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JP2010252422A - 圧電駆動装置、圧電駆動装置の制御方法および電子機器 - Google Patents

圧電駆動装置、圧電駆動装置の制御方法および電子機器 Download PDF

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JP2010252422A
JP2010252422A JP2009096246A JP2009096246A JP2010252422A JP 2010252422 A JP2010252422 A JP 2010252422A JP 2009096246 A JP2009096246 A JP 2009096246A JP 2009096246 A JP2009096246 A JP 2009096246A JP 2010252422 A JP2010252422 A JP 2010252422A
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Abstract

【課題】高効率な駆動を実現することができる圧電駆動装置、圧電駆動方法および電子機器を提供する。
【解決手段】駆動信号の周波数として縦振動と反共振動の共振周波数を有する圧電素子を備える圧電アクチュエーターを以下のように駆動制御する。先ず、駆動開始時は初期駆動制御モードで駆動を制御し、その後、被駆動体のローターが所定量駆動するまでは定常駆動制御モードに切り替えて駆動を制御する。定常駆動制御モードでは、ローターの振動状態に基づいて周波数制御される駆動信号を圧電素子に印加し、かつ、定常駆動制御モードでの駆動を終了する際にその時の駆動信号の周波数を次回駆動時の駆動周波数f0として記憶する。初期駆動制御モードでは、初めに圧電素子に駆動周波数f0よりも低い固定周波数fr1の駆動信号を印加し、その後、予め設定されたタイミングで、駆動周波数f0に固定された駆動信号を印加する。
【選択図】図7

Description

本発明は、圧電駆動装置、圧電駆動装置の制御方法および電子機器に関する。
圧電アクチュエーター(超音波モーター)は、周囲の温度や負荷等で共振周波数が変動する為、状況に応じた最適な駆動周波数に調整して駆動する必要がある。そこで、圧電アクチュエーターを周期的に動作させて使用する場合、所定範囲で駆動信号の周波数をスイープ(変化)させながら、駆動状態に応じた信号をフィードバックして周波数制御を行うことによって最適かつ確実にモーターを駆動する方式が知られている。
特許文献1では、圧電アクチュエーターを構成する圧電素子からの検出信号と駆動信号との位相差に基づいて当該圧電素子に印加する駆動信号の周波数を制御して、目標位相差から大きく外れている場合にはスイープ速度を速くし、目標位相差に近づいている場合にはスイープ速度を遅くすることにより、高効率に達するまでの時間を短縮し、確実且つ高効率な駆動を実現している。
しかしながら、前記特許文献1では、一定の初期周波数から周波数のスイープによる駆動を開始しているため、このスイープによる駆動中の電力消費を更に低減することはできない。
これを更に改善するため、例えば特許文献2に示されているように、前回駆動した時の駆動信号の周波数を記憶しておき、次回駆動する時に、この記憶した周波数からスイープを開始する制御を行うことによって、スイープ期間を短縮し余分な電力消費を削減して、より高効率な駆動を実現するものが提案されている。
国際公開番号W02004/088830 特開平6−6990号公報
しかしながら、圧電アクチュエーターの起動時の動作に着目した場合、前回駆動した時の周波数からの駆動開始は高効率化に対して決して最適とは言えないという問題点があった。
すなわち、圧電アクチュエーターの起動時は、停止状態から動き始める際の負荷が定常駆動状態での負荷と比べて大きいため、前回駆動した時の周波数で駆動を開始しても被駆動体が動き始める時の立ち上がり時間が長くなってしまい、この期間で余分な電力を消費してしまい、駆動効率が低いという問題点があった。
本発明の目的は、高効率な駆動を実現することができる圧電駆動装置、圧電駆動装置の制御方法および電子機器を提供することにある。
本発明の圧電駆動装置は、圧電素子を有しこの圧電素子への駆動信号の印加により縦振動および屈曲振動を発生する振動体を備えて前記振動体の振動を被駆動体に伝達する圧電アクチュエーターと、前記圧電素子への駆動信号の印加を制御する駆動制御手段とを備え、前記駆動制御手段は、圧電アクチュエーターの駆動開始時は初期駆動制御モードで駆動を制御し、その後、前記被駆動体が駆動を完結するまでは定常駆動制御モードに切り替えて駆動を制御し、前記定常駆動制御モードでは、前記振動体の振動状態に基づいて周波数制御される駆動信号を前記圧電素子に印加する可変周波数制御処理を行い、かつ、定常駆動制御モードでの駆動を終了する際にその時の駆動信号の周波数を次回駆動時の駆動周波数として記憶し、前記初期駆動制御モードでは、初めに前記圧電素子に前記駆動周波数よりも低い固定周波数の駆動信号を印加する低インピーダンス周波数制御処理を行い、その後、予め設定されたタイミングで、前記駆動周波数に固定された駆動信号を印加する前回駆動周波数制御処理を行うことを特徴とする。
例えば、図2で示された形状の圧電アクチュエーターに駆動信号を印加すると、当初は、振動体には、主振動である圧電素子の長手方向の振動(縦振動)のみが生じて直線運動だけとなるが、徐々にその縦振動に誘発されて副振動である直交方向の振動(屈曲振動)が励振する。
また、このような圧電素子に印加する駆動周波数とインピーダンスとの関係について説明すると、駆動周波数に対してインピーダンスが極小であって振幅が最大となる共振点が二点現れ、これらのうち周波数の低い方が縦振動の共振点、高い方が屈曲振動の共振点となる。このため、定常駆動制御モードでは、縦振動と屈曲振動の両方が励振されるように、駆動信号の周波数は、縦共振点の周波数以上で、インピーダンスが最大となる反共振点以下の周波数に設定している。例えば、駆動信号の周波数を、駆動信号および検出信号の位相差で制御する場合、前記範囲の周波数となるように、目標位相差が設定されている。上記の場合、インピーダンスは、縦振動の共振点の方が屈曲振動の共振点より低くなっている。
しかしながら、圧電アクチュエーターの駆動開始時は、振動体の振動状態も安定せず、検出信号も安定していないため、位相差に基づく周波数制御は困難である。また、前回の位相差制御時の周波数の駆動信号を印加した場合は、前述のように、停止状態の被駆動体の負荷は駆動中に比べて大きいため、駆動トルクが不足して駆動させるまでに時間が掛かり、その分、余分な電力を消費してしまう。
これに対し、本発明では、圧電アクチュエーターの駆動を開始する際に、初期駆動制御モードで圧電アクチュエーターを駆動している。そして、この初期駆動制御モードでは、最初に、圧電素子に前回駆動時の駆動周波数よりも低い固定周波数の駆動信号を印加する低インピーダンス周波数制御処理を実行する。
これにより、固定周波数の駆動信号を印加でき、位相差制御(フィードバック制御)を行う必要がないため、検出信号が安定していなくても制御できる。
また、圧電素子のインピーダンスが小さくなり、大きな電流が流れて消費電力が増大する。このため、強い駆動力を得ることができ、被駆動体の駆動時間を短縮させることができる。
さらに、本発明では、低インピーダンス周波数制御に続けて、予め設定されたタイミングで、前回駆動時の駆動周波数に固定された駆動信号を印加する前回駆動周波数制御処理に切り替えている。このため、強い駆動力が得られる反面、消費電力が増大してしまう低インピーダンス周波数制御処理を継続する場合に比べて、本発明では、消費電力を低減でき、位相差等に基づく定常駆動制御モード(フィードバック制御モード)にスムーズかつ短時間に移行することができる。
なお、前記予め設定されたタイミングとは、圧電アクチュエーターに前記低インピーダンス周波数の駆動信号が印加された後、被駆動体の駆動が開始された際、低インピーダンス周波数制御処理に比べて駆動力が低下しても、被駆動体の駆動が可能となるタイミングであればよい。このタイミング(圧電アクチュエーターの駆動開始からの経過時間)は、圧電アクチュエーターの特性などにより、予め設定することができる。なお、上記タイミングは、圧電アクチュエーターに前記低インピーダンス周波数の駆動信号を印加した時点から予め設定された時間経過時としてもよい。
そして、前回駆動周波数制御処理によって駆動が安定し、検出信号なども安定して出力されるようになれば、位相差制御等に基づくフィードバック制御による定常駆動制御モードに切り替えて制御している。
従って、本発明は、低インピーダンス周波数制御処理および前回駆動周波数制御処理を実行する初期駆動制御モードを備えているので、圧電アクチュエーターの駆動開始から定常駆動制御モードに移行するまでの立ち上がり時間を短縮できる。また、低インピーダンス周波数制御処理からいきなり定常駆動制御モードに移行するのではなく、前回駆動時の駆動周波数に固定された駆動信号を印加する前回駆動周波数制御処理を介しているので、定常駆動制御モードにおいて最適な駆動周波数に制御するまでの時間も短縮できる。
従って、圧電アクチュエーターを効率的に駆動でき、被駆動体を所定量駆動(所定位置まで駆動)させるまでの時間も短縮できて消費電力も低減できる。
初期駆動制御モードから定常駆動制御モードへの切り替えタイミングは、圧電アクチュエーターの振動状態が所定条件を満たした時とすることが出来る。この所定条件は、例えば圧電アクチュエーターの縦振動振幅や屈曲振動振幅が設定値に達することとしてもよい。より具体的には、圧電アクチュエーターの縦振動振幅検出信号又は屈曲振動振幅検出信号が設定電圧に達した時点を上記切り替えタイミングとする。また、上記切り替えタイミングは、初期駆動制御モードの駆動信号を印加し始めた時点から上記所定条件に対応する予め設定された時間が経過した時点とすることもできる。
なお、定常駆動制御モードによる駆動制御では、振動体の振動状態に基づいて最適な周波数の駆動信号を圧電素子に印加できるので、圧電アクチュエーターを高効率で駆動することができる。
前記振動体の振動状態は、代表的には振動体の駆動信号と検出信号との位相差や検出信号と他の検出信号との位相差、あるいは振動体の振幅等である。振動体の振動状態に基づいて最適な周波数の駆動信号を圧電素子に印加する周波数制御の具体例としては、振動体の振幅が所定レベル以上となった場合に、駆動信号と検出信号の位相差である検出位相差を目標位相差と比較し、検出位相差を目標位相差に合致させるように周波数制御を行う。
上記最適な駆動周波数の印加は、好適には駆動信号および検出信号の位相差を目標位相差と比較した結果に基づいて制御することによって実現できる。
本発明の圧電駆動装置は、圧電素子を有しこの圧電素子への駆動信号の印加により縦振動および屈曲振動を発生する振動体を備えて前記振動体の振動を被駆動体に伝達する圧電アクチュエーターと、前記圧電素子への駆動信号の印加を制御する駆動制御手段とを備え、前記駆動制御手段は、圧電アクチュエーターの駆動開始時は初期駆動制御モードで駆動を制御し、その後、前記被駆動体が駆動を完結するまでは定常駆動制御モードに切り替えて駆動を制御し、前記定常駆動制御モードでは、前記振動体の振動状態に基づいて周波数制御される駆動信号を前記圧電素子に印加する可変周波数制御処理を行い、かつ、定常駆動制御モードでの駆動を終了する際にその時の駆動信号の周波数を次回駆動時の駆動周波数として記憶し、前記初期駆動制御モードでは、初めに前記圧電素子に前記駆動周波数よりも高い固定周波数の駆動信号を印加する高インピーダンス周波数制御処理を行い、その後、予め設定された第1タイミングになると、前記圧電素子に前記駆動周波数よりも低い固定周波数の駆動信号を印加する低インピーダンス周波数制御処理を行い、その後、予め設定された第2タイミングになると、前記駆動周波数に固定された駆動信号を印加する前回駆動周波数制御処理を行うことを特徴とする。
本発明は、前記第1の発明に比べて、初期駆動制御モードにおける低インピーダンス周波数制御処理の前に高インピーダンス周波数制御処理を実行しているものである。
ここで、圧電アクチュエーターは、駆動信号の印加開始時には、図2の圧電アクチュエーターの振動体は前述の通り縦振動が主であり、屈曲振動が励振されて被駆動体を駆動するのに適した振動状態になるまである程度の時間が掛かる。このため、振動体が振動しても振動体の振動が被駆動体にうまく伝達されず、被駆動体が動作しない期間が存在する。この被駆動体が動作しない期間の長さは、振動体の縦振動および屈曲振動の状態によるため、駆動信号の周波数を変えてもほとんど変化しない。
そこで、本発明では、駆動開始時に、先ず、初期駆動制御モードでの高インピーダンス周波数制御処理において圧電素子に前回駆動時の駆動周波数よりも高い固定周波数の駆動信号を印加する。高インピーダンス周波数制御処理では、圧電素子のインピーダンスが大きくなるため、電流量や消費電力も低く抑えることができる。そして、この高インピーダンス周波数制御処理で、屈曲振動も励振されて被駆動体を駆動するのに適した振動状態になった時点(第1タイミング)で、低インピーダンス周波数制御処理に切り替えることで、駆動開始時から低インピーダンス周波数制御処理を継続して行う場合に比べて、消費電力を抑えつつ、被駆動体が動き出すまでの時間はほぼ同じにできる。
そして、第2のタイミングで低インピーダンス周波数制御処理から前回駆動周波数制御処理を行い、しかる後、定常駆動制御モードに移行することで、前記圧電駆動装置と同様の動作にすることができる。
従って、本発明では、前記圧電駆動装置と同様の効果を奏するだけでなく、駆動開始時に高インピーダンス周波数制御処理を組み入れたことにより、電力消費をさらに低減でき、効率よく駆動することができる。
なお、前記第1タイミングは、前述の通り、高インピーダンス周波数制御処理で、屈曲振動も励振されて被駆動体を駆動するのに適した振動状態になった時点であり、このタイミング(圧電アクチュエーターの駆動開始からの経過時間)は圧電アクチュエーターの特性などにより予め設定することができる。
また、前記第2タイミングは、被駆動体の駆動が開始されて、低インピーダンス周波数制御処理に比べて駆動力が低下しても、被駆動体の駆動が可能となるタイミングであればよく、この第2タイミング(圧電アクチュエーターの駆動開始からの経過時間)も、圧電アクチュエーターの特性などにより予め設定することができる。この第2タイミングは、請求項1に関し前述した予め設定されたタイミングと同様に設定することができる。
本発明の圧電駆動装置において、前記駆動制御手段は、前記低インピーダンス周波数制御処理時に、前記振動体の縦共振周波数と前記駆動周波数の中間の周波数を上限値とし、前記縦共振周波数を下限値とする範囲内で、予め設定された固定周波数の駆動信号を印加することが好ましい。
本発明によれば、前回駆動時の駆動周波数よりも縦共振周波数に近い周波数の駆動信号を圧電素子に印加することができる。これによって、縦共振周波数に近づけた分だけ、強い駆動力を得ることができる。前回駆動時の駆動周波数に近づけた分だけ、消費電力を減らすことができる。従って、この範囲内の周波数で駆動した場合に消費電力を最も低減することができるような駆動特性の圧電アクチュエーターを駆動する場合に消費電力を削減することができる。
本発明の圧電駆動装置において、前記駆動制御手段は、前記低インピーダンス周波数制御処理時に、前記振動体の縦共振周波数の駆動信号を前記圧電素子に印加することが好ましい。
本発明によれば、縦共振周波数の駆動信号を圧電素子に印加することにより、消費電力は増大するが、圧電アクチュエーターで発生可能な最大値に近い駆動力を被駆動体に与えることができるので、被駆動体を迅速に駆動することができる。特に、駆動安定までの時間の長さが消費電力の低減に大きく影響するような駆動特性の圧電アクチュエーターを駆動する場合に、消費電力を大幅に削減することができる。
本発明の圧電駆動装置において、前記駆動制御手段は、前記高インピーダンス周波数制御処理時には、前記振動体の反共振周波数と前記駆動周波数の中間値を下限値とし、前記反共振周波数を上限値とする範囲内で、予め設定された固定周波数の駆動信号を前記圧電素子に印加することが好ましい。
本発明によれば、前回駆動時の駆動周波数よりも反共振周波数に近い周波数の駆動信号を圧電素子に印加することができる。これによって、反共振周波数に近づけた分だけ、圧電素子のインピーダンスを高くでき、消費電力を減らすことができる。
本発明の圧電駆動装置において、前記駆動制御手段は、前記高インピーダンス周波数制御処理時には、前記振動体の反共振周波数の駆動信号を前記圧電素子に印加することが好ましい。
本発明によれば、反共振周波数の駆動信号を圧電素子に印加することにより、圧電アクチュエーターを駆動可能な最小値に近い消費電力で駆動することとなるので、消費電力を大幅に削減することができる。
本発明の圧電駆動装置の制御方法は、圧電素子を有しこの圧電素子への駆動信号の印加により縦振動および屈曲振動を発生する振動体を備えて前記振動体の振動を被駆動体に伝達する圧電アクチュエーターと、前記圧電素子への駆動信号の印加を制御する駆動制御手段とを備えた圧電駆動装置の制御方法であって、圧電アクチュエーターの駆動開始時は初期駆動制御モードで駆動を制御し、その後、前記被駆動体が駆動を完結するまでは定常駆動制御モードに切り替えて駆動を制御し、前記定常駆動制御モードでは、前記振動体の振動状態に基づいて周波数制御される駆動信号を前記圧電素子に印加する可変周波数制御処理を行い、かつ、定常駆動制御モードでの駆動を終了する際にその時の駆動信号の周波数を次回駆動時の駆動周波数として記憶し、前記初期駆動制御モードでは、初めに前記圧電素子に前記駆動周波数よりも低い固定周波数の駆動信号を印加する低インピーダンス周波数制御処理を行い、その後、予め設定されたタイミングで、前記駆動周波数に固定された駆動信号を印加する前回駆動周波数制御処理を行うことを特徴とする。
本発明の圧電駆動装置の制御方法は、圧電素子を有しこの圧電素子への駆動信号の印加により縦振動および屈曲振動を発生する振動体を備えて前記振動体の振動を被駆動体に伝達する圧電アクチュエーターと、前記圧電素子への駆動信号の印加を制御する駆動制御手段とを備えた圧電駆動装置の制御方法であって、圧電アクチュエーターの駆動開始時は初期駆動制御モードで駆動を制御し、その後、前記被駆動体が駆動を完結するまでは定常駆動制御モードに切り替えて駆動を制御し、前記定常駆動制御モードでは、前記振動体の振動状態に基づいて周波数制御される駆動信号を前記圧電素子に印加する可変周波数制御処理を行い、かつ、定常駆動制御モードでの駆動を終了する際にその時の駆動信号の周波数を次回駆動時の駆動周波数として記憶し、前記初期駆動制御モードでは、初めに前記圧電素子に前記駆動周波数よりも高い固定周波数の駆動信号を印加する高インピーダンス周波数制御処理を行い、その後、予め設定された第1タイミングになると、前記圧電素子に前記駆動周波数よりも低い固定周波数の駆動信号を印加する低インピーダンス周波数制御処理を行い、その後、予め設定された第2タイミングになると、前記駆動周波数に固定された駆動信号を印加する前回駆動周波数制御処理を行うことを特徴とする。
本発明の上記各圧電駆動装置の制御方法は、前述の本発明の各圧電駆動装置と同様の作用効果をもたらすことが出来る。
本発明の電子機器は、前記いずれかに記載の圧電駆動装置と、前記圧電駆動装置により駆動される被駆動体とを備えることを特徴とする。
本発明の電子機器において、前記被駆動体は、計時部で計時された計時情報を表示する計時情報表示部であることが好ましい。
これら本発明の圧電駆動装置の制御方法、電子機器においても、前記圧電駆動装置と同様の作用効果を奏することができる。
本発明の第1実施形態にかかる電子時計の概略構成を示す平面図である。 圧電アクチュエーターの構成を示す図である。 圧電素子のインピーダンス特性を示す図である。 駆動制御装置の構成を示すブロック図である。 電圧調整回路の構成を示すブロック図である。 周波数設定回路の構成を示すブロック図である。 第1実施形態の駆動特性を示す図である。 比較例の駆動特性を示す図である。 第1実施形態での駆動制御処理の流れを示すフローチャートである。 第2実施形態での駆動開始時における駆動特性を示す図である。 第2実施形態での駆動制御処理の流れを示すフローチャート(前半)である。 第2実施形態での駆動制御処理の流れを示すフローチャート(後半)である。 変形例による圧電アクチュエーターの構成を示す平面図である。 変形例による周波数設定回路の構成を示すブロック図である。 変形例による電圧調整回路の構成を示すブロック図である。 変形例による周波数設定回路の構成を示すブロック図である。
[1.第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、後述する第2実施形態以降では、以下に説明する第1実施形態での構成部品と同じ部品および同様な機能を有する部品には同一符号を付し、説明を簡単にあるいは省略する。
[1−1.全体構成]
図1は、本実施形態における圧電駆動装置を用いた電子機器としての電子時計1の概略構成を示す平面図であり、図2は、電子時計1における圧電アクチュエーター20を示す平面図(図2(A))および断面図(図2(B))である。
図1は、電子時計1の時刻表示側とは反対側(裏蓋側)から見た図であり、この図1において、上方向が電子時計1の3時方向、下方向が9時方向、右方向が12時方向、左方向が6時方向となっている。また、図2(A)の平面図も、電子時計1の時刻表示側とは反対側(裏蓋側)から見た図となっている。
図1に示すように、電子時計1は、時刻を表示する指針(時分針)を駆動する圧電アクチュエーター20と、電池2と、IC5と、水晶チップ6とを備えている。電池2、IC5、水晶チップ6等は、図示しない回路基板に設けられている。また、電子時計1は、圧電アクチュエーター20によって回転駆動される被駆動体であるローター30と、ローター30の回転を伝えて時分針を回転させる輪列40とを備えている。当該構成を有する電子時計1の圧電アクチュエーター20は、後述する駆動制御装置によって制御される。
[1−2.圧電アクチュエーターの構成]
図2に示すように、圧電アクチュエーター20の振動体21は、二長辺と二短辺(例えば長辺長さと短辺長さの比をほぼ7対2とした長辺と短辺)とにより囲まれた長方形状の板である。その長方形を例示すれば、長辺×短辺が、7mm×2mmから3.5mm×1mmまでの間の寸法である。また、振動体21は、2枚の長方形かつ板状の圧電素子22の間に、これらの圧電素子22と略同形状であり、かつ圧電素子22よりも肉厚の薄いステンレス鋼等の補強板23を挟んだ積層構造を有している。圧電素子22としては、チタン酸ジルコニウム酸鉛(PZT(商標))、水晶、ニオブ酸リチウム、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、メタニオブ酸鉛、ポリフッ化ビニリデン、亜鉛ニオブ酸鉛、スカンジウムニオブ酸鉛等の各種のものを用いることができる。
振動体21は、一短辺の幅方向略端部に当接部25を有している。この当接部25は、補強板23を切断成形する等の方法により得られたものであり、緩やかな曲面を持った先端部分を圧電素子22から突出させている。振動体21は、前記当接部25が幅方向の一方の端部側に配置され、幅方向に重量アンバランスが生じるように構成されている。振動体21は、支持部26等によってこの当接部25の先端をローター30の外周面に当接させる姿勢を保っている。なお、当接部25が形成された短辺でない他方の短辺にも当接部25と同様の大きさのバランス用突起部25Aが形成されている。このバランス用突起部25Aは、振動体21の平面形状の中心点に対して点対称位置に設けられている。
圧電アクチュエーター20の振動体21は、後述する駆動制御装置から所定の周波数の駆動信号が圧電素子22に印加されることで第1の振動モード(主振動モード)である縦振動が励振し、前記当接部25、バランス用突起部25Aによって重量アンバランスが生じているため、縦振動に誘発されて第2の振動モード(副振動モード)である屈曲振動が励振し、これらの振動が混合されて、その板面を含む平面内において当接部25が楕円軌道を描いて運動する。ローター30は、この振動体21の当接部25によってその外周面が叩かれ、回転駆動される。このローター30の回転は輪列40に伝達され、輪列を構成する筒車44に固定されている時針および二番車421に固定されている分針を回転させる。
この圧電アクチュエーター20の駆動は、駆動制御装置によって周期的(例えば20秒に1回の一定間隔)に制御される。例えば、電子時計1の電源をオンにするなどして、電子時計1の計時機能の動作開始とともに、駆動制御装置の電源をオンにする図示しないスイッチがオフからオンに切り替えられ、駆動制御装置による圧電アクチュエーター20の駆動制御が開始される。この周期的な各部の駆動は、例えばIC5の管理の下、電子時計1の内部時計に基づき行われる。
圧電アクチュエーター20の支持部26には圧電素子用回路基板が取り付けられ、圧電素子22の表面に設けられた駆動用電極201に、回路基板から伸ばされたリード線が接続され、圧電素子22を駆動可能に構成されている。
圧電素子22の表面には、駆動用電極201と絶縁された検出用電極202が設けられている。検出用電極202についても、駆動用電極201と同様に、回路基板から伸ばされたリード線が接続され、圧電素子22の振動状態を検出可能に構成されている。
検出用電極202は、縦振動成分が検出しやすいように、縦振動のひずみが大きく、かつ、屈曲振動のひずみが小さい位置に配置されている。なお、この配置位置は、使用する圧電アクチュエーター20によって変わってくるが、図示した例では、振動体21において一方の長手方向の略中央部にある支持部26近傍のやや当接部25側寄りに、検出用電極202が配置されている。
[1−3.圧電アクチュエーターの駆動制御装置の構成]
先ず、駆動制御装置の構成を説明する前に、圧電アクチュエーター20の特性について、図3に基づいて説明する。
図3は、圧電アクチュエーター20の駆動信号の周波数とインピーダンスおよび位相差との関係を示す図である。
図3に示すように、駆動周波数に対してインピーダンスが極小であって振幅が最大となる共振点が二点現れ、これらのうち周波数の低い方が縦振動の共振点、高い方が屈曲振動の共振点である。また、この二点の共振点の間にインピーダンスが最大となる反共振点が現れる。すなわち、縦振動の縦共振周波数はfr1、屈曲振動の屈曲共振周波数はfr2、反共振動の反共振周波数はfr3である。
ここで、圧電アクチュエーター20に印加される駆動信号は、屈曲振動の屈曲共振周波数fr2および縦振動の縦共振周波数fr1間の周波数に制御され、通常は、反共振動の反共振周波数fr3および縦振動の縦共振周波数fr1間の周波数に制御される。この周波数に制御すれば、縦振動および屈曲振動双方の振幅が確保され、圧電アクチュエーター20は高効率で駆動する。
また、圧電アクチュエーター20のインピーダンス特性は、温度変化、負荷変化等の環境変化によって変化する。
この区間(fr1〜fr2)内における最適駆動周波数fは、圧電アクチュエーター20に印加する駆動信号と圧電アクチュエーター20からの検出信号の位相差を目標位相差と比較することで設定することができ、この位相差に基づいて駆動周波数を制御することで高効率な駆動を行うことができる。
最適駆動周波数fは、圧電アクチュエーター20の駆動に最適となる周波数であり、インピーダンス特性に基づき設定することができる。本実施形態では、最適駆動周波数fは、駆動信号および圧電素子22の検出信号の位相差に基づき変動する周波数とされている。
また、本実施形態では、前回駆動した時の駆動信号の周波数を記憶しておき、この記憶した周波数から駆動状態に応じた信号をフィードバックして周波数制御を行うことによって、スイープ期間を短縮し余分な電力消費を削減して、より高効率な駆動を実現することができる構成とされている。
しかし、圧電アクチュエーター20の駆動開始時の動作に着目した場合、前回駆動した時の周波数の駆動信号からの駆動開始は高効率化に対して最適とはいえない。駆動開始時は、停止状態から動き始める際の負荷が定常駆動状態での負荷と比べて大きいため、前回駆動した時の周波数で駆動を開始しても駆動対象のローター30等の駆動状態が安定するまでに時間を要してしまい、この安定するまでの期間で余分な電力を消費してしまうからである。そこで、本願発明者は、この駆動開始時における被駆動体の駆動が安定するまでの時間を短縮し、併せて消費電力も低減することができる以下の駆動制御装置を発明するに至った。
以下、本実施形態の圧電駆動装置における駆動制御装置(駆動制御手段)について、図4のブロック図に基づいて説明する。
図4に示すように、圧電アクチュエーター20を駆動制御する駆動制御装置100は、圧電素子22に印加する駆動信号と圧電素子22で検出される検出信号の位相差を検出し、位相差に相当する電圧値の位相差電圧信号を出力する位相差−電圧変換回路101と、位相差を比較するための基準電圧と振幅信号を検出するための基準電圧とをそれぞれ出力する定電圧回路102と、この定電圧回路102で出力される位相比較用基準電圧と位相差−電圧変換回路101から出力される位相差電圧とを比較して比較結果信号を出力する比較回路103と、比較結果信号を受けて出力電圧を制御する電圧調整回路104と、圧電素子22に対して駆動信号を出力する駆動回路(ドライバー)105と、この電圧調整回路104で出力された電圧に対応して駆動回路105に出力する周波数を調整する電圧制御発振器(VCO)106と、定電圧回路102で出力される振幅検出用基準電圧と圧電素子22の振幅信号とを比較して振幅信号を検出する振幅検出回路107と、を備えている。
駆動制御装置100の各部は、IC5内に構成されているが、同様にIC5内に構成されている時刻計測や時間計測を行う計時部である計時回路から駆動開始を指示する制御信号が出力(駆動タイミング出力)されると動作を開始し、駆動終了を指示する制御信号が出力されると動作を停止する。ここで、駆動開始の制御信号は、前記のように、例えば20秒ごとに出力される。
駆動終了のタイミングは、図示しない駆動検出手段によって検出される。駆動検出手段は、被駆動体であるローター30が所定量駆動したことを検出し、検出結果を駆動検出信号として出力する。この出力に基づき駆動制御装置100の各部の動作がオフにされる。このように駆動検出手段は、被駆動体であるローター30またはこのローター30に連動して駆動する輪列40のいずれかの回転角度が所定角度となったことを検出可能とされている。
例えば、時分針を20秒間隔で駆動するために、圧電アクチュエーター20の駆動制御の周期が20秒間隔である場合、1回の駆動(20秒間隔の1つの駆動)で分針は2°回転させる必要がある。そして、分針が2°回転する際の、輪列40の各歯車やローター30の回転角度も規定されるため、駆動検出手段はこれらのいずれかの部材の回転角度が、前記分針が2°回転する角度だけ回転することを検出する。すなわち、駆動検出手段は、被駆動体であるローター30が所定角度回転したことを直接検出したり、ローター30に連動して回転する輪列40の車が所定角度回転したことを検出することで、被駆動体(ローター30)が所定量駆動したことを間接的に検出できるものであればよい。
そのため、駆動検出手段は、例えば、検出対象の車に、所定の角度間隔で検出孔を形成し、発光素子からの光を、前記検出孔を介して受光素子で受光する光センサーを用いることができる。なお、光センサーの代わりに、磁気センサー等の各種回転エンコーダーを用いてもよい。
電圧調整回路104は、IC5からの駆動タイミング出力と、比較回路103、振幅検出回路107から出力された信号に基づいて、電圧制御発振器106に供給する電圧レベルを制御する電圧制御機能を有する。
具体的には、図5に示すように、電圧調整回路104は、電圧制御発振器106に出力する電圧を調整する電圧調整部541と、振幅検出回路107からの出力(振幅検出出力)に応じてクロックを出力するクロック回路544と、このクロック回路544および比較回路103の出力(位相差検出出力)に対応して信号を出力する制御回路545と、IC5からの駆動タイミング出力に応じて駆動信号の周波数を設定するための信号を出力する周波数設定回路546と、この周波数設定回路546からの出力信号と制御回路545からの出力信号とを選択的に電圧調整部541へ出力する信号選択回路547と、を備えている。
電圧調整部541は、アップダウンカウンター(UDカウンター)542と、このUDカウンター542から出力されたデジタル信号をアナログ信号に変換するD/A変換器543とを備えている。
UDカウンター542は、信号選択回路547を介して入力される情報を積算する。このUDカウンター542は、例えば、12ビットのカウンター等から構成されており、信号選択回路547からの信号により、カウンター値をアップあるいはダウンする。
D/A変換器543は、内部にUDカウンター542のカウンター値に応じた周波数制御電圧値が設定されている。そして、このD/A変換器543は、UDカウンター542から出力されるカウンター値を入力すると、このカウンター値に応じた周波数制御電圧値に相当する周波数制御電圧を電圧制御発振器106に出力する。
クロック回路544、周波数設定回路546は、駆動信号の周波数制御を行う。
制御回路545は、NANDゲート545A,545Bと、NOTゲート545Cとを備える。NANDゲート545A,545Bには、クロック回路544の出力が入力される。また、NANDゲート545Aには、比較回路103の出力が入力される。比較回路103の出力は、NOTゲート545Cを介してNANDゲート545Bにも入力される。
信号選択回路547は、ANDゲート547A,547Bを備える。ANDゲート547Aには、NANDゲート545Aおよび周波数設定回路546の出力が入力され、ANDゲート547Bには、NANDゲート545Bおよび周波数設定回路546の出力がそれぞれ入力される。
ANDゲート547Aの出力は、UDカウンター542のアップカウント入力に出力され、ANDゲート547Bの出力は、UDカウンター542のダウンカウント入力に出力される。
このような構成において、本実施形態では、先ず、駆動開始時に圧電アクチュエーター20を初期駆動制御モードによって駆動した後、定常駆動制御モードに切り替えて駆動する。初期駆動制御モードでは、低インピーダンス周波数制御処理後、前回駆動周波数制御処理が行われる。定常駆動制御モードでは、可変駆動周波数制御処理が行われる。
初期駆動制御モードから定常駆動制御モードへの切り替えは、目標位相差に対する駆動信号と検出信号の位相差が安定する所定のタイミングにおいて行われる。
初期駆動制御モードにおける低インピーダンス周波数制御処理から前回駆動周波数制御処理への切り替えは、目標位相差に対する駆動信号と検出信号の位相差の増減方向が切り替わるくらいのタイミングにおいて行われる。このタイミングは、圧電アクチュエーター20のインピーダンス特性から初期的に求めることができ、周波数設定回路546が駆動タイミング出力に基づき判断する。
図6は、周波数設定回路546の構成の一例を示す。周波数設定回路546は、駆動時間制御回路641と、制御クロック出力回路642とを備えている。
駆動時間制御回路641は、IC5からの駆動タイミング出力に基づき圧電アクチュエーター20の駆動を開始してからの経過時間によって、低インピーダンス周波数制御処理と前回駆動周波数制御処理とを切り替える。また、圧電アクチュエーター20の駆動を開始してからの経過時間によって、初期駆動制御モードから定常駆動制御モードに切り替える。
具体的には、駆動時間制御回路641は、駆動開始から予め設定された所定時間が経過すると、初期駆動制御モードの低インピーダンス周波数制御処理から前回駆動周波数制御処理に切り替える制御信号を制御クロック出力回路642に出力する。
また、前回駆動周波数制御処理に切り替えてから予め設定された所定時間が経過すると、初期駆動制御モードから定常駆動制御モードに切り替える制御信号を制御クロック出力回路642に出力する。
これらの各所定時間は、圧電アクチュエーター20に対して駆動信号を入力した際の動作を予め検証しておき、その時の実験結果によって予め設定されている。
制御クロック出力回路642は、圧電アクチュエーター20が一定間隔で駆動される際に、IC5からの駆動タイミング出力があると低インピーダンス周波数制御処理を開始する。また、駆動時間制御回路641からの制御信号により、前回駆動周波数制御処理に切り替える。さらに、駆動時間制御回路641からの制御信号により、定常駆動制御モードの可変周波数制御処理に切り替える。
可変駆動周波数制御処理は、定常駆動制御処理モードにおいて振幅検出出力が所定レベル以上である場合には低速、所定レベルよりも小さい場合には高速の可変駆動周波数制御処理を行う。このタイミングは、クロック回路544が振幅検出回路107からの振幅検出出力が所定レベル以上となったか否かによって判断する。
以下、これら駆動制御の切り替えを行うクロック回路544、周波数設定回路546について、これら駆動制御処理毎に説明する。
<初期駆動制御モード時(低インピーダンス周波数制御処理時)>
クロック回路544は、周波数設定回路546からの制御信号に基づきクロックの出力を停止(ローレベル信号を出力)する。
周波数設定回路546は、駆動開始時に所定パルス数のダウンカウントクロック(P1)をANDゲート547Bに出力する。ANDゲート547Bは、周波数設定回路546から出力されるダウンカウントクロック(P1)をUDカウンター542のダウンカウント入力に出力し、UDカウンター542のカウンター値がダウンカウントされる。すなわち、ダウンカウントクロック(P1)に応じて駆動周波数が低くなる。
上記ダウンカウントクロック(P1)として出力される上記所定パルス数に関して説明する。図3に図示されているように、前回駆動周波数f0と縦振動共振周波数fr1との関係が予め明らかとされており、上記f0とfr1との周波数差も明らかとされている。この周波数差に対応するカウント値が予め周波数設定回路546に記憶されており、上記周波数差に対応するカウント値分のパルス数(前記所定パルス数)が周波数設定回路546からANDゲート547Bに出力される。
このP1のパルス入力に応じて駆動回路105から出力される駆動信号の周波数は、定常駆動制御モード時の周波数f0から、周波数f0よりも圧電素子22の縦振動の共振周波数に近い所定の駆動周波数f1に切り替わる。駆動周波数f1は、図3のインピーダンス特性から初期的に設定することができ、本実施形態では駆動周波数f1は縦振動の共振周波数fr1(変動するインピーダンス特性に応じた縦振動の共振周波数fr1)である。
ここで、このダウンカウントクロック信号(P1)として出力される上記所定パルス数に関して説明する。図3に図示されているように、駆動に最適な周波数fと低インピーダンス周波数の縦共振周波数fr1との関係(周波数差)は予め明らかである。この周波数fとfr1との周波数差に対応するカウント値が予め周波数設定回路546の制御クロック出力回路642に記憶されており、上記周波数差に対応するカウント値分のパルス数(前記所定パルス数)のクロック信号P1が周波数設定回路546からANDゲート547Bに出力される。P1を出力前の前回駆動周波数f0は、前回の駆動の際の定常駆動制御処理によって前回の駆動終了時における最適な駆動周波数fとされるため、このP1の出力によって制御クロック出力回路642は、UDカウンター542のカウンター値を縦共振周波数fr1に対応する値に制御することができる。
<初期駆動制御モード時(前回駆動周波数制御処理時)>
周波数設定回路546は、所定のタイミングにおいて、所定パルス数のアップカウントクロック信号(P1)をANDゲート547Aに出力する。
この所定パルス数は、前述した上記f0とfr1との周波数差に対応するカウント値分のパルス数である。
ANDゲート547Aは、周波数設定回路546から出力されるアップカウントクロック信号(P1)をUDカウンター542のアップカウント入力に出力し、UDカウンター542のカウンター値がアップカウントされる。すなわち、アップカウントクロック(P1)に応じて駆動周波数が高くなる。
このP1のパルス入力に応じて駆動回路105から出力される駆動信号の周波数は、駆動周波数f1(縦振動の共振周波数fr1)から、駆動周波数f0となる。
前回駆動周波数制御処理時において、クロック回路544は、クロックの出力を停止(ローレベル信号を出力)する。一方、周波数設定回路546は、ハイレベル信号を出力する。クロック回路544、周波数設定回路546が共にクロックを出力しないため、UDカウンター542のカウンター値は変化せずに保持される。従って、駆動周波数は前回の駆動終了時における位相差に基づき制御された最適な駆動周波数f0に固定され、当該駆動周波数の駆動信号によって圧電アクチュエーター20が駆動される。
<定常駆動制御モード時(低速可変駆動周波数制御処理時)>
周波数設定回路546は、定常駆動制御モードでは信号選択回路547にクロックの出力を行わず、ハイレベル信号を出力する。
クロック回路544は、遅クロックと早クロックの2種類のクロックを出力可能であり、早クロックとは、遅クロックよりも早い周期の周波数のことをいう。例えば、遅クロックは1kHzであり、早クロックは100kHzである。
クロック回路544は、定常駆動制御モード時において振幅検出回路107から出力される振幅検出出力により振動体21の振幅が所定レベル以上のときは、位相差に基づく駆動信号の周波数制御が適切に行える(最適な駆動周波数付近)と判断して遅クロック(早クロックに比してクロック速度が遅いクロック)を出力する。
NANDゲート545Aに入力される比較回路103からの位相差検出出力がハイレベル信号である場合(駆動信号と検出信号の位相差が目標位相差よりも高い場合)には、NANDゲート545Aは、クロック回路544から出力される遅クロックに基づいてパルスを出力する。
周波数設定回路546からはハイレベル信号が出力されるため、ANDゲート547Aは、NANDゲート545Aから出力されるパルスをUDカウンター542のアップカウント入力に出力し、UDカウンター542のカウンター値がアップカウントされる。すなわち、目標位相差に近づくように遅クロックに応じて駆動周波数が高くなる。
一方、NOTゲート545Cを介してNANDゲート545Bに入力される比較回路103からの位相差検出出力がローレベル信号である場合(駆動信号と検出信号の位相差が目標位相差よりも低い場合)には、NANDゲート545Bは、クロック回路544から出力される遅クロックに基づいてパルスを出力する。
周波数設定回路546からはハイレベル信号が出力されるため、ANDゲート547Bは、NANDゲート545Bから出力されるパルスをUDカウンター542のダウンカウント入力に出力し、UDカウンター542のカウンター値がダウンカウントされる。すなわち、目標位相差に近づくように遅クロックに応じて駆動周波数が低くなる。遅クロックのため、所定時間当たりのカウント数が小さくなり、変化する電圧値は小さくなる。
以上により、位相差検出出力により、UDカウンター542のカウンター値がアップカウントまたはダウンカウントされる。
<定常駆動制御モード時(高速可変駆動周波数制御処理時)>
クロック回路544は、振幅検出回路107から出力される振幅検出出力により振動体21の振幅が所定レベル未満のときは、位相差に基づく駆動信号の周波数制御が適切に行えない(最適な駆動周波数から大きく外れている)と判断して早クロック(遅クロックに比してクロック速度が速いクロック)を出力する。
この場合は前記遅クロックの場合と異なり位相差に依らず一義的にダウンクロック制御が、早クロックに基づき制御されるため、遅クロックの場合よりも所定時間当たりのカウント数が大きくなり、変化する電圧値も大きくなる。よって最適な駆動周波数から大きく外れている場合にも早く目標値に近づけることができる。
以上のように、可変駆動周波数制御では、駆動信号と検出信号の位相差が目標位相差に近づくように駆動信号の周波数がクロック回路544によって制御される。
<駆動停止時>
駆動停止時においては、クロック回路544、周波数設定回路546は、ハイレベル信号を出力し続ける。よって、UDカウンター542のカウンター値は変化せず、駆動終了時の駆動周波数に応じたカウンター値が保持される。従って、次回の駆動開始時には、前回の駆動終了時における駆動周波数を基準として周波数制御(低インピーダンス制御処理)が開始されることになる。
図7は、駆動開始時における各制御モードの駆動特性を示す図である。図中、下段は駆動信号と圧電素子22からの検出信号の位相差と、目標位相差との関係を示し、上段はローター30の回転数を示す。
図6の制御クロック出力回路642は、低インピーダンス周波数制御処理が開始(図7中のタイミングa)されると、予め制御クロック出力回路642に設定された前記の所定パルス数のダウンカウントクロック信号(P1)を出力する。この予め設定された所定パルス数は、前述のように圧電素子22のインピーダンス特性の相対値(f0とfr1との差)から予め決められている。
このP1のパルス入力に応じて駆動回路105から出力される駆動信号の周波数は、前回駆動周波数f0から縦振動の共振周波数fr1となり、この共振周波数fr1の駆動信号を印加する低インピーダンス周波数制御処理が実行される。
また、制御クロック出力回路642は、低インピーダンス周波数制御処理の開始後、所定時間が経過すると、駆動時間制御回路641からの制御信号により、前回駆動周波数制御処理に切り替える。具体的には、制御クロック出力回路642は、前記ダウンカウントクロック信号(P1)と同じパルス数のアップカウントクロック信号(P1)を出力する。このため、前回駆動周波数制御処理時の駆動信号の周波数は、前回駆動周波数f0に戻される。
この前回駆動周波数f0に戻されるタイミングは、図7に示すように、ローター30の動作開始(図7中のタイミングb)後、駆動信号および検出信号の位相差が徐々に増加し、目標位相差を超えて反転するあたりのタイミング(図7中のタイミングc)に予め設定されている。この際、被駆動体であるローター30の回転数もほぼ目標回転数に達していることが多い。
さらに、周波数設定回路546は、前回駆動周波数制御処理の開始後、所定時間が経過すると、駆動時間制御回路641からの制御信号により、定常駆動制御モードに切り替える。この定常駆動制御モードへの切替タイミングは、図7に示すように、位相差信号が安定して目標位相差との比較によるフィードバック制御が可能となるタイミング(図7中のタイミングd)であり、予め実験などによって設定されている。
定常駆動制御モードに切り替わると可変周波数制御処理が行われ、周波数設定回路546はクロック回路544を作動する。クロック回路544は振幅検出出力が所定レベル以上であれば、遅クロックを出力する。比較回路103からの位相差検出出力により、制御回路545のNANDゲート545A,545Bのいずれかからクロック信号が出力される。このクロック信号は、ANDゲート547A,547Bを介してUDカウンター542に入力され、カウンター値が変更され、駆動周波数fも調整される。
一方、クロック回路544は振幅検出出力が所定レベル以上でなければ、早クロックを出力し、545Bからクロック信号が出力され、このクロック信号は、ANDゲート547Bを介してUDカウンター542に入力して位相差によらずカウンター値を早クロックでダウンカウントして早期に目標値に近づける。
図8は、駆動開始時から前回駆動周波数f0とした比較例における駆動特性を示す。この場合、図7に示す場合と比較して、ローター30の回転数および位相差が安定するまでの時間が長くなることがわかる。
このように、本実施形態では、駆動開始時に縦振動の縦共振周波数fr1の駆動信号で駆動を開始することによって、駆動開始時のローター30の立ち上がりを早くすることができ、起動時の効率を向上させることができる。
[1−4.圧電アクチュエーターの駆動制御方法]
次に、圧電アクチュエーターの駆動方法について、図9のフローチャートに基づいて説明する。図9は、本実施形態の駆動制御の流れを示すフローチャートである。
図9に示すように、先ず、初期駆動制御モードとなり、周波数設定回路546がダウンカウントクロック信号(P1)を出力し、UDカウンター542のカウンター値をダウンカウントする(ステップS11)。これにより、圧電素子22に印加される駆動信号の周波数は、前回駆動周波数f0から縦共振周波数fr1に切り替えられ、駆動回路105によって圧電素子22に縦共振周波数fr1の駆動信号が印加される(ステップS12)。
次に、ステップS13において、周波数設定回路546により前回駆動周波数f0への変更タイミングであるか否かが判定される。変更タイミングであるか否かは、制御クロック出力回路642がIC5の駆動タイミング出力と駆動時間制御回路641の出力に基づき判断する。ステップS13において「No」と判定された場合、すなわち前回駆動周波数f0への変更タイミングでないと判定された場合には、ステップS12の縦共振周波数fr1での駆動が継続される。
ステップS13において「Yes」と判定された場合、すなわち前回駆動周波数f0への変更タイミングであると判定された場合には、周波数設定回路546がアップカウントクロック信号(P1)を出力し、UDカウンター542のカウンター値をアップカウントする(ステップS14)。これにより、圧電素子22に印加される駆動信号の周波数は、縦共振周波数fr1から前回駆動周波数f0に切り替えられ、駆動回路105によって前回駆動周波数f0の駆動信号が圧電素子22に印加される(ステップS15)。
次に、ステップS16において、周波数設定回路546によって定常駆動制御モードへの切替タイミングであるか否かが判定される。切替タイミングであるか否かは、前記のように圧電素子22から出力される検出信号が所定レベル以上であるか否かによって判断される。ステップS16において、「No」、すなわち、切替タイミングでないと判定された場合には、ステップS15による前回駆動周波数f0による駆動が継続される。ステップS16において、「Yes」、すなわち切替タイミングであると判定された場合には、位相差制御による駆動周波数fの駆動信号により圧電素子22が印加される(ステップS17)。
次に、駆動検出手段によって所定量の駆動が検出されたか否かが判定され(ステップS18)、駆動が検出された(ステップS18における「Yes」判定)ならば駆動制御処理が終了する。駆動が検出されていない場合(ステップS18における「No」判定)には、タイムアウトか否かが判断され(ステップS19)、タイムアウトでなければステップS17の駆動周波数fによる駆動信号の印加が継続される(ステップS19における「No」判定)。このタイムアウトか否かの判定は、IC5が設定時間内に駆動検出手段から検出信号が出力されるか否かを判断することでなされる。ステップS19においてタイムアウトと判定された場合には、駆動制御処理が終了する。このタイムアウト時間は、例えば、20秒間隔で圧電アクチュエーター20が駆動される場合、20秒以下の時間、例えば15秒等に設定される。
なお、タイムアウトになった場合、運針に失敗したことになるため、例えば、電子時計1の秒針を往復駆動させたり、ディスプレイが設けられている場合には表示画面に表示したり、音声での警告などでエラーメッセージを出力してもよい。また、運針に失敗した数をカウントしておき、正常な駆動が可能になった時点で失敗分を含めて運針して、時刻を合わせても良い。
[1−5.第1実施形態の作用効果]
第1実施形態によれば、駆動開始時に、先ず、初期駆動制御モードでの低インピーダンス周波数制御処理を行い、圧電素子22に縦振動の共振周波数fr1の駆動信号を印加している。このため、圧電素子22のインピーダンスが小さくなり、大きな電流が流れて消費電力が増大するが、強い駆動力を得ることができ、ローター30の立ち上がり時の駆動時間を短縮させることができる。
また、低インピーダンス周波数制御処理によって、ローター30をある程度回転させた後、位相差検出信号が安定してフィードバック制御を行えるようになるまで、前回駆動周波数制御処理に切り替え、前回駆動周波数f0に固定された駆動信号を印加している。このため、低インピーダンス周波数制御処理を継続する場合に比べて消費電力を低減でき、かつ、前回の定常駆動制御モード時の駆動周波数f0で制御できるので、定常駆動制御モードに切り替えた後、最適な駆動周波数fとなるまでの時間を短縮することができ、より高効率で駆動することができる。なお、最適な駆動周波数fは、駆動信号および検出信号の位相差を目標位相差と比較した結果に基づいて制御している。
特に、本実施形態では、低インピーダンス周波数制御処理時に、縦共振周波数fr1の駆動信号を圧電素子22に印加するため、圧電アクチュエーター20で発生可能な最大値に近い駆動力をローター30に与えることができ、ローター30を迅速に駆動することができる。このため、特に、駆動安定までの時間を短縮することが、消費電力の低減に大きく影響するような駆動特性の圧電アクチュエーター20を駆動する場合に、消費電力を大幅に削減することができる。
[2.第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、駆動信号の印加開始時からローター30が動き出すまでの期間についての電力消費をさらに低減するために、低インピーダンス周波数制御処理の前に高インピーダンス周波数制御処理を実行するものである。
従って、初期駆動制御モード時の駆動信号の周波数設定処理のみが前記第1実施形態と相違し、圧電アクチュエーター20の具体的な構成等は同一であるため、その相違点を説明する。
本実施形態は、第1実施形態と同様、電子時計1に適用したものである。また、圧電アクチュエーター20の構成についても第1実施形態と同様である。したがって、これら構成については説明を省略する。
[2−1.圧電アクチュエーターの駆動制御装置の構成]
本実施形態における電圧調整回路104は、図5に示す第1実施形態と同様の構成を備えている。また、周波数設定回路546についても、図6に示す第1実施形態と同様の構成を備えている。ただし、周波数設定回路546でのクロック信号の出力が第1実施形態とは相違する。
図10は、本実施形態での駆動開始時における駆動特性を示す図である。
周波数設定回路546は、IC5の駆動タイミング出力が入力されると、初期駆動制御モードで圧電アクチュエーター20を制御する。初期駆動制御モードでは、先ず、高インピーダンス周波数制御処理が行われ、続いて低インピーダンス周波数制御処理が行われ、その後、前回駆動周波数制御処理が行われる。
制御クロック出力回路642は、高インピーダンス周波数制御処理が開始(図10中のタイミングa)されると、所定パルス数のアップカウントクロック信号(P2)を出力する。このP2のパルス入力に応じて、駆動回路105から出力される駆動信号の周波数は、前回駆動周波数f0から駆動周波数f2に切り替わる。駆動周波数f2は、図3のインピーダンス特性から初期的に設定することができ、本実施形態では駆動周波数f2は反共振周波数fr3(変動するインピーダンス特性に応じた反共振周波数fr3)である。
上記アップカウントクロック信号(P2)として出力される上記所定パルス数に関して説明する。図3に図示されているように、駆動に最適な周波数fと高インピーダンス周波数の反共振周波数fr3との関係(周波数差)が予め明らかとされており、上記fとfr3との周波数差も明らかとされている。この周波数差に対応するカウント値が予め周波数設定回路546の制御クロック出力回路642に記憶されており、上記周波数差に対応するカウント値分のパルス数(前記所定パルス数)のクロック信号P2が周波数設定回路546からANDゲート547Aに出力される。P2を出力前の前回駆動周波数f0は、前回の駆動の際の定常駆動制御処理によって前回の駆動終了時における最適な駆動周波数fとされるため、このP2の出力によって制御クロック出力回路642は、UDカウンター542のカウンター値を反共振周波数fr3に対応する値に制御することができる。また制御クロック出力回路642には、前述した低インピーダンス周波数の縦共振周波数fr1と上記f0またはfr3との周波数差の関係が予め明らかとされ各々の周波数差に対応したカウント値も記憶されている。
また、制御クロック出力回路642は、このアップカウントクロック信号(P2)の出力後、駆動時間制御回路641で予め設定された第1タイミング(図10中のタイミングb)になると、ダウンカウントクロック信号(P3)を出力し、UDカウンター542のカウンター値を縦共振周波数fr1に対応する値に設定する。
このダウンカウントクロック信号(P3)は、制御クロック出力回路642に記憶された反共振周波数fr3と縦共振周波数fr1との周波数差に対応するカウント値を出力する。
また、制御クロック出力回路642は、このダウンカウントクロック信号(P3)の出力後、駆動時間制御回路641で予め設定された第2タイミング(図10中のタイミングc)になると、前回駆動周波数制御モードに移行する。
そして、制御クロック出力回路642はアップカウントクロック信号(P1)を出力する。このアップカウントクロック信号(P1)は、第1実施形態と同様であり、制御クロック出力回路642に記憶された縦共振周波数fr1と前回駆動周波数f0との周波数差に対応するカウント値を出力する。
P1にP2を加えたものがP3(P1によるカウント数+P2によるカウント数=P3によるカウント数)に設定されている。このため、前回駆動制御モードでは、駆動信号の周波数は、前回の定常駆動制御モード時の駆動周波数f0に切り替わる。その後、周波数設定回路546によって、フィードバック制御が可能となるタイミング(図10中のタイミングd)において、定常駆動制御モードに切り替えられる。
ここで、反共振周波数fr3の駆動信号を印加した場合、高インピーダンスとなるため流れる電流値が小さくなり、消費電力も低減できるが、駆動力も低下する。
一方、圧電アクチュエーター20の駆動開始直後は、縦振動のみが生じて、その後徐々に屈曲振動が生じる。すると、縦振動と屈曲振動の相乗作用により楕円振動が起こり、徐々に楕円が大きくなっていく。ある程度の大きさの楕円運動に達すると、当接部25がローター30を駆動することができるようになる。従って、当接部25が楕円運動を生じてローター30を駆動できるようになるまでにはある程度の時間が必要であり、この時間は、縦共振周波数fr1の駆動信号を印加した場合でも、反共振周波数fr3の駆動信号を印加した場合でも殆ど同じである。
そして、ローター30の動作開始前にインピーダンスの低い周波数で駆動するのは電力を無駄に消費していることになる。そこで、本実施形態では、初期駆動制御モードにおいて、駆動開始時からローター30が動き出すまでの期間は、駆動信号の周波数を、前回駆動周波数f0よりも圧電素子22のインピーダンスが高くなる反共振周波数fr3(図3参照)とし、圧電アクチュエーター20の当接部25が楕円軌道を描くようになってローター30を駆動できる状態になった時点で、駆動力が大きな低インピーダンス周波数制御処理に切り替えることで、さらなる消費電力の低減を図りつつ、ローター30の立ち上がり時間も短くでき、起動時の効率を向上させることができる。
[2−2.圧電アクチュエーターの駆動制御方法]
次に、第2実施形態における圧電アクチュエーターの駆動方法について、図11,図12のフローチャートに基づいて説明する。
本実施形態では、先ず、駆動開始時(図10中のタイミングa)に、初期駆動制御モードとなり、周波数設定回路546によって所定パルス数のアップカウントクロック信号(P2)が出力され、UDカウンター542のカウンター値がアップカウントされる(ステップS21)。これにより、圧電素子22に印加される駆動信号の周波数は、前回駆動周波数f0から反共振周波数fr3に切り替えられ、駆動周波数fr3(第1初期駆動周波数fr3)の駆動信号が印加される(ステップS22)。
次に、ステップS23において、ローター30の動作開始タイミング(図10中のタイミングb)であるか否かが判定される。このタイミングであるか否かは、制御クロック出力回路642がIC5からの駆動タイミング出力と駆動時間制御回路641の出力に基づき判断する。ステップS23において「No」と判定された場合、すなわち動作開始タイミングでないと判定された場合には、ステップS22の駆動周波数fr3での駆動が継続される。
ステップS23において「Yes」と判定された場合、すなわちローター30の動作開始タイミングであると判定された場合には、周波数設定回路546が所定パルス数のダウンカウントクロック信号(P3)を出力し、UDカウンター542のカウンター値をダウンカウントする(ステップS24)。これにより、圧電素子22に印加される駆動信号の周波数は、駆動周波数fr3から第2初期駆動周波数fr1に切り替えられ、第2駆動周波数fr1の駆動信号が印加される(ステップS25)。
次に、ステップS26において、周波数設定回路546により前回駆動時の駆動周波数f0への変更タイミング(図10中のタイミングc)であるか否かが判定される。ステップS26において「No」と判定された場合、すなわち前回駆動周波数f0への変更タイミングでないと判定された場合には、ステップS25の駆動周波数fr1での駆動が継続される。
ステップS26において「Yes」と判定された場合、すなわち前回駆動時の駆動周波数f0への変更タイミングであると判定された場合には、周波数設定回路546が所定パルス数のアップカウントクロック信号(P1)を出力し、UDカウンター542のカウンター値をアップカウントする(ステップS27)。これにより、圧電素子22に印加される駆動信号の周波数は、駆動周波数fr1から駆動周波数f0に切り替えられ、駆動周波数f0の駆動信号が印加される(ステップS28)。
次に、ステップS29において、周波数設定回路546によって定常駆動制御モードへの切替タイミング(図10中のタイミングd)であるか否かが判定される。ステップS29において、「No」、すなわち、切替タイミングでないと判定された場合には、ステップS28による駆動周波数f0による駆動が継続される。ステップS29において、「Yes」、すなわち切替タイミングであると判定された場合には、位相差制御による駆動周波数fの駆動信号により圧電素子22が印加される(ステップS30)。
次に、駆動検出手段により所定量の駆動が検出されたか否かが判定され(ステップS31)、駆動が検出された(ステップS31における「Yes」判定)ならば駆動制御処理が終了する。駆動が検出されていない場合(ステップS31における「No」判定)には、タイムアウトか否かが判断され(ステップS32)、タイムアウトでなければステップS30の駆動周波数fによる駆動信号の印加が継続される(ステップS32における「No」判定)。ステップS32においてタイムアウトと判定された場合には、駆動制御処理が終了する。
[2−3.第2実施形態の作用効果]
第2実施形態によれば、駆動開始時に、先ず、初期駆動制御モードでの高インピーダンス処理を行い、圧電素子22に前回駆動周波数f0よりも高い駆動周波数fr3の駆動信号を印加している。このため、圧電素子22のインピーダンスが大きくなり、電流量を減らして消費電力を減らしている。これにより、第1実施形態の圧電駆動装置と同様の効果を奏するだけでなく、より高効率で駆動することができる。
また、本実施形態では、反共振周波数fr3の駆動信号を圧電素子に印加するため、反共振周波数fr3の駆動信号を圧電素子22に印加することにより、圧電アクチュエーター20を駆動可能な最小値に近い消費電力で駆動することとなるので、消費電力を大幅に削減することができる。
[3.変形例]
なお、本発明は、前記実施形態に限ったものではない。
例えば、圧電アクチュエーター20の構成は、前記実施形態に記載のものに限ったものではない。例えば、図13に示す圧電アクチュエーターを用いることができる。この圧電アクチュエーター20は、検出用電極を複数個所に設けている点において前記実施形態と相違する。その他の点は、前記実施形態と同様の構成である。
圧電素子22(図2(B)参照)の表面には、駆動用電極201と絶縁された検出用電極203,204が設けられている。検出用電極203,204は、駆動用電極201と同様に、回路基板から伸ばされたリード線が接続され、圧電素子22の振動状態を検出可能に構成されている。
検出用電極203は、縦振動成分が検出しやすいように、縦振動のひずみが大きい位置に配置されている。また、検出用電極204は、屈曲振動成分を検出しやすいように、屈曲振動のひずみが大きい位置に配置されている。これら配置位置は、使用する圧電アクチュエーター20によって変わってくるが、図示した例では、一方の長手方向の略中央部に支持部26が設けられた振動体21において、圧電素子22の表面の略中央部に検出用電極203が配置されており、検出用電極203と当接部25の間の当該長手方向側に検出用電極204が配置されている。
このように、圧電素子22の表面の異なる場所に2つの検出用電極203,204を配置することによって、検出用電極203,204から振動に応じた検出信号が出力され、各検出信号の位相差を検出することができる。
この場合、駆動制御装置100において、図4に破線で示すように、検出用電極203,204から出力される検出信号の位相差に相当する電圧値の位相差電圧信号を出力する構成とすれば、前記実施形態と同様の位相差に基づく処理を行うことができる。
また、例えば、圧電素子22の種類は、前述した振動動作が可能であれば特に前記実施形態で説明したものに限定されるものではない。例えば、長手方向と幅方向において駆動電極が2等分された構成により4つの駆動電極を備える圧電素子や、幅方向において3等分され、その3等分された電極の外側の2つがさらに長手方向において2等分された構成により5つの駆動電極を備える圧電素子であってもよい。これらを用いた場合には、対角方向の駆動電極(後者の場合は3分割したうち中心の駆動電極を含む。)に駆動信号を印加することによって、振動体を縦振動及び屈曲振動として振動させ、幅方向の中心部に設けられた振動体の突起部を振動させてローター30を前記実施形態と同様に駆動することができる。この場合、駆動信号が印加される電極を他の対角方向の電極に変えることで、ローター30に当接される突起部の振動による楕円状の回転の方向を変えることができる。すなわち、ローター30の回転方向を変えることができる。
さらに、前記実施形態では、初期駆動制御モードにおいて周波数の切り替えを行う各タイミングは、駆動時間制御回路641で予め定めた時間で設定していたが、これに限らず、各々適切な動作変化を検出してタイミングを判断する構成であってもよい。
例えば、第2実施形態において、高インピーダンス周波数制御処理から低インピーダンス周波数制御処理に切り替えるタイミングは、前記駆動検出手段によって被駆動体であるローター30が回転し始めたことを検出したタイミングに設定してもよい。
また、低インピーダンス周波数制御処理から前回駆動周波数制御処理に切り替えるタイミングは、駆動信号および検出信号の位相差の出力の増減方向が切り替わるタイミングに設定してもよい。
要するに、これらの制御切替タイミングは、被駆動体の駆動状態や、駆動信号の周波数制御を行うために検出している位相差信号の状態等に基づいて設定してもよい。
図14は、位相差情報に基づいてタイミングを判断する周波数設定回路546の構成を示す。位相差安定判定回路643は、比較回路103からの位相差検出出力に基づいて、目標位相差に対する位相差の方向(プラス方向からマイナス方向)が切り替わったか否か(図7参照)を判定し、判定結果を出力する。制御クロック出力回路642は、IC5の駆動タイミング信号によって低インピーダンス周波数制御処理を開始した後、位相差安定判定回路643から出力される判定結果の信号に基づき、前回駆動周波数制御処理に切り替えることができる。
また、定常駆動制御モードへの切替タイミングは、圧電アクチュエーター20の起動特性に基づいて初期的に設定可能であるため、周波数設定回路546と同様にIC5の駆動タイミング出力等に基づいてクロック回路544が出力を制御する構成としてもよい。
さらに、前記実施形態では、初期駆動制御モード時に、周波数設定回路546からUDカウンター542にパルスを出力してUDカウンター542のカウンター値を変更して前回駆動周波数f0、低インピーダンス制御時の駆動周波数f1、高インピーダンス制御時の駆動周波数f2をそれぞれ設定していたが、これら駆動周波数が固定値である場合には、UDカウンター542をこれら駆動周波数に対応する値にセットすることで設定してもよい。
すなわち、図15,16に示すように、周波数設定回路546は、UDカウンター542にリセット信号、セット信号を出力して、UDカウンター542のカウンター値を所定値に設定できるようにしている。
ここで、定常駆動制御モード時は、クロック回路544からのクロック信号がUDカウンター542のアップカウント入力、ダウンカウント入力に入力されてカウンター値が変化する。
そして、各駆動制御モードを切り替える際には、周波数設定回路546は、現在のカウンター値をカウンター値記憶回路644に記憶し、続いて、UDカウンター542をリセットし、切り替える制御モードに応じて周波数(fr1,fr3)記憶回路645に予め設定されている駆動周波数f0,f1,f2のいずれかに対応するカウンター値にUDカウンター542をセットする。これにより、駆動信号の周波数は各駆動制御モードに対応したものに変更される。
このように、セット・リセットによりカウンター値を切り替える構成とすることによって、回路構成をシンプルなものとすることができる。
また、本発明において、低インピーダンス制御時の周波数f1は、縦共振周波数fr1に限定されない。低インピーダンス制御時の周波数f1は、前回駆動周波数f0に比べて圧電素子22のインピーダンスが低くなる周波数に設定すればよい。
例えば、縦共振周波数fr1と前回駆動周波数f0の中間の周波数を上限値とし、縦共振周波数fr1を下限値とする範囲内で、予め設定された駆動周波数の駆動信号を印加してもよい。また、縦共振周波数fr1から縦共振周波数fr1と前回駆動周波数f0の周波数幅の1/3から2/3の範囲内で、予め設定された駆動周波数の駆動信号を印加しても良い。
この場合、駆動周波数が縦共振周波数fr1に近づくほど、駆動力が増大する一方で、消費電力も増大する。従って、低インピーダンス制御時の駆動周波数f1は、各圧電駆動装置における駆動力と消費電力とのバランスを考慮して設定すればよい。
また、本発明において、高インピーダンス制御時の周波数f2も、反共振周波数fr3に限定されない。高インピーダンス制御時の周波数f2は、前回駆動周波数f0に比べて圧電素子22のインピーダンスが高くなる周波数に設定すればよい。例えば、反共振周波数fr3を上限値とし、前回駆動周波数f0および反共振周波数fr3の中間値を下限値とする範囲内で、予め設定された駆動周波数の駆動信号を印加してもよい。
この場合、駆動周波数が反共振周波数fr3に近づくほど、消費電力が低下する一方で、駆動力も低下する。従って、高インピーダンス制御時の駆動周波数f2も、各圧電駆動装置における駆動力と消費電力とのバランスを考慮して設定すればよい。
さらに、前記実施形態では、制御クロック出力回路642から出力されるクロック(P1(第2実施形態ではさらにP2,P3))のパルス数を固定値とし、UDカウンター542のカウンター値をこのクロックによりダウンカウント又はアップカウントして、切り替え後の周波数f1,f0(第2実施形態では、さらにf2)を相対的に設定することとしたが、これに限ったものではなく、このクロックのパルス数を変動させて切り替え後の周波数を設定してもよい。
例えば、前記第1実施形態において駆動周波数f1に切り替える場合では、所定の固定周波数の値(例えば、通常の使用状態において平均的に縦振動の共振周波数fr1となる値)を周波数設定回路546に予め記憶しておき、UDカウンター542から周波数設定回路546へカウンター値を出力する構成とすることによって、周波数設定回路546において、このカウンター値による前回駆動周波数f0とこの固定周波数の値との差を計算し、この差に応じてパルス数が変動するP1によってカウンター値をダウンカウントすることにより、駆動周波数f1を絶対的に定めてもよい。
また、前記第2実施形態において駆動周波数f2に切り替える場合では、所定の固定周波数の値(例えば、通常の使用状態において平均的に反共振周波数fr3となる値)を周波数設定回路546に予め記憶しておき、UDカウンター542から周波数設定回路546へカウンター値を出力する構成とすることによって、周波数設定回路546において、このカウンター値によるこの固定周波数の値と前回駆動周波数f0との差を計算し、この差に応じてパルス数が変動するP2によってカウンター値をアップカウントすることにより、駆動周波数f2を絶対的に定めてもよい。第2実施形態における駆動周波数f1についても、駆動周波数f2と所定の固定周波数の値(例えば、通常の使用状態において平均的に縦振動の共振周波数fr1となる値)との差に応じてパルス数が変動するP3によってカウンター値をダウンカウントすることにより、駆動周波数f1を絶対的に定めてもよい。
上記インピーダンスが最も小さな周波数は、前述した縦振動の共振周波数に限定されるものではない。例えば、振動体の平面形状、駆動電極の配置、圧電素子の特性等の諸条件によっては屈曲振動の共振周波数が縦振動の共振周波数よりもインピーダンスが小さい場合が生じ得る。その場合、前述した低インピーダンス周波数制御処理は、前回の定常駆動制御モードにおいて駆動停止した際の前回駆動周波数(f0)よりも高い固定周波数(屈曲振動の共振周波数に近い方向の周波数)の駆動信号を圧電素子に印加することになる。同様に、前述した高インピーダンス周波数制御処理は、前回の定常駆動制御モードにおいて駆動停止した際の前回駆動周波数(f0)よりも低い固定周波数(屈曲振動の共振周波数から遠い方向の周波数)の駆動信号を圧電素子に印加することになる。
なお、上記本発明の各圧電駆動装置および各圧電駆動装置の制御方法において、初期駆動制御モードでは、初めに前記低インピーダンス周波数制御処理を行い、その後に前記前回駆動周波数制御処理を行うものであった。しかし圧電アクチュエーターの特性等の状況によっては前記前回駆動周波数制御処理を行わないことも可能である。その場合は、前記低インピーダンス周波数制御処理を行い、その後直ちに前記定常駆動制御モードに切り替えて駆動制御する。
さらに、前記実施形態では、圧電アクチュエーター20を電子時計1の時分針の駆動に用いていたが、これに限らず、電子時計1の秒針の駆動あるいは日付表示機構の駆動に用いてもよい。このようにすれば、電子時計1の一層の薄型化が実現できるとともに、圧電アクチュエーターがステッピングモーターよりも磁性の影響を受けにくいことから、電子時計の高耐磁化をも図ることができる。
なお、前記各実施形態では、圧電アクチュエーターの適用例として腕時計を例示したが、これに限定されず、本発明は、懐中時計、置時計、掛け時計などにも適用できる。これらの各種時計において、例えばからくり人形などを駆動する機構としても利用できる。
さらに、時計以外に、カメラのズームやオートフォーカス機構、フィルムの巻き上げ機構、プリンターの紙送り機構や、乗り物並びに人形などの玩具類を駆動する機構などにも、本発明の圧電アクチュエーターの駆動制御装置を適宜利用できる。本発明の駆動制御装置は、時計、カメラやプリンター、玩具などをはじめとして、携帯情報端末、電話機などの圧電アクチュエーターを用いた各種電子機器に広く利用できる。
また、本発明の圧電アクチュエーターの駆動制御装置は、ICで構成することができる。また、そのICと圧電アクチュエーターとを基板に取り付けることで、駆動制御装置付きの圧電アクチュエーターモジュールとして用いることもできる。そして、この圧電アクチュエーターモジュールを外装ケースに組む込むことで電子機器を構成することもできる。
1…電子時計、5…IC、20…圧電アクチュエーター、21…振動体、22…圧電素子、23…補強板、25…当接部、30…ローター、40…輪列、100…駆動制御装置、101…位相差−電圧変換回路、102…定電圧回路、103…比較回路、104…電圧調整回路、105…駆動回路(ドライバー)、106…電圧制御発振器(VCO)、107…振幅検出回路、542…UD(アップダウン)カウンター、543…D/A変換器、544…クロック回路、545…制御回路、546…周波数設定回路、547…信号選択回路、641…駆動時間制御回路、642…制御クロック出力回路、643…位相差安定判定回路。

Claims (12)

  1. 圧電素子を有しこの圧電素子への駆動信号の印加により縦振動および屈曲振動を発生する振動体を備えて前記振動体の振動を被駆動体に伝達する圧電アクチュエーターと、
    前記圧電素子への駆動信号の印加を制御する駆動制御手段とを備え、
    前記駆動制御手段は、
    圧電アクチュエーターの駆動開始時は初期駆動制御モードで駆動を制御し、その後、前記被駆動体が駆動を完結するまでは定常駆動制御モードに切り替えて駆動を制御し、
    前記定常駆動制御モードでは、前記振動体の振動状態に基づいて周波数制御される駆動信号を前記圧電素子に印加する可変周波数制御処理を行い、かつ、定常駆動制御モードでの駆動を終了する際にその時の駆動信号の周波数を次回駆動時の駆動周波数として記憶し、
    前記初期駆動制御モードでは、
    初めに前記圧電素子に前記駆動周波数よりも低い固定周波数の駆動信号を印加する低インピーダンス周波数制御処理を行い、
    その後、予め設定されたタイミングで、前記駆動周波数に固定された駆動信号を印加する前回駆動周波数制御処理を行う
    ことを特徴とする圧電駆動装置。
  2. 圧電素子を有しこの圧電素子への駆動信号の印加により縦振動および屈曲振動を発生する振動体を備えて前記振動体の振動を被駆動体に伝達する圧電アクチュエーターと、
    前記圧電素子への駆動信号の印加を制御する駆動制御手段とを備え、
    前記駆動制御手段は、
    圧電アクチュエーターの駆動開始時は初期駆動制御モードで駆動を制御し、その後、前記被駆動体が駆動を完結するまでは定常駆動制御モードに切り替えて駆動を制御し、
    前記定常駆動制御モードでは、前記振動体の振動状態に基づいて周波数制御される駆動信号を前記圧電素子に印加する可変周波数制御処理を行い、かつ、定常駆動制御モードでの駆動を終了する際にその時の駆動信号の周波数を次回駆動時の駆動周波数として記憶し、
    前記初期駆動制御モードでは、
    初めに前記圧電素子に前記駆動周波数よりも高い固定周波数の駆動信号を印加する高インピーダンス周波数制御処理を行い、
    その後、予め設定された第1タイミングになると、前記圧電素子に前記駆動周波数よりも低い固定周波数の駆動信号を印加する低インピーダンス周波数制御処理を行い、
    その後、予め設定された第2タイミングになると、前記駆動周波数に固定された駆動信号を印加する前回駆動周波数制御処理を行う
    ことを特徴とする圧電駆動装置。
  3. 請求項1に記載の圧電駆動装置において、
    前記駆動制御手段は、
    前記低インピーダンス周波数制御処理時に、前記振動体の縦共振周波数と前記駆動周波数の中間の周波数を上限値とし、前記縦共振周波数を下限値とする範囲内で、予め設定された固定周波数の駆動信号を印加する
    ことを特徴とする圧電駆動装置。
  4. 請求項2に記載の圧電駆動装置において、
    前記駆動制御手段は、
    前記低インピーダンス周波数制御処理時に、前記振動体の縦共振周波数と前記駆動周波数の中間の周波数を上限値とし、前記縦共振周波数を下限値とする範囲内で、予め設定された固定周波数の駆動信号を印加する
    ことを特徴とする圧電駆動装置。
  5. 請求項1に記載の圧電駆動装置において、
    前記駆動制御手段は、
    前記低インピーダンス周波数制御処理時に、前記振動体の縦共振周波数の駆動信号を前記圧電素子に印加する
    ことを特徴とする圧電駆動装置。
  6. 請求項2に記載の圧電駆動装置において、
    前記駆動制御手段は、
    前記低インピーダンス周波数制御処理時に、前記振動体の縦共振周波数の駆動信号を前記圧電素子に印加する
    ことを特徴とする圧電駆動装置。
  7. 請求項2、請求項4、請求項6のいずれかに記載の圧電駆動装置において、
    前記駆動制御手段は、
    前記高インピーダンス周波数制御処理時には、前記振動体の反共振周波数と前記駆動周波数の中間値を下限値とし、前記反共振周波数を上限値とする範囲内で、予め設定された固定周波数の駆動信号を前記圧電素子に印加する
    ことを特徴とする圧電駆動装置。
  8. 請求項2、請求項4、請求項6のいずれかに記載の圧電駆動装置において、
    前記駆動制御手段は、
    前記高インピーダンス周波数制御処理時には、前記振動体の反共振周波数の駆動信号を前記圧電素子に印加する
    ことを特徴とする圧電駆動装置。
  9. 圧電素子を有しこの圧電素子への駆動信号の印加により縦振動および屈曲振動を発生する振動体を備えて前記振動体の振動を被駆動体に伝達する圧電アクチュエーターと、
    前記圧電素子への駆動信号の印加を制御する駆動制御手段とを備えた圧電駆動装置の制御方法であって、
    圧電アクチュエーターの駆動開始時は初期駆動制御モードで駆動を制御し、その後、前記被駆動体が駆動を完結するまでは定常駆動制御モードに切り替えて駆動を制御し、
    前記定常駆動制御モードでは、前記振動体の振動状態に基づいて周波数制御される駆動信号を前記圧電素子に印加する可変周波数制御処理を行い、かつ、定常駆動制御モードでの駆動を終了する際にその時の駆動信号の周波数を次回駆動時の駆動周波数として記憶し、
    前記初期駆動制御モードでは、
    初めに前記圧電素子に前記駆動周波数よりも低い固定周波数の駆動信号を印加する低インピーダンス周波数制御処理を行い、
    その後、予め設定されたタイミングで、前記駆動周波数に固定された駆動信号を印加する前回駆動周波数制御処理を行う
    ことを特徴とする圧電駆動装置の制御方法。
  10. 圧電素子を有しこの圧電素子への駆動信号の印加により縦振動および屈曲振動を発生する振動体を備えて前記振動体の振動を被駆動体に伝達する圧電アクチュエーターと、
    前記圧電素子への駆動信号の印加を制御する駆動制御手段とを備えた圧電駆動装置の制御方法であって、
    圧電アクチュエーターの駆動開始時は初期駆動制御モードで駆動を制御し、その後、前記被駆動体が駆動を完結するまでは定常駆動制御モードに切り替えて駆動を制御し、
    前記定常駆動制御モードでは、前記振動体の振動状態に基づいて周波数制御される駆動信号を前記圧電素子に印加する可変周波数制御処理を行い、かつ、定常駆動制御モードでの駆動を終了する際にその時の駆動信号の周波数を次回駆動時の駆動周波数として記憶し、
    前記初期駆動制御モードでは、
    初めに前記圧電素子に前記駆動周波数よりも高い固定周波数の駆動信号を印加する高インピーダンス周波数制御処理を行い、
    その後、予め設定された第1タイミングになると、前記圧電素子に前記駆動周波数よりも低い固定周波数の駆動信号を印加する低インピーダンス周波数制御処理を行い、
    その後、予め設定された第2タイミングになると、前記駆動周波数に固定された駆動信号を印加する前回駆動周波数制御処理を行う
    ことを特徴とする圧電駆動装置の制御方法。
  11. 請求項1から請求項8のいずれかに記載の圧電駆動装置と、前記圧電駆動装置により駆動される被駆動体とを備えることを特徴とする電子機器。
  12. 請求項11に記載の電子機器において、
    前記被駆動体は、計時部で計時された計時情報を表示する計時情報表示部であることを特徴とする電子機器。
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