JP2010228482A - 車両の車体下部構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】クロスメンバ30のサイドシル側端部を、サイドシル6から所定間隔を隔てた位置に配設し、クロスメンバ30のサイドシル側端部とサイドシル6の側面とを結合する結合部材35を設け、結合部材35がクロスメンバ30より低強度に設定され、結合部材35のクロスメンバ結合領域Cの強度が、結合部材35のサイドシル結合領域Sの強度より高くなるように構成されたことを特徴とする。
【選択図】図9
Description
このような問題点を解決するために、特許文献1に開示されているように、センタピラーが結合されたサイドシルと、トンネル部との間を結合するクロスメンバにおいて、該クロスメンバの車幅方向外方側のサイドシルに近接する部分に、断面ハット形状のクロスメンバの稜線部に穴を開口形成し、クロスメンバのサイドシルに対する接続部分の断面耐力を、クロスメンバ本体の断面耐力よりも小さく設定したものが既に発明されている。
上記構成によれば、センタピラーおよびサイドシルを介して入力される側突荷重を、その入力初期においては、サイドシルとクロスメンバとの間の結合部材における強度が低いサイドシル結合領域で荷重を受け、このサイドシル結合領域が荷重を吸収しながら軸方向(車幅方向)に潰れて、衝撃エネルギを吸収する。
また、上記クロスメンバは結合部材より高強度に設定されているので、該クロスメンバは上記各入力に耐えられる強度を有しており、このクロスメンバの座屈変形を抑制しつつ、上記結合部材にて、軸方向(車幅方向)の圧縮入力と、曲げモーメントによる曲げ入力とを効果的に吸収することができる。
また、該結合部材が軸方向(車幅方向)に潰れることにより、センタピラー下部が車幅方向内方へ所定量移動し得る変形代を確保することができ、この変形代の確保によりセンタピラー上部の車室内への侵入量抑制を図ることができる。
上記構成によれば、シートを支持するシート取付けブラケットを利用して、クロスメンバの座屈変形を抑制しつつ、軸方向(車幅方向)の圧縮入力と、曲げモーメントによる曲げ入力とを効果的に吸収することができるうえ、センタピラー下部の変形代の確保によりセンタピラー上部の車室内への侵入量抑制を図ることができる。
上述のクロスメンバの車幅方向外側部と、クロスメンバの車幅方向内側部とは、テーラードブランクにより一体に形成してもよく、また、それぞれ別々の部材にて形成してもよい。
上記構成によれば、強度が必要なクロスメンバの車幅方向外側部のみを高強度に構成することができるので、重量増加やコストアップを抑制することができる。
上記構成によれば、側突時におけるサイドシルからの曲げモーメントに対して、上側に位置するクロスメンバの車幅方向外側部から下側に位置するクロスメンバの車幅方向内側部に効果的に荷重を伝達することができる。
上述の補強部はビードに設定してもよい。
上記構成によれば、サイドシルからの曲げモーメントに対するクロスメンバの耐力向上を図ることができる。
上述のフレーム部材は、フロアフレームに設定してもよい。
上記構成によれば、側突時においてサイドシルからの荷重を、高強度のクロスメンバの車幅方向外側部を介して、フロアパネル下部のフレーム部材で支えることができる。
上記構成によれば、上述の空間部を設けたことにより、側突荷重の入力初期に上記結合部材のサイドシル結合領域を確実に圧縮変形させて、上記センタピラー下部の変形代をより一層確実に確保することができる。
図面は車両の車体下部構造を示し、図1において、車室の底面を形成するフロアパネル1を設け、このフロアパネル1の車幅方向中央には、車室内へ突出して車両の前後方向へ延びるトンネル部2(いわゆるフロアトンネル)を一体または一体的に形成している。このトンネル部2は車体剛性の中心となるものである。
このサイドシル6は、図2、図3に示すように、サイドシルインナ7と、サイドシルレインフォースメント8と、サイドシルアウタ9とを接合固定して、車両の前後方向に延びるサイドシル閉断面10を備えた強度部材である。
ヒンジピラー11は、ヒンジピラーアウタとヒンジピラーインナとを備えて、上下方向に延びるヒンジピラー閉断面をもった車体剛性部材であって、このヒンジピラー11はルーフサイドレール13とサイドシル6との間に立設固定されており、必要に応じて上記ヒンジピラーアウタとヒンジピラーインナとの間には、ヒンジピラーレインフォースメントが設けられる。
ここで、上述のヒンジピラー11と、サイドシル6と、センタピラー12と、ルーフサイドレール13とで囲繞された空間部を、前席乗員の乗降口14(ドア開口部)に設定すると共に、センタピラー12と、サイドシル6と、クオータピラー15と、ルーフサイドレール13とで囲繞された空間部を、後席乗員の乗降口16(ドア開口部)に設定している。
また、このクロスメンバ20と前後方向に離間するように上述のセンタピラー12と対応して、フロアパネル1上部のトンネル部2と、サイドシル6との間には、車幅方向に延びるクロスメンバ30(いわゆるNo.2.5クロスメンバ)を設けている。
上述の各クロスメンバ20,30および各リヤクロスメンバ40,50は、車体剛性部材であって、これらの各クロスメンバ20,30,40,50により車体下部の剛性向上を図るように構成している。
この実施例では、上述のフロアフレーム18は、その前部がサイドシルインナ7とトンネル部2の縦壁部との車幅方向中間に位置し、該フロアフレーム18が後方にいくに従って車幅方向外方に位置するように、平面視スラント状に配設されている。
この切欠部23は、図5、図6に示すように、クロスメンバ20におけるサイドシルインナ7との結合端部近傍において車幅方向内側に切欠かれた脆弱部であって、さらに詳しくは、クロスメンバ20の上片20aと前片20bとの間の前側の稜線Xと、上片20aと後片20dとの間の後側の稜線Yとを、サイドシルインナ7との結合端部近傍において車幅方向内側に切欠いて構成したものである。
このように、強度が高い稜線X,Y部分を切欠いて切欠部23を前後に設けることで、適切な衝撃吸収部となすことができる。
ここで、補強部材としてのナットプレート24の車幅方向外側端部24aは、図6に拡大図で示すように、サイドシルインナ7に対して車幅方向内側に離間して設けられている。
上述のナットプレート24は、図示しない乗員用シート(フロントシート)を上述のクロスメンバ20に固定するためのシート取付部材であり、また該ナットプレート24はクロスメンバ20とフロアパネル1との間の閉断面21(図4参照)内に、そのデッドスペースを利用して、設けられて乗員用シート固定用のナット25を保持するためのプレートである。
しかも、補強部材およびシート取付部材としてのナットプレート24の強度は、上述のクロスメンバ20の本体部20Aの強度よりも弱く設定されている。
ここで、第1クロスメンバ31を第2クロスメンバ32に対して高強度に形成する具体的構成としては、第1クロスメンバ31の板厚を、第2クロスメンバ32の板厚に対して厚く設定してもよく、第1クロスメンバ31をハイテン鋼(高張力鋼板)で形成する一方、第2クロスメンバ32を一般的な鋼板で形成する構造を採用してもよい。
しかも、図7に示すように、上述の第1および第2の各クロスメンバ31,32から成るクロスメンバ30のサイドシル6側端部は、該サイドシル6のサイドシルインナ7から所定間隔を隔てた位置に配設されている。
そして、第1クロスメンバ31のサイドシル側端部と、サイドシル6におけるサイドシルインナ7の側面とを結合する結合部材35を設けると共に、第2クロスメンバ32のトンネル部側端部と、トンネル部2における縦壁部とを結合する結合部材36を設けている。
これらの各結合部材35,36は、乗員用シートとしてのフロントシート(図示せず)を支持するシート取付けブラケットにて構成されている。
そして、接合フランジ部35fを前片部35bの内面に予めスポット溶接にて接合固定すると共に、接合フランジ部35gを後片部35cの内面に予めスポット溶接にて接合固定している。
また、上述の結合部材35はクロスメンバ30よりも低強度に設定されると共に、該結合部材35のクロスメンバ結合領域Cの強度は、該結合部材35のサイドシル結合領域Sの強度よりも高くなるように構成されている。
さらに、図9に正面図で示すように、上述の結合部材35のサイドシル結合領域Sの下端と、フロアパネル1上部との間には、側突荷重入力時に該サイドシル結合領域Sを圧縮変形すべく空間部37が設けられている。
このナットプレート38は、図11に斜視図で示すように、略水平な上片部38aと、この上片部38aの前後両端から下方に向けて折曲げ形成された前後の取付け片38b,38cと、上片部38aに開口形成された2つの開口部38d,38eとを備えている。
そして、ナット支持部材39下面のナットNを、ナットプレート38の開口部38dに遊嵌すると共に、係止片39aを他の開口部38eに挿入し、シート取付け時において製作誤差を吸収すべく、ナット支持部材39がナットNを備えた状態で前後左右方向に微動調整できるように構成している。
また、センタピラーアウタ43の下部は、サイドシルアウタ9と一体または一体的に形成されている。
なお、図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印OUTは車両外方を示し、矢印UPは車両上方を示す。
図8に示すように、第1クロスメンバ31のサイドシル側の端部と、サイドシルインナ7とは直接接続されておらず、第1クロスメンバ31のサイドシル側の端部は、サイドシルインナ7から所定間隔を隔てた位置に配設されており、第1クロスメンバ31とサイドシルインナ7との間は、結合部材35で結合され、また、この結合部材35の強度はクロスメンバ30および第1クロスメンバ31よりも低強度に設定され、かつ、該結合部材35のクロスメンバ結合領域Cの強度がそのサイドシル結合領域Sの強度よりも高く設定されているので、次のような作用を奏する。
また、上記クロスメンバ30は結合部材35より高強度に設定されているので、該クロスメンバ30は上記各入力に耐えられる強度を有しており、このクロスメンバ30の座屈変形を抑制しつつ、上記結合部材35にて、軸方向(車幅方向)の圧縮入力と、曲げモーメントによる曲げ入力とを効果的に吸収することができる。
さらに、上記結合部材35が乗員用シートを支持するシート取付けブラケットにて構成されたものである(図7〜図9参照)。
この構成によれば、シートを支持するシート取付けブラケットを利用して、クロスメンバ30の座屈変形を抑制しつつ、軸方向(車幅方向)の圧縮入力と、曲げモーメントによる曲げ入力とを効果的に吸収することができるうえ、センタピラー12下部の変形代の確保によりセンタピラー12上部の車室内への侵入量抑制を図ることができる。
この構成によれば、強度が必要なクロスメンバ30の車幅方向外側部(実施例の第1クロスメンバ31参照)のみを高強度に構成することができるので、重量増加やコストアップを抑制することができる。
この構成によれば、側突時におけるサイドシル6からの曲げモーメントに対して、上側に位置するクロスメンバの車幅方向外側部(第1クロスメンバ31参照)から下側に位置するクロスメンバの車幅方向内側部(第2クロスメンバ32参照)に効果的に荷重を伝達することができる。
上記構成によれば、部品点数の増加を招くことなく、サイドシル6からの曲げモーメントに対するクロスメンバ30の耐力向上を図ることができる。
この構成によれば、側突時においてサイドシル6からの荷重を、高強度のクロスメンバの車幅方向外側部(第1クロスメンバ31参照)を介して、フロアパネル1下部のフレーム部材(フロアフレーム18参照)で支えることができる。
この構成によれば、上述の空間部37を設けたことにより、側突荷重の入力初期に上記結合部材35のサイドシル結合領域Sをより一層確実に圧縮変形させて、上記センタピラー12下部の変形代をより一層確実に確保することができる。
図1〜図11で示した先の実施例においては、第1クロスメンバ31と第2クロスメンバ32とを別部材により形成したが、図12に示すこの実施例においては、テーラードブランクにより第1クロスメンバ31と第2クロスメンバ32とを実質的に一体形成したものである。
このように、クロスメンバ30を、テーラードブランクにより構成しても、第1クロスメンバ31を第2クロスメンバ32に対して高強度に形成することができる。
この発明のクロスメンバの車幅方向外側部は、実施例の第1クロスメンバ31に対応し、
以下同様に、
クロスメンバの車幅方向内側部は、第2クロスメンバ32に対応し、
補強部は、ビード33,34に対応し、
フレーム部材は、フロアフレーム18に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
2…トンネル部
6…サイドシル
12…センタピラー
18…フロアフレーム(フレーム部材)
30…クロスメンバ
31…第1クロスメンバ(クロスメンバの車幅方向外側部)
32…第2クロスメンバ(クロスメンバの車幅方向内側部)
33,34…ビード(補強部)
35…結合部材
37…空間部
C…クロスメンバ結合領域
S…サイドシル結合領域
Z…境界部
Claims (7)
- フロアパネル上部のトンネル部と、センタピラーが結合されたサイドシルとの間に、車幅方向に延びるクロスメンバが設けられた車両の車体下部構造であって、
上記クロスメンバのサイドシル側端部を、該サイドシルから所定間隔を隔てた位置に配設すると共に、
上記クロスメンバのサイドシル側端部と上記サイドシルの側面とを結合する結合部材を設け、
該結合部材が上記クロスメンバより低強度に設定されると共に、
該結合部材のクロスメンバ結合領域の強度が、該結合部材のサイドシル結合領域の強度より高くなるように構成された
車両の車体下部構造。 - 上記結合部材が乗員用シートを支持するシート取付けブラケットにて構成された
請求項1記載の車両の車体下部構造。 - 上記クロスメンバの車幅方向外側部が、該クロスメンバの車幅方向内側部に対して高強度に形成された
請求項1または2記載の車両の車体下部構造。 - 上記クロスメンバの車幅方向外側部と、該クロスメンバの車幅方向内側部とが別部材にて構成され、
上記外側部を上記内側部に対して上側にして接合固定した
請求項3記載の車両の車体下部構造。 - 上記クロスメンバの上部には車幅方向に延びる補強部が一体形成された
請求項1〜4の何れか1に記載の車両の車体下部構造。 - 上記クロスメンバの車幅方向外側部と、該クロスメンバの車幅方向内側部との境界部を、
上記トンネル部とサイドシルとの間においてフロアパネル下部に車両前後方向に延びるように設けられたフレーム部材と対応する上側位置、または該上側位置よりもトンネル部側に配設した
請求項3〜5の何れか1に記載の車両の車体下部構造。 - 上記結合部材のサイドシル結合領域の下端と、上記フロアパネル上部との間には、側突荷重入力時に該サイドシル結合領域を圧縮変形すべく空間部が設けられた
請求項1〜6の何れか1に記載の車両の車体下部構造。
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