JP2010223943A - 放射性同位元素の製造方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】原料ターゲットに加速器からの高速中性子を照射し、1個の中性子の照射により1個の4Heを放出する(n,4He)反応を起させ、放射性同位元素を生成させることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
2H+3H→4He+n
4×En=Ed+2×{2×Ed×En}1/2×cosθ+3×Q
ここでEdは重水素エネルギー、Qは反応の発生エネルギーでQ=17.6MeVである。閧ヘ生成される中性子が入射重水素となす角度である。この式より、例えば0.35MeVの低エネルギー重水素を用いると14MeVの高速中性子が得られることが分かる。また、現在プロジェクト遂行中の国際核融合材料照射施設(IFMIF)では液体リチウム(Li)に重水素を照射して高強度の高速中性子を生成する。さらに、金属Liや金属ベリリウム(Be)あるいは炭素(C)に陽子又は重水素を照射しても高速中性子を発生させることができる。
高速中性子による99Moの生成量は中性子量を除くと原子炉の場合の2%である。
原子炉の熱中性子量φ炉:日本原子力研究開発機構研究用原子炉施設JRR3の場合にはφ炉=1014個/(cm2・秒)
式(2)
高速中性子の量φ高速:IFMIFの場合にはφ高速=1014個/(cm2・秒)
式(3)
即ち高速中性子量の原子炉の量に対する比は:φ高速/φ炉=1 式(4)
となる。以上、中性子量を考慮すると、高速中性子利用による99Mo生成量と原子炉利用による99Mo生成量との比は次に与えられる。
0.02×1=0.02 式(5)
ここで比較的容易に高濃度100Moが得られることを考えると(例えば100%濃縮とすると)式(5)の比は、式(1)と式(4)より、
0.02÷9.6×100=0.21 式(6)
となる。即ち、本発明によれば、高速中性子を用いても原子炉での生成量と十分比較できる量の99Moを生成できることがわかる。また、上記のことは、本発明の対象とするそれぞれのターゲットについても同様である。
En={R×cosθ+(1−R2×sin2θ)1/2}2×{MBe×(Ecm+Q)/(MBe+Mn)}
R=[Mn×Mp×Ecm/{MBe×MLi×(Ecm+Q)}]1/2
Ecm=MLi×Ep/(MLi+Mp)
ここで、Epは陽子のエネルギーであり、Mp、Mn、MLi、MBeは陽子、中性子、Li及びBeの静止質量である。又、θはこの反応で生成される中性子と陽子ビーム軸のなす角度である。Qはこの反応の閾値で、-1.644MeVである。
この式より、例えば16MeVの低エネルギー陽子を用いると陽子ビーム軸方向に約14MeVの高速中性子が得られることが分かる。なお、中性子は主には陽子ビーム方向に放出されるので、ターゲットはビーム軸方向にセットすることが大切である。
図において、1は高電圧電源、2は電源ケーブル、3は加速器ターミナル、4は加速管、5は重陽子輸送ライン、6は高速中性子発生部、7は冷却管、8冷却系、9は原料ターゲット、10はターゲット支持枠あるいは試料容器、11はターゲット支持台、12は放射線遮蔽が施されたRI収容容器(ターゲット保管庫)である。図3の(a)と(b)はそれぞれ、原料ターゲット9を高速中性子発生部6に密着させた状態と離間させた状態を示す。
図5は、本発明の別の実施形態に係るRI製造装置の要部を模式的に示す図で、(a)は重水素ビーム進行方向に垂直な方向から見た模式図で高速中性子発生部と原料ターゲットが密着している場合、(b)は高速中性子発生部と原料ターゲットが離間している場合、(c)は重水素ビーム進行方向から見た模式図である。
本発明によるRIの製造方法は、基本的に、ターゲット核を含む原料ターゲットに、加速器からの高速中性子を照射し、1個の中性子の照射により1個の4Heを放出する(n,4He)反応を起させ、RIを生成させることを特徴とするものである。
<実験目的>
*99Moが14MeVの高速中性子により天然Mo試料を用いて予測どおりの反応断面積で生成される事の確認
*上記反応断面積の絶対値決定に用いる93Nb試料を用い14MeV中性子で生成される92Nbの放射線を測定し、断面積決定に使用できる事の確認
*99Mo生成反応に付随して生成される残留放射性同位元素の定量的評価
*2H+3H→4He+n反応で生成される14MeV中性子が期待される中性子強度で安定に生成されるかどうかの確認(3Hターゲットの性能評価)
*上記反応を誘起させるための2H(重水素ビーム)が安定に供給される事の確認
(小型加速器が安定に稼動する事の検証)
*Moターゲット、Nbターゲットの中性子照射箇所への設置及び取外しが容易に且つ柔軟に行えるかどうかの確認
<実験場所> 日本原子力研究開発機構核融合中性子工学用中性子源施設(FNS)
<実験日時>
中性子照射実験:平成21年1月27日〜1月30日(1日当り6時間照射)
生成Mo放射能測定:平成21年1月27日〜2月5日
<試料> 天然Mo
試料1:直径:約10mm、厚さ:50ミクロン(0.05mm)、重量40.214mg
試料2:直径:約10mm、厚さ:5ミクロン(0.005mm)、重量3.663mg
試料1は6時間照射後測定。
試料2は最終日まで中性子照射後測定。
<試料> 93Nb
試料3:直径10mm、厚さ:0.1mm、重量69.4mg
<Moターゲット設置場所>
2Hビーム軸の延長方向で中性子発生箇所から10cm離れた場所。
<中性子照射条件>
*14MeV中性子生成反応
2H+3H→4He+n:2Hビームエネルギー:0.35MeV
*中性子発生量
発生箇所で1.8×1011n/cm2・秒[1月27日]〜1.5×1011n/cm2・秒[1月30日]
<99Mo生成反応>
100Mo+n→99Mo+2n
<92Nb生成反応>
93Nb+n→92Nb+2n
<99Mo及び残留放射能の測定(FNSで測定)>
*測定条件:中性子照射後ほぼ1時間の冷却時間をおき測定開始
*測定器:Ge半導体検出器
*99Mo試料及び92Nb試料配置:Ge検出器から5cm離れた位置にセット
*99Moは当初予測どおりの量生成されている事を確認
*93Nb試料は99Mo断面積決定に使用できる事を確認
*99Mo生成反応に付随して生成される残留放射性同位元素の定量的評価ができた。(99Moの量に比し微量である事を確認)。
*2H+3H→4He+n反応で生成される14MeV中性子は期待通りの中性子強度で安定に生成する事を確認(3Hターゲットは高い性能を持つと評価できた)
*上記反応を誘起させる2H(重水素ビーム)が安定に供給される事が確認できた。
(小型加速器が安定に稼動する事の検証)
*Moターゲット、Nbターゲットの中性子照射箇所への設置及び取外しが容易に且つ柔軟に行える事を確認した。
<実験場所> 日本原子力研究開発機構核融合中性子工学用中性子源施設(FNS)
<試料> 天然RuO
直径:約10mm、重量521.4mg
<原料ターゲット設置場所>
2Hビーム軸の延長方向で中性子発生箇所から10cm離れた場所。
<中性子照射条件>
*14MeV中性子生成反応
2H+3H→4He+n:2Hビームエネルギー:0.35MeV
*中性子発生量
発生箇所で1.8×1011 n/cm2・秒
<99Mo及び残留放射能の測定(FNSで測定)>
*測定条件:中性子照射を終了して1時間後に測定開始
*測定器:Ge半導体検出器
*99Mo試料配置:Ge検出器から5cm離れた位置にセット
*99Moのベータ崩壊に伴って放出される739keVガンマ線をGe半導体検出器で測定して検出
その測定結果を図7に示す。高速14MeV中性子の照射により99Moが生成されていることが確認された。
2 電源ケーブル
3 加速器ターミナル
4 加速管
5 重陽子輸送ライン
6 高速中性子発生部
7 冷却管
8 冷却系
9 原料ターゲット
10 ターゲット支持枠
11 ターゲット支持台あるいは試料容器
12 RI収容容器(ターゲット保管庫)
21 重水素ビーム
22 真空輸送ライン
23 3重水素含有チタン膜を有する銅板
24 原料ターゲット
25 冷却管
26 陽子ビーム
Claims (7)
- 原料ターゲットに加速器からの高速中性子を照射し、1個の中性子の照射により1個の4Heを放出する(n,4He)反応を起させ、放射性同位元素を生成させることを特徴とする放射性同位元素の製造方法。
- 原料ターゲットのターゲット核として表1の中から選ばれた1種又は複数のターゲット核を含む原料ターゲットに高速中性子を照射することを特徴とする請求項1に記載の放射性同位元素の製造方法。
- 原料ターゲットを加速器の高速中性子発生部に密着させた状態で又は離間させた状態で中性子を原料ターゲットに照射することを特徴とする請求項1又は2に記載の放射性同位元素の製造方法。
- 高速中性子を発生させる加速器と、原料ターゲットを支持するターゲット支持手段を備え、加速器からの高速中性子を原料ターゲットに照射し、1個の中性子の照射により1個の4Heを放出する(n,4He)反応を起させ、放射性同位元素を生成させることを特徴とする放射性同位元素の製造装置。
- 原料ターゲットが、原料ターゲット核として表1の中から選ばれた1種又は複数のターゲット核を含む原料ターゲットであることを特徴とする請求項4に記載の放射性同位元素の製造装置。
- 原料ターゲットが、加速器の高速中性子発生部に密着させた状態で又は離間させた状態でセットされていることを特徴とする請求項4又は5に記載の放射性同位元素の製造装置。
- 加速器の高速中性子発生部が冷却手段を備え、かつ該高速中性子発生部が真空室と大気側の隔壁機能を有し、かつ該高速中性子発生部に原料ターゲットが密着させた状態又は離間させた状態でセットされていることを特徴とする請求項4ないし6のいずれか一項に記載の放射性同位元素の製造装置。
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