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JP2010257830A - 有機el素子、有機el素子用のキャップ基材およびキャップ基材の製造方法 - Google Patents

有機el素子、有機el素子用のキャップ基材およびキャップ基材の製造方法 Download PDF

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JP2010257830A
JP2010257830A JP2009107923A JP2009107923A JP2010257830A JP 2010257830 A JP2010257830 A JP 2010257830A JP 2009107923 A JP2009107923 A JP 2009107923A JP 2009107923 A JP2009107923 A JP 2009107923A JP 2010257830 A JP2010257830 A JP 2010257830A
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cap base
organic
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glass substrate
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Tomohiro Takeyasu
安 智 宏 竹
Shuji Kawaguchi
口 修 司 川
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

【課題】高い封止性能を有する有機EL素子を提供する。
【解決手段】有機EL素子10は、ガラス基板17と、ガラス基板17上に設けられ、陽極11と、陰極13と、陽極11と陰極13の間に設けられた有機発光層12とを有する有機EL層14とを備えている。有機EL層14は、ガラス基板17上に設けられたキャップ基材20により封止されている。キャップ基材20は天板23と周縁枠体22とからなり、キャップ基材20には有機EL層14を収納するキャビティ21が形成されている。キャップ基材20の周縁枠体22とガラス基板17との間には接着剤30が介在されており、また、キャップ基材20の周縁枠体22のうちガラス基板17との当接面22aには、周縁枠体22全周に延びる収納溝22bが形成されている。接着剤30は、周縁枠体22とガラス基板17との間に介在されるとともに、収納溝22b内にも収納されている。
【選択図】図1

Description

本発明は有機EL素子に係り、とりわけ、高い封止性能を有する有機EL素子に関する。また本発明は、有機EL素子に用いるキャップ基材、およびキャップ基材の製造方法に関する。
従来、平面ディスプレイ等の分野において、陽極と陰極との間に有機発光層を挟持して構成された有機EL層を含む有機EL素子が提案されており、その応用研究が盛んに行われている。しかしながら、有機発光層は周囲に存在する水分および酸素の影響を受けやすく、このため有機EL素子内に水分および酸素が入り込むと、有機EL素子の発光性能が劣化するという問題がある。
このような問題を解決するため、特許文献1において、陽極と陰極との間に有機発光層を挟持して構成された有機EL層を透明性基板および封止キャップによって封止した有機EL素子が提案されている。この場合、透明性基板と封止キャップとの間に接着剤が介在されており、これによって透明性基板と封止キャップとが接着されている。
特開2001−35659号公報
しかしながら、特許文献1に記載の有機EL素子において、透明性基板と封止キャップとを強固に接着するためには、接着剤の厚さを数十μm程度にする必要があると想定される。この場合、厚さ数十μmの接着剤が外気に触れているため、水分および酸素が接着剤を透過して有機EL素子内に入り込み、これによって有機EL素子の発光性能が劣化することが考えられる。
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、高い封止性能を有する有機EL素子を提供することを目的とする。また本発明は、有機EL素子に用いるキャップ基材、およびキャップ基材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明による第1の有機EL素子は、ガラス基板と、ガラス基板上に設けられ、陽極と、陰極と、陽極と陰極の間に設けられた有機発光層とを有する有機EL層と、ガラス基板上に設けられ、有機EL層を収納するキャビティを形成するとともに、天板と周縁枠体とを有するキャップ基材とを備え、キャップ基材の周縁枠体とガラス基板との間に接着剤を介在させ、キャップ基材の周縁枠体のうちガラス基板との当接面に、周縁枠体全周に延びて接着剤を収納する接着剤用の収納溝を形成したことを特徴とする。
本発明による第1の有機EL素子において、前記収納溝の幅は、好ましくは1μm以上であり、前記収納溝の深さは、好ましくは1μm以上かつ30μm以下であり、前記キャップ基材の周縁枠体と前記ガラス基板との間に介在された接着剤の厚さは、好ましくは6μm以下である。
本発明による第1の有機EL素子に用いるキャップ基材の製造方法は、キャップ基材用素材を準備する工程と、キャップ基材用素材にキャビティを形成して、天板と周縁枠体とを設ける工程と、キャップ基材用素材の周縁枠体のうち、ガラス基材との当接面に接着剤用の収納溝を形成する工程とを備えたことを特徴とする。
本発明による第1の有機EL素子に用いるキャップ基材は、天板と、周縁枠体とを備え、これによってキャビティが形成され、キャップ基材の周縁枠体のうちガラス基板との当接面に、周縁枠体全周に延びて接着剤を収納する接着剤用の収納溝を形成したことを特徴とする。
本発明による第2の有機EL素子は、ガラス基板と、ガラス基板上に設けられ、陽極と、陰極と、陽極と陰極の間に設けられた有機発光層とを有する有機EL層と、ガラス基板上に設けられ、有機EL層を収納するキャビティを形成するとともに、天板と周縁枠体とを有するキャップ基材とを備え、キャップ基材の周縁枠体とガラス基板との間に接着剤を介在させ、ガラス基板のうちキャップ基材の周縁枠体との当接面に、ガラス基板全周に延びて接着剤を収納する接着剤用の収納溝を形成したことを特徴とする。
本発明によれば、有機EL素子は、ガラス基板と、ガラス基板上に設けられ、陽極と、陰極と、陽極と陰極の間に設けられた有機発光層とを有する有機EL層と、ガラス基板上に設けられ、有機EL層を収納するキャビティを形成するとともに、天板と周縁枠体とを有するキャップ基材とを備えている。キャップ基材の周縁枠体とガラス基板との間には接着剤が介在されており、また、キャップ基材の周縁枠体のうちガラス基板との当接面には、周縁枠体全周に延びて接着剤を収納する接着剤用の収納溝が形成されている。このため、収納溝内の接着剤と周縁枠体内面との間の接着面積を増加させるとともに、収納溝内に所定量の接着剤を確保することができる。このため、キャップ基材の周縁枠体に収納溝が形成されていない場合に比べて、ガラス基板とキャップ基材との間の強固な接着を保ちながら、接着剤の厚さを薄くすることができる。このことにより、接着剤を透過して有機EL素子内に入り込む水分および酸素を低減することができる。
また本発明によれば、有機EL素子に用いるキャップ基材の製造方法は、キャップ基材用素材を準備する工程と、キャップ基材用素材にキャビティを形成して、天板と周縁枠体とを設ける工程と、キャップ基材用素材の周縁枠体のうち、ガラス基材との当接面に接着剤用の収納溝を形成する工程とを備えている。これによって、接着剤を収納する接着剤用の収納溝が周縁枠体に形成されたキャップ基材を容易かつ簡単に製造することができる。このキャップ基材を有機EL素子に用いることにより、接着剤を透過して有機EL素子内に入り込む水分および酸素を低減することができる。
図1は、本発明の第1の実施の形態における有機EL素子を示す縦断面図。 図2(a)は、本発明の第1の実施の形態におけるキャップ基材を示す縦断面図、図2(b)は、本発明の第1の実施の形態におけるキャップ基材を示す平面図。 図3(a)(b)(c)(d)は、本発明の第1の実施の形態において、キャップ基材を製造する工程を示す図。 図4(a)は、比較例としてのキャップ基材を示す縦断面図、図4(b)は、比較例としての有機EL素子を示す平面図。 図5(a)(b)(c)(d)は、本発明の第1の実施の変形例を示す図。 図6(a)は、本発明の第2の実施の形態におけるキャップ基材を示す縦断面図、図6(b)は、本発明の第2の実施の形態におけるキャップ基材を示す平面図。 図7(a)(b)(c)(d)は、本発明の第2の実施の形態において、キャップ基材を製造する工程を示す図。 図8は、本発明の第3の実施の形態における有機EL素子を示す縦断面図。
第1の実施の形態
以下、図1乃至図5を参照して、本発明の第1の実施の形態について説明する。まず図1により、本実施の形態における有機EL素子10全体について説明する。
有機EL素子
図1に示すように、有機EL素子10は、ガラス基板17と、ガラス基板17上に設けられ、陽極11と、陰極13と、陽極11と陰極13の間に設けられた有機発光層12とを有する有機EL層14と、ガラス基板17上に設けられ、有機EL層14を収納するキャビティ21を形成するとともに、天板23と周縁枠体22とを有するキャップ基材20とを備えている。なお本実施の形態における有機EL素子10はいわゆるボトムエミッション型であり、有機EL層14からの発光が図1に示す矢印の向きに取り出される。
また、キャップ基材20の周縁枠体22とガラス基板17との間に接着剤30が介在されており、これによってキャップ基材20とガラス基板17とが接着されている。本実施の形態において、図1に示すように、キャップ基材20の周縁枠体22のうちガラス基板17との当接面22aには、周縁枠体22全周に延びる収納溝22bが形成されている。接着剤30は、周縁枠体22とガラス基板17との間に介在されるとともに、収納溝22b内にも収納されている。
本実施の形態におけるガラス基材17は、有機EL層14を支持するとともに、有機EL層14の発光を外部に取り出すことができ、さらには外気を遮断することができるものであれば特に限定されるものではないが、光透過性、有機EL素子の安定性、耐久性等が良好なことから、ガラスや透明ポリマーであることが好ましい。
陽極11としては、例えば酸化インジウムスズ化合物(ITO)からなる透明電極が用いられており、このため、有機発光層12からの発光を外部に効率的に取り出すことができる。
一方、陰極13は、電子を注入しやすく、かつ安定性に優れた材質であれば特に限定されるものではないが、例えば、マグネシウム、銀、アルミニウム、銀とリチウムとの合金、マグネシウムと銀との合金、アルミニウムとリチウムとの合金等を使用することが好ましい。
有機発光層12としては、所定の電圧を印加することにより発光する蛍光性有機物質を含有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、キノリノール錯体、オキサゾール錯体、各種レーザー色素、ポリパラフェニレンビニレン等が挙げられる。
なお、陽極11から注入された正孔を有機発光層12に効率的に輸送するため、陽極11と有機発光層12との間に正孔輸送層(図示せず)を設けてもよい。正孔輸送層の構成材料として、例えばテトラフェニルベンジジンが挙げられる。さらに、陽極11と正孔輸送層との間に正孔注入層(図示せず)を設けてもよい。また、有機発光層12と陰極13との間に、電子注入層(図示せず)や電子輸送層(図示せず)を設けてもよい。
また図1に示すように、ガラス基板17上に設けられた有機EL層14は、水分を遮蔽するバリア膜15により覆われている。バリア膜15の材料としては、珪素、アルミニウム、亜鉛またはスズの酸化物または酸窒化物等が挙げられる。しかしながら有機EL層14を覆うバリア膜15は、必ずしも設けなくてもよい。
さらに図1に示すように、キャップ基材20の内面に、有機EL素子10内の水蒸気を吸着する乾燥剤16が設けられている。乾燥剤16の材料としては、バリウムまたはカルシウムの酸化物等が挙げられる。しかしながらキャップ基材20の内面の乾燥剤16は、必ずしも設けなくてもよい。
キャップ基材
次に図1および図2(a)(b)を参照して、本実施の形態におけるキャップ基材20および接着剤30について詳述する。はじめに、キャップ基材20および接着剤30の材料について説明する。
キャップ基材20の材料は、水分および酸素を効率的に遮断することができる限り特に限定されるものではない。ただし、キャビティ21および収納溝22bを形成する際の加工性、接着剤30との接着性、有機EL素子14の安定性や耐久性等を考慮すると、ガラスやポリマー等を使用することが好ましい。
接着剤30としては、キャップ基材20とガラス基板17とを良好に接着させる機能を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、塩化ビニル系樹脂、フェノール系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂等の一種単独または二種以上の組合わせからなる接着機能を有する樹脂等を使用することが好ましい。
次に図2(a)(b)を参照して、キャップ基材20の構造について説明する。上述のように、キャップ基材20は天板23と周縁枠体22とからなり、キャップ基材20には有機EL層14を収納するキャビティ21が形成されている。また周縁枠体22のうちガラス基板17との当接面22aには、周縁枠体22全周に延びる収納溝22bが形成されている。
図2(a)に示すように、周縁枠体22の高さをb、収納溝22bの深さをa、接着剤30の厚さをeとする。この場合、収納溝22bの深さaは、好ましくは1μm以上であり、さらに好ましくは1μm以上かつ30μm以下である。周縁枠体22の高さbは、収納溝22bの深さa以上かつ300μm以下であることが好ましい。接着剤30の厚さeは、好ましくは30μm以下であり、さらに好ましくは6μm以下である。
また図2(a)に示すように、周縁枠体22の幅をd、収納溝22bの幅をcとする。この場合、収納溝22bの幅cは、1μm以上であることが好ましい。
キャップ基材20を上述の構造とすることにより、収納溝22b内の接着剤30と周縁枠体22内面との間の接着面積を増加させるとともに、収納溝22b内に所定量の接着剤30を確保することができる。このため、キャップ基材20の周縁枠体22に収納溝22bが形成されていない場合に比べて、接着剤30のうち外気側およびキャビティ21側に露出している部分の厚さを薄くするとともに、キャップ基材20とガラス基板17との間に介在される接着剤30の量を所定量確保することができる。このことにより、所望の接着性および弾性を接着剤30に持たせたまま、接着剤30を透過して有機EL素子10内に入り込む水分および酸素を低減することができる。
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。ここでは、キャップ基材20および有機EL素子10の製造方法について説明する。
キャップ基材製造方法
まず図3(a)(b)(c)(d)を参照して、サンドブラストによりキャップ基材20を製造する方法について説明する。はじめに、図3(a)に示すように、キャップ基材用素材26を準備する。このキャップ基材用素材26は、10cm×10cmの幅を有するガラスからなる。
次に、図3(b)に示すように、キャップ基材用素材26にサンドブラストへの耐性を有する耐ブラストレジスト31を設ける。その後、キャップ基材20のキャビティ21および収納溝22bに対応するパターンが形成されたマスク(図示ぜず)を耐ブラストレジスト31上に載せ、そして露光および現像を行う。これによって、図3(c)に示すように、キャビティ21に対応する開口部31a、および収納溝22bに対応する開口部31bが形成された耐ブラストレジスト31を得ることができる。なお図3(c)に示す耐ブラストレジスト31において、キャビティ21に対応する開口部31aの幅は2cmであり、収納溝22bに対応する開口部31bの幅は5μmである。
次に、サンドブラストにより、キャップ基材用素材26のうち耐ブラストレジスト31の開口部31a、31bに対応する部分を削り取る。これによって、図3(d)に示すように、キャビティ21および収納溝22bが形成される。その後、耐ブラストレジスト31を除去することにより、キャビティ21および収納溝22bが形成されたキャップ基材20を得ることができる。この場合、得られるキャビティ21および収納溝22bの形状は略矩形である。なお図3(d)に示すキャップ基材20において、キャビティ21の深さは50μmであり、収納溝22bの深さは5μmである。
なお、キャビティ21の深さと収納溝22bの深さを異ならせるため、サンドブラストによりキャップ基材用素材26を削り取る際、例えば、開口部31aに対応する部分における加工強度または加工時間と、開口部31bに対応する部分における加工強度または加工時間を異ならせてもよい。または、開口部31aに対応する部分と開口部31bに対応する部分とを同一強度で同一時間加工し、次に、開口部31bに対応する部分を耐ブラストレジスト31により覆い、その後、開口部31aに対応する部分をさらにサンドブラストにより加工してもよい。
有機EL素子製造方法
上述のようにしてキャップ基材20を製造した後、有機EL層14およびバリア膜15が設けられたガラス基板17を準備する。また、キャップ基材20の内面側に乾燥剤16を設ける。次に、周縁枠体22の収納溝22b内に接着剤30を充填し、そして周縁枠体22のうちガラス基板17との当接面22aに接着剤30を塗布した後、ガラス基板17とキャップ基材20とを接着する。このようにして、図1に示す有機EL素子10を得ることができる。この場合、周縁枠体22の当接面22aとガラス基板17との間に介在する接着剤30の厚さは3μmである。
このように本実施の形態によれば、キャップ基材20の周縁枠体22のうちガラス基板17との当接面22aには、周縁枠体22全周に延びて接着剤30を収納する接着剤30用の収納溝22bが形成されている。このため、収納溝22b内の接着剤30と周縁枠体22内面との間の接着面積を増加させるとともに、収納溝22b内に所定量の接着剤30を確保することができる。このため、キャップ基材20の周縁枠体22に収納溝22bが形成されていない場合に比べて、ガラス基板17とキャップ基材20との間の強固な接着を保ちながら、接着剤30の厚さを薄くすることができる。このことにより、接着剤30を透過して有機EL素子10内に入り込む水分および酸素を低減することができる。
また本実施の形態によれば、キャップ基材20の周縁枠体22において、収納溝22bの深さaは、好ましくは1μm以上であり、さらに好ましくは1μm以上かつ30μm以下であり、例えば5μmである。また収納溝22bの幅は、好ましくは1μm以上であり、例えば5μmである。また、キャップ基材20の周縁枠体22とガラス基板17との間に介在された接着剤30の厚さは、好ましくは30μm以下であり、さらに好ましくは6μm以下であり、例えば3μmである。このことにより、ガラス基板17とキャップ基材20との間の強固な接着を保ちながら、接着剤30を透過して有機EL素子10内に入り込む水分および酸素を低減することができる。
また本実施の形態によれば、はじめにキャップ基材用素材26を準備し、次にサンドブラストにより、キャップ基材用素材26にキャビティ21および接着剤30用の収納溝22bを形成する。これによって、接着剤30を収納する収納溝22bが周縁枠体22に形成されたキャップ基材20を得ることができる。このキャップ基材20を有機EL素子10に用いることにより、接着剤30を透過して有機EL素子10内に入り込む水分および酸素を低減することができる。
次に、本願発明の効果を比較例と比較して説明する。比較例として、図4(a)(b)に、周縁枠体22に収納溝22bが形成されていないキャップ基材20を示す。この場合、所望の接着性および弾性を接着剤30に持たせるため、キャップ基材20の周縁枠体22とガラス基板17との間に介在する接着剤30の厚さが60μmに設定される。このため、外気中の水分および酸素が接着剤30を透過して有機EL素子10内に入り込み、これによって有機EL素子10の発光性能が劣化することが考えられる。
これに対して本願発明によれば、上述のように、キャップ基材20の周縁枠体22のうちガラス基板17との当接面22aには、周縁枠体22全周に延びて接着剤30を収納する接着剤30用の収納溝22bが形成されている。このため、収納溝22b内の接着剤30と周縁枠体22内面との間の接着面積を増加させるとともに、収納溝22b内に所定量の接着剤30を確保することができる。このため、キャップ基材20の周縁枠体22に収納溝22bが形成されていない場合に比べて、ガラス基板17とキャップ基材20との間の強固な接着を保ちながら、接着剤30の厚さを薄くする、例えば3μmにすることができる。このことにより、接着剤30を透過して有機EL素子10内に入り込む水分および酸素を低減することができる。
なお本実施の形態において、キャップ基材20の周縁枠体22のうちガラス基板17との当接面22aに、周縁枠体22全周に延びて接着剤30を収納する接着剤30用の収納溝22bが形成された例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図1において二点鎖線で示すように、ガラス基板17のうちキャップ基材20の周縁枠体22との当接面17aに、ガラス基板17全周に延びて接着剤30を収納する接着剤30用の収納溝17bを形成してもよい。若しくは、周縁枠体22の収納溝22bとガラス基板17の収納溝17bを両方形成してもよい。これによって、ガラス基板17とキャップ基材20との間の強固な接着を保ちながら、接着剤30の厚さを薄くするでき、このことにより、接着剤30を透過して有機EL素子10内に入り込む水分および酸素を低減することができる。
また本実施の形態において、キャップ基材20の周縁枠体22のうちガラス基板17との当接面22aに、略矩形の形状を有する接着剤30用の収納溝22bが形成された例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図5(a)に示すように、周縁枠体22に、上方に向って先細となる先細状の形状を有する収納溝22bを形成してもよい。若しくは図5(c)に示すように、上部に丸みを帯びた形状を有する収納溝22bを形成してもよい。
また本実施の形態において、キャップ基材20の周縁枠体22のうちガラス基板17との当接面22aに、周縁枠体22全周に延びて接着剤30を収納する接着剤30用の収納溝22bが1重に形成された例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図5(b)または図5(d)に示すように、周縁枠体22に、周縁枠体22全周に延びて接着剤30を収納する接着剤30用の収納溝22bを2重に形成してもよく、若しくは3重以上形成してもよい。
第2の実施の形態
次に図6および図7を参照して、本発明の第2の実施の形態について説明する。ここで図6(a)は、本発明の第2の実施の形態におけるキャップ基材を示す縦断面図であり、図6(b)は、本発明の第2の実施の形態におけるキャップ基材を示す平面図である。図7(a)(b)(c)(d)は、本発明の第2の実施の形態において、キャップ基材を製造する工程を示す図である。
図6および図7に示す第2の実施の形態は、ウェットエッチングによりキャップ基材用素材にキャビティおよび接着剤用の収納溝を形成する点が異なるのみであり、他の構成は、図1乃至図5に示す第1の実施の形態と略同一である。図6および図7に示す第2の実施の形態において、図1乃至図5に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
キャップ基材
図6(a)(b)を参照して、本実施の形態におけるキャップ基材20および接着剤30について詳述する。
図6(a)に示すように、キャップ基材20は天板23と周縁枠体22とからなり、キャップ基材20には有機EL層14を収納するキャビティ21が形成されている。また周縁枠体22のうちガラス基板17との当接面22aには、周縁枠体22全周に延びる収納溝22bが形成されている。図6(a)に示すように、本実施の形態におけるキャビティ21および収納溝22bは、上部に丸みを帯びた形状を有している。
図6(a)に示すように、周縁枠体22の最大高さをb、収納溝22bの最大深さをa、接着剤30の厚さをeとする。この場合、収納溝22bの最大深さaは、好ましくは1μm以上であり、さらに好ましくは1μm以上かつ30μm以下である。周縁枠体22の最大高さbは、収納溝22bの最大深さa以上かつ300μm以下であることが好ましい。接着剤30の厚さeは、好ましくは30μm以下であり、さらに好ましくは6μm以下である。
また図6(a)に示すように、周縁枠体22の最大幅をd、収納溝22bの最大幅をcとする。この場合、収納溝22bの最大幅cは、1μm以上であることが好ましい。
キャップ基材20を上述の構造とすることにより、収納溝22b内の接着剤30と周縁枠体22内面との間の接着面積を増加させるとともに、収納溝22b内に所定量の接着剤30を確保することができる。このため、キャップ基材20の周縁枠体22に収納溝22bが形成されていない場合に比べて、接着剤30のうち外気側およびキャビティ21側に露出している部分の厚さを薄くするとともに、キャップ基材20とガラス基板17との間に介在される接着剤30の量を所定量確保することができる。このことにより、所望の接着性および弾性を接着剤30に持たせたまま、接着剤30を透過して有機EL素子10内に入り込む水分および酸素を低減することができる。
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。ここでは、キャップ基材20の製造方法について説明する。
キャップ基材製造方法
図7(a)(b)(c)(d)を参照して、フッ酸によるウェットエッチングによりキャップ基材20を製造する方法について説明する。はじめに、図7(a)に示すように、キャップ基材用素材26を準備する。このキャップ基材用素材26は、10cm×10cmの幅を有するガラスからなる。
次に、図7(b)に示すように、キャップ基材用素材26にフッ酸への耐性を有する耐フッ酸レジスト32を設ける。その後、キャップ基材20のキャビティ21および収納溝22bに対応するパターンが形成されたマスク(図示ぜず)を耐フッ酸レジスト32上に載せ、そして露光および現像を行う。これによって、図7(c)に示すように、キャビティ21に対応する開口部32a、および収納溝22bに対応する開口部32bが形成された耐フッ酸レジスト32を得ることができる。なお図7(c)に示す耐フッ酸レジスト32において、キャビティ21に対応する開口部32aの幅は2cmであり、収納溝22bに対応する開口部32bの幅は5μmである。
次に、フッ酸によるウェットエッチングにより、キャップ基材用素材26のうち耐フッ酸レジスト32の開口部32a、32bに対応する部分を溶解させる。これによって、図7(d)に示すようにキャビティ21および収納溝22bが形成される。その後、耐フッ酸レジスト32を除去することにより、キャビティ21および収納溝22bが形成されたキャップ基材20を得ることができる。この場合、得られるキャビティ21および収納溝22bの形状は丸みを帯びている。なお図7(d)に示すキャップ基材20において、キャビティ21の最大深さは50μmであり、収納溝22bの最大深さは5μmである。
なお、キャビティ21の最大深さと収納溝22bの最大深さを異ならせるため、ウェットエッチングによりキャップ基材用素材26を溶解させる際、例えば、開口部32aに対応する部分と開口部32bに対応する部分とを所定時間の間ウェットエッチングにより加工し、次に、開口部32bに対応する部分を耐フッ酸レジスト32により覆い、その後、開口部32aに対応する部分をさらにウェットエッチングにより加工してもよい。
このように本実施の形態によれば、はじめにキャップ基材用素材26を準備し、次にウェットエッチングにより、キャップ基材用素材26にキャビティ21および接着剤30用の収納溝22bを形成する。これによって、接着剤30を収納する収納溝22bが周縁枠体22に形成されたキャップ基材20を得ることができる。このキャップ基材20を有機EL素子10に用いることにより、接着剤30を透過して有機EL素子10内に入り込む水分および酸素を低減することができる。
なお本実施の形態において、ウェットエッチングによりキャップ基材用素材26にキャビティ21および接着剤30用の収納溝22bが形成された例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、サンドブラストとウェットエッチングを適宜組み合わせてキャップ基材用素材26にキャビティ21および接着剤30用の収納溝22bを形成してもよい。または、その他の加工方法によりキャップ基材用素材26にキャビティ21および接着剤30用の収納溝22bを形成してもよい。
第3の実施の形態
次に図8を参照して、本発明の第3の実施の形態について説明する。ここで図8は、本発明の第3の実施の形態における有機EL素子を示す縦断面図である。
図8に示す第3の実施の形態は、有機EL素子がいわゆるトップエミッション型である点が異なるのみであり、他の構成は、図1乃至図5に示す第1の実施の形態と略同一である。図8に示す第3の実施の形態において、図1乃至図5に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
有機EL素子
図8に示すように、有機EL素子10は、ガラス基板17と、ガラス基板17上に設けられ、陽極41と、陰極43と、陽極41と陰極43の間に設けられた有機発光層12とを有する有機EL層44と、ガラス基板17上に設けられ、有機EL層14を収納するキャビティ21を形成するとともに、天板23と周縁枠体22とを有するキャップ基材20とを備えている。なお本実施の形態における有機EL素子10はいわゆるトップエミッション型であり、有機EL層44からの発光が図8に示す矢印の向きに取り出される。
また、キャップ基材20の周縁枠体22とガラス基板17との間に接着剤30が介在されており、これによってキャップ基材20とガラス基板17とが接着されている。本実施の形態において、図8に示すように、キャップ基材20の周縁枠体22のうちガラス基板17との当接面22aには、周縁枠体22全周に延びる収納溝22bが形成されている。接着剤30は、周縁枠体22とガラス基板17との間に介在されるとともに、収納溝22b内にも収納されている。
陽極41としては、効率良く正孔を注入できる材料であれば特に限定されるものではないが、例えば、アルミニウム、クロム、モリブデン、タングステン、銅、銀または金およびそれらの合金等を使用することが好ましい。
一方、陰極43は、電子を注入しやすく、かつ光透過性の良好な材料が用いられており、例えば酸化リチウム、炭酸セシウム等が用いられる。
さらに図8に示すように、キャビティ21内に、有機EL素子10内の水蒸気を吸着する乾燥剤16を設けてもよい。なお本実施の形態において、図8に示すように、有機EL層44からの発光は、有機EL層44からキャップ基材20基材に向って取り出される。従って乾燥剤16は、有機EL層44からの発光を妨害しないよう配置される。
このように本実施の形態によれば、キャップ基材20の周縁枠体22のうちガラス基板17との当接面22aには、周縁枠体22全周に延びて接着剤30を収納する接着剤30用の収納溝22bが形成されている。このため、収納溝22b内の接着剤30と周縁枠体22内面との間の接着面積を増加させるとともに、収納溝22b内に所定量の接着剤30を確保することができる。このため、キャップ基材20の周縁枠体22に収納溝22bが形成されていない場合に比べて、ガラス基板17とキャップ基材20との間の強固な接着を保ちながら、接着剤30の厚さを薄くすることができる。このことにより、トップエミッション型の有機EL素子10において、接着剤30を透過して有機EL素子10内に入り込む水分および酸素を低減することができる。
10 有機EL素子
11 陽極
12 有機発光層
13 陰極
14 有機EL層
15 バリア膜
16 乾燥剤
17 ガラス基板
17a キャップ基材の周縁枠体との当接面
17b ガラス基板の収納溝
20 キャップ基材
21 キャップ基材のキャビティ
22 キャップ基材の周縁枠体
22a ガラス基板との当接面
22b 周縁枠体の収納溝
23 キャップ基材の天板
26 キャップ基材用素材
30 接着剤
31 耐ブラストレジスト
31a 耐ブラストレジストの開口部
32 耐フッ酸レジスト
32a 耐フッ酸レジストの開口部
41 陽極
43 陰極
44 有機EL層

Claims (5)

  1. ガラス基板と、
    ガラス基板上に設けられ、陽極と、陰極と、陽極と陰極の間に設けられた有機発光層とを有する有機EL層と、
    ガラス基板上に設けられ、有機EL層を収納するキャビティを形成するとともに、天板と周縁枠体とを有するキャップ基材と、を備え、
    キャップ基材の周縁枠体とガラス基板との間に接着剤を介在させ、
    キャップ基材の周縁枠体のうちガラス基板との当接面に、周縁枠体全周に延びて接着剤を収納する接着剤用の収納溝を形成したことを特徴とする有機EL素子。
  2. 前記収納溝の幅は、1μm以上であり、
    前記収納溝の深さは、1μm以上かつ30μm以下であり、
    前記キャップ基材の周縁枠体と前記ガラス基板との間に介在された接着剤の厚さは、6μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
  3. 請求項1に記載の有機EL素子に用いるキャップ基材の製造方法において、
    キャップ基材用素材を準備する工程と、
    キャップ基材用素材にキャビティを形成して、天板と周縁枠体とを設ける工程と、
    キャップ基材用素材の周縁枠体のうち、ガラス基材との当接面に接着剤用の収納溝を形成する工程と、を備えたことを特徴とするキャップ基材の製造方法。
  4. 請求項1に記載の有機EL素子に用いるキャップ基材において、
    天板と、周縁枠体とを備え、これによってキャビティが形成され、
    キャップ基材の周縁枠体のうちガラス基板との当接面に、周縁枠体全周に延びて接着剤を収納する接着剤用の収納溝を形成したことを特徴とするキャップ基材。
  5. ガラス基板と、
    ガラス基板上に設けられ、陽極と、陰極と、陽極と陰極の間に設けられた有機発光層とを有する有機EL層と、
    ガラス基板上に設けられ、有機EL層を収納するキャビティを形成するとともに、天板と周縁枠体とを有するキャップ基材と、を備え、
    キャップ基材の周縁枠体とガラス基板との間に接着剤を介在させ、
    ガラス基板のうちキャップ基材の周縁枠体との当接面に、ガラス基板全周に延びて接着剤を収納する接着剤用の収納溝を形成したことを特徴とする有機EL素子。
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