JP2010252680A - 多糖生成能を有する新規微生物およびこれに生成される多糖 - Google Patents
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Abstract
【課題】 多糖生成能を有する新規微生物およびこれに生成される多糖、特にRhizobium属に属する新種菌株およびこれに生成される多糖を提供する。
【解決手段】 Rhizobium JW(受託番号:NITE P−736)である、多糖生成能を有する新規微生物およびこれに生成される多糖。これらによれば、β−(1→3)結合したグルカンおよび/またはβ−(1→4)結合したグルカンを有する多糖を工業的に生産することができる。
【選択図】 図3
【解決手段】 Rhizobium JW(受託番号:NITE P−736)である、多糖生成能を有する新規微生物およびこれに生成される多糖。これらによれば、β−(1→3)結合したグルカンおよび/またはβ−(1→4)結合したグルカンを有する多糖を工業的に生産することができる。
【選択図】 図3
Description
本発明は、多糖生成能を有する新規微生物およびこれに生成される多糖、特にRhizobium属に属する新種菌株およびこれに生成される多糖に関する。
多糖とは、単糖分子がグリコシド結合によって重合した糖をいい、食品としてのほか、繊維、製紙、化粧品、歯磨剤、接着剤、医療用材料などの広い範囲で利用される重要な物質群である。一般に親水性を有するが、水に不溶性のものと可溶性のものとがあり、いずれも生物により生成され、例えば、細胞壁、外骨格、エネルギー貯蔵物質、あるいは分泌物質などとして存在する。
多糖のうち、特にβ−グルカンは、マクロファージ、NK細胞、T細胞、あるいはキラーT細胞を活性化させ、免疫力や抵抗力を増強させる作用を有することが知られている。体内の免疫力や抵抗力を増強させることにより、体内に侵入した細菌や異物の排除能を高め、発病を抑制する効果を得られるとともに、アレルギー反応を鎮め、ガンなどの腫瘍を抑える効果も期待できる。さらには、血糖値の低下、利尿作用、血圧調整、血中コレステロールや中性脂肪値の低下などの効果も期待できることから、さまざまな臨床試験がなされている。
これに伴い、従来、β−グルカンをはじめとするさまざまな多糖を工業的に生産しようとする試みがなされている。すなわち、多糖を生成する新規微生物をスクリーニングして、この新規微生物に多糖を生産させる方法や、多糖を生成する微生物の培養条件を改良して多糖の生産効率を向上させる方法などの研究開発がなされている。例えば、新規微生物に多糖を生産させる方法として、特開2004−049013号公報には、β−グルカンを菌体外に分泌生産するアウレオバシジウム属の新規菌株が開示されている(特許文献1)。また、多糖を生成する微生物の培養条件を改良して多糖の生産効率を向上させる方法として、特開2008−043308号公報には、マクロホモプシスを用いたマクロホモプシスガム製造の改良法が開示されている(特許文献2)。
このように、β−グルカンをはじめとするさまざまな多糖を工業的に生産するためには、さらなる研究開発が望まれる。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであって、多糖生成能を有する新規微生物およびこれに生成される多糖、特にRhizobium属に属する新種菌株およびこれに生成される多糖を提供することを目的とする。
本発明者らは、Rhizobium属に属する新種菌株が多糖を生成することを見いだし、下記の発明を完成した。
(1)Rhizobium JW(受領番号:NITE AP−736)である、多糖生成能を有する新規微生物。
(2)新規微生物であるRhizobium JW(受領番号:NITE AP−736)より生成される、多糖。
(3)多糖がβ−(1→3)結合したグルカンおよび/またはβ−(1→4)結合したグルカンを有する多糖である、(2)に記載の多糖。
(4)多糖がグルカンである、(2)または(3)に記載の多糖。
(5)グルカンがβ−グルカンである、(4)に記載の多糖。
本発明に係る多糖生成能を有する新規微生物およびこれに生成される多糖によれば、β−(1→3)結合したグルカンおよび/またはβ−(1→4)結合したグルカンを有する多糖を工業的に生産することができる。
以下、本発明に係る多糖生成能を有する新規微生物およびこれに生成される多糖について詳細に説明する。本発明に係る多糖生成能を有する新規微生物は、Rhizobium JW(受領番号:NITE AP−736)である。
本発明において用いられる「微生物」は、「菌」、「菌株」、「微生物株」あるいは「細菌」と交換可能に用いられる。従って「新規微生物」は、例えば「新規菌株」としても表すことができる。後述の実施例に示すように、多糖を生成する能力を有し、Rhizobium属に属する公知の種に含まれない新規微生物が、発明者らにより発見された。その新規微生物は、Rhizobium JWと命名され、平成21年4月20日に独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センターに寄託され、受領番号NITE AP−736が与えられているため、この機関より入手することができる。
本発明に係る新規微生物は、国立大学法人北海道大学の農場に自生しているゴボウ実生の根圏土壌から単離されている。また本願においては、本発明に係る多糖生成能を有する新規微生物の16S rRNA遺伝子の塩基配列が開示されている(配列番号1)。従って最も簡易には、当業者であれば、この配列情報を基にして、本発明に係る新規微生物の16S rRNA遺伝子を標的とするプローブやプライマーを合成し、ゴボウあるいはその他の植物の根に付着した土壌に目的の菌が存在するかを検出し、それを単離することもできる。特にその16S rRNA遺伝子をPCR法により特異的に増幅し、定量することもできる。
さらに、例えば、保存性の高いrRNA領域を増幅して得られる核酸混合物を変性剤濃度勾配ゲル電気泳動法(DGGE法)により分離して、分離した核酸の配列を決定し濃度を測定することにより、その試料中の、同一試料中に存在する同種ないし近縁の微生物群における各種微生物の存在比を示す菌相構造を知ることも可能である。すなわち、本発明において「16S rRNA遺伝子を標的とする検出」に言及する場合は、16S rRNA遺伝子のプローブを用いた検出のほか、16S rRNA遺伝子を鋳型としたPCRなど、当該遺伝子の存在を知るためのあらゆる検出法が含まれる。
また、本発明に係る新規微生物には、Rhizobium JWのほか、自然にもしくは人工的手段によって変異させて得られる変異株および子孫であっても、Rhizobium JWを有するものはすべて本発明に係る微生物に包含される。
本発明に係る新規微生物の培養には、特に限定されず、当業者によって適宜選択することができる培地や緩衝液を用いることができる。そのような培地としては、例えば、MEM(Eagle’s Minimum Essential Medium)、DMEM(Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium)、IMDM (Iscove’s Modified Dulbecco’s Medium)、RPMI1640 、AIM−V、ADC、LPM、Ham’s F10、Ham’sF12、DCCM1、DCCM2、BGJ、BME(Basal Medium Eagle)、GMEM(Glasgow’s Modified Eagle’s Medium)、L−15(Leibovitz−15)、McCoy5A、M199、Fisher、Schneider、MW(Modified Winogradsky’s nitrogen−free mineral medium)、MW寒天平板培地などを挙げることができる。さらに、必要に応じて、公知の構成の培地成分や、アール平衡塩溶液、ハンクス平衡塩溶液、ダルベッコPBS、スピナー塩溶液などの公知の平衡塩類組成成分、種々の細胞増殖因子、抗生物質、ビタミン類、ホルモン類、pH調整剤、血清、その他生物由来成分などを加えることができる。また、緩衝液としては、例えば、4−(2−hydroxyethyl)−piperazine−1−ethansulfonicacid(HEPES)緩衝液、ウシ胎児血清(FBS)、ゼラチン水溶液、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)などを挙げることができる。
また、本発明において用いる培地の組成を適宜変更して、本発明に係る新規微生物の増殖や多糖生成についての至適条件を検討することができる。例えば、培地に含まれる炭素源や窒素源を適宜変更することにより、これら至適条件を検討することができ、このような炭素源としては、例えば、ショ糖、ブドウ糖、乳糖、デキストラン、麦芽糖、果糖などを挙げることができ、窒素源としては、例えば、酵母エキス、トリプトン、尿素、硝酸ナトリウムなどを挙げることができる。
なお、本発明において用いる培地のpHは、好ましくはpH3〜11であり、より好ましくはpH4〜9であり、さらに好ましくはpH5またはpH8である。
次に、本発明に係る多糖は、新規微生物であるRhizobium JW(受領番号:NITE AP−736)より生成される。
すなわち、本発明に係る多糖は、新規微生物であるRhizobium JWが生産するという点で特徴があるが、この多糖は、β−(1→3)結合したグルカンおよび/またはβ−(1→4)結合したグルカンを有しており、この多糖自体がグルカンである場合や、さらにはβ−グルカンである場合があることから、新規な多糖たり得る。
本発明に係る多糖の構造解析は特に限定されず、当業者によって適宜選択することができる方法や試薬、装置などを用いることができるが、例えば、塩酸、硫酸、フルオロ酢酸などの各種酸や、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、グルコアミラーゼ、デキストラナーゼ、アミロプルラナーゼ、β−グルカナーゼ、セルラーゼ(エンドグルカナーゼ、エキソグルカナーゼ)、ヘミセルラーゼ、アラバナーゼ、ペクチナーゼ、フィターゼ、キシラナーゼなどの各種加水分解酵素を用いて加水分解し、得られた加水分解物を薄層クロマトグラフィー(Thin−Layer Chromatography;TLC)などの各種クロマトグラフィーや、ガスクロマトグラフ質量分析法(Gas Chromatograph Mass Spectrometry;GC−MS)などの各種質量分析法を用いて、構成する単糖やオリゴ糖あるいはそれらの結合などを解析することができる。また、核磁気共鳴分光法(Nuclear Magnetic Resonance Spectroscopy;NMR)などを用いて、この多糖の構造を解析することができる。
本発明に係る多糖の分子量の測定は特に限定されず、当業者によって適宜選択することができる方法や試薬、装置などを用いることができるが、例えば、ゲルろ過クロマトグラフィー法を用いて測定することができる。ゲルろ過クロマトグラフィー法による測定は常法に従って行えばよく、特に限定されるものではないが、例えば、J.C.Moore、J. Polym.Sci.、1964年,第2巻,第835−843頁などを参照することができる。
本発明に係る多糖の粘度の測定は特に限定されず、当業者によって適宜選択することができる方法や試薬、装置などを用いることができるが、例えば、B型粘度計を用いて測定することができる。B型粘度計を用いた測定のとしては、例えば、25℃に調整したスリープに本発明に係る多糖の水溶液を適量充填し、5分間静置した後、適当な回転数で20秒間測定を行うことにより粘度を測定することができる。
本発明に係る多糖の用途は、適宜選択することができ、例えば、医薬組成物、食品添加物、皮膚外用剤などの用途に適用し得る。
医薬組成物として用いられる場合、その製剤化には公知の方法を用いることができる。また、投与形態は適宜選択することができ、そのような投与形態としては、例えば、経口投与製剤として調製する場合は、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、コーティング剤、液剤、懸濁剤などの形態を挙げることができ、非経口投与製剤にする場合には、注射剤、点滴剤、座薬などの形態を挙げることができる。また、その投与量は、医薬組成物の製剤形態、投与方法、使用目的およびこれに適用される投与対象の年齢、体重、症状によって適宜設定することができる。
食品添加物として用いられる場合、その形態は適宜選択することができ、例えば、本発明に係る多糖をそのまま食品として調製したもの、他の食品に添加したもの、あるいは、カプセル、錠剤等、食品または健康食品に通常用いられる任意の形態を挙げることができる。また、食品中に配合して摂取あるいは投与する場合には、適宜、賦形剤、増量剤、結合剤、増粘剤、乳化剤、着色料、香料、食品添加物、調味料などと混合し、用途に応じて、粉末、顆粒、錠剤等の形に成形することができる。さらには、食品原料中に混合して食品を調製し、機能性食品として製品化することによって摂取することができる。
皮膚外用剤として用いられる場合、その剤型は適宜選択することができ、例えば、溶液系、可溶化系、乳化系、粉末分散系、水−油二層系、水−油−粉末三層系、ジェル、ミスト、スプレー、ムース、ロールオン、スティックなどの他、不織布などのシートに含浸ないし塗布した製剤などを挙げることができる。また、本発明に係る多糖に、例えば、植物油などの油脂類、ラノリンやミツロウなどのロウ類、炭化水素類、脂肪酸、高級アルコール類、エステル類、各種界面活性剤、色素、香料、ビタミン類、植物や動物の抽出成分、紫外線吸収剤、抗酸化剤、防腐剤、殺菌剤などの、通常の皮膚外用剤の原料として使用されているものを適宜配合し、皮膚外用剤を製造することができる。また、抗炎症性の皮膚外用剤原料であるグリチルレチン酸などの甘草抽出成分、塩酸ジフェンヒドラミン、アズレン、dl−α−トコフェロールおよびその誘導体、ビタミンB2、ビタミンB6などとともに用いることができる。
以下、本発明に係る多糖生成能を有する新規微生物およびこれに生成される多糖について、実施例に基づいて説明する。なお、本発明の技術的範囲は、これらの実施例によって示される特徴に限定されない。
本実施例で用いる無機塩溶液、ならびにこれを用いたModified Winogradsky’s nitrogen−free mineral medium(MW培地)およびModified Winogradsky’s nitrogen−free mineral medium寒天平板培地(MW寒天平板培地)の組成は、以下のとおりである。
(無機塩溶液の組成;水溶液1L中)pH7.2
リン酸二水素カリウム 50g
硫酸マグネシウム七水和物 25g
塩化ナトリウム 25g
硫酸鉄七水和物 1g
四酸化モリブデン二ナトリウム二水和物 1g
硫酸マンガン四水和物 1g
この無機塩溶液を1mol/L水酸化ナトリウムでpHを7.2に合わせた。また、無機塩溶液は常温保存可能であるが、無機塩が非常に溶解しづらいので、使用時に再混合した。
リン酸二水素カリウム 50g
硫酸マグネシウム七水和物 25g
塩化ナトリウム 25g
硫酸鉄七水和物 1g
四酸化モリブデン二ナトリウム二水和物 1g
硫酸マンガン四水和物 1g
この無機塩溶液を1mol/L水酸化ナトリウムでpHを7.2に合わせた。また、無機塩溶液は常温保存可能であるが、無機塩が非常に溶解しづらいので、使用時に再混合した。
(MW培地の組成;培地1005mL中)pH6.2
無機塩溶液 5mL
炭酸カルシウム 100mg
酵母エキス 50mg
ショ糖 10g
調製した無機塩溶液をイオン交換水に加えて超音波処理を行い、塩を溶解させた後、炭酸カルシウム、ショ糖および酵母エキスを加えて溶解させた。次いで、0.45μmのPTFE膜(OMNIPORE;ミリポア社)で濾過を行った。濾過した培地を2mol/L硫酸でpHを6.2に合わせた後、121℃で15分間オートクレーブにかけて殺菌した。
無機塩溶液 5mL
炭酸カルシウム 100mg
酵母エキス 50mg
ショ糖 10g
調製した無機塩溶液をイオン交換水に加えて超音波処理を行い、塩を溶解させた後、炭酸カルシウム、ショ糖および酵母エキスを加えて溶解させた。次いで、0.45μmのPTFE膜(OMNIPORE;ミリポア社)で濾過を行った。濾過した培地を2mol/L硫酸でpHを6.2に合わせた後、121℃で15分間オートクレーブにかけて殺菌した。
(MW寒天平板培地の組成;培地1L中)pH7
MW培地 1L
寒天 15g
オートクレーブにかける前のMW培地に寒天を加え、121℃で15分間オートクレーブにかけて殺菌した。その後シャーレに流し入れて冷まし、MW寒天平板培地を作製した。
MW培地 1L
寒天 15g
オートクレーブにかける前のMW培地に寒天を加え、121℃で15分間オートクレーブにかけて殺菌した。その後シャーレに流し入れて冷まし、MW寒天平板培地を作製した。
<実施例1>新規菌株の同定
本発明者らは、国立大学法人北海道大学の農場に生育しているゴボウの根に付着した土壌から、以下の方法にて新規菌株を単離し、同定した。
本発明者らは、国立大学法人北海道大学の農場に生育しているゴボウの根に付着した土壌から、以下の方法にて新規菌株を単離し、同定した。
(1)菌株の単離
国立大学法人北海道大学の農場に自生しているゴボウ実生の根に付着した土壌をサンプルとして採取し、これを根ごと滅菌水10mLに入れ、常温下でボルテックスミキサー(サイエンティフィックインダストリーズ社)により1分間攪拌した後、10分間静置した。次いで、この操作により得た上清100μLをMW寒天平板培地(pH7)に播き、コンラージ棒で塗布した後、25℃で4日間培養した。出現したコロニーのうち、周囲に粘着性物質の生成が確認されるポリマー形成の良好な菌株を目視により選抜して白金耳で拾った。これをnutrient agar培地(Oxoid社)上に画線し、25℃で2日間培養することを、単一のコロニーになるまで繰り返して、菌株を単離した。単離した菌株をMW培地5mLに植菌し、25℃、100rpmの条件下で24時間振盪培養した後、得られた菌株をL−乾燥した。
(2)Rhizobium JWの同定
本実施例(1)でL−乾燥した菌株を株式会社テクノスルガ・ラボにおいてnutrient agar培地(Oxoid社)に画線し、30℃にて24時間培養した。得られた菌株について、16S rRNA遺伝子塩基配列解析および菌学的性状試験を行い、帰属分類群の推定を行った。
本実施例(1)でL−乾燥した菌株を株式会社テクノスルガ・ラボにおいてnutrient agar培地(Oxoid社)に画線し、30℃にて24時間培養した。得られた菌株について、16S rRNA遺伝子塩基配列解析および菌学的性状試験を行い、帰属分類群の推定を行った。
[2−1]16S rRNA遺伝子の塩基配列解析
まず、InstaGene Matrix(BIO−RAD社)を用いて添付の使用書に従い、菌株のゲノムDNAを抽出した。この抽出したゲノムDNAをテンプレートとして、PrimeSTAR HS DNA Polymerase(タカラバイオ社)を用い、添付の使用書に従って、16S rRNA遺伝子のPCR増幅を行った。
まず、InstaGene Matrix(BIO−RAD社)を用いて添付の使用書に従い、菌株のゲノムDNAを抽出した。この抽出したゲノムDNAをテンプレートとして、PrimeSTAR HS DNA Polymerase(タカラバイオ社)を用い、添付の使用書に従って、16S rRNA遺伝子のPCR増幅を行った。
次に、この増幅した遺伝子の塩基配列を、ABI 3130xl ジェネティックアナライザー(Applied Biosystems社)およびBigDye Terminator v3.1 Cycle Sequencing Kit(Applied Biosystems社)を用いて、添付の使用書に従ってシークエンスを行った。得られたシークエンスデータについて、ChromasPro 1.4(Technelysium Pty Ltd.社)を用いて塩基配列決定を行った。その塩基配列を配列番号1に示す。
次に、配列番号1に示す本実施例(2)[2−1]の塩基配列について、アポロン2.0(テクノスルガ・ラボ社)を用いて、細菌基準株データベース(アポロンDB−BA Ver4.0;テクノスルガ・ラボ社)および国際塩基配列データベース(GenBank、DDBJおよびEMBL)上の既知遺伝子と比較し、相同性検索を行った(S.F.Altschulら、Gapped BLAST and PSI−BLAST;a new generation of protein database search programs、Nucleic Acids Res. 、1997年、第25号、第3389頁)。
さらに、配列番号1に示す本実施例(2)[2−1]の塩基配列について、細菌基準株データベース(アポロンDB−BA Ver4.0;テクノスルガ・ラボ社)における相同性検索上位15株の16S rRNA遺伝子に対して、アポロン2.0(テクノスルガ・ラボ社)を用いて簡易分子系統解析を行った(N.SAITOUら、The neighbor−joining method;a new method forreconstructing phylogenetic trees、Mol.Biol.Evol.、1987年、第4号、第406頁)。
細菌基準株データベース(アポロンDB−BA Ver4.0;テクノスルガ・ラボ社)における相同性検索の結果、配列番号1の塩基配列は、最も相同性の高い塩基配列として、Rhizobium radiobacter ATCC19358株の16S rRNA遺伝子のものと99.4%の相同性を示した。一方、国際塩基配列データベース(GenBank、DDBJおよびEMBL)における相同性検索の結果、配列番号1の塩基配列は、最も相同性の高い塩基配列として、Agrobacterium tumefaciensの16S rRNA遺伝子のものと100%の相同性を示した。Agrobacterium tumefaciensは現在、Rhizobium radiobacterに移籍統合されていることから、細菌基準株データベース(アポロンDB−BA Ver4.0;テクノスルガ・ラボ社)における相同性検索の結果と国際塩基配列データベース(GenBank、DDBJおよびEMBL)における相同性検索の結果は、いずれもこの菌株がRhizobium radiobacterと近縁であることを示唆している。
さらに、16S rRNA遺伝子をもちいた簡易分子系統解析の結果、この菌株はRhizobium属の16S rRNA遺伝子で形成される系統群において、Rhizobium radiobacterの16S rRNA遺伝子とクラスターを形成することから、16S rRNA遺伝子の塩基配列上、近縁であることが示された。
[2−2]菌学的性状試験
次に、この単離した菌株について、株式会社テクノスルガ・ラボにおいて菌学的性状試験を行った。その結果は次のとおりである。
1)形態学的性状
nutrient agar培地(Oxoid社)上、30℃
1.細胞形態 桿状
2.細胞の大きさ 0.6〜0.7×1.2〜1.5μm
3.運動性 あり
4.グラム染色 陰性
5.コロニー形態
5−1.培地 nutrient agar培地
5−2.培養時間 24時間
5−3.直径 1.0〜2.0mm
5−4.色調 淡黄色
5−5.形 円形
5−6.隆起状態 レンズ状
5−7.周縁 全縁
5−8.表面の形状など スムーズ
5−9.透明度 不透明
5−10.粘調度 バター状
2)生理学的性状
1.生育温度試験
1−1.37℃ +
1−2.45℃ −
2.カタラーゼ +
3.オキシダーゼ +
4.グルコースからの酸生成 −
5.グルコースからのガス生成 −
6.O/Fテスト(酸化) +
7.O/Fテスト(発酵) −
8.硝酸塩の還元 +
9.インドール生成 +
10.グルコースの酸性化 −
11.アルギニンジヒドロラーゼ −
12.ウレアーゼ +
13.エスクリン加水分解 +
14.ゼラチン加水分解 −
15.β−ガラクトシダーゼ +
16.2%NaCl存在下での生育 +
17.マッコンキー寒天培地での生育 +
18.キシロースからの酸生成 +
19.マンニトールからの酸生成 +
20.ラクトースからの酸生成 +(反応弱い)
21.資化性試験
21−1.グルコース +
21−2.L−アラビノース +
21−3.D−マンノース +
21−4.D−マンニトール +
21−5.N−アセチル−D−グルコサミン +
21−6.マルトース +
21−7.グリセロール +
21−8.グルコン酸カリウム +
21−9.n−カプリン酸 −
21−10.アジピン酸 −
21−11.d1−リンゴ酸 +
21−12.クエン酸ナトリウム −
21−13.酢酸フェニル −
次に、この単離した菌株について、株式会社テクノスルガ・ラボにおいて菌学的性状試験を行った。その結果は次のとおりである。
1)形態学的性状
nutrient agar培地(Oxoid社)上、30℃
1.細胞形態 桿状
2.細胞の大きさ 0.6〜0.7×1.2〜1.5μm
3.運動性 あり
4.グラム染色 陰性
5.コロニー形態
5−1.培地 nutrient agar培地
5−2.培養時間 24時間
5−3.直径 1.0〜2.0mm
5−4.色調 淡黄色
5−5.形 円形
5−6.隆起状態 レンズ状
5−7.周縁 全縁
5−8.表面の形状など スムーズ
5−9.透明度 不透明
5−10.粘調度 バター状
2)生理学的性状
1.生育温度試験
1−1.37℃ +
1−2.45℃ −
2.カタラーゼ +
3.オキシダーゼ +
4.グルコースからの酸生成 −
5.グルコースからのガス生成 −
6.O/Fテスト(酸化) +
7.O/Fテスト(発酵) −
8.硝酸塩の還元 +
9.インドール生成 +
10.グルコースの酸性化 −
11.アルギニンジヒドロラーゼ −
12.ウレアーゼ +
13.エスクリン加水分解 +
14.ゼラチン加水分解 −
15.β−ガラクトシダーゼ +
16.2%NaCl存在下での生育 +
17.マッコンキー寒天培地での生育 +
18.キシロースからの酸生成 +
19.マンニトールからの酸生成 +
20.ラクトースからの酸生成 +(反応弱い)
21.資化性試験
21−1.グルコース +
21−2.L−アラビノース +
21−3.D−マンノース +
21−4.D−マンニトール +
21−5.N−アセチル−D−グルコサミン +
21−6.マルトース +
21−7.グリセロール +
21−8.グルコン酸カリウム +
21−9.n−カプリン酸 −
21−10.アジピン酸 −
21−11.d1−リンゴ酸 +
21−12.クエン酸ナトリウム −
21−13.酢酸フェニル −
この菌株についての、本実施例(2)[2−2]の菌学的性状は、Rhizobium radiobacterの菌学的性状にほぼ一致した(坂崎利一監訳、臨床材料にみられる腸内細菌以外のグラム陰性、好気性および通性嫌気性菌の同定、近代出版、1993年、J.M.Youngら、A revision of Rhizobium Frank 1889,with an emended description of the genus,and the inclusion of all species of Agrobacterium Conn 1942 and Allorhizobium undicola de Lajudie et al.1998 as new combinations;Rhizobium radiobacter,R.rhizogenes,R. rubi,R.undicola and R.vitis、Int.J. Syst. Evol.Microbiol.、2001年、第51号、第89頁)。このことから、この菌株は、Rhizobium radiobacterと菌学的性状上、近縁であることが示された。
(3)分類学的考察
以上より、この菌株の16S rRNA遺伝子の塩基配列は、Rhizobium radiobacterの16S rRNA遺伝子の塩基配列と高い相同性を示したこと、および本菌株の菌学的性状がRhizobium radiobacterの菌学的性状とほぼ一致したことから、この菌株はRhizobium radiobacterに近縁であることが確認された。
以上より、この菌株の16S rRNA遺伝子の塩基配列は、Rhizobium radiobacterの16S rRNA遺伝子の塩基配列と高い相同性を示したこと、および本菌株の菌学的性状がRhizobium radiobacterの菌学的性状とほぼ一致したことから、この菌株はRhizobium radiobacterに近縁であることが確認された。
しかしながら、この菌株とRhizobium radiobacterの16S rRNA遺伝子の塩基配列には、図1に示すように、9塩基の相違点があり、いずれも明確に異なっていた。このことから、この菌株はRhizobium radiobacterに近縁ではあるものの、種としては異なるといえる。
以上の結果から、この菌株は新規微生物であり、これをRhizobium JWと命名し、平成21年4月20日に独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センターに受領番号NITE AP−736として寄託した。
<実施例2>Rhizobium JWの培養および多糖の生成における至適条件の検討
実施例1にて単離し同定したRhizobium JWを培養し、多糖を生成させた。この際、培地に添加する炭素源、窒素源および培地のpHを変えて、Rhizobium JWの培養および多糖の生成を試みることにより、炭素源、窒素源およびpHの違いによる菌体の増殖量および多糖生成量について比較検討した。また、菌体の増殖過程における培地のpH変化を確認した。
実施例1にて単離し同定したRhizobium JWを培養し、多糖を生成させた。この際、培地に添加する炭素源、窒素源および培地のpHを変えて、Rhizobium JWの培養および多糖の生成を試みることにより、炭素源、窒素源およびpHの違いによる菌体の増殖量および多糖生成量について比較検討した。また、菌体の増殖過程における培地のpH変化を確認した。
(1)至適炭素源の検討
培地に含まれる炭素源を変化させることにより、菌体の増殖および多糖生成に至適な炭素源を検討した。
培地に含まれる炭素源を変化させることにより、菌体の増殖および多糖生成に至適な炭素源を検討した。
[1−1]菌体の増殖量の確認
まず、国立大学法人北海道大学の農場に自生しているゴボウ実生の根に付着した土壌をサンプルとして採取し、これを根ごと滅菌水10mLに入れ、常温下でボルテックスミキサー(サイエンティフィックインダストリーズ社)により1分間攪拌した後、10分間静置した。次いで、この操作により得た上清100μLをMW寒天平板培地(pH7)に播き、コンラージ棒で塗布した後、25℃で4日間培養した。出現したコロニーのうち、周囲に粘着性物質の生成が確認されるポリマー形成の良好な菌株を目視により選抜して白金耳で拾うことにより菌株を単離した。単離した菌株をMW培地5mLに植菌し、25℃、100rpmの条件下で24時間振盪培養した。この培養液5mLのうちの3mLを、MW培地のショ糖を他の炭素源に変えて作製した培地100mLに加え、25℃、100rpmの条件下で10日間振盪培養した。前記炭素源としては、ショ糖、ブドウ糖、乳糖、デキストラン、麦芽糖および果糖をそれぞれ用いた。各培養液の濁度(吸光度600nm)を毎日測定することにより菌体の増殖量を確認した。その結果を図2に示す。
まず、国立大学法人北海道大学の農場に自生しているゴボウ実生の根に付着した土壌をサンプルとして採取し、これを根ごと滅菌水10mLに入れ、常温下でボルテックスミキサー(サイエンティフィックインダストリーズ社)により1分間攪拌した後、10分間静置した。次いで、この操作により得た上清100μLをMW寒天平板培地(pH7)に播き、コンラージ棒で塗布した後、25℃で4日間培養した。出現したコロニーのうち、周囲に粘着性物質の生成が確認されるポリマー形成の良好な菌株を目視により選抜して白金耳で拾うことにより菌株を単離した。単離した菌株をMW培地5mLに植菌し、25℃、100rpmの条件下で24時間振盪培養した。この培養液5mLのうちの3mLを、MW培地のショ糖を他の炭素源に変えて作製した培地100mLに加え、25℃、100rpmの条件下で10日間振盪培養した。前記炭素源としては、ショ糖、ブドウ糖、乳糖、デキストラン、麦芽糖および果糖をそれぞれ用いた。各培養液の濁度(吸光度600nm)を毎日測定することにより菌体の増殖量を確認した。その結果を図2に示す。
図2に示すように、ショ糖を炭素源とした場合の菌体の増殖量は、ブドウ糖、乳糖、デキストラン、麦芽糖、果糖を各々炭素源とした場合と比較して、最も多いことが確認された。
[1−2]抽出した多糖の乾燥重量の測定
次に、本実施例(1)[1−1]と同様の手法で10日間培養したそれぞれの培養液に含まれる菌体について、菌体内で生成され、かつ培養液中に分泌された多糖を抽出してその乾燥重量を測定した。その抽出方法を以下に詳述する。
次に、本実施例(1)[1−1]と同様の手法で10日間培養したそれぞれの培養液に含まれる菌体について、菌体内で生成され、かつ培養液中に分泌された多糖を抽出してその乾燥重量を測定した。その抽出方法を以下に詳述する。
本実施例(1)[1−1]で得られた粘着性の培養液100mLを70℃に15分置くことにより殺菌した。その後4℃、15000×g、20分間の条件で遠心分離を行い、細胞を含む沈殿物と多糖を含む上清100mLを分取した。
次に、細胞を含む沈殿物に滅菌水約10mLを加えて混ぜた後、4℃、15000×g、20分間の条件で遠心分離を行い、細胞を含む沈殿物と多糖を含む上清とを分けることにより洗浄を行った。この沈殿物洗浄の操作を2回行った後、細胞を含む沈殿物を除去することにより、上清約20mLを得た。
それぞれ得られた上清を合わせて約120mLとし、これに冷却されたイソプロパノールを3倍量加えて混合して4℃で24時間静置することにより、上清に含まれる多糖を沈殿させた。その後、4℃、15000×g、20分間の条件で遠心分離を行った。上清を除去して多糖を回収した後、蒸留水50mLに溶解した。この操作を2回おこなうことにより蒸留水50mLに溶解された多糖を得た。
その後、これに等量の1mol/LのNaOHを加えて混合し、4℃、10000×g、20分間の条件で遠心分離をおこなった。沈殿物を除去して上清を回収した後、中性になるまで3mol/Lの酢酸をこれに加えて多糖を沈殿させ、さらに等量のメタノールを加えて混合した。4℃、10000×g、20分間の条件で遠心分離を行った後、上清を除去して多糖を回収し、最終濃度5%となるよう蒸留水を加えて溶解した。さらに回収した多糖を精製するため、等量のメタノールを加えて多糖を沈殿させ、4℃、10000×g、20分間の条件で遠心分離を行った。再度上清を除去して多糖を回収し、蒸留水30mLを加えて溶解した。
さらに、クロロホルムと1−ブタノールとを体積比4:1となるように混合して得た溶液(Sevag溶液)を等量加えて10分間ボルテックスミキサー(サイエンティフィックインダストリーズ社)により攪拌した後、30分室温に静置した。4℃、10000×g、20分間の条件で遠心分離を行い、分離したSevag溶液を除去することによりタンパク質の除去を行った後(Staub,A.M.Removal of Proteins:Sevag Method.In:R.L.Whistler(ed.),Methods in Carbohydrate Chemistry,Vol.5,pp.5〜6.New York:Academic Press,Inc.,1965.)、1日につき3回蒸留水の交換を行うことにより2日間透析を行い、多糖を精製した。精製した多糖は凍結乾燥し、−20℃で保存した。以上のようにして抽出した、それぞれ、ショ糖、ブドウ糖、乳糖、デキストラン、麦芽糖および果糖を炭素源として培養し得られた多糖の乾燥重量を図3に示す。
図3に示すように、ショ糖を炭素源として培養し得られた多糖の乾燥重量は、ブドウ糖、乳糖、デキストラン、麦芽糖および果糖を各々炭素源とした場合と比較して、最も多いことが確認された。
本実施例(1)[1−1]および[1−2]の結果より、Rhizobium JWの培養および多糖生成の炭素源として、ショ糖が好適であることが確認された。
(2)至適ショ糖濃度の検討
次に、培地に含まれるショ糖の濃度を変化させることにより、菌体の増殖に至適なショ糖濃度を検討した。
次に、培地に含まれるショ糖の濃度を変化させることにより、菌体の増殖に至適なショ糖濃度を検討した。
まず、本実施例(1)[1−1]と同様の手法で得られた培養液3mLを、MW培地のショ糖濃度を、0.2w/v%、0.5w/v%、1.0w/v%、2.0w/v%および3.0w/v%に変えた培地100mLにそれぞれ加え、25℃、100rpmの条件下で5日間振盪培養した。各々の培養液の濁度(吸光度600nm)を毎日測定することにより菌体の増殖量を確認した。その結果を図4に示す。
図4に示すように、1.0%のショ糖を含むMW培地で培養した場合の菌体の増殖量は、重量比0.2%、0.5%、1.0%、2.0%、3.0%のショ糖をそれぞれ含むMW(培地で培養した場合と比較して、最も多いことが確認された。以上の結果より、Rhizobium JWの培養における好適なショ糖濃度は1.0%であることが確認された。
(3)至適窒素源の検討
次に、培地に含まれる窒素源を変化させることにより、菌体の増殖および多糖生成に至適な窒素源を検討した。
次に、培地に含まれる窒素源を変化させることにより、菌体の増殖および多糖生成に至適な窒素源を検討した。
[3−1]菌体の増殖量の確認
まず、本実施例(1)[1−1]と同様の手法で得られた培養液3mLを、MW培地の酵母エキスを他の窒素源に変え、その濃度を重量比0.01%として作製した培地100mLに加え、25℃、100rpmの条件下で10日間振盪培養した。前記窒素源としては、酵母エキス、トリプトン、尿素および硝酸ナトリウムをそれぞれ用いた。各培養液の濁度(吸光度600nm)を毎日測定することにより菌体の増殖量を確認した。その結果を図5に示す。
まず、本実施例(1)[1−1]と同様の手法で得られた培養液3mLを、MW培地の酵母エキスを他の窒素源に変え、その濃度を重量比0.01%として作製した培地100mLに加え、25℃、100rpmの条件下で10日間振盪培養した。前記窒素源としては、酵母エキス、トリプトン、尿素および硝酸ナトリウムをそれぞれ用いた。各培養液の濁度(吸光度600nm)を毎日測定することにより菌体の増殖量を確認した。その結果を図5に示す。
図5に示すように、尿素を窒素源とした場合の菌体の増殖量は、トリプトン、酵母エキス、硝酸ナトリウムを各々窒素源とした場合と比較して、最も多いことが確認された。
[3−2]抽出した多糖の乾燥重量の測定
本実施例(1)[1−2]と同様の手法により抽出した、それぞれ、酵母エキス、トリプトン、尿素および硝酸ナトリウムを窒素源として培養し得られた多糖の乾燥重量を図6に示す。
本実施例(1)[1−2]と同様の手法により抽出した、それぞれ、酵母エキス、トリプトン、尿素および硝酸ナトリウムを窒素源として培養し得られた多糖の乾燥重量を図6に示す。
図6に示すように、酵母エキスを窒素源として培養し得られた多糖の乾燥重量は、トリプトン、尿素および硝酸ナトリウムを各々窒素源とした場合と比較して、最も多いことが確認された。
本実施例(1)[3−1]および[3−2]の結果より、Rhizobium JWの培養における窒素源としては、尿素が好適であることが確認され、Rhizobium JWの多糖の生成における窒素源としては、酵母エキスが好適であることが確認された。
(4)至適pHの検討
次に、培地のpHを変化させることにより、菌体の増殖および多糖生成に至適なpHを検討した。
次に、培地のpHを変化させることにより、菌体の増殖および多糖生成に至適なpHを検討した。
[4−1]菌体の増殖量の確認
まず、本実施例(1)[1−1]と同様の手法で得られた培養液3mLを、MW培地に1mol/Lの水酸化ナトリウムまたは2mol/Lの硫酸を加えることによってpHをそれぞれ4、5、6、7および8に調製した培地100mLに加え、25℃、100rpmの条件下で10日間振盪培養した。各々の培養液の濁度(吸光度600nm)を毎日測定することにより菌体の増殖量を確認した。その結果を図7に示す。
まず、本実施例(1)[1−1]と同様の手法で得られた培養液3mLを、MW培地に1mol/Lの水酸化ナトリウムまたは2mol/Lの硫酸を加えることによってpHをそれぞれ4、5、6、7および8に調製した培地100mLに加え、25℃、100rpmの条件下で10日間振盪培養した。各々の培養液の濁度(吸光度600nm)を毎日測定することにより菌体の増殖量を確認した。その結果を図7に示す。
図7に示すように、培地のpHが5または8とした場合の菌体の増殖量は、培地のpHが4、6および7の場合と比較して、より多いことが確認された。
[4−2]抽出した多糖の乾燥重量の測定
本実施例(1)[1−2]と同様の手法により抽出した、それぞれ、pHを4、5、6、7および8として培養し得られた多糖の乾燥重量を図8に示す。
本実施例(1)[1−2]と同様の手法により抽出した、それぞれ、pHを4、5、6、7および8として培養し得られた多糖の乾燥重量を図8に示す。
図8に示すように、培地のpHを8として培養し得られた多糖の乾燥重量は、培地のpHを4、5、6および7として培養した場合と比較して、最も多いことが確認された。
本実施例(1)[4−1]および[4−2]の結果より、Rhizobium JWの培養および多糖の生成の培地のpHとして、pH8が好適であることが確認された。
(5)Rhizobium JWの増殖過程における培地のpH変化の確認
次に、Rhizobium JWの増殖過程における培地のpH変化を経時的に確認した。
次に、Rhizobium JWの増殖過程における培地のpH変化を経時的に確認した。
まず、本実施例(1)[1−1]と同様の手法で得られた培養液3mLを、MW培地100mLに加え、25℃、100rpmの条件下で10日間振盪培養した。培養液のpHを毎日測定することにより菌体の増殖過程における培地のpH変化を確認した。その結果を図9に示す。
図9に示すように、MW培地調製時のpHであるpH6.2が、培養2日後には約pH5.6となり、その後わずかに低下するものの、ほぼ一定であることが確認された。
<実施例3>Rhizobium JWにより生成される多糖の物性についての検討
(1)Rhizobium JWにより生成される多糖の溶解性の検討
Rhizobium JWにより生成される多糖の濃度が1mg/1mLになるように様々な溶媒に溶かし、その溶解性について検討した。前記溶媒としては、蒸留水、0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液、0.2mol/L水酸化ナトリウム溶液、0.4mol/L水酸化ナトリウム溶液、0.6mol/L水酸化ナトリウム溶液、0.8mol/L水酸化ナトリウム溶液、1.0mol/L水酸化ナトリウム溶液、メタノール、アセトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、クロロホルム、テトラヒドロフラン、エーテル、トルエンおよび酢酸エチルである。その結果を表1に示す。
(1)Rhizobium JWにより生成される多糖の溶解性の検討
Rhizobium JWにより生成される多糖の濃度が1mg/1mLになるように様々な溶媒に溶かし、その溶解性について検討した。前記溶媒としては、蒸留水、0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液、0.2mol/L水酸化ナトリウム溶液、0.4mol/L水酸化ナトリウム溶液、0.6mol/L水酸化ナトリウム溶液、0.8mol/L水酸化ナトリウム溶液、1.0mol/L水酸化ナトリウム溶液、メタノール、アセトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、クロロホルム、テトラヒドロフラン、エーテル、トルエンおよび酢酸エチルである。その結果を表1に示す。
表1に示すように、Rhizobium JWにより生成される多糖は1.0mol/L水酸化ナトリウム溶液に非常によく溶け、0.6mol/L水酸化ナトリウム溶液および0.8mol/L水酸化ナトリウム溶液によく溶けることが確認された。また、0.6mol/L水酸化ナトリウム溶液、0.8mol/L水酸化ナトリウム溶液および1.0mol/L水酸化ナトリウム溶液には劣るものの、蒸留水および0.4mol/L水酸化ナトリウム溶液に溶けることが確認された。さらに、0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液、0.2mol/L水酸化ナトリウム溶液、メタノール、アセトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、クロロホルム、テトラヒドロフラン、エーテル、トルエンおよび酢酸エチルには溶けないことが確認された。
(2)Rhizobium JWにより生成される多糖を構成する単糖の検討
Rhizobium JWにより生成される多糖をトリフルオロ酢酸により加水分解し、多糖を構成する成分について検討した。
Rhizobium JWにより生成される多糖をトリフルオロ酢酸により加水分解し、多糖を構成する成分について検討した。
Rhizobium JWにより生成される多糖3.5mgに2mol/Lのトリフルオロ酢酸1mLを加え、100℃で30分、1時間ないし2時間それぞれ反応させ、加水分解を行った。その後、加水分解物に含まれるトリフルオロ酢酸を80℃で揮発させ、数滴のエタノールを加える行程を2度繰り返すことにより、加水分解物を乾燥させた。乾燥させた加水分解物はMilliQ水(ミリポア社)0.01mLに溶解し、薄層クロマトグラフィーを用いて、加水分解物に含まれる成分を確認した。展開溶媒は85%アセトニトリルを用い、2回の多重展開を行った。指示薬はナフトールが0.03%および硫酸が5%となるようそれぞれを含むエタノール溶液をスプレー試薬として用いた。その結果を図10に示す。
図10に示すように、Rhizobium JWにより生成される多糖をトリフルオロ酢酸によって加水分解し、得られた加水分解物に含まれる成分はすべてグルコースであった。この結果より、Rhizobium JWにより生成される多糖を構成する成分はグルコースのみであること、すなわちRhizobium JWにより生成される多糖はグルカンであることが確認された。
(3)Rhizobium JWにより生成される多糖を構成するグルコースの結合形態の検討
Rhizobium JWにより生成される多糖を様々な酵素により加水分解し、多糖が有するグルコースの結合形態を検討した。
Rhizobium JWにより生成される多糖を様々な酵素により加水分解し、多糖が有するグルコースの結合形態を検討した。
[3−1]α−アミラーゼによる加水分解
Rhizobium JWにより生成される多糖2mgを1mLの蒸留水に溶解し、1820Uのα−アミラーゼを含む等量の50mmol/L酢酸ナトリウム緩衝液(pH5)を加えた。この反応溶液を20℃で30分、1時間、2時間、3時間、4時間、6時間、8時間、12時間および24時間、それぞれ反応させた後、100℃に10分間静置することにより反応を止めた。薄層クロマトグラフィーを用いて、加水分解物に含まれる成分を確認した。展開溶媒は85%アセトニトリルを用い、2回の多重展開を行った。指示薬はナフトールが0.03%および硫酸が5%となるようそれぞれを含むエタノール溶液をスプレー試薬として用いた。その結果を図11に示す。
Rhizobium JWにより生成される多糖2mgを1mLの蒸留水に溶解し、1820Uのα−アミラーゼを含む等量の50mmol/L酢酸ナトリウム緩衝液(pH5)を加えた。この反応溶液を20℃で30分、1時間、2時間、3時間、4時間、6時間、8時間、12時間および24時間、それぞれ反応させた後、100℃に10分間静置することにより反応を止めた。薄層クロマトグラフィーを用いて、加水分解物に含まれる成分を確認した。展開溶媒は85%アセトニトリルを用い、2回の多重展開を行った。指示薬はナフトールが0.03%および硫酸が5%となるようそれぞれを含むエタノール溶液をスプレー試薬として用いた。その結果を図11に示す。
図11に示すように、α−アミラーゼにより加水分解された成分は検出されず、原点の位置に分離されずに残った多糖が濃く検出された。ショ糖の位置に薄いシグナルが検出されたが、これは培地に由来するショ糖が精製不十分のため検出されたものと考えられる。このことから、Rhizobium JWにより生成される多糖は、α−アミラーゼによる加水分解を受けないことが示され、α−(1→4)結合を有さないことが確認された。
[3−2]セルラーゼによる加水分解
Rhizobium JWにより生成される多糖2mgを1mLの蒸留水に溶解し、138Uのセルラーゼを含む等量の50mmol/L酢酸ナトリウム溶液(pH5)溶液を加えた。この反応溶液を37℃で10分、30分、1時間、2時間および4時間、それぞれ反応させた後、100℃に10分間静置することにより反応を止めた。薄層クロマトグラフィーを用いて、加水分解物に含まれる成分を確認した。展開溶媒は85%アセトニトリルを用い、2回の多重展開を行った。指示薬はナフトールが0.03%および硫酸が5%となるようそれぞれを含むエタノール溶液をスプレー試薬として用いた。その結果を図12に示す。
Rhizobium JWにより生成される多糖2mgを1mLの蒸留水に溶解し、138Uのセルラーゼを含む等量の50mmol/L酢酸ナトリウム溶液(pH5)溶液を加えた。この反応溶液を37℃で10分、30分、1時間、2時間および4時間、それぞれ反応させた後、100℃に10分間静置することにより反応を止めた。薄層クロマトグラフィーを用いて、加水分解物に含まれる成分を確認した。展開溶媒は85%アセトニトリルを用い、2回の多重展開を行った。指示薬はナフトールが0.03%および硫酸が5%となるようそれぞれを含むエタノール溶液をスプレー試薬として用いた。その結果を図12に示す。
図12に示すように、セルラーゼにより加水分解された成分がグルコースを示す位置に濃いシグナルとして検出された。また、マルトースを示す位置よりやや下側と加水分解物をスポットした位置の間に薄いシグナルが多数検出されたが、これらはRhizobium JWにより生成される多糖がセルラーゼにより分解された結果生成したオリゴ糖を示すものであった。また、加水分解物をスポットした位置には、展開せずに残存した加水分解物のシグナルが濃く検出された。このことから、Rhizobium JWにより生成される多糖は、セルラーゼによる加水分解を受けてグルコースやオリゴ糖を生成することが示された。すなわち、Rhizobium JWにより生成される多糖は、β−(1→4)結合したグルカンを有することが確認された。さらに、加水分解物をスポットした位置に多糖が残存していることから、Rhizobium JWにより生成される多糖は、セルラーゼにより分解されるβ−(1→4)結合以外の結合形態を有することが示唆された。
[3−3]デキストラナーゼによる加水分解
Rhizobium JWにより生成される多糖2mgを1mLの蒸留水に溶解し、258Uのデキストラナーゼを含む等量の50mmol/L酢酸ナトリウム溶液(pH6)溶液を加えた。この反応溶液を37℃で10分、30分、1時間、2時間および4時間、それぞれ反応させた後、100℃に10分間静置することにより反応を止めた。薄層クロマトグラフィーを用いて、加水分解物に含まれる成分を確認した。展開溶媒は85%アセトニトリルを用い、2回の多重展開を行った。指示薬はナフトールが0.03%および硫酸が5%となるようそれぞれを含むエタノール溶液をスプレー試薬として用いた。その結果を図12に示す。
Rhizobium JWにより生成される多糖2mgを1mLの蒸留水に溶解し、258Uのデキストラナーゼを含む等量の50mmol/L酢酸ナトリウム溶液(pH6)溶液を加えた。この反応溶液を37℃で10分、30分、1時間、2時間および4時間、それぞれ反応させた後、100℃に10分間静置することにより反応を止めた。薄層クロマトグラフィーを用いて、加水分解物に含まれる成分を確認した。展開溶媒は85%アセトニトリルを用い、2回の多重展開を行った。指示薬はナフトールが0.03%および硫酸が5%となるようそれぞれを含むエタノール溶液をスプレー試薬として用いた。その結果を図12に示す。
図12に示すように、デキストラナーゼにより加水分解された成分は検出されず、加水分解物をスポットした位置には、展開せずに残存した加水分解物のシグナルが濃く検出された。このことから、Rhizobium JWにより生成される多糖は、デキストラナーゼによる加水分解を受ないことが示され、α−(1→6)結合を有さないことが確認された。
[3−4]ラミナリナーゼによる加水分解
Rhizobium JWにより生成される多糖2mgを1mLの蒸留水に溶解し、3.38Uのラミナリナーゼを含む等量の50mmol/Lクエン酸緩衝液(pH6.8)溶液を加えた。この反応溶液を50℃で15分、30分、1時間、3時間、6時間、18時間および24時間、それぞれ反応させた後、100℃に10分間静置することにより反応を止めた。薄層クロマトグラフィーを用いて、加水分解物に含まれる成分を確認した。展開溶媒は85%アセトニトリルを用い、2回の多重展開を行った。指示薬はナフトールが0.03%および硫酸が5%となるようそれぞれを含むエタノール溶液をスプレー試薬として用いた。その結果を図13に示す。
Rhizobium JWにより生成される多糖2mgを1mLの蒸留水に溶解し、3.38Uのラミナリナーゼを含む等量の50mmol/Lクエン酸緩衝液(pH6.8)溶液を加えた。この反応溶液を50℃で15分、30分、1時間、3時間、6時間、18時間および24時間、それぞれ反応させた後、100℃に10分間静置することにより反応を止めた。薄層クロマトグラフィーを用いて、加水分解物に含まれる成分を確認した。展開溶媒は85%アセトニトリルを用い、2回の多重展開を行った。指示薬はナフトールが0.03%および硫酸が5%となるようそれぞれを含むエタノール溶液をスプレー試薬として用いた。その結果を図13に示す。
図13に示すように、ラミナリナーゼにより加水分解された成分がグルコースを示す位置に濃いシグナルとして検出された。また、マルトースを示す位置よりやや下側に薄いシグナルが検出されたが、これらはRhizobium JWにより生成される多糖がラミナリナーゼにより分解された結果生成したオリゴ糖を示すものであった。また、加水分解物をスポットした位置には、展開せずに残存した加水分解物のシグナルが濃く検出された。このことから、Rhizobium JWにより生成される多糖は、ラミナリナーゼによる加水分解を受けてグルコースやオリゴ糖を生成することが示された。すなわち、Rhizobium JWにより生成される多糖は、β−(1→3)結合したグルカンを有することが確認された。さらに、加水分解物をスポットした位置に多糖が残存していることから、Rhizobium JWにより生成される多糖は、ラミナリナーゼにより分解されるβ−(1→3)結合以外の結合形態を有することが示唆された。
[3−5]セルラーゼおよびラミナリナーゼによる加水分解
Rhizobium JWにより生成される多糖2mgを1mLの蒸留水に溶解し、138Uのセルラーゼを含む等量の50mmol/L酢酸ナトリウム溶液(pH5)溶液と、3.38Uのラミナリナーゼを含む等量の50mmol/Lクエン酸緩衝液(pH6.8)溶液とを加えた。この反応溶液を37℃で15分、30分、1時間、3時間、6時間、18時間および24時間、それぞれ反応させた後、100℃に10分間静置することにより反応を止めた。薄層クロマトグラフィーを用いて、加水分解物に含まれる成分を確認した。展開溶媒は85%アセトニトリルを用い、2回の多重展開を行った。指示薬はナフトールが0.03%および硫酸が5%となるようそれぞれを含むエタノール溶液をスプレー試薬として用いた。その結果を図14に示す。
Rhizobium JWにより生成される多糖2mgを1mLの蒸留水に溶解し、138Uのセルラーゼを含む等量の50mmol/L酢酸ナトリウム溶液(pH5)溶液と、3.38Uのラミナリナーゼを含む等量の50mmol/Lクエン酸緩衝液(pH6.8)溶液とを加えた。この反応溶液を37℃で15分、30分、1時間、3時間、6時間、18時間および24時間、それぞれ反応させた後、100℃に10分間静置することにより反応を止めた。薄層クロマトグラフィーを用いて、加水分解物に含まれる成分を確認した。展開溶媒は85%アセトニトリルを用い、2回の多重展開を行った。指示薬はナフトールが0.03%および硫酸が5%となるようそれぞれを含むエタノール溶液をスプレー試薬として用いた。その結果を図14に示す。
図14に示すように、セルラーゼおよびラミナリナーゼにより加水分解された成分がグルコースを示す位置に濃いシグナルとして検出された。また、マルトースを示す位置よりやや下側から加水分解物をスポットした位置の間にオリゴ糖を示す薄いシグナルが検出された。さらに、加水分解物をスポットした位置には、展開せずに残存した加水分解物のシグナルが濃く検出された。このことから、Rhizobium JWにより生成される多糖は、セルラーゼおよびラミナリナーゼによる加水分解を受けてグルコースやオリゴ糖を生成することが示された。すなわち、Rhizobium JWにより生成される多糖は、β−(1→3)結合したグルカンおよび/またはβ−(1→4)結合したグルカンを有することが確認された。
また、加水分解物をスポットした位置に多糖が残存していることから、Rhizobium JWにより生成される多糖は、セルラーゼにより分解されるβ−(1→4)結合および/またはラミナリナーゼにより分解されるβ−(1→3)結合および/またはセルラーゼとラミナリナーゼの共同作用により分解される結合以外の結合形態(分岐構造が予想される)を有することが示唆された。
以上のような本実施例によれば、β−(1→3)結合したグルカンおよび/またはβ−(1→4)結合したグルカンを有する多糖を工業的に生産することができる。
なお、本発明に係る多糖生成能を有する新規微生物およびこれに生成される多糖は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することができる。
Claims (5)
- Rhizobium JW(受領番号:NITE AP−736)である、多糖生成能を有する新規微生物。
- 新規微生物であるRhizobium JW(受領番号:NITE AP−736)より生成される、多糖。
- 多糖がβ−(1→3)結合したグルカンおよび/またはβ−(1→4)結合したグルカンを有する多糖である、請求項2に記載の多糖。
- 多糖がグルカンである、請求項2または請求項3に記載の多糖。
- グルカンがβ−グルカンである、請求項4に記載の多糖。
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