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JP2010198974A - 有機el発光素子 - Google Patents

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JP2010198974A JP2009044232A JP2009044232A JP2010198974A JP 2010198974 A JP2010198974 A JP 2010198974A JP 2009044232 A JP2009044232 A JP 2009044232A JP 2009044232 A JP2009044232 A JP 2009044232A JP 2010198974 A JP2010198974 A JP 2010198974A
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translucent electrode
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Masahiro Nakamura
将啓 中村
Masato Yamana
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Panasonic Electric Works Co Ltd
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Panasonic Electric Works Co Ltd
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Abstract

【課題】有機EL発光素子において、光取り出し効率の向上と電気的特性の安定化を両立させる。
【解決手段】有機EL発光素子1は、透光性の基板2と、有機発光層4と、基板2と有機発光層4との間の透光性電極3と、有機発光層4の透光性電極3と反対側に位置する対向電極5とを備える。基板2と透光性電極3との間に、透光性電極3よりも屈折率の低いグリッド6が設けられる。これにより、素子内を層方向に伝播する横伝搬光が、グリッド6に取り込まれて外部に取り出されるので、光取り出し効率が向上し、グリッド6による凹凸が透光性電極3によって緩和されて有機発光層4及び対向電極5の膜厚の均一性が向上するので、電気的特性が安定化される。
【選択図】図1

Description

本発明は、液晶バックライト、照明器具、各種ディスプレイ、表示装置などに用いられる有機EL発光素子に関する。
従来から、面発光体の代表的なものとして、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL発光素子という)が知られている。図7に示されるように、有機EL発光素子100は、透光性の基板102上に、透光性電極103と、有機EL材料から成る有機発光層104と、光反射性の対向電極105を、この順に積層することによって形成される。この有機EL発光素子100は、透光性電極103と対向電極105との間に電圧が印加されることによって有機発光層104で発光が生じる。有機発光層104で発光した光は、透光性電極103と透光性の基板102を透過して外部に取り出される。
ところが、有機発光層104で発光した光のうち、透光性電極103と基板102との界面に臨界角以上の入射角で入射する光は、その界面で全反射され、層方向に伝搬する横伝搬光となって外部に取り出すことができないので、光取り出し効率が低下する。
そこで、図8及び図9に示されるように、透光性電極103と有機発光層104との間に、有機発光層104よりも屈折率の低いグリッド106を形成して、光取り出し効率の向上を図った有機EL発光素子101が知られている(例えば、特許文献1参照)。この有機EL発光素子101は、矢印L101で示すように、透光性電極103と基板102との界面で全反射して層方向に伝搬する横伝搬光を、グリッド106で屈折させ、有機発光層104を介して対向電極105で反射させることにより、透光性電極103と基板102との界面における全反射を低減するものである。
しかしながら、上述したような構成においては、グリッド106上の有機発光層104は、透光性電極103との電気的接触がないために十分な発光が得られない。また、有機発光層104及び対向電極105は、グリッド106による凹凸のために膜厚の均一形成が難しく、膜厚の不均一による電流分布の不均一のために電気的特性が安定せず、膜厚が薄い部分に短絡が発生し易い。このため、グリッド106による光取り出し効率の向上と、膜厚の均一形成による電気的特性の安定化を両立させることは難しい。
特開2003−257620号公報
本発明は、上記問題を解決するものであり、有機EL発光素子において、光取り出し効率の向上と電気的特性の安定化を両立させることを目的とする。
上記目的を達成するために請求項1の発明は、基板と、有機発光層と、前記基板と有機発光層との間の透光性電極と、前記有機発光層の透光性電極と反対側に位置する対向電極と、を備えた有機EL発光素子であって、前記基板と前記透光性電極との間に、該透光性電極よりも屈折率の低いグリッドが設けられているものである。
請求項2の発明は、請求項1に記載の有機EL発光素子において、前記グリッド上に、該グリッドよりも屈折率が高く、前記透光性電極側の面が平坦化された平坦化層が設けられているものである。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の有機EL発光素子において、前記グリッドは、その断面形状が前記基板と接する面より、その面と対向する面に向けて漸次拡大しているものである。
請求項4の発明は、請求項1又は請求項2に記載の有機EL発光素子において、前記グリッドは、前記基板と平行な面における配列がハニカム構造を成すものである。
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の有機EL発光素子において、前記基板の透光性電極とは反対側の面に、略半球状のレンズが面状に配置された光取り出し構造が形成されているものである。
請求項1の発明によれば、素子内を層方向に伝搬する横伝搬光が、基板と透光性電極との間に設けられたグリッドに取り込まれて外部に取り出されるので、光取り出し効率が向上する。このグリッドは、有機発光層と透光性電極との電気的接触を阻害しないので、有機発光層は、十分な発光が得られる。また、グリッドによる凹凸が透光性電極によって緩和されて有機発光層及び対向電極の膜厚の均一性が向上するので、有機EL発光素子の電気的特性が安定化されると共に、透光性電極と対向電極間の短絡が防止される。このため、光取り出し効率の向上と電気的特性の安定化を両立させることができる。
請求項2の発明によれば、グリッドによる凹凸が平坦化層によって平坦化されるので、透光性電極の膜厚の均一性が向上し、有機発光層及び対向電極の膜厚が均一となり、有機EL発光素子の電気的特性がさらに安定化される。
請求項3の発明によれば、横伝搬光がより小さな入射角でグリッドに入射することから、効率良くグリッド内に取り込まれて外部に取り出されるので、光取り出し効率が向上する。
請求項4の発明によれば、横伝搬光がより効率的にグリッドに入射するので、光取り出し効率が向上する。
請求項5の発明によれば、有機発光層で発光した光は、基板上に配置されたレンズに入射し、レンズによって空気との界面での全反射が防止されて取り出されるので、レンズが設けられていない場合に比べて光取り出し効率が向上する。
本発明の第1の実施形態に係る有機EL発光素子の層構成を示す断面図。 本発明の第2の実施形態に係る有機EL発光素子の層構成を示す断面図。 同有機EL発光素子の斜視図。 同実施形態の変形例に係る有機EL発光素子の斜視図。 本発明の第3の実施形態に係る有機EL発光素子の層構成を示す断面図。 本発明の第4の実施形態に係る有機EL発光素子の層構成を示す断面図。 一般的な有機EL発光素子の層構成を示す断面図。 従来の有機EL発光素子の層構成を示す断面図。 同有機EL発光素子の斜視図。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る有機EL発光素子を図1を参照して説明する。有機EL発光素子1は、透光性の基板2と、有機発光層4と、基板2と有機発光層4との間の透光性電極3と、有機発光層4の透光性電極3と反対側に位置する対向電極5とを備える。基板2と透光性電極3との間に、透光性電極3よりも屈折率の低いグリッド6が設けられる。有機発光層4の透光性電極3側には、正孔注入層や正孔輸送層が積層されてもよく、有機発光層4の対向電極5側には、電子輸送層や電子注入層が積層されてもよい。
基板2は、光を透過させる材料を平板状に形成したものであり、例えば、ソーダガラス又は無アルカリガラス等のリジッドな透明ガラス板、若しくは、ポリカーボネート又はポリエチレンテレフタレート等のフレキシブルな透明プラスチック板などから成る。
この基板2上に樹脂又は酸化物半導体より成るグリッド6が設けられる。グリッド6は、基板2の透光性電極3を積層する側の面における配列が格子状等の周期的な構造を成し、その単位構造は、断面が例えば略矩形とされている。このグリッド6は、樹脂を、スピンコート、スクリーン印刷、ディップコート、ダイコート、キャスト、スプレーコート又はグラビアコート等により、若しくは、酸化物半導体を、スピンコート、スクリーン印刷、ディップコート、ダイコート、キャスト、スプレーコート、グラビアコート、蒸着、スパッタ又はCVD(化学気相成長)等により形成される。
グリッド6を形成する樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン、アクリル樹脂、ポリアクリルニトリル、ポリビニルアセタール、ポリアミド、ポリイミド、ジアクリルフタレート樹脂、セルロース系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、その他の熱可塑性樹脂や、これらの樹脂を構成する単量体の2種以上の共重合体が挙げられる。また、シリケート系のアルコキシドを反応させたシリコーン樹脂や、ポリシロキサンからなるシリカ多孔質体を用いてもよい。ポリシロキサンは、テトラエトキシシラン等のアルコキシシラン又はその部分加水分解物を縮重合して得られる。
グリッド6を形成する酸化物半導体としては、例えばSiO、ZrO、Al、Ta、ZnO、Sb、ZrSiO、ゼオライト又はそれらの多孔質物質、若しくは、それらを主成分とした無機粒子又はポリイミド樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、シリコーン樹脂、フッ化物樹脂等が挙げられる。
グリッド6の膜厚は、0.01〜20μm程度が好ましいが、この範囲に限定されるものではない。グリッド6の屈折率は、透光性電極3よりも低く設定され、多くの場合、1.30〜1.70の範囲とされる。また、グリッド6の屈折率を基板2と同等以下とすることにより、グリッド6から基板2に入射する光が全反射されることが低減され、光取り出し効率が向上する。
本実施形態では、このグリッド6上に透光性電極3が設けられる。透光性電極3の材料としては、例えば、インジウム−錫酸化物(ITO)、インジウム−亜鉛酸化物(IZO)、錫酸化物、Au等の金属の極薄膜、導電性高分子、導電性の有機材料、ドーパント(ドナー又はアクセプタ)含有有機層、導電体と導電性有機材料(高分子含む)の混合物、又はこれらの積層体等が挙げられる。これらの材料をスパッタ法やイオンプレーティング法等の気相成長法を用いて製膜することによって、透光性電極3が形成される。透光性電極3の膜厚は、50〜300nm程度が好ましいが、この範囲に限定されるものではない。
この透光性電極3上に有機発光層4が設けられる。有機発光層4を形成する有機EL材料としては、例えば、アントラセン、ナフタレン、ピレン、テトラセン、コロネン、ペリレン、フタロペリレン、ナフタロペリレン、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、クマリン、オキサジアゾール、ビスベンゾキサゾリン、ビススチリル、シクロペンタジエン、キノリン金属錯体、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、トリス(5−フェニル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、アミノキノリン金属錯体、ベンゾキノリン金属錯体、トリ−(p−ターフェニル−4−イル)アミン、ピラン、キナクリドン、ルブレン、及びこれらの誘導体、若しくは、1−アリール2,5−ジ(2−チエニル)ピロール誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、スチリルアリーレン誘導体、スチリルアミン誘導体、及びこれらの発光性化合物からなる基を分子の一部に有する化合物若しくは高分子等が挙げられる。また、上記化合物に代表される蛍光色素由来の化合物のみならず、いわゆる燐光発光材料、例えばIr錯体、Os錯体、Pt錯体、ユーロピウム錯体等の発光材料、又はそれらを分子内に有する化合物若しくは高分子も好適に用いられる。
この有機発光層4上、すなわち有機発光層4の透光性電極3とは反対側に、光反射性の対向電極5が設けられる。対向電極5の材料は、Al等が用いられ、Alと他の電極材料を組み合わせたものであってもよい。電極材料を組み合わせたものとしては、アルカリ金属とAlとの積層体、アルカリ金属と銀との積層体、アルカリ金属のハロゲン化合物とAlとの積層体、アルカリ金属の酸化物とAlとの積層体、アルカリ土類金属や希土類金属とAlとの積層体、これらの金属種と他の金属との合金等が挙げられ、具体的には、例えばナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム、マグネシウム等とAlとの積層体、マグネシウム−銀混合物、マグネシウム−インジウム混合物、アルミニウム−リチウム合金、LiF/Al混合物/積層体、Al/Al混合物等である。
上記のように構成された有機EL発光素子1は、透光性電極3と対向電極5との間に電圧を印加することによって、有機発光層4で発光が生じる。有機発光層4で発光した光は、透光性電極3を透過し、一部はグリッド6を透過し、されに基板2を透過して外部に取り出される。矢印L1で示すように、有機発光層4で発光し、グリッド6が無ければ素子の薄膜内部で臨界角以上のために閉じ込められる横伝搬光が、グリッド6を通過する際に屈折されて、透光性電極3、有機発光層4を介して対向電極5で反射され、再度有機発光層4、透光性電極3を介してグリッド6へ臨界角以下で入射され、基板2を通して外部に取り出される。
このように、有機EL発光素子1は、素子内を層方向に伝搬する横伝搬光が、基板2と透光性電極3との間に設けられたグリッド6に取り込まれて外部に取り出されるので、光取り出し効率が向上する。このグリッド6は、有機発光層4と透光性電極3との電気的接触を阻害しないので、有機発光層4は、透光性電極3との電気的接触が確保されて、十分な発光が得られる。また、グリッド6による凹凸が透光性電極3によって緩和されて有機発光層4及び対向電極5の膜厚の均一性が向上するので、有機発光層4の電流分布の均一性が向上して有機EL発光素子1の電気的特性が安定化されると共に、電極間隔の均一性が向上して透光性電極3と対向電極5間の短絡が防止される。このため、光取り出し効率の向上と電気的特性の安定化を両立させることができる。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る有機EL発光素子を図2及び図3を参照して説明する。本実施形態の有機EL発光素子10は、第1の実施形態と同様の構成に加え、グリッド6上に、グリッド6よりも屈折率が高く、透光性電極3側の面が平坦化された平坦化層7が設けられる。
この有機EL発光素子10では、基板2上にグリッド6が設けられ、グリッド6の基板2とは反対側の面に平坦化層7が設けられる。この平坦化層7により、グリッド6の凹凸が埋めてならされる。平坦化層7の平坦化された面上に、透光性電極3、有機発光層4及び対向電極5がこの順に形成される。
平坦化層7は、樹脂コーティング層で形成される。樹脂コーティング層の材料は、光透過性を有し、グリッド6よりも屈折率が高い樹脂であり、例えば、ポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリイミドアミド、エポキシ、ポリウレタン、ポリウレタンアクリレート、ポリカーボネート等である。なかでも、ポリイミド、ポリイミドアミド、エポキシ、ポリウレタン等の高屈折率の熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。熱硬化性樹脂から成るコーティング樹脂をグリッド6上にコーティングした後、加熱して硬化させることによって平坦化層7が形成される。
透光性電極3と平坦化層7との界面における全反射を低減してより多くの光をグリッド6に導くために、平坦化層7の屈折率は、透光性電極3の屈折率よりも高くされる。
平坦化層7の膜厚は、1〜20μm程度が好ましいが、この範囲に限定されるものではない。平坦化層7の平坦化された表面の平坦性は、接触式膜厚計(ULVAC社製「DekTak6」)を用いて、測定距離5000μm、荷重0.5mg、測定時間20秒の条件で測定した算術平均粗さRa(JIS B0601)が、200nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましいが、これらの値に限定されるものではない。
グリッド6上に平坦化層7を設けた後、平坦化層7のグリッド6とは反対側の面に透光性電極3が形成される。透光性電極3は、平坦化された面上に形成されるので、膜厚が均一となり、有機発光層4、対向電極5の膜厚も均一となる。
有機発光層4で発光した光は、透光性電極3と平坦化層7を透過し、一部はグリッド6を透過し、されに基板2を透過して外部に取り出される。矢印L10で示すように、有機発光層4で発光し、グリッド6が無ければ素子の薄膜内部で臨界角以上のために閉じ込められる横伝搬光が、グリッド6を通過する際に屈折されて、平坦化層7、透光性電極3及び有機発光層4を介して対向電極5で反射され、再度有機発光層4、透光性電極3及び平坦化層7を介してグリッド6へ臨界角以下で入射され、基板2を通して外部に取り出される。
本実施形態の有機EL発光素子10は、グリッド6による凹凸が平坦化層7によって平坦化されるので、透光性電極3の膜厚の均一性が向上し、有機発光層4及び対向電極5の膜厚が均一となり、有機EL発光素子10の電気的特性がさらに安定化される。
図4に示されるように、グリッド6は、基板2と平行な面における配列がハニカム構造を成すように形成してもよい。これにより、横伝搬光が、より効率的にグリッド6に入射するので、光取り出し効率が向上する。
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る有機EL発光素子を図5を参照して説明する。本実施形態の有機EL発光素子11は、第2の実施形態と同様の構成において、グリッド6aは、その断面形状が基板2と接する面より、その面と対向する面に向けて漸次拡大するように形成される。このグリッド6aは、基板2と接する面が、それと略平行に対向する面よりも面積が小さく、側面がテーパー状の斜面となっている。
矢印L11で示すように、有機発光層4で発光し、グリッド6aが無ければ素子の薄膜内部で臨界角以上のために閉じ込められる横伝搬光が、第2の実施形態よりも小さな入射角でグリッド6aの側面に入射する。この光は、透光性電極3側に屈折されて、平坦化層7、透光性電極3及び有機発光層4を介して対向電極5で反射され、再度有機発光層4、透光性電極3及び平坦化層7を介してグリッド6aへ臨界角以下で入射され、基板2を通して外部に取り出される。
このように、横伝搬光が、より小さな入射角でグリッド6aに入射することから、効率良くグリッド6a内に取り込まれて外部に取り出されるので、光取り出し効率が向上する。
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態に係る有機EL発光素子を図6を参照して説明する。本実施形態の有機EL発光素子12は、第2の実施形態と同様の構成に加え、基板2の透光性電極3とは反対側の面に、略半球状のレンズ8が面状に配置された光取り出し構造が形成される。なお、レンズ8の断面ハッチングは図示を省いている。
レンズ8は、例えば、アクリル等の透光性樹脂をインプリント等により成型したものであり、基板2から光が取り出される側が凸の略半球状である。複数のレンズ8が、平面的に互いに隣接して配置される。レンズ8の屈折率は、基板2の屈折率と略同じとすることが好ましい。
上記のように構成された有機EL発光素子12において、有機発光層4で発光した光は、矢印L12、L13で示すように、基板2上に配置されたレンズ8に入射し、レンズ8によって空気との界面での全反射が防止されて取り出されるので、レンズ8が設けられていない場合に比べて光取り出し効率が向上する。
次に、本発明の有機EL発光素子の光取り出し効率を、実施例によって具体的に説明する。
実施例1は、図1に示されるような層構成であって、透光性の基板2は、無アルカリガラス板(コーニング社製「No.1737」)を用い、ビスフェノール型エポキシ(JER社製「エピコート828」)にエポキシ当量に対応するテトラエチレンペンタミン(Aldrich社製)を添加した混合物を基板2の表面にスクリーン印刷により塗布後、180℃で30分間硬化することによって、厚み0.3μmのグリッド6を形成した。
次に、ITOターゲット(東ソー社製)を用いて、150nmの膜厚でITO膜を形成した。このITO膜を形成した基板2を、Ar雰囲気下、200℃で1時間、加熱処理することにより、ITO膜をアニールしてシート抵抗18Ω/□の透光性電極3を形成した。
次に、この透光性電極3を形成した基板2を、アセトン、純水、イソプロピルアルコールで15分間超音波洗浄した後、乾燥し、さらにUV−O処理を15分間行った。この後に、この基板2を真空蒸着装置にセットし、ホール輸送層として、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(1−ナフチル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(NPB)(eRay社製)を透光性電極3上に40nmの膜厚で形成し、さらにこの上に電子輸送層兼有機発光層2として、アルミニウム−トリス(8−ヒドロキシキノリン)(Alq)(eRay社製)を60nmの膜厚で形成し、さらにその上に電子注入層として、LiF(高純度化学社製)を1nmの膜厚で形成した。最後に、電子注入層の上にAl(高純度化学社製)を80nmの膜厚で真空蒸着し、陰極としての対向電極5を形成した。
この後、上記の各層を蒸着して形成した基板2を露点−80℃以下のドライ窒素雰囲気のグローブボックスに入れ、大気に暴露することなく搬送した。一方、硝子製の封止キャップに吸水剤(ダイニック社製)を張り付けると共に、封止キャップの外周部に紫外線硬化樹脂製のシール材を塗布したものを予め用意した。そして、グローブボックス内で各層を囲むように封止キャップを基板2にシール剤で張り合わせ、紫外線照射してシール剤を硬化させることによって、各層を封止キャップで封止し、有機EL発光素子を得た。
実施例2は、図2に示されるような層構成であって、基板2の表面にグリッド6を実施例1と同様に形成し、グリッド6上にイミド系樹脂コーティング材(OPTMATE社製「HRI1783」:nD=1.78、濃度18質量%)をスピンコーターによって2000rpmの条件で塗布して乾燥し、200℃で30分間加熱して硬化させることによって、厚み4μmの平坦化層7を形成した。その他は、実施例1と同様にして有機EL発光素子を得た。
(比較例1)
比較例1は、図7に示されるような層構成であって、透光性の基板102の表面に直接、ITO膜をスパッタし、200℃で1時間加熱処理してアニールした透光性電極103を形成した。そして、この透光性電極103上に直接、有機発光層104、対向電極105を実施例1と同様の方法で形成すると共に、封止キャップで封止することによって有機EL発光素子を得た。
(比較例2)
比較例2は、図8に示されるような層構成であって、透光性の基板102の表面に直接、ITO膜をスパッタし、200℃で1時間加熱処理してアニールした透光性電極103を形成した。そして、この透光性電極103上に、グリッド106、有機発光層104及び対向電極105を実施例1と同様の方法で形成すると共に、封止キャップで封止することによって有機EL発光素子を得た。
上記の実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2について、光取り出し効率を表1に示す。
Figure 2010198974
有機EL発光素子の光取り出し効率は、入力電流(A)に対する光度(cd)である電流効率(cd/A)と、入力電力(W)に対する光束(lm)である電力効率(lm/W)で表される。表1では、電流効率と電力効率は、それぞれの実測値(上段)と、それらの値の比較例1に対する倍率(下段)とを示している。
表1に見られるように、グリッドが基板上に形成された実施例1及び実施例2の有機EL発光素子は、グリッドが形成されていない比較例1及び、グリッドが透光性電極上に形成された比較例2のいずれの比較例に対しても、電流効率及び電力効率が高く、光取り出し効率が向上していることが確認された。
なお、本発明は、上記の実施形態の構成に限られず、発明の要旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、有機EL発光素子は、本発明の第3の実施形態のグリッド6aと第4の実施形態のレンズ8とを有してもよい。
1、10、11、12 有機EL発光素子
2 基板
3 透光性電極
4 有機発光層
5 対向電極
6、6a グリッド
7 平坦化層
8 レンズ

Claims (5)

  1. 基板と、有機発光層と、前記基板と有機発光層との間の透光性電極と、前記有機発光層の透光性電極と反対側に位置する対向電極と、を備えた有機EL発光素子であって、
    前記基板と前記透光性電極との間に、該透光性電極よりも屈折率の低いグリッドが設けられていることを特徴とする有機EL発光素子。
  2. 前記グリッド上に、該グリッドよりも屈折率が高く、前記透光性電極側の面が平坦化された平坦化層が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の有機EL発光素子。
  3. 前記グリッドは、その断面形状が前記基板と接する面より、その面と対向する面に向けて漸次拡大していること特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機EL発光素子。
  4. 前記グリッドは、前記基板と平行な面における配列がハニカム構造を成すことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機EL発光素子。
  5. 前記基板の透光性電極とは反対側の面に、略半球状のレンズが面状に配置された光取り出し構造が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の有機EL発光素子。
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