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JP2010524465A - 病原体侵入の生細胞シグナルおよびその方法 - Google Patents

病原体侵入の生細胞シグナルおよびその方法 Download PDF

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Abstract

本開示は、ここに定義されるように、生細胞上の病原体侵入の態様を測定するシステムおよび方法である。システムおよび方法も、生細胞の治療候補物質又は病原体侵入からの生細胞モデルの測定予防又は治効の態様を測定する方法を提供する。

Description

先に出願した米国出願の利益の請求
本出願は、2007年4月19日に出願の米国仮出願番号第60/925,274号の利益を請求する。本願明細書において言及されるこの米国文書の内容および公表、特許および全てを、本開示は引用し含むとする。
本開示は、共鳴導波路グレーティング(RWG)バイオセンサ又は表面プラズモン共鳴(SPR)バイオセンサ)などの光学バイオセンサに関し、特に、病原体侵入の生細胞検知における斯かるバイオセンサの使用およびに関する。の細胞アッセイのための共鳴導波路グレーティング(RWG)バイオセンサおよびその方法に関する。
本開示は、病原体、例えばウィルスを検出する直接および間接的な方法を提供し、生細胞サンプル又は生細胞モデルへの病原体の影響の測定を提供する。
図1は本開示の実施例における正常細胞の機能および制御を略奪する病原体によって使用され得る典型的な経路を示す図である。 図2は本開示の実施例におけるアデノウイルス細胞侵入の典型的なシグナル現象の概略図である。 図3は本開示の実施例における炎症治療の可能な治療介入のための遺伝子座の概略図である。 図4Aおよび図4Bは本開示の実施例における標識独立検出光学導波路グレーティングバイオセンサシステムでのウイルス介入を検出するための典型的な方法を示す図である。 図5Aおよび図5Bは本開示の実施例におけるアデノウイルス感染媒介Gqシグナル伝達干渉の典型的なバイオセンサ計測および結果を示す図である。 図6Aおよび図6Bは本開示の実施例におけるアデノウイルス感染媒介Gsシグナル伝達干渉の典型的なバイオセンサ計測および結果を示す図である。 図7B、図7Aおよび図7Cは本開示の実施例における上皮細胞増殖因子(EGF)32nMにより誘導されたA431細胞の反応へのアデノウイルス感染の効果の典型的なバイオセンサ計測を示す図である。 図8Aおよび図8Bは本開示の実施例における刺激作用後の感染又は非感染のるA431細胞の4つのシグナル伝達タンパクのリン酸化のリン酸化アレイ結果を示す図である。 図9は本開示の実施例における細胞移動のシグナル伝達の例の概略図である。 図10は本開示の実施例におけるGTPタンパク質-共役型受容体、EGF受容体および局所接着シグナル伝達の例の概略図である。 図11は本開示の実施例におけるアデノウイルス感染に対するヒーラ細胞の動態学的応答を示す図である。 図12は本開示の実施例におけるヒーラ細胞のアデノウィルス誘導応答の調節を示す図である。 図13は本開示の実施例におけるヒーラ細胞のアデノウイルス感染のダイナミン阻害ペプチド(DIPC)阻害の例の結果を示す図である。
図面を参照して本開示の様々な実施例について以下に詳細に説明する。様々な実施例に対する言及は本発明の範囲を限定するものではなく、本明細書に添付した特許請求の範囲のみによって制限される。さらに、本明細書に記載された例は、限定することを目的とせず、単に特許請求の範囲に記載された発明の多くの可能な実施例を記載するだけである。
定義
「アッセイ」、「分析する」又は同様の用語は、例えば、リガンド候補化合物又はウイルス粒子又は病原体ような外因性刺激による刺激時の細胞の光学的反応又はバイオインピーダンス(bioimpedance)反応のタイプ、存在、非存在、量、範囲、速度、動態力学を確定するための分析をいう。
「付着する」、「付着」、「接着する」、「接着した」、「接着性の」「不動化した」又は同様の用語は、例えば、本開示の表面修飾物質、適合化剤、細胞、リガンド候補化合物および同様の主体を、物理吸着、化学的結合および同様のプロセス又はこれらの組合せによって表面に固定化する又は不動化することを一般的にいう。特に、「細胞付着」、「細胞吸着」又は同様の用語は表面への細胞の結合又は相互作用を言い、例えば、培養による、又は、アンカー物質、適合化剤(例えばフィブロネクチン、コラーゲン、ラミン、ゼラチン、ポリリジン、その他)での相互作用による、又は、両者によるものである。
「付着細胞」は原核又は真核細胞などの細胞又は細胞株又は細胞系を言い、これは基質の外部表面との特定の接触、又は固定化され協働して存続するものである。斯かるタイプの培養後の細胞は、洗浄および媒質交換プロセス、多くのセルベースアッセイに不可欠なプロセスに耐える又は存続する。「弱い付着細胞」は、細胞培養の間、基質の表面と弱く相互作用する又は関連する又は接触する原核又は真核細胞などの細胞又は細胞株をいう。しかしながら、これらのタイプの細胞、例えばHEK細胞などは洗浄又は媒質交換などの物理的に阻害する方法によって基質の表面から容易に分離される傾向がある。「懸濁細胞」は、培養の間、基質の表面に付着又は接着せずに、好ましくは媒質中で培養された細胞又は細胞株をいう。管理された条件下で原核か真核細胞のいずれかが成長されるプロセスをいう。「細胞培養」は、多細胞真核細胞、特に動物細胞から得られる細胞を培養することのみならず、複合組織および臓器を培養することもいう。
「細胞」又は同様の用語は、小さく通常顕微鏡的な半透膜によって外的に結びつけられた原形質の質量であって、任意に1つ以上の核および様々な他の細胞小器官を含み、単独で、あるいは他の同様の質量と相互作用して生体の全ての基本的機能を実行でき、合成細胞構成、細胞モデル系および同様の人工細胞系を含む独立して機能しうる最小の生体構造単位を形成するものをいう。
「細胞系」又は同様の用語は、各々が他と相互に作用してそこで生物学的又は生理学的又は病態生理学な機能を実行しする1つ以上のタイプの細胞の集合(又は細胞の単一タイプの差別化した形態)をいう。斯かる細胞系は、器官、組織、幹細胞、差別化された肝細胞細胞などを含む。
「マーカ」又は同類語は、分子、生体分子又は少なくとも1つの細胞標的の活性を調整することが可能である生物学的製剤を言い、(例えばGq-共役型受容体、Gs-共役型受容体、Gi-共役型受容体、G12/13-共役型受容体、イオンチャネル、受容体チロシンキナーゼ、輸送体、ナトリウム-プロトン交換体、核受容体、細胞キナーゼ、細胞タンパク、その他)、これらにより、バイオセンサによって測定されて確実に検出可能なバイオセンサ出力に結果としてなる。意図された細胞標的およびその次の細胞の現象の分類に従い、マーカは、例えば、GPCR又は受容体チロシンキナーゼ、又は、イオンチャネル又は核受容体、又は、細胞の酵素アデニル酸シクラーゼに対してアクティベータ、例えばアゴニスト、部分的アゴニスト、逆アゴニストとなりえる。マーカは、また、細胞標的の特定の分類のためのインヒビタ、例えば、アクチンフィラメント又は微小管のためのインヒビタ又は阻害物質でありえる。
「直接」又は同類語は、病原体侵入を発見又は検出して、病原体の非存在から病原体の検出された侵入を区別する本開示の装置および方法の機能をいう。
「識別し」又は同類語は、病原体の存在の認識だけでなく病原体を分類する本開示の装置および方法の機能をいう。
「侵入」又は同類語は、細胞のシグナル経路のうちの少なくとも1つを変える病原体の能力をいう。侵入現象は、細胞への病原体の物理的侵入や病原体又は成分の侵入を必要としない。
「病原体」又は同類語は、例えば、ウィルス、バクテリア、プリオンおよび同様の感染実体又はそれらの組み合わせをいう。
「治療候補化合物」、「治療候補」、「予防候補」、「予防薬剤」、「リガンド候補」又は同様の用語は、バイオセンサに付着した細胞と相互作用する可能性について興味深い、天然の又は合成された分子又は物質をいう。治療又は予防候補物質は、例えば、化合物、生体分子、ペプチド、タンパク、生体試料、医薬品候補の小分子、医薬品候補の生物学的分子、医薬品候補の小分子−生物学的分子複合体および同様の物質又は分子の主体又はそれらの組合せを含んでもよく、それらは具体的には、タンパク、DNA、RNA、イオン、脂質又は同様の生細胞の構造又は成分などの細胞標的の少なくとも1つと相互作用又は結合しうる。
「バイオセンサ」又は同様の用語は、生物学的なコンポーネントを物理化学的な検出部コンポーネントと結合する検体の検出のための装置をいう。当該バイオセンサは、通常3つの部分、すなわち、生物学的な成分又は構成要素(例えば組織、微生物および細胞)と、検出部構成要素(例えば光学的、圧電、電気化学的、測熱法的、磁気などの物理化学的な方法で動作する)と、当該両要素と関連するトランスデューサと、から構成されている。当該生物学的な成分又は構成要素は、例えば、生細胞であってもよい。実施例において、光学バイオセンサは、生細胞の分子識別又は分子刺激現象を数量化できるシグナルに変換する光学トランスデューサを有していてもよい。
従来技術における当業者にとって周知である略語(例えば、「h」は時間、「g」又は「gm」はグラム、「mL」はミリリットル、「rt」は室温、「nm」はナノメートル、および同様の略語)が用いられている。
「含む」、「含む」は、制限的ではなく含むことを意味する。
「約」は、本開示の実施例を記載する際に用いられる、例えば組成の成分の量、濃度、体積、プロセス温度、プロセス時間、収率、流量、圧力、同様の値および同様の範囲を修飾し、例えば、化合物、組成物、濃度物、使用配合物を作るのに用いられる通常の測定又は取扱処理、これらの処理における偶然誤差や、これらの方法を実行する際に用いられる製造、ソース又は出発物質又は成分の純度の違い、および同様の事項などにおいて生じうる数量の変動をいう。用語「約」はまた、特定の初期濃度又は混合物を有する組成又は調合の経年変化による違い、および特定の初期濃度又は混合物を有する組成又は調合の混合又は処理による違いを包含する。用語「約」により修飾された添付の特許請求の範囲は、これらの量に等価な量を含む。
実施例における「本質的にから成る」は、例えば、表面組成、表面組成を生成又は用いる方法、調合、バイオセンサ表面上の組成、物、装置、又は本開示の装置に対して云い、特許請求の範囲に列挙の要素又はステップ、また組成、物品、装置および本開示の製造又は使用方法の基本的で新規な特性に実質的に影響を及ぼさない他の要素又はステップ、を含むことであり、例えば特定の反応物、特定の添加物又は成分、特定の薬剤、特定の細胞又は細胞株、特定の表面修飾物質又は状態、特定の適合化剤、特定の細胞又は細胞系、特定のリガンド候補物質、又は同様の構造、物質又は選択されるプロセス変数である。例えば、実質的に本開示の要素又はステップの基本的な特性に影響を及ぼしてもよいか、又は望ましくない特性を現在の本開示に与えてもよいアイテムは、バイオセンサ表面に対する減少した親和性、リガンド候補物質の細胞に対する減少した親和性、細胞に対する病原の減少された親和性、リガンド候補物質に応答する異常な又は反する細胞活性、又は同様の刺激、および特性を含む。
ここで用いられる不定冠詞「a」又は「an」、およびその対応する定冠詞「the」は、特定されない限り、少なくとも1つの、又は1つ以上を意味する。
開示された構成要素、成分、添加物、細胞タイプ、病原体、又は同様の態様、およびそれらの範囲のために特定値又は好ましい値は説明のみのためであり、定められた範囲内の他の値又は他の定められた値を除外するものではない。本開示の組成、装置および方法は、ここに記載されている値、特定の値、より特定の値および好ましい値、のいかなる値又はいずれかの組合せを有するものを含む。
実施例において、本開示はバイオセンサ、例えば、共鳴導波路グレーティング(RWG)バイオセンサ又は表面プラズモン共鳴(SPR)バイオセンサを提供し、そして、例えば、細胞機構のウィルス感染の生細胞病原体侵入検出のための方法および診断を提供する。本開示はまた、例えば治効又は予防化合物、抗炎症薬および自己免疫薬剤のような抗ウイルス性治療薬のように抗病原体方策および治療を識別するために用い得るバイオセンサに基づく方法を提供する。
(直接法)
本開示は、例えば、Corning(登録商標)Epic(登録商標)バイオセンサシステムでの質量再分布細胞アッセイ技術(MRCAT)を使用して、直接、宿主細胞株における病原体侵入、例えばウィルス感染をモニタする方法を提供する。
実施例において、本開示は、例えば、ウィルス感染の結果を検出、制御又は回避することに有効な生細胞の病原体侵入の直接測定のための装置および方法を提供する。
実施例において、本開示は、生細胞の病原体侵入の検出のための標識フリー方法を提供し、当該方法は、
光学バイオセンサの表面に固定される生細胞を有する光学バイオセンサを用意すること、
病原体をバイオセンサの表面上の固定化された細胞に接触せしめること、
そして、病原体接触の前に細胞と関連してバイオセンサの検出領域内で細胞の局所質量又は局所質量密度に変化を検出すること、を含む。
(間接方法)
病原体侵入、例えばウィルス感染およびそれに関連する現象をモニタする上記直接法の感度を更に改良するために、第2の間接的な方法は開発され、これは、細胞のシグナル伝達経路のうちの1つ以上を乗っ取るか又は略奪するウィルスの傾向に基礎をおくものである。
実施例において、間接的方法はマーカのパネルから構成でき、マーカの各々は少なくとも1つの異なった細胞標的例えば受容体を調節し、例えば活性化、阻害および同様の変化などを、1つ以上の細胞シグナル経路に対して、例えば、GPCRシグナル伝達経路、Ca2+経路、マイトジェン活性タンパク質キナーゼ(MAPK)経路、接着経路、cAMP経路、AKTシグナル伝達経路、アポトーシス経路、細胞周期経路、受容体チロシンキナーゼ(RTK)シグナル伝達経路、インテグリンシグナル伝達経路および同様の細胞シグナル経路又はそれらの組み合わせの変化又は変動に対して引き金を続けて引くことが可能である。マーカ誘導バイオセンサ出力シグナルへのウィルス感染の影響は、例えば、ウィルス感染の機構およびウィルス感染の細胞現象など侵入の範囲およびタイプの指標および測定として使用できる(例えば、下記および図4に示すように)。
実施例において、本開示は、例えば、ウィルス感染の結果を検出、制御又は回避することに有効な生細胞の病原体侵入の間接測定のための装置および方法を提供する。
実施例において、本開示は生細胞に病原体侵入を検出するために標識フリー方法を提供し、当該方法は、
バイオセンサの表面に固定される生細胞を有するバイオセンサを用意すること、
病原体をバイオセンサの表面上の固定化された細胞に接触せしめ又は曝すこと、
異なった細胞標的を調整するマーカのパネルに細胞シグナル伝達又は細胞-シグナル経路摂動を検出すること、
そして、病原体侵入の範囲と摂動の範囲を同一視すること、を含む。
実施例において、本開示は方法を細胞上の病原体の効果を特徴づけるために提供し、当該方法は、
固定化された細胞の照射から前の実施例に合っている病原体まで生じている細胞-シグナル伝達か細胞-シグナルネットワークプロフィールをマップするステップと、
マップされたプロフィールを病原体プロフィールのライブラリと比較するステップと、
そして、マップされたプロフィールと一致する病原体プロフィールのライブラリからプロフィールを識別するステップと、を含む。
細胞上の病原体の効果の特徴づけは、例えば、効果に対して応答し得る病原体の確認を含むことができる。例えば、病原体プロフィールのライブラリからプロフィールを識別するステップは、マップされたプロフィールの正確又は最高に一致したライブラリプロフィールを選択するステップことを含むことができる。実施例において、細胞上の病原体の効果を特徴づける方法は、固定化された細胞の照射から病原体まで生じている細胞シグナルネットワークプロフィールをマップするステップの前又は後に予防候補物質又は治効候補物質を有する固定化された細胞に接触せしめるステップを更に含むことができる。
所定の細胞又は細胞系のために、例えば、各々又は少なくとも2以上が信頼できて検出可能なバイオセンサシグナルに結果としてなるマーカのパネルは、あらかじめ決められ選択される。例えば、RWGバイオセンサのような光学バイオセンサが使用されるときに、ヒト表皮癌A431細胞において、マーカのパネルは下記のグループから選択され得る。
内因性GPCRsのためのアゴニスト又は部分的アゴニスト(例えば、ブラジキニンB2受容体のためのブラジキニン、β2アドレナリン受容体のためのエピネフリン、アデノシンA2B受容体のためのアデノシン、受容体亜型1を活性化したプロテアーゼのためのトロンビン又はSFLLR-アミド、受容体亜型2を活性化したプロテアーゼのためのトリプシン又はSLIGKV-アミド、ヒスタミンH1受容体のためのヒスタミン、P2Y受容体のためのアデノシン三リン酸、LPA受容体のためのリゾホスファチジン酸(LPA))(Fang, Y., et al., J. Pharmacol. Tox. Methods, 2007, 55, 314-322)。
内因性受容体チロシンキナーゼのためのアゴニスト(例えばEGFRのための上皮細胞増殖因子(EGF))(Fang, Y., et al., Anal.Chem., 2005, 77, 5720-5725)。
内因性イオンチャネルのためのイオンチャネルオープナ(例えばATPに敏感なカリウムイオンチャネルのためのピナシジル)。
細胞の酵素のためのアクティベータ(例えばアデニル酸シクラーゼのためのフォルスコリン)。
破壊剤
(例えばアクチンフィラメントのためのサイトカラシンD又は微小管のためのノコダゾール(nocodozale))。
インテグリン受容体のためのアクティベータ(例えば可溶フィブロネクチン又はそのフラグメント)。
細胞膜破壊剤
(例えば細胞膜漏出に原因するサポニン)(Fang, Y., et al., FEBS Lett., 2005, 579, 4175-4180)。
アポトーシス誘導物質
(例えばCa2+依存細胞アポトーシスの引き金となるCa2+イオノフォアA23187)。
マーカで検査した細胞の刺激作用が特定の細胞の現象を導くので、シグナル伝達経路、又は、シグナル伝達ネットワーク相互作用および各々のシグナル伝達経路は細胞標的の異なったセットを含むことができ、マーカの選択されたパネルは、全てではないにしても、所定の細胞系の細胞のシグナル伝達経路の多数をカバーする。対照的に、病原体の各タイプは、独特方法の細胞又は細胞系を変え又は調整することができる(すなわち、特定の病原体は、選択的に特定の細胞標的を乗っ取るだけである)。したがって、マーカの選択されたパネルにより誘導されたバイオセンサ出力シグナル上の病原体侵入の影響は、検査される細胞又は細胞系で研究される病原体のシグニチャを生成する。斯かるマッピング方法は、上記された直接方法の方法と比較して実質的により大きい感度を病原体侵入検出にもたらす。
(連続複合型方法)
実施例において、本開示は生細胞の病原体侵入の効果をモニタするために連続的な複合型方法を提供し、当該方法は、
バイオセンサ表面に病原体侵入を有する生細胞を提供するステップと、
定義された集密度に至るまでバイオセンサ表面で病原体侵入を有する生細胞を培養するステップと、
そして、細胞培養および侵入の間、バイオセンサ出力を測定するステップとを含む。
実施例において、生細胞の病原体侵入の効果をモニタする連続的な複合型方法は修正でき、当該方法は、
バイオセンサ表面に病原体侵入を有する生細胞を提供するステップと、
定義された集密度に至るまでバイオセンサ表面で病原体侵入を有する生細胞を培養するステップと、
そして、マーカの予め定められて選択されたパネルのためのバイオセンサ出力を測定するステップとを含む。
前述のモニタ法の実施例において、バイオセンサは、病原体侵入、マーカ誘導細胞シグナル変化、又は両方の経過のすくなくとも1つを連続的にモニタすることができ、そして、胞の状態上の病原体侵入の効果に関する有効な情報を提供することができる。(例えば、細胞成長、細胞健康、細胞接着の程度、および同類の測定量)。
実施例において、本開示は、生細胞の病原体侵入、例えば生細胞の例えば表面の着生の生細胞培養のウィルス感染、を検出又は識別する標識フリー検出又は標識独立検出(LID)の方法にSPR又はRWGを含む光学バイオセンサを提供する。
モデルとしてのアデノウイルス感染を用いて実施例において、我々は、間接的なマーカ-パネルアッセイ方法により、1)高感度ウィルス感染検出、例えば、診断適用法のための細胞当たり約1から約100のウィルス粒子の所望の感度が得られたこと、および、2)、細胞当たり約1,000未満のウィルスの供与量で、アデノウィルス感染が、特に接着経路だが、Gq経路でなくMAPK経路を乗っ取ったことを示した。
各々のウィルスのために、斯かる間接的なおよび細胞シグナル伝達マッピング方法を使用して、細胞シグナル伝達のウイルス性ハイジャック(乗っ取り)は、定義され又は決定されることができ、それからカタログ化され得る。その上、多系交雑のシグナル伝達経路又はネットワークのためのマーカは、決定できて、選択可能となる。適当なバイオセンサ反応は、例えば、ウイルス検出および炎症性医薬品の創薬ために、決定できる。間接方法はサンプルのウィルスの検出を可能とし、ウイルス侵入およびコードした細胞標的のウイルス機能に影響を及ぼす修飾物質のスクリーニングを可能にする。
本開示は、ウィルス感染、病原体侵入、を検出するために役立つ標識フリー方法を提供する。この方法は、例えば、増幅方法を用いずに速いウイルス検出スキームを可能にする。この方法は、例えば、部分的もしくは完全に影響を受けた細胞生理を抑止もしくは修正するか、又はウイルスによりコードされた細胞標的の機能を遮断することができる候補物質医薬品化合物のスクリーニングを可能にする。ウイルスのアッセイ適用法に加えて、本開示の方法は、影響を受けた細胞生理を潜在的に修正することができる医薬品候補化合物又は同類の材料のスクリーニングに用いことができる。本開示の方法は、また、他の治療であるか診断の領域に有効な道具、抗炎症薬発見又はマッピング炎症細胞-経路に記載のそのようなもの、を提供することができる。
ウィルスは、細胞機能、例えばGTPタンパク質-共役型受容体(GPCRs)を介したシグナル伝達、を乗っ取って、細胞の自身の活性細胞内シグナル伝達経路を利用するために驚くほど多様な方法を使用する。これらの方法は、最終的にウイルスの複製達成を確実にするように機能し、しばしばウィルスの病理発生に貢献することができる。単一のウィルスは、例えば、重要な細胞内の生存、増殖、走化の経路を管理するためにこれらの方策のレパートリを配備しているかもしれない。ウイルス性病理発生に対するこれらの生物学的、生理学的又は病態生理学な経路の寄与の理解は、ウイルス誘導疾患に対して効果的な標的特定治療の方策の開発につながることになる。さらに、ウィルスによって使用され細胞シグナル伝達機構を変える機構を理解することは、自己免疫性疾患が展開する機構への更なる洞察を提供することができる。その上、ウィルス感染炎症の役割を理解することは、最終的に免疫回復を強化でき、感染する患者のウイルス保有者の発生を制限できる新規な治療の方策を導くことができる。
本開示の方法は、現在の診断方法又はウィルス感染の研究よりも高感度のものを提供する。細胞シグナル伝達へのウイルス影響の検証に使われるほとんどの検出方法における感度は、例えば、リン酸化アッセイでは約50粒子/細胞から約1,000粒子/細胞までである。本開示のアッセイ方法においては、例えば、EGFRシグナル伝達の場合における1ウィルス粒子/細胞について低いウイルス濃度を使用しても細胞シグナル伝達摂動を検出することが可能だった。
(病原体侵入を検出するネットワークマッピング細胞シグナル伝達に基づくバイオセンサ)
(全細胞のための光学バイオセンサ検知理論)
分子相互作用をモニタするその機能の他に、光学バイオセンサは、バイオセンサ表面又はその近くでエバネッセント波を利用して、細胞層のリガンド誘導変化を検出する。エバネッセント波すなわち溶液と表面界面で導かれた光の全反射によってつくられる電磁場は、概して約200nmのよく特徴づけられた短い侵入深度又は検知体積を有する。生細胞が比較的に大きい寸法を有するので、光学バイオセンサセンサは、従来のものでない、基質と、グレーティング構造が包埋される導波路薄膜と、細胞層とを含む。三層システムである考えられる。したがって、実効屈折率におけるリガンド誘導変化(すなわち検出されたシグナル)は、式(1)に従って1次近似として、導波路薄膜に最も近い細胞層の底部の屈折率変化に正比例する。
ここで、S(C)は細胞層に対する感度である、そしてΔncはバイオセンサによって検知される細胞層の局所的屈折率のリガンド誘導変化である。
Δnc値は、検知体積内の分子アセンブリ又は細胞標的の局所的濃度の変化の関数である。これは周知の細胞の物性のためである、すなわち、細胞内の所与の体積の屈折率は、細胞の光顕微鏡像の対照のための基質である生体分子主にタンパクの濃度によって主として確定される。エバネッセント波の指数的に減衰している性質を考慮して、検出シグナルは、センサ表面から間隔をおいて配置される異なった距離(各々が総合応答率に対し一定してない寄与を有する)で起こっている質量再分布の合計である。重み付けファクタexp(-zi/ΔZc)を考慮すると、センサ表面に対して垂直方向に生じている検出シグナルは次式によって決定される。
ここで、ΔZcは細胞層内への侵入深さであり、αは特定の比屈折率インクリメント(タンパクに対して約0.18/mL/g)、ziは質量再分布が生ずる距離、dは細胞層内のスライスの仮想上の厚さである。ここで、細胞層は垂直方向に等しい間隔のスライスに分割されている。
我々の分析は、共鳴導波路グレーティング(RWG)バイオセンサが付着細胞層の底部分内で、リガンド誘導動的な質量再分布(DMR)を検出できることを示唆した。我々の薬理学的研究は、DMRシグナルが受容体活性化をモニタするための、そして、リガンド薬品作用学を検査するための新しい生理学的な読み出しとして有効であることを示唆した。
我々の生化学研究はDMRシグナルがリガンドによって誘導された多くの細胞現象から寄与から成る統合した反応であるという仮説をサポートし、そして、このように細胞系生態を研究する他の手段を提供した。
(全細胞センシングための電気バイオセンサの検知理論)
電気バイオセンサは、基質(例えば、プラスチック)、電極および細胞層から成る。この電気検査法において、細胞は基質上へ配列される小さい金電極に培養され、システムの電気インピーダンスは時間に従う。インピーダンスは、細胞層の導電率の変化の測定量である。一般的に、固定された振動数又は様々な振動数での小さい一定電圧は電極又は電極アレイに印加され、そして、回路による電流は時間を通じてモニタされる。電流におけるリガンド誘導変化は、細胞応答の計測量を提供する。全細胞センシングためのインピーダンス計測の応用法は最初に1984年に実現された(Giaever, I.;Keese, C.R.Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 1984, 81, 3761)。それ以来、インピーダンスに基づく計測は、細胞接着および拡散移動を含む広範囲にわたる細胞現象、細胞微動、細胞形態学的変化および細胞死を研究するために適用された。古典的なインピーダンスシステムは、小さい検出電極および大きい基準電極の使用のために、高いアッセイ変動性を起こしている。かかる変動性を克服するために、最新の生まれたシステム例えばCellKeyシステム (MDS Sciex, South San Francisco, CA) およびRT-CES(ACEA Biosciences Inc., San Diego, CA)では、微小電極アレイを有する集積回路を利用している。
典型的インピーダンスに基づく細胞アッセイにおいて、細胞は培養ウエルの底に配列される金電極と接触して導かれている。センサシステムの全体のインピーダンスは、バイオセンサを囲んでいるイオン生育環境によって、主に決定される。電界印加下で、イオンは電界方向運動および濃度勾配駆動拡散を受ける。全細胞センシングのために全体の電気インピーダンスは、電解質溶液の耐性、細胞のインピーダンス、電極/溶液表面でのインピーダンスおよび電極/細胞表面でのインピーダンスの4成分を有する。加えて、細胞のインピーダンスは、耐性およびリアクタンスの2つの成分からなる。細胞イオン強度の伝導特性は電気抵抗の成分を提供するが、不完全なコンデンサとして作用する細胞膜は振動数に依存する反応成分に貢献する。このように、全体のインピーダンスは、細胞生存率、細胞集密度confluency、細胞数、細胞形態、細胞接着の程度、イオン環境、細胞内の含水量および検出振動数を含む多数因子の関数である。
RT-CESシステムで、適用されるこの小さい電圧のパーセンテージは、細胞内部に接続される。細胞に印加される斯かるシグナルは、典型的哺乳動物細胞の静止膜電位より非常に小さいと考えられ、よって、細胞機能に対し最小、又は、障害でない。RT-CESシステムは、これらのインピーダンスの変化を測定して、細胞索引と呼ばれているパラメータとして、それを表示する。細胞索引(CI)は、同式によって算出される(Solly, K.; Wang, X.; Xu, X.; Strulovici, B.; Zheng, W. Assays Drug Dev. Technol. 2004, 2, 363)。
ここで、Nがインピーダンスが測定されたある振動数点の数(例えば、10kHz、25kHzおよび50kHzのためのN=3)であり、および、R0(f)およびRcell(f)はウエルに細胞が存在しない、および、存在するときの振動数電極抵抗である。
CellKeyシステムにおいて、センサシステムのインピーダンスの変化は、受容体刺激に応答して起こる細胞層の複素インピーダンス(デルタZ又はdZ)の変化であると考える(Verdonk, E.;Johnson, K.;McGuinness, R.;Leung, G.;Chen, Y.-W.;Tang, H.R.; Michelotti, J.M.; Liu, V.F.Assays Drug Dev.Technol., 2006, 4, 609)。低周波において印加される小さい電圧は、層において個別細胞周りに流れる細胞外電流(iec)を誘導する。
しかし、イオンチャネルにより細胞膜を通る伝導電流も、低い計測振動数で重要であるかもしれない。
高振動数で、それらは細胞膜を通るトランス細胞電流(itc)を誘導する。オームの法則によって記載されているように、各々のウエルの測定された電流に対する印加電圧の比はそのインピーダンス(Z)である。
細胞が刺激例えば受容体リガンドにさらされるとき、シグナル伝達現象は活性化されて、例えば細胞粘着、細胞形状および体積、および細胞対細胞相互作用の変化を生じせしめるアクチン細胞骨格の調節のような複合細胞現象を導く。これらの細胞変化は個々に又は集合的に細胞外電流およびトランス細胞電流の流れに影響を及ぼし、したがって、測定されたインピーダンスの大きさおよび形質に影響を及ぼす。光学バイオセンサと同様に、これらの電気バイオセンサも、刺激作用に細胞受容体の活性化によって媒介されバイオインピーダンスに関して統合された細胞の反応の計測を可能にする。
(システム細胞生物学のためのバイオセンサ)
例えば、システム生態学応用のための所定の方法に適合性を与えることができる3つの重要な態様は、マルチプレックス能力、多パラメタ分析を達成する能力、および量的システム-反応プロフィール獲得能力を含む。実施例において、本開示のバイオセンサに基づく細胞アッセイは、少なくとも2つの態様で、多重送信することができる。第1に、所定の細胞系の標的(例えばGq-共役型受容体)の同じ分類の活性化はほとんど同一の光学シグニチャを導き、それは同じファミリ内の多数標的が同時に、分析され得ることを示唆する。例えば、A431細胞は内成的にブラジキニンB2受容体、P2Y受容体、プロテアーゼ活性化受容体(PAR)を発現する。ブラジキニン、ATP又はトロンビンでの刺激作用において、静止性A431細胞は、類似Gq-型光学シグニチャで応答する。第2に、いくつかのシグナル伝達成分がアゴニストの同族標的で媒介されるアゴニスト誘導DMRシグナルで、重要な役割を演じるので、同じシグナル伝達経路内の多数標的はまた、同時に、分析され得る。例えば、A431のEGF誘導DMRは、MEKのようなその下流標的のうちの1つを標的とする化合物の輪郭を描くために使用できる。MEKは活性化に必要なERKs 1および2上のチロシンおよびトレオニン残基をリン酸化する二相の特異性キナーゼである。2つの関連した遺伝子は、それらがERKsに結合する際に、そして、おそらく、それらの活性化プロフィールにおいて異なるMEK1およびMEK2をコードする。
光学バイオセンサは、リガンド誘導DMR反応を分析するための多数パラメータを提供する。これらのパラメータは反射光すなわちインターロゲーション光の角度又は波長における変移を含み、該変移は垂直方向の質量再分布に反応し、該パラメータは共鳴ピークの形状(例えば強度、ピーク面積および半値幅(peak-width-at-half-maximum(PWHM))を定義し、かかるパラメータは横方向の質量再分布に主に反応する。これらのパラメータの組み合わせは、更に検査される細胞のリガンドの作用上の詳細な情報を提供することができる。あるいは、バイオセンサが非侵襲的であるので、バイオセンサに基づく細胞アッセイは容易に他の技術(例えば質量分析および蛍光画像化)と統合され得る。これらの他の技術は、細胞の化合物又はリガンドの測定された作用を補強することができる。
特定の標的で媒介されるDMRシグナルは、センサ表面から離れて異なる距離で起こっている質量再分布からの寄与の合計である統合量を測定できるシグナルである。細胞シグナル伝達の複合した性質の故に、異なる標的で媒介される異なった細胞シグナル伝達の活性化は類似した全体的DMRシグナルに結果としてなるかもしれない。シグナル伝達プロセスのための利用できる標的およびインヒビタの集合が先に知られているので、リガンド誘導DMRシグナル上の特定のインヒビタの調節プロフィールの分析に基づいて、標的で活性化される細胞シグナル伝達を決定することが可能である。光学応答(例えば全体的な動態、速度および反応の振幅)上のインヒビタの効果は、シグナル伝達のインヒビタ-標的生体分子の役割の指標である。したがって、DMR反応は、生細胞のシステム生態学研究のための独特に読み出しとみなすことができる。我々は、上皮細胞増殖因子受容体(EGFR)のシグナル伝達経路およびネットワーク相互作用をマップして、コレステロールの細胞の機能を研究するために上皮細胞増殖因子(EGF)によって静止性A431細胞誘導のDMRシグナルを応用した。様々な周知の修飾物質によるEGF誘導DMRシグナルの調節の分析は、細胞の反応の異なったステップにつなげる様々な標的のリンクを提供し、それは静止性A431細胞のEGF誘導DMR反応をRas/mitogen活性タンパク(MAP)キナーゼ経路に主に連結し、該経路は主にMEKを介して進み、そして細胞分離を導く。
(ネットワークマッピング細胞シグナル伝達のための光学バイオセンサ)
本開示は、細胞の病原体侵入、例えば細胞系のウィルス感染を検出する代替方式を提供する。当該方法は、バイオセンサを使用している異なった細胞シグナル伝達およびそのネットワーク相互作用の系統的マッピング法に基づく。所定の細胞系において、内成的に発現される多くの細胞標的があり、各々の標的の活性化は細胞シグナル伝達現象を導く。細胞の物質の有意な動的な再分布がバイオセンサの検出領域内であるときに、いくつかのこれらの細胞シグナル伝達はバイオセンサによって分析され得る。異なった細胞標的を活性化するマーカのパネルを使用して、バイオセンサは多くの細胞シグナル伝達経路およびそれらの相互作用のマッピングを可能にする。マーカ誘導DMRシグナル上のウィルス感染の影響に基づいて、人は経路かカスケードがウィルスによって変えられて、どのシグナル伝達であるかについて決定することができ、そして、それは病原体侵入の間接的な計測として有効である。ウィルスの異なるタイプに対して斯かる変化のパターンは異なり得る、よって、特徴的な変化パターンがウイルス性の確認のために使用できる。代わりに、又は、さらに、変化パターン上の化合物の効果は、ウィルス感染を遂行する医薬品を隠すために用い得る。
(ウィルス感染および細胞シグナル伝達乗っ取り)
ウィルスは、彼ら自身の遺伝形質の複製のため、彼ら自身のカプシッドおよび外膜タンパクの生産のため、宿主細胞の基盤に依存する。複製の部位に着くために、ウィルス粒子は宿主細胞に結合しなければならなくて、サイトゾルに入る細胞膜を通らなければならなくて、また、ウィルスDNAの複製を許すために核エンベロープにしばしば入らなければならない。したがって、ウィルスはこの経路のそれらを援助するかもしれないあらゆる可能な細胞機構を利用する注目に値する機構を展開した。さらに、多数ウィルスは、感染への細胞を殺さずに、その代わりに細胞および組織の間で能率的に広がるための宿主の細胞の機構を使用しない。図を参照すると、図1は、細胞の細胞内シグナル伝達ネットワーク、例えば細胞の細胞内シグナル伝達ネットワークの1つ以上を乗っ取っているウイルスの病原体を図解する、病原体侵入の様式例の概略を示す。多数ウィルスは、例えば、ウイルス侵入12を促進するための補助受容体として、細胞のGPCR 20、Integrin 30又はEGFR 40を使用して、すなわちこれらの細胞受容体でウィルスの直接型相互作用をしている。HCMV 50又はKSHV 52のようなウィルスはそれら自身のGPCRs 55をコードして、それは構成的に細胞内カスケード60のネットワークにしばしばシグナルを送る。ウイルスによりコードされたケモカイン65(ウイロカイン)は、また、細胞であるかウイルスのGPCRs 70のアゴニスト66又はアンタゴニスト67として機能するかもしれない。ウイルスによりコードされたケモカイン結合タンパク質(CKBPs)75が腐骨細胞のケモカイン77に結合して、内因性ケモカインによって細胞のGPCRsの活性化を阻害する。
(ウイルス侵入の間の細胞シグナル伝達乗っ取り)
多数ウィルスは、侵入の間、細胞のシグナル伝達経路の使用している(図1および図2)。侵入のための細胞を用意するために、ウィルス粒子が形質膜に結合するとすぐに、ウィルス粒子は現象の引き金を引く。これは、一般に細胞表面分子例えばグリコスフィンゴリピド、受容体チロシンキナーゼおよびインテグリンの結合および架橋性を含む。これはアデノウィルスに最初に認識されたが、それは補助受容体として一次受容体およびインテグリンとしてコクサッキーアデノウイルス受容体(CAR)を使用する。その細胞受容体に結合すると、即座に、アデノウィルスはホスファチジルイノシトール-3-OHキナーゼ(PI3K)およびRac1によるシグナル伝達カスケードを誘発して、Rhoファミリの小さいGTPアーゼがアクチンの重合およびウィルスのクラトリン媒介エンドサイトーシスに結果としてなっている(図1および図2)。アデノウィルスは、2つの理由でこのシグナル伝達を誘発する。第1に、シグナル伝達はクラトリン-被覆膜孔にインテグリン-境界ウィルス粒子の隔離を導き、それはその後内面化される。第2に、アクチン細胞骨格は再編成されて質膜捲縮を形成して、マクロピノサイトーシスは増加する。多くの異なるシグナル伝達経路の活性化は、セリン/トレオニン、チロシンおよびPIキナーゼ、ホスファターゼ、そして、様々な小さいGTPアーゼ(Arf、RabおよびRhoファミリを含むこと)を含む様々な因子の併発でもって説明されている。
ウィルスはシグナル伝達活性を使用し、細胞にて変化を誘発し、ウイルス侵入および早期細胞質現象を促進し、同様に、後の複製サイクルのプロセスを最適化する。まず最初に、細胞がウイルス侵入に結果としてなるエンドサイトーシス反応を開始することができるために、ウィルスは公知の細胞表面上のその共存系を作ることを必要とする。「ウィルス存在」シグナルは、いくつかの方法で発生することができる。ウィルスは、受容体としてそれらを使用することによって直接細胞のシグナル伝達分子を活性化することができる。あるいは、ウィルスは特定の細胞表面タンパク質又は脂質を群がらせることによって細胞シグナル伝達を誘発することができる。例えば、多くのウィルスはグリコシル-ホスファチジルイノシトール(GPI)定着タンパクおよびガングリオシドを使用して、それらの受容体として、形質膜の外側の小葉と関連するだけである。このサイトゾル側上のチロシンキナーゼの活性化をしばしば導くことは、群がるときに、GPI-定着するタンパクおよびガングリオシドが関連する脂質-ラフトになるという事実に関することができる。したがって、多数ウィルスが細胞内シグナル伝達を始めるために脂質ラフトと関連するという証拠は増えている。
多くの他の例は、ウイルス侵入の間、誘起細胞シグナル伝達を例示している。HCMV(ヒトサイトメガロウイルス)は、公知のヘルペスウィルスであり、ホスファチジルイノシトール-3-OHキナーゼ(PI3K)、GTP結合タンパク質およびマイトジェン活性タンパク質キナーゼカスケードを含むいくつかのシグナル伝達経路を活性化する。最近、上皮細胞増殖因子受容体(EGFR)は、HCMVの細胞受容体と確認された。面白いことに、エコーウィルス1(受容体(a2β1)として、インテグリンの異なる組み合わせを利用するウィルス)は他の下流の現象を活性化するように見える。サル空胞ウイルス(SV40)は、グリコスフィンゴリピドに結合して、カベオラに局在するタンパクのチロシンリン酸化に結果としてなるシグナル伝達カスケードを誘発する。
多くの場合、ウィルス誘導シグナル伝達は、アクチン細胞骨格の動的変化を導く。これは、いくつかの目的を有するかもしれない。1つは、はエンドサイトーシス活性を増加また活性化することである。例えば、細胞表面に結合した後に、SV40はアクチン応力繊維および皮質のアクチン細胞骨格の分解を刺激しウィルス装填したカベオラのエンドサイトーシスを活性化する。他の目的は、高いエンドサイトーシス活性部位に細胞表面-境界ウィルス粒子を持ってくることである。形質膜によって直接溶解する外膜ウィルスは、能率的に細胞を感染させるために皮質のアクチン障害を克服する必要がある。疱疹単純ウィルスHSV-1はおそらくシグナル伝達経路Ca2+の活性化によってこの課題に取り組み、公知であるが、それは局所接着の皮質のアクチン解重合および不安定化を誘発する。ワクシニアウィルス(VV)のために観察されるように、アクチン再配列は、また、子孫ウィルス粒子の効率的な展開を補助するかもしれない。
ほとんどの場合、アクチン再配列は、エンドサイトーシスによってウィルス粒子インターナリゼーションに貢献する。皮肉にも、細胞の防衛機制がライソソーム内で粒子の破壊を狙ったように、ウィルスエンドサイトーシスが期待されたもかかわらず、多数外膜ウィルスは初めに、プロセスを低いpHとして乗っ取るか又は管理し、そして、遅いエンドソームはウィルスが質膜貫入を始めるために便利な合図を用意している。その結果、ウィルスは細胞に都合良く乗って、逃避して分解的なライソソームに露出する。
ウイルス侵入の好適なモデルは、ヒト免疫不全ウイルス型1(HIV-1)のグリコタンパク質gp120のCD4(分化抗原群分類4)への結合と、その後のC-Cケモカイン受容体5(CCR5)又はC-Xケモカイン受容体4(CXCR4)を含み、これはウイルスおよび宿主の質膜間の融合を促進する。HIVのgp120は、CXCR4又はCCR5それぞれにCD4を係合することによって細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)、JunN末端キナーゼ(JNK)およびp38経路を活性化する。これらのMAPKsの活性化は、重要ないくつかの結果をもたらし得る。ERK、p38およびJNKは、感染細胞の増殖の容量に影響を及ぼし、ウィルス遺伝子の形質発現を強化できる活性化タンパク-1(AP-1)および核因子(NF)κB-媒介された経路によるHIV-1複製を促進することができる。これらのMAPK能力の活性化も、多数のサイトカインの生産および放出をも促進し、それは自己分泌又は傍分泌において機能してウイルス複製を管理する。したがって、必須のHIV補助受容体として機能することに加えて、CCR5による細胞内MAPKsに対するシグナル伝達機能は、HIV-1感染を促進するかもしれない。CCR5およびCXCR4受容体によって活性化されるシグナル伝達経路は、また、感染の部位に宿主細胞の加入を促進することによってHIVの繁殖を促進するかもしれない。同様に、CXCR4又はCCR5に結合しているgp120は、CD4の細胞質のチロシンキナーゼPYK2および局所接着キナーゼ(FAK)をそれぞれ活性化する。この事に関して、HIV-1は活性化の変化および局所接着複合体の成分の分布を誘発すことができる。それによって、この事はウイルス生産の部位へのT細胞およびマクロファージの加入を強化し、したがって、ウイルス拡散移動および内部転移を支持する。例えば、これらの細胞骨格の再配列は、細胞核に対するウイルス性トランスロケーションを促進することによってHIV感染症のポスト-侵入ステップをも管理するであろう。最後に、CD4-ケモカイン受容体複合体に対するHIV-1エンベロープの結合は、その自然の細胞のアゴニストによっていずれの受容体もの活性化によって誘導されたものとは別であるシグナル伝達パターンを開始するかもしれない。
(ウイルスのコードされたタンパクと関連する細胞シグナル伝達乗っ取り)
成長証明は感染病原体が宿主細胞シグナル伝達経路を破壊し利用する有力な初期のトリガーであり得ることを示す。この役割は、ヒト自己免疫性疾患を有するパルボウィルスB19(B19)の会合によって例証される。この一般のウィルスでの感染は、浸透移行性自己免疫性疾患に際だった類似性を呈し、高い血清自己抗体タイターと関連し得る。B19ウィルスは、ビルレンスおよび病理発生に関係しているカスケードシグナル伝達宿主の調節に関係したプロリンの豊富な11kDaタンパクを生産する。その上、B19は、特に赤芽細胞において、DNA合成、細胞周期阻止およびアポトーシス損傷のイニシエーションに関係している非構造タンパク質(NS1)を生産する。NS1がインターロイキン-6つの(IL6)促進因子のためのトランス作用性転写アクティベータとして機能することは、より注目に値し、宿主細胞のIL6形質発現を上昇する。それゆえに、B19感染は、炎症性疾患の引き金を引くことで重要の役割を演ずることができる。アポトーシス損傷およびトランス活性化している前炎症性サイトカイン促進因子を促進することによって、B19は細胞生存およびアポトーシス間の微妙な均衡を覆すことができ、免疫規制緩和に貢献し得る。
ヒトTリンホトロピックウイルス型1(HTLV-1)は、世界的に見積もりで約1500万〜2000万の人々に感染している。それらの約5パーセントにおいて、感染は成人T細胞白血病又はリンパ腫(ATLL)を導いている。ATLLは、長い刺激潜伏期によって特徴づけられる積極的な疾患およびTリンパ球の増殖である。関係する機構が不完全に理解されると共に、Taxおよびp12のようなウィルスタンパク質がこれらのプロセスで中心の役割を演ずることができる。p12は、細胞シグナル伝達を制御する化学経路、増殖および死亡に連結される様々な遺伝子の活性を変える。選択された細胞のシグナル伝達経路の規制緩和のTaxの役割は、示されている。特に、これはAP-1およびNF-AT転写因子(PDZドメイン含有タンパク、Rho-GTPアーゼおよび、ヤヌスキナーゼ/シグナルトランスデューサおよび転写アクティベータおよびトランスフォーミング増殖因子-β-シグナル伝達経路)を有するTaxの影響および相互作用上に注目されている。
HIV感染症の主な特徴は、前炎症性いくつかのサイトカインの形質発現である。さらに、Nef、TatおよびVprのようないくつかのHIVタンパクは前炎症性サイトカインシグナル伝達を乗っ取り、更にHIV病理発生の炎症の潜在的な重要性を暗示する。In vivo慢性炎症性条件は、ウィルス血症および促進疾患プログレッションの増加するレベルと相関していた。この所見は、炎症がHIV感染症の間、ウイルス貯槽の免疫抑制および発生で重大役割を演ずることができることを示唆する。
(ウィルス乗っ取っりGPCRシグナル伝達ネットワーク)
GTPタンパク質-共役型受容体(GPCRs)は、シグナル伝達に関係している最大グループの細胞表面タンパクで構成されている。GPCRsは、神経刺激伝達、エキソサイトーシス、血管形成を含む機能などの多様な生理機能に関係している。GPCRsはまた多くの人の疾患に関係しており、GPCRsが現在全治療薬の約50〜約60%の標的(直接又は間接的に)であるという事実によって反映されている。GPCRsによって誘発される生物反応の多様性は、細胞内シグナル伝達経路(二次メッセンジャ-生成系、RasおよびRhoファミリおよびそれらの標的の小さいGTPアーゼおよびセリン/トレオニンキナーゼのマイトジェン活性タンパク質キナーゼ(MAPK)ファミリの構成メンバを含む)の複雑なネットワークの機能的活性の統合におそらく依存する(図10において例証されるように)。
生理学的なプロセスにおけるGPCRシグナル伝達およびその広い波及性を考えると、ウィルスが進化して受容体の効果を利用していることは、驚くものはでない(図1において例証されるように)。これは、標的細胞を認識し感染させるか、又はイムノ検出を避ける正常細胞計画に向け直すためにシグナル伝達を利用するか、又は、ウィルスの複製要求を実行することになっているかもしれない。実に、ケモカインのための受容体として機能するGPCRsの特定のグループは(図1において例証されるように)、広範囲にわたるウイルスにより誘導された疾患に関係している。この10年来、HIVの病理発生のケモカイン受容体のキー役割として、ウイルス性病理発生のそれらの重大機能に意識が高められている。同様に、カポシ肉腫の開始原因となるであろうウィルス遺伝子としてのカポシ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)GPCRの同定は、ヒト疾患におけるウィルスによりコードされたGPCRsの重要性に更に注目されている。他の方策は、細胞のGPCRsを乗っ取っり、それらの活性細胞内シグナル伝達経路を利用するためにウィルスによって使われる。例えば、斯かる方策は、細胞のGPCRsの形質発現および機能並びに、ウイルスによりコードされたリガンド(ウイロカイン)もしくはリガンド結合/隔離しているタンパク(図1において例証されるように)の形質発現の調節を含む。これらの方策の全ては、最終的にウィルスの繁殖を容易にして、多くの場合、それによってウイルス性病理発生に寄与するように機能する。
(ウイルス性GPCRs)
DNAウィルスのヘルペスウィルスファミリは、8つのヒト病原体を含む。それらの多岐ウィルスゲノムおよび異なった結果として生じる条件にもかかわらず、ヘルペスウィルスファミリの多数構成メンバは、それらの複製的成功を確実にする共通の方策、それら細胞の宿主からGPCR機能を乗っ取ること、を共有する。新生の証明は、これらのウイルスによりコードされたGPCRsおよびそれらの管理されたシグナル伝達経路がウイルス性病理発生の必須の役割をなして、ウイルスにより誘導された疾患への治療介入の新規標的を発現することができることを示唆する。
ウイルス原因微生物としてのカポシ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)GPCRの最近の同定は、この謎の疾患の病理発生について関心を新にしている。カポシ肉腫は最も多い腫瘍タイプであり、HIV感染患者で起こり、世界中の後性質免疫不全症候群(AIDS)で苦しむ人での重大な死因となっている。カポシ肉腫病巣は、増殖腫瘍細胞、浸潤炎症細胞、内出血赤血球および多くの血管新生空間を含む。KSHVゲノムは、いくつかの候補物質癌遺伝子をコードする。それらの中で、トランスフォーミングおよび前血管新生の両方であるという点で、ウイルスによりコードされたGPCR(KSHV GPCR)は独特である。KSHV GPCRは、ケモカイン受容体のCXCファミリに、非常に関係している。KSHVもケモカインリガンドvMIP-II(更に後に説明する)をコードして、KSHV-GPCR活性を調整するためにこのウィルスに他のコントロール又はフィードバック機構を供給するために、KSHV GPCRによってシグナル伝達を抑制する。説得力ある証拠は、腫瘍発生を促進する際のKSHV GPCRの必須の役割を現在サポートする。KSHV GPCRは強力に血管内皮細胞のPI3K-AKT/PKB経路を刺激して、それはそれらをアポトーシスから保護する。したがって、KSHV GPCRは、KSHV感染する血管内皮細胞の生残を促進するためにこの経路を使用することができる。面白いことに、KSHV GPCRも、血管内皮増殖因子(VEGF)受容体KDR2の形質発現上昇により、そして、VEGFの同時放出を促進することによって自己分泌機構のAKT/PKBを活性化することができ、そして、VEGF受容体を介してシグナルを送り、AKT/PKBを活性化する。KSHV-GPCR発現している血管内皮細胞もまた、傍分泌機構によってVEGFおよびケモカインの放出により、生体内に隣接血管内皮細胞のAKT/PKB活性を誘発することができる。したがって、KSHV-GPCR媒介の腫瘍形成は、おそらく直接型および自己分泌/傍分泌細胞形質転換の間の相互作用から生じ、AKT/PKBは両方の機構の収束の点を表すことができるかもしれない。KSHV GPCRのトランスフォーミング、前生存および血管新生の効果もまた、そのMAPKsを刺激する能力、よって、これらのキナーゼによって管理される転写因子の活性能力に非常に依存している。
KSHV GPCRはまた、AP-1およびNF-κB転写因子を活性化することができ、それらはベーシック線維芽細胞増殖因子と同様に例えばIL-1β、IL-2、IL-4、IL-6の前炎症性サイトカイン、腫瘍壊死因子a(TNFa)、CCL3/MIP-1およびIL-8/CXCL8の形質発現を刺激する、その全てがカポシ肉腫の重要な媒介物質である。
ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)は、人口の50〜95%のHCMVタンパクに対する抗体の存在により反映されているように広まったヘルペスウィルスである。健康個体群において無発症又は準臨床的であるにもかかわらず、免疫力が低下している個体では厳しい徴候が生じることがあり、人間の先天のウィルス感染の主要な原因のままであり、生児出生の0.2〜2.2%の高さと同じ発生率である。HCMVはまた厳しいアテローム性動脈硬化を煩っている個体からの動脈組織において検出され、ここで、それは動脈の平滑筋細胞(SMC)の形質転換に関与し、したがって、アテローム性動脈硬化症患者疾患の特徴であるSMC局所の増殖を導くことになる。HCMV-コードされたタンパクの中で、4つのGPCRs、US27、US28、UL33およびUL78、HCMVは誘導病理発生の併発の有望な候補である。US28は、CCR1およびCCR2ケモカイン受容体に同族関係を示す。多数ケモカインの高親和性のため、US28はこれらのサイトカインを隔離することができ、それは感染部位での免疫回避を容易にして、ウィルスの潜在性の共存系に貢献する。このGPCRもCC-ケモカイン分泌している組織の方への感染細胞の移動を促進し、ウィルス内部転移を助ける。US28およびその構成する活性は、感染細胞のホスファチジルイノシトールの代謝回転を向上させるCMVのための必然的であるように見え、それは移動を促進することができる。したがって、チロシンキナーゼSRCおよびFAK活性化を含むUS28誘導SMC移動は、アテローム性動脈硬化の現像を含むHCMVによる血管疾患の加速のための分子基礎を提供できる。US28もGq/11から開放されるaaダイマーによるNF-κBを活性化して、p38によるCREBを活性化する。そして、それは、MAPKsを制御するGTP結合タンパク質初期化シグナル伝達経路による様々な転写因子をUS28が管理できることを示す。UL33はケモカインを結合ができないが、しかし、それはGq/11による、そして、部分的にGi/oによるホスホリパーゼC(PLC)を含むリガンドから独立した方法のいくつかのシグナル伝達成分を活性化することができる。また、UL33はGi/oおよびGsに連結することによりCRE(サイクリックAMP反応要素)媒介転写を構成的に調製して、Rho-p38経路によるシグナル伝達と同様にcAMPの細胞内のレベルを制御する。CREの活性化は、順番に、細胞成長(例えばサイクリンD)を刺激する分子の形質発現を促進することができる。それは、HCMV US28およびUL33がERK-を活性化することによるアテローム性動脈硬化およびp38に依存する増殖のシグナル伝達経路のSMCの観察された形質転換に貢献できると推測する気にさせる。
HHV6によって、小児突発性発疹、幼児の他の発熱期疾患および成人の感染性単核症様疾患が生じ得る。HHV6は転写解読枠U12およびU51として公知である2つのGPCRsをコードする。HHV6 U12は、CCR3と最も高い相同性を示し、無差別の高量-親和性CC-ケモカイン受容体であり、それは百日咳毒素無感応経路を介して細胞内のCa2+濃度を増やす。HHV6 U51ケモカイン受容体は他のウイルスによりコードされたGPCRsとは非常に異なり、CCL5/RANTESのようなケモカインを結合するが、一次配列はケモカイン受容体よりオピオイド受容体のそれに近い。しかし、U51およびその介在するシグナル伝達経路の効果は、充分に探索されていない。
EBウィルス(EBV/HHV4)。EBVがケモカイン受容体をコードしない唯一のa-ヘルペスウィルスであるにもかかわらず、B細胞のウィルス感染はCCR6、CCR7およびCCR10を含む内因性細胞のGPCRケモカイン受容体の発現上昇を導く。それから、JAK-STATシグナル伝達を活性化することに加えて、その内因性リガンドによるCCR7の活性化は、AKT/PKBおよびERKシグナル伝達経路を刺激することができる。したがって、CCR7の発現上昇は、EBV-感染細胞の生残および増殖を促進するのを助けることができる。さらにまた、CCR7は、Rho、RacおよびCdc42を含んだいくつかのRho GTPアーゼの活性化によるリンパ球移動に関係している。したがって、CCR7は更に感染細胞の移動を促進することに参加して、それによってウイルス性展開を促進する。それでもなお、ヘルペスウイルスの疾患細胞のGPCRsの発現上昇の潜在的な寄与は、更なる検査の根拠となる。
ポックスウィルスは天然痘ウィルス(vareola)を含む大きい二本鎖DNAウィルスのファミリであり、それによってワクチン接種によって実質的に除去された厳しい疾患が生じる。ヘルペスウィルスのための症例と同様に、進化経過間に、ポックスウィルスは宿主の免疫応答を避けるか又は防ぐ遺伝子を得る。これらの遺伝子は、多数のウイルスによりコードされたサイトカインおよびケモカイン結合タンパク質に対するものを含む。ポックスウィルスゲノムの最近の配列分析は、また、推定のウイルスのGPCRsの存在を明らかにした。それらの中で、CCR8に非常に関連があるyaba様疾患(YLD)-7Lウイルスタンパク質はケモカイン(CCL1)に対する結合が示された第1の例である。斯かる結合の結果は、ERKの活性化である。ポックスウィルス内で見つけられる他の転写解読枠が機能的GPCRsをコードするかどうかは、ウィルス感染のそれらの生物学的な役割をなすように、更なる診査の根拠となる。
(ウイルスによりコードされたケモカイン)
彼ら自身の(略奪された)受容体をコードすることに加えて、いくつかのDNAウィルスは、細胞内シグナル伝達経路を誘発又は抑制できる宿主細胞上の受容体に結合する分泌されたタンパクの広大なレパートリをコードするために進化している(図1において例証されるように)。ウイルスによりコードされたGPCRsのように、ウイルス性サイトカイン(又はウイロカイン)は、おそらくそれらの細胞の宿主から乗っ取られて、したがって、多くの類似構造上で機能上の特徴を宿主タンパク質と共有する。しかし、ウィルスゲノムの大きさを制限するために選択圧のために、ウイロカインはより小さくてより有力になるために進化した。大部分のウイロカインは、ウィルスを宿主免疫細胞の積極的な攻撃から守る。実に、ウイロカインの標的は、インターフェロン(IFN)システム、TNF、様々なインターロイキン、補完システムおよび主要組織適合遺伝子複合体(MHC)による抗原提示を含む。もっともなことだが、GPCRsはウイロカインによって破壊又は活用のための有意な標的を代表する。ウイロカインもウィルスが免疫性の検出を避けるのを助け、又は、それらは白血球の加入に新規な宿主細胞の貯留を増加させて、それによってウイルス性内部転移を促進する。
KSHVは、CCケモカインに対する有意なタンパク-配列類似性を有するが、より密接に細胞ケモカイン以外の各々に関する3つの関連したウイルスのMIP(vMIP)遺伝子、vMIP-I、vMIP-IIおよびvMIP-IIIをコードする。vMIP-Iは制限された結合プロフィールを有し、特に、CCR8と相互に作用して、それはヒトCCケモカインCCL1のための唯一の受容体である。vMIP-Iは、PEL細胞のVEGFの形質発現を誘発して、それらを化学的に誘導されたアポトーシスから救うことができる。vMIP-Iの反アポトーシス効果は、ERKシグナル伝達経路の活性化を含むようである。CCR8のためのアゴニストであるvMIP-Iとは対照的に、vMIP-IIは、XCR、CCR、CXCRおよびCX3CR.全ての4つの分類をカバーする10のケモカイン受容体のために拮抗的である。vMIP-IIが結合するヒトCCおよびCXCケモカイン受容体の広い分布範囲は、CCR3受容体(好酸球性およびTH2リンパ球の輸送に関係している)、CXCR4およびCCR5受容体、CCR8受容体、および、KSHV-コードされたKSHV GPCRを含む。そのようにvMIP-IIはヒト好酸球性およびTH2リンパ球を活性化および化学誘引し、HIVの細胞侵入を防ぎ、ケモカインによって媒介されるCa2+可動化を抑制して、KSHV GPCRのシグナル伝達機能を制限する。vMIP-IIIはCCR4を結合し活性化して、これにより選択的にTH2細胞を化学誘引する。全ての三つのvMIPsは、また、前血管新生であり、おそらくカポシ肉腫病巣の血管新生フェノタイプに貢献する。
HCMVは、2つのタンパク、vCXC-1およびCXCケモカインに配列類似性を有するvCXC-2をコードする。vCXC-1は、Ca2+可動化、化学走性および好中球の脱顆粒を誘発する117-アミノ酸分泌されたグリコタンパク質である。高量-親和性アゴニストvCXC-1つの結合は、CXCR1でなく、CXCR2を介して媒介される。その自然のアゴニスト(IL-8/CXCL8)によるCXCR2の刺激作用は、他ヘルペスウィルスによって乗っ取られている細胞内シグナル伝達経路のネットワークを活性化する。これらの生化学経路のどれか(いずれである場合でも)がvCXC-1(およびvCXC-2)によって管理されるかは、調査中である。
HHV6はウイロカイン、vCCL4、をコードして、その形質発現が溶解薬ウイルス繁殖サイクルの後期に制限され、それはウイルス性内転移の可能な役割を示す。vCCL4は、T細胞のCCR2に結合して、その内因性リガンド(MCP 1/CCL2)を引き起こすと同様に効率的にCa2+可動化を引き起こす。vCCL4も細胞をCCR2発現するための化学誘引物質として機能して、それはマクロファージおよび単核細胞を含み、考えられるところではそれらを感染させて、刺激潜伏を確立する。
伝染性軟属腫ウィルス(MCV)(良性の皮膚の病巣を生産するポックスウィルス)は、CC-ケモカインホモログ(すなわち指定されたMCVケモカインホモログ(MCCH)又はMC148)をコードする。KSHV-コードされたvMIP-Iのように、MC148はケモカイン受容体CCR8に結合する。しかし、MC148は先端を切ったN末端(それは適当な結合および受容体活性化のために必要である領域から成る)を有するので、したがって、それはCCR8アンタゴニストとして機能する。MC148は特に、単核細胞浸潤および樹状細胞の機能を抑止して、それはMCVを繰り返し収容する皮膚腫瘍の炎症性反応の連続的な非存在を説明するのを助けるかもしれない。
(ウイルスによりコードされたケモカイン結合タンパク質)
GPCRsによって活性化される細胞内シグナル伝達経路を乗っ取ることは、ウイルス性病理発生を促進する。しかし、ケモカイン受容体は宿主免疫応答のために必須でもあり、それらは細胞をウィルス感染から保護することができる。したがって、ウィルスが、これらのGPCRsを特に「停止」するタンパクを展開していることに、驚きはない。この方策は、ウイルスによりコードされたケモカイン結合タンパク質(図1において例証されるようにCKBPs)によって例証される。これらは、いかなる周知の宿主タンパク質にも対する配列類似性を示さず、まだ細胞のケモカインに対する高親和性によって結合して、同族受容体を有するそれらの相互作用を抑制する。ウィルスがケモカイン受容体の通常機能を調整するか又は抑制するタンパクを生成して、配備するという観察は、ウィルス感染の間、宿主免疫応答にそれらのシグナル伝達経路の有意性を明確に示す。上記のように、ポックスウィルスはCKBPsを含む免疫回避および免疫調整に関係しているタンパクのレパートリをコードする。ミキソーマウイルスは、2つのタンパク質、T1およびT7をコードする。CXCケモカインに対する低親和性について以外、T1は高親和性によって多くのCCケモカインと結合する。T1は、細胞のケモカインを隔離することによって、ヒト単核細胞移動を遮断することを示した。T7は、ケモカインのCCおよびCXC分類の構成メンバの活性を結合でき抑制できる、より無差別のCKBPであって、更に外部ケモカイン勾配の発生を防ぐことによって機能するようであり、それは単核細胞化学走性を抑制する。GPCRs、ウイルスによりコードされたサイトカインおよびヒトヘルペスウィルスで見つけられるCKBPsのための転写解読枠はまた、ハツカネズミ、ラット、ウマおよび霊長目動物を感染させるものを含むアニマルヘルペスウィルスにおいて非常に保存される。これは、それらの生物学的な関連性を支持して、生体内にこれらの分子の機能を解明するのを助けるために有効な実験的モデルを提供している。例えば、ネズミヘルペスウィルスMHV-68はヒトa-ヘルペスウィルスHHV8やエボラウィルス(EBV)に非常に関連があるが、MHV-68は、CC、CXC、CおよびCX3Cケモカインを含むいくつかの分類のケモカインに結合する豊富に分泌されたタンパク質M3をコードして、GPCRsを通るシグナルを阻害する。
M3を欠いているMHV-68の突然変異体では、潜在的に感染する細胞(生存して、増殖して、ウイルスのほとんど後代を生産しない細胞)の増幅はMHV-68誘導感染性単核症を通常に駆動するが、その増幅が起こることに失敗することを示した。それで、M3の非存在下で、MHV-68は正常な潜在性のウイルスの負荷を確立することができず、病原体には至らなかった。これは、HHV-8およびEBVがまた、同様に細胞のケモカインを隔離するように機能するかもしれなくて、このようにウイルス性病理発生を促進するかもしれないCKBPsをコードすることができる見通しを提起する。
(例1)
(RWGバイオセンサを使用するウィルス感染の直接検出)
(アデノウイルス侵入に関係しているシグナル伝達現象)
シグナル伝達は、初期ウィルス-宿主相互作用の重要な調節因子として発現している。ここで述べたように、2つの機構1)表面受容体の活性化と、2)標的細胞(受容体を含む)のウイルスによりコードされた細胞のシグナル伝達分子の蓄積は、ウィルス誘導細胞シグナル伝達を説明する。ウイルス受容体の活性化は、例えば、細胞の抗ウイルス性の防御に刺激もしくは反作用するか、アポトーシスを強化するか、又はウィルス侵入および生産を促進し得る。さらに、ウィルスは宿主炎症性反応を刺激して、前炎症性サイトカインおよびケモカインの生産および多くのシグナル伝達経路の活性化の結果となることを示した。
アデノウィルスベクタは宿主炎症性反応の活性化およびシグナル伝達経路の調節に結果としてなることは公知であり、それはMAPキナーゼおよびホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3-キナーゼ)の活性化を含む。アデノウィルスは宿主炎症性反応を刺激することを示し、前炎症性サイトカインおよびケモカインの生産およびMAPキナーゼを含む多くのシグナル伝達経路、局所接着キナーゼおよびPI3-キナーゼの活性化に結果としてなっている。図2は、アデノウイルス細胞侵入の典型的なシグナル現象の概略図である。
アデノウィルス-インテグリン相互作用210は、FAKリン酸化/活性化220を誘発する。
しかし、この現象は、特にウィルス侵入にとって重要とは思われない。その代わりに、ホスファチジルイノシトール-3-OHキナーゼ230およびRhoファミリGTPアーゼ235の活性化は、アデノウィルス侵入を促進するのに役立つ。細胞へのアデノウィルス侵入は、その細胞表面受容体へのウィルスの結合によって始められる。第1に、アデノウィルス繊維タンパク質球状突起ドメイン(図2)は、細胞表面受容体にコクサッキーアデノウィルス受容体(CAR)又はMHC分類Ia2ドメインを結合する。また、アデノウィルスペントンおよび細胞表面インテグリン例えばavβ3およびavβ5の間の相互作用が見られ、感染を容易にして、アデノウィルスインターナリゼーションを促進している。結合の後、すぐに、アデノウィルスはクラトリン被覆膜孔に、そして、エンドソームと呼ばれるエンドサイトーシス小胞において集められる。細胞表面にアデノウィルスを初期に結合する5分未満に、アデノウィルスはエンドソームにおいて観察され得る。アデノウィルスはエンドソームからサイトゾルに逃げ、それから、微小管システムを使用して細胞核の方へ横動する。細胞表面から細胞核へのアデノウィルスの移動は、アデノウイルス取込みの速い速度を示しつつ約30分で終える。
これらの反応は、ウィルス結合後、初期に起こり、ウィルス遺伝子転写から独立している。アデノウイルス粒子は、in vivoでおよびin vitroで宿主自然免疫の免疫応答を活性化する。
宿主炎症性遺伝子の活性化は、アデノウィルスカプシッドによって媒介されて、ウィルス遺伝子転写から独立している。アデノウィルスベクタは、白血球、内皮細胞性および上皮細胞を含む多数の異なる細胞タイプを相互に作用して、活性化する。非造血細胞において、研究が示していることは、ウイルス細胞侵入の間、アデノウィルスベクタが転写因子NFkBおよび多くのシグナル伝達経路、例えば、細胞外シグナル制御キナーゼ(ERK)およびp38を活性化して、サイトカイン、ケモカインおよび接着分子を含む免疫調節性遺伝子の増加を結果としてもたらすことである。CXCL10は、アデノウィルスベクタ誘導炎症のモデルにおいて、速く発現上昇されるケモカインである。最近の研究では、CXCL10がアデノウィルス感染症の後、肝臓にT細胞の加入で重要の役割を演ずると確認している。CXL10の誘起は、このようにin vivoでおよびin vitroでアデノウィルスベクタに細胞の活性化および宿主免疫応答の有効なマーカとして役立つ。非造血細胞のアデノウイルスベクタ侵入は、アデノウィルス繊維球状突起領域およびコクサッキーウィルス-アデノウィルス受容体(CAR)間の高親和性相互作用で、最初に起こる。CARへの繊維球状突起の結合はシグナル伝達現象の引き金にならないと考えられ、むしろ、宿主細胞間結合の保全を分裂させ、ウィルスインターナリゼーションを促進する。初期の結合に続いて、アデノウィルスペントンベースタンパクのペプチドArg-Gly-Asp(RGD)配列はウィルスインターナリゼーションを促進するavインテグリンに結合した。アデノウィルスベクタ誘導シグナル伝達およびケモカイン遺伝子形質発現は減少した細胞の侵入と相関したが、しかし、CARおよびインテグリン結合の非存在下でまだ起こった。宿主炎症性機構の活性化は、アデノウィルスベクタ細胞侵入のポストインターナリゼーションステップで起こった。avインテグリンに対するカプシッドRGD配列の結合はウィルスインターナリゼーションを促進するだけでなくて、ホスホイノシチド-3-OHキナーゼ(PI3K)経路を含むいくつかのインテグリン誘導シグナル伝達経路の引き金ともなる。PI3K-Akt経路は、明らかにNFκBを管理するために示された。非造血細胞において、アデノウィルスベクタは、ウィルス-細胞付着性および侵入の間、異なるステップで少なくとも2つのシグナル伝達経路、PI3K-Akt経路(細胞表面インテグリンにカプシッドに依存する結合で活性化される)、そして、マイトジェン活性タンパク質キナーゼ経路(活性ポストインターナリゼーション)を、活性化することによって宿主炎症性遺伝子を刺激する。
図3は炎症治療における可能な治療介入のための遺伝子座の概略図であり、例えば、現存する作用部位310および新規治療320を示す。炎症は、ほとんど様々な外又は内の発作、例えば感染病原体、物理的外傷、酸素圧低下又は肉質量のいかなる器官も又は組織の疾患プロセスに対する基本的な反応である。炎症は、4つの周知の症状発赤、熱、痛み/苦しみおよびそれほど多くの一般の疾患および条件を特徴づける腫脹を引き起こす。GPCRsは炎症性プロセスの調整を助けるので、炎症性プロセスに関係したGPCRsを標的とする小分子治療が開発された。そこで、人はこれらの標的に対する本開示のスクリーニング技術を応用して、これらのGPCRsを活性化又は抑制し得る小分子を識別することができる。いくつかの標的とされたGPCRsは、T-およびB細胞およびマクロファージで発現され、炎症性プロセスを媒介する重要なサイトカインの調節において重要であり、例えば腫瘍壊死因子アルファ(TNFアルファ)、例えばリウマチ性関節炎での重要な前炎症性媒介物質である。
ケモカインは、免疫系、特に化学走性(化学勾配による細胞移動)を管理する小タンパク質である。現在まで、13個の周知のケモカイン受容体のうちの1つ以上に結合する50以上のタンパクからなるケモカインの4つのファミリが識別されている。最近の研究では、喘息およびアテローム性動脈硬化を含む炎症関係のいくつかの疾患の発病におけるケモカインの役割が示されている。炎症細胞の移動を抑制する能力を呈するペプチドおよび小分子のファミリは、識別されている。報告されたケモカインインヒビタの大多数がケモカインの1又は選択されたグループのための特性的である一方で、これらの新規化合物は広いケモカイン阻害力を呈し、アテローム性動脈硬化、喘息、発作、エンドトキシン血症および皮膚の炎症に対するものを含む様々な動物モデルの効能を示している。
多数の最近の研究調査では、宿主防御および炎症性疾患プロセスにおける、前炎症性で多面的なサイトカイン腫瘍壊死因子-a(TNFa)、IL-6およびIL-1の鍵となる役割を示している。TNFおよびIL-1過剰発現は、疾患標的組織において、そして、激烈慢性炎症性疾患をもつ患者の血液において知見された。TNFアルファおよびIL-1がこれらの疾患において重大であることを示唆されている。この10年に亘って、バイオテクノロジおよび医薬品工業によって、TNFアルファ、および、1つの事例ではIL-1活性を抑制するいくつかの方法が開発された。いくつかの方法は、受容体封鎖、サイトカイン機能での干渉又は生産阻害、プロセシングおよびサイトカインの放出による、IL-1およびTNFaシグナルの薬理学的調節のために開発された。前炎症性サイトカインTNF-aおよびIL-1を遮断する医薬品は、リウマチ性関節炎および他炎症性疾患のための結果を改善できるが、しかし、多くの患者には治療に御しがたいままである。受容体群形成に要求され重要な分子、したがってシグナル伝達のための探査は、新規な標的および範囲を抗炎症薬開発に提供する。局所接着は、シグナル伝達(図3)でのその役割のために、ますます注目されている。
実に、現在、公知なものは、これらの複合体構造が、例えば体力、増殖因子および炎症性刺激環境の手がかりに対する、細胞形状、細胞行動、運動性、増殖、アポトーシス、並びに、反応、を含む必須態様を組織化する多重シグナル伝達複合体を形成することである。
例えば、ビンキュリン、タリン、テンシン、パキシリン、ザイキシンおよびaアクチニンのインテグリンおよび構造上の細胞骨格タンパク質に加えて、局所接着は、シグナル伝達分子(すなわち>50)の多様なアレイを含み、タンパク質キナーゼおよびホスファターゼを含み、小さなGTPアーゼおよび関連する調節分子、および鍵タンパク-タンパク相互作用を媒介するアダプター分子を含む。公知なものは、IL-1βによるIL-1Rのエンゲージメントが骨格タンパク質タリンおよび局所接着キナーゼのリン酸化を導くので、これらの局所接着分子が直接IL-1シグナル伝達に関係していることである。IL-1シグナル伝達に関係している局所接着タンパク質類のレパートリは、初期細胞付着に続く局所接着成熟の程度に依存している。局所接着における多数の潜在的シグナル伝達調節分子の大局的な見解は、癌および最も明白には炎症の両方において薬理学的標的発見のための広い範囲を示す。
局所接着は、一連のステップ(局所接触、局所接着および線維性接着)で、しばしば成立し、各々特徴的な外観および分子組成を有する。外部性刺激の非存在下で、局所接着は発達して、多数時間を通じてゆっくり成立する。外部性刺激は、深くこのプロセスを調整でき、血小板由来増殖因子(PDGF)のような増殖因子、IL-1βのようなサイトカインを曝し、そして、機械的力は局所接着の成熟および動的再造形を促進する。これらの反応の多くは、シグナル伝達経路下流の調節と同様に発生、成熟および局所接着の動的再造形に対して重要なチロシンリン酸化-従属現象によって、管理される。IL-1シグナルのブロッケードのための医薬品発見の状況において、局所接着を分散させるペプチドでの局所接着成熟の予防は、細胞外シグナル制御キナーゼ(ERK)の活性化を導くIL-1シグナル伝達を遮断することができる。これらのデータは、新しい治療のための標的として細胞接着および細胞接着に関連したタンパクを使用するための可能性を示す。局所接着は、パキシリン、局所接着キナーゼおよびSrcファミリキナーゼを含む多数のチロシンリン酸化されたタンパクを含む。後者は、局所接着発生および成熟(図3)の重要で多面的な役割を有する。IL-1シグナル伝達の状況において、IL-1に応答するFAKのチロシンリン酸化は繊維芽細胞のシグナル伝達のために必要であり、IL-1シグナル伝達の調節のチロシンリン酸化の重要性を強調している。実に、チロシンリン酸化は、IL-1を含むシグナル伝達経路多数の下流の調節においてと同様に、発生、成熟および局所接着の動的再造形において重要である。タンパクチロシンホスファターゼ(PTPs)が免疫性で、炎症性で線維的な反応に関係している重要なシグナル伝達経路を調整することは公知であるように、PTPsを標的とする方策によるこれらの経路の選択的調節は望ましい。分子的治療でチロシンキナーゼを標的とする先例がある。最近の研究では、様々な癌の治療でのチロシンキナーゼインヒビタの有効性が示されている。例えば、イマチニブメシラート(グリベック;ノバルティス社)、BCR-Ablを標的とする経口チロシンキナーゼインヒビタ、c-Kit、並びにPDGF受容体αおよびβ(両チロシンキナーゼ)が慢性骨髄性白血病および様々な他の癌の治療に効果的であることが示されている。小分子チロシンキナーゼインヒビタゲフィチニブ(イレッサ;アストラゼネカ社)およびEKB-569(ワイエス-アイエルスト)でEGF受容体を標的とする方策、又は、どのブロッキング単クローン抗体、例えばマツズマブ (EMD Pharmaceuticals)を使用する方策が、また、いくつかの癌の治療に有望であることが示されている。血管内皮増殖因子受容体を標的とする小分子チロシンキナーゼインヒビタSU5416(semaxanib;Sugen)がまた抗悪性治療として有望であることも示されている。その上、チロシンキナーゼ、例えばJAKファミリを標的とする薬剤は、免疫性で炎症性疾患の治療のための免疫修飾物質薬剤として開発されている。チロシンキナーゼインヒビタの治療使用と比較して、PTPsを標的とする治療手段について、より少ないことは公知である。それでもなお、広範囲のPTPインヒビタバナジン酸塩およびその誘導体は、動物モデルおよび人間の真正糖尿病の治療の有望であることが示されている。IL-1によってトリガされるシグナル伝達経路特に局所接着依存している選択的調節は、炎症性組織外傷の回復のための治療の他の方策である。これが比較的未知の領域を表すように、研究者は、炎症性疾患の治療のためのPTPインヒビタの現像を開発するため、他の疾患、例えば糖尿病のPTPインヒビタの開発で得られた経験を集めるのが賢明である。この事については小分子インヒビタのSHP2が最近記載されているが、NCS-87877がSHP2の触媒作用的開裂に結合し、それによってそのホスファターゼ活性を抑制している。この化合物は選択的に他刺激によってERK活性化に影響を及ぼすことのない培養細胞のEGF誘導ERK活性化を抑制し、そして、炎症性組織外傷を媒介するSHP2に依存するシグナル伝達経路を調整する際のその使用の可能性を上げた。明らかに、SHP2およびPTPaのようなPTPsが構造上で免疫性の細胞の生理的に重要なプロセスを管理するシグナル伝達経路に参加するので、斯かる方法は賢明に着手しなければならない。しかし、関節又は肺臓のような炎症性環境への短期間の治療薬の局所の送達は、シグナル伝達経路の調節の若干の選択作用を許すかもしれない。
(材料および方法)
(試薬)
ラトランクリン AおよびサイトカラシンBは、シグマケミカル(Sigma Chemical)社(セントルイス(MO))から購入された。細胞浸透するダイナミン阻害ペプチドコントロール(DIPC)は、トクリスケミカル(Tocris Chemical)社(セントルイス(MO))から得られた。アデノウイルス粒子(Ad-CMV eGFP)は、ベクタバイオラボス社(フィラデルフィア(PA))から購入された。細胞培養準備用のCorning(登録商標) Epic(商標) 96ウエルバイオセンサマイクロプレートは、コーニング社(コーニング(NY))から得られた。ヒーラ細胞株は、米国菌培養収集所組織から得られた。
(細胞培養)
ヒーラ細胞は、10%のウシ胎児血清(FBS)、4.5g/リットルのグルコース、2mMのグルタミンおよび抗生物質で補充されるアール最小必須培地(EMEM)において育てられた。約104のヒーラ細胞は200μlにおいて懸濁された。そして、10%のFBSを含む適当な培地は96ウエルバイオセンサマイクロプレートの各々のウエルに置かれ、約95%の集密度に達するまで、空気/5%のCO2の下で37℃で培養された。
(光学バイオセンサ計測)
横行性磁界又はp-偏光を有するTM0モードを有するCorning(登録商標) Epic(登録商標)角度インターロゲーションシステム(例えば、米国特許公開番号US-2004-0263841、2004年12月21日に出願の米国特許出願番号第11/019,439号および米国特許公開番号US-2005-0236554にて説明したように)が、使われた。培養した後に、細胞は二回洗浄されて、1x 100マイクロリットルHBSS(1x標準ハンクス平衡塩溶液、20mMのHEPES緩衝液、pH7.0)によって維持された。その後、細胞を含むセンサマイクロプレートは光学系に配置されて、細胞応答は溶液の添加の前後で記録された。化合物研究のために、50マイクロリットルのウィルス粒子を含有する溶液が導かれる前に、安定した位相(すなわち明らかな質量再分布でない)に達するまで(一般に1時間内)、各々のウエルの細胞は50μl又は1x HBSSの化合物溶液によって前処理された。全ての研究は、温度変動および蒸気化冷却の効果を最小にするために、溶液が導かれた短い期間(約数秒)の間の除いて、マイクロプレートに蓋をして室温で、実行された。
(結果および検討)
アデノウイルス受容体は、上皮、神経、繊維芽および筋肉の細胞を含むほとんどの細胞タイプについて発現される。アデノウイルス受容体において不十分な唯一の周知細胞タイプはCD34+幹細胞を含む一次造血細胞である。しかし、アデノウィルスは若干のリンパ系細胞の組み込まれない状態にとどまり得る。この刺激潜伏性の機構が明確でない一方、それは代替受容体すなわち細胞タイプへのアデノウィルス侵入のおそらく他の手段の可能性を上げる。
ヒーラ細胞は、アデノウィルスによって感染することが可能なことは公知であり、ウイルスの侵入およびアデノウィルスのシグナル伝達を研究するモデルとして選ばれる。Corning(登録商標) Epic(登録商標)角度インターロゲーションシステムを使用して、アデノウィルスは細胞に基づくアッセイを使用して、直接検出できる。図11は、緩衝液のみ(1110)によって誘導されたものと比較して、2つの異なるウィルス濃度(多感染の3,000(MOI 3000)(1130)および12,000MOI(1120))によって誘導された、細胞応答の実時間動態速度を示す。予想したように、緩衝液(1xHBSS)は少し下方への変動したシグナルに結果としてなった。一方、ヒーラ細胞は用量依存的な態様でアデノウィルスに応答している。アデノウィルスの濃度が12,000MOIであるときに、結果DMRは三つの主な相から成り、すなわち、持続時間約30分(点B−C)の減少シグナルのN-DMR現象、持続時間約45分(点C−D)の次の増加シグナルのP-DMR、および持続時間数時間(点D−E)のN-DMR現象の相から成る。初期の速いP-DMRシグナル(点A−B)がウィルス溶液の添加の直後にあり、それは細胞培地およびウィルス溶液(より高い屈折率)の間の屈折率の差による。斯かるシグナルは、非常に短い期間(<1分)の間続くだけであり、バルクインデックスシグナルと称される。
より低い供与量(例えばMOI 3000)では、ウィルスがDMRシグナルの引き金を引き、ここでは、かなり異なる速度論的性質については以外、全動態はMOI 12000に等価なウィルス供与量により誘導されたものと同様である。MOI 12000により誘導されたDMRシグナルと比較して、ウィルスのより低い濃度に誘導されたDMRシグナルの全動態は、三つの主な相、すなわち、非常により小さい振幅を有するN-DMRシグナルと、非常により遅い速度を有する次のP-DMRシグナルと、非常により遅い速度を有するN-DMRシグナルと、を呈する。加えて、N-DMR相(Eに対するD)に対するP-DMR相(CD)からの遷移は、非常に後発である。これらの結果は、アデノウィルスが有意なDMRシグナルを媒介すること、斯かるDMRシグナルがウィルス感染の指標として使用できるを示唆した。
コクサッキーアデノウィルス受容体のような細胞表面受容体に結合すると、即座に、アデノウィルスはインターナリゼーションを経て、細胞シグナル伝達を媒介する。細胞微小管およびアクチンフィラメントがウィルス輸送で重要な役割を演ずることは公知である。これらのフィラメントを分解するビンブラスチンおよびサイトカラシンBような医薬品は、細胞中のアデノウィルス輸送を抑止することを示している。このように、いくつかの調節物質すなわち修飾物質は、ヒーラ細胞を前処理するように選ばれ、ウィルス誘導DMRシグナルを調整するそれらの能力が検査される。結果は、図12において要約される。修飾物質は、DIPC(ダイナミン阻害ペプチドコントロール)と2つのアクチンフィラメント分裂トキシン、ラトランクリン AおよびサイトカラシンBとを含む。DIPCは、ウイルス受容体複合体エンドサイトーシスで重要な役割を演ずる重要な細胞内タンパクであるダイナミンの活性を遮断することができる。正のコントロール1210(ヒーラ細胞が1xHBSS緩衝液だけで前処理され、続いてMOI 6000のアデノウィルスが添加された)と比較して、サイトカラシンB 1230およびラトランクリン A 1220(図12)のアクチン破壊薬剤での細胞の前処理は、アッセイ時間(約1時間)内で、明らかにP-DMRシグナルを抑制した。アクチンフィラメントが受容体輸送で重要な役割を演ずるので、これらの結果はP-DMR現象がウイルスの侵入に対する下流であることを示唆する。一方、アンフィファイジンのダイナミン結合を競争的に完全に遮断するGTPアーゼダイナミンのインヒビタであるDIPCはP-DMR現象(図12(曲線1240))を遮断する。これは、ウィルスのエンドサイトーシスがP-DMRシグナルにとって重要なことを示唆する。
Epic角度インターロゲーションシステムでのバイオセンサアッセイの後、細胞を含むマイクロプレートは、一晩、標準細胞培養条件で培養された。その後、緑の蛍光タンパク(GFP)の形質発現は、蛍光顕微鏡法を使用して検査された。これは、アデノウイルスベクタがGFP遺伝子を含むこのアッセイで使用されたので、ウィルス感染上のこれらのインヒビタの調節プロフィールを確かめるのに役立つ。結果は、その20時間ポスト感染を示し、アデノウィルス-GFPに感染するだけのヒーラ細胞がGFPの形質発現のために有意な蛍光を示した。対照的に、感染細胞(図13)のGFP形質発現の欠如で示すように、DIPCを有するヒーラ細胞の前処理は、完全にウィルス感染を防いだ。
直接法において、RWGバイオセンサを使用して、宿主細胞系のウィルス感染を直接モニタすることが可能だったことが証明された。図4Aは、病原体誘導DMRシグナルに基づく直接検査法を示す。直接検査法は、例えば、ガラス製の導波路のような光学バイオセンサ400と質問機410と付着された細胞420とウィルス粒子のような任意の細胞外の病原体430とから構成され、質問機410は、例えば、広帯域光源又はビームおよび問い合わせられたビームを受信する受信機を含み、光学バイオセンサ400は検出体積415、細胞表面接着部位417など構成メンバ又は同様の手段を含み、そして、付着された細胞420はDMR細胞成分422、核425を有する。直接方法は、直接に速い応答時間を有することによって有利であるが、例えば、約1,000以上のウィルス粒子の閾値を有するので比較的低感度である点で不利である。実施例において、直接法は、例えば、Corning(登録商標) Epic(登録商標)システムを使用して達成できる。
(例2)
(修飾物質のパネルを使用した生細胞の細胞シグナル伝達ネットワーク上のウィルス感染の影響のマッピング)
バイオセンサ細胞-ベースのアッセイの感度を更に改良するために、細胞シグナル伝達を乗っ取るウィルスの傾向を調査した第2の間接的な方法が調査された。間接的方法は、マーカの各々が少なくとも1つの異なった細胞標的、例えば受容体を調整すなわち修飾して、その後に続く異なる細胞シグナル伝達経路(例えば、Ca2+経路、MAPK経路、接着経路、cAMP経路および同様の経路)の引き金を引く「マーカ」のパネルを使用した。例えばウィルス感染などの病原体侵入のマーカ誘導DMRシグナル上の影響が、信頼できる測定として使用できる。
図4Bは、細胞シグナル伝達における病原体誘導変化に基づく間接的検査法を示す。間接的検査法は図4Aにて図示した直接法と同様に構成でき、例えば光学バイオセンサ400、検出体積415を有する質問機410、細胞表面接着部位417、DMR細胞成分422を有する付着された細胞420、核425を含む。間接的検査法において、細胞内構造432、核構造427、又は両者は、細胞シグナル伝達経路上の病原体侵入の結果としての変化、例えば、細胞表面構造(GPCR 440、RTK(受容体チロシンキナーゼ)445, および同様構造)と病原体相互作用の結果としての変化を受けるが、すなわち、これらでは、病原体431又はその成分もしくはその人工構造が細胞核425に入っている。間接方法は、約1から約100のウィルス粒子まで刺激閾値を有する感度の高い高速アッセイであるので有効であるが、直接法と比較して長いインキュベーション又は感染期間を有することで不利である。実施例において、間接方法は、例えば、Corning(登録商標) Epic(登録商標)システムを使用して達成できる。
1つの例において、A431細胞上のアデノウイルス感染が測定された。
以下の一連のマーカが検査された、EGF(標的EGFRおよびMAPK経路および細胞接着経路)、ブラジキニン(標的GqおよびGs経路)、SFFLR-アミド(標的GqおよびG12/13経路)、SLIGKV-アミド(標的GqおよびG12/13経路)、フォルスコリン(標的cAMP経路)、A23187(標的Ca2+経路)およびエピネフリン(標的Gs経路および細胞接着経路)である。EGFは、上皮細胞増殖因子受容体の天然リガンドである。ブラジキニンは、ブラジキニンB2受容体の自然のアゴニストである。SLFFLR-アミドは、プロテアーゼ活性リセプタ亜型1(PAR1)のアゴニストであり、SLIGKV-アミドは、プロテアーゼ活性リセプタ亜型2(PAR2)のアゴニストである。エピネフリンは、β2-アドレナリン受容体の自然のアゴニストである。全てのこれらの受容体は、A431細胞において内成的に発現される。加えて、フォルスコリンはアデニル酸シクラーゼ(ATPをcAMPに変える細胞の酵素の分類)のアクティベータである。A23187はCa2+イオノフォアであり、それはCa2+に依存する細胞アポトーシスに結果としてなる。これらの経路の活性化上のアデノウイルス感染の効果が測定された。アデノウィルスによって誘導された細胞シグナル伝達に対する影響の証明は、また、Epic(登録商標)システムで評価された。
(材料および方法)
(試薬)
SFLLR-アミド、ブラジキニンおよびSLIGKV-アミドは、バッケム(Bachem)社(キングオブプロシア(PA))から購入された。エピネフリン、A23187、フォルスコリンおよびEGFは、Sigma Chemical社(セントルイス(MO))から得られた。Corning(登録商標) Epic(登録商標) 384ウエルバイオセンサマイクロプレートは、コーニング社(コーニング(NY))から得られた。センサマイクロプレートにおいて、各々のウエルは、基質を提供するグレーティング上の誘電材料の薄膜からなるRWGセンサを含む。
(細胞培養)
ヒト表皮癌A431細胞は、米国菌培養収集所組織から得られた。A431細胞培養のため、A431細胞は、10%のウシ胎児血清(FBS)、4.5g/リットルのグルコース、2mMのグルタミンおよび抗生物質で補充されたダルベッコ改質イーグル培地(DMEM)において育てられた。50μlの中に懸濁された通路3〜5での1-2x104の細胞について、細胞増殖培養液は各々のウエルに置かれた。細胞種入れの後、約95%の集密度に達する(約2日)まで、細胞は空気/5%のCO2の下で37℃で培養された。その後、血清培地は血清のないDMEM培地と取り替えられ、同時に、アデノウィルス粒子が導入された。結果細胞は、一晩、連続培養された。
(MRCAT(質量再分布細胞アッセイ技術)アッセイ)
以前に使用した角度インターロゲーションシステムの代わりに、標識フリーCorning(登録商標) Epic(登録商標)の横行性磁界又はp-偏光を有するTM0モードを有する波長インターロゲーションシステムが、この研究において使われた。DMRアッセイのために、10μlのアクティベータ溶液が導かれる前に、安定した位相(すなわち明らかな質量再分布でない)に達するまで(一般に1時間内)、各々のウエルの細胞は40μlのDMEM培地によって維持されて、そして、10μl又は1x HBSSの化合物溶液によって前処理された。全ての研究は、温度変動および蒸気化冷却の効果を最小にするために、溶液が導かれた短い期間(約数秒)の間の除いて、マイクロプレートに蓋をして室温で、実行された。
(質量再分布細胞アッセイ技術(MRCAT))
共に所有している同時係属のPCT出願PCT/US2006/013539(「標識フリーバイオセンサおよび細胞」 Y. Fang et al.(公開番号WO 2006/108183))において、無侵襲および操作フリーな細胞アッセイ方法として再分布細胞アッセイ技術(MRCAT)が開示されている。MRCRTは、光バイオセンサ、特に共鳴導波路グレーティング(RWG)バイオセンサを用い、付着細胞の底の薄い部分内のリガンド誘導の動的な質量再分布をモニタする。得られたDMRシグナルは統合された細胞応答を表し、細胞標的又は分子アセンブリのリガンド誘導による動的な、定方向および方向再分布から生じたものである。MRCATは、シグナル伝達およびそのネットワーク相互作用などの細胞活性の研究を可能にし、設計された細胞又は細胞株の内因性受容体又は過剰発現受容体に対するリガンド候補化合物の高スループットのスクリーニングをも可能にする。
光学バイオセンサが細胞の活性およびシグナル伝達を徹底調査するために典型的短エバネッセント波を利用するので、細胞にはバイオセンサ表面での接触が一般に要求される。これは、いくつかの機構によって達成できる。付着細胞のために、細胞はバイオセンサ表面上へ直接培養され得る。弱い付着細胞のためは、細胞はバイオセンサ表面上へ直接培養されることができ、その表面が細胞の固着を支持している材料(例えば、細胞間マトリックス物質、例えばフィブロネクチン、ラミン、コラーゲン、ゼラチン、又はポリリジンおよびアミン-反応性高分子のような重合物質)から構成され得る。懸濁細胞のために、細胞は表面が反応性部分から成るバイオセンサの表面と接触するように運ばれるようにすることができ、その表面が(例えば細胞表面タンパク質と相互に作用して細胞を表面に連結するアミン-反応性高分子、又は、特に、細胞表面タンパク質と相互に作用してセンサ表面の上へ細胞を停留させる抗体)から構成され得る。
MRCATは、バイオセンサ表面と細胞の相互作用又は接触から開始する。一般的に、細胞はRWGバイオセンサ表面上で直接培養される。外因性シグナルは、特定の細胞シグナル伝達の活性化を媒介することができる。多くの場合において、動的質量再分布(DMR)に等価な細胞内容の動的再分布をもたらす結果としてなっている。シグナル伝達が検知体積(すなわちエバネッセント波の侵入深度)内で起こる場合、DMRが現れ、それがRWGバイオセンサによってリアルタイムでモニタされる。バイオセンサは、マルチパラメータ測定の能力を有するので、細胞の高い情報内容を検知する可能性を提供する。これらのパラメータは、共鳴ピークの角度変移(最も一般的な出力のうちの1つ)、その強度、その半値幅(PWHM:peak-width-at-half-maximum)、共鳴ピークの領域および形状を含む。センサ全体に亘る位置感度の高い応答は、センサ全体の異なった位置の細胞の細胞応答の均一性のみならず、密度や付着力度などの細胞状態の均一性に関してもさらなる有用な情報を提供することができる。
DMRシグナルは、生細胞の新規な生理反応に関して価値ある情報を生じさせ得る。細胞層に侵入するエバネセント波のテイルの指数的減衰のため、特定の質量の標的又は複合体は、当該標的又は複合体がセンサ表面から離れているときと比べて、センサ表面により近いときに、より一層全体的な応答に寄与する。さらに、センサ表面に向けての標的又は複合体の再配置はシグナルの増加をもたらすのに対し、センサ表面から離れる標的又は複合体の再配置はシグナルの低下につながる。特定の標的を介したDMRシグナルは、付着力の程度などの細胞状態、増殖および静止状態のような細胞状態に依存することがわかった。
一般に利用可能なRWGおよびSPRなどの光学バイオセンサの短い検知体積のため、バイオセンサ・ベースの細胞アッセイはセンサ表面と細胞との近接さに依存する。加えて、細胞の付着、細胞生長又はその両者は、現在の細胞ベースのバイオセンサおよびそのアッセイ法の成功の重要なファクタであり得る。実施例において、開示の修飾されたバイオセンサ表面は、多様な細胞株の成長に生物学的に適合的であり、サポートしなければならない。実施例において、修飾されたバイオセンサ表面に対する細胞の付着は、洗浄および試薬調剤などの操作に耐えるものである。
(MRACTを使用したEpic(登録商標)システム上でモニタされる細胞シグナル伝達のウイルス乗っ取り)
A431細胞は、RWGバイオセンサの非修飾表面上で培養され、それからアデノウイルス-GFPの様々な用量で血清フリー培地にて一晩、感染させた。この実験において使用されたウィルスの供与量(感染多重度(MOI))は、0〜約6,000MOIである。20時間のポスト感染(PI)において、A431細胞はHBSSによって洗浄され、細胞応答の実時間動態速度は、Epic(登録商標)システムを使用して図5〜7に例示すように、つぎの刺激作用(32nM EGF(標的EGFRおよびMAPK経路および細胞接着経路)、25nMエピネフリン(標的Gs経路および細胞接着経路)、32nMのブラジキニン(標的GqおよびGs経路)、25μMのSFFLR-アミド又は25μMのSLIGKV-アミド(両標的GqおよびG12/13の経路))の前後で記録された。 MOI 3,000および6,000において、A431細胞は表面から取り外され、アッセイ前に洗い落とされた。したがって、有意なデータは、これらのウイルスの濃度で集められなかった。N-DMRシグナル(EGFRの)又はP-DMRシグナル(ブラジキニン、SFFLR-アミド、SLIGKV-アミドおよびエピネフリンの)の振幅は、アッセイにおいて使用するアデノウイルス粒子の供与量の関数としてプロットされた。
図5Aおよび図5Bはアデノウイルス感染媒介Gqシグナル伝達干渉の典型的なバイオセンサ計測および結果を示す。図5Aは、アデノウィルスおよびGqシグナル伝達に対するそれらの影響の様々な供与量に対する時間の関数としての共鳴ピークの波長の計測である、モック(コントロールでありウィルス感染を意味しない)500、アデノGFP MOI 192(510)、(意味することは、細胞が前処理されてMOI 192でウィルスに感染すること)、アデノGFP MOI 384(520)、アデノGFP MOI 768(530)、そして、アデノGFP MOI 1536(540)を示す。
図5Bは、ブラジキニン580、SLIGKV-アミド585又はSFFLR-アミド590があったウィルス供与量の関数としてのバイオセンサP-DMR振幅を示す。
図6Aおよび図6Bはアデノウイルス感染媒介Gsシグナル伝達干渉の典型的なバイオセンサ計測および結果を示す。図6Aは、アデノウィルスおよびGsシグナル伝達に対するそれらの影響の様々な供与量のための時間の関数としてのバイオセンサピーク位置計測である、モック(600)、アデノGFP MOI 192(610)、アデノGFP MOI 384(620)、アデノGFP MOI 768(630)およびアデノGFP MOI 1536(640)を示す。図6Bは、ウィルス供与量の関数としてのA431細胞のエピネフリン誘導DMRシグナルのバイオセンサP-DMR振幅を示す。
図7Aおよび図7Bは、32nMのEGFによって誘導されたA431細胞のDMRシグナル上のアデノウイルス感染の効果を示す。A431細胞は、アデノウイルス粒子の異なる濃度、MOIの約1から約10(図7A)およびMOIの約20から約1,500(図7B)で感染した。図7Aは、Mock 710、アデノGFP MOI 0.75(720)、アデノGFP MOI 1.5(730)、アデノGFP MOI 6(740)の時間の関数としてのバイオセンサピーク位置計測を示す。図7Bは、モックコントロール(710)(アデノGFP MOI 24)(750)の時アデノGFP MOI 48(760)、アデノGFP MOI 96(770)、アデノGFP MOI 192(780)、アデノGFP MOI 768(790)の時間の関数としてのバイオセンサピーク位置計測を示す。図7Cは、MOI 0.1からMOI 1,000の範囲を越えるウィルス供与量の関数としてのバイオセンサN-DMR振幅を示す。
(Gq-共役型受容体)
独特なGq-共役型受容体シグナル伝達はそのシグナル伝達成分の劇的なトランスロケーションであり、そして、いくつかのタンパク質キナーゼCアイソフォーム、GPCRキナーゼ、β-アレスチン、PIP結合タンパク質およびジアシルグリセロール結合タンパク質を含む。受容体生態研究に続いて、我々の数値分析は、タンパクトランスロケーションおよび受容体インターナリゼーションがGq-共役型受容体シグナル伝達のために観察されるDMRシグニチャのための2つの一次資源であることを示唆した。図5に示すように、アデノウイルス感染は、P-DMR振幅の有意な減少で示されるように、高用量(例えばMOI 1,000)で部分的にGq経路を減感した。約750ウィルス/細胞より低い供与量でのGq経路は、アデノウイルス感染によって影響されなかった。SFLLR-アミドおよびSLIGKV-アミドもG12/13によるシグナル伝達に結果としてなるにもかかわらず、Gq.と比べてである。Gqによって媒介されるシグナル伝達は、両方のアゴニスト誘導DMRシグナルにおいて支配する。検査される三つのアゴニストによって媒介されるDMRシグナルの減衰上のアデノウイルス感染の類似性は、高用量でのアデノウイルス感染が主にGqシグナル伝達を減感することを示す。
(Gs-共役型受容体)
β2-アドレナリン受容体(β2AR)は、原型的なGs-共役型受容体である。受容体、GTP結合タンパク質および形質膜、拡散性二次メッセンジャcAMPの増加する蓄積およびPKAの活性化でのアデニリルシクラーゼの一連の活性化は、β2ARシグナル伝達を中核としている。エピネフリン(この受容体のアゴニスト)の細胞刺激は、大量のβ2ARを示す細胞株だが、β1ARではないA431の用量依存的DMRシグナルに結果としてなる。DMRは小さいN-DMRによって特徴づけられ、有意なP-DMR現象(図6(モックコントロール600))が続く。化学生態学研究は、エピネフリン誘導DMRをcAMP/PKA経路に連結する。A-キナーゼ固着タンパク(AKAPs)およびβ-アレスチン(ここまで)を除いて、β2ARシグナル伝達複合体に直接関係している大多数の下流のシグナル伝達成分が細胞膜で又はその近くで、すでに区分されるので、活性受容体に対する細胞内標的の加入はEGFR又はGq-共役型受容体シグナル伝達のために比べて非常に顕著ではない。しかし、クラトリン-被覆膜孔への受容体シグナル伝達複合体の速い分離と共に、局所ATPcからAMPへの遺伝子変換およびその次の細胞膜区画から離れる拡散は、局所質量の速くて有意な減少を導く。これらの現象の収束は、初期のN-DMR現象を導く。PKA活性化が細胞接着複合体に関係しているいくつかのキナーゼ(例えばFAK)の抑制に結果としてなって、増加する細胞接着(図9)を導くことは公知である。接着の増加は、P-DMR現象の主な誘因である。MOI 350について高い供与量で感染する細胞において、エピネフリンにより誘導されたP-DMRの有意な増加が観察された(図6のモックコントロールとアデノを比較されたし)。この例では、アデノウイルス感染は、Gsおよび細胞接着経路に対する正の影響を有した。
(EGFRシグナル伝達)
上皮細胞増殖因子受容体(EGFR)は、受容体チロシンキナーゼのファミリに帰属する。EGF刺激作用では、多くの現象をA431細胞の質量再分布−細胞株内成的過度発現EGFRsに導く。この動的な質量再分布の独特な光学シグニチャは同定されて、記載されている。EGFはEGFRの固有タンパク質-チロシンキナーゼ活性を結合し刺激して、それはシグナル伝達カスケードを始め、そして、主にMAPK、AktおよびJNK経路を含む。0.1%のウシ胎児血清中の20時間培養から得た静止状態細胞において、EGF刺激作用はDMRシグナルに対する三つの異なった連続相を導く、すなわち、(i)増加されたシグナル(P-DMR)を有する陽性相、(ii)遷移相、および(iii)減衰相(N-DMR)である(図7(モックコントロール710))。生化学および細胞-生態学研究はEGF誘導DMRシグナルが主にRas/MAPK経路に連結されて、それはMEKを介して進み、そして細胞分離を導くことを示した。2つの所見は、P-DMRが主に細胞表面での活性受容体への細胞内標的の加入によることを示唆する。第1に、ダイナミン又はクラトリン活性どちらかの遮断は、P-DMR現象の振幅に対するほとんど影響を有しない。ダイナミンおよびクラトリン(EGFR活性化の2つの下流成分)は、EGFRインターナリゼーションおよびシグナル伝達を実行することで重大な役割を演ずる。第2に、MEK活性の遮断は、部分的にP-DMR現象を減らす。MEKはMAPK経路の重要な成分であり、それは最初に細胞原形質から細胞膜まで転移し、EGF刺激作用の後、受容体でインターナリゼーションに続く。しかしながらN-DMR現象は、細胞分離および受容体インターナリゼーションすることもある。蛍光性イメージは、EGF刺激作用が内面化された受容体および細胞分離の有意な数を導くことを示す。受容体インターナリゼーション又はMEK活性の遮断が細胞分離を防ぐことは公知であり、受容体インターナリゼーションはダイナミンおよびクラトリンを必要とする。これは、ダイナミンも又はクラトリンの遮断が受容体インターナリゼーションおよび細胞分離の両者を抑制しその一方で、受容体インターナリゼーションでなく、MEK活性の遮断が細胞分離だけを抑制することを示唆する。予想したように、ダイナミンかクラトリンインヒビタは完全にEGF誘導N-DMR(約100%)を抑制する。その一方で、MEKインヒビタは部分的にN-DMR(約80%)を減らすだけである。蛍光性イメージも、MEKでなく、ダイナミンの活性をブロッキングが受容体インターナリゼーションを悪くすることを例証している。
EGFによって誘導されたA431細胞の反応上のアデノウイルス感染の効果を測定することによって、我々はEGFR、MAPK経路および細胞接着経路上のアデノウイルス感染の効果を検査した。図7に示すように、これらの特定の経路が影響を受けた。EGFによて誘導されたN-DMRの増加は、アデノウイルス粒子(すなわち約1から約10MOI)(図7A)の低濃度によって観察された。ウィルス(約100から約1,500MOI)のより高い供与量で、EGFによって誘導されたシグナルの減少が観察された(図7B参照)。我々は、また、アデノウイルス粒子(図7C参照)によって、EGF誘導N-DMRの供与量依存している反応を観察できた。
(リン酸化アレイアッセイ-によって分析される細胞シグナル伝達のウイルス乗っ取り)
我々のデータを確かめ、更に、アデノウイルス粒子が細胞シグナル伝達を乗っ取る機構をより良く理解するために、我々はバイオソース(Biosource)社からのMercator(商標) リン酸化アレイアッセイシステムを使用して、シグナル伝達経路に多様に関係している4つのタンパクのリン酸化パターンを分析した。そこで、A431細胞を、アデノウイルス-GFPの様々な供与量で無血清培地において一晩感染させた(約1MOIの、c、約10MOIの、b又は約500MOIの、a)。陰性コントロールとして、A431細胞は、無血清培地(モックコントロールバー「d」)だけで処理された。20時間のポスト感染で、感染しているものと感染していないA431細胞が洗浄されて、それから32nM EGFによって30分間刺激され(図8A)、25nMエピネフリンで1時間(図8B)、又は無血清培地にて周囲室温で1時間(図8Aおよび図8Bのカラムe、細胞非感染かつ未処置である)行われた。細胞エキスは、それから推薦されたプロトコルによって調製されて、Mercator(商標) リン酸化アレイアッセイを使用して分析した。図8Aは、細胞タンパク質EFGR、パキシリン、FAKおよびEGFによって刺激されたAKTのリン酸化アレイ結果である。参照符号のバー(a-e)は次を表す、a= EFG/-アデノウィルスMOI 500、b = EFG/アデノウィルスMOI 10、c = EFG/アデノウィルスMOI 1、d = EFG-モックおよびe =未処置の細胞である。図8Bは、リン酸化アレイ細胞タンパク質EFGR、パキシリン、FAKおよびAKTで、それぞれエピネフリンによって刺激されたものである。参照符号のバー(a-e)は、図8Aのための上記のものとしてある。
EGFR、パキシリン、Fakおよび感染していないA431細胞(EGF又はエピネフリンによって刺激される)のAktのリン酸化パターンは、最初に点検された。EGF刺激作用に応答の図8(EGF-又はエピネフリン-モックコントロール(d)の比較および未処置の細胞(e))に示すように、EGFRおよびFAKのリン酸化レベルはかなり増加したのに、パキシリンのリン酸化レベルは穏やかに増加しただけだった。これらの結果は、文献記録と整合したパキシリンではなく、EGFRシグナル伝達が主にFAKによる細胞分離を導くことを示唆する(Lu, Z.; Jiang, G.; Blume-Jensen, P.; Hunter, T., Mol. Cell Biol., 2001, 21, 4016-4031)。エピネフリンに応答して、両方のEGFR、AktおよびFAKのリン酸化レベルが変化するとは思われない。その一方で、パキシリンのリン酸化レベルは減少し、細胞接着の増加を導いている。これらの結果は、beta2AR光学シグナルのP-DMRが細胞接着の増加に起因すること、beta2アドレナリン受容体の活性化によって細胞接着の増加を担う潜在的機構を導くという1つの仮説を確かめることになる。図9は、細胞移動のシグナル伝達の例の概略図を示す。このように、例えば、病原体侵入現象、例えば細胞のGPCR 910を有する病原体の相互作用又はEFGR 920は、経路活性化950、経路阻害960、経路開裂970又はそれらの組み合わせを導くことができる。斯かる経路変化によって、細胞間マトリックス990に関し接着サブユニット、アルファおよびベータ980に更に影響又は変化が生じ得る。
図9は細胞移動に関係している現象を要約し、これは他の観測および計測と整合している。カルパインの機能は、アクチン細胞骨格および局所接着タンパク、例えばタリン、パキシリンおよび局所接着キナーゼ(FAK))間のリンクを消化することである。細胞骨格構造の方向性再造形と共に、複合体からの局所接着タンパクの放出は、移動の促進を助ける。カルパイン2は、増殖因子受容体シグナルに応答し遊走細胞の後縁でインテグリンを切断する機能を有する膜結合タンパクであると考えられる。カルパイン2の発現低下は、Gs経路において活性化されるタンパク質キナーゼA(PKA)によって達成される。
その上、我々はEGF又はエピネフリンによって刺激されるA431細胞のリン酸化パターン上のアデノウイルス感染の効果(EGF又はエピネフリン-モックコントロールとEGF又はエピネフリン-アデノウイルスとの比較)を調査した。第1に、ウィルスの供与量に関係なく、研究された4つのタンパクのリン酸化(データ示さず)をアデノウイルス感染が誘発しなかったことを我々は観測した。その代わりに、エピネフリンによって刺激されたA431細胞において、アデノウイルス感染は、リン酸化されたパキシリンの減少の結果となった。この結果は、アデノウイルス感染がA431細胞のエピネフリンにより誘導されたP-DMRを増やすこと、更に、接着の増加がエピネフリンによって媒介されるP-DMR現象の主な誘因であることを証明する。
低い供与量(MOIの約1から約10)において、アデノウイルス粒子は、EGFで媒介されたリン酸化されたパキシリンおよびFakのレベルを増加することが可能だった(EGF-ADENO1とEGF-モックコントロールの比較)。対照的に、より高い供与量(例えば約500MOI)では、アデノウイルス感染は、EGFによって刺激されるA431細胞の活性パキシリンの減少の結果としてなった。このデータは、MRCATを使用して得られた結果を確かに説明しており、ウィルスの低い供与量(N-DMRの増加)での細胞分離の増加と、ウィルスのより高い供与量(N-DMRの減少)での細胞接着の増加とを示す。面白いことに、アデノウィルスの高い供与量(約500MOI)では劇的に活性Akt(生残経路に含まれる)が、文献と一致するように増加したのに、一方、アデノウィルスの低い供与量(例えば約1MOI)では完全にEGFによって刺激された細胞のEGFRの自己リン酸化が完全に停止した。
図10は、GTPタンパク質-共役型受容体、EGFRおよび局所接着シグナル伝達の例の概略図であり、細胞標的の異なる分類で媒介された潜在的なネットワーク相互作用を示す。
図11は、アデノウイルス感染に対するヒーラ細胞の動態学的反応を示す。ヒーラ細胞は、アデノウィルスMOI 12000(1120)およびMOI 3,000(1130)のHBSS緩衝液(1110)および2つの異なる濃度に支配されていた。細胞応答は、時間の関数として、プロットされた。
図12は、いくつかの修飾物質を有するヒーラ細胞のアデノウィルス誘導反応の調節を示す。ヒーラ細胞はHBSS(正のコントロール)(1210)、10μM ラトランクリン A(1220)、10μMサイトカラシンB(1230)又は(D)40μM DIPC(1240)で1時間前処理され、ヒーラ細胞はアデノウィルス(MOI 6,000)に感染した。
図13は、ヒーラ細胞のアデノウイルス感染のDIPC阻害の例の結果を示す。ヒーラ細胞は、HBSS(非処理)又は40μM ダイナミン阻害ペプチド(DIPC)(処理)で1時間前処理され、ヒーラ細胞は、アデノウィルスの増加用量(MOI 6000〜1500)で感染した。感染24時間後、ウィルス感染効率は、蛍光顕鏡観察(GFP形質発現)によって点検された。
(炎症性疾患のための診断に対する可能な用途)
例えば、炎症性疾患の診断技術で使用される典型的適用法は、ケモカイン検出、ケモカイン-受容体結合実験、酵素のアッセイおよび抗体認識に基づいている。1年500億ドルと抗炎症薬で抜きん出るための急発達する世界市況では、研究もまたこの分野で医薬品創薬を革新する発達技術の応用法に集中され、例えば、2つの強力な発見技術、遺伝子チップおよびプロテオミクスを使用する。「遺伝子チップ」は非常に複合した疾患プロセスの最も重要な分子が識別されるようになし、この技術は、まさに並行して何万もの遺伝子の同時変化をモニタする。「プロテオミクス」は、細胞および組織のタンパクの形質発現パターンの微細な変化を測定して、また、細胞の生化学の調節が疾患において変えられる方法を認識し理解するために用い得る先進的な分析法である。
実施例において、RWGバイオセンサは、回折グレーティングによる光の導波路内への共鳴結合を利用する。例えば波長および角度インターロゲーションシステムなど、多くのタイプの検出方式がある。波長インターロゲーションシステムにおいては、入射波長範囲をカバーする偏光が導波路を直接照射するために用いられ、特定の波長の光が結合され、導波路に沿って伝搬する。最大結合(in-coupling)効率が得られる共鳴波長は、センサ表面又はその近傍の局所屈折率の関数として得られる。サンプルの標的分子が細胞標的に結合し、その後細胞系又は生物系の層の底部(すなわち、光学バイオセンサの検出領域又は検知体積内で)の細胞内容の動的再配置又は再分布を引き起こすとき、共鳴波長の変移が伴う。理論によって制限される必要はないが、細胞内容の動的再配置又は再分布は、例えばリガンドによる細胞系の刺激によって誘起される細胞系の形態の変化(細胞を丸く又は平らに、あるいは細胞骨格再造形するような)、いかなる細胞標的の動的再配置、およびその両者に起因するかもしれない。
共鳴波長方法を具体化している商用の機器の例は、例えば、温度制御された生育環境および液状の取り扱いシステムを有するRWG検出器を含むCorning(登録商標) Epic(登録商標)システム(www.corning.com/lifesciences)である。この検出器システムは、反射光のリガンド誘導波長変移を測定するために統合したファイバ光学系を含む。光ファイバおよびマイクロプレートの底部を通して名目上垂直に入射するコリメートレンズで生成される広帯域光源は、回折グレーティング表面の小さい領域を照射するために用いることができる。反射光を記録するための検出ファイバは、照射ファイバと束ねられている。一連の照射/検出ヘッドは線形に配されており、反射スペクトルは、384ウエルマイクロプレートの同一のカラム内のサブセットウエルから同時に集められる。プレート全体が照射/検出ヘッドによって走査され、各センサが複数回アドレスされ、各カラムが順番にアドレスされてもよい。反射光の波長が集められ、解析に用いられる。任意の温度制御ユニットが温度変動を最小にする。
別の角度インターロゲーションシステムにおいては、入射角度範囲をカバーする偏光が導波路を直接照射するために用いられ、特定の角度で光が導波路に結合され、導波路に沿って伝搬する。最大結合効率が得られる共鳴角度は、センサ表面又はその近傍の局所屈折率の関数である。サンプルの標的分子が生細胞系の細胞標的に結合し、その後、細胞系又は生物系層の底部内の細胞応答を引き起こすとき、共鳴角度が変移する。かかるシステムは、例えば、米国特許公開第US-2004-0263841号、米国特許出願第11/019,439号(2004年12月21日出願)および米国特許公開第US-2005-0236554号に記載されている。
本開示のセルベースアッセイに関して、生細胞は、例えば培養によってバイオセンサの適合化表面によって接触されてもよい。細胞接着は、例えば3つのタイプの接触、すなわち局所接触、近接接触および細胞外マトリックス(ECM)接触によって仲介されてもよい。接触の各タイプは、表面からの各々の特性分離距離を有する。その結果、細胞形質膜は基質表面から約10〜約100nm離れており、比較的短い侵入深度の光学バイオセンサはそれでもバイオセンサ表面近傍の細胞の底部を検知することが可能である。多くの刺激誘導細胞応答に共通の現象は、特定の細胞内容の動的再配置又は再配列である、すなわち、そのいくつかは、バイオセンサ表面近傍の細胞の底部内で生じる。細胞内容の動的再配置又は再配列は、例えば、付着度の変化、膜ラフリング、細胞の表面又はその近傍での活性化された受容体に対する細胞内タンパクの加入、受容体エンドサイトーシスおよび同様の現象を含んでもよい。検知体積内の細胞内容の変化はセンサ表面近くでの局所屈折率の変化につながり、バイオセンサから光学シグナルとして現れる。
使用するバイオセンサの構成および細胞特性のユニーク性に基づくと、例えば、Corning(登録商標) Epic(登録商標) RWGバイオセンサマイクロプレートのためのTM0モードの侵入深度は、約150nmである。斯かる比較的短い侵入深さ又は検知体積は、従来のSPRおよびRWGを含む標識フリー光学バイオセンサ技術のほとんどのタイプに共通であり、本開示は他の光学バイオセンサベースの細胞検知に適用できる。
理論的分析は、波長又は角度の変移に関して、検出シグナルが主に垂直方向の質量再分布に影響されることを示唆する。その動的性質のため、それは動的質量再分布(DMR)シグナルと称される。DMRシグナルの他に、バイオセンサはまた、細胞内容の水平方向(すなわちセンサ表面に対して平行)の再分布を検出することができる。ジグザク理論に基づく理論的分析は、共鳴ピークのいかなる形状変化も、主にセンサ表面に平行な細胞内容物のリガンド誘導不均質再分布によることを示す(Fang, Y., Ferrie, A.M., Fontaine, N.H., Mauro, J., and Balakrishnan, J. (2006) "Resonant Waveguide Grating Biosensor for Live Cell Sensing," Biophys. J., 91, 1925-1940、参照)。さらに、DMRシグナルは、検知体積内の全ての再分布現象の合計である。これは、本開示のバイオセンサによる全細胞検知が、上述した固定化された受容体に結合する検体量を直接測定する親和性ベースのアッセイとは異なっていることを示唆する。
(例3)
(細胞成長および細胞シグナル伝達のウィルス感染の影響をモニタする光学バイオセンサ)
この例では、培地の細胞はウィルス粒子の特定数と強く混合され、結果として生じる細胞溶液は384-ウエルCorning(登録商標) Epic(登録商標)バイオセンサマイクロプレートの各々のウエル上へ配置される。培養後に、細胞は各々のバイオセンサ表面上の被着剤になって、ウィルスによって感染される。光学バイオセンサ出力(例えば共鳴波長の変移又は角度)は、接着程度と同様に細胞密度(すなわち集密度)に正比例する。このように、細胞成長および細胞接着上のウィルス感染の影響は、細胞付着の前後の光出力の変化を測定して、細胞が単独で配置されたこれらのコントロールウエルの変化と比較することによって直接評価され得る。培養中に細胞が感染されるので、ウィルス感染の発生およびシグナル伝達上のウィルス感染の影響が修飾物質パネル又はマーカを本開示されたプロトコルに従って用いることによって分析され得る(例2の実施例参照)。斯かる方法は、細胞シグナル伝達ネットワークマッピング方法を使用してウィルス感染の検出を可能にし、更に細胞成長(すなわち増殖)および細胞接着程度上のウィルス感染の影響の検査を可能にする。
(例4)
(ウイルス検出および細胞シグナル伝達乗っ取りのための電気バイオセンサ)
本開示は、他の光学バイオセンサ例えばSPR他、例えば電気インピーダンスに基づくバイオセンサにおいても使用できる方法を提供し、その結果、細胞はこれらの表面に接着できかつ成長でき、接着細胞を本開示に従って分析されるものとすることができる。特に、SPRは基質として金膜の薄層を使用する。細胞がこれらの表面を付着ができ成長できるように、金表面は修飾され得る。例えば、金表面はフィブロネクチン又はコラーゲンの薄層の受動的固定化によって修飾でき、それにより細胞付着性が最適化される。バイオセンサ感度のコーテングの影響を最小にするために、生物物質又はナノパターン化された生物物質の低密度コーテングが、関連した例(米国特許第6,893,705号参照)で、調製できる。これらの表面上で培養された細胞は、着生および弱い付着細胞のリガンド誘導細胞の活性を分析するために使用できる。実施例において、例えば活性種又はバイオ相互作用分子を有するバイオセンサ表面は、金基質にも形成できる。これらの改良バイオセンサ表面は、また、懸濁細胞のリガンド誘導細胞の活性を分析するために適用可能である。
あるいは、MDS Sciex CellKeyシステム又はAcea Biosciences RT-CESシステムのような電気バイオセンサも、ウィルス感染を研究するために用い得る。電気バイオセンサは、基質(例えば、プラスチック)、電極および細胞層から成る。この電気検査法において、細胞は基質上へ配列された小さい金電極に培養され、システムの電気インピーダンスは時間とともに続けられる。そのインピーダンスは、細胞層の導電率の変化の測定値である。
一般的に、固定された振動数又は様々な振動数での低い定電圧は電極又は電極アレイに印加され、回路を通る電流は時間を通じてモニタされる。CellKeyシステムは、環境的管理インピーダンス計測システム、96ウエル電極-埋設ミクロタイタープレート、オンボード96ウエルフルイディクスおよびカスタム穫得および分析ソフトウェアから成る。細胞は、培養ウエルに接種される。各々のウエルは、統合した電極アレイを有する。システムは、1KHzから10MHzで、24振動数で小振幅交流電圧を使用して作動する。結果電流は、2秒の更新速度で測定される。システムは熱管理され、実験は28°Cおよび37°Cの間で行われる。96ウエル頭部の流体送達装置は、流体添加およびオンボード交換を扱う。
RT-CESシステムは、電子性ミクロタイタープレート(E-late(商標))、E-Plateステーション、電子アナライザおよびデータ収集および表示モニタシステムの4つの構成要素から成る。電子アナライザは、電子シグナルを送受信する。E-Plateステーションは、組織培養インキュベータに置かれる。E-Plateステーションは三つのスループット変種、すなわち、6つの16-ウエルE-Platesを一度に走らす16xステーション、単一96ウエルE-Plateステーション、および最高6つの96ウエルE-Platesを一度に収容できるMulti-E-Plate(商標)ステーション、から成る。細胞はE-Plateに接種され、それはマイクロエレクトロニクスのセンサアレイと統合される。システムは、多振動数で低電圧(20mV未満)ACシグナルで作動する。
本開示に記載されているプロトコルに従って、これら電気バイオセンサを使用してウィルス感染は検出又は検査される。CellKeyおよびRT-CESシステムも光学バイオセンサと同様に統合した細胞の反応を提供するからである。シグナルが光学バイオセンサによって測った動的質量再分布(DMR)の代わりに、これらの電気バイオセンサは、バイオインピーダンスシグナルを測定する。細胞-シグナル伝達マッピング方法を使用して、本開示は細胞-シグナル伝達上のウィルス感染の影響を説明し、ネットワーク相互作用を可視化ができる。マーカ誘導バイオインピーダンスシグナルのパネル上のウィルス感染の影響の結果として生じるパターンが、ウィルスのタイプのシグニチャとして使用できる。
本開示は、様々な特定の実施例および技術に関して記載されていた。しかし、多数変化および変形が可能であり、それらが本開示内にあると理解されなければならない。

Claims (23)

  1. 生細胞に病原体侵入を検出する標識フリー方法であって、
    バイオセンサの表面に固定された生細胞を有するバイオセンサを提供するステップと、
    病原体をバイオセンサの表面上の固定化された細胞に接触せしめるステップと、
    異なった細胞標的を調整するマーカのパネルに細胞-シグナル経路摂動を検出するステップと、および、病原体侵入の範囲と摂動の範囲を同一視するステップと、を含むことを特徴とする方法。
  2. バイオセンサはシグナルの認識要素およびトランスデューサ要素を有し、さらに、
    エバネッセント波装置、SPR装置、エリプソメトリ装置、リフレクトメトリ装置、電気インピーダンス装置又はそれらの組み合わせを含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 病原体は、それについてウィルス、バクテリア、プリオン又はそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
  4. 細胞は、細胞株又は細胞系を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
  5. 病原体侵入は、それについてウィルス、バクテリア、プリオン又はそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つとの細胞の反応を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
  6. 病原体侵入は、ウィルス、バクテリア、プリオン又はそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つまで、細胞の免疫応答からなることを特徴とする請求項1記載の方法。
  7. 細胞-シグナル経路は、Ca2+経路、マイトジェン活性タンパク質キナーゼ経路、接着経路、cAMP経路、アポトーシス経路、細胞周期経路、又は、それらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
  8. マーカは、分子、生体分子又はバイオセンサによって測られるように確実に検出可能なバイオセンサ出力の少なくとも1つの細胞標的および結果の活性を調整することができる生物学的製剤を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
  9. エバネッセント波バイオセンサが使用されるときに、バイオセンサ出力は、共鳴波長の変移、共鳴角度の変移、又は共鳴ピークの半値幅の変化を含むことを特徴とする請求項8記載の方法。
  10. 電気バイオセンサが使用されるときに、バイオセンサ出力はバイオインピーダンス変化を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
  11. 細胞標的は、Gq-共役型受容体からなるグループから選択される受容体、Gs-共役型受容体、Gi-共役型受容体、G12/13-共役型受容体、イオンチャネル、受容体チロシンキナーゼ、輸送体、ナトリウム-プロトン交換体、核受容体、細胞キナーゼ、細胞タンパク、および、それらの組み合わせを含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
  12. マーカのパネルは、少なくとも2つのマーカを含み、各マーカは、Gq-共役型受容体、Gs-共役型受容体、Gi-共役型受容体、G12/13-共役型受容体、イオンチャネル、受容体チロシンキナーゼ、輸送体、ナトリウム-プロトン交換体、核受容体、細胞キナーゼ、細胞タンパクおよびそれらの組み合わせからなる群から選択された細胞標的を調整することを特徴とする請求項1記載の方法。
  13. 摂動は、応答する細胞においての、病原体侵入の範囲、病原体侵入に起因している細胞の活性の変化、細胞の炎症性反応、又はそれらの組み合わせの測定値であることを特徴とする請求項1記載の方法。
  14. 病原体をバイオセンサの表面上の固定化された細胞に接触した後又は前に予防の候補物質又は治療の候補物質を有するバイオセンサの表面上の固定化された細胞に接触せしめるステップを更に含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
  15. 細胞上の病原体の効果を特徴づける方法であって、
    請求項1により固定化された細胞を病原体に曝して生じている細胞-シグナルネットワークプロフィールをマップするステップと、
    マップされたプロフィールを病原体プロフィールのライブラリと比較するステップと、
    および、マップされたプロフィールと一致する病原体プロフィールのライブラリからプロフィールを識別するステップとを含むことを特徴とする方法。
  16. 病原体の効果を特徴づける方法は、該効果に対して応答する病原体を識別するステップを含むことを特徴とする請求項15記載の方法。
  17. 病原体プロフィールのライブラリからプロフィールを識別するステップは、マップされたプロフィールの正確又は最高に一致したライブラリプロフィールを選択するステップを含むことを特徴とする請求項15記載の方法。
  18. 固定化された細胞を病原体に曝して生じている細胞-シグナルネットワークプロフィールをマップするステップの前又は後に、予防の候補物質又は治効の候補物質を有する固定化された細胞に接触せしめるステップを更に含むことを特徴とする請求項15記載の方法。
  19. 生細胞に病原体侵入を検出する標識フリー方法であって、
    光学バイオセンサの表面に固定される生細胞を有する光学バイオセンサを提供するステップと、
    病原体をバイオセンサの表面上の固定化された細胞に接触せしめるステップと、
    そして、病原体接触の前に細胞と関連してバイオセンサの検出領域内で細胞の局所質量又は局所質量密度に変化を検出するステップとを含むことを特徴とする方法。
  20. 病原体は、ウィルス、バクテリア、プリオン又はそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項18記載の方法。
  21. 生細胞の病原体侵入の効果をモニタする方法であって、
    バイオセンサ表面に病原体侵入を有する生細胞を提供するステップと、
    定義された集密度に至るまでバイオセンサ表面で病原体侵入を有する生細胞を培養するステップと
    細胞培養および侵入の間、バイオセンサ出力を測定するステップとを含むことを特徴とする方法。
  22. 生細胞の病原体侵入の効果をモニタする方法であって、
    バイオセンサ表面に病原体侵入を有する生細胞を提供するステップと、
    定義された集密度に至るまでバイオセンサ表面で病原体侵入を有する生細胞を培養するステップと、マーカの予め定められて選択されたパネルのためのバイオセンサ出力を測定するステップとを含むことを特徴とする方法。
  23. バイオセンサは、病原体侵入、マーカ誘導細胞シグナル変化、又は両方の経過のすくなくとも1つを連続的にモニタすることを特徴とする請求項22記載の方法。
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