[画像形成装置100の構成例]
本発明に係る画像形成装置100は、搬送方向に対して略直交方向に送り出された用紙をデカーラにより矯正することにより、搬送方向に平行する方向にカールした用紙を略平面状の用紙に矯正できるようにするものである。
図1に示す画像形成装置100は、画像形成装置本体10と原稿搬送装置12とを備えている。原稿搬送装置12は、画像形成装置本体10の上部に取り付けられ、載置された原稿を画像形成装置本体10の原稿台上に搬送する。
画像形成装置本体10は、給紙部30とレジストローラ16と感光体ドラム14と定着装置22と排紙ローラ24と反転ローラ82とを備えている。なお、本例では、画像読取部や画像処理部等の構成等については、公知の技術が採用されるため説明を省略する。
給紙部30は、複数の給紙トレイ18,19と給紙ローラ20,21とを有している。給紙トレイ18,19には、サイズの異なる用紙がそれぞれ収容されている。各給紙トレイ18,19に収容される用紙は、給紙ローラ20,21の回転駆動により各給紙トレイ18,19から搬出される。各給紙トレイ18,19から搬出された用紙は、ローラ32,33により搬送経路R1を経由してレジストローラ16に突き当てられる。
レジストローラ16は、給紙トレイ18,19から搬送されて突き当てられた用紙にループを形成することにより用紙の先端の曲がりを修正し、感光体ドラム14上に担持されたトナー像に合わせて所定のタイミングで用紙を転写位置に搬送する。
感光体ドラム14は、レジストローラ16から搬送される用紙にトナー像を転写する。トナー像が転写された用紙は、定着装置22に搬送される。定着装置22は、トナー像が転写された用紙を加熱及び加圧することによってトナーを溶融してトナー像を用紙に定着させて画像を形成する。
定着装置22により画像が形成された用紙は、カール矯正装置90に搬送される。カール矯正装置90の第1の搬送部84aは送出部の一例であり、用紙を搬送する搬送方向と略直交する方向に用紙を送り出す。この搬送部84aは、搬送方向用のローラ54,55及び直交方向用のローラ58,59(図2A参照)を備えている。搬送方向用のローラ54,55は用紙を排紙経路R2又は反転経路R3に搬送する。
第1の搬送部84aの近傍にはセンサ部80が設けられている。このセンサ部80は用紙の4辺を検出して検出信号S80を制御部110(図7参照)に出力する。制御部110は、この検出信号S80に基づいて用紙がカールしているか否かを判定する。
反転経路R3と排紙経路R2との分岐部には、経路を切り替える図示しない経路切替部材が設けられている。この経路切替部材は、制御部110(図7参照)の制御に基づいて排紙経路R2又は反転経路R3に切り替えられる。経路切替部材が排紙経路R2側に切り替えられている場合、用紙は、排紙経路R2上に設けられたデカーラ81に向けてローラ54,55により搬送される。デカーラ81は、センサ部80の検出信号S80が搬送方向に直交する方向に用紙がカールしたことを示す場合、直交方向にカールした用紙を略平面状の用紙に矯正する。また、デカーラ81は、センサ部80の検出信号S80が直交方向に用紙がカールしたことを示さない場合、用紙を矯正しない。デカーラ81の後段の排紙ローラ24は、排紙トレイ28に用紙を排出する。
経路切替部材が反転経路R3側に切り替えられている場合、ローラ54,55により搬送された用紙は、反転経路R3に設けられたローラ34により反転ローラ82に搬送される。反転ローラ82は、用紙を引き込んで用紙を一旦停止させて、その後に用紙を排出方向に鋭角的に送り出す(スイッチバック)。これにより、用紙が引っ繰り返って表裏が逆になるので、両面印刷や反転排紙が可能となる。
両面印刷する場合、反転ローラ82により反転された用紙は、ローラ83a〜83cにより再び搬送経路R1を経由してレジストローラ16に突き当てられる。また、反転排紙する場合、反転ローラ82により反転された用紙は、ローラ34により排紙経路R2に搬送され、排紙ローラ24により排紙トレイ28に排出される。
なお、本例では、画像形成部を1個の感光体ドラム14により構成した例を示しているが、カラー画像を形成する場合には、Y色用,M色用,C色用,K色用等に対応した複数の感光体ドラム及び中間転写ベルトにより画像形成部を構成することもできる。
[カール矯正装置90の構成例]
次に図2〜図4を参照して、カール矯正装置90の構成例について説明する。カール矯正装置90は、第1の搬送部84a、第2の搬送部84b、第1のデカーラ86,第2のデカーラ81,87及びセンサ部80を備えている。カール矯正装置90は、デカーラ86とデカーラ81,87の両方を作用させない通紙経路、並びにデカーラ86又はデカーラ81,87のいずれか一方を作用させない通紙経路を備えている。
第1の搬送部84aは、搬送方向D1又は直交方向D2に用紙を搬送する。第1の搬送部84aの搬送方向D1にはデカーラ81が設置されている。デカーラ81は、搬送方向D1に直交する方向にカールした用紙を略平面状の用紙に矯正する。
第1の搬送部84aの直交方向D2の通紙経路にはデカーラ86が設置され、デカーラ86の後段には第2の搬送部84bが設置されている。デカーラ86は、搬送部84aにより搬送された用紙を受け取り、搬送方向D1に平行する方向にカール(トイカール)した用紙を略平面状の用紙に矯正する。第2の搬送部84bは送出部の一例であり、デカーラ86から用紙を受け取り、直交方向D2及び搬送方向D1に用紙を搬送する。
この例で、第1の搬送部84aは、ローラ55,54及びローラ58,59を有している。一対のローラ55は、駆動ローラとこの駆動ローラに当接された従動ローラとから構成され、図示しないソレノイドによりニップおよびニップ解除される。
駆動ローラは回転軸とその両端部に取り付けられた一対のローラとから構成され、従動ローラは回転軸とその両端部に取り付けられた一対のローラとから構成される。なお、上述したローラ55の構成は、後述するローラ85a,85b、ローラ85c,85dにおいても同様の構成であるため、以下の説明では簡略化して説明する。
ローラ54,55は、給紙トレイ18,19に収容される用紙のうち最小サイズの用紙の外枠内に収まるように設置されている。これにより、例えば最小サイズの用紙を搬送方向D1に搬送する場合、一対のローラ54,54により用紙をニップして送り出すと共に、このローラ54,54によりニップされて送り出された用紙を一対のローラ55,55によりニップして受け取ることができる。従って、前後のローラ54,55の両方で最小サイズの用紙を一瞬ニップした状態を作り出すことができるので、この最小サイズの用紙よりも大きいサイズの用紙であれば、前後のローラ54,55の両方で用紙をニップした状態を作り出すことができる。これにより、如何なるサイズの用紙であっても、ローラ54,55により確実に搬送方向D1に用紙を搬送できる。
また、ローラ58,59も、給紙トレイ18,19に収容される用紙のうち最小サイズの用紙の外枠内に収まるように設置されている。これにより、最小サイズの用紙を直交方向D2に搬送する場合、一対のローラ58,58により用紙をニップして送り出すと共に、このローラ58,58によりニップされて送り出された用紙を一対のローラ59,59によりニップして受け取ることができる。従って、前後のローラ58,59の両方で最小サイズの用紙を一瞬ニップした状態を作り出すことができるので、この最小サイズの用紙よりも大きいサイズの用紙であれば、前後のローラ58,59の両方で用紙をニップした状態を作り出すことができる。これにより、如何なるサイズの用紙であっても、ローラ58,59により直交方向D2に用紙を搬送できる。ここで、直交方向D2は、搬送方向D1に直交する方向である。
第2の搬送部84bは、第1の搬送部84aと同様に構成されている。すなわち、第2の搬送部84bは、ローラ85a,85b及びローラ85c,85dを有している。ローラ85a,85bは、給紙トレイ18,19に収容される用紙のうち最小サイズの用紙の外枠内に収まるように設置されている。ローラ85c,85dも、給紙トレイ18,19に収容される用紙のうち最小サイズの用紙の外枠内に収まるように設置されている。このように、第1及び第2の搬送部84a,84bは構成されている。
第1の搬送部84aの前方にはデカーラ81が設置されている。このデカーラ81は、ソフトローラ81a及びハードローラ81bを備えている。ソフトローラ81aはソフト回転部材の一例であり、比較的硬度の低い弾性発泡体(例えば発泡スポンジ)から形成されている。ハードローラ81bは金属などから形成されている。例えば図4Aに示すデカーラ81は、ソフトローラ81aが図示しないモータにより駆動される。ハードローラ81bはソレノイド81cに結合され、このソレノイド81cによりソフトローラ81aに対して圧接又は離間される。ソフトローラ81aは発泡スポンジ81dを有している。
図4Aに示すように用紙Sが略平面状である場合、ソレノイド81cを通電停止して可動鉄心88dを伸長させてハードローラ81bをソフトローラ81aから離間させる。この例で、可動鉄心88dの先端にはリンク88cの一端が取り付けられ、このリンク88cの他端には引っ張りバネ88a及びハードローラ81bが取り付けられている。リンク88cはピン88bにより回転自在に取り付けられている。この構成によって、可動鉄心88dが伸長又は収縮することで、ピン88bを支点にしてリンク88cに取り付けられたハードローラ81bが上下動する。
図4Bに示すように用紙Sがカールしている場合、ソレノイド81cを通電して可動鉄心88dを収縮させてハードローラ81bをソフトローラ81aに圧接させてニップ部を形成する。このニップ部のニップ圧力は、カールの強弱に応じてソフトローラ81aの位置を変えることで調整することができる。これにより、用紙のカールの強弱に応じてカールを矯正できるようになる。ソフトローラ81aを駆動させて回転させる。ハードローラ81bとソフトローラ81aにより形成されたニップにカール状の用紙Sを通紙してカールした方向と反対方向に用紙Sを湾曲させる。これにより、図4Bに示すようにカール状の用紙をデカーラ81により略平面状の用紙Sに矯正できるようになる。デカーラ81により矯正された用紙は、排紙ローラ24により排紙トレイ28に排出される。
一方、デカーラ86は、第1の搬送部84aと第2の搬送部84bとの間に設置されている。デカーラ86は、デカーラ81と同様の構成である。
すなわち、デカーラ86は、ソフトローラ86a及びハードローラ86bを備えている。ソフトローラ86aは、比較的硬度の低い弾性発泡体(例えば発泡スポンジ)から形成されている。ハードローラ86bは金属などから形成されている。例えば図4Aに示すデカーラ86は、ソフトローラ86aが図示しないモータにより駆動される。ハードローラ86bは、ソレノイド86cによりソフトローラ86aに対して圧接又は離間される。デカーラ86は、待機状態では図4Aに示すようにソレノイド86cの可動鉄心88dを伸長させてハードローラ86bをソフトローラ86aから離間させる。
デカーラ86は、駆動状態では図4Bに示すようにソレノイド86cの可動鉄心88dを収縮させてハードローラ86bをソフトローラ86aに圧接させてニップを形成する。また、ソフトローラ86aを駆動させて回転させる。ハードローラ86bとソフトローラ86aにより形成されたニップにカール状の用紙Sを通紙してカールした方向と反対方向に用紙Sを湾曲させる。これにより、図4Bに示すようにカール状の用紙を略平面状の用紙Sに矯正できるようになる。デカーラ86により矯正された用紙は、排紙ローラ85eにより排紙トレイ28に排出される。なお、排紙ローラ85eにより排出された用紙と排紙ローラ24により排出された用紙は、重ね合わされて排紙トレイ28に載置される。
さらに、デカーラ87は、第2の搬送部84bの前方に設置されている。デカーラ87は、第1及びデカーラ81,86と同様の構成である。
すなわち、デカーラ87は、ソフトローラ87a及びハードローラ87bを備え、図4Bに示すようにカール状の用紙を略平面状の用紙Sに矯正する。デカーラ87により矯正された用紙は、排紙ローラ85eにより排紙トレイ28に排出される。
次に、図5A及び図5B並びに図6を参照して用紙のカール方向を検出する例について説明する。図5Aに示す2点鎖線の用紙Sは平面状の用紙であり、実線の用紙S1は、搬送方向D1に直交する方向にカールした用紙である。図5Aに示すセンサ部80は、4つのセンサ80a〜80dを備え、用紙Sの4辺を検出する位置に配置されている。例えば、センサ80aは用紙Sの先端Saを検出する位置に配置され、センサ80bは用紙Sの後端Sbを検出する位置に配置されている。また、センサ80cは用紙Sの右側端Scを検出する位置に配置され、センサ80dは用紙Sの左側端Sdを検出する位置に配置されている。
センサ80a〜80dには、透過型のフォトセンサ又は反射型のフォトセンサを使用する。センサ80aとセンサ80bの出力に基づいて用紙S1の全長L1を算出する。この例では、用紙Sのサイズ毎に基準となる縦基準サイズLaと横基準サイズLbを保存しておく。
縦基準サイズLaとセンサ80a,80bの出力から求めた用紙S1の全長L1とを比較する。また、横基準サイズLbとセンサ80c,80dの出力から求めた用紙S1の全幅L2とを比較する。
例えば図5Aに示すように、用紙S1の全長L1が縦基準サイズLaよりも短く、かつ用紙S1の全幅L2と横基準サイズLbが等しい場合(L1<La、L2=Lb)、搬送方向D1に直交する方向にカールした用紙であると判定する。この場合、デカーラ81により用紙S1を矯正する。
また図5Bに示すように、用紙S1の全長L3と縦基準サイズLaが等しく、かつ用紙S1の全幅L4が横基準サイズLbよりも短い場合(L3=La、L4<Lb)、搬送方向D1に平行する方向にカールした用紙であると判定する。この場合、デカーラ86により用紙S1を矯正する。
また図6に示すように、用紙S1の全長L5が縦基準サイズLaよりも短く、かつ用紙S1の全幅L6が横基準サイズLbよりも短い場合(L3<La、L4<Lb)、斜め方向にカールした用紙であると判定する。この場合、デカーラ86,87により用紙S1を矯正する。
なお、用紙S1の全長と縦基準サイズLaが等しく、かつ用紙S1の全幅と横基準サイズLbとが等しい場合、用紙S1がカールしていないと判定してローラ55により搬送するが、デカーラ81により用紙S1を矯正しない。
[画像形成装置100の制御系のブロック構成例]
次に図7を参照して、画像形成装置100の制御系のブロック構成例について説明する。図7に示す画像形成装置100は、画像形成装置100の各部の動作の制御を行う制御部110を備えている。
制御部110は、CPU(Central Processing Unit)112、ROM(Read Only Memory)114およびRAM(Random Access Memory)116を有している。ROM114は、画像形成装置100を動作させるためのプログラムを記憶している。RAM116は、ROM114から読み出したプログラム等の一時的な格納領域として用いられる。CPU112は、ROM114に記憶されているプログラムを読み出してプログラムに応じた処理を実行する。
制御部110には、原稿搬送装置12、画像形成部140、定着装置22、表示部124および操作部126のそれぞれが接続されている。原稿搬送装置12、画像形成部140および定着装置22のそれぞれは、制御部110から供給される制御信号に基づいて上述した各部に対応した処理を行う。
表示部124は、例えば液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等の表示デバイスから構成され、片面印刷や両面印刷の選択や各サイズの用紙が収容される給紙トレイ18,19等の選択を行うメニュー画面等を表示する。操作部126は、例えばキーボードやリモートコントローラ等により構成され、ユーザの選択に応じた操作信号を生成して制御部110に供給する。本例では、表示部124と操作部126とが一体に構成されたタッチパネルが用いられる。タッチパネルは、例えば画像形成装置本体10の上部に設けられ、表示画面の操作に応じた入力位置を検出し、この入力位置に基づく操作信号を生成して制御部110に供給する。
センサ部80は、用紙の4辺を検出して検出信号S80を制御部110に出力する。制御部110は、この検出信号S80に基づいて用紙がカールしているか否かを判定する。例えば図5及び図6に示したように、縦基準サイズLaとセンサ部80のセンサ80a,80bの出力から求めた用紙S1の全長L1とを比較し、横基準サイズLbとセンサ80c,80dの出力から求めた用紙S1の全幅L2とを比較して用紙のカールを判定する。制御部110は、この判定結果に基づいて搬送部84a,84b及びデカーラ81,86,87を制御する。
制御部110には、モータ540,580,850a,850cが接続されている。制御部110は、モータ540に制御信号S540を出力してモータ540を駆動する。モータ540の駆動軸は、図示しないギヤやシャフトなどを介してローラ54,55に連結されている。モータ540を駆動するとローラ54,55が回転して、搬送部84a上の用紙が搬送方向D1に搬送される。
制御部110は、モータ580に制御信号S580を出力してモータ580を駆動する。モータ580の駆動軸は、図示しないギヤやシャフトなどを介してローラ58,59に連結されている。モータ580を駆動するとローラ58,59が回転して、搬送部84a上の用紙が直交方向D2に搬送される。
制御部110は、モータ850cに制御信号S850cを出力してモータ850cを駆動する。モータ850cの駆動軸は、図示しないギヤやシャフトなどを介してローラ85c,85dに連結されている。モータ850cを駆動するとローラ85c,85dが回転して、搬送部84aから直交方向D2に搬送された用紙を受け取る。
制御部110は、モータ850aに制御信号S850aを出力してモータ850aを駆動する。モータ850aの駆動軸は、図示しないギヤやシャフトなどを介してローラ85a,85bに連結されている。モータ850aを駆動するとローラ85a,85bが回転して、搬送部84b上の用紙が搬送方向D1に搬送される。
制御部110には、ソレノイド81c,86c,87c及びモータ810a,860a,870aが接続されている。制御部110は、制御信号S81cを出力してソレノイド81cの可動鉄心88dを伸長又は収縮させる。例えば、制御部110は、ソレノイド81cを通電して可動鉄心88dを収縮させ、ハードローラ81bをソフトローラ81aに圧接させてニップを形成する。また、制御部110は、ソレノイド81cを通電停止して可動鉄心88dを伸長させてハードローラ81bをソフトローラ81aから離間させる。
制御部110は、モータ810aに制御信号S810aを出力してモータ810aを駆動する。モータ810aの駆動軸は、図示しないギヤなどを介してソフトローラ81aに連結されている。モータ810aを駆動するとソフトローラ81a及びこのソフトローラ81aに圧接されたハードローラ81bが回転して、図4Bに示したようにカール状の用紙をニップして平面状に矯正する。このように、デカーラ81のソレノイド81c及びモータ810aを制御する。なお、ハードローラ81bは従動ローラであり、ソフトローラ81aに圧接されて従動して回転する。
同様にして、デカーラ86のソレノイド86c及びモータ860aを制御する。すなわち、制御部110は、制御信号S86cを出力してソレノイド86cの可動鉄心88dを伸長又は収縮させ、ハードローラ86bをソフトローラ86aに圧接又は離間させる。
制御部110は、モータ860aに制御信号S860aを出力してモータ860aを駆動する。モータ860aを駆動するとソフトローラ86a及びこのソフトローラ86aに圧接されたハードローラ86bが回転して、図4Bに示したようにカール状の用紙をニップして平面状に矯正する。このように、デカーラ86のソレノイド86c及びモータ860aを制御する。
同様にして、デカーラ87のソレノイド87c及びモータ870aを制御する。すなわち、制御部110は、制御信号S87cを出力してソレノイド87cの可動鉄心88dを伸長又は収縮させ、ハードローラ87bをソフトローラ87aに圧接又は離間させる。
制御部110は、モータ870aに制御信号S870aを出力してモータ870aを駆動する。モータ870aを駆動するとソフトローラ87a及びこのソフトローラ87aに圧接されたハードローラ87bが回転して、図4Bに示したようにカール状の用紙をニップして平面状に矯正する。このように、デカーラ87のソレノイド87c及びモータ870aを制御する。
[画像形成装置100の動作例]
<搬送方向D1に直交する方向にカールした用紙>
次に、図8及び図9を参照して画像形成装置100の動作例について説明する。この例では、用紙S1が搬送方向D1に直交する方向にカールしている例について説明する。図8Aに示す搬送部84aのローラ54,55は、直交カール状の用紙S1をニップして搬送方向D1に搬送している。このとき、図8Bに示すように、ローラ58,59の各々はニップが解除されている。
制御部110は、図5Aに示した縦基準サイズLaとセンサ80a,80bの出力から求めた用紙S1の全長L1とを比較すると共に、横基準サイズLbとセンサ80c,80dの出力から求めた用紙S1の全幅L2とを比較する。制御部110は、用紙S1の全長L1が縦基準サイズLaよりも短く、かつ用紙S1の全幅L2と横基準サイズLbが等しい場合(L1<La、L2=Lb)、搬送方向D1に直交する方向にカールした用紙であると判定してデカーラ81のソレノイド81cを通電してハードローラ81bをソフトローラ81aに圧接してニップ部を形成する。さらに、制御部110は、モータ810aを駆動させてソフトローラ81aを回転させる。これにより、デカーラ81のソフトローラ81a及びハードローラ81bが回転する。
図9Aに示す搬送部84aのローラ55は、デカーラ81のニップ部に直交カール状の用紙S1を送り出して通紙している。デカーラ81のニップ部に通紙された用紙S1は、カールした方向と反対方向に湾曲される。これにより、図4Bに示したように直交カール状の用紙をデカーラ81により略平面状の用紙S1に矯正できる。デカーラ81により矯正された用紙は、排紙ローラ24により排紙トレイ28に排出される。
なお、制御部110は、用紙の全長と縦基準サイズLaが等しく、かつ用紙の全幅と横基準サイズとが等しい場合、用紙がカールしていないと判定し、ソレノイド81cの可動鉄心88dを伸長させてハードローラ81bをソフトローラ81aから離間させる。このように、用紙が略平面状である場合には、デカーラ81により用紙がニップされない。
<搬送方向D1に平行する方向にカールした用紙>
次に、図10〜図14を参照して用紙S1が搬送方向D1に平行する方向にカールしている例について説明する。図10Aに示す搬送部84aのローラ54,55は、平行カール状の用紙S1をニップして搬送方向D1に搬送している。このとき、図10Bに示すように、ローラ58,59の各々はニップが解除されている。
制御部110は、図5Bに示した縦基準サイズLaとセンサ80a,80bの出力から求めた用紙S1の全長L1とを比較すると共に、横基準サイズLbとセンサ80c,80dの出力から求めた用紙S1の全幅L2とを比較する。制御部110は、用紙S1の全長L3と縦基準サイズLaが等しく、かつ用紙S1の全幅L4が横基準サイズLbよりも短い場合(L3=La、L4<Lb)、搬送方向D1に平行する方向にカールした用紙であると判定してデカーラ86のソレノイド86cを通電してハードローラ86bをソフトローラ86aに圧接してニップ部を形成する。さらに、制御部110は、モータ860aを駆動させてソフトローラ86aを回転させる。これにより、デカーラ86のソフトローラ86a及びハードローラ86bが回転する。
図11Aに示す位置に用紙S1が到達すると、制御部110は、ローラ54,55のモータ540を停止すると共に、ローラ58,59のモータ580を駆動させて用紙S1を直交方向D2に搬送する。このとき、図11Bに示すように、ローラ54,55の各々はニップが解除されている。
図12Aに示す搬送部84aのローラ59は、デカーラ86のニップ部に直交カール状の用紙S1を送り出して通紙している。デカーラ86のニップ部に通紙された用紙S1は、カールした方向と反対方向に湾曲される。これにより、図4Bに示したように平行カール状の用紙をデカーラ86により略平面状の用紙S1に矯正できる。デカーラ86により平行カールが矯正された用紙は、搬送部84aのローラ59と搬送部84bのローラ85cにより直交方向D2に搬送されている。
図13Aに示す位置に用紙S1が到達すると、制御部110は、ローラ58,59のモータ580を停止すると共にローラ85c,85dのモータ850cを停止する。その後、図14Aに示すように制御部110は、ローラ85a,85bのモータ850aを駆動させて用紙S1を搬送方向D1に搬送する。排紙ローラ85eは、ローラ85bにより搬送された用紙S1を排紙トレイ28に排出する。このとき、図14Bに示すように、ローラ85c,85dの各々はニップが解除されている。
なお、この例では、用紙S1が搬送方向D1に平行する方向のみにカールし、搬送方向D1に直交する方向にカールしていないので、デカーラ87を駆動させない。すなわち、デカーラ87のソレノイド87cの可動鉄心88dを伸長させてハードローラ87bをソフトローラ87aから離間させた状態とする。
<搬送方向D1に対して斜め方向にカールした用紙>
次に、図10〜図14を参照して用紙S1が搬送方向D1に対して斜め方向にカールしている例について説明する。図10Aに示す搬送部84aのローラ54,55は、斜め方向カール状の用紙S1をニップして搬送方向D1に搬送している。
制御部110は、図6に示した縦基準サイズLaとセンサ80a,80bの出力から求めた用紙S1の全長L1とを比較すると共に、横基準サイズLbとセンサ80c,80dの出力から求めた用紙S1の全幅L2とを比較する。制御部110は、用紙S1の全長L5が縦基準サイズLaよりも短く、かつ用紙S1の全幅L6が横基準サイズLbよりも短い場合(L3<La、L4<Lb)、斜め方向にカールした用紙であると判定してデカーラ86のソレノイド86cを通電してハードローラ86bをソフトローラ86aに圧接してニップ部を形成する。また、制御部110は、モータ860aを駆動させてソフトローラ86aを回転させる。さらに、制御部110は、デカーラ87のソレノイド87cを通電してハードローラ87bをソフトローラ87aに圧接してニップ部を形成する。また、制御部110は、モータ870aを駆動させてソフトローラ87aを回転させる。
上述したように図12Aに示すデカーラ86により用紙S1の平行カールを矯正する。また、図14Aに示すデカーラ87により用紙S1の直交カールを矯正する。
このように、本発明の実施例1に係る画像形成装置100によれば、センサ部80の検出結果に基づき、デカーラ81による用紙の矯正に加えて、搬送方向D1に対して略直交する直交方向D2に送り出された用紙をデカーラ86により矯正する。これにより、搬送方向D1に平行する方向にカールした用紙を略平面状の用紙に矯正できるようになる。
[画像形成装置200の構成例]
次に、実施例2としての画像形成装置200について説明する。なお、上述した画像形成装置100と同じ構成要素には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図15に示す画像形成装置200は、用紙の表裏を反転する反転装置50を備えている。この反転装置50は反転部の一例であり、1段目に設けられた第1の反転部50Aと2段目に設けられた第2の反転部50Bを備えている。反転部50Aは、定着装置22により加熱及び加圧されてトナー像が定着された用紙を排紙ローラ24に向けて搬送する。また、反転部50Aは、トナー像が定着された用紙を反転させて2段目の反転部50Bに搬送する。反転部50Bは、反転部50Aにより反転された用紙を搬送/反転ローラ82aに搬送する。この例で、反転部50Bから搬送/反転ローラ82aへの経路上には、デカーラ81Aが設置されている。このデカーラ81Aは、搬送方向D1に直交する方向にカールした用紙を略平面状の用紙に矯正する。搬送/反転ローラ82aは、用紙をスイッチバックさせて排紙ローラ25に向けて搬送する。また、搬送/反転ローラ82aは、用紙をローラ83aに向けて搬送する。
次に、図16及び図17を参照して反転装置50の構成例について説明する。反転装置50は、定着装置22により圧着されて搬送される用紙の表裏を、用紙の先端と後端とを入れ替えることなく反転させて感光体ドラム14の転写位置に再給紙するものである。反転装置50は、1段目に設けられた第1の反転部50Aと2段目に設けられた第2の反転部50Bと第1のUターン反転経路R3uと第2のUターン反転経路R4uとを備えている。このUターン反転経路R3u上には第1のデカーラ86Aが設置され、Uターン反転経路R4u上には第2のデカーラ81Aが設置されている。
第1の反転部50Aは、搬送方向用のローラ52,53と直交方向用のローラ56,57とを有している。搬送方向用のローラ52,53と直交方向用のローラ56,57は、給紙トレイ18,19に収容される用紙のうち最小サイズの用紙の外枠内に収まるように設置されている。
また、第2の反転部50Bは、搬送方向用のローラ54,55と直交方向用のローラ58,59とを有している。搬送方向用のローラ54,55と直交方向用のローラ58,59は、給紙トレイ18,19に収容される用紙のうち最小サイズの用紙の外枠内に収まるように設置されている。
ローラ52は、駆動ローラとこの駆動ローラに当接された従動ローラとから構成され、図示しないソレノイドによりニップおよびニップ解除される。駆動ローラは回転軸とその両端部に取り付けられた一対のローラとから構成され、従動ローラは回転軸とその両端部に取り付けられた一対のローラとから構成される。なお、上述したローラ52の構成は、後述するローラ53〜59においても同様であるため、以下の説明では簡略化して説明する。
搬送方向用のローラ52,53は、定着装置22から搬送された用紙を搬送方向D1に搬送する。直交方向用のローラ56,57は、ローラ52,53により搬送された用紙を直交方向D2に搬送する。Uターン反転経路R3uは、ローラ56,57により直交方向D2に送り出された用紙を180°Uターンさせて第2の反転部50Bに搬送する。
Uターン反転経路R3uは、第1の反転部50Aのローラ56の搬出側と第2の反転部50Bのローラ58の搬入側との間に設けられている。このUターン反転経路R3uは、例えば金属部材からなるガイド板62a,62bにより構成されて円弧状に湾曲している。内側に設置されたガイド板62aは第1の経路r1を構成し、外側に設置されたガイド板62bは第2の経路r2を構成する。第2の経路r2を構成するガイド板62b上には、デカーラ86Aが設置されている。第2の経路r2に搬送された用紙は、デカーラ86Aによりカールが矯正されると共に、用紙が反転されて2段目のローラ58に搬入される。第1の経路r1に搬送された用紙は、用紙のカール矯正を実施せずに用紙が反転されて2段目のローラ58,58に搬入される。なお、第1の経路r1と第2の経路r2は、図示しない切替部材により経路が切り替えられる。
ローラ54,55は、このローラ58,59により搬入された用紙を搬送方向D1に搬送する。Uターン反転経路R4uは、ローラ54,55により搬送方向D1に送り出された用紙を180°Uターンさせて搬送/反転ローラ82aに向けて矢印方向D1aに送り出す。
Uターン反転経路R4uは、第2の反転部50Bのローラ55の搬出側と搬送/反転ローラ82aの受入側との間に設けられている。このUターン反転経路R4uは、例えば金属部材からなるガイド板63a,63bにより構成されて円弧状に湾曲している。内側に設置されたガイド板63aは第1の経路s1を構成し、外側に設置されたガイド板63bは第2の経路s2を構成する。第2の経路s2を構成するガイド板63b上には、デカーラ81Aが設置されている。第2の経路s2に搬送された用紙は、デカーラ81Aによりカールが矯正されると共に、用紙が反転されて搬送/反転ローラ82aに搬入される。第1の経路s1に搬送された用紙は、用紙のカール矯正を実施せずに用紙が反転されて搬送/反転ローラ82aに搬入される。なお、第1の経路s1と第2の経路s2は、図示しない切替部材により経路が切り替えられる。
また、Uターン反転経路R3uを構成するガイド板62a,62bは、図18A及び図18Bに示すように、画像形成装置本体10の前面部側に設けられている。画像形成装置本体10のUターン反転経路R3uに対応した前面部には、上下方向に開閉可能な開閉扉10aが設けられている。これにより、例えばUターン反転経路R3uに用紙Sが詰まった場合でも、開閉扉10aを開くことで、簡単にUターン反転経路R3uのジャム処理を行うことができる。なお、Uターン反転経路R3uは、画像形成装置本体10の背面側に設けることもできる。さらに、開閉扉10aは左右に開閉させる構造でも良い。
[画像形成装置200の動作例]
<搬送方向D1に直交する方向にカールした用紙>
次に、図17、図19A及び図19Bを参照して画像形成装置200の動作例について説明する。この例では、用紙が搬送方向D1に直交する方向にカールしている例について説明する。図17に示すローラ52,53は、直交カール状の用紙をニップして搬送方向D1に搬送する。
図5Aに示した縦基準サイズLaとセンサ80a,80bの出力から求めた用紙S1の全長L1とを比較すると共に、横基準サイズLbとセンサ80c,80dの出力から求めた用紙S1の全幅L2とを比較する。用紙S1の全長L1が縦基準サイズLaよりも短く、かつ用紙S1の全幅L2と横基準サイズLbが等しい場合(L1<La、L2=Lb)、搬送方向D1に直交する方向にカールした用紙であると判定して、不図示の切替部材により用紙S1の経路を図19Aに示すUターン反転経路R3uの経路r1に切り替える。これにより、用紙S1は、デカーラ86Aを経由せずに用紙が反転されて2段目のローラ58に搬入される。ローラ54,55は、このローラ58,59により搬入された用紙をUターン反転経路R4uの経路s2に搬送する。この経路s2に搬送された用紙S1は、デカーラ81Aにより直交カールが矯正される。例えば、デカーラ81Aは、ハードローラとソフトローラのニップ部に直交カール状の用紙を通してカールした方向と反対方向に湾曲させて略平面状の用紙に矯正する。
直交カールが矯正された用紙は、反転されて搬送/反転ローラ82aに搬入される。搬送/反転ローラ82aは、両面印刷の時には再給紙し、片面印刷の時には用紙をスイッチバックさせて排紙ローラ25に向けて搬送する。両面印刷の時には、再びセンサ部80によりカール状態が検出されて、検出結果に基づいてカール矯正が実施される。
なお、用紙の全長と縦基準サイズLaが等しく、かつ用紙の全幅と横基準サイズとが等しい場合、制御系は用紙がカールしていないと判定してデカーラ81A,86Aを経由しないように用紙を搬送する。
<搬送方向D1に平行する方向にカールした用紙>
図5Bに示したように用紙S1の全長L3と縦基準サイズLaが等しく、かつ用紙S1の全幅L4が横基準サイズLbよりも短い場合(L3=La、L4<Lb)、搬送方向D1に平行する方向にカールした用紙であると判定して、不図示の切替部材により用紙S1の経路を図19Aに示すUターン反転経路R3uの経路r2に切り替える。これにより、用紙S1は、経路r2に搬送されてデカーラ86Aにより平行カールが矯正される。例えば、デカーラ86Aは、ハードローラとソフトローラのニップ部に平行カール状の用紙を通してカールした方向と反対方向に湾曲させて略平面状の用紙に矯正する。
平行カールが矯正された用紙は反転されて2段目のローラ58に搬入される。図19Bに示すローラ54,55は、このローラ58,59により搬入された用紙S1をUターン反転経路R4uの経路s1に搬送する。この経路s1に搬送された用紙S1は、反転されて搬送/反転ローラ82aに搬入される。搬送/反転ローラ82aは、両面印刷の時には再給紙し、片面印刷の時には用紙をスイッチバックさせて排紙ローラ25に向けて搬送する。両面印刷の時には、再びセンサ部80によりカール状態が検出されて、検出結果に基づいてカール矯正が実施される。
<搬送方向D1に対して斜め方向にカールした用紙>
図6に示したように用紙S1の全長L5が縦基準サイズLaよりも短く、かつ用紙S1の全幅L6が横基準サイズLbよりも短い場合(L3<La、L4<Lb)、斜め方向にカールした用紙であると判定して不図示の切替部材により用紙S1の経路を図19Aに示すUターン反転経路R3uの経路r2に切り替える。これにより、用紙S1は、経路r2に搬送されてデカーラ86Aにより平行カールが矯正される。平行カールが矯正された用紙は反転されて2段目のローラ58に搬入される。
図19Bに示すローラ54,55は、このローラ58,59により搬入された用紙S1をUターン反転経路R4uの経路s2に搬送する。この経路s2に搬送された用紙S1は、デカーラ81Aにより直交カールが矯正される。
直交カールが矯正された用紙は、反転されて搬送/反転ローラ82aに搬入される。搬送/反転ローラ82aは、両面印刷の時には再給紙し、片面印刷の時には用紙をスイッチバックさせて排紙ローラ25に向けて搬送する。両面印刷の時には、再びセンサ部80によりカール状態が検出されて、検出結果に基づいてカール矯正が実施される。