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JP2010139912A - 水系媒体中での表面平滑化トナーの製造方法 - Google Patents

水系媒体中での表面平滑化トナーの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、高速のフルカラー画像形成方法において、転写効率を向上させ、各々の転写時に画像欠陥をなくし長期的に再現性のよい画像を出力するトナーの製造方法、及び前記トナーを用いたフルカラー画像形成方法、プロセスカートリッジを提供することを目的とする。
【解決手段】 着色粒子を表面処理してトナーを得るトナーの製造方法において、少なくとも界面活性剤を含む水系媒体中に着色粒子を分散して着色粒子分散液を調整する工程、及び、前記着色粒子分散液を加熱する表面処理工程を含み、前記表面処理工程における前記着色粒子分散液中の界面活性剤量が前記界面活性剤の臨界ミセル濃度の0.1倍以上2.0倍以下であり、かつ前記表面処理工程における加熱温度(T1)がトナーのガラス転移温度(Tg)に対して、−10℃以上10℃未満であることを特徴とするトナーの製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、トナー並びにこれを用いた画像形成方法及びプロセスカートリッジに関する。
近年、電子写真方式の画像形成技術分野では、高速の画像形成が可能で、しかも画像品位の高いカラー画像形成装置(高品位カラー画像形成技術)の開発競争が激化している。このため、フルカラー画像を高速で得るために、画像形成方法において複数の電子写真感光体を直列に並べ、それぞれの電子写真感光体において各色成分ごとの画像を形成し、中間転写体上で重ね合わせ記録材上へ一括転写するいわゆるタンデム方式が多く採用されてきている(例えば、特許文献1、特許文献2)。中間転写体を用いた場合には、現像時に電子写真感光体上に地肌汚れが発生したときには、直接紙などの記録材に地肌汚れが転移することを防止する効果はあるが、中間転写体を用いる方式は、電子写真感光体から中間転写体への転写工程(一次転写)と、中間転写体から最終画像を得る記録材上への転写工程(二次転写)という2回にわたる転写工程を経るため転写効率が低下する。
一方、上記のような問題に加え、より高画質のフルカラー画像形成が要求されており、高画質化への現像剤設計がなされてきている。高画質化、特にフルカラー画質への要求に対応するために、トナーとしてはますます小粒径化が進み、潜像を忠実に再現することが検討されている。この小粒径化に対しては、トナーを所望のトナー形状及び表面構造に制御することを可能とする手段として、重合法によるトナー製造方法が提案されている。(例えば、特許文献3、特許文献4)。重合法トナーでは、トナー粒子の粒径制御に加えて形状制御も可能である。また、これと併せて粒径を小さくすることにより、ドットや細線の再現性がよくなり、パイルハイト(画像層厚)も低くすることが可能となり、より高画質化が期待できる。
しかしながら、小粒径トナーを用いた場合には、トナー粒子と電子写真感光体、又はトナー粒子と中間転写体との非静電的付着力が増加するため、転写効率がさらに低下しやすい。このため、高速のフルカラー画像形成装置において小粒径トナーを使用した場合には、特に二次転写での転写効率の低下が顕著となる。その理由は、トナー小粒径化によりトナー1粒子あたりの中間転写体との非静電的付着力が増加している上に、二次転写では複数色のトナーが重ねあった状態で存在していることと、高速化に伴い二次転写のニップ部においてトナー粒子が転写電界を受ける時間が短くなるため、より転写されにくい条件となるためである。
上記問題点に対処するためには、二次転写の転写電界をさらに強くすることが考えられるが、転写電界を強くしすぎると、中間転写体と記録材の剥離時に放電が生じる等によりかえって転写効率が低下してしまい限界がある。また、二次転写のニップ部の幅を広くすることでトナー粒子が転写電界を受ける時間を長くすることが考えられるが、バイアスローラ等による接触式の電圧印加方式の場合は、ニップ幅を広くするにはバイアスローラの当接圧力を高くするか、あるいは、バイアスローラのローラ径を大きくするかの何れかの方法しかない。当接圧力を高くするのは画像品質との関係から、ローラ径を大きくするのは装置の小型化との関係から、それぞれ限界がある。また、チャージャ等による非接触式の電圧印加方式の場合は、チャージャの数を増やすなどして二次転写のニップ幅を稼がなければならないため、やはり限界がある。そのため、特に高速機では、これ以上の転写効率を得るまでニップ幅を拡げることは実質的には不可能であると言える。
これに対し、トナー粒子と電子写真感光体、又はトナー粒子と中間転写体との非静電的付着力を低減する手段として、添加剤の種類や添加量を調整する(特に粒径の大きい添加剤を添加する)方法が提案されている。(例えば、特許文献5、特許文献6)。この方法により、トナー粒子は非静電的付着力低減効果を得て転写効率を向上させることが可能となるとともに、現像の安定性、クリーニングの向上といった効果も得ることが可能となる。
上述のトナー粒子は、初期的には、画像形成装置の転写効率を向上させることが可能となる。しかしながら、画像形成装置の現像装置内でトナーが長期間攪拌等の機械的ストレスを受けていると、添加剤がトナー母体粒子中に埋没、またはトナー粒子表面に存在する微小な凹凸に進入してしまい、添加剤による付着力低減効果が発揮されなくなり、画像形成装置の転写効率が低下してしまう。特に高速機の場合、現像装置内での攪拌が激しいため、この機械的ストレスが大きく、添加剤のトナー母体中への埋没、進入が加速されやすい。このため、比較的早い段階で転写効率の低下に繋がることが想定される。
このため、高速機において長期に渡り安定して高い転写効率を維持するためには、機械的ストレスを受けても添加剤がトナー母体粒子中に埋没、進入することなく表面に存在できるようにトナーの表面性を制御する必要がある。
特開平07−209952号公報 特開2000−075551号公報 特許第3640918号公報 特開平06−250439号公報 特開2001−066820号公報 特許第3692829号公報
本発明は従来技術の現状に鑑みてなされたものであり、高速のフルカラー画像形成方法において、転写効率を向上させ、各々の転写時に画像欠陥をなくし長期的に再現性のよい画像を出力するトナーの製造方法、及び前記トナーを用いたフルカラー画像形成方法、プロセスカートリッジを提供することを目的とする。
本発明は、下記(1)〜(15)によって解決される。
(1)「着色粒子を表面処理してトナーを得るトナーの製造方法において、少なくとも界面活性剤を含む水系媒体中に着色粒子を分散して着色粒子分散液を調整する工程、及び、前記着色粒子分散液を加熱する表面処理工程を含み、前記表面処理工程における前記着色粒子分散液中の界面活性剤量が前記界面活性剤の臨界ミセル濃度の0.1倍以上2.0倍以下であり、かつ前記表面処理工程における加熱温度(T1)がトナーのガラス転移温度(Tg)に対して、−10℃以上10℃未満であることを特徴とするトナーの製造方法」、
(2)「界面活性剤を含む水系媒体中でトナー材料混合物を造粒することで着色粒子分散液を調整する工程、前記着色粒子分散液を加熱する着色粒子表面処理工程、該分散液から表面処理済み着色粒子をろ過し、乾燥してトナー母体粒子を得る工程、及び、トナー母体粒子へ外添剤を処理してトナーを得る工程を含み、前記着色粒子表面処理工程における着色粒子分散液中の界面活性剤量が界面活性剤の臨界ミセル濃度の0.1倍以上2.0倍以下であり、加熱温度(T1)がトナーのガラス転移温度(Tg)に対して、−10℃以上10℃未満であることを特徴とするトナーの製造方法」、
(3)「前記表面処理工程が、前記トナー母体粒子表面の凹凸を少なくする工程であることを特徴とする前記第(1)項又は第(2)項に記載のトナーの製造方法」、
(4)「前記着色粒子分散液を調整する工程と着色粒子表面処理工程の間に、さらに着色粒子を洗浄する工程を含むことを特徴とする前記第(2)項又は第(3)項に記載のトナー製造方法」、
(5)「前記着色粒子分散液を調整する工程が、少なくとも樹脂、着色剤、離型剤、含むトナー材料を有機溶媒中へ溶解乃至分散させ、該溶解乃至分散物を界面活性剤を含む水系媒体中へ分散させることで、着色粒子分散液を調整する工程であることを特徴とする前記第(2)項乃至第(4)項のいずれかに記載のトナー製造方法」、
(6)「前記着色粒子分散液を調整する工程が、少なくとも変性されていないポリエステル樹脂、ウレア又はウレタン結合し得る変性されたポリエステル樹脂、アミン、着色剤、離型剤を含むトナー材料を有機溶媒中へ溶解乃至分散させ、該溶解乃至分散物を界面活性剤を含む水系媒体中へ分散させ、前記変性されたポリエステル樹脂と前記アミンとを反応させることで得られるウレア又はウレタン結合を有するポリエステル樹脂を含む着色粒子分散液を調整する工程であることを特徴とする前記第(2)項乃至第(5)項のいずれかに記載のトナー製造方法」、
(7)「トナー材料混合物を、造粒することで着色粒子を得る造粒工程、界面活性剤を含む水系媒体中へ前記着色粒子を分散させ着色粒子分散液を調整する工程、前記着色粒子分散液を加熱する着色粒子表面処理工程、表面処理後の着色粒子をろ過乾燥しトナー母体粒子を得る工程、トナー母体粒子へ外添剤を処理してトナーを得る工程を含み、前記着色粒子表面処理工程における着色粒子分散液中の界面活性剤量が界面活性剤の臨界ミセル濃度の0.1倍以上2.0倍以下であり、加熱温度(T1)がトナーのガラス転移温度(Tg)に対して、−10℃以上10℃未満であることを特徴とするトナーの製造方法」
(8)「前記造粒工程がトナー材料を溶融混練し、得られた混合物を粉砕・紛級する工程を含むことを特徴とする前記第(7)項に記載のトナー製造方法」、
(9)「前記第(1)項乃至第(8)項に記載のトナー製造方法で得られるトナー」、
(10)「トナーのBET比表面積(Sbet)と前記トナーの体積平均粒径(Dv)の比Sbet/Dvが2.0×10m/g以上4.0×10m/g未満であることを特徴とする前記第(9)項に記載のトナー」、
(11)「トナーの平均円形度が0.940以上0.970未満であることを特徴とする前記第(9)項又は第(10)項のいずれかに記載のトナー」、
(12)「トナーの体積平均粒径が1.0μm以上6.0μm未満であることを特徴とする前記第(9)項乃至第(11)項のいずれかに記載のトナー」、
(13)「電子写真感光体を帯電手段により帯電させる帯電工程と、前記帯電された電子写真感光体上に露光手段により静電潜像を形成する露光工程と、前記静電潜像が形成された電子写真感光体上に現像手段によりトナーを用いてトナー像を形成する現像工程と、前記電子写真感光体上に形成されたトナー像を一次転写手段により中間転写体上に転写する一次転写工程と、前記中間転写体上に転写されたトナー像を二次転写手段により記録材上に転写する二次転写工程と、前記記録材上に転写されたトナー像を熱及び圧力定着部材を含む定着手段により記録材上に定着させる定着工程と、前記一次転写手段によりトナー像を中間転写体上に転写した電子写真感光体の表面に付着している転写残トナーをクリーニング手段によりクリーニングするクリーニング工程とを備え、前記現像工程におけるトナーが前記第(9)項乃至第(12)項のいずれかに記載のトナーであることを特徴とするフルカラー画像形成方法」、
(14)「前記二次転写工程において、トナー像の記録材への転写の線速度は300〜1000mm/secであり、二次転写手段のニップ部での転写時間は0.5〜20msecであることを特徴とする前記第(13)項に記載のフルカラー画像形成方法」、
(15)「タンデム方式の電子写真画像形成プロセスを採用したことを特徴とする前記第(13)項又は第(14)項に記載のフルカラー画像形成方法」。
以下の詳細かつ具体的な説明から明らかなように、本発明によれば、高速のフルカラー画像形成方法において、転写効率を向上させ、各々の転写時に画像欠陥をなくし長期的に再現性のよい画像を出力するトナーの製造方法、及び前記トナーを用いたフルカラー画像形成方法、プロセスカートリッジを提供することができるという極めて優れた効果が発揮される。
本発明を実施するための最良の形態を必要に応じて図面を参照にして説明する。なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内において本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の説明はこの発明の好ましい実施形態における例であって、この特許請求の範囲を限定するものではない。
本発明のトナーの製造方法は、上記のように、少なくとも界面活性剤を含む水系媒体中に着色粒子を分散して着色粒子分散液を調整する工程、及び、前記着色粒子分散液を加熱する表面処理工程を含み、前記表面処理工程における前記着色粒子分散液中の界面活性剤量が前記界面活性剤の臨界ミセル濃度の0.1倍以上2.0倍以下であり、かつ前記表面処理工程における加熱温度(T1)がトナーのガラス転移温度(Tg)に対して、−10℃以上10℃未満である。このような本発明のトナーの製造方法は典型的には、少なくとも結着樹脂、着色剤を含むトナー用着色粒子が、界面活性剤を含む水系媒体中に分散されてなる着色粒子分散液を調製する工程、及び、前記着色粒子分散液が加熱される表面処理工程を含み、かつ該表面処理工程における着色粒子分散液中の界面活性剤量がその臨界ミセル濃度の0.1倍以上2倍以下であり、かつ表面処理工程における加熱温度(T1)がトナーのガラス転移温度(Tg)に対して、−10℃以上10℃未満である。ここで、本発明においては、「トナー母体」を表面処理が終わり外添処理する前の粒子と想定し、それ以前の表面処理を受けていない粒子を「着色粒子」とする。
我々は既に、架橋反応性の低分子量の結着樹脂成分及び着色剤等のトナー材料を含む有機溶剤液を水系分散液中に液滴状に乳化分散してなるO/W型分散液から脱溶剤処理してトナー母体粒子を得ることを内容とする多くのトナー製造技術を提案してきたが、これら技術の中には、水系分散液として、微細な無機及び/又は樹脂微粒子を分散にしてなる水系分散液を用いるものも多く含まれており、また順序はともかくとして、トナー母体粒子の熟成工程、トナー母体粒子を洗浄して前記O/W型乳化分散液由来の界面活性剤を除去する洗浄工程、及び、トナー母体粒子の界面活性剤処理工程を有するトナー製造技術も幾つか含まれている。本発明者らは、これらについて検討をより深める過程で、熟成時の界面活性剤量をより少ない範囲に制御して熟成を行なうと微小な凹凸の生成が調節され表面平滑化に優れた結果を齎すこと、及び、このような結果は他のケミカルトナー製造技術の場合にも当て嵌まり、さらには、粉砕トナーを用いたトナー製造にも適用可能であること、を知見し、該知見に基いて更なる検討を進めて本発明のトナー製造方法を完成するに至った。
上記製造方法により得られたトナーは、界面活性剤が少量存在する水中でトナーのガラス転移温度に近い温度で加熱することにより、トナートナー用着色粒子中に含まれる結着樹脂成分が弱く軟化し、表面積を小さくするように極微小領域で流動するため、トナー母体粒子表面に存在する数nm〜数百nmの微小な凹凸を緩和して平滑にすることができる。通常、現像装置内の攪拌等によるトナーが機械的ストレスを受けた際に、外添剤がトナー粒子表面の微小な凹凸に進入することで、非静電的付着力が上昇し、転写効率が低下する。特に小粒径トナーを用いた場合には、トナー粒子と電子写真感光体、又はトナー粒子と中間転写体との非静電的付着力が増加するため、より転写効率が低下する。更に、高速機において小粒径トナーを使用した場合には、トナーの小粒径化により中間転写体との非静電的付着力が増加した上に、高速化に伴い転写のニップ部、特に二次転写のニップ部においてトナー粒子が転写電界を受ける時間が短くなるため、二次転写での転写効率の低下が顕著となることが知られている。
本発明の製造方法により得られるトナーでは、トナー粒子表面の微小凹凸が表面処理工程により緩和されているため、前述のような外添剤のトナー粒子の凹凸部への進入による機能低下を防止することが可能となり、トナーが機械的ストレスを受けた際にも、非静電的付着力の上昇を抑制でき、高い転写効率を得ることができる。また、トナー表面の微小凹凸が緩和されることにより、単位重量あたりのトナーの表面積は微小凹凸が存在するトナー表面に比べ小さくなるため、外添剤を一定量加えた場合のトナー表面に対する外添剤の実効被覆率が大きくなる。そのため外添剤による非静電付着力低減の効果が増大するため、トナーが機械的ストレスを受けた際にも、非静電的付着力の上昇を抑制でき、高い転写効率を得ることができる。
本発明では水中で加熱処理を実施しているが、気相中で行なう場合、水中に比べ同一温度でもトナー粒子同士の融着が生じやすく、トナーの粒度分布を悪化させる恐れがある。また気相中で同様の処理を行った場合には、より高い加熱温度が必要となり、さらにトナー粒子の融着を進行させてしまう。界面活性剤濃度が臨界ミセル濃度の2倍より高い場合、加熱をした際に界面活性剤がトナー表面の微小凹凸を保護してしまうため、トナー表面の平滑化が生じず、高い転写効率が得られない。界面活性剤濃度が臨界ミセル濃度の0.1倍未満である場合は、トナー表面の数nm〜数百nmの凹凸のみならず、数μm程度の凹凸も緩和してしまうため、ブレードクリーニング性が悪化してしまう。また臨界ミセル濃度の0.1倍未満である場合には、表面処理工程における加熱によりトナー粒子同士が融着しやすくなり、トナーの粒度分布が悪化してしまう恐れがある。
表面処理工程における加熱温度がトナーのガラス転移温度に対して10℃未満である場合、トナー中の結着樹脂の軟化が生じないため、トナー表面の平滑化が生じず、高い転写効率が得られない。また加熱温度がガラス転移温度に対して10℃以上である場合、本発明のような低界面活性剤濃度では、トナー樹脂の軟化により、トナー粒子同士が融着してしまうため、トナーの粒度分布を悪化させてしまう。
また発明の製造方法は少なくとも結着樹脂、及び着色剤を含むトナー材料を、界面活性剤を含む水系媒体中で調整して得られ、かつ前記界面活性剤を除去する工程を含むことが好ましい。水系媒体中で得られるトナーの場合、トナー材料が分散溶媒である水との親和性を有するため、加熱によりトナー表面の平滑化をより達成しやすい。またそもそもの製造過程において、トナーが水系媒体に分散されている状態を含み、かつ界面活性剤を除去する工程を含むため、表面処理工程に伴う製造プロセスの増大を抑制することができる。
また本発明に用いられる結着樹脂はポリエステル樹脂を含むことが好ましい。ポリエステル樹脂は、低温定着性向上のために低軟化点にした際にも、他の樹脂に比べ対衝撃性に優れるため、トナーの耐ストレスを向上させることができ、かつ分子構造中に親水基を有し、比較的極性が高いため、水系媒体との親和性に優れ、より表面平滑化を達成しやすい。
また本発明の製造方法で得られるトナーは、トナーのBET比表面積(Sbet)とトナーの体積平均粒径(Dv)の比Sbet/Dvが2.0×10m/g以上4.0×10m/g未満であることが好ましい。Sbet/Dvが2.0×10m/g未満である場合、トナー粒子の形状が真球に近くなり、感光体、中間転写体上の転写残トナーのクリーニング性に劣ることがある。また、Sbet/Dvが4.0×10m/g以上である場合、トナー表面の微小凹凸が充分緩和されておらず、高い転写効率が得られないことがある。
また本発明の製造方法で得られるトナーは平均円形度が0.940以上0.970未満であることが好ましい。0.970以上である場合、トナー粒子の形状が真球に近くなり、感光体、中間転写体上の転写残トナーのクリーニング性に劣ることがある。0.940未満である場合、トナー表面に数百nm程度の比較的大きい凹凸が多く存在しているため、本発明において数nm〜数百nmの微小凹凸が緩和されても、高い転写効率が得られないことがある。
また本発明の製造方法で得られるトナーの粒径は、体積平均粒径が1〜6μmとなるように制御される。特にトナーの体積平均粒径が2〜5μmであることが好ましい。1μmよりも小さい場合には、一次転写及び二次転写においてトナーチリが発生しやすく、逆に6μmよりも大きい場合には、ドット再現性が不十分になり、ハーフトーン部分の粒状性も悪化して高精細な画像が得られなくなってしまう。
(臨界ミセル濃度)
水系媒体に対する界面活性剤の臨界ミセル濃度は、表面張力法、電気伝導度法、色素法等により求めることができる。
例えば表面張力計Sigma(KSV Instruments社製)を用いて測定し、Sigmaシステム中の解析プログラムを用いて解析を行なった。界面活性剤を水系媒体に対して0.01wt%ずつ滴下し、攪拌、静置後の界面張力を測定した。得られた表面張力カーブから、界面活性剤の滴下によっても界面張力が低下しなくなる界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度として算出した。
(界面活性剤濃度の測定)
トナー分散液中の界面活性剤濃度の測定としては、例えば以下の方法で行なうことができる。
トナー分散液で使用している界面活性剤を水系媒体に0.01wt%ずつ滴下し、その際の電気伝導度を測定し、界面活性剤の検量線を作成する。トナー分散液の電気伝導度を測定し、得られた検量線より、トナー分散液中での界面活性剤濃度を算出することができる。
(BET比表面積)
トナー粒子のBET比表面積は自動比表面積/細孔分布測定装置(TriStar3000:島津製作所製)を用いて計測した。サンプルセルに試料を約0.5g秤量し、これを前処理スマートプレップ(島津製作所製)にて24時間真空乾燥させ、試料表面の不純物、水分を取り除いた。前処理後のサンプルをTriStar3000にセットし、窒素ガス吸着量と相対圧の関係を求める。この関係からBET多点法によって試料のBET比表面積を求めることができる。
(体積平均粒径)
体積平均粒径(Dv)は、粒度測定器(「マルチサイザーIII」ベックマンコールター社製)を用い、アパーチャー径100μmで測定し、解析ソフト(Beckman Coulter Multisizer 3 Version3.51)にて解析を行なった。具体的にはガラス製100mlビーカーに10wt%界面活性剤(アルキルベンゼンスフォン酸塩ネオゲンSC−A;第一工業製薬性)を0.5ml添加し、各トナー0.5g添加しミクロスパーテルでかき混ぜ、次いでイオン交換水80mlを添加した。得られた分散液を超音波分散器(W−113MK−II本多電子社製)で10分間分散処理した。前記分散液を前記マルチサイザーIIIを用いて、測定用溶液としてアイソトンIII(ベックマンコールター製)を用いて測定を行なった。測定は装置が示す濃度が8±2%に成るように前記トナーサンプル分散液を滴下した。本測定法は粒径の測定再現性の点から前記濃度を8±2%にすることが重要である。この濃度範囲であれば粒径に誤差は生じない。
(平均円形度)
トナーの平均円形度は、下記式(A)で定義される。
Figure 2010139912
フロー式粒子像分析装置(「FPIA−2100」;シスメックス社製)を用いて計測し、解析ソフト(FPIA−2100 Data Processing Program for FPIA version00−10)を用いて解析を行なった。具体的には、ガラス製100mlビーカーに10wt%界面活性剤(アルキルベンゼンスフォン酸塩ネオゲンSC−A;第一工業製薬性)を0.1〜0.5ml添加し、各トナー0.1〜0.5g添加しミクロスパーテルでかき混ぜ、次いでイオン交換水80mlを添加した。得られた分散液を超音波分散器(本多電子社製)で3分間分散処理した。前記分散液を前記FPIA−2100を用いて濃度を5000〜15000個/μlが得られるまでトナーの形状及び分布を測定した。本測定法は平均円形度の測定再現性の点から前記分散液濃度が5000〜15000個/μlにすることが重要である。前記分散液濃度を得るために前記分散液の条件、すなわち添加する界面活性剤量、トナー量を変更する必要がある。界面活性剤量は前述したトナー粒径の測定と同様にトナーの疎水性により必要量が異なり、多く添加すると泡によるノイズが発生し、少ないとトナーを十分にぬらすことができないため、分散が不十分となる。またトナー添加量は粒径のより異なり、小粒径の場合は少なく、また大粒径の場合は多くする必要があり、トナー粒径が3〜7μmの場合、トナー量を0.1〜0.5g添加することにより分散液濃度を5000〜15000個/μlにあわせることが可能となる。
(ガラス転移温度)
ここで、前記トナーのガラス転移温度(Tg)は、例えばDSCシステム(示差走査熱量計)(「DSC−60」島津製作所製)を用いて測定することができる。
まず、ポリエステル樹脂約5.0mgをアルミニウム製の試料容器に入れ、試料容器をホルダーユニットに載せ、電気炉中にセットした。次いで、窒素雰囲気下、20℃から昇温速度10℃/minにて150℃まで加熱した。その後、150℃から降温速度10℃/minにて0℃まで冷却させ、更に昇温速度10℃/minにて150℃まで加熱し、示差走査熱量計(「DSC−60」島津製作所製)により、DSC曲線を計測した。得られたDSC曲線から、DSC−60システム中の解析プログラムを用いて、2回目の昇温時におけるDSC曲線のショルダーを選択し、トナーのガラス転移温度(Tg)を算出できる。
[本発明を構成する各トナー材料]
<結着樹脂>
前記結着樹脂は、低温定着性向上のために低軟化点にした際にも、他の樹脂に比べ対衝撃性に優れるため、トナーの耐ストレスを向上させることができ、かつ分に分子構造中に親水基を有し、比較的極性が高いため、水系媒体との親和性に優れ、より表面平滑化を達成しやすい。良好な低温定着性が得られることから、ポリエステル樹脂が好ましい。また結着樹脂の他に、着色剤を含むことが好ましく、さらには、ワックス等の離型剤その他後述のような副成分を含むことができる。
−ポリエステル樹脂−
前記ポリエステル樹脂としては、特に制限はなく、ポリエステル樹脂の分子量、構成モノマーなどが、目的に応じて適宜選択することができる。前記ポリエステル樹脂は、多価アルコールと多価カルボン酸を脱水縮合することにより得られる。前記多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールAにエチレンオキシド、プロピレンオキシド等の環状エーテルを付加することにより得られる2価のアルコール等が挙げられる。なお、ポリエステル樹脂を架橋させるためには、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタトリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン等の3価以上のアルコールを併用することが好ましい。
前記多価カルボン酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のべンゼンジカルボン酸類又はその無水物、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等のアルキルジカルボン酸類又はその無水物、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸等の不飽和二塩基酸、マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物等の不飽和二塩基酸無水物、トリメット酸、ピロメット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシ−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラキス(メチレンカルボキシ)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、これらの無水物、部分低級アルキルエステル等が挙げられる。
また、前記ポリエステル樹脂は、トナーの定着性、耐オフセット性の観点から、THFに可溶な成分の分子量分布において、分子量が3,000〜50,000の領域に少なくとも1つのピークを有することが好ましく、分子量5,000〜20,000の領域に少なくとも1つのピークを有することが更に好ましい。更に、ポリエステル樹脂のTHFに可溶な成分は、分子量が100,000以下である成分の含有量が60〜100質量%であることが好ましい。ここで、ポリエステル樹脂の分子量分布は、例えば、THFを溶媒としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
前記ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)としては、トナーの保存性の観点から、55〜80℃が好ましく、60〜75℃がより好ましい。前記Tgが55〜80℃であると、トナーの高温保存時における安定性に優れ、トナーの低温定着性に優れる。
また、前記結着樹脂は、ポリエステル樹脂以外の樹脂を含有してもよい。前記ポリエステル樹脂以外の樹脂としては、例えば、スチレン系単量体、アクリル系単量体、メタクリル系単量体等の単独重合体又は共重合体、ポリオール樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、石油系樹脂等が挙げられる。前記ポリエステル樹脂以外の樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。前記離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、融点が60〜90℃の低融点の離型剤が好ましい。低融点の離型剤は、前記樹脂と分散されることにより、離型剤として効果的に定着ローラとトナー界面との間で働き、これによりオイルレス(定着ローラにオイルの如き離型剤を塗布しない)でもホットオフセット性が良好である。特に本発明では、定着補助成分の導入によるトナーの低温定着化によって、定着ローラ温度が従来より低い設定温度で使用することが想定されるため、より低温で離型性を発揮する必要がある。そのため、融点90℃以上の離型剤が好適に用いられる。また、離型剤の融点が、60℃未満である場合、トナーの高温保存性が劣る場合があり、得られる画像を劣化させる恐れがある。
前記ロウ類及びワックス類としては、例えば、カルナウバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等の植物系ワックス;ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス;オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス;パラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックス;などの天然ワックスが挙げられる。また、これら天然ワックスのほか、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレン等の合成炭化水素ワックス;エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックス;などが挙げられる。更に、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド系化合物;低分子量の結晶性高分子樹脂である、ポリ−n−ステアリルメタクリレート、ポリ−n−ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体あるいは共重合体(例えば、n−ステアリルアクリレート−エチルメタクリレートの共重合体等);側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子、などを用いてもよい。
これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。前記離型剤の中でも、本発明の離型剤としては、パラフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の炭化水素系ワックスが好ましい。前記炭化水素系ワックスは、本発明の定着補助成分との相溶性が低いため、互いの機能を損なうことなく独立して作用することができるため、十分な低温定着性を得ることができる。
着色剤としては、公知の染料及び顔料の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロロオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロムバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトポン等が挙げられ、2種以上併用してもよい。
トナー材料中の着色剤の含有量は、1〜15重量%であることが好ましく、3〜10重量%がさらに好ましい。この含有量が、1重量%未満であると、トナーの着色力が低下することがあり、15重量%を超えると、トナー中での顔料の分散不良が起こり、着色力の低下及びトナーの電気特性の低下を招くことがある。着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして使用してもよい。このような樹脂としては、例えば、ポリエステル、スチレン又はその置換体の重合体、スチレン系共重合体、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス等が挙げられ、2種以上併用してもよい。
スチレン又はその置換体の重合体としては、例えば、ポリスチレン、ポリ(p−クロロスチレン)、ポリビニルトルエン等が挙げられる。スチレン系共重合体としては、例えば、スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタレン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロロメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等が挙げられる。
マスターバッチは、高せん断力をかけて、樹脂と着色剤を混合又は混練させて製造することができる。この際、着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶媒を添加することが好ましい。また、いわゆるフラッシング法も着色剤のウエットケーキをそのまま用いることができ、乾燥する必要がない点で好適である。フラッシング法は、着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶媒と共に混合又は混練し、着色剤を樹脂側に移行させて水及び有機溶媒を除去する方法である。混合又は混練には、例えば、三本ロールミル等の高せん断分散装置を用いることができる。
本発明のトナーは、帯電制御剤、無機微粒子、クリーニング性向上剤、磁性材料等をさらに含有することができる。
帯電制御剤としては、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、リンの単体又は化合物、タングステンの単体又は化合物、フッ素系界面活性剤、サリチル酸の金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩等が挙げられ、2種以上併用してもよい。
帯電制御剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、ニグロシン系染料のボントロン03、4級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、4級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、4級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、4級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、スルホン酸基、カルボキシル基、4級アンモニウム塩基等の官能基を有する高分子系の化合物等が挙げられる。
トナー組成物中の帯電制御剤の含有量は、例えば、結着樹脂に対して、0.1〜10重量%であることが好ましく、0.2〜5重量%がさらに好ましい。この含有量が、0.1重量%未満であると、帯電制御性が得られないことがあり、10重量%を超えると、トナーの帯電性が大きくなりすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させて、現像ローラーとの静電的吸引力が増大し、トナーの流動性低下や画像濃度の低下を招くことがある。
無機微粒子は、トナーに流動性、現像性、帯電性等を付与するための外添剤として用いられる。無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等が挙げられ、2種以上併用してもよい。無機微粒子は、一次粒径が5nm〜2μmであることが好ましく、5〜500nmがさらに好ましい。トナー中の無機微粒子の含有量は、0.01〜5.0重量%であることが好ましく、0.01〜2.0重量%がさらに好ましい。また、無機微粒子は、流動性向上剤で表面処理されていることが好ましい。これにより、無機微粒子の疎水性が向上し、高湿度下においても流動性や帯電性の低下を抑制することができる。流動性向上剤としては、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル等が挙げられる。シリカ、酸化チタンは、流動性向上剤で表面処理し、疎水性シリカ、疎水性酸化チタンとして用いることが好ましい。
クリーニング性向上剤は、転写後に感光体や一次転写媒体に残存するトナーを除去しやすくするために用いられる。クリーニング性向上剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩、ポリメタクリル酸メチル微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合により製造されたポリマー微粒子等が挙げられる。ポリマー微粒子は、比較的粒度分布が狭いものが好ましく、体積平均粒径が0.01〜1μmであることが好ましい。
磁性材料としては、例えば、鉄粉、マグネタイト、フェライト等が挙げられる。なお、磁性材料は、トナーの色調の点から、白色のものが好ましい。本発明のトナーは、低温定着性及び耐オフセット性に優れ、長期に亘り、高品位な画像を形成することができる。したがって、本発明のトナーは、各種分野で使用することができ、特に、電子写真法による画像形成に使用することが好ましい。
−トナーの製造方法−
前記トナー母体粒子の製造方法としては、水系媒体中での表面平滑化処理工程を含む限りは、従来公知のトナーの製造方法の中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、混練・粉砕法、重合法、溶解懸濁法、噴霧造粒法等が挙げられる。その中でもトナー材料が分散溶媒である水との親和性を有するため、加熱によりトナー粒子表面の平滑化をより達成しやすく、そもそもの製造過程において、トナーが水系媒体に分散されている状態を含み、かつ界面活性剤を除去する工程を含むため、表面処理工程に伴う製造プロセスの増大を抑制することができる点から、重合法、溶解懸濁法が好ましい。
−混練・粉砕法−
前記混練・粉砕法は、例えば、少なくとも結着樹脂、離型剤、及び定着補助成分を含有するトナー材料を溶融混練し、得られた混練物を粉砕し、分級することにより、前記トナーの母体粒子を製造する方法である。前記溶融混練では、前記トナー材料を混合し、該混合物を溶融混練機に仕込んで溶融混練する。該溶融混練機としては、例えば、一軸又は二軸の連続混練機や、ロールミルによるバッチ式混練機を用いることができる。例えば、神戸製鋼所製KTK型二軸押出機、東芝機械社製TEM型押出機、ケイシーケイ社製二軸押出機、株式会社池貝製PCM型二軸押出機、ブス社製コニーダー等が好適に用いられる。この溶融混練は、結着樹脂の分子鎖の切断を招来しないような適正な条件で行なうことが好ましい。具体的には、溶融混練温度は、結着樹脂の軟化点を参考にして行われ、該軟化点より高温過ぎると切断が激しく、低温すぎると分散が進まないことがある。
前記粉砕では、前記混練で得られた混練物を粉砕する。この粉砕においては、まず、混練物を粗粉砕し、次いで微粉砕することが好ましい。この際ジェット気流中で衝突板に衝突させて粉砕したり、ジェット気流中で粒子同士を衝突させて粉砕したり、機械的に回転するローターとステーターの狭いギャップで粉砕する方式が好ましく用いられる。
前記分級は、前記粉砕で得られた粉砕物を分級して所定粒径の粒子に調整する。前記分級は、例えば、サイクロン、デカンター、遠心分離器等により、微粒子部分を取り除くことにより行なうことができる。前記粉砕及び分級が終了した後に、粉砕物を遠心力などで気流中にて分級し、所定の粒径のトナー母体粒子を製造することができる。
次いで、外添剤のトナー母体粒子への外添が行われる。トナー母体粒子と外添剤とをミキサーを用い、混合及び攪拌することにより外添剤が解砕されながらトナー母体粒子表面に被覆される。この時、無機微粒子や樹脂微粒子等の外添剤を均一かつ強固にトナー母体粒子に付着させることが耐久性の点で重要である。
−重合法−
前記重合法によるトナーの製造方法としては、例えば、有機溶媒中に少なくともウレア又はウレタン結合し得る変性されたポリエステル系樹脂、離型剤、及び定着助剤を含むトナー材料を溶解乃至分散させる。そして、この溶解乃至分散物を水系媒体中に分散し、重付加反応させ、この分散液の溶媒を除去し、界面活性剤等を洗浄して得られる。
前記ウレア又はウレタン結合し得る変性されたポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエステルの末端のカルボキシル基や水酸基等と多価イソシアネート化合物(PIC)とを反応させた、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーなどが挙げられる。そして、このポリエステルプレポリマーとアミン類等の活性水素基含有化合物との反応により分子鎖が架橋及び/又は伸長されて得られる変性ポリエステル樹脂は、低温定着性を維持しながらホットオフセット性を向上させることができる。
前記多価イソシアネート化合物(PIC)としては、例えば脂肪族多価イソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート等);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネート等);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等);イソシアネート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタム等でブロックしたもの、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記多価イソシアネート化合物(PIC)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、5/1〜1/1が好ましく、4/1〜1.2/1がより好ましく、2.5/1〜1.5/1が更に好ましい。
前記イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有されるイソシアネート基は、1個以上が好ましく、平均1.5〜3個がより好ましく、平均1.8〜2.5個が更に好ましい。
前記ポリエステルプレポリマーと反応させるアミン類(B)としては、2価アミン化合物(B1)、3価以上の多価アミン化合物(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。前記2価アミン化合物(B1)としては、例えば芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン等);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミン等);脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等)などが挙げられる。前記3価以上の多価アミン化合物(B2)としては、例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。前記アミノアルコール(B3)としては、例えばエタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。前記アミノメルカプタン(B4)としては、例えばアミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。前記アミノ酸(B5)としては、例えばアミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。前記B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、例えば前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリジン化合物などが挙げられる。これらアミン類(B)の中でも、B1及びB1と少量のB2の混合物が特に好ましい。
前記アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、1/2〜2/1が好ましく、1.5/1〜1/1.5がより好ましく、1.2/1〜1/1.2が更に好ましい。
上記のような重合法によるトナーの製造方法によれば、小粒径かつ球形状トナーを環境負荷少なく、低コストで作製することができる。
(表面処理工程)
本発明のトナーは、水系媒体中にトナーが分散されてなるトナー分散液を加熱するトナー表面平滑化工程を含む。粉砕法、噴霧造粒法により作成されたトナーでは、水系媒体中に界面活性剤を添加した後、トナーを加え高速せん断分散機にて分散させることでトナー分散液を得ることができる。重合法では、洗浄工程において、トナー分散液中の界面活性剤量を本発明における界面活性剤濃度である臨界ミセル濃度の2倍以下に調整した後、表面処理工程を実施することが好ましい。
(水系媒体)
水系媒体としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、水、水と混和可能な溶剤、これらの混合物、などを用いることができるが、これらの中でも、水が特に好ましい。水と混和可能な溶剤としては、水と混和可能であれば特に制限はなく、例えば、アルコール、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類、低級ケトン類、などを用いることができる。アルコールとしては、例えば、メタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等が挙げられる。また、低級ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の現像剤は、本発明のトナーを有するが、キャリア等の成分をさらに有してもよく、トナーからなる一成分現像剤、トナー及びキャリアからなる二成分現像剤等として、用いることができるが、近年の情報処理速度の向上に対応した高速プリンタ等には、寿命向上等の点で、二成分現像剤を用いることが好ましい。このような現像剤は、磁性一成分現像法、非磁性一成分現像法、二成分現像法等の公知の各種電子写真法に用いることができる。本発明の現像剤を一成分現像剤として用いると、トナーの収支が行われても、トナーの粒径の変動が少なく、現像ローラへのトナーのフィルミングやトナーを薄層化するためのブレード等の部材へのトナーの融着を抑制することができ、現像装置の長期の使用(撹拌)においても、良好で安定した現像性が得られる。また、本発明の現像剤を二成分現像剤として用いると、長期に亘るトナーの収支が行われても、トナーの粒径の変動が少なく、現像装置における長期の攪拌においても、良好で安定した現像性が得られる。
二成分現像剤中のキャリアの含有量は、90〜98重量%であることが好ましく、93〜97重量%がさらに好ましい。キャリアは、特に限定されないが、芯材と、芯材を被覆する樹脂層を有することが好ましい。芯材の材料としては、例えば、50〜90emu/gのマンガン−ストロンチウム(Mn−Sr)系材料、マンガン−マグネシウム(Mn−Mg)系材料等が挙げられ、二種以上併用してもよい。なお、画像濃度の確保の点では、芯材として、鉄粉(100emu/g以上)、マグネタイト(75〜120emu/g)等の高磁化材料を用いることが好ましい。また、トナーが穂立ち状態となっている感光体への当りを弱くでき、高画質化に有利である点では、芯材として、銅−ジンク(Cu−Zn)系(30〜80emu/g)等の弱磁化材料を用いることが好ましい。
芯材は、体積平均粒径(D50)が10〜150μmであることが好ましく、20〜80μmがさらに好ましい。D50が10μm未満であると、キャリアの粒径分布において、微粉が多くなるため、1粒子当たりの磁化が低下して、キャリアの飛散が生じることがある。一方、D50が150μmを超えると、キャリアの比表面積が低下して、トナーの飛散が生じることがある。その結果、ベタ部分の多いフルカラーでは、特にベタ部の再現性が低下することがある。
樹脂層の材料としては、例えば、アミノ系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリフッ化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、フッ化ビニリデンとアクリル単量体の共重合体、フッ化ビニリデンとフッ化ビニルの共重合体、テトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンと非フッ化単量体のターポリマー等のフルオロターポリマー、シリコーン樹脂等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
アミノ系樹脂としては、例えば、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。ポリビニル系樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等が挙げられる。また、ポリスチレン系樹脂としては、例えば、ポリスチレン、スチレン−アクリル共重合体等が挙げられる。ハロゲン化オレフィン樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。
また、樹脂層は、必要に応じて、導電粉等を含有してもよい。導電粉の材料としては、例えば、金属、カーボンブラック、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛等が挙げられる。なお、導電粉は、平均粒径が1μm以下であることが好ましい。平均粒径が1μmを超えると、電気抵抗の制御が困難になることがある。樹脂層は、例えば、シリコーン樹脂等を溶剤に溶解させて塗布液を調製した後、公知の塗布方法により、芯材の表面に塗布液を塗布して、乾燥及び焼付を行なうことにより形成することができる。塗布方法としては、例えば、浸漬法、スプレー法、ハケ塗り法等が挙げられる。また、溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、セルソルブチルアセテート等が挙げられる。さらに、焼付方法としては、外部加熱方式及び内部加熱方式のいずれであってもよく、例えば、固定式電気炉、流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉等を用いる方法、マイクロ波を用いる方法等が挙げられる。
キャリア中の樹脂層の含有量は、0.01〜5.0重量%が好ましい。この含有量が0.01重量%未満であると、芯材の表面に均一な樹脂層を形成できないことがあり、5.0重量%を超えると、樹脂層が厚くなり過ぎてキャリア同士の合体造粒が発生して、均一なキャリアが得られないことがある。
本発明の現像剤は、磁性一成分現像方法、非磁性一成分現像方法、二成分現像方法等の公知の各種電子写真法による画像形成に好適に用いることができる。
本発明の現像剤収容容器は、本発明の現像剤が収容されているが、容器としては、特に限定されず、公知のものの中から適宜選択することができるが、容器本体とキャップを有するもの等が挙げられる。また、容器本体の大きさ、形状、構造、材質等は、特に限定されないが、形状は、円筒状等であることが好ましく、内周面にスパイラル状の凹凸が形成され、回転させることにより、内容物である現像剤が排出口側に移行することが可能であり、スパイラル状の凹凸の一部又は全てが蛇腹機能を有することが特に好ましい。さらに、材質は、特に限定されないが、寸法精度がよいものであることが好ましく、例えば、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアクリル酸、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール樹脂等の樹脂材料が挙げられる。
現像剤収容容器は、保存、搬送等が容易であり、取扱性に優れるため、後述するプロセスカートリッジ、画像形成装置等に着脱可能に取り付け、現像剤の補給に使用することができる。
[フルカラー画像形成方法]
本発明のフルカラー画像形成方法は、電子写真感光体を帯電手段により帯電させる帯電工程と、前記帯電された電子写真感光体上に露光手段により静電潜像を形成する露光工程と、前記静電潜像を形成された電子写真感光体上にトナーを含む現像手段によりトナー像を形成する現像工程と、前記電子写真感光体上に形成されたトナー像を一次転写手段により中間転写体上に転写する一次転写工程と、前記中間転写体上に転写されたトナー像を二次転写手段により記録材上に転写する二次転写工程と、前記記録材上に転写されたトナー像を熱及び圧力定着部材を含む定着手段により記録材上に定着させる定着工程と、前記一次転写手段によりトナー像を中間転写体上に転写した電子写真感光体の表面に付着している転写残トナーをクリーニング手段によりクリーニングするクリーニング工程とを備えている。そして、現像工程において使用するトナーが、上述の本発明の製造方法で製造されたトナーである。本発明のフルカラー画像形成方法は、二次転写工程において、トナー像の記録材への転写の線速度は300〜1000mm/secであり、二次転写手段のニップ部での転写時間は0.5〜20msecとすることが好ましい。また、本発明のフルカラー画像形成方法は、タンデム方式の電子写真画像形成プロセスを採用することが好ましい。
(帯電工程)
本発明の画像形成方法において使用される帯電装置としては、例えば図1及び図2に示した接触式の帯電装置を用いることができる。
<ローラ式帯電装置>
図1に接触式帯電装置の一種であるローラ式帯電装置(500)の一例の概略構成を示した。被帯電体である像担持体としての感光体(505)は矢印の方向に所定の速度(プロセススピード)で回転駆動される。この感光体(505)に接触させた帯電部材である帯電ローラ(501)は芯金(502)とこの芯金(502)の外周に同心一体にローラ上に形成した導電ゴム層(503)を基本構成とし、芯金の両端を不図示の軸受け部材などで回転自由に保持させるとともに、不図示の加圧手段によって感光ドラムに所定の加圧力で押圧させており、本図の場合はこの帯電ローラ(501)は感光体(505)の回転駆動に従動して回転する。帯電ローラ(501)は、直径9mmの芯金上に100,000Ω・cm程度の中抵抗の導電ゴム層(503)を被膜して直径16mmに形成されている。帯電ローラ(501)の芯金(502)と図示の電源(504)とは電気的に接続されており、電源(504)により帯電ローラ(501)に対して所定のバイアスが印加される。これにより感光体(505)の周面が所定の極性、電位に一様に帯電処理される。
<ファーブラシ式帯電装置>
本発明で使われる帯電装置の形状としてはローラ式帯電装置の他にも、磁気ブラシ式帯電装置、ファーブラシ式帯電装置など、どのような形態をとってもよく、電子写真装置の仕様や形態にあわせて選択可能である。磁気ブラシ式帯電装置を用いる場合、磁気ブラシは例えばZn−Cuフェライト等、各種フェライト粒子を帯電部材として用い、これを支持させるための非磁性の導電スリーブ、これに内包されるマグネットロールによって構成される。また、ファーブラシ式帯電装置を用いる場合、例えばファーブラシの材質としては、カーボン、硫化銅、金属、および金属酸化物により導電処理されたファーを用い、これを金属や他の導電処理された芯金に巻き付けたり張り付けたりすることで帯電装置とする。
図2に接触式のブラシ式帯電装置(510)の一例の概略構成を示した。被帯電体としての像担持体としての感光体(515)は矢印の方向に所定の速度(プロセススピード)で回転駆動される。この感光体(515)に対して、ファーブラシによって構成されるファーブラシローラ(511)が、ブラシ部(513)の弾性に抗して所定の押圧力をもって所定のニップ幅で接触させてある。
本例における接触式帯電装置としてのファーブラシローラ(511)は、電極を兼ねる直径6mmの金属製の芯金(512)に、ブラシ部(513)としてユニチカ(株)製の導電性レーヨン繊維REC−Bをパイル地にしたテープをスパイラル状に巻き付けて、外径14mm、長手方向長さ250mmのロールブラシとしたものである。ブラシ部(513)のブラシは300デニール/50フィラメント、1平方ミリメートル当たり155本の密度である。このロールブラシを内径が12mmのパイプ内に一方向に回転させながらさし込み、ブラシと、パイプが同心となるように設定し、高温多湿雰囲気中に放置してクセ付けで斜毛させた。
ファーブラシローラ(511)の抵抗値は印加電圧100Vにおいて1×10E5Ωである。この抵抗値は、金属製の直径φ30mmのドラムにファーブラシローラをニップ幅3mmで当接させ、100Vの電圧を印加したときに流れる電流から換算した。このブラシ式帯電装置(510)の抵抗値は、被帯電体である感光体(515)上にピンホール等の低耐圧欠陥部が生じた場合にもこの部分に過大なリーク電流が流れ込んで帯電ニップ部が帯電不良になる画像不良を防止するために10E4Ω以上必要であり、感光体(515)表面に十分に電荷を注入させるために10E7Ω以下である必要がある。
ブラシの材質としては、ユニチカ(株)製のREC−B以外にも、REC−C、REC−M1、REC−M10、さらに東レ(株)製のSA−7、日本蚕毛(株)製のサンダーロン、カネボウ製のベルトロン、クラレ(株)のクラカーボ、レーヨンにカーボンを分散したもの、三菱レーヨン(株)製のローバル等が考えられる。ブラシは一本が3〜10デニールで、10〜100フィラメント/束、80〜600本/mmの密度が好ましい。毛足は1〜10mmが好ましい。
このファーブラシローラ(511)は感光体(515)の回転方向と逆方向(カウンター)に所定の周速度(表面の速度)をもって回転駆動され、感光体面に対して速度差を持って接触する。そしてこのブラシローラ(511)に電源(514)から所定の帯電電圧が印加されることで、回転感光体面が所定の極性・電位に一様に接触帯電処理される。
本例では該ファーブラシローラ(511)による感光体(515)の接触帯電は直接注入帯電が支配的となって行なわれ、回転感光体表面はファーブラシローラ(511)に対する印加帯電電圧とほぼ等しい電位に帯電される。
本発明で使われる帯電部材の形状としてはファーブラシローラ(511)の他にも、帯電ローラ、ファーブラシなど、どのような形態をとってもよく、電子写真装置の仕様や形態にあわせて選択可能である。帯電ローラを用いる場合、芯金上に100000Ω・cm程度の中抵抗ゴム層を被膜して用いるのが一般的である。磁気ブラシを用いる場合、磁気ブラシは例えばZn−Cuフェライト等、各種フェライト粒子を帯電部材として用い、これを支持させるための非磁性の導電スリーブ、これに内包されるマグネットロールによって構成される。
<磁気ブラシ式帯電装置>
図2は、磁気ブラシ式帯電装置の例の概略構成を示した図でもある。被帯電体、像担持体としての感光体(515)は矢印の方向に所定の速度(プロセススピード)で回転駆動される。この感光体(515)に対して、磁気ブラシによって構成されるブラシローラ(511)が、ブラシ部(513)の弾性に抗して所定の押圧力をもって所定のニップ幅で接触させてある。
本例における接触帯電部材としての磁気ブラシとしては、平均粒径:25μmのZn−Cuフェライト粒子と、平均粒径10μmのZn−Cuフェライト粒子を、重量比1:0.05で混合して、それぞれの平均粒径の位置にピークを有する、平均粒径25μmのフェライト粒子を、中抵抗樹脂層でコートした磁性粒子を用いた。接触帯電部材は、上述で作成された被覆磁性粒子、および、これを支持させるための非磁性の導電スリーブ、これに内包されるマグネットロールによって構成され、上記被覆磁性粒子をスリーブ上に、厚さ1mmでコートして、感光体との間に幅約5mmの帯電ニップを形成した。また、該磁性粒子保持スリーブと感光体との間隙は、約500μmとした。さらに、マグネットロールは、スリーブ表面が、感光体表面の周速に対して、その2倍の速さで逆方向に摺擦するように、回転され、感光体と磁気ブラシとが均一に接触するようにした。
(現像工程)
本発明において感光体の潜像を現像するに際しては、交互電界を印加することが好ましい。図3に示した現像器(600)において、現像時、現像スリーブ(601)には、電源(602)により現像バイアスとして、直流電圧に交流電圧を重畳した振動バイアス電圧が印加される。背景部電位と画像部電位は、上記振動バイアス電位の最大値と最小値の間に位置している。これによって現像部(603)に向きが交互に変化する交互電界が形成される。この交互電界中で現像剤のトナーとキャリアが激しく振動し、トナー(605)が現像スリーブ(601)およびキャリアへの静電的拘束力を振り切って感光体(604)に飛翔し、感光体の潜像に対応して付着する。なお、トナー(605)は、上述の本発明の製造方法で製造されたトナーである。
振動バイアス電圧の最大値と最小値の差(ピーク間電圧)は、0.5〜5kVが好ましく、周波数は1〜10kHzが好ましい。振動バイアス電圧の波形は、矩形波、サイン波、三角波等が使用できる。振動バイアスの直流電圧成分は、上記したように背景部電位と画像部電位の間の値であるが、画像部電位よりも背景部電位に近い値である方が、背景部電位領域へのかぶりトナーの付着を防止する上で好ましい。
振動バイアス電圧の波形が矩形波の場合、デューティ比を50%以下とすることが望ましい。ここでデューティ比とは、振動バイアスの1周期中でトナーが感光体に向かおうとする時間の割合である。このようにすることにより、トナーが感光体に向かおうとするピーク値とバイアスの時間平均値との差を大きくすることができるので、トナーの運動がさらに活発化し、トナーが潜像面の電位分布に忠実に付着してざらつき感や解像力を向上させることができる。またトナーとは逆極性の電荷を有するキャリアが感光体に向かおうとするピーク値とバイアスの時間平均値との差を小さくすることができるので、キャリアの運動を沈静化し、潜像の背景部にキャリアが付着する確率を大幅に低減することができる。
(定着装置)
本発明の画像形成方法において使用される定着装置としては、例えば図4に示した帯電装置を用いることができる。図4に示す定着装置は、誘導加熱手段(760)の電磁誘導により加熱される加熱ローラ(710)と、該加熱ローラ(710)と平行に配置された定着ローラ(720)(対向回転体)と、該加熱ローラ(710)と定着ローラ(720)とに張り渡され、該加熱ローラ(710)により加熱されるとともに少なくともこれらの何れかのローラの回転により矢印A方向に回転する無端帯状の定着ベルト(耐熱性ベルト、トナー加熱媒体)(730)と、該定着ベルト(730)を介して定着ローラ(720)に圧接されるとともに定着ベルト(730)に対して順方向に回転する加圧ローラ(740)(加圧回転体)とから構成されている。
加熱ローラ(710)は例えば鉄、コバルト、ニッケルまたはこれら金属の合金等の中空円筒状の磁性金属部材からなり、外径を例えば20〜40mm、肉厚を例えば0.3〜1.0mmとして、低熱容量で昇温の早い構成となっている。
定着ローラ(720)(対向回転体)は、例えばステンレススチール等の金属製の芯金(721)と、耐熱性を有するシリコーンゴムをソリッド状または発泡状にして芯金(721)を被覆した弾性部材(722)とからなる。そして、加圧ローラ(740)からの押圧力でこの加圧ローラ(740)と定着ローラ(720)との間に所定幅の接触部を形成するために外形を20〜40mm程度として加熱ローラ(710)より大きくしている。弾性部材(722)は、その肉厚を4〜6mm程度としている。この構成により、加熱ローラ(710)の熱容量は定着ローラ(720)の熱容量より小さくなるので、加熱ローラ(710)が急激に加熱されてウォームアップ時間が短縮される。
加熱ローラ(710)と定着ローラ(720)とに張り渡された定着ベルト(730)は、誘導加熱手段(760)により加熱される加熱ローラ(710)との接触部位(W1)で加熱される。そして、加熱ローラ(710)と定着ローラ(720)の回転によって定着ベルト(730)の内面が連続的に加熱され、結果としてベルト全体に渡って加熱される。図中、符号(742)は弾性部材を、符号(750)は温度検知部材を、それぞれ示す。
図5に定着ベルト(730)の層構成を示す。ベルト(730)の構成は、内層から表層に向かって下記4層であり、以下のようにすることができる。
・基体(731):ポリイミド(PI)樹脂などの樹脂層
・発熱層(732):Ni、Ag、SUS等の導電材料層
・中間層(733):均一定着のための弾性層
・離型層(734):離型効果とオイルレス化のための弗素樹脂材料等の樹脂層
離型層(734)の厚さとしては、10μmから300μm程度が望ましく、特に200μm程度が望ましい。このようにすれば、図4に示すような定着装置(700)において、記録材(770)上に形成されたトナー像(T)を定着ベルト(730)の表層部が十分に包み込むため、トナー像(T)を均一に加熱溶融することが可能になる。離型層(734)の厚さ、即ち表面離型層は経時耐磨耗性を確保するためには最低10μmは必要である。また、離型層(734)の厚さが300μmよりも大きい場合には、定着ベルト(730)の熱容量が大きくなってウォームアップにかかる時間が長くなる。さらに、トナー像定着工程において定着ベルト(730)の表面温度が低下しにくくなって、定着部出口における融解したトナーの凝集効果が得られず、定着ベルト(730)の離型性が低下してトナー像(T)のトナーが定着ベルト(730)に付着し、いわゆるホットオフセットが発生する。なお、定着ベルト(730)の基体として、上記金属からなる発熱層(732)としてもよいが、フッ素系樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、PEEK樹脂、PES樹脂、PPS樹脂などの耐熱性を有する樹脂層を用いてもよい。
加圧ローラ(740)は、たとえば銅またはアルミ等の熱伝導性の高い金属製の円筒部材からなる芯金(741)と、この芯金(741)の表面に設けられた耐熱性およびトナー離型性の高い弾性部材(742)とから構成されている。芯金(741)には上記金属以外にSUSを使用してもよい。加圧ローラ(740)は定着ベルト(730)を介して定着ローラ(720)を押圧して定着ニップ部(N)を形成しているが、本実施の形態では、加圧ローラ(740)の硬度を定着ローラ(720)に比べて硬くすることによって、加圧ローラ(740)が定着ローラ(720)(及び定着ベルト(730))へ食い込む形となり、この食い込みにより、記録材(770)は加圧ローラ(740)表面の円周形状に沿うため、記録材(770)が定着ベルト(730)表面から離れやすくなる効果を持たせている。この加圧ローラ(740)の外径は定着ローラ(720)と同じ20〜40mm程度であるが、肉圧は0.5〜2.0mm程度で定着ローラ(720)より薄く構成されている。
電磁誘導により加熱ローラ(710)を加熱する誘導加熱手段(760)は、図4に示すように、磁界発生手段である励磁コイル(761)と、この励磁コイル(761)が巻き回されたコイルガイド板(762)とを有している。コイルガイド板(762)は加熱ローラ(710)の外周面に近接配置された半円筒形状をしており、励磁コイル(761)は長い一本の励磁コイル線材をこのコイルガイド板(762)に沿って加熱ローラ(710)の軸方向に交互に巻き付けたものである。なお、励磁コイル(761)は、発振回路が周波数可変の駆動電源(図示せず)に接続されている。励磁コイル(761)の外側には、フェライト等の強磁性体よりなる半円筒形状の励磁コイルコア(763)が、励磁コイルコア支持部材(764)に固定されて励磁コイル(761)に近接配置されている。
[プロセスカートリッジ]
本発明のプロセスカートリッジは、電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、前記帯電された電子写真感光体上に静電潜像を形成する露光手段と、前記電子写真感光体上に形成された静電潜像をトナーによりトナー像とする現像手段と、前記電子写真感光体上に形成されたトナー像を中間転写体を介して又は介さずに記録材上に転写する転写手段と、前記記録材上に転写されたトナー像を熱及び圧力定着部材により記録材上に定着させる定着手段定着工程と、前記転写手段によりトナー像を中間転写体又は記録材上に転写した後の電子写真感光体表面に付着している転写残トナーをクリーニングするクリーニング手段とを備えた画像形成装置における各手段のうち、少なくとも電子写真感光体、及び現像手段を含む上記手段を一体に支持して画像形成装置本体に着脱自在としたものである。そして、現像手段には、上述の本発明の製造方法によって製造したトナーを備えている。現像手段及び帯電手段としては、上述の現像装置及び帯電装置が好適に使用できる。
本発明のプロセスカートリッジの例を図6に示す。図6に示したプロセスカートリッジ(800)は、感光体(801)、帯電手段(802)、現像手段(803)、クリーニング手段(806)を備えている。このプロセスカートリッジ(800)の動作を説明すると、感光体(801)が所定の周速度で回転駆動される。感光体(801)は回転過程において、帯電手段(802)によりその周面に正または負の所定電位の均一帯電を受け、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光等の不図示の像露光手段からの画像露光光を受け、こうして感光体(801)の周面に静電潜像が順次形成され、形成された静電潜像は、次いで現像手段(803)によりトナー像化され、現像されたトナー像は、給紙部から感光体(801)と不図示の転写手段との間に感光体(801)の回転と同期されて給送された記録材に、転写手段により順次転写されていく。像転写を受けた記録材は感光体面から分離されて不図示の像定着手段へ導入されて像定着され、複写物(コピー)として装置外へプリントアウトされる。像転写後の感光体(801)の表面は、クリーニング手段(806)によって転写残りトナーの除去を受けて清浄面化され、更除電された後、繰り返し画像形成に使用される。図中、符号(804)はトナーを、符号(805)は現像ローラを、それぞれ示す。
(フルカラー画像形成方法)
本発明のフルカラー画像形成方法において使用されるフルカラー画像形成装置としては、例えば図7、図8に示したタンデム方式の画像形成装置(100)を用いることができる。図7において、画像形成装置(100)は電子写真方式によるカラー画像形成を行なうための画像書込部(120Bk、120C、120M、120Y)、画像形成部(130Bk、130C、130M、130Y)、給紙部(140)から主に構成されている。画像信号を元に、画像処理部(図示せず)で画像処理を行ない、画像形成用の黒(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色信号に変換し、画像書込部(120Bk、120C、120M、120Y)に送信する。画像書込部(120Bk、120C、120M、120Y)は、例えば、レーザ光源、回転多面鏡等の偏向器、走査結像光学系及びミラー群(いずれも図示せず)からなるレーザ走査光学系であり、上記の各色信号に対応した4つの書込光路を有し、画像形成部(130Bk、130C、130M、130Y)に各色信号に応じた画像書込を行なう。
画像形成部(130Bk、130C、130M、130Y)は、黒、シアン、マゼンタ、イエロー用の各感光体(210Bk、210C、210M、210Y)を備え、これらの各色用の感光体(210Bk、210C、210M、210Y)には通常OPC感光体が用いられる。各感光体(210Bk、210C、210M、210Y)の周囲には、帯電装置(215Bk、215C、215M、215Y)、上記画像書込部(120Bk、120C、120M、120Y)からのレーザ光の露光部、各色用の現像装置(200Bk、200C、200M、200Y)、1次転写装置(230Bk、230C、230M、230Y)、クリーニング装置(300Bk、300C、300M、300Y)、除電装置(図示せず)等が配設されている。なお、上記現像装置(200Bk、200C、200M、200Y)には、2成分磁気ブラシ現像方式を用いている。また、中間転写ベルト(220)が各感光体(210Bk、210C、210M、210Y)と1次転写装置(230Bk、230C、230M、230Y)との間に介在し、この中間転写ベルト(220)に各感光体から各色のトナー像が順次重ね合わせて転写され、各感光体上のトナー像を担持する。
場合によっては、この中間転写ベルト(220)の外側で、最終色の1次転写位置通過後で2次転写位置通過前の位置に転写前帯電手段としてのプレ転写チャージャ(502)が配設されるのが好ましい。このプレ転写チャージャ(502)は、上記1次転写部で感光体(210)に転写された中間転写ベルト(220)上のトナー像を記録材としての転写紙に転写する前に、トナー像をトナー像と同極性に均一に帯電するものである。
各感光体(210Bk、210C、210M、210Y)から転写された中間転写ベルト(220)上のトナー像は、ハーフトーン部及びベタ部を含んでいたりトナーの重ね合せ量が異なる部分を含んでいたりするため、帯電量がばらついている場合がある。また、中間転写ベルト移動方向における1次転写部の隣接下流側の空隙に発生する剥離放電により、1次転写後の中間転写ベルト(220)上のトナー像内に帯電量のばらつきが発生する場合もある。このような同一トナー像内の帯電量のばらつきは中間転写ベルト(220)上のトナー像を転写紙に転写する2次転写部における転写余裕度を低下させてしまう。そこで、プレ転写チャージャで転写紙へ転写する前のトナー像をトナー像と同極性に均一に帯電することにより、同一トナー像内の帯電量のばらつきを解消し、2次転写部における転写余裕度を向上させている。図中、符号(250Bk、250C、250M、250Y)は各色のトナー移送管を、符号(260)は中間転写ベルトクリーニング装置を、符号(500)は転写ベルトを、符号(502)は転写チャージャを、符号(600)は二次転写ローラを、符号(10Y、10C、10M、10K)は各感光体を、符号(14)は第1の支持ローラを、符号(15)は第2の支持ローラを、符号(16)は第3の支持ローラを、符号(130)は原稿台を、符号(40)は感光体を、符号(142)は給紙ローラを、符号(143)はペーパーバンクを、符号(144)は給紙カセットを、符号(145)は分離ローラを、符号(146)は給紙路を、符号(147)は搬送ローラを、符号(148)は給紙路を、符号(52)は分離ローラを、符号(58)は給紙ローラを、符号(62)は1次転写装置を、符号(100)は画像形成装置を、符号(110)は複写装置本体を、符号(110)は画像形成装置本体を、符号(120)は各カラー画像形成ユニットを、符号(130)は原稿載置台を、符号(145)は分離ローラを、符号(146)は給紙路を、符号(147)は搬送ローラを、符号(148)は給紙路を、それぞれ示す。
以上、この画像形成方法によれば、各感光体(210Bk、210C、210M、210Y)から転写した中間転写ベルト(220)上のトナー像をプレ転写チャージャ(502)で均一に帯電することにより、中間転写ベルト(220)上のトナー像内に帯電量のばらつきがあっても、2次転写部における転写特性を、中間転写ベルト(220)上のトナー像の各部に渡ってほぼ一定にすることができる。従って、転写紙へ転写する時の転写余裕度の低下を抑え、トナー像を安定して転写できる。
なお、この画像形成方法において、プレ転写チャージャで帯電される帯電量は、帯電対象物である中間転写ベルト(220)の移動速度に依存して変化する。例えば、中間転写ベルト(220)の移動速度が遅ければ、中間転写ベルト(220)上のトナー像の同一部分がプレ転写チャージャによる帯電領域を通過する時間が長くなるので、帯電量が大きくなる。逆に、中間転写ベルト(220)の移動速度が速いと、中間転写ベルト(220)上のトナー像の帯電量が小さくなる。従って、中間転写ベルト(220)上のトナー像がプレ転写チャージャによる帯電位置を通過している途中に中間転写ベルト(220)の移動速度が変化するような場合には、その中間転写ベルト(220)の移動速度に応じて、トナー像に対する帯電量が途中で変化しないようにプレ転写チャージャを制御することが望ましい。
1次転写装置(230Bk、230C、230M、230Y)の間に導電性ローラ(241)、(242)、(243)が設けられている。そして、転写紙は給紙部(140)から給紙された後、レジストローラ対(160)を介して転写ベルト(500)に担持され、中間転写ベルト(220)と転写ベルト(500)が接触するところで2次転写ローラ(600)により中間転写ベルト(220)上のトナー像が転写紙に転写され、カラー画像形成が行なわれる。
そして、画像形成後の転写紙は2次転写ベルト(180)で定着装置(150)に搬送され、画像が定着されてカラー画像が得られる。転写されずに残った中間転写ベルト(220)上のトナーは、中間転写ベルトクリーニング装置(260)によってベルトから除去される。
転写紙への転写前の中間転写ベルト(220)上のトナー極性は、現像時と同じマイナス極性であるため、2次転写ローラ(170)にはプラスの転写バイアス電圧が印加され、トナーは転写紙上に転写される。この部分でのニップ圧が転写性に影響し、定着性に大きく影響する。また、転写されずに残った中間転写ベルト(220)上のトナーは、転写紙と中間転写ベルト(220)とが離れる瞬間にプラス極性側に放電帯電され、0〜プラス側に帯電される。なお、転写紙のジャム時や非画像域に形成されたトナー像は、2次転写の影響を受けないため、もちろんマイナス極性のままである。
感光体層の厚みを30μmとし、光学系のビームスポット径を50×60μm、光量を0.47Mwとしている。感光体(黒)(210Bk)の帯電(露光側)電位V0を−700V、露光後電位VLを−120Vとして現像バイアス電圧を−470Vすなわち現像ポテンシャル350Vとして現像工程が行なわれるものである。感光体(黒)(210Bk)上に形成されたトナー(黒)の顕像はその後、転写(中間転写ベルト及び転写紙)、定着工程を経て画像として完成される。転写は最初、1次転写装置(230Bk、230C、230M、230Y)から中間転写ベルト(220)へ全色転写された後、更に別の2次転写ローラ(170)へのバイアス印加により転写紙へ転写される。
次に、感光体クリーニング装置について詳細に説明する。図7において、各現像装置(200Bk、200C、200M、200Y)と各クリーニング装置(300Bk、300C、300M、300Y)とは、各々トナー移送管(250Bk、250C、250M、250Y)で接続されている(図7中の破線)。そして、各トナー移送管(250Bk、250C、250M、250Y)の内部には、スクリュー(図示せず)が入っており、各クリーニング装置(300Bk、300C、300M、300Y)で回収されたトナーが、各現像装置(200Bk、200C、200M、200Y)へ移送されるようになっている。
従来の4つの感光体ドラムとベルト搬送との組合せによる直接転写方式では、感光体と転写紙が当接することにより紙粉が付着しトナーを回収すると紙粉が含有しているので、画像形成時にトナー抜け等の画像劣化をきたし使用することができなかった。更に、従来の一つの感光体ドラムと中間転写とを組合せたシステムでは、中間転写体の採用で転写紙転写時の感光体への紙粉付着はなくなったが、感光体への残トナーのリサイクルを行おうした場合、混色したトナーを分離することは実用上不可能である。また、混色トナーを黒トナーとして使用する提案があるが、全色混合しても黒にならず、プリントモードにより色が変化するため1つの感光体の構成ではトナーリサイクルは不可能であった。
これに対して、このフルカラーが造形性装置では、中間転写ベルト(220)を使用するので紙粉の混入が少なく、かつ、紙転写時の中間転写ベルト(220)への紙粉の付着も防止される。各感光体(210Bk、210C、210M、210Y)が独立した色のトナーを使用するので各感光体クリーニング装置(300Bk、300C、300M、300Y)を接離する必要もなく、確実にトナーのみを回収することができる。
上記中間転写ベルト(220)上に残ったプラス帯電されたトナーは、マイナス電圧が印加された導電性ファーブラシ(262)でクリーニングされる。導電性ファーブラシ(262)への電圧印加方法は、導電性ファーブラシ(261)と極性が異なるだけで全く同一である。転写されずに残ったトナーも2つの導電性ファーブラシ(261)、(262)でほとんどクリーニングされる。ここで、導電性ファーブラシ(262)でクリーニングされずに残ったトナー、紙粉、タルク等は、導電性ファーブラシ(262)のマイナス電圧により、マイナス帯電される。次の黒色の1次転写は、プラス電圧による転写であり、マイナス帯電したトナー等は中間転写ベルト(220)側に引き寄せられるため、感光体(黒)(210Bk)側への移行は防止できる。
次に、この画像形成装置に使用される中間転写ベルト(220)について説明する。中間転写ベルトは前述のとおり、単層の樹脂層であることが好ましいが、必要に応じて、弾性層や、表層を保有してもよい。
上記樹脂層を構成する樹脂材料としては、ポリカーボネート、フッ素系樹脂(ETFE、PVDF)、ポリスチレン、クロロポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体及びスチレン−アクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体(スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体)、メタクリル酸メチル樹脂、メタクリル酸ブチル樹脂、アクリル酸エチル樹脂、アクリル酸ブチル樹脂、変性アクリル樹脂(シリコーン変性アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂変性アクリル樹脂、アクリル・ウレタン樹脂等)、塩化ビニル樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニリデン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂及びポリビニルブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド樹脂等からなる群より選ばれる1種類あるいは2種類以上を使用することができる。ただし、上記材料に限定されるものではないことは当然である。
また、上記弾性層を構成する弾性材料(弾性材ゴム、エラストマー)としては、ブチルゴム、フッ素系ゴム、アクリルゴム、EPDM、NBR、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンゴム天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレンターポリマー、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ウレタンゴム、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、エピクロロヒドリン系ゴム、リコーンゴム、フッ素ゴム、多硫化ゴム、ポリノルボルネンゴム、水素化ニトリルゴム、熱可塑性エラストマー(例えばポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、ポリウレア、ポリエステル系、フッ素樹脂系)等からなる群より選ばれる1種類あるいは2種類以上を使用することができる。ただし、上記材料に限定されるものではないことは当然である。
また、上記表層の材料は特に制限は無いが、中間転写ベルト表面へのトナーの付着力を小さくして2次転写性を高めるものが要求される。例えば、ポリウレタン、ポリエステル、エポキシ樹脂等の1種類あるいは2種類以上を使用し表面エネルギーを小さくし潤滑性を高める材料、例えばフッ素樹脂、フッ素化合物、フッ化炭素、2酸化チタン、シリコンカーバイト等の粉体、粒子を1種類あるいは2種類以上または粒径を異ならしたものを分散させ使用することができる。また、フッ素系ゴム材料のように熱処理を行なうことで表面にフッ素リッチな層を形成させ表面エネルギーを小さくさせたものを使用することもできる。
上記樹脂層や弾性層には、抵抗値調節用導電剤が添加される。この抵抗値調節用導電剤は特に制限はないが、例えば、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウムやニッケル等の金属粉末、酸化錫、酸化チタン、酸化アンチモン、酸化インジウム、チタン酸カリウム、酸化アンチモン−酸化錫複合酸化物(ATO)、酸化インジウム−酸化錫複合酸化物(ITO)等の導電性金属酸化物、導電性金属酸化物は、硫酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の絶縁性微粒子を被覆したものでもよい。上記導電剤に限定されるものではないことは当然である。
図8は、本発明の画像形成方法において使用される画像形成装置の他の例を示すもので、タンデム型間接転写方式の電子写真式の画像形成装置を備えた複写装置(100)である。図8中、(101)は複写装置本体、(200)はそれを載せる給紙テーブル、(300)は複写装置本体(101)上に取り付けるスキャナ、(400)はさらにその上に取り付ける原稿自動搬送装置(ADF)である。複写装置本体(101)には、中央に、無端ベルト状の中間転写体(10)を設ける。
そして、図8に示すとおり、この例では3つの支持ローラ(14)、(15)、(16)に掛け回して図中時計回りに回転搬送可能とする。この図示例では、3つのなかで第2の支持ローラ(15)の左に、画像転写後に中間転写体(10)上に残留する残留トナーを除去する中間転写体クリーニング装置(17)を設ける。また、3つのなかで第1の支持ローラ(14)と第2の支持ローラ(15)間に張り渡した中間転写体(10)上には、その搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの画像形成手段(18)を横に並べて配置してタンデム画像形成装置(20)を構成する。
このタンデム画像形成装置(20)の上には、図8に示すように、さらに露光装置(21)を設ける。一方、中間転写体(10)を挟んでタンデム画像形成装置(20)と反対の側には、2次転写装置(22)を備える。2次転写装置(22)は、図示例では、2つのローラ(23)間に、無端ベルトである2次転写ベルト(24)を掛け渡して構成し、中間転写体(10)を介して第3の支持ローラ(16)に押し当てて配置し、中間転写体(10)上の画像をシートに転写する。2次転写装置(22)の横には、シート上の転写画像を定着する定着装置(25)を設ける。定着装置(25)は、無端ベルトである定着ベルト(26)に加圧ローラ(27)を押し当てて構成する。上述した2次転写装置(22)には、画像転写後のシートをこの定着装置(25)へと搬送するシート搬送機能も備えてなる。もちろん、2次転写装置(22)として、転写ローラや非接触のチャージャを配置してもよく、そのような場合はこのシート搬送機能を併せて備えることは難しくなる。なお、図示例では、このような2次転写装置(22)および定着装置(25)の下に、上述したタンデム画像形成装置(20)と平行に、シートの両面に画像を記録すべくシートを反転するシート反転装置(28)を備える。
さて、いまこのカラー電子写真装置を用いてコピーをとるときは、原稿自動搬送装置(400)の原稿台(30)上に原稿をセットする。または、原稿自動搬送装置(400)を開いてスキャナ(300)のコンタクトガラス(32)上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置(400)を閉じてそれで押さえる。
そして、不図示のスタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置(400)に原稿をセットしたときは、原稿を搬送してコンタクトガラス(32)上へと移動して後、他方コンタクトガラス(32)上に原稿をセットしたときは、直ちにスキャナ(300)を駆動し、第1走行体(33)および第2走行体(34)を走行する。そして、第1走行体(33)で光源から光を発射するとともに原稿面からの反射光をさらに反射して第2走行体(34)に向け、第2走行体(34)のミラーで反射して結像レンズ(35)を通して読取りセンサ(36)に入れ、原稿内容を読み取る。
また、不図示のスタートスイッチを押すと、不図示の駆動モータで支持ローラ(14)、(15)、(16)の1つを回転駆動して他の2つの支持ローラを従動回転し、中間転写体(10)を回転搬送する。同時に、個々の画像形成手段(18)でその感光体(40)を回転して各感光体(40)上にそれぞれ、ブラック・イエロー・マゼンタ・シアンの単色画像を形成する。そして、中間転写体(10)の搬送とともに、それらの単色画像を順次転写して中間転写体(10)上に合成カラー画像を形成する。
一方、不図示のスタートスイッチを押すと、給紙テーブル(200)の給紙ローラ(42)の1つを選択回転し、ペーパーバンク(43)に多段に備える給紙カセット(44)の1つからシートを繰り出し、分離ローラ(45)で1枚ずつ分離して給紙路(46)に入れ、搬送ローラ(47)で搬送して複写機本体(100)内の給紙路(48)に導き、レジストローラ(49)に突き当てて止める。
または、給紙ローラ(50)を回転して手差しトレイ(51)上のシートを繰り出し、分離ローラ(52)で1枚ずつ分離して手差し給紙路(53)に入れ、同じくレジストローラ(49)に突き当てて止める。そして、中間転写体(10)上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ(49)を回転し、中間転写体(10)と2次転写装置(22)との間にシートを送り込み、2次転写装置(22)で転写してシート上にカラー画像を記録する。
画像転写後のシートは、2次転写装置(22)で搬送して定着装置(25)へと送り込み、定着装置(25)で熱と圧力とを加えて転写画像を定着して後、切換爪(55)で切り換えて排出ローラ(56)で排出し、排紙トレイ(57)上にスタックする。または、切換爪(55)で切り換えてシート反転装置(28)に入れ、そこで反転して再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録して後、排出ローラ(56)で排紙トレイ(57)上に排出する。
一方、画像転写後の中間転写体(10)は、中間転写体クリーニング装置(17)で、画像転写後に中間転写体(10)上に残留する残留トナーを除去し、タンデム画像形成装置(20)による再度の画像形成に備える。ここで、レジストローラ(49)は一般的には接地されて使用されることが多いが、シートの紙粉除去のためにバイアスを印加することも可能である。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は、実施例に何ら限定されるものではない。前述のように、本発明のトナーの製造方法は、特に限定されないが、実施例においては、水中造粒法の一つである溶解懸濁法を用いて、トナーを製造した結果について述べる。なお、部は、質量部を意味する。
−ポリエステル樹脂Aの合成−
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物65部、ビスフェノールAのプロピオンオキシド3モル付加物86部、テレフタル酸274部及びジブチルスズオキシド2部を投入し、常圧下、230℃で15時間反応させた。次に、5〜10mmHgの減圧下、6時間反応させて、ポリエステル樹脂を合成した。得られたポリエステル樹脂Aは、数平均分子量(Mn)が2,300、重量平均分子量(Mw)が8,000、ガラス転移温度(Tg)が58℃、酸価が25mgKOH/g、水酸基価が35mgKOH/gであった。
−スチレンアクリル樹脂Aの合成−
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、酢酸エチル300部、スチレン185部、アクリルモノマー115部及びアゾビスイソブチルニトリル5部を投入して、窒素雰囲気下、65℃(常圧)で8時間反応させた。次に、メタノール200部を加え、1時間攪拌した後、上澄みを除去し、減圧乾燥させて、スチレン−アクリル樹脂Aを合成した。得られたスチレンアクリル樹脂Aは、Mwが20,000、Tgが58℃であった。
―プレポリマー(活性水素基含有化合物と反応可能な重合体)の合成―
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682質量部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81質量部、テレフタル酸283質量部、無水トリメリット酸22質量部、及びジブチルチンオキサイド2質量部を仕込み、常圧下で、230℃にて8時間反応させた。次いで、10〜15mHgの減圧下で、5時間反応させて、中間体ポリエステルを合成した。
得られた中間体ポリエステルは、数平均分子量(Mn)が2,100、重量平均分子量(Mw)が9,600、ガラス転移温度(Tg)が55℃、酸価が0.5、水酸基価が49であった。
次に、冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、前記中間体ポリエステル411質量部、イソホロンジイソシアネート89質量部、及び酢酸エチル500質量部を仕込み、100℃にて5時間反応させて、プレポリマー(前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体)を合成した。
得られたプレポリマーの遊離イソシアネート含有量は、1.60質量%であり、プレポリマーの固形分濃度(150℃、45分間放置後)は50質量%であった。
−ケチミン(前記活性水素基含有化合物)の合成−
攪拌棒及び温度計をセットした反応容器中に、イソホロンジアミン30質量部及びメチルエチルケトン70質量部を仕込み、50℃にて5時間反応を行い、ケチミン化合物(前記活性水素基含有化合物)を合成した。得られたケチミン化合物(前記活性水素機含有化合物)のアミン価は423であった。
−マスターバッチの作製−
水1,000部、DBP吸油量が42mL/100g、pHが9.5のカーボンブラックPrintex35(デグサ社製)540部、及び1,200部のポリエステル樹脂Aを、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)を用いて混合した。次に、二本ロールを用いて、得られた混合物を150℃で30分間混練した後、圧延冷却し、パルペライザー(ホソカワミクロン社製)で粉砕して、マスターバッチを作製した。
(実施例1)
実施例1では以下に示す重合法によりトナーの作成を行なった。
−水系媒体の調製−
イオン交換水306部、リン酸三カルシウムの10質量%懸濁液265部及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.0部を混合攪拌し、均一に溶解させて、水系媒体を調製した。
−臨界ミセル濃度の測定−
界面活性剤の臨界ミセル濃度は以下の方法で測定した。表面張力計Sigma(KSV Instruments社製)を用いて、Sigmaシステム中の解析プログラムを用いて解析を行なった。界面活性剤を水系媒体に対して0.01wt%ずつ滴下し、攪拌、静置後の界面張力を測定した。得られた表面張力カーブから、界面活性剤の滴下によっても界面張力が低下しなくなる界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度として算出した。実施例1の水系媒体に対するドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの臨界ミセル濃度を表面張力計Sigmaで測定を行ったところ、水系媒体の重量に対して0.05wt%であった。
―トナー材料液の調整―
ビーカー内に、ポリエステル樹脂Aを70部、プレポリマーを10質量部及び酢酸エチル100部を入れ、攪拌して溶解させた。離型剤としてパラフィンワックス5部(日本精鑞社製 HNP−9 融点75℃)、MEK−ST(日産化学工業社製)2部、及びマスターバッチ10部を加えて、ビーズミルのウルトラビスコミル(アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/時、ディスクの周速度6m/秒で、粒径0.5mmのジルコニアビーズを80体積%充填した条件で3パスした後、前記ケチミン2.7質量部を加えて溶解させ、トナー材料液を調製した。
―乳化乃至分散液の調製―
前記水系媒体相150質量部を容器に入れ、TK式ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用い、回転数12,000rpmで攪拌し、これに前記トナー材料の溶解乃至分散液100質量部を添加し、10分間混合して乳化乃至分散液(乳化スラリー)を調製した。
―有機溶剤の除去―
攪拌機及び温度計をセットしたコルベンに、前記乳化スラリー100質量部を仕込み、攪拌周速20m/分で攪拌しながら30℃にて12時間脱溶剤した。
―洗浄―
前記分散スラリー100質量部を減圧濾過した後、濾過ケーキにイオン交換水100質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)した後濾過した。得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)した後濾過する操作を2回行った。得られた濾過ケーキに10質量%水酸化ナトリウム水溶液20質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて30分間)した後減圧濾過した。得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)した後濾過した。得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)した後濾過する操作を2回行った。更に得られた濾過ケーキに10質量%塩酸20質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)した後濾過した。
―界面活性剤量調整―
上記洗浄により得られた濾過ケーキに、イオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)した際のトナー分散液の電気伝導度を測定し、事前に作成した界面活性剤濃度の検量線より、トナー分散液の界面活性剤濃度を算出した。その値から、界面活性剤濃度が狙いの界面活性剤濃度0.05wt%になるように、イオン交換水を追加し、トナー分散液を得た。
―表面処理工程―
前記所定の界面活性剤濃度に調整されたトナー分散液を、TK式ホモミキサーで5000rpmで混合しながら、ウォーターバスで加熱温度T1=55℃で10時間加熱を行なった。その後トナー分散液を25℃まで冷却し、濾過を行なった。更に得られた濾過ケーキに、イオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)した後濾過した。
―乾燥―
得られた最終濾過ケーキを循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩い、実施例1のトナー母体粒子を得た。
―外添処理―
さらに、トナー母体粒子を100重量部に対して、平均粒径100nmの疎水性シリカ0.6重量部と、平均粒径20nmの酸化チタン1.0重量部と、平均粒径15nmの疎水性シリカ微粉体を0.8部とをヘンシェルミキサーにて混合し、実施例1のトナーを得た。
(実施例2)
実施例1の表面処理工程における加熱温度T1を46℃に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2のトナーを作成した。
(実施例3)
実施例1の表面処理工程における加熱温度T1を64℃に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2のトナーを作成した。
(実施例4)
実施例4のトナーは以下のようにして、粉砕法によりトナーを製造した。
―トナー母体粒子の作成―
ポリエステル樹脂A80質量部、パラフィンワックス5部(日本精鑞社製 HNP−9
融点75℃)、及びマスターバッチ10部を加えて、ヘンシェルミキサー中で十分攪拌混合した後、ロールミルを用い、130℃で30分間加熱溶融させ、更に室温まで冷却し、得られた混練物をハンマーミルにて200〜400μmに粗粉砕した。次いで、ジェット気流を用いて衝突板に粗粉砕物を直接衝突させて微粉砕する微粉砕装置と、該微粉砕装置で得られた微粉砕粉を分級室内に旋回流を形成させ、粉砕物を遠心分離して分級する風力分級装置と、を一体に有するIDS−2型粉砕分級装置(日本ニューマチック工業製)を用い、粉砕分級を行い、分級上がりトナー母体粒子を得た。
なお、所望の粒度分布は、コールターカウンターで測定し、被粉砕物の供給量、粉砕用高圧空気の圧力及び流量、粉砕用衝突部材の毛上、分級装置内におけるエアーが吸引される際のエアー流入位置や流入方向、排気ブロワー圧、等を変更することにより調整することができる。
―トナー分散液の調整―
得られたトナー母体粒子100質量部と、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5質量部、イオン交換水895質量部を加え、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)し、トナー分散液を得た。
―表面処理工程―
上記のようにして得られたトナー分散液を、TK式ホモミキサーで5000rpmで混合しながら、ウォーターバスで加熱温度T1=55℃で10時間加熱を行なった。その後トナー分散液を25℃まで冷却し、濾過を行なった。更に得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を加え、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)した後濾過した。
―乾燥―
得られた最終濾過ケーキを循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩い、実施例4のトナー母体粒子を得た。
―外添処理―
さらに、トナー母体粒子を100重量部に対して、平均粒径100nmの疎水性シリカ0.6重量部と、平均粒径20nmの酸化チタン1.0重量部と、平均粒径15nmの疎水性シリカ微粉体を0.8部とをヘンシェルミキサーにて混合し、実施例4のトナーを得た。
(実施例5)
実施例4における表面処理工程での加熱温度T1を64℃に変更した以外は同様にして、実施例5のトナーを作成した。
(実施例6)
以下のとおりにして、実施例6のトナーを作成した。
−水系媒体の調製−
イオン交換水306部、リン酸三カルシウムの10質量%懸濁液265部及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.0部を混合攪拌し、均一に溶解させて、水系媒体を調製した。
―臨界ミセル濃度の測定―
界面活性剤の臨界ミセル濃度は以下の方法で測定した。表面張力計Sigma(KSV Instruments社製)を用いて、Sigmaシステム中の解析プログラムを用いて解析を行なった。界面活性剤を水系媒体に対して0.01wt%ずつ滴下し、攪拌、静置後の界面張力を測定した。得られた表面張力カーブから、界面活性剤の滴下によっても界面張力が低下しなくなる界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度として算出した。実施例1の水系媒体に対するドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの臨界ミセル濃度を表面張力計Sigmaで測定を行ったところ、水系媒体の重量に対して0.05wt%であった。
―トナー材料液の調整―
ビーカー内に、スチレンアクリル樹脂Aを80質量部及び酢酸エチル100部を入れ、攪拌して溶解させた。離型剤としてパラフィンワックス5部(日本精鑞社製 HNP−9 融点75℃)、MEK−ST(日産化学工業社製)2部、及びマスターバッチ10部を加えて、ビーズミルのウルトラビスコミル(アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/時、ディスクの周速度6m/秒で、粒径0.5mmのジルコニアビーズを80体積%充填した条件で3パスした後、トナー材料液を調製した。
―乳化乃至分散液の調製―
前記水系媒体相150質量部を容器に入れ、TK式ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用い、回転数12,000rpmで攪拌し、これに前記トナー材料の溶解乃至分散液100質量部を添加し、10分間混合して乳化乃至分散液(乳化スラリー)を調製した。
―有機溶剤の除去―
攪拌機及び温度計をセットしたコルベンに、前記乳化スラリー100質量部を仕込み、攪拌周速20m/分で攪拌しながら30℃にて12時間脱溶剤した。
―洗浄―
前記分散スラリー100質量部を減圧濾過した後、濾過ケーキにイオン交換水100質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)した後濾過した。得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)した後濾過する操作を2回行った。得られた濾過ケーキに10質量%水酸化ナトリウム水溶液20質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて30分間)した後減圧濾過した。得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)した後濾過した。得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)した後濾過する操作を2回行った。更に得られた濾過ケーキに10質量%塩酸20質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)した後濾過した。
―界面活性剤量調整―
上記洗浄により得られた濾過ケーキに、イオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)した際のトナー分散液の電気伝導度を測定し、事前に作成した界面活性剤濃度の検量線より、トナー分散液の界面活性剤濃度を算出した。その値から、界面活性剤濃度が狙いの界面活性剤濃度0.05wt%になるように、イオン交換水を追加し、トナー分散液を得た。
―表面処理工程―
所定の界面活性剤濃度に調整されたトナー分散液を、TK式ホモミキサーで5000rpmで混合しながら、ウォーターバスで加熱温度T1=55℃で10時間加熱を行なった。その後トナー分散液を25℃まで冷却し、濾過を行なった。更に得られた濾過ケーキに、イオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)した後濾過した。
―乾燥―
得られた最終濾過ケーキを循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩い、実施例6のトナー母体粒子を得た。
―外添処理―
さらに、トナー母体粒子を100重量部に対して、平均粒径100nmの疎水性シリカ0.6重量部と、平均粒径20nmの酸化チタン1.0重量部と、平均粒径15nmの疎水性シリカ微粉体を0.8部とをヘンシェルミキサーにて混合し、実施例6のトナーを得た。
(実施例7)
実施例1の界面活性剤量調整において狙いの界面活性剤濃度を0.09wt%にした以外は同様にして実施例7のトナーを作成した。
(比較例1)
実施例1の界面活性剤調整、及び表面処理工程を実施せず、洗浄後、乾燥してトナーを得た以外は同様にして、比較例1のトナーを得た。
(比較例2)
実施例1の表面処理工程における加熱温度T1を44℃に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例2のトナーを作成した。
(比較例3)
実施例1の表面処理工程における加熱温度T1を66℃に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例3のトナーを作成した。
(比較例4)
実施例1の界面活性剤量調整において、水系媒体に対する界面活性剤の狙い濃度を0.12wt%とした以外は同様にして、比較例4のトナーを作成した。
(比較例5)
実施例1の界面活性剤量調整において、水系媒体に対する界面活性剤の狙い濃度を0.003wt%とした以外は同様にして、比較例5のトナーを作成した。
上記のようにして得られた実施例1〜7と、比較例1〜5のトナーの製造条件の一覧を表1に、得られたトナーの各種物性値を表2に示す。
Figure 2010139912
Figure 2010139912
<キャリアの作製>
トルエン100部に、シリコーン樹脂オルガノストレートシリコーン100部、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン5部及びカーボンブラック10部を添加し、ホモミキサーで20分間分散させて、樹脂層塗布液を調製した。流動床型コーティング装置を用いて、平均粒径50μmの球状マグネタイト1,000部の表面に樹脂層塗布液を塗布して、キャリアを作製した。
<現像剤の作製>
ボールミルを用いて、トナー5部とキャリア95部を混合し、現像剤を作製した。
<評価方法及び評価結果>
得られた現像剤を用いて、以下の評価を行った。評価結果を表3に示す。
[トナーの評価]
[転写効率(%)]
富士ゼロックス社製のDocuColor 8000 Digital Pressを改造して、線速及び転写時間を調整可能にチューニングした評価機を用い、各現像剤について、A4サイズ、トナー付着量0.6mg/cm2のベタパターンをテスト画像として出力するランニング試験を行った。テスト画像10万枚、100万枚出力後、一次転写における転写効率を下記式(3)により、二次転写における転写効率を下記式(4)により、それぞれ求めた。なお、評価基準は下記のとおりである。
Figure 2010139912
Figure 2010139912
評価基準は、
◎・・・90%以上
○・・・85%以上90%未満
△・・・80%以上85%未満
×・・・80%未満
とした。
[転写ムラ]
富士ゼロックス社製のDocuColor 8000 Digital Pressを改造して、線速及び転写時間を調整可能にチューニングした評価機を用いて、黒ベタ画像を形成し、得られた画像の転写ムラの有無を目視観察し、転写ムラを評価した。なお、転写ムラがなく、非常に良好なレベルであるものを(◎)、転写ムラがなく、実使用上、問題が無いレベルであるものを(○)、転写ムラが少しあるが、実使用可能なレベルであるものを(△)、転写ムラがあり、実用上、問題があるレベルであるものを(×)として、判定した。
[かぶり]
感光体に当接するクリーニングブレード及び帯電ローラーを有するタンデム型カラー電子写真装置imagio Neo 450(リコー社製)を用いて、現像スリーブの回転方向に対して垂直な方向に1cm間隔で黒ベタと白ベタを繰り返したA4横チャート(画像パターンA)を1万枚出力した後、白紙画像を出力し、かぶりの有無を目視評価した。なお、かぶりが無く非常に良好なレベルであるものを(◎)、かぶりが殆ど無く実使用上問題が無いレベルであるものを(○)、かぶりが少しあるが、実使用可能なレベルであるものを(△)、かぶりがあり、実用上、問題があるレベルであるものを(×)として判定した。
[クリーニング性]
クリーニング性は、以下のようにして評価した。初期並びに1000枚及び10万枚印
刷した後に、クリーニング工程を通過した感光体上の残存するトナーを、スコッチテープ
(住友スリーエム社製)を用いて白紙に移し、マクベス反射濃度計RD514型で測定し
、ブランクとの差が0.005未満のものを良好(◎)、0.005以上0.015未満のものを(○)、0.015以上0.025未満のものを(△)、0.025を越えるものを不良(×)として判定した。
Figure 2010139912
表3から判るように、実施例1〜7は、一次、二次転写効率、転写ムラ、かぶり、クリーニングのいずれも良好であるが、比較例1〜5全ての評価で満足できるものはなかった。
本発明の画像形成方法における現像装置の一例を示す概略図である。 本発明のローラ式帯電装置の一例を示す概略図である。 本発明の画像形成方法におけるブラシ式帯電装置の一例を示す概略図である。 本発明のプロセスカートリッジの一例を示す概略図である。 本発明の画像形成方法における定着装置の一例を示す概略図である。 本発明の画像形成方法における定着装置に備えたベルトの層構成の一例を示す概略図である。 本発明の画像形成装置の構成の一例を示す概略図である。 本発明の画像形成装置の構成の他の一例を示す概略図である。
符号の説明
(図1について)
500 ローラ式帯電装置
501 帯電ローラ
502 芯金
503 導電ゴム層
504 電源
505 感光体
(図2について)
510 ブラシ式帯電装置
511 ブラシローラ(ファーブラシローラ又は磁気ブラシローラ)
512 芯金
513 ブラシ部
514 電源
515 感光体
(図3について)
600 現像装置(現像器)
601 現像スリーブ
602 電源
603 現像部
604 感光体
605 トナー
(図4、5について)
700 定着装置
710 加熱ローラ
720 定着ローラ(対向回転体)
721 芯金
722 弾性部材
730 定着ベルト(耐熱性ベルト、トナー加熱媒体)
731 基体
732 発熱層
733 中間層
734 離型層
740 加圧ローラ(加圧回転体)
741 芯金
742 弾性部材
750 温度検知部材
760 誘導加熱手段
761 励磁コイル
762 コイルガイド板
763 励磁コイルコア
764 励磁コイルコア支持部材
770 記録媒体(記録材)
A ベルトの回転方向
N 定着ニップ部
W1 接触部位
T トナー像
(図6について)
800 プロセスカートリッジ
801 感光体
802 帯電手段
803 現像手段
804 トナー
805 現像ローラ
806 クリーニング手段
(図7について)
100 画像形成装置
120Bk 画像書込部(黒)
120C 画像書込部(シアン)
120M 画像書込部(マゼンダ)
120Y 画像書込部(イエロー)
130Bk 画像形成部(黒)
130C 画像形成部(シアン)
130M 画像形成部(マゼンダ)
130Y 画像形成部(イエロー)
140 給紙部
150 定着装置
160 レジストローラ対
170 2次転写ローラ
180 転写ベルト
200Bk 現像装置(黒)
200C 現像装置(シアン)
200M 現像装置(マゼンダ)
200Y 現像装置(イエロー)
210Bk 感光体(黒)
210C 感光体(シアン)
210M 感光体(マゼンダ)
210Y 感光体(イエロー)
215Bk 帯電装置(黒)
215C 帯電装置(シアン)
215M 帯電装置(マゼンダ)
215Y 帯電装置(イエロー)
220 中間転写ベルト
230Bk 1次転写装置(黒)
230C 1次転写装置(シアン)
230M 1次転写装置(マゼンダ)
230Y 1次転写装置(イエロー)
241 導電性ローラ
242 導電性ローラ
243 導電性ローラ
250Bk トナー移送管(黒)
250C トナー移送管(シアン)
250M トナー移送管(マゼンダ)
250Y トナー移送管(イエロー)
260 中間転写ベルトクリーニング装置
261 導電性ファーブラシ
262 導電性ファーブラシ
300Bk クリーニング装置(黒)
300C クリーニング装置(シアン)
300M クリーニング装置(マゼンダ)
300Y クリーニング装置(イエロー)
500 転写ベルト
502 転写チャージャ
600 二次転写ローラ
(図8の符号)
10Y、10C、10M、10K 各感光体
14 第1の支持ローラ
15 第2の支持ローラ
16 第3の支持ローラ
17 中間転写体クリーニング装置
18 画像形成手段
21 露光手段
22 2次転写手段
23 ローラ
24 2次転写ベルト
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ローラ
28 シート反転装置
130 原稿台
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 読取りセンサ
40 感光体
42 給紙ローラ
43 ペーパーバンク
144 給紙カセット
145 分離ローラ
146 給紙路
147 搬送ローラ
148 給紙路
49 レジストローラ
50 給紙ローラ
51 手差しトレイ
53 給紙路
55 切換爪
56 排出ローラ
57 排紙トレイ
58 手差給紙ローラ
62 1次転写装置
100 画像形成装置
101 複写装置本体
110 画像形成装置本体
120 カラー画像形成ユニット
130 原稿載置台
142 給紙ローラ
143 給紙カセット
144 給紙カセット
145 分離ローラ
146 給紙路
147 搬送ローラ
148 給紙路
200 給紙テーブル
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置(ADF)

Claims (15)

  1. 着色粒子を表面処理してトナーを得るトナーの製造方法において、少なくとも界面活性剤を含む水系媒体中に着色粒子を分散して着色粒子分散液を調整する工程、及び、前記着色粒子分散液を加熱する表面処理工程を含み、前記表面処理工程における前記着色粒子分散液中の界面活性剤量が前記界面活性剤の臨界ミセル濃度の0.1倍以上2.0倍以下であり、かつ前記表面処理工程における加熱温度(T1)がトナーのガラス転移温度(Tg)に対して、−10℃以上10℃未満であることを特徴とするトナーの製造方法。
  2. 界面活性剤を含む水系媒体中でトナー材料混合物を造粒することで着色粒子分散液を調整する工程、前記着色粒子分散液を加熱する着色粒子表面処理工程、該分散液から表面処理済み着色粒子をろ過し、乾燥してトナー母体粒子を得る工程、及び、トナー母体粒子へ外添剤を処理してトナーを得る工程を含み、前記着色粒子表面処理工程における着色粒子分散液中の界面活性剤量が界面活性剤の臨界ミセル濃度の0.1倍以上2.0倍以下であり、加熱温度(T1)がトナーのガラス転移温度(Tg)に対して、−10℃以上10℃未満であることを特徴とするトナーの製造方法。
  3. 前記表面処理工程が、前記トナー母体粒子表面の凹凸を少なくする工程であることを特徴とする請求項1又は2に記載のトナーの製造方法。
  4. 前記着色粒子分散液を調整する工程と着色粒子表面処理工程の間に、さらに着色粒子を洗浄する工程を含むことを特徴とする請求項2又は3に記載のトナー製造方法。
  5. 前記着色粒子分散液を調整する工程が、少なくとも樹脂、着色剤、離型剤、含むトナー材料を有機溶媒中へ溶解乃至分散させ、該溶解乃至分散物を界面活性剤を含む水系媒体中へ分散させることで、着色粒子分散液を調整する工程であることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載のトナー製造方法。
  6. 前記着色粒子分散液を調整する工程が、少なくとも変性されていないポリエステル樹脂、ウレア又はウレタン結合し得る変性されたポリエステル樹脂、アミン、着色剤、離型剤を含むトナー材料を有機溶媒中へ溶解乃至分散させ、該溶解乃至分散物を界面活性剤を含む水系媒体中へ分散させ、前記変性されたポリエステル樹脂と前記アミンとを反応させることで得られるウレア又はウレタン結合を有するポリエステル樹脂を含む着色粒子分散液を調整する工程であることを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載のトナー製造方法。
  7. トナー材料混合物を、造粒することで着色粒子を得る造粒工程、界面活性剤を含む水系媒体中へ前記着色粒子を分散させ着色粒子分散液を調整する工程、前記着色粒子分散液を加熱する着色粒子表面処理工程、表面処理後の着色粒子をろ過乾燥しトナー母体粒子を得る工程、トナー母体粒子へ外添剤を処理してトナーを得る工程を含み、前記着色粒子表面処理工程における着色粒子分散液中の界面活性剤量が界面活性剤の臨界ミセル濃度の0.1倍以上2.0倍以下であり、加熱温度(T1)がトナーのガラス転移温度(Tg)に対して、−10℃以上10℃未満であることを特徴とするトナーの製造方法。
  8. 前記造粒工程がトナー材料を溶融混練し、得られた混合物を粉砕・紛級する工程を含むことを特徴とする請求項7に記載のトナー製造方法。
  9. 請求項1乃至8に記載のトナー製造方法で得られるトナー。
  10. トナーのBET比表面積(Sbet)と前記トナーの体積平均粒径(Dv)の比Sbet/Dvが2.0×10m/g以上4.0×10m/g未満であることを特徴とする請求項9に記載のトナー。
  11. トナーの平均円形度が0.940以上0.970未満であることを特徴とする請求項9又は10のいずれかに記載のトナー。
  12. トナーの体積平均粒径が1.0μm以上6.0μm未満であることを特徴とする請求項9乃至11のいずれかに記載のトナー。
  13. 電子写真感光体を帯電手段により帯電させる帯電工程と、前記帯電された電子写真感光体上に露光手段により静電潜像を形成する露光工程と、前記静電潜像が形成された電子写真感光体上に現像手段によりトナーを用いてトナー像を形成する現像工程と、前記電子写真感光体上に形成されたトナー像を一次転写手段により中間転写体上に転写する一次転写工程と、前記中間転写体上に転写されたトナー像を二次転写手段により記録材上に転写する二次転写工程と、前記記録材上に転写されたトナー像を熱及び圧力定着部材を含む定着手段により記録材上に定着させる定着工程と、前記一次転写手段によりトナー像を中間転写体上に転写した電子写真感光体の表面に付着している転写残トナーをクリーニング手段によりクリーニングするクリーニング工程とを備え、前記現像工程におけるトナーが請求項9乃至12のいずれかに記載のトナーであることを特徴とするフルカラー画像形成方法。
  14. 前記二次転写工程において、トナー像の記録材への転写の線速度は300〜1000mm/secであり、二次転写手段のニップ部での転写時間は0.5〜20msecであることを特徴とする請求項13に記載のフルカラー画像形成方法。
  15. タンデム方式の電子写真画像形成プロセスを採用したことを特徴とする請求項13又は14に記載のフルカラー画像形成方法。
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