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JP2010238760A - 太陽電池モジュール用裏面保護シート及び太陽電池モジュール、太陽電池モジュール用裏面保護シートのフッ素樹脂硬化塗膜形成用塗工液 - Google Patents

太陽電池モジュール用裏面保護シート及び太陽電池モジュール、太陽電池モジュール用裏面保護シートのフッ素樹脂硬化塗膜形成用塗工液 Download PDF

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JP2010238760A JP2009082618A JP2009082618A JP2010238760A JP 2010238760 A JP2010238760 A JP 2010238760A JP 2009082618 A JP2009082618 A JP 2009082618A JP 2009082618 A JP2009082618 A JP 2009082618A JP 2010238760 A JP2010238760 A JP 2010238760A
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solar cell
cell module
sheet
coating film
cured coating
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Tsuyoshi Mori
剛志 森
Masato Naito
真人 内藤
Shogo Sugiura
章悟 杉浦
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Lintec Corp
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Lintec Corp
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Abstract

【課題】基材シート上に二酸化チタンを含むフッ素樹脂の硬化塗膜を形成する際に、二酸化チタンが凝集せず、塗工し易く、綺麗な塗工面を形成でき、平滑で水蒸気バリア性や耐候性に優れたフッ素樹脂の硬化塗膜を有するバックシートの提供。
【解決手段】基材シートの少なくとも一方の面に二酸化チタンを含むフッ素樹脂の硬化塗膜が形成された太陽電池モジュール用裏面保護シートにおいて、前記硬化塗膜に水酸基を含む不飽和カルボン酸からなる分散剤が含有されていることを特徴とする太陽電池モジュール用裏面保護シート。
【選択図】図1

Description

本発明は、太陽電池モジュール用裏面保護シート、並びにそれを備えた太陽電池モジュールに関する。
太陽の光エネルギーを電気エネルギーに変換する装置である太陽電池モジュールは、二酸化炭素を排出せずに発電できるシステムとして注目されている。その太陽電池モジュールには、高い発電効率とともに、屋外で使用した場合にも長期間の使用に耐えうる耐久性が求められている。
太陽電池モジュールの主な構成は、光発電素子である太陽電池セル、太陽電池セルを封止する電気絶縁体である封止材、封止材の受光面側(表面側)と裏面側にそれぞれ設けられた表面保護シートと裏面保護シートからなり、これらの保護シートは、太陽電池モジュール内への水蒸気の浸入を防いでいる。
太陽電池モジュールを長期間使用する場合、該太陽電池モジュール内の電気回路の漏電や腐食を防ぐために、太陽電池モジュール用裏面保護シート(以下、バックシートということがある。)には、高い水蒸気バリア性が求められている。さらに、このバックシートには、太陽電池モジュールの受光面から入射した光が、複数の太陽電池セル間の隙間を通って裏面側に抜け出すことによる受光ロスを少しでも減少させるために、バックシートに高い反射率を持たせ、これによって太陽電池セル間の隙間を通って抜け出す光を反射して太陽電池セル側に戻し、受光ロスを減じて発電効率を高める機能を付与することが要求されている。
従来、太陽電池モジュール用のバックシートとしては、例えば、特許文献1に開示された技術が提案されている。特許文献1には、水不透過性シートの少なくとも一方の面に硬化性官能基含有含フッ素ポリマー塗料の硬化塗膜が形成されてなる太陽電池モジュールのバックシートが開示されている。特許文献1の段落0078には、前記硬化塗膜形成用の白色塗料の調製例として「硬化性TFE系共重合体(ゼッフルGK570)223.2質量部、白色顔料として酸化チタン(デュポン社製のタイピュアR960)250質量部、酢酸ブチル126.8質量部を撹拌下に予備混合した後、直径1.2mmのガラスビーズを780質量部入れ、顔料分散機にて1500rpmで1時間分散させた。その後、#80メッシュのフルイでガラスビーズをろ過し、その溶液に硬化性TFE系共重合体(ゼッフルGK570)を269.2質量部加えて白色塗料を調製した。」と記載されている。
WO2007/010706
しかしながら、特許文献1に記載されたバックシートにおいて、フッ素樹脂の硬化塗膜に添加する白色顔料として用いている最表面層が無機処理された二酸化チタン微粒子は、有機溶剤などに対しては分散性が悪く、フッ素含有ポリマーと前記二酸化チタン微粒子と有機溶剤とを含むフッ素樹脂層形成用の塗工液(塗料)を調製した際に、粒子が凝集してしまい、その塗工液を基材シート上に塗布し難くなり、また塗工面が平滑にならず、スジが発生して粗面化となってしまう問題があった。このようにフッ素樹脂の硬化塗膜にスジ等が生じると、水蒸気バリア性や耐候性の局所的な低下が起こり、そのバックシートの性能低下を招いてしまう。
本発明は、前記事情に鑑みてなされ、基材シート上に二酸化チタンを含むフッ素樹脂の硬化塗膜を形成する際に、二酸化チタンが凝集せず、塗工し易く、綺麗な塗工面を形成でき、平滑で水蒸気バリア性や耐候性に優れたフッ素樹脂の硬化塗膜を有するバックシートの提供を目的とする。
前記目的を達成するため、本発明は、基材シートの少なくとも一方の面に二酸化チタンを含むフッ素樹脂の硬化塗膜が形成されたバックシートにおいて、前記硬化塗膜に水酸基を含む不飽和カルボン酸からなる分散剤が含有されていることを特徴とするバックシートを提供する。
本発明のバックシートにおいて、前記分散剤の添加量が前記二酸化チタン100質量部に対して10〜35質量部の範囲であることが好ましい。
本発明のバックシートにおいて、前記分散剤は、分子量が1000〜2000の範囲であり、JIS K0070に準じて測定された酸価が80〜90の範囲であり、JIS K0070に準じて測定された不飽和度(よう素価)が24〜27の範囲であることが好ましい。
本発明のバックシートにおいて、前記基材シートの他方の面に熱接着性樹脂からなる接着層が積層されたことが好ましい。
また本発明は、前記バックシートが裏面に接着されてなる太陽電池モジュールを提供する。
また本発明は、フッ素含有ポリマーと、顔料である二酸化チタンと、有機溶剤とを混合、分散させてなり、基材シートに塗布して硬化させることでフッ素樹脂の硬化塗膜を形成するバックシートのフッ素樹脂硬化塗膜形成用塗工液において、前記塗工液中に、水酸基を含む不飽和カルボン酸からなる分散剤が含有されていることを特徴とするバックシートのフッ素樹脂硬化塗膜形成用塗工液を提供する。
本発明のフッ素樹脂硬化塗膜形成用塗工液において、前記分散剤の添加量が前記二酸化チタン100質量部に対して10〜35質量部の範囲であることが好ましい。
本発明のフッ素樹脂硬化塗膜形成用塗工液において、前記分散剤は、分子量が1000〜2000の範囲であり、JIS K0070に準じて測定された酸価が80〜90の範囲であり、JIS K0070に準じて測定された不飽和度(よう素価)が24〜27の範囲であることが好ましい。
本発明のバックシートは、基材シートの少なくとも一方の面に二酸化チタンを含むフッ素樹脂の硬化塗膜が形成されたバックシートにおいて、硬化塗膜に水酸基を含む不飽和カルボン酸からなる分散剤を含有させたことによって、基材シート上に二酸化チタンを含むフッ素樹脂の硬化塗膜を形成する際に、二酸化チタンが凝集せず、塗工し易く、綺麗な塗工面を形成でき、平滑で、スジ発生等による水蒸気バリア性や耐候性の局所的な低下の少ないフッ素樹脂の硬化塗膜を形成することができる。従って、本発明のバックシートは、水蒸気バリア性や耐候性に優れている。
本発明の太陽電池モジュールは、本発明に係るバックシートをモジュールの裏面に接着してなるものなので、水蒸気バリア性、耐候性にすぐれ、屋外での長期間の使用に耐えうる耐久性を保持したものとなる。
本発明のバックシートのフッ素樹脂硬化塗膜形成用塗工液は、フッ素含有ポリマーと、顔料である二酸化チタンと、有機溶剤とを混合、分散させ塗工液中に、水酸基を含む不飽和カルボン酸からなる分散剤を加えたことによって、基材シート上に二酸化チタンを含むフッ素樹脂の硬化塗膜を形成する際に、二酸化チタンが凝集せず、塗工し易く、綺麗な塗工面を形成でき、平滑で、スジ発生等に起因する水蒸気バリア性や耐候性の局所的な低下の少ないフッ素樹脂の硬化塗膜を形成することができる。
本発明のバックシートの第1実施形態の断面図である。 本発明のバックシートの第2実施形態の断面図である。 本発明のバックシートの第3実施形態の断面図である。 本発明の太陽電池モジュールの概略構成図である。
図4は、本発明のバックシートを用いる太陽電池モジュールの概略構成図である。
図4に例示するように、この太陽電池モジュール50の構成は、太陽電池セル40と、これを被覆する封止材30と、該封止材30の表面(受光面)側に固定された表面保護シート10と、封止材30の裏面(背面)側に固着されたバックシート20とを有する構成になっている。屋外および屋内において長期間の使用に耐えうる耐候性および耐久性を太陽電池モジュールにもたせるためには、太陽電池セル40および封止材30を風雨、湿気、砂埃、機械的な衝撃などから守り、太陽電池モジュールの内部を外気から遮断して密閉した状態に保つことが必要である。このため、表面保護シート10及びバックシート20には、高い水蒸気バリア性が求められている。さらに、バックシート20には、太陽電池モジュール50の受光面から入射した光が、複数の太陽電池セル40間の隙間を通って裏面側に抜け出すことによる受光ロスを少しでも減少させるために、バックシート20に高い反射率を持たせ、これによって太陽電池セル40間の隙間を通って抜け出す光を反射して太陽電池セル40側に戻し、受光ロスを減じて発電効率を高める機能を付与することが要求されている。
図1は、本発明のバックシートの第1実施形態の断面図である。
本実施形態のバックシート20Aは、基材シート21の一方の面に、反射率を高めるための白色顔料である二酸化チタンを含むフッ素樹脂の硬化塗膜22を積層した構成になっている。このフッ素樹脂の硬化塗膜22中には、水酸基を含む不飽和カルボン酸からなる分散剤が含まれている。
前記基材シート21として用いうる樹脂シートとしては、一般にバックシートにおける樹脂シートとして使用されているものが使用できる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン66)、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリオキシメチレン、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキシド、ポリエステルウレタン、ポリm−フェニレンイソフタルアミド、ポリp−フェニレンテレフタルアミド等のポリマーからなるシートが挙げられる。なかでも、PET、PBT、PENなどのポリエステルからなるシートが好ましく、PETシートが特に好ましいものとして挙げられる。
前記基材シート21の厚さとしては、太陽電池システムが要求する電気絶縁性に基づいて選択すればよい。例えば、前記基材シート21が樹脂シートである場合には、該膜厚が10〜300μmの範囲であることが好ましい。より具体的には、前記基材シート21がPETシートである場合には、軽量性および電気絶縁性の観点から、該PETシートの厚さは10〜300μmの範囲であることが好ましく、30〜200μmの範囲であることがより好ましく、50〜150μmであることがさらに好ましい。
本発明において、前記フッ素樹脂の硬化塗膜22は、フッ素含有ポリマーと、顔料である二酸化チタンと、有機溶剤とを混合、分散させてなるバックシートのフッ素樹脂硬化塗膜形成用塗工液(以下、塗工液と記す。)を用い、基材シート21の一方の面上に前記塗工液を塗工し、乾燥し、該塗膜を硬化させることで形成される。
前記塗工液に配合されるフッ素含有ポリマーとしては、本発明の効果を損なわず、フッ素を含有するポリマーであれば特に限定されないが、前記塗工液の有機溶剤に溶解し、架橋可能であるものが好ましい。
前記フッ素含有ポリマーは、1種または2種以上のフッ素含有モノマーの重合体、或いは該フッ素含有モノマーと該フッ素含有モノマーと共重合可能なその他のモノマーとの重合体である。
前記フッ素含有モノマーとしては、例えば、フッ化ビニル(VF)、フッ化ビニリデン(VdF)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン、フッ素化ビニルエーテル等が挙げられる。これらのフッ素含有モノマーは単独で、あるいは2種以上を併用して用いることができる。
前記その他のモノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ブチル、イソ酪酸ビニル、ピバル酸ビニル、カプロン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキシルカルボン酸ビニル、および安息香酸ビニル等のカルボン酸のビニルエステル類や、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテルおよびシクロヘキシルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類、ヒドロキシブチルビニルエーテル、イソブチレンが挙げられる。これらのモノマーは単独で、あるいは2種以上を併用して用いることができる。
前記フッ素含有ポリマーの例として、水酸基等の硬化性官能基を有するフルオロオレフィンのポリマーが挙げられ、該具体例としては、TFE、イソブチレン、VdF、ヒドロキシブチルビニルエーテルおよびその他のモノマーからなる共重合体、ならびにTFE、VdF、ヒドロキシブチルビニルエーテルおよびその他のモノマーからなる共重合体が好ましいものとして挙げられる。
前記フッ素含有ポリマーの好ましい例としては、旭硝子社製のLUMIFLON(商品名)、セントラル硝子社製のCEFRALCOAT(商品名)、DIC社製のFLUONATE(商品名)等のクロロトリフルオロエチレン(CTFE)を主成分としたポリマー類や、ダイキン工業社製のZEFFLE(商品名)等のテトラフルオロエチレン(TFE)を主成分としたポリマー類や、デュポン社製のZonyl(商品名)、ダイキン工業社製のUnidyne(商品名)等のフルオロアルキル基を有するポリマー、およびフルオロアルキル単位を主成分としたポリマー類が挙げられる。これらの中でも、耐候性および顔料分散性等の観点から、CTFEを主成分としたポリマーおよびTFEを主成分としたポリマーがより好ましく、なかでも前記LUMIFLON(商品名)および前記ZEFFLE(商品名)が最も好ましい。
前記LUMIFLON(商品名)は、CTFEと数種類の特定のアルキルビニルエーテル(VE)、ヒドロキシアルキルビニルエーテルとを主な構成単位として含む非結晶性のポリマーである。該LUMIFLON(商品名)のように、ヒドロキシアルキルビニルエーテルのモノマー単位を有するポリマーは、溶剤可溶性、架橋反応性、基材密着性、顔料分散性、硬さ、および柔軟性に優れるので好ましい。
前記ZEFFLE(商品名)は、TFEと有機溶剤可溶性の炭化水素系モノマー(酸素を含んでいてもよい)との共重合体であり、なかでも共重合体中に反応性の高い水酸基を有する場合には、溶剤可溶性、架橋反応性、基材密着性、および顔料分散性に優れるので好ましい。
前記塗工液に配合される二酸化チタンとしては、本発明の効果を損なうものでなければ特に限定されないが、無機処理二酸化チタンや有機処理二酸化チタンを用いることが好ましい。
無機処理二酸化チタンとしては、二酸化チタン微粒子の表面をアルミナ(Al)やシリカ(SiO)で被覆した構造のものが好ましい。この種の無機処理二酸化チタンの具体例としては、商品名「Ti−Pure R960」(デュポン社製)などが挙げられる。
有機処理二酸化チタンとしては、シランカップリング剤により表面処理された有機処理二酸化チタン、有機シロキサンにより表面処理された有機処理二酸化チタンなどが好ましい。
シランカップリング剤により表面処理された有機処理二酸化チタンとしては、商品名「Ti−Pure R104」(デュポン社製)などが挙げられる。
有機シロキサンにより表面処理された有機処理二酸化チタンとしては、商品名「Ti−Pure R105」(デュポン社製)などが挙げられる。
前記塗工液に配合される、水酸基を有する不飽和カルボン酸からなる分散剤としては、分子量が1000〜2000の範囲であり、JIS K0070に準じて測定された酸価が80〜90の範囲であり、JIS K0070に準じて測定された不飽和度(よう素価)が24〜27の範囲であることが好ましい。具体例としては、チバ社製の商品名「EFKA5207」などが挙げられる。
前記分散剤の添加量は、前記二酸化チタン100質量部に対して10〜35質量部の範囲であることが好ましく、15〜30質量部の範囲がより好ましい。分散剤の配合量が前記範囲未満であると、この分散剤による二酸化チタンの分散性向上効果が十分に得られなくなる。一方、前記範囲を超えて分散剤を配合しても、前記分散性向上効果は頭打ちとなり、却ってコスト上昇を招いてしまう。
前記塗工液に配合される有機溶剤としては、本発明の効果を損なうものでなければ特に限定されず、例えばメチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、アセトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、トルエン、キシレン、メタノール、イソプロパノール、エタノール、ヘプタン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、またはn−ブチルアルコールのうち、いずれか1種以上を有する溶剤を好ましく用いることができる。なかでも、塗工液中の含有成分の溶解性の観点から、前記有機溶剤はMEKまたはMIBKのうち、いずれか1種以上を有するものであることがより好ましい。
前記塗工液には、必須成分である前記フッ素含有ポリマー、前記二酸化チタン及び前記有機溶剤の他に、架橋剤、架橋促進剤、無機充填材などを配合することもできる。
前記塗工液に配合される架橋剤としては、本発明の効果を損なうものでなければ特に限定されず、金属キレート類、シラン類、イソシアナート類、およびメラミン類が好ましく用いられるものとして挙げられる。架橋剤を配合することにより、得られる塗膜が硬化し、耐候性、耐擦傷性を向上させることができるが、前記バックシートを屋外において30年以上使用することを想定した場合、耐候性の観点からは、前記架橋剤として、脂肪族イソシアナート類が好ましい。
前記塗工液に配合される架橋促進剤としては、ジブチルジラウリン酸スズ、ジオクチルジラウリン酸スズを例示でき、含フッ素ポリマーとイソシアネートとの架橋反応を促進するために用いられる
前記塗工液に配合される無機充填剤としては、例えば、シリカ、マイカ、窒化ホウ素、酸化亜鉛、酸化アルミニウム等が挙げられる。シリカの具体例としては、ジメチルシリコーンの表面処理によってシリカ表面の水酸基を修飾した疎水性シリカである商品名「CAB−O−SIL TS−720」(キャボット社製)が好ましいものとして例示できる。
前記塗工液の組成としては、本発明の効果を損なわなければ特に限定されないが、フッ素含有ポリマー100質量部に対して、二酸化チタン3〜120質量部を含むことが好ましく、10〜100質量部含むことがより好ましい。また、塗工液の固形分濃度は、特に限定されないが、通常、10〜80質量%程度が好ましい。
前記塗工液は、必須成分である前記フッ素含有ポリマー、前記二酸化チタン、前記分散剤及び前記有機溶剤、必要に応じて配合される架橋剤、架橋促進剤、無機充填材などの各成分をそれぞれ秤量採取して混合し、顔料分散機などの装置を用いて混合し、二酸化チタンを均一に分散させることによって容易に調製することができる。このように調製された塗工液は、調製後の時間の経過とともに、二酸化チタンが凝集し、液相から分離する傾向にあるが、本発明で用いる塗工液では、水酸基を含む不飽和カルボン酸からなる分散剤が含有されていることによって、調製後長期間にわたって該有機処理二酸化チタンの凝集が起こらず、良好な分散状態が維持され、調製後に長期間保管した塗工液であっても十分に塗工可能であり、優れた分散安定性を有している。
塗工液中において、二酸化チタンの平均粒子径は2.0μm以下であることが好ましい。二酸化チタンが凝集して、その平均粒子径が2.0μmを超えると、硬化塗膜にスジが発生し、局所的に水蒸気バリア性や耐候性が低下することがある。
前記塗工液を基材シート21の一方の面側に塗布する方法としては、公知の方法で行うことができ、例えばロッドコーターやグラビヤコーターで所望の膜厚になるように塗布する方法などが好ましい。
前記塗工液が硬化して形成される硬化塗膜22の膜厚としては特に限定されず、例えば5μm以上の膜厚とすればよい。水蒸気バリア性、耐候性および軽量性の観点から、該硬化塗膜の膜厚は、5〜50μmが好ましく、8〜40μmがより好ましく、10〜30μmがさらに好ましい。
前記塗布した塗工液の乾燥プロセスにおける温度は、本発明の効果を損なわない温度であればよく、架橋促進及び前記基材シート21の熱変形を低減する観点から、50〜130℃程度の範囲であることが好ましい。
本実施形態のバックシート20Aは、基材シート21の一方の面に二酸化チタンを含むフッ素樹脂の硬化塗膜22が形成されてなり、該硬化塗膜22に水酸基を含む不飽和カルボン酸からなる分散剤を含有させたことによって、基材シート21上に二酸化チタンを含むフッ素樹脂の硬化塗膜22を形成する際に、二酸化チタンが凝集せず、塗工し易く、綺麗な塗工面を形成でき、平滑で、スジ発生等による水蒸気バリア性や耐候性の局所的な低下の少ないフッ素樹脂の硬化塗膜22を形成することができる。従って、このバックシート20Aは、水蒸気バリア性や耐候性に優れている。
図2は、本発明のバックシートの第2実施形態を示す断面図である。
本実施形態のバックシート20Bは、基材シート21の一方の面に前記硬化塗膜22が積層され、基材シート21の他方の面にラミネート用接着剤層24を介して接着層23が積層された構成になっている。
この基材シート21及び硬化塗膜22の詳細は、前述した第1実施形態での基材シート21及び硬化塗膜22と同様のものを用いることができる。
前記接着層23としては、保護シート20Bを太陽電池モジュール50に積層する際に、封止材30との密着性を向上させる観点から、アクリルウレタン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体の分子間を金属イオンで架橋したアイオノマー樹脂などを用いることができる。さらに、封止材30と熱接着することが可能なように、熱接着性を有していることが好ましい。ここで、熱接着性とは、加熱処理によって接着性を発現する性質のことである。該加熱処理における温度としては、通常50〜200℃の範囲である。熱接着性を有する観点から、接着層23としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、アイオノマー樹脂、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種からなる樹脂が好ましい。一般に、前記封止材30はEVAからなる封止樹脂であることが多く、この場合、前記接着層23がEVAを主成分とするポリマーからなる樹脂であることにより、封止材30と接着層23との密着性を向上させることができる。
前記接着層23の厚さとしては、本発明の効果を損なわない限り特に制限されない。より具体的には、接着層23のベース樹脂がEVAである場合には、軽量性および電気絶縁性等の観点から、その厚さは、10〜200μmの範囲であることが好ましく、20〜150μmの範囲であることがより好ましい。
前記接着層23には、必要に応じてその他のポリマーや各種の配合剤を添加してもよい。
また各種の配合剤としては、有機化合物、無機化合物のいずれであってもよく、樹脂工業において通常用いられる配合剤が用いられる。例えば、老化防止剤、安定剤、二酸化チタンなどの顔料、難燃剤、可塑剤、結晶核剤、塩酸吸収剤、帯電防止剤、無機フィラー、滑剤、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤が用いられる。
前記ラミネート用接着剤層24に用いる接着剤としては、例えばアクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、シリコーン系接着剤、エポキシ系接着剤、エステル系接着剤などが挙げられる。これらの接着剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態のバックシート20Bは、基材シート21の一方の面に前記硬化塗膜22が積層され、基材シート21の他方の面に接着層23が積層された構成としたので、前述した第1実施形態のバックシート20Aとほぼ同様の効果を得ることができる。
また、本実施形態のバックシート20Bは、基材シート21の他方の面にEVAなどからなる接着層23を設けたことによって、太陽電池モジュール50の裏面の封止材30との熱接着性が良好となり、強固に保護シート20Bを接着固定できることから、耐久性に優れた太陽電池モジュールを構成することができる。
図3は、本発明のバックシートの第3実施形態を示す断面図である。
本実施形態のバックシート20Cは、基材シート21の一方の面に前記硬化塗膜22が積層され、基材シート21の他方の面に、ラミネート用接着剤層24、アルミニウム(Al)層25、ラミネート用接着剤層24、接着層23をその順に積層した構成になっている。
この基材シート21、硬化塗膜22、接着層23及びラミネート用接着剤層24は、前述した実施形態1,2での基材シート21、硬化塗膜22、接着層23及びラミネート用接着剤層24と同様のものを用いることができる。
前記Al層25は、バックシート20Cの水蒸気バリア性を更に向上させるために形成されたものであり、その厚さは水蒸気バリア性向上効果が発揮できれば特に限定されないが、通常は1μm〜100μmの範囲である。
このAl層25の形成方法は特に限定されず、例えば、基材シート21の他方の面にラミネート用接着剤層を介してアルミ箔を接着して形成することができ、或いは、基材シート21の他方の面に真空蒸着法などの方法によってラミネート用接着剤層無しに直接成膜することもできる。
本実施形態のバックシート20Cは、前述した第2実施形態の保護シート20Bとほぼ同様の効果が得られ、さらにAl層25を積層したことによって防湿性をより向上させることができる。
本発明のバックシートは、基材シート21の両面にフッ素樹脂の硬化塗膜22が設けられていてもよい。基材シート21の両面に硬化塗膜22を設けることによって、水蒸気バリア性や耐候性がより向上する。
本発明の太陽電池モジュールは、図4に示すように、太陽電池モジュール50の裏面(背面)の封止材30に、フッ素樹脂の硬化塗膜22が外側になるように前述したバックシート20A,20B,20Cのいずれかを接着したものである。
この太陽電池モジュール50の種類や構造は特に限定されず、アモルファスシリコン(a−Si)太陽電池、単結晶シリコン(c−Si)太陽電池、微結晶シリコン(μc−Si)太陽電池、GaAsなどの化合物半導体型太陽電池、色素増感型太陽電池とすることができる。
本発明の太陽電池モジュールは、本発明に係るバックシート20A,20B,20Cをモジュールの裏面に接着してなるものなので、水蒸気バリア性、耐候性に優れ、屋外での長期間の使用に耐えうる耐久性を保持したものとなる。
また、反射率が高い前記シートを裏面に接着したことにより、太陽電池モジュール内の太陽電池セルの隙間を通って裏面側に抜け出す光を反射して太陽電池セル側に戻すことで発電効率を高めることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例になんら限定されるものではない。
[塗工液(1)の調製]
クロロトリフルオロエチレン(CTFE)系共重合体(旭硝子社製、商品名「LUMIFLON LF200」、固形分濃度60質量%)100質量部に、イソシアナート類の架橋剤(硬化剤)(住化バイエルウレタン社製、商品名「スミジュール N3300」)10.7質量部、架橋促進剤(東洋インキ製造社製、商品名「BXX3778−10」、ジオクチルジラウリン酸スズ)0.004質量部、白色顔料として二酸化チタン(デュポン社製、商品名「Ti−Pure R960」 平均粒子径0.5μm)36.5質量部、分散剤(チバ社製、商品名「EFKA5207」 有効成分100%)を表1中に記載した添加量(但し、比較例1は添加せず)、メチルエチルケトン153.8質量部の割合で配合し、ディスパー(プライミクス社製、装置名「T.K.ホモディスパー」)で所定時間分散・混合させて塗工液(1)を調製した。
[塗工液(2)の調製]
テトラフルオロエチレン(TFE)系共重合体(ダイキン工業社製、商品名「ZEFFLE GK570」、固形分濃度65質量%)100質量部に、イソシアナート類の架橋剤(硬化剤)(日本ポリウレタン工業社製、商品名「コロネート HX」)12.4質量部、白色顔料として二酸化チタン(デュポン社製、商品名「Ti−Pure R960」 平均粒子径0.5μm)36.5質量部、分散剤(チバ社製、商品名「EFKA5207」有効成分100%)を表1中に記載した添加量(但し、比較例2は添加せず)、酢酸ブチル202.3質量部の割合で配合し、ディスパー(プライミクス社製、装置名「T.K.ホモディスパー」)で所定時間分散・混合させて塗工液(2)を調製した。
[実施例1]
基材シートである厚さ125μmのPETフィルム(帝人デュポンフィルム社製、商品名「マイラー A」)の片面に、分散剤を二酸化チタン100質量部に対して30質量部添加した塗工液(1)を乾燥塗膜厚さが15μmとなるようにロッドコーターにて塗工した。その後、乾燥温度120℃1分の条件で塗膜を乾燥させ、硬化塗膜を形成し、実施例1のバックシートを作製した。
[実施例2]
分散剤を二酸化チタン100質量部に対して15質量部添加した塗工液(1)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2のバックシートを作製した。
[実施例3]
分散剤を二酸化チタン100質量部に対して30質量部添加した塗工液(2)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3のバックシートを作製した。
[比較例1]
分散剤を添加せずに塗工液(1)を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1のバックシートを作製した。
[比較例2]
分散剤を添加せずに塗工液(2)を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1のバックシートを作製した。
実施例1〜3及び比較例1〜2で用いた塗工液中の二酸化チタンの平均粒子径について、分散直後の平均粒子径、24時間後の平均粒子径を測定し、また塗工液の分散性と分散安定性を評価した。
また、実施例1〜3及び比較例1〜2でそれぞれ形成した塗膜の塗工面を観察し、評価した。
さらに、実施例1〜3及び比較例1〜2でそれぞれ作製したバックシートの部分放電開始電圧を測定した。
これらの測定及び評価は下記のように実施した。その結果を表1にまとめて記す。
<平均粒子径の測定>
実施例1〜4及び比較例1、2で用いた塗工液中の二酸化チタンの平均粒子径について、分散直後の平均粒子径、24時間後の平均粒子径を、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所社製、装置名「LA−920」)を用いてそれぞれ測定した。
メチルエチルケトン(MEK)を入れた測定用セルに、He-Neレーザーの透過率が80%になるまで滴下し、相対屈折率を2.0(ルチル型二酸化チタンの屈折率=2.75、分散媒MEKの屈折率=1.3788)として測定した。
平均粒子径は、下記の計算式から求められる算術平均径とした。
算術平均径=Σ(Q(J)×X(J))÷Σ(Q(J))
(式中、J:粒子径分割番号、Q(J):頻度分布値(%)、X(J):J番目の粒子径範囲の代表径(μm)であり、頻度分布値は、体積基準とした。)
<分散性>
実施例1〜3及び比較例1〜2で用いた塗工液中の二酸化チタンの平均粒子径を評価した。評価基準は次の通りとした。
○ :2.0μm以下
× :2.0μm超
<分散安定性>
実施例1〜3及び比較例1〜2で用いた塗工液について、塗工液を24時間静置した後、二酸化チタンの平均粒子径を評価した。評価基準は次の通りとした。
○ :平均粒子径が2.0μm以下
× :平均粒子径が2.0μm超
<部分放電電圧の測定方法>
部分放電試験器:KPD2050(菊水電子工業社製)を用いて、IEC61730−2に規定される部分放電開始電圧をIEC60664−1に準じて測定した。具体的な試験条件は、最大印加電圧:1.6kV、最大印加電圧時間:5秒、閾値:開始電圧10pcで実施した。
<塗工面>
実施例1〜3及び比較例1〜2でそれぞれ形成した塗膜の塗工面を肉眼で観察し、スジの有無を評価した。評価基準は次の通りとした。
○ :スジがない
× :スジがある
Figure 2010238760
表1の結果より、塗工液中に分散剤を添加した実施例1〜3の塗工液は、二酸化チタンの分散性が良好であり、しかも24時間後にも凝集せずに平均粒子径の増加が少なく、良好な分散安定性を有していた。また、実施例1〜3の塗工液は、塗工面が良好な状態となり、スジ等の発生は見られなかった。さらに、実施例1〜3で作製したバックシートは、比較例1,2のバックシートと比べ、部分放電開始電圧が高くなり、電気絶縁性が向上していることがわかる。
一方、分散剤を添加していない比較例1〜2の塗工液は、凝集しやすく、平均粒子径の増加が大きくなって分散安定性が悪かった。この比較例1〜2の塗工液は、塗工面に多数のスジが発生した。
本発明のバックシートは、太陽電池モジュール用のバックシートとして有用である。
10 …表面保護シート
20 …バックシート
20A,20B,20C …バックシート
21 …基材シート
22 …フッ素樹脂の硬化塗膜
23 …接着層
24 …ラミネート用接着剤層
25 …Al層
30 …封止材
40 …太陽電池セル
50 …太陽電池モジュール

Claims (8)

  1. 基材シートの少なくとも一方の面に二酸化チタンを含むフッ素樹脂の硬化塗膜が形成された太陽電池モジュール用裏面保護シートにおいて、
    前記硬化塗膜に水酸基を含む不飽和カルボン酸からなる分散剤が含有されていることを特徴とする太陽電池モジュール用裏面保護シート。
  2. 前記分散剤の添加量が前記二酸化チタン100質量部に対して10〜35質量部の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュール用裏面保護シート。
  3. 前記分散剤は、分子量が1000〜2000の範囲であり、JIS K0070に準じて測定された酸価が80〜90の範囲であり、JIS K0070に準じて測定された不飽和度(よう素価)が24〜27の範囲であることを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽電池モジュール用裏面保護シート。
  4. 前記基材シートの他方の面に熱接着性樹脂からなる接着層が積層されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール用裏面保護シート。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール用裏面保護シートが裏面に接着されてなる太陽電池モジュール。
  6. フッ素含有ポリマーと、顔料である二酸化チタンと、有機溶剤とを混合、分散させてなり、基材シートに塗布して硬化させることでフッ素樹脂の硬化塗膜を形成する太陽電池モジュール用裏面保護シートのフッ素樹脂硬化塗膜形成用塗工液において、
    前記塗工液中に、水酸基を含む不飽和カルボン酸からなる分散剤が含有されていることを特徴とする太陽電池モジュール用裏面保護シートのフッ素樹脂硬化塗膜形成用塗工液。
  7. 前記分散剤の添加量が前記二酸化チタン100質量部に対して10〜35質量部の範囲であることを特徴とする請求項6に記載の太陽電池モジュール用裏面保護シートのフッ素樹脂硬化塗膜形成用塗工液。
  8. 前記分散剤は、分子量が1000〜2000の範囲であり、JIS K0070に準じて測定された酸価が80〜90の範囲であり、JIS K0070に準じて測定された不飽和度(よう素価)が24〜27の範囲であることを特徴とする請求項6又は7に記載の太陽電池モジュール用裏面保護シートのフッ素樹脂硬化塗膜形成用塗工液。
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