JP2010111239A - 衝突エネルギ吸収部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】衝突エネルギ吸収部材の機能を質量効率に優れた複数円管の潰れで実現するに当たり、円管根元部での倒れを防止して、各円管に安定して軸方向の圧縮変形を生じさせることができる衝突エネルギ吸収部材の提供を目的とする。
【解決手段】複数個の円管9が車両正面視で互いに隣接して所定方向に長く配列され、円管9基端部とその取付け面部との接合部近傍に、円管9先端部への衝突荷重入力時に所定方向に交差する方向に円管9の基端部が曲がるのを抑止する曲げ抑止手段20を設けたことを特徴とする。
【選択図】図2
【解決手段】複数個の円管9が車両正面視で互いに隣接して所定方向に長く配列され、円管9基端部とその取付け面部との接合部近傍に、円管9先端部への衝突荷重入力時に所定方向に交差する方向に円管9の基端部が曲がるのを抑止する曲げ抑止手段20を設けたことを特徴とする。
【選択図】図2
Description
この発明は、車体の前端または後端に取付けられ、かつ円管が複数個束ねられて成る衝突エネルギ吸収部材に関する。
一般に車体の前端または後端には、衝突エネルギを吸収するフロント側のクラッシュカン、または、リヤ側のクラッシュカンが取付けられており、車両の衝突時には上記クラッシュカンの圧縮変形により衝突エネルギを吸収するように構成している。
従来の衝突エネルギ吸収部材としては、例えば、特許文献1に開示されたものがある。
すなわち、フロントサイドフレームの前端に、フランジ部材を介して衝突エネルギ吸収部材としてのクラッシュカンを取付けたものであって、該クラッシュカンは、鋼板を用いて角筒状に形成されている。
すなわち、フロントサイドフレームの前端に、フランジ部材を介して衝突エネルギ吸収部材としてのクラッシュカンを取付けたものであって、該クラッシュカンは、鋼板を用いて角筒状に形成されている。
しかしながら、この従来のクラッシュカンにおいては単に鋼板を角筒状と成したものであるから、衝突荷重により容易に圧縮変形し、充分な衝突エネルギ吸収量が確保できない問題点があった。
このような問題点を解決するために、図25に示す衝突エネルギ吸収部材が考えられる。
このような問題点を解決するために、図25に示す衝突エネルギ吸収部材が考えられる。
この衝突エネルギ吸収部材100は、中央の1つの円管と、この中央の円管に対して上側に2個、下側に2個、合計5個の円管101(但し、図25は平面図であるから上側の2個の円管のみが示されている)を束ねたもので、同図に示すように、車両のフロント側のクラッシュカンとして用いる。
この衝突エネルギ吸収部材100は、複数の各円管101の基端を、セットプレート102に固定し、フロントサイドフレーム103の前端に設けられたフランジ部材104に上記セットプレート102を、ボルト、ナット等の締結部材を用いて、取付ける。
上述の衝突エネルギ吸収部材100を図25で示したように車体に取付け、この車体構造の車両を16km/hの車速で、10度傾斜のリジッドバリア105に衝突させた結果を、図26、図27に示す。
上述の衝突エネルギ吸収部材100を図25で示したように車体に取付け、この車体構造の車両を16km/hの車速で、10度傾斜のリジッドバリア105に衝突させた結果を、図26、図27に示す。
図26は衝突後16msec経過時点の状態、図27は衝突後32msec経過時点の状態を示し、上記円管101はその根元部の衝撃に対する耐力が比較的弱いため、図26に示すように、円管101の根元部が衝突荷重により、曲がった場合には、同図に示すように衝突エネルギ吸収部材100の全体が傾き、この全体が傾いた状態でさらに衝突荷重が入力されるので、図26の状態から図27に示すように、円管101は座屈変形するものの、衝突エネルギ吸収部材100の全体が大きく傾き、各円管101に安定して軸方向の圧縮変形を生じさせることが困難となる。
なお、図25〜図27において、矢印Fは車両前方を示し、矢印OUTは車両外方を示し、矢印INは車両内方を示す。
特開2007−182162号公報
なお、図25〜図27において、矢印Fは車両前方を示し、矢印OUTは車両外方を示し、矢印INは車両内方を示す。
そこで、この発明は、複数の円管を車両正面視で互いに隣接して所定方向に長く配列し、上記円管基端部とその取付け面部との接合部近傍に、円管先端部への衝突荷重入力時に上記所定方向に交差する方向に上記円管の基端部が曲がるのを抑止する曲げ抑止手段を設けることで、衝突エネルギ吸収部材の機能を質量効率に優れた複数円管の潰れで実現するに当たり、円管根元部での倒れを防止して、各円管に安定して軸方向の圧縮変形を生じさせることができる衝突エネルギ吸収部材の提供を目的とする。
この発明による衝突エネルギ吸収部材は、車体の前端または後端に取付けられ、かつ円管が複数個束ねられて成る衝突エネルギ吸収部材であって、上記複数個の円管は車両正面視で互いに隣接して所定方向に長く配列され、上記円管基端部とその取付け面部との接合部近傍に、上記円管先端部への衝突荷重入力時に上記所定方向に交差する方向に上記円管の基端部が曲がるのを抑止する曲げ抑止手段を設けたものである。
上述の所定方向は、衝突エネルギ吸収部材をフロント側のクラッシュカンとして用いる場合には、上下方向に設定してもよく、また、リヤ側のクラッシュカンとして用いる場合には、車幅方向に設定してもよい。
上述の所定方向は、衝突エネルギ吸収部材をフロント側のクラッシュカンとして用いる場合には、上下方向に設定してもよく、また、リヤ側のクラッシュカンとして用いる場合には、車幅方向に設定してもよい。
上記構成によれば、衝突エネルギ吸収部材の機能を質量効率に優れた複数円管の潰れで実現するに当たり、円管の基端部が所定方向に交差する方向へ曲がるのを抑止する曲げ抑止手段を設けたので、円管根元部での倒れを防止して、各円管に安定して軸方向の圧縮変形を生じさせることができ、この結果、充分な衝突エネルギ吸収量を確保することができる。
上述の衝突エネルギ吸収部材は、その先端から順に規則的変形を生じさせるためには、先端から順に荷重入力なされる必要があるが、円管根元部が先に傾くと『先端から順に荷重入力される』という規則的変形のメカニズムが崩壊する。この点、上記構成によれば、円管根元部の倒れを曲げ抑止手段にて防止するので、『先端から順に荷重入力される』という規則的変形のメカニズムを維持、確保することができる。
上述の衝突エネルギ吸収部材は、その先端から順に規則的変形を生じさせるためには、先端から順に荷重入力なされる必要があるが、円管根元部が先に傾くと『先端から順に荷重入力される』という規則的変形のメカニズムが崩壊する。この点、上記構成によれば、円管根元部の倒れを曲げ抑止手段にて防止するので、『先端から順に荷重入力される』という規則的変形のメカニズムを維持、確保することができる。
この発明の一実施態様においては、上記複数個の円管は、中央に位置する中央管の所定方向の上下側にそれぞれ2個の略同径の周辺管が配置されて成り、上記中央管とそれぞれ2個の周辺管は、これらの間に挟窄空間を形成するよう各円管の近接部位で円管の軸方向に連続する板状の短絡連結部で連結されて一体と成されたものである。
上記構成によれば、一つの円管の軸圧縮方向の潰れが、閉断面方向に関して、上記短絡連結部を介して周囲の2つの円管を押したり引いたりして互いに作用し合い、それぞれが略正三角形の閉断面をなすように、複数の円管の集合体が規則的変形(塑性変形)を生じ、質量効率高くエネルギ吸収を行なうことができる。
上記構成によれば、一つの円管の軸圧縮方向の潰れが、閉断面方向に関して、上記短絡連結部を介して周囲の2つの円管を押したり引いたりして互いに作用し合い、それぞれが略正三角形の閉断面をなすように、複数の円管の集合体が規則的変形(塑性変形)を生じ、質量効率高くエネルギ吸収を行なうことができる。
この発明の一実施態様においては、上記曲げ抑止手段は、複数個の円管集合体の四隅に対応すべく、上記各周辺管の外周部に軸方向に形成されたリブ部であることを特徴とする。
上記構成によれば、リブ部を形成する最小限の追加構成で、円管根元部の倒れ防止機能を実現することができる。
上記構成によれば、リブ部を形成する最小限の追加構成で、円管根元部の倒れ防止機能を実現することができる。
この発明の一実施態様においては、上記曲げ抑止手段は、上記各周辺管の取付け面部に対する接合部近傍の外広がり拡管であることを特徴とする。
上記構成によれば、外広がり拡管を形成する最小限の追加構成で、円管根元部の倒れ防止機能を実現することができる。
上記構成によれば、外広がり拡管を形成する最小限の追加構成で、円管根元部の倒れ防止機能を実現することができる。
この発明の一実施態様においては、上記曲げ抑止手段は、上記各周辺管の取付け面部に対する接合部近傍の四隅外向き方向の曲げであることを特徴とする。
上記構成によれば、四隅外向き方向の曲げを形成する最小限の追加構成で、円管根元部の倒れ防止機能を実現することができる。
上記構成によれば、四隅外向き方向の曲げを形成する最小限の追加構成で、円管根元部の倒れ防止機能を実現することができる。
この発明の一実施態様においては、上記曲げ抑止手段は、上記各周辺管の取付け面部に対する接合部近傍に内嵌される詰め部材であることを特徴とする。
上記構成によれば、周辺管に詰め部材を内嵌する最小限の追加構成で、円管根元部の倒れ防止機能を実現することができる。
上記構成によれば、周辺管に詰め部材を内嵌する最小限の追加構成で、円管根元部の倒れ防止機能を実現することができる。
この発明の一実施態様においては、上記曲げ抑止手段は、上記全円管の外周に合致した形状を有し、同形状に沿って円管外周部を内嵌する上記取付け面部に形成された土手部であることを特徴とする。
上記構成によれば、円管集合体の外形状に沿う土手部を設ける最小限の追加構成で、円管根元部の倒れ防止機能を実現することができる。
上記構成によれば、円管集合体の外形状に沿う土手部を設ける最小限の追加構成で、円管根元部の倒れ防止機能を実現することができる。
この発明によれば、複数の円管を車両正面視で互いに隣接して所定方向に長く配列し、上記円管基端部とその取付け面部との接合部近傍に、円管先端部への衝突荷重入力時に上記所定方向に交差する方向に上記円管の基端部が曲がるのを抑止する曲げ抑止手段を設けたので、衝突エネルギ吸収部材の機能を質量効率に優れた複数円管の潰れで実現するに当たり、円管根元部での倒れを防止して、各円管に安定して軸方向の圧縮変形を生じさせることができる効果がある。
円管根元部での倒れを防止して、各円管に安定して軸方向の圧縮変形を生じさせるという目的を、車体の前端または後端に取付けられ、かつ円管が複数個束ねられて成る衝突エネルギ吸収部材において、上記複数個の円管は車両正面視で互いに隣接して所定方向に長く配列され、上記円管基端部とその取付け面部との接合部近傍に、上記円管先端部への衝突荷重入力時に上記所定方向に交差する方向に上記円管の基端部が曲がるのを抑止する曲げ抑止手段を設けるという構成にて実現した。
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は衝突エネルギ吸収部材を示し、図1は該衝突エネルギ吸収部材をクラッシュカンとして使用した車体前部構造を示す平面図、図2はクラッシュカンの斜視図、図3はクラッシュカンの正面図である。
図面は衝突エネルギ吸収部材を示し、図1は該衝突エネルギ吸収部材をクラッシュカンとして使用した車体前部構造を示す平面図、図2はクラッシュカンの斜視図、図3はクラッシュカンの正面図である。
図1に示すように、車体前部にはエンジンルーム1の左右両サイドにおいて車両の前後方向に延びる閉断面構造のフロントサイドフレーム2,2を設けている。これら左右一対のフロントサイドフレーム2,2の前端部にはフランジ部材3,3が取付けられると共に、フランジ部材3とフロントサイドフレーム2との間には、ガセット4,5が設けられている。
上述のフロントサイドフレーム2,2前端のフランジ部材3には、平板状のセットプレート6を介して車両の前後方向に延びるクラッシュカン7を設けており、左右のクラッシュカン7,7の前端相互間には、車幅方向に延びるバンパレインフォースメント8を取付けている。
図2、図3に示すように、上述のクラッシュカン7(衝突エネルギ吸収部材)は、円管としての複数の円筒パイプ(以下単にパイプと略記する)9…が複数個束ねられて構成されており、図3に正面図で示すように、複数個のパイプ9…は車両正面視で互いに隣接して所定方向としての上下方向に長く配列されている。なお、クラッシュカン7をフロント側に設ける場合には、上下方向に長く配列されるが、該クラッシュカン7をリヤ側に設ける場合には、車幅方向に長く配列させてもよい。
これら複数個のパイプ9は、図3に正面図で示すように、中央に位置する中央管としての中央パイプ9Aの上側に2個の略同径の周辺パイプ(周辺管)9B,9Cが配置されると共に、中央パイプ9Aの下側に2個の略同径の周辺パイプ(周辺管)9D,9Eが配置され、合計5個のパイプ9A〜9Eから構成され、中央パイプ9Aと上下側のそれぞれ2個の周辺パイプ9B,9C,9D,9Eは、これらの間に狭窄空間10を形成するよう各パイプ9A〜9Eの近接部位でパイプ9A〜9Eの軸方向に連結する板状の短絡連結部11〜16で連結されて一体と成されている。
具体的には、上述の各パイプ9A〜9Eおよび短絡連結部11〜16は、アルミニウムまたはアルミニウム合金の熱間押し出し成形により形成され、例えば、直径(外径)d=34mmφに、肉厚t=1mmに形成、あるいは、d=24mmφに、肉厚t=1.8mmに形成されるが、これらの数値に限定するものではない。
このように、上述のクラッシュカン7は、複数のパイプ9…を集合させて結合した、いわゆる『集合パイプ体』で構成されており、このクラッシュカン7は、車両の前後方向の衝突荷重が作用すると、軸方向に座屈変形して、衝突エネルギを吸収するように構成している。
特に、このクラッシュカン7は、5本のパイプ9A,9B,9C,9D,9Eを同時に座屈変形させるため、衝突荷重の吸収量を従前のクラッシュカンに対して大幅に高めることができ、エネルギ吸収量を多くすることができる。
特に、このクラッシュカン7は、5本のパイプ9A,9B,9C,9D,9Eを同時に座屈変形させるため、衝突荷重の吸収量を従前のクラッシュカンに対して大幅に高めることができ、エネルギ吸収量を多くすることができる。
図2に示すように、集合パイプ体の前端から後方側へ距離L1(例えば、約15mm)の位置には、衝突荷重が作用した時、クラッシュカン7の潰れ形状を規定する変形促進部としての横ビード17…を設けている。ここで、上述の距離L1はパイプ9の潰れ周期のピッチによって任意に設定することができ、熱間押し出し成形品に対して後加工することにより形成される。
図3に示すように、上述の横ビード17は、全てのパイプ9に、約120度の間隔で設けた内凹形状で構成されており、この横ビード17は、クラッシュカン7が座屈変形する際、該座屈変形の切っ掛けを与える要素である。
一方、クラッシュカン7には、図3に示すように隣り合うパイプ9,9同士を短絡連結する複数の短絡連結部11〜16が設けられている。
一方、クラッシュカン7には、図3に示すように隣り合うパイプ9,9同士を短絡連結する複数の短絡連結部11〜16が設けられている。
図3から明らかなように、短絡連結部11はパイプ9B,9C間を横方向に短絡連結し、短絡連結部12はパイプ9B,9A間を上下方向に短絡連結し、短路連結部13はパイプ9C,9A間を上下方向に短絡連結して、パイプ9B,9C,9A間に略正三角形の狭窄空間10を形成すべく構成している。
また、短絡連結部14はパイプ9A,9D間を上下方向に短絡連結し、短絡連結部15はパイプ9A,9E間を上下方向に短絡連結し、短絡連結部16はパイプ9D,9E間を横方向に短絡連結して、パイプ9A,9D,9E間に逆向き略正三角形の狭窄空間10を形成すべく構成している。
また、短絡連結部14はパイプ9A,9D間を上下方向に短絡連結し、短絡連結部15はパイプ9A,9E間を上下方向に短絡連結し、短絡連結部16はパイプ9D,9E間を横方向に短絡連結して、パイプ9A,9D,9E間に逆向き略正三角形の狭窄空間10を形成すべく構成している。
ここで、図3におけるパイプ9B,9C,9A間の略正三角形の狭窄空間10と、パイプ9A,9D,9E間の逆向き略正三角形の狭窄空間10とは、中央パイプ9Aを挟んで上下対称となるように形成される。
この対称構造は、パイプ9の座屈変形時の変形挙動を考慮して、このように設定するものである。
この対称構造は、パイプ9の座屈変形時の変形挙動を考慮して、このように設定するものである。
図4は、パイプ9の座屈変形時の断面形状の変形状態を示す模式図であって、(a)は座屈変形前のパイプの側面図と、A−A線矢視断面図であり、(b)は座屈変形後のパイプの側面図と、B−B線矢視断面図、C−C線矢視断面図である。
図4の(a)に示すように、パイプ9は、座屈変形前には真円形状の円筒断面を有している。
このパイプ9が車両前後方向の衝突荷重を受けて座屈変形する場合には、同図の(b)に示すように、座屈変形の潰れ周期の半ピッチ毎に、断面形状が『略正三角形』と『逆向きの略正三角形』を繰返して変形する。
このパイプ9が車両前後方向の衝突荷重を受けて座屈変形する場合には、同図の(b)に示すように、座屈変形の潰れ周期の半ピッチ毎に、断面形状が『略正三角形』と『逆向きの略正三角形』を繰返して変形する。
これは、『面』を構成する最小の多角形が三角形であるため、軸方向の圧縮力を受けて円筒断面が外周側に拡張しようとする際、局所的に三点に応力集中が生じて『略正三角形』の断面と、『逆向きの略正三角形』の断面と周期的に繰返して、座屈変形していくものと推考される。
このように、断面形状が『略正三角形』と『逆向きの略正三角形』とを繰返しながら変形していくため、パイプ9における短絡連結部11〜16の位置は、この繰返し変形を阻害しないように設定される。
このように、断面形状が『略正三角形』と『逆向きの略正三角形』とを繰返しながら変形していくため、パイプ9における短絡連結部11〜16の位置は、この繰返し変形を阻害しないように設定される。
そこで、この実施例では、図5、図6に示すように変形状態を考慮して、短絡連結部11〜16の形成位置を設定している。図5はクラッシュカン7の正面図に右側を頂点とする三角形の変形モデルを加えた図であり、図6はクラッシュカン7の正面図に左側を頂点とする三角形に変形モデルを加えた図である。
図5に示すように、断面形状が右側を頂点とする三角形に変形する場合、パイプ9Bにおいては、短絡連結部11が右方に移動して、隣接するパイプ9Cの一部を押して、該パイプ9Cに三角形の一辺を形成し、短絡連結部12の左斜め上方への移動により、パイプ9Bの一部が押されてパイプ9Bに三角形の一辺を形成し、パイプ9Bの他の一部a,bが三角形の頂点を形成する方向に押されるので、パイプ9Bは略三角形状となる。
パイプ9Cにおいては、短絡連結部13が左斜め下方に移動して、隣接するパイプ9Aの一部を押して、該パイプ9Aに三角形の一辺を形成し、短絡連結部11の右方への移動により、パイプ9Cの一部が押されてパイプ9Cに三角形の一辺を形成し、パイプ9Cの他の一部c,dが三角形の頂点を形成する方向に押されるので、パイプ9Cは略三角形状となる。
パイプ9Aにおいては、短絡連結部13,15で該パイプ9Aが押されて三角形の二辺を形成し、短絡連結部12,14が隣接する上下のパイプ9B,9Dの一部を押して、これら各パイプ9B,9Dに三角形の一辺を形成すると共に、当該パイプ9Aに三角形の頂点を形成し、パイプ9Aの他の一部eが三角形の頂点を形成する方向に押されるので、パイプ9Aは略三角形状になる。
パイプ9Dにおいては、短絡連結部16が右方に移動して、隣接するパイプ9Eの一部を押して、該パイプ9Eに三角形の一辺を形成し、短絡連結部14の左斜め下方への移動により、パイプ9Dの一部が押されてパイプ9Dに三角形の一辺を形成し、パイプ9Dの他の一部f,gが三角形の頂点を形成する方向に押されるので、パイプ9Dは略三角形状となる。
パイプ9Eにおいては、短絡連結部15が左斜め上方に移動して、隣接するパイプ9Aの一部を押して、該パイプ9Aに三角形の一辺を形成し、短絡連結部16の右方への移動により、パイプ9Eの一部が押されてパイプ9Eに三角形の一辺を形成し、パイプ9Eの他の一部h,jが三角形の頂点を形成する方向に押されるので、パイプ9Eは略三角形状となる。
図6に示すように、断面形状が左側を頂点とする三角形に変形する場合、パイプ9Cにおいては、短絡連結部11が左方に移動して、隣接するパイプ9Bの一部を押して、該パイプ9Bに三角形の一辺を形成し、短絡連結部13の右斜め上方への移動により、パイプ9Cの一部が押されてパイプ9Cに三角形の一辺を形成し、パイプ9Cの他の一部j,kが三角形の頂点を形成する方向に押されるので、パイプ9Cは略三角形状となる。
パイプ9Bにおいては、短絡連結部12が右斜め下方に移動して、隣接するパイプ9Aの一部を押して、該パイプ9Aに三角形の一辺を形成し、短絡連結部11の左方への移動により、パイプ9Bの一部が押されてパイプ9Bに三角形の一辺を形成し、パイプ9Bの他の一部l,mが三角形の頂点を形成する方向に押されるので、パイプ9Bは略三角形状となる。
パイプ9Aにおいては、短絡連結部12,14で該パイプ9Aが押されて三角形の二辺を形成し、短絡連結部13,15が隣接する上下のパイプ9C,9Eの一部を押して、これら各パイプ9C,9Eに三角形の一辺を形成すると共に、当該パイプ9Aに三角形の頂点を形成し、パイプ9Aの他の一部nが三角形の頂点を形成する方向に押されるので、パイプ9Aは略三角形状になる。
パイプ9Eにおいては、短絡連結部16が左方に移動して、隣接するパイプ9Dの一部を押して、該パイプ9Dに三角形の一辺を形成し、短絡連結部15の右斜め下方への移動により、パイプ9Eの一部が押されてパイプ9Eに三角形の一辺を形成し、パイプ9Eの他の一部p,qが三角形の頂点を形成する方向に押されるので、パイプ9Eは略三角形状となる。
パイプ9Dにおいては、短絡連結部14が右斜め上方に移動して、隣接するパイプ9Aの一部を押して、該パイプ9Aに三角形の一辺を形成し、短絡連結部16の左方への移動により、パイプ9Dの一部が押されてパイプ9Dに三角形の一辺を形成し、パイプ9Dの他の一部r,sが三角形の頂点を形成する方向に押されるので、パイプ9Dは略三角形状となる。
このように、上述の各短絡連結部11〜16は、パイプ9の断面形状の繰返し変形に対応して往復移動することになる。
このように、上述の各短絡連結部11〜16は、パイプ9の断面形状の繰返し変形に対応して往復移動することになる。
ここで、上述の短絡連結部11〜16の移動は、パイプ9の変形を阻害することなく、また、パイプ9,9間の連結状態も維持することができる。
上述の短絡連結部11〜16により、『略正三角形』と『逆向きの略正三角形』の狭窄空間10,10を形成するように設定しているので、各パイプ9間の短絡連結状態を維持した状態で、クラッシュカン7の座屈変形を許容することができる。
このように、各短絡連結部11〜16がクラッシュカン7の座屈変形を阻害しないため、図示実施例のクラッシュカン7では、全てのパイプ9が完全に座屈変形して、衝突エネルギを確実に吸収することができる。
上述の短絡連結部11〜16により、『略正三角形』と『逆向きの略正三角形』の狭窄空間10,10を形成するように設定しているので、各パイプ9間の短絡連結状態を維持した状態で、クラッシュカン7の座屈変形を許容することができる。
このように、各短絡連結部11〜16がクラッシュカン7の座屈変形を阻害しないため、図示実施例のクラッシュカン7では、全てのパイプ9が完全に座屈変形して、衝突エネルギを確実に吸収することができる。
図3で示した集合パイプ体の車幅方向の幅(W)を50mmに設定し、高さ(H)を69.03mmに設定し、各パイプ9の直径(外径)dを24mmφに設定し、パイプ9の肉厚tを1.8mmに設定したクラッシュカン7を設け、全てのパイプ9が完全に座屈変形することを裏付けるために、該クラッシュカン7を図7の(a)に示すベース部材18に取付け、加圧ブロック19で0〜180KNの荷重を付加した図を、図7の(a)〜(g)に示す。
図7の(a)は、クラッシュカン7をベース部材18上面に取付け、加圧ブロック19をセットした無負荷時の状態を示し、図7の(b)〜図7の(g)は加圧ブロック19で180KNまで順次荷重を付加した状態を時系列に示すものである。
図7の(b)に示す荷重入力初期から各パイプ9は順次座屈変形し、図7の(c)〜(e)に示す荷重入力中期にかけて各パイプ9はさらに座屈変形が進み、図7の(f)に示す荷重入力終期を経て、図7の(g)に示す荷重入力完了最終期には、同図に示すように、全てのパイプ9が規則的かつ完全に座屈変形した。
図7の(b)に示す荷重入力初期から各パイプ9は順次座屈変形し、図7の(c)〜(e)に示す荷重入力中期にかけて各パイプ9はさらに座屈変形が進み、図7の(f)に示す荷重入力終期を経て、図7の(g)に示す荷重入力完了最終期には、同図に示すように、全てのパイプ9が規則的かつ完全に座屈変形した。
しかも、この実施例においては、図2のD−D線矢視断面図を図8に示すように、パイプ9の基端部(フロント側のクラッシュカン7の後端部)と、その取付け面部としてのセットプレート6との接合部近傍に、パイプ9の先端部(フロント側のクラッシュカン7の前端部)への衝突荷重入力時に所定方向(上下方向)に交差する方向つまり左右方向に、上述のパイプ9の基端部が曲がるのを抑止する曲げ抑止手段を設けている。
図8に示すこの実施例では、上述の曲げ抑止手段は、合計5個のパイプ9A〜9Eから成る集合パイプ体(円管集合体)の少なくとも四隅に対応するように、上述の各周辺パイプ9B,9C,9D,9Eの左右外周部にパイプ軸方向(車両の前後方向)に形成された複数のリブ部20…に設定している。
この実施例では、周辺パイプ9B〜9Eのみならず中央パイプ9Aの左右外周部にもパイプ軸方向に延びるリブ部20,20を設けている。
この実施例では、周辺パイプ9B〜9Eのみならず中央パイプ9Aの左右外周部にもパイプ軸方向に延びるリブ部20,20を設けている。
また、この実施例では、パイプ9とは別体のリブ部20を設け、クラッシュカン7の熱間押し出し成形後に、該リブ部20をパイプ9の所定部に略水平方向に向くように、接着固定して、曲げ抑止手段と成したものである。
上記構成のクラッシュカン7を図9に示すように、セットプレート6およびフランジ部材3を介してフロントサイドフレーム2の前端部に取付け、この車体構造の車両を16km/hの車速で、10度傾斜のリジッドバリア21に衝突させた結果を、図10、図11に示す。
上記構成のクラッシュカン7を図9に示すように、セットプレート6およびフランジ部材3を介してフロントサイドフレーム2の前端部に取付け、この車体構造の車両を16km/hの車速で、10度傾斜のリジッドバリア21に衝突させた結果を、図10、図11に示す。
図10は衝突後16msec経過時点の状態を示し、図11は衝突後32msec経過時点の状態を示すもので、この実施例ではパイプ9の基端部に曲げ抑止手段としてのリブ部20を設けているので、該パイプ9の根元部の衝撃に対する耐力が充分に向上し、このため、パイプ9の根元部が衝突荷重により、曲がるのを防止することができ、複数個のパイプ9から成るクラッシュカン7は図10、図11に示すように、その先端から順に規則的変形を生じ、各パイプ9が安定して軸方向の圧縮変形を生じ、この結果、充分な衝突エネルギ吸収量を確保することができた。
なお、図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印UPは車両上方を示し、矢印INは車両内方を示し、矢印OUTは車両外方を示す。
なお、図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印UPは車両上方を示し、矢印INは車両内方を示し、矢印OUTは車両外方を示す。
このように、図1〜図11で示した実施例の衝突エネルギ吸収部材は、車体の前端または後端に取付けられ、かつ円管(パイプ9参照)が複数個束ねられて成る衝突エネルギ吸収部材(クラッシュカン7参照)であって、上記複数個の円管(パイプ9)は車両正面視で互いに隣接して所定方向(上下方向参照)に長く配列され、上記円管(パイプ9)基端部とその取付け面部(セットプレート6参照)との接合部近傍に、上記円管(パイプ9)先端部への衝突荷重入力時に上記所定方向に交差する方向(左右方向参照)に上記円管(パイプ9)の基端部が曲がるのを抑止する曲げ抑止手段(リブ部20参照)を設けたものである(図1、図2、図8参照)。
この構成によれば、衝突エネルギ吸収部材(クラッシュカン7)の機能を質量効率に優れた複数円管(パイプ9)の潰れで実現するに当たり、円管(パイプ9)の基端部が所定方向に交差する方向(左右方向)へ曲がるのを抑止する曲げ抑止手段(リブ部20)を設けたので、円管根元部での倒れを防止して、各円管(パイプ9)に安定して軸方向の圧縮変形を生じさせることができ、この結果、充分な衝突エネルギ吸収量を確保することができる。
上述の衝突エネルギ吸収部材(クラッシュカン7参照)は、その先端から順に規則的変形を生じさせるためには、先端から順に荷重入力なされる必要があるが、円管根元部が先に傾くと『先端から順に荷重入力される』という規則的変形のメカニズムが崩壊する。この点、上記構成によれば、円管根元部の倒れを曲げ抑止手段(リブ部20参照)にて防止するので、『先端から順に荷重入力される』という規則的変形のメカニズムを維持、確保することができる。
また、上記複数個の円管(パイプ9)は、中央に位置する中央管(中央パイプ9A参照)の所定方向の上下側にそれぞれ2個の略同径の周辺管(周辺パイプ9B,9C,9D,9E参照)が配置されて成り、上記中央管(中央パイプ9A)とそれぞれ2個の周辺管(周辺パイプ9B,9C,9D,9E)は、これらの間に挟窄空間10,10を形成するよう各円管9A〜9Eの近接部位で円管9A〜9Eの軸方向に連続する板状の短絡連結部11〜16で連結されて一体と成されたものである(図8参照)。
この構成によれば、一つの円管(パイプ9)の軸圧縮方向の潰れが、閉断面方向に関して、上記短絡連結部11〜16を介して周囲の2つの円管9,9を押したり引いたりして互いに作用し合い、それぞれが略正三角形の閉断面をなすように、複数の円管9…の集合体が規則的変形(塑性変形)を生じ、質量効率高くエネルギ吸収を行なうことができる。
さらに、上記曲げ抑止手段は、複数個の円管(パイプ9)集合体の四隅に対応すべく、上記各周辺管(周辺パイプ9B〜9E)の外周部に軸方向に形成されたリブ部20である。
この構成によれば、リブ部20を形成する最小限の追加構成で、円管(パイプ9)根元部の倒れ防止機能を実現することができる。
この構成によれば、リブ部20を形成する最小限の追加構成で、円管(パイプ9)根元部の倒れ防止機能を実現することができる。
図8で示した構成に代えて、図12に示す構造を採用してもよい。
すなわち、図8で示した構造は合計6個のリブ部20…を、各パイプ9A〜9Eの外周に水平方向に取付けたが、図12で示すこの実施例においては、集合パイプ体の四隅に位置する周辺パイプ9B〜9Eから各リブ部20が放射方向外方に位置するように1つのパイプ9につき2個のリブ部20,20を接合固定する一方、中央パイプ9Aにおいては図8の実施例と同様に、該中央パイプ9Aの外周部から水平方向に延びる2個のリブ部20,20を取付け、全体として合計10個のリブ部20…をパイプ9の軸方向に沿って設けたものである。
すなわち、図8で示した構造は合計6個のリブ部20…を、各パイプ9A〜9Eの外周に水平方向に取付けたが、図12で示すこの実施例においては、集合パイプ体の四隅に位置する周辺パイプ9B〜9Eから各リブ部20が放射方向外方に位置するように1つのパイプ9につき2個のリブ部20,20を接合固定する一方、中央パイプ9Aにおいては図8の実施例と同様に、該中央パイプ9Aの外周部から水平方向に延びる2個のリブ部20,20を取付け、全体として合計10個のリブ部20…をパイプ9の軸方向に沿って設けたものである。
このように構成しても、先の実施例(図8参照)とほぼ同様の作用、効果を奏するので、図12において前図と同一の部分には、同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
また、図2、図8で示した構成に代えて、図13、図14(但し、図14は図13のE−E線矢視断面図)に示す構造を採用してもよい。
すなわち、図2、図8で示したリブ部20はパイプ9とは別体のものを接着固定すべく構成したが、図13、図14に示すこの実施例では、パイプ9の熱間押し出し成形後において、該パイプ9の基端側に部分加工を施して、パイプ9と一体のリブ部20を形成したものである。
すなわち、図2、図8で示したリブ部20はパイプ9とは別体のものを接着固定すべく構成したが、図13、図14に示すこの実施例では、パイプ9の熱間押し出し成形後において、該パイプ9の基端側に部分加工を施して、パイプ9と一体のリブ部20を形成したものである。
上記リブ部20の配列は図12と同様に、集合パイプ体の四隅に位置する周辺パイプ9B〜9Eから各リブ部20が放射方向外方に位置するように1つのパイプ9につき2個のリブ部20,20を一体形成する一方、中央パイプ9Aにおいては、該中央パイプ9Aの外周部から水平方向左右外方に延びる2個のリブ部20,20を一体形成し、全体として合計10個のリブ部20…をパイプ9の軸方向に沿って設けたものである。
このように構成すると、部分加工が必要となるものの、部品点数の削減を図りつつ、最小限の追加構成にて、パイプ9の根元部の倒れ防止機能を確保することができる。
このように構成すると、部分加工が必要となるものの、部品点数の削減を図りつつ、最小限の追加構成にて、パイプ9の根元部の倒れ防止機能を確保することができる。
図13、図14で示した実施例においても、その他の構成、作用、効果については先の実施例と同様であるから、図13、図14において、前図と同一の部分には、同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
図15、図16(但し、図16は図15のG―G線矢視断面図)は衝突エネルギ吸収部材の他の実施例を示し、この実施例では、中央パイプ9Aを隔てて上側に位置する2個の周辺パイプ9B,9Cおよび下側に位置する2個の周辺パイプ9D,9Eの取付け面部としてのセットプレート6(前図参照)に対する接合部近傍に、所定方向(上下方向)に交差する方向(左右方向)に車幅方向へ広がる外広がり部30,30をそれぞれ一体形成し、これら各外広がり部30…を曲げ抑止手段と成したものである。
この場合、合計5個のパイプ9から成るクラッシュカン7を熱間押し出し成形した後に、周辺パイプ9B〜9Eの根元部を拡管加工することにより、上述の外広がり部30…がそれぞれ形成される。
また、該外広がり部30…は図16に示すように真円形状の円筒断面であってもよく、図17に示すように楕円形状の円筒断面であってもよい。
また、該外広がり部30…は図16に示すように真円形状の円筒断面であってもよく、図17に示すように楕円形状の円筒断面であってもよい。
このように、図15〜図17で示した実施例においては、上記曲げ抑止手段は、上記各周辺管(周辺パイプ9B〜9E参照)の取付け面部(セットプレート6参照)に対する接合部近傍の外広がり拡管(外広がり部30参照)であるから、外広がり拡管(外広がり部30参照)を形成する最小限の追加構成で、円管(パイプ9)根元部の倒れ防止機能を実現することができる。
図15〜図17で示した実施例においても、その他の構成、作用、効果については先の実施例と同様であるから、図15〜図17において前図と同一の部分には、同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
図18、図19(但し、図19は図18のJ−J線矢視断面図)は衝突エネルギ吸収部材のさらに他の実施例を示し、この実施例では、中央パイプ9Aを隔てて上側に位置する2個の周辺パイプ9B,9Cおよび下側に位置する2個の周辺パイプ9D,9Eの取付け面部としてのセットプレート6(前図参照)に対する接合部近傍に、集合パイプ体の四隅に対応し、かつ所定方向(上下方向)に交差する方向(左右方向)に車幅方向へ広がる四隅外向き方向の曲げ部40をそれぞれ一体形成し、これらの各曲げ部40…を曲げ抑止手段と成したものである。
この場合、合計5個のパイプ9から成るクラッシュカン7を熱間押し出し成形した後に、まずパイプ9の基端部から所定距離前方までの短絡連結部11〜16を除去、または切り裂き加工し、その後、各周辺パイプ9B〜9Eを四隅外向き方向(左右方向)に曲げ加工すると、上述の曲げ部40を形成することができる。
このように、図18、図19で示した実施例においては、上記曲げ抑止手段は、上記各周辺管(周辺パイプ9B〜9E参照)の取付け面部(セットプレート6参照)に対する接合部近傍の四隅外向き方向の曲げ部40である。
この構成によれば、四隅外向き方向の曲げ部40を形成する最小限の追加構成で、円管(パイプ9)根元部の倒れ防止機能を実現することができる。
この構成によれば、四隅外向き方向の曲げ部40を形成する最小限の追加構成で、円管(パイプ9)根元部の倒れ防止機能を実現することができる。
図18、図19で示した実施例においても、その他の構成、作用、効果については、先の実施例とほぼ同様であるから、図18、図19において前図と同一の部分には、同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
図20、図21(但し、図21は図20のK−K線矢視断面図)は衝突エネルギ吸収部材のさらに他の実施例を示し、この実施例では、少なくとも合計4個の周辺パイプ9B〜9Eの取付け面部としてのセットプレート6に対する接合部近傍に詰め部材50…を内嵌および接合(接着固定)し、これらの各詰め部材50により曲げ抑止手段を構成したものである。
この実施例では、周辺パイプ9B〜9Eのみならず、中央パイプ9Aのセットプレート6に対する接合部近傍にも、詰め部材50を内嵌および接合(接着固定)している。
この実施例では、周辺パイプ9B〜9Eのみならず、中央パイプ9Aのセットプレート6に対する接合部近傍にも、詰め部材50を内嵌および接合(接着固定)している。
ここで、上記詰め部材50はパイプ9と同一材料のものが好ましい。また該詰め部材50の車両前後方向の長さL2(いわゆる高さ)は、短過ぎると倒れ防止機能が減少し、長過ぎるとパイプ9の潰れ変形範囲が減少して、エネルギ吸収効率が劣化するので、図4の(b)で示す1ピッチの半分よりやや長い程度が望ましい。
さらに、図20、図21では、詰め部材50として円柱形状のものを例示したが、これは各パイプ9の内周に密着する円筒形状の詰め物であってもよい。
さらに、図20、図21では、詰め部材50として円柱形状のものを例示したが、これは各パイプ9の内周に密着する円筒形状の詰め物であってもよい。
このように、図20、図21で示した実施例においては、上記曲げ抑止手段は、上記各周辺管(周辺パイプ9B〜9E参照)の取付け面部(セットプレート6参照)に対する接合部近傍に内嵌される詰め部材50である。
この構成によれば、周辺管(周辺パイプ9B〜9E)に詰め部材50を内嵌する最小限の追加構成で、円管(パイプ9)根元部の倒れ防止機能を実現することができる。
この構成によれば、周辺管(周辺パイプ9B〜9E)に詰め部材50を内嵌する最小限の追加構成で、円管(パイプ9)根元部の倒れ防止機能を実現することができる。
図20、図21で示した実施例においても、その他の構成、作用、効果については、先の実施例とほぼ同様であるから、図20、図21において前図と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
図22、図23は衝突エネルギ吸収部材のさらに他の実施例を示し、この実施例では、取付け面部としてのセットプレート6に全てのパイプ9…の外周に合致した形状で、かつ同形状に沿って各パイプ9の外周部を内嵌する土手部としてのバンク(bank)60を一体形成し、このバンク60で曲げ抑止手段を構成したものである。
この場合、クラッシュカン7をアルミニウムまたはアルミニウム合金の熱間押し出し成形で構成する時、成形後のクラッシュカン7と、セットプレート6およびバンク60とはアルミ溶湯を用いる鋳ぐるみにて一体化することができる。
この場合、クラッシュカン7をアルミニウムまたはアルミニウム合金の熱間押し出し成形で構成する時、成形後のクラッシュカン7と、セットプレート6およびバンク60とはアルミ溶湯を用いる鋳ぐるみにて一体化することができる。
また、この実施例では上記バンク60により、それぞれの短絡連結部11〜16よりも外側の各パイプ9A〜9Eを密着状に内嵌している。
さらに、上記バンク60の車両前後方向の長さL3(いわゆる高さ)は、短過ぎると倒れ防止機能が減少し、長過ぎるとパイプ9の潰れ変形範囲が減少して、エネルギ吸収効率が低下するので、図4の(b)で示す1ピッチの半分よりやや長い程度が望ましい。
さらに、上記バンク60の車両前後方向の長さL3(いわゆる高さ)は、短過ぎると倒れ防止機能が減少し、長過ぎるとパイプ9の潰れ変形範囲が減少して、エネルギ吸収効率が低下するので、図4の(b)で示す1ピッチの半分よりやや長い程度が望ましい。
加えて、周辺パイプ9B〜9Eを上下から囲繞するバンク60の肉厚t1に対して、周辺パイプ9B〜9Eを左右から囲繞するバンク60の肉厚t2は、図23に示すように、充分大きく設定(t2>t1)されており、これにより、クラッシュカン7がその根元部から倒れるのを防止することができる。
このように、図22、図23で示した実施例においては、上記曲げ抑止手段は、上記全円管(パイプ9)の外周に合致した形状を有し、同形状に沿って円管外周部を内嵌する上記取付け面部(セットプレート6)に形成された土手部(バンク60参照)である。
この構成によれば、円管集合体の外形状に沿う土手部(バンク60参照)を設ける最小限の追加構成で、円管根元部の倒れ防止機能を実現することができる。
この構成によれば、円管集合体の外形状に沿う土手部(バンク60参照)を設ける最小限の追加構成で、円管根元部の倒れ防止機能を実現することができる。
図22、図23で示した実施例においても、その他の構成、作用、効果については、先の実施例とほぼ同様であるから、図22、図23において前図と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。なお、上記各実施例1〜5においては各パイプ9A〜9Eを短絡連結部11〜16で図示の如く連結したクラッシュカン7を例示したが、本実施例は、短絡連結部11〜16に代えて、図24に示す如く、各パイプ9A〜9Eの近接部位でパイプ9の軸方向に連続する連続部31〜36を備えたクラッシュカン7にも適用することができ、上記接続部31〜36はレーザ溶接等により形成することができる。
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の衝突エネルギ吸収部材は、実施例のクラッシュカン7に対応し、
以下同様に、
円管は、パイプ9に対応し、
取付け面部は、セットプレート6に対応し、
中央管は、中央パイプ9Aに対応し、
周辺管は、周辺パイプ9B〜9Eに対応し、
外広がり拡管は、外広がり部30に対応し、
四隅外向き方向の曲げは、曲げ部40に対応し、
土手部は、バンク60に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
なお、パイプ9を形成する材料はAlやAl合金に限定されるものではなく、鋼材を用いてもよい。特に、図24の実施例では鋼材が有効である。
この発明の衝突エネルギ吸収部材は、実施例のクラッシュカン7に対応し、
以下同様に、
円管は、パイプ9に対応し、
取付け面部は、セットプレート6に対応し、
中央管は、中央パイプ9Aに対応し、
周辺管は、周辺パイプ9B〜9Eに対応し、
外広がり拡管は、外広がり部30に対応し、
四隅外向き方向の曲げは、曲げ部40に対応し、
土手部は、バンク60に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
なお、パイプ9を形成する材料はAlやAl合金に限定されるものではなく、鋼材を用いてもよい。特に、図24の実施例では鋼材が有効である。
6…セットプレート(取付け面部)
7…クラッシュカン(衝突エネルギ吸収部材)
9…パイプ(円管)
9A…中央パイプ(中央管)
9B〜9E…周辺パイプ(周辺管)
10…狭窄空間
11〜16…短絡連結部
20…リブ部(曲げ抑止手段)
30…外広がり部(曲げ抑止手段)
40…曲げ部(曲げ抑止手段)
50…詰め部材(曲げ抑止手段)
60…バンク(曲げ抑止手段)
7…クラッシュカン(衝突エネルギ吸収部材)
9…パイプ(円管)
9A…中央パイプ(中央管)
9B〜9E…周辺パイプ(周辺管)
10…狭窄空間
11〜16…短絡連結部
20…リブ部(曲げ抑止手段)
30…外広がり部(曲げ抑止手段)
40…曲げ部(曲げ抑止手段)
50…詰め部材(曲げ抑止手段)
60…バンク(曲げ抑止手段)
Claims (7)
- 車体の前端または後端に取付けられ、かつ円管が複数個束ねられて成る衝突エネルギ吸収部材であって、
上記複数個の円管は車両正面視で互いに隣接して所定方向に長く配列され、
上記円管基端部とその取付け面部との接合部近傍に、上記円管先端部への衝突荷重入力時に上記所定方向に交差する方向に上記円管の基端部が曲がるのを抑止する曲げ抑止手段を設けた
衝突エネルギ吸収部材。 - 上記複数個の円管は、中央に位置する中央管の所定方向の上下側にそれぞれ2個の略同径の周辺管が配置されて成り、
上記中央管とそれぞれ2個の周辺管は、これらの間に挟窄空間を形成するよう各円管の近接部位で円管の軸方向に連続する板状の短絡連結部で連結されて一体と成された
請求項1記載の衝突エネルギ吸収部材。 - 上記曲げ抑止手段は、複数個の円管集合体の四隅に対応すべく、上記各周辺管の外周部に軸方向に形成されたリブ部である
請求項1または2記載の衝突エネルギ吸収部材。 - 上記曲げ抑止手段は、上記各周辺管の取付け面部に対する接合部近傍の外広がり拡管である
請求項1または2記載の衝突エネルギ吸収部材。 - 上記曲げ抑止手段は、上記各周辺管の取付け面部に対する接合部近傍の四隅外向き方向の曲げである
請求項1または2記載の衝突エネルギ吸収部材。 - 上記曲げ抑止手段は、上記各周辺管の取付け面部に対する接合部近傍に内嵌される詰め部材である
請求項1または2記載の衝突エネルギ吸収部材。 - 上記曲げ抑止手段は、上記全円管の外周に合致した形状を有し、同形状に沿って円管外周部を内嵌する上記取付け面部に形成された土手部である
請求項1または2記載の衝突エネルギ吸収部材。
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