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JP2010527968A - ヒドロホルミル化プロセス - Google Patents

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Abstract

1つ以上の供給流、反応環境および排出流を含む反応器システムにおいて、少なくとも1つのオレフィン性炭素対炭素結合を有する化合物を含む供給原料組成物と水素および一酸化炭素とを有機ホスフィン変性コバルトヒドロホルミル化触媒の存在下で反応させることを含む、第一反応ゾーン、第二反応ゾーンおよび場合により1つ以上のさらに後の反応ゾーンを含む少なくとも2つの反応ゾーンを含み、この第一反応ゾーンに入る水素の一酸化炭素に対するモル比が0.5から1.65の範囲内である反応環境にて行われ、および反応器システムに水が添加される、アルコール製造のためのヒドロホルミル化プロセス。

Description

本発明は、少なくとも1つのオレフィン性炭素対炭素結合を有する化合物をヒドロホルミル化するためのプロセスに関する。詳細には、本発明は、有機ホスフィン変性コバルトヒドロホルミル化触媒の存在下でのオレフィン系化合物への一酸化炭素および水素の付加によるアルコール製造に関する。
少なくとも1つのオレフィン性炭素対炭素結合を有する化合物と一酸化炭素および水素とを触媒の存在下で反応させることによるアルデヒドおよび/またはアルコール化合物を製造するための様々なプロセスが公知である。概して、これらの反応は、高温および高圧で行われる。製造されるアルデヒドおよびアルコール化合物は、出発原料中のオレフィン性不飽和炭素原子への、それぞれ、カルボニルまたはカルビノール基の付加、これと同時に起こるこのオレフィン結合の飽和によって得られる化合物に一般に対応する。一定の条件下ではこのオレフィン結合の異性化が様々な程度に発生することがあり;それ故、この異性化の結果として、様々な生成物を得ることができる。これらのプロセスは、ヒドロホルミル化反応として概して知られており、一般的な場合は次の式によって示すことができる反応を含む。
Figure 2010527968
上の式において、それぞれの基RからRは、有機ラジカル、例えばヒドロカルビル基、または適する原子、例えば水素もしくはハロゲン原子、またはヒドロキシルもしくはアルコキシ基を、独立して表し得る。上の反応は、オレフィン結合を有する脂環式の環、例えば、シクロヘキセンにも適用することができる。
ヒドロホルミル化反応に利用される触媒は、一酸化炭素および配位子、例えば有機ホスフィンとの錯体コンビネーションで、遷移金属、例えばコバルト、白金、ロジウムまたはルテニウムを一般に含む。
次の文献は、遷移金属触媒を使用する先行ヒドロホルミル化法の代表である。US 3420898、US 3501515、US 3448157、US 3440291、US 3369050およびUS 3448158。
ヒドロホルミル化プロセスの効率を改善しようとする中、関心は、新規触媒およびこの触媒を回収して再使用するための新規プロセスの開発に主として向けられた。特に、要求される高い反応温度で改善された安定性を示すことができる新規触媒が開発された。中間アルデヒドの別途水素化を含む二段階手順ではなくアルコールの一工程製造を可能にすることができる触媒も開発された。さらに、改善された反応速度を可能にすることができ、その上、所望の生成物の許容される収量を提供できる均一触媒が開発された。
有機ホスフィン変性コバルト触媒が、アルコールへのオレフィン系化合物の一段階ヒドロホルミル化反応において優れた触媒であることは公知であるが、このような触媒の使用は、副生物としてパラフィンの生成ももたらす場合がある。これらのパラフィン副生物には殆ど商業的価値がない。また、このような反応では、重質有機材料(「ヘビーエンド」)が副生物として生成されることがある。これらの副生物は、結果として反応物を浪費させ、これらを生成物流から分離するために追加のエネルギーを必要とする。さらに、反応器システム内のヘビーエンドの量を制御するために、これらをブリード流によって除去することがある。このようなブリード流は、触媒ならびに生成物アルコールおよび/またはアルデヒドも含有することとなり、従って、高価な触媒および価値のある生成物を喪失する結果となる。従って、有機ホスフィン変性コバルト触媒を使用するヒドロホルミル化プロセスにおいて形成されるヘビーエンドおよびパラフィン副生物の量を減少させることが望ましい。
従って、本発明は、生成されるパラフィンおよびヘビーエンド副生物の量を減少させる、アルコールへのオレフィン系化合物の一段階転化において使用するための単純なヒドロホルミル化プロセスを提供しようと努める。
アルコールヒドロホルミル化生成物が所望の生成物である、典型的なヒドロホルミル化プロセスでは、オレフィン系化合物の各モルと反応するために、水素2モルおよび一酸化炭素1モルの理論比が必要とされる。
GB 1041101には、反応システムを横断して温度勾配を用いて非変性コバルト触媒の存在下で行われるヒドロホルミル化プロセスが記載されている。全反応質量の10%未満の水の量をこの反応に添加して、副生物の生成を減少させることができる。
好ましくは反応のさらに後の工程での同様の水量の添加が、反応収量の改善法としてUS 3113974に教示されている。
WO 98/11468には、重質副生物を減少させるための、ならびに水素化および/または水素化仕上げ中の硫黄耐性触媒の使用を可能にするための、アルコール製造のための多段階オキソプロセスの水素化仕上げ工程への水の注入が記載されている。
US 4401834は、二段階オキソプロセスにおいて、ヒドロホルミル化段階のアルデヒド含有生成物に、これを水素化に付す前に、水を添加してこの反応混合物中に存在する一切のアセタール副生物を分解する、アルコール製造プロセスに関する。
ヒドロホルミル化反応への水の添加は、GB 740708にも記載されており、この特許は、酢酸コバルトの水溶液により、少なくとも一部は、触媒される、オレフィンのヒドロホルミル化によるアルデヒドの調製に関する。反応器システムの溢れ出しおよび反応の消失を防止するために、オレフィンのかなりの部分がアルデヒドに転化されたところで前記水溶液の少なくとも一部分を反応系に注入しなければならない。
US 2809220によると、硫黄活性水素化触媒を使用するとき、水素化環境への(即ち、ヒドロホルミル化プロセスにおいてアルデヒド形成後の)水の添加は、アルコールの収量増加をもたらす。
オキソプロセスの、カルボニル化の際の水(供給物中のオレフィンに基づき100から200重量%までの量で)またはアルデヒド合成反応混合物の連続再循環は、触媒の再循環にとっておよびまた反応温度制御にとって有益とGB 703491に教示されている。
DE 2851515には、オレフィンと水素および一酸化炭素との反応における2から5重量%の水の使用が教示されており、この場合、この反応において形成されるギ酸エステル副生物は、合成工程に戻されて分解される。
米国特許第3420898号明細書 米国特許第3501515号明細書 米国特許第3448157号明細書 米国特許第3440291号明細書 米国特許第3369050号明細書 米国特許第3448158号明細書 英国特許第1041101号明細書 米国特許第3113974号明細書 国際公開第98/11468号パンフレット 米国特許第4401834号明細書 英国特許第740708号明細書 米国特許第2809220号明細書 英国特許第703491号明細書 独国特許発明第2851515号明細書
本発明に従って、1つ以上の供給流、反応環境および排出流を含む反応器システムにおいて、少なくとも1つのオレフィン性炭素対炭素結合を有する化合物を含む供給原料組成物と水素および一酸化炭素を有機ホスフィン変性コバルトヒドロホルミル化触媒の存在下で反応させることを含む、アルコール製造のためのヒドロホルミル化プロセスを提供し、このヒドロホルミル化プロセスは、第一反応ゾーン、第二反応ゾーンおよび場合により1つ以上のさらに後の反応ゾーンを含む少なくとも2つの反応ゾーンを含み、この第一反応ゾーンに入る水素の一酸化炭素に対するモル比が0.5から1.65の範囲内である反応環境で行われ、および反応器システムに水が添加される。
本図面は、本発明のプロセスに適する反応システムの略図を示すものである。
アルコールを形成するための、「ワン・ポット」プロセスでの、少なくとも1つのオレフィン性炭素対炭素結合を有する化合物を含む供給原料組成物の改善されたヒドロホルミル化プロセスを、1つ以上の供給流、反応環境および排出流を含む反応器システムの使用によって達成できることを、驚くべきことに、今般、発見した。この場合、反応環境は、少なくとも2つの反応ゾーンを含み、この第一反応ゾーンに入る水素の一酸化炭素に対するモル比は、2:1の要求理論比と比較して低減され、ならびに前記反応器システムに水が添加される。
本発明のヒドロホルミル化プロセスは、1つ以上の供給流と反応環境と粗反応生成物を含有する排出流とを含む反応器システムにおいて行われる。好ましくは、本発明のプロセスは、図1に概略的に示すような反応器システムで行われる。1つ以上の供給流(1)が、反応環境(2)に供給される。オレフィン系供給原料の少なくとも一部がヒドロホルミル化反応に付されると、排出流(3)が分離手段(4)に送られ、この分離手段(4)がこの粗反応生成物(5)の少なくとも一部を再循環流(6)から分離し、その後、この再循環流(6)は、反応環境(2)に戻される。本発明のヒドロホルミル化プロセスは、バッチプロセスとして行うことができ、または連続プロセスとして行うこともできる。
本発明の反応環境は、少なくとも2つの反応ゾーンを含む。
用語「反応ゾーン」は、本明細書において用いる場合、本発明のヒドロホルミル化プロセスを行うことができる、反応混合物を含有する制御された環境を指す。反応ゾーンは、例えば、反応器である場合もあり、または温度、圧力および場合により試薬の濃度を含む反応条件をこの反応器の残りの部分とは無関係に制御することができる反応器の区画である場合もある。概して、反応ゾーンは反応器である。
本発明のプロセスを行うために使用される反応ゾーンの数は重要ではないが、少なくとも2つの反応ゾーンを使用することを条件とする。概して、本発明において使用される反応ゾーンの数は、多くとも60、好ましくは多くとも40、さらに好ましくは多くとも20、および最も好ましくは多くとも10である。
本発明のプロセスの反応ゾーンが反応器であるとき、これらの反応器は、孤立した反応器である場合もあり、または互いに連結されている一連の反応器である場合もある。好ましくは、本発明のプロセスは、直列に連結された少なくとも2つの反応器で行われる。本明細書において用いる場合の用語「直列に連結された」は、個々の反応ゾーンの温度および圧力を独立して設定することができる制御された温度および圧力条件下で反応混合物が1つの反応ゾーンから次の反応ゾーンへと連続的に通過する連続反応連鎖を形成するように互いに連結されている一連の別個の反応ゾーンを意味する。
第一反応ゾーンに入る水素の一酸化炭素に対するモル比は、0.5から1.65の範囲内である。好ましくは、第一反応ゾーンに入る水素のオレフィンに対するモル比は、0.75から1.6の範囲内である。さらに好ましくは、第一反応ゾーンに入る水素のオレフィンに対するモル比は、1.0から1.5の範囲内である。
オレフィン系供給物をアルコールに転化させる本反応のプロセスが、中間アルデヒドを経由する反応を含むことは、当業者には理解される。上で述べたように、ヒドロホルミル化反応における水素の一酸化炭素に対する理論上理想的な比率は、意図された生成物がアルコールである場合、2:1である。概して、若干低い水素の一酸化炭素に対する比率(例えば、1.8:1)が実際には用いられる。しかし、本発明者らは、水が添加される反応器システムにて行われる、アルコールを形成するための、少なくとも1つのオレフィン性炭素対炭素結合を有する化合物のヒドロホルミル化反応において、0.5から1.65の範囲内の水素の一酸化炭素に対する比率を用いると、パラフィンおよびへビーエンド副生物の収量低減を達成できることを、驚くべきことに、今般、発見した。
水素および一酸化炭素は、本発明のプロセスに、2つの別個の流れ、即ち水素ガス供給流および一酸化炭素ガス供給流として導入することもでき、または混成供給流、例えば合成ガス供給流として導入することもできる。本明細書において用いる場合、「合成ガス」は、例えば炭素含有燃料のガス化によって生成された、一酸化炭素および水素の混合物を指す。
従って、本発明では、第一反応ゾーンに入る水素の一酸化炭素に対する要求比を、別個の水素ガス供給流の流量を制御することによって、または代替として、水素の一酸化炭素に対する比が0.5から1.65の範囲内であると判定された水素/一酸化炭素混成供給流を供給することによって、達成することができる。
商業的にまたは工業的に利用できる水素と一酸化炭素の混成流(例えば合成ガス)は、1.65:1より大きい水素の一酸化炭素に対する比率を一般に含む。適する水素/一酸化炭素混成供給流は、この流れの中の水素のレベルをこのような流れの中の一酸化炭素のレベルに比べて低下させる方法によって生じさせることができる。これは、一酸化炭素の追加を含む場合もあり、または水素と一酸化炭素の混成流からの水素の除去を含む場合もある。吸収または反応などの任意の適する方法によって、水素と一酸化炭素の混成流から水素を除去することができる。
本発明の1つの実施形態において、水素/一酸化炭素混成供給流は、前記混成ガス供給流中の水素の一酸化炭素に対する比率を低下させる反応において既に使用された水素/一酸化炭素混成供給流を含む、水素/一酸化炭素混成供給流を使用することによって提供される。好ましくは、水素/一酸化炭素混成流は、ヒドロホルミル化反応に既に付されたものである。さらに好ましくは、水素/一酸化炭素混成流は、本発明のヒドロホルミル化プロセスからの再循環流である。
本発明の1つの実施形態において、所望のアルコール生成物へのオレフィンの完全な反応が発生するために十分な水素を供給するために、第二またはさらに後の反応ゾーンに追加の水素が添加されることがある。この水素は、水素ガス供給流として添加されることもあり、または水素/一酸化炭素混成供給流(例えば、合成ガス流)として添加されることもある。第二またはさらに後の反応ゾーンに添加される水素/一酸化炭素混成供給流は、水素と一酸化炭素の任意の適する比率を含むことができる。前記供給流は、第一反応ゾーンに供給されたのと同じ供給流である場合もあり、または異なる源からのものである場合もある。または、所望のアルコール生成物へのオレフィンの完全な反応が発生するために十分な水素が確実に存在するように、反応器システム内の一酸化炭素のオレフィンに対する比率を上昇させてもよい。
反応が進むにつれて、水素の一酸化炭素に対するモル比が、この反応環境を通して変わることは、当業者には理解される。反応環境における水素の一酸化炭素に対する比率は、さらなる水素ガス供給流および/または水素/一酸化炭素混成供給流が、第二および/またはさらに後の反応ゾーンに導入された場合にも、変わることがある。
本発明のプロセスは、広範な温度にわたって行うことができる。反応環境に適する温度は、130から220℃の範囲内、好ましくは140から210℃の範囲内、さらに好ましくは150から205℃の範囲内である。
本発明のプロセスは、様々な圧力で行うことができる。それ故、本発明のプロセスによるヒドロホルミル化は、8x10Pa未満から、1x10Paほどもの低い圧力で概して行うことができる。しかし、本発明のプロセスは、このより低い圧力にこの適用性が限定されない。1x10Paから約2x10Paまで、および場合によっては約2x10Paまでまたはこれ以上の広い範囲の圧力を利用することができる。概して、使用される具体的な圧力は、利用される具体的な仕込み量および触媒によってある程度は決まる。一般に、約2x10Paから10x10Paの範囲内および特に約2.7x10Paから約9x10Paの範囲内の圧力が好ましい。
反応環境からの排出流は、アルコール生成物、アルデヒド中間体、触媒、副生物および任意の未消費反応物を含む。得られた排出流を適する触媒および生成物分離手段(これは、1つ以上の段階、例えば、成層、溶剤抽出、蒸留、分別、吸収、濾過などを含む。)に付すことができる。利用される具体的な生成物および触媒分離方法は、仕込まれる具体的な錯体および反応物によってある程度決まる。触媒またはこの成分、ならびに未消費反応物、副生物、アルコールおよびアルデヒド生成物、ならびに利用される場合には溶剤を、一部または全体として反応環境に再循環させることができる。
例えば、アルコール反応生成物の一部を、所望される場合には、反応環境を通過する触媒および触媒成分などのための溶剤および/または希釈剤および/または懸濁媒質として機能するように反応環境に再循環させることができる。触媒の溶解および/または懸濁を助けるために、ヘビーエンド副生物の一部も反応環境に再循環させることができる。さらに、生成された任意のアルデヒド中間体の一部または全部を、反応環境に場合により再循環させることができ、または別の反応環境においてコバルト触媒の存在下での水素化もしくはヒドロホルミル化条件に付すことができる。本発明の好ましい実施形態において、使用される有機ホスフィン変性コバルト触媒は、再使用のために供給流として反応環境に再循環される。
本発明の好ましい実施形態において、水の任意の添加前に、再循環される流れは、多くとも水300ppmw、さらに好ましくは多くとも100ppmw、さらにいっそう好ましくは多くとも50ppmw、最も好ましくは多くとも20ppmwを含む。
追加の既成コバルト触媒、またはインサイチューで活性錯体を生成できるこの触媒の成分を、反応環境に再循環されることとなる分離材料に添加することができ、または代替として、反応環境を出る生成物流に前記生成物流が分離手段に付される前に添加することができる。さらに、このような既成コバルト触媒、またはインサイチューで活性錯体を生成できるこの触媒の別個の成分は、直接反応器にまたはオレフィン供給流に添加することができる。
水は、この反応混合物の総重量に基づき、少なくとも0.05重量%、さらに好ましくは少なくとも0.075重量%、最も好ましくは少なくとも0.1重量%の量で反応システムに好ましくは添加される。水は、この反応混合物の総重量に基づき、多くとも10重量%、さらに好ましくは多くとも5重量%、最も好ましくは多くとも2重量%の量で、この反応システムに好ましくは添加される。
好ましい実施形態において、本発明は、連続プロセスとして行われ、および水は、水の量を所望のレベルに維持するために、反応器システムに継続的に添加される。
反応器システムに添加される水は、1つ以上の塩の水溶液として反応器システムに添加することもできる。適する塩としては、KOH、NaOH、NaSHおよびNaSが挙げられるが、これらに限定されない。
水は、反応器システムにおける任意の位置で添加することができる。本発明の1つの実施形態において、水は、反応器システムの始点で添加される。これを達成するために、水を、別の供給流として反応環境に添加することができ、または他の反応物の1つ以上を含有する供給流の1つに添加することができる。例えば、再循環触媒供給流に水を添加することができる。または、オレフィン系供給原料を含む供給流に、または水素および/もしくは一酸化炭素を含む供給流に水を添加することが好ましい場合もある。
本発明のもう1つの実施形態において、水は、オレフィン系供給原料の少なくとも一部が、アルデヒド中間体および/またはアルコール生成物を形成するように転化されたところで反応器システムに添加される。これは、反応環境に沿った進路の目的部分での水の添加を含む。任意の反応ゾーンに沿った進路の始点または一部で水を添加することができる。反応環境が1つ以上の反応器を含む場合、これは、個々の反応器に沿った進路の目的部分での水の添加によって達成することができ、または1つより多くの反応器がある場合、2つの反応器の間の位置での水の添加によって達成することができる。オレフィン供給流と比較してアルデヒド中間体および/またはアルコール生成物への水の可溶性増大のため、この実施形態は、反応器から溢れ出す危険および反応を消失する危険を伴わずにこの工程でより多くの水を添加できるという利点を有する。
さらなる実施形態では、反応器システムの排出流に水を添加することができる。
適切には、水は、ヒドロホルミル化反応が進行している間にこの反応器システムに添加される。
反応環境に入る供給流は、水素、一酸化炭素、オレフィン供給流、触媒、または触媒成分を含み、1つ以上の再循環流を場合により含み、1つ以上のドーパントも場合により含み、水を場合により含む。適するドーパントとしては、NaSH、NaSおよび有機硫黄含有添加剤(チオール、ジスルフィド、チオエーテルおよびチオフェンを含む。)が挙げられるが、これらに限定されない。供給流は、別個の供給流として反応環境に導入される場合もあり、または反応環境に入る前に任意の組み合わせで混合される場合もある。
助触媒および/または安定剤などの混合物も本発明のプロセスに含めることができる。従って、フェノール系安定剤(例えば、ヒドロキノン)および/またはアルカリ性物質(例えば、アルカリ金属の水酸化物、例えばNaOHおよびKOH)少量が反応環境に添加される場合がある。
ヒドロホルミル化されるオレフィン系化合物に対する触媒の比率は一般には需要でなく、広範に変わり得る。この比率を変えて、実質的に均質な反応混合物を獲得することができる。従って、溶剤を必要としない。しかし、利用される条件下で不活性であるまたは所望のヒドロホルミル化反応に実質的に如何なる程度にも干渉しない溶剤の使用は、用いられることがある。アルコール、エーテル、アセトニトリル、スルホランなどばかりでなく、例えば飽和液体炭化水素も、本プロセスにおいて使用することができる。任意の所与の瞬間での反応ゾーンにおける触媒のオレフィン系化合物に対するモル比は、概して少なくとも約1:1000000、好ましくは少なくとも約1:10000、および最も好ましくは少なくとも約1:1000であり、好ましくは多くとも約10:1である。しかし、オレフィン系化合物に対する触媒のより高いまたはより低い比率を用いることができるが、一般には1:1未満である。
本発明のプロセスのオレフィン系供給原料は、少なくとも1つのオレフィン性炭素対炭素結合を有する少なくとも1つの化合物を含む。一般に、本発明のプロセスのオレフィン系供給原料は、少なくとも1つのオレフィン性炭素対炭素結合を有する1つより多くの化合物を含む。このオレフィン系供給原料は、任意の適するオレフィン系供給原料流、例えば、市販のオレフィン、フィッシャー・トロプシュ反応からの生成物流、またはワックスクラッキングプロセスによって生成されるオレフィン流を含み得る。適するオレフィン系供給原料は、少なくとも1つのオレフィン性炭素対炭素結合を有する化合物を10%ほどもの少量しか含まない場合もある。
本発明のプロセスは、少なくとも1つのオレフィン性炭素対炭素結合を有する任意の場合により置換されている脂肪族または脂環式化合物のヒドロホルミル化に一般に適用できる。少なくとも1つのオレフィン性炭素対炭素結合を有する脂肪族または脂環式化合物が置換されている場合、この置換基は、反応条件下で、概して不活性である。適する置換基の例としては、芳香族環、アルコール基、アミン基、シラン基などが挙げられる。従って、本発明のプロセスを、例えば3から40個の炭素原子を有するオレフィン系化合物のヒドロホルミル化に適用して、この出発オレフィン系化合物より1個多い炭素原子を有するアルコール、または一定の条件下ではアルデヒドとアルコールの混合物を製造することができる。特に、本発明のプロセスを、例えば3から40個の炭素原子を有するオレフィン系化合物のヒドロホルミル化に適用して、この出発オレフィン系化合物より1個多い炭素原子を有するアルコールを一段階で製造することができる。モノオレフィン系化合物、例えば、プロピレン、ブチレン、アミレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、トリデシレン、テトラデシレン、ペンタデシレン、ヘキサデシレン、ヘプタデシレン、オクタデシレン、ノナデシレンおよびこれらの同族体は、本発明のプロセスにおいてヒドロホルミル化することができる適する不飽和化合物の例である。適する不飽和化合物は、1つ以上のオレフィン部位を有する分岐鎖化合物と直鎖化合物の両方を含む。2つ以上の二重結合が存在するとき、これらは、1,3−ヘキサジエンの場合のように共役していることもあり、または共役していないこともある。ポリオレフィン系化合物の場合、オレフィン部位の1つだけを、またはこれらの部位の幾つかもしくはすべてをヒドロホルミル化することができる。不飽和炭素対炭素オレフィン結合は、1−ペンテンの場合のように末端炭素原子とこれらの隣接する炭素原子の間にある場合もあり、または4−オクテンの場合のように鎖内炭素原子間にある場合もある。
本発明の1つの実施形態において、本発明のプロセスで使用される少なくとも1つのオレフィン性炭素対炭素結合を有する化合物の少なくとも1つは、モノオレフィン系化合物である。本発明のもう1つの実施形態において、少なくとも1つのオレフィン性炭素対炭素結合を有する供給原料の実質的にすべてが、モノオレフィン系化合物を含む。
本発明のもう1つの実施形態において、本発明のプロセスで使用される少なくとも1つのオレフィン性炭素対炭素結合を有する化合物の少なくとも1つは、末端炭素原子とこの隣接する炭素原子の間にオレフィン結合を有し、これらは末端またはαオレフィンと呼ばれることもある。本発明のもう1つの実施形態において、少なくとも1つのオレフィン性炭素対炭素結合を有する供給原料の実質的にすべてが、末端炭素原子とこの隣接炭素原子の間にオレフィン結合を含む。
本発明の代替実施形態において、本発明のプロセスで使用される少なくとも1つのオレフィン性炭素対炭素結合を有する化合物の少なくとも1つは、内部オレフィン結合を有する。本発明のもう1つの代替実施形態において、少なくとも1つのオレフィン性炭素対炭素結合を有する供給原料の実質的にすべてが、内部オレフィン結合を有する。
本発明のもう1つの実施形態において、本発明のプロセスで使用される少なくとも1つのオレフィン性炭素対炭素結合を有する化合物の少なくとも1つは、少なくとも1つのオレフィン性炭素対炭素結合を有する線状化合物である。本発明のもう1つの実施形態において、少なくとも1つのオレフィン性炭素対炭素結合を有する供給原料の実質的にすべてが、少なくとも1つのオレフィン性炭素対炭素結合を有する線状化合物である。
本発明の代替実施形態において、本発明のプロセスで使用される少なくとも1つのオレフィン性炭素対炭素結合を有する化合物の少なくとも1つは、少なくとも1つのオレフィン性炭素対炭素結合を有する分岐化合物である。本発明のもう1つの代替実施形態において、少なくとも1つのオレフィン性炭素対炭素結合を有する供給原料の実質的にすべてが、少なくとも1つのオレフィン性炭素対炭素結合を有する分岐化合物である。
供給原料組成物に関して用いるとき、用語「実質的にすべて」は、明記する特性を含む供給原料組成物の少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも75重量%を意味する。
上のタイプのアクリル単位を含む高分子材料、例えば、ポリジオレフィン系化合物、例えばポリブタジエン、ならびにオレフィン系化合物とジオレフィン系化合物のコポリマー、例えばスチレン−ブタジンコポリマーのヒドロホルミル化も本発明のプロセスによって遂行され得る。
環式化合物も本発明のプロセスでの使用に同様に適する。適する環式化合物としては、不飽和脂環式化合物、例えば、炭素対炭素不飽和を含有する環式オレフィン系化合物、例えばシクロペンテン、シクロヘキセンおよびシクロヘプテンが挙げられる。テルペンおよび縮合環多環式オレフィン系化合物、例えば、2,5−ビシクロ(2,2,1)ヘプタジエン、1,4,4a,5,8,8a−ヘキサヒドロ−1,4,5,8−ジメタノナフタレンなどもこのカテゴリーに含まれる。
本発明のプロセスは、炭化水素供給原料組成物のオレフィン性炭素対炭素結合のヒドロホルミル化に概して用いられるが、非炭化水素供給原料組成物にも用いることができる。従って、オレフィン不飽和アルコール、エーテル、エポキシド、アルデヒドおよび酸をヒドロホルミル化して、この出発原料のオレフィン結合に以前に含まれていた炭素原子の1つにアルデヒド、ヒドロキシまたはアルコキシ基を有する対応するアルコール、エーテル、アルデヒドおよび酸にすることができる。下記のものは、本発明のプロセスによってヒドロホルミル化することができるオレイン系化合物および本発明のプロセスによるヒドロホルミル化によって得られる生成物の種々のタイプについての少数の具体例である。
CH(CHCH=CH+CO+H→CH(CHCHO および/または CH(CHCHOH+異性体生成物
CH=CHCl+CO+H→ClCHCHCHOH および/または ClCHCHCHO
CHCOOCHCH=CH+CO+H→CHCOOCHCHCHHO および/または CHCOOCHCHCHCHOH
シクロペンテン+CO+H→ホルミルシクロペンタン および/またはシクロペンチルカルビノール
OCOCH=CHCOOC+CO+H→COCOCH(CHO)CHCOOC および/またはCOCOC(CHOH)HCHCOOC
アリルベンゼン+CO+H→γフェニルブチルアルデヒド および/またはΔブタノール+異性体生成物
該して、本発明のプロセスのオレフィン系供給原料は、分子1個につき3から40個の炭素原子を有するオレフィン系化合物を含む。好ましくは、本発明のプロセスの供給原料組成物は、分子1個につき3から30個の炭素原子を有する、さらに好ましくは分子1個につき4から22個の炭素原子を有する、および最も好ましくは分子1個につき5から20個の炭素原子を有する、オレフィン系化合物を含む。本発明の1つの実施形態において、供給原料組成物は、分子1個につき6から18個の炭素原子を有するオレフィン系化合物を含む。
利用される具体的な仕込み量およびコバルト触媒に依存して、本発明のプロセスが、アルコールがアルデヒドより優勢である反応生成物を生じさせるオレフィン系化合物の直接一工程ヒドロホルミル化を果たすことができることは、当業者には理解される。線状オレフィン系供給原料を使用する場合、反応条件、上で定義した範囲内の反応仕込み量およびコバルト触媒の選択により、オレフィン系化合物のヒドロホルミル化から、様々な分岐異性体ではなく、直鎖アルコール75%以上を得ることができる。概して、アルコールが所望の最終生成物である。本発明において、アルコールおよびアルデヒドからなる反応器システムの排出流部分は、少なくとも70%アルコールを一般に含む。好ましくは、アルコールおよびアルデヒドからなる反応器システムの排出流部分は、少なくとも75%アルコール、さらに好ましくは少なくとも80%アルコールを一般に含む。しかし、本明細書において前に説明したような動作条件を変更することによって、生成物中のアルコールに対するアルデヒドの比率を変えることができる。
従って、本発明のプロセスを利用して、オレフィン系化合物、好ましくはモノオレフィン系化合物、および特に、例えば分子1個につき3から40個の炭素原子を有するモノオレフィン系化合物の直接一工程ヒドロホルミル化を遂行して、アルコール、好ましくは分子1個につき4から41個の炭素原子を有する主末端アルコールを製造することができる。オレフィン化合物の実質的な割合を有するオレフィン留分、例えば高分子オレフィン留分、分解ワックス留分およびこれらに類するものなどは、仕込み物中のオレフィン系化合物より1個多い炭素を有する主末端アルデヒドおよびアルコールの混合物を含むヒドロホルミル化生成物の留分に容易にヒドロホルミル化することができ、この場合、これらのアルコールが、主反応生成物である。他の適するオレフィン留分源としては、フィッシャー・トロプシュ反応から直接または間接的に得られるものが挙げられる。オレフィン留分からなる適する供給物としては、例えば、C、C、C、C10およびより高級なオレフィン留分、ならびに沸点範囲がより広いオレフィン留分、例えばC−C、C10−C13、C14−C17オレフィン留分などが挙げられる。広く言えばC−C16オレフィン化合物、特に、C−C16オレフィン系炭化水素が好ましい。
上で定義した条件下で、オレフィン仕込み物が一酸化炭素および水素と反応して、仕込んだオレフィンより分子1個につき1個多い炭素原子を有するアルデヒド中間体および/またはアルコール生成物を含む反応生成物を形成し得ることは、理解される。
本発明のプロセスにおいて使用するための有機ホスフィン変性コバルトヒドロホルミル化触媒は、一酸化炭素および有機ホスフィン配位子との錯体コンビネーションでコバルトを含む。本明細書において用いる場合の用語「錯体コンビネーション」は、1つ以上の一酸化炭素および有機ホスフィン分子と1つ以上のコバルト原子の結合によって形成された配位化合物を意味する。この活性化形態で、適する有機ホスフィン変性コバルトヒドロホルミル化触媒は、1つ以上のコバルトを還元原子価状態で含有する。
適する有機ホスフィン配位子としては、1つの利用可能または非共有電子対を有する三価のリン原子を有するものが挙げられる。前述の電子配置を有する三価のリンの任意の本質的に有機の誘導体は、コバルト触媒のための適する配位子である。
任意のサイズおよび組成の有機ラジカルをリン原子に結合させることができる。例えば、有機ホスフィン配位子は、この3つの原子価を満たす脂肪族および/または脂環式および/または複素環式および/または芳香族ラジカルを有する三価のリンを含むことができる。これらのラジカルは、官能基、例えば、カルボニル、カルボキシル、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、飽和および/または不飽和炭素対炭素結合、ならびに飽和および/または不飽和非炭素対炭素結合などを含有し得る。
有機ラジカルが、リン原子の原子価の1つより多くを満たし、これによって三価のリン原子を有する複素環式化合物を形成することも好適である。例えば、アルキレンレジカルは、2つのリン原子価(この2つの原子価は開いている。)を満たし、これによって環式化合物を形成することができる。もう1つの例は、2個の酸素原子がアルキレンラジカルをリン原子に連結している環式化合物を形成するアルキレンジオキシラジカルである。これら2つの例において、第三のリン原子価は、任意の他の有機ラジカルによって満たされていることがある。
利用可能な電子対を有する三価のリンを含む構造のもう1つのタイプは、有機ラジカルによって連結された多数のこのようなリン原子を含有するものである。化合物のこのタイプは、2個のこのようなリン原子が存在するときには二配座配位子、3個のこのようなリン原子が存在するときには三配座配位子などと、一般に呼ばれる。
本発明のプロセスにおいて使用するための適する有機ホスフィン変性コバルトヒドロホルミル化触媒、およびこれらの調製方法は、US Patent 3369050、US Patent 3501515、US Patent 3448158、US Patent 3448157、US Patent 3420898およびUS Patent 3440291に開示されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。好ましくは、有機ホスフィン変性コバルトヒドロホルミル化触媒は、反応混合物と実質的に均質である。
本発明のプロセスにおいて使用するための好ましい有機ホスフィン変性コバルトヒドロホルミル化触媒は、有機三級ホスフィン配位子、特に、二環式複素環式三級ホスフィン配位子を含むもの、好ましくは、US Patent3501515に開示されているようなものである。このような配位子の代表例としては、次のものが挙げられる。
9−ヒドロカルビル−9−ホスファビシクロ[4.2.1]ノナン;
9−アリール−9−ホスファビシクロ[4.2.1]ノナン、例えば、
9−フェニル−9−ホスファビシクロ[4.2.1]ノナン;
(ジ)アルキル−9−アリール−9−ホスファビシクロ[4.2.1]ノナン、例えば、
3,7−ジメチル−9−フェニル−9−ホスファビシクロ[4.2.1]ノナン、および
3,8−ジメチル−9−フェニル−9−ホスファビシクロ[4.2.1]ノナン;
9−アルキル−9−ホスファビシクロ[4.2.1]ノナン、例えば、
9−オクタデシル−9−ホスファビシクロ[4.2.1]ノナン、
9−ヘキシル−9−ホスファビシクロ[4.2.1]ノナン、
9−エイコシル−9−ホスファビシクロ[4.2.1]ノナン、および
9−トリアコンチル−9−ホスファビシクロ[4.2.1]ノナン;
9−シクロアルキル−9−ホスファビシクロ[4.2.1]ノナン、例えば、
9−シクロヘキシル−9−ホスファビシクロ[4.2.1]ノナン、および
9−(1−オクタヒドロペンタリル)−9−ホスファビシクロ[4.2.1]ノナン;
9−シクロアルケニル−9−ホスファビシクロ[4.2.1]ノナン、例えば、
9−シクロオクテニル−9−ホスファビシクロ[4.2.1]ノナン;
9−ヒドロカルビル−9−ホスファビシクロ[3.3.1]ノナン;
9−アリール−9−ホスファビシクロ[3.3.1]ノナン、例えば、
9−フェニル−9−ホスファビシクロ[3.3.1]ノナン;
(ジ)アルキル−9−アリール−9−ホスファビシクロ[3.3.1]ノナン、例えば、
3,7−ジメチル−9−フェニル−9−ホスファビシクロ[3.3.1]ノナン、および
3,8−ジメチル−9−フェニル−9−ホスファビシクロ[3.3.1]ノナン;
9−アルキル−9−ホスファビシクロ[3.3.1]ノナン、例えば、
9−オクタデシル−9−ホスファビシクロ[3.3.1]ノナン、
9−ヘキシル−9−ホスファビシクロ[3.3.1]ノナン、
9−エイコシル−9−ホスファビシクロ[3.3.1]ノナン、および
9−トリアコンチル−9−ホスファビシクロ[3.3.1]ノナン;
9−シクロアルキル−9−ホスファビシクロ[3.3.1]ノナン、例えば、
9−シクロヘキシル−9−ホスファビシクロ[3.3.1]ノナン、および
9−(1−オクタヒドロペンタリル)−9−ホスファビシクロ[3.3.1]ノナン;
9−シクロアルケニル−9−ホスファビシクロ[3.3.1]ノナン、例えば、
9−シクロオクテニル−9−ホスファビシクロ[3.3.1]ノナン;
これらの混合物。
特に好ましい配位子としては、9−エイコシル−9−ホスファビシクロノナン化合物が挙げられる。特に好ましい有機ホスフィン変性コバルトヒドロホルミル化触媒としては、コバルトを含む錯体であると考えられる、9−エイコシル−9−ホスファビシクロノナン化合物の誘導体が挙げられる。
有機ホスフィン変性コバルトヒドロホルミル化触媒は、US 3369050、US 3501515、US 3448157、US 3420898およびUS 3440291に開示されているような当業者に周知の様々な方法によって調製することができる。都合の良い方法は、有機または無機のコバルト塩と、所望のホスフィン配位子を、例えば、液相で併せ、その後、還元し、カルボニル化する方法である。適するコバルト塩は、例えば、カルボン酸コバルト、例えば、酢酸コバルト、オクタン酸コバルトなど、ならびに無機酸のコバルト塩、例えば、塩化コバルト、フッ化コバルト、硫酸コバルト、スルホン酸コバルトなど、ならびにこれらのコバルト塩の1つ以上の混合物を含む。水素および一酸化炭素の雰囲気中でこの溶液を加熱することによって、コバルトの原子価状態を還元し、コバルト含有錯体を形成することができる。この還元は、有機ホスフィン変性コバルトヒドロホルミル化触媒の使用前に行うことができ、またはヒドロホルミル化環境でヒドロホルミル化プロセスと共にインサイチューで遂行することができる。または、コバルトの一酸化炭素錯体から有機ホスフィン変性コバルトヒドロホルミル化触媒を調製することができる。例えば、ジコバルトオクタカルボニルで出発することができ、この物質を適するホスフィン配位子と混合することによって、この配位子が一酸化炭素分子の1つ以上を置換し、これによって有機ホスフィン変性コバルトヒドロホルミル化触媒が生成される。この活性触媒化合物は、プロセス条件下で概して形成される。
ヒドロホルミル化されるオレフィン系化合物に対する触媒の比率は一般には需要でなく、広範に変わり得る。この比率を変えて、実質的に均質な反応混合物を獲得することができる。従って、溶剤を必要としない。しかし、用いられる条件下で不活性であるまたは所望のヒドロホルミル化反応に実質的に如何なる程度にも干渉しない溶剤の使用は、用いられることがある。アルコール、エーテル、アセトニトリル、スルホランなどばかりでなく、例えば飽和液体炭化水素も、本プロセスにおいて溶媒として使用することができる。任意よりでの反応環境おける触媒のオレフィン系化合物に対するモル比は、概して少なくとも約1:1000000、好ましくは少なくとも約1:10000、およびより好ましくは少なくとも約1:1000であり、好ましくは多くとも約10:1である。しかし、オレフィン系化合物に対する触媒のより高いまたはより低い比率を用いることができるが、一般には1:1未満である。
本発明のヒドロホルミル化プロセスの使用は、より早い第一ゾーンに入る水素対一酸化炭素比が、0.5から1.65の範囲外であり、水を添加しないヒドロホルミル化プロセスと比較すると、全ヒドロホルミル化プロセスにおいて形成されるパラフィン副生物をより少なくする結果となる。本発明のプロセスは、高いヘビーエンド生成レベルをもたらさず、実際、このような副生物の減少をもたらすことができる。
以下の比限定的実施例によって本発明をさらに説明しよう。
実施例
本実施例のすべては、直列に接続された4つの個々の反応器(それぞれが2リットルの容積)を含む反応器ゾーンを用いて行った。本実施例のすべてにおいて、オレフィン供給原料は、SHOPプロセス(Shell Higher Olefin Process)に従って製造した線状C11およびC12オレフィンの混合物であった。オレフィン供給原料の連続流(300−340g/時)、触媒成分(オクタン酸コバルト、ShellからのP−配位子(9−エイコシル−9−ホスファビシクロノナン)、およびKOH)、新しい合成ガスおよび再循環触媒を第一反応器に供給する。第一反応器内の圧力を5x10Paに維持する。
減圧後、オレフィン供給流のヒドロホルミル化によって形成された生成物アルコールと重質副生物に溶解した触媒をショートパス蒸留によって分離する。廃棄する少量のブリード流を除き、コバルト触媒を含有する重質底流を第一反応器に再循環させて戻す。この実験を連続モードで行う。
目標触媒濃度および組成:0.22から0.27重量%コバルト、P−配位子/Co=1.0US 1.5、およびKOH/Co=0.7を維持するように触媒成分の供給速度を調整する。
本実施例のすべては、次の触媒成分溶液を使用して行った。それぞれの生成物アルコールに溶解しているCo(オクテート) 10重量%、それぞれのオレフィン供給原料溶液に溶解しているP−リガンド7.5重量%、およびそれぞれの生成物アルコールに溶解している水酸化カリウム1重量%。使用したそれぞれの生成物アルコールは、この実施例のオレフィン供給原料のヒドロホルミル化によって形成されたアルコール組成物である。それぞれのオレフィン供給原料組成物は、この実施例において使用したオレフィン供給原料組成物である。
線状C11およびC12オレフィンの混合物を含むオレフィン供給原料組成物を、上で説明した反応器系列においてヒドロホルミル化した。反応器系列内のコバルトの濃度を、全反応器内容物に基づき約0.25重量%に維持した。最初の2つの反応器の温度は、178℃であり、最後の2つの反応器の温度は、195℃であった。合成ガス入口比(H/CO)は、1.7であった。
312時間の試験期間にわたって形成されたパラフィン副生物の平均量は、全粗アルコール生成物に基づき5.9重量%であった。312時間の試験期間中に生成されたアルコールの総量に基づく生成されたノルマル1−アルコールの平均量は、82.8重量%であった。平均ブリード流量は、全オレフィン供給物に基づき1.6重量%であった。
線状C11およびC12オレフィンの混合物を含むオレフィン供給原料組成物を、上で説明した反応器系列においてヒドロホルミル化した。反応器系列内のコバルトの濃度を、全反応器内容物に基づき約0.26重量%に維持した。最初の2つの反応器の温度は、178℃であり、最後の2つの反応器の温度は、195℃であった。合成ガス入口比(H/CO)は、1.3であった。
279時間の試験期間にわたって形成されたパラフィン副生物の平均量は、全粗アルコール生成物に基づき5.1重量%であった。279時間の試験期間中に生成されたアルコールの総量に基づく生成されたノルマル1−アルコールの平均量は、78.7重量%であった。平均ブリード流量は、全オレフィン供給物に基づき3.0重量%であった。従って、パラフィン製造の有意な減少が、H/CO比の低下を導入した反応器システムにおいて実証された。H/CO比の低下は、279時間の試験期間中の触媒安定性に負の影響を及ぼさなかったことに注目された。
線状C11およびC12オレフィンの混合物を含むオレフィン供給原料組成物を、上で説明した反応器系列においてヒドロホルミル化した。反応器系列内のコバルトの濃度を、全反応器内容物に基づき約0.26重量%に維持した。最初の2つの反応器の温度は、178℃であり、最後の2つの反応器の温度は、195℃であった。合成ガス入口比(H/CO)は、1.35であった。オレフィン供給原料を含む供給流に、前記供給流が反応環境に入る前に、水を、ショートパス蒸留器に入る粗生成物の量に基づき0.24重量%の量で添加した。
336時間の試験期間にわたって形成されたパラフィン副生物の平均量は、全粗アルコール生成物に基づき4.7重量%であった。336時間の試験期間中に生成されたアルコールの総量に基づく生成されたノルマル1−アルコールの平均量は、81.9重量%であった。平均ブリード流量は、全オレフィン供給物に基づき1.9重量%であった。従って、水を添加せず、より高いH/CO比を用いた反応器システムと比較して、パラフィン製造、ヘビーエンド製造およびブリード流量の有意な減少が、H/CO比の低下および水の添加を導入した反応器システムにおいて実証された。水の添加が、コバルトの量に関しても、このプロセスの間に分解する配位子の量に関しても、336時間の試験期間中の触媒安定性に負の影響を及ぼさなかったことに注目された。
線状C11およびC12オレフィンの混合物を含むオレフィン供給原料組成物を、上で説明した反応器系列においてヒドロホルミル化した。反応器系列内のコバルトの濃度を、全反応器内容物に基づき約0.26重量%に維持した。最初の2つの反応器の温度は、178℃であり、最後の2つの反応器の温度は、195℃であった。合成ガス入口比(H/CO)は、1.35であった。オレフィン供給原料を含む供給流に、前記供給流が反応環境に入る前に、水を、ショートパス蒸留器に入る粗生成物の量に基づき0.6重量%の量で添加した。
504時間の試験期間にわたって形成されたパラフィン副生物の平均量は、全粗アルコール生成物に基づき5.1重量%であった。504時間の試験期間中に生成されたアルコールの総量に基づく生成されたノルマル1−アルコールの平均量は、81.8重量%であった。平均ブリード流量は、全オレフィン供給物に基づき1.3重量%であった。従って、水を添加せず、より高いH/CO比を用いた反応器システムと比較して、パラフィン製造、ヘビーエンド製造およびブリード流量の有意な減少が、H/CO比の低下および水の添加を導入した反応器システムにおいて実証された。水の添加が、コバルトの量に関しても、このプロセスの間に分解する配位子の量に関しても、504時間の試験期間中の触媒安定性に負の影響を及ぼさなかったことに注目された。

Claims (14)

  1. 1つ以上の供給流、反応環境および排出流を含む反応器システムにおいて、少なくとも1つのオレフィン性炭素対炭素結合を有する化合物を含む供給原料組成物と水素および一酸化炭素とを有機ホスフィン変性コバルトヒドロホルミル化触媒の存在下で反応させることを含む、第一反応ゾーン、第二反応ゾーンおよび場合により1つ以上のさらに後の反応ゾーンを含む少なくとも2つの反応ゾーンを含み、この第一反応ゾーンに入る水素の一酸化炭素に対するモル比が0.5から1.65の範囲内である反応環境にて行われ、および反応器システムに水が添加される、アルコール製造のためのヒドロホルミル化プロセス。
  2. 第一反応ゾーンに入る水素の一酸化炭素に対する比率が、0.75から1.6の範囲内である、請求項1に記載のプロセス。
  3. 水素を含むさらなる供給流が、第二またはさらに後の反応ゾーンに添加される、請求項1または2に記載のプロセス。
  4. 水素および一酸化炭素を含むさらなる供給流が、第二またはさらに後の反応ゾーンに添加される、請求項1から3のいずれか一項に記載のプロセス。
  5. 添加される水の量が、1つ以上の供給流の総重量に基づき0.05から10重量%の範囲内である、請求項1から4のいずれか一項に記載のプロセス。
  6. 水が、反応器システムの始点で添加される、請求項1から5のいずれか一項に記載のプロセス。
  7. 供給原料組成物の少なくとも一部が、アルデヒドおよび/またはアルコールに転化されたところで水が反応器システムに添加される、請求項1から6のいずれか一項に記載のプロセス。
  8. 水が、反応器システムの排出流に添加される、請求項1から7のいずれか一項に記載のプロセス。
  9. 有機ホスフィン変性コバルトヒドロホルミル化触媒が、コバルトを一酸化炭素および有機ホスフィン配位子との錯体コンビネーションで含み、ホスフィン配位子が、1つの利用可能または非共有電子対を有する三価のリン原子を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載のプロセス。
  10. 有機ホスフィン配位子が、二環式複素環式三級ホスフィン配位子である、請求項1から9のいずれか一項に記載のプロセス。
  11. 130から220℃の範囲内の温度で行われる、請求項1から10のいずれか一項に記載のプロセス。
  12. 100から2x10kPaの範囲内の圧力で行われる、請求項1から11のいずれか一項に記載のプロセス。
  13. 少なくとも1つのオレフィン炭素対炭素結合を有する化合物が、少なくとも1つのオレフィン性炭素対炭素結合を有する線状化合物である、請求項1から12のいずれか一項に記載のプロセス。
  14. 供給原料組成物が、6から18個の炭素原子を有するオレフィン系化合物を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載のプロセス。
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