以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、一つの実施形態に係る試験装置100の構成例を示す図である。試験装置100は、半導体回路等の被試験デバイス300を試験する装置であって、試験ベクタ発生ユニット10、波形成形部50、測定部60、および、判定部70を備える。
試験装置100は、所定の論理パターンを有する試験信号を被試験デバイス300に供給して、被試験デバイス300を試験する。例えば試験装置100は、試験信号を供給した場合の被試験デバイス300の所定の特性を測定することで、被試験デバイス300の良否を判定してよい。試験装置100は、被試験デバイス300に含まれる回路ブロックを動作させる試験信号を生成してよい。
このとき試験装置100は、当該試験信号を被試験デバイス300に供給した後において被試験デバイス300が静止状態になったときの、被試験デバイス300の静止電流IDDQを測定してよい。この場合、被試験デバイス300は、与えられる試験信号に応じて動作する複数のCMOSを含む半導体回路であってよい。
試験装置100は、論理パターンの異なる試験信号を、被試験デバイス300に順次供給することで、被試験デバイス300における回路ブロックの状態毎に静止電流IDDQを測定することができる。試験装置100は、静止電流IDDQが異常値を示したときの試験信号の論理パターンに基づいて、被試験デバイス300における不良箇所を解析してよい。
なお、試験装置100が測定する被試験デバイス300の特性は、静止電流IDDQに限定されない。試験装置100は、被試験デバイス300の特性のうち、試験信号の論理パターンに応じて値が変化する特性を測定してよい。ここで、被試験デバイス300の特性とは、被試験デバイス300に入力される、または、被試験デバイス300から出力される、信号または電力の、電圧値、電流値、電圧波形、電流波形、雑音等であってよい。また、試験装置100は、被試験デバイス300の内部素子の特性を測定してもよい。例えば試験装置100は、被試験デバイス300の内部トランジスタの閾値電圧等の特性を測定してもよい。
試験ベクタ発生ユニット10は、それぞれの試験信号が有するべき論理パターンを示す試験ベクタを順次生成する。例えば試験ベクタ発生ユニット10は、被試験デバイス300の複数の被試験ピンに対応する、複数のビットを有する試験ベクタを生成してよい。
波形成形部50は、試験ベクタ発生ユニット10が順次生成する試験ベクタに応じた試験信号を順次生成する。例えば波形成形部50は、試験ベクタの論理パターンに応じた波形を有する試験信号を生成してよい。また、波形成形部50は、被試験デバイス300のそれぞれの被試験ピンに、試験ベクタの対応するビット値に応じた信号を供給してよい。
測定部60は、試験信号が供給された被試験デバイス300の所定の特性を測定する。例えば測定部60は、上述した被試験デバイス300の静止電流IDDQを、試験信号毎に順次測定してよい。
判定部70は、測定部60が測定した測定値に基づいて、被試験デバイス300の良否を判定する。例えば判定部70は、測定部60が測定した測定値のバラツキに基づいて、被試験デバイス300の良否を判定してよい。
一例として、判定部70は、測定部60が測定した静止電流IDDQの電流値が、所定の選別範囲内か否かを判定してよい。いずれかの静止電流IDDQの電流値が当該所定の選別範囲内とならない場合、判定部70は、当該電流値に対応する試験ベクタに基づいて、被試験デバイス300における不良箇所を解析してよい。
また、判定部70は、異なる試験信号を連続して被試験デバイス300に供給した場合に、測定部60が測定する静止電流IDDQの変動量が、所定の選別範囲内か否かを判定してもよい。判定部70は、当該変動量が所定の選別範囲内とならない場合、静止電流IDDQの変動前後における試験ベクタを比較することで、被試験デバイス300における不良箇所を解析してよい。
このような構成により、被試験デバイス300を試験することができる。なお、測定部60が測定する特性の測定値が、被試験デバイス300の内部回路の良否に関わらず、試験ベクタの論理パターンに依存して変動する場合、測定部60における測定値の変動が、被試験デバイス300の不良によるものか、試験ベクタの論理パターンによるものかを判別できない場合がある。
本例の試験装置100は、それぞれの試験ベクタを故障のない被試験デバイス300に印加した場合の、当該被試験デバイス300の動作をシミュレーションすることにより、試験ベクタ毎に測定されるべき特性値を算出する。これにより、被試験デバイス300の特性値の、試験ベクタに対する依存性を求めることができる。そして、算出したシミュレート値と、実測される測定値とを、試験ベクタ毎に比較することで、測定結果における試験ベクタへの依存性を低減することができる。
図2は、試験ベクタ発生ユニット10の構成例を示す図である。試験ベクタ発生ユニット10は、ベクタ展開部12、ベクタ格納部26、シミュレート部22、および、ベクタ供給部14を有する。
ベクタ展開部12は、論理パターンの異なる試験ベクタを順次生成する。例えばベクタ展開部12は、予め与えられるアルゴリズムに応じて試験ベクタを順次生成してよい。
シミュレート部22は、それぞれの試験ベクタに応じた試験信号を被試験デバイス300に供給したときに、測定されるべき被試験デバイス300の所定の特性値を算出する。シミュレート部22は、それぞれの試験ベクタを被試験デバイス300に供給したときの、被試験デバイス300の動作をシミュレートすることで、当該特性値のシミュレート値を試験ベクタ毎に算出してよい。
シミュレート部22には、被試験デバイス300の回路情報が予め与えられてよい。例えばシミュレート部22には、被試験デバイス300の各回路素子について、例えば図10の(B)に示すような、動作状態と静止電流とを対応付けた回路情報が予め与えられてよい。シミュレート部22は、当該回路情報と、与えられる試験ベクタのパターンに基づいて、被試験デバイス300の動作をシミュレーションして、試験ベクタ毎の静止電流を算出してよい。
ベクタ格納部26は、ベクタ展開部12が生成した試験ベクタを格納する。また、シミュレート部22は、ベクタ展開部12が生成した試験ベクタを識別するベクタ番号、および、各試験ベクタに対して算出したシミュレート値を対応付けて格納してよい。
ベクタ供給部14は、ベクタ格納部26が格納した試験ベクタを順次読み出し、波形成形部50に供給する。ベクタ供給部14は、ベクタ番号順に試験ベクタを読み出して、波形成形部50に供給してよい。
このような動作により、波形成形部50は、それぞれの試験ベクタに応じた試験信号を被試験デバイス300に供給する。そして、測定部60は、それぞれの試験ベクタ毎に、被試験デバイス300の所定の特性値を測定する。以下においては、測定部60が、被試験デバイス300の静止電流IDDQについての測定値を、試験ベクタ毎に取得する例を説明する。
判定部70は、それぞれの試験ベクタについて、シミュレート部22が算出したシミュレート値と、測定部60が測定した測定値との比に基づいて、被試験デバイス300の良否を判定する。このように、それぞれの測定値と、それぞれの試験ベクタのパターンにより求められるシミュレート値とを比較することで、測定結果に対する各試験ベクタのパターンの影響を低減することができる。このため、被試験デバイス300の故障により生じる、静止電流IDDQの異常値を精度よく検出することができる。
図3は、シミュレート部22が算出するシミュレート値、および、測定部60が取得する測定値の一例を示す図である。シミュレート部22は、各試験ベクタに対して、測定されるべき特性値を示すシミュレート値を算出する。シミュレート部22は、理想的な被試験デバイス300の動作をシミュレーションする。このため、試験ベクタ毎のシミュレート値の変動は、被試験デバイス300における故障等の有無に関わらず、試験ベクタのパターンの違いにより生じる変動に相当する。
測定部60は、各試験ベクタを被試験デバイス300に供給したときの、被試験デバイス300の特性値を実測した測定値を取得する。当該測定値の試験ベクタ毎の変動には、被試験デバイス300における故障等の有無に関わらず、試験ベクタのパターンにより生じる成分と、被試験デバイス300における故障等により生じる成分とが含まれる。このため、例えば試験ベクタ1および4のように、比較的に大きい静止電流IDDQが流れた場合であっても、その電流変動が、被試験デバイス300の故障等によるものか、試験ベクタのパターンによるものかを判別することが難しい。
これに対し、本例の判定部70は、それぞれの試験ベクタ毎に、シミュレート値と、測定値との比に基づいて、被試験デバイス300の良否を判定する。例えば、試験ベクタ1を被試験デバイス300に印加した場合、図3の例ではシミュレート値が495μAに対して、測定値は510μAとなる。また、試験ベクタ4を被試験デバイス300に印加した場合、図3の例ではシミュレート値が455μAに対して、測定値が510μAとなり、シミュレート値と測定値との差がより大きくなっている。
このため、試験ベクタ4を被試験デバイス300に印加した場合の測定値が大きな値を示しているのは、被試験デバイス300の故障等によるものと判別することができる。これに対し、試験ベクタ1を被試験デバイス300に印加した場合の測定値が大きな値を示しているのは、試験ベクタ1のパターンに起因するものと判別することができる。このため、試験装置100は、被試験デバイス300を精度よく試験することができる。
また、シミュレート部22は、それぞれのシミュレート値を、基準の試験ベクタに対応するシミュレート値で除算した正規化シミュレート値を算出してよい。例えば図3の例では、シミュレート部22は、試験ベクタ0を基準の試験ベクタとして、それぞれの試験ベクタに対するシミュレート値を、試験ベクタ0のシミュレート値450μAで除算することで、正規化シミュレート値を算出している。
この場合、測定部60も同様に、それぞれの測定値を、基準の試験ベクタに対応する測定値で除算した正規化測定値を算出してよい。シミュレート部22における基準の試験ベクタと、測定部60における基準の試験ベクタとは、同一の試験ベクタであることが好ましい。本例の測定部60は、それぞれの試験ベクタに対する測定値を、試験ベクタ0の測定値465μAで除算することで、正規化測定値を算出する。
判定部70は、それぞれの試験ベクタについての、対応する正規化シミュレート値および正規化測定値の比に基づいて、被試験デバイス300の良否を判定する。このような処理により、所定の試験ベクタに対応する特性値を基準として、各試験ベクタの特性値のバラツキを求めることができる。また、各測定値を、基準の測定値で除算するので、測定系で生じる誤差が各測定値に含まれている場合にも、基準の測定値に含まれる当該誤差の成分で相殺することができる。
判定部70は、それぞれの試験ベクタについての、対応する正規化シミュレート値および正規化測定値の比が、所定の基準値より大きいか否かに基づいて、被試験デバイス300の良否を判定してよい。例えば、基準値を1.05とした場合、試験ベクタ4に対応する正規化シミュレート値および正規化測定値の比が、当該基準値を超えているので、試験ベクタ4を被試験デバイス300に印加したときに、異常な静止電流IDDQが流れたことがわかる。
なお、シミュレート部22および測定部60は、基準の試験ベクタとして、シミュレート値が予め定められた基準値に最も近い試験ベクタを選択してよい。また、シミュレート部22および測定部60は、基準の試験ベクタとして、被試験デバイス300が正常に動作することが予め確認されている試験ベクタを用いてもよい。また、シミュレート部22および測定部60は、シミュレート値が、複数のシミュレート値の平均値に最も近い試験ベクタを、基準の試験ベクタとして選択してもよい。
図4は、図1から図3に関連して説明した試験装置100の動作例を示すフローチャートである。上述したように、試験ベクタ展開部12は、被試験デバイス300に印加すべき試験ベクタを順次生成する(S400)。
また、シミュレート部22は、それぞれの試験ベクタに対してシミュレート値を算出する(S402)。また、波形成形部50は、各試験ベクタに応じた試験信号を被試験デバイス300に順次印加する(S404)。また、測定部60は、それぞれの試験信号に対して測定値を取得する(S406)。なお、S402の処理は、S404およびS406の少なくとも一方の処理と並行して行ってよく、S404の処理の前に予め行ってもよい。
判定部70は、正規化シミュレート値および正規化測定値を、試験ベクタ毎に比較することで、被試験デバイス300の良否を判定する(S408)。このような処理により、試験ベクタのパターンに依存する測定値のバラツキの影響を低減して、被試験デバイス300の良否を精度よく判定することができる。
図5は、試験装置100の他の動作例を説明する図である。本例において、基準の試験ベクタは試験ベクタ0であり、被試験デバイス300には、試験ベクタ0、1、2、・・・、i−1、i、i+1、・・・が順に印加される。
シミュレート部22は、それぞれの試験ベクタ(k)に対応する正規化シミュレート値A(k)と、当該試験ベクタ(k)の直前に被試験デバイス300に供給される試験ベクタ(k−1)に対応する正規化シミュレート値A(k−1)との間の変動量を示すシミュレート変動値α(k)を算出する。本例のシミュレート部22は、それぞれの正規化シミュレート値A(k)と、正規化シミュレート値A(k−1)との比を、シミュレート変動値α(k)として算出する。
また、測定部60は、それぞれの試験ベクタ(k)に対応する正規化測定値B(k)と、当該試験ベクタB(k)の直前に被試験デバイス300に供給された試験ベクタ(k−1)に対応する正規化測定値B(k−1)との間の変動量を示す測定変動値β(k)を算出する。本例の測定部60は、それぞれの正規化測定値B(k)と、正規化測定値B(k−1)との比を、測定変動値β(k)として算出する。
判定部70は、それぞれの試験ベクタ(k)に対応する、シミュレート変動値α(k)および測定変動値β(k)の比に基づいて、被試験デバイス300の良否を判定する。判定部70は、シミュレート変動値α(k)および測定変動値β(k)の比が所定の値より大きいか否かにより、被試験デバイス300の良否を判定してよい。
このような処理により、試験中に被試験デバイス300の温度が変動したことにより、静止電流IDDQ等が変動した場合であっても、測定結果に対する当該変動の影響を低減することができる。例えば、試験中の回路動作により被試験デバイス300の温度が上昇した場合、被試験デバイス300に故障等がなくとも、静止電流IDDQの測定値が大きくなる場合が考えられる(例えば、図5における試験ベクタ(i−1)、i、(i+1))。このような場合に、試験ベクタ毎にシミュレーション値および測定値を比較すると、試験ベクタ(i−1)、i、(i+1)等において、被試験デバイス300が実際には正常に動作していても、被試験デバイス300の動作が正常でないと判定されてしまう。
これに対し、本例の判定部70は、シミュレート変動値α(k)および測定変動値β(k)により、各試験ベクタ(k)における被試験デバイス300の動作の良否を判定する。一般に、試験ベクタが印加される時間間隔は短いので、連続して印加される各試験ベクタ間における被試験デバイス300の温度の変動は小さい。このため、連続する試験ベクタ間におけるシミュレート値の変動量と、測定値の変動量とを比較することで、測定結果に対する温度変動の影響を低減することができる。
例えば、試験ベクタ(i+1)に対して測定される静止電流IDDQは520μAであり、シミュレート値の470μAより10%程度大きくなっている。このため、測定値およびシミュレート値を単純に比較した場合、当該試験ベクタ(i+1)における被試験デバイス300の動作が正常でないと判定されてしまう。しかし、本例の判定部70は、直前の試験ベクタ(i)におけるシミュレート値および測定値からの変動量α(i+1)およびβ(i+1)を比較するので、温度変動により静止電流IDDQが定常的に増加している場合でも、当該温度変動の影響を低減して、被試験デバイス300の動作の良否を判定することができる。
また、被試験デバイス300の故障等により、静止電流IDDQの測定値が大きくなった試験ベクタ(k)の、直後の試験ベクタ(k+1)に対しては、測定変動値β(k+1)が小さくなってしまう。このような場合、判定部70は、当該試験ベクタ(k+1)については、被試験デバイス300の動作が正常であると判定してよい。
また、判定部70は、当該試験ベクタ(k+1)と、2つ前の試験ベクタ(k−1)との間で、シミュレート変動値および測定変動値を算出してよい。判定部70は、直前の試験ベクタに対するシミュレート変動値および測定変動値の比と、2つ前の試験ベクタに対するシミュレート変動値および測定変動値の比の双方が、所定の範囲内でない場合に、当該試験ベクタにおける被試験デバイス300の動作が正常でないと判定してよい。
図6は、図5に関連して説明した試験装置100の動作例を示すフローチャートである。本例において、S400からS406の処理は、図4に関連して説明したS400からS406の処理と同一であってよい。本例の試験装置100は、図4に関連して説明したS408の処理に代えて、シミュレート変動値および測定変動値を比較する(S410)。このような処理により、温度変動等による被試験デバイス300の特性変動の影響を低減することができる。
図7は、試験ベクタ発生ユニット10の他の構成例を示す図である。本例における試験ベクタ発生ユニット10は、図2に関連して説明した試験ベクタ発生ユニット10の構成に加え、区分生成部13を更に備える。区分生成部13以外の構成要素は、図2から図6において説明した構成要素と同一の機能および構成を有してよい。本例における試験ベクタ発生ユニット10は、被試験デバイス300を複数の回路ブロックに区分して、それぞれの回路ブロック毎に、図2から図6に関連して説明した処理を行い、それぞれの回路ブロック毎に良否を判定する。
一般に、被試験デバイス300の内部においても、プロセスバラツキ等により、回路素子の特性にバラツキが生じてしまう場合がある。例えば、被試験デバイス300の基板における不純物濃度等にバラツキが生じると、形成されるトランジスタの特性にバラツキが生じてしまう。
このため、図1から図6に関連して説明したように、試験ベクタに起因する特性のバラツキを抑制しても、被試験デバイス300の内部における素子特性のバラツキにより、被試験デバイス300を精度よく試験できない場合も考えられる。本例における試験ベクタ発生ユニット10は、被試験デバイス300を複数の回路ブロックに区分して、それぞれの回路ブロック毎に、図2から図6に関連して説明した処理を行う。
測定対象における回路素子の特性バラツキの大きさは、測定対象に含まれる回路素子の数、回路素子間の距離等に応じて大きくなる。これに対し、本例における試験ベクタ発生ユニット10は、被試験デバイス300を区分したそれぞれの回路ブロック毎に試験を行うので、回路素子の特性バラツキの影響を低減して、精度よく回路ブロックの良否を判定することができる。
区分生成部13は、被試験デバイス300を複数の回路ブロックに区分する。例えば区分生成部13は、被試験デバイス300の試験時において、他の領域とは独立して動作可能な領域を回路ブロックとして抽出してよい。ここで、他の領域と独立して動作可能な領域とは、他の領域における回路の論理状態が固定されても、当該領域の回路の論理状態を任意の状態に変更できる領域であってよい。
区分生成部13は、被試験デバイス300の回路素子間の接続情報が予め与えられてよい。区分生成部13は、独立に動作する領域を当該接続情報に基づいて抽出して、被試験デバイス300を複数の回路ブロックに区分してよい。
また、区分生成部13は、被試験デバイス300のそれぞれの回路素子の位置情報が与えられてよい。区分生成部13は、当該位置情報に基づいて、被試験デバイス300を複数の回路ブロックに区分してよい。例えば区分生成部13は、被試験デバイス300を等面積の複数の領域に区分して、それぞれの領域に含まれる回路群をそれぞれの回路ブロックとしてもよい。
ベクタ展開部12は、それぞれの回路ブロックに対する試験ベクタとして、他の回路ブロックに対応するビットの論理パターンを固定した試験ベクタを生成する。つまりベクタ展開部12は、他の回路ブロックの論理状態を固定しつつ、試験対象の回路ブロックの論理状態を順次変化させる複数の試験ベクタを生成する。本例のベクタ展開部12は、試験ベクタにおいて、試験対象の回路ブロックに対応するビット以外のビットを、予め定められた論理値に固定してよい。
ベクタ格納部26およびシミュレート部22は、図2から図6に関連して説明したベクタ格納部26およびシミュレート部22と同一であってよい。つまり、ベクタ格納部26は、それぞれの試験ベクタのパターンを格納してよい。シミュレート部22は、それぞれの試験ベクタに対するシミュレート値等を算出してよい。また、シミュレート部22は、試験ベクタの番号、対応する回路ブロック、シミュレート値、正規化シミュレート値、シミュレート変動値等を対応付けて格納してよい。ベクタ供給部14は、試験対象の回路ブロックに対応する試験ベクタをベクタ格納部26から読み出して、波形成形部50に供給する。
また、判定部70は、測定部60が回路ブロック毎に取得したそれぞれの測定値等に基づいて、それぞれの回路ブロックの良否を判定する。なお、シミュレート部22および測定部60は、それぞれの回路ブロック毎に、基準の試験ベクタを選択してよい。例えばシミュレート部22および測定部60は、試験対象の回路ブロックの動作が正常であることが予め確認された試験ベクタを、当該回路ブロックの基準の試験ベクタとしてよい。このような構成により、回路素子の特性バラツキの影響を低減して、精度よく回路ブロックの良否を判定することができる。
なお、IDDQ測定を行う場合、ベクタ展開部12は、それぞれの回路ブロックに対する試験ベクタにおいて、他の回路ブロックに対応するビットを、当該他の回路ブロックにおける消費電流が最も小さくなる論理パターンに固定してよい。これにより、他の回路ブロックからの影響をより低減して、それぞれの回路ブロックの静止電流を精度よく測定することができる。ベクタ展開部12は、各試験ベクタを用いて他の回路ブロックを動作させたときの、当該他の回路ブロックの消費電流を、シミュレーションにより予め求めてよい。
図8は、複数の回路ブロック310の例を示す図である。本例における区分生成部13は、被試験デバイス300を、回路ブロック310Aから310Fに分割する。また、ベクタ展開部12は、Nビットの試験ベクタを生成する。
例えば、試験ベクタのビットB1からビットB3までが、回路ブロック310Aに対応する場合、ベクタ展開部12は、ビットB4からビットBNまでの論理値を固定して、ビットB1からビットB3までの論理値を順次変化させることにより、回路ブロック310Aに対する試験ベクタを生成してよい。回路ブロック310に対応するビットとは、当該ビットを変更したときに、当該回路ブロック310の論理状態が遷移するビットを指してよい。
同様に、ベクタ展開部12は、回路ブロック310Bに対応するビットB4からビットBk以外のビットの論理値を固定して、回路ブロック310Bに対する試験ベクタを順次生成してよい。このような処理を、それぞれの回路ブロック310に対して行うことで、試験ベクタ群を回路ブロック毎に生成する。上述した試験を回路ブロック毎に行うことで、測定結果において、試験ベクタのパターンに依存する成分、および、回路特性のバラツキに依存する成分を低減することができる。
図9は、コンピュータ1900の構成例を示す図である。コンピュータ1900は、与えられるプログラムに基づいて、図1から図8において説明した試験ベクタ発生ユニット10として機能してよい。例えばコンピュータ1900は、区分生成部13、ベクタ展開部12、ベクタ格納部26、シミュレート部22、および、ベクタ供給部14の少なくとも一部として機能してよい。
本実施形態に係るコンピュータ1900は、CPU周辺部、入出力部、及びレガシー入出力部を備える。CPU周辺部は、ホスト・コントローラ2082により相互に接続されるCPU2000、RAM2020、グラフィック・コントローラ2075、及び表示装置2080を有する。入出力部は、入出力コントローラ2084によりホスト・コントローラ2082に接続される通信インターフェース2030、ハードディスクドライブ2040、及びCD−ROMドライブ2060を有する。レガシー入出力部は、入出力コントローラ2084に接続されるROM2010、フレキシブルディスク・ドライブ2050、及び入出力チップ2070を有する。
ホスト・コントローラ2082は、RAM2020と、高い転送レートでRAM2020をアクセスするCPU2000及びグラフィック・コントローラ2075とを接続する。CPU2000は、ROM2010及びRAM2020に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。グラフィック・コントローラ2075は、CPU2000等がRAM2020内に設けたフレーム・バッファ上に生成する画像データを取得し、表示装置2080上に表示させる。これに代えて、グラフィック・コントローラ2075は、CPU2000等が生成する画像データを格納するフレーム・バッファを、内部に含んでもよい。
入出力コントローラ2084は、ホスト・コントローラ2082と、比較的高速な入出力装置である通信インターフェース2030、ハードディスクドライブ2040、CD−ROMドライブ2060を接続する。通信インターフェース2030は、ネットワークを介して他の装置と通信する。ハードディスクドライブ2040は、コンピュータ1900内のCPU2000が使用するプログラム及びデータを格納する。CD−ROMドライブ2060は、CD−ROM2095からプログラム又はデータを読み取り、RAM2020を介してハードディスクドライブ2040に提供する。
また、入出力コントローラ2084には、ROM2010と、フレキシブルディスク・ドライブ2050、及び入出力チップ2070の比較的低速な入出力装置とが接続される。ROM2010は、コンピュータ1900が起動時に実行するブート・プログラム、あるいは、コンピュータ1900のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。フレキシブルディスク・ドライブ2050は、フレキシブルディスク2090からプログラム又はデータを読み取り、RAM2020を介してハードディスクドライブ2040に提供する。入出力チップ2070は、フレキシブルディスク・ドライブ2050、あるいは、例えばパラレル・ポート、シリアル・ポート、キーボード・ポート、マウス・ポート等を介して各種の入出力装置を接続する。
RAM2020を介してハードディスクドライブ2040に提供されるプログラムは、フレキシブルディスク2090、CD−ROM2095、又はICカード等の記録媒体に格納されて利用者によって提供される。プログラムは、記録媒体から読み出され、RAM2020を介してコンピュータ1900内のハードディスクドライブ2040にインストールされ、CPU2000において実行される。
当該プログラムは、コンピュータ1900にインストールされる。当該プログラムは、CPU2000等に働きかけて、コンピュータ1900を、試験ベクタ発生ユニット10として機能させてよい。例えば、当該プログラムは、CPU2000を、区分生成部13、ベクタ展開部12、シミュレート部22、および、ベクタ供給部14として機能させてよい。また、当該プログラムは、RAM2020を、ベクタ格納部26として機能させてよい。
以上に示したプログラムは、外部の記録媒体に格納されてもよい。記録媒体としては、フレキシブルディスク2090、CD−ROM2095の他に、DVDあるいはCD等の光学記録媒体、MO等の光磁気記録媒体、テープ媒体、ICカード等の半導体メモリ等を用いることができる。また、専用通信ネットワークあるいはインターネットに接続されたサーバシステムに設けたハードディスク又はRAM等の記憶装置を記録媒体として使用し、ネットワークを介してプログラムをコンピュータ1900に提供してもよい。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
上記説明から明らかなように、本発明の(一)実施形態によれば、被試験デバイスの試験において、試験ベクタの論理パターンに対する、リーク電流等の測定値の依存性を低減することができる。このため、被試験デバイスを精度よく試験することができる。