信頼性を高めることができる。
その際、特に、支持基材11およびスペーサ形成層12は、それぞれ、厚さおよび吸光係数が所定の関係を有している。
具体的には、支持基材11の平均厚さをtとし、スペーサ形成層12の平均厚さをtとし、本工程《A2》での露光工程に用いる露光光の波長帯域における支持基材11の吸光係数をαE1とし、前記露光光の波長帯域におけるスペーサ形成層12の吸光係数をαE2としたとき、下記<1>〜<4>のそれぞれの関係式を満たす。
αE1×t+αE2×t≦−log10(0.2)・・・<1>
5≦t≦100 ・・・<2>
5≦t≦350 ・・・<3>
10≦t+t≦400 ・・・<4>
上記<1>〜<4>の関係式を満たすように、支持基材11およびスペーサ形成層12を構成することにより、露光工程において、露光光をスペーサ形成層12の厚さ方向の全域にわたって確実に照射することができる。そのため、露光工程においてスペーサ形成層12の半導体ウエハー101’側の面付近に露光光が十分に到達しないことに起因して現像時にスペーサ形成層12の半導体ウエハー101’側の面付近が溶解してしまう現象(いわゆるアンダーカット)を防止することができる。その結果、寸法精度に優れたスペーサ104’を形成することができる。また、スペーサ104’と半導体ウエハー101’とが確実に接合されるので、信頼性に優れた半導体ウエハー接合体1000および半導体装置100を得ることができる。
なお、本明細書において、吸光係数は、光が媒体に入射したとき、その媒体がその光を吸収する程度を示す定数であって、対象となる媒体の材料、密度等の構成と、用いる光の波長とによって定められる値である。
以下、上記<1>〜<4>の関係式について、詳細に説明する。
図6に示すように、支持基材11を介してスペーサ形成層12に露光光を照射した場合、支持基材11に入射する露光光の量(放射発散度)をIE0とし、支持基材11を透過した露光光の量(すなわちスペーサ形成層12に入射する露光光の量)をIE1とし、スペーサ形成層12を透過した露光光の量をIE2とし、支持基材11の厚さ方向での露光光の透過率をTE1とし、スペーサ形成層12の厚さ方向での露光光の透過率をTE2とし、スペーサ形成用フィルム1全体(支持基材11およびスペーサ形成層12)の露光光の透過率をTとしたときに、下記<A>〜<C>の関係式を導くことができる。
E1=IE1/IE0=10−αE1・t1 ・・・<A>
E2=IE2/IE1=10−αE2・t2 ・・・<B>
=TE1・TE2=IE2/IE0=10−<αE1・t1+αE2・t2> ・・・<C>
なお、ここでは、説明の便宜上、支持基材11とスペーサ形成層12との間における光吸収、光拡散等は考慮せず、支持基材11を透過した露光光の放射発散度は、スペーサ形成層12に入射する露光光の放射発散度に等しいものとする。
露光工程を効率的に行うためには、透過率T、TE1、TE2を大きくする必要がある。
透過率Tを大きくするには、上記関係式<C>からわかるように、(αE1×t+αE2×t)を小さくすればよい。
上記関係式<C>から下記関係式<D>を導くことができる。
αE1×t+αE2×t=−log10(T)・・・<D>
ここで、−log10(T)およびTは、図7に示すような関係を有する。
図7からわかるように、−log10(T)が約0.7(=log10(0.2))以下となると、透過率Tが急激に大きくなる。言い換えると、−log10(T)が約0.7よりも小さくなると、透過率Tが急激に低下する。
したがって、(αE1×t+αE2×t)をlog10(0.2)以下とすること、すなわち、上記関係式<1>を満たすことで、透過率Tを高めることができる。
そして、本発明者は、鋭意検討の結果、上記関係式<1>を満たす上で、厚さt、tの最適な値を見出し、上記関係式<2>〜<4>を得た。
このような上記<1>〜<4>の関係式を満たすように、支持基材11およびスペーサ形成層12を構成することにより、前述したように、寸法精度に優れたスペーサ104’を形成することができる。また、スペーサ104’と半導体ウエハー101’とが確実に接合されるので、信頼性に優れた半導体ウエハー接合体1000および半導体装置100を得ることができる。
これに対し、αE1×t+αE2×tが−log10(0.2)よりも大きいと、スペーサ形成層12の下面まで十分な露光光を照射することができず、アンダーカットを生じてしまう。
また、支持基材11の平均厚さtが5μm未満であると、支持基材11がスペーサ形成層12を支持する機能を発揮することができない。一方、支持基材11の平均厚さtが100μmを超えると、上記<1>の関係式を満たすような支持基材11の構成材料の選択が難しく、また、スペーサ形成用フィルム1の取り扱い性が低下する。
また、スペーサ形成層12の平均厚さtが5μm未満であると、スペーサ104が必要な大きさの空隙部105を形成することができない。一方、スペーサ形成層12の平均厚さtが350μmを超えると、上記<1>の関係式を満たすようなスペーサ形成層12の構成材料の選択が難しい。
また、スペーサ形成用フィルム1の平均厚さ(t+t)が10μm未満であると、支持基材11がスペーサ形成層12を支持する機能を発揮することができなかったり、スペーサ104が必要な大きさの空隙部105を形成することができなかったりする。一方、スペーサ形成用フィルム1の平均厚さ(t+t)が400μmを超えると、上記<1>の関係式を満たすような支持基材11やスペーサ形成層12の構成材料の選択が難しい。また、スペーサ形成用フィルム1の取り扱い性が低下する。
また、下記<5>〜<7>の関係式を満たすのが好ましい。
E1/IE0≧0.2 ・・・<5>
0.1≦IE2/IE1≦0.9 ・・・<6>
0.1≦IE2/IE0≦0.9 ・・・<7>
上記関係式<5>〜<7>を満たすことにより、より確実に、スペーサ形成層12の厚さ方向での全域にわたって露光光を照射することができ、上述したようなアンダーカットに関する問題を防止することができる。
特に、このようなアンダーカットに関する問題を防止する観点からは、
E1/IE0≧0.4
なる関係式を満たすのがより好ましい。なお、ここで、IE1/IE0は、支持基材11の厚さ方向における露光光の透過率TE1に等しく、IE2/IE1は、スペーサ形成層12の厚さ方向における露光光の透過率TE2に等しく、IE2/IE0は、スペーサ形成用フィルム1の厚さ方向における露光光の透過率Tに等しい。
ところで、本実施形態において、半導体ウエハー101’上には、その縁部近傍に、図4(d)に示すように、アライメントマーク1011が設けられている。
また、同様に、マスク20には、図4(d)に示すように、位置合わせ用のアライメントマーク202が設けられている。
本露光工程において、上記半導体ウエハー101’のアライメントマーク1011と、マスク20のアライメントマーク202とを合わせることにより、半導体ウエハー101’に対してマスク20の位置合わせを行う。このようにアライメントマーク1011およびアライメントマーク202に基づいてマスク20に位置合わせを行うことにより、高い位置精度でスペーサ104’を形成することができる。その結果、半導体装置100の信頼性をより高いものとすることができる。
その際、可視光の波長帯域における支持基材11の吸光係数をαV1[1/μm]とし、可視光の波長帯域におけるスペーサ形成層12の吸光係数をαV2[1/μm]としたとき、下記<8>〜<11>の関係式をそれぞれ満たすのが好ましい。
αV1×t+αV2×t≦−log10(0.2)・・・<8>
上記関係式<8>を満たすことにより、支持基材11およびスペーサ形成層12を介して半導体ウエハー101’のスペーサ形成層12側の面を良好に視認することができる。これにより、マスク20を設置する際、半導体ウエハー101’上に形成されたアライメントマーク1011を良好に視認することができる。そのため、マスク20の位置決めを正確に行う(すなわち、マスクアライメント性を向上させる)ことができる。その結果、寸法精度に優れたスペーサ104を形成することができる。
これに対し、αV1×t+αV2×tが−log10(0.2)よりも大きいと、スペーサ形成層12の下面まで十分に視認することができず、マスクアライメント性が著しく低下してしまう。
また、上記関係式<8>の関係式を満たす場合、支持基材11に入射する可視光の量をIV0とし、支持基材11を透過した前記可視光の量をIV1とし、スペーサ形成層12を透過した前記可視光の量をIV2としたとき、下記<9>〜<11>の関係式をそれぞれ満たすのが好ましい。
V1/IV0≧0.2 ・・・<9>
V2/IV1≧0.2 ・・・<10>
V2/IV0≧0.2 ・・・<11>
上記関係式<9>〜<11>を満たすことにより、より確実に、マスク20の位置決めを正確に行う(すなわち、マスクアライメント性を向上させる)ことができる。
特に、このようなマスクアライメント性を向上させる観点からは、
V1/IV0≧0.4
V2/IV1≧0.4
V2/IV0≧0.4
なる関係式をそれぞれ満たすのがより好ましい。なお、ここで、IV1/IV0は、支持基材11の厚さ方向における可視光の透過率TV1に等しく、IV2/IV1は、スペーサ形成層12の厚さ方向における可視光の透過率TV2に等しく、IV2/IV0は、スペーサ形成用フィルム1の厚さ方向における可視光の透過率Tに等しい。
支持基材11とマスク20との間の距離は、0〜2000μmであるのが好ましく、0〜1000μmであるのがより好ましい。これにより、マスク20を介してスペーサ形成層12に照射された露光光により形成される像をより鮮明なものとすることができ、優れた寸法精度でスペーサ104を形成することができる。
特に、支持基材11とマスク20とを接触した状態で前記露光処理を行うのが好ましい。これにより、スペーサ形成層12とマスク20との間の距離を全域にわたって安定的に一定に保つことができる。その結果、スペーサ形成層12の露光すべき部位を均一に露光することができ、寸法精度に優れたスペーサ104’をより効率よく形成することができる。
このように支持基材11とマスク20とを接触した状態で露光する場合、支持基材11の厚みを適宜選択することにより、スペーサ形成層12とマスク20との間の距離を自由に、かつ、正確に設定することができる。また、支持基材11の厚さを薄くすることで、スペーサ形成層12とマスク20との間の距離をより小さくし、マスク20を介してスペーサ形成層12に照射された光により形成される像の暈けを防止することができる。
なお、本明細書において、支持基材11およびスペーサ形成層12の厚さ方向での露光光の透過率とは、支持基材11およびスペーサ形成層12の厚さ方向での露光光のピーク波長(例えば365nm)の透過率を言う。また、支持基材11およびスペーサ形成層12の厚さ方向での可視光の透過率とは、支持基材11およびスペーサ形成層12の厚さ方向での600nmの波長の光のピーク波長の透過率を言う。また、支持基材11およびスペーサ形成層12の厚さ方向での光の透過率は、例えば、透過率測定装置((株)島津製作所社製、UV−160A)を用いて計測することができる。
なお、前述したような露光後、必要に応じて、スペーサ形成層12に対して、40〜80℃程度の温度で加熱処理を施してもよい(露光後加熱工程(PEB工程))。このような加熱処理を施すことにより、露光工程で光硬化した部位(スペーサ104’)と半導体ウエハー101’との密着性をより高いものとすることができる。そのため、後述する現像工程において、スペーサ形成層12の光硬化した部位の不本意な剥離を効果的に防止することができる。
上記加熱処理の温度は、上記範囲であればよいが、50〜70℃であるのがより好ましい。後述する現像工程において、スペーサ形成層12の光硬化した部位の不本意な剥離をより効果的に防止することができる。
A2−2
次に、図4(e)に示すように、支持基材11を除去する(支持基材除去工程)。すなわち、支持基材11をスペーサ形成層12から剥離する。
A2−3
次に、図4(f)に示すように、スペーサ形成層12の未硬化の部分を現像液を用いて除去する(現像工程)。これにより、スペーサ形成層12の光硬化した部分が残存して、スペーサ104’および空隙部となる部位105’が形成される。
その際、スペーサ形成層12が前述したようなアルカリ可溶性樹脂を含んで構成されている場合、現像液としてアルカリ水溶液を用いることができる。
《A3》スペーサ104’の半導体ウエハー101’とは反対側の面に透明基板102’を接合する工程
次に、図4(g)に示すように、形成されたスペーサ104’の上面と透明基板102’とを接合する(接合工程)。これにより、半導体ウエハー101’と透明基板102’とがスペーサ104’を介して接合された半導体ウエハー接合体1000(本発明の半導体ウエハー接合体)が得られる。
スペーサ104’と透明基板102’との接合は、例えば、形成されたスペーサ104’の上面と透明基板102’とを貼り合わせた後、熱圧着することにより行うことができる。
熱圧着は、80〜180℃の温度範囲内で行うのが好ましい。これにより、熱圧着時における加圧力を抑えつつ、スペーサ104’と透明基板102’とを熱圧着により接合することができる。そのため、形成されるスペーサ104は、不本意な変形が抑えられ、寸法精度の優れたものとなる。
《A4》半導体ウエハー101’の下面に所定の加工または処理を施す工程
A4−1
次に、図5(h)に示すように、半導体ウエハー101’の透明基板102とは反対側の面(下面)111を研削する(バックグラインド工程)。
この半導体ウエハー101’の面111の研削は、例えば、研削装置(グラインダー)を用いて行うことができる。
かかる面111の研削により、半導体ウエハー101’の厚さは、半導体装置100が適用される電子機器によっても異なるが、通常、100〜600μm程度に設定され、より小型の電子機器に適用する場合には、50μm程度に設定される。
A4−2
次に、図5(i)に示すように、半導体ウエハー101’の面111上に、半田バンプ106を形成する。
その際、図示しないが、半田バンプ106の形成の他に、半導体ウエハー101’の面111に配線も形成する。
[B]半導体ウエハー接合体1000を個片化する工程
次に、半導体ウエハー接合体1000を個片化することにより、複数の半導体装置100を得る(ダイシング工程)。
その際、半導体ウエハー101’に形成された個別回路毎、すなわち、各空隙部105毎に、半導体ウエハー接合体1000を個片化する。
半導体ウエハー接合体1000の個片化は、例えば、まず、図5(j)に示すように、透明基板102’側からダイシングソーにより、スペーサ104’の格子に沿って、スペーサ104’と半導体ウエハー101’との界面まで切込み21を入れた後、さらに、半導体ウエハー101’に切込み22を入れることにより行われる。
なお、ダイシングソーによる半導体ウエハー接合体1000の個片化は、透明基板102’、スペーサ104’および半導体ウエハー101’を一気に切断しても、半導体ウエハー101’側から切込みを入れても良い。
以上のような工程を経ることにより、半導体装置100を製造することができる。
このように、半導体ウエハー接合体1000を個片化して、一括して複数の半導体装置100を得ることにより、半導体装置100を大量生産することができ、生産性の効率化を図ることができる。
このようにして得られた半導体装置100は、例えば、配線がパターンニングされた基板上に搭載され、この基板上の配線と、ベース基板101の下面に形成された配線とが半田バンプ106を介して電気的に接続される。
また、半導体装置100は、前述したように基板上に搭載された状態で、例えば、携帯電話、デジタルカメラ、ビデオカメラ、小型カメラ等の電子機器に広く適用することができる。
なお、上記説明では、半導体ウエハー101’上にスペーサ形成層12を形成した後に露光・現像し、その後、スペーサ104’と透明基板102’とを接合する場合を例に説明したが、これに限定されず、透明基板102’上にスペーサ形成層12を形成した後に露光・現像し、その後、スペーサ104’と半導体ウエハー101’とを接合することもできる。このような場合、露光工程において、透明基板102’上およびマスク20上にそれぞれアライメントマークを設け、これらのアライメントマークに基づいて、マスク20の位置合わせを行うのが好ましい。これにより、高い位置精度でスペーサ104’を形成することができ、形成される半導体装置100の信頼性をより高いものとすることができる。
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、本発明の半導体ウエハー接合体の製造方法では、任意の目的の工程が1または2以上追加されてもよい。例えば、ラミネート工程と露光工程との間に、スペーサ形成層に対して加熱処理を施すラミネート後加熱工程(PLB工程)を設けてもよい。
また、前述した実施形態では、露光を1回行う場合について説明したが、これに限定されず、例えば、露光を複数回行ってもよい。
また、本発明のスペーサ形成用フィルム、半導体ウエハー接合体および半導体装置の各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。
以下、本発明の具体的な実施例を説明する。なお、本発明はこれに限定されるものではない。
[1]半導体ウエハー接合体の製造
(実施例1)
1.アルカリ可溶性樹脂((メタ)アクリル変性ビスAノボラック樹脂)の合成
ノボラック型ビスフェノールA樹脂(フェノライトLF−4871、大日本インキ化学(株)製)の固形分60%MEK(メチルエチルケトン)溶液500gを、2Lフラスコ中に投入し、これに触媒としてトリブチルアミン1.5g、および重合禁止剤としてハイドロキノン0.15gを添加し、100℃に加温した。その中へ、グリシジルメタクリレート180.9gを30分間で滴下し、100℃で5時間攪拌反応させることにより、固形分74%のメタクリロイル変性ノボラック型ビスフェノールA樹脂MPN001(メタクリロイル変性率50%)を得た。
2.スペーサ形成層を構成する樹脂組成物の樹脂ワニスの調製
光重合性樹脂として、トリメチロールプロパントリメタクリレート(共栄社化学(株)製、ライトエステルTMP)15重量%、エポキシビニルエステル樹脂(共栄社化学(株)製、エポキシエステル3002M)5重量%、熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂として、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、エピクロンN−865)5重量%、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、YL6810)10重量%、シリコーンエポキシ樹脂(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製、BY16−115)5重量%、フェノールノボラック樹脂(住友ベークライト(株)、PR53647)3重量%、アルカリ可溶性樹脂として上記MPN001を固形分として54.8重量%、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、イルガキュア651)2重量%、紫外線吸収剤(共同薬品(株)製、Viosorb550)0.2重量%を秤量し、ディスパーザーを用い、回転数3000rpmで1時間攪拌し、樹脂ワニスを調製した。
3.スペーサ形成用フィルムの製造
まず、支持基材として、厚さ38μmのポリエステルフィルム(三菱樹脂社製、「MRX50」を用意した。この支持基材の厚さ方向における露光光(365nm)の透過率TE1は、83.9%であった。また、この支持基材の厚さ方向における露光光の吸光係数αE1は、0.002[1/μm]であった。
次に、支持基材上に、上記で調整した樹脂ワニスをコンマコーター(廉井精機社製、「型番MFG No.194001 type3−293」)で塗布することにより、樹脂ワニスで構成される塗膜を形成した。その後、形成した塗膜を80℃、20分乾燥してスペーサ形成層を形成することによりスペーサ形成用フィルムを得た。得られたスペーサ形成用フィルムは、スペーサ形成層の平均厚さが5μmであった。また、形成されたスペーサ形成層の露光光(365nm)の透過率TE2は、89.5%であった。また、スペーサ形成層の厚さ方向における露光光(365nm)の吸光係数αE2は、0.0096[1/μm]であった。
4.接合体の製造
まず、ほぼ円形状をなす直径8インチの半導体ウエハー(Siウエハー、直径20.3cm、厚さ725μm)を用意した。なお、半導体ウエハーは、半導体ウエハーの縁部から5mm内側の位置で、半導体ウエハーの中心を軸に互いに点対称となる2箇所にアライメントマークを設けたものを用意した。
次に、半導体ウエハーに、ロールラミネーターを用いて、ロール温度60℃、ロール速度0.3m/分、シリンジ圧2.0kgf/cmの条件で、上記で製造したスペーサ形成用フィルムをラミネートして、スペーサ形成用フィルム付き半導体ウエハーを得た。
次に、半導体ウエハーに対する位置合わせ用の2つのアライメントマークを備え、かつ、形成すべきスペーサの平面視の形状と同じ形状をした光透過部を有するマスクを用意し、該マスクのアライメントマークと半導体ウエハーのアライメントマークとを一致させるようにして、スペーサ形成用フィルムと対向するようにマスクを設置した。この際、マスクと支持基材との間の距離を、0mmとした。
次に、マスクを介して、スペーサ形成用フィルム付き半導体ウエハーに、スペーサ形成用フィルム側から、紫外線(波長365nm、積算光量700mJ/cm)を照射することにより、スペーサ形成層を格子状に選択的に露光した後、支持基材を取り剥がした。なお、スペーサ形成層に対する露光では、平面視でスペーサ形成層の50%に対し、格子状に露光される露光部の幅が0.6mmとなるように露光した。
次に、現像液(アルカリ液)として、2.38w%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液を用いて、現像液圧0.2MPa、現像時間90秒の条件で、露光後のスペーサ形成層の現像をして、凸条の幅が0.6mmのスペーサを半導体ウエハー上に形成した。
次に、透明基板(石英ガラス基板、直径20.3cm、厚さ725μm)を用意し、このものをスペーサが形成された半導体ウエハーに、サブストレート・ボンダ(ズース・マイクロテック社製、「SB8e」)を用いて圧着することにより、スペーサを介して半導体ウエハーと透明基板とが接合された半導体ウエハー接合体を製造した。
(実施例2〜8、比較例1〜6)
支持基材の吸光係数αE1および厚さtと、スペーサ形成層の吸光係数αE2および厚さtとを表1に示すようにした以外は、前述した実施例1と同様にして、半導体ウエハー接合体を得た。
ここで、比較例6では、支持基材としてポリイミドフィルム(宇部興産(株)製、ユーピレックス25SGA)を用いた。また、実施例5〜8、比較例3〜6では、表2に示すように、スペーサ形成層の形成に用いる樹脂ワニスの配合比を変更することで、スペーサ形成層の吸光係数αE2を変更した。
なお、表2中、メタクリロイル変性ノボラック型ビスフェノールA樹脂を「MPN」、トリメチロールプロパントリメタクリレートを「TMP」、エポキシビニルエステル樹脂を「3002M」、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂を「N865」、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を「YL」、シリコーンエポキシ樹脂を「BY16」、フェノールノボラック樹脂を「PR」、トリエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学工業社製、NKエステル3G)を「3G」と示した。また、実施例8および比較例5では、表2には示していないが、シリカフィラー(トクヤマ社製、NSS−3N、平均粒径0.125μm、最大粒径0.35μm)を30重量%添加している。
Figure 2011066166
Figure 2011066166
[2]評価
各実施例および比較例の半導体ウエハー接合体を、それぞれ、上述したようにして100個ずつ製造した。以下のような評価を行った。
そして、各実施例および比較例の半導体ウエハー接合体100個のスペーサの形状を電子顕微鏡(×5,000倍)で観察し、露光によるパターンニング性(アンダーカットによる欠けの発生の程度)を以下の評価基準に従い評価した。
◎:100個全てにおいてスペーサに欠け等が全くなく、高い精度でパターンニングされていた。
○:100個のうち1〜10個の半導体ウエハー接合体のスペーサに欠け等が見られるが、実用上問題のないパターンニング性を示した。
△:100個のうち11〜20個の半導体ウエハー接合体のスペーサに欠け等が見られ、十分なパターンニング性を示すものではなかった。
×:100個のうち21個以上の半導体ウエハー接合体のスペーサに欠け等が見られ、パターンニング性の精度が低かった。
表1から明らかなように、本発明に係る半導体ウエハー接合体では、スペーサの欠け等がなく、また、寸法精度に優れたものであった。また、本発明に係る半導体ウエハー接合体を用いて製造された半導体装置は信頼性が特に高いものであった。
これに対して、比較例では、露光によるパターンニング性の精度が十分ではなかった。
1 スペーサ形成用フィルム
11 支持基材
12 スペーサ形成層
100 半導体装置
101 ベース基板
101’ 半導体ウエハー
1011 アライメントマーク
102、102’ 透明基板
103 受光部
104、104’ スペーサ
105 空隙部
105’ 空隙部となる部位
106 半田バンプ
111 下面
1000 半導体ウエハー接合体
20 マスク
21、22 切込み
201 光透過部
202 アライメントマーク

Claims (15)

  1. シート状の支持基材と、
    前記支持基材上に設けられ、透明基板と半導体ウエハーとの間に設けられるスペーサを露光、現像により形成し得る光硬化性を有するスペーサ形成層とを備えるスペーサ形成用フィルムであって、
    前記支持基材の平均厚さをt[μm]とし、前記スペーサ形成層の平均厚さをt[μm]とし、前記露光に用いる露光光の波長帯域における前記支持基材の吸光係数をαE1[1/μm]とし、前記露光光の波長帯域における前記スペーサ形成層の吸光係数をαE2[1/μm]としたとき、下記<1>〜<4>の関係式をそれぞれ満たすことを特徴とするスペーサ形成用フィルム。
    αE1×t+αE2×t≦−log10(0.2)・・・<1>
    5≦t≦100 ・・・<2>
    5≦t≦350 ・・・<3>
    10≦t+t≦400 ・・・<4>
  2. 前記支持基材に入射する前記露光光の量をIE0とし、前記支持基材を透過した前記露光光の量をIE1とし、前記スペーサ形成層を透過した前記露光光の量をIE2としたとき、下記<5>〜<7>の関係式をそれぞれ満たす請求項1に記載のスペーサ形成用フィルム。
    E1/IE0≧0.2 ・・・<5>
    0.1≦IE2/IE1≦0.9 ・・・<6>
    0.1≦IE2/IE0≦0.9 ・・・<7>
  3. 前記支持基材は、樹脂材料を主材料として構成されている請求項1または2に記載のスペーサ形成用フィルム。
  4. 前記樹脂材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートである請求項3に記載のスペーサ形成用フィルム。
  5. 前記スペーサ形成層は、アルカリ可溶性樹脂と、熱硬化性樹脂と、光重合開始剤とを含む材料で構成されている請求項1ないし4のいずれかに記載のスペーサ形成用フィルム。
  6. 前記アルカリ可溶性樹脂は、(メタ)アクリル変性フェノール樹脂である請求項5に記載のスペーサ形成用フィルム。
  7. 前記熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂である請求項5または6に記載のスペーサ形成用フィルム。
  8. 請求項1ないし7のいずれかに記載のスペーサ形成用フィルムを用意する工程と、
    前記スペーサ形成層を半導体ウエハーの一方の面側に貼着する工程と、
    前記支持基材を介して前記スペーサ形成層に選択的に前記露光光を照射することにより、露光処理を施す工程と、
    前記支持基材を除去する工程と、
    前記スペーサ形成層に現像液を用いて現像処理を施すことにより、スペーサを形成する工程と、
    前記スペーサの前記半導体ウエハーとは反対の面に、透明基板を接合する工程とを有することを特徴とする半導体ウエハー接合体の製造方法。
  9. 請求項1ないし7のいずれかに記載のスペーサ形成用フィルムを用意する工程と、
    前記スペーサ形成層を透明基板の一方の面側に貼着する工程と、
    前記支持基材を介して前記スペーサ形成層に選択的に前記露光光を照射することにより、露光処理を施す工程と、
    前記支持基材を除去する工程と、
    前記スペーサ形成層に現像液を用いて現像処理を施すことにより、スペーサを形成する工程と、
    前記スペーサの前記透明基板とは反対の面に、半導体ウエハーを接合する工程とを有することを特徴とする半導体ウエハー接合体の製造方法。
  10. 前記露光光を前記支持基材を介して前記スペーサ形成層に照射するに際しては、前記支持基材に対して前記スペーサ形成層とは反対側にマスクを設置し、該マスクを介して前記露光光の照射を行う請求項8または9に記載の半導体ウエハー接合体の製造方法。
  11. 前記マスクの設置に際し、前記マスクと、前記スペーサ形成層に対して前記支持基材とは反対側に設けられた前記半導体ウエハーまたは前記透明基板とにそれぞれ設けられたアライメントマークに基づいて、前記マスクの位置合わせを行う請求項10に記載の半導体ウエハー接合体の製造方法。
  12. 前記露光工程における前記マスクと前記支持基材との間の距離は、0〜2000μmである請求項10または11に記載の半導体ウエハー接合体の製造方法。
  13. 請求項8ないし12のいずれかに記載の製造方法により製造されたことを特徴とする半導体ウエハー接合体。
  14. 請求項1ないし7のいずれかに記載のスペーサ形成用フィルムを用いて形成されたスペーサを介して、半導体ウエハーと透明基板とが接合されていることを特徴とする半導体ウエハー接合体。
  15. 請求項13または14に記載の半導体ウエハー接合体を個片化することにより得られたことを特徴とする半導体装置。
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