JP2010184903A - 外用医薬組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、パンテノール及び/又はパンテノール類縁物質及びγ-オリザノールを含むことを特徴とする外用医薬組成物である。
特に、本発明は前記パンテノール類縁物質が、パントテニルエチルエーテル、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウム、アセチルパントテニルエチルエーテルからなる群より選ばれる外用医薬組成物である。
【選択図】なし
Description
従来から乾皮症、さめ肌、角化症などの乾燥性皮膚疾患には、尿素、グリセリン、ヘパリン類似物質、ヒアルロン酸、水素添加レシチン等の保湿剤やトコフェロール酢酸エステル、ビタミンA油などのビタミン剤が用いられてきている。しかしながら保湿剤は、水分を保持することで高い保湿作用を示すものの直接的な皮膚バリア機能改善効果はなく、またビタミン剤はその作用が緩慢であり、効果の発現には長期の時間が必要である。この為にこれらの成分は、即効的な症状の改善や根本的な治療には十分なものではない。
また皮膚や粘膜組織の修復作用を示す成分として、アラントイン、パンテノール、グアイアズレン等の創傷治癒促進剤が挙げられる。しかしながらこれら成分の効果も緩慢であることから長期的な適用が必要であり、症状の改善には時間を必要としていた。例えば第2720246号公報には、アラントイン又はその誘導体、パンテノールの誘導体であるパントテン酸又はその誘導体を単独或いは同時に配合した皮膚外用剤の皮膚外用剤の効果は満足できるものではないことから、トレハロースを配合することにより相乗的に効果が亢進されることが記載されている。また特開2002-293727には、パンテノールは水溶性のため、皮膚外用剤を調製する際に用いる植物油等の油性成分には不溶のため、安定に分散することが困難であり、その効果が十分に発揮されないことから、グリコール類及び一価アルコールと配合することでその効果が亢進することが報告されている。
γ-オリザノールは皮脂分泌促進作用を有することが知られており(小林敏雄ら、皮膚、21(2)、123-124、1979、小林敏雄ら、皮膚、21(4)、463-470、1979)、皮膚の乾燥や肌荒れを治療する目的で皮膚外用剤に配合されることがある。
特に、本発明は、パンテノール及び/又はパンテノール類縁物質及びγ-オリザノールを含み、前記パンテノール類縁物質が、パントテニルエチルエーテル、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウム、アセチルパントテニルエチルエーテルからなる群より選ばれる外用医薬組成物である。
さらに本発明は、抗ヒスタミン剤を更に含むことを特徴とする上記外用医薬組成物である。
本発明は、特に抗ヒスタミン剤がジフェンヒドラミン及び/又はその塩類、クロルフェニラミン及び/又はその塩類、イソチペンジル及び/又はその塩類、ジフェニルピラリン及び/又はその塩類並びにジフェニルイミダゾール及び/又はその塩類からなる群より選ばれる上記外用医薬組成物でもある。
さらに、本発明は、γ-オリザノールをパンテノール及び/又はパンテノール類縁物質と共存させることを含む、パンテノール及び/又はパンテノール類縁物質の創傷治癒促進効果を増強する方法でもある。
従って、本発明のパンテノール及び/又はパンテノール類縁物質とγ-オリザノールを含有する外用医薬組成物は、患部の状態を改善又は治療する効果が増強されている。またパンテノール及び/又はパンテノール類縁物質とγ-オリザノールを組み合わせて配合することを含む、パンテノール及び/又はパンテノール類縁物質の創傷治癒促進効果を増強する方法も本発明に含まれる。
本発明において、パンテノール及びパンテノール類縁物質は、パンテノールのエステルやパントテン酸の塩類が含まれ、より具体的には、パンテノール類縁物質には、パントテニルエチルエーテル、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウム、アセチルパントテニルエチルエーテルが含まれる。
さらに、本発明において使用するために適した抗ヒスタミン剤は一般に抗ヒスタミン作用を有する成分であればよく、たとえば、ジフェンヒドラミン及び/又はその塩類、クロルフェニラミン及び/又はその塩類、イソチペンジル及び/又はその塩類、ジフェニルイミダゾール及び/又はその塩類が含まれる。
本発明の外用医薬組成物において、パンテノール及び/又はパンテノール類縁物質、γ-オリザノール及び抗ヒスタミン剤は、それぞれ2種以上を配合することもできるが、その場合はそれぞれについての総量が上述した範囲となるように配合するのが好ましい。
本発明の外用医薬組成物の損傷や欠損への効果を判定する方法として、当業者に知られた適切な実験モデルを用いた皮膚バリア機能回復試験を利用することができる。皮膚バリア機能とは、皮膚の中でも特に角質層による体内の水分保持および外的物質等の侵入阻止などを意味する。当該機能は、経表皮水分蒸散量(TEWL)を測定することにより評価することができる。
バリア機能回復促進効果は、例えば、ヒト、ラット、マウスなどの皮膚にテープストリッピング、界面活性剤による脱脂(例えばドデシル硫酸ナトリウムなど)、有機溶剤による脱脂(例えばアセトンなど)などを施すことにより破壊された皮膚バリア機能が元の状態へ回復していく過程をTEWLを指標として調べることにより評価することができる。本外用医薬品組成物のバリア回復促進効果を評価するためには、いずれの実験動物および皮膚バリア破壊方法も使用できるが、動物の体毛処理(除毛・剃毛)の必要がなく角質層の構造が保持され動物の負担が少ない、ヘアレスマウス(HR-1、星野試験動物飼育所)を用いたアセトン脱脂法が好ましい。具体的には、本外用医薬品組成物のバリア回復促進効果は例えば以下のように評価することができる。
2)頸背部皮膚のTEWL値が50〜70g/m2/hrに達するまで、アセトンを含浸した脱脂綿で当該試験部位をパッティングし、皮膚バリア破壊処理を行う。皮膚バリア破壊処理直後のTEWL値から処理前のTEWL値を差し引いた値をTEWL回復率0%とする。
3)当該外用医薬品組成物などの検体20mgを前記皮膚バリア破壊直後に開放適用する。
4)皮膚バリア破壊処理の時間を規準とし、処理直後に当該試験部位のTEWL値を測定する。下記の式に従いそれぞれのTEWL回復率を計算することができる。
TEWL回復率(%)=(皮膚バリア破壊処理直後のTEWL値−皮膚バリア破壊処理2時間後のTEWL値)/(皮膚バリア破壊直後のTEWL値−皮膚バリア破壊処理前のTEWL値)×100
5)各検体の皮膚バリア回復促進効果は、各検体についてのTEWL回復率と無塗布対照のTEWL回復率とを比較することにより評価することができる。
本外用医薬品組成物の鎮痒効果を評価するには、持続的掻痒症状に伴う自発的な掻き動作が起る有機溶剤などによる脱脂を行う方法が好ましい。例えば、MiyamotoらはICR系マウスの皮膚に対してのアセトン・エーテル(1:1)混液処理に続けて蒸留水による処理を繰り返すことにより起るマウスの掻き動作回数を指標に鎮痒剤の薬効効果を行っている(Jpn. J. Pharmacol. ,88; 285, 2002)。例えば、Miyamotoらの方法を応用し、本発明の外用医薬組成物のかゆみ止め効果を以下の通り評価することができる。
2)最終脱脂処理の翌日、当該外用医薬品組成物などの検体20mgを当該試験部位に開放適用する。検体適用後30分間は円筒形金網内にマウスを拘束し検体の経口摂取を防ぐ。
3)検体適用1時間後から3時間後までの2時間のマウスの掻き動作回数を測定する。
4)各検体の鎮痒効果は、検体の代わりに蒸留水20μLを塗布する掻き動作回数を対照として比較することにより評価することができる。
そのような基剤の例としては、ワセリン、パラフィン、流動パラフィン、スクワラン、セレシン、ゲル化炭化水素及びマイクロクリスタリンワックス等の炭化水素;ステアリン酸、イソステアリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸等及びベヘン酸等の高級脂肪酸;セタノール、ステアリルアルコール及びベヘニルアルコール等の高級脂肪アルコール;ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロプル及びアジピン酸ジイソプロピル等の脂肪酸エステル油;トリイソオクタン酸グリセリン及びトリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル等の多価アルコール脂肪酸エステル;モノステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、モノステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン 酸ソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、テトラステアリン酸ポリオキシエチレン(60)ソルビット、テトラオレイン酸ポリオキシエチレン(60)ソルビット、ポリオキシエチレン(60)ヒマシ油、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリコール(4EO)、モノオレイン酸ポリエチレングリコール(10EO)、ポリオキシエチレン(9)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(10)セチルエーテル及びポリオキシエチレンオレイルエーテル等の非イオン性界面活性剤;ラウリル硫酸ナトリウム及びセチル硫酸ナトリウム等のイオン性界面活性剤;プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール及びポリエチレングリコール等の多価アルコール;カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アクリル化デンプン300及びポリビニルピロリドン等の高分子化合物;ジイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸、クエン酸ナトリウム、リン酸二水素カリウム及びリン酸水素ナトリウム等のpH調整剤;エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン及び酢酸エチル等の有機溶剤;塩化ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム及びエデト酸ナトリウム等の安定化剤;メチルパラベン、プロピルパラベン、塩化ベンザルコニウム及び塩化ベンゼトニウム等の防腐剤等が挙げられるが、これらに限定されない。
本名発明の外用医薬組成物には、パンテノール及び/又はパンテノール類縁物質、γ-オリザノール及び抗ヒスタミン剤の他に外用医薬組成物として許容される他の薬物を配合することが出来る。そのような薬物には以下が含まれるがこれらに限定されない。ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン酢酸エステル、ヒドロコルチゾン酪酸エステル、デキサメタゾン、デキサメタゾン酢酸エステル、プレドニゾロン、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル等のステロイド剤、ブフェキサマク、ウフェナマート、イブプロフェンピコノール、インドメタシン、フェルビナク、ケトプロフェン、ピロキシカム、ジクロフェナクナトリウム、ロキソプロフェンナトリウム、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸及びその塩類、トウキエキス及びシコンエキス等の抗炎症剤、レチノール酢酸エステル、レチノールパルミチン酸エステル、アスコルビン酸パルミチン酸エステル、トコフェロール酢酸エステル、エルゴカルシフェロール、タカシトール等の脂溶性ビタミン剤、アスコルビン酸、ピリドキシン塩酸塩、ニコチン酸アミド等の水溶性ビタミン剤、イソプロピルメチルフェノール、クロルヘキシジン塩酸塩、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、セトリミド等の殺菌剤、リドカイン及びその塩類、ジブカイン及びその塩類、プロカイン及びその塩類、テトラカイン及びその塩類、アミノ安息香酸エチル等の局所麻酔剤、l-メントール、dl-カンフル、ハッカ油及びボルネオール等の清涼化剤、ナファゾリン塩酸塩、テトラヒドロゾリン塩酸塩及びメチルエフェドリン塩酸塩等の血管収縮剤、ニコチン酸ベンジル、ノニル酸ワニリルアミド及びトウガラシチンキ等の引赤剤等を配合することができる。
パンテノール及びγ-オリザノールを含む外用医薬組成物とそれぞれを含まない外用医薬組成物の皮膚バリア回復効果及び鎮痒効果を比較した。
1)試験組成物及び比較組成物の調製
以下の組成物を調製した。各組成物の配合は表1に示した。表中の各成分に対する数値は組成物全体に対する各成分の質量%である。
試験組成物1:パンテノール、γ-オリザノール及びジフェンヒドラミンを含む本発明の外用医薬組成物(試験組成物1)を調製した。
調製方法は、γ-オリザノール、ジフェンヒドラミン、トコフェロール酢酸エステル、ステアリルアルコール、ベヘン酸、パルミチン酸セチル、マイクロクリスタリンワックス、トリイソオクタン酸グリセリン、α-オレフィンオリゴマー、白色ワセリン、モノステアリン酸ソルビタン、グリセリン脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンセチルエーテルを加熱し均一に溶解する。次ぎに精製水にパンテノール、アラントイン、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、クエン酸及びエデト酸ナトリウムを加熱し均一に溶解し、先の油相に攪拌しながら加え乳化物を調製した。これを更に40℃以下になるまで冷却し、乳剤性外用医薬組成物を得た。
比較組成物2:パンテノールを含まないこと以外は、試験組成物1の調製と同様の操作を行い、乳剤性外用医薬組成物を得た。
比較組成物3:パンテノール及びジフェンヒドラミンを含まないこと以外は、試験組成物1の調製と同様の操作を行い、乳剤性外用医薬組成物を得た。
各試験組成物および比較組成物の配合量及びその他の基剤成分は表1に示す。
次に、調製した各試験組成物の治癒効果を測定した。
バリア回復試験試験は、以下の方法により行った。
1)TEWL測定装置Tewameter TM210(Courage+Khazaka社製,Koln-Germany)によりヘアレスマウス(n=8)頸背部のTEWL値を測定した。その際の値をTEWL値の100%とする。
2)頸背部皮膚のTEWL値が50〜70g/m2/hrに達するまで、アセトンを含浸した脱脂綿で当該試験部位をパッティングし、皮膚バリア破壊処理を行った。皮膚バリア破壊処理直後のTEWL値から処理前のTEWL値を差し引いた値をTEWL回復率0%とした。
3)本発明の外用医薬品組成物(試験組成物1)および比較組成物の検体各20mgを前記皮膚バリア破壊直後に開放適用した。
4)皮膚バリア破壊処理の時間を規準とし、処理2時間後に当該試験部位のTEWL値を測定し、下記の式に従いそれぞれのTEWL回復率を計算した。
TEWL回復率(%)=
(皮膚バリア破壊処理直後のTEWL値−皮膚バリア破壊2時間後のTEWL値)/(皮膚バリア破壊直後のTEWL値−皮膚バリア破壊処理前のTEWL値)×100
5)各検体の皮膚バリア回復促進効果は、本発明の外用医薬品組成物を塗布したマウスにおけるTEWL回復率と無塗布対照のTEWL回復率とを比較することにより評価した。
1)マウス(n=12)の頸背部を除毛および剃毛した。除毛および剃毛を施した皮膚に対してアセトン・エーテル混液を含浸した脱脂綿によるパッチング処理15秒、続いて、蒸留水を含浸した脱脂綿によるパッチング処理30秒行った。この脱脂処理を1日2回、7時間以上の間隔で、5日間繰り返した。
2)最終脱脂処理の翌日、本発明の外用医薬品組成物(試験組成物1)および比較組成物の検体20mgを当該試験部位に開放適用した。検体適用後30分間は円筒形金網内にマウスを拘束し検体の経口摂取を防いだ。
3)検体適用1時間後から3時間後までの2時間のマウスの掻き動作回数を測定した。
4)各検体の鎮痒効果は、検体を塗布したマウスにおける掻き動作回数と検体の代わりに蒸留水20μLを塗布する対照の掻き動作回数とを比較することにより評価した。
Claims (6)
- パンテノール及び/又はパンテノール類縁物質及びγ-オリザノールを含むことを特徴とする外用医薬組成物。
- パンテノール類縁物質が、パントテニルエチルエーテル、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウム、アセチルパントテニルエチルエーテルからなる群より選ばれる請求項1項記載の外用医薬組成物。
- さらに抗ヒスタミン剤を含むことを特徴とする請求項1または2記載の外用医薬組成物。
- 抗ヒスタミン剤がジフェンヒドラミン及び/又はその塩類、クロルフェニラミン及び/又はその塩類、イソチペンジル及び/又はその塩類、ジフェニルピラリン及び/又はその塩類並びにジフェニルイミダゾール及び/又はその塩類からなる群より選ばれる請求項1〜3のいずれか1項記載の外用医薬組成物。
- γ-オリザノールをパンテノール及び/又はパンテノール類縁物質と共存させることを含む、パンテノール及び/又はパンテノール類縁物質の創傷治癒効果を増強する方法。
- パンテノール類縁物質が、パントテニルエチルエーテル、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウム、アセチルパントテニルエチルエーテルからなる群より選ばれる請求項5記載の方法。
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