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JP2010138161A - 高純度4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの製造方法 - Google Patents

高純度4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの製造方法 Download PDF

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JP2010138161A JP2009193309A JP2009193309A JP2010138161A JP 2010138161 A JP2010138161 A JP 2010138161A JP 2009193309 A JP2009193309 A JP 2009193309A JP 2009193309 A JP2009193309 A JP 2009193309A JP 2010138161 A JP2010138161 A JP 2010138161A
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明天 高
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昭佳 山内
Masahiro Tomita
真裕 冨田
Akinori Tani
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Abstract

【課題】精留時の分解量が大幅に低減化された4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを製造スケールが大きくなった場合でも、高純度、高収率にて製造する方法を提供する。
【解決手段】4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オンおよび1,3−ジオキソラン−2−オンを含みpHが6未満の4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン粗液をpHが6〜7に調整された条件下に精留して高純度4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを得ることを特徴とする高純度4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを製造する方法に関する。
ビニレンカーボネート(以下、「VC」ということもある)や4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(以下、「FEC」ということもある)は、その誘電率の高さを利用して各種の電池の電解液の溶媒に利用されている。
そうしたVCやFECの製造方法の有用な出発原料の1つとして、1,3−ジオキソラン−2−オン(いわゆるエチレンカーボネート。以下、「EC」ということもある)を塩素化して得られる4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(以下、「CEC」ということもある)が知られている。
そうしたCECの製造方法として、ECに光照射下で塩素ガスを反応させる方法(特許文献1〜3)、ECに塩化スルフリルを反応させる方法(特許文献4〜6)が知られている。
特許文献1〜3によれば、CECの製造法により得られる粗反応生成物には、目的物質であるCECのほか、未反応EC、副生成物であるジクロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(以下、「DCEC」ということもある)、VCの合成の邪魔になる難分離性不純物(CECと分離が困難な成分)が含まれており、CECの収量を高めつつ難分離性不純物の副生量を低減化する塩素化方法が提案されている。
そして、特許文献1〜3では、得られた純度が63〜84質量%の粗反応生成物を理論段数21段の蒸留塔を用いて還元比5の条件で減圧下に精留して、112〜116℃/17〜20mmHgの精留分として、CECを純度99.31%で蒸留収率68.4%(CEC基準)(特許文献1)、純度99.20%で蒸留収率71.3%(CEC基準)(特許文献2)、純度99.10%で蒸留収率67.3%(CEC基準)(特許文献3)で得ている。
塩化スルフリルなどの塩化物を反応させる方法が開示されている特許文献4では、ECの転化率86.3%でCECを収率78.0%(DCECは86.3−78.0=8.5%)で得ているが、その後の精留工程については記載がない。
また特許文献5〜6では、無溶媒系での反応により、HClやSO2など酸成分の発生を低減化しながら、副生成物であるDCECを含まないCECをEC転化率79%(特許文献5)、収率85.2%(特許文献6)で得たとしており、さらに存する未反応ECの除去はその後の反応で除くことができるから、反応生成物の蒸留処理は不要であるとしている。
特開2007−91603号公報 特開2007−91604号公報 特開2007−91605号公報 特開平11−171882号公報 特開2002−529460号公報 特開2002−529461号公報
このようにCECを得るにあたってECの塩素化については種々の検討が行われているが、ECを塩素化してCECを含む粗反応生成物を得た後の後処理については全く検討されていないのが実状である。
本発明の課題は、塩素化により得られたCEC粗反応生成物に由来する粗液を精留により高純度化する場合において、製造スケールを大きくした場合でも、高純度でかつ高収率でCECを分離回収できるCECの製造方法を提供することにある。
すなわち本発明は、4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(CEC)および1,3−ジオキソラン−2−オン(EC)を含みpHが6未満のCEC粗液をpHが6〜7に調整された条件下に精留して高純度CECを得ることを特徴とする高純度CECの製造方法に関する。
本発明の製造方法において、pHを調整する第1の方法としては、CEC粗液を単蒸留する方法があげられる。
本発明の製造方法において、pHを調整する第2の方法としては、CEC粗液を減圧下に置いて酸を揮発させる方法があげられる。
本発明の製造方法において、pHを調整する第3の方法としては、制酸剤を精留前または精留中にCEC粗液に投入する方法があげられる。
本発明はまた、CECおよびECを含みpHが6未満のCEC粗液をpHが6〜7に調整された条件下に精留して高純度CECを製造し、
得られた高純度CECを脱塩化水素反応に供することを特徴とする高純度ビニレンカーボネート(VC)の製造方法にも関する。
本発明はさらに、CECおよびECを含みpHが6未満のCEC粗液をpHが6〜7に調整された条件下に精留して高純度CECを製造し、
得られた高純度CECをフッ素化反応に供することを特徴とする高純度4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(FEC)の製造方法にも関する。
FECの製造において、フッ素化反応に用いるフッ素化剤としては、式:
MF
(式中、Mはアルカリ金属原子または4級アンモニウムカチオン)で示される化合物、またはアミンフッ酸付加塩であることが好ましい。
本発明によれば、pHが6未満のCEC粗液の精留による高純度化処理において、製造スケールが大きくなった場合でも、高純度でかつ高収率でCECを分離回収できるCECの製造方法を提供することができる。
本発明の高純度CECの製造方法は、pHが6未満のCECの粗液を精留するときに、pHが6〜7に調整された条件下に行う点に特徴がある。
pH6〜7の条件下にてCEC粗液を精留することで、CECの分解が抑制され、結果として、高純度でかつ高収率でCECを分離回収することができる。
つまり、本発明者らの研究によれば、実際に、ECを塩素化反応した後のCECを含む粗反応生成物(pH6未満)を精留に供すると、それらの成分であるCEC、EC、DCECなどの分解反応が始まり、最終的に得られる精留分の収量が大きく低下してしまうこと、さらに製造スケールを大きくすると、精留に要する時間が長くなるため分解量が多くなり、収率の低下も大きくなることが分かった。その原因を種々検討した結果、粗反応生成物中に存在する酸(HCl、SO2など)が環状カーボネート構造を開環させてクロロアルデヒドやクロロエタノールを生成させていることに起因しているものと判明した。これから、製造スケールを大きくしたとき収率が低下するのは、スケールが大きくなると精留時間が長くなり、CEC、EC、DCECなどと酸との接触時間が長くなり分解が進むことによるものと思われる。
そこで、pH6〜7の条件下にてCEC粗液を精留することで、CEC粗液中に存在する酸(HCl、SO2など)によるCEC、EC、DCECなどの分解が抑制され、結果として、高純度でかつ高収率でCECを分離回収することができ、製造スケールが大きくなった場合でも同様の効果を期待することができる。
本発明の製造方法において精留に供する「CEC粗液」とはpHが6未満でCECとECを含む液であればよく、たとえばECを塩素化して得られる粗反応生成物(通常、少なくともCECおよび未反応ECを含むものであり、副生成物である酸(ECの塩素化により派生するHCl、SO2、Cl2などの酸または酸を発生し得る成分)によりpHが6未満となっている液状物)があげられる。
ECの塩素化方法としては、光照射下でECに塩素ガスを反応させる方法(たとえば特許文献1〜3など)であっても、ECに塩化スルフリルを反応させる方法(たとえば特許文献4〜6)であってもよい。
光照射下でECに塩素ガスを反応させる方法により得られる粗反応生成物中には、CEC、未反応ECおよび酸に加えてDCECや構造不明の難分離性物質が含まれており、CECの純度としては約60〜85質量%の粗反応生成物である。
また、ECに塩化スルフリルを反応させる方法により得られる粗反応生成物中には、CEC、未反応ECおよび酸、場合によってはDCECが含まれており、CECの純度としては約75〜85質量%の粗反応生成物である。なお、特許文献5〜6で得られる粗反応生成物はDCECを含まないものであるとされているが、未反応ECと酸は含まれており、そのまま精留に供したときはCECおよびECの分解が生じる。
CEC粗液中のCECの純度は、もちろん、もっと低くてもよいし、また、もっと高くてもよい。通常、CEC粗液のCEC純度は60〜85質量%が好ましい。また、未反応ECの濃度は、通常、10〜35質量%である。
また、CEC粗液のpHは酸の存在量にもよるが、pH6未満、通常1〜5程度である。
本発明の特徴は、精留をpHが6〜7に調整された条件下に行う点にあるから、CEC粗液のpH調整は、精留前に行っても精留中に行っても、または両方で行ってもよい。
具体的には、つぎの方法があげられるが、これらに限定されるものではない。
(1)第1のpH調整方法
CEC粗液を単蒸留する方法である。この単蒸留により、CEC粗液中の酸が揮発し、CEC粗液のpHが6〜7になる。
単蒸留の加熱温度は、通常、CEC粗液の分解温度(通常120〜160℃)未満の温度で行うことが好ましい。
また、長時間加熱すると分解温度より低くても分解が進むので、加熱時間も加熱温度に応じて制御することが望ましい。
またさらに、加熱は常圧(1気圧)で行っても減圧下(50〜760mmHg)に行ってもよい。減圧下に行う場合は、加熱温度を下げる、または加熱時間を短縮することができる。
好ましいCEC粗液の加熱温度は100〜150℃、さらには100〜140℃である。
この第1のpH調整方法は、精留塔にCEC粗液を入れた後でかつ精留前に前処理として行うこともできるし、別途の蒸発装置で行うこともできる。
(2)第2のpH調整方法
精留前にCEC粗液を減圧下に置いて酸を揮発させる方法である。この第2の調整方法は、第1の調整方法において、加熱しない(室温)条件で減圧下に行う態様ともいえる。
好ましい減圧条件としては絶対圧力として1mmHg以上で50mmHg未満の範囲、さらには1〜4mmHgの範囲があげられる。温度としては0℃以上で100℃未満の範囲、さらには室温が好ましい。
(3)第3のpH調整方法
精留前または精留中に制酸剤をCEC粗液に投入する方法である。
この調整方法では、制酸剤によりCEC粗液中の酸と吸着反応することにより、pHを6〜7にする。
使用できる制酸剤としては、金属化合物、無機多孔質物質などを例示できる。金属化合物としては、好ましくは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の珪酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、ホウ酸塩等;周期表IVa族金属(たとえばCr、Mo、Wなど)の酸化物、塩基性硫酸塩、三塩基性硫酸塩、塩基性亜リン酸塩などを用いることができる。このような金属化合物の具体例としては、ステアリン酸亜鉛、酸化鉄、酸化スズ、鉛丹、鉛白、二塩基性フタル酸鉛、二塩基性炭酸鉛、水酸化アルミニウムなどが例示できる。また、無機多孔質物質としては、たとえば、シリカなどのケイ素酸化物;アルミナなどのアルミニウム酸化物;天然ゼオライト、合成ゼオライト、モレキュラーシーブ(3A、4A、5A、13Xなど)、各種ハイドロタルサイトなどのケイ素アルミニウム複合酸化物などのほか、市販の各種多孔質制酸剤などを用いることができる。市販の多孔質制酸剤としては、非晶質性シリカ・アルミナゲルよりなる無機多孔質体(品川化成(株)製のセカード。商品名)、アルミニウムおよび鉄を含む水和物多孔質体(水澤化学(株)製のアルフェマイト。商品名)などのケイ素アルミニウム複合酸化物、また、Mg、Al、Siなどを単独もしくは主成分とする無機合成吸着剤の単独または組合せ(協和化学工業(株)製のキョーワード。商品名)などが例示できる。これらの制酸剤は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、アルカリ土類金属の酸化物、ケイ素酸化物、アルミニウム酸化物、ケイ素アルミニウム複合酸化物、またはこれらの2種以上などの求核性が低い制酸剤が好ましい。特に好ましい制酸剤は、制酸性の多孔質物質、さらにはケイ素酸化物、アルミニウム酸化物、ケイ素アルミニウム複合酸化物、またはこれらの2種以上の多孔質物質である。
なお、制酸剤がアルカリ性を呈する場合は、つぎの第4のpH調整機能も併せもつ。
(4)その他のpH調整方法
精留前にアルカリ性物質をCEC粗液に添加する方法である。いわゆる、中和という方法である。
このpH調整方法は、第1〜第3のpH調整方法と異なり、酸をCEC粗液から取り除く方法ではなく、単にCEC粗液のpHを6〜7に調整する方法である。
使用するアルカリ性物質としては、固体でも液体でも気体でもよい。具体例としては、たとえばアルカリ金属またはアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、カルボン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩など;周期表IVa族金属(たとえばCr、Mo、Wなど)の塩基性カルボン酸塩、塩基性炭酸塩などを用いることができる。このようなアルカリ性物質の具体例としては、たとえば酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、珪酸カルシウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、亜リン酸カルシウムなどが例示できる。
これらのpH調整方法のなかでも、pH調整だけではなく、CEC粗液中から塩素などのハロゲンを除去できることから、第1〜第3の調整方法が好ましい。CEC粗液中にハロゲンが残存していると、それを原料として製造したVCやFECを電解液として用いた場合、耐電圧性などの電気的特性に悪影響を与えてしまう。したがって、中和による調整方法を採用した場合も、VCまたはFECの製造工程のいずれかの工程でハロゲンを除去する処理を施すことが望ましい。
本発明における精留は、pHが6〜7に調整された条件下にCEC粗液を精留する。
CECの沸点は100℃(1mmHg)、ECの沸点は112℃(1mmHg)、およびDCECの沸点は78℃(1mmHg)であるから、100℃(1mmHg)の留分としてCECが回収される。
精留は精留塔を用いて行うのが好ましく、精留塔としては、たとえばプレート型カラム(泡鐘型カラム、多孔板(Older Shaw)型カラム)、同心円筒型カラム、回転バンド型カラム、充填カラムなどが好適に採用できる。
精留条件としては、使用する精留塔にもよるが、減圧(1〜10mmHg)下に溶液温度(100〜140℃)という条件が好ましく採用できる。
なお、制酸剤を精留時に存在させる場合は、カラムまたは溶液中に共存させればよい。
本発明の高純度CECの製造方法によれば、どのような製造スケールにおいても安定して、純度80〜99.9質量%のCECを蒸留収率で70〜95%という高収率で、すなわち分解を抑えて得ることができる。
また、本発明のCECの製造方法によれば、分解温度が120〜160℃のCEC粗液を精留後には分解温度190〜230℃の高純度CECにすることができる。
本発明で得られる高純度CECは、高純度VCの製造および高純度FECの製造原料として、有用である。
したがって、本発明はまた、高純度CECを使用するVCの製造方法、および高純度CECを使用するFECの製造方法にも関する。
本発明の高純度CECを使用するVCの製造方法で採用する反応は、CECの脱塩化水素反応であれば特に限定されず、たとえばJ. Am. Chem. Soc., 75, 1263(1953)、J. Am. Chem. Soc., 77, 3789(1955)、特開2002−322171号公報、特開2002−226475号公報、特開2000−26449号公報、特開平11−180974号公報などに記載の方法が好ましく例示できる。
具体的には、たとえば、有機溶媒(ジエチルエーテルやテトラヒドロフランなどの低沸点溶媒)中で、アミン(トリエチルアミンなど)によりCECを脱塩化水素する方法があげられる。
得られるVCは出発原料である高純度CECの純度を保ったまま、高純度のものである。
なお、VCを精留により分離する必要がある場合は、pHを6〜7にしてから精留に供することにより、不測の分解を抑制することができる。pHの調整方法としては、本発明の高純度CECの製造方法で説明した方法が採用できる。
本発明の高純度CECを使用するFECの製造方法で採用する反応は、CECのフッ素化反応であれば特に限定されず、たとえばCECを有機溶媒中でフッ素化剤によりフッ素化する方法が好ましく例示できる。
フッ素化剤としては、フッ酸、フッ素ガスのほか、式:
MF
(式中、Mはアルカリ金属原子または4級アンモニウムカチオン)で示される化合物、またはアミンのフッ酸付加塩が、入手の容易さ、フッ素化反応の効率がよいことから好ましい。
MFで示される化合物としては、たとえばKF、NaF、CsF、LiFなどのアルカリ金属フッ化物;4級アンモニウムカチオンとフルオロアニオンとの化合物などがあげられる。なかでも、アルカリ金属フッ化物が取り扱いやすさや反応性が高い点から好ましく、特にKFが反応性が高い点で特に好ましい。
フッ素化は、有機溶媒中で行う。水が存在すると反応性が低下するので、実質的に無水の状態で行うことが望ましい。
有機溶媒としては非プロトン性有機溶媒が好ましく、さらには反応速度が大きくなる点から極性有機溶媒が好ましい。具体的には、アセトニトリル(AN)、テトラヒドロフラン(THF)、N−メチルピロリドン(NMP)、塩化メチレン、クロロホルム、ニトロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、グライム系溶媒、アセトン、トルエン、酢酸エチルなどが例示できる。これらのなかでも誘電率が高く粘性が低い点からアセトニトリルが、また誘電率が高く沸点が好適な点からN−メチルピロリドンが好ましい。
CECに対するフッ素化剤の使用量は、CEC中の塩素原子1当量に対してフッ素化剤を1当量以上、好ましくは1.5当量以上、特に2当量以上とすることが、転化率(収率)が良好な点から好ましい。上限は特に限定されないが、後処理が容易な点から3当量までである。
反応温度は扱いやすさの点から30℃以上、さらには50℃以上が好ましい。また上限は使用する有機溶媒の沸点である。
また、触媒として、式(1):
4+- (1)
(式中、Rは炭素数1〜7のアルキル基、フェニル基、ベンジル基またはシクロアルキル基;Xはハロゲン原子)で示される4級アンモニウムカチオンとハロゲンアニオンとの化合物を用いてもよい。この触媒を用いるときには短時間で高収率にてFECを得ることができる。
触媒としては、式(1)において、Rが炭素数1〜7のアルキル基である化合物が、取り扱いが容易である点から好ましい。
また、触媒を構成するハロゲン原子としては、フッ素原子であることが、初期の反応性が高い点から好ましい。
触媒である4級アンモニウムカチオンとハロゲンアニオンとの化合物(1)の具体例としては、たとえばテトラメチルアンモニウムフルオライド、テトラエチルアンモニウムフルオライド、テトラプロピルアンモニウムフルオライド、テトラブチルアンモニウムフルオライドなどがあげられる。
触媒は、フッ素化剤の0.01〜0.5等量使用することが、反応性が高い点から好ましい。
出発物質のCECとフッ素化剤の反応は等モル比で進むが、反応性の点からフッ素化剤をCEC1モルに対して1〜2モル、さらには1〜1.5モル使用することが好ましい。
有機溶媒中の出発物質のCECの濃度としては、広い範囲が採用できるが、5質量%以上、さらには20質量%以上であることが反応を制御しやすい点から好ましい。上限は60質量%、さらには50質量%が好ましい。
触媒(化合物(1))を使用するときは、従来の製造法における反応より早く進み、同等の収率では、従来の反応時間の1/2以下の時間で反応が完結する。収率も80〜85%と従来と同等かそれ以上である。
フッ素化剤としてアミンのフッ酸付加塩を用いる場合、固形物を使用しない点で固形物の除去処理などの工程が不要になる。
使用するアミンフッ酸付加塩は有機溶媒に可溶であることが、反応の均一性やスムーズさの点から好ましい。
フッ素化剤としてのアミンフッ酸付加塩としては、つぎの式(2)および(3)で示される化合物が、非プロトン性溶媒への溶解性が良好な点から好ましい。
式(2):
Figure 2010138161
(式中、R1、R2およびR3は同じかまたは異なり、いずれもHまたは炭素数1〜4のアルキル基;nは1〜10、好ましくは1〜5)
このアミンフッ酸付加塩(2)は、安価に製造できる点、nの値を選択して製造できる点から好ましい。
具体例としては、トリメチルアミンnフッ酸付加塩、トリエチルアミンnフッ酸付加塩、トリプロピルアミンnフッ酸付加塩、トリイソプロピルアミンnフッ酸付加塩、トリブチルアミンnフッ酸付加塩、トリイソブチルアミンnフッ酸付加塩、トリt−ブチルアミンnフッ酸付加塩、ジメチルアミンnフッ酸付加塩、ジエチルアミンnフッ酸付加塩、ジプロピルアミンnフッ酸付加塩、ジイソプロピルアミンnフッ酸付加塩、ジブチルアミンnフッ酸付加塩、ジイソブチルアミンnフッ酸付加塩、ジt−ブチルアミンnフッ酸付加塩、メチルアミンnフッ酸付加塩、エチルアミンnフッ酸付加塩、プロピルアミンnフッ酸付加塩、イソプロピルアミンnフッ酸付加塩、ブチルアミンnフッ酸付加塩、イソブチルアミンnフッ酸付加塩、t−ブチルアミンnフッ酸付加塩など(nは1〜10)があげられる。特に、還元反応性に優れる点からこれらの例示化合物でnが1〜3の範囲の化合物が好ましい。
式(3):
Figure 2010138161
(式中、R4は−N=または−NH−を含む炭素数4〜5の含窒素芳香環;nは1〜10、好ましくは1〜5)
このアミンフッ酸付加塩(3)は、式(2)の化合物よりも求核性が高い点から好ましい。
具体例としては、つぎのものがあげられる。
Figure 2010138161
これらのうち、特に好適なものとしては、反応性が高い点からnが1〜3の化合物である。
アミンのフッ酸付加塩におけるアミンに対するフッ酸のモル比nは特に制限されないが、1〜10であることが好ましい。nが1を下回ると目的とするFECではなくビニレンカーボネート(VC)が生成することがあり、10を超えるとフッ素化の反応性が低下することがある。さらには、フッ素化反応性が高く、塩素原子のフッ素置換の選択性が高い点から、nは1〜3の範囲、さらには1〜2.5の範囲の値が好ましい。
アミンのフッ酸付加塩におけるアミンに対するフッ酸のモル比n(以下、「フッ酸モル比n」ということもある)は、たとえばつぎの方法で調整することができる。
(i)nの異なる2種以上のアミンのフッ酸付加塩を混合する。
たとえば、n=3のアミンのフッ酸付加塩1モルとn=1のアミンのフッ酸付加塩1モルを混合してn=2[=(3×1+1×1)/2]のアミンのフッ酸付加塩とする。
(ii)アミンのフッ酸付加塩にアミンを加える。
たとえば、n=3のアミンのフッ酸付加塩1モルとアミン1モルを混合してn=1.5[=(3×1)/2]のアミンのフッ酸付加塩とする。
アミンフッ酸付加塩と併用するアミンとしては、アミンフッ酸付加塩を構成するアミンと同じでも異なっていてもよいが、フッ素化の反応性が高い点から同じものの方が好ましい。
併用するアミンの具体例としては、前記のアミンフッ酸付加塩で例示したアミン部分の化合物が同じく例示できる。
また、アミンフッ酸付加塩とアミンとの混合は、アミンフッ酸付加塩とアミンとを予め混合した後に反応系に加えてもよいし、いずれか一方を反応系に加えた後他方を加えてもよい。特に、アミンフッ酸付加塩とアミンを有機溶媒に溶解してからCECを加えて反応を開始するのが、副生成物ができる割合が低くなる点から好ましい。
(iii)アミンにフッ酸を混合する量を調整する。
たとえば有機溶剤にアミン1モルを溶解させた溶液にフッ酸2モルを混合してn=2のアミンのフッ酸付加塩をその場で調製する。
本発明の反応工程におけるCECとアミンフッ酸付加塩との反応は、有機溶媒中で行う。水が存在すると反応性が低下するので、実質的に無水の状態で行うことが望ましい。
出発物質のCEC中のハロゲン原子のフッ酸によるアミン共存下でのフッ素化反応は等モル比で進む。ただ、CECとアミンフッ酸付加塩のアミンとのモル比m(以下、「アミンモル比m」ということもある)も、フッ素化反応に影響を与える。これは、アミンとCECとのモル比がある範囲にあるときに、CECのハロゲン原子(Cl、Br、I)がフッ酸によるフッ素化反応を受けやすいように活性化されるからである。
アミンモル比mとしては、0.5〜4であることが、CECの反応活性が良好な点から好ましい。さらには1.0以上、好ましくは1.5以上、より好ましくは2.0以上、さらに好ましくは2.1以上使用する。アミンモル比mの上限はとくに制限はないが、経済的理由から4程度である。
有機溶媒としては、たとえばニトロメタン、ニトロベンゼン、クロロホルム、ジクロロメタン、トルエンなどのほか、任意の有機溶媒が使用できる。なかでも非プロトン性有機溶媒が求核性が向上する点から好ましい。非プロトン性有機溶媒としては、ニトリル系溶媒、環状エーテル系溶媒、鎖状エーテル系溶媒、エステル系溶媒、鎖状カーボネート系溶媒、ケトン系溶媒またはアミド系溶媒があげられる。これらは単独で、または2種以上併用してもよい。
ニトリル系溶媒としては、アセトニトリル、ベンゾニトリル;環状エーテル系溶媒としては、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなど;鎖状エーテル系溶媒としては、ジグライム、トリグライムなど;エステル系溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトンなど;鎖状カーボネート系溶媒としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなど;ケトン系溶媒としては、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン;アミド系溶媒としては、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどがあげられる。
特に、反応後、水洗処理を行う場合、非水溶性の溶媒が好ましく、この点から、たとえば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトンが好ましい。
有機溶媒中の出発物質のCECの濃度としては、広い範囲が採用できるが、5重量%以上、さらには20重量%以上であることが反応を制御しやすい点から好ましい。上限は60重量%、さらには50重量%が好ましい。
反応温度は、扱いやすさの点から30℃以上、さらには50℃以上が好ましい。また上限は使用する有機溶媒の沸点である。
反応は、従来の製造法における反応より早く進み、同等の収率では、従来の反応時間の1/2以下の時間で反応が完結する。収率も80〜85%と従来と同等かそれ以上である。
本発明の高純度CECを出発物質とするFECを製造するための方法に適用できる方法としては、そのほか、EP0931365A、特開2007−008825号公報、特開2007−008826号公報などに記載された方法も採用できる。
得られるFECは出発原料である高純度CECの純度を保ったまま、高純度のものである。
なお、FECを精留により分離する必要がある場合は、pHを6〜7にしてから精留に供することにより、不測の分解を抑制することができる。pHの調整方法としては、本発明の高純度CECの製造方法で説明した方法が採用できる。
つぎに実施例をあげて本発明の製造法を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の実施例で使用した分析方法はつぎのものである。
(1)NMR
装置:BRUKER製のAC−300
測定条件:
1H−MNR:300MHz(トリフルオロメチルベンゼン=7.51ppm)
(2)ガスクロマトグラフィ(GC)
装置:島津製作所製のGC−17A
カラム:DB624(J&Wサイエンティフィック社製)
測定条件:100℃→5分間保持→10℃/分で昇温→230℃
(3)ガスクロマトグラフィ/質量分析(GC/MS)
装置:PERKIN ELMER社製のClaus500
DB624(J&Wサイエンティフィック(株)製)
測定条件:100℃→5分間保持→10℃/分で昇温→230℃
(4)pH測定
低導電率水・非水溶媒用pH電極((株)堀場製作所製6377−10D)
(5)分解温度測定
装置:カルベ式熱量計(SETARAM社製 C80)
測定条件:昇温速度0.5℃/分、60℃から230℃まで昇温
(6)CEC分解率
CEC粗液20gを三口フラスコに入れ、窒素雰囲気下に140℃で6時間加熱撹拌した後室温に戻し、質量Xgを測定する。一方、発生したガスをGC分析、GC/MS分析および1H−NMR分析して、CECが分解していることを確認する。分解率(%)は((20−X)/20)×100で求める。
実施例1
ECの塩素化反応により製造されたCEC粗液(CEC82質量%、EC14質量%、DCEC4質量%。pH=1。以下、「CEC粗液1」という)500gに、制酸剤として非晶質性シリカ・アルミナゲル(制酸剤A:品川化成(株)製のセカードKW。中性シリカゲル。商品名)を100g加えて室温下で2時間攪拌してpH調整を行った。攪拌終了後、非晶質性シリカ・アルミナゲルをろ過により取り除いて、CEC粗液を調製した。得られたCEC粗液(以下、「CEC粗液2」という)のpHは6であった。
ついで、CEC粗液1とCEC粗液2について、それらの分解温度を調べたところ、CEC粗液1(pH=1)では152℃であり、CEC粗液(pH=6)では201℃と顕著に高くなっていた。
この結果から、pHを6に調整することにより、CECの精留温度領域(通常100〜140℃)での熱的安定性が大幅に向上していることが分かる。
実施例2
CEC粗液1(CEC82質量%、EC14質量%、DCEC4質量%。pH=1)500gに非晶質性シリカ・アルミナゲル(品川化成(株)製のセカードKW。中性シリカゲル。商品名)を65g加えて室温下で2時間攪拌してpH調整を行った。攪拌終了後、非晶質性シリカ・アルミナゲルをろ過により取り除いて、CEC粗液を調製した。得られたCEC粗液(以下、「CEC粗液3」という)のpHは4であった。
実施例1で用いたCEC粗液1および2と上記CEC粗液3の140℃における分解率を調べた。
その結果、分解率は、CEC粗液1(pH=1)で12質量%、CEC粗液3(pH=4)で9質量%であったが、CEC粗液2(pH=6)では1質量%と、極めて低くなっていた。
この結果から、pHを6に調整することにより、CECの精留温度領域(通常100〜140℃)での熱的安定性が大幅に向上していることが分かる。
実施例3
CEC粗液1(CEC82質量%、EC14質量%、DCEC4質量%。pH=1)500gに非晶質性シリカ・アルミナゲル(品川化成(株)製のセカードKW。中性シリカゲル。商品名)を200g加えて室温下で2時間攪拌してpH調整を行った。攪拌終了後、非晶質性シリカ・アルミナゲルをろ過により取り除いて、CEC粗液を調製した。得られたCEC粗液のpHは7であった。
実施例4
CEC粗液1(CEC82質量%、EC14質量%、DCEC4質量%。pH=1)500gに表1に示す制酸剤B〜Fをいずれも100g加えて室温下で2時間攪拌してpH調整を行った。攪拌終了後、制酸剤をろ過により取り除いて、CEC粗液を調製した。得られたCEC粗液のpHを表1に示す。
制酸剤B:キョーワード500(Mg、Al、Siなど主成分とする無機合成吸着剤。協和化学工業(株)製。商品名)
制酸剤C:キョーワード1000(Mg、Al、Siなど主成分とする無機合成吸着剤。協和化学工業(株)製。商品名)
制酸剤D:ポリビニルピリジン(アルドリッチ社製)
制酸剤E:ワコーゲルC−200(シリカゲル。和光純薬工業(株)製。商品名)
制酸剤F:Aluminium oxide 90 active neutral(酸化アルミニウム。メルク社製。商品名)
Figure 2010138161
実施例5
CEC粗液1(pH=1)とCEC粗液2(pH=6)を用いて、製造スケールを変えて精留し、製造スケールにおけるpHの影響(蒸留状態、蒸留収率)を調べた。結果を表2に示す。
精留は、10段のOlder・Showカラムを用い、液温110℃で減圧(1mmHg)下に行った。表2に、蒸留収率とCEC純度を記載している。なお、CEC以外の成分は、EC、DCEC、GCであり、そのほか1質量%以下のものとして、クロロアセトアルデヒド、クロロエタノール、高沸点塩素化合物などが確認できた。
製造スケール1
EC換算で2モルのCEC粗液(最大245g)を精留する。
製造スケール2
EC換算で3.5モルのCEC粗液(最大430g)を精留する。
製造スケール3
EC換算で10モルのCEC粗液(最大1300g)を精留する。
製造スケール4
製造スケール1において、蒸留系内に非晶質性シリカ・アルミナゲル(品川化成(株)製のセカードKW。中性シリカゲル。商品名)を50g加えて蒸留を行う。
なお「EC換算」とは、CEC粗液から逆算した初期のECのモル数を表わしている。
Figure 2010138161
表2の結果から、pHが1の場合は製造スケールが大きくなるに従って蒸留収率が低下して蒸留ができなくなるが、pHを6に調整することにより、CECの精留温度領域(通常100〜140℃)で製造スケールが大きくなっても収率が維持できるどころか、向上していることが分かる。
実施例6(単蒸留によるpH調整)
CEC粗液1(CEC82質量%、EC14質量%、DCEC4質量%。pH=1)500gをリグリュー管を用いて単蒸留に供し、106℃(3mmHg)の留分としてCEC粗液(以下、「CEC粗液4」という)を得た。このCEC粗液4の成分割合はCEC83質量%およびEC17質量%であり、pHは6であった。
実施例7(減圧によるpH調整)
CEC粗液1(CEC82質量%、EC14質量%、DCEC4質量%。pH=1)500gを3mmHgの減圧下に25℃にて6時間撹拌した。得られたCEC粗液(以下、「CEC粗液5」という)のpHは5であった。
その後、反応温度を上げていき、50℃にて6時間撹拌した。そのときのCEC粗液のpHは6であった。
実施例8(VCの製造)
実施例5の製造スケール3で得た高純度CEC100g(純度95質量%、約820mmol)、テトラヒドロフラン100mlを500ml容量の容器に入れ、オイルバス中で加熱還流させながらトリエチルアミン91g(902mmol)を1時間掛けてゆっくり滴下した。この還流温度でさらに2時間撹拌を行った後、ガスクロマトグラフィ(GC)を用いて反応の終了を確認し、反応溶液の温度を室温に戻した。
得られた反応溶液をろ過してアミン塩酸塩を除いてろ液を得た。また、除いたアミン塩酸塩を2回テトラヒドロフランで洗浄し、洗浄液をろ液と混合した。
得られたろ液をリグリュー管を用いて精留に供し、45℃(3mmHg)の留分としてVCを収率85%、純度99.0質量%で得た。pHは6であった。
実施例9(FECの製造)
撹拌装置を備えた3Lのガラス製3口フラスコの上部に還流管を取り付け、スプレードライのフッ化カリウム355g(6.12mol)を加え真空下で攪拌しながらフレームドライにより水分を除去した。その後シリンジを用いてアセトニトリル1.3L、実施例5の製造スケール3で得た高純度CEC500g(4.08mol)を加えて攪拌した。反応温度85℃で反応を行い、進行はガスクロマトグラフィ(GC)を用いて分析した。反応は6時間で原料のピークの消失を確認し、終了した。反応終了後、反応生成物中の塩(フッ化カリウム、塩化カリウムなど)をろ過して、反応生成液を得た。
得られた反応生成液からエバポレーターを用いてアセトニトリルを留去し、残留物をリグリュー管を用いて精留に供し、74℃(1mmHg)の留分として無色透明なFECを収率75%、純度99.2質量%で得た。pHは6であった。
実施例10
リフラックスコンデンサーを備えた1Lの3口フラスコにトリエチルアミン3フッ酸付加塩(49.44g:302.8mmol)、トリエチルアミン(59.80g:589mmol)、酢酸エチル308.6gを加えた(フッ酸モル比n=1.8)。これに実施例5の製造スケール3で得た高純度CEC100g(816mmol)を仕込み、反応温度80℃で1時間かけてフッ素化反応を行なった。
得られた有機層をガスクロマトグラフィ(GC)、ガスクロマトグラフィ/質量分析(GC/MS)および19F−NMRで分析したところ、CECの転化率は99%であり、FECが選択率90%で生成していた。

Claims (8)

  1. 4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オンおよび1,3−ジオキソラン−2−オンを含みpHが6未満の4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン粗液をpHが6〜7に調整された条件下に精留して高純度4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを得ることを特徴とする高純度4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの製造方法。
  2. pHを調整する方法が、4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン粗液を単蒸留する方法である請求項1記載の製造方法。
  3. pHを調整する方法が、4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン粗液を減圧下に置いて酸を揮発させる方法である請求項1記載の製造方法。
  4. pHを調整する方法が、制酸剤を精留前または精留中に4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン粗液に投入する方法である請求項1記載の製造方法。
  5. 4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オンおよび1,3−ジオキソラン−2−オンを含みpHが6未満の4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン粗液をpHが6〜7に調整された条件下に精留して高純度4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを製造し、
    得られた高純度4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを脱塩化水素反応に供することを特徴とする高純度ビニレンカーボネートの製造方法。
  6. 4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オンおよび1,3−ジオキソラン−2−オンを含みpHが6未満の4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン粗液をpHが6〜7に調整された条件下に精留して高純度4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを製造し、
    得られた高純度4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オンをフッ素化反応に供することを特徴とする高純度4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの製造方法。
  7. フッ素化反応に用いるフッ素化剤が、式:
    MF
    (式中、Mはアルカリ金属原子または4級アンモニウムカチオン)で示される化合物である請求項6記載の製造方法。
  8. フッ素化反応に用いるフッ素化剤が、アミンフッ酸付加塩である請求項6記載の製造方法。
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