JP2010270826A - ディスクブレーキ用摩擦材組立て体 - Google Patents
ディスクブレーキ用摩擦材組立て体 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2010270826A JP2010270826A JP2009123021A JP2009123021A JP2010270826A JP 2010270826 A JP2010270826 A JP 2010270826A JP 2009123021 A JP2009123021 A JP 2009123021A JP 2009123021 A JP2009123021 A JP 2009123021A JP 2010270826 A JP2010270826 A JP 2010270826A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- friction material
- rotor
- support plate
- circumferential direction
- unit
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Braking Arrangements (AREA)
Abstract
【課題】コストの低減や組立性の向上を図ることができ、しかも、ディスクロータの周方向及び半径方向の変形に対して優れた追従性を有するディスクブレーキ用摩擦材組立て体を得る。
【解決手段】アンカプレート5に固定されるサポートプレート7上にロータ周方向に並べて配置される複数個の摩擦材セグメント9a〜9dは、裏板21上に固着される摩擦材23がロータ周方向に延びるスリットS1によって複数個の単位摩擦材ブロック31に分割され、且つ、各セグメントの内周側及び外周側の単位摩擦材ブロック31が、サポートプレート7上に隆起形成された着座部11に固着され、着座部11以外では、各セグメントの裏板21がサポートプレート7から浮いた状態に保持される。
【選択図】図1
【解決手段】アンカプレート5に固定されるサポートプレート7上にロータ周方向に並べて配置される複数個の摩擦材セグメント9a〜9dは、裏板21上に固着される摩擦材23がロータ周方向に延びるスリットS1によって複数個の単位摩擦材ブロック31に分割され、且つ、各セグメントの内周側及び外周側の単位摩擦材ブロック31が、サポートプレート7上に隆起形成された着座部11に固着され、着座部11以外では、各セグメントの裏板21がサポートプレート7から浮いた状態に保持される。
【選択図】図1
Description
本発明は、例えば鉄道車両用のディスクブレーキ装置に使用されるディスクブレーキ用摩擦材組立て体に関し、特に、ディスクロータの周方向及び半径方向の変形(うねり、熱膨張変形)に対して優れた追従性を発揮して、安定した制動性能を得るための改良に関する。
ディスクブレーキ装置は、車軸に固定されるディスクロータと、このディスクロータに対峙して配置されるアンカプレートと、このアンカプレートをディスクロータに向かって進退駆動するアクチュエータを内蔵して車体フレームに固定されるブレーキキャリパと、アンカプレートのディスクロータ側の面に組み付けられるライニング組立て体から構成され、アンカプレートをディスクロータ側に進出させてライニング組立て体上の摩擦材をディスクロータに押圧させた時の摺動摩擦により、制動トルクを発生する。
鉄道車両用のディスクブレーキ装置では、ディスクロータやライニング組立て体が大型になるため、ディスクロータに押圧させる摩擦材を一体部品で形成すると、摩擦熱等でディスクロータに発生するうねり等に追従できずに非接触の領域が多くなり、安定した制動特性が得られない。
そこで、下記特許文献1では、ライニング組立て体は、アンカプレートに支持されるサポートプレート(文献では、「支持プレート」と呼称している)上に複数個の摩擦材セグメント(文献では、「摩擦エレメント」と呼称している)を配置した構成とし、各摩擦材セグメントとサポートプレートとの結合部には球面継手構造や板ばねを使って、各摩擦材セグメントをサポートプレートに対し個別に揺動(旋回)自在に取り付けた構造のディスクブレーキ用摩擦材組立て体を提案している。
また、下記特許文献2では、ライニング組立て体は、アンカプレートに支持されるサポートプレート(文献では、「基板」(ベースプレート)と呼称している)のロータ半径方向及びロータ周方向のそれぞれに複数個の摩擦材セグメントを配置した構成とし、各摩擦材セグメントは一つの裏板上に2つの摩擦材ブロック(文献では、「摩擦要素」と呼称している)をロータ周方向に並べた形態で、2つの摩擦材ブロック間をサポートプレートにリベット止めする構造のディスクブレーキ用摩擦材組立て体を提案している。
ところが、上記特許文献1に記載されたディスクブレーキ用摩擦材組立て体は、摩擦材セグメントをサポートプレートに結合する球面継手構造に高度な加工精度が必要とされ、部品の加工が難しいため、加工コストが嵩むという問題が生じた。また、板ばね等も組み込むため構成部品点数が多くなり、構成部品点数や組立て工程数の増加がコストアップを招くという問題も生じた。
一方、上記特許文献2に記載されたディスクブレーキ用摩擦材組立て体は、摩擦材セグメントのサポートプレートへの結合にリベット止めを採用しており、球面継手構造に比べ、特に高度な加工精度が要求される部品がなく、加工コストを低減することができる。
しかし、ロータ周方向だけでなく、ロータ半径方向にも複数個の摩擦材セグメントを配列する構成で、サポートプレート上での摩擦材セグメントの配列がロータ周方向に複数列になり、配列する摩擦材セグメントの数量自体が多くなる。そして、各摩擦材セグメント毎にサポートプレートへのリベット止めを行う構成のため、摩擦材セグメント及びリベットなどの部品点数が非常に多くなり、部品点数や組立て工程数の増加がコストアップを招くという問題が生じた。
また、ロータ半径方向に並ぶ複数の摩擦材セグメントは、ロータ半径方向の線状でリベットにより強固に固定する構造で、各摩擦材セグメント自体にはロータ半径方向に撓み変形を生じる自由度がないため、ディスクロータに装備されるベンチレートフィンによる部分的な肉厚変化等に起因してディスクロータの半径方向に生じる凸曲面状の熱膨張変形には追従できないという問題もあった。
しかし、ロータ周方向だけでなく、ロータ半径方向にも複数個の摩擦材セグメントを配列する構成で、サポートプレート上での摩擦材セグメントの配列がロータ周方向に複数列になり、配列する摩擦材セグメントの数量自体が多くなる。そして、各摩擦材セグメント毎にサポートプレートへのリベット止めを行う構成のため、摩擦材セグメント及びリベットなどの部品点数が非常に多くなり、部品点数や組立て工程数の増加がコストアップを招くという問題が生じた。
また、ロータ半径方向に並ぶ複数の摩擦材セグメントは、ロータ半径方向の線状でリベットにより強固に固定する構造で、各摩擦材セグメント自体にはロータ半径方向に撓み変形を生じる自由度がないため、ディスクロータに装備されるベンチレートフィンによる部分的な肉厚変化等に起因してディスクロータの半径方向に生じる凸曲面状の熱膨張変形には追従できないという問題もあった。
本発明の目的は上記課題を解消することに係り、コストの低減や組立性の向上を図ることができ、しかも、ディスクロータの周方向及び半径方向の変形に対しても優れた追従性を発揮して、安定した制動性能を得ることのできるディスクブレーキ用摩擦材組立て体を提供することにある。
上記目的は下記構成により達成される。
(1)本発明に係るディスクブレーキ用摩擦材組立て体は、制動トルクを受けるアンカプレートに固定されるサポートプレートと、前記サポートプレート上にロータ周方向に一列に並べて配置される複数個の摩擦材セグメントとを備え、
前記各摩擦材セグメントは、前記サポートプレートの着座部に固着される裏板と、この裏板上に固着される摩擦材とを備えると共に、前記摩擦材が、ロータ周方向に延びるスリットによってロータ半径方向に複数個の単位摩擦材ブロックに区画され、
前記各摩擦材セグメントは、ロータ半径方向の内周側に位置する前記単位摩擦材ブロックと外周側に位置する前記単位摩擦材ブロックとを前記着座部に固着させることで前記サポートプレートへ固定され、
前記着座部は周囲より裏板側に隆起して、前記着座部以外では、前記裏板が前記サポートプレートから浮いた状態に保持されていることを特徴とする。
(1)本発明に係るディスクブレーキ用摩擦材組立て体は、制動トルクを受けるアンカプレートに固定されるサポートプレートと、前記サポートプレート上にロータ周方向に一列に並べて配置される複数個の摩擦材セグメントとを備え、
前記各摩擦材セグメントは、前記サポートプレートの着座部に固着される裏板と、この裏板上に固着される摩擦材とを備えると共に、前記摩擦材が、ロータ周方向に延びるスリットによってロータ半径方向に複数個の単位摩擦材ブロックに区画され、
前記各摩擦材セグメントは、ロータ半径方向の内周側に位置する前記単位摩擦材ブロックと外周側に位置する前記単位摩擦材ブロックとを前記着座部に固着させることで前記サポートプレートへ固定され、
前記着座部は周囲より裏板側に隆起して、前記着座部以外では、前記裏板が前記サポートプレートから浮いた状態に保持されていることを特徴とする。
(2)上記(1)に記載の構成で、前記摩擦材セグメントは、摩擦材が、ロータ周方向に延びる少なくとも2本以上のスリットによって、ロータ半径方向に3個以上の前記単位摩擦材ブロックに区画されていることを特徴とする。
(3)上記(1)又は(2)に記載の構成で、前記着座部の位置が、前記各摩擦材セグメントにおけるロータ半径方向の内周側に位置する前記単位摩擦材ブロック及び外周側に位置する前記単位摩擦材ブロックのロータ周方向の各中間部に対応した位置に設定されていることを特徴とする。
(3)上記(1)又は(2)に記載の構成で、前記着座部の位置が、前記各摩擦材セグメントにおけるロータ半径方向の内周側に位置する前記単位摩擦材ブロック及び外周側に位置する前記単位摩擦材ブロックのロータ周方向の各中間部に対応した位置に設定されていることを特徴とする。
(4)上記(1)乃至(3)の何れか1つに記載の構成で、前記各摩擦材セグメントは、前記各単位摩擦材ブロックがロータ半径方向に一列に並んだ構成を成し、且つ、前記各単位摩擦材ブロックのロータ周方向の長さがディスクロータ背面に設けられるベンチレートフィンの配列ピッチ程度またはそれ以下の大きさに設定されていることを特徴とする。
上記のディスクブレーキ用摩擦材組立て体では、各摩擦材セグメントのサポートプレートへの結合は、例えばリベット止めや、溶接を利用した固着構造でよく、高精度な加工が必要となる球面継手構造に比べ、加工コストを低減することができる。
また、各摩擦材セグメントは、ロータ半径方向の内周側及び外周側に位置する単位摩擦材ブロックの2箇所をサポートプレートに固着させることでサポートプレートへの固定を果たすが、ロータ周方向に複数列に摩擦材セグメントを並べる従来のディスクブレーキ用摩擦材組立て体と比較すると、摩擦材セグメントの配列がロータ周方向に一列になっているため、リベット等の締結手段などの構成部品点数を大幅に削減できる。
また、各摩擦材セグメントは、ロータ半径方向の内周側及び外周側に位置する単位摩擦材ブロックの2箇所をサポートプレートに固着させることでサポートプレートへの固定を果たすが、ロータ周方向に複数列に摩擦材セグメントを並べる従来のディスクブレーキ用摩擦材組立て体と比較すると、摩擦材セグメントの配列がロータ周方向に一列になっているため、リベット等の締結手段などの構成部品点数を大幅に削減できる。
更に、複数個の摩擦材セグメントが、ロータ周方向に並べて配置されていて、摩擦熱等でディスクロータの周方向に発生するうねりに対して独立に追従動作をすることができる。
また、各摩擦材セグメントは、サポートプレートの着座部への固着箇所が、ロータ半径方向の内周側及び外周側の2箇所になっている。即ち、各摩擦材セグメントにおいて、2箇所の固着箇所間に位置するロータ半径方向の中間部は、摩擦材を支持している裏板がサポートプレートから浮いた状態になっている。そのため、各摩擦材セグメントは、ロータ半径方向の中間部がディスクロータの半径方向の凸形状との摺接によって押圧を受けたとき、サポートプレート側に撓み変形することができ、例えばディスクロータに装備されるベンチレートフィンによる部分的な肉厚変化等に起因してディスクロータの半径方向に生じる凸曲面状の熱膨張変形にも、良好な追従性を発揮することができる。
また、各摩擦材セグメントは、サポートプレートの着座部への固着箇所が、ロータ半径方向の内周側及び外周側の2箇所になっている。即ち、各摩擦材セグメントにおいて、2箇所の固着箇所間に位置するロータ半径方向の中間部は、摩擦材を支持している裏板がサポートプレートから浮いた状態になっている。そのため、各摩擦材セグメントは、ロータ半径方向の中間部がディスクロータの半径方向の凸形状との摺接によって押圧を受けたとき、サポートプレート側に撓み変形することができ、例えばディスクロータに装備されるベンチレートフィンによる部分的な肉厚変化等に起因してディスクロータの半径方向に生じる凸曲面状の熱膨張変形にも、良好な追従性を発揮することができる。
以下、本発明に係るディスクブレーキ用摩擦材組立て体の好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係るディスクブレーキ用摩擦材組立て体の一実施の形態における組立て前の正面図、図2はディスクブレーキ用摩擦材組立て体の斜視図、図3は図2のA−A断面図、図4はディスクブレーキ用摩擦材組立て体に使用されている1つの摩擦材セグメントの斜視図、図5(a)は組立て体半体に使用されているサポートプレートの斜視図、図5(b)は(a)のB部拡大図、図6は図2の一部破断したC矢視図、図7は図2のD−D断面図、図8は図7のE部の拡大図である。
図1は本発明に係るディスクブレーキ用摩擦材組立て体の一実施の形態における組立て前の正面図、図2はディスクブレーキ用摩擦材組立て体の斜視図、図3は図2のA−A断面図、図4はディスクブレーキ用摩擦材組立て体に使用されている1つの摩擦材セグメントの斜視図、図5(a)は組立て体半体に使用されているサポートプレートの斜視図、図5(b)は(a)のB部拡大図、図6は図2の一部破断したC矢視図、図7は図2のD−D断面図、図8は図7のE部の拡大図である。
この一実施の形態のディスクブレーキ用摩擦材組立て体1は、鉄道車両用のディスクブレーキ装置に使用されるもので、ロータ周方向(図1の矢印X方向)に端部を突き合わせて配列される一対の組立て体半体3A,3Bで構成されている。
一対の組立て体半体3A,3Bは、いずれも、制動トルクを受けるアンカプレート5に固定されるサポートプレート7と、サポートプレート7上にロータ周方向に並べて配置される複数個(図1の図示例では4個)の摩擦材セグメント9a〜9dとを備える。
一対の組立て体半体3A,3Bは、それぞれの組立て体半体に使用されるアンカプレート5,サポートプレート7,摩擦材セグメント9a〜9dが、各組立て体半体で左右勝手反対の形状になっている。
図示はしていないが、一対の組立て体半体3A,3Bのアンカプレート5は、互いに突き合される端部とは逆側の端部が、車体に固定されているサポートにロータ軸方向にのみ移動可能に支持される。また、各アンカプレート5のサポートプレート7側とは逆の面には、ブレーキキャリパに収容されているピストンが当接される。
各摩擦材セグメント9a〜9dは、いずれも基本的な構成は同一で、図3に示すように、サポートプレート7の着座部11に固着される裏板21と、この裏板21上に固着されてロータ表面に押圧される摩擦材23とを備えている。
各摩擦材セグメント9a〜9dにおいて、摩擦材23は、図4に示すように、ロータ周方向(図4では、矢印X1方向)に延びるスリットS1によって、ロータ半径方向(図4では、矢印Y1方向)に3個の単位摩擦材ブロック31に区画されている。
なお、スリットS1は、各セグメントのロータ周方向の全範囲に及ぶものではなく、ロータ周方向の中間部領域Mを残して設けられている。そのため、スリットS1により区画された単位摩擦材ブロック31の相互が分割されてない。
なお、スリットS1は、各セグメントのロータ周方向の全範囲に及ぶものではなく、ロータ周方向の中間部領域Mを残して設けられている。そのため、スリットS1により区画された単位摩擦材ブロック31の相互が分割されてない。
また、本実施の形態の場合、スリットS1は、摩擦材23と一緒に、裏板21にも形成されている。
裏板21に形成するスリットS1は、裏板21をロータ半径方向に一続きにするために、中間部領域Mを残して形成するが、摩擦材23に形成するスリットS1はロータ周方向の全長を横断するように(即ち、中間部領域Mを残さずに)形成しても良い。
裏板21に形成するスリットS1は、裏板21をロータ半径方向に一続きにするために、中間部領域Mを残して形成するが、摩擦材23に形成するスリットS1はロータ周方向の全長を横断するように(即ち、中間部領域Mを残さずに)形成しても良い。
前述のサポートプレート7に形成する着座部11の位置は、各摩擦材セグメント9a〜9dにおけるロータ半径方向の内周側の単位摩擦材ブロック31のロータ周方向の中間部に対応した位置、及びロータ半径方向の外周側の単位摩擦材ブロック31のロータ周方向の中間部に対応した位置に設定されている。
各摩擦材セグメント9a〜9dの固定は、図3に示すように、単位摩擦材ブロック31の裏板21をサポートプレート7の着座部11にリベット35により固着することで達成している。
なお、サポートプレート7は、図9に示すように、リベット47によって、アンカプレート5に固着される。
サポートプレート7に形成した着座部11は、図5(b)にも示しているように、プレス成形による押し出しにより、周囲より高さ寸法hだけ裏板21側に隆起している。そのため、着座部11に固着された各摩擦材セグメント9a〜9dは、着座部11以外では、図8に示すように、裏板21がサポートプレート7から寸法hだけ浮いた状態に保持されている。
また、本実施の形態において、着座部11の大きさは、固着力を確保する必要最小限の大きさに設定されている。
本実施の形態の場合は、着座部11への摩擦材セグメント9a〜9dの固着は、使用するリベット35の寸法に相応する必要最小限に設定されている。
本実施の形態の場合は、着座部11への摩擦材セグメント9a〜9dの固着は、使用するリベット35の寸法に相応する必要最小限に設定されている。
また、本実施の形態の場合、ロータ周方向の端部の摩擦材セグメント9a以外のセグメント9b〜9dは、ロータ周方向に延びるスリットS1が2本装備されていて、摩擦材23がロータ半径方向に3個の単位摩擦材ブロック31に分割されている。
端部の摩擦材セグメント9aは、ロータ半径方向の長さが短いため、ロータ周方向に延びる1本のスリットS1により、摩擦材23がロータ半径方向に2個の単位摩擦材ブロック31に分割されている。
端部の摩擦材セグメント9aは、ロータ半径方向の長さが短いため、ロータ周方向に延びる1本のスリットS1により、摩擦材23がロータ半径方向に2個の単位摩擦材ブロック31に分割されている。
以上に説明した各摩擦材セグメント9a〜9dは、ロータ周方向に延びるスリットS1によって区画された単位摩擦材ブロック31がロータ半径方向に並んだ構成(図4参照)を成している。そして、各単位摩擦材ブロック31のロータ周方向の長さL(図4,9参照)が、図10に示すようにディスクロータ41の背面に設けられるベンチレートフィン41aの配列ピッチLf程度または、それ以下の大きさに設定されている。
通常、ディスクロータ41のベンチレートフィン41aは、ロータ中心側から放射状に、ロータ半径方向に延びるリブ状に形成されているため、ベンチレートフィン41aの配列ピッチLfはロータ外径側ほど大きくなる。
そのため、各単位摩擦材ブロック31のロータ周方向の長さLは、ロータ内径側よりもロータ外径側の方が大きくなり、各単位摩擦材ブロック31の外郭形状は、図4に示したような略扇形になっている。
そのため、各単位摩擦材ブロック31のロータ周方向の長さLは、ロータ内径側よりもロータ外径側の方が大きくなり、各単位摩擦材ブロック31の外郭形状は、図4に示したような略扇形になっている。
なお、ディスクロータ41は、摺動摩擦による摩擦熱によって図10に示したようにロータ周方向にうねり43が発生するが、更に、図11に示すように、ベンチレートフィン41aによる部分的な肉厚変化等に起因してディスクロータ41の半径方向の中間部が、板厚方向に凸曲面状の熱膨張変形45を生じる。
以上に説明したディスクブレーキ用摩擦材組立て体1では、各摩擦材セグメント9a〜9dのサポートプレート7への結合は、リベット止めを利用した固着構造で、高精度な加工が必要となる球面継手構造を使っていない。即ち、特に高度な加工精度が要求される部品がないため、加工コストを低減することができる。
また、各摩擦材セグメント9a〜9dは、サポートプレート7上への摩擦材セグメント9a〜9dの配列がロータ周方向に一列(単列)になっているため、ロータ周方向に複数列に摩擦材セグメントを並べる従来のディスクブレーキ用摩擦材組立て体と比較すると、摩擦材セグメント及びリベット等の構成部品点数を大幅に削減することもでき、コストの低減や組立性の向上を図ることができ。
また、各摩擦材セグメント9a〜9dは、サポートプレート7上への摩擦材セグメント9a〜9dの配列がロータ周方向に一列(単列)になっているため、ロータ周方向に複数列に摩擦材セグメントを並べる従来のディスクブレーキ用摩擦材組立て体と比較すると、摩擦材セグメント及びリベット等の構成部品点数を大幅に削減することもでき、コストの低減や組立性の向上を図ることができ。
更に、複数個の摩擦材セグメント9a〜9dが、ロータ周方向に並べて配置されていて、ディスクロータの周方向に発生するうねりに対し、独立に追従動作をすることができる。しかも、各摩擦材セグメント9a〜9dは、図9にも示したように、ロータ周方向の長さの中間部がサポートプレート7の着座部11に固着されていて、着座部11以外では、単位摩擦材ブロック31を支持している裏板21がサポートプレート7から浮いた状態に保持されている。
そのため、着座部11からロータ周方向に離れた裏板21の両側縁部31aは、ディスクロータとの摺接で押圧力を受けたときに、サポートプレート7から浮いている裏板21が図9に矢印Fで示すように、サポートプレート7側に弾性変位する。従って、図10に示すように、ディスクロータ41の周方向のうねり43に対して優れた追従性を得ることができる。
また、各摩擦材セグメント9a〜9dは、図4にも示したように、摩擦材23が、ロータ周方向に延びるスリットS1により複数個の単位摩擦材ブロック31に区画されると共に、サポートプレート7の着座部11への固着箇所が、ロータ半径方向の内周側及び外周側の2箇所になっている。
即ち、各摩擦材セグメント9a〜9dにおいて、2箇所の固着箇所間に位置するロータ半径方向の中間部は、裏板21がサポートプレート7から浮いた状態になっている。そのため、各摩擦材セグメント9a〜9dは、熱膨張変形45によりロータ半径方向に形成される凸形状にの押圧を受けたとき、図11に示すように、ロータ半径方向の中間部がサポートプレート7側に撓み変形することができて、良好な追従性を発揮することができる。
従って、上記のディスクブレーキ用摩擦材組立て体1では、ディスクロータの周方向及び半径方向の双方の変形に対して追従性を発揮して、安定した制動性能を得ることができる。
また、各摩擦材セグメント9a〜9dが単位摩擦材ブロック31をロータ半径方向に並べた構成であるため、摩擦材セグメント9a〜9dのロータ周方向の長さは、ロータ周方向に並ぶ単位摩擦材ブロック31のロータ周方向の長さに一致したものとなり、この長さがディスクロータ背面に設けられるベンチレートフィン41aの配列ピッチLf(図10参照)程度に設定されることで、ディスクロータの半径方向に生じる凸曲面状の熱膨張変形45に対する追従性を向上させることができる。
即ち、各摩擦材セグメント9a〜9dにおいて、2箇所の固着箇所間に位置するロータ半径方向の中間部は、裏板21がサポートプレート7から浮いた状態になっている。そのため、各摩擦材セグメント9a〜9dは、熱膨張変形45によりロータ半径方向に形成される凸形状にの押圧を受けたとき、図11に示すように、ロータ半径方向の中間部がサポートプレート7側に撓み変形することができて、良好な追従性を発揮することができる。
従って、上記のディスクブレーキ用摩擦材組立て体1では、ディスクロータの周方向及び半径方向の双方の変形に対して追従性を発揮して、安定した制動性能を得ることができる。
また、各摩擦材セグメント9a〜9dが単位摩擦材ブロック31をロータ半径方向に並べた構成であるため、摩擦材セグメント9a〜9dのロータ周方向の長さは、ロータ周方向に並ぶ単位摩擦材ブロック31のロータ周方向の長さに一致したものとなり、この長さがディスクロータ背面に設けられるベンチレートフィン41aの配列ピッチLf(図10参照)程度に設定されることで、ディスクロータの半径方向に生じる凸曲面状の熱膨張変形45に対する追従性を向上させることができる。
なお、上記実施の形態では、各摩擦材セグメント9a〜9dにおいて、摩擦材23を区画するスリットは、ロータ周方向に沿って延びるスリットS1だけであった。換言すれば、各摩擦材セグメント9a〜9dは、ロータ半径方向に単位摩擦材ブロック31が並ぶブロック列が、図4に示したように、単列であった。
しかし、本発明に係るディスクブレーキ用摩擦材組立て体では、各摩擦材セグメントは、ロータ半径方向に単位摩擦材ブロックが並ぶブロック列が、ロータ半径方向に延びるスリットを介在して、複数列に配列された構成としても良い。
その場合に、ロータ半径方向に延びる各ブロック列における各単位摩擦ブロックのロータ周方向の長さは、ディスクロータ背面に設けられるベンチレートフィンの配列ピッチ程度または、それ以下の大きさに設定すると良い。
しかし、本発明に係るディスクブレーキ用摩擦材組立て体では、各摩擦材セグメントは、ロータ半径方向に単位摩擦材ブロックが並ぶブロック列が、ロータ半径方向に延びるスリットを介在して、複数列に配列された構成としても良い。
その場合に、ロータ半径方向に延びる各ブロック列における各単位摩擦ブロックのロータ周方向の長さは、ディスクロータ背面に設けられるベンチレートフィンの配列ピッチ程度または、それ以下の大きさに設定すると良い。
このような構成のディスクブレーキ用摩擦材組立て体では、摩擦材セグメントのロータ周方向の長さは、ディスクロータ背面に設けられるベンチレートフィンの配列ピッチよりも大きくなるが、ロータ半径方向に延びるスリットによって、ロータ周方向の長さが複数のブロック列に区画される。そして、ロータ半径方向に単位摩擦材ブロック31を配置した各ブロック列相互は、ロータ半径方向に介在するスリットにより互いに独立的にサポートプレート7側に弾性変位可能で、ロータ周方向に並ぶ各単位摩擦材ブロック31のロータ周方向の長さがディスクロータ背面に設けられるベンチレートフィン41aの配列ピッチ程度に設定されることで、先のディスクブレーキ用摩擦材組立て体1の場合と同様、ディスクロータの半径方向に生じる凸曲面状の熱膨張変形にも追従性させることができる。
なお、本発明に係る摩擦材セグメントにおいて、ロータ周方向に延びるスリットS1の装備本数は、好ましくは、上記実施の形態の摩擦材セグメント9b〜9dのように、2本以上とすると良い。
また、本発明に係るディスクブレーキ用摩擦材組立て体において、各摩擦材セグメントをサポートプレートに固着する手段は、上記実施の形態に示したリベット止めに限らない。例えば、スポット溶接や、ねじ止めを採用することも可能である。
また、上記実施の形態では、サポートプレート7の着座部11は、プレス成形により周囲から隆起した形状に成形しているが、平ワッシャ等の別部材をサポートプレート7に溶接することで、周囲から隆起した着座部を形成するようにしても良い。
1 ディスクブレーキ用摩擦材組立て体
3A,3B 組立て体半体
5 アンカプレート
7 サポートプレート
9a〜9d 摩擦材セグメント
11 着座部
21 裏板
23 摩擦材
31 単位摩擦材ブロック
31a 側縁部
35 リベット
41 ディスクロータ
41a ベンチレートフィン
43 うねり
45 凸曲面状の変形
S1 スリット
3A,3B 組立て体半体
5 アンカプレート
7 サポートプレート
9a〜9d 摩擦材セグメント
11 着座部
21 裏板
23 摩擦材
31 単位摩擦材ブロック
31a 側縁部
35 リベット
41 ディスクロータ
41a ベンチレートフィン
43 うねり
45 凸曲面状の変形
S1 スリット
Claims (4)
- 制動トルクを受けるアンカプレートに固定されるサポートプレートと、前記サポートプレート上にロータ周方向に一列に並べて配置される複数個の摩擦材セグメントとを備え、
前記各摩擦材セグメントは、前記サポートプレートの着座部に固着される裏板と、この裏板上に固着される摩擦材とを備えると共に、前記摩擦材が、ロータ周方向に延びるスリットによってロータ半径方向に複数個の単位摩擦材ブロックに区画され、
前記各摩擦材セグメントは、ロータ半径方向の内周側に位置する前記単位摩擦材ブロックと外周側に位置する前記単位摩擦材ブロックとを前記着座部に固着させることで前記サポートプレートへ固定され、
前記着座部は周囲より裏板側に隆起して、前記着座部以外では、前記裏板が前記サポートプレートから浮いた状態に保持されていることを特徴とするディスクブレーキ用摩擦材組立て体。 - 前記摩擦材セグメントは、摩擦材が、ロータ周方向に延びる少なくとも2本以上のスリットによって、ロータ半径方向に3個以上の前記単位摩擦材ブロックに区画されていることを特徴とする請求項1に記載のディスクブレーキ用摩擦材組立て体。
- 前記着座部の位置が、前記各摩擦材セグメントにおけるロータ半径方向の内周側に位置する前記単位摩擦材ブロック及び外周側に位置する前記単位摩擦材ブロックのロータ周方向の各中間部に対応した位置に設定されていることを特徴とする請求項1又は2記載のディスクブレーキ用摩擦材組立て体。
- 前記各摩擦材セグメントは、前記各単位摩擦材ブロックがロータ半径方向に一列に並んだ構成を成し、且つ、前記各単位摩擦材ブロックのロータ周方向の長さがディスクロータ背面に設けられるベンチレートフィンの配列ピッチ程度またはそれ以下の大きさに設定されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のディスクブレーキ用摩擦材組立て体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009123021A JP2010270826A (ja) | 2009-05-21 | 2009-05-21 | ディスクブレーキ用摩擦材組立て体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009123021A JP2010270826A (ja) | 2009-05-21 | 2009-05-21 | ディスクブレーキ用摩擦材組立て体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2010270826A true JP2010270826A (ja) | 2010-12-02 |
Family
ID=43419025
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2009123021A Pending JP2010270826A (ja) | 2009-05-21 | 2009-05-21 | ディスクブレーキ用摩擦材組立て体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2010270826A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2014073566A1 (ja) * | 2012-11-08 | 2014-05-15 | 曙ブレーキ工業株式会社 | ディスクブレーキ用摩擦パッド組立て体 |
CN103883654A (zh) * | 2014-03-19 | 2014-06-25 | 博深工具股份有限公司 | 双背板两级浮动式制动闸片 |
JP2015028377A (ja) * | 2013-06-07 | 2015-02-12 | コフレン エッセ.エッレ.エッレ. | 鉄道車両用ディスクブレーキパッド |
CN114508556A (zh) * | 2022-03-01 | 2022-05-17 | 山东倍瑞恳新材料有限公司 | 一种轨道车辆铝基制动盘复合闸片、配方及其制作工艺 |
DE102022106026A1 (de) | 2022-03-15 | 2023-09-21 | Knorr-Bremse Systeme für Schienenfahrzeuge GmbH | Bremsbelag für eine Scheibenbremse eines Schienenfahrzeugs und Scheibenbremse |
-
2009
- 2009-05-21 JP JP2009123021A patent/JP2010270826A/ja active Pending
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2014073566A1 (ja) * | 2012-11-08 | 2014-05-15 | 曙ブレーキ工業株式会社 | ディスクブレーキ用摩擦パッド組立て体 |
JP2015028377A (ja) * | 2013-06-07 | 2015-02-12 | コフレン エッセ.エッレ.エッレ. | 鉄道車両用ディスクブレーキパッド |
CN103883654A (zh) * | 2014-03-19 | 2014-06-25 | 博深工具股份有限公司 | 双背板两级浮动式制动闸片 |
CN103883654B (zh) * | 2014-03-19 | 2016-01-13 | 博深工具股份有限公司 | 双背板两级浮动式制动闸片 |
CN114508556A (zh) * | 2022-03-01 | 2022-05-17 | 山东倍瑞恳新材料有限公司 | 一种轨道车辆铝基制动盘复合闸片、配方及其制作工艺 |
CN114508556B (zh) * | 2022-03-01 | 2023-11-24 | 山东倍瑞恳新材料有限公司 | 一种轨道车辆铝基制动盘复合闸片、配方及其制作工艺 |
DE102022106026A1 (de) | 2022-03-15 | 2023-09-21 | Knorr-Bremse Systeme für Schienenfahrzeuge GmbH | Bremsbelag für eine Scheibenbremse eines Schienenfahrzeugs und Scheibenbremse |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5512337B2 (ja) | 鉄道車両用ブレーキライニング | |
JP4452612B2 (ja) | 車両のディスクブレーキ用のブレーキライニング | |
JP4283243B2 (ja) | ディスクブレーキパッド | |
JP5566304B2 (ja) | レールホイール | |
JP5439689B2 (ja) | 自転車用ブレーキディスク | |
JP2011137519A (ja) | 鉄道車両用ブレーキライニング | |
JP2006010079A5 (ja) | ||
JP2010270826A (ja) | ディスクブレーキ用摩擦材組立て体 | |
JP6601505B2 (ja) | 鉄道車両用のブレーキライニングおよびそれを用いた鉄道車両用ディスクブレーキ | |
JP5855397B2 (ja) | ディスクブレーキ用パッド組立体 | |
JP4702272B2 (ja) | ブレーキパッド | |
WO2013157337A1 (ja) | ディスクブレーキ用摩擦パッド組立て体 | |
JP2008128260A (ja) | クラッチカバー組立体 | |
WO2017159465A1 (ja) | 鉄道車両用のブレーキライニングおよびそれを用いた鉄道車両用ディスクブレーキ | |
JP2012063011A (ja) | 車両用ディスクローターユニット | |
US20080217116A1 (en) | Parking Brake | |
JP2018522188A (ja) | 熱シールド要素 | |
KR101545227B1 (ko) | 플렉서블 브레이크 패드 | |
JP2018021614A (ja) | ブレーキディスク | |
CN221003578U (zh) | 一种刹车盘组件 | |
TWM628342U (zh) | 煞車碟盤 | |
JP2534771Y2 (ja) | ブレーキディスク | |
JP2007211808A (ja) | ディスクブレーキ | |
JP2002303342A (ja) | ブレーキディスク | |
JP2004116600A (ja) | ディスクブレーキのロータ |