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JP2010242149A - マグネシウム合金及びマグネシウム合金板の製造方法 - Google Patents

マグネシウム合金及びマグネシウム合金板の製造方法 Download PDF

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JP2010242149A
JP2010242149A JP2009090962A JP2009090962A JP2010242149A JP 2010242149 A JP2010242149 A JP 2010242149A JP 2009090962 A JP2009090962 A JP 2009090962A JP 2009090962 A JP2009090962 A JP 2009090962A JP 2010242149 A JP2010242149 A JP 2010242149A
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magnesium alloy
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Sukenori Nakaura
祐典 中浦
Masayuki Nakamoto
将之 中本
Jo Sugimoto
丈 杉本
Akira Watabe
晶 渡部
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MA Aluminum Corp
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Mitsubishi Aluminum Co Ltd
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Abstract

【課題】鋳造板の黒スジ状欠陥の発生を防止し、実用的で健全性に優れる高強度な合金鋳造板を提供する。
【解決手段】質量%で、Al:2〜10%、Mn:0.1〜0.5%、C:0.004%以上0.03%未満、Zn:1.2%以下(ただし、0%を含む)、残部がMg及び不可避的不純物からなることを特徴とするマグネシウム合金。このマグネシウム合金は、凝固時にマグネシウムの結晶粒よりも高い温度域においてAlが多数形成され、これが結晶核として機能することで、アルミニウム結晶粒の均一かつ微細化が図られる。
【選択図】なし

Description

本発明は、各種電気製品の筐体や自動車、自動二輪などの部品に使用されるマグネシウム合金に関し、特に双ロール法等の連続鋳造法に適用するのに適したマグネシウム合金及びマグネシウム合金板の製造方法に関するものである。
マグネシウム合金は、その比重がアルミニウム合金の2/3と実用合金中で最も軽く、切削性、振動吸収性、耐くぼみ性、比強度、電磁シールド性、リサイクル性に優れることから、パソコンおよび各種電気製品の筐体、また、自動車や自動二輪用の部品に広く使用されている。
現状、それらマグネシウム合金製品の多くは、ダイカストやチクソといった鋳造法により製造されているが、製品の表面性状や歩留まり、耐食性などの問題から、展伸材が注目されている。
しかしながら、板状のマグネシウム合金を展伸により製造する技術は十分に確立されているとはいえない。マグネシウム合金板を得る方法としては、スラブ(鋳塊)を熱間・温間で繰返し圧延し薄肉化する方法、ビレットを押出して作製したフラットバーを熱間・温間で繰返し圧延し薄肉化する方法が一般的に知られている。しかしこれらの製法では、圧延の工数が多く手間がかかるため、製造コストが高くなるといった問題がある。
マグネシウム合金板の製造に双ロール法を適用すると、溶湯から直接薄板の製造が可能となり、圧延の工数を削減できるので、製造コストを抑えることができる。また、双ロール法ならではの急冷凝固により、組織が微細化され、高強度かつ良好な耐食性と成形性を付与できるというメリットがある(例えば、引用文献1)。
特開2006−144043号公報
双ロール法により鋳造板が作製される過程について概略説明すると以下の通りである。所定組成に調整された合金溶湯はロール入り側に設置したセラミックス製ノズルから、連続鋳造圧延機に設けられた一対のロール間に向けて供給される。供給された合金溶湯はロールに接触した際に抜熱されるとともに凝固核が形成され、それぞれのロールに接触した表裏両面の表層より板厚方向の中央部に向かって冷却・凝固が進行する。
ロールに接触して形成されたそれら凝固核は一対のロールの中心間を結ぶ直線に向かってその厚みが増し、やがて、板厚方向のある地点でそれぞれ表裏両側から凝固してきた凝固核が板厚方向に全てつながり、初期鋳造板が形成される。その後、初期鋳造板は、一対のロール間で圧下が加えられる。
しかしながら、双ロール法でマグネシウム合金鋳造板を製造する際の問題点として、黒スジ状欠陥が指摘されている。
上記の鋳造圧延過程において、デンドライト間に存在する液相から高濃度の溶質元素(Al、Mn、Zn等)が、圧下により相対的に表層に近い低温側から相対的に板厚方向中央部に近い高温側に押し出されるために、凝固が最も遅く完了(最終凝固)する板厚方向中央部に溶質元素が偏析、濃化し、これに基づく鋳造方向と平行に鋳造板の表面に延びる欠陥が黒スジ状欠陥である。
この欠陥は、いわゆる逆偏析によるものであり、前述したように、板厚方向中央部の溶質元素が濃化した最終凝固部が圧下されることにより、融点の比較的低い粒界を通じて表層まで溶質元素が染み出すことにより形成されるものである。この黒スジ状欠陥は、鋳造板表面を目視で観察しても判別がつきにくいが、酸洗処理や表面処理を行なった場合に明瞭に観察され、その後の圧延や熱処理においても解消されない。また、溶質元素は板厚方向中央部から表層まで到達する過程でその一部は粒界に残留するため、黒スジ状欠陥は表層から板厚方向の深い部分まで連続して形成されており、少々の表面研磨でそれを取り除くことができない。
黒スジ状欠陥は、最終製品において外観不良になるだけでなく、圧延中や成形時に割れの起点となるので、発生を防止したい。
黒スジ状欠陥は、いずれも溶質元素が高くなるにつれて生じやすくなり、高強度を得るための、Al含有量の高いAM系マグネシウム合金やAZ系マグネシウム合金において致命的な問題になりうる。
本発明は、これら問題に鑑みてなされたものであり、鋳造板の黒スジ状欠陥の発生を防止し、実用的で健全性に優れる高強度な鋳造板を得ることのできる新規なマグネシウム合金及びこのマグネシウム合金を用いて黒スジ状欠陥の発生が防止された鋳造板を製造する方法を提供することを目的とするものである。
本発明のマグネシウム合金は、質量%で、Al:2〜10%、Mn:0.1〜0.5%、C:0.004%以上0.03%未満、Zn:1.2%以下(ただし、0%を含む)、残部がMg及び不可避的不純物からなることを特徴とする。
また、本発明のマグネシウム合金板の製造方法は、上記組成を有する合金溶湯を双ロール法により連続鋳造圧延することを特徴とする。
本発明によれば、鋳造板の黒スジ状欠陥の発生を防止し、実用的で健全性に優れる高強度な鋳造板を得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、黒スジ状欠陥の発生を防止することを目的とするが、合金の結晶粒を均一かつ微細化することにより黒スジ状欠陥の発生を防止できること、を本発明者等は鋭意実験および検討を重ねることにより知見した。
<黒スジ状欠陥>
黒スジ状欠陥を防止するには、結晶粒の微細化が効果的である。
マグネシウム合金鋳造板を双ロール法で作製すると、冷却速度が速いので、普通の重力鋳造により得られる組織と比較すると、その組織は微細化されてはいるものの不均一であり、鋳造板組織中に熱流方向(板厚方向)に伸びる伸長粒が生成されやすい。そのような粗大粒が一旦生成されてしまうと、鋳造板の板厚方向中央部と表層とが、粗大粒の周囲に形成される粒界を通じて繋がる。このような組織が形成された後に鋳造板が圧下されると、板厚方向中央部付近で溶質元素が濃化した最終凝固部から溶湯が当該粒界を伝って表層にまで染み出しやすくなる。これに対し、結晶粒が均一かつ微細化され、粗大粒の生成がない場合には、組織中に存在する粒界の密度が増加して溶湯の通り路は網目状となり、溶湯は表層まで染み出しにくくなる。
アルミニウム合金のDC鋳造(Direct chill Casting)においては、Ti、Bを結晶粒微細化のために添加することが一般的であるが、マグネシウム合金で、かつ、双ロール法に結晶粒微細化の効果を導入した例はこれまでに知られていない。本発明では、結晶粒を微細化する方法として、合金中へCを添加する。添加されたCはAlとともに、Alで示される炭化物を形成する。つまり、凝固時に、マグネシウムの結晶粒よりも高い温度域においてAlが多数形成され、これが結晶核として機能することで、隣接するマグネシウム結晶粒が互いに成長を抑制しあうことで結晶粒の均一かつ微細化が図られる。
Cを添加する方法としては、特に限定するものではないが、従来から知られている、ヘキサクロロエタンやサッカロース、もしくは、各種有機物の形態で添加する方法を適用できる。また、以上の固体に限らず、COやCOなどのCを含む気体を溶湯中に吹込む方法も適用できる。
<合金組成>
次に、本発明にかかるマグネシウム合金の化学組成の限定理由について説明する。なお、化学組成の%は、質量%である。
Al(アルミニウム):2〜10%
Alは、鋳造性、強度等の機械的性質および耐食性の向上を目的として積極的に添加される元素である。しかし、Alの含有量が10%を超えると、強度向上の効果が飽和し、黒スジ状欠陥が発生する。また、Alの含有量が2%未満では、十分な鋳造性、強度および耐食性向上の効果が得られない。したがってAlは、2〜10%の範囲内で含有させる。Alは、3〜9%の範囲内で添加されることが強度向上の効果の観点から好ましい。
Mn(マンガン):0.1〜0.5%
Mnは、耐食性を低下させる不純物元素であるFeの影響を緩和する効果を有する元素である。この効果を得るためには、Mnを0.1%以上含有させる。しかし、Mnの含有量が0.5%を超えると、粗大なMn粒が組織中に生成され、圧延性および成形性を悪化させる。そこで本発明は、Mnの含有量を0.1〜0.5%とする。好ましいMnの含有量は、0.2〜0.4%である。
Zn(亜鉛):1.2%以下(ただし、0%を含む)
Znは、Alと同様に、機械的性質向上に寄与する元素であり、本発明では任意元素である。ただし、1.2%を超えて含有されると、耐食性を低下させるおそれがある。そこで本発明は、Znの含有量を1.2%以下とする。その効果を得るためには、0.1%以上含有されることが好ましい。
C(炭素):0.004%以上0.03%未満
Cは、Alを形成することにより、合金中の結晶粒を微細化して、黒スジ状欠陥の発生を防止する。しかし、Cの含有量が0.004%未満では結晶粒微細化の効果が不十分であり、一方、0.03%以上になるとその効果は飽和する。そこで本発明は、Cの含有量を0.004%以上0.03%未満とする。好ましいCの含有量は、0.015〜0.025%である。
<鋳造について>
本発明のマグネシウム合金を鋳造圧延する連続鋳造圧延機は双ロール方式、片ロール方式、ベルト方式等種々のものがあるが、最も一般的なものは双ロール方式の連続鋳造圧延機である。本発明の場合は、双ロール方式およびベルト方式の連続鋳造圧延機を使用することが好ましい。また、双ロール法で作製した鋳造板を直ちに圧延するタンデム方式の連続鋳造圧延機で本発明のマグネシウム合金を製造することも当然可能である。
溶湯を連続鋳造圧延機に供給するためのノズルには、窒化ホウ素などの離型剤を塗布した珪酸カルシウムや窒化ホウ素、アルミナなどを主成分とするセラミックス耐火物を使用し、鋳造圧延機のロール表面には水溶性のグラファイトを塗布することができる。
双ロール法により本発明のマグネシウム合金を鋳造する場合、溶湯温度は合金組成に応じて調整する必要があるが、640〜820℃の範囲から選択すればよい。
連続鋳造圧延により得られる鋳造板は、板厚が8mmを超えると、巻取りの際のハンドリングが容易で無くなるとともに、破断を生じやすくなる。また、実質的に板厚が厚いと、その後の圧延工程で、所定の板厚まで薄肉化するための圧延回数が増えてしまうため、実用的でない。一方、この板厚が2mm未満と薄いと、その後の圧延で圧下が稼げない。したがって、連続鋳造圧延で得られる鋳造板の厚さは、2〜8mmとすることが好ましい。
<均質化熱処理>
連続鋳造圧延で得られる鋳造板を、均質化熱処理に供することができる。均質化熱処理は、デンドライト・セル境界及び板厚方向中央部における溶質元素の偏析を解消するために行う。具体的な熱処理条件としては、370〜470℃の温度範囲に1〜10時間程度保持すればよい。
<圧延(熱間/温間)>
均質化熱処理を行った後、または、均質化熱処理を行わないで、熱間圧延、温間圧延を行い、所定の厚さの連続鋳造圧延板を目的の厚さのマグネシウム合金板にする。ここで、本発明においては、300℃以上で圧延することを熱間圧延、300℃未満で圧延することを温間圧延とする。最終温間圧延工程での圧下率としては、50%以上の圧下率を特に好ましく適用できる。この圧下率は、一回(一パス)の圧延であっても複数回の圧延であってもよくパス数は特に限定されない。
熱間圧延工程と温間圧延工程の間に、あるいは温間圧延工程の途中に中間焼鈍を行うことができる。温間圧延工程では、一回の圧下率が80%を超える場合に中間焼鈍を行なうことが好ましい。一回の温間圧延工程での圧下率が80%以下であっても、二回以上の温間圧延工程でのトータルの圧下率が80%を超える場合には、中間焼鈍工程を設け、その後に最終温間圧延工程を設けることが好ましい。
なお、中間焼鈍の条件としては、300〜350℃の温度範囲で1〜8時間または350〜450℃の温度範囲で1分以下を例示することができる。中間焼鈍は、バッチ炉、連続炉のいずれで行なってもよい。
成分組成を調整した各マグネシウム合金溶湯を双ロール方式の連続鋳造圧延機で鋳造圧延することにより、板厚6mmの鋳造板を作製した。連続鋳造圧延機としては、ロールサイズがφ425×600mmの水冷ロールを備え、ロール圧下を油圧で行なうものを用いた。
得られた鋳造板(以下、試料)の成分組成を分析した。分析は、合金中に含まれるC量については赤外線吸収法で実施し、C以外の主要添加元素についてはICP(Inductively Coupled Plasma(誘導結合プラズマ))分析装置による湿式法で行なった。C量の分析に用いた分析装置、分析方法は以下の通りであり、より具体的には、予め坩堝を1200℃に加熱保持して、不純物としての炭素を揮発・除去した後に、試料を投入し、大気中で1500℃にまで加熱させる。この加熱で試料中の炭素成分は試料から遊離して、大気中の酸素と反応し、CO、COに吸収される赤外線量を測定することで炭素量の定量化を行なう。組成分析の結果を表1に示す。
装置:炭素分析装置CS‐444(LECO製)
分析方法/燃焼‐赤外線吸収法
準拠規格/JIS Z2615金属材料中炭素定量方法通則
JIS G1211鉄及び鋼‐炭素定量方法
Figure 2010242149
得られた試料を用いて、結晶粒のサイズ、黒スジ状欠陥の有無、機械的性質の評価を行った。なお、各評価の方法は以下の通りである。
<結晶粒サイズ>
得られた試料に400℃×10hの熱処理を行った後、直ちに水冷した。次いで、この試料の鋳造圧延方向に平行な断面を研磨し、この研磨面を蒸留水:20mL、ピクリン酸:32mL、エチルアルコール:18mL、氷酢酸:20mLを混合した溶液でエッチングした後に、結晶粒の観察を光学顕微鏡で行なった。この観察に基づいて、切断法により結晶粒のサイズを特定した。
<黒スジ状欠陥>
試料を10%硝酸水溶液に20秒間浸漬させた後に、その表面を目視で観察した。
<機械的性質>
各試料より圧延方向に5号1/2試験片を作製し、初期引張速度3m/minの条件で試験を行なった。
以上の結果を表2に示す。なお、表中、結晶粒サイズについては、平均値と最大値とを、黒スジ状欠陥については、観察されたものを×、観察されなかったものを○で示している。
Figure 2010242149
表2から分かるように、本発明合金においては、60μmを超える粗大粒は観察されず、平均結晶粒サイズは30μm以下と微細である。また、その組織観察より、黒スジ状欠陥は観察されず、健全性が高いことが分かった。さらに、本発明合金は、200MPa以上の引張強さを示している。
それに対し、比較合金においては、C含有量の低いサンプルNo.7、8はいずれも結晶粒が大きく、黒スジ状欠陥が観察された。また、比較合金の中でAl含有量の少ないサンプルNo.6は引張強さが200MPaに達しておらず、その機械的強度が低い。比較合金の中で、Al含有量の多いサンプルNo.9は、黒スジ状欠陥が観察された。

Claims (2)

  1. 質量%で、
    Al:2〜10%、
    Mn:0.1〜0.5%、
    C:0.004%以上0.03%未満、
    Zn:1.2%以下(ただし、0%を含む)、
    残部がMg及び不可避的不純物からなることを特徴とするマグネシウム合金。
  2. 質量%で、
    Al:2〜10%、
    Mn:0.1〜0.5%、
    C:0.004%以上0.03%未満、
    Zn:1.2%以下(ただし、0%を含む)、
    残部がMg及び不可避的不純物からなる合金溶湯を双ロール法により連続鋳造圧延することを特徴とするマグネシウム合金板の製造方法。
JP2009090962A 2009-04-03 2009-04-03 マグネシウム合金及びマグネシウム合金板の製造方法 Withdrawn JP2010242149A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101242895B1 (ko) 2010-12-27 2013-03-12 주식회사 포스코 마그네슘 주조롤의 이형제 분사장치
KR20160053450A (ko) * 2014-11-04 2016-05-13 주식회사 포스코 쌍롤식 박판 주조기 및 이를 이용한 쌍롤식 박판 주조방법

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