JP2011057797A - タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】グリップ性能と耐久性能(耐摩耗性)を両立できるタイヤ用ゴム組成物、及びこれを用いた空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】ゴム成分と、酸と、窒素化合物と、ロジン誘導体とを含むタイヤ用ゴム組成物に関する。
【選択図】なし
【解決手段】ゴム成分と、酸と、窒素化合物と、ロジン誘導体とを含むタイヤ用ゴム組成物に関する。
【選択図】なし
Description
本発明は、タイヤ用ゴム組成物、及びそれを用いた空気入りタイヤに関する。
従来より、タイヤのトレッドゴムに関して、窒素化合物と酸を配合し、ヒステリシスロスを発生させ、タイヤのグリップ性能を向上させる方法が用いられてきた(例えば、特許文献1)。しかし、窒素化合物、酸を配合することにより、グリップ性能を向上させることはできるものの、耐久性能(耐摩耗性)が低下してしまうという問題があった。
本発明は、前記課題を解決し、グリップ性能と耐久性能(耐摩耗性)を両立できるタイヤ用ゴム組成物、及びこれを用いた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、ゴム成分と、酸と、窒素化合物と、ロジン誘導体とを含むタイヤ用ゴム組成物に関する。
上記ゴム成分として、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴムからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
上記酸が、カルボン酸又はフェノール誘導体であることが好ましい。
上記窒素化合物が、イミダゾール類であることが好ましい。
前記ロジン誘導体の酸価が100〜250mgKOH/gであることが好ましい。
上記タイヤ用ゴム組成物は、カーボンブラックを含むことが好ましい。
上記タイヤ用ゴム組成物が、トレッドに使用されることが好ましい。
本発明はまた、上記ゴム組成物を用いた空気入りタイヤに関する。上記空気入りタイヤが高性能タイヤであることが好ましい。
本発明によれば、ゴム成分と、酸と、窒素化合物と、ロジン誘導体とを含むタイヤ用ゴム組成物であるので、グリップ性能を向上させたまま、耐久性能(耐摩耗性)を向上させることができ、グリップ性能と耐久性能(耐摩耗性)を両立させた空気入りタイヤを提供できる。なお、耐久性能(耐摩耗性)とは、主にサーキット走行などの過酷な条件での走行によるゴムの耐摩耗性のことを指す。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、ゴム成分と、酸と、窒素化合物と、ロジン誘導体とを含む。
本発明で使用できるゴム成分としては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合ゴム(SIBR)等のジエン系ゴムを使用してもよい。これらジエン系ゴムは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、グリップ性能と耐久性の両立という理由から、NR、IR、SBR、BR、IIRが好ましく、SBR単独、又は、SBRと、BR若しくはNRとを併用することがより好ましく、SBRとNRを併用することが更に好ましい。
NRとしては、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。
本発明のゴム組成物がNRを含有する場合、ゴム成分100質量%中のNRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上である。5質量%未満であると、補強性の向上が充分に得られないおそれがある。NRの含有量は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下である。50質量%を超えると、tanδの低下が大きく、グリップ性能の低下が生じるおそれがある。
SBRとしては、特に限定されず、例えば、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E−SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S−SBR)等を使用できる。
SBRのスチレン含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは25質量%以上、更に好ましくは35質量%以上である。10質量%未満であると、tanδが低く、高いグリップ性能が得られないおそれがある。また、上記スチレン含有量は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下である。50質量%を超えると、常温でのゴム硬度が高すぎるため、グリップ性能を発揮できないおそれがある。
本発明のゴム組成物がSBRを含有する場合、ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上である。50質量%未満であると、tanδが充分に得られず、充分なグリップ性能が得られないおそれがある。SBRの含有量は、100質量%であってもよいが、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。90質量%を超えると、補強性の低下が生じるおそれがある。
BRとしては特に限定されず、例えば、日本ゼオン(株)製のBR1220、宇部興産(株)製のBR130B、BR150B等の高シス含有量のBR、宇部興産(株)製のVCR412、VCR617等のシンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR等を使用できる。なかでも、耐摩耗性が良好であるという理由から、BRのシス含量は95質量%以上が好ましい。
本発明のゴム組成物がBRを含有する場合、ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上である。3質量%未満であると、耐摩耗性の改善が得られないおそれがある。BRの含有量は、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。20質量%を超えると、tanδが低下することにより、グリップ性能の低下が生じるおそれがある。
本発明では、酸が使用される。酸としては、特に限定されず、例えば、カルボン酸、フェノール誘導体、スルホン酸等が挙げられる。なかでも、加硫特性に悪影響を与えにくいという理由から、カルボン酸、フェノール誘導体が好ましい。
カルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、オレイン酸などの脂肪族モノカルボン酸、コハク酸、マレイン酸などの脂肪族ジカルボン酸、安息香酸、安息香酸誘導体、ケイ皮酸、ナフトエ酸などの芳香族モノカルボン酸、フタル酸、無水フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸などの芳香族ポリカルボン酸が挙げられる。なかでも、芳香族モノカルボン酸が好ましく、安息香酸及び安息香酸誘導体がより好ましい。安息香酸誘導体としては、例えば、安息香酸に炭化水素基(アルキル基、アルコキシ基等)、水酸基等の官能基が導入されたものが挙げられ、具体的には、p−メチル安息香酸、p−メトキシ安息香酸、p−クロロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、サリチル酸等が挙げられる。
フェノール誘導体としては、下記一般式(I)〜(IV)に示す化合物等が挙げられる。
上記一般式(I)〜(IV)において、R1〜R7は、同一又は異なって、炭素数1〜10(好ましくは1〜6)の炭化水素基である。該炭化水素基としては、炭素数1〜10(好ましくは1〜6)のアルキル基、炭素数1〜10(好ましくは1〜6)のアルケニル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基等を挙げることができる。
nおよびn’は、同一又は異なって、0または1〜3の整数である。nおよびn’は、1〜2であることが好ましい。
mおよびm’は、同一又は異なって、1または2の整数である。mおよびm’は、1であることが好ましい。
sは、1〜3の整数である。sは、1〜2であることが好ましい。
tは、0または1〜3の整数である。tは、1〜2であることが好ましい。
mおよびm’は、同一又は異なって、1または2の整数である。mおよびm’は、1であることが好ましい。
sは、1〜3の整数である。sは、1〜2であることが好ましい。
tは、0または1〜3の整数である。tは、1〜2であることが好ましい。
Xは、酸素原子、硫黄原子およびハロゲン原子からなる群より選択される原子または該原子を含有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基である。炭化水素基としては、アルキレン基、シクロアルキレン基またはそれらの不飽和基を挙げることができる。例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、n−ブチレン基、i−ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基等を、また、不飽和基としてビニレン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基、ブチリデン基、イソブチリデン基、シクロヘキシレン基、エステル結合含有基、芳香族基等を挙げることができる。Xの好ましい具体例は、次の(1)〜(3)である。また、エステル結合含有基は、−CO−O−を含むグループであり、具体例として下記の(4)〜(7)で表されるものを例示することができる。
上記一般式(I)〜(IV)で表されるフェノール誘導体の具体例としては、例えば、2−tert−ブチルフェノール;2−エチル−6−メチルフェノール;2,6−ジ−tert−ブチルフェノール;3−メチル−2,6−ビス(1−メチルエチル)フェノール;4−メチル−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール;3−メチル−2,6−ビス(1−メチルプロピル)フェノール;2−ブチル−6−エチルフェノール;4−ブチル−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール;4−tert−ブチル−2,6−ジメチルフェノール;6−tert−ブチル−2,3−ジメチルフェノール;2−tert−ブチル−4−メチルフェノール;2−シクロヘキシル−6−tert−ブチルフェノール;2−シクロヘキシル−6−tert−ブチル−4−メチルフェノール;2−tert−ブチル−4,6−ジメチルフェノール;4,4'−ジヒドロキシビフェニル;4,4'−チオビスフェノール;ヒドロキノン;1,5−ヒドロキシナフタレン;4,4'−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール);4,4'−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール);4,4'−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール);4,4'−エチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール);4,4'−プロピリデンビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール);4,4'−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール);4,4'−ビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール);2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール);2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール);4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール);4,4'−イソプロピリデンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール);2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール);2,2'−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール);2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)等を挙げることができる。なかでも、窒素化合物と水素結合を形成しやすいという理由から、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)が好ましい。
上記酸は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
酸の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上である。1質量部未満であると、窒素化合物と水素結合を充分に形成できないおそれがある。酸の含有量は、好ましくは10質量部以下、より好ましくは7 質量部以下である。10質量部を超えると、破壊特性の低下を招くおそれがある。
本発明では、窒素化合物が使用される。窒素化合物は、水素結合を形成できるものが好ましく、このような窒素化合物をゴム組成物中に配合することで、中温条件(30〜50℃)下でのグリップ性能を向上させることができる。
窒素化合物は、チッ素を含む環状構造を1つ以上有することが好ましい。チッ素を含む環状構造を1つも含まないと、高温グリップ性能を改善できない傾向がある。
このような窒素化合物としては、例えば、ピペリジン誘導体、イミダゾール類、カプロラクタム類などがあげられる。なかでも、汎用品で入手しやすいという理由から、イミダゾール類が好ましい。
窒素化合物としてイミダゾール類を使用する場合、下記一般式(V)で表されるイミダゾール類を使用することが好ましい。
(式中、R8は、同一又は異なって、1価の直鎖状の炭化水素基、フェニル基、−OH、―CN、−NH2または−SHである。yは0〜4の整数であり、y個のR8の合計炭素数は10以下である。)
なかでも、立体障害が少なく酸との反応が効果的に起こりやすいという理由から、R8としては、1価の直鎖状の炭化水素基がより好ましく、アルキル基がさらに好ましく、メチル基が特に好ましい。また、強い水素結合を形成しやすいという理由から、1価の直鎖状の炭化水素基(アルキル基がさらに好ましく、メチル基が特に好ましい)と、フェニル基の組合せがより好ましい。
置換基R8の数yは0〜4の整数が好ましく、置換基R8の数が多いと立体障害となりうるという理由から、1〜2がより好ましく、2が更に好ましい。
また、y個のR8の合計炭素数は10以下が好ましく、7以下がより好ましい。R8の合計炭素数が11以上では、立体障害が大きく、効果的に水素結合を形成することができず、グリップ性能の充分な改善効果が得られない傾向がある。
上記一般式(V)で表されるイミダゾール類の具体例としては、例えば、イミダゾール、1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、1−エチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、1−プロピルイミダゾール、2−プロピルイミダゾール、1−シアノイミダゾール、2−シアノイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1,2−ジエチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−エチルイミダゾール、1−メチル−2−ベンジルイミダゾール、1−エチル−2−ベンジルイミダゾール等が挙げられる。なかでも、加硫特性への悪影響が低く、酸との水素結合が形成しやすいという理由から、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾールが好ましい。
窒素化合物は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、2種以上を組み合わせても効果が小さく、さらにゴム強度が低下するという理由から、1種のみで用いるのが好ましい。
窒素化合物の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上である。1質量部未満であると、酸化合物と充分な水素結合が形成されないおそれがある。窒素化合物の含有量は、好ましくは10質量部以下、より好ましくは7質量部以下である。10質量部を超えると、破壊特性が低下するおそれがある。
本発明では、ロジン誘導体が使用される。ロジン誘導体としては、特に限定されないが、カルボキシル基が残存又は導入された化合物を好適に使用できる。このような化合物としては、例えば、ロジンと多価アルコールとのエステル(ロジンエステル)、ロジンと多塩基酸(例えば、無水マレイン酸)との反応生成物(ロジン−無水マレイン酸付加体で構成されたロジン変性マレイン酸樹脂など)、ロジン−無水マレイン酸付加体と多価アルコールとのエステル、多価アルコールの存在下でロジンと無水マレイン酸とを反応させて生成したエステル(エステル型ロジン変性マレイン酸樹脂)などがあげられる。
前記多価アルコールには、例えば、ジオール(エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサンジオールなどのアルキレングリコール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコールなど);グリセリン、ペンタリスリトール、ジペンタエリスリトールなどが例示される。これらの多価アルコールは一種または二種以上使用できる。なお、ロジン誘導体の酸価の調整には一価アルコールを併用してもよい。
前記多価アルコールには、例えば、ジオール(エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサンジオールなどのアルキレングリコール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコールなど);グリセリン、ペンタリスリトール、ジペンタエリスリトールなどが例示される。これらの多価アルコールは一種または二種以上使用できる。なお、ロジン誘導体の酸価の調整には一価アルコールを併用してもよい。
上記のロジン誘導体のなかでも、窒素化合物と水素結合を形成しやすいという理由から、ロジンと二塩基酸(例えば、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸等)との反応生成物、及びそのエステルが好ましい。ロジンと二塩基酸との反応生成物、及びそのエステルの具体例としては、理化ハーキュレス(株)製のペンタリン255、ペンタリン261、ペンタリン269、ハリマ化成(株)製のハリエスターMSR−4、ハリマックT−80、ハリマックFX−25、ハリマックAS−5などが挙げられる。ロジン誘導体は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ロジン誘導体の軟化点は、70℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましい。ロジン誘導体の軟化点が70℃未満では、高温時のグリップ性能が低下するおそれがある。また、ロジン誘導体の軟化点は、180℃以下が好ましく、150℃以下がより好ましい。ロジン誘導体の軟化点が180℃をこえると、混練時の分散性が悪化するおそれがある。
なお、ロジン誘導体の軟化点は、環球法(JIS K2207)により測定した値である。
なお、ロジン誘導体の軟化点は、環球法(JIS K2207)により測定した値である。
ロジン誘導体の酸価(mgKOH/g)は、好ましくは100以上、より好ましくは110以上、更に好ましくは120以上、特に好ましくは130以上、最も好ましくは150以上である。100未満であると、窒素化合物との水素結合が弱く、充分なtanδの向上が得られないおそれがある。
ロジン誘導体の酸価は、好ましくは250以下、より好ましくは240以下、更に好ましくは230以下である。
250を超えると、窒素化合物との水素結合は良好なものの、ゴムとの相溶性が悪化することで、強度の低下が生じるおそれがある。
酸価とは、樹脂1g中に含まれる酸を中和するのに要する水酸化カリウムの量をミリグラム数で表したものである。
ロジン誘導体の酸価は、好ましくは250以下、より好ましくは240以下、更に好ましくは230以下である。
250を超えると、窒素化合物との水素結合は良好なものの、ゴムとの相溶性が悪化することで、強度の低下が生じるおそれがある。
酸価とは、樹脂1g中に含まれる酸を中和するのに要する水酸化カリウムの量をミリグラム数で表したものである。
ロジン誘導体の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上である。1質量部未満であると、窒素化合物との水素結合が弱く、充分なtanδの向上が得られないおそれがある。ロジン誘導体の含有量は、好ましくは25質量部以下、より好ましくは15質量部以下、更に好ましくは12質量部以下である。25質量部を超えると、ゴムが硬くなりすぎることで、グリップ性能の低下が生じるおそれがある。
本発明のゴム組成物は、カーボンブラックを含有することが好ましい。使用できるカーボンブラックとしては、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAFなどが挙げられるが、特に限定されない。カーボンブラックを配合することにより、補強性を高めることができるとともに、グリップ性能を改善できる。
カーボンブラックのチッ素吸着比表面積(N2SA)は100m2/g以上が好ましく、
115m2/g以上がより好ましく、125m2/g以上が更に好ましく、135m2/g以上が特に好ましい。100m2/g未満では、充分な補強性とtanδの向上が得られないおそれがある。また、カーボンブラックのチッ素吸着比表面積は400m2/g以下が好ましく、350m2/g以下がより好ましく、200m2/g以下が更に好ましい。400m2/gを超えると、分散性が悪化することで、カーボンブラックの性能を充分に発揮できないおそれがある。
なお、カーボンブラックのチッ素吸着比表面積は、JIS K6217のA法によって求められる。
115m2/g以上がより好ましく、125m2/g以上が更に好ましく、135m2/g以上が特に好ましい。100m2/g未満では、充分な補強性とtanδの向上が得られないおそれがある。また、カーボンブラックのチッ素吸着比表面積は400m2/g以下が好ましく、350m2/g以下がより好ましく、200m2/g以下が更に好ましい。400m2/gを超えると、分散性が悪化することで、カーボンブラックの性能を充分に発揮できないおそれがある。
なお、カーボンブラックのチッ素吸着比表面積は、JIS K6217のA法によって求められる。
上記ゴム組成物がカーボンブラックを含有する場合、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは20質量部以上、より好ましくは60質量部以上、更に好ましくは80質量部以上である。20質量部未満では、充分な補強性が得られないおそれがある。また、該カーボンブラックの含有量は、好ましくは200質量部以下、より好ましくは180質量部以下、更に好ましくは160質量部以下、特に好ましくは120質量部以下である。200質量部を超えると、ゴムの伸びが低下することで、ゴム欠けによる摩耗の悪化が生じやすくなる傾向がある。
本発明のゴム組成物には、前記成分以外にも、ゴム組成物の製造に一般に使用される配合剤、例えば、シリカ等の補強用充填剤、シランカップリング剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、各種老化防止剤、オイル、ワックス、加硫剤、加硫促進剤などを適宜配合することができる。
本発明のゴム組成物は、オイルを配合してもよい。オイルを配合することにより、加工性を改善するとともに、ロジンの分散性も改善できる。オイルとしては、例えば、プロセスオイル、植物油脂、又はその混合物を用いることができる。
プロセスオイルとしては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどを用いることができる。パラフィン系プロセスオイルとして、具体的には出光興産(株)製のPW−32、PW−90、PW−150、PS−32などが挙げられる。また、アロマ系プロセスオイルとして、具体的には出光興産(株)製のAC−12、AC−460、AH−16、AH−24、AH−58、ジャパンエナジー社製のプロセスX−260などが挙げられる。植物油脂としては、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生湯、ロジン、パインオイル、パインタール、トール油、コーン油、こめ油、べに花油、ごま油、オリーブ油、ひまわり油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、桐油等が挙げられる。なかでも、ゴムへの相溶性が高いという理由から、アロマ系プロセスオイルが好適に用いられる。
プロセスオイルとしては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどを用いることができる。パラフィン系プロセスオイルとして、具体的には出光興産(株)製のPW−32、PW−90、PW−150、PS−32などが挙げられる。また、アロマ系プロセスオイルとして、具体的には出光興産(株)製のAC−12、AC−460、AH−16、AH−24、AH−58、ジャパンエナジー社製のプロセスX−260などが挙げられる。植物油脂としては、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生湯、ロジン、パインオイル、パインタール、トール油、コーン油、こめ油、べに花油、ごま油、オリーブ油、ひまわり油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、桐油等が挙げられる。なかでも、ゴムへの相溶性が高いという理由から、アロマ系プロセスオイルが好適に用いられる。
上記ゴム組成物がオイルを含有する場合、オイルの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは20質量部以上、より好ましくは50質量部以上、更に好ましくは60質量部以上である。20質量部未満では、ゴムへの軟化作用が不充分で、充分なグリップ性能が得られないおそれがある。また、オイルの含有量は、好ましくは180質量部以下、より好ましくは120質量部以下である。180質量部を超えると、補強性を確保することが困難であるおそれがある。
本発明のゴム組成物は、一般的な方法で製造される。すなわち、バンバリーミキサーやニーダー、オープンロールなどで前記各成分を混練りし、その後加硫する方法等により製造できる。該ゴム組成物は、タイヤの各部材に使用でき、なかでも、トレッド(キャップトレッド、ベーストレッド)に好適に使用できる。
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法で製造される。
すなわち、前記成分を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でトレッドなどの各タイヤ部材の形状にあわせて押出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することによりタイヤを得る。
すなわち、前記成分を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でトレッドなどの各タイヤ部材の形状にあわせて押出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することによりタイヤを得る。
本発明の空気入りタイヤは、乗用車用タイヤ、トラック・バス用タイヤ、二輪車用タイヤ、高性能タイヤ等として好適に用いられ、特に高性能タイヤとして好適に用いられる。本発明により得られる空気入りタイヤは、グリップ性能と耐久性能(耐摩耗性)を両立できる。
なお、本明細書における高性能タイヤとは、ドライグリップ性能に特に優れたタイヤであり、競技車両に使用する競技用タイヤをも含む概念である。
なお、本明細書における高性能タイヤとは、ドライグリップ性能に特に優れたタイヤであり、競技車両に使用する競技用タイヤをも含む概念である。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
NR:TSR20
SBR:旭化成(株)製のタフデン4350(スチレン含有量:39質量%、ゴム固形分100質量部に対してオイル分50質量部含有)
BR:宇部興産(株)製のBR150B(シス含量:97質量%)
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN110(N2SA:144m2/g)
ロジン:ハリマ化成(株)製のトールロジンR−X(軟化点:75℃、酸価:169mgKOH/g)
ロジン誘導体1:ハリマ化成(株)製のAS−5(ロジン変性マレイン酸樹脂(ロジン変性特殊合成樹脂))(軟化点:160℃、酸価:197mgKOH/g)
ロジン誘導体2:ハリマ化成(株)製のMSR−4(ロジンエステル(ロジン変性特殊合成樹脂))(軟化点:127℃、酸価:125mgKOH/g)
窒素化合物1:四国化成(株)製の1B2MZ(1−ベンジル−2−メチルイミダゾール)
窒素化合物2:四国化成(株)製の1.2DMZ(1,2−ジメチルイミダゾール)
酸1:川口化学(株)製のアンテージW300(4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール))
酸2:川口化学(株)製のアンテージW400(2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール))
老化防止剤6C:フレキシス社製サントフレックス13
老化防止剤224:フレキシス社製ノクラック224
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸
酸化亜鉛:三井金属工業(株)製の酸化亜鉛2種
アロマオイル:ジャパンエナジー社製のプロセスX−260
粘着付与樹脂:新日鐵化学(株)製のエスクロンV120(軟化点:120℃、酸価:0.30mgKOH/g)
硫黄:鶴見化学(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS
NR:TSR20
SBR:旭化成(株)製のタフデン4350(スチレン含有量:39質量%、ゴム固形分100質量部に対してオイル分50質量部含有)
BR:宇部興産(株)製のBR150B(シス含量:97質量%)
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN110(N2SA:144m2/g)
ロジン:ハリマ化成(株)製のトールロジンR−X(軟化点:75℃、酸価:169mgKOH/g)
ロジン誘導体1:ハリマ化成(株)製のAS−5(ロジン変性マレイン酸樹脂(ロジン変性特殊合成樹脂))(軟化点:160℃、酸価:197mgKOH/g)
ロジン誘導体2:ハリマ化成(株)製のMSR−4(ロジンエステル(ロジン変性特殊合成樹脂))(軟化点:127℃、酸価:125mgKOH/g)
窒素化合物1:四国化成(株)製の1B2MZ(1−ベンジル−2−メチルイミダゾール)
窒素化合物2:四国化成(株)製の1.2DMZ(1,2−ジメチルイミダゾール)
酸1:川口化学(株)製のアンテージW300(4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール))
酸2:川口化学(株)製のアンテージW400(2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール))
老化防止剤6C:フレキシス社製サントフレックス13
老化防止剤224:フレキシス社製ノクラック224
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸
酸化亜鉛:三井金属工業(株)製の酸化亜鉛2種
アロマオイル:ジャパンエナジー社製のプロセスX−260
粘着付与樹脂:新日鐵化学(株)製のエスクロンV120(軟化点:120℃、酸価:0.30mgKOH/g)
硫黄:鶴見化学(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS
実施例1〜7及び比較例1〜4
表1に示す配合内容に従い、BP型バンバリーミキサーを用いて、配合材料のうち、硫黄、加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で3分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄、加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、80℃の条件下で5分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。
得られた未加硫ゴム組成物をトレッド形状に成形し、他のタイヤ部材と貼り合わせてタイヤに成形し、170℃で12分間加硫することで試験用タイヤ(タイヤサイズ:195/65R15)を製造した。
表1に示す配合内容に従い、BP型バンバリーミキサーを用いて、配合材料のうち、硫黄、加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で3分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄、加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、80℃の条件下で5分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。
得られた未加硫ゴム組成物をトレッド形状に成形し、他のタイヤ部材と貼り合わせてタイヤに成形し、170℃で12分間加硫することで試験用タイヤ(タイヤサイズ:195/65R15)を製造した。
得られた試験用タイヤを使用して、下記の評価を行った。それぞれの試験結果を表1に示す。
(グリップ性能)
得られた試験用タイヤを乗用車(排気量2000ccの)の全輪に装着し、テストコース(ドライアスファルト路面)を10周走行した。操舵時のコントロールの安定性をテストドライバーが評価し、比較例1を100として指数表示をした。指数が大きいほど、ドライ路面におけるグリップ性能に優れている。
得られた試験用タイヤを乗用車(排気量2000ccの)の全輪に装着し、テストコース(ドライアスファルト路面)を10周走行した。操舵時のコントロールの安定性をテストドライバーが評価し、比較例1を100として指数表示をした。指数が大きいほど、ドライ路面におけるグリップ性能に優れている。
(耐久性能(耐摩耗性))
得られた試験用タイヤを乗用車(排気量2000ccの)の全輪に装着し、テストコース(ドライアスファルト路面)を30km走行した。その際におけるタイヤトレッドゴムの残溝量を計測し、耐久性として評価した。残溝量が多いほど、耐久性能(耐摩耗性)に優れている。
得られた試験用タイヤを乗用車(排気量2000ccの)の全輪に装着し、テストコース(ドライアスファルト路面)を30km走行した。その際におけるタイヤトレッドゴムの残溝量を計測し、耐久性として評価した。残溝量が多いほど、耐久性能(耐摩耗性)に優れている。
酸と、窒素化合物と、ロジン誘導体とを含む実施例では、グリップ性能を向上させたまま、耐久性能(耐摩耗性)を向上させることができ、グリップ性能と耐久性能(耐摩耗性)のバランスが優れていた。実施例1と実施例2とを比較すると、ロジン誘導体の量が10質量部と実施例1よりも多い実施例2の方が、耐久性能(耐摩耗性)を維持しつつ、グリップ性能を向上できる傾向が見られた。SBRとNRを併用した実施例4では、SBRのみを配合した実施例1と比較して、耐久性能(耐摩耗性)の向上効果が高かった。実施例1と実施例6とを比較すると、窒素化合物を減量し、酸を増量すると、耐久性能(耐摩耗性)の向上効果が高かった。また、実施例1と実施例7とを比較すると、窒素化合物を増量し、酸を減量すると、グリップ性能の向上効果が高かった。
一方、酸、窒素化合物、ロジン誘導体のいずれも含まない比較例1、酸、窒素化合物を含み、ロジン誘導体を含まない比較例2〜4では、実施例と比較して、グリップ性能と耐久性能(耐摩耗性)のバランスが悪かった。
Claims (9)
- ゴム成分と、酸と、窒素化合物と、ロジン誘導体とを含むタイヤ用ゴム組成物。
- 前記ゴム成分として、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴムからなる群より選択される少なくとも1種を含む請求項1記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 前記酸が、カルボン酸又はフェノール誘導体である請求項1又は2記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 前記窒素化合物が、イミダゾール類である請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 前記ロジン誘導体の酸価が100〜250mgKOH/gである請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
- カーボンブラックを含む請求項1〜5のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
- トレッドに使用される請求項1〜6のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のゴム組成物を用いた空気入りタイヤ。
- 高性能タイヤである請求項8記載の空気入りタイヤ。
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JP2009207364A JP2011057797A (ja) | 2009-09-08 | 2009-09-08 | タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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FR2999582A1 (fr) * | 2012-12-17 | 2014-06-20 | Michelin & Cie | Pneumatique comportant une composition de caoutchouc comprenant une resine epoxyde et un poly-acide |
CN105246708A (zh) * | 2013-05-28 | 2016-01-13 | 米其林集团总公司 | 包含含有由多元羧酸交联的乙烯类环氧弹性体的橡胶组合物的轮胎 |
JP2017075227A (ja) * | 2015-10-14 | 2017-04-20 | 住友ゴム工業株式会社 | タイヤ |
WO2018128141A1 (ja) | 2017-01-06 | 2018-07-12 | 住友ゴム工業株式会社 | 加硫後ゴム組成物及び空気入りタイヤ |
WO2021251054A1 (ja) * | 2020-06-08 | 2021-12-16 | ハリマ化成株式会社 | タイヤ用ゴム改質剤およびタイヤ用ゴム組成物 |
-
2009
- 2009-09-08 JP JP2009207364A patent/JP2011057797A/ja active Pending
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