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JP2010280960A - ロータリーキルンの操業方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ロータリーキルン本体内に一定量の燃料を吹き込みつつ、ロータリーキルン本体内のヒートパターンを所定のパターンに維持し、ロータリーキルン本体排出部の焼鉱温度を一定範囲内に維持し、かつ得られる焼鉱の還元度を所定の値とするようにロータリーキルン本体内に乾燥原料等を供給するロータリーキルンの操業方法において、ロータリーキルン内壁へのコーチングの成長を防止し、かつ前記焼鉱温度を所定の値としつつ、従来と比較してより多くの原料鉱石を処理しうるロータリーキルンの操業方法を提供する。
【解決手段】ロータリーキルン本体1内に供給される炭素質還元剤10の量を、共に供給される乾燥鉱石9を加熱し、部分還元するに足る量を超えた過剰量とし、過剰分の炭素質還元剤を酸化、燃焼させるに見合う量の酸化剤を副原料としてロータリーキルン本体内に炭素質還元剤と共に供給する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ロータリーキルンの操業方法に関し、さらに詳しくは、バーナーを介してロータリーキルン本体内に単位時間当たり所定の一定量の燃料を吹き込みながら、ロータリーキルン本体内のヒートパターンを所定のパターンに維持し、かつロータリーキルン本体排出部の焼鉱温度を一定範囲内に維持するようにロータリーキルン本体内に供給する原料鉱石と炭素質還元剤と繰り返し物と要すれば溶剤との供給速度を調整し、もってロータリーキルン内壁へのコーチングの成長を防止し、かつ焼鉱の還元度を所定の値とするロータリーキルンの操業において、原料鉱石の処理量を高めることを可能とするロータリーキルンの操業方法に関する。
一般に、ロータリーキルンは、鉄鋼製錬及び非鉄金属製錬等の製錬プロセスにおいて鉱石を焼成する工程において使用されている。
例えば、フェロニッケル製錬では、鉄とニッケルを主成分とするフェロニッケル合金を得る一般的な製造方法として、酸化ニッケル鉱石を原料鉱石として、乾燥工程、焼成工程、還元熔解工程及び精製工程からなる乾式製錬方法が用いられている。この乾燥工程では、例えば、原料鉱石と炭素質還元剤と繰り返し物と要すれば溶剤とを混合し、あるいは混合したものをペレットや団鉱に成形し、これをドライヤーにて原料鉱石の付着水分量が22〜24重量%になるまで乾燥し、乾燥原料を得る。その後、この乾燥原料を次工程である焼成工程に供する。
あるいは、原料鉱石のみをドライヤーにて乾燥し、得た乾燥鉱石と炭素質還元剤、繰り返し物、要すれば溶剤とを所定の比率で焼成工程のロータリーキルンに供給し、焼成を行う。
焼成工程では、前記したように通常ロータリーキルンが用いられるが、前記ロータリーキルンに供給される乾燥原料や乾燥鉱石、炭素質還元剤、繰り返し物、溶剤(以下「乾燥原料等」と記載することもある。)はロータリーキルン内で加熱され、部分還元された原料鉱石と炭素質還元剤とを含有する焼鉱を得ている。得られた焼鉱は、その後の還元熔解工程にて電気炉又は熔鉱炉等の熔融還元炉で還元熔解され、粗フェロニッケルとスラグとに分けられる。
ところで、前記したような乾燥原料等を焼成するために用いられるロータリーキルンとしては、一般的に図1に示すような向流加熱方式のロータリーキルンが採用されている。
図1の向流加熱方式のロータリーキルンについて簡単に説明すると、1はロータリーキルン本体であり、2はロータリーキルン本体1の中間部の所望位置に設けられた供給口であり、3はロータリーキルン本体の一端側に、焼成する原料を外部よりロータリーキルン本体内に供給可能に設けられたシュートであり、4はロータリーキルン本体の他端側(排出端側)に設けられたバーナーである。シュート3とバーナー4とが設けられた部分にはフード5,6が設けられており、集塵とガス排気が行われている。そして、フード6の下部には焼鉱排出口7が設けられている。
図1のロータリーキルンを用いた操業では、まず、バーナー4により重油、微粉炭等の燃料8を単位時間当たり所定の一定量をロータリーキルン内に吹き込み、燃焼させてロータリーキルン本体1内のヒートパターンを所定のものとする。その後、乾燥原料等9を、前記シュート3を介して回転しているロータリーキルン本体1内に供給する。そして、前記ヒートパターンを維持しつつ、ロータリーキルン本体より排出される焼鉱11の温度を所定の値に維持するように前記乾燥原料等9の供給速度を調整する。要すれば供給口2より炭素質還元剤10を供給する。
このとき、ロータリーキルン内に吹き込まれるバーナー燃料が過多であると、ロータリーキルンの内壁に局所的な過熱部が生じ、その部分と接した乾燥原料等9が熔融してコーチングを発生するという事態を引き起こす。
このようにして発生したコーチングは、一部は剥がれ落ち、一部は強制的に剥ぎ落とされて前記焼鉱排出口7にて回収される。このようにして回収されたコーチングのうちの粗大物は、搬送系統でトラブルを防止するために図示しない破砕設備で粗砕した後、前記乾燥工程に繰り返し物として繰り返される。したがって、コーチングによる粗大物発生量が増加するにつれて、乾燥原料等内の繰り返し物割合が増加する。ドライヤーやロータリーキルンは、通常その処理能力には限界があるため、前記繰り返し物量の増加はロータリーキルンにて処理できる単位時間当たりの原料鉱石量の減少を意味し、生産性の低下を来すことになる。
したがって、コーチングを発生、あるいは増加させることなく、ロータリーキルンの操業を長期に持続することは重要な技術課題であり、そのための種々の方策が試みられている。例えば、原料鉱石の焼成及び/又は部分還元処理を行うロータリーキルンの安定操業を持続させるため、ロータリーキルンから排出される焼成鉱石の温度のバラツキを低減するために、排出される焼成鉱石の温度を一定値にするように制御するロータリーキルンの制御方法であって、前記原料鉱石の水分率及びロータリーキルンへのリサイクルダストの供給量を測定する操作、前記測定値から所定のアルゴリズム(A)を用いて演算処理して原料鉱石の供給量を決定する操作、及び前記原料鉱石の供給量を制御する方法(特許文献1参照。)が提案されている
この提案されている方法においても、基本となるのは、バーナーを介してロータリーキルン本体内に吹き込む燃料の単位時間当たりの吹き込み量を一定とし、ロータリーキルン本体内のヒートパターンが所定のパターンとなり、ロータリーキルン本体排出部の焼鉱の温度が一定範囲内に維持されるようにロータリーキルン本体内に供給する原料鉱石(本明細書で言う乾燥原料等に相当する)の供給速度を調整することであり、こうすることによりロータリーキルン本体内壁へのコーチングの成長を防止ししようとするものである。
近時のあらゆる分野における生産コスト圧縮の要求は止まるところを知らず、フェロニッケル製錬においても同様である。この求めに応ずるべく、如何にロータリーキルン操業において原料鉱石処理量を多くするかが検討されている。しかしながら、ロータリーキルンの操業方法は前記したように、ロータリーキルン本体内壁の局部過熱を防止し、もって同本体内壁へのコーチング発生量を最低限に抑え、かつロータリーキルン本体より排出される焼鉱の温度を所定の値に維持するべく、ロータリーキルン本体内に吹き込む燃料の吹き込み量を一定割合とし、ロータリーキルン本体内に供給する乾燥原料等の供給量を調節するものである。
よって、さらなる生産性の向上を図るためにバーナーを介してロータリーキルン内に吹き込む燃料の単位時間当たりの量を増加させ、この増加量に見合った乾燥原料を投入しようとすると、燃料吹き込み量増加によるロータリーキルン内壁の局部加熱部発生は防止できず、したがって、コーチング量は増加せざるを得ない。コーチング量が増加すれば、前述したように繰り返し物発生量の増加を来すこと、さらには、ロータリーキルン内壁に発生したコーチングを除去するために操業を停止しなければならないという事態も発生する。結果、この考え方では生産性の向上は図れない。
したがって、単位時間当たり所定の一定量の燃料を、バーナーを介してロータリーキルン本体内に吹き込みつつ、ロータリーキルン本体内のヒートパターンを所定のパターンに維持し、かつロータリーキルン本体排出部の焼鉱温度を一定範囲内に維持するようにロータリーキルン本体内に乾燥原料等を供給するロータリーキルンの操業方法において、ロータリーキルン内壁へのコーチングの成長を防止し、前記焼鉱温度を所定の値とし、かつ得られる焼鉱の還元度を所定の値としつつ、従来と比較してより多くの原料鉱石を処理しうる操業方法の確立が望まれているが、未だ有効な方法は提案されていない。
特開2004−340524号公報(第1〜3頁)
本発明の目的は、上記の状況に鑑みてなされたものであり、バーナーを介して単位時間当たり所定の一定量の燃料をロータリーキルン本体内に吹き込み燃焼させてロータリーキルン本体内のヒートパターンを所定のパターンに維持し、ロータリーキルン本体排出部の焼鉱温度を一定範囲内に維持し、かつ得られる焼鉱の還元度を所定の値とするようにロータリーキルン本体内に乾燥原料等を供給するロータリーキルンの操業方法において、バーナーを介してロータリーキルン本体内に吹き込む燃料の単位時間当たりの吹き込み量を変えることなく原料鉱石の増処理を可能とする方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために、バーナーを介して単位時間当たり所定の一定量の燃料をロータリーキルン本体内に吹き込み、燃焼させてロータリーキルン本体内のヒートパターンを所定のパターンに維持し、ロータリーキルン本体排出部の焼鉱温度を一定範囲内に維持し、かつ得られる焼鉱の還元度を所定の値とするように、乾燥原料、あるいは乾燥した鉱石(乾燥鉱石)と炭素質還元剤と繰り返し物と要すれば溶剤とをロータリーキルン本体内に装入する向流加熱方式のロータリーキルンの操業方法について、乾燥鉱石増処理分による不足熱量を何で補うことが可能かを鋭意研究した。
その結果、乾燥鉱石処理量増加分に見合う不足熱量を炭素質還元剤の燃焼熱で補えば本発明の目的が達成されること、即ち、乾燥鉱石を所望の割合で部分還元するに足る量の炭素質還元剤に、増処理分の乾燥鉱石を加熱し、焼成し、所望の割合で部分還元するために必要とされる量の炭素質還元剤を過剰分として加えて焼成処理し、焼成処理工程内でこの過剰分を、酸化剤を用いて燃焼させれば、ロータリーキルン本体内でのコーチング発生量の増加を抑制でき、ロータリーキルン本体から排出される焼鉱の温度を一定に維持でき、かつ得られる焼鉱の還元度を次工程の還元熔解操業において好適な値に保持しつつ乾燥鉱石の増処理が可能であることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、乾燥原料、あるいは乾燥鉱石と炭素質還元剤と繰り返し物と要すれば溶剤とを、バーナーを介して単位時間当たり所定の一定量の燃料が吹き込まれ、燃焼されているロータリーキルン本体内に、ロータリーキルン本体内のヒートパターンを所定のパターンに維持し、かつロータリーキルン本体より排出される焼鉱の温度を一定範囲内に維持し、得られる焼鉱の還元度を所定の値とするようにロータリーキルン本体内に供給するロータリーキルンの操業方法において、
ロータリーキルン本体内に供給される炭素質還元剤の量を、共に供給される乾燥鉱石を加熱し、部分還元するに足る量を超えた過剰量とし、過剰分の炭素質還元剤を酸化、燃焼させるに見合う量の酸化剤を副原料としてロータリーキルン本体内に炭素質還元剤と共に供給することを特徴とするロータリーキルンの操業方法が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、前記第1の発明において、炭素質還元剤として石炭を用い、前記過剰分の石炭が、前記乾燥鉱石を加熱し、部分還元するに足る量の15%以下であることを特徴とするロータリーキルンの操業方法が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、前記第2の発明において、前記酸化剤が酸化第二鉄(Fe)であることを特徴とするロータリーキルンの操業方法が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、前記第3の発明において、前記乾燥鉱石は、フェロニッケル製造用に用いる酸化ニッケル鉱石であることを特徴とするロータリーキルンの操業方法が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、乾燥原料、あるいは乾燥鉱石と炭素質還元剤と繰り返し物と要すれば溶剤とを、バーナーを介して単位時間当たり所定の一定量の燃料が吹き込まれ、燃焼されているロータリーキルン本体内に、ロータリーキルン本体内のヒートパターンを所定のパターンに維持し、かつロータリーキルン本体より排出される焼鉱の温度を一定範囲内に維持し、得られる焼鉱の還元度を所定の値とするようにロータリーキルン本体内に供給するロータリーキルンの操業方法において、
ロータリーキルン本体内に供給される炭素質還元剤の量が、共に供給される乾燥鉱石を加熱し、部分還元するに足る量を超えた過剰量とし、過剰分の炭素質還元剤を酸化、燃焼させるに見合う量の酸化剤をロータリーキルン本体排出端に供給し、該酸化剤と前記過剰量の炭素質還元剤とを接触させ、酸化、燃焼させることを特徴とするロータリーキルンの操業方法が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、前記第5の発明において、前記炭素質還元剤が石炭であり、前記過剰量の石炭が前記乾燥鉱石を加熱し、部分還元するに足る量の15%以下であることを特徴とするロータリーキルンの操業方法が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、前記第6の発明において、前記酸化剤が酸化第二鉄(Fe)、空気、酸素富化空気から選ばれる少なくとも一つであることを特徴とするロータリーキルンの操業方法が提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、前記第7の発明において、前記乾燥鉱石は、フェロニッケル製造用に用いる酸化ニッケル鉱石であることを特徴とするロータリーキルンの操業方法が提供される。
本発明の操業方法では、バーナーを介して単位時間当たり所定の一定量の燃料を吹き込みつつ燃焼させているロータリーキルン本体内へ、ロータリーキルン本体内のヒートパターンを所定のパターンに維持しつつ、ロータリーキルン本体より排出される焼鉱の温度を一定範囲内に維持し、かつ得られる焼鉱の還元度を所定の値とするように乾燥原料等を供給するに際して、ロータリールン内に供給する炭素質還元剤の量を、乾燥鉱石を加熱し、部分還元するに足る量を超える過剰量とし、この過剰分を酸化、燃焼させるに足る量の酸化剤を副原料として、炭素質還元剤と共にロータリーキルン本体内に供給する。あるいは、前記炭素質還元剤の過剰分を燃焼させるに足る量の酸化剤をロータリーキルン本体排出端に供給し、酸化、燃焼させる。
そして、好ましくは、炭素質還元剤として石炭を用い、前記酸化剤として酸化第二鉄(Fe)、空気、酸素富化空気の内の少なくとも一つを用いることにより、ロータリーキルンから排出される焼鉱の還元度を調整することにより、過剰分の石炭をロータリーキルン内にて燃焼させ、生成した熱に見合う量の鉱石原料の増処理を図るものである。
こうすれば、バーナーを介してロータリールン内に吹き込む燃料の量は変化させる必要がないため、ロータリーキルン内壁の局部加熱は防止でき、従って、コーチング発生量が増加することもなく、ロータリーキルンから排出される焼鉱の還元度を所望の状態に保持しながら、原料鉱石の焼成と部分還元処理に必要な熱量を確保して、原料鉱石の処理量を増加させることができるので、その工業的価値は極めて大きい。
酸化ニッケル鉱石の焼成及び部分還元処理を行なう向流加熱方式のロータリーキルンの構成を例示する断面図である。
以下、本発明のロータリーキルンの操業方法を詳細に説明する。
本発明のロータリーキルンの操業方法では、乾燥原料等を、バーナーを介して単位時間当たり所定の一定量の燃料を吹き込み燃焼させているロータリーキルン本体内に、ロータリーキルン本体内のヒートパターンを所定のパターンに維持し、ロータリーキルン本体より排出される焼鉱の温度を一定範囲内に維持し、かつ得られる焼鉱の還元度を所定の値とするように供給するロータリーキルンの操業方法において、ロータリーキルンに供給する炭素質還元剤の量を、乾燥原料等を構成する乾燥鉱石を加熱し、部分還元するに足る量を超えた過剰量とし、過剰分の炭素質還元剤を酸化、燃焼させるに見合う量の酸化剤を前記炭素質還元剤と共にロータリーキルンに供給する。あるいは、前記過剰分の炭素質還元剤を酸化、燃焼させるに足る量の酸化剤をロータリーキルン本体排出端に供給し、該過剰分の炭素質還元剤を酸化、燃焼させる。
こうすることにより、系内繰り返し処理となるコーチングの発生量を抑制しつつ、ロータリーキルン本体より排出される焼鉱の温度を一定範囲内に維持し、得られる焼鉱の還元度を所定の還元度に維持でき、乾燥鉱石処理量の増加が達成される。
すなわち、ロータリーキルン内で乾燥鉱石を部分還元処理するに足る量を超えて過剰に炭素質還元剤を供給し、ロータリーキルン内でこの過剰分を酸化剤で燃焼させ、発生する燃焼熱を乾燥鉱石増処理分の加熱焼成に使用するものである。炭素質還元剤として石炭を用いれば、その揮発成分を燃焼熱として利用できるので、好ましい。
本発明において、加えられた石炭は、そのの揮発成分はロータリーキルン前半部で燃焼し、残部は乾燥原料の温度が各酸化剤と反応するに足る温度まで上昇するロータリーキルン排出端側で反応し、燃焼する。したがって、あまりに多くの石炭を過剰量として添加すると、ロータリーキルン内のヒートパターンを崩すおそれが出てくる。加えて、ロータリーキルン内での原料鉱石の実質的な滞留時間が短くなり、所定の還元度の焼鉱が得られにくくなるおそれがある。このため、過剰量として加える石炭の量は、乾燥原料を調整する際に用いている原料鉱石を、所定の還元度に部分還元するに必要としてマテリアルバランスとヒートバランスを用いて算出される量の15重量%以下とすることが好ましい。
酸化剤は乾燥原料を調整する際に原料鉱石と混合して乾燥原料中に含ませてもよく、直接シュートを介してロータリキルン本体内に供給してもよい。また、そうせずに、ロータリーキルン排出端にてロータリーキルン本体内に供給してもよい。酸化剤として酸化第二鉄を用いる場合には、前記二つの方法のいずれも採用可能であるが、酸化剤として空気や酸素富化空気を用いる場合には後者しか採用できない。
本発明において、酸化剤として酸化第二鉄や空気や酸素富化空気を用いるのは、これらが後工程に対して何の影響も与えないからである。酸素富化空気を用いる場合には、酸素濃度は20〜40%とすることが好ましい。これより高くなると装置を損傷するおそれが高くなるからである。
本発明のように、加えた石炭の過剰分を強制的にロータリーキルン内で酸化剤により酸化させれば、焼鉱の還元度を所望の状態に保持できる。
以下に、炭素質還元剤として石炭を用いた本発明の操業方法例について図1に例示した向流加熱方式のロータリーキルンを用いて説明する。
本発明では、まず、乾燥鉱石中のニッケルを金属状態に、鉄をFeOとする程度の所望の還元度となる焼鉱を得るのに要する石炭量を原料鉱石組成より計算により求める。この計算は、従来から一般的に採用されているマスバランスとヒートバランスを用いておこなわれる。なお、石炭としては瀝青炭、無煙炭、褐炭などが用いられる。
そして、ロータリーキルン本体1の一方の端部に設けられたバーナー4より、単位時間当たり所定の胃定量の重油や微粉炭等の燃料8をロータリーキルン本体1内に吹き込み、燃焼させてロータリーキルン内のヒートパターンを所定のものとする。その後、前記ヒートパターを維持し、ロータリーキルン本体1排出端側の焼鉱温度が所定の温度となるように乾燥鉱石と、前記計算により求められた量の石炭及び過剰分の石炭と、繰り返し物と、要すれば溶剤とをロータリールン本体1の他端に設けられたシュート3からロータリーキルン本体1内に供給する。
この際、前記過剰分の石炭を燃焼させるに足る量の固体酸化剤、例えば、酸化第二鉄(Fe)を石炭と共にロータリーキルン本体1内に供給する。
また、供給に際しては、ロータリーキルン本体内のヒートパターンを維持し、ロータリーキルン本体から排出される焼鉱の温度を800〜900℃に維持するように供給量を調整する。したがって補発明では、バーナーからロータリーキルン本体内に吹き込み、燃焼させる燃料の単位時間当たりの量は一定とするので、ロータリーキルン内壁の局部加熱部の発生は防止でき、コーチング発生量を増加させることなく、前記過剰量の石炭の燃焼により発生する熱量に見合った量の原料鉱石の増処理が可能となる。
ここで、ロータリーキルン本体から排出される焼鉱の温度を800〜900℃に維持するのは、後工程の還元熔解工程における操業トラブルを防ぐため、乾燥鉱石中に含まれる付着水分及び結晶水分を確実に除去し、焼鉱とするためであり、かつ適切な処理量を得るためである。
酸化第二鉄を、シュートを介して石炭と共にロータリーキルン本体内に供給しない場合には、例えば、投入口2より酸化第二鉄をロータリーキルン内に供給してもよいし、ロータリーキルン本体より排出される焼鉱と混合してもよい。
酸化剤として空気または酸素富化空気を用いる場合には、ロータリーキルン本体の排出端側で空気若しくは酸素富化空気をロータリーキルン内に吹き込み、前記過剰分の石炭を燃焼させる。この際、空気や酸素富化空気が焼鉱に吹き当たるようにロータリーキルン内に吹き込めば、より好ましい。
以上に示したように、本発明のロータリーキルンの操業方法では、バーナーを介してロータリーキルン内に吹き込まれる単位時間当たりの燃料の量は、ロータリーキルン内壁に局部加熱部を生じない量で一定としている。したがって、この局部加熱部を起因とするコーチング発生量の増加はない。
本発明の方法は、鉄鋼製錬及び非鉄金属製錬等の製錬プロセスにおいて原料鉱石を焼成する工程において好ましく用いることができる。
上記方法に用いる原料鉱石としては、製錬プロセスにより種々の原料鉱石等が挙げられるが、この中で、フェロニッケル製錬プロセスの焼成工程で用いられるガーニエライト鉱等の酸化ニッケル鉱石が好ましく用いられる。
上記酸化ニッケル鉱石としては、一般に、ガーニエライト鉱等のケイ酸マグネシウム鉱石が使用される。最も一般的に用いられるガーニエライト鉱の代表的な組成としては、乾燥鉱換算でNi品位が2.0〜2.5質量%、Fe品位が11〜23質量%、MgO品位が20〜28質量%、SiO品位が29〜39質量%、CaO品位が<0.5質量%、灼熱減量が10〜15質量%であり、ロータリーキルンへ装入される原料鉱石には、10〜30質量%の付着水と灼熱減量分の結晶水が含有されている。
以下実施例を用いて本発明を更に説明する。
以下に、本発明の実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で用いた金属の分析はICP発光分析法で行った。また、実施例及び比較例で用いたロータリーキルン設備の仕様と操業条件は以下の通りである。
[ロータリーキルン設備の仕様]
(1)キルン本体の形状:長さ105m、鉄皮の内径4.8m、耐火物ライニング厚さ250mm
(2)バーナー:重油・微粉炭混焼バーナー
[ロータリーキルン設備の操業条件]
(1)装入鉱石の付着水分:23質量%
(2)キルン回転数:0.9〜1.05rpm
(3)焼鉱の排出温度:800℃
(実施例1)
ガーニエライト鉱の鉱石組成から求めた必要石炭量は、乾燥ガーニエライト鉱(乾燥鉱石)150トンに対して4トンであった。
次に、バーナーを介してロータリーキルン本体内に微粉炭量を3トン/h、及び重油量を1650リットル/hの割合で吹き込み、燃焼させた。この際にロータリーキルン内のヒートパターンが所定のパターンになっていることを確認した。
次に、乾燥鉱石供給量を150トン/hとし、石炭供給量を4トン/hに過剰量の0.5トン/hを加えた4.5トン/hとし、酸化第二鉄(Fe)を主成分とする鉄分53%の副原料供給量を2トン/hとしてロータリーキルン本体内に供給し、ロータリーキルンが安定後、ロータリーキルン本体内壁に局部加熱部ができないように、かつロータリーキルンの排出端での焼鉱温度が800〜900℃となるように乾燥鉱石供給量を調整した。
得られた焼鉱を適宜電気炉で還元熔解し、スラグ中の鉄品位を求めた。なお、この品位は焼鉱の還元度を示す値となる。
このようにして1週間試験操業を行い、操業が安定した後の5日間の操業データより平均乾燥鉱石供給量、平均石炭供給量、ロータリーキルンの排出端での平均焼鉱温度、スラグ中の平均Fe品位を求め、表1に合わせて示した。
(実施例2)
ロータリーキルン内に酸化第二鉄を供給する代わりに、ロータリーキルン本体排出端にて4000Nm/hの割合で焼鉱に空気を吹き当てた以外は実施例1と同様にして1週間試験操業を行い、操業が安定した後の5日間の操業データより平均乾燥鉱石供給量、平均石炭供給量、ロータリーキルンの排出端での平均焼鉱温度、スラグ中の平均Fe品位を求め、表1に合わせて示した。
(比較例1)
ロータリーキルンに供給する乾燥鉱石供給量を150トン/hとし、石炭の供給量を4トン/hの割合としてロータリーキルン内に供給した以外は実施例1と同様にして一週間の試験操業を行った。
試験操業開始当初は乾燥鉱石を150トン/hの割合で供給できていたが、その後、焼鉱温度が742℃まで低下したため、乾燥鉱石供給量のみを100トン/hまで減少させた。その後、焼鉱温度は820℃まで上昇し、操業は安定した。なお、石炭の供給割合は4トン/hのままとした。
このようにして1週間試験操業を行い、操業が安定した後の5日間の操業データより平均乾燥鉱石供給量、平均石炭供給量、ロータリーキルンの排出端での平均焼鉱温度、スラグ中の平均Fe品位を求め、表1に示した。
(比較例2)
過剰分の石炭を、酸化剤を用いて燃焼させることなく実施例1と同様にして1週間試験操業を行い、操業が安定した後の5日間の操業データより平均乾燥鉱石供給量、平均石炭供給量、ロータリーキルンの排出端での平均焼鉱温度、スラグ中の平均Fe品位を求め、表1に合わせて示した。
Figure 2010280960
表1より以下のことが示される。
実施例1は、過剰分の石炭を燃焼させるために、酸化鉄を主成分とする副原料を添加したもので、乾燥鉱石供給量は104トン/hとなり、予定の105トン/hよりやや減少したものの、通常操業と同様の還元度の焼鉱を得ることができている。
また、実施例2は、空気により過剰分の石炭を燃焼させたもので、乾燥鉱石供給量は105トン/hの高レベルを維持したままで、通常操業と同様の還元度の焼鉱を得ることができている。
比較例1は、本来従来例のとしての試験を試みたものであった。試験操業の初期には、電気炉から産出する還元スラグのFe品位は、通常操業と同程度の約7.4質量%であったが、ロータリーキルンでの乾燥鉱石の焼成に必要な熱量が不足して乾燥鉱石供給量を100トン/hに減らさざるを得なかったが、この際に、石炭供給量を減少させずに4トン/hのままとしたため、スラグ中のFe品位は7.2質量%まで低下してしまった。
また、比較例2では、石炭を0.5トン/h過剰に添加したため、ロータリーキルン内での熱量に余裕が出たため、105トン/hの乾燥鉱石供給量での操業が可能であったが、過剰分の石炭により焼鉱の還元度が上がり、焼鉱を電気炉で還元溶解した際に得られる還元スラグ中のFe品位が6.2質量%まで低下した。
なお、いずれの場合に押しても、コーチング発生量の増加はみられなかった。
以上より明らかなように、本発明のロータリーキルンの操業方法は、鉄鋼及び非鉄金属製錬等の鉱石を焼成する工程において使用されるロータリーキルンの原料鉱石処理量を増加させる操業方法として好適である。特に、系内繰り返し処理となるコーチングの発生量を抑制しつつ、給鉱量の増加に繋がるので、生産性を向上させる方法として有用である。
1 ロータリーキルン本体
2 供給口
3 シュート
4 バーナー
5,6 フード
7 焼鉱排出口
8 燃料
9 乾燥原料等
10 炭素質還元剤
11 焼鉱

Claims (8)

  1. 乾燥原料、あるいは乾燥鉱石と炭素質還元剤と繰り返し物と要すれば溶剤とを、バーナーを介して単位時間当たり所定の一定量の燃料が吹き込まれ、燃焼されているロータリーキルン本体内に、ロータリーキルン本体内のヒートパターンを所定のパターンに維持し、ロータリーキルン本体より排出される焼鉱の温度を一定範囲内に維持し、かつ得られる焼鉱の還元度を所定の値とするようにロータリーキルン本体内に供給するロータリーキルンの操業方法において、
    ロータリーキルン本体内に供給される炭素質還元剤の量を、共に供給される乾燥鉱石を加熱し、部分還元するに足る量を超えた過剰量とし、過剰分の炭素質還元剤を酸化、燃焼させるに見合う量の酸化剤を副原料としてロータリーキルン本体内に炭素質還元剤と共に供給することを特徴とするロータリーキルンの操業方法。
  2. 前記炭素質還元剤として石炭を用い、前記過剰分の石炭が、前記乾燥鉱石を加熱し、部分還元するに足る量の15%以下であることを特徴とする請求項1記載のロータリーキルンの操業方法。
  3. 前記酸化剤が酸化第二鉄(Fe)であることを特徴とする請求項2記載のロータリーキルンの操業方法。
  4. 前記乾燥鉱石は、フェロニッケル製造用に用いる酸化ニッケル鉱石であることを特徴とする請求項3記載のロータリーキルンの操業方法。
  5. 乾燥原料、あるいは乾燥鉱石と炭素質還元剤と繰り返し物と要すれば溶剤とを、バーナーを介して単位時間当たり所定の一定量の燃料が吹き込まれ、燃焼されているロータリーキルン本体内に、ロータリーキルン本体内のヒートパターンを所定のパターンに維持し、ロータリーキルン本体より排出される焼鉱の温度を一定範囲内に維持し、かつ得られる焼鉱の還元度を所定の値とするようにロータリーキルン本体内に供給するロータリーキルンの操業方法において、
    ロータリーキルン本体内に供給される炭素質還元剤の量が、共に供給される乾燥鉱石を加熱し、部分還元するに足る量を超えた過剰量とし、過剰分の炭素質還元剤を酸化、燃焼させるに見合う量の酸化剤をロータリーキルン本体排出端に供給し、該酸化剤と前記過剰量の炭素質還元剤とを接触させ、酸化、燃焼させることを特徴とするロータリーキルンの操業方法。
  6. 前記炭素質還元剤が石炭であり、前記過剰量の石炭が前記乾燥鉱石を加熱し、部分還元するに足る量の15%以下であることを特徴とする請求項5記載のロータリーキルンの操業方法。
  7. 前記酸化剤が酸化第二鉄(Fe)、空気、酸素富化空気から選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする請求項6記載のロータリーキルンの操業方法。
  8. 前記乾燥鉱石は、フェロニッケル製造用に用いる酸化ニッケル鉱石であることを特徴とする請求項7記載のロータリーキルンの操業方法。
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