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JP2010228998A - 封着材料層付きガラス部材とそれを用いた電子デバイスおよびその製造方法 - Google Patents

封着材料層付きガラス部材とそれを用いた電子デバイスおよびその製造方法 Download PDF

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JP2010228998A JP2009080342A JP2009080342A JP2010228998A JP 2010228998 A JP2010228998 A JP 2010228998A JP 2009080342 A JP2009080342 A JP 2009080342A JP 2009080342 A JP2009080342 A JP 2009080342A JP 2010228998 A JP2010228998 A JP 2010228998A
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幸一 渋谷
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旭 井出
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Abstract

【課題】レーザ封着を適用するにあたって、封着層の線幅やガラス基板間の間隔を狭小化する場合においても、ガラス基板と封着層との接着強度を高めることを可能にする。
【解決手段】ガラス基板3は封止領域に形成された溝6を有し、溝6内に封着ガラスと低膨張充填材とレーザ吸収材とを含有する封着用ガラス材料の焼成層からなる封着材料層5が設けられている。封着材料層5はその上部が溝6から突出するように設けられている。このようなガラス基板3と電子素子を備える素子形成領域2aを有するガラス基板2とを積層し、封着材料層5にガラス基板3側からレーザ光7を照射して溶融させることによって、ガラス基板2、3間を封着する。
【選択図】図2

Description

本発明は封着材料層付きガラス部材とそれを用いた電子デバイスおよびその製造方法に関する。
有機ELディスプレイ(Organic Electro−Luminescence Display:OELD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、液晶表示装置(LCD)等の平板型ディスプレイ装置(FPD)は、発光素子を形成した素子用ガラス基板と封止用ガラス基板とを対向配置し、これら2枚のガラス基板を封着したガラスパッケージで発光素子を封止した構造を有している(特許文献1参照)。さらに、色素増感型太陽電池のような太陽電池においても、2枚のガラス基板で太陽電池素子(光電変換素子)を封止したガラスパッケージを適用することが検討されている(特許文献2参照)。
2枚のガラス基板間を封止する封着材料には、耐湿性等に優れる封着ガラスの適用が進められている。ただし、封着ガラスによる封着温度は400〜600℃程度であるため、通常の加熱炉を用いて焼成した場合にはOEL素子等の電子素子部の特性が劣化してしまう。そこで、2枚のガラス基板の周辺部に設けられた封止領域間にレーザ吸収材を含む封着用ガラス材料層を配置し、これにレーザ光を照射し加熱、溶融させて封着層を形成することが試みられている(特許文献1,2参照)。レーザ照射による封着(レーザ封着)は、電子素子部への熱的影響を抑制できるという利点を有する。
FPDや太陽電池等のガラスパッケージにレーザ封着を適用するにあたって、OEL素子や太陽電池素子等の電子素子の形成面積の拡大を図るために、ガラス基板に設定される封止領域の幅、すなわち封着層の線幅は3mm以下、さらには1mm以下というように狭小化される傾向にある。封着層の線幅が減少するほどガラス基板との接着面積が小さくなるため、ガラス基板と封着層との接着強度が低下しやすくなる。接着強度の低下はガラス基板と封着層との界面における剥離やクラックの発生原因となる。
さらに、FPDではガラスパッケージ内における発光素子の内部散乱を抑制するために、ガラス基板間の間隔(ギャップ)も、例えば30μm以下、さらには10μm以下というように狭くすることが求められている。封着用ガラス材料には、ガラス基板と封着ガラスとの熱膨張係数を整合させるために低膨張充填材等が配合されており、基板間隔の狭小化に伴って充填材粒子を微粒子化する必要が生じる。充填材粒子の微粒子化は表面積の増大を招き、加熱して軟化させた封着ガラスと充填材粒子との間のせん断応力が増加して流動が生じにくくなる。これは封着材料とガラス基板との密着性を低下させる原因となる。これによっても、ガラス基板と封着層との接着強度が低下する。
特許文献1にはOEL素子の形成領域(画素領域)を有する素子用ガラス基板の封止領域(非画素領域)に凹凸部を形成することが記載されている。ここでは凹凸部を有しない封止用ガラス基板に封着用ガラス材料層を形成し、封止用ガラス基板側からレーザ光を照射して封止している。このような方法ではレーザ光の照射面から凹部に近づくほど封着用ガラス材料が軟化しにくくなり、凹部内を封着用ガラス材料で十分に埋めることが困難になる。これでは接着強度を十分に高めることができないだけでなく、凹部内に残存する空隙が剥離やクラックの起点となるおそれがある。
特許文献2には封止用ガラス基板に溝を形成し、この溝内に封着用ガラス材料を充填した後、封止用ガラス基板側からレーザ光を照射して、封着用ガラス材料を素子用ガラス基板に向けて盛り上がらせることによって、ガラス基板間を封着することが記載されている。この方法では封着層の幅が溝幅より狭くなることが避けられないことから、ガラス基板と封着層との接着強度を十分に高めることはできない。また、レーザ封着工程の前に溝内に充填した封着用ガラス材料の表面を平坦化しているが、その際にガラス基板に傷が生じることが避けられず、ガラス基板の特性が低下しやすいという難点がある。
特表2006−524419号公報 特開2008−115057号公報 特開2007−200838号公報 国際公開2005/122645号
本発明の目的は、封着層の線幅やガラス基板間の間隔を狭小化する場合においても、ガラス基板と封着層との接着強度を十分に高めることを可能にした封着材料層付きガラス部材とそれを用いた電子デバイスおよびその製造方法を提供することにある。
本発明の態様に係る封着材料層付きガラス部材は、封止領域と、前記封止領域に連続して形成された溝とを有するガラス基板と、前記溝内に設けられ、封着ガラスと低膨張充填材とレーザ吸収材とを含有する封着用ガラス材料の焼成層からなる枠状の封着材料層とを具備し、前記封着材料層はその上部が前記溝から突出するように設けられていることを特徴としている。
本発明の態様に係る電子デバイスは、電子素子を備える素子形成領域と、前記素子形成領域の外周に沿って設けられた第1の封止領域とを有する第1のガラス基板と、前記第1のガラス基板の前記第1の封止領域に対応する第2の封止領域と、前記第2の封止領域に連続して形成された溝とを有する第2のガラス基板と、前記第1のガラス基板の前記第1の封止領域と前記第2のガラス基板の前記第2の封止領域との間を、前記素子形成領域上に間隙を設けつつ封止するように形成され、封着ガラスと低膨張充填材とレーザ吸収材とを含有する封着用ガラス材料の溶融固着層からなる封着層とを具備し、前記封着層の一部は前記溝内に埋め込まれていることを特徴としている。
本発明の態様に係る電子デバイスの製造方法は、電子素子を備える素子形成領域と、前記素子形成領域の外周に沿って設けられた第1の封止領域とを有する第1のガラス基板を用意する工程と、前記第1のガラス基板の前記第1の封止領域に対応する第2の封止領域と、前記第2の封止領域に連続して形成された溝と、その上部が前記溝から突出するように前記溝内に設けられ、封着ガラスと低膨張充填材とレーザ吸収材とを含有する封着用ガラス材料の焼成層からなる枠状の封着材料層とを有する第2のガラス基板を用意する工程と、前記素子形成領域上に間隙を形成しつつ、前記封着材料層を介して前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板とを積層する工程と、前記第2のガラス基板を通して前記封着材料層にレーザ光を照射し、前記封着材料層を溶融させて前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板との間を封止する封着層を形成する工程とを具備することを特徴としている。
本発明の態様に係る封着材料層付きガラス部材とそれを用いた電子デバイスおよびその製造方法によれば、封着層の線幅やガラス基板間の間隔を狭小化する場合においても、ガラス基板と封着層との接着強度を十分に高めることができる。従って、封着性やその信頼性に優れる電子デバイスを再現性よく提供することが可能となる。
本発明の実施形態による電子デバイスの構成を示す断面図である。 本発明の実施形態による電子デバイスの製造工程を示す断面図である。 図2に示す電子デバイスの製造工程で使用する第1のガラス基板を示す平面図である。 図3のA−A線に沿った断面図である。 図2に示す電子デバイスの製造工程で使用する第2のガラス基板を示す平面図である。 図5のA−A線に沿った断面図である。 図5に示す第2のガラス基板の一部を拡大して示す断面図である。 図1に示す電子デバイスの一部を拡大して示す断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。図1は本発明の実施形態による電子デバイスの構成を示す図、図2は本発明の実施形態による電子デバイスの製造工程を示す図、図3ないし図6はそれに用いる第1および第2のガラス基板の構成を示す図、図7は第2のガラス基板の一部を拡大して示す図、図8は電子デバイスの封着部を拡大して示す図である。図1に示す電子デバイス1は、OELD、PDP、LCD等のFPD、OEL素子等の発光素子を使用した照明装置(OEL照明等)、あるいは色素増感型太陽電池のような太陽電池等を構成するものである。
電子デバイス1は、電子素子を備える素子形成領域2aを有する第1のガラス基板(素子用ガラス基板)2と、第2のガラス基板(封止用ガラス基板)3とを具備している。第1および第2のガラス基板2、3は、例えば無アルカリガラスやソーダライムガラス等で構成される。無アルカリガラスは35〜40×10−7/℃程度の熱膨張係数を有している。ソーダライムガラスは85〜90×10−7/℃程度の熱膨張係数を有している。
第1のガラス基板2の素子形成領域2aには、電子デバイス1に応じた電子素子、例えばOELDやOEL照明であればOEL素子、PDPであればプラズマ発光素子、LCDであれば液晶表示素子、太陽電池であれば色素増感型光電変換部等が形成されている。OEL素子のような発光素子や色素増感型光電変換部のような太陽電池素子等の電子素子は各種公知の構造を備えており、これら素子構造に限定されるものではない。
第1のガラス基板2は図3および図4に示すように素子形成領域2aの外周に沿って設けられた第1の封止領域2bを有している。第1の封止領域2bは素子形成領域2aを囲うように設定されている。第2のガラス基板3は図5および図6に示すように第2の封止領域3aを有している。第2の封止領域3aは第1の封止領域2bに対応するものである。すなわち、第1のガラス基板2と第2のガラス基板3とを対向配置した際に、第1の封止領域2bと第2の封止領域3aとは対面するように設定されており、後述するように封着層の形成領域(第2のガラス基板3については封着材料層の形成領域)となる。
第1のガラス基板2と第2のガラス基板3とは、素子形成領域2a上に間隙を形成するように対向配置されている。第1のガラス基板2と第2のガラス基板3との間の空間は封着層4で封止されている。すなわち、封着層4は第1のガラス基板2の封止領域2bと第2のガラス基板3の封止領域3aとの間を、素子形成領域2a上に間隙を設けつつ封止するように形成されている。素子形成領域2aに形成された電子素子は、第1のガラス基板2と第2のガラス基板3と封着層4とで構成されたガラスパネルで気密封止されている。なお、第1のガラス基板2と第2のガラス基板3との間の間隙は空間であることに限らず、そのような空間に透明な樹脂が充填されていてもよい。透明樹脂はガラス基板2、3に接着されていてもよいし、単に接触しているだけであってもよい。
封着層4は第2のガラス基板3の封止領域3aに形成された封着材料層5をレーザ光で溶融させて第1のガラス基板2の封止領域2bに固着させた溶融固着層からなるものである。すなわち、電子デバイス1の作製に用いられる第2のガラス基板3の封止領域3aには、図5および図6に示すように枠状の封着材料層5が形成されている。第2のガラス基板3の封止領域3aに形成された封着材料層5を、レーザ光の熱で第1のガラス基板2の封止領域2bに溶融固着させることによって、第1のガラス基板2と第2のガラス基板3との間の空間(素子配置空間)を封止する封着層4が形成されている。
封着材料層5は封着ガラスと低膨張充填材とレーザ吸収材とを含有する封着用ガラス材料の焼成層である。封着用ガラス材料は主成分としての封着ガラスにレーザ吸収材と低膨張充填材とを配合したものである。封着用ガラス材料はこれら以外の添加材を必要に応じて含有していてもよい。封着ガラス(ガラスフリット)には、例えば錫−リン酸系ガラス、ビスマス系ガラス、バナジウム系ガラス、鉛系ガラス等の低融点ガラスが用いられる。これらのうち、ガラス基板2、3に対する封着性(接着性)やその信頼性(接着信頼性や密閉性)、さらには環境や人体に対する影響性等を考慮して、錫−リン酸系ガラスやビスマス系ガラスからなる封着ガラスを使用することが好ましい。
錫−リン酸系ガラス(ガラスフリット)は、20〜68モル%のSnO、0.5〜5モル%のSnO2および20〜40モル%のP25(基本的には合計量を100モル%とする)の組成を有することが好ましい。SnOはガラスを低融点化させるための成分である。SnOの含有量が20モル%未満であるとガラスの粘性が高くなって封着温度が高くなりすぎ、68モル%を超えるとガラス化しなくなる。
SnO2はガラスを安定化するための成分である。SnO2の含有量が0.5モル%未満であると封着作業時に軟化溶融したガラス中にSnO2が分離、析出し、流動性が損なわれて封着作業性が低下する。SnO2の含有量が5モル%を超えると低融点ガラスの溶融中からSnO2が析出しやすくなる。P25はガラス骨格を形成するための成分である。P25の含有量が20モル%未満であるとガラス化せず、その含有量が40モル%を超えるとリン酸塩ガラス特有の欠点である耐候性の悪化を引き起こすおそれがある。
ここで、ガラスフリット中のSnOおよびSnO2の割合(モル%)は以下のようにして求めることができる。まず、ガラスフリット(低融点ガラス粉末)を酸分解した後、ICP発光分光分析によりガラスフリット中に含有されているSn原子の総量を測定する。次に、Sn2+(SnO)は酸分解したものをヨウ素滴定法により求められるので、そこで求められたSn2+の量をSn原子の総量から減じてSn4+(SnO2)を求める。
上記した3成分で形成されるガラスはガラス転移点が低く、低温用の封着材料に適したものであるが、SiO2等のガラスの骨格を形成する成分やZnO、B23、Al23、WO3、MoO3、Nb25、TiO2、ZrO2、Li2O、Na2O、K2O、Cs2O、MgO、CaO、SrO、BaO等のガラスを安定化させる成分等を任意成分として含有していてもよい。ただし、任意成分の含有量が多すぎるとガラスが不安定となって失透が発生したり、またガラス転移点や軟化点が上昇するおそれがあるため、任意成分の合計含有量は30モル%以下とすることが好ましい。この場合のガラス組成は基本成分と任意成分との合計量が基本的には100モル%となるように調整される。
ビスマス系ガラス(ガスフリット)は、70〜90質量%のBi23、1〜20質量%のZnOおよび2〜12質量%のB23(基本的には合計量を100質量%とする)の組成を有することが好ましい。Bi23はガラスの網目を形成する成分である。Bi23の含有量が70質量%未満であると低融点ガラスの軟化点が高くなり、低温での封着が困難になる。Bi23の含有量が90質量%を超えるとガラス化しにくくなると共に、熱膨張係数が高くなりすぎる傾向がある。
ZnOは熱膨張係数等を下げる成分である。ZnOの含有量が1質量%未満であるとガラス化が困難になる。ZnOの含有量が20質量%を超えると低融点ガラス成形時の安定性が低下し、失透が発生しやすくなる。B23はガラスの骨格を形成してガラス化が可能となる範囲を広げる成分である。B23の含有量が2質量%未満であるとガラス化が困難となり、12質量%を超えると軟化点が高くなりすぎて、封着時に荷重をかけたとしても低温で封着することが困難となる。
上記した3成分で形成されるガラスはガラス転移点が低く、低温用の封着材料に適したものであるが、Al23、CeO2、SiO2、Ag2O、MoO3、Nb23、Ta25、Ga23、Sb23、Li2O、Na2O、K2O、Cs2O、CaO、SrO、BaO、WO3、P25、SnOx(xは1または2である)等の任意成分を含有していてもよい。ただし、任意成分の含有量が多すぎるとガラスが不安定となって失透が発生したり、またガラス転移点や軟化点が上昇するおそれがあるため、任意成分の合計含有量は30質量%以下とすることが好ましい。この場合のガラス組成は基本成分と任意成分との合計量が基本的には100質量%となるように調整される。
封着用ガラス材料は低膨張充填材を含有している。低膨張充填材としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、珪酸ジルコニウム、コージェライト、リン酸ジルコニウム系化合物、ソーダライムガラス、および硼珪酸ガラスから選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。リン酸ジルコニウム系化合物としては、(ZrO)227、AZr2(PO43(AはNa、KおよびCaから選ばれる少なくとも1種)、NbZr2(PO43、Zr2(WO3)(PO42、これらの複合化合物が挙げられる。低膨張充填材とは封着用ガラス材料の主成分である封着ガラスより低い熱膨張係数を有するものである。
低膨張充填材の含有量は、封着ガラスの熱膨張係数がガラス基板2、3の熱膨張係数に近づくように適宜に設定される。低膨張充填材は封着ガラスやガラス基板2、3の熱膨張係数にもよるが、封着用ガラス材料に対して15〜50体積%の範囲で含有させることが好ましい。ガラス基板2、3を無アルカリガラス(熱膨張係数:35〜40×10−7/℃)で形成する場合には、比較的多量(例えば30〜50体積%の範囲)の低膨張充填材を添加することが好ましい。ガラス基板2、3をソーダライムガラス(熱膨張係数:85〜90×10−7/℃)で形成する場合には、比較的少量(例えば15〜40体積%の範囲)の低膨張充填材を添加することが好ましい。
封着用ガラス材料はさらにレーザ吸収材を含有している。レーザ吸収材としてはFe、Cr、Mn、Co、NiおよびCuから選ばれる少なくとも1種の金属または前記金属を含む酸化物等の化合物が用いられる。レーザ吸収材の含有量は封着用ガラス材料に対して0.1〜10体積%の範囲とすることが好ましい。レーザ吸収材の含有量が0.1体積%未満であると、レーザ照射時に封着材料層5を十分に溶融させることができない。レーザ吸収材の含有量が10体積%を超えると、レーザ照射時に第2のガラス基板3との界面近傍で局所的に発熱して第2のガラス基板3に割れ等が生じたり、また封着用ガラス材料の溶融時の流動性が劣化して第1のガラス基板2との接着性が低下するおそれがある。
第2のガラス基板3は、図7(a)に示すように第2の封止領域3aに形成された溝6を有している。溝6は枠状の封止領域3aの全周に沿って連続して形成されており、深さT1を有している。溝6の形状は角溝に限らず、段付き形状、傾斜形状、湾曲形状等であってもよい。そして、図7(b)に示すように、封着材料層5は溝6内に設けられており、その上部は溝6から突出している。第2のガラス基板3から突出した部分の高さ(封着材料層5のガラス基板3上における膜厚)T3に基づいて、第1のガラス基板2と第2のガラス基板3との間の間隔T2が維持される。
このように、溝6内にその一部が充填された封着材料層5を用いることによって、溝6による接着面積の拡大効果やアンカー効果等に基づいて、封着層4とガラス基板2、3との接着強度を向上させることが可能となる。溝6内に形成した封着材料層5による接着強度の向上効果について、封着材料層5の形成工程とレーザ光による封着工程(レーザ封着工程)を踏まえて説明する。封着材料層5は、例えば以下のようにして第2のガラス基板3の封止領域3aに設けられた溝6内に形成される。
まず、第2のガラス基板3の封止領域3aに溝6を形成する。溝6の形成方法は特に限定されるものではないが、例えばサンドブラスト、エッチング、レーザ加工等を適用することができる。溝6の深さT1は、第2のガラス基板3の厚さ、第1のガラス基板2と第2のガラス基板3との間の間隔T2にもよるが、例えば5〜60μmの範囲とすることが好ましい。溝6の深さT1が5μm未満の場合には、溝6による接着面積の拡大効果やアンカー効果等を十分に得ることができないおそれがある。溝6を深さT1が60μmを超えるように形成しても、それ以上に効果を高めることができないだけでなく、相対的にガラス基板3の厚さが減少することで、ガラス基板3の強度を低下させるおそれがある。
さらに、溝6の深さT1は基板間隔(ギャップ)T2に対して、T1/(T1+T2)≧0.2の関係を満足させることが好ましい。(T1+T2)に対するT1の割合が0.2未満であると、溝6を形成したことによる接着強度の向上効果、また狭ギャップ化した際の接着強度の向上効果を十分に得ることができない。ただし、(T1+T2)に対するT1の割合を大きくしすぎても、相対的にガラス基板3の厚さを減少させることになり、ガラス基板3の強度が低下するおそれがあるため、実用的な溝6の形状としては0.2≦T1/(T1+T2)≦0.9の関係を満足させることが好ましい。
溝6の幅は封着材料層5の線幅Wに応じて設定される。封着材料層5の一部が充填される溝6は、封着材料層5の線幅Wを3mm以下、さらには1mm以下とする場合に有効である。従って、溝6の幅も3mm以下、さらには1mm以下とすることが好ましい。溝6の幅は実用的には0.1mm以上とすることが好ましい。線幅Wが狭小の封着材料層5を適用する場合、すなわち溝6を有しないガラス基板3では封着層4の接着面積が小さくなる場合においても、溝6による封着層4の接着面積の拡大効果やアンカー効果等に基づいて、封着層4とガラス基板2、3との接着強度を向上させることが可能となる。
溝6の底面の状態は鏡面および粗面のいずれであってもよいが、レーザ封着時におけるレーザ光の散乱効果を得る上で、適度に粗面化されていることが好ましい。具体的には、溝6の底面の表面粗さは算術平均粗さRaで0.3μm以上であることが好ましい。このような粗面を有する溝6によれば、封着材料層5に照射したレーザ光が散乱され、封着材料層5の線幅方向に対して均質な加熱を行うことができる。これによって、封着材料層5の加熱・冷却工程で生じる残留応力を低減することができ、封着材料層5の溶融固化層である封着層4の耐ヒートショック性を高めることが可能となる。
ただし、溝6の底面の表面粗さが大きすぎると、その部分を起点としてガラス基板3が破壊されやすくなる。このため、溝6の底面の表面粗さは算術平均粗さRaで1μm未満とすることが好ましい。溝6の底面の表面粗さRaが1μmを超える場合、表面の凹凸が破壊の起点となりやすくなる。従って、溝6の底面の表面粗さは算術平均粗さRaで0.3μm以上1μm未満の範囲であることが好ましい。このような粗面化された溝6は上述した各種の形成方法を適用して得ることができるが、特にサンドブラストやレーザ加工を適用して溝6を形成することによって、底面を適度に粗面化することができる。
次に、封着用ガラス材料をビヒクルと混合して封着材料ペーストを調製する。ビヒクルとしては、例えばメチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、オキシエチルセルロース、ベンジルセルロース、プロピルセルロース、ニトロセルロース等を、ターピネオール、ブチルカルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート等の溶剤に溶解したもの、あるいはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロオキシエチル(メタ)アクリレート等のアクリル系樹脂を、メチルエチルケトン、ターピネオール、ブチルカルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート等の溶剤に溶解したものが用いられる。
封着材料ペーストの粘度は、ガラス基板3に塗布する装置に対応した粘度に合わせればよく、樹脂(バインダ成分)と溶剤の割合や封着用ガラス材料とビヒクルの割合により調整することができる。封着材料ペーストには、消泡剤や分散剤のようにガラスペーストで公知の添加物を加えてもよい。封着材料ペーストの調製には、撹拌翼を備えた回転式の混合機やロールミル、ボールミル等を用いた公知の方法を適用することができる。
上述した封着材料ペーストを、第2のガラス基板3の封止領域3aに設けられた溝6内に充填しつつ塗布し、これを乾燥させて封着材料ペーストの塗布層を形成する。封着材料ペーストの塗布層は、その上部が溝6から突出するように形成される。封着材料ペーストは、例えばスクリーン印刷やグラビア印刷等の印刷法を適用して第2の封止領域3aに塗布したり、あるいはディスペンサ等を用いて第2の封止領域3aに沿って塗布する。封着材料ペーストの塗布層は、例えば120℃以上の温度で10分以上乾燥させる。乾燥工程は塗布層内の溶剤を除去するために実施するものである。塗布層内に溶剤が残留していると、その後の焼成工程でバインダ成分を十分に除去できないおそれがある。
上記した封着材料ペーストの塗布層を焼成して封着材料層5を形成する。焼成工程は、まず塗布層を封着用ガラス材料の主成分である封着ガラス(ガラスフリット)のガラス転移点以下の温度に加熱し、塗布層内のバインダ成分を除去した後、封着ガラス(ガラスフリット)の軟化点以上の温度に加熱し、封着用ガラス材料を溶融してガラス基板3に焼き付ける。このようにして、深さT1の溝6内に一部が充填されていると共に、ガラス基板3上の膜厚が高さT3の封着用ガラス材料の焼成層からなる封着材料層5を形成する。封着材料層5の全体としての膜厚は(T1+T3)となる。
次に、図2(a)に示すように、封着材料層5を有する第2のガラス基板3と、それとは別に作製した電子素子を備える素子形成領域2aを有する第1のガラス基板2とを用いて、OELD、PDP、LCD等のFPD、OEL素子を用いた照明装置、色素増感型太陽電池のような太陽電池等の電子デバイス1を作製する。すなわち、図2(b)に示すように、第1のガラス基板2と第2のガラス基板3とを、素子形成領域2aを有する面と封着材料層5を有する面とが対向するように積層する。第1のガラス基板2の素子形成領域2a上には、封着材料層5のガラス基板3上での膜厚T3に基づいて間隙が形成される。
封着材料層5のガラス基板3上における膜厚T3は、第1のガラス基板2と第2のガラス基板3との間の間隔(ギャップ)T2に応じて設定される。この実施形態は特に基板間隔T2を30μm以下、さらには10μm以下とする場合に有効である。このような狭ギャップのガラスパッケージの作製にレーザ封着を適用した場合においても、封着材料層5の一部を溝6内に充填しているため、封着材料層5全体としての膜厚(T1+T3)を保つことができる。これは後に詳述するように封着層4の接着面積の拡大のみならず、封着層4自体の強度の向上等に貢献するものである。基板間隔T2は電子デバイス1の構造にもよるが、実用的には5μm以上とすることが好ましい。
次に、図2(c)に示すように、第2のガラス基板3を通して封着材料層5にレーザ光7を照射する。レーザ光7は枠状の封着材料層5に沿って走査しながら照射される。そして、封着材料層5の全周にわたってレーザ光7を照射することによって、図2(d)に示すように第1のガラス基板2と第2のガラス基板3との間を封止する封着層4を形成する。このようにして、第1のガラス基板2と第2のガラス基板3と封着層4とで構成したガラスパネルで、素子形成領域2aに形成された電子素子を気密封止した電子デバイス1を作製する。なお、ガラスパネルは電子デバイス1に限らず、電子部品の封止体、あるいは真空ペアガラスのようなガラス部材(建材等)にも応用することが可能である。
レーザ光7は特に限定されるものではなく、半導体レーザ、炭酸ガスレーザ、エキシマレーザ、YAGレーザ、HeNeレーザ等からのレーザ光が使用される。レーザ光7の出力は封着材料層5の厚さ等に応じて適宜に設定されるものであるが、例えば2〜150Wの範囲とすることが好ましい。レーザ出力が2W未満であると封着材料層5を溶融できないおそれがあり、また150Wを超えるとガラス基板2、3にクラックや割れ等が生じやすくなる。レーザ光の出力は5〜100Wの範囲であることがより好ましい。
第2のガラス基板3を通してレーザ光7を照射した際に、封着材料層5は再溶融されることになる。この際、第1のガラス基板2と封着材料層5との界面に関しては、新たな接着界面となるため、比較的良好な密着性を得ることができる。一方、第2のガラス基板3と封着材料層5との界面は、再溶融後の固着界面となるために密着性が低下しやすい。すなわち、レーザ光7の照射時に封着材料層5が再溶融することによって、第2のガラス基板3との界面に新たに熱応力が発生する。さらに、第2のガラス基板3と封着層4との界面には、封着材料層5の再溶融に伴ってボイドや結晶核が生じやすい。これらは第2のガラス基板3と封着層4との接着強度を低下させる要因となる。
このような点に対して、この実施形態の封着材料層5はその一部が溝6内に充填されているため、第2のガラス基板3と封着層4との接着強度を向上させることができる。すなわち、封着材料層5と第2のガラス基板3との接着面積は溝6により拡大されているため、その分だけ封着材料層5を溶融した際の熱容量を高めることができる。これは溶融後の冷却速度の緩和効果をもたらし、界面における応力発生が抑制されるため、第2のガラス基板3と封着層4との接着強度を向上させることが可能となる。さらに、界面にボイドや結晶核が生じたとしても、溝6で接着面積が拡大されていると共に、溝6によるアンカー効果が得られるため、第2のガラス基板3と封着層4との接着強度が維持される。
第2のガラス基板3と封着層4との接着強度の向上効果は、特に封着層4の線幅Wや基板間隔T2を狭くする場合に有効に機能する。封着層4の線幅Wを狭くするほど、封着層4とガラス基板2、3との接着面積は減少することになる。この接着面積の減少を溝6で補うと共に、上述した溝6による各種効果を得ることによって、線幅Wが狭い封着材料層5にレーザ封着を適用する場合においても、第2のガラス基板3と封着層4との接着強度を十分に高めることが可能となる。従って、この実施形態は封着層4の線幅Wを3mm以下、さらには1mm以下とする場合に有効である。
基板間隔T2を狭くした場合、従来のパッケージ構造では低膨張充填材粒子の粒径を基板間隔T2以上にすることはできず、必然的に低膨張充填材を微粒子化する必要が生じる。これは前述したように低膨張充填材粒子の表面積の増大、それに基づくせん断応力の増加による流動性の低下等を招き、封着層4とガラス基板2、3との密着性を低下させる原因となる。この実施形態では基板間隔T2を狭くした場合でも、封着材料層5全体としての膜厚(T1+T3)を保つことができるため、この膜厚(T1+T3)に応じた粒径を有する低膨張充填材を使用することが可能となる。従って、封着用ガラス材料の流動性を維持して封着層4とガラス基板2、3との密着性を向上させることができる。この実施形態は基板間隔T2を30μm以下、さらには10μm以下とする場合に有効である。
さらに、上述した封着材料層5全体としての膜厚(T1+T3)、それに基づく封着層4全体としての膜厚(T1+T2)に応じた粒径を有する低膨張充填材は、封着層4自体の強度の向上に寄与する。すなわち、溝6内に埋め込まれた封着層4はせん断応力等が印加された際に、ガラス基板3の表面に沿って破壊が生じるおそれがある。このような点に対して、膜厚(T1+T2)内に収まる大粒径の低膨張充填材粒子を使用することで、封着層4の強度を高めることが可能となる。このような低膨張充填材粒子は封着材料層5に対してスペーサ効果を付与するため、封着材料層5の溶融・固化に伴う膜厚減少が抑制される。これによって、膜厚の減少に基づく応力の発生を抑制することが可能となる。
このような点から、低膨張充填材は封着層4全体としての膜厚(T1+T2)を超える粒径を有する粒子(低膨張充填材粒子)を含まないと共に、溝深さT1と基板間隔T2のいずれか大きい寸法(T4)を超える粒径を有する粒子を体積割合で0.05%以上の範囲で含んでいることが好ましい。このような粒子構成を有する低膨張充填材は、例えば低膨張充填材粉末を篩や風力分離等により分級したり、また粒度分布が異なる2種類以上の低膨張充填材粉末を混合することにより得ることができる。
封着層4の膜厚(T1+T2)に対して、粒径がT4を超える粒子を0.05体積%以上含む低膨張充填材を使用することによって、特に封着層4のガラス基板3の表面に沿った破壊を再現性よく抑制することができる。従って、封着層4を有する電子デバイス1の機械的強度や信頼性を向上させることが可能となる。粒径がT4を超える粒子の体積割合が0.05%未満であると、そのような効果を十分に得ることができない。低膨張充填材における粒径がT4を超える粒子の体積割合は0.1%以上であることがより好ましい。
ただし、粒径がT4を超える粒子の体積割合が多くなりすぎると、それ以下の粒径を有する低膨張充填材粒子の含有量が相対的に減少し、封着材料層5における低膨張充填材粒子の分布が不均一になるおそれがある。この場合、封着材料層5の熱膨張係数が部分的に増大して封着層4自体にクラック等が生じやすくなる。このため、粒径がT4を超える粒子の体積割合は20%以下とすることが好ましく、さらに低膨張充填材の実用性等を考慮すると5%以下とすることが望ましい。
この実施形態の電子デバイス1とその製造工程によれば、封着層4とガラス基板2、3との接着強度、特に第2のガラス基板3との接着強度を十分に高めることができる。接着強度の向上効果は、特に封着層4の線幅Wや基板間隔T2を狭くする場合に有効に機能し、封着層4の線幅Wを狭くして素子形成領域2aの面積の拡大を図った電子デバイス1、また基板間隔T2を狭くして光の内部散乱を抑制した電子デバイス1においても、封着層4とガラス基板2、3との接着強度を高めることができる。従って、封着層4の線幅Wや基板間隔T2を狭くする場合を含めて、電子デバイス1の機械的信頼性、気密封止性やその信頼性等を向上させることが可能となる。
次に、本発明の具体的な実施例およびその評価結果について述べる。なお、以下の説明は本発明を限定するものではく、本発明の趣旨に沿った形での改変が可能である。
(実施例1)
まず、SnO63.0モル%、SnO22.0モル%、P2529.5モル%、ZnO5.0モル%、Al230.3モル%、SiO20.2モル%の組成を有し、平均粒径が3μmの錫−リン酸系ガラスフリット(軟化点:399℃、比重:3.9)、低膨張充填材として平均粒径(D50)が9μm、最大粒径(Dmax)が44μmのリン酸ジルコニウム((ZrO)227)粉末、Fe23−Cr23−Co23−MnO組成を有し、最大粒径が9μmのレーザ吸収材を用意した。
上述した錫−リン酸系ガラスフリット51体積%とリン酸ジルコニウム粉末45.2体積%とレーザ吸収材3.8体積%とを混合して封着用ガラス材料(熱膨張係数:45×10−7/℃)を作製した。この封着用ガラス材料80質量%をビヒクル20質量%と混合して封着材料ペーストを調製した。ビヒクルはバインダ成分としてのニトロセルロース4質量%をブチルカルビトールアセテートからなる溶剤96質量%に溶解したものである。
次に、無アルカリガラス(熱膨張係数:38×10−7/℃)からなる第2のガラス基板(寸法:90×90×0.7mmt)を用意し、このガラス基板の封止領域(外周領域)に、サンドブラストを適用して深さT1が25μm、幅が0.5mmの溝を形成した。溝は封止領域の全周にわたって連続するように形成した。溝底面の表面粗さを測定したところ、算術平均粗さRaで0.6μmの表面粗さを有していた。
次いで、第2のガラス基板の溝内に封着材料ペーストをスクリーン印刷法で塗布した後、130℃×5分の条件で乾燥させた。封着材料ペーストはその一部が溝から突出するように塗布した。この塗布層を430℃×10分の条件で焼成することによって、溝から突出した部分の高さT3が21μm、溝内に充填された部分を含む膜厚(T1+T3)が46μmの封着材料層を形成した。封着層によるガラス基板間の間隔T2の設定値は20μmである。従って、溝深さT1と基板間隔T2のうちの大きい方の値(T4)は、溝の深さT1である25μmとなる。
低膨張充填材としてのリン酸ジルコニウム粉末は、溝深さT1と基板間隔T2との合計(45μm)を超える粒子を含んでおらず、さらに溝深さT1と基板間隔T2のうちの大きい方の値T4(溝の深さT1:25μm)を超える粒子を体積割合で3.4%含んでいる。従って、このような低膨張充填材を錫−リン酸系ガラスフリットおよびレーザ吸収材と混合して作製した封着用ガラス材料は、T4(25μm)を超える粒子を体積割合で1.5%含んでいる。リン酸ジルコニウム粉末はボールミルで粉砕した後、気流分級機で粒径が44μmを超える粒子を除去することにより粒子構成を調整したものである。
上述した封着材料層を有する第2のガラス基板と素子形成領域(OEL素子を形成した領域)を有する第1のガラス基板(第2のガラス基板と同組成、同形状の無アルカリガラスからなる基板)とを積層した。次いで、第2のガラス基板を通して封着材料層に対して、波長940nm、出力35Wのレーザ光(半導体レーザ)を10mm/sの走査速度で照射し、封着材料層を溶融並びに急冷固化することによって、第1のガラス基板と第2のガラス基板とを封着した。このようにして、素子形成領域をガラスパネルで封止した電子デバイスを後述する特性評価に供した。
(実施例2)
サンドブラストで深さT1が35μmの溝(Ra=0.6μm)を形成した第2のガラス基板を使用し、膜厚(T1+T3)が46μmの封着材料層を、実施例1と同様にして形成した。この例での基板間隔T2の設定値は10μmである。リン酸ジルコニウム粉末はT1+T2(45μm)を超える粒子を含んでおらず、さらにT4(35μm)を超える粒子を体積割合で0.5%含んでいる。このような低膨張充填材を用いて作製した封着用ガラス材料は、T4(35μm)を超える粒子を体積割合で0.2%含んでいる。
次に、封着材料層を有する第2のガラス基板と素子形成領域(OEL素子を形成した領域)を有する第1のガラス基板とを積層した。第1および第2のガラス基板は実施例1と同様に無アルカリガラスからなるものである。次いで、第2のガラス基板を通して封着材料層に、波長940nm、出力35Wのレーザ光(半導体レーザ)を10mm/sの走査速度で照射し、封着材料層を溶融並びに急冷固化することによって、第1のガラス基板と第2のガラス基板とを封着した。このようにして、素子形成領域をガラスパネルで封止した電子デバイスを後述する特性評価に供した。
(実施例3)
平均粒径(D50)が3μm、最大粒径(Dmax)が19μmのリン酸ジルコニウム粉末を用いると共に、エッチングで深さT1が15μmの溝を形成した第2のガラス基板を使用し、膜厚(T1+T3)を21μmとした封着材料層を、実施例1と同様にして形成した。溝底面の表面粗さRaは0.2μmであった。この例での基板間隔T2の設定値は5μmである。リン酸ジルコニウム粉末はT1+T2(20μm)を超える粒子を含んでおらず、さらにT4(15μm)を超える粒子を体積割合で0.8%含んでいる。このような低膨張充填材を用いて作製した封着用ガラス材料は、T4(15μm)を超える粒子を体積割合で0.4%含んでいる。
次に、封着材料層を有する第2のガラス基板と素子形成領域(OEL素子を形成した領域)を有する第1のガラス基板とを積層した。第1および第2のガラス基板は実施例1と同様に無アルカリガラスからなるものである。次いで、第2のガラス基板を通して封着材料層に、波長940nm、出力40Wのレーザ光(半導体レーザ)を10mm/sの走査速度で照射し、封着材料層を溶融並びに急冷固化することによって、第1のガラス基板と第2のガラス基板とを封着した。このようにして、素子形成領域をガラスパネルで封止した電子デバイスを後述する特性評価に供した。
(実施例4)
平均粒径(D50)が3μm、最大粒径(Dmax)が19μmのリン酸ジルコニウム粉末を用いると共に、サンドブラストで深さT1が20μmの溝(Ra=0.6μm)を形成した第2のガラス基板を使用し、膜厚(T1+T3)を25μmとした封着材料層を、実施例1と同様にして形成した。この例での基板間隔T2の設定値は5μmである。リン酸ジルコニウム粉末はT1+T2(25μm)を超える粒子を含んでおらず、さらにT4(25μm)を超える粒子も含んでいない。
次に、封着材料層を有する第2のガラス基板と素子形成領域(OEL素子を形成した領域)を有する第1のガラス基板とを積層した。第1および第2のガラス基板は実施例1と同様に無アルカリガラスからなるものである。次いで、第2のガラス基板を通して封着材料層に、波長940nm、出力35Wのレーザ光(半導体レーザ)を10mm/sの走査速度で照射し、封着材料層を溶融並びに急冷固化することによって、第1のガラス基板と第2のガラス基板とを封着した。このようにして、素子形成領域をガラスパネルで封止した電子デバイスを後述する特性評価に供した。
(実施例5)
実施例1と同組成の錫−リン酸系ガラスフリット52.5体積%と平均粒径(D50)が4μm、最大粒径(Dmax)が31μmのシリカ(SiO2)粉末44.6体積%とレーザ吸収材2.9体積%とを混合して封着用ガラス材料(熱膨張係数:49×10−7/℃)を作製した。この封着用ガラス材料80質量%を実施例1と同様なビヒクル20質量%と混合して封着材料ペーストを調製した。次いで、実施例1と同様な無アルカリガラスからなる第2のガラス基板の封止領域(外周領域)に、エッチング加工を適用して深さT1が25μm、幅が0.5mmの溝(Ra=0.3μm)を形成した。
次いで、上記した封着材料ペーストとガラス基板とを用いて、膜厚(T1+T3)を36μmとした封着材料層を、実施例1と同様にして形成した。この例での基板間隔T2の設定値は10μmである。シリカ粉末はT1+T2(35μm)を超える粒子を含んでおらず、さらにT4(25μm)を超える粒子を体積割合で0.2%含んでいる。このような低膨張充填材を用いて作製した封着用ガラス材料は、T4(25μm)を超える粒子を体積割合で0.09%含んでいる。
次に、封着材料層を有する第2のガラス基板と素子形成領域(OEL素子を形成した領域)を有する第1のガラス基板とを積層した。第1および第2のガラス基板は実施例1と同様に無アルカリガラスからなるものである。次いで、第2のガラス基板を通して封着材料層に、波長940nm、出力35Wのレーザ光(半導体レーザ)を10mm/sの走査速度で照射し、封着材料層を溶融並びに急冷固化することによって、第1のガラス基板と第2のガラス基板とを封着した。このようにして、素子形成領域をガラスパネルで封止した電子デバイスを後述する特性評価に供した。
(実施例6)
質量割合でBi2382.0%、B236.5%、ZnO11.0%、Al230.5%の組成を有し、平均粒径が2μmのビスマス系ガラスフリット(軟化点:420℃、比重:7.3)、低膨張充填材として平均粒径(D50)が6μm、最大粒径(Dmax)が24μmのコージェライト粉末、および実施例1と同一のレーザ吸収材を用意した。
上述したビスマス系ガラスフリット80.4体積%とコージェライト粉末17.6体積%とレーザ吸収材2.0体積%とを混合して封着用ガラス材料(熱膨張係数:82×10−7/℃)を作製した。この封着用ガラス材料80質量%をビヒクル20質量%と混合して封着材料ペーストを調製した。ビヒクルはバインダ成分としてのエチルセルロース5質量%をターピネオール(31.6%)とプロピレングリコールジアセテート(68.4%)との混合溶剤95質量%に溶解して作製したものである。
次に、ソーダライムガラス(熱膨張係数:87×10−7/℃)からなる第2のガラス基板(寸法:100×100×1.1mmt)を用意し、このガラス基板の封止領域(外周領域)に、レーザ加工を適用して深さT1が5μm、幅が1mmの溝を形成した。溝は封止領域の全周にわたって連続するように形成した。溝底面の表面粗さを測定したところ、算術平均粗さRaで1.0μmの表面粗さを有していた。
次いで、第2のガラス基板の溝内に封着材料ペーストをスクリーン印刷法で塗布した後、130℃×5分の条件で乾燥させた。封着材料ペーストはその一部が溝から突出するように塗布した。この塗布層を450℃×10分の条件で焼成することによって、溝から突出した部分の高さT3が21μm、溝内に充填された部分を含む膜厚(T1+T3)が26μmの封着材料層を形成した。封着層によるガラス基板間の間隔T2の設定値は20μmである。従って、溝深さT1と基板間隔T2のうちの大きい方の値(T4)は、基板間隔T2である20μmとなる。
コージェライト粉末は、溝深さT1と基板間隔T2との合計(25μm)を超える粒子を含んでおらず、さらに溝深さT1と基板間隔T2のうちの大きい方の値T4(基板間隔T2:20μm)を超える粒子を体積割合で3.2%含んでいる。このような低膨張充填材を用いて作製した封着用ガラス材料は、T4(20μm)を超える粒子を体積割合で0.6%含んでいる。コージェライト粉末はボールミルで粉砕した後、気流分級機で粒径が24μmを超える粒子を除去することにより粒子構成を調整したものである。
上述した封着材料層を有する第2のガラス基板と素子形成領域(OEL素子を形成した領域)を有する第1のガラス基板(第2のガラス基板と同組成、同形状のソーダライムガラスからなる基板)とを積層した。次いで、第2のガラス基板を通して封着材料層に対して、波長940nm、出力60Wのレーザ光(半導体レーザ)を5mm/sの走査速度で照射し、封着材料層を溶融並びに急冷固化することによって、第1のガラス基板と第2のガラス基板とを封着した。このようにして、素子形成領域をガラスパネルで封止した電子デバイスを後述する特性評価に供した。
(実施例7)
実施例6と同組成のビスマス系ガラスフリット73.5体積%と平均粒径(D50)が5μm、最大粒径(Dmax)が19μmのコージェライト粉末24.7体積%とレーザ吸収材1.8体積%とを混合して封着用ガラス材料(熱膨張係数:73×10−7/℃)を作製した。この封着用ガラス材料80質量%を実施例6と同様なビヒクル20質量%と混合して封着材料ペーストを調製した。次いで、実施例6と同様なソーダライムガラスからなる第2のガラス基板の封止領域(外周領域)に、エッチング加工を適用して深さT1が15μm、幅が1mmの溝(Ra=0.6μm)を形成した。
次いで、上記した封着材料ペーストとガラス基板とを用いて、膜厚(T1+T3)を20μmとした封着材料層を、実施例6と同様にして形成した。この例での基板間隔T2の設定値は5μmである。コージェライト粉末はT1+T2(20μm)を超える粒子を含んでおらず、さらにT4(15μm)を超える粒子を体積割合で0.5%含んでいる。このような低膨張充填材を用いて作製した封着用ガラス材料は、T4(15μm)を超える粒子を体積割合で0.12%含んでいる。
次に、封着材料層を有する第2のガラス基板と素子形成領域(OEL素子を形成した領域)を有する第1のガラス基板とを積層した。第1および第2のガラス基板は実施例6と同様にソーダライムガラスからなるものである。次いで、第2のガラス基板を通して封着材料層に、波長940nm、出力65Wのレーザ光(半導体レーザ)を5mm/sの走査速度で照射し、封着材料層を溶融並びに急冷固化することによって、第1のガラス基板と第2のガラス基板とを封着した。このようにして、素子形成領域をガラスパネルで封止した電子デバイスを後述する特性評価に供した。
(実施例8)
実施例6と同組成のビスマス系ガラスフリット67.2体積%と平均粒径(D50)が11μm、最大粒径(Dmax)が52μmのコージェライト粉末31.1体積%とレーザ吸収材1.6体積%とを混合して封着用ガラス材料(熱膨張係数:63×10−7/℃)を作製した。この封着用ガラス材料80質量%を実施例6と同様なビヒクル20質量%と混合して封着材料ペーストを調製した。次いで、実施例6と同様なソーダライムガラスからなる第2のガラス基板(板厚=3mm)の封止領域(外周領域)に、サンドブラストを適用して深さT1が45μm、幅が1mmの溝(Ra=0.8μm)を形成した。
次いで、上記した封着材料ペーストとガラス基板とを用いて、膜厚(T1+T3)を62μmとした封着材料層を、実施例6と同様にして形成した。この例での基板間隔T2の設定値は15μmである。コージェライト粉末はT1+T2(60μm)を超える粒子を含んでおらず、さらにT4(45μm)を超える粒子を体積割合で1.3%含んでいる。このような低膨張充填材を用いて作製した封着用ガラス材料は、T4(45μm)を超える粒子を体積割合で0.4%含んでいる。
次に、封着材料層を有する第2のガラス基板と素子形成領域(OEL素子を形成した領域)を有する第1のガラス基板とを積層した。第1および第2のガラス基板は実施例6と同様にソーダライムガラスからなるものである。次いで、第2のガラス基板を通して封着材料層に、波長940nm、出力65Wのレーザ光(半導体レーザ)を5mm/sの走査速度で照射し、封着材料層を溶融並びに急冷固化することによって、第1のガラス基板と第2のガラス基板とを封着した。このようにして、素子形成領域をガラスパネルで封止した電子デバイスを後述する特性評価に供した。
(比較例1)
実施例1と同組成の錫−リン酸系ガラスフリット、平均粒径(D50)が2μm、最大粒径(Dmax)が9μmのリン酸ジルコニウム粉末、およびレーザ吸収材を使用し、実施例1と同様にして作製した封着用ガラス材料と、溝を形成していない無アルカリガラスからなる第2のガラス基板(熱膨張係数や形状は実施例1と同一である)とを用いて、膜厚が10μmの封着材料層を形成した。この例での基板間隔T2の設定値は10μmである。リン酸ジルコニウム粉末は封着材料層の膜厚(10μm)、さらには封着層の膜厚を超える粒子を含んでいない。
次に、封着材料層を有する第2のガラス基板と素子形成領域(OEL素子を形成した領域)を有する第1のガラス基板とを積層した。第1および第2のガラス基板は実施例1と同様に無アルカリガラスからなるものである。次いで、第2のガラス基板を通して封着材料層に、波長940nm、出力35Wのレーザ光(半導体レーザ)を10mm/sの走査速度で照射し、封着材料層を溶融並びに急冷固化することによって、第1のガラス基板と第2のガラス基板とを封着した。このようにして、素子形成領域をガラスパネルで封止した電子デバイスを後述する特性評価に供した。
(比較例2)
封着材料層に照射するレーザ光(半導体レーザ)の出力を50Wに変更すると共に、レーザ光の走査速度を5mm/sに変更する以外は比較例1と同様にして、第1のガラス基板と第2のガラス基板とを封着した。このようにして、素子形成領域をガラスパネルで封止した電子デバイスを後述する特性評価に供した。
(比較例3)
実施例1と同組成の錫−リン酸系ガラスフリット58.2体積%と平均粒径(D50)が3μm、最大粒径(Dmax)が12μmのリン酸ジルコニウム粉末37.9体積%とレーザ吸収材3.9体積%とを混合して封着用ガラス材料(熱膨張係数:61×10−7/℃)を作製した。この封着用ガラス材料80質量%を実施例1と同様なビヒクル20質量%と混合して封着材料ペーストを調製した。
次いで、上記した封着材料ペーストと溝を形成していない無アルカリガラスからなる第2のガラス基板(熱膨張係数や形状は実施例1と同一である)とを用いて、膜厚が16μmの封着材料層を形成した。この例での基板間隔T2の設定値は15μmである。リン酸ジルコニウム粉末は封着材料層の膜厚(16μm)、さらには封着層の膜厚(15μm)を超える粒子を含んでいない。
次に、封着材料層を有する第2のガラス基板と素子形成領域(OEL素子を形成した領域)を有する第1のガラス基板とを積層した。第1および第2のガラス基板は実施例1と同様に無アルカリガラスからなるものである。次いで、第2のガラス基板を通して封着材料層に、波長940nm、出力35Wのレーザ光(半導体レーザ)を10mm/sの走査速度で照射し、封着材料層を溶融並びに急冷固化することによって、第1のガラス基板と第2のガラス基板とを封着した。このようにして、素子形成領域をガラスパネルで封止した電子デバイスを後述する特性評価に供した。
次に、実施例1〜8および比較例1〜3のガラスパネルの外観について、レーザ光の照射終了時点における基板割れや封着層のクラックを評価した。外観は光学顕微鏡で観察して評価した。また、各ガラスパネルの気密性を測定した。気密性はヘリウムリークテストを適用して評価した。さらに、各例で用いたガラス基板(溝の有無を含む)と封着用ガラス材料について、以下に示す剥離試験を実施して接着強度を評価した。これらの測定・評価結果をガラスパネルの製造条件と併せて表1、表2および表3に示す。
剥離試験は以下のようにして実施した。40×40mmのガラス基板(板厚は各例と同一とし、実施例の評価においては溝付きのガラス基板を使用)に、各例の封着材料ペーストをディスペンサで1辺が30mmの額縁状パターン(線幅:1mm)に塗布した。これを乾燥・焼成した後、対向基板をずらして配置してレーザ封着した。レーザ封着は各例に準じた条件で実施した。このようにして形成した剥離試験用サンプルの一方のガラス基板を治具で固定し、他方のガラス基板の面方向に荷重(せん断応力)を加え、その際の破壊状態を観察した。なお、剥離試験では封着層の接着強度やそれ自体の強度以外の要因を排除するために、40×40mmのガラス基板を使用した。
上記した剥離試験において、破壊モードが[ガラス基板の破壊(基板破壊)]である場合に、ガラスパッケージ(気密容器)として好ましい接着状態であると言うことができる。破壊モードが[封着層の破壊]である場合、ガラスパッケージ(気密容器)として使用できるものの、[基板破壊]の場合と比べて若干機械的な信頼性が劣るものである。破壊モードが[封着層と基板との界面で剥離(界面剥離)]である場合には、界面の接着強度が弱く、ガラスパッケージ(気密容器)に適さないと判断することができる。
Figure 2010228998
Figure 2010228998
Figure 2010228998
表1、表2および表3から明らかなように、実施例1〜8によるガラスパネルはいずれも外観や気密性に優れ、さらに良好な接着強度が得られていることが分かる。実施例4は低膨張充填材の粒径が小さいため、封着層の強度が他の実施例と比べると劣るものであった。実施例3は溝部でのレーザ散乱が小さいため、レーザ光の出力を上げる必要があった。実施例6は溝部の表面粗さが若干大きいため、剥離試験で溝部から破壊が生じた。これらに対し、溝を形成していないガラス基板を用いた比較例1〜3のガラスパネルは、いずれも剥離試験で界面剥離が生じ、十分な接着強度が得られていないことが確認された。
1…電子デバイス、2…第1のガラス基板、2a…素子形成領域、2b…第1の封止領域、3…第2のガラス基板、3a…第2の封止領域、4…封着層、5…封着材料層、6…溝、7…レーザ光。

Claims (13)

  1. 封止領域と、前記封止領域に連続して形成された溝とを有するガラス基板と、
    前記溝内に設けられ、封着ガラスと低膨張充填材とレーザ吸収材とを含有する枠状の封着用ガラス材料の焼成層からなる封着材料層とを具備し、
    前記封着材料層はその上部が前記溝から突出するように設けられていることを特徴とする封着材料層付きガラス部材。
  2. 前記溝は5〜60μmの範囲の深さと3mm以下の範囲の幅とを有することを特徴とする請求項1記載の封着材料層付きガラス部材。
  3. 前記溝の底面の表面粗さが算術平均粗さRaで0.3μm以上1μm未満の範囲であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の封着材料層付きガラス部材。
  4. 前記低膨張充填材はシリカ、アルミナ、ジルコニア、珪酸ジルコニウム、コージェライト、リン酸ジルコニウム系化合物、ソーダライムガラスおよび硼珪酸ガラスから選ばれる少なくとも1種からなり、かつ前記封着用ガラス材料は前記低膨張充填材を15〜50体積%の範囲で含有することを特徴とする請求項1記載の封着材料層付きガラス部材。
  5. 前記レーザ吸収材はFe、Cr、Mn、Co、NiおよびCuから選ばれる少なくとも1種の金属または前記金属を含む化合物からなり、かつ前記封着用ガラス材料は前記レーザ吸収材を0.1〜10体積%の範囲で含有することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項記載の封着材料層付きガラス部材。
  6. 前記封着ガラスは錫−リン酸系ガラスまたはビスマス系ガラスからなることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項記載の封着材料層付きガラス部材。
  7. 電子素子を備える素子形成領域と、前記素子形成領域の外周に沿って設けられた第1の封止領域とを有する第1のガラス基板と、
    前記第1のガラス基板の前記第1の封止領域に対応する第2の封止領域と、前記第2の封止領域に連続して形成された溝とを有する第2のガラス基板と、
    前記第1のガラス基板の前記第1の封止領域と前記第2のガラス基板の前記第2の封止領域との間を、前記素子形成領域上に間隙を設けつつ封止するように形成され、封着ガラスと低膨張充填材とレーザ吸収材とを含有する封着用ガラス材料の溶融固着層からなる封着層とを具備し、
    前記封着層の一部は前記溝内に埋め込まれていることを特徴とする電子デバイス。
  8. 前記溝は、前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板との間の間隔T2に対して、T1/(T1+T2)≧0.2の関係を満足する深さT1を有することを特徴とする請求項7項記載の電子デバイス。
  9. 前記溝は5〜60μmの範囲の深さと3mm以下の範囲の幅とを有することを特徴とする請求項7または請求項8項記載の電子デバイス。
  10. 前記封着用ガラス材料は、前記溝の深さT1と前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板との間の間隔T2との合計(T1+T2)を超える粒径を有する前記低膨張充填材粒子を含まないと共に、前記深さT1と前記間隔T2のいずれか大きい寸法を超える粒径を有する前記低膨張充填材粒子を体積割合で0.05%以上の範囲で含むことを特徴とする請求項7ないし請求項9のいずれか1項記載の電子デバイス。
  11. 前記電子素子は有機EL素子または太陽電池素子であることを特徴とする請求項7ないし請求項10のいずれか1項記載の電子デバイス。
  12. 電子素子を備える素子形成領域と、前記素子形成領域の外周に沿って設けられた第1の封止領域とを有する第1のガラス基板を用意する工程と、
    前記第1のガラス基板の前記第1の封止領域に対応する第2の封止領域と、前記第2の封止領域に連続して形成された溝と、その上部が前記溝から突出するように前記溝内に設けられ、封着ガラスと低膨張充填材とレーザ吸収材とを含有する封着用ガラス材料の焼成層からなる枠状の封着材料層とを有する第2のガラス基板を用意する工程と、
    前記素子形成領域上に間隙を形成しつつ、前記封着材料層を介して前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板とを積層する工程と、
    前記第2のガラス基板を通して前記封着材料層にレーザ光を照射し、前記封着材料層を溶融させて前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板との間を封止する封着層を形成する工程と
    を具備することを特徴とする電子デバイスの製造方法
  13. 前記電子素子は有機EL素子または太陽電池素子であることを特徴とする請求項12記載の電子デバイスの製造方法。
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