JP2010278168A - カバーレイフィルム、発光素子搭載用基板及び光源装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】熱可塑性樹脂を含有してなる層(A)とシリコーン樹脂に無機充填材を含有してなる層(B)とを備えて構成され、波長400〜800nmにおける平均反射率が70%以上であって、かつ200℃で4時間熱処理した後の波長470nmにおける反射率の低下率が10%以下であるプリント配線板の導体回路保護用のカバーレイフィルム。
【選択図】図1
Description
第1の本発明であるカバーレイフィルムとしては、熱可塑性樹脂を含有してなる層(A)と、シリコーン樹脂に無機充填材を含有してなる層(B)とを備えてなり、波長400〜800nmにおける平均反射率が70%以上であって、かつ200℃で4時間熱処理した後の波長470nmにおける反射率の低下率が10%以下のものであれば、特に制限されるものではなく、熱可塑性樹脂を含有してなる層(A)に、シリコーン樹脂に無機充填材を含有してなる層(B)を積層させた構成を備えることで、極めて高い反射特性を有することができる。
また、現在主流の青色LEDを用いた白色光を得る場合には470nm付近の反射率が重要になってくるが、より高演色性の白色光を得るために、紫外(近紫外)LEDと赤、緑、青色の蛍光体を組み合わせたタイプが開発されている。その場合には、カバーレイフィルムにも紫外(近紫外)LEDの発光波長に対応した、300〜400nmの波長の光を反射することと、可視光領域(400〜800nm)の波長の光を反射することが必要になってくる。
したがって、第一の本発明のカバーレイフィルムは、300〜400nmの平均反射率が40%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、60%以上が更に好ましい。
第1の本発明であるカバーレイフィルムは、熱可塑性樹脂を含有してなる層(A)を備えるものであり、以下に示すように、熱可塑性樹脂としては、何ら制限されることなく用いることができ、さらに各種無機充填材や添加剤を含有するものであっても良い。
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニルサルフォン(PPSU)等が挙げられ、これらを1種又は2種以上用いても良い。これらの中でも、耐熱性の理由から、特に結晶融解ピーク温度が260℃以上の結晶性熱可塑性樹脂、ガラス転移温度が260℃以上の非晶性熱可塑性樹脂及び液晶転移温度が260℃以上の液晶ポリマーから選択されるいずれか1種以上を用いることが好ましく、結晶融解ピーク温度(Tm)が260℃以上の結晶性熱可塑性樹脂、及びガラス転移温度(Tg)が260℃以上の非晶性熱可塑性樹脂から選択されるいずれか1種以上を用いることがさらに好ましい。上記範囲の熱可塑性樹脂を用いることによって、Pbフリー半田リフローに対する耐熱性を有することが可能である。また、高熱環境下での酸化劣化を防止し、反射率の低下を抑えることが可能である。結晶融解ピーク温度が260℃以上の結晶性熱可塑性樹脂としては、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK:Tg =145℃、Tm=335℃)、ポリエーテルケトン(PEK:Tg=165℃、Tm=355℃)等のポリアリールケトン(PAr)、ポリフェニレンサルファイド(PPS:Tg=100℃、Tm=280℃)等が好適に用いられる。ガラス転移温度が260℃以上の非晶性熱可塑性樹脂としては、ポリアミドイミド(PAI:Tg=280℃)や260℃以上の高Tgを有するポリエーテルイミド(PEI)等が好適に用いられる。
上記無機充填材としては、例えば、タルク、マイカ、雲母、ガラスフレーク、窒化ホウ素(BN)、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、チタン酸塩(チタン酸カリウム等)、硫酸バリウム、アルミナ、カオリン、クレー、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、チタン酸鉛、酸化ジルコン、酸化アンチモン、酸化マグネシウム等が挙げられる。これらは1種類を単独で添加してもよく、2種類以上を組み合わせて添加してもよい。
上記熱可塑性樹脂を含有してなる層(A)は、MD及びTDの線膨張係数の平均値が35×10−6/℃以下であることが好ましい。より好適な線膨張係数の範囲は、使用する基板の種類や、表裏面に形成する回路パターン、積層構成によっても異なるが、概ね10×10−6〜30×10−6/℃程度である。また、MD、TDの線膨張係数差は20×10−6/℃以下であることが好ましく、15×10−6/℃以下であることがより好ましく、さらには10×10−6/℃以下であることが最も好ましい。このように異方性(MD、TDの線膨張係数差)を小さくさせることによって、線膨張係数が大きい方にカールや反りを生じたり、寸法安定性が不十分となったりする問題がない。
第1の本発明であるカバーレイフィルムは、シリコーン樹脂に無機充填材を含有してなる層(B)を備えるものであり、以下に示すように、シリコーン樹脂及び無機充填材としては、何ら制限されることなく用いることができ、後述する添加剤を含有するものであっても良い。
上記シリコーン樹脂としては、特に制限されるものではなく、例えば、ケイ素原子に結合したメチル基及び/又はフェニル基を有するものを例示することができる。
またシリコーン樹脂を溶剤に溶かして、溶液タイプにしてもよい。溶剤には、トルエン、キシレンなどの炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルアセテートなどのエステル類などがあげられるがこれに限定されるものではない。
シリコーン樹脂に含有される無機充填材としては、上述した熱可塑性樹脂を含有してなる層(A)と同様の無機充填材を挙げることができ、中でも上述した酸化チタンを用いることが好ましい。この酸化チタンを用いることによって、高い反射率を有するカバーレイフィルムを得ることが可能となる。
また、白色光を得るためには、現在主流である青色LEDと黄色蛍光体の他に、紫外LEDと赤、青、緑の蛍光体の組み合わせがあるが、紫外領域での反射が必要な場合は、アルミナ、硫酸バリウム、チタン酸塩等、紫外光の吸収が少ない無機充填材を1種以上使用することが好ましい。
上記熱可塑性樹脂を含有してなる層(A)やシリコーン樹脂に無機充填材を含有してなる層(B)の構成成分には、その性質を損なわない程度に、他の樹脂や無機充填材以外の各種添加剤、例えば、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、核剤、着色剤、滑剤、難燃剤等を適宜配合しても良い。また前記樹脂組成物の調製方法としては、特に制限されるものではなく、公知の方法を用いることができる。例えば、(a)各種添加剤を熱可塑性樹脂又はシリコーン樹脂などの適当なベース樹脂に高濃度(代表的な含有量としては10〜60重量%)に混合したマスターバッチを別途作製しておき、これを使用する樹脂に濃度を調整して混合し、ニーダーや押出機等を用いて機械的にブレンドする方法、(b)使用する樹脂に直接各種添加剤をニーダーや押出機等を用いて機械的にブレンドする方法などが挙げられる。上記混合方法の中では、(a)のマスターバッチを作製し、混合する方法が分散性や作業性の点から好ましい。さらに、フィルムの表面にはハンドリング性の改良等のために、エンボス加工やコロナ処理等を適宜施しても良い。
第1の本発明であるカバーレイフィルムは、200℃で4時間熱処理した後の波長470nmにおける反射率の低下率が10%以下であることを必要とし、また中でも、260℃で5分間熱処理した後の波長470nmにおける反射率の低下率が10%以下であることが好ましい。
第1の本発明であるカバーレイフィルムの厚みは、3〜200μmであることが好ましい。より好ましくは、10〜150μmであり、さらには20〜100μmである。かかる範囲であれば、薄型が要求される携帯電話用バックライトや、液晶ディスプレー用バックライト用の面光源として使用されるチップLED搭載基板の導体回路保護用カバーレイフィルムとして好適に使用することができる。
第1の本発明であるカバーレイフィルムの製膜方法としては、公知の製膜方法を挙げることができ、例えば、熱可塑性樹脂を含有してなる層(A)を、Tダイを用いる押出キャスト法やカレンダー法等で成形し、これにシリコーン樹脂と無機フィラーとを攪拌機で攪拌させてなる溶液を塗工して、シリコーン樹脂に無機充填材を含有してなる層(B)を積層させる方法などを挙げることができる。Tダイを用いる押出キャスト法での成形温度は、組成物の流動特性や製膜性等によって適宜調整されるが、概ね融点以上、430℃以下である。また、結晶性樹脂を使用した場合、耐熱性を付与するための結晶化処理方法は、特に限定されるものではないが、例えば、押出キャスト時に結晶化させる方法(キャスト結晶化法)や製膜ライン内で、熱処理ロールや熱風炉等により結晶化させる方法(インライン結晶化法)及び製膜ライン外で、熱風炉や熱プレス等により結晶化させる方法(アウトライン結晶化法) などを挙げることができる。
第1の本発明であるカバーレイフィルムは、少なくとも、熱可塑性樹脂を含有してなる層(A)と、シリコーン樹脂に無機充填材を含有してなる層(B)とを備えるものであれば良く、(A)層と(B)層との間や(B)層と基板との間に、接着剤層等の他の層が介在してもよい。シリコーン樹脂との接着性を向上させるために、(A)層の表面をコロナ処理、UV処理、プラズマ処理等をしてもよい。シランカップリング剤やプライマー処理を行ってもよい。
第2の本発明である発光素子搭載用基板としては、少なくとも1つ以上の発光素子を搭載する基板上に、熱可塑性樹脂を含有してなる層(A)とシリコーン樹脂に無機充填材を含有してなる層(B)とを有する保護層を形成してなり、該保護層は、波長400〜800nmにおける平均反射率が70%以上であって、かつ200℃で4時間熱処理した後の波長470nmにおける反射率の低下率が10%以下のものであれば、特に制限されるものではなく、該発光素子を搭載する基板としては、例えば、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂からなる基板の少なくとも片面に金属層を積層させた金属積層体に所定の導体パターンを形成させた各種配線基板を利用することができる。このような基板上に、特定の物性を備えた、熱可塑性樹脂を含有してなる層(A)とシリコーン樹脂に無機充填材を含有してなる層(B)とを有する保護層を形成させれば、導体回路を保護することが可能となり、該保護層は、高い反射率を有することからリフレクターとしての機能をも発揮し、該基板の反射率の向上に寄与することも可能となる。
上記金属層としては、例えば、銅、金、銀、アルミニウム、ニッケル、錫等の、厚さ5〜70μm程度の金属箔を使用することができる。これらの中でも、金属箔としては、通常銅箔が使用され、さらに表面を黒色酸化処理等の化成処理を施したものが好適に使用される。導体箔は、接着効果を高めるために、フィルムとの接触面(重ねる面)側を予め化学的又は機械的に粗化したものを用いることが好ましい。表面粗化処理された導体箔の具体例としては、電解銅箔を製造する際に電気化学的に処理された粗化銅箔などが挙げられる。また、上記金属箔の積層方法については、接着層を介することのない熱融着方法として、加熱、加圧による方法であれば公知の方法を採用することができ、例えば、熱プレス法や熱ラミネートロール法、押出した樹脂にキャストロールで積層する押出ラミネート法、又はこれらを組み合わせた方法を好適に採用することができる。
第2の本発明である発光素子搭載用基板の製造方法としては、特に制限されるものではなく、両面に金属層を積層させた両面基板の場合には、例えば、図1に示す方法にしたがって製造することができる。図1に示すように、(a)まず、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂からなる基板(100)と、金属層となる2枚の銅箔(10)とを用意し、(b)熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂からなる基板(100)の両面に銅箔(10)を真空プレスにより積層して金属積層体を製造し、(c)銅箔(10)をエッチング又は銅上にメッキして配線パターン(20)を形成し、発光素子を搭載する配線基板を作製する。(d)この基板に、実装する箇所を窓抜き加工した、熱可塑性樹脂を含有してなる層(30)と、シリコーン樹脂に無機充填材を含有してなる層(40)とを備えてなる保護層(200)を一括積層し(なお、ここでは第1の本発明であるカバーレイフィルムを積層させている。)、発光素子搭載用基板とする。(e)その後金メッキ加工して、LED(300)を実装させ、ボンディングワイヤ(50)により配線パターン(20)と接続させ、所定の樹脂で封止して使用する(光源装置)。なお、窓抜き加工する方法としては、特に制限されるものではなくビク型を用いる方法や、ルーター加工する方法、レーザー加工する方法等を用いることができる。また保護層の形成において、上記以外にも、フィルム状の熱可塑性樹脂からなる層(30)を基板上に積層させた後、溶液状のシリコーン樹脂に無機充填材を含有してなる層(40)を塗工させて保護層を形成しても良い。
第3の本発明である光源装置としては、第2の本発明である発光素子搭載基板に導体回路を形成して、該基板と該基板に搭載された発光素子とを導通させ、該発光素子を樹脂封止してなるものであれば特に制限されるものではなく、保護層が形成されていることにより、導体回路を効果的に保護することが可能となり、高温熱負荷環境下や、耐光性試験環境下においても、反射率の低下を引き起こすことがないので、本発明の光源装置は、照明用、プロジェクタ光源、液晶表示装置等のバックライト装置、車載用途、携帯電話用途等の各種用途に用いることができる。
示差走査熱量計「DSC−7」(パーキンエルマー製)を用いて、JIS K7121に準じて、試料10mgを加熱速度10℃/分で昇温したときのサーモグラフから求めた。
分光光度計(「U−4000」、株式会社日立製作所製)に積分球を取りつけ、アルミナ白板の反射率が100%としたときの反射率を、波長400nm〜800nmにわたって、0.5nm間隔で測定した。得られた測定値の平均値を計算し、この値を平均反射率とした。
得られた白色フィルムを260℃のピーク温度で30分間真空プレス器にて熱処理(結晶化処理)した後に、熱風循環式オーブンに、200℃で4時間、260℃で5分間加熱処理し、加熱処理後の反射率を上記の方法と同様に測定して、470nmにおける反射率を読みとった。
セイコーインスツルメンツ(株)製の熱応力歪み測定装置TMA/SS6100を用いて、フィルムから切り出した短冊状の試験片(長さ10mm)を引張荷重0.1gで固定し、30℃から5℃/分の割合で300℃まで昇温させ、MD(α1(MD))とTD(α1(TD))の熱膨張量の降温時の30℃〜140℃の温度依存性を求めた。
(株)島津製作所製の型式「SS−100」の粉体比表面測定器(透過法)を用い、断面積2cm2、高さ1cmの試料筒に試料3gを充填して、500mm水柱で20ccの空気透過時間を計測し、これより酸化チタンの平均粒径を算出した。
[比較例1]
実施例1において、シリコーン樹脂層を設けないこと以外は同様の方法にてカバーレイフィルムを作製した。
また実施例2ではシリコーン樹脂層にアルミナを充填しているため可視光域での反射率も高いが、紫外光域(300〜400nm)での反射率も向上している。
一方、比較例1においては、シリコーン樹脂層を設けていないため、可視光域での反射率が劣るものとなった。
20 配線パターン
30 熱可塑性樹脂を含有してなる層
40 シリコーン樹脂に無機充填材を含有してなる層
50 ボンディングワイヤ
100 熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂からなる基板
200 保護層
300 LED
400 アルミ板
Claims (9)
- 熱可塑性樹脂を含有してなる層(A)とシリコーン樹脂に無機充填材を含有してなる層(B)とを備えてなり、
波長400〜800nmにおける平均反射率が70%以上であって、かつ200℃で4時間熱処理した後の波長470nmにおける反射率の低下率が10%以下であるプリント配線板の導体回路保護用のカバーレイフィルム。 - 前記熱可塑性樹脂が、結晶融解ピーク温度が260℃以上の結晶性熱可塑性樹脂、ガラス転移温度が260℃以上の非晶性熱可塑性樹脂及び液晶転移温度が260℃以上の液晶ポリマーから選択されるいずれか1種以上である、請求項1記載のカバーレイフィルム。
- 前記無機充填材が、少なくとも酸化チタンを含有する、請求項1又は2記載のカバーレイフィルム。
- 前記熱可塑性樹脂を含有してなる層(A)のMD及びTDの線膨張係数の平均値が、35×10−6/℃以下である、請求項1〜3のいずれか記載のカバーレイフィルム。
- フィルムの厚みが、3〜200μmである、請求項1〜4のいずれか記載のカバーレイフィルム。
- 260℃で5分間熱処理した後の波長470nmにおける反射率の低下率が、10%以下である、請求項1〜5のいずれか記載のカバーレイフィルム。
- 波長300〜400nmにおける平均反射率が40%以上である、請求項1〜6のいずれか記載のカバーレイフィルム。
- 少なくとも1つ以上の発光素子を搭載する基板上に、熱可塑性樹脂を含有してなる層(A)とシリコーン樹脂に無機充填材を含有してなる層(B)とを有する保護層を形成してなり、
該保護層は、波長400〜800nmにおける平均反射率が70%以上であり、かつ200℃で4時間熱処理した後の波長470nmにおける反射率の低下率が10%以下であることを特徴とする発光素子搭載用基板。 - 請求項8記載の発光素子搭載用基板に導体回路を形成して、該基板と該基板に搭載された発光素子とを導通させ、該発光素子を樹脂封止してなることを特徴とする光源装置。
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