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JP2010115935A - 空気入りタイヤ及びその製造方法 - Google Patents

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JP2010115935A JP2008288392A JP2008288392A JP2010115935A JP 2010115935 A JP2010115935 A JP 2010115935A JP 2008288392 A JP2008288392 A JP 2008288392A JP 2008288392 A JP2008288392 A JP 2008288392A JP 2010115935 A JP2010115935 A JP 2010115935A
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Abstract

【課題】転がり抵抗を悪化させずに車両の静電気を路面に放電させる。
【解決手段】トレッドゴム2Gは、トレッド補強コード層7の外側の非導電性ゴムからなるベース部9と、べース部9の外側に配された非導電性ゴムからなるキャップ部10と、一端11aが接地面2aに露出しかつ他端11bがトレッド補強コード層7に接続された導電性ゴムからなる導通部11とを含む。ベース部9は、ゴムストリップを螺旋状に巻き付けて形成されしかも巻き付け途中に隣り合うゴムストリップの側縁が離間することによりトレッド補強コード層が露出する隙間部13を具える。キャップ部10は、隙間部13の近傍で分割された第1のキャップ部10Aと第2のキャップ部10Bとからなる。導通部11は、接地面2aから第1のキャップ部10Aと第2のキャップ部10Bとの間をのびかつベース部9の隙間部13でトレッド補強コード層7に接続される。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両の静電気を路面に放電することが可能な空気入りタイヤ及びその製造方法に関する。
近年、多くのシリカが、空気入りタイヤのトレッドゴムに配合されている。シリカは、タイヤの転がり抵抗を小さくしかつウエットグリップ性を高めるという利点をもたらす。一方、シリカは導電性に劣るため、トレッドゴムの電気抵抗を増加させる。このようなタイヤは、静電気を車両に蓄積させ、ラジオノイズ等の電波障害を引き起こすおそれがある。
従来、車両への静電気の蓄積を防止するために、例えば図13に示されるようなトレッドゴムaが提案されている。該トレッドゴムaは、タイヤ半径方向内側のベース部cと、そのタイヤ半径方向外側のキャップ部bとを含む2層で構成されている。ベース部c及びキャップ部bは、タイヤの運動性能等を高めるために、シリカリッチ配合とした非導電性のゴムで構成される。また、ベース部c及びキャップ部bは、それぞれ左右に分断されており、それらの間に例えばカーボンリッチ配合とした導電性のゴムからなる貫通端子部dが設けられる。
該貫通端子部dは、タイヤ周方向に連続してのびており、そのタイヤ半径方向の外面は接地面gの一部を構成している。また、貫通端子部dのタイヤ半径方向の内面は、リム組み時、リム(図示省略)とサイドウォールゴム等を介して電気的に導通しているベルト層などのトレッド補強コード層fに接続される。このようなトレッドゴムaは、車両に蓄積された静電気を、リム、サイドウォールゴム、トレッド補強コード層f及び貫通端子部dを経由させて路面へ放電しうる。
しかしながら、図13のようなトレッドゴムaでは、ベース部cが、左右に完全に分断されている。換言すれば、上記トレッドゴムaでは、転がり抵抗の小さいゴムからなるベース部cが存在しない領域が、タイヤ周方向に連続して形成される、このようなトレッドゴムaでは、転がり抵抗を小さくするする効果が十分に期待できない。
また、ベース部cが左右に完全に分断されていると、トレッドゴムaの成形時、ベース部cの貼り付け位置のずれ等が生じやすい。これは、タイヤのユニフォミティを悪化させる傾向があった。
関連する技術としては、次のものがある。
特開平9−71112号公報 特開2000−94542号公報
本発明は、以上のような問題点に鑑み案出なされたもので、ベース部を、リボン状のゴムストリップを螺旋状に巻き付けて形成するとともに、その巻き付け途中に、隣り合うゴムストリップの側縁を離間させた隙間部を設け、一端が接地面に露出する導通部をこの隙間部から導電性のトレッド補強コード層に接続することを基本として、ベース部を左右に完全に分断することなく導通路を確保し、ひいては転がり抵抗及びユニフォミティに優れた空気入りタイヤ及びその製造方法を提供することを基本としている。
本発明のうち請求項1記載の発明は、トレッド部からサイドウォール部を経てビード部のビードコアに至るトロイド状のカーカスと、該カーカスのタイヤ半径方向外側かつ前記トレッド部の内方に配されしかもリム組時にリムと電気的に導通するトレッド補強コード層と、該トレッド補強コード層のタイヤ半径方向外側に配されたトレッドゴムとを有する空気入りタイヤであって、前記トレッドゴムは、前記トレッド補強コード層のタイヤ半径方向外側に配されかるシリカが配合された非導電性のゴムからなるベース部と、前記べース部のタイヤ半径方向外側に配されて接地面を構成ししかもシリカが配合された非導電性のゴムからなるキャップ部と、一端が前記接地面に露出しかつ他端が前記トレッド補強コード層に接続された導電性のゴムからなる導通部とを含み、かつ前記ベース部は、一方のトレッド端側から他方のトレッド端側までリボン状のゴムストリップを螺旋状に巻き付けて形成されしかも巻き付け途中に隣り合うゴムストリップの側縁が離間することによりトレッド補強コード層が露出する隙間部を具え、前記キャップ部は、前記隙間部の近傍で分割された一方のトレッド端側の第1のキャップ部と他方のトレッド端側の第2のキャップ部とからなり、しかも前記導通部は、前記接地面から第1のキャップ部と第2のキャップ部との間をタイヤ半径方向内側にのびかつ前記ベース部の隙間部でトレッド補強コード層に接続されていることを特徴とする。
また請求項2記載の発明は、前記隙間部は、ゴムストリップが、その幅よりも大かつ2倍以下の巻き付けピッチで巻き付けられる部分を含む請求項1記載の空気入りタイヤである。
また請求項3記載の発明は、前記導通部は、リボン状のゴムストリップを螺旋状に巻き付けて形成されている請求項1又は2記載の空気入りタイヤである。
また請求項4記載の発明は、前記第1のキャップ部及び第2のキャップ部は、リボン状のゴムストリップを螺旋状に巻き付けることにより形成される請求項1ないし3のいずれかに記載の空気入りタイヤである。
また請求項5記載の発明は、リム組時にリムと電気的に導通するトレッド補強コード層と、その外側に配されたトレッドゴムとを有する空気入りタイヤを製造するための空気入りタイヤの製造方法であって、前記トレッドゴムを成形するトレッドゴム成形工程と、前記トレッドゴムをトレッド部に具えた生タイヤを加硫する加硫工程とを含み、かつ前記トレッドゴム成形工程は、前記トレッド補強コード層のタイヤ半径方向外側に、一方のトレッド端側から他方のトレッド端側までリボン状かつ非導電性のゴムストリップを螺旋状に巻き付けるとともに巻き付け途中に隣り合うゴムストリップの側縁を離間させることによりトレッド補強コード層が露出する隙間部を具えたベース部を形成する段階と、前記べース部のタイヤ半径方向外側に、該ベース部の一端側に設けられたタイヤ軸方向の外端から前記隙間部の近傍までのびることによりベース部の前記一端側領域を覆う非導電性のゴムからなる第1のキャップ部を形成する段階と、一端が接地面に露出するとともに前記第1のキャップ部の内側の端部分に沿いかつ前記ベース部の隙間部からトレッド補強コード層に接続される他端を具えた導電性のゴムからなる導通部を形成する段階と、前記ベース部のタイヤ幅方向外側かつ導通部から他方のトレッド端側の他端側領域に非導電性のゴムからなる第2のキャップ部を形成する段階とを含むことを特徴とする。
また請求項6記載の発明は、前記導通部を形成する段階は、リボン状のゴムストリップを螺旋状に巻き付けて行われる請求項5記載の空気入りタイヤの製造方法である。
また請求項7記載の発明は、前記導通部を形成する段階は、該導通部の前記一端から前記他端まで連続する幅を有するゴムシートを巻き付けて行われる請求項5記載の空気入りタイヤの製造方法である。
また請求項8記載の発明は、前記第1のキャップ部及び前記第2のキャップ部を形成する段階は、リボン状のゴムストリップを螺旋状に巻き付けて行われる請求項5乃至7のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法である。
本明細書において、「導電性」とは、物質が実質的に電気を通す性質を意味し、具体的には体積固有電気抵抗値が1.0×108 (Ω・cm)未満の材料が示す性質とする。
また、「非導電性」とは、物質が実質的に電気を通さない性質を意味し、具体的には体積固有電気抵抗値が1.0×108 (Ω・cm)以上の材料が示す性質とする。
さらに、ゴムの「体積固有電気抵抗値」は、15cm四方かつ厚さ2mmのゴム試料に対し、印加電圧500V、気温25℃、湿度50%の条件で電気抵抗測定器を用いて測定される。
請求項1に記載の空気入りタイヤでは、トレッドゴムのベース部が、リボン状のゴムストリップを螺旋状に巻き付けるいわゆるストリップワインド工法で形成されしかも巻き付け途中に隣り合うゴムストリップの側縁が離間することによりトレッド補強コード層が露出する隙間部を具える。そして、導通部は、接地面から第1のキャップ部と第2のキャップ部との間をタイヤ半径方向内側にのびかつ前記ベース部の隙間部でトレッド補強コード層に接続される。従って、シリカが配合されることにより転がり抵抗の小さいゴムからなるベース部は、タイヤ軸方向で左右に完全に分断されることなく形成される。つまり、ベース部が存在しない部分は、タイヤ周方向に連続しない。よって、このようなトレッドゴムでは、転がり抵抗やユニフォミティの悪化を効果的に防止しうる。
また、請求項5に記載された本発明の空気入りタイヤの製造方法では、上述の空気入りタイヤを能率良く製造することができる。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1は、本発明の製造方法により得られた空気入りタイヤ1の断面図が示される。該空気入りタイヤ1は、トレッド部2からサイドウォール部3をへてビード部4のビードコア5に至るトロイド状のカーカス6と、このカーカス6のタイヤ半径方向外側かつトレッド部2の内部に配されるトレッド補強コード層7とを含んで構成される。
前記カーカス6は、例えばラジアル構造の1枚のカーカスプライ6Aから形成される。前記カーカスプライ6Aは、例えばビードコア5、5間を跨るトロイド状の本体部6aと、その両側に連なりビードコア5の周りをタイヤ軸方向内側から外側に向けて折り返された一対の折返し部6bとを有する。またカーカスプライ6Aの本体部6aと折返し部6bとの間には、ビードコア5から半径方向外側にのびるビードエーペックスゴム8が配されている。
前記トレッド補強コード層7は、金属コードをタイヤ周方向に対して例えば15〜40度の角度で配列した2枚以上、本例では2枚のベルトプライ7A、7Bを重ねて構成される。なお、トレッド補強コード層7には、必要に応じて、最も外側に、有機繊維コードがタイヤ周方向に実質的に平行に配列されたバンドプライ(図示省略)を含んでも良い。
前記各カーカスプライ6A及びベルトプライ7A、7Bは、いずれもコードと、これらをトッピングするトッピングゴムとからなるタイヤ用のプライで構成される。前記トッピングゴムは、充填剤としてカーボンブラックを豊富に含む。このため、各トッピングゴムは、体積固有電気抵抗値が1.0×108 (Ω・cm)未満であり、導電性を有する。
また、サイドウォール領域かつカーカス6の外側には、タイヤ外皮をなすサイドウォールゴム3Gが配される。該サイドウォールゴム3Gのタイヤ半径方向の外端は、前記カーカス6とトレッド補強コード層7との間に延在して終端している。
またビード領域のカーカス6の外側には、リムJに接触するクリンチゴム4Gが配されている。該クリンチゴム4Gは、前記サイドウォールゴム3Gと接続される。
上記サイドウォールゴム3G及びクリンチゴム4Gも、充填剤としてカーボンブラックが豊富に含まれるので、いずれも体積固有電気抵抗値が1.0×108 (Ω・cm)未満であり、導電性を示す。
なお、カーカス6の内側には、空気非透過性に優れたインナーライナゴム12が配されている。
前記トレッド補強コード層7のタイヤ半径方向外側には、トレッドゴム2Gが配される。本実施形態のトレッドゴム2Gは、タイヤ半径方向内側に配されかつ非導電性のゴムからなるベース部9と、このべース部9のタイヤ半径方向外側に配されて接地面2aを構成するとともに非導電性のゴムからなるキャップ部10と、一端が接地面2aに露出しかつ他端がリム組時にリムJと電気的に導通するトレッド補強コード層7に接続された導電性のゴムからなる導通部11とを含んで構成される。
なお、トレッド部2の接地面2aとは、正規リムにリム組みされかつ正規内圧が充填された正規状態のタイヤに正規荷重を負荷してキャンバー角0度で平面に接地させたときに該平面と接地するトレッド部2の表面とする。なお、この接地面の最もタイヤ軸方向外側の位置をトレッド端e1、e2とする。
また、前記「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば"標準リム"、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば "Measuring Rim" とする。
また、前記「正規内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば"最高空気圧"、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" とするが、タイヤが乗用車用である場合には180kPaとする。
さらに、前記「正規荷重」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば"最大負荷能力"、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "LOAD CAPACITY" であるが、タイヤが乗用車用の場合には前記荷重の88%に相当する荷重とする。
本実施形態において、前記ベース部9及びキャップ部10には、シリカを多く配合したシリカリッチ配合ゴムが用いられる。このようなシリカリッチ配合ゴムは、キャップ部10においてはとりわけウエットグリップ性能を高める。またベース部9においては発熱や転がり抵抗を低減するなど優れた実車走行性能を発揮しうる。一方、シリカが多量に配合されることにより、ベース部9及びキャップ部10は、いずれも、上述の通り非導電性を示す。
前記ベース部9及びキャップ部10を構成するゴムポリマーとしては、例えば天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)ポリイソプレンゴム(IR)、ニトリルゴム(NBR)又はクロロプレンゴム(CR)などが挙げられ、これらは1種又は2種以上をブレンドして用いられても良い。
また、ベース部9及びキャップ部10に配合されるシリカとしては、特に限定はされないが、ゴムへの補強効果及びゴム加工性を高めるために、窒素吸着比表面積(BET)が150〜250m2 /gの範囲、かつフタル酸ジブチル(DBP)吸油量が180ml/100g以上のコロイダル特性を示すものが好適である。
また、シランカップリング剤としては、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、α−メルカプトプロピルトリメトキシシランが好適である。
低転がり抵抗とウエットグリップ性とをより高いレベルで両立させるために、ベース部9及びキャップ部10へのシリカの配合量は、ゴムポリマー100質量部に対して、好ましくは30質量部以上、より好ましくは40質量部以上が望ましく、また、好ましくは100質量部以下、より好ましくは80質量部以下、さらに好ましくは60質量部以下が望ましい。
また、前記ベース部9及びキャップ部10には、カーボンブラックが補助的に配合されても良い。これは、他のゴム物性、例えばゴム弾性やゴム硬度等を調整するのに役立つ。この場合、カーボンブラックの配合量は、シリカの配合量より少なく、とりわけゴムポリマー100質量部に対して15質量部以下、さらには10質量部以下が望ましい。カーボンブラックの配合量が15質量部を超えると、転がり抵抗が大幅に悪化する他、ゴムが過度に硬くなる傾向があるため好ましくない。
前記ベース部9は、トレッド補強コード層7の外側に接して配され、一方のトレッド端e1側から他方のトレッド端e2側まで、図3に示されるようなリボン状のゴムストリップ15を螺旋状に巻き付けることにより形成される。また、ベース部9は、ゴムストリップ15の巻き付け途中に、隣り合うゴムストリップ15の側縁15e、15eが互いに離間することによりトレッド補強コード層7が露出する隙間部13を具える。
本実施形態のベース部9は、トレッド補強コード層7よりも大きいタイヤ軸方向の幅を有する。従って、ベース部9のタイヤ軸方向の外端9a、9bは、いずれもトレッド補強コード層7の端部よりもタイヤ軸方向外側にある。なお、ベース部9の各外端9a、9bは先細状をなし、例えばサイドウォールゴム3Gに接続されている。
前記ゴムストリップ15は、厚さtに比して幅Wが大きい断面矩形のリボン状で形成される。ゴムストリップの幅W及び厚さtは、特に限定されないが、幅Wは5〜50mm程度及び厚さtは0.5〜3mm程度が望ましい。ゴムストリップの幅Wが5mm未満の場合又は厚さtが0.5mm未満の場合、巻き付け時にゴムストリップが破断し易くなる他、必要な断面形状を得るために、巻回数が著しく増加して生産性が低下するおそれがある。逆に、ゴムストリップの幅Wが50mmを超える場合又は厚さtが3mmを超える場合、螺旋状に巻き重ねて正確な断面形状を作るのが困難な傾向がある。
図4及び図5には、トレッドゴムを成形するトレッドゴム成形工程のうち、ベース部9を成形する工程が示される。
上記ベース部9は、図4に示されるように、予めトレッド補強コード層7が巻き付けられた円筒状の成形フォーマFの外側に、シリカリッチ配合によって非導電性を示すゴムストリップ15Aを螺旋状に巻き付けることにより形成される。
具体的には、一方のトレッド端e1側で、ゴムストリップ15Aの巻き付け始端15Asをトレッド補強コード層7よりもタイヤ軸方向外側かつ成形フォーマ上に固着した後、該成形フォーマFを回転させるとともにゴムストリップ15を所定の速度で他方のトレッド端e2側に向けて移動させる。これにより、ゴムストリップ15Aは、成形フォーマF上に螺旋状に巻き付けられる。
また、ゴムストリップ15は、巻き付け開始からしばらくの間はゴムストリップ15Aの側縁15eは互いに重ねられ隙間無く巻き付けられる。即ち、ゴムストリップ15Aは、その幅Wよりも小さい巻き付けピッチPaで一定区間巻き付けられる。
しかる後、図4及び図5に示されるように、巻き付け途中に、隣り合うゴムストリップ15の側縁15e、15eを互いに離間させることにより前記隙間部13が形成される。図5の隙間部13は、ゴムストリップ15Aを、その幅Wよりも大きい巻き付けピッチPbで巻き付けることにより形成される。また、本実施形態の隙間部13は、始点13aから終点13bまでほぼタイヤ周方向に略1周分の長さでかつ螺旋状にのびるものとして形成される。
隙間部13が形成された後は、ゴムストリップ15Aは、再びその幅Wよりも小さい巻き付けピッチPaで巻き付け終端15Aeまで隙間無く巻き付けられる。ゴムストリップ15Aの巻付け終端15Aeは、トレッド補強コード層7をタイヤ軸方向外側に超えた位置で成形フォーマF上に固着される。なお、ゴムストリップ15の巻き付けピッチを調整することで、ベース部9の各部の厚さは自在に設定される。
このようにして形成されたベース部9は、図5から明らかなように、左右に完全に分断されることなく、タイヤ周方向に略1周分の長さの隙間部13を形成しうる。つまり、ベース部9は、導電性のトレッド補強コード層7を、タイヤ周方向に略一周分の十分な長さで露出させることができる。
なお、隙間部13の幅や長さが大きくなると、シリカリッチ配合のベース部9のボリュームが少なくなり、転がり抵抗が悪化するおそれがある。逆に、隙間部13の幅や長さが小さくなると、通電領域が十分に得られないおそれがある。このような観点より、隙間部13でのゴムストリップ15の巻き付けピッチPbは、ゴムストリップ15の幅Wよりも大、好ましくは1.2倍以上、より好ましくは1.5倍以上、かつ、2倍以下であるのが望ましい。また、隙間部13の長さは、タイヤ周方向に少なくとも半周以上が望ましく、また、好ましくは2周以下、より好ましくは1.5周以下の長さで形成されるのが良い。
なお、図6に示されるように、隙間部13は、ゴムストリップ15Aを局部的に屈曲させて形成されても良い。
前記キャップ部10は、前記隙間部13の近傍で左右に分割された第1のキャップ部10Aと、第2のキャップ部10Bとから構成される。本実施形態において、第1のキャップ部10Aは、隙間部13よりも一方のトレッド端e1側(図1において右側)に配され、第2のキャップ部10Bは、他方のトレッド端e2側(図1において左側)に配されている。
また、各キャップ部10A及び10Bのタイヤ軸方向の外端10Ao及び10Boは、いずれもトレッド端e1又はe2よりもタイヤ軸方向外側、とりわけベース部9の外端9a又は9bよりも外側に設けられる。つまり、後述する導通部11を除いて、接地面2aは、第1のキャップ部10A及び第2のキャップ部10Bによって形成される。
また、図2に拡大して示されるように、各キャップ部10A及び10Bは、それぞれの内端10Ai又は10Biに向かって厚さが漸減するテーパ部Tを具える。第1のキャップ部10Aは、そのタイヤ半径方向外側にテーパ外面Taを具える。他方、第2のキャップ部10Bは、そのタイヤ半径方向内側に前記テーパ外面Taに向き合うテーパー内面Tbを具える。
前記導通部11は、導電性のゴムで構成される。このようなゴム組成物としては、例えばカーボンリッチ配合のゴム組成物や、カーボンに代えて又はカーボンとともに導電性粉体(例えば金属粉)などが配合されたゴム組成物が挙げられる。
導通部11のタイヤ半径方向外側に位置する一端11aは、接地面2aに露出して設けられる。本実施形態において、導通部11の一端11aは、タイヤ周方向に連続して接地面2aに露出している。従って、導通部11は、タイヤの走行時に、路面と連続して接地できる。また、本実施形態の導通部11は、タイヤ赤道Cの近傍に設けられているため、直進時のみならず旋回時においても路面と接地させることが可能になる。
さらに、導通部11は、前記一端11aから第1のキャップ部10Aと第2のキャップ部10Bとの間、即ち前記テーパ外面Taとテーパー内面Tbとの間をタイヤ半径方向内側にのびるとともに、その他端11bが、ベース部9の隙間部13を経てトレッド補強コード層7(より詳しくはベルトプライ7Bの導電性のトッピングゴム)に接続されている。
従って、本実施形態の空気入りタイヤ1は、リムJに組み付けられたときに、該リムJと、導通部11とは、トレッド補強コード層7、サイドウォールゴム3G及びクリンチゴム4Gを介して電気的に導通させることができる。
よって、本実施形態のような空気入りタイヤ1は、車両に蓄積された静電気が、リムJ、クリンチゴム4G、サイドウォールゴム3G、トレッド補強コード層7及び導通部11を経由して路面に放出され、ラジオノイズ等の不具合が改善される。また、トレッドゴム2Gのベース部9は、完全に分断されることなくトレッド幅方向にのびているため、転がり抵抗を改善できる。また、トレッドゴム2Gの成形精度が向上し、ひいてはタイヤのユニフォミティをも向上させることができる。
このような通電効果を十分に発揮させるために、前記導通部11の厚さteは、好ましくは0.3mm以上、より好ましくは0.5mm以上が望ましい。同様に、接地面2aで露出する導通部11の露出幅Rは、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは0.7mm以上が望ましい。
他方、導通部11の厚さte又は前記一端11aの露出幅Rが大きくなると、トレッドゴム2Gのウエット性能や転がり抵抗といった実車性能が悪化するおそれがある。このような観点より、導通部11の厚さteは、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下が望ましい。同様に、導通部11の露出幅Rは、好ましくは7mm以下、より好ましくは4mm以下が望ましい。
なお、導通部11は、シリカの配合が零又は少ないので、第1及び第2のキャップ部10A及び10Bに比べて、耐摩耗性に劣る傾向がある。従って、好ましくは、空気入りタイヤ1に車両への装着の向きを特定するとともに、接地面2aに露出する導通部11の前記一端11aは、タイヤ赤道Cよりも車両内側に寄せて設けられることが望ましい。これにより、旋回時、車両外側のトレッド接地面に発生する大きな横力から導通部11を極力遠ざけることができ、該導通部11の早期の摩耗などを抑制しうる。
また、導通部11は、タイヤ子午線断面において、前記一端11aからタイヤ半径方向内側に向かって車両内側に傾斜してのびるものが特に望ましい。これにより、一端11aのタイヤ幅方向内側に、低転がり抵抗のキャップ部10及びベース部9の各ゴムが存在することになるので、転がり抵抗の悪化を防止できる。また、トレッドゴム2Gの摩耗により、接地面2aに露出する導通部11の一端11aの位置を、さらに車両内側に移動させることができる。なお、車両への装着の向きの特定は、例えば一方のサイドウォール部3に車両内側となる旨の表示(例えば"INSIDE")及び/又は他方のサイドウォール部3に車両外側となる旨の表示(例えば"OUTSIDE")によって行われる。
また、前記キャップ部10や導通部11も、ベース部9と同様、図3に示したような、リボン状のゴムストリップ15を螺旋状に巻き付けたストリップ積層体として形成されることが望ましい。このような空気入りタイヤ1の製造方法の実施形態について具体的に述べる。
一つの実施形態では、トレッドゴム2Gを構成する全ての部材、即ち、ベース部9、キャップ部10及び導通部11が、図3に示されるように、未加硫かつ小幅をなすリボン状のゴムストリップ15を螺旋状に巻き付けることにより形成される。なお、前記「未加硫」とは、加硫が完全に終わっていないゴムの状態を指す。従って、予備加硫されているに過ぎないゴムは、未加硫のゴムに含まれる。
図4に示したように、成形フォーマFの外側にトレッド補強コード層7及びベース部9を形成した後、第1のキャップ部10Aを形成する工程が行われる。該工程では、図7に示されるように、隙間部13を有するべース部9のタイヤ半径方向外側かつ一方のトレッド端e1側の領域に、ゴムストリップ15Bを連続して巻き付けることにより、略台形状の第1のキャップ部10Aが形成される。
本実施形態において、第1のキャップ部10Aは、シリカリッチ配合によって非導電性を示すゴムストリップ15Bを用いて形成される。
また、ゴムストリップ15の巻付け始端15Bsは、例えば、ベース部9上でかつ第1のキャップ部10Aの外端10Ao及び内端10Aiのほぼ中間位置に固着される。そして、ゴムストリップ15Bは、タイヤ軸方向外側に螺旋状で巻付けられるとともに、外端10Aoで向きを変えてタイヤ軸方向内側に巻き付けられる。そして、前記巻付け始端15Bsをタイヤ軸方向内側に超えて前記内端10Aiで再度タイヤ軸方向外側へと巻付けの向きを変えて巻付けを終える。
ゴムストリップ15Bの巻付け終端15Beは、第1のキャップ部10Aの外端10Ao及び内端10Aiのほぼ中間に止着される。この巻き付けの間、ゴムストリップ15Bは切断されることなく連続する。このような第1のキャップ部10Aは、ゴムストリップ15Bの巻付け始端15Bs及び巻付け終端15Beが、いずれもその両端に表れないので、剥離等の起点となるのが防止される。ただし、ゴムストリップ15Bの巻付け態様は、このような態様に限定されることなく種々変更しうるのは言うまでもない。
次に、図8(a)に示されるように、第1のキャップ部10Aのタイヤ軸方向内側の端部分であるテーパ外面Taの外側に導電性のゴムからなるゴムストリップ15Cを螺旋状に巻き付けることにより、前記導通部11を形成する段階が行われる。この段階では、例えば前記テーパ外面Taの最外側に、ゴムストリップ15Cの巻付け始端15Csを固着して該ゴムストリップ15Cを他方のトレッド端e2側へと螺旋状に巻き重ねるとともに、ベース部9の隙間部13を経てトレッド補強コード層7に接続させる。
好ましくは、ゴムストリップ15Cは、隙間部13の全範囲を覆うことにより、トレッド補強コード層7と接続させるのが良い。これにより、導通部11は、タイヤ周方向に1周分の長さでトレッド補強コード層7と接触させることができ、確実な導電通路を形成できる。また、ゴムストリップ15Cの巻付けに際しては、好ましくは、本実施形態のようにゴムストリップ15Cの側縁が互いに重なるよう隙間無く巻付けることが望ましい。
しかる後、図8(b)に示されるように、ベース部9のタイヤ幅方向外側かつ導通部11から他方のトレッド端e2側の他端側領域に非導電性のゴムからなる第2のキャップ部10Bを形成する段階が行われる。
本実施形態において、第2のキャップ部10Bは、シリカリッチ配合により非導電性を示すゴムストリップ15D(第1のキャップ部10Aのゴムストリップ15Bと同じ配合でも良いのは言うまでもない。)を用いて形成される。ゴムストリップ15Dの巻付け始端15Dsは、例えばベース部9上かつその外端10Bo及び内端10Biのほぼ中間に固着される。そしてゴムストリップ15Bは、タイヤ軸方向外側へ螺旋状に巻付けられるとともに、前記導通部11を覆うように外端10Boで向きを変えてタイヤ軸方向内側に巻き付けられる。ゴムストリップ15Dの巻付け終端15Deは、導通部11の一端11aの近傍に設けられる。
以上のようなトレッドゴム成形工程により、トレッド補強コード層7と一体に形成されたトレッドゴム2Gが形成される。そして、慣例に従い、該トレッドゴム2Gをトロイド状にシェーピングされるカーカス6のトレッド領域に外挿することにより生タイヤが成型され、これを加硫することにより空気入りタイヤ1が製造できる。
図9には、上記実施形態のトレッドゴムについて、各部でのゴムストリップ15の巻き付け方向が模式的に示されている。例えば、本実施形態では、第1のキャップ部10Aでは、ゴムストリップの巻き付け始端15Bsと巻き付け終端15Beとは、タイヤ周方向及びタイヤ軸方向において、実質的に同じ位置に設けられる。
図10には、一例として、図7のA−A断面図を示す。このように、ゴムストリップの巻き付け始端15Bsと巻き付け終端15Beとが、透視状態で突き合わせ接続されることにより、各ゴム部の重量バランスがタイヤ周方向でより均一化され、ユニフォミティを向上させるのに役立つ。
同様に、導通部11の巻き付け始端15Csと、第2のキャップ部10Bの巻き付け終端15Deとは、タイヤ周方向及びタイヤ軸方向の実質的に同じ位置に設けられるのが望ましい。さらに、導通部11の巻き付け終端15Ceと、第2のキャップ部10Bの巻き付け始端15Dsとは、タイヤ周方向及びタイヤ軸方向の実質的に同じ位置に設けられるのが望ましい。
図11には、本発明の空気入りタイヤの製造方法の他の実施形態が示される。本実施形態では、導通部11が、前記一端11aから他端11bまで幅方向に連続する1枚のゴムシート17を少なくともタイヤ周方向に非螺旋状に1周巻き付けかつそのタイヤ周方向の両端部をスプライスすることにより形成される態様を示す。なお、この後、導通部11の外側には、第2のキャップ部10Bが配される(図示省略)。
なお、図示していないが、キャップ部10は、ゴム押出機によって押し出しされた押出ゴムをスプライスすることにより形成されたものでも良い。
以上、本発明の空気入りタイヤ及びその製造方法について詳細に説明したが、本発明は上記の具体的な実施形態に限定されることなく種々の態様に変形して実施しうるのは言うまでもない。
表1に示す基本構造を有する空気入りタイヤ(サイズ:215/45R17)が試作され、各タイヤの電気抵抗、転がり抵抗及びユニフォミティが測定された。各例ともキャップ部及びベース部にはシリカリッチの非導電性のゴムが、導通部(貫通端子部)にはカーボンリッチの導電性のゴムがそれぞれ用いられた。配合は各例とも同一である。また表1に示されたパラメータ以外は、各タイヤとも同一である。
比較例2は、図14に示されるように、貫通端子部dがないトレッドゴムが用いられた。従って、キャップ部及びベース部が左右に分断されていない。
テスト方法は、次の通りである。
<タイヤの電気抵抗>
図12に示されるように、絶縁板20(電気抵抗値が1012Ω以上)の上に設置された表面が研磨された金属板21(電気抵抗値は10Ω以下)と、タイヤ・リム組立体を保持する導電性のタイヤ取付軸22と、電気抵抗測定器23とを含む測定装置を使用し、JATMA規定に準拠してテストタイヤとリムJとの組立体の電気抵抗値を測定した。なお各テストタイヤ1は、予め表面の離型剤や汚れが十分に除去されており、かつ、十分に乾燥した状態のものを用いた。また他の条件は、次の通りである。
リム材料:アルミニウム合金製
リムサイズ:17×7J
内圧:200kPa
荷重:5.3kN
試験環境温度(試験室温度):25℃
湿度:50%
電気抵抗測定器の測定範囲:103 〜1.6×1016Ω
試験電圧(印可電圧):1000V
試験の要領は、次の通りである。
(1)供試タイヤ1をリムに装着しタイヤ・リム組立体を準備する。この際、両者の接触部に潤滑剤として石けん水が用いられる。
(2)タイヤ・リム組立体を試験室内で2時間放置させた後、タイヤ取付軸22に取り付ける。
(3)タイヤ・リム組立体に前記荷重を0.5分間負荷し、解放後にさらに0.5分間、解放後にさらに2分間負荷する。
(4)試験電圧が印可され、5分経過した時点で、タイヤ取付軸22と金属板21との間の電気抵抗値を電気抵抗測定器23によって測定する。前記測定は、タイヤ周方向に90°間隔で4カ所で行われ、そのうちの最大値を当該タイヤTの電気抵抗値(測定値)とする。
<転がり抵抗>
転がり抵抗試験器を使用し、下記の条件での転がり抵抗が測定された。評価は、比較例1を100とする指数で評価した。数値が大きいほど転がり抵抗が小さく良好である。
リム:17×7J
内圧:200kPa
荷重:4.7kN
速度:80km/h
<タイヤのユニフォミティ>
各テストタイヤについて、JASO C607:2000のユニフォミティ試験条件に準拠して、回転時のタイヤ半径方向の力の変動成分であるラジアルフォースバリエーション(RFV)が下記の条件で測定された。評価は、各RFVを逆数化し、比較例1を100とする指数で評価した。数値が大きいほど良好である。
リム:17×7J
内圧:200kPa
荷重:4.08kN
速度:10km/h
テストの結果などを表1に示す。
テストの結果、実施例のタイヤは、転がり抵抗やタイヤのユニフォミティを悪化させることなく電気抵抗を低く抑えることが確認できた。
本実施形態の空気入りタイヤの断面図である。 そのトレッド部の部分拡大図である。 ゴムストリップの一例を示す斜視図である。 ベース部の成形工程を説明するための断面図である。 隙間部を説明するベース部の平面図である。 他の実施形態の隙間部を説明するベース部の平面図である。 トレッドゴムの成形工程を説明する断面図である。 (a)、(b)はトレッドゴム成形工程を説明する断面図である。 ゴムストリップの巻き付け方向を説明する模式図である。 図7のA−A断面図である。 他の実施形態のトレッドゴム成形工程を説明する断面図である。 タイヤの電気抵抗測定装置を概念的に示す断面略図である。 従来のトレッドゴムの断面図である。 比較例2のトレッドゴムの断面図である。
符号の説明
1 空気入りタイヤ
2 トレッド部
2a 接地面
2G トレッドゴム
3 サイドウォール部
3G サイドウォールゴム
4 ビード部
4G クリンチゴム
5 ビードコア
6 カーカス
7 トレッド補強コード層
9 ベース部
10 キャップ部
10A 第1のキャップ部
10B 第2のキャップ部
11 導通部
11a 導通部の一端
11b 導通部の他端
13 隙間部
15、15A、15B、15C、15D ゴムストリップ
本発明のうち請求項1記載の発明は、トレッド部からサイドウォール部を経てビード部のビードコアに至るトロイド状のカーカスと、該カーカスのタイヤ半径方向外側かつ前記トレッド部の内方に配されしかもリムに組み付けられたときに該リムと電気的に導通するトレッド補強コード層と、該トレッド補強コード層のタイヤ半径方向外側に配されたトレッドゴムとを有する空気入りタイヤであって、前記トレッドゴムは、前記トレッド補強コード層のタイヤ半径方向外側に配されかつシリカが配合された非導電性のゴムからなるベース部と、前記べース部のタイヤ半径方向外側に配されて接地面を構成ししかもシリカが配合された非導電性のゴムからなるキャップ部と、一端が前記接地面に露出しかつ他端が前記トレッド補強コード層に接続された導電性のゴムからなる導通部とを含み、かつ前記ベース部は、一方のトレッド端側から他方のトレッド端側までリボン状のゴムストリップを連続して螺旋状に巻き付けて形成されしかも巻き付け途中に隣り合うゴムストリップの側縁が離間することによりトレッド補強コード層が露出する隙間部を具え、前記キャップ部は、前記隙間部の近傍で分割された一方のトレッド端側の第1のキャップ部と他方のトレッド端側の第2のキャップ部とからなり、しかも前記導通部は、前記接地面から第1のキャップ部と第2のキャップ部との間をタイヤ半径方向内側にのびかつ前記ベース部の隙間部でトレッド補強コード層に接続されていることを特徴とする。
また請求項5記載の発明は、リムに組み付けられたときに該リムと電気的に導通するトレッド補強コード層と、その外側に配されたトレッドゴムとを有する空気入りタイヤを製造するための空気入りタイヤの製造方法であって、前記トレッドゴムを成形するトレッドゴム成形工程と、前記トレッドゴムをトレッド部に具えた生タイヤを加硫する加硫工程とを含み、かつ前記トレッドゴム成形工程は、前記トレッド補強コード層のタイヤ半径方向外側に、一方のトレッド端側から他方のトレッド端側までリボン状かつ非導電性のゴムストリップを連続して螺旋状に巻き付けるとともに巻き付け途中に隣り合うゴムストリップの側縁を離間させることによりトレッド補強コード層が露出する隙間部を具えたベース部を形成する段階と、前記べース部のタイヤ半径方向外側に、該ベース部の一端側に設けられたタイヤ軸方向の外端から前記隙間部の近傍までのびることによりベース部の前記一端側領域を覆う非導電性のゴムからなる第1のキャップ部を形成する段階と、一端が接地面に露出するとともに前記第1のキャップ部の内側の端部分に沿いかつ前記ベース部の隙間部からトレッド補強コード層に接続される他端を具えた導電性のゴムからなる導通部を形成する段階と、前記ベース部のタイヤ幅方向外側かつ導通部から他方のトレッド端側の他端側領域に非導電性のゴムからなる第2のキャップ部を形成する段階とを含むことを特徴とする。
また請求項8記載の発明は、前記第1のキャップ部及び前記第2のキャップ部を形成する段階は、リボン状のゴムストリップを螺旋状に巻き付けて行われる請求項5乃至7のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法である。なお、請求項9又は10記載の発明のように、前記隙間部は、始点から終点まで螺旋状にのびるものとして形成できる。
前記トレッド補強コード層7のタイヤ半径方向外側には、トレッドゴム2Gが配される。本実施形態のトレッドゴム2Gは、タイヤ半径方向内側に配されかつ非導電性のゴムからなるベース部9と、このべース部9のタイヤ半径方向外側に配されて接地面2aを構成するとともに非導電性のゴムからなるキャップ部10と、一端が接地面2aに露出しかつ他端がリムJに組み付けられたときに該リムJと電気的に導通するトレッド補強コード層7に接続された導電性のゴムからなる導通部11とを含んで構成される。
前記ベース部9は、トレッド補強コード層7の外側に接して配され、一方のトレッド端e1側から他方のトレッド端e2側まで、図3に示されるようなリボン状のゴムストリップ15を連続して螺旋状に巻き付けることにより形成される。また、ベース部9は、ゴムストリップ15の巻き付け途中に、隣り合うゴムストリップ15の側縁15e、15eが互いに離間することによりトレッド補強コード層7が露出する隙間部13を具える。
本発明のうち請求項1記載の発明は、トレッド部からサイドウォール部を経てビード部のビードコアに至るトロイド状のカーカスと、該カーカスのタイヤ半径方向外側かつ前記トレッド部の内方に配されしかもリムに組み付けられたときに該リムと電気的に導通するトレッド補強コード層と、該トレッド補強コード層のタイヤ半径方向外側に配されたトレッドゴムとを有する空気入りタイヤであって、
前記トレッドゴムは、前記トレッド補強コード層のタイヤ半径方向外側に配されかつシリカが配合された非導電性のゴムからなるベース部と、
前記べース部のタイヤ半径方向外側に配されて接地面を構成ししかもシリカが配合された非導電性のゴムからなるキャップ部と、
一端が前記接地面に露出しかつ他端が前記トレッド補強コード層に接続された導電性のゴムからなる導通部とを含み、かつ
前記ベース部は、一方のトレッド端側から他方のトレッド端側までリボン状のゴムストリップを連続して螺旋状に巻き付けて形成されしかも巻き付け途中に隣り合うゴムストリップの側縁が離間することによりトレッド補強コード層が露出する隙間部を具え、
前記隙間部は、ゴムストリップが、その幅よりも大きい巻き付けピッチで巻き付けられることにより形成され、
前記キャップ部は、前記隙間部の近傍で分割された一方のトレッド端側の第1のキャップ部と他方のトレッド端側の第2のキャップ部とからなり、しかも
前記導通部は、リボン状のゴムストリップを螺旋状に巻き付けて形成されるとともに、前記接地面から第1のキャップ部と第2のキャップ部との間をタイヤ半径方向内側にのびかつ前記ベース部の隙間部でトレッド補強コード層に接続されていることを特徴とする。
また請求項3記載の発明は、前記第1のキャップ部及び第2のキャップ部は、リボン状のゴムストリップを螺旋状に巻き付けることにより形成される請求項1ないし3のいずれかに記載の空気入りタイヤである。
また請求項4記載の発明は、リムに組み付けられたときに該リムと電気的に導通するトレッド補強コード層と、その外側に配されたトレッドゴムとを有する空気入りタイヤを製造するための空気入りタイヤの製造方法であって、
前記トレッドゴムを成形するトレッドゴム成形工程と、
前記トレッドゴムをトレッド部に具えた生タイヤを加硫する加硫工程とを含み、かつ
前記トレッドゴム成形工程は、
前記トレッド補強コード層のタイヤ半径方向外側に、一方のトレッド端側から他方のトレッド端側までリボン状かつ非導電性のゴムストリップを連続して螺旋状に巻き付けるとともに巻き付け途中に、ゴムストリップを、その幅よりも大きい巻き付けピッチで巻き付けて隣り合うゴムストリップの側縁を離間させることによりトレッド補強コード層が露出する隙間部を具えたベース部を形成する段階と、
前記べース部のタイヤ半径方向外側に、該ベース部の一端側に設けられたタイヤ軸方向の外端から前記隙間部の近傍までのびることによりベース部の前記一端側領域を覆う非導電性のゴムからなる第1のキャップ部を形成する段階と、
一端が接地面に露出するとともに前記第1のキャップ部の内側の端部分に沿いかつ前記ベース部の隙間部からトレッド補強コード層に接続される他端を具えた導電性のゴムからなる導通部を、リボン状のゴムストリップを螺旋状に巻き付けて形成する段階と、
前記ベース部のタイヤ幅方向外側かつ導通部から他方のトレッド端側の他端側領域に非導電性のゴムからなる第2のキャップ部を形成する段階とを含むことを特徴とする。
また請求項5記載の発明は、前記第1のキャップ部及び前記第2のキャップ部を形成する段階は、リボン状のゴムストリップを螺旋状に巻き付けて行われる請求項4記載の空気入りタイヤの製造方法である。なお、請求項6又は7記載の発明のように、前記隙間部は、始点から終点まで螺旋状にのびるものとして形成できる。
図11には、参考例の実施形態が示される。本実施形態では、導通部11が、前記一端11aから他端11bまで幅方向に連続する1枚のゴムシート17を少なくともタイヤ周方向に非螺旋状に1周巻き付けかつそのタイヤ周方向の両端部をスプライスすることにより形成される態様を示す。なお、この後、導通部11の外側には、第2のキャップ部10Bが配される(図示省略)。
本実施形態の空気入りタイヤの断面図である。 そのトレッド部の部分拡大図である。 ゴムストリップの一例を示す斜視図である。 ベース部の成形工程を説明するための断面図である。 隙間部を説明するベース部の平面図である。 他の実施形態の隙間部を説明するベース部の平面図である。 トレッドゴムの成形工程を説明する断面図である。 (a)、(b)はトレッドゴム成形工程を説明する断面図である。 ゴムストリップの巻き付け方向を説明する模式図である。 図7のA−A断面図である。 参考例のトレッドゴム成形工程を説明する断面図である。 タイヤの電気抵抗測定装置を概念的に示す断面略図である。 従来のトレッドゴムの断面図である。 比較例2のトレッドゴムの断面図である。

Claims (8)

  1. トレッド部からサイドウォール部を経てビード部のビードコアに至るトロイド状のカーカスと、該カーカスのタイヤ半径方向外側かつ前記トレッド部の内方に配されしかもリム組時にリムと電気的に導通するトレッド補強コード層と、該トレッド補強コード層のタイヤ半径方向外側に配されたトレッドゴムとを有する空気入りタイヤであって、
    前記トレッドゴムは、前記トレッド補強コード層のタイヤ半径方向外側に配されかるシリカが配合された非導電性のゴムからなるベース部と、
    前記べース部のタイヤ半径方向外側に配されて接地面を構成ししかもシリカが配合された非導電性のゴムからなるキャップ部と、
    一端が前記接地面に露出しかつ他端が前記トレッド補強コード層に接続された導電性のゴムからなる導通部とを含み、かつ
    前記ベース部は、一方のトレッド端側から他方のトレッド端側までリボン状のゴムストリップを螺旋状に巻き付けて形成されしかも巻き付け途中に隣り合うゴムストリップの側縁が離間することによりトレッド補強コード層が露出する隙間部を具え、
    前記キャップ部は、前記隙間部の近傍で分割された一方のトレッド端側の第1のキャップ部と他方のトレッド端側の第2のキャップ部とからなり、しかも
    前記導通部は、前記接地面から第1のキャップ部と第2のキャップ部との間をタイヤ半径方向内側にのびかつ前記ベース部の隙間部でトレッド補強コード層に接続されていることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記隙間部は、ゴムストリップが、その幅よりも大かつ2倍以下の巻き付けピッチで巻き付けられる部分を含む請求項1記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記導通部は、リボン状のゴムストリップを螺旋状に巻き付けて形成されている請求項1又は2記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記第1のキャップ部及び第2のキャップ部は、リボン状のゴムストリップを螺旋状に巻き付けることにより形成される請求項1ないし3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  5. リム組時にリムと電気的に導通するトレッド補強コード層と、その外側に配されたトレッドゴムとを有する空気入りタイヤを製造するための空気入りタイヤの製造方法であって、
    前記トレッドゴムを成形するトレッドゴム成形工程と、
    前記トレッドゴムをトレッド部に具えた生タイヤを加硫する加硫工程とを含み、かつ
    前記トレッドゴム成形工程は、
    前記トレッド補強コード層のタイヤ半径方向外側に、一方のトレッド端側から他方のトレッド端側までリボン状かつ非導電性のゴムストリップを螺旋状に巻き付けるとともに巻き付け途中に隣り合うゴムストリップの側縁を離間させることによりトレッド補強コード層が露出する隙間部を具えたベース部を形成する段階と、
    前記べース部のタイヤ半径方向外側に、該ベース部の一端側に設けられたタイヤ軸方向の外端から前記隙間部の近傍までのびることによりベース部の前記一端側領域を覆う非導電性のゴムからなる第1のキャップ部を形成する段階と、
    一端が接地面に露出するとともに前記第1のキャップ部の内側の端部分に沿いかつ前記ベース部の隙間部からトレッド補強コード層に接続される他端を具えた導電性のゴムからなる導通部を形成する段階と、
    前記ベース部のタイヤ幅方向外側かつ導通部から他方のトレッド端側の他端側領域に非導電性のゴムからなる第2のキャップ部を形成する段階とを含むことを特徴とする空気入りタイヤの製造方法。
  6. 前記導通部を形成する段階は、リボン状のゴムストリップを螺旋状に巻き付けて行われる請求項5記載の空気入りタイヤの製造方法。
  7. 前記導通部を形成する段階は、該導通部の前記一端から前記他端まで連続する幅を有するゴムシートを巻き付けて行われる請求項5記載の空気入りタイヤの製造方法。
  8. 前記第1のキャップ部及び前記第2のキャップ部を形成する段階は、リボン状のゴムストリップを螺旋状に巻き付けて行われる請求項5乃至7のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法。
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