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JP2010272604A - 軟磁性粉末及びそれを用いた圧粉磁芯、インダクタ並びにその製造方法 - Google Patents

軟磁性粉末及びそれを用いた圧粉磁芯、インダクタ並びにその製造方法 Download PDF

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JP2010272604A JP2009121499A JP2009121499A JP2010272604A JP 2010272604 A JP2010272604 A JP 2010272604A JP 2009121499 A JP2009121499 A JP 2009121499A JP 2009121499 A JP2009121499 A JP 2009121499A JP 2010272604 A JP2010272604 A JP 2010272604A
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Kenri Urata
顕理 浦田
Takenobu Yamada
健伸 山田
Yosuke Konno
陽介 今野
Hiroyuki Matsumoto
裕之 松元
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Tokin Corp
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NEC Tokin Corp
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Abstract


【課題】成形性と軟磁気特性に優れた、耐食性の高い圧粉磁芯およびインダクタを提供する。
【解決手段】水素雰囲気中、500〜1000℃の温度範囲で熱処理を施した、Si量が3〜10重量%、Cr量が3〜10重量%、残部がFeからなる組成の成形性の高い軟磁性粉末を用いることで、高い透磁率と低い鉄損を有する耐食性の良好なインダクタ4が得られる。

【選択図】 図1

Description

本発明は、軟磁性粉末及びそれを用いた高周波用の圧粉磁芯、インダクタ並びにその製造方法に関する。
従来より、インダクタを構成する磁芯として、圧粉磁芯が用いられている。この圧粉磁芯は、FeやFe−Si、Fe−Si−Cr、Fe−Si−Al、Fe−NiなどのFe系軟磁性材料からなる粉末と、該粉末の絶縁および該粉末同士の結合を兼ねたバインダー樹脂とを含む混合物を所定の形状に成形した後、バインダー樹脂を硬化することにより作製される。このような圧粉磁芯には、高い飽和磁束密度や透磁率、並びに低い磁芯損失等の磁気特性が求められている。特に近年、インダクタの小型化要求に伴い、更なる高周波化、高磁気特性化に対応できる圧粉磁芯が求められている。
例えば、特許文献1では、粉末の炭素C、窒素N、酸素Oの含有量を限定し、温間成形することにより、高密度で低損失の圧粉磁芯を得ることが開示されている。
また、特許文献2では、磁歪の値を限定することにより低損失、低騒音のリアクトルが得られることが開示されている。
更に、特許文献3では、粉末に酸化と還元熱処理を交互の行い酸化膜を形成し、焼結することにより比抵抗の高い軟磁性材料が得られることが開示されている。
また更に、特許文献4では、不活性雰囲気中にて熱処理したFe−Siからなる粉末を結合材と混合して成形することにより高密度・高飽和磁束密度の圧粉磁芯が得られることが開示されている。
特開2006−183121号公報 特開2005−150381号公報 特開2006−134958号公報 特開2004−288983号公報
しかしながら、特許文献1に開示された圧粉磁芯では、例えば炭素C、窒素N、酸素Oなどの含有量の低い粉末を得るためには純度の高い原料を必要とすると同時に通常水アトマイズで作製すると表面が酸化されるため酸素の含有量はかなり高くなる。また、成形時は、時間とコストを要する温間成形を用いる必要があると同時に、樹脂の劣化や比抵抗の低下などの問題がある。
また、特許文献2に開示された圧粉磁芯では、Fe−Si系合金の場合は低磁歪組成になるほど硬度が上昇し、成形密度が上がらなくなる。特に量産性に優れる水アトマイズで粉末を作製した場合は異形状の粉末が多いことや、表面が酸化されることからこの問題が顕著になる。またNi−Fe系合金ではNi元素が主成分となり価格が高くなると同時に、飽和磁束密度が低下する。またFe−Si−Al合金は飽和磁束密度が低いと同時に高硬度であるため成形性が悪い。
また、特許文献3に開示された軟磁性材料では、酸化皮膜を形成することで比抵抗は向上するものの、焼結を行うため圧粉磁芯と比較すると比抵抗は非常に小さくなり、さらに硬度の高い表面酸化層のため成形性の劣化が予想される。
また、特許文献4に開示された圧粉磁芯では、耐食性を向上させる元素を含まないため飽和磁束密度は高いものの錆びやすく、また絶縁性が低いため1〜数10kHzの低中周波数領域での使用には適しているが、高周波数領域での使用には適していなかった。
本発明は、上記課題を解決するため、成形性と軟磁気特性を両立できる耐食性に優れた高周波対応の軟磁性粉末及びそれを用いた圧粉磁芯、並びにその圧粉磁芯を用いたインダクタの提供を目的とする。
本発明は、上記課題を解決するため、Feを主成分としたSi及びCr元素を含む合金粉末に水素を含む還元雰囲気中にて熱処理を施した粉末を絶縁性のあるバインダーと混合・成形することにより、成形性と軟磁気特性を両立できる耐食性に優れた高周波対応の軟磁性粉末及びそれを用いた圧粉磁芯、並びにその圧粉磁芯を用いたインダクタを得るものである。
すなわち、本発明の第1の発明は、Si元素が3〜10wt%、Cr元素が3〜10wt%、残部がFeからなる組成の粉末を、水素を含む還元雰囲気中、500〜1000℃の温度範囲で熱処理を施したことを特徴とする軟磁性粉末である。
本発明のFe−Si−Cr系合金において、主成分であるFeは磁性を担う元素であり、磁性を有するために必須である。
本発明の軟磁性粉末において、Si元素は必須の元素であり、その割合は3wt%以上、10wt%以下である。Si元素の組成比を3wt%以上、10wt%以下に定めたのは、Siが3wt%未満若しくは10wt%を超えると磁歪が大きくなるため軟磁気特性が低下し、さらに10原子%を超えるとFeの含有量の減少により飽和磁束密度が低下し、また硬度が上昇することにより成形性が低下するためである。
本発明の軟磁性粉末において、Cr元素は錆びや変色、経時変化を抑えるために必須の元素であり、その割合は3wt%以上、10wt%以下である。Cr元素の組成比を3wt%以上、10wt%以下に定めたのは、Crが3wt%未満では圧粉磁芯やインダクタなどの環境試験において顕著な向上が認められず錆びが発生し、10wt%を超えると軟磁気特性および飽和磁束密度が劣化するためである。
本発明のFe−Si−Cr系合金粉末は、水素を含む還元雰囲気中、500〜1000℃の温度範囲で熱処理を施しており、この熱処理により、粉末表面の酸化層が還元され硬度が低下し、その結果、成形性が向上すると共に、軟磁気特性も向上する。また熱処理温度を500℃以上、1000℃以下に定めたのは、500℃未満では熱処理の効果が薄く、1000℃を超えると粉末が焼結するためである。
本発明の第2の発明は、第1の発明による軟磁性粉末を、水アトマイズ法により作製した、平均粒径が1〜100μmである軟磁性粉末である。本発明では、工業化の観点から水アトマイズ法を用いることが好ましく、またその粉末の平均粒径は渦電流損失を低減させるため100μm以下が望ましく、特に100kHz以上の高周波数帯域で用いる場合には20μm以下とするのが好ましい。
本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明による軟磁性粉末を、絶縁、結合する結合剤とを有する混合物を成型してなることを特徴とする圧粉磁心である。従来の技術では零磁歪近傍の高Si組成からなる水アトマイズ粉末は、硬度が高いため圧粉磁芯の高密度成形が困難であり、透磁率は低下する。本発明において第1又は第2の発明による水素雰囲気中で熱処理を施し、硬度が低下した軟磁性粉末を用いることにより成形性が向上したため透磁率の向上や低圧成形が可能となり、更には成形時間の短縮、金型の長寿命化が可能となる。また、本発明に用いる結合材は粉末間の結合および絶縁を担っている。この結合材の量が少ないと絶縁抵抗が低くなると同時に結合強度が保てなくなり、一方、結合材の量が多いと非晶質磁性粉末の含有量が減少し磁気特性が低下するため、混合する量は1〜5wt%が望ましい。特に、駆動周波数が100kHz以上の高周波数帯域で用いる場合は10〜1000kΩcm以上の高比抵抗が必要であるため3〜5wt%が望ましい。また成形性をあげるため潤滑材を利用することも可能である。
本発明の第4の発明は、第1又は第2の発明による軟磁性粉末を、絶縁、結合する結合剤とを有する混合物を成型したことを特徴とする圧粉磁心の製造方法である。従来の技術では零磁歪近傍の高Si組成からなる水アトマイズ粉末は、硬度が高いため圧粉磁芯の高密度成形が困難であり、透磁率は低下する。本発明において第1又は第2の発明による水素雰囲気中で熱処理を施し、硬度が低下した軟磁性粉末を用いることにより成形性が向上したため透磁率の向上や低圧成形が可能となり、更には成形時間の短縮、金型の長寿命化が可能となる。また、本発明に用いる結合材は粉末間の結合および絶縁を担っている。この結合材の量が少ないと絶縁抵抗が低くなると同時に結合強度が保てなくなり、一方、結合材の量が多いと非晶質磁性粉末の含有量が減少し磁気特性が低下するため、混合する量は1〜5wt%が望ましい。特に、駆動周波数が100kHz以上の高周波数帯域で用いる場合は10〜1000kΩcm以上の高比抵抗が必要であるため3〜5wt%が望ましい。また成形性をあげるため潤滑材を利用することも可能である。
本発明の第5の発明は、第3の発明による圧粉磁心をコイルの近傍に配置してなることを特徴とするインダクタである。第3の発明と同様に、成形性と軟磁気特性の良好な粉末を用いることで高インダクタンス、低損失、高効率のインダクタが可能となる。
本発明による軟磁性粉末は、水素雰囲気中において粉末の熱処理工程を加え、さらにその熱処理条件と粉末組成を限定することにより成形性を向上させることができる。また、その軟磁性粉末を用いることにより、高い透磁率と低い鉄損を両立させた高周波対応に好適で、かつ耐食性の高い圧粉磁芯の実現が可能となり、更にその圧粉磁芯を用いたインダクタの実現が可能となる。また、成形性の向上により成形圧力の低減が可能になり、更には成形時間の短縮、金型の長寿命化によるコストの低減も図ることができる。
本発明によるインダクタを説明する図で、 図1(a)は透視した斜視図、図1(b)は透視した側面図。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
本発明の軟磁性粉末の特徴とするところは、低い鉄損と高い飽和磁束密度が得られる組成範囲でありかつ水素雰囲気中にて熱処理を施した粉末およびそれを用いてなる磁性部材およびそれを用いた装置にあるので、その作製にあたっては従来の装置をそのまま利用可能である。つまり熱処理工程のために、水素雰囲気中で1000℃近傍の範囲で温度制御が可能な炉が必要になるほかは従来の装置が使用可能で、例えば粉末化には、一般の水アトマイズ装置を用いることができ、また圧粉磁芯、インダクタを得る工程についても、基本的には従来の装置をそのまま用いることが可能である。
本発明の軟磁性粉末を作製する場合は、まず原料となる金属材料をそれぞれ秤量し、水アトマイズ装置を用い溶解、アトマイズすることにより粉末を作製する。更に得られた粉末を水素雰囲気中で熱処理を行う。熱処理条件は粉末が焼結して粉末同士が結着しない温度領域でする必要があり、その熱処理時間は例えば0.5時間から24時間程度である。また熱処理は水素を含む雰囲気中にて行うが、必要に応じてArガスなどとの混合気体でも可能である。また圧粉磁芯、インダクタを製造する場合は水素中で熱処理して得られた軟磁性粉末とバインダーを混合、造粒、成形、固化処理を行うことで得られる。
更に、コイル近傍に圧粉磁芯を配置することによりインダクタを得ることができる。
図1は、本発明によるインダクタを説明する図で、図1(a)は透過した斜視図、図1(b)は透過した側面図をそれぞれ示す。
軟磁性粉末、バインダー樹脂に加えコイルも一緒に成形することにより、図1に示したように、圧粉磁芯1とコイル2の一体成形型のインダクタ4を得ることもできる。
コイル2は、導体に天然樹脂または合成樹脂塗料を焼き付けたエナメル皮膜銅線や、絶縁性を高めてPVC被覆電線などの何れ導線を用いてもよい。また、その導線の断面形状は円形、楕円形、長円形、長方形など何れでもよい。更に、コイル2の巻数、個数は、要求特性に応じ適宜設計・調整するのが好ましい。複数のコイルを用いた場合は、コモンモードチョークコイルやトランスとして機能させることも可能となる。
また、本発明の圧粉磁芯1、インダクタ4のバインダー樹脂としては、熱硬化性高分子が用いられ、用途や必要な耐熱性により適宜選択することができる。例として、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミドイミド、ポリイミドなどが挙げられるが、これらに限定されるものではないことは勿論である。また、成形する際は、一般に金型プレス成形装置を用いるが、所定形状に成形できるものなら問題なく、例えば押出成形装置や射出成形装置などが挙げられる。また成形後に応力緩和のための熱処理を施しても良い。
以下、実施例を用いて詳述する。
(実施例1〜4、比較例1〜5)
先ず、軟磁性粉末として、Fe、Si、Crの原料をそれぞれ重量比でFe-8Si-4Crになるように秤量し、アルミナ坩堝の中に入れて高周波誘導加熱装置の真空チャンバー内に配置して真空引きを行い、その後減圧Ar雰囲気中で高周波誘導加熱により溶解し水冷銅鋳型に傾注することにより母合金を2kg作製した。この母合金を水アトマイズ法にて処理し、篩分級することにより平均粒径10μmの軟磁性粉末を作製した。次に、得られた粉末50gを水素雰囲気中で熱処理を行った。熱処理条件は昇温速度5℃/分、400〜1100℃で2時間保持、冷却は放冷とする。次に、熱処理して得られた軟磁性粉末に重量比で5%のフェノール樹脂を混合し、目開き500μmの篩を通すことにより、平均粒径が500μm以下の造粒粉末(軟磁性粉末)を作製した。次に、作製した造粒粉末(軟磁性粉末)を外径13mm、内径8mmの成形用金型に充填し、面圧7000kgf/cm2で成形し、高さ5mmのトロイダル形状の成形体を作製した。更に、得られた成形体に対し、窒素雰囲気中150℃、2時間の熱硬化処理を行い、本発明の圧粉磁芯1を作製した。また、比較例としてAr雰囲気中および大気中でそれぞれ800℃、2時間の熱処理を行った粉末および未熱処理の軟磁性粉末を用いて同様にトロイダル形状の圧粉磁芯1を作製した。
得られた圧粉磁芯1について、その成形体の相対密度およびインピーダンスアナライザーを用いて1MHzの透磁率について評価を行った。本発明の実施例1〜4、及び比較例1〜5について成形体の相対密度および透磁率の評価結果をそれぞれ表1に示す。
Figure 2010272604
ここで、表1に示した実施例1〜4、比較例1、2による軟磁性粉末は、水素雰囲気中、熱処理温度を400〜1100℃の範囲で変化させた場合である。表1に示される実施例1〜4の圧粉磁芯の成形密度及び1MHzにおける透磁率は、未熱処理の粉末を用いた比較例5の成形密度71%及び透磁率31.2と比較して良好であり、500〜1000℃の温度が本発明の熱処理温度範囲となる。熱処理温度が400℃である比較例1の場合は未熱処理の粉末と比較して変化がなく、また1100℃である比較例2の場合は粉末が一部焼結し、未熱処理の粉末と比較して成形密度および透磁率は大きく低下している。
さらに実施例3、比較例3、4による軟磁性粉末は、熱処理雰囲気を水素、アルゴン、大気と変化させた場合である。このうち実施例3の圧粉磁芯の成形密度及び1MHzにおける透磁率は、未熱処理の粉末を用いた比較例5の成形密度71%及び透磁率31.2と比較して良好であり、水素雰囲気中で熱処理を施すことが本発明の条件となる。また雰囲気がアルゴン及び大気である比較例3、4の場合は未熱処理の粉末と比較して成形密度および透磁率は著しく低下している。
(実施例5〜9、比較例6、7)
先ず、軟磁性粉末として、Fe、Si、Crの原料をそれぞれ重量比でFe-8Si-4Crになるように秤量し、アルミナ坩堝の中に入れて高周波誘導加熱装置の真空チャンバー内に配置して真空引きを行い、その後減圧Ar雰囲気中で高周波誘導加熱により溶解し、水冷銅鋳型に傾注することにより母合金を2kg作製した。この母合金を水アトマイズ法にて処理し、篩分級と風力分級を用いて平均粒径1〜150μmの軟磁性粉末を作製した。次に、得られた粉末50gを水素雰囲気中で熱処理を行った。熱処理条件は昇温速度5℃/分、800℃で2時間保持、冷却は放冷とする。次に、熱処理して得られた軟磁性粉末に重量比で5%のフェノール樹脂を混合し、目開き500μmの篩を通すことにより、平均粒径が500μm以下の造粒粉末(軟磁性粉末)を作製した。次に、作製した造粒粉末(軟磁性粉末)を外径13mm、内径8mmの成形用金型に充填し、面圧7000kgf/cm2で成形し、高さ5mmのトロイダル形状の成形体を作製した。更に、得られた成形体に対し、窒素雰囲気中150℃、2時間の熱硬化処理を行い、本発明の圧粉磁芯1を作製した。また比較例として未熱処理の粉末を用いて同様にトロイダル形状の圧粉磁芯1を作製した。
得られた圧粉磁芯について、その成形密度、インピーダンスアナライザーを用いて1MHzの透磁率、及び交流BHアナライザーを用いて50mT−300kHzの鉄損についてそれぞれ評価を行った。本発明の実施例5〜9、及び比較例6、7による圧粉磁芯において成形密度、透磁率および鉄損の評価結果をそれぞれ表2に示す。
Figure 2010272604
ここで、表2に示した実施例5〜9、比較例6による軟磁性粉末は、粉末粒径を1〜150μmの範囲で変化させた場合である。表2に示した実施例5〜9の圧粉磁芯の成形密度及び1MHzにおける透磁率、50mT−300kHzの鉄損は、未熱処理の粉末を用いた比較例7の成形密度71%、透磁率31.2及び鉄損2400mW/ccと比較して良好であり、1〜100μmの範囲が本発明の粉末粒径範囲となる。それに対し粉末粒径が150μmである比較例6の場合は未熱処理の粉末と比較して鉄損が大きく増加している。
(実施例10、比較例8)
次に、本発明の軟磁性非晶質粉末を成形して得られる圧粉磁芯にコイルを配置したインダクタの実施例について説明する。ここでは、圧粉磁芯の内部にコイルが内蔵された、一体成形型のインダクタについて説明する。
図1(a)及び図1(b)において、圧粉磁芯1は輪郭を鎖線で示している。
インダクタ4は、圧粉磁芯1の内部にコイル2を埋設し、該コイル2の両端末を圧粉磁芯1の外部に露出させ、実装面に沿ってそれぞれフォーミング加工して表面実装用端子3とした構成である。
圧粉磁芯1を構成する軟磁性粉末として、Fe、Si、Crの原料をそれぞれ重量比でFe-8Si-4Crになるように秤量し、アルミナ坩堝の中に入れて高周波誘導加熱装置の真空チャンバー内に配置して真空引きを行い、その後減圧Ar雰囲気中で高周波誘導加熱により溶解し、水冷銅鋳型に傾注することにより母合金を2kg作製した。この母合金を水アトマイズ法にて処理し、篩分級と風力分級を用いて平均粒径1〜150μmの軟磁性粉末を作製した。次に、得られた軟磁性粉末50gを水素雰囲気中で熱処理を行った。熱処理条件は昇温速度5℃/分、800℃で2時間保持、冷却は放冷とする。次に、熱処理して得られた軟磁性粉末に重量比で5%のフェノール樹脂を混合し、目開き500μmの篩を通すことにより、平均粒径が500μm以下の造粒粉末を作製した。
また、コイル2は、断面形状が2.0×0.6mmで、表面に厚さが20μmのポリアミドイミドからなる絶縁層を有する平角導体を、エッジワイズ巻きにしたものであり、巻数は3.5ターンである。
このコイル2を予め金型内に配置した状態で、金型のキャビティに上記の軟磁性粉末を充填し、7000kgf/cm2の圧力で成形を行った。次に、成形体を金型から抜き出して、バインダーの熱硬化処理を行い、成形体の外部に露出するコイル2の両端末を実装面に沿ってフォーミング加工を施して表面実装用端子3とし、本発明の実施例10によるインダクタ4を作製した。また比較例として未熱処理の粉末を用いて同様に比較例8によるインダクタ4を作製した。
これらのインダクタについて、インピーダンスアナライザーを用いて1MHzのインダクタンスLを測定し、その結果を表3に示す。
Figure 2010272604
ここで、表3に示した実施例10、比較例8によるインダクタは、圧粉磁芯に用いる軟磁性粉末の水素雰囲気中における熱処理工程の有無に相当する。表3に示した実施例10のインダクタは、未熱処理の軟磁性粉末を用いた比較例8のインダクタのインダクタンス0.56μHと比較して良好であり、インダクタとして形成した場合でも水素雰囲気中にて熱処理した軟磁性粉末を用いることが有効であることが分かる。
(実施例11〜16、比較例9〜12)
軟磁性粉末として、Fe、Si、Crの原料をそれぞれ下記の表4に記載の本発明の実施例10〜15、及び比較例8〜12の合金組成となるようそれぞれ秤量し、アルミナ坩堝の中に入れて高周波誘導加熱装置の真空チャンバー内に配置して真空引きを行い、その後減圧Ar雰囲気中で高周波誘導加熱により溶解し、水冷銅鋳型に傾注することにより母合金を2kg作製した。この母合金を水アトマイズ法にて処理し、篩分級を用いて平均粒径10μmの軟磁性粉末を作製した。次に、得られた粉末50gを水素雰囲気中で熱処理を行った。熱処理条件は昇温速度5℃/分、800℃で2時間保持、冷却は放冷とする。次に、熱処理して得られた軟磁性粉末に重量比で5%のフェノール樹脂を混合し、目開き500μmの篩を通すことにより、平均粒径が500μm以下の造粒粉末を作製した。次に、作製した造粒粉末を外径13mm、内径8mmの金型に充填し、面圧7000kgf/cm2で成形し、高さ5mmのトロイダル形状の成形体を作製した。更に、得られた成形体に対し、窒素雰囲気中150℃、2時間の熱硬化処理を行い、本発明の圧粉磁芯を作製した。また比較例として未熱処理の粉末を用いて同様にトロイダル形状の圧粉磁芯を作製した。
得られた粉末については、振動試料型磁力計(VSM:Vibrating-Sample Magnetometer)を用いて飽和磁束密度の測定を行った。この時の最大印加磁場は800kA/mである。また、得られた圧粉磁芯について、60℃−95%RHの条件にて恒温高湿試験を行い、1000時間後における圧粉磁芯の腐食の有無を評価した。本発明の実施例11〜16、及び比較例9〜12について粉末の飽和磁束密度Bsおよび圧粉磁芯の耐食性の評価結果をそれぞれ表4に示す。
Figure 2010272604
表4に示したように、実施例11〜16の圧粉磁芯は、耐食性も良好である。また粉末の飽和磁束密度も1.3Tを超えており、インダクタとしての使用上問題はない。
ここで、表4に示した実施例11〜16、比較例9〜11による軟磁性粉末は、Si量が0〜12wt%の範囲で変化させた場合である。表4に示した実施例11〜16の圧粉磁芯は良好な耐食性を示し、さらに粉末の飽和磁束密度Bsは1.3Tを超えており、3〜10wt%の範囲が本発明におけるSi量の条件範囲となる。Si量が3wt%である比較例9、1wt%である比較例10は共に耐食性に劣っており、上掲の条件を満たしていない。またSi量が12wt%である比較例11は飽和磁束密度Bsが著しく低下しており、上掲の条件を満たしていない。
ここで、表4に示した実施例11〜16、比較例10、12による軟磁性粉末は、Cr量が2〜12wt%の範囲で変化させた場合である。表4に示される実施例11〜16の圧粉磁芯は良好な耐食性を示し、さらに粉末の飽和磁束密度は1.3Tを超えており、3〜10wt%の範囲が本発明におけるCr量の条件範囲となる。Cr量が2wt%である比較例10は耐食性に劣り、上掲の条件を満たしていない。またCr量が12wt%である比較例12は飽和磁束密度が著しく低下しており、上掲の条件を満たしていない。
以上、実施例を用いて、この発明の実施の形態を説明したが、この発明は、これらの実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても本発明に含まれる。すなわち、当業者であれば、当然なしえるであろう各種変形、修正もまた本発明に含まれる。
本発明の軟磁性粉末及びそれを用いた圧粉磁芯、並びにその圧粉磁芯を用いたインダクタにより、各種電子機器に搭載するインダクタの高品質化のみならず、小型化、低コスト化、更に作業性の向上も可能なEMC、EMI市場の技術構築にも寄与できる。
1 圧粉磁芯
2 コイル
3 表面実装用端子
4 インダクタ

Claims (5)

  1. Siが3〜10wt%、Crが3〜10wt%、残部がFeからなる組成の粉末を水素を含む還元雰囲気中、500〜1000℃の温度範囲で熱処理を施したことを特徴とする軟磁性粉末。
  2. 水アトマイズ法により作製し、平均粒径1〜100μmであることを特徴とする請求項1に記載の軟磁性粉末。
  3. 請求項1又は2に記載の軟磁性粉末と、前記軟磁性粉末を絶縁、結合する結合剤とからなる混合物を成型してなることを特徴とする圧粉磁芯。
  4. 請求項1又は2に記載の軟磁性粉末と、前記軟磁性粉末を絶縁、結合する結合剤とからなる混合物を成型したことを特徴とする圧粉磁芯の製造方法。
  5. 請求項3に記載の圧粉磁芯を、導電体を巻回してなるコイルの近傍に配置してなることを特徴とするインダクタ。
JP2009121499A 2009-05-20 2009-05-20 軟磁性粉末及びそれを用いた圧粉磁芯、インダクタ並びにその製造方法 Pending JP2010272604A (ja)

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