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JP2010508530A - 磁気認識システム - Google Patents

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Abstract

【課題】マイクロ流体素子又はナノ流体素子において有利に使用できるであろうアナライトのための改良された標識を提供し、このような標識を使用する方法、キット、及び使用を提供する。
【解決手段】アナライトと結合する認識部分と、磁性物質又は磁化可能物質の結合乃至内封部分とを含み、前記磁性物質又は磁化可能物質の結合乃至内封部分が、金属結合タンパク質、金属結合ポリペプチド、及び金属結合ペプチドのいずれかを含むことを特徴とする磁性物質又は磁化可能物質に結合させられるアナライト用標識を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、アナライトのための認識因子を介して少量の磁性(或いは磁化可能)物質をアナライトに結合できる磁気認識標識に関する。この標識は、アナライトを非常に小体積の磁性物質に結合し、アナライトにマイクロ流体システムなどのような閉ざされた空間においてでさえも磁場による影響を与えることができる点で著しく有利である。磁性物質が存在することによってアナライトのより複雑な空間操作が可能になり、これはマイクロ流体システムにおいて特に有益である。本発明は、この標識に関係した製品、方法、及び使用にも関する。
アッセイ方法に関与する分子を制御するために磁性ビーズが使用できることは周知である(例えば、特許文献1参照)。通常このようなビーズは、アナライトを認識し結合できる分子(例えば抗体)に結合させられる。ビーズの磁気特性が、例えばアナライトをサンプル中の他の分子から分離するためなど、アナライトを制御及び空間的に操作するためのいずれかに使用される。
しかし、磁性ビーズがすべてのシステムについて適当なわけではない。最近になって、マイクロ流体素子及びナノ流体素子のいずれかを使用することによって遥かに少ないサンプル量で作業することが可能になった。このような素子は、刺し跡からの一滴の血液のような非常に少量のサンプルにおいても特定の物質をアッセイすることができる。たとえこのようなビーズをマイクロメートルのスケールで作製できたとしても、このような素子における導管の大きさはしばしば小さ過ぎて磁性ビーズを満足に収容できない場合がある。これは、ビーズが導管よりも大きいか、ビーズが導管内で目詰まり或いは閉塞を引き起こすからである。これは、更に非特許文献1に記載されている。小さなビーズは、表面積/体積の比が大きいが(表1)、特に小さいビーズ又は粒子は、結合したタンパク質が別のタンパク質の結合を妨害する立体障害を被り得る。これは、抗体又は他の認識実体が粒子に結合する際に現れる該抗体又は他の認識実体のランダムな空間的構成によって特に問題となる。この問題は、タンパク質を磁性ビーズ又は磁性粒子の表面に連結する際にタンパク質に必要とされる配向が最適ではない場合があるので、更に悪化させられる(図3参照)。
(3μm及び50nmビーズの表面積の体積に対する比の比較)
マイクロ流体素子用途及びナノ流体素子用途のためには、まだそれ程注目を集めていないものの、より小さい磁性粒子をタンパク質に結合する試みが行われている。例えば特許文献2が、液体サンプルにおけるアナライトを検出するアレイにおいて使用できる磁性タンパク質ナノセンサーについて記載している。この系では、典型的には常磁性ナノ粒子を結合する更なる官能基(例えばペプチドディスプレーリガンド)を含むように修飾されたT4テールファイバー遺伝子から得られる融合タンパク質が使用される。
同様に特許文献3は、細胞内磁気イメージングのための磁性ナノ粒子プローブを開示している。このプローブは、典型的にはミセル、リポソーム、及びデンドリマーのいずれかなどの磁性材料を取り囲む自己組織化被覆材料から形成される。封じ込められた磁性粒子の表面は、ペプチドなどの送達リガンドに結合し得る。類似の系が、有機膜(例えばホスホリピド膜など)内に封じ込められ、膜タンパク質に結合した磁性粒子に関する特許文献4に開示されている。非特許文献2では、細菌磁性粒子上でタンパク質ディスプレーを行う方法が開示されている。また、該磁性粒子は、脂質二分子膜で被覆され新規なmms13タンパク質が粒子に結合する。
また、ウイルスによる磁性ナノ粒子の封じ込めに関して、幾つかの研究が行われている。特許文献5は、T7バクテリオファージのウイルスカプシドタンパク質シェル内での磁性コバルトの封じ込めについて開示している。
別の展開において、いくつかのタンパク質が金属イオンを直接結合する能力を有することが発見されていた。非特許文献3は、このようなタンパク質を報告している。この分野の他の研究としては、非特許文献4が挙げられる。より以前の研究としては、以下のものが挙げられる:
非特許文献5は、各種細胞標的に対するビオチン化抗体とビオチン化マグネトフェリチンとがアビジン橋を使用することによって連結されたことを開示している。
この分野での更なる開示としては、以下のものが挙げられる:非特許文献6;非特許文献7;非特許文献8;非特許文献9;非特許文献10;非特許文献11;非特許文献12;非特許文献13;非特許文献14;非特許文献15;非特許文献16;及び非特許文献17。この最後の論文では、小イオン結合タンパク質メタロチオネイン‐2(MT)を操作して、亜鉛よりもカドミウムとマグネシウムを結合するようにさせ、それによってタンパク質に磁気を帯びさせている。
更なる背景開示としては、以下のものが挙げられる:非特許文献18;非特許文献19;及び非特許文献20。
特許文献6は、溶液から汚染物質イオンを取り除くためのフェリチンの使用を開示している。フェリチンは他のイオン交換種(例えば、ポルフィリン及びクラウンエーテルのいずれかなど)も含むより大きな構造物の部分をなす。該他のイオン交換種は、汚染物質を取り除くように設計され、同時にフェリチンの磁気特性が汚染物質を溶液から取り除くのに使用される。
特許文献7は、他の用途の中でもワクチンに使用するフェリチン融合タンパク質を開示している。
上述したように磁性粒子及び磁性ナノ粒子に関して広範囲な開示が行われているにも拘わらず、マイクロ流体システム及びナノ流体システムにおける使用のためのより単純で効果的な磁性粒子標識が依然として要求されている。
米国特許出願公開第2006/084089号明細書 国際公開第2006/104700号 国際公開第2004/083902号 米国特許第5,958,706号明細書 米国特許出願公開第2006/0240456号明細書 加国特許第2,521,639号明細書 米国特許第7,097,841号明細書
[online]、インターネット〈URL:http://www.deas.harvard.edu/projects/weitzlab/wyss.preprint.2006.pdf〉 Tomoko Yoshinoら、"Efficient and stable display of functional proteins on bacterial magnetic particles using mms13 as a novel anchor molecule"、Applied and Environmental Microbiology、Jan. 2006、p.465-471 Meldrum F.C.ら、"Magnetoferritin: in vitro synthesis of a novel magnetic protein"、Science、1992、257巻(5069号) p.522-3. Martinez,J.S.ら、"Self-Assembling Amphiphilic Siderophores from Marine Bacteria."、Science、2000、287巻、p.1245-47 Zborowskiら、"Immunomagnetic isolation of magnetoferritin-labelled cells in a modified ferrograph."、Cytometry、1996、24巻、p.251-259 Inglisら、"Continuous microfluidic immunomagnetic cell separation."、Applied physics letters. 2004、85巻(21号)、p.5093-5 Inglisら、"Microfluidic high gradient magnetic cell separation."、Journal of Applied Physics、2006、99巻 Lambertら、"Evolution of the transferrin family: Conservation of residues associated with iron and anion binding."、Comparative Biochem and Physiol、2005、(B)142巻、p.129‐141 Giderら、"Classical and quantum magnetic phenomena in natural and artificial ferritin proteins."、Science、1995、268巻、p.77-80 Haukanes,B.I.及びKvam,C.、"Application of magnetic beads in bioassays."、Biotechnology(NY)、1993、11巻(1号)、p.60-3 Olsvik,O.ら、"Magnetic separation techniques in diagnostic microbiology."、Clin Microbiol Rev.、1994、7巻(1号)、p.43-54 Archer,M.J.ら、"Magnetic bead-based solid phase for selective extraction of genomic DNA."、Anal Biochem. 2006 doi:10.1016/j.ab.2006.05.005 Schneider,T.ら、"Continuous flow magnetic cell fractionation based on antigen expression level."、J Biochem Biophys Methods. 2006、68巻(1号)、p.1-21 Ramadan,Q.ら、"An integrated microfluidic platform for magnetic microbeads separation and confinement."、Biosens Bioelectron. 2006、21巻(9号)、p.1693-702 Cotter,M.J.ら、"A novel method for isolation of neutrophils from murine blood using negative immunomagnetic separation."、Am J Pathol.、2001、159巻(2号)、p.473-81. [online]、インターネット〈URL:http://www.newscientist.com/article.ns?id=dn3664〉 Chang,C.C.ら、"Mn,Cd-metallothionein-2: a room temperature magnetic protein."、Biochem Biophys Res Commun. 2006、340巻(4号)、p.1134-8. Odetteら、"Ferritin conjugates as specific magnetic labels."、Biophys.J.、1984、45巻、p.1219-22 Yamamotoら、"An iron-binding protein, Dpr, from Streptococcus mutans prevents iron-dependent hydroxyl radical formation in vitro."、J Bacteriol. 2002、184巻(11号) 2931-9 Ishikawaら、"The iron-binding protein Dps confers hydrogen peroxide stress resistance to Campylobacter jejuni."、J Bacteriol. 2003、185巻(3号)、p.1010-17
本発明の目的は、上述の問題を解決し例えば上述したような公知の製品及び方法を改良することにある。本発明の更なる目的は、例えばマイクロ流体素子又はナノ流体素子において有利に使用できるであろう改良されたアナライト用標識を提供することにある。本発明の更なる目的は、このような標識を使用する方法、キット、及び使用を提供することにある。
従って本発明は、
磁性物質又は磁化可能物質に結合されるアナライト用の標識において、
(a)前記アナライトを結合する認識部分と、
(b)前記磁性物質又は磁化可能物質の結合乃至内封部分とを含み、
前記磁性物質又は磁化可能物質の結合乃至内封部分が金属結合タンパク質、金属結合ポリペプチド、及び金属結合ペプチドのいずれかを含むことを特徴とする標識を提供する。
驚くべきことに本発明者らは、十分に小さくてマイクロ流体素子及びナノ流体素子の少なくともいずれかにおいて有用である多量の磁性物質又は磁化可能物質が、アナライトに結合できる認識因子に結合した、金属結合タンパク質、金属結合ポリペプチド、及び金属結合ペプチドのいずれかの中に金属原子及び金属イオン(又はこれらを含有する化合物)のいずれかを組み込むことによって、最適なアナライトに結合できるように決定した。このように本発明の標識は少なくとも2つの部分、即ち、所望のアナライトに標識を結合させるための認識部分と、磁性物質又は磁化可能物質を結合するための部分とを含む。標識は、例えばアフィニティー精製、及び磁場精製のいずれかなどの確立された技術を使用して容易に精製される。
認識部分が1価の場合、これらの認識部分は、(抗体の場合とは異なり)細胞表面上の受容体を架橋することに起因する問題を伴わない。本発明者らは、確立された分子生物学的ストラテジーを使用し目標に向けられるタンパク質を直接(又は間接的に)磁化可能タンパク質に連結することで、公知の方法において遭遇される「目詰まり」の問題も克服している。
本発明の標識は、簡単な化学的手順を使用することによって、磁化及び消磁のいずれかを行うことができるという更なる利点を有する。
特に好ましくは標識は、融合タンパク質である。本発明の説明において、融合タンパク質は、単一体組換えタンパク質として発現されているタンパク質である。融合タンパク質は、多数の更なる利点を有する。本発明における融合タンパク質の認識アーム(例えばscFvなど)の配向は、制御でき、それゆえその標的により結合しやすくなる。融合タンパク質は、単一融合タンパク質中に複数の認識部分を組み込める可能性も高める。これらの認識部位は、同一の標的及び異なる標的のいずれかに対して向けることができる。2個以上の認識部分が存在する場合、磁性物質上での認識部分の空間的構成を規定及び制御することができ、立体障害及び従来のビーズへのランダム結合によって引き起こされる問題が低減される。融合タンパク質内でそれぞれの認識部分を注意深く間隔をあけて設置することで(例えば、発現系に核酸スペーサを組み込むことによって)、最終タンパク質の三次構造を制御してこのタンパク質表面の空間的に選択された区域に認識部分を配置することができる。融合タンパク質を使用することの更なる利点は、各標識内の認識部分の数を指定でき、そして標識の全ての分子について同一にできることである。これは、結合がランダムに行われるため、認識部分の数を指定することが遥かに困難であると共に、各磁性ビーズに結合される認識部分の数に大きな変動がある認識部分を、磁性ビーズに結合する従来の手段とは対照的である。
本明細書の説明において「結合する(‘attached to’)」とは、特異的結合及び非特異的結合並びに内封も含むあらゆる種類の結合を意味する。従って、磁性物質又は磁化可能物質を結合する部分は、粒子又は集合体などの形態の物質を結合すること若しくは内封すること(又は特異的若しくは非特異的に結合すること)ができる。これらの粒子又は集合体は、従来の磁性ビーズよりも遥かに小さく、磁性物質又は磁化可能物質の結合乃至内封部分(又はそれぞれの磁性物質又は磁化可能物質の結合乃至内封部分)に結合乃至内封される合計で通常100,000個未満の原子、イオン、及び分子のいずれかを有し、より好ましくは10,000個未満の原子、イオン、及び分子のいずれかを有し、最も好ましくは5,000個未満の原子、イオン、及び分子のいずれかを有する。最も好ましい物質は3,000個までの原子、イオン、及び分子のいずれかを結合することができ、特に約2,000個以下、及び約500個以下のいずれかのこのような種を結合することができる。
本発明において用いられる1つの具体例では、フェリチン(24サブユニットタンパク質シェル)の金属成分は、8nm(8×10−9m)の無機コアからなる。それぞれのコアは、約2,000個のFe原子を含有する。別の例では、ストレプトコッカス ミュータンス(Streptococcus mutans)由来のDpr(12サブユニットシェル)が480個のFe原子を含有する9nmのシェルからなる。更なる例では、ラクトフェリンが2個のFe原子を結合し、(コア内に鉄分子を結合するフェリチンとは対照的に)ヘムに結合した鉄を含有する。メタロチオネイン−2(MT)は、7個の2価遷移金属を結合する。MT内の亜鉛イオンを、Mn2+及びCd2+とで置き代えることにより、室温磁性タンパク質が得られる。MTは、1個以上の更なる金属結合部位が組み込まれるように修飾されてもよく、これによりMn、Cd MTタンパク質の磁性が強められる。
これらの結合環境に従い、単一部分中に結合乃至内封される物質の合計体積は、通常は1×10nm以下である(平均約58nm以下の物質粒子又は物質集合体を表す)。より好ましくは、物質は1×10nm以下の合計体積を有し得る(約27nm以下の平均直径を有する物質粒子又は物質集合体を表す)。更により好ましくは、物質は1×10nm以下の合計体積を有し得る(約13nm以下の平均直径を有する物質粒子又は物質集合体を示す)。最も好ましくは、物質は100nm以下の合計体積を有し得る(6nm以下の平均直径を有する物質粒子又は物質集合体を示す)。しかし、粒子サイズは、体積に代えて平均直径に基づいて測定することができる。それゆえ本発明では好ましくは、結合粒子の平均直径が50nm以下、40nm以下、30nm以下、20nm以下、又は最も好ましくは10nm以下でもある。本説明において、平均は、ある数の粒子の直径の合計をその粒子の数で割ったものを意味する。
磁性物質又は磁化可能物質を結合する部分は、そのような物質を結合することができアナライトの結合に干渉しない限り、特に限定されない。磁性物質又は磁化可能物質を結合する部分は、金属結合タンパク質、金属結合ポリペプチド、及び金属結合ペプチドのいずれか(又はこのようなタンパク質、ポリペプチド、及びペプチドのいずれかの金属結合ドメイン)を含む。典型的には、この部分は、遷移金属及びランタニド金属の少なくともいずれかの原子及びイオンの少なくともいずれかの1種以上、及びこのようなイオンを含むいずれかの化合物のいずれかを結合可能であるか又は結合している。このようなイオンとしては、限定はされないが、Fe、Co、Ni、Mn、Cr、Cu、Zn、Cd、Y、Gd、Dy、及びEuのいずれか1種以上のイオンが挙げられる。
本発明のより好ましい実施形態では、1種以上の金属イオンは、Fe2+、Fe3+、Co2+、Co3+、Mn2+、Mn3+、Mn4+、Cd2+、及びNi2+のいずれか1種以上を含む。本発明における使用のための最も好ましいイオンは、Fe2+、Fe3+、Cd2+、及びMn2+イオンである。通常はこのようなイオンは、鉄の場合はラクトフェリン、トランスフェリン、及びフェリチンに、カドミウム及びマンガンの場合はメタロチオネイン−2に結合される。Fe2+の結合は、好ましくは酸性条件を使用することによって促進され、一方Fe3+の結合の場合は好ましくは中性及びアルカリ性条件のいずれかを使用することによって促進される。
本発明の好ましい実施形態においては、金属結合部分は、ラクトフェリン、トランスフェリン、フェリチン(アポフェリチン)、メタロチオネイン(MT1及びMT2のいずれか)、第二鉄結合性タンパク質(FBP、例えばHaemophilus influenzae由来の)、フラタキシン、及びシデロホア(細菌膜を横切って鉄を輸送する機能を担う非常に小さいペプチド)から選択されるタンパク質、及びタンパク質の金属結合ドメインのいずれかを含む。
いくつかの実施形態では、本発明の標識は、磁性物質又は磁化可能物質を結合する部分を複数含み得る。このような部分の数を制御して標識の磁気特性を制御することができる。通常このような実施形態においては、標識は、磁性物質又は磁化可能物質を結合するためにこのような部分を2個から100個、好ましくは2個から50個、及び最も好ましくは2個から20個含み得る。最終キメラタンパク質においては、金属結合タンパク質のそれぞれのコピーは、柔軟性のための非荷電アミノ酸リンカー配列を介して隣接するコピーに結合し得る。
各セットの標識がそれぞれ異なる(特有の)数の金属結合部分を有する標識セットも、本発明に含まれる。これらの標識セットは、1つ以上のサンプルから同時に複数のアナライトを調査分析することを可能にするので有利である。
関心のあるアナライトを結合可能である限り、認識部分は特に限定されない。通常、この部分が結合するアナライトは、生体分子(天然及び合成のいずれか)、感染性因子及び感染性因子成分(例えばウイルス、ウイルス粒子、及びウイルス成分のいずれかなど)のいずれか、細胞及び細胞成分のいずれか、及び内因性小分子及び外因性小分子などの小分子のいずれか(例えば代謝産物、医薬、及び薬物のいずれかなど)から選択される。本説明では、小分子は、例えば代謝産物、医薬、薬物、炭水化物、脂質、脂肪などの、ポリマーでもオリゴマーでもない生物学的に活性な分子などの分子状化学物質(タンパク質、核酸、ポリペプチド、及び他の生体オリゴマー及び生体ポリマーのいずれとも異なる)を意味する。通常、小分子は2,000ダルトン以下の質量を有する。より具体的には、好ましくは、この部分が結合するアナライトは、ウイルス及びウイルス粒子及びウイルス成分のいずれか、タンパク質、ポリペプチド、糖タンパク質、例えばDNA若しくはRNAなどの核酸、オリゴヌクレオチド、代謝産物、複合糖質などの炭水化物、脂質、脂肪、及び医薬又は薬物のいずれかを含む。これらのアナライトは、細菌によって生成される糖残基(例えばシアル酸)及び多くの細菌/ウイルス上の糖被膜、並びにいくつかの腫瘍に存在する糖タンパク質上の改変糖を含む。好ましくはこれらのアナライトのいずれか1つ以上を本発明の方法で使用する。
上記のアナライトに結合可能な認識部分は、関心のあるアナライトへの結合に適しているならば、それ自体はいずれの種類の物質及び分子のいずれかでもよい。一般に、認識部分は抗体及び抗体断片のいずれか、受容体及び受容体断片のいずれか、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド類似物、核酸、オリゴヌクレオチド、及びアプタマーから選択される。本発明のより好ましい実施形態においては、認識部分は抗体(Fv)の可変ポリペプチド鎖、T細胞受容体及びT細胞受容体断片のいずれか、アビジン、及びストレプトアビジンから選択される。最も好ましくは、認識部分は、抗体の一本鎖の可変部(scFv)から選択される。
抗体は、外来抗原の認識に関与し、脊椎動物によって発現されるイムノグロブリン分子である。抗体は、B−リンパ球及びB細胞のいずれかとして知られる特殊化した細胞種によって産生される。個々のB細胞は抗体を1種類のみ産生し、これは単一エピトープを標的とする。B細胞が抗原に遭遇すると、これは、抗原を認識し、分裂し、そして抗体産生細胞(プラズマ細胞)に分化する。
大部分の抗体の基本構造は、異なる2種類のポリペプチド鎖4本からなる(図4)。より小さい(軽)鎖は、25キロダルトン(kDa)の分子量を有し、より大きい(重)鎖は、50〜70kDaの分子量を有する。軽鎖は、1個の可変部(V)と1個の不変部(C)とを有する。重鎖は、抗体のクラスにより、1個の可変部(V)と3〜4個の不変部(C)とを有する。重鎖の第1の不変部及び第2の不変部は、様々な長さのヒンジ部によって分けられる。2個の重鎖は、ジスルフィド架橋を介してヒンジ部で相互に連結される。ヒンジ部の後の重鎖部は、Fc領域(結晶化可能断片)としても知られる。ヒンジ部の前の軽鎖及び重鎖複合体は、Fab(抗体断片)領域としても知られ、2つの抗体の結合部位は併せてF(ab)領域として知られる。重鎖の不変領域は、補体カスケードの分子及び細胞表面の抗体受容体を含む免疫システムの他の成分を結合できる。抗体の重鎖及び軽鎖は、しばしばジスルフィド架橋によって連結されて複合体を形成し、これは可変端で所定のエピトープを結合することができる(図4)。
抗体の可変部遺伝子は、突然変異、体細胞組み換え(遺伝子シャッフリングとしても知られる)、遺伝子変換、及びヌクレオチド付加事象によって形成される。
scFv抗体は、
1.ウイルス:(Torranceら、“Oriented immobilisation of engineered single-chain antibodies to develop biosensors for virus detection.”、J Virol Methods.、2006、134巻(1-2号)p.164-70)
2.C型肝炎ウイルス:(Gal-Tanamyら、“HCV NS3 serine protease-neutralizing single-chain antibodies isolated by a novel genetic screen.”、J Mol Biol.、2005、347巻(5号)、p.991-1003;Li及びAllain、“Chimeric monoclonal antibodies to hypervariable region 1 of hepatitis C virus.”J Gen Virol、2005、86巻(6号)、p.1709-16)
3.癌:Holliger及びHudson、“Engineered antibody fragments and the rise of single domains.”Nat Biotechnol.、23巻(9号)、p.1126-36
を含む非常に多数の標的に対して発生させることができ、プロテオミクス等の様々な用途に使用することができる(Visintinら、“Intracellular antibodies for proteomics. J Immunol Methods.”、2004、290巻(1-2号)、p.135-53)。
それゆえその最も好ましい実施形態においては、本発明は、典型的には1種以上のアナライトを認識するための1種以上の抗体の1つ以上の抗原結合アームと、抗原結合アームに結合した金属結合タンパク質の1つ以上のコピーとから形成される多部分標識を使用する。通常は、使用される抗体断片は、柔軟なリンカーによって連結された重鎖及び軽鎖の可変領域、V及びVからなる、通例scFvと呼ばれる一本鎖ペプチド(sc)である。標識中の両方の部分がタンパク質及びポリペプチドの少なくともいずれかから形成される場合(即ち、標識がキメラタンパク質をなす場合)、標識は、当技術分野において周知の組み換え技術を使用して形成し得る。これを図1に示す。しかし、部分のいずれかが他の物質種から形成される場合、標識は、一方の物質種を他の物質種に単純に結合することによって作られてもよい。
このように、本発明はまた、上述のアナライトのための標識を形成する方法であって、アナライトに標識を結合するための認識部分と磁性物質又は磁化可能物質を結合するための部分とを併せて連結することを含む方法を提供する。
更に本発明は、
サンプルを調査分析する方法であって、
(a)アナライトを結合する認識部分と、
磁性物質又は磁化可能物質の結合乃至内封部分とを
含む前記磁性物質又は磁化可能物質を結合するアナライト用の標識とサンプルとを接触させることと、
(b)標識に磁場を印加し磁場の影響を与えることと、
(c)任意に、前記標識及び前記アナライトの少なくともいずれかを分析し、標識に結合し得るアナライトの情報を得ることとを含み、
前記磁性物質又は磁化可能物質の結合乃至内封部分が金属結合タンパク質、金属結合ポリペプチド、及び金属結合ペプチドのいずれかを含むことを特徴とする方法を提供する。
上記の方法の1つの好ましい例においては、サンプル中の1種以上の更なる物質から標識及び標識に結合し得るいずれかのアナライトの少なくともいずれかを分離、精製乃至単離するために、磁場を使用し得る。精製の目的は、分析無しでも達成し得るので、この場合に分析工程は、必須ではない。他の好ましい方法においては、分析工程が実施され、通常、分析工程は、標識に結合するアナライトの存在、欠如、同一性、及び量の少なくともいずれかを検出する工程を含む。
本発明は、上記の標識の、核酸精製方法、オリゴヌクレオチド精製方法、タンパク質精製方法、ポリペプチド精製方法、感染性因子(例えば、ウイルス、ウイルス粒子、及びウイルス成分のいずれかなど)精製方法、及び細胞精製方法のいずれかにおける使用も提供する。好ましくはこれらの標識は、マイクロ流体素子及びバイオセンサーの少なくともいずれかで実施されるもののようなサンドイッチ分析において使用できる。
なお更に本発明は、磁性物質又は磁化可能物質を結合する部分の使用であって、前記部分が金属結合タンパク質、金属結合ポリペプチド、及び金属結合ペプチドのいずれかを含み、前記使用がマイクロ流体素子及びナノ流体素子のいずれかを使用して実施される使用を提供する。
次に本発明を、以下の図面を参照してより詳細に説明するが、これはほんの一例に過ぎない。
本発明の標識を生成するために行う適切な遺伝子をベクターにクローン化する方法について示す。最終標識中の磁化可能タンパク質のユニット数は、適切な遺伝子のコピーを必要な数だけ組み込むことで制御できる。また、この例では、抗体のV領域及びV領域の遺伝子のみが組み込まれ、抗体全体ではなく抗体のscFv部分が最終の好ましいキメラタンパク質に含有される。V領域及びV領域は、モノクローナルハイブリドーマクローン及び(ファージディスプレー)遺伝子ライブラリーのいずれかから、適切な遺伝子(メッセンジャーRNA)を逆転写及びこれに続くポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)を使用して増幅することによって、適切な発現ベクター中にクローン化できる。遺伝子は、一続きの小アミノ酸(例えば、4個のグリシン及び1個のセリン残基など)によってリンクされポリペプチドが互いに対し正しく配列されて、リンカー部分からの干渉なしにその結合部位を形成することが可能になる。磁化可能タンパク質の遺伝子は、次にscFvの後に直接又は上述のアミノ酸リンカーによって分離されてクローン化される。必要に応じて、精製タグ(例えば、ヘキサヒスチジン、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、β−ガラクトシダーゼ、ヘマグルチニン、緑色蛍光タンパク質など)を組み込み、融合タンパク質の単離に役立てることができる。融合タンパク質遺伝子の終端に終止コドンを組み込み、その後にポリアデニル化部位を続けた。選択された磁化可能タンパク質が複数のサブユニットからなる場合(例えばフェリチン又はDprなど)、これらのサブユニットをコードする遺伝子がscFvに続く又は先行することが考えられる。また、scFv遺伝子を磁化可能タンパク質の遺伝子内に組み込み、アミノ末端でもカルボキシル末端でもない磁化可能タンパク質の都合のよい部分にscFvアミノ酸配列を位置させることも望ましい。モノマータンパク質(例えばMTなど)を選択する場合、scFv及び又は金属結合部分遺伝子の複数のコピーを発現ベクター中に並べてクローン化することができる(図1参照)。scFv及び金属結合部分の発現融合タンパク質内の位置は、遺伝子配列によって規定及び制御できる。多量体タンパク質については、scFv遺伝子を磁化可能タンパク質の遺伝子内に組み込み、scFvアミノ酸配列を磁化可能タンパク質のアミノ末端でもカルボキシル末端でもない都合のよい部分に位置させることが望ましい。次にベクターは、例えば哺乳類細胞系若しくは昆虫細胞系、及び発現のための酵母宿主若しくは細菌宿主などの発現系のいずれかに導入される。融合タンパク質は適切な方法(沈降、免疫沈降、アフィニティー精製、高速液体クロマトグラフィー、及び高速タンパク質液体クロマトグラフィーのいずれかなど)によって採取される。次に精製融合タンパク質は、確立された方法を使用して修飾され、タンパク質が磁化される(Changら;Meldrumら)。 本発明の標識を使用した精製方法の概略を示す。関心のあるアナライトが、イオンに結合した本発明の標識を用いて標識される。磁場が印加され、結合したアナライトが洗い流されるのが防がれる一方、全ての汚染物質が取り除かれる。精製サンプルが残存し、所望によりこれを分析できる(例えば検出できる)。 現在利用可能な市販の抗体−被覆ビーズは、ビーズに抗体を共有結合させて作るので、抗体が不適切に配向しそれによって結合効率が低下する可能性があることを示す。 IgGなどの抗体の単純化した構造を示した略図である。パパインなどの酵素を使用したプロテアーゼ処理の後に、抗体は、ヒンジ部近くで3部分に分かれる。抗体のエフェクター機能部分(ヒンジ、C2、及びC3)は、X線回折分析のために比較的容易に結晶化できるので、この部分は、結晶化可能断片(Fc)領域として知られている。抗体の抗原結合部分は、抗体断片(Fab)として知られる。酵素消化の後に、Fab断片を、ヒンジ部でリンクしF(ab)断片を形成することができる。他の抗体は、Fc領域のドメインの数及びヒンジ部が変動する点で異なり得る。 IgGなどの抗体の単純化した構造を示した他の略図である。パパインなどの酵素を使用したプロテアーゼ処理の後に、抗体は、ヒンジ部近くで3部分に分かれる。抗体のエフェクター機能部分(ヒンジ、C2、及びC3)は、X線回折分析のために比較的に容易に結晶化できるので、この部分は、結晶化可能断片(Fc)領域として知られている。抗体の抗原結合部分は、抗体断片(Fab)として知られる。酵素消化の後に、Fab断片を、ヒンジ部でリンクしF(ab)断片を形成することができる。他の抗体は、Fc領域のドメインの数及びヒンジ部の変動の点で異なり得る。 scFv−フェリチン融合タンパク質の構造を示す図である。 scFv−フェリチン融合タンパク質の構造を示す他の図である。 scFv−MT2融合タンパク質の構造を示す図である。 scFv−MT2融合タンパク質の構造を示す他の図である。 scFv断片の構造を示す図である。 cDNAライブラリーの作製を示す図である。組織サンプルからcDNAライブラリーを作製するために、mRNAを抽出し、cDNAに逆転写し、プラスミドベクターに連結する。次にこれらのベクターを使用して細菌細胞を形質転換する。形質転換細胞は、使用時まで凍結保存される。凍結細胞を適切な培地で培養して増殖し、プラスミドを精製することができる。次に関心のある遺伝子を更なる分析のために特異的プライマーペアを使用してPCR増幅する。 フェリチン重(H)鎖遺伝子及びフェリチン軽(L)鎖遺伝子のPCRアンプリコンを示す写真データを示す図である。 フェリチン重鎖遺伝子及びフェリチン軽鎖遺伝子のオーバーラッピングPCR産物を示す写真データを示す図である。 コロニーPCRの結果を示す写真データを示す図である。クローン1、クローン3、及びクローン4を配列決定のために選択した。 抗フィブロネクチンscFv並びにフェリチン重鎖及びフェリチン軽鎖のポリジーン(矢印)のPCR増幅産物を示すゲルを示す写真データを示す図である。 抗フィブロネクチンscFv並びにフェリチン重鎖及びフェリチン軽鎖のポリジーンのオーバーラッピングPCR産物を示すゲルを示す写真データを示す図である。 scFv:フェリチン融合構築物を連結したプラスミドを用いて形質転換した多数のクローンのPCRスクリーニングの結果を示すゲルを示す写真データを示す図である。 細胞溶解物のクマシーブルー染色ゲル及びウエスタンブロットを示す写真データを示す図である。キー:1.フェリチン、誘導2時間後;2.フェリチン、誘導3時間後;3.フェリチン、誘導4時間後;4.Benchmark(商標)(Invitrogen) Protein Ladder. ヒト肝臓ライブラリーからのMT2のPCR増幅産物を示すゲルを示す写真データを示す図である。 scFv:MT2構築物を含むプラスミドで形質転換したクローンのコロニー分析を示す写真データを示す図である。 それぞれscFv:MT2(矢印)のクマシーゲル及びウエスタンブロットを示す写真データを示す図である。 再溶解scFv:フェリチン融合タンパク質及び再溶解scFv:MT2融合タンパク質の(それぞれ)クマシーブルー染色ゲル及びウエスタンブロットの写真データを示す図である。融合タンパク質は円で囲んであり、両ゲルともフェリチンがレーン2、MT2がレーン3である。タンパク質分子量ラダーがレーン1である。 MT2融合タンパク質の結合のSPR分析からの重ね書きしたセンソグラムを示す図である。 フェリチン融合タンパク質の結合のSPR分析からの重ね書きしたセンソグラムを示す図である。 本発明において使用するために生成されたマグネトフェリチンの磁気特性を示す写真データを示す図である。 マグネトフェリチンの生成と濃縮の過程の間のフェリチンの濃度を示す図である。キーは、MFがマグネトフェリチン、ftが流出画分、preが透析前Macs(登録商標)カラム濃縮マグネトフェリチン、postが透析後Macs(登録商標)カラム濃縮マグネトフェリチンである。 scFv:フェリチン及び加熱処理scFv:フェリチンのフィブロネクチンへの結合を示す図である。 Varioskan Flash機器を使用して記録される磁化融合タンパク質の吸光度測定値を示す図である。濃縮後も依然として、このタンパク質はモノクローナル抗フェリチン抗体によって認識される。 Varioskan Flash機器を使用して記録される磁化融合タンパク質の吸光度測定値を示す図である。濃縮後も依然として、このタンパク質はモノクローナル抗フェリチン抗体によって認識され、磁化抗フィブロネクチンフェリチン融合タンパク質は、標的抗原に対する結合能力を保持している。
本発明において使用される、金属結合タンパク質、抗体及び融合タンパク質を含む様々な部分について、次に詳細に説明する。
本発明を更に説明するためのよい例として、2種の金属結合タンパク質を選択した。それはフェリチンとメタルチオネインII(MT2)である。好ましい融合タンパク質は、これらの金属結合タンパク質の内のどちらかを用いて形成され、遺伝子工学的にフェリチン及びメタロチオネインIIのどちらかに融合されて組換えタンパク質を与える一本鎖Fv(scFv)として発現されるネズミ抗体の可変ドメインを含む。
(金属結合タンパク質)
文献中に記載される金属結合タンパク質の種類数は、なお増加し続けている。多くのタンパク質が鉄(Fe)をオキシ水酸化物−リン酸第2鉄(oxyhydroxide−ferric phosphate)又はヘムとして有するため、その磁化方法が複雑になっている。フェリチンなどのタンパク質は、ケージ様の構築物内に何千もの鉄イオンを収容できる。
フェリチン内の内在性鉄は常磁性ではないので、通常これを取り除き、タンパク質を破損しないようにして常磁性形態の鉄と置き換える必要がある。例えばメタロチオネインII(MT2)などの他の金属結合タンパク質は、より少ない数の金属イオンを緩い格子配列として保持するので、フェリチンよりもこれらを取り除きそして置き換えるのが容易であり得る。
(フェリチン)
フェリチンは、直径12nmの大型タンパク質で、480kDaの分子量を有する。このタンパク質は、鉄を包み込む大きな空洞(直径8nm)からなる。この空洞は、非共有結合によって保持される4へリックスバンドルの形に折りたたまれた24本のフェリチンポリペプチドの自発的集合によって形成される。鉄及び酸素は、生理条件下で不溶性の錆及び可溶性のラジカルを形成する。鉄イオンの溶解度は、10−18Mである。フェリチンは、細胞内に鉄イオンを10−4Mの濃度で貯蔵することができる。
フェリチンのアミノ酸配列、従ってフェリチンの二次構造及び三次構造は、動物と植物の間で保存されている。この配列は、細菌で見られるものと異なるが、細菌におけるこのタンパク質の構造とは異ならない。フェリチンの遺伝子欠損変異マウスを使用した研究ではマウスが胚死する結果となっているように、フェリチンはマウスの生存に必須の役割を有する。フェリチンは、嫌気性細菌においても発見されている。
フェリチンは、8個のFe輸送孔隙、12個のミネラル核形成部位、並びに第1鉄及び酸素からミネラル前駆体を生成する24個に及ぶオキシダーゼ部位を有する大型の多機能性タンパク質である。脊椎動物におけるフェリチンは、2種のサブユニット(重鎖(H)及び軽鎖(L))で形成され、それぞれが触媒活性を有する(H)又は触媒活性を有しない(L)オキシダーゼ部位を有する。重鎖及び軽鎖の比は、必要条件に応じて異なる。4,000個に及ぶ鉄原子を、フェリチンタンパク質の中心に配置することができる。
通常、フェリチン内に収容される鉄は、水和酸化鉄の鉄水酸化物(5Fe・9HO)の形態をとる。鉄水酸化物コアは、フェリ磁性酸化鉄のマグネタイト(Fe)で置き換えることが可能である。これは、チオグリコール酸を使用して鉄を取り除きアポフェリチンを生成することで達成し得る。次にアルゴンガス雰囲気下及び他の不活性ガスの雰囲気下のいずれかにおいて、Fe(II)溶液を徐々に加える一方、空気及びその他の酸化剤のいずれかの導入によって穏やかに制御された酸化を行う。
(メタロチオネインII)
メタロチオネインは、細胞内の、低分子量の、システインに富むタンパク質である。このタンパク質は、全ての真核生物に見られ、強力な金属結合能及び酸化還元能を有する。MT−1及びMT−2は、肝臓において様々な金属、薬物、及び炎症性メディエータによって迅速に誘導される。MT−2の機能としては、亜鉛(Zn)恒常性維持、重金属(特にカドミウム)及び酸化的損傷からの保護、及び代謝調節が挙げられる。
MT2は、7個の2価遷移金属をカルボキシル(αドメイン)末端及びアミノ(βドメイン)末端で2つの金属結合クラスターを介して結合する。20個のシステイン残基が結合過程に関与する。
Changらは、この7個の亜鉛イオン(Zn2+)をマンガンイオン(Mn2+)及びカドミウムイオン(Cd2+)で置き換える方法を記載している。結果として生じるタンパク質は、室温で磁気ヒステリシスループを示すことが明らかにされている。これは、このタンパク質が常磁性であることを潜在的に意味している。
Toyamaらは、ヒトMT2を遺伝子工学的に改変することにより更なる金属結合部位を構築している。これは、MT2の常磁性機能を潜在的に増加することができるとともに、本発明に用いることができる。
フェリチン及びMT2は潜在的に磁化可能であり、現在利用可能な磁性ビーズの代替物となる。分子生物学の技術を使用することによって、フェリチン及びMT2のいずれかをコードする遺伝子に抗体の可変部を連結し磁性抗体様タンパク質を生成することができる(図5a及び図5b参照)。これは、例えば抗フィブロネクチンscFv遺伝子などの利用可能なscFvを使用することによって示すことができる。フィブロネクチンは、結合組織中、細胞表面上、並びに血漿及び他の体液中に見られる。フィブロネクチン遺伝子の過剰発現が多数の肝臓癌において見られ、また、このタンパク質は創傷治癒にかかわることが示されているので、フィブロネクチンに関する診断は潜在的な「テラノスティック」上の価値を有する。それゆえ、本発明の1つの好ましい実施形態は、抗フィブロネクチンscFv遺伝子並びにフェリチン重鎖遺伝子及びフェリチン軽鎖遺伝子を使用して大型多価融合タンパク質を生成することである。このscFvをヒトMT2遺伝子に連結してより小型の融合タンパク質を生成することもできる。
単一タンパク質上で遺伝子工学的に融合した認識ドメイン及び常磁性ドメインの使用は、化学的結合の必要性及び化学的操作によって引き起こされるタンパク質機能活性に対する潜在的損傷を排除する。scFv又は磁化可能ドメインは、比較的容易に自由に置き換え得る。
このscFvは、グリシン残基及びセリン残基の短鎖によってリンクされた抗フィブロネクチン重鎖及び抗フィブロネクチン軽鎖を含んでいてもよい。V−リンカー−V構築物は、頑丈であり、結合を維持することが見出されているので、これらが好ましい。
Leeらは、E.coliにおいて、フェリチン重鎖をフェリチン軽鎖のアミノ末端へ遺伝子工学的に融合させると、遺伝子組換えフェリチンの細胞質溶解度を著しく増加させることができることを見出している。このアプローチは、本発明においても使用できる。このscFv遺伝子及びフェリチン遺伝子は、セリンと4つのグリシン残基とからなる短鎖リンカー領域を介して連結される。それは、scFv断片に対して上述した理由と同一であり、これらの残基が小さく、柔軟性を有し、そして他の必須残基と干渉する可能性が低いからである。
Ahnらは、フェリチンンの重鎖及び軽鎖のC末端に融合した遺伝子が、フェリチン分子表面ではなくフェリチン分子内で発現される可能性があることを見出している。このため、好ましいscFvフェリチン融合構築物は、scFvがフェリチン重鎖のN末端に位置するように設計される。
(抗体)
本発明において使用し得る抗体について論じる場合、以下の略記が使用される。
抗体重鎖不変部
抗体軽鎖不変部
CDR (抗体の)相補性決定領域
Fab (パパインによる開裂後得られる)可変ドメイン並びに軽鎖不変部及びC1からなる抗体の単一の認識断片
F(ab) (パパインによる開裂後得られる)抗体の認識断片
Fc (パパインによる開裂後得られる)抗体の結晶化可能断片(通常、C2ドメイン及びC3ドメイン)
Fr (抗体の可変部の)フレームワーク領域
Fv (抗体の)可変断片
Ig イムノグロブリン
MT メタロチオネイン
MT1 メタロチオネインI
MT2 メタロチオネインII
scFv 一本鎖可変断片
抗体重鎖可変ドメイン
抗体軽鎖可変ドメイン
本発明は、磁性抗体様キメラタンパク質を提供する。このタンパク質の磁性部分は、上記したような鉄結合タンパク質の1つ以上のコピーからなる。このタンパク質の認識アームは、関心のある抗原を結合する抗体断片及び受容体のいずれかからなり、以下に詳細に論じられる。抗体の供給源は、特に限定されず、抗体は、いずれの生物種、ファージディスプレーライブラリー、及び他の組換え体システムのいずれかに由来させることができる。
本発明のタンパク質の典型的抗体部分は、フィブロネクチンに結合するネズミモノクローナルIgG1抗体の抗原結合部位(以下、抗フィブロネクチンscFvドメインと呼ぶ)からなる。
抗体は、特異的適応免疫反応に関与するイムノグロブリンタンパク質である。それぞれのイムノグロブリンは、2つの異なる役割を有する。1つの役割が抗原を結合することであり、そしてもう1つの役割が免疫(エフェクター)機能を媒介することである。これらのエフェクター機能としては、イムノグロブリンを宿主組織、免疫細胞、及び他の免疫タンパク質に結合することが挙げられる。抗体は、4つのポリペプチド鎖からなる(図4)。2つの同一のより長い鎖(重鎖として知られる)が、互いにヒンジとして知られる領域でジスルフィド架橋によって共有結合的にリンクする。それぞれの重鎖は、ジスルフィド架橋によって同一のより短い鎖(軽鎖として知られる)にも共有結合的にリンクされる。それぞれのポリペプチド鎖は、数個のドメイン(図4では、軽鎖に対するV及びC並びにV、C1、C2、及びC3に分類される)を含み、これらはそれぞれ遺伝子内のエクソンによってコードされる。それぞれのドメインは、およそ12.5kDaの分子量を有する。ヒトでは5つの主要な抗体クラスが存在する;即ち、IgG、IgA、IgM、IgD、及びIgEであり、これらもサブクラスを有し得る。それぞれの抗体クラスは特徴的エフェクター領域を有し、それゆえに免疫システムを異なった方法で調節する。抗原結合ドメインは、イムノグロブリンのアミノ末端の可変重鎖(V)ドメイン及び可変軽鎖(V)ドメインとして知られる領域に位置する。エフェクタードメインは、抗体の残りの部分である(不変部)。
脊椎動物免疫システムは、無数の抗原を認識及び結合することができる。これは、1つには抗体が抗原に対応して著しい多様性を示すことに起因する。抗体の可変ドメインは、可変性を示すためにシャッフルできる遺伝子のセットによってコードされる。加えて、体細胞突然変異として知られる遺伝子の更なる変更が生じる。抗原と直接接触する抗体の領域(認識配列)は、最も可変な領域である。これらの領域は、相補性決定領域(CDR)として知られる。図4bでは、それぞれのポリペプチド鎖上にこれらの領域が3つあり、これらはより薄い線で表してある。CDR間のアミノ酸残基は、抗原と直接は接触しないが、抗原結合領域が正しい構造をなすためには最優先の重要性を有する。このため、これらはフレームワーク領域として知られる。
抗体は、B細胞として知られる分化した細胞において産生される。B細胞は、特異的抗原を結合できる抗体をその表面上に有する。言い換えると、単一のB細胞はその表面抗体によって単一種の抗原を「認識する」ことができる。この膜結合抗体が抗原に遭遇すると、B細胞は、成熟過程に入り最終的に細胞の分裂及び増殖がもたらされる。起源細胞からの娘細胞(又は知られている所ではクローン)は、起源細胞の膜結合抗体と同一の特異性を有する可溶性(非膜結合)形態の抗体を生成できる。これらの娘細胞から生成される抗体はいずれも、細胞が単一クローンに由来することから、モノクローナル抗体として知られる。
インビトロで使用する抗体が、長年にわたり生成されている。当初は、免疫された動物からポリクローナル血清を採取するのが抗体を得る最も簡単な方法であった。1975年のケンブリッジ大学(Cambridge University)のGeorges J.F.Koehler及びCesar Milsteinの先駆的な仕事が、実験室で生成されるモノクローナル抗体の開発をもたらした。彼らの仕事では、マウス脾臓からのB細胞を骨髄腫細胞と融合しハイブリドーマとして知られる不死化B細胞株を生成している。
抗体の抗原結合部分は、不変部無しで単離した状態でも使用できる。これは、例えば固形癌に浸透させるのにより適合した抗体様分子を設計する過程などにおいて、幾らかの役に立ち得る。V及びVドメインを、Fv断片として細胞中で発現させることができる。又は、この2つのドメインを小アミノ酸の短鎖によってリンクし、一本鎖Fv断片(scFv)として知られる約25kDaの分子量を有する(図7参照)単一ポリペプチドを形成することができる。リンカーは、セリン及びグリシンなどの若干の小アミノ酸からなり、scFvの結合領域及び骨格領域への干渉はない。
(融合タンパク質の設計)
本発明において、融合タンパク質は、抗フィブロネクチンネズミモノクローナルIgG1抗体からの可変部を使用することによって設計でき、scFvドメインを有することができる。フェリチン遺伝子又はMT2遺伝子の重鎖及び軽鎖が、抗体の磁性ドメインを生成するのに使用できる。抗フィブロネクチン抗体の可変ドメインの遺伝子が市販されており、これらは通常プラスミドベクターにクローン化されscFvとして発現される。このscFvは、以下の順番で翻訳し得る:
ATG開始コドン:(発現のための)リーダー配列:重鎖:グリシン セリン リンカー:軽鎖
(プラスミド生成)
ヒトフェリチンの重鎖及び軽鎖の遺伝子又はヒトMT2の遺伝子は、ヒトライブラリーから入手でき、適切に設計されたプライマーを使用してクローン化され、そして末端終止コドンと共に抗体軽鎖3′末端で抗フィブロネクチンscFvプラスミドベクターに挿入される。フェリチンの重鎖及び軽鎖の3′末端に融合した遺伝子は、フェリチン分子の表面ではなく分子内で発現され得る。従って、scFvフェリチン融合構築物は、フェリチン重鎖のN末端(5′末端に対応)にscFvを有する。通常はscFvとフェリチンとの融合タンパク質又はscFvとMT2との融合タンパク質は、ヒスチジン標識(6個のヒスチジン残基からなる)をタンパク質のC末端の終止コドンの前に有する。これは、ウエスタンブロット法などの用途におけるタンパク質の検出、及び金属アフィニティーカラム(例えばニッケルカラムなど)を使用した又は金属結合機能が妨害する場合は他の標識(例えばGST、βガラクトシダーゼ、HA、及びGFPなど)を使用した可能な精製を考慮する。遺伝子の配列を、プラスミド生成の後にチェックして突然変異が導入されていないか確かめてもよい。
図5bは、フェリチン融合タンパク質の例の概念図である。scFvの重鎖及び軽鎖は、それぞれ最初の2つの矢印によって示される。
使用される配列は、以下に示される配列番号1である:
配列番号1
このアミノ酸配列では、scFvの重鎖及び軽鎖がイタリック体で示され、重鎖に下線が施してある。このアミノ酸配列の太字テキストが、可変ドメインのCDR領域を示す。2つのグリシン/セリンリンカーが小文字で示され、これらの内の第2のリンカーに続いてフェリチンの重鎖と軽鎖の配列が普通テキストで示され、再度これらの内の重鎖配列には下線が施される。
図6bは、MT2融合タンパク質の例の概念図である。その配列が、以下の配列番号2によって示される。
配列番号2
scFv配列がイタリック体で示され、その重鎖には下線が施され、太字テキストでCDRが強調される。2つのリンカー配列が小文字で示され、その内の2番目の後に普通テキストで与えられるメタロチオネイン配列が続く。
scFv−フェリチン融合タンパク質及びscFv−MT2融合タンパク質は、E.coli株で発現し得る。通常これは、融合タンパク質のどちらかをコードするプラスミドで感受性E.coli細胞を形質転換することによって達成される。通常発現プラスミドは、細菌の翻訳及び発現のための成分並びに発現量を増加させるエンハンサー配列を含む。
このプラスミドは、好ましくは抗生物質耐性の配列も含有する。この細菌細胞を抗生物質を含む寒天栄養平板上に塗沫した場合、このプラスミドを含まない細胞は分裂しない。このプラスミドを含む細胞は、分離したコロニーとして成長できる。コロニーのそれぞれの細胞は、単一細胞及び‘クローン’のいずれかからの子孫である(それゆえこの過程は、クローニングとして知られる)。
クローンは、この平板から採取し抗生物質を含む液体培地中で培養してもよい。融合タンパク質の発現は、一般に誘導物質(例えば、イソプロピル β−D−1−チオガラクトピラノシド及びIPTGのいずれか)の添加によって開始される。細胞は、回収するまで限られた時間培養してもよい。細胞は、尿素を使用して溶解することができ、この溶解物を例えばSDS−PAGE及びウエスタンブロット法によって分析してもよい。
(タンパク質検出及び精製)
クローンのタンパク質発現プロファイルは、SDS−PAGE(ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動)及びウエスタンブロット法を使用することによって評価することができる。これらのアッセイでは、タンパク質を化学的に変性させる(β−メルカプトエタノールなどの化学物質を使用して硫黄間結合を切断すること、及び結合内帯電を取り除くSDSを添加することの少なくともいずれかによって変性させる)。細胞溶解物は、ゲルの上端のウェルに添加される。次に電流(DC)がゲルに印加され、タンパク質は、そのサイズに従いゲル中を移動する。次にタンパク質は、染料でゲルを染色することによって可視化される。分離されたタンパク質をニトロセルロース膜に移すこと(再度電流を使用して)によって特異的タンパク質が、プローブされる。特異的酵素結合抗体がシート上でインキュベートされ、そして基質(比色分析の化学物質、発光用の化学物質、及び蛍光化学物質のいずれか)が添加されタンパク質が可視化される。
最高レベルの発現をするクローンを、通常、大規模で(1L)拡大培養し増殖する。細胞は、上記のように誘導し回収する。
採取した細胞が溶解され、タンパク質が例えば金属アフィニティークロマトグラフィーを使用することで精製される。必要に応じて、フィブロネクチンアフィニティーカラムを含む他の精製方法を使用してもよい。
(タンパク質特徴づけアッセイ)
(サイズ分析)
タンパク質は、SDS−PAGE、ウエスタンブロット分析、及びクロマトグラフィー技術を使用してそのサイズを測定することができる。
(表面プラズモン共鳴)
融合タンパク質のフィブロネクチンへの結合は、表面プラズモン共鳴(SPR)を使用して評価することができる。SPRは、分子が金属薄膜に結合するときの光の屈折率の変化を測定できる技術である。フィブロネクチンが、SPRチップの金属表面に固定され、融合タンパク質がチップの表面上を流される。融合タンパク質が結合するとき、結合の動力学(結合、解離、及び親和性)を、SPRを使用して評価することができる。通常、SPRを使用して得られる結果は、センソグラムの形で与えられる。
融合タンパク質の結合は、ELISAによっても評価し得る。結合を測定するためのアッセイでは、マイクロタイタープレートがフィブロネクチン及び抗フェリチン抗体のいずれかで被覆される。プレートの未被覆部位を、ウシ血清アルブミン(BSA)を用いてブロッキングする。次に融合タンパク質を、プレート上でインキュベートする。次にこのプレートを洗浄し、抗フェリチン抗体とインキュベートし、そして再度洗浄する。酵素結合抗体を次にプレート上でインキュベートし、プレートを洗浄し、そして基質を加える。
(フェリチン及びscFv−フェリチンの磁化)
フェリチン内の鉄は、常磁性ではない。通常、鉄は、Fe(III)の形態である。常磁性フェリチンを生成するためには、フェリチンの(そして究極的には融合タンパク質の)鉄を、タンパク質を損傷することなく取り出し;次に常磁性形態の鉄(Fe(II))と置き換える。
鉄酸化物にはいくつかの形態があり、これらの形態の全てが等しく磁性を有する訳ではない。例えば、FeO、Fe、及びFeが挙げられる。マグネタイト或いは天然磁石(lodestone)としても知られる、酸化鉄(Fe)或いは酸化第一・第二鉄が、最も磁性を帯びうる形態である。
(scFv−フェリチン及びscFv−MT2融合タンパク質の特徴づけ)
処理されたタンパク質の物理的特徴づけが、典型的には電子顕微鏡、回折(X線及び電子線の少なくともいずれか)、及びメスバウアー分光法の組み合わせを含むいくつかの技術によってなされ得る。
以下、本発明を具体的実施形態を参照して詳細に説明するが、これはほんの一例に過ぎない。
(実施例1−融合タンパク質の設計と製造)
本発明を例証するために、市販のネズミ抗フィブロネクチン抗体を使用して、融合タンパク質を設計した。MT2とフェリチンのいずれかに柔軟な短リンカーを用いて遺伝子工学的に連結させた抗フィブロネクチンscFvからなる融合タンパク質を製造した。本実施例においては、融合タンパク質の生成、その特徴づけ、及び単離について詳述する。
抗フィブロネクチンフェリチン融合タンパク質又は抗フィブロネクチンMT2融合タンパク質の設計は、マウス抗フィブロネクチン抗体からのV遺伝子及びV遺伝子のベクターへのクローン化に基づいて行った。両遺伝子は、非荷電小アミノ酸からなる短い柔軟なリンカーによって連結させた。V遺伝子の3′末端のすぐ下流に、別の短い柔軟なリンカーを接続し、その後にフェリチン遺伝子かMT2遺伝子のいずれかを接続した。両融合タンパク質は、ニッケルカラムでの精製のために6ヒスチジン領域を有するようにした。融合タンパク質の翻訳は、フェリチン軽鎖遺伝子及びMT2遺伝子のいずれかの3′末端に挿入した終止コドンで終了させた。これらの要素を全て含むプラスミドベクターを使用して、発現のための細菌を形質転換させた。
フェリチン及びMT2の遺伝子は、cDNAライブラリーから取得した。cDNAライブラリーは、細胞及び組織のいずれかからmRNAを採取し、このRNAを逆転写酵素として知られる酵素を使用してcDNAに逆転写し、そして個々のcDNAをプラスミドベクターへクローン化することで生成した(図8参照)。
(抗フィブロネクチン:フェリチン融合タンパク質の生成)
(背景)
フェリチンは、直径12nmのタンパク質で、およそ480kDaの分子量を有する。このタンパク質は、鉄を包み込む大きな空洞(直径8nm)からなる。この空洞は、非共有結合によって保持される4へリックスバンドルの形に折りたたまれた24本のフェリチンポリペプチドの自発的集合によって形成される。フェリチンのアミノ酸配列、従ってフェリチンの二次構造及び三次構造は、動物と植物の間で保存されている。細菌におけるこのタンパク質の構造は真核生物と同じであるが、配列は異なる。脊椎動物におけるフェリチンは、2種のサブユニット(重鎖(H)及び軽鎖(L))から形成され、それぞれが触媒活性を有する(H)オキシダーゼ部位及び触媒活性を有しない(L)オキシダーゼ部位のいずれかを有する。重鎖及び軽鎖の比は、必要条件に従い異なる。融合タンパク質の生成において使用されるフェリチン重鎖及びフェリチン軽鎖のアミノ酸配列を以下に示す:
(フェリチン重鎖(分子量21096.5Da)):
(フェリチン軽鎖(分子量20019.6Da)):
抗フィブロネクチンscFvアミノ酸配列と共に示す融合タンパク質の一本鎖ポリペプチドの予測配列を(抗体重鎖遺伝子及び抗体軽鎖遺伝子の間のリンカー配列並びに抗体軽鎖遺伝子及びフェリチン重鎖遺伝子の間のリンカー配列は、小文字で強調されている)以下に示す:
このポリペプチド成分の分子量は、65.550kDaであった。
(抗フィブロネクチン:フェリチン融合タンパク質遺伝子の組立)
フェリチン重鎖遺伝子及びフェリチン軽鎖遺伝子は、PCRによってヒト肝臓cDNAライブラリーから増幅した(図9a参照)。このPCR産物は、期待されたサイズ(〜540bp)のものであった。これらのPCR産物は、オーバーラッピングPCRによって結合させた(図9b−産物は期待されるサイズである)。
このオーバーラッピングPCR産物をゲル精製し、配列分析用ベクターに組み込み、配列分析した。このため、フェリチン重鎖遺伝子とフェリチン軽鎖遺伝子のオーバーラッピングPCR遺伝子を含む配列分析用ベクターで細菌を形質転換した。次に、クローンを分離するために、形質転換細菌を抗生物質含有プレート上に薄く広げた。細胞を一晩培養し、コロニーを形成させた。次に個々のコロニーを平板から採取し、液体培地中で培養した。それぞれのクローンからプラスミドを単離し、PCRを使用して分析した(図9c)。クローン4が、期待された配列を含むことが見出された。従って、このクローンからのDNAをその後の全ての更なる研究において使用した。
モノクローナルハイブリドーマからのネズミ抗ヒトフィブロネクチン抗体の重鎖可変部遺伝子及び軽鎖可変部遺伝子を、PCR増幅した。これらの遺伝子は、予め柔軟なリンカー領域によって連結されてscFvを形成しており、このscFv遺伝子融合物がPCRによって増幅された。この増幅物のDNAゲルは、フェリチンポリジーンオーバーラッピングPCR産物と並んで、図10a中に見られる。関係するバンドをゲルから切り取り、DNAを精製した。次にこれを、更なるオーバーラッピングPCRにおいて使用し、scFv及びフェリチンポリジーンを連結させた(図10b)。矢印を施したバンドが、scFv:フェリチン融合物に期待されるサイズを有する。これを、切り取り、そのDNAを更なる使用のために精製した。
これを行うために使用されたプライマーは、プラスミドに組み込むためのDNAのエンドヌクレアーゼ(二本鎖DNAの特異的配列を切断することができる酵素)による制限的切断を可能とする配列を含んでいた。
ゲル精製の後、scFv:フェリチンPCR産物を、制限酵素(エンドヌクレアーゼ)のBam H1及びEcoR1を使用して制限的に切断した。精製された制限酵素切断を受けた産物を、次にpRSET及びpET26bの2つの発現ベクターへクローン化した。クローンは、前と同様にして単離した。陽性のクローンを同定するために行ったPCRの結果は、図11に見ることができる。
プラスミドpRSETを含むセットからコロニー3〜5及び7を、プラスミドpET26bを含むセットからコロニー6を選択して配列を分析した。
その結果としてのデータが示すところによれば、クローンpRSET4及びクローンpRSET5並びにpET26bクローン6が、scFv:フェリチン構築物を含んでいた。クローンpRSET4をタンパク質発現のために使用した。
(抗フィブロネクチンscFv:フェリチン融合タンパク質の発現)
融合タンパク質の発現を実証するために、LB培養液(Luria−Bertani 培養液:トリプトン10g、酵母抽出物5g、NaCl10g(1リットル当り))で5mlの培養物を3培養物培養した。細胞は、IPTG(イソプロピル β−D−1−チオガラクトピラノシド)を時期を変えて使用し、タンパク質の発現を誘導した。次に、培養物を8M尿素中で溶解し、SDS−PAGEを使用して分析した。タンパク質含有量を求めるためにクマシーブルーを使用してゲルを染色した(結果を図12に示す)。抗ポリヒスチジン抗体を使用したウエスタンブロットを実施し、融合タンパク質を特異的に同定した(図12)。
誘導した時点は、接種後2時間、3時間、及び4時間であった。
ブロットに見られるバンドには、融合タンパク質が発現されており、これは、抗ヒスチジン抗体を使用して検出できることを示している。このポリペプチドのサイズは、およそ75kDa〜85kDaであった。発現量は、比較的高く、融合タンパク質のバンドがクマシーブルー染色ゲル中に見られる非常に濃いバンドと対応することから過剰発現しているのは明白であった。接種後3時間に誘導することで、比較的高レベルの発現が得られたので、接種後3時間での誘導という条件をその後の発現のためにも使用した。
(抗フィブロネクチン:MT2融合タンパク質の生成)
(背景)
メタロチオネインは、細胞内の、低分子量の、システインに富むタンパク質である。このタンパク質は、全ての真核生物に見られ、強力な金属結合能力及び酸化還元能力を有する。MT−1及びMT−2は、肝臓において様々な金属、薬物、及び炎症性メディエータによって迅速に誘導される。MT2は、7個の2価遷移金属を、カルボキシル(αドメイン)末端及びアミノ(βドメイン)末端で2つの金属結合クラスターを介して結合する。20個のシステイン残基が結合過程に関与する。
MT2の配列を以下に示す:
抗フィブロネクチンscFvアミノ酸配列と共に示す融合タンパク質の一本鎖ポリペプチドの予測配列を(抗体重鎖遺伝子及び抗体軽鎖遺伝子の間のリンカー配列並びに抗体軽鎖遺伝子及びMT2重鎖遺伝子の間のリンカー配列は、小文字で強調されている)以下に示す:
(抗フィブロネクチン:MT2融合タンパク質遺伝子の組立て)
メタロチオネインII遺伝子は、ヒト肝臓cDNAライブラリーからPCRを使用して増幅された(図13)。このPCR産物は、期待されるサイズ(〜200bp)であった。
このPCR産物を、BglII制限酵素を使用して制限的に切断し、予め切断したプラスミド(Factor Xaベクター)に組み込んだ。
選択されたクローンのコロニーPCRによって、選択されたクローン全てについてバンドが見出された(図14)。クローン2、クローン4、及びクローン9を配列分析のために選択した。クローン9を、更なる研究で使用した。
(抗フィブロネクチンscFv:MT2融合タンパク質の発現)
scFv:MT2融合タンパク質の発現を実証するために、LB培養液で5mlの培養物を3培養物培養し、フェリチン融合タンパク質の場合と同様にして培養物を様々な時点で誘導した(IPTG)。培養物を8M尿素中で溶解し、クマシーブルーで染色され且つ抗ヒスチジン抗体を用いてブロットされるSDS−PAGEゲルを使用して分析した(図15)。接種後4時間に誘導した細胞が、僅かながらより多くのタンパク質を生成した(両ゲルともレーン3)。これらの培養条件を、その後のタンパク質発現のために使用した。
(融合タンパク質の精製)
封入体を単離、洗浄、再可溶化する方法を用いて可溶性タンパク質を単離した。
このプロトコルは、完了するのに約1週間かかった。再可溶化したscFv:フェリチン融合タンパク質及びscFv:MT2融合タンパク質のクマシーブルー染色ゲル及びウエスタンブロットの写真は、図16に見ることができる。融合タンパク質は、円で囲んであり、両ゲルともレーン2がフェリチンで、レーン3がMT2である。タンパク質分子量ラダーがレーン1である。
これから、融合タンパク質の発現及び濃縮に成功したことがわかる。これらのタンパク質は、磁化プロトコル及び更なる実験において使用される。
(実施例2−SPR分析)
抗フィブロネクチンフェリチン融合タンパク質封入体調製物及び抗フィブロネクチンMT2融合タンパク質封入体調製物を、SensiQ機器(ICX Nomadics)を使用した表面プラズモン共鳴(SPR)アッセイにおいて使用した。
これらの実験のために、フィブロネクチンペプチドをカルボキシルチップの表面に結合した。次に融合タンパク質調製物をチップ上に流し、結合動力学(K)及び解離動力学(K)を測定した。
(分析のための融合タンパク質サンプル)
以下の表2及び表3に示されるように、0.0013μMから0.133μMの範囲で異なる濃度を有するそれぞれの融合タンパク質の6サンプルを、ランニング緩衝液を使用して調製した。
(75kDaのメタロチオネイン融合タンパク質を使用:
40μlの100μg/ml 75kDaタンパク質に360μlのランニング緩衝液を加え、400μlの10μg/mlタンパク質(0.133μM)を調製した)
(270kDaのフェリチンED-B融合タンパク質を使用:
144μlの100μg/ml 270kDaタンパク質に256μlのランニング緩衝液を加え、400μlの36μg/mlのタンパク質(0.133μM)を調製した)
(メタロチオネイン)
サンプル(サイクル1〜サイクル6):20μlの0.0013μMから0.133μMのメタロチオネイン融合タンパク質
アッセイラン:MAb&Glyアッセイサイクル(上述)
上記のサイクルからのセンソグラムを、SensiQ Qdat分析ソフトウェアを使用して重ね書きし、データにモデルを当てはめ動力学パラメータ(K、K)を計算した。Kの最良推定値は、モデルをデータの解離部分にのみ当てはめることによって得られた。結果を図17aに示す。これは、0.00503s−1のKに関係づけられ、2.289×10−9MのK(2.197×10−1−1のK)を与える。
(フェリチン)
サンプル(サイクル1〜サイクル6):20μlの0.0013μMから0.133μMのフェリチン融合タンパク質
アッセイラン:MAb&Glyアッセイサイクル(上述)
上記のサイクルからのセンソグラムを、SensiQ Qdat分析ソフトウェアを使用して重ね書きし、データにモデルを当てはめ動力学パラメータ(K、K)を計算した。Kの最良推定値は、モデルをデータの解離部分にのみ当てはめることによって達成された。結果を図17bに示す。これは、0.00535s−1のKに関係づけられ、6.538×10−10MのK(8.183×10−1−1のK)を与える。
(結果)
上記の実験データから、フィブロネクチンエクストラドメインB(アミノ酸16−42)抗原がSensiQチップ上に首尾よく被覆されることが示された。期待されるように、75kDaメタロチオネイン融合タンパク質及び270kDaフェリチン融合タンパク質の両方が、特異的に抗原を認識しこれに結合した。融合タンパク質と抗原との相互作用の動力学データを推定したところ、両融合タンパク質で類似しており、期待される範囲にあることが見出された。即ち、殆どの抗体/抗原相互作用のKが10−8Mから10−10Mの範囲にあるのに対して、これらのKは、10−9Mの範囲にあることが見出された。
このように、この機器を使用して得られる値は、比較的高アフィニティーの抗体の結合アフィニティーに十分匹敵する結合アフィニティーを示唆するものである。加えて、得られたデータは、融合タンパク質が抗原に対して複数の結合部位を有することを示唆する。これは、フェリチン融合タンパク質に対して期待される。しかし、これはMT2融合タンパク質については期待されず、融合タンパク質が、結合の親和力を増加させる二量体及びより高次の多量体タンパク質を形成していることを示唆する。
(実施例3−フェリチンの磁化)
通常フェリチンは、水和酸化鉄(III)を含む。常磁性フェリチンを生成するために、これらのイオンはより強い磁性特性を有するマグネタイト(Fe)で置き換えられる。この実験のために使用される方法には、アポフェリチンへの鉄イオンの添加及びこれらのイオンの制御された条件下での酸化が関与する。
(材料)
逆浸透水(RO水)
50mM N−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−3−アミノ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(AMPSO)緩衝液、pH8.6(Sigma A6659)
0.1M酢酸ナトリウム緩衝液、pH4.5
リン酸緩衝生理食塩水(PBS)(リン酸10mM、NaCl140mM、pH7.4)
トリメチルアミン−N−酸化物(TMA)(Sigma 317594)
0.1M硫酸アンモニウム鉄(II)
ウマ脾臓アポフェリチン(Sigma A3641)
(方法)
トリメチルアミン−N−酸化物(TMA)をオーブンで80℃まで30分かけて加熱してMeNを除去し、その後室温まで冷却した。114mgのTMAを15mlのRO水に加え、0.07M溶液を調製した。鉄及びTMA溶液は、使用前に15分間Nで不純物を取り除いた。
AMPSO緩衝液(1リットル)は、Nで1時間脱気した。3.0mlのアポフェリチン(66mg/ml)をAMPSO緩衝液に添加し、そして溶液を更に30分間脱気した。1リットル容器中にAMPSO/アポフェリチン溶液を入れ、予熱した65℃の水槽へ設置した。N供給管を溶液内から取り出し、溶液の表面上に懸架し、溶液を嫌気条件化に保持した。最初に硫酸アンモニウム鉄を添加し、溶液に存在し得るいかなる残留酸素も取り除いた。
0.1M硫酸アンモニウム鉄及びTMA緩衝液のアリコートを以下のようにして15分毎に加えた:
第1添加 600μlの0.1M硫酸アンモニウム鉄
第2添加 600μlの0.1M硫酸アンモニウム鉄及び400μlのTMA
第3添加 600μlの0.1M硫酸アンモニウム鉄及び400μlのTMA
第4添加 600μlの0.1M硫酸アンモニウム鉄及び400μlのTMA
第5添加 900μlの0.1M硫酸アンモニウム鉄及び600μlのTMA
第6添加 900μlの0.1M硫酸アンモニウム鉄及び600μlのTMA
第7添加 900μlの0.1M硫酸アンモニウム鉄及び600μlのTMA
第8添加 900μlの0.1M硫酸アンモニウム鉄及び600μlのTMA
Fe及びTMAの最後の添加で、溶液は淡黄色から黒色微粒子が溶液全体に分散する暗褐色に変化する。この溶液を、これ以降、「マグネトフェリチン」と呼ぶ。
このマグネトフェリチン溶液は、室温で一晩、ボトルに対して保持された強力なネオジウム環磁石と共に、インキュベートされた。翌日、図18の写真に見られるように、黒色の固体物質が磁石に引き付けられていた。
(マグネトフェリチンの濃縮)
このマグネトフェリチン溶液500mlを、磁石に接触させた5本のMacs(登録商標)LSカラムに通した(およそ100mlのマグネトフェリチンをそれぞれのカラムに通した)。カラムを通った溶液(「フロースルー」と呼ぶ)を、デュランボトル(Duran bottles)に回収した。それぞれのカラムに捕捉された物質を、磁石からカラムを外すことによって3mlのPBSで溶出し、この3mlのPBSを加え、供給されるプランジャーを使用することで各カラムからおよそ4.5mの溶液として溶出した。およそ1mlを2℃〜8℃で保存し後の分析に使用した(これを「透析前濃縮マグネトフェリチン」と呼ぶ)。溶出溶液の残り(〜20ml)を5リットルのPBSに対して4℃で一晩透析し(これを「透析後濃縮マグネトフェリチン」と呼ぶ)、過剰のFe及びTMAを取り除き、溶液の色の変化を注目した。元のマグネトフェリチンは暗褐色であり、フロースルーは淡黄色であり、Macs(登録商標)カラム濃縮物質は、暗褐色から黒色であった。
透析チューブ(Medicell International Ltd.、分子量カットオフ12−14000ダルトン、〜15cm)を10分間RO水にインキュベートしチューブを軟化させた。磁気的に単離し濃縮したマグネトフェリチンを透析チューブに移し、5リットルのPBSで2℃〜8℃で一晩攪拌しインキュベートした。翌日PBS溶液を、2時間間隔で3回取替え、透析を2℃〜8℃で続けた。
(マグネトフェリチンの分析)
磁石を使用して単離した磁性タンパク質の量を比較するため、酵素免疫測定法(ELISA)分析を行った。
(材料)
炭酸塩緩衝液(0.159g炭酸ナトリウム及び0.3g重炭酸ナトリウムを100mlのRO水に溶解)
リン酸緩衝生理食塩水(PBS)(リン酸10mM、NaCl140mM、pH7.4)
PBSに溶解した1%ウシ血清アルブミン(BSA(Celliance 82−045−2))
ウマ脾臓アポフェリチン(Sigma Aldrich A3641)
ウサギ抗ウマフェリチン抗体(Sigma Aldrich F6136)
ヤギ抗ウサギ抗体(Sigma A3687)
基質の液体安定性フェノールフタレインリン酸
停止液(212gの炭酸ナトリウム、110.5gの3−(シクロヘキシルアミノ)−1−プロパンスルホン酸(CAPS)、217gエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、80g水酸化ナトリウム、水を合わせて5リットルにする)
Maxisorbマイクロタイタープレート(NUNC Cat:468667)
(方法)
マグネトフェリチンの定量のために、アポフェリチンの希釈を行った(50μg/ml、25μg/ml、12.5μg/ml、6.25μg/ml、3.125μg/ml、及び1.5625μg/ml)。
マグネトフェリチン(未精製)、透析前濃縮マグネトフェリチン、透析後マグネトフェリチン、及びフロースルーを炭酸塩緩衝液で以下のように希釈した。
マグネトフェリチン、透析前マグネトフェリチン、及び透析後マグネトフェリチンの希釈:100倍希釈、200倍希釈、400倍希釈、800倍希釈、1600倍希釈、3200倍希釈、6400倍希釈、及び12800倍希釈。
フロースルー:10倍希釈、20倍希釈、40倍希釈、80倍希釈、160倍希釈、320倍希釈、640倍希釈、及び1280倍希釈。
それぞれの溶液100μlを、マイクロタイタープレートのウェルに、2連で加えた。炭酸塩緩衝液100μlを2つのウェルに陰性対照として加えた。このプレートを一晩4℃でインキュベートした。翌日、溶液をはじき出し、ウェルを200μlの1%BSAを使用して室温で1時間かけてブロッキングした。ウェル当たり300μlのPBSで3回洗浄した後、ウェルを軽くたたいて乾かし、次に100μlの10μg/ml抗ウマフェリチン抗体を加えた。これを、室温で1時間インキュベートした後、取り除きウェルを前記のようにして洗浄した。APを結合した抗ウサギ抗体を、7.43μg/mlの濃度が得られるように3500のPBSに対して1の割合で加え希釈し、室温で1時間インキュベートした。結合抗体を取り除き、ウェルを前記のようにして洗浄した。APの基質(100μl)をそれぞれのウェルに加え、15分間展開し、停止液を加えた。Varioskan Flash機器(Thermo Fisher)を使用して、吸光度を測定した。
Macs(登録商標)カラムは、フロースルーに見られる量の35倍を超えて多い量のマグネトフェリチンを保持しており、タンパク質の磁化が成功していることが示された。
(アポフェリチンの生成/ウマ脾臓フェリチンの脱塩)
(材料)
0.1M酢酸ナトリウム緩衝液pH4.5
チオグリコール酸(Sigma T6750)
ウマ脾臓フェリチン(Sigma 96701)
リン酸緩衝生理食塩水(PBS)(リン酸10mM、NaCl140mM、pH7.4)
(方法)
透析チューブを10分間RO水中で軟化させた。10mlの0.1M酢酸ナトリウム緩衝液を、両端をクリップで留めた透析チューブ中に入れた1mlウマ脾臓フェリチン(125mg/ml)に加えた。透析バッグを、Nで1時間不純物を取り除いた0.1M酢酸ナトリウム緩衝液(〜800ml)に移した。チオグリコール酸(2ml)をこの緩衝液に添加し、続けて2時間Nで不純物を取り除いた。更に1mlのチオグリコール酸を酢酸ナトリウム緩衝液に加え、続いて更に30分間Nで不純物を取り除いた。酢酸ナトリウム緩衝液(800ml)を、取替え、続けて不純物を取り除いた。フェリチン溶液が無色になるまで前記脱塩手順を繰り返した。Nによる不純物の除去を終了し、アポフェリチン溶液をPBS(2L)で1時間攪拌下に透析した。PBSを取替え(3リットル)、アポフェリチン溶液をPBSで2℃〜8℃で一晩透析した。
フェリチン溶液は、この手順の間淡褐色から無色に変色し、鉄が除去されていることが示された。
(加熱処理した抗フィブロネクチン:フェリチン融合タンパク質の分析)
(材料)
炭酸塩緩衝液(0.159g炭酸ナトリウム及び0.3g重炭酸ナトリウムを100mlの水に溶解)
リン酸緩衝生理食塩水(PBS)
PBSに溶解した1%ウシ血清アルブミン(BSA(Celliance 82−045−2))
フィブロネクチンペプチド
抗フィブロネクチン:フェリチン融合タンパク質(scFv:フェリチン)
抗ヒトフェリチンネズミモノクローナル抗体(Santa Cruz SC51887)
抗マウスアルカリホスファターゼ抗体(Sigma A3562)
基質の液体安定性フェノールフタレインリン酸
停止液(212gの炭酸ナトリウム、110.5gの3−(シクロヘキシルアミノ)−1−プロパンスルホン酸(CAPS)、217gのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、80gの水酸化ナトリウム、水を合わせて5リットルにする)
Maxisorbマイクロタイタープレート(NUNC Cat:468667)
(方法)
100μl(100μg/ml)のscFv:フェリチンを薄壁PCRチューブへ移し、サーモサイクラーで60℃、30分間加熱した。
マイクロタイタープレートのウェルを、15μg/mlに炭酸塩緩衝液で希釈したフィブロネクチンペプチド(1.5mg/mlで供給されている)で被覆し、4℃で一晩インキュベートした。過剰の溶液をはじき出し、プレートをPBSに溶解した1%BSAで室温にて1時間かけてブロッキングした。これを、はじき出し、プレートをPBSを使用して3回洗った。scFv:フェリチン融合タンパク質及び加熱処理scFv:フェリチン融合タンパク質を、33μg/ml(それぞれ100μl)の濃度でウェルに添加した。フェリチン融合タンパク質を室温で2時間インキュベートし、次に取り除きそしてウェルを前記のようにして洗浄した。マウス抗フェリチン抗体を20μg/mlの濃度で100μlずつそれぞれのウェルに加え、室温で1時間インキュベートした。次にこれを除去し、ウェルを前記のようにして洗浄した。ヤギ抗マウスAP結合抗体を希釈し(50μl+PBS950μl)、そして全ウェルに100μlずつ加えた。これを室温で1時間インキュベートし、前記のようにして除去した。全ウェルに基質を加え、室温で45分間インキュベートし、停止液で反応を停止させた。Varioskan Flash機器(Thermo Fisher Electron)を使用して吸光度を記録した。
scFv:フェリチンは、30分かけて60℃まで加熱した後も、フィブロネクチンへの結合能を維持し、抗ヒトフェリチンモノクローナル抗体によって検出可能であった(図20)。
(抗フィブロネクチン:フェリチン融合タンパク質の脱塩)
(材料)
抗フィブロネクチン:フェリチン融合タンパク質(scFv:フェリチン)
0.1M酢酸ナトリウム緩衝液
チオグリコール酸(70% W/W Sigma T6750)
リン酸緩衝生理食塩水(PBS)(リン酸10mM、NaCl140mM、pH7.4)
(方法)
scFv:フェリチン融合タンパク質を−20℃下から室温下に移して解凍した。100μg/mlを9ml溶液として軟化させた透析チューブに分注した。融合タンパク質を含むチューブを全部で1mlの酢酸ナトリウム緩衝液ですすぎ、9mlのタンパク質溶液に1ml添加することで0.9mg/mlの溶液を得た。800ml酢酸ナトリウム緩衝液からNで15分かけて不純物を取り除き、次に透析バッグを入れた。次に、溶液から更に2時間かけて不純物を取り除いた。2mlのチオグリコール酸を緩衝液に加え、これの不純物を続けてNを使用して取り除いた。更に2時間後、もう1mlのチオグリコール酸を加えた。緩衝液を取替え(3mlのチオグリコール酸を含む800mlの予め不純物を取り除いた酢酸ナトリウム緩衝液)、N下で1時間透析を続けた。次に透析バッグを2リットルのPBSに移して室温で(N非存在下に)保持し、更に3リットルのPBS中に4℃で一晩保持した。次にこの脱塩済み融合タンパク質を使って、以下の鉄添加及び制御された酸化を実施することによって常磁性融合タンパク質を生成した。
(磁性scFv:フェリチンの生成)
(材料)
逆浸透水(RO水)
50mM N−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−3−アミノ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(AMPSO)緩衝液pH8.6(Sigma A6659)
0.1M酢酸ナトリウム緩衝液pH4.5
リン酸緩衝生理食塩水(PBS)(リン酸10mM、NaCl140mM、pH7.4)
トリメチルアミン−N−酸化物(TMA)(Sigma 317594)
0.1M硫酸アンモニウム鉄(II)
(方法)
トリメチルアミン−N−酸化物(TMA)をオーブンで80℃まで30分かけて加熱してMeNを除去し、その後室温まで冷却した。114mgのTMAを15mlのRO水に加え、0.07M溶液を生成した。鉄及びTMA溶液は、使用前に15分間Nで不純物を取り除いた。
透析バッグ(上記した)内に含有される脱塩融合タンパク質を、室温で攪拌しながら窒素存在下で2時間かけて1リットルのAMPSO緩衝液で透析した。脱塩scFv:フェリチン(〜10ml)を三角フラスコに移した。18μlの鉄溶液を脱塩タンパク質溶液に添加し、一方でNで不純物を取り除きいかなる残余の酸素も除去した。25分後、15μlの鉄及び10μlのTMAを加えた。
以下の更なる量の鉄及びTMA緩衝液を、次に15分間隔で加えた:
第3添加 30μlの鉄及び20μlのTMA
第4添加 15μlの鉄及び10μlのTMA
第5添加 15μlの鉄及び10μlのTMA
第6添加 15μlの鉄及び10μlのTMA
磁化タンパク質をMacs(登録商標)LSカラムに通した。フロースルーを、2回目の試行として通し、捕捉効率を促進させた。磁化タンパク質を、磁石からカラムを外すことでカラムから溶出し、1mlのPBSを加え、プランジャーを使用しておよそ2mlの溶出液を得た。これは、カラムでのタンパク質の2倍希釈となる。
溶出タンパク質及び対照を、以下に詳述するように分析のためにマイクロタイタープレート上に被覆した。
(ELISAによるscFv:マグネトフェリチン融合タンパク質の分析)
磁化融合タンパク質が抗フェリチンモノクローナル抗体に対する結合能を保持しているかどうかを確かめるために、酵素免疫測定法を実施した。
(材料)
炭酸塩緩衝液(0.159g炭酸ナトリウム及び0.3g重炭酸ナトリウムを100mlの水に溶解)pH9.6
リン酸緩衝生理食塩水(PBS)(リン酸10mM、NaCl140mM、pH7.4)
フィブロネクチンペプチド
抗フィブロネクチン:フェリチン融合タンパク質(scFv:フェリチン)
抗ヒトフェリチンネズミモノクローナル抗体(Santa Cruz SC51887)
抗マウスアルカリホスファターゼ抗体(Sigma A3562)
基質の液体安定性フェノールフタレインリン酸
停止液(212gの炭酸ナトリウム、110.5gの3−(シクロヘキシルアミノ)−1−プロパンスルホン酸(CAPS)、217gのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、80gの水酸化ナトリウム、水を合わせて5リットルにする)
Maxisorbマイクロタイタープレート(NUNC Cat:468667)
(方法)
(融合タンパク質被覆ウェル)
ウェルを、scFv:フェリチン(未処理)、scFv:マグネトフェリチン、Macs(登録商標)カラムから溶出したscFv:マグネトフェリチン、及び炭酸塩緩衝液3に1の割合の濃度のフロースルーで被覆した。プレートを週末をかけて4℃でインキュベートした。過剰の溶液をはじき出し、プレートをPBSに溶解した1%BSAを使用して室温で1時間かけて封鎖した。これを、はじき出し、プレートをPBSを使用して3回洗浄した(1回の洗浄にウェル当たり300μlを使用した)。20μg/mlの濃度のマウス抗フェリチン抗体をそれぞれのウェルへ100μl加え、室温で1時間インキュベートした。これを除去し、ウェルを前記と同様にして洗った。ヤギ抗マウスAP結合抗体を10μg/mlに希釈し、全てのウェルに100μlずつ添加した。これを室温で1時間インキュベートし、前記のように除去した。基質を全てのウェルに添加し、1時間室温でインキュベートし、反応は停止液を使用して終了した。Varioskan Flash機器(Thermo Fisher Electron)を使用して吸光度を記録した(図21a参照)。
(フィブロネクチン被覆ウェル)
マイクロタイタープレートのウェルを、炭酸塩緩衝液で15μg/mlに希釈したフィブロネクチンペプチド(1.5mg/mlで供給される)100μlで被覆した。プレートは、2℃〜8℃で一晩インキュベートした。過剰な溶液は、はじき出し、ウェルは300μlPBSで3回洗った。scFv:フェリチン融合タンパク質を、適切なウェル(100μl)に、希釈せずに2連で加えた。次にプレートを1時間室温でインキュベートした。溶液をはじき出し、ウェルを300μlPBSで3回洗浄した。20μg/mlの濃度のマウス抗フェリチン抗体を、それぞれのウェルに100μlずつ加え、室温で1時間インキュベートした。次にこれを除去し、ウェルを前記のようにして洗った。ヤギ抗マウスAP結合抗体を10μg/mlに希釈し、全てのウェルに100μlで加えた。これを室温で1時間インキュベートし、前記のようにして除去した。基質を全てのウェルに加え、室温で45分間インキュベートし、反応は停止液を使用して終了した。Varioskan Flash機器(Thermo Fisher Electron)を使用して吸光度を記録した(図21b参照)。
Macs(登録商標)カラムで磁化融合タンパク質を濃縮したが、これは依然としてモノクローナル抗フェリチン抗体によって認識された。これは、抗フィブロネクチンフェリチン融合タンパク質は磁化された一方、構造上の完全性を維持していたことを示している。このデータは、磁化抗フィブロネクチンフェリチン融合タンパク質が標的抗原に対する結合能力を維持していることも示し、それゆえ磁化可能かつ標的に選択的に結合できる二機能性の一本鎖融合タンパク質が生成したことを示す。
(実施例4−更なるプロトコル)
(scFvMT2融合タンパク質の磁化)
scFv−MT2融合タンパク質は、亜鉛イオンをマンガンイオン及びカドミウムイオンで置き換えることによって磁化できる。これを実施する方法は、必要に応じて最適化することができる。これを達成する方法は、必要に応じて公開されているプロトコルの適合形態の透析法も使用して、透析によって亜鉛を減少させ、続いて置き換える工程を含む。
詳細には、これらのプロトコルは以下の通りである:
1.MT2(5mg)を5mlの緩衝液(尿素4.5M、トリス塩基10mM、ジチオトレイトール(DTT)0.1M、マンニトール0.1%、及びPefabloc0.5mM、pH11)に溶解し、タンパク質から金属イオンを除去する。
2.同緩衝液で1時間透析する。
3.タンパク質を緩衝液1(トリス塩基10mM、尿素2M、DTT0.1M、マンニトール0.1%、Pefabloc0.5uM、及びCd2+/Mn2+1mM、pH11)で72時間透析することによって再度折りたたませる。
4.透析緩衝液を緩衝液2(同上だが尿素の濃度が1Mである点だけが異なる)に変え、24時間透析する。
5.透析緩衝液を同上だが尿素を含まない点だけが異なる緩衝液に変える。24時間透析する。
6.工程5の透析緩衝液をpH8.8の緩衝液に変え、24時間透析する。
7.工程6の緩衝液をマンニトールを含まない緩衝液に変え、前記のように透析する。
8.工程7の緩衝液をCd2+/Mn2+を含まない緩衝液に変え、24時間透析する。
結合の特性は、上記のように実施例2でフェリチン融合タンパク質について行ったようにして評価できる。
(融合タンパク質を使用して、マイクロ流体素子でアナライトをアッセイするプロトコル)
所望の量の融合タンパク質をマイクロ流体素子内で、関心のあるアナライトを含有する粗血漿サンプルに混合する。
関心のあるアナライトが、マイクロ流体素子の磁化側に捕捉され、汚染物質が洗い流される。磁石は切り離され、精製タンパク質が検出システムに移される。

Claims (53)

  1. 磁性物質又は磁化可能物質と結合されるアナライト用の標識であって、
    (a)前記アナライトと結合する認識部分と、
    (b)前記磁性物質又は磁化可能物質の結合乃至内封部分とを含み、
    前記磁性物質又は磁化可能物質の結合乃至内封部分が金属結合タンパク質、金属結合ポリペプチド、及び金属結合ペプチドのいずれかを含むことを特徴とする標識。
  2. 認識部分と磁性物質又は磁化可能物質の結合乃至内封部分とを含む融合タンパク質を含有する請求項1に記載の標識。
  3. 磁性物質又は磁化可能物質の結合乃至内封部分が、ラクトフェリン、トランスフェリン、フェリチン、第二鉄結合性タンパク質、フラタキシン、シデロホア、及びメタロチオネインのいずれかから選択されるタンパク質又はタンパク質の金属結合ドメインを含む請求項1及び2のいずれかに記載の標識。
  4. 1×10nm以下の体積を有する物質を結合乃至内封する請求項1から3のいずれかに記載の標識。
  5. 磁性物質又は磁化可能物質の結合乃至内封部分が1×10nm以下の体積を有する物質を結合乃至内封する請求項4に記載の標識。
  6. 磁性物質又は磁化可能物質の結合乃至内封部分が100nm以下の体積を有する物質を結合乃至内封する請求項5に記載の標識。
  7. 磁性物質又は磁化可能物質の結合乃至内封部分が、遷移金属原子、遷移金属イオン、ランタニド金属原子、ランタニド金属イオン、及びこのようなイオンを含む化合物の少なくともいずれかと結合可能である請求項1から6のいずれかに記載の標識。
  8. 遷移金属及びランタニドイオンの少なくともいずれかが、Fe、Co、Ni、Mn、Cr、Cu、Zn、Cd、Y、Gd、Dy、及びEuのいずれか1種以上のイオンを含む請求項7に記載の標識。
  9. 一種以上の金属イオンが、Fe2+、Fe3+、Co2+、Co3+、Mn2+、Mn3+、Mn4+、Ni2+、Zn2+及びCd2+のいずれか1種以上を含む請求項8に記載の標識。
  10. 複数の磁性物質又は磁化可能物質の結合乃至内封部分及び複数の認識部分の少なくともいずれかを含む請求項1から9のいずれかに記載の標識。
  11. 認識部分が、天然生体分子又は合成生体分子、感染性因子又は感染性因子成分、細胞又は細胞成分、及び小分子のいずれかから選択されるアナライトを結合可能である請求項1から10のいずれかに記載の標識。
  12. アナライトがウイルス、ウイルス粒子又はウイルス成分、タンパク質、ポリペプチド、糖タンパク質、DNA又はRNAのような核酸、オリゴヌクレオチド、代謝産物、複合糖質のような炭水化物、脂質、脂肪、及び医薬又は薬物のような内因性乃至外因性の小分子のいずれかを含む請求項11に記載の標識。
  13. 認識部分が抗体又は抗体断片、受容体又は受容体断片、タンパク質、ポリペプチド、核酸、及びアプタマーのいずれかから選択される請求項11及び12のいずれかに記載の標識。
  14. 認識部分が抗体の可変ポリペプチド鎖(Fv)、T細胞受容体又はT細胞受容体断片、アビジン、ストレプトアビジン、及びへパリンのいずれかから選択される請求項13に記載の標識。
  15. 認識部分が抗体の可変部の一本鎖(sc−Fv)から選択される請求項14に記載の標識。
  16. 磁性物質又は磁化可能物質と結合されるアナライト用の標識であって、
    (a)前記アナライトと結合する認識部分であって、抗体及び抗体断片のいずれかである認識部分と、
    (b)前記磁性物質又は磁化可能物質の結合乃至内封部分とを
    前記磁性物質又は磁化可能物質の結合乃至内封部分が、フェリチンではなく、金属結合タンパク質、金属結合ポリペプチド、及び金属結合ペプチドのいずれかを含むことを特徴とする標識。
  17. 認識部分と磁性物質又は磁化可能物質の結合乃至内封部分とを含む融合タンパク質を含有する請求項16に記載の標識。
  18. 磁性物質又は磁化可能物質の結合乃至内封部分が、ラクトフェリン、トランスフェリン、第二鉄結合性タンパク質、フラタキシン、シデロホア、及びメタロチオネイン(MT)のいずれかから選択されるタンパク質或いはタンパク質の金属結合ドメインを含む請求項16及び17のいずれかに記載の標識。
  19. 磁性物質又は磁化可能物質の結合乃至内封部分が、請求項3から10のいずれかに規定される磁性物質又は磁化可能物質の結合乃至内封部分と同じである請求項16から18のいずれかに記載の標識。
  20. 認識部分が、請求項11から15のいずれかに規定される認識部分と同じである請求項16から19のいずれかに記載の標識。
  21. 磁性物質又は磁化可能物質と結合されるアナライト用の標識であって、
    (a)前記アナライトを結合する認識部分であって、抗体及び抗体断片のいずれでもない認識部分と、
    (b)前記磁性物質又は磁化可能物質の結合乃至内封部分と、
    を含み、
    前記磁性物質又は磁化可能物質の結合乃至内封部分が、金属結合タンパク質、金属結合ポリペプチド、及び金属結合ペプチドのいずれかを含むことを特徴とする標識。
  22. 認識部分と、磁性物質又は磁化可能物質の結合乃至内封部分とを含む融合タンパク質を含有する請求項21に記載の標識。
  23. 磁性物質又は磁化可能物質の結合乃至内封部分が、ラクトフェリン、トランスフェリン、第二鉄結合性タンパク質、フラタキシン、シデロホア、及びMTのいずれかから選択されるタンパク質又はタンパク質の金属結合ドメインを含む請求項21及び22のいずれかに記載の標識。
  24. 磁性物質又は磁化可能物質の結合乃至内封部分が、請求項3から10のいずれかに規定される磁性物質又は磁化可能物質の結合乃至内封部分と同じである請求項21から23のいずれかに記載の標識。
  25. 認識部分が、請求項11から13のいずれかに規定される認識部分と同じである請求項21から24のいずれかに記載の標識。
  26. 請求項1から25のいずれかに規定した標識にアナライトが結合されたことを特徴とするアナライトに結合された標識。
  27. アナライトが、天然生体分子又は合成生体分子、感染性因子又は感染性因子成分、細胞又は細胞成分、及び小分子のいずれかから選択される請求項26に記載のアナライトに結合された標識。
  28. アナライトが、ウイルス、ウイルス粒子、又はウイルス成分、タンパク質、ポリペプチド、糖タンパク質、DNA又はRNAのような核酸、オリゴヌクレオチド、代謝産物、複合糖質のような炭水化物、脂質、脂肪、及び医薬又は薬物のような内因性又は外因性の小分子のいずれかを含む請求項27に記載のアナライトに結合された標識。
  29. 請求項1から28のいずれかに規定の標識を形成する方法であって、アナライトを標識に結合する認識部分と、磁性物質又は磁化可能物質の結合乃至内封部分とを連結することを含み、前記磁性物質又は磁化可能物質の結合乃至内封部分が、金属結合タンパク質、金属結合ポリペプチド、及び金属結合ペプチドのいずれかを含むことを特徴とする方法。
  30. 磁性物質又は磁化可能物質の結合乃至内封部分が、ラクトフェリン、トランスフェリン、第二鉄結合性タンパク質、フラタキシン、シデロホア、及びMTのいずれかから選択されるタンパク質又はタンパク質の金属結合ドメインを含む請求項29に記載の方法。
  31. 磁性物質又は磁化可能物質の結合乃至内封部分が、請求項3から10のいずれかに規定される磁性物質又は磁化可能物質の結合乃至内封部分と同じである請求項29及び30のいずれかに記載の方法。
  32. 認識部分が、請求項11から15のいずれかに規定される認識部分と同じである請求項29から31のいずれかに記載の方法。
  33. サンプルを調査分析する方法であって、
    (a)アナライトに結合する認識部分と、
    磁性物質又は磁化可能物質の結合乃至内封部分と、
    を含む前記磁性物質又は磁化可能物質に結合されるアナライト用の標識とサンプルとを接触させることと、
    (b)前記標識に磁場を印加し磁場の影響を与えることと、
    (c)任意に、前記標識及び前記アナライトの少なくともいずれかを分析し、前記標識に結合し得る前記アナライトの情報を得ることとを含み、
    前記磁性物質又は磁化可能物質の結合乃至内封部分が、金属結合タンパク質、金属結合ポリペプチド、及び金属結合ペプチドのいずれかを含むことを特徴とする方法。
  34. 標識が、認識部分と磁性物質又は磁化可能物質の結合乃至内封部分とを含む融合タンパク質を含有する請求項33に記載の方法。
  35. 磁性物質又は磁化可能物質の結合乃至内封部分が、ラクトフェリン、トランスフェリン、第二鉄結合性タンパク質、フラタキシン、シデロホア、及びMTのいずれかから選択されるタンパク質又はタンパク質の金属結合ドメインを含む請求項33及び34のいずれかに記載の方法。
  36. 磁性物質又は磁化可能物質の結合乃至内封部分が、請求項3から10のいずれかに規定される磁性物質又は磁化可能物質の結合乃至内封部分と同じである請求項33から35のいずれかに記載の方法。
  37. 認識部分が、請求項11から15のいずれかに規定される認識部分と同じである請求項33から36のいずれかに記載の方法。
  38. 磁場を使用し、サンプル中の1種以上の更なる物質から、標識及び前記標識に結合し得るアナライトの少なくともいずれかを、分離、精製乃至単離する請求項33から37のいずれかに記載の方法。
  39. 標識及びアナライトの少なくともいずれかに対する分析が、前記標識及び前記アナライトの少なくともいずれかの存在、欠如、同一性、及び量の少なくともいずれかを検出することを含む請求項33から38のいずれかに記載の方法。
  40. 流体素子を使用することによって実施される請求項33から39のいずれかに記載の方法。
  41. 流体素子が、マイクロ流体素子及びナノ流体素子のいずれかである請求項40に記載の方法。
  42. マイクロ流体素子及びナノ流体素子のいずれかを使用することによって実施される方法における前記磁性物質又は磁化可能物質の結合乃至内封部分の使用であって、
    前記磁性物質又は磁化可能物質の結合乃至内封部分が、金属結合タンパク質、金属結合ポリペプチド、及び金属結合ペプチドのいずれかを含むことを特徴とする使用。
  43. 磁性物質又は磁化可能物質に結合されるアナライト用の標識の使用であって、前記標識が、
    前記アナライトを結合する認識部分と、
    前記磁性物質又は磁化可能物質の結合乃至内封部分とを含み、
    マイクロ流体素子及びナノ流体素子のいずれかを使用することによって実施される方法であって、磁性物質又は磁化可能物質の結合乃至内封部分が、金属結合タンパク質、金属結合ポリペプチド、及び金属結合ペプチドのいずれかを含むことを特徴とするアナライト用標識の使用。
  44. 標識が、認識部分と磁性物質又は磁化可能物質の結合乃至内封部分とを含む融合タンパク質を含有する請求項43に記載の使用。
  45. 認識部分が、請求項11から15のいずれかに規定される認識部分と同じである請求項43及び44のいずれかに記載の使用。
  46. 磁性物質又は磁化可能物質の結合乃至内封部分が、ラクトフェリン、トランスフェリン、第二鉄結合性タンパク質、フラタキシン、シデロホア、及びMTのいずれかから選択されるタンパク質又はタンパク質の金属結合ドメインを含む請求項42から45のいずれかに記載の使用。
  47. 磁性物質又は磁化可能物質の結合乃至内封部分が、請求項3から10のいずれかに規定される磁性物質又は磁化可能物質の結合乃至内封部分と同じである請求項42から46のいずれかに記載の使用。
  48. 1種以上の金属結合タンパク質及びこのようなタンパク質の金属結合ドメインのいずれかに結合する1種以上の認識因子を含むことを特徴とする金属結合融合タンパク質。
  49. 1つ以上のフェリチン及びメタロチオネインIIタンパク質のいずれかに遺伝子工学的に結合させられた1つ以上の抗体可変ドメインを含む請求項48に記載の融合タンパク質。
  50. 抗体が、一本鎖Fv(scFv)として発現される請求項49に記載の融合タンパク質。
  51. 抗体が、ネズミ抗体である請求項49及び50のいずれかに記載の融合タンパク質。
  52. 配列番号1の配列を含む請求項48から51のいずれかに記載の融合タンパク質。
  53. 配列番号2の配列を含む請求項48から52のいずれかに記載の融合タンパク質。
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