JP2010218597A - パターン転写用樹脂スタンパ、及びこれを用いた磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】良好なパターン転写が可能なパターン転写用スタンパを得る。
【解決手段】表面張力は31ないし39mN/mの紫外線硬化型樹脂と、臨界表面張力が31mN/m以下のスタンパとを組み合わせて使用し、パターン転写を行う。
【選択図】図3
【解決手段】表面張力は31ないし39mN/mの紫外線硬化型樹脂と、臨界表面張力が31mN/m以下のスタンパとを組み合わせて使用し、パターン転写を行う。
【選択図】図3
Description
本発明は、磁気記録層表面にディスクリートトラックを有する磁気記録媒体の製造方法に係り、特に、ディスクリートトラック形状を転写する際に使用される樹脂スタンパに関する。
近年、様々な分野において、さらなる高密度化や高精度化のためにナノインプリント技術が注目されている。
例えば、半導体や光学素子、磁気記録媒体などへの応用が検討されている。
磁気記録媒体では、更なる高密度化に対応するために、隣接する記録トラックを溝または非磁性材料からなるガードバンドで分離し、隣接トラック間の磁気的干渉を低減するようにしたディスクリートトラック媒体が注目されている。
このようなディスクリートトラック媒体を製造する際に、スタンパを用いてナノインプリント技術を応用し、磁性層のディスクリートトラックパターンを形成することができる。インプリント法によって記録トラックのパターンとともにサーボ領域の信号に相当する磁性層のパターンも形成すれば、従来の磁気記録媒体の製造時に必要とされるサーボトラックを描画する工程をなくすことが可能となるので、コスト低減にもつながる。
このようなディスクリートトラックパターンを形成するプロセスとして、Niスタンパーから、例えば高圧インプリント法または熱インプリント法によりレジストパターンを転写して製造するプロセスが用いられてきたが、このプロセスでは、Niスタンパーの寿命が短く大量生産には適していない。また、高データ密度化されトラックが微細になった際にはレジストパターンの転写が上手くいかなかった。
このようなことから、その他のナノインプリント技術として、光ナノインプリント法を用いることが注目されている。
光ナノインプリント法を用いてディスクリートトラック媒体上のレジストにパターンを転写するには、まず、Niスタンパー(マザースタンパー)から射出成形により樹脂スタンパーを複製し、その樹脂スタンパーと、レジストとして使用される未硬化の紫外線硬化型樹脂層とを真空貼り合わせに供する。この方法がコスト低減可能で、微細化にも適していることがわかった。
ここで、上記ディスクリートトラック媒体に転写するための紫外線硬化型樹脂に求められる特性としては、媒体上への塗布性、粘度、硬化性、樹脂スタンパーからの剥離性、転写したパターンを加工するためのエッチング耐性、及び硬化収縮性があげられる。紫外線硬化型樹脂の厚さは、転写パターンの凹凸の高さに対してインプリントに十分であることが必要であるけれども、その後の加工工程を考えると、インプリント後の紫外線硬化型樹脂の残さは少ないほうがよい。そのためには、紫外線硬化型樹脂層の塗布膜厚は60nm以下であることが望まれる。
例えば、ラジカル重合を行う紫外線硬化型樹脂として、開始剤,ビニル(アクリロイル)基を持つオリゴマー及びモノマーが混合された紫外線硬化型樹脂があげられる。しかしながら、紫外線硬化型樹脂中にオリゴマーを入れると、粘度が高くなり、塗布膜厚を60nm以下にすることが困難であった。
また、ナノインプリント用の紫外線硬化型樹脂として、例えば塗布性、剥離性向上のために界面活性剤が添加された紫外線硬化型樹脂があげられる(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、界面活性剤を使用しすぎると、硬化阻害や硬化時間の長時間化、磁気記録媒体の劣化しやすかった。
さらに、塗布膜厚を60nm以下と非常に薄くしなければならないため、紫外線硬化型樹脂の粘度は15cP以下でなければ膜厚制御は困難である。
単官能モノマーのみで硬化させると、膜の硬化性が悪く、一方、官能数を増やすと硬化するが、硬化収縮性が大きくなりやすかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、磁気記録媒体の製造方法において良好なパターン転写を行うことが可能なパターン転写用樹脂スタンパを得ることを目的とする。
本発明の磁気記録媒体パターン転写用スタンパは、記録媒体の記録層表面にトラックパターンを形成するために、紫外線硬化型樹脂の塗布層を介して転写される凹凸パターンを持つスタンパであって、該凹凸パターンは、該記録媒体のデータ記録部及びアドレス部を含むデータ領域に対応する主要な領域と、該主要な領域以外のダミー領域とを有し、
該紫外線硬化型樹脂の表面張力は31ないし39mN/mであって、
該スタンパの臨界表面張力が31mN/m以下であることを特徴とする。
該紫外線硬化型樹脂の表面張力は31ないし39mN/mであって、
該スタンパの臨界表面張力が31mN/m以下であることを特徴とする。
本発明の磁気記録媒体の製造方法は、真空下で、磁気記録媒体の磁気記録層表面と、その臨界表面張力が31mN/m以下であり、該記録媒体のデータ記録部及びアドレス部を含むデータ領域に対応する主要な領域と、該主要な領域以外のダミー領域とを有する樹脂スタンパの凹凸パターン面とを、その表面張力は31ないし39mN/mである未硬化の紫外線硬化型樹脂の塗布層を介して貼り合わせ、
該未硬化の紫外線硬化型樹脂の塗布層に紫外線を照射して、硬化せしめ、
該樹脂スタンパを剥離して、前記磁気記録媒体の片面上に凹凸パターンが転写され、硬化された紫外線硬化型樹脂層を形成し、
硬化された紫外線硬化型樹脂層をマスクとしてドライエッチングを行い、磁気記録層表面に、凹凸パターンを形成することを特徴とする。
該未硬化の紫外線硬化型樹脂の塗布層に紫外線を照射して、硬化せしめ、
該樹脂スタンパを剥離して、前記磁気記録媒体の片面上に凹凸パターンが転写され、硬化された紫外線硬化型樹脂層を形成し、
硬化された紫外線硬化型樹脂層をマスクとしてドライエッチングを行い、磁気記録層表面に、凹凸パターンを形成することを特徴とする。
本発明を用いると、磁気記録媒体の製造方法において良好なパターン転写を行うことが可能となる。
本発明のパターン転写用スタンパは、その表面張力が31ないし39mN/mである紫外線硬化型樹脂と組み合わせて使用されるもので、記録媒体の記録層表面にトラックパターンを形成するために、上記値の表面張力を有する紫外線硬化型樹脂の塗布層を介して転写される凹凸パターンを有し、かつ31mN/m以下の臨界表面張力を有することを特徴とする。
上記凹凸パターンは、記録媒体のデータ記録部及びアドレス部を含むデータ領域に対応する主要な領域と、主要な領域以外のダミー領域とを有し得る。
固体であるスタンパの臨界表面張力は、Zisman法で測定し得る。臨界表面張力の測定は、樹脂スタンパーの凹凸パターンが形成された面のうち、凹凸が形成されていない鏡面部分を用いて行なうことが出来る。使用した測定装置は、協和界面科学製 DropMaster500画像処理式・固液界面解析システムである。試験液には、和光純薬工業製ぬれ張力試験用混合液試薬31,試薬34,試薬37,試薬40の4種を用い、各試薬との接触角θを測定し、試薬の表面張力と接触角のcosθの関係から外挿してcosθ=1となるところの表面張力を臨界表面張力とすることができる。
一方、液体である紫外線硬化型樹脂の表面張力は、例えばプレート法(ウィルヘルミー法)を用い、協和界面化学製 自動表面張力計CBVP−Z型を用いて測定することができる。
また、磁気記録媒体の製造方法は、臨界表面張力が31mN/m以下であるパターン形成用スタンパと、その表面張力が31ないし39mN/mである紫外線硬化型樹脂とを組み合わせて用いるもので、真空下で、磁気記録媒体の磁気記録層表面と、その臨界表面張力が31mN/m以下であるスタンパの凹凸パターン面とを、その表面張力が31ないし39mN/mである未硬化の紫外線硬化型樹脂の塗布層を介して貼り合わせ、
未硬化の紫外線硬化型樹脂の塗布層に紫外線を照射して、硬化せしめ、
樹脂スタンパを剥離して、磁気記録媒体の片面上に凹凸パターンが転写され、硬化された紫外線硬化型樹脂層を形成し、
硬化された紫外線硬化型樹脂層をマスクとしてドライエッチングを行い、磁気記録層表面に、凹凸パターンを形成する
本発明によれば、表面張力が31ないし39mN/mである紫外線硬化型樹脂と、31mN/m以下の臨界表面張力を有するスタンパとを組み合わせて用いることにより、ディスクリート型磁気記録媒体の製造において、真空貼り合わせ及び紫外線硬化後のスタンパと硬化された紫外線樹脂層との剥離性が良好となる。これにより、精度の良いパターン転写が可能となる。
未硬化の紫外線硬化型樹脂の塗布層に紫外線を照射して、硬化せしめ、
樹脂スタンパを剥離して、磁気記録媒体の片面上に凹凸パターンが転写され、硬化された紫外線硬化型樹脂層を形成し、
硬化された紫外線硬化型樹脂層をマスクとしてドライエッチングを行い、磁気記録層表面に、凹凸パターンを形成する
本発明によれば、表面張力が31ないし39mN/mである紫外線硬化型樹脂と、31mN/m以下の臨界表面張力を有するスタンパとを組み合わせて用いることにより、ディスクリート型磁気記録媒体の製造において、真空貼り合わせ及び紫外線硬化後のスタンパと硬化された紫外線樹脂層との剥離性が良好となる。これにより、精度の良いパターン転写が可能となる。
また、スタンパの臨界表面張力が31mN/mより大きいと、真空貼り合わせ後、剥離したときに、紫外線硬化型樹脂の残渣が残りやすい。
紫外線硬化型樹脂の表面張力は、さらには、31ないし36mN/mとすることが出来る。
また、スタンパの臨界表面張力は、さらには、26ないし31mN/mにすることができる。26未満であると、Niスタンパから微細パターンを転写するのが難しくなる傾向がある。
以下、図面を参照し、本発明に用いられるパターン転写方法を図1(a)〜(d)を参照して概略的に説明する。
これらの図は媒体基板の片面にパターンを転写する場合を示している。図1(a)に示すように、スピナー41に媒体基板51を設置する。図1(b)に示すように、スピナー41とともに媒体基板51をスピンさせながら、ディスペンサー42から紫外線硬化型樹脂(2P樹脂)を滴下してスピン塗布する。図1(c)に示すように、真空チャンバー81内において、真空下で、磁気記録媒体51の片面と透明スタンパ71のパターン面とを2P樹脂層(図示せず)を介して貼り合わせる。図1(d)に示すように、大気圧下でUV光源43から透明スタンパ71を通してUVを照射して2P樹脂層を硬化させる。図1(d)の後に、透明スタンパ71を剥離する。
本発明に使用可能な磁気ディスク基板としては、たとえばガラス基板、Al系合金基板、セラミック基板、カーボン基板、酸化表面を有するSi単結晶基板、およびこれらの基板の表面にNiP層を形成したものなどを用いることができる。ガラス基板には、アモルファスガラスまたは結晶化ガラスを用いることができる。アモルファスガラスとしては、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラスなどがある。結晶化ガラスとしては、リチウム系結晶化ガラスなどがある。セラミック基板としては、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化珪素などを主成分とする焼結体や、これらの焼結体を繊維強化したものなどを用いることができる。基板の表面にNiP層を形成するには、メッキやスパッタリングが用いられる。
垂直磁気記録媒体を作製する場合には、基板上に軟磁性下地層(SUL)介して垂直磁気記録層を設けたいわゆる垂直二層媒体とすることができる。垂直二層媒体の軟磁性下地層は、記録磁極からの記録磁界を通過させ、記録磁極の近傍に配置されたリターンヨークへ記録磁界を還流させるために設けられている。すなわち、軟磁性下地層は記録ヘッドの機能の一部を担っており、記録層に急峻な垂直磁界を印加して、記録効率を向上させる役目を果たす。
本発明に使用可能な軟磁性下地層としては、例えばFe、NiおよびCoのうち少なくとも1種を含む高透磁率材料が挙げられる。このような材料として、FeCo系合金たとえばFeCo、FeCoVなど、FeNi系合金たとえばFeNi、FeNiMo、FeNiCr、FeNiSiなど、FeAl系およびFeSi系合金たとえばFeAl、FeAlSi、FeAlSiCr、FeAlSiTiRu、FeAlOなど、FeTa系合金たとえばFeTa、FeTaC、FeTaNなど、FeZr系合金たとえばFeZrNなどが挙げられる。
軟磁性下地層として、Feを60原子%以上含有するFeAlO、FeMgO、FeTaN、FeZrNなどの微結晶構造、または微細な結晶粒子がマトリクス中に分散されたグラニュラー構造を有する材料を用いることもできる。
軟磁性下地層の他の材料として、Coと、Zr、Hf、Nb、Ta、TiおよびYのうち少なくとも1種とを含有するCo合金を用いることもできる。Coは、好ましくは80原子%以上含まれる。このようなCo合金をスパッタリングにより成膜した場合にはアモルファス層が形成されやすい。アモルファス軟磁性材料は、結晶磁気異方性、結晶欠陥および粒界がないため、非常に優れた軟磁性を示す。また、アモルファス軟磁性材料を用いることにより、媒体の低ノイズ化を図ることができる。好適なアモルファス軟磁性材料としては、たとえばCoZr、CoZrNb、及びCoZrTa系合金などを挙げることができる。
軟磁性下地層の下に、軟磁性下地層の結晶性の向上あるいは基板との密着性の向上のためにさらに下地層を設けることができる。下地層材料としては、Ti、Ta、W、Cr、Pt、もしくはこれらを含む合金、またはこれらの酸化物、窒化物を用いることができる。
軟磁性下地層と垂直磁気記録層との間に、非磁性体からなる中間層を設けることができる。中間層の役割は、軟磁性下地層と記録層との交換結合相互作用を遮断すること、および記録層の結晶性を制御することである。中間層材料としては、Ru、Pt、Pd、W、Ti、Ta、Cr、Si、もしくはこれらを含む合金、またはこれらの酸化物、窒化物を用いることができる。
スパイクノイズ防止のために軟磁性下地層を複数の層に分け、厚さ0.5〜1.5nmのRuを挟んで反強磁性結合させることができる。また、軟磁性層と、CoCrPt、SmCo、FePtなどの面内異方性を持った硬磁性膜またはIrMn、PtMnなどの反強磁性体からなるピニング層とを交換結合させることができる。この場合、交換結合力を制御するために、Ru層の上下に、磁性層たとえばCo、または非磁性層たとえばPtを積層することができる。
本発明に使用可能な垂直磁気記録層には、たとえば、Coを主成分とし、少なくともPtを含み、必要に応じてCrを含み、さらに酸化物(たとえば酸化シリコン、酸化チタン)を含む材料が用いることができる。垂直磁気記録層中では、磁性結晶粒子が柱状構造をなしていることが好ましい。このような構造を有する垂直磁気記録層では、磁性結晶粒子の配向性および結晶性が良好であり、結果として高密度記録に適した信号/ノイズ比(S/N比)を得ることができる。上記のような構造を得るためには、酸化物の量が重要になる。酸化物の含有量は、Co、Pt、Crの総量に対して、3mol%以上12mol%以下にすることができる、さらには、5mol%以上10mol%以下にすることができる。垂直磁気記録層中の酸化物の含有量が上記の範囲であれば、磁性粒子の周りに酸化物が析出し、磁性粒子を孤立化および微細化させることができる。酸化物の含有量が上記範囲を超える場合、酸化物が磁性粒子中に残留し、磁性粒子の配向性、結晶性を損ね、さらには磁性粒子の上下に酸化物が析出し、結果として磁性粒子が垂直磁気記録層を上下に貫いた柱状構造が形成されない傾向がある。一方、酸化物の含有量が上記範囲未満である場合、磁性粒子の孤立化および微細化が不十分となり、結果として記録再生時におけるノイズが増大し、高密度記録に適した信号/ノイズ比(S/N比)が得られない傾向がある。
垂直磁気記録層のPtの含有量は、10原子%以上25原子%以下にすることができる。Pt含有量が上記範囲であると、垂直磁気記録層に必要な一軸磁気異方性定数Kuが得られ、さらに磁性粒子の結晶性、配向性が良好になり、結果として高密度記録に適した熱揺らぎ特性、記録再生特性が得られる。Pt含有量が上記範囲を超えた場合、磁性粒子中にfcc構造の層が形成され、結晶性、配向性が損なわれるおそれがある。一方、Pt含有量が上記範囲未満である場合、高密度記録に適したKuしたがって熱揺らぎ特性が得られない傾向がある。
垂直磁気記録層のCrの含有量は、0原子%以上16原子%以下が好ましく、10原子%以上14原子%以下がより好ましい。Cr含有量が上記範囲であると、磁性粒子の一軸磁気異方性定数Kuを下げることなく高い磁化を維持でき、結果として高密度記録に適した記録再生特性と十分な熱揺らぎ特性が得られる。Cr含有量が上記範囲を超えた場合、磁性粒子のKuが小さくなるため熱揺らぎ特性が悪化し、かつ磁性粒子の結晶性、配向性が悪化し、結果として記録再生特性が悪くなる傾向がある。
垂直磁気記録層は、Co、Pt、Cr、酸化物に加えて、B、Ta、Mo、Cu、Nd、W、Nb、Sm、Tb、Ru、Reから選ばれる1種類以上の添加元素を含むことができる。これらの添加元素を含むことにより、磁性粒子の微細化を促進するか、または結晶性や配向性を向上させることができ、より高密度記録に適した記録再生特性、熱揺らぎ特性を得ることができる。これらの添加元素の合計含有量は、8原子%以下にすることができる。8原子%を超えた場合、磁性粒子中にhcp相以外の相が形成されるため、磁性粒子の結晶性、配向性が乱れ、結果として高密度記録に適した記録再生特性、熱揺らぎ特性が得られない傾向がある。
垂直磁気記録層の他の材料としては、CoPt系合金、CoCr系合金、CoPtCr系合金、CoPtO、CoPtCrO、CoPtSi、CoPtCrSiが挙げられる。垂直磁気記録層に、Pt、Pd、RhおよびRuからなる群より選択される少なくとも一種を主成分とする合金と、Coとの多層膜を用いることもできる。また、これらの多層膜の各層に、Cr、BまたはOを添加した、CoCr/PtCr、CoB/PdB、CoO/RhOなどの多層膜を用いることもできる。
垂直磁気記録層の厚さは、5〜60nmにすることができる、さらには10〜40nmにすることができる。この範囲の厚さを有する垂直磁気記録層は高記録密度に適している。垂直磁気記録層の厚さが5nm未満であると、再生出力が低過ぎてノイズ成分の方が高くなる傾向がある。一方、垂直磁気記録層の厚さが40nmを超えると、再生出力が高過ぎて波形を歪ませる傾向がある。垂直磁気記録層の保磁力は、237000A/m(3000Oe)以上にすることができる。保磁力が237000A/m(3000Oe)未満であると、熱揺らぎ耐性が劣る傾向がある。垂直磁気記録層の垂直角型比は、0.8以上にすることができる。垂直角型比が0.8未満であると、熱揺らぎ耐性に劣る傾向がある。
垂直磁気記録層上には保護層を設けることが出来る。
保護層は、垂直磁気記録層の腐食を防ぐとともに、磁気ヘッドが媒体に接触したときに媒体表面の損傷を防ぐ作用を有する。保護層の材料としては、たとえばC、SiO2、ZrO2を含む材料が挙げられる。保護層の厚さは、1〜10nmとすることが好ましい。保護層の厚さを上記の範囲にすると、ヘッドと媒体の距離を小さくできるので、高密度記録に好適である。
垂直磁気記録媒体表面には、潤滑剤としては、たとえばパーフルオロポリエーテル、フッ化アルコール、フッ素化カルボン酸などを塗布することができる。
本発明に用いられる紫外線硬化型樹脂材料として、少なくともモノマーであるイソボルニルアクリレートと3官能アクリレートまたはウレタンアクリレート、重合開始剤とを含む組成物を使用することが出来る。これらの他に、接着剤や離型剤などの添加物も1重量%以下で混合してもよい。
それぞれの含有量はイソボルニルアクリレートが40重量%以上95重量%以下、3官能アクリレートが1重量%以上30重量%以下、重合開始剤が0.5重量%以上6重量%以下とすることが出来る。
ここで、3官能アクリレートとしては、たとえば
トリメチロールプロパントリアクリレート
トリメチロールプロパンPO変性トリアクリレート
(PO(プロポキシ基)の数:2,3,4,6)
トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート
(EO(エトキシ基)の数:3,6,9,15,20)
トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート
ペンタエリスリトールトリアクリレート
ペンタエリスリトールEO変性トリアクリレート
EO変性グリセリントリアクリレート
プロポキシ化(3)グリセリルトリアクリレート
高プロポキシ化(5.5)グリセリルトリアクリレート
トリスアクリロイルオキシエチルフォスフェート
ε−カプロラクトン変性トリス(アクロキシエチル)イソシアヌレート
を用いることができる。
トリメチロールプロパントリアクリレート
トリメチロールプロパンPO変性トリアクリレート
(PO(プロポキシ基)の数:2,3,4,6)
トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート
(EO(エトキシ基)の数:3,6,9,15,20)
トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート
ペンタエリスリトールトリアクリレート
ペンタエリスリトールEO変性トリアクリレート
EO変性グリセリントリアクリレート
プロポキシ化(3)グリセリルトリアクリレート
高プロポキシ化(5.5)グリセリルトリアクリレート
トリスアクリロイルオキシエチルフォスフェート
ε−カプロラクトン変性トリス(アクロキシエチル)イソシアヌレート
を用いることができる。
重合開始剤としては、
アルキルフェノン系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系重合開始剤、チタノセン系重合開始剤、オキシムエステル系光重合開始剤、オキシムエステル酢酸エステル系光重合開始剤などを用いることができる。
アルキルフェノン系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系重合開始剤、チタノセン系重合開始剤、オキシムエステル系光重合開始剤、オキシムエステル酢酸エステル系光重合開始剤などを用いることができる。
上記重合開始剤の具体的な例として、
2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製IRGACURE651)
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルーケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製IRGACURE184)
2−ヒドロキシー2−メチルー1−フェニループロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製DAROCUR1173)
その他、IRGACURE2959,IRGACURE127,IRGACURE907,IRGACURE369,IRGACURE379,DAROCUR TPO,IRGACURE819,IRGACURE784,IRGACURE OXE01,IRGACURE OXE02,IRGACURE754(すべてチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
が挙げられる。
2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製IRGACURE651)
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルーケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製IRGACURE184)
2−ヒドロキシー2−メチルー1−フェニループロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製DAROCUR1173)
その他、IRGACURE2959,IRGACURE127,IRGACURE907,IRGACURE369,IRGACURE379,DAROCUR TPO,IRGACURE819,IRGACURE784,IRGACURE OXE01,IRGACURE OXE02,IRGACURE754(すべてチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
が挙げられる。
イソボルニルアクリレートは、9CPと比較的低粘度で、Tgが高い。また、脂環式構造をとっていることから、耐エッチング性が高く、好ましい。
また、この紫外線硬化型樹脂の中に、アダマンタン環構造や芳香族環構造をもつアクリレートを追加すると、さらに耐エッチング性が高まり、より好ましい。
イソボルニルアクリレートと重合開始剤だけである場合、硬化後の膜の硬さが不十分であった。単官能モノマー、2官能モノマーとイソボルニルアクリレートの組み合わせでも同様であり、3官能モノマーとの組み合わせで耐エッチング性が良好なまま、硬化後の膜の硬さも十分となった。3官能モノマーより大きい多官能モノマーの場合、粘度が高くなるために本目的の低粘度紫外線硬化型樹脂用途では好ましくない。
重合開始剤は、UV照射に用いるランプの波長によって最適なものを選ぶ必要がある。
UV照射に用いるランプとしては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンフラッシュランプなどを使用することができる。
また、表面張力としては、スタンパの表面張力より大きく39mN/m以下が良好である。表面張力が大きいほうが好ましいが、耐エッチング性に優れたイソボルニルアクリレートと表面張力の高い材料とは塗膜後に材料が分離してしまうため、現実的に使用に適していない。
紫外線硬化型樹脂材料の表面張力は、配合される各成分の表面張力により調整し得る。紫外線硬化型樹脂材料の表面張力は、例えば紫外線硬化型樹脂材料の主成分として使用できるアクリレート類の表面張力に影響され得る。本発明に使用できる紫外線硬化型樹脂材料の一般的に多官能アクリレートになるほど大きな傾向となり、単官能アクリレートでも、31mN/mを下回るものは少ない。上記実施例に使用可能な紫外線硬化型樹脂では、イソボルニルアクリレートを主剤として用いるが、イソボルニルアクリレートの表面張力は31.7mN/mである。したがって、他の単官能アクリレートを混合した場合においても、表面張力の高い多官能アクリレートを混合するために下限は31mN/mとなる。
また、スタンパの臨界表面張力は、スタンパ成形材料中に添加剤例えば離形剤等を混入することにより調整することができる。
また、あるいは、スタンパ表面に例えば被膜を設けることにより臨界表面張力を調整することができる。
スタンパ成形材料としては、例えば日本ゼオン社製 環状オレフィンポリマー ZEONOR 1060R、及び帝人化成製ポリカーボネート材AD5503等を使用することが出来る。
スタンパ成形材料に混入可能な離形剤としては、例えばフッ素系離型剤、シリコーン、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、パーフルオロアルキル基含有リン酸エステル、モノグリセライド、ラウリル酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムなどを使用することができる。
中でも、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノベヘネート、グリセリンモノオレート、グリセリンモノジステアレート、ジグリセリンラウレート、ジグリセリンステアレート、ソルビタンラウレート、ソルビタンパルミテートなどは成形材料に混合させやすく好ましい。また、フッ素を含む離型剤を混合させた場合、微細パターンの転写にも向いており、好適である。
離形剤の混入量は、スタンパ成形材料に対し、0.1重量%〜5.0重量%の範囲にすることができる。離形剤が5.0重量%より多いと、パターンを成形するのが困難となる傾向があり、0.1重量%より少ないと、微細パターンのNiスタンパからの成形が困難となる傾向がある。
また、スタンパ表面に形成可能な被膜としては、例えばNi(99at%)−V(1at%)のイオンプレーティング、及び離型剤塗布層等があげられる。
被膜の厚さは、1ないし10nmにすることができる。
被膜の厚さが1nm未満であると、被膜が剥がれてしまう傾向があり、10nmを超えると、溝が歪む傾向がある。
図2に、磁気記録媒体を記録再生する磁気記録再生装置を表す図を示す。
この磁気記録装置は、筐体61の内部に、磁気記録媒体62と、磁気記録媒体62を回転させるスピンドルモータ63と、記録再生ヘッドを含むヘッドスライダー64と、ヘッドスライダー64を支持するヘッドサスペンションアッセンブリ(サスペンション65とアクチュエータアーム66)と、ボイスコイルモータ67と、回路基板とを備える。
磁気記録媒体62はスピンドルモータ63に取り付けられて回転され、垂直磁気記録方式により各種のデジタルデータが記録される。ヘッドスライダー64に組み込まれている磁気ヘッドはいわゆる複合型ヘッドであり、単磁極構造のライトヘッドと、GMR膜やTMR膜などを用いたリードヘッドとを含む。アクチュエータアーム66の一端にサスペンション65が保持され、サスペンション65によってヘッドスライダー64を磁気記録媒体62の記録面に対向するように支持する。アクチュエータアーム66はピボット68に取り付けられる。アクチュエータアーム64の他端にはアクチュエータとしてボイスコイルモータ67が設けられている。ボイスコイルモータ67によってヘッドサスペンションアッセンブリを駆動して、磁気ヘッドを磁気記録媒体61任意の半径位置に位置決めする。回路基板はヘッドICを備え、ボイスコイルモータの駆動信号、および磁気ヘッドによる読み書きを制御するための制御信号などを生成する。
この磁気ディスク装置を用い、加工した磁気記録媒体からアドレス信号等を再生することが出来る。
本発明の方法を用いて、半径9mm〜22mmのデータゾーンにおいて、トラック密度が325kTPI(track per inch、78nmトラックピッチに相当)である磁気ディスクを作製した。
このようなサーボ領域を有する磁気ディスクを製造するには、磁気ディスク上の磁性層パターンと対応する凹凸パターンを有するスタンパを用いてインプリントを行う。なおインプリントおよびその後の加工によって形成された磁性層の凹凸パターンは非磁性体材料によってその凹部が埋め込まれ、表面が平坦化されていても構わない。
以下、本実施例の磁気ディスクの製造方法を説明する。
まず、スタンパを作製した。
スタンパの型となる原盤の基板として6インチ径のSiウエハーを用意した。一方、日本ゼオン社製のレジストZEP−520Aをアニソールで2倍に希釈し、0.05μmのフィルタでろ過した。Siウエハー上にレジスト溶液をスピンコートした後、200℃で3分間プリベークして、厚さ約50nmのレジスト層を形成した。
ZrO/W熱電界放射型の電子銃エミッターを有する電子ビーム描画装置を用い、加速電圧50kVの条件で、Siウエハー上のレジストに所望のパターンを直接描画した。描画時にはサーボパターン、バーストパターン、アドレスパターン、トラックパターンを形成するための信号と、描画装置のステージ駆動系(少なくとも一方向の移動軸の移動機構と回転機構とを有する、いわゆるX−θステージ駆動系)へ送る信号と、電子ビームの偏向制御信号とを同期させて発生する信号源を用いた。描画中は線速度500mm/sのCLV(Constant Linear Velocity)でステージを回転させるとともに、半径方向にもステージを移動させた。また、1回転毎に電子ビームに偏向をかけて、同心円をなすトラック領域を描画した。なお、1回転あたり7.8nmずつ送り、10周で1トラック(1アドレスビット幅に相当)を形成した。
SiウエハーをZED−N50(日本ゼオン社製)に90秒間浸漬してレジストを現像した後、ZMD−B(日本ゼオン社製)に90秒間浸漬してリンスを行い、エアーブローにより乾燥させ、図示しないレジスト原盤を作製した。
レジスト原盤上にスパッタリングによってNiからなる導電膜を形成した。具体的には、ターゲットに純ニッケルを使用し、8×10−3Paまで真空引きした後、アルゴンガスを導入して圧力を1Paに調整したチャンバー内で400WのDCパワーを印加して40秒間スパッタリングを行い、厚さ約10nmの導電膜を成膜した。
導電膜をつけたレジスト原盤をスルファミン酸ニッケルメッキ液(昭和化学(株)製、NS−160)に浸漬し、90分間Ni電鋳して、厚さ約300μmの電鋳膜を形成した。電鋳浴条件は次の通りである。
電鋳浴条件
スルファミン酸ニッケル:600g/L
ホウ酸:40g/L
界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム):0.15g/L
液の温度:55℃
pH:4.0
電流密度:20A/dm2
レジスト原盤から、電鋳膜および導電膜をレジスト残渣がついた状態で剥離した。酸素プラズマアッシングによりレジスト残渣を除去した。具体的には、酸素ガスを100ml/minで導入して圧力を4Paに調整したチャンバー内で100Wのパワーを印加して20分間プラズマアッシングを行った。
スルファミン酸ニッケル:600g/L
ホウ酸:40g/L
界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム):0.15g/L
液の温度:55℃
pH:4.0
電流密度:20A/dm2
レジスト原盤から、電鋳膜および導電膜をレジスト残渣がついた状態で剥離した。酸素プラズマアッシングによりレジスト残渣を除去した。具体的には、酸素ガスを100ml/minで導入して圧力を4Paに調整したチャンバー内で100Wのパワーを印加して20分間プラズマアッシングを行った。
図3(a)に示すように、こうした導電膜および電鋳膜を含むファザースタンパ1を得た。その後、さらに電鋳を行い、図3(b)に示すようなマザースタンパー2を複製し、マザースタンパ2の不要部を金属刃で打ち抜くことにより射出成形用スタンパを得た。
このマザースタンパー2から図3(c)に示すように、東芝機械製射出成形装置により樹脂スタンパー3を複製した。成形材料としては、日本ゼオン社製 環状オレフィンポリマー ZEONOR 1060Rを用いた。なお、樹脂スタンパーの凹凸パターンは、記録媒体のデータ記録部及びアドレス部を含むデータ領域に対応する主要な領域と、主要な領域以外のダミー領域とを有し得る。
次に、磁気ディスクを作製した。
図3(g)に示す1.8インチ径のドーナツ型ガラスからなるディスク基板上にスパッタリングにより磁気記録層を形成した。この磁気記録層上に金属マスク層を3nm積層した。金属マスク層に用いることができる金属は、
Ag,Al,Au,C,Cr,Cu,Ni,Pt,Pd,Ru,Si,Ta,Ti,Znなどや、これらを含む合金(例えば、CrTi,CoB,CoPt,CoZrNb,NiTa,NiW,Cr−N,SiC,TiOxなど)などである。中でも、SiやCuは樹脂スタンパーからの剥離性や加工性が優れ、好ましい。また、金属マスク層の膜厚も、加工性によって決まり、薄いほど良好である。本実施例においては、Cuを3nm磁気記録層上に積層したものを用いた。
図3(g)に示す1.8インチ径のドーナツ型ガラスからなるディスク基板上にスパッタリングにより磁気記録層を形成した。この磁気記録層上に金属マスク層を3nm積層した。金属マスク層に用いることができる金属は、
Ag,Al,Au,C,Cr,Cu,Ni,Pt,Pd,Ru,Si,Ta,Ti,Znなどや、これらを含む合金(例えば、CrTi,CoB,CoPt,CoZrNb,NiTa,NiW,Cr−N,SiC,TiOxなど)などである。中でも、SiやCuは樹脂スタンパーからの剥離性や加工性が優れ、好ましい。また、金属マスク層の膜厚も、加工性によって決まり、薄いほど良好である。本実施例においては、Cuを3nm磁気記録層上に積層したものを用いた。
図3(i)に示すように、この磁気記録層5上に表面保護層6を形成した後、紫外線硬化型樹脂材料からなるレジスト7を図3(j)に示すように、回転数10000rpmでスピンコートした。
ここで、紫外線硬化型樹脂材料は、下記式(1)で表されるイソボルニルアクリレート84重量%、下記式(2)で表される6官能ウレタンアクリレート 10重量%、DAROCUR1173 6重量%を混合したものを用いた。
この紫外線樹脂の表面張力は32mN/mであった。なお、表面張力は、プレート法(ウィルヘルミー法)を用い、協和界面化学製自動表面張力計CBVP−Z型で測定を行った。紫外線硬化型樹脂は、これに限定するものではなく、上述のように種々の紫外線硬化型樹脂から選択することが出来る。真空貼り合わせ法により樹脂スタンパ3をディスク基板表面の紫外線硬化型樹脂レジスト7に貼り合わせ、紫外線照射し樹脂を硬化させた後、図3(d)に示すように、樹脂スタンパー3を剥離した。
紫外線インプリントによる凹凸形成プロセスでは、パターン凹部の底にレジスト残渣が残る。
次に、酸素ガスを用いたRIEにより、パターン凹部の底にあるレジスト残渣を除去した。レジスト7のパターンをマスクとして、Arイオンミリングにより、図3(e)に示すように、磁気記録層をエッチングした。続いて、図3(f)に示すように、酸素RIEによりレジストのパターンを剥離した。さらに全面に図示しないカーボン保護層を成膜した。その後、作製した磁気ディスクに潤滑剤を塗布する。
ここで、上述した磁気ディスク媒体においては、磁気記録層をレジストのマスクがない部位において底までエッチングしているが、途中でArイオンミリングを止め、凹凸が出来る程度の媒体であっても構わない。また、初めに磁性層を設けずにスタンパを基板上のレジストにインプリントした後エッチングするなどして先に基板形状に凹凸を設け、その後磁性膜を製膜した媒体であっても構わない。さらに、上述したものを含めいずれの場合にも溝部が何らかの非磁性材料によって埋め込まれていても構わない。
以下、実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。
実施例1
1つのNiスタンパと、射出成形樹脂材料として、帝人化成製ポリカーボネート材AD5503に離型剤としてグリセリンモノステアレートを1重量%混合したものとを用いて、射出成形を行い、樹脂スタンパAを作成した。
1つのNiスタンパと、射出成形樹脂材料として、帝人化成製ポリカーボネート材AD5503に離型剤としてグリセリンモノステアレートを1重量%混合したものとを用いて、射出成形を行い、樹脂スタンパAを作成した。
臨界表面張力を前述の方法で測定したところ、31mN/mとなった。
図3(c),図3(d)に示す方法で、光透過性を持つ樹脂スタンパAを、紫外線硬化型樹脂材料は、上記式(1)で表されるイソボルニルアクリレート84重量%、上記式(2)で表される6官能ウレタンアクリレート 10重量%、DAROCUR1173 6重量%を混合した紫外線硬化型樹脂レジストを介して、磁気記録媒体に貼り合わせ、紫外線照射し、樹脂を硬化させた後、樹脂スタンパーを剥離した。
得られた樹脂スタンパーの剥離性を、剥離を行った時に、目視で確認し、樹脂スタンパ側に2P樹脂が残らないものを○、わずかに残るものを△、広い面積で残るものを×と評価した。
剥離後の樹脂スタンパーを観察すると、紫外線硬化型樹脂の剥離残りは観察されなかった。
得られた結果を下記表1に示す。
原子間力顕微鏡(AFM)で溝形状観察も行ったが、良好にパターンが転写できていることがわかった。
実施例2
射出成形樹脂材料として、日本ゼオン製環状オレフィンポリマーZEONOR 1060Rにジグリセリンステアレートを1重量%混合したものを用いて射出成型を行い、樹脂スタンパBを作成した。
射出成形樹脂材料として、日本ゼオン製環状オレフィンポリマーZEONOR 1060Rにジグリセリンステアレートを1重量%混合したものを用いて射出成型を行い、樹脂スタンパBを作成した。
臨界表面張力を前述の方法で測定したところ、29mN/mとなった。
実施例1と同様にパターン転写・剥離実験を行い、剥離後の樹脂スタンパーを観察すると、紫外線硬化型樹脂の剥離残りは観察されなかった。得られた結果を下記表1に示す。
AFMで溝形状観察も行ったが、良好にパターンが転写できていることがわかった。
実施例3
射出成型樹脂材料として日本ゼオン製環状オレフィンポリマーZEONOR 1060Rを用い、成形に用いるNiスタンパーにイオンプレーティングにてNi(99at%)−V(1at%)を10nm積層した。
射出成型樹脂材料として日本ゼオン製環状オレフィンポリマーZEONOR 1060Rを用い、成形に用いるNiスタンパーにイオンプレーティングにてNi(99at%)−V(1at%)を10nm積層した。
このNiスタンパーを用いて射出成形を行い、樹脂スタンパCを得た。
臨界表面張力を前述の方法で測定したところ、29mN/mとなった。
実施例1と同様にパターン転写・剥離実験を行い、剥離後の樹脂スタンパーを観察すると、紫外線硬化型樹脂の剥離残りは観察されなかった。
得られた結果を下記表1に示す。
AFMで溝形状観察も行ったところ、良好にパターンが転写できていることがわかった。
実施例4
Niスタンパーに離型剤として(株)ハーベス社製HD2100をスピンコートで3000rpmにて6nm塗布してから、射出成形樹脂材料として日本ゼオン製環状オレフィンポリマーZEONOR 1060Rを用い、射出成形を行った。このようにして樹脂スタンパDを得た。
Niスタンパーに離型剤として(株)ハーベス社製HD2100をスピンコートで3000rpmにて6nm塗布してから、射出成形樹脂材料として日本ゼオン製環状オレフィンポリマーZEONOR 1060Rを用い、射出成形を行った。このようにして樹脂スタンパDを得た。
臨界表面張力を前述の方法で測定したところ、28mN/mとなった。
実施例1と同様にパターン転写・剥離実験を行い、剥離後の樹脂スタンパーを観察すると、紫外線硬化型樹脂の剥離残りは観察されなかった。
得られた結果を下記表1に示す。
AFMで溝形状観察も行ったところ、良好にパターンが転写できていることがわかった。
実施例5
紫外線硬化型樹脂はイソボルニルアクリレート 50wt%、2−フェノキシエチルアクリレート 40wt%、エトキシ化(3)テトラメチロールプロパントリアクリレート 7wt%、IRGACURE369 3wt%を混合したものを用い、その他は実施例1と同様にパターン転写・剥離実験を行った。
紫外線硬化型樹脂はイソボルニルアクリレート 50wt%、2−フェノキシエチルアクリレート 40wt%、エトキシ化(3)テトラメチロールプロパントリアクリレート 7wt%、IRGACURE369 3wt%を混合したものを用い、その他は実施例1と同様にパターン転写・剥離実験を行った。
剥離は良好で、剥離残りは観察されなかった。
得られた結果を下記表1に示す。
また、用いた紫外線硬化型樹脂の表面張力は38.5mN/mであった。
比較例1
射出成形樹脂材料として、帝人化成製ポリカーボネート材AD5503を用いて射出成形を行い、樹脂スタンパEを作成した。
射出成形樹脂材料として、帝人化成製ポリカーボネート材AD5503を用いて射出成形を行い、樹脂スタンパEを作成した。
臨界表面張力を前述の方法で測定したところ、35mN/mとなった。
実施例1と同様にパターン転写・剥離実験を行い剥離後の樹脂スタンパーを観察すると、紫外線硬化型樹脂の剥離残りが観察された。
得られた結果を下記表1に示す。
比較例2
射出成形樹脂材料として、日本ゼオン製環状オレフィンポリマーZEONOR 1060Rを用いて射出成形を行い、樹脂スタンパFを作成した。
射出成形樹脂材料として、日本ゼオン製環状オレフィンポリマーZEONOR 1060Rを用いて射出成形を行い、樹脂スタンパFを作成した。
臨界表面張力を前述の方法で測定したところ、33mN/mとなった。
実施例1と同様にパターン転写・剥離実験を行い剥離後の樹脂スタンパーを観察すると、紫外線硬化型樹脂の剥離残りが観察された。
得られた結果を下記表1に示す。
比較例3
サートマー社製CD277(アクリレートエステル)をイソボルニルアクリレートの代わりに使用し、構成比や他の材料は同じとした紫外線硬化型樹脂を用い、あとは実施例1と同様にパターン転写・剥離実験を行った。樹脂スタンパーと紫外線硬化型樹脂が密着してしまい、剥離することはできなかった。紫外線硬化型樹脂の表面張力は29mN/mであった。
サートマー社製CD277(アクリレートエステル)をイソボルニルアクリレートの代わりに使用し、構成比や他の材料は同じとした紫外線硬化型樹脂を用い、あとは実施例1と同様にパターン転写・剥離実験を行った。樹脂スタンパーと紫外線硬化型樹脂が密着してしまい、剥離することはできなかった。紫外線硬化型樹脂の表面張力は29mN/mであった。
得られた結果を下記表1に示す。
比較例4
紫外線硬化型樹脂として、イソボルニルアクリレート30wt%,2−フェノキシエチルアクリレート40wt%,エトキシ化(3)テトラメチロールプロパントリアクリレート 23wt%、IRGACURE369 3wt%を混合したものを用い、その他は実施例1と同様に実験を行った。紫外線硬化型樹脂は白濁して混合せず、磁気記録媒体に塗布したときにむらが発生し、剥離はできたもののパターンのマスクとして使用することはできなかった。
紫外線硬化型樹脂として、イソボルニルアクリレート30wt%,2−フェノキシエチルアクリレート40wt%,エトキシ化(3)テトラメチロールプロパントリアクリレート 23wt%、IRGACURE369 3wt%を混合したものを用い、その他は実施例1と同様に実験を行った。紫外線硬化型樹脂は白濁して混合せず、磁気記録媒体に塗布したときにむらが発生し、剥離はできたもののパターンのマスクとして使用することはできなかった。
得られた結果を下記表1に示す。
比較例5
射出成形樹脂材料として、帝人化成製ポリカーボネート材AD5503に離型剤としてグリセリンモノステアレートを6重量%混合したものを用いて射出成形を行い、樹脂スタンパGを作成した。樹脂スタンパのパターンを調べたところ、Niスタンパから転写しておらず、その後の転写剥離実験に使用することはできなかった。
射出成形樹脂材料として、帝人化成製ポリカーボネート材AD5503に離型剤としてグリセリンモノステアレートを6重量%混合したものを用いて射出成形を行い、樹脂スタンパGを作成した。樹脂スタンパのパターンを調べたところ、Niスタンパから転写しておらず、その後の転写剥離実験に使用することはできなかった。
実施例1〜2により、成形材料に離型剤を添加することによって樹脂スタンパの臨界表面張力を向上させることができ、剥離性を向上することができることがわかった。
実施例3ではNiスタンパにNi−V合金を成膜することにより、樹脂スタンパの臨界表面張力を向上させることができた。
NiよりもNiVのほうがNiスタンパーの熱伝導性が高く、成形時に樹脂スタンパー表面の冷却が向上して表面性が変化したからではないかと推測する。
実施例4では、Niスタンパに離型剤を塗布することで、樹脂スタンパの臨界表面張力を向上させることができた。
実施例5では、紫外線硬化型樹脂の表面張力を実施例1より高くしたことにより、より良い剥離性が得られた。
比較例1,2からは、成形材料を変更することによって臨界表面張力を変更することが7可能であることが示唆される。
比較例3,4では、紫外線硬化型樹脂の表面張力が31mN/mより下あるいは39mN/mより上の場合、磁気記録媒体へのパターン転写に使用することができなかった。
比較例5では、成形樹脂に離型剤を5%より多く混合した場合、パターン転写に問題が生じることがわかった。
なお、パターン転写が良好であった実施例1〜5までの樹脂スタンパと紫外線硬化型樹脂を用い、樹脂スタンパからのパターン転写を行って、磁気記録媒体の加工を行い、DTR媒体を作成して記録再生特性を調べたところ、良好な特性を得ることができた。
3,71…樹脂スタンパ,5…磁気記録層,7…紫外線硬化型樹脂層,51,62…磁気記録媒体
また、磁気記録媒体の製造方法は、臨界表面張力が31mN/m以下であるパターン形成用スタンパと、その表面張力が31ないし39mN/mである紫外線硬化型樹脂とを組み合わせて用いるもので、磁気記録媒体の磁気記録層上に形成され、その表面張力が31ないし39mN/mである未硬化の紫外線硬化型樹脂の塗布層と、凹凸パターン面を含み、その臨界表面張力が31mN/m以下である樹脂スタンパとを、真空下で接触し、
未硬化の紫外線硬化型樹脂の塗布層に紫外線を照射して、硬化せしめ、
樹脂スタンパを剥離して、磁気記録媒体の片面上に凹凸パターンが転写され、硬化された紫外線硬化型樹脂層を形成し、
硬化された紫外線硬化型樹脂層をマスクとしてドライエッチングを行い、磁気記録層表面に、凹凸パターンを形成する
本発明によれば、表面張力が31ないし39mN/mである紫外線硬化型樹脂と、31mN/m以下の臨界表面張力を有するスタンパとを組み合わせて用いることにより、ディスクリート型磁気記録媒体の製造において、真空貼り合わせ及び紫外線硬化後のスタンパと硬化された紫外線樹脂層との剥離性が良好となる。これにより、精度の良いパターン転写が可能となる。
未硬化の紫外線硬化型樹脂の塗布層に紫外線を照射して、硬化せしめ、
樹脂スタンパを剥離して、磁気記録媒体の片面上に凹凸パターンが転写され、硬化された紫外線硬化型樹脂層を形成し、
硬化された紫外線硬化型樹脂層をマスクとしてドライエッチングを行い、磁気記録層表面に、凹凸パターンを形成する
本発明によれば、表面張力が31ないし39mN/mである紫外線硬化型樹脂と、31mN/m以下の臨界表面張力を有するスタンパとを組み合わせて用いることにより、ディスクリート型磁気記録媒体の製造において、真空貼り合わせ及び紫外線硬化後のスタンパと硬化された紫外線樹脂層との剥離性が良好となる。これにより、精度の良いパターン転写が可能となる。
Claims (4)
- 記録媒体の記録層表面にトラックパターンを形成するために、紫外線硬化型樹脂の塗布層を介して転写される凹凸パターンを持つスタンパであって、
該紫外線硬化型樹脂の表面張力は31ないし39mN/mであって、
該スタンパの臨界表面張力が31mN/m以下であることを特徴とするパターン転写用スタンパ。 - 前記スタンパの臨界表面張力が26ないし31mN/mであることを特徴とする請求項1に記載のパターン転写用スタンパ。
- 真空下で、磁気記録媒体の磁気記録層表面と、その臨界表面張力が31mN/m以下である樹脂スタンパの凹凸パターン面とを、その表面張力が31ないし39mN/mである未硬化の紫外線硬化型樹脂の塗布層を介して貼り合わせ、
該未硬化の紫外線硬化型樹脂の塗布層に紫外線を照射して、硬化せしめ、
該パターン形成用スタンパを剥離して、前記磁気記録媒体の片面上に凹凸パターンが転写され、硬化された紫外線硬化型樹脂層を形成し、
硬化された紫外線硬化型樹脂層をマスクとしてドライエッチングを行い、磁気記録層表面に、凹凸パターンを形成することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。 - 前記スタンパの臨界表面張力が26ないし31mN/mであることを特徴とする請求項3に記載の方法。
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