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JP2010190150A - Egr装置 - Google Patents

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JP2010190150A
JP2010190150A JP2009036809A JP2009036809A JP2010190150A JP 2010190150 A JP2010190150 A JP 2010190150A JP 2009036809 A JP2009036809 A JP 2009036809A JP 2009036809 A JP2009036809 A JP 2009036809A JP 2010190150 A JP2010190150 A JP 2010190150A
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pressure egr
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high pressure
engine
egr
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Akira Iijima
章 飯島
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Isuzu Motors Ltd
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Abstract

【課題】エンジンの低NOx化、低燃費化を図ることができるEGR装置を提供する。
【解決手段】エンジン2の吸気通路21にターボチャージャ3のコンプレッサ31が設けられると共に排気通路22にタービン32が設けられ、高圧EGRを行うための高圧EGR手段4と、低圧EGRを行うための低圧EGR手段5とを備えたEGR装置1において、上記エンジン2の回転数を検出するための回転数検出手段61と、上記エンジン2の負荷を求めるための負荷算出手段6と、上記回転数検出手段61により検出された回転数が所定回転数かつ上記負荷算出手段6により求められた負荷が所定負荷のときに、上記低圧EGR手段5による上記低圧EGRと上記高圧EGR手段4による上記高圧EGRとの両方を行う制御手段6とを備えたものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関の排気系から排気を取り出して吸気系に還流するEGR装置に関するものである。
排気ガスの一部を吸気系に戻すことにより、吸気内の酸素分量を減らし燃焼中の温度を下げてNOxの排出量を減らすようにした所謂EGR(排気還流、排気再循環)が知られている。
従来の内燃機関のEGR装置としては、排気マニフォルドから排気ガスの一部を取り出して吸気マニフォルドに戻す所謂高圧EGR装置が用いられている。この高圧EGR装置では、排気マニフォルドを吸気マニフォルドにEGR配管で接続し、そのEGR配管を通して、高圧の排気マニフォルドから低圧の吸気マニフォルドに自動的に排気ガスを還流させている。高圧EGR装置は、EGR配管が短いため比較的低コストで成立していた。
その他の方式のEGR装置として、ターボチャージャのタービンよりも下流の排気通路から排気ガスの一部を取り出してコンプレッサよりも上流の吸気通路に戻す所謂低圧EGR装置も考えられている。
また、特許文献1には、高圧EGRと低圧EGRとを内燃機関の負荷状態に基づいて切り替えるEGR装置が提案されている。
特開2002−21625号公報
しかしながら、上述したEGR装置には以下のような問題があった。
すなわち、高圧EGR装置では、厳しくなる排気ガス規制に対応するために、より多量のEGRガスを流そうとしたときに、ターボチャージャのタービンに流入する排気ガスが減ってしまい、タービンでのエネルギ回収量が減少してしまう。そのため、コンプレッサでの圧縮が減り、過給圧が上がらずに必要な空気量を内燃機関内に供給することができず、出力低下・燃費悪化・パティキュレート増加を招いてしまう。この現象は、空気量が少ない低速・低負荷領域で顕著に起きる。
低圧EGR装置では、吸気通路に戻されたEGRガスも新気と同時にコンプレッサで加圧しなくてはならないため、より多量のEGRガスが流せる反面、燃費率が増加(燃費悪化)が考えられる。この現象は、空気量が多い高速・高負荷領域で顕著に起きる。
また、所望の新気量を確保しつつEGRガスを増量させるためには、コンプレッサの仕事量を増やす必要がある。そのために、例えば、可変容量ターボチャージャを用いてタービンの入口を絞ることでコンプレッサの仕事量を増やすことが考えられるが、その場合、ポンピングロスが増加し燃費が悪化してしまう。
このように、高圧EGR、または低圧EGRのいずれか一方のみでは、高圧EGR装置の不得手な領域(上記の低速・低負荷領域)と低圧EGR装置の不得手な領域(上記の高速・高負荷領域)の境界において、通常のターボチャージャを用いる場合には高いEGR率(つまり低NOx化)を実現できず、可変容量ターボチャージャを用いる場合は燃費が悪化してしまうという問題があった。
また、特許文献1記載のEGR装置のように負荷状態に基づいた単純な切換では、より多量のEGRガスを還流させ、よりNOxを下げようとした場合に、相変わらず出力低下・燃費悪化・パティキュレート増加を招いてしまう。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、エンジンの低NOx化、低燃費化を図ることができるEGR装置を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明は、エンジンの吸気通路にターボチャージャのコンプレッサが設けられると共に排気通路にタービンが設けられ、そのタービンよりも上流の排気通路から排気の一部を取り出して上記コンプレッサよりも下流の吸気通路に戻す高圧EGRを行うための高圧EGR手段と、上記タービンよりも下流の排気通路から排気の一部を取り出して上記コンプレッサよりも上流の吸気通路に戻す低圧EGRを行うための低圧EGR手段とを備えたEGR装置において、上記エンジンの回転数を検出するための回転数検出手段と、上記エンジンの負荷を求めるための負荷算出手段と、上記回転数検出手段により検出された回転数が所定回転数かつ上記負荷算出手段により求められた負荷が所定負荷のときに、上記低圧EGR手段による上記低圧EGRと上記高圧EGR手段による上記高圧EGRとの両方を行う制御手段とを備えたものである。
好ましくは、上記制御手段は、上記エンジンの回転数と負荷とにより定められる上記エンジンの運転状態の領域を、予め、低速・低負荷領域と中速・中負荷領域と高速・高負荷領域とに区分し、上記エンジンが運転される際に、上記回転数検出手段の回転数と上記負荷算出手段の負荷とにより定まる運転状態が、上記低速・低負荷領域にあるときに上記低圧EGRのみ行い、上記高速・高負荷領域にあるときに上記高圧EGRのみ行い、上記中速・中負荷領域にあるときに上記低圧EGRと上記高圧EGRとの両方を行うものである。
上記高圧EGR手段は、上記タービンよりも上流の排気通路と上記コンプレッサよりも下流の吸気通路とを接続する高圧EGR通路と、その高圧EGR通路に設けられた高圧EGRバルブと、上記高圧EGR通路よりも上流の吸気通路に設けられた吸気スロットルバルブとを有し、上記低圧EGR手段は、上記タービンよりも下流の排気通路と上記コンプレッサよりも上流の吸気通路とを接続する低圧EGR通路と、その低圧EGR通路に設けられた低圧EGRバルブと、上記低圧EGR通路よりも下流の排気通路に設けられた排気シャッタとを有し、上記制御手段は、上記エンジンの運転状態が上記中速・中負荷領域にあるときに、上記吸気スロットルバルブを全開で固定し、上記排気シャッタを全開よりも閉側の所定開度で固定し、上記高圧EGRバルブと上記低圧EGRバルブとを目標EGR率に基づき開度制御するものでもよい。
上記高圧EGR手段は、上記タービンよりも上流の排気通路と上記コンプレッサよりも下流の吸気通路とを接続する高圧EGR通路と、その高圧EGR通路に設けられた高圧EGRバルブと、上記高圧EGR通路よりも上流の吸気通路に設けられた吸気スロットルバルブとを有し、上記低圧EGR手段は、上記タービンよりも下流の排気通路と上記コンプレッサよりも上流の吸気通路とを接続する低圧EGR通路と、その低圧EGR通路に設けられた低圧EGRバルブと、上記低圧EGR通路よりも下流の排気通路に設けられた排気シャッタとを有し、上記制御手段は、上記エンジンの運転状態が上記中速・中負荷領域にあるときに、上記排気シャッタを全開で固定し、上記吸気スロットルバルブを全開よりも閉側の所定開度で固定し、上記高圧EGRバルブと上記低圧EGRバルブとを目標EGR率に基づき開度制御するものでもよい。
本発明によれば、エンジンの低NOx化、低燃費化を図ることができるという優れた効果を発揮するものである。
図1は、本発明に係る一実施形態によるEGR装置の概略構造図である。 図2は、高圧EGR手段と低圧EGR手段の作動領域を説明するための図である。 図3は、EGR率と燃費率との関係を説明するための図である。 図4は、EGR率とNOxの排出量との関係を説明するための図である。
以下、本発明の好適な一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
本実施形態のEGR装置は、例えば、車両に搭載されたディーゼルエンジンなどの内燃機関(以下、エンジンという)に適用される。
図1に基づき本実施形態のエンジンおよびEGR装置の概略構造を説明する。
図1に示すように、エンジン2は、複数(図例では4つ)の気筒231を有するエンジン本体23と、そのエンジン本体23に吸気を供給する吸気通路21と、エンジン本体23からの排気を排出する排気通路22と、吸気を圧縮・加圧するためのターボチャージャ3と、排気通路22から排気の一部を取り出して吸気通路21に戻すためのEGR装置1と、エンジン2を制御する電子コントロールユニット(以下、ECUという)6とを備える。
本実施形態のEGR装置1は、ターボチャージャ3のタービン32よりも上流の排気通路22から排気の一部を取り出してコンプレッサ31よりも下流の吸気通路21に戻す高圧EGRを行うための高圧EGR手段4と、タービン32よりも下流の排気通路22から排気の一部を取り出してコンプレッサ31よりも上流の吸気通路21に戻す低圧EGRを行うための低圧EGR手段5と、エンジン2の回転数(エンジン回転数)を検出するための回転数検出手段をなすエンジン回転数センサ61と、エンジン2の負荷(エンジン負荷)を求めるための負荷算出手段と、上記エンジン回転数センサ61により検出されたエンジン回転数が所定回転数かつ負荷算出手段により求められたエンジン負荷が所定負荷のときに、低圧EGR手段5による低圧EGRと高圧EGR手段4による高圧EGRとの両方を行う制御手段とを備え、上記ECU6が、負荷算出手段と制御手段とをなす。
吸気通路21は、エンジン本体23の各気筒231の吸気ポートに各々接続された吸気マニフォルド211と、その吸気マニフォルド211に接続された吸気管212とを有する。吸気管212には、上流側から順に、ターボチャージャ3のコンプレッサ31と、そのコンプレッサ31で加圧された吸気を冷却するためのインタークーラ213と、吸気を絞って吸気管213(および後述する高圧EGR管41)の流量を調整するための吸気スロットルバルブ43とが設けられる。
排気通路22は、エンジン本体23の各気筒231の排気ポートに各々接続された排気マニフォルド221と、その排気マニフォルド221に接続された排気管222とを有する。排気管222には、上流側から順に、ターボチャージャ3のタービン32と、触媒装置(例えば酸化触媒)223と、排気中のPM(ディーゼルパティキュレート)を捕集するための排気浄化フィルタ装置224と、排気を絞って排気管222(および後述する低圧EGR管51)の流量を調整するためのための排気シャッタ53とが設けられる。また、排気管222には、排気浄化フィルタ装置224をバイパスするバイパス管225が設けられ、そのバイパス管225にバイパスバルブ226が設けられる。
ターボチャージャ3は、エンジン2からの排気(排気エネルギ)により回転するタービン32と、そのタービン32により回転駆動されるコンプレッサ31とを有する。
高圧EGR手段4は、排気マニフォルド221(タービン32よりも上流の排気通路)と吸気マニフォルド211(コンプレッサ31よりも下流の吸気通路)とを接続する高圧EGR管41(高圧EGR通路)と、その高圧EGR管41に設けられ高圧EGR管41を流れる排気の流量を調整するための高圧EGRバルブ42と、上記吸気スロットルバルブ43とを有する。
高圧EGR管41には、高圧EGR管41を流れる排気を冷却するための高圧EGRクーラ411が設けられる。その高圧EGRクーラ411は、高圧EGRバルブ42の上流(排気マニフォルド221側)に配置される。
吸気スロットルバルブ43は、高圧EGR管41よりも上流の吸気管212に配置される。吸気スロットルバルブ43は、バルブ開度が連続的に調整可能なように構成され、例えばバタフライバルブからなる。同様に、高圧EGRバルブ42も、バルブ開度が連続的に調整可能なように構成される。
それら吸気スロットルバルブ43と高圧EGRバルブ42とは、ECU6に接続され、そのECU6によりバルブ開度が各々制御される。
低圧EGR手段5は、タービン32よりも下流の排気管222とコンプレッサ31よりも上流の吸気管212とを接続する低圧EGR管51(低圧EGR通路)と、その低圧EGR管51に設けられ低圧EGR管51を流れる排気の流量を調整するための低圧EGRバルブ52と、上記排気シャッタ53とを有する。
低圧EGR管51は、上流端が排気浄化フィルタ装置224と排気シャッタ53との間の排気管222に接続される。低圧EGR管51には、低圧EGR管51を流れる排気を冷却するための低圧EGRクーラ511が設けられる。低圧EGRクーラ511は、低圧EGRバルブ52の上流(排気管222側)に配置される。
排気シャッタ53は、低圧EGR管51よりも下流の排気管222に配置される。排気シャッタ53は、バルブ開度が全開と、全開よりも閉側の所定開度とで調整可能なように構成される。その排気シャッタ53の所定開度は、例えば、10%以上40%未満、好ましくは約25%に設定される。
他方、低圧EGRバルブ52は、高圧EGRバルブ42と同様に、バルブ開度が連続的に調整可能なように構成される。
それら低圧EGRバルブ52と排気シャッタ53とはECU6に接続され、そのECU6により排気シャッタ53は全開と所定開度とのいずれかで開閉制御され、低圧EGRバルブ52はバルブ開度が制御される。
ECU6は、エンジン本体23の図示しないクランクシャフトまたはカムシャフトに取り付けられたエンジン回転数センサ61と、アクセルペダルの踏み込み量を検出するためのアクセル開度センサ62とに接続され、それらセンサ61、62からの検出値(エンジン回転数、アクセル開度)が入力される。
ECU6は、エンジン本体23の各気筒231に設けられた図示しないインジェクタに通信可能に接続され、そのインジェクタの燃料噴射量をアクセル開度センサ62の検出値から算出して求める。
また、ECU6は、その算出した燃料噴射量とエンジン回転数センサ61の検出値とから、目標EGR率を求める。例えば、ECU6内にエンジン回転数と燃料噴射量とをパラメータとした目標EGR率のマップが予め記憶され、エンジン2の運転時に、ECU6は、エンジン回転数センサ61の検出値と算出した燃料噴射量とに対応する目標EGR率をマップから読み取る。目標EGR率は、燃料噴射量が多いほど低く、エンジン回転数が高いほど低く設定される。
また、本実施形態の目標EGR率は、低NOx化を図るために、通常よりも高く設定されている。例えば、目標EGR率は、後述する低速・低負荷領域Lで40%以上70%未満、中速・中負荷領域Mで30%以上50%未満、高速・高負荷領域Hで10%以上35%未満に各々設定される。
本実施形態のECU6は、アクセル開度を基に算出した燃料噴射量からエンジン負荷を求め、さらにエンジン回転数センサ61によりエンジン回転数を求め、それらエンジン負荷とエンジン回転数とに応じて、高圧EGR手段4と低圧EGR手段5とのいずれか一方、或いは高圧EGR手段4と低圧EGR手段5との両方を同時に作動させる。
具体的には、まず、ECU6は、図2に示すように、エンジン回転数とエンジン負荷とにより定められるエンジン2の運転状態の領域(つまり、横軸をエンジン回転数、縦軸をエンジン負荷にとった平面)を、予め、低速(低回転数)・低負荷領域Lと、中速(中回転数)・中負荷領域Mと、高速(高回転数)・高負荷領域Hとの3つに区分する。
次に、ECU6は、エンジン2を運転する際に、エンジン回転数センサ61により検出されたエンジン回転数とアクセル開度センサ62の検出値から求めたエンジン負荷とを基に現在のエンジン運転状態を求め、その求めたエンジン運転状態が上記3つの領域L、M、Hのうちのどの領域に入っているかを判断する。
ECU6は、エンジン運転状態が、低速・低負荷領域Lにあると判断したときに低圧EGRのみを行い、高速・高負荷領域Hにあると判断したときに高圧EGRのみを行い、中速・中負荷領域Mにあると判断したときに、低圧EGRと高圧EGRとの両方を行う。
詳しくは後述するが、ECU6は、エンジン運転状態が中速・中負荷領域にあると判断したときに、吸気スロットルバルブ43を全開で固定し、排気シャッタ53を上記所定開度で固定し、高圧EGRバルブ42と低圧EGRバルブ52とを目標EGR率に基づき開度制御する。
ECU6には、各領域L、M、Hにおける目標EGR率と、各バルブ42、43、52、53の開度(目標開度)との関係が示されたマップが予め格納される。ECU6は、自身で決定した目標EGR率を基に、マップから各バルブ42、43、52、53の開度を読み取る。
次に、図1に基づき本実施形態のEGR装置の作用を説明する。
本実施形態では、低速・低負荷時に低圧EGR手段5のみが作動され、中速・中負荷時に低圧EGR手段5と高圧EGR手段4との両方が作動され、高速・高負荷時に高圧EGR手段4のみが作動される。このように負荷に応じて高圧EGR手段4および低圧EGR手段5の作動を切り換えることで、より低NOx・低燃費とすることができる。
まず、エンジン運転状態が低速・低負荷領域Lにある場合について説明する。
本願発明者は、本実施形態のエンジン2およびEGR装置1(図1参照)を模擬したモデルを用いて数値シミュレーションを行ったところ、その計算結果から以下のことを見出した。
低速・低負荷領域Lでは、エンジン2からの排気エネルギが小さいためタービン32およびコンプレッサ31の回転数が低くなる。その際、高圧EGRのみでEGR率を上げると、タービン32へ流入する排気エネルギが増々小さくなり、コンプレッサ31の回転が増々下がる。そのため、新気(空気)の量が減り、燃焼が悪化する。その結果、出力低下・燃費悪化・パティキュレート増加を招いてしまう。
他方、低圧EGRでは、EGR率を増しても、タービン32へ流入する排気エネルギが減らないため、コンプレッサ31の回転が低下してしまうことがなく、新気の量も減らない。そのため、高圧EGRのように燃焼が悪化し出力低下・燃費悪化・パティキュレート増加を招く虞がない。
そこで、本実施形態では、エンジン運転状態が低速・低負荷領域Lにある場合、低圧EGR手段5による低圧EGRのみを行い、高圧EGR手段4による高圧EGRは行わないようにした。
具体的には、ECU6は、低圧EGRを有効にするために、低圧EGRバルブ52を開側に作動させると共に、排気シャッタ53を所定開度に固定し、かつ、低圧EGRバルブ52の開度を目標EGR率に基づいて制御する。また、ECU6は、高圧EGRを無効にするために、高圧EGRバルブ42を全閉にする。なお、吸気スロットルバルブ43は基本的には全開で固定される。
これにより、タービン32を通過した排気の一部が、低圧EGR管51を通り吸気管212に戻される。その戻された排気は、吸気管212からの新気(空気)に混合されて目標EGR率のガスとなり、そのガスがコンプレッサ31により加圧された後、エンジン本体23の各気筒231に各々供給される。
次に、エンジン運転状態が高速・高負荷領域Hにある場合について説明する。
高速・高負荷領域Hについても、本願発明者は、上述の数値シミュレーションを行い、その計算結果から以下のことを見出した。
高速・高負荷領域Hでは、エンジン2からの排気エネルギが低速・低負荷領域Lに比べて大きくなりタービン32およびコンプレッサ31の回転数が高くなる。そのため、排気マニフォルド221の内圧が高くなり、低速・低負荷領域Lに比べるとポンプ損失が増える。その結果、燃費の悪化を招く。
このとき高圧EGRを行えば、排気マニフォルド221の内圧を吸気マニフォルド211に逃がすことになり、排気マニフォルド221の内圧が下がる。そのためポンプ損失が減り、そのポンプ損失の減少分は燃費が良くなる。他方、低圧EGRでは、このポンプ損失低減の効果が得られない。
そこで、本実施形態では、エンジン運転状態が高速・高負荷領域Hにある場合、高圧EGR手段4による高圧EGRのみを行い、低圧EGR手段5による低圧EGRを行わないようにした。
具体的には、ECU6は、高圧EGRを有効にするために、高圧EGRバルブ42を開側に作動させると共に、吸気スロットルバルブ43を閉側に作動させ、かつ、それらバルブ42、43の各開度を目標EGR率に基づいて各々制御する。また、ECU6は、低圧EGRを無効にするために、低圧EGRバルブ52を全閉にする。なお、排気シャッタ53は基本的には全開で固定される。
これにより、エンジン本体23から排出された排気の一部が、排気マニフォルド221から高圧EGR管41を通り吸気マニフォルド211に戻される。その戻された排気と、コンプレッサ31により加圧された吸気管212からの新気(空気)とが混合されて目標EGR率のガスとなりエンジン本体23の各気筒231に各々供給される。
次に、エンジン運転状態が中速・中負荷領域Mにある場合について説明する。
中速・中負荷領域Mについても、本願発明者は、上述の数値シミュレーションを行い、その計算結果から以下のことを見出した。
中速・中負荷領域Mでは、低速・低負荷領域Lに比べて排気エネルギが大きいので高圧EGRのみでEGR率を上げても新気の量は減り難いが、高速・高負荷領域Hに比べると依然、新気の量が足らず、燃費が悪化する。
他方、低圧EGRのみでEGR率を上げようとすると、コンプレッサ31の吸い込みが十分に強くなっていないので、排気シャッタ53をさらに閉じる(絞る)必要があり、そのためポンプ損失が増加して燃費が悪化する。
このように中速・中負荷領域Mでは、高圧EGRと低圧EGRとのいずれか一方のみで目標EGR率を実現しようとすると、燃費の悪化を招いてしまう。
そこで、本実施形態では、エンジン運転状態が中速・中負荷領域Mにある場合、低圧EGR手段5による低圧EGRと高圧EGR手段4による高圧EGRとの両方を同時に行うようにした。
具体的には、ECU6は、低圧EGRを有効にするために低圧EGRバルブ52を開側に作動させると共に、高圧EGRを有効にするために高圧EGRバルブ42を開側にさせる。ECU6は、それら高圧EGRバルブ42と低圧EGRバルブ52との開度を目標EGR率に基づいて制御する。なお、排気シャッタ53は所定開度に固定され、吸気スロットルバルブ43は全開に固定される。
これにより、エンジン2からの排気が、高圧EGR管41と低圧EGR管51とを各々通り吸気マニフォルド211と吸気管212とに戻されて新気と各々混合される。
このように、本実施形態では、中速・中負荷領域において、高圧EGRと低圧EGRとを同時に行うことで燃費の悪化させることなく、高いEGR率を達成することができる。
次に、図2に基づき低速・低負荷領域L、中速・中負荷領域M、高速・高負荷領域Hについて説明する。
図2において、縦軸はエンジン負荷、横軸はエンジン回転数、ラインFはエンジン2の全負荷時出力曲線である。また、横軸上のNOはエンジン2の定格回転数である。エンジン運転状態は、図2の縦軸と横軸とラインFと定格回転数NOのラインとで囲まれた領域内の点として表される。このエンジン運転状態の領域が、ラインD1とラインD2とにより、低速・低負荷領域Lと中速・中負荷領域Mと高速・高負荷領域Hとに区画される。
ラインD1が、低速・低負荷領域Lと中速・中負荷領域Mとの境界であり、図例のラインD1は、ラインF上の点P1(ラインFとの交点)から横軸上の点P2(横軸との交点)まで延びる右下がりの直線である。点P1は、そのエンジン回転数が定格回転数NOの20%以上40%未満、好ましくは定格回転数NOの約30%に設定される。点P2は、そのエンジン回転数が定格回転数NOの80%以上100%未満、好ましくは定格回転数NOの約90%に設定される。
ラインD2が、中速・中負荷領域Mと高速・高負荷領域Hとの境界であり、図例のラインD2は、ラインF上の点P3(ラインFとの交点)からラインD1と同じ傾きで延びる右下がりの直線である。点P3は、そのエンジン回転数が定格回転数NOの40%以上60%未満、好ましくは約50%に設定される。
これらラインD1、D2は以下のように求められる。
まず、上述のように本実施形態では、排気マニフォルド221内の圧力P(図1参照)が高いときに高圧EGR手段4を作動させて圧力Pを下げて燃費を良くする。
他方、圧力Pが低いときに高圧EGR手段4を作動させると圧力Pが下がりすぎて、タービン32が仕事をしなくなりコンプレッサ31の過給が不足してエンジンの正常な運転に必要な空気量を確保できなくなる。そこで、圧力Pが低いときには低圧EGR手段5を作動させる。
つまり、その圧力Pによって、高圧EGR手段4と低圧EGR手段5との作動領域を区切ることができる。
ここで、圧力Pは、排気ガス流量の2乗に比例し、その排気ガス流量はエンジン回転数と排気ガス温度の積に比例し、その排気ガス温度は燃料流量(エンジン負荷)に比例する。
よって、圧力Pは、エンジン回転数と燃料流量との積の2乗に比例する。
図2のラインD1、D2は、このエンジン回転数と燃料流量との積の2乗を平行な直線で近似することで、傾きが得られたものである。なお、ラインD1、D2の切片(横軸との交点)は、上述したシミュレーションなどにより求められる。
次に、図3および図4に基づき、本実施形態のEGR装置1によるNOxおよび燃費の改善結果を説明する。
図3は、EGR率を変化させたときの燃費率を示したものであり、図4は、EGR率を変化させたときのNOxの排出量を示したものである。これら図3および図4では、高圧EGRのみ行った場合を白抜きの菱形で、低圧EGRのみ行った場合を黒塗りの三角で、高圧および低圧EGRの両方を行った場合を、×印で示した。なお、エンジン2の負荷を定格負荷の50%、回転数を定格回転数の50%とした。
図3に示すように、高圧EGRのみを行う場合、EGR率を30%までしか上げることができない。また、低圧EGRのみを行う場合、EGR率40%までEGRをかけることができるが、燃費率(g/kW・h)が大きくなってしまう。すなわち燃費が悪いことがわかる。
これに対して、低圧EGRと高圧EGRとを同時に行う場合、広いEGR率の範囲が得られる。特に、高圧EGRのみを行う場合に比べて、EGR率をより高く約37%まで設定することができる。他方、低圧EGRのみを行う場合に比べて燃費率が全体的に小さくなる。すなわち、低圧EGRのみに比べて燃費が良い。
また、図4からは、低圧EGRと高圧EGRとの同時作動で、より少ないNOxの排出となることがわかる。
このように、本実施形態のEGR装置1によれば、エンジン2が中速・中負荷のときに低圧EGRと高圧EGRとの両方を同時に行うことで、エンジン2の低NOx化、低燃費化を図ることができる。
その他にも、可変容量ターボチャージャ(VGSターボチャージャ)を使用することなく高いEGR率を実現でき、その結果、エンジンの製品コストを低減することができる。
なお、本発明は上述の実施形態に限定されず、様々な変形例や応用例が考えられる。
例えば、上記の切換モードは、あくまでも一例であり、本発明はこれに限定されない。例えば、エンジン2の全運転領域(L+M+H)に亘り、低圧EGRと高圧EGRとの両方を行うことも考えられる。
また、上述の実施形態ではEGR率を基に各バルブ42、43、52、53を制御したが、これに限定されず、EGR量や酸素量を基にバルブ42、43、52、53を制御することも考えられる。
また、上述の実施形態では、中速・中負荷領域Mのときに、吸気スロットルバルブ43を全開で固定し、排気シャッタ53を全開よりも閉側の所定開度で固定したが、これに限定されない。例えば、排気シャッタ53を全開で固定し、吸気スロットルバルブ43を全開よりも閉側の所定開度で固定するようにしてもよい。この場合、吸気スロットルバルブ43を、全開と所定開度とのいずれかで開閉制御するようにしてもよく、その吸気スロットルバルブ43の所定開度は、例えば、10%以上40%未満、好ましくは約25%に設定される。また、排気シャッタ53は不要となる。
また、低圧EGR手段5の排気シャッタ53と高圧EGR手段4の吸気スロットルバルブ43とのいずれか一方または両方を省略することも考えられる。
1 EGR装置
2 エンジン
3 ターボチャージャ
4 高圧EGR手段
5 低圧EGR手段
6 ECU(負荷算出手段、制御手段)
21 吸気通路
22 排気通路
31 コンプレッサ
32 タービン
61 エンジン回転数センサ(回転数検出手段)

Claims (4)

  1. エンジンの吸気通路にターボチャージャのコンプレッサが設けられると共に排気通路にタービンが設けられ、そのタービンよりも上流の排気通路から排気の一部を取り出して上記コンプレッサよりも下流の吸気通路に戻す高圧EGRを行うための高圧EGR手段と、上記タービンよりも下流の排気通路から排気の一部を取り出して上記コンプレッサよりも上流の吸気通路に戻す低圧EGRを行うための低圧EGR手段とを備えたEGR装置において、
    上記エンジンの回転数を検出するための回転数検出手段と、
    上記エンジンの負荷を求めるための負荷算出手段と、
    上記回転数検出手段により検出された回転数が所定回転数かつ上記負荷算出手段により求められた負荷が所定負荷のときに、上記低圧EGR手段による上記低圧EGRと上記高圧EGR手段による上記高圧EGRとの両方を行う制御手段とを備えたことを特徴とするEGR装置。
  2. 上記制御手段は、上記エンジンの回転数と負荷とにより定められる上記エンジンの運転状態の領域を、予め、低速・低負荷領域と中速・中負荷領域と高速・高負荷領域とに区分し、
    上記エンジンが運転される際に、上記回転数検出手段の回転数と上記負荷算出手段の負荷とにより定まる運転状態が、上記低速・低負荷領域にあるときに上記低圧EGRのみ行い、上記高速・高負荷領域にあるときに上記高圧EGRのみ行い、上記中速・中負荷領域にあるときに上記低圧EGRと上記高圧EGRとの両方を行う請求項1記載のEGR装置。
  3. 上記高圧EGR手段は、上記タービンよりも上流の排気通路と上記コンプレッサよりも下流の吸気通路とを接続する高圧EGR通路と、その高圧EGR通路に設けられた高圧EGRバルブと、上記高圧EGR通路よりも上流の吸気通路に設けられた吸気スロットルバルブとを有し、
    上記低圧EGR手段は、上記タービンよりも下流の排気通路と上記コンプレッサよりも上流の吸気通路とを接続する低圧EGR通路と、その低圧EGR通路に設けられた低圧EGRバルブと、上記低圧EGR通路よりも下流の排気通路に設けられた排気シャッタとを有し、
    上記制御手段は、上記エンジンの運転状態が上記中速・中負荷領域にあるときに、上記吸気スロットルバルブを全開で固定し、上記排気シャッタを全開よりも閉側の所定開度で固定し、上記高圧EGRバルブと上記低圧EGRバルブとを目標EGR率に基づき開度制御する請求項2記載のEGR装置。
  4. 上記高圧EGR手段は、上記タービンよりも上流の排気通路と上記コンプレッサよりも下流の吸気通路とを接続する高圧EGR通路と、その高圧EGR通路に設けられた高圧EGRバルブと、上記高圧EGR通路よりも上流の吸気通路に設けられた吸気スロットルバルブとを有し、
    上記低圧EGR手段は、上記タービンよりも下流の排気通路と上記コンプレッサよりも上流の吸気通路とを接続する低圧EGR通路と、その低圧EGR通路に設けられた低圧EGRバルブと、上記低圧EGR通路よりも下流の排気通路に設けられた排気シャッタとを有し、
    上記制御手段は、上記エンジンの運転状態が上記中速・中負荷領域にあるときに、上記排気シャッタを全開で固定し、上記吸気スロットルバルブを全開よりも閉側の所定開度で固定し、上記高圧EGRバルブと上記低圧EGRバルブとを目標EGR率に基づき開度制御する請求項2記載のEGR装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012092703A (ja) * 2010-10-26 2012-05-17 Isuzu Motors Ltd エンジンの過給装置
WO2013111273A1 (ja) * 2012-01-24 2013-08-01 トヨタ自動車株式会社 内燃機関の排気環流装置

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