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JP2010105242A - 成形同時加飾品の製造方法 - Google Patents

成形同時加飾品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】表面にナノ構造の凹凸形状を形成した成形金型を用いて表面にナノ構造の凹凸形状を形成する成形同時加飾品の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の表面に微小凹凸が形成された成形同時加飾品20の製造方法は、表面にナノ構造の凹凸形状を形成した入子の部分9を有する成形金型3を用い、その成形金型3にインサートシート1をセットして(図1の(1)参照)、圧空装置10によりインサートシート1に高圧の空気を加え、インサートシート1を成形金型3の微小凹凸形状4に沿わせた後(図1の(2)参照)、成形金型3を移動させて成形金型5と合わさることで形成されたキャビティ6に成形樹脂2を射出充填して(図1の(3)参照)、冷却後、成形金型3を型開きして、成形同時加飾品20表面に微小凹凸8を形成するものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、表面にナノ構造の凹凸形状を形成した成形金型を用いて樹脂成形品表面に微小凹凸が形成された成形同時加飾品の製造方法に関するものである。
最近、表面にナノ構造の凹凸形状を形成する方法として、例えば特許文献1のような熱ナノインプリント法が注目されている。
熱ナノインプリント法は、電子線などで描いた母型の金型からニッケル電鋳からなるスタンパーを作製し、それを基体シート等の上に載置し、高温高圧下で押し付け、冷却後、スタンパーを基体シート1等から外して基体シート等上に微小な凹部を形成する方法である。押し付ける際の温度は基体シート等の軟化点以上でかつ熱分解温度未満に設定し、圧力は一般的に数MPa〜数十MPaに設定する。数秒から数分間押圧した後、急速冷却または自然冷却して基体シート等の表面が軟化点以下になるまで放置する。
特開2008−49544
しかし、熱ナノインプリントは、表面にナノ構造の凹凸形状を形成した非常に高精度の金型を用いて高い精度で均一かつ適度な熱および圧力を加える必要がある。したがって、小さいサイズの平滑な樹脂シートに対してしか適用できず、立体形状の射出成形品などのように圧力や熱を均一に加えるのが困難なものに対しては適用できない。また、熱ナノインプリントに使用するような表面にナノ構造の凹凸形状を形成した射出成形金型を用いて、通常のインサート成形加飾法により立体形状の射出成形品を得ようとしてもインサートシートが追随せず、熱ナノインプリントのような所望のナノ構造表面を得ることができない問題があった。
したがって、本発明は、上記のような問題点を解消し、表面にナノ構造の凹凸形状を形成した成形金型を用いて表面にナノ構造の凹凸形状を形成する成形同時加飾品の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の成形同時加飾品の製造方法は上記の目的を達成するために、次のように構成した。
すなわち、本発明の成形同時加飾品の製造方法は、表面にナノ構造の凹凸形状を形成した成形金型を用い、成形金型内にインサートシートをセットして、両金型を型締め後、キャビティに成形樹脂を充填し、型開きして、樹脂成形品表面に微小凹凸を形成する成形同時加飾品の製造方法であって、インサートシートを前記ナノ構造の凹凸形状を有する成形金型側にセットして、圧空成形によりインサートシートを成形金型のナノ構造の凹凸形状に沿わした後、成形樹脂を充填するように構成した。
また本発明の第2態様の成形同時加飾品の製造方法は、前記成形樹脂を射出圧縮成形により充填するように構成した。
また本発明の第3態様の成形同時加飾品の製造方法は、前記ナノ構造の凹凸形状を形成した成形金型のうち、ナノ構造の凹凸形状部分が入子になっており、その入子に圧縮機構が付与され、成形樹脂を充填後、入子部分が圧縮されるように構成することもできる。
また本発明の第4態様の成形同時加飾品の製造方法は、前記ナノ構造の凹凸形状を形成した成形金型のうち、ナノ構造の凹凸形状部分が入子になっており、その入子の部分の金型温度が周囲の部分の金型温度に比べて高く設定されているように構成した。
また本発明の第5態様の成形同時加飾品は、前記塗装膜表面に形成されるナノ構造の微小凹凸が、モスアイ形状であるように構成した。
また本発明の第6態様の成形同時加飾品は、前記塗装膜表面に形成されるナノ構造の微小凹凸が、マイクロレンズアレイ形状であるように構成した。
本発明の成形同時加飾品の製造方法は、表面にナノ構造の凹凸形状を形成した成形金型を用い、成形金型内にインサートシートをセットして、両金型を型締め後、キャビティに成形樹脂を充填し、型開きして、樹脂成形品表面に微小凹凸を形成する成形同時加飾品の製造方法であって、インサートシートを前記ナノ構造の凹凸形状を有する成形金型側にセットして、圧空成形によりインサートシートを成形金型のナノ構造の凹凸形状に沿わした後、成形樹脂を充填することを特徴とするので、インサートシート表面にナノ構造の凹凸形状に容易に形成できる。
したがって、成形品表面に熱ナノインプリントのような所望のナノ構造表面を得ることができ、例えば反射防止、レンズ効果、触感、超撥水性、セキュリティホログラムなどの従来にない優れた性能の表面特性を有する成形品を得ることができる効果がある。
図面を参照しながら本発明の実施の形態について詳しく説明する。図1は、本発明の表面にナノ構造の微小凹凸が形成される成形同時加飾品の製造方法の一例を示す断面図である。
本発明の表面に微小凹凸が形成された成形同時加飾品20の製造方法は、表面にナノ構造の凹凸形状を形成した入子の部分9を有する成形金型3を用い、その成形金型3にインサートシート1をセットして(図1の(1)参照)、圧空装置10によりインサートシート1に高圧の空気を加え、インサートシート1を成形金型3の微小凹凸形状4に沿わせた後(図1の(2)参照)、成形金型3を移動させて成形金型5と合わさることで形成されたキャビティ6に成形樹脂2を射出充填して(図1の(3)参照)、冷却後、成形金型3を型開きして、成形同時加飾品20表面に微小凹凸8を形成する(図2の(1)参照)ものである。
まず、表面にナノ構造の凹凸形状を形成した成形金型3について説明する。原則的にインサートシート1がセットされた成形金型3は、成形金型5と合わさることによりキャビティ6を形成する。成形金型3の材質は、通常の射出成形金型に使用される銅合金、アルミ合金などの鋼材を使用する。成形金型は湯の加圧力で変形しない程度の剛性が必要である。なお、成形金型3と成形金型5の金型の材質は同じであってもよいし、異なっていてもよい。成形金型3にナノ構造の凹凸形状を形成する方法としては、電子線描画・機械加工などがある。
なお、成形金型3におけるナノ構造の微小凹凸形状部位4は入子の部分9とし、周囲の部分の金型温度調節機構とは別の金型温度調節機構に接続して、入子の部分9の金型温度が周囲の部分の金型温度に比べて高くなるよう設定するのが好ましい。微小凹凸の形状によっては、高圧の空気を加えてもインサートシート1が成形金型3の微小凹凸形状4に沿いにくい場合があり、入子の部分9だけ局所的に金型温度を高くすることで、より正確にインサートシート1表面にナノ構造の微小凹凸8が形成されるからである。
成形金型3の表面に形成されるナノ構造の凹凸形状の例としては、(1)抜き勾配θが20度〜50度の角錐または円錐状のピラミッド状のピラーが100〜500nmのピッチLで整然と配列した構造(以下、モスアイ構造という。)で反射防止効果を呈する形状(図2の(2)参照)やその反転パターン、(2)曲率半径10μm〜5000μmの半球状の凸部が0.5μm〜100μmのピッチLで整然と配列した構造(以下、マイクロレンズアレイ構造という。)でレンズ効果を呈する形状(図2の(3)参照)やその反転パターンがあげられる。なお、これ以外に虹色のホログラム意匠を呈する形状や、艶消し効果を呈するマット形状などであってもよい。またこれらは、部分的に形成してもよいし、全体に形成してもよい。また、これらの形状の一つのみを形成してもよいし、複数の形状の組み合わせであってもよい。
なお、これらのナノ構造の凹凸形状の形成位置は、樹脂成形品の意匠パターンと同調できる位置に設けるのが好ましい。例えば、無色透明のディスプレイ窓部にはモスアイ構造の凹凸形状が形成され、着色意匠部分にはマイクロレンズアレイ構造の凹凸形状を設けることにより、ディスプレイ画面が反射防止効果により鮮明になり、かつ着色意匠部分はレンズ効果により深みのある意匠が形成される。
つぎに、インサートシート1について説明する。本発明のインサートシート1は、基体シート上に少なくとも図柄層が形成されたものであり、成形樹脂の射出成形時の熱圧によって成形樹脂に貼付する機能をもつインサートシートである。インサートシート1は、必要に応じて成形樹脂への貼付を向上させるための接着層や、これらの層どうしの密着を向上させるためのアンカー層などが設置される。図柄層は所望のパターンで所望の着色インキを単層または複数層形成する場合のほか、金属蒸着層等を形成して金属光沢のある意匠表現をする場合もある。基体シートの材質は高圧の空気により変形するようなものであれば特に限定されないが、入子の部分9だけ局所的に金型温度を高くするような場合には、熱により変形しやすい熱可塑性樹脂、たとえばアクリル、ウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネートなどが好ましい。
つぎに、本発明の成形同時加飾品20の射出成形方法について説明する。射出成形方法は、前述したように成形金型3を移動させて成形金型5と合わさることで形成されたキャビティ6に成形樹脂2を射出充填して(図1の(3)参照)、冷却後、成形金型3を型開きする方法のほか、成形樹脂2を射出圧縮成形により充填する方法がある。射出圧縮成形の方法としては、成形金型3と成形金型5とを若干開いた状態で保持しておき、成形樹脂2を射出後、成形樹脂2が冷え固まる前に、成形金型3と成形金型5とを閉じて成形樹脂2を圧縮する方法のほか、成形金型5の一部を入子にしておき、成形金型3と成形金型5とを閉じて成形樹脂2を射出後、成形樹脂2が冷え固まる前に、油圧などにより入子が前進して成形樹脂2を圧縮する方法が挙げられる。
とくに、前記ナノ構造の凹凸形状を形成した成形金型のうち、ナノ構造の凹凸形状部分を入子にし、入子部分が圧縮されるように構成すると、ナノ構造の凹凸形状部分の界面に集中的に圧力がかかり、より正確にインサートシート1表面にナノ構造の微小凹凸8が形成されるため好ましい。
なお、成形金型3には、インサートシート1をより微小凹凸形状4に沿いやすくするため、真空吸引口を設けてそこからインサートシート1を圧空すると同時に真空で吸引する、いわゆる真空圧空成形としてもよい。
成形樹脂は、通常の熱可塑性の射出成形樹脂やエンジニアリングプラスチックのほか、熱硬化性の成形樹脂材料など特に限定はされないが、成形しやすく熱硬化性塗料8との密着が良いものが好ましい。具体的には、アクリロニトリルブタジエンスチレン系樹脂(ABS系樹脂)、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂などがあげられる。
金型温度を70℃に設定した微小凹凸形状(勾配30度の四角錐のピラミッド状のピラーが300nmのピッチで整然と配列したモスアイ構造)を有する入子型Cが、金型温度が50℃に設定された成形金型Aの中に嵌め込まれ、成形金型Aと同じく金型温度が50℃に設定された成形金型Bとの間に、基体シートが200μmの厚みで無色透明のアクリルフィルムからなるインサートシートをセットし、型締めし、成形金型B側から圧力10気圧、温度80℃の加熱圧縮空気を吹き付けて、入子型Cを含む成形金型Aの表面にインサートシートを沿わせた。その後、成形金型Aと成形金型Bとを型締めし、形成されたキャビティ内に溶融した無色透明のABS樹脂を射出して、その0.3秒後に油圧機構によって入子型Cを溶融したABS樹脂に対して10気圧の圧力を加えた後、その状態で40秒間保持したまま冷却して成形金型Bを開くことにより、表面に微小凹凸形状が形成された無色透明の成形同時加飾品が得られた。得られた成形同時加飾品の表面を電子顕微鏡で観察すると、成形金型Cの表面に形成されていたモスアイ構造の反転されたパターンとほぼ同様のパターンが成形同時加飾品の基体シート表面の一部に形成されていた。そして、このパターンが形成された表面の反射率を測定すると反射率が0.83%で、パターンが形成されていない部分の反射率4%に比べて格段の反射防止効果を有していた。
金型温度を60℃に設定した微小凹凸形状(曲率半径150μmの半球状の凸部が50μmのピッチで整然と配列したマイクロレンズアレイ構造)を有する入子型Cが、金型温度が40℃に設定された成形金型Aの中に嵌め込まれ、成形金型Aと同じく金型温度が40℃に設定された成形金型Bとの間に、基体シートが100μmの厚みで無色透明の塩化ビニルフィルムからなる木目模様インサートシートをセットし、型締めし、成形金型B側から圧力10気圧、温度80℃の加熱圧縮空気を吹き付けて、入子型Cを含む成形金型Aの表面にインサートシートを沿わせた。その後、成形金型Aと成形金型Bとを型締めし、形成されたキャビティ内に溶融した茶色耐熱性ABS樹脂を射出して、その状態で40秒間保持したまま冷却して成形金型Bを開くことにより、表面に微小凹凸形状が形成された成形同時加飾品が得られた。得られた成形同時加飾品は、表面を電子顕微鏡で観察すると、成形金型Cの表面に形成されていたマイクロレンズアレイ構造の反転されたパターンとほぼ同様のパターンが成形同時加飾品の基体シート表面の一部に形成されていた。そして、このパターンが形成された表面は上記レンズ効果を呈する基体シート表面のナノ構造により、木目模様が立体的に見える優れた意匠を呈する木目調成形品であった。
入子型Cの微小凹凸形状を勾配45度で2μmのピッチで整然と配列した連続直線V字溝にし、インサートシートをシルバーメタリック模様にし、成形樹脂を黒色のABS樹脂にした以外は、実施例2と同様にして成形同時加飾品が得られた。得られた成形同時加飾品は、表面を電子顕微鏡で観察すると、成形金型Cの表面に形成されていた連続直線V字溝構造の反転されたパターンとほぼ同様のパターンが成形同時加飾品の基体シート表面の一部に形成されていた。そして、このパターンが形成された表面は上記光干渉効果を呈する基体シート表面のナノ構造により、虹色に輝いて見える優れた意匠を呈する光輝性の成形品であった。
入子型Cを使わず、成形金型Aと成形金型Bとを若干開いた状態で、黒色のABS樹脂を射出して、その0.1秒後に220トンの型締め圧でもって溶融したABS樹脂に対して圧力を加えた後、その状態で40秒間保持したまま冷却して成形金型Bを開いた以外は、実施例3と同様にして成形同時加飾品が得られた。得られた成形同時加飾品は、表面を電子顕微鏡で観察すると、成形金型Cの表面に形成されていた連続直線V字溝構造の反転されたパターンとほぼ同様のパターンが成形同時加飾品の基体シート表面の一部に形成されていた。そして、このパターンが形成された表面は上記光干渉効果を呈する基体シート表面のナノ構造により、虹色に輝いて見える優れた意匠を呈する光輝性の成形品であった。
本発明は、携帯電話などの通信機器、電子情報機器、液晶ディスプレイ、自動車内外装部品など各種成形品において好適に用いることができ、産業上有用なものである。
本発明の表面にナノ構造の微小凹凸が形成される成形同時加飾品の製造方法の一例を示す断面図である。 その(1)が図1で示した製造方法により製造された成形同時加飾品の概略断面図であり、その(2)がその(1)で示した微小凹凸の拡大模式図であり、その(3)がその(1)で示した微小凹凸の変形例を示した拡大模式図である。
符号の説明
1 インサートシート
2 成形樹脂
3 表面にナノ構造の微小凹凸形状を形成した成形金型
4 成形金型3におけるナノ構造の微小凹凸形状部位
5 成形金型3に対向する成形金型
6 成形金型3と成形金型5とで形成されるキャビティ
7 インサートシート
8 インサートシート表面のナノ構造の微小凹凸
9 成形金型3の入子の部分
10 圧空装置
20 ナノ構造の微小凹凸が形成された成形同時加飾品

Claims (6)

  1. 表面にナノ構造の凹凸形状を形成した成形金型を用い、成形金型内にインサートシートをセットして、両金型を型締め後、キャビティに成形樹脂を充填し、型開きして、樹脂成形品表面に微小凹凸を形成する成形同時加飾品の製造方法であって、インサートシートを前記ナノ構造の凹凸形状を有する成形金型側にセットして、圧空成形によりインサートシートを成形金型のナノ構造の凹凸形状に沿わした後、成形樹脂を充填する、成形同時加飾品の製造方法。
  2. 成形樹脂を射出圧縮成形により充填する、請求項1記載の成形同時加飾品の製造方法。
  3. 前記ナノ構造の凹凸形状を形成した成形金型のうち、ナノ構造の凹凸形状部分が入子になっており、その入子に圧縮機構が付与され、成形樹脂を充填後、入子部分が圧縮される、請求項2記載の成形同時加飾品の製造方法。
  4. 前記ナノ構造の凹凸形状を形成した成形金型のうち、ナノ構造の凹凸形状部分が入子になっており、その入子の部分の金型温度が周囲の部分の金型温度に比べて高く設定されている、請求項1から請求項3のいずれかに記載の成形同時加飾品の製造方法。
  5. 表面に微小凹凸が形成された成形同時加飾品であって、前記微小凹凸がモスアイ形状である成形同時加飾品。
  6. 表面に微小凹凸が形成された成形同時加飾品であって、前記微小凹凸がマイクロレンズアレイ形状である成形同時加飾品。
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