JP2011056534A - 摩擦攪拌接合方法及び異種金属接合体 - Google Patents
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Abstract
【課題】より強固な接合体を比較的容易に作製可能な摩擦攪拌接合方法、及び異種金属接合体を提供する。
【解決手段】摩擦攪拌接合方法は、アルミニウム板20と銅板30とを重ね合わせて回転するプローブ10をアルミニウム板20側から銅板30側へ加圧挿入してアルミニウム板20と銅板30とを接合する方法であって、アルミニウム板20と銅板30との界面温度がアルミニウムと銅の再結晶温度以上、且つ、アルミニウムと銅との共晶温度未満となるように、プローブ10を加圧挿入する。
【選択図】図1
【解決手段】摩擦攪拌接合方法は、アルミニウム板20と銅板30とを重ね合わせて回転するプローブ10をアルミニウム板20側から銅板30側へ加圧挿入してアルミニウム板20と銅板30とを接合する方法であって、アルミニウム板20と銅板30との界面温度がアルミニウムと銅の再結晶温度以上、且つ、アルミニウムと銅との共晶温度未満となるように、プローブ10を加圧挿入する。
【選択図】図1
Description
本発明は、摩擦攪拌接合方法及び異種金属接合体に関する。
従来、接合界面に脆い金属間化合物層を断続的に形成させた異種金属接合構造体が提案されている(特許文献1参照)。この異種金属接合構造体によれば、脆い金属間化合物層が断続的に形成されているため、金属間化合物層で生じた亀裂が延性の高い母材で止められることとなり、強度を高めることができる。
また、この異種金属接合構造体を作製するにあたっては、丸棒などの形状を有する二種の異種金属の先端を突き合わせて、部材自体を回転させながら界面部に圧力が掛かるように押し込むようにしている。この際、摩擦圧力、回転数及び摩擦時間が適切とされ、特に摩擦時間については接合界面近傍温度とトルクとの関係から導き出される。
また、異種金属の重ね継ぎ手を作製する摩擦攪拌接合方法が提案されている(特許文献2参照)。この摩擦攪拌接合方法では、アルミニウムニウム合金と鋼板とを重ね合わせ、アルミニウムニウム合金側から鋼板近傍まで回転プローブを挿入することで重ね継ぎ手(すなわち点接合体)を作製する。この方法によれば、接合界面に酸素を含むアモルファス層が形成される。このアモルファス層からなる接合界面が、接合界面において脆い金属間化合物が生成されることを防ぎつつ、異種金属間の接合界面における熱収縮の差による応力集中を緩和して、接合を強固とする。
しかし、特許文献1に記載の異種金属接合構造体は、金属間化合物層の厚さが0.5〜1.0μmや0.8〜1.5μmとなっている。このため、金属間化合物層が厚過ぎるといえ、このレベルの厚さとなると機械的特性(強度)の低下を招いてしまう。すなわち、特許文献1に記載の異種金属接合構造体は、強固な接合体であると言い難い。
さらに、特許文献1に記載の異種金属接合構造体は、押し付けた部材自体を回転させる工法であるため、その性質上、適用できる部材が丸棒などの形状に限定され、且つ、任意の場所に接合部を形成することが困難となってしまう。加えて、特許文献2に記載の方法では、接合界面に酸素を含むアモルファス層を形成する必要がある。しかし、接合界面に酸素を含むアモルファス層を形成することは困難である。よって、特許文献1及び特許文献2に記載の方法は、接合体の作製が困難となっている。
本発明はこのような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、より強固な接合体を比較的容易に作製可能な摩擦攪拌接合方法、及び異種金属接合体を提供することにある。
本発明の摩擦攪拌接合方法は、アルミニウム板と銅板とを重ね合わせて回転するプローブをアルミニウム板側から銅板側へ加圧挿入してアルミニウム板と銅板とを接合する摩擦攪拌接合方法であって、アルミニウム板と銅板との界面温度がアルミニウムと銅の再結晶温度以上、且つ、アルミニウムと銅との共晶温度未満となるように、前記プローブを加圧挿入することを特徴とする。
この摩擦攪拌接合方法によれば、アルミニウム板と銅板とを重ね合わせて回転するプローブをアルミニウム板側から銅板側へ加圧挿入してアルミニウム板と銅板とを接合するため、プローブの挿入箇所が接合点となり接合箇所の限定を受けない。さらに、棒状の金属を回転させる必要がなく、接合する金属の形状にとらわれることなく、接合体を作製することができる。
さらに、アルミニウム板と銅板との界面温度が銅の再結晶温度以上、且つ、アルミニウムと銅との共晶温度未満となるように、プローブを加圧挿入する。ここで、アルミニウムの再結晶温度は約200度であり、銅の再結晶温度は250度であるため、界面温度は250度以上とされる。この温度以上であるとアルミニウム表面に予め形成されている酸化膜が破壊され、接合体を形成する場合に接合強度の低下原因となる物質が除去されることとなる。また、アルミニウムと銅との共晶温度は約548度であり、この温度未満であると、アルミニウムと銅との金属間化合物が多量に生成されず、金属間化合物層の厚さが大きくなり過ぎず、接合強度の低下を招き難くなる。よって、より強固な接合体を得ることができる。特に、本発明ではアモルファス層の形成による作製の困難性を有しない。
以上より、より強固な接合体を比較的容易に作製することができる。
また、本発明の摩擦攪拌接合方法は、アルミニウム板と銅板との界面温度が300度以上、且つ、アルミニウムと銅との共晶温度未満となるように、前記プローブを加圧挿入することが好ましい。
この摩擦攪拌接合方法によれば、界面温度が300度以上、且つ、アルミニウムと銅との共晶温度未満となるように、プローブを加圧挿入する。ここで、接合体を作製する際には、なるべく早くに接合体を作製完了することが望ましい。ここで、界面温度がアルミニウムと銅との再結晶温度付近の場合、アルミニウムの酸化膜破壊に時間が掛かってしまい、酸化膜の破壊終了までの時間分プローブを回転させ続けなければ、より強固な接合体を得ることができなくなってしまう。ところが、界面温度が300度以上となるようにすることで、界面温度が目的とする温度に達した段階で作製する完了とすることができ、作製時間の短縮につながると共に、より強固な接合体を得ることができる。
また、本発明の異種金属接合体は、上記の摩擦攪拌接合方法によって作製された異種金属接合体であって、アルミニウム板と銅板との界面における金属間化合物層の厚さが200nm以下であることを特徴とする。
この接合体によれば、アルミニウム板と銅板との界面における金属間化合物層の厚さが200nm以下であるため、せん断強度比は略100%となり、より強固な接合体とすることができる。
本発明によれば、より強固な接合体を比較的容易に作製することができる。
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態に係る摩擦攪拌接合方法を示す概略図であって、(a)は第1の工程を示し、(b)は第2の工程を示し、(c)は第3の工程を示している。
本実施形態に係る摩擦攪拌接合方法は、図1(a)〜(c)に示すように、プロープ10を回転させながら強い力で押し付けることで、摩擦熱を発生させて部材を軟化させると共に、プローブ10の回転力によってプローブ10周辺の部材を塑性流動させることで複数の部材を一体化させる方法である。本実施形態において接合される部材は、アルミニウム板20と銅板30である。
具体的には、図1(a)に示すように、アルミニウム板20と銅板30とを接合部位が重なるように配置して治具などで固定する。次いで、図1(b)に示すように、回転したプローブ10を低融点材料であるアルミニウム板20側から加圧挿入していく。このとき、プローブ10はアルミニウム板20を突き抜けることがないようにアルミニウム板20のみに加圧挿入される。プローブ10を加圧挿入する際の条件には、プローブ10の回転数、押し込み量、押し込み荷重、押し込み速度、及び保持時間などがある。そして、プローブ10が予め設定した条件に達した場合、図1(c)に示すように、プローブ10が引き抜かれることとなる。
これにより、アルミニウム板20と銅板30とは一体化され、異種金属の接合体が形成されることとなる。特に、この接合方法によれば、プローブ10の挿入箇所が接合点となり接合箇所の限定を受けない。さらに、棒状の金属を回転させる必要がなく、接合する金属の形状にとらわれることなく、接合体を作製することができる。なお、本実施形態の方法によれば、接合体のアルミニウム板20にはプローブ10が加圧挿入されるため、アルミニウム板20に挿入痕(凹状痕)20aが形成される。
また、本実施形態に係る摩擦攪拌接合方法では、アルミニウム板20と銅板30との界面温度が以下の温度条件となるように設定される。すなわち、本実施形態において、アルミニウム板20と銅板30との界面温度は、アルミニウムと銅の再結晶温度以上とされる。ここで、アルミニウムの再結晶温度は約200度であり、銅の再結晶温度は250度である。このため、実質的に界面温度は250度以上とされる。この温度以上であるとアルミニウム表面に予め形成されている酸化膜が破壊される。ここで、酸化膜は、異種金属接合体を形成する場合に接合強度の低下原因となる物質である。このため、界面温度を250度以上とすることで、酸化膜が除去され、より接合強度が高い接合体を得ることができる。
さらに、本実施形態に係る摩擦攪拌接合方法では、界面温度がアルミニウムと銅との共晶温度未満となるように設定される。ここで、アルミニウムと銅との共晶温度は約548度である。界面温度が共晶温度以上となると、金属間化合物が多量に生成される傾向にある。特に、金属間化合物は脆いことが知られており、多量に生成されて金属間化合物層が厚くなると接合強度の低下を招くこととなる。このため、界面温度が共晶温度未満であると、金属間化合物層が厚くなり過ぎず、より接合強度が高い接合体を得ることができる。
さらに、本実施形態において界面温度は300度以上となるように設定されることが望ましい。接合体を作製する際には、なるべく早くに接合体を作製完了することが望ましい。ここで、界面温度がアルミニウムと銅との再結晶温度付近の場合、アルミニウムの酸化膜破壊に時間が掛かってしまい、酸化膜の破壊終了までの時間分プローブ10を回転させ続けなければ、より強固な接合体を得ることができなくなってしまう。ところが、界面温度が300度以上となるようにすることで、界面温度が目的とする温度に達した段階で作製する完了とすることができ、作製時間の短縮につながると共に、より強固な接合体を得ることができる。
図2は、本実施形態に係る摩擦攪拌接合方法によって得られた異種金属接合体を示す断面図であって、(a)は再結晶温度未満で接合した場合の断面を示し、(b)は再結晶温度よりやや高い温度で接合した場合の断面を示し、(c)は共晶温度よりやや低い温度で接合した場合の断面を示している。
界面温度が再結晶温度未満となるように接合を行った場合、アルミニウムの酸化膜が除去され難くなってしまう。このため、図2(a)に示すように、アルミニウム板20と銅板30との間には酸化膜40が介在することとなり、接合強度の低下を招くこととなる。
また、界面温度が再結晶温度よりやや高い温度となるように接合した場合、アルミニウムの酸化膜40が好適に破壊されることとなる。このため、図2(b)に示すように、アルミニウム板20と銅板30との間には酸化膜40が介在せず、アルミニウム板20と銅板30との接触面積が大きくなり、接合強度が向上することとなる。
さらに、界面温度が共晶温度よりやや低い温度となるように接合した場合も同様である。すなわち、図2(c)に示すように、アルミニウム板20と銅板30との間には酸化膜40が介在せず、アルミニウム板20と銅板30との接触面積が大きくなり、接合強度が向上することとなる。
ここで、図2(b)と図2(c)とに示す例では、金属間化合物層50の厚さ(量)が異なっている。これは、より共晶温度に近い方(図2(c)の例)が、金属間化合物が多く生成される傾向にあるためである。なお、図2(c)に示す例では、図2(b)に示す例よりも金属間化合物が多く生成されるものの、界面温度が共晶温度未満であるため、界面温度を共晶温度以上とした場合と比較すると、金属間化合物の量は格段に少ないといえる。
次に、実施例を説明する。1.5mmの板厚のアルミニウム板20及び1.0mmの板厚の銅板30を重ね合わせ、6mm径のプローブ10を図3に示す条件でアルミニウム板20側から加圧挿入した。また、加圧挿入後、図3に示す残厚比に達した段階で保持することなく(すなわち保持時間を「0」とし)、アルミニウム板20からプローブ10を引き抜いた。
図3は、押し込み圧力とアルミニウム板20の残厚比毎の測定界面温度を示す図である。
まず、アルミニウム板20の残厚比が0.33となるようにプローブ10を加圧挿入した場合(すなわちアルミニウム板20に対してプローブ10を1.0mm分押し込むようにした場合)、界面温度は、押し込み圧力106MPaで約372度となり、押し込み圧力124MPaで約360度となり、押し込み圧力142MPaで約316度となった。
同様に、アルミニウム板20の残厚比が0.47となるようにプローブ10を加圧挿入した場合(すなわちアルミニウム板20に対してプローブ10を0.8mm分押し込むようにした場合)、界面温度は、押し込み圧力88MPaで約345度となり、押し込み圧力106MPaで約361度となり、押し込み圧力124MPaで約337度となり、押し込み圧力142MPaで約301度となった。
また、アルミニウム板20の残厚比が0.60となるようにプローブ10を加圧挿入した場合(すなわちアルミニウム板20に対してプローブ10を0.6mm分押し込むようにした場合)、界面温度は、押し込み圧力88MPaで約338度となり、押し込み圧力106MPaで約329度となり、押し込み圧力124MPaで約320度となり、押し込み圧力142MPaで約290度となった。
また、アルミニウム板20の残厚比が0.73となるようにプローブ10を加圧挿入した場合(すなわちアルミニウム板20に対してプローブ10を0.4mm分押し込むようにした場合)、界面温度は、押し込み圧力88MPaで約296度となり、押し込み圧力106MPaで約288度となり、押し込み圧力124MPaで約257度となり、押し込み圧力142MPaで約225度となった。
さらに、アルミニウム板20の残厚比が0.87となるようにプローブ10を加圧挿入した場合(すなわちアルミニウム板20に対してプローブ10を0.2mm分押し込むようにした場合)、界面温度は、押し込み圧力88MPaで約244度となり、押し込み圧力106MPaで約237度となり、押し込み圧力124MPaで約202度となり、押し込み圧力142MPaで約187度となった。
図4は、界面温度とせん断強度(接合強度)との相関を示す図である。なお、図4に示す相関は図3に示すように保持時間を「0」にして測定されたものである。図4に示すように、せん断強度は、界面温度が200度程度の場合に略0Nとなっている。これは、界面温度が再結晶温度を下回るため、酸化膜が破壊されておらずアルミニウムと銅との金属同士の接触面積が少ないためである。
また、せん断強度は界面温度が260度の場合に155Nとなっている。すなわち、界面温度が再結晶温度を上回るため、酸化膜が破壊されてアルミニウムと銅との金属同士の接触面積が増えたためである。なお、図3に示す実施例では、保持時間を「0」としている。このため、酸化膜の破壊は充分ではなく、せん断強度は充分高まっていない。
ところが、界面温度が300度を超えて約310度から約450度の範囲内の場合、せん断強度は800Nから1000Nとなり、飛躍的に高まることとなる。これは、上記したように保持時間がなくとも酸化膜の破壊が充分に行われ、アルミニウムと銅との金属同士の接触面積が充分に増加したためである。
また、界面温度が共晶温度よりやや低い540度の場合、せん断強度は720N程度となる。これは、酸化膜の破壊が充分の行われたものの、強度的に脆い金属間化合物が比較的多く生成されたためである。
さらに、界面温度が共晶温度を超えた670度となると、せん断強度は540N程度となり低下を示す。これは、界面温度が共晶温度以上であるため、金属間化合物が機械的強度に影響を与えるほど多量に生成されたためである。
このように、界面温度はアルミニウムと銅の再結晶温度以上、且つ、共晶温度未満であることが好ましく、300度以上、且つ、共晶温度未満であることが一層好ましいといえる。
再度、図3を参照する。図3では、せん断強度が約690N以上を示す場合を「強度OK」とし、約690未満を「強度NG」としている。また、アルミ板20と銅板30とがある程度接合されていれば、アルミ板20と銅板30との導電性を確保でき、異種金属接合体を導電部材として使用することができる。図3では、導電部材として使用できる場合を「導電性OK」とし、導電部材として使用できない場合を「導電性NG」とした。
図3からも明らかなように、界面温度をアルミニウムと銅の再結晶温度以上、且つ、共晶温度未満とした場合、強度にやや問題があるものの異種金属接合体を導電部材として用いることができる(すなわち「導電性OK」)。さらに、界面温度を300度以上とした場合には、強度的にも優れ且つ導電部材として用いることができる異種金属接合体を提供できることとなる(すなわち「強度OK」)。なお、図3に示す例では保持時間が「0」であるため、アルミニウムと銅との再結晶温度以上300度未満の範囲において「強度NG」となっているが、保持時間を充分に確保すれば、この温度範囲であっても「強度OK」となる。
次に、本実施形態に係る摩擦攪拌接合方法によって作成された異種金属接合体の金属間化合物について説明する。なお、以下の説明では上述と同様に保持時間は「0」となっている。
まず、6mm径のプローブ10を使用し界面温度を320℃とした場合、金属間化合物層の厚さは約20nm〜30nmとなった。また、6mm径のプローブ10を使用し界面温度を340℃とした場合、金属間化合物層の厚さは約80nmとなった。
同様に、10mm径のプローブ10を使用し界面温度を420℃とした場合、金属間化合物層の厚さは約60nm〜130nmとなった。また、10mm径のプローブ10を使用し界面温度を490℃とした場合、金属間化合物層の厚さは約200nmとなった。
このように、本実施形態に係る摩擦攪拌接合方法により作成された異種金属接合体は、金属間化合物層の厚さが200nm以下となる。
これに対し、10mm径のプローブ10を使用し界面温度を共晶温度以上の570℃とした場合、金属間化合物層の厚さは約50000nm〜60000nmとなった。このように、界面温度が共晶温度以上となると金属間化合物が多量に生成され、金属間化合物層が厚くなってしまう。これにより、接合強度が低下してしまう。
図5は、金属間化合物層の厚さとせん断強度の比との相関を示す図である。図5に示すように、金属間化合物層の厚さが「0」に近づくほど、せん断強度比は100%に近づく。特に、本実施形態に係る異種金属接合体は金属間化合物層の厚さが200nm以下となり、せん断強度比は略100%となる。
これに対して、界面温度が共晶温度以上となり、金属間化合物層の厚さは約50000nm〜60000nmとなった場合、せん断強度比は約55%程度となる。このように、本実施形態に係る摩擦攪拌接合方法により作成された異種金属接合体は、せん断強度比が高く、接合強度に優れているといえる。
このようにして、本実施形態に係る摩擦攪拌接合方法によれば、アルミニウム板20と銅板30とを重ね合わせて回転するプローブ10をアルミニウム板20側から銅板30側へ加圧挿入してアルミニウム板20と銅板30とを接合するため、プローブ10の挿入箇所が接合点となり接合箇所の限定を受けない。さらに、棒状の金属を回転させる必要がなく、接合する金属の形状にとらわれることなく、接合体を作製することができる。
さらに、アルミニウム板20と銅板30との界面温度が銅の再結晶温度以上、且つ、アルミニウムと銅との共晶温度未満となるように、プローブ10を加圧挿入する。ここで、アルミニウムの再結晶温度は約200度であり、銅の再結晶温度は250度であるため、界面温度は250度以上とされる。この温度以上であるとアルミニウム表面に予め形成されている酸化膜が破壊され、接合体を形成する場合に接合強度の低下原因となる物質が除去されることとなる。また、アルミニウムと銅との共晶温度は約548度であり、この温度未満であると、アルミニウムと銅との金属間化合物が多量に生成されず、金属間化合物層の厚さが大きくなり過ぎず、接合強度の低下を招き難くなる。よって、より強固な接合体を得ることができる。特に、本発明ではアモルファス層の形成による作製の困難性を有しない。
以上より、より強固な接合体を比較的容易に作製することができる。
また、界面温度が300度以上、且つ、アルミニウムと銅との共晶温度未満となるように、プローブ10を加圧挿入する。ここで、接合体を作製する際には、なるべく早くに接合体を作製完了することが望ましい。ここで、界面温度がアルミニウムと銅の再結晶温度付近の場合、アルミニウムの酸化膜破壊に時間が掛かってしまい、酸化膜の破壊終了までの時間分プローブ10を回転させ続けなければ、より強固な接合体を得ることができなくなってしまう。ところが、界面温度が300度以上となるようにすることで、界面温度が目的とする温度に達した段階で作製する完了とすることができ、作製時間の短縮につながると共に、より強固な接合体を得ることができる。
さらに、本実施形態に係る異種金属接合体によれば、アルミニウム板20と銅板30との界面における金属間化合物層の厚さが200nm以下であるため、せん断強度比は略100%となり、より強固な接合体とすることができる。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよい。例えば、本実施形態に係る摩擦攪拌接合方法において保持時間、アルミニウム板の残厚比、回転ツールの押し込み圧力などについては、適宜変更可能である。また、プローブ10の材質等についても適宜選択可能である。
10…プローブ
20…アルミニウム板
30…銅板
20…アルミニウム板
30…銅板
Claims (3)
- アルミニウム板と銅板とを重ね合わせて回転するプローブをアルミニウム板側から銅板側へ加圧挿入してアルミニウム板と銅板とを接合する摩擦攪拌接合方法であって、
アルミニウム板と銅板との界面温度がアルミニウムと銅の再結晶温度以上、且つ、アルミニウムと銅との共晶温度未満となるように、前記プローブを加圧挿入する
ことを特徴とする摩擦攪拌接合方法。 - アルミニウム板と銅板との界面温度が300度以上、且つ、アルミニウムと銅との共晶温度未満となるように、前記プローブを加圧挿入する
ことを特徴とする請求項1に記載の摩擦攪拌接合方法。 - 請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載の摩擦攪拌接合方法によって作製された異種金属接合体であって、
アルミニウム板と銅板との界面における金属間化合物層の厚さが200nm以下である
ことを特徴とする異種金属接合体。
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JP2009208096A JP2011056534A (ja) | 2009-09-09 | 2009-09-09 | 摩擦攪拌接合方法及び異種金属接合体 |
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