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JP2010108619A - 燃料電池運転制御方法及び燃料電池システム - Google Patents

燃料電池運転制御方法及び燃料電池システム Download PDF

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JP2010108619A JP2008276633A JP2008276633A JP2010108619A JP 2010108619 A JP2010108619 A JP 2010108619A JP 2008276633 A JP2008276633 A JP 2008276633A JP 2008276633 A JP2008276633 A JP 2008276633A JP 2010108619 A JP2010108619 A JP 2010108619A
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Abstract

【課題】燃料電池内部における水の沸騰を抑制しつつ、燃料電池内部の水分量を調整可能な技術を提供する。
【解決手段】燃料電池運転制御方法は、アノード側反応ガスとカソード側反応ガスとを電解質膜に沿って互いに対向して流れるように供給する工程と、燃料電池の運転状態が沸騰運転状態であるか否かを判定する工程と、沸騰運転状態でないと判定した場合には電解質膜内における水の燃料電池のアノード側への排出量を増加させるように、アノード側反応ガス流量とアノード側反応ガス圧力とカソード側反応ガス流量とカソード側反応ガス圧力とのうち少なくとも1つを調整し、沸騰運転状態であると判定した場合には排出量を増加させるように、アノード側反応ガス流量とアノード側反応ガス圧力と前記カソード側反応ガス流量とカソード側反応ガス圧力とのうち少なくとも1つを調整する工程と、を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、燃料電池内部における水分量を制御する技術に関する。
固体高分子型燃料電池として、電解質膜をカソード電極とアノード電極とで挟んだ構成のMEA(Membrane Electrode Assembly(膜電極接合体))と、セパレータとが交互に積層されて成る燃料電池が知られている。この燃料電池においては、アノード側に水素を含む燃料ガスが供給され、また、カソード側には酸素を含む酸化ガスが供給されて、これら燃料ガス及び酸化ガス(反応ガス)を用いた電気化学反応によって電気エネルギーが生成される。ここで、電気化学反応によってカソードにおいて水が生成するが、かかる生成水が過剰である場合には、反応ガスの拡散が阻害されて燃料電池の出力が低下してしまう。一方、反応ガスの供給が過剰であったり、反応ガスが無加湿で供給される場合、又はセルスタックの温度が高い場合には、電解質膜(特に反応ガスの入口側)の乾燥が進み、内部抵抗が増大して燃料電池の出力が低下するという問題があった。
そこで、燃料電池内部の水分量が適当量となるように、水分量の過不足(乾燥傾向)を判定してその結果に応じて反応ガスの流量や圧力を調整する方法が提案されている(下記特許文献1,2参照)。
特開2002−352827号公報 特開2006−210004号公報
燃料電池内部の水分量を調整するために反応ガスの圧力や流量を調整した場合には、燃料電池内部において液体の水が沸騰して気化するおそれがある。この場合、燃料電池内部において圧力が急激に変化するために、電解質膜が損傷して燃料電池の出力が低下するおそれがあった。
本発明は、燃料電池内部における水の沸騰を抑制しつつ、燃料電池内部の水分量を調整可能な技術を提供することを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]電解質膜を有する燃料電池の運転状態を制御する燃料電池運転制御方法であって、(a)前記燃料電池に対して、アノード側反応ガスとカソード側反応ガスとを前記電解質膜に沿って互いに対向して流れるように供給する工程と、(b)前記燃料電池の運転状態がアノード側において水の沸騰が起こり得る運転状態である沸騰運転状態であるか否かを判定する工程と、(c)前記判定において前記燃料電池の運転状態が前記沸騰運転状態でないと判定した場合には、前記電解質膜内における水の前記燃料電池のアノード側への排出量を増加させるように、前記燃料電池におけるアノード側反応ガス流量とアノード側反応ガス圧力とカソード側反応ガス流量とカソード側反応ガス圧力とのうち、少なくとも1つを調整し、前記判定において前記燃料電池の運転状態が前記沸騰運転状態であると判定した場合には、前記電解質膜内における水の前記燃料電池のアノード側への排出量を増加させないように、前記アノード側反応ガス流量と前記アノード側反応ガス圧力と前記カソード側反応ガス流量と前記カソード側反応ガス圧力とのうち、少なくとも1つを調整する工程と、を備える、燃料電池運転制御方法。
適用例1の燃料電池制御方法では、燃料電池の運転状態が沸騰運転状態である場合には、電解質膜内における水のアノード側への排出量を増加させないように、アノード側反応ガス流量とアノード側反応ガス圧力とカソード側反応ガス流量とカソード側反応ガス圧力とのうち、少なくとも1つを調整するので、燃料電池内部における水の沸騰を抑制することができる。また、燃料電池の運転状態が沸騰運転状態でない場合には、電解質膜内における水のアノード側への排出量を増加させるようにアノード側反応ガス流量とアノード側反応ガス圧力とカソード側反応ガス流量とカソード側反応ガス圧力とのうち、少なくとも1つを調整するので、かかる水を、アノード側反応ガスの流れを利用して比較的乾燥し易いカソード反応ガスの入口側に送ることができ、燃料電池内部の水分量を好適な状態に調整することができる。
[適用例2]適用例1に記載の燃料電池運転制御方法において、前記工程(c)において、前記燃料電池の運転状態が前記沸騰運転状態であると判定した場合には、前記電解質膜内における水の前記燃料電池のアノード側への排出量を減少させるように、前記アノード側反応ガス流量と前記アノード側反応ガス圧力と前記カソード側反応ガス流量と前記カソード側反応ガス圧力とのうち、少なくとも1つを調整する、燃料電池運転制御方法。
このようにすることで、燃料電池の運転状態が沸騰運転状態である場合には、電解質膜内における水のアノード側への排出量を減少させるので、燃料電池内部における水の沸騰を抑制することができる。なお、この場合、アノード側反応ガス流量を減少させる、アノード側圧力を上昇させる、カソード側反応ガス流量を増加させる、カソード側反応ガス圧力を低下させる、の各調整のうち、少なくとも1つを行うことが好ましい。
[適用例3]適用例1または適用例2に記載の燃料電池運転制御方法であって、さらに、(d)前記燃料電池のアノード側の水蒸気分圧と前記燃料電池の温度とを取得する工程と、(e)前記燃料電池の温度における飽和水蒸気圧を求める工程と、(f)前記水蒸気分圧と前記飽和水蒸気圧とに基づき、前記燃料電池のアノード側の相対湿度を求める工程と、備え、前記工程(b)において、前記相対湿度が所定のしきい値以上の場合に前記沸騰運転状態であると判定し、前記相対湿度が前記所定のしきい値よりも低い場合に前記沸騰運転状態でないと判定する、燃料電池運転制御方法。
このようにすることで、沸騰運転状態であるか否かを精度良く判定することができる。すなわち、所定のしきい値として、液体の水が存在する可能性が高い相対湿度を予め求めて設定しておくことにより、沸騰運転状態の判定精度を高めることができる。この場合、例えば、燃料電池の構成部材によっては、相対湿度が100%よりも低い場合であっても、構成部材が液体の水を保持している可能性もある。そこで、かかる水も考慮してしきい値を設定することにより、沸騰の発生をより確実に抑制することができる。また、相対湿度を計測するための専用装置を用意せずに済み、燃料電池の運転制御のコストを抑えることができる。
[適用例4]適用例3に記載の燃料電池運転制御方法であって、さらに、(g)前記燃料電池のアノード側における全圧と、前記燃料電池からのガス排出量と、前記燃料電池への前記アノード側反応ガスの流入量と、を測定する工程と、(h)前記燃料電池における前記アノード側反応ガスの消費量を求める工程と、を備え、前記工程(d)において、前記アノード側における全圧と、前記ガス排出量と、前記アノード側反応ガスの流入量と、前記アノード側反応ガスの消費量と、に基づき前記水蒸気分圧を取得する、燃料電池運転制御方法。
このようにすることで、湿度センサに代表される水蒸気分圧を求めるため専用装置を用意せずに済み、燃料電池の運転制御のコストを抑えることができる。また、湿度センサを使用する際、センサ近傍の温度調整機構が十分に動作しないことによる計測誤差を低減することが可能になる。
[適用例5]燃料電池システムであって、電解質膜を有する燃料電池と、前記燃料電池に対して、アノード側反応ガスとカソード側反応ガスとを前記電解質膜に沿って互いに対向して流れるように供給する反応ガス供給部と、前記アノード側反応ガスの流量を調整するアノード側流量調整部と、前記燃料電池のアノード側反応ガスの圧力を調整するアノード側圧力調整部と、前記カソード側反応ガスの流量を調整するカソード側流量調整部と、前記燃料電池のカソード側反応ガスの圧力を調整するカソード側圧力調整部と、前記燃料電池の運転状態がアノード側において水の沸騰が起こり得る運転状態である沸騰運転状態であるか否かを判定する判定部と、前記アノード側流量調整部と前記アノード側圧力調整部と前記カソード側流量調整部と前記カソード側圧力調整部とを制御する運転制御部と、を備え、前記運転制御部は、前記判定において前記燃料電池の運転状態が前記沸騰運転状態でないと判定された場合には、前記電解質膜内における水の前記燃料電池のアノード側への排出量を増加させるように、前記燃料電池におけるアノード側反応ガス流量とアノード側反応ガス圧力とカソード側反応ガス流量とカソード側反応ガス圧力とのうち、少なくとも1つを調整し、前記判定部によって前記燃料電池の運転状態が前記沸騰運転状態であると判定された場合には、前記電解質膜内における水の前記燃料電池のアノード側への排出量を増加させないように、前記アノード側反応ガス流量と前記アノード側反応ガス圧力と前記カソード側反応ガス流量と前記カソード側反応ガス圧力とのうち、少なくとも1つを調整する、燃料電池システム。
適用例5の燃料電池システムでは、運転制御部は、燃料電池の運転状態が沸騰運転状態である場合には、電解質膜内における水のアノード側への排出量を増加させないように、アノード側反応ガス流量とアノード側反応ガス圧力とカソード側反応ガス流量とカソード側反応ガス圧力とのうち、少なくとも1つを調整するので、燃料電池内部における水の沸騰を抑制することができ、また、運転制御部は、燃料電池の運転状態が沸騰運転状態でない場合には、電解質膜内における水のアノード側への排出量を増加させるようにアノード側反応ガス流量とアノード側反応ガス圧力とカソード側反応ガス流量とカソード側反応ガス圧力とのうち、少なくとも1つを調整するので、かかる水を、アノード側反応ガスの流れを利用して比較的乾燥し易いカソード反応ガスの入口側に送ることができ、燃料電池内部の水分量を調整することができる。
A.第1の実施例:
A1.システム構成:
図1は、本発明の一実施例としての燃料電池システムの概略構成を示す説明図である。この燃料電池システム100は、燃料電池スタック10と、水素タンク11と、水素ガス循環用ポンプ12と、レギュレータ17と、背圧弁18と、エアコンプレッサ21と、調圧弁25と、ラジエータ31と、冷却媒体循環用ポンプ32と、パワーコントロールユニット(PCU)41と、電流計42と、電圧計43と、電流計42と、2つの流量計13,22と、2つの圧力計15,24と、2つの温度センサ16,33と、制御ユニット50と、を備えている。
水素タンク11は、燃料ガスとしての水素ガスを貯蔵している。なお、水素タンク11に代えて、アルコールや炭化水素などを原料とする改質反応によって水素を生成する機構を備えることもできる。水素ガス循環用ポンプ12は、水素ガス供給路と水素ガス排出路とを接続するバイパス流路19に配置されており、燃料電池スタック10において用いられなかった余剰水素ガスを再び燃料電池スタック10に戻す。なお、水素を再利用しない構成(デッドエンド構成や少量連続排気構成など)を採用し、水素ガス循環用ポンプ12を省略することもできる。レギュレータ17は、水素タンク11から供給される水素ガスの圧力を調整する。背圧弁18は、燃料電池スタック10のアノード側における圧力を所定の圧力に保つ。流量計13と、圧力計15と、温度センサ16とは、水素ガス排出路に配置されている。
エアコンプレッサ21は、酸化剤ガスとしての空気を取り入れ、圧縮して燃料電池スタック10に供給する。調圧弁25は、燃料電池スタック10のカソード側の圧力を調整する。流量計22は、空気供給路に配置されている。圧力計24は、空気排出路に配置されている。ラジエータ31は、冷却媒体を冷却する。なお、冷却媒体としては、水やエチレングリコール等の不凍液や空気を採用することができる。冷却媒体循環用ポンプ32は、燃料電池スタック10内部において冷却媒体を循環させる。冷却媒体の循環路には温度センサ33が配置されており、温度センサ33は、燃料電池スタック10の内部温度を測定する。PUC41は、図示しないインバータやDC−DCコンバータ等を備え、燃料電池スタック10と負荷(例えば、燃料電池システム100を搭載した電気車両におけるモータなど)との間の電気的接続を制御する。
制御ユニット50は、CPU51と、RAM52と、ROM53とを備えている。また、制御ユニット50は、前述の流量計22等の計器類の他、レギュレータ17,背圧弁18,調圧弁25,エアコンプレッサ21,PCU41と電気的に接続されている。ROM53には、システム制御用のプログラムが記憶されており、CPU51は、かかるプログラムを実行することにより、水バランス制御部51aとして機能する。この水バランス制御部51aは、後述する水バランス制御処理を実行する。なお、ROM53には、前述の制御用プログラムに加えて、飽和水蒸気圧マップ53aが記憶されている。
図2は、図1に示す燃料電池スタック10の詳細構成を示す断面図である。燃料電池スタック10は、いわゆる固体高分子型燃料電池であり、膜電極ガス拡散層接合体(MEGA:Membrane Electrode & Gas Diffusion Layer Assembly)とセパレータとが交互に積層された構成を有している。図2の例では、1つのMEGA200と、このMEGA200を挟んで配置された2つのセパレータ(カソード側セパレータ71,アノード側セパレータ72)とから構成される単セルについて示している。
MEGA200は、電解質膜60と、カソード側触媒電極層61と、カソード側ガス拡散層63と、アノード側触媒電極層62と、アノード側ガス拡散層64とを備えている。電解質膜60は、スルホン酸基を含むフッ素樹脂系イオン交換膜であり、Nafion(登録商標)やFlemion(登録商標)やAciplex(登録商標)等を用いることができる。なお、電解質膜60としては、スルホン酸基に限らず、リン酸基やカルボン酸基など、他のイオン交換基を含む膜を用いることができる。
アノード側触媒電極層62は、電解質膜60に接して配置されている。このアノード側触媒電極層62は、触媒を導電性粒子に担持させた部材を用いて構成されている。触媒としては、例えば、白金や、白金とルテニウムや鉄等の金属との合金を用いることができる。導電性粒子としては、例えば、カーボンブラック等の炭素粒子や、炭素繊維などを用いることができる。アノード側ガス拡散層64は、アノード側触媒電極層62の積層面(積層方向と垂直な面)のうち、電解質膜60と接する面とは反対の面においてアノード側触媒電極層62と接するように配置されている。このアノード側ガス拡散層64は、反応ガスである空気を拡散してアノード側触媒電極層62に供給するために、ガス透過性及びガス拡散性を有する部材を用いて構成されている。具体的には、例えば、カーボンペーパーやカーボンクロス等のカーボン多孔質体や、金属メッシュや発泡金属等の金属多孔質体を用いて構成することができる。
アノード側セパレータ72は、ガス不透過の伝導性部材、例えば、カーボンを圧縮してガス不透過とした緻密質カーボンや、プレス成型した金属板によって構成することができる。アノード側セパレータ72は、凹凸形状を有しており、アノード側セパレータ72とアノード側ガス拡散層64とが接することにより、アノード側セパレータ72とアノード側ガス拡散層64との間に燃料ガス流路76が形成される。この燃料ガス流路76は、水素タンク11(図1)から供給される水素ガス及び水素ガス循環用ポンプ12を介して再利用される水素ガスを、MEGA200に導くと共に、MEGA200から排出されるガス(余剰水素ガス及び水蒸気)を燃料電池スタック10の外部へと排出する。
カソード側の構成は、アノード側の構成と同様である。すなわち、カソード側触媒電極層61はアノード側触媒電極層62と同じ構成を有している。また、カソード側ガス拡散層63はアノード側ガス拡散層64と、カソード側セパレータ71はアノード側セパレータ72と、それぞれ同じ構成を有している。カソード側セパレータ71とカソード側ガス拡散層63との間には酸化剤ガス流路75が形成されている。この酸化剤ガス流路75は、エアコンプレッサ21(図1)を介して供給される空気をMEGA200に導くと共に、MEGA200から排出されるガス(余剰空気及び水蒸気)を燃料電池スタック10の外部へと排出する。
このような構成を有する燃料電池スタック10において、MEGA200に対して、酸化剤ガス(空気)と、燃料ガス(水素ガス)とが互いに対向する方向に供給されている。具体的には、カソード側には、図面左から右に向かう方向に空気が供給され、アノード側には、図面右から左に向かう方向に水素ガスが供給されている。
このように空気と水素ガスとを互いに対向する方向に供給している理由について説明する。酸化剤ガスとして供給される空気の流量は、空気中における酸素の比率が比較的低い(21%程度)ため、一般的に99%以上の高純度で提供される水素ガスの流量に比べて多い。このため、無加湿で燃料電池スタックに供給される場合やスタック温度が上昇した場合には、カソード側において優先的に乾燥が起こり易く、特にカソード入口側領域AR1において非常に乾燥した状態(ドライアップ状態)となり易い。この場合、電解質膜60は湿潤状態において本来の性能を発揮するため、電気化学反応はカソード出口側領域AR2において集中することとなる。このとき、カソード出口側領域AR2には電気化学反応によって生成された生成水W3が多量に生じる。そこで、燃料電池システム100では、かかる生成水W3をカソード入口側領域AR1に運ぶことで、カソード入口側領域AR1の乾燥を防ぎ、MEGA200内における水バランスを調整(水分量の不均一を是正)するように構成されている。すなわち、空気と水素ガスとを対向して供給することで、カソード出口側領域AR2に存在する生成水W3を水素ガスの流れによって水素ガスの出口側領域(すなわち、カソード入口側領域AR1に対応する領域)に運び、電解質膜60を介してカソード入口側領域AR1に生成水を輸送するのである。
ここで、カソード入口側領域AR1に輸送する生成水W1の量は、水素ガスの流量によって調整可能である。すなわち、水素ガスの流量を増やすことによって、生成水W3のうち、アノード側に持ち去る水(生成水W1)の量を増やすことができる。また、水素ガス圧力を低下させることによって水素ガスの流量を増やすことができるので、同様な効果を得ることができる。なお、水素ガスの流量及び圧力は、レギュレータ17又は背圧弁18によって調整可能である。また、アノード側の圧力は、背圧弁18によって調整可能である。さらに、水素ガスの流量及び圧力の調整に加えて、カソード側における空気の流量及び圧力を調整することによっても、生成水W1の量を調整することができる。具体的には、空気の流量を減らすことによってカソード側に持ち去る水(生成水W2)の量を減らし、相対的にアノード側に持ち去る水(生成水W1)の量を増やすことができる。また、空気圧力を上昇させることによって空気の流量を減らすことができるので、同様な効果を得ることができる。なお、空気の流量は、エアコンプレッサ21によって調整可能である。また、カソード側の圧力は、調圧弁25によって調整可能である。
上述したように、カソード出口側領域AR2に存在する生成水W3をアノード側を経由してカソード入口側領域AR1に輸送する場合に、アノード側において液体の水が存在すると、かかる水が沸騰して気化し得る。一般に、水と気体とが封入された空間内において、封入された気体がその温度における飽和蒸気圧より低い圧力を有するときに水が沸騰する可能性がある。燃料電池スタック10においては、供給される反応ガスの圧力がそのときのスタック温度での飽和蒸気圧以下の圧力まで低下する場合には、燃料電池スタック10内部の水が沸騰する可能性がある。沸騰が生じるケースとしては、例えば、アノード側での水素ガスの消費に伴いアノード側において圧力が低下するために、アノード側の全圧が飽和蒸気圧を下回って液体の水が沸騰するケースが想定される。また、もともとアノード側の全圧が飽和蒸気圧を下回っている状況において、カソード出口側領域AR2からカソード側に液体の水が流出するケースが想定される。このようなケースにおいては、沸騰による気化のためにアノード側の圧力が急激に上昇してカソード側との差圧が大きくなり、電解質膜60が損傷するおそれがある。そこで、燃料電池システム100では、後述する水バランス制御処理を実行することによって、アノード側における水の沸騰の発生を抑制しつつ、水バランスを調整するように構成されている。
なお、前述の水素タンク11及びエアコンプレッサ21は、請求項における反応ガス供給部に相当する。また、レギュレータ17は請求項におけるアノード側流量調整部及びアノード側圧力調整部に、背圧弁18はアノード側圧力調整部に、エアコンプレッサ21はカソード側流量調整部に、調圧弁25はカソード側圧力調整部に、それぞれ相当する。
A2.水バランス制御処理:
図3は、燃料電池システム100において実行される水バランス制御処理の手順を示すフローチャートである。燃料電池システム100全体の電源がオンすると、水バランス制御処理が開始される。
水バランス制御処理が開始されると、水バランス制御部51a(図1)は、電流計42から得られる電流値と電圧計43から得られる電圧値とに基づき、燃料電池スタック10の抵抗値R0を求める(ステップS10)。次に、水バランス制御部51aは、温度センサ33から通知される値によってスタック内部の温度を取得し(ステップS15)、ステップS10において得られた抵抗値R0が、この温度における所定のしきい値Rth以上であるか否かを判定する(ステップS20)。
各単セルにおいて、カソード入口側領域AR1(図2)において乾燥が進み、カソード出口側領域AR2において発電が集中すると、燃料電池スタック10全体としての抵抗値は大きくなる。そこで、予め実験によって、カソード入口側領域AR1において乾燥が進んで水分量が一定量よりも少なくなるときの燃料電池スタック10の抵抗値を求めておき、これをステップS20におけるしきい値Rthとして設定しておく。このようにすることで、燃料電池スタック10全体の抵抗値がしきい値Rth以上である場合に、カソード入口側領域AR1において乾燥が進んでいることを判断できる。なお、燃料電池スタック10全体としての抵抗値は燃料電池スタック10の温度に依存するので、実験では、各温度についてしきい値Rthを求めておくことが望ましい。
前述のステップS20において、燃料電池スタック10全体の抵抗値R0がしきい値Rthよりも低い場合には、カソード入口側領域AR1において乾燥が進んでいないので、水バランス制御部51aは、水バランスの調整を行わず、前述のステップS10を再度実行する。一方、ステップS20において、抵抗値R0がしきい値Rth以上の場合には、カソード入口側領域AR1において一定以上に乾燥が進んだと判断できる。この場合、水バランス制御部51aは、ステップS15において得られた温度が100℃以上であるか否かを判定する(ステップS25)。アノード側に液体の水が存在する場合であっても、アノード側の温度が100℃よりも低い場合には水は沸騰しない。したがって、ステップS25の判定により、沸騰が起こり得る状態(沸騰運転状態)か否かを判定することができる。
前述のステップS25において、スタック温度が100℃よりも低い、すなわち沸騰運転状態でないと判定すると、水バランス制御部51aは、レギュレータ17又は背圧弁18を調整して水素ガス圧力を低下させる(ステップS45)。このとき、所定の時間ごとに所定の圧力ずつ段階的に低下させることもできる。また、圧力を連続的に低下させることもできる。そして、水バランス制御部51aは、ステップS45を実行した後にステップS10に戻って上述した処理を実行する。
一方、ステップS25において、スタック温度が100℃以上である、すなわち沸騰運転状態であると判定すると、水バランス制御部51aは、アノード側の水蒸気分圧を算出する(ステップS30)。このとき、水バランス制御部51aは、以下の式(1)に基づき、水蒸気分圧Pvapを算出する。
Figure 2010108619
上記式(1)において、Ptotalは、アノード側の全圧を示す。また、Qtotalは、アノード側の全ガス流量(水素ガス流量+水蒸気流量)を示し、Qvapは水蒸気流量を示す。ここで、上記式(1)は、下記式(2)に置き換えることができる。
Figure 2010108619
上記式(2)において、QH2inは、燃料電池スタック10に流入する水素ガス流量を示し、QH2stackは、燃料電池スタック10における消費水素量を示す。水蒸気流量(Qvap)を計測することは困難であることから、燃料電池システム100では、全ガス流量から燃料電池スタック10において用いられなかった余剰水素ガス量(QH2in−QH2stack)を引いた値を求め、この値を水蒸気流量として用いる。なお、アノード側の全圧(Ptotal)は、圧力計15から通知される値によって得ることができる。アノード側の全ガス流量(Qtotal)は流量計13から通知される値によって得ることができる。燃料電池スタック10に流入する水素ガス流量はレギュレータ17の開度に基づき求めることができる。燃料電池スタック10における消費水素量(QH2stack)は、下記式(3)に基づき算出することができる。
Figure 2010108619
上記式(3)において、変数iは、燃料電池スタック10における電流値を示す。また、定数Fはファラデー定数を示す。なお、式(3)においては、定数「22.4」を掛け合わせることによって気体(水素ガス)の量(モル)を体積(リットル)に換算し、定数「60」を掛け合わせることによって「分」を「秒」に換算している。セル積層枚数及びセル面積は予め設定された定数であるので、水バランス制御部51aは、電流計42から通知される電流値iを上記式(3)に当てはめることにより、消費水素量(QH2stack)を算出することができる。
前述のステップS30において、水蒸気分圧を算出すると、水バランス制御部51aは、アノード側における相対湿度を求める(ステップS35)。具体的には、水バランス制御部51aは、飽和水蒸気圧マップ53a(図1)を参照して、ステップS15において求めたスタック温度に基づき飽和水蒸気圧を求め、ステップS30で算出した水蒸気分圧の値を飽和水蒸気圧の値で割ることによって現在の相対湿度RH0を求める。
図4は、飽和水蒸気圧マップ53aの内容を模式的に示す説明図である。飽和水蒸気圧マップ53aでは、スタック温度毎の飽和水蒸気圧が規定されている。なお、飽和水蒸気圧マップ53aでは、80度から110度までの飽和水蒸気圧が規定されているが、スタック温度の範囲は任意とすることもできる。また、飽和水蒸気圧マップ53aを用いて飽和水蒸気圧を求めることに代えて、下記式(4)に示す周知のAntoine式を用いて、飽和水蒸気圧(Psat)を算出することもできる。
Figure 2010108619
上記式(4)において、変数Tは、スタック温度を示す。現在の相対湿度RH0を算出した後、水バランス制御部51aは、燃料電池スタック10の運転状態が、沸騰運転状態であるか否かの判定を行う(ステップS40)。具体的には、ステップS35において求めた相対湿度RH0が所定のしきい値RH1以上であるか否かを判定する。ここで、相対湿度が低い場合にはアノード側において液体の水が存在する可能性は低く、相対湿度が高い場合にはアノード側において液体の水が存在する可能性は高い。そこで、実験によって液体の水が所定量以上に存在し得る相対湿度を求めておき、かかる相対湿度をしきい値RH1とする。しきい値RH1としては、100%となる場合もあるが、100%未満(例えば90%)となる場合もあり得る。しきい値RH1が100%未満の場合とは、例えば、アノード側ガス拡散層64におけるガス拡散のための空隙が非常に小さい場合に、かかる空隙に液体の水が保持されることによって、相対湿度が100%未満であっても液体の水が存在する場合などが想定される。
ここで、液体の水が存在する場合には、スタック温度が100℃以上であるので(ステップS25:YES)、水素ガス圧力を低下させると沸騰が起こり得る。また、この状態においてアノード側に持ち去られる水(生成水W1)の量が増えると、沸騰により気化する水の量が増えてアノード側における圧力の急激な変化が生じ得る。したがって、相対湿度RH0がしきい値RH1以上の場合には、沸騰運転状態であると判定することができる。一方、液体の水が存在しない場合には、スタック温度が100℃以上において水素ガス圧力を低下させても沸騰は起こらない。また、この状態においてアノード側に持ち去られる水の量が増えたとしても、沸騰は起こらないのでアノード側における圧力の急激な変化は生じない。したがって、相対湿度RH0がしきい値RH1よりも低い場合には、沸騰運転状態でないと判定することができる。
沸騰運転状態でない場合(ステップS40:NO)には、水バランス制御部51aは、レギュレータ17又は背圧弁18を制御して、水素ガス圧力を低下させる(ステップS45)。この場合、上述したように、生成水W1のカソード入口側領域AR1への輸送量が増えて、カソード入口側領域AR1における乾燥が抑制されることとなる。ステップS45を実行した後、水バランス制御部51aは、上述したステップS10に戻って処理を実行する。
一方、前述のステップS40において、沸騰運転状態であると判定した場合には、水バランス制御部51aは、上述したステップS10に戻って処理を実行する。この場合、前述のステップS45は実行されないので水素ガス圧力は低下せず、したがってアノード側の全圧が低下しないので、水の沸騰は生じない。
以上説明したように、燃料電池システム100では、燃料電池スタック10が沸騰運転状態であるか否かを判定し、沸騰運転状態である場合には、水素ガス圧力を低下させる処理(ステップS45)を実行しないので、燃料電池スタック10内部における水の沸騰を抑制することができる。また、燃料電池スタック10が沸騰運転状態でない場合には、水素ガス圧力を低下させる処理を実行するので、カソード出口側領域AR2に生じた生成水W3をカソード入口側領域AR1に輸送して、カソード入口側領域AR1の乾燥を抑制することができる。また、沸騰運転状態であるか否かの判定を、比較的簡易に求めることができるスタック温度及び相対湿度に基づき実行するので、かかる判定を短時間のうちに行うことができる。また、相対湿度を求めるために専用の計器(湿度計)を用いないので、燃料電池システム100のコストを抑えることができると共に、燃料電池システム100を小型化することができる。また、相対湿度をしきい値と比較することによって沸騰運転状態であるか否かを判定するので、アノード側ガス拡散層64の微細な空隙に保持されている液体の水も考慮してしきい値を設定することにより、かかる水も考慮した判定が可能となる。
B.第2の実施例:
図5は、第2の実施例における水バランス制御処理の手順を示すフローチャートである。第2の実施例における燃料電池システムは、水バランス制御処理の手順の一部が異なる点において、第1の実施例における燃料電池システム100と異なり、他の構成は、第1の実施例と同じである。具体的には、第2の実施例における水バランス制御処理では、ステップS45(図3)を省略すると共に、同じ処理をステップS20とステップS25との間においてステップS22(図5)として実行する点と、ステップS40における沸騰運転状態であるか否かの判定方法が異なる点と、ステップS50を加えた点において、第1の実施例における水バランス制御処理と異なる。
第1の実施例における水バランス制御では、沸騰運転状態であるか否かを判定し、沸騰運転状態であると判定した場合には、水素ガス圧力を低下させない(すなわち、水素ガス圧力を維持する)ようにしていた。これに対し、第2の実施例における水バランス制御では、乾燥が進んでいる状態であると判定した場合には、水素ガス圧力を低下させ、その後、沸騰運転状態となりそうな状況となった場合に水素ガス圧力を上昇させるように構成されている。
具体的には、ステップS20(図5)において、燃料電池スタック10全体の抵抗値R0がしきい値Rth以上である場合(すなわち、カソード入口側領域AR1において乾燥が進んだ場合)には、水バランス制御部51aは、レギュレータ17又は背圧弁18を調整して水素ガス圧力を低下させる(ステップS22)。この処理は、第1の実施例におけるステップS45(図3)と同じである。次に、水バランス制御部51aは、ステップS25〜S35を実行する。そして、ステップS35において相対湿度RH0を求めた後、水バランス制御部51aは、相対湿度RH0に定数「1.05」を掛け合わせた値がしきい値RH1以上であるか否かを判定する(S40a)。なお、しきい値RH1は、第1の実施例と同様にして予め設定されている。
ここで、定数「1.05」はマージンであり、燃料電池スタック10の現在の運転状態が沸騰運転状態ではないものの、沸騰運転状態に近い状態であるか否かを判定するために用いられる。すなわち、「相対湿度RH0*1.05」が、しきい値RH1以上であれば沸騰運転状態に近い状態であると判定することができ、しきい値RH1よりも低ければ沸騰運転状態とは離れた状態であると判定することができる。なお、定数「1.05」に代えて、任意の値をマージンとして設定することができる。
前述のステップS40aにおいて、「相対湿度RH0*1.05」が、しきい値RH1以上であると判定した場合には、水バランス制御部51aは、背圧弁18を調整してアノード側の背圧を上昇させる(ステップS50)。したがって、燃料電池スタック10が沸騰運転状態に近い状態において水素ガス圧力を上昇させるので、水の沸騰を抑制できる。一方、ステップS40aにおいて、「相対湿度RH0*1.05」が、しきい値RH1よりも低いと判定した場合には、ステップS10に戻って処理を実行する。したがって、燃料電池スタック10が沸騰運転状態とは離れた状態の場合には、スタック温度に応じて再びステップS22が実行され得ることとなり、水素ガス圧力が低下してカソード入口側領域AR1に輸送される生成水W1の量が増加することとなる。
以上説明した第2の実施例の燃料電池システムも第1の実施例の燃料電池システム100と同様な効果を奏する。また、沸騰運転状態に近い状態であると判定した場合には、水素ガス圧力を上昇させて沸騰運転状態に至ることを回避することができるので、沸騰の発生をより確実に抑制することができる。
C.変形例:
なお、上記各実施例における構成要素の中の、独立クレームでクレームされた要素以外の要素は、付加的な要素であり、適宜省略可能である。また、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
C1.変形例1:
上述した各実施例では、沸騰運転状態(第1の実施例)又は沸点運転状態に近い状態(第2の実施例)であると判定した場合には、水素ガス圧力を維持する(第1の実施例)、或いは、水素ガス圧力を上昇させていたが(第2の実施例)、本発明はこれらに限定されるものではない。例えば、沸騰運転状態又は沸点運転状態に近い状態であると判定した場合には、水素ガスの流量を維持/増加させる、若しくはカソード側において空気流量の維持/増加や空気圧力の維持/上昇を行う、又はこれらを任意に組み合わせて調整することもできる。すなわち、一般には、沸騰運転状態又は沸騰運転状態に近い状態であると判定した場合には、MEGA200内の水のアノード側への排出量が増加しないように、アノード側反応ガス流量とアノード側反応ガス圧力とカソード側反応ガス流量とカソード側反応ガス圧力とのうち、少なくとも1つを調整する構成を、本発明の燃料電池システム及び燃料電池運転制御方法において採用することができる。
C2.変形例2:
上述した各実施例では、燃料電池スタック10の燃料は水素であったが、水素に代えて、他の燃料を用いることもできる。具体的には、メタノールやエタノールやアンモニアなどを燃料として用いることができる。例えば、メタノール30%水溶液燃料を用いる場合において、飽和水蒸気圧をマップを用いずに算出するためには、上記式(4)を用いて算出することはできない。そこで、この場合、下記式(5)及び式(6)を用いて飽和水蒸気圧(Psat)を算出することができる。なお、式(5)はAntoine式であり、式(6)はRaoult式である。
Figure 2010108619
Figure 2010108619
上記式(5)において、「Pm」は純メタノールの飽和蒸気圧を示し、変数Tはスタック温度を示す。また、上記式(6)においてPwは、水の飽和蒸気圧を示す。なお、水の飽和水上気圧Pwについては、上記式(4)を用いて求めることができる。
C3.変形例3:
上述した第1の実施例では、沸騰運転状態であるか否かを判断するための判定処理として、スタック温度が100℃以上であるか否か(ステップS25)と、相対湿度RH0がしきい値RH1以上であるか否か(ステップS40)とを、異なるステップにおいて実行していたが、これらを同じステップにおいて判定することもできる。また、燃料電池システム100の動作環境が常に100℃以上である場合には、ステップS25を省略して、ステップS40のみで沸騰運転状態であるか否かを判定することもできる。また、ステップS40を省略して、スタック温度が100℃以上であれば沸騰運転状態であると判定し、水素ガス圧力を維持/上昇させる構成とすることもできる。すなわち、一般には、アノード側において水の沸騰が起こり得る状態を判定可能な任意の方法を、本発明の燃料電池システム及び燃料電池運転制御方法において採用することができる。
C4.変形例4:
上述した各実施例では、水蒸気分圧及び相対湿度を求めるのに、上記(1)〜(3)を用いて算出していたが、これに代えて、湿度センサ(露点計)を用いて相対湿度を求めることもできる。このようにすることによって、相対湿度を算出せずに済み、CPU51のしょり負荷を軽減することができる。
C5.変形例5:
上述した各実施例では、燃料電池スタック10は、MEGA200を備える構成であったが、MEGAに代えて、MEA(膜電極接合体)を備える構成とすることもできる。この場合、MEAの外側にアノード側ガス拡散層及びカソード側ガス拡散層を配置し、一対のセパレータで挟持する構成とすることができる。
C6.変形例6:
上述した実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。
本発明の一実施例としての燃料電池システムの概略構成を示す説明図。 図1に示す燃料電池スタック10の詳細構成を示す断面図。 燃料電池システム100において実行される水バランス制御処理の手順を示すフローチャート。 飽和水蒸気圧マップ53aの内容を模式的に示す説明図。 第2の実施例における水バランス制御処理の手順を示すフローチャート。
符号の説明
10…燃料電池スタック、11…水素タンク、12…水素ガス循環用ポンプ、13,22,24…流量計、15,24…圧力計、16…温度センサ、17…レギュレータ、18…背圧弁、19…バイパス流路、21…エアコンプレッサ、25…調圧弁、31…ラジエータ、32…冷却媒体循環用ポンプ、33…温度センサ、42…電流計、43…電圧計、50…制御ユニット、51…CPU、51a…水バランス制御部、53a…飽和水蒸気圧マップ、60…電解質膜、61…カソード側触媒電極層、62…アノード側触媒電極層、63…カソード側ガス拡散層、64…アノード側ガス拡散層、71…カソード側セパレータ、72…アノード側セパレータ、75…酸化剤ガス流路、76…燃料ガス流路、100…燃料電池システム、W1〜W3…生成水、AR1…カソード入口側領域、AR2…カソード出口側領域

Claims (5)

  1. 電解質膜を有する燃料電池の運転状態を制御する燃料電池運転制御方法であって、
    (a)前記燃料電池に対して、アノード側反応ガスとカソード側反応ガスとを前記電解質膜に沿って互いに対向して流れるように供給する工程と、
    (b)前記燃料電池の運転状態がアノード側において水の沸騰が起こり得る運転状態である沸騰運転状態であるか否かを判定する工程と、
    (c)前記判定において前記燃料電池の運転状態が前記沸騰運転状態でないと判定した場合には、前記電解質膜内における水の前記燃料電池のアノード側への排出量を増加させるように、前記燃料電池におけるアノード側反応ガス流量とアノード側反応ガス圧力とカソード側反応ガス流量とカソード側反応ガス圧力とのうち、少なくとも1つを調整し、
    前記判定において前記燃料電池の運転状態が前記沸騰運転状態であると判定した場合には、前記電解質膜内における水の前記燃料電池のアノード側への排出量を増加させないように、前記アノード側反応ガス流量と前記アノード側反応ガス圧力と前記カソード側反応ガス流量と前記カソード側反応ガス圧力とのうち、少なくとも1つを調整する工程と、
    を備える、燃料電池運転制御方法。
  2. 請求項1に記載の燃料電池運転制御方法において、
    前記工程(c)において、前記燃料電池の運転状態が前記沸騰運転状態であると判定した場合には、前記電解質膜内における水の前記燃料電池のアノード側への排出量を減少させるように、前記アノード側反応ガス流量と前記アノード側反応ガス圧力と前記カソード側反応ガス流量と前記カソード側反応ガス圧力とのうち、少なくとも1つを調整する、燃料電池運転制御方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の燃料電池運転制御方法であって、さらに、
    (d)前記燃料電池のアノード側の水蒸気分圧と前記燃料電池の温度とを取得する工程と、
    (e)前記燃料電池の温度における飽和水蒸気圧を求める工程と、
    (f)前記水蒸気分圧と前記飽和水蒸気圧とに基づき、前記燃料電池のアノード側の相対湿度を求める工程と、
    を備え、
    前記工程(b)において、前記相対湿度が所定のしきい値以上の場合に前記沸騰運転状態であると判定し、前記相対湿度が前記所定のしきい値よりも低い場合に前記沸騰運転状態でないと判定する、燃料電池運転制御方法。
  4. 請求項3に記載の燃料電池運転制御方法であって、さらに、
    (g)前記燃料電池のアノード側における全圧と、前記燃料電池からのガス排出量と、前記燃料電池への前記アノード側反応ガスの流入量と、を測定する工程と、
    (h)前記燃料電池における前記アノード側反応ガスの消費量を求める工程と、
    を備え、
    前記工程(d)において、前記アノード側における全圧と、前記ガス排出量と、前記アノード側反応ガスの流入量と、前記アノード側反応ガスの消費量と、に基づき前記水蒸気分圧を取得する、燃料電池運転制御方法。
  5. 燃料電池システムであって、
    電解質膜を有する燃料電池と、
    前記燃料電池に対して、アノード側反応ガスとカソード側反応ガスとを前記電解質膜に沿って互いに対向して流れるように供給する反応ガス供給部と、
    前記アノード側反応ガスの流量を調整するアノード側流量調整部と、
    前記アノード側反応ガスの圧力を調整するアノード側圧力調整部と、
    前記カソード側反応ガスの流量を調整するカソード側流量調整部と、
    前記カソード側反応ガスの圧力を調整するアノード側圧力調整部と、
    前記燃料電池の運転状態がアノード側において水の沸騰が起こり得る運転状態である沸騰運転状態であるか否かを判定する判定部と、
    前記アノード側流量調整部と前記アノード側圧力調整部と前記カソード側流量調整部と前記カソード側圧力調整部とを制御する運転制御部と、
    を備え、
    前記運転制御部は、前記判定において前記燃料電池の運転状態が前記沸騰運転状態でないと判定された場合には、前記電解質膜内における水の前記燃料電池のアノード側への排出量を増加させるように、前記燃料電池におけるアノード側反応ガス流量とアノード側反応ガス圧力とカソード側反応ガス流量とカソード側反応ガス圧力とのうち、少なくとも1つを調整し、前記判定部によって前記燃料電池の運転状態が前記沸騰運転状態であると判定された場合には、前記電解質膜内における水の前記燃料電池のアノード側への排出量を増加させないように、前記アノード側反応ガス流量と前記アノード側反応ガス圧力と前記カソード側反応ガス流量と前記カソード側反応ガス圧力とのうち、少なくとも1つを調整する、燃料電池システム。
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