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JP2010184569A - スタビライザリンクの取り付け構造 - Google Patents

スタビライザリンクの取り付け構造 Download PDF

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JP2010184569A JP2009029523A JP2009029523A JP2010184569A JP 2010184569 A JP2010184569 A JP 2010184569A JP 2009029523 A JP2009029523 A JP 2009029523A JP 2009029523 A JP2009029523 A JP 2009029523A JP 2010184569 A JP2010184569 A JP 2010184569A
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Abstract

【課題】スタビライザリンクの取り付け構造を工夫することにより、操舵角の大きさが大きい領域に於いて車両の旋回横加速度の大きさが操舵角の大きさに比例しなくなるという問題を緩和する。
【解決手段】一端にてスタビライザ50の端部に枢着され他端にて連結装置58により車輪支持部材16、30に連結されるスタビライザリンク54の取り付け構造。キングピン軸46に対するスタビライザリンク54の一端の枢点及び他端の枢点の位置関係は、スタビライザリンク54が旋回時の車両のロールに伴って車輪支持部材16、30に対し相対的に変位すると、操舵輪の舵角を増大させる方向へキングピン軸46の周りに車輪支持部材を回転変位させる位置関係にあり、連結装置58は車両のロール角の大きさが大きいときには車両のロール角の大きさが小さいときに比して、車両のロール角の大きさに対する車輪支持部材の回転変位量の比を大きくする。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車等の車両のスタビライザに係り、更に詳細には一端にてスタビライザの端部に枢着され他端にて車輪支持部材に連結されるスタビライザリンクの取り付け構造に係る。
自動車等の車両には、旋回時の車両の走行安定性を確保するためのスタビライザが組み込まれている。スタビライザは車両の横方向に延在するトーションバー部分と、トーションバー部分の端部と一体をなしトーションバー部分に対し車両前後方向に傾斜して延在する一対のアーム部とを有している。アーム部の端部はスタビライザリンクにより車輪支持部材又はショックアブソーバに連結されており、スタビライザリンクは一端にてスタビライザのアーム部の端部に枢着され他端にて車輪支持部材又はショックアブソーバに枢着されている。
スタビライザリンクの取り付け構造の一つとして、例えば下記の特許文献1に記載されている如く、スタビライザリンクがキングピン軸に対しねじれの位置に配置され、車輪のバウンド、リバウンドによるスタビライザのねじり角が小さい領域に於いてはスタビライザのロール復元力が小さく、スタビライザのねじり角が大きい領域に於いてはねじり角の増大に連れてスタビライザのロール復元力が大きくなるよう構成された取り付け構造が知られている。この種のスタビライザリンクの取り付け構造によれば、車輪がバウンド、リバウンドの中立位置近傍にあるときの必要操舵力を低減することができる。
特開2003−112511号公報
〔発明が解決しようとする課題〕
一般に、自動車等の車両に於いては、タイヤの非線形特性等に起因して操舵角の大きさが大きい領域に於いて、操舵角の大きさに対する車両の旋回横力の大きさの比が小さくなるので、車両の旋回横加速度の大きさが操舵角の大きさに比例しなくなるという問題がある。上述の如きスタビライザリンクの取り付け構造によれば、操舵角の大きさが大きくなり車両のロール角の大きさが大きくなると、スタビライザのねじり角が大きくなってスタビライザのロール復元力も大きくなるが、操舵角の大きさが大きい領域に於いて操舵角の大きさに対する車両の旋回横力の大きさの比を大きくすることができない。そのため操舵角の大きさが大きい領域に於いて車両の旋回横加速度の大きさが操舵角の大きさに比例しなくなるという問題を解消することはできない。
本発明は、操舵角の大きさが大きい領域に於いて車両の旋回横加速度の大きさが操舵角の大きさに比例しなくなるという上述の問題に鑑みてなされたものであり、本発明の主要な課題は、スタビライザリンクの取り付け構造を工夫することにより、操舵角の大きさが大きい領域に於いて車両の旋回横加速度の大きさが操舵角の大きさに比例しなくなるという問題を緩和することである。
〔課題を解決するための手段及び発明の効果〕
上述の主要な課題は、本発明によれば、請求項1の構成、即ち操舵輪を回転可能に支持し前記操舵輪と共にキングピン軸の周りに枢動可能な車輪支持部材を備えた車両に於いて、一端にてスタビライザの端部に枢着され他端にて連結手段により前記車輪支持部材に連結されるスタビライザリンクの取り付け構造にして、前記キングピン軸に対する前記スタビライザリンクの一端の枢点及び他端の枢点の位置関係は、前記スタビライザリンクが旋回時の車両のロールに伴って前記車輪支持部材に対し相対的に変位すると、前記操舵輪の舵角を増大させる方向へ前記キングピン軸の周りに前記車輪支持部材を回転変位させる位置関係にあり、前記連結手段は車両のロール角の大きさが大きいときには車両のロール角の大きさが小さいときに比して、車両のロール角の大きさに対する前記車輪支持部材の回転変位量の比を大きくすることを特徴とするスタビライザリンクの取り付け構造によって達成される。
上記請求項1の構成によれば、キングピン軸に対するスタビライザリンクの一端の枢点及び他端の枢点の位置関係は、スタビライザリンクが旋回時の車両のロールに伴って車輪支持部材に対し相対的に変位すると、操舵輪の舵角を増大させる方向へキングピン軸の周りに車輪支持部材を回転変位させる位置関係にある。また連結手段は車両のロール角の大きさが大きいときには車両のロール角の大きさが小さいときに比して、車両のロール角の大きさに対する車輪支持部材の回転変位量の比を大きくする。
従って操舵角の大きさが大きく車両のロール角が大きくなると、車両のロール角の大きさに対する車輪支持部材の回転変位量の比が大きくなり、これにより操舵輪の舵角を増大させる方向へキングピン軸の周りに車輪支持部材を枢動させる車輪支持部材の回転変位量が増大される。よって操舵輪の舵角の増大により旋回横力が増大されるので、操舵角の大きさが大きい領域に於いて操舵角の大きさに対する車両の旋回横力の大きさの比が小さくなることに起因して車両の旋回横加速度の大きさが操舵角の大きさに比例しなくなるという問題を緩和することができる。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1の構成に於いて、前記スタビライザリンクは下端にてスタビライザの端部に枢着され上端にて前記連結手段により前記車輪支持部材に連結されており、前記操舵輪のトーイン方向への前記キングピン軸の周りの回転について見て前記下端は前記上端よりも回転方向進み側に位置しているよう構成される(請求項2の構成)。
上記請求項2の構成によれば、旋回外輪側に於いてスタビライザリンクが操舵輪のバウンドに伴って上方へ変位すると、上端は下端に対し相対的にキングピン軸の周りに操舵輪のトーイン方向へ変位し、旋回内輪側に於いてスタビライザリンクが操舵輪のリバウンドに伴って下方へ変位すると、上端は下端に対し相対的にキングピン軸の周りに操舵輪のトーアウト方向へ変位する。よって旋回外輪側及び内輪側の何れに於いても操舵輪の舵角を増大させる方向へキングピン軸の周りに車輪支持部材を枢動させることができると共に、車両のロール角の大きさが大きいときには車両のロール角の大きさが小さいときに比して、車輪支持部材の枢動量の増大率を大きくすることができる。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1の構成に於いて、前記連結手段は車両のロール角の大きさが基準値以上になると、車両のロール角の大きさに対する前記車輪支持部材の回転変位量の比を大きくするよう構成される(請求項3の構成)。
上記請求項3の構成によれば、車両のロール角の大きさが基準値以上になると、車両のロール角の大きさに対する車輪支持部材の回転変位量の比が大きくなる。従って車両のロール角の大きさが基準値未満の領域に於いて、車両のロール角の大きさに対する車輪支持部材の回転変位量の比が不必要に大きくなることを防止することができる。また車両のロール角の大きさが基準値以上の領域に於いて、車両のロール角の大きさに対する車輪支持部材の回転変位量の比を確実に増大させることができる。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項3の構成に於いて、前記基準値は前記操舵輪の舵角と前記操舵輪の旋回横力との関係が線形の関係と非線形の関係との間に変化する前記操舵輪の舵角に基づいて設定されているよう構成される(請求項4の構成)。
上記請求項4の構成によれば、基準値は操舵輪の舵角と操舵輪の旋回横力との関係が線形の関係と非線形の関係との間に変化する操舵輪の舵角に基づいて設定されている。従って操舵輪の舵角と操舵輪の旋回横力との関係が線形の領域に於いて、車両のロール角の大きさに対する車輪支持部材の回転変位量の比が不必要に大きくなることを防止することができる。また操舵輪の舵角と操舵輪の旋回横力との関係が非線形の領域に於いて、車両のロール角の大きさに対する車輪支持部材の回転変位量の比を確実に増大させることができ、これにより操舵輪の舵角と操舵輪の旋回横力との間の非線形の関係を線形の関係に近づけることができる。
また本発明によれば、上記請求項1乃至4の何れか一つの構成に於いて、前記連結手段は前記スタビライザリンクが旋回時の車両のロールに伴って前記車輪支持部材に対し相対的に変位すると前記車輪支持部材の周りに回転する回転部材と、前記回転部材より前記車輪支持部材へ前記キングピン軸の周りの回転変位を伝達する回転変位伝達部材とを有し、前記回転変位伝達部材は前記車輪支持部材に対する前記回転部材の相対回転角度が大きいときには前記相対回転角度が小さいときに比して、前記相対回転角度に対する前記回転変位量の比を大きくするよう構成される(請求項5の構成)。
上記請求項5の構成によれば、車輪支持部材に対する回転部材の相対回転角度が大きいときには相対回転角度が小さいときに比して、相対回転角度に対する回転変位量の比が大きくなる。従って車輪支持部材に対する回転部材の相対回転角度が大きいときには相対回転角度が小さいときに比して、回転部材より車輪支持部材へ伝達される回転変位量を大きくすることができ、これにより操舵輪の舵角を効果的に増大させることができる。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項5の構成に於いて、前記回転変位伝達部材は前記回転部材が前記車輪支持部材に対し相対的に基準値以上回転すると、前記相対回転角度に対する前記回転変位量の比を大きくするよう構成される(請求項6の構成)。
上記請求項6の構成によれば、回転部材が車輪支持部材に対し相対的に基準値以上回転すると、相対回転角度に対する回転変位量の比が大きくなる。従って車輪支持部材に対する回転部材の相対回転角度が基準値未満の領域に於いて、車両のロール角の大きさに対する車輪支持部材の回転変位量の比が不必要に大きくなることを防止することができる。また車輪支持部材に対する回転部材の相対回転角度が基準値以上の領域に於いて、車両のロール角の大きさに対する車輪支持部材の回転変位量の比を確実に増大させることができる。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項6の構成に於いて、前記回転変位伝達部材は前記回転部材と前記車輪支持部材との間に介装され前記回転部材より前記車輪支持部材へ前記キングピン軸の周りの回転変位を伝達する弾性材と、前記回転部材が前記車輪支持部材に対し相対的に前記基準値以上回転すると前記弾性材を押圧することにより少なくとも前記キングピン軸の周りの回転方向の前記弾性材のばね定数を増大させる押圧手段とを含んでいるよう構成される(請求項7の構成)。
上記請求項7の構成によれば、回転部材が車輪支持部材に対し相対的に基準値以上回転すると、押圧手段が弾性材を押圧することにより少なくともキングピン軸の周りの回転方向の弾性材のばね定数が増大する。従って車輪支持部材に対する回転部材の相対回転角度が基準値以上の領域に於いて、回転部材より弾性材を介して車輪支持部材へ伝達される回転変位量を確実に増大させることができる。
〔課題解決手段の好ましい態様〕
本発明の一つの好ましい態様によれば、上記請求項3又は4の構成に於いて、連結手段は車両のロール角の大きさが基準値以上になると、車両のロール角の大きさの増大につれて車両のロール角の大きさに対する回転変位量の比を漸次大きくするよう構成される(好ましい態様1)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項5乃至7の何れか一つの構成に於いて、車輪支持部材は操舵輪を回転可能に支持するキャリアと、上端にて車体に枢支され、下端にてキャリアに連結されたショックアブソーバとを含み、回転部材はショックアブソーバの周りに回転するよう構成される(好ましい態様2)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項6又は7の構成に於いて、回転変位伝達部材は回転部材が車輪支持部材に対し相対的に基準値以上回転すると、相対回転角度の増大につれて相対回転角度に対する回転変位量の比を漸次大きくするよう構成される(好ましい態様3)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項7の構成に於いて、弾性材は回転部材及び車輪支持部材の一方に固定されているよう構成される(好ましい態様4)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項7又は上記好ましい態様4の構成に於いて、押圧手段は回転部材及び車輪支持部材の他方に固定されているよう構成される(好ましい態様5)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項7又は上記好ましい態様4又は5の構成に於いて、弾性材は回転部材及び車輪支持部材の他方に相対回転しないよう当接しているよう構成される(好ましい態様6)。
前輪駆動車に適用された本発明によるスタビライザリンクの取り付け構造の一つの実施例を車両の後方より見た状態にて示すスケルトン図である。 図1に示された実施例を車両のインボード側より見た状態にて示すスケルトン図である。 図2の線III−IIIに沿う拡大断面図である。 操舵角θの大きさと車両の旋回横力Fyの大きさとの間の関係を示すグラフである。 操舵角θの大きさと車両の旋回横加速度Gyの大きさとの間の関係を示すグラフである。 相対回転角度φの大きさとショックアブソーバ及びキャリアの回転変位量ωの大きさとの間の関係を示すグラフである。 車両のロール角αの大きさとショックアブソーバ及びキャリアの回転変位量ωの大きさとの間の関係を示すグラフである。
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を好ましい実施例について詳細に説明する。
図1は前輪駆動車に適用された本発明によるスタビライザリンクの取り付け構造の一つの実施例を車両の後方より見た状態にて示すスケルトン図、図2は図1に示された実施例を車両のインボード側より見た状態にて示すスケルトン図、図3は図2の線III−IIIに沿う拡大断面図である。
これらの図に於いて、10は操舵輪であると共に駆動輪である車両の前輪側の車輪を示している。車輪10は金属製のホイール12と、ホイール12の外周に装着されたゴム等よりなるタイヤ14とを含んでいる。車輪10はキャリア16により回転軸線18の周りに回転可能に支持されており、スピンドル20により回転軸線18の周りに回転駆動されるようになっている。
キャリア16の下端部にはコントロールアーム22の外端がボールジョイント24を介して枢着されている。図示の実施例のコントロールアーム22は内端と後端とを有するL形アームであり、内端及び後端はそれぞれゴムブッシュ装置26、28を介して車体のブラケットに枢支されている。
キャリア16の上端部にはショックアブソーバ30のシリンダ30Aの下端部が連結固定されており、ショックアブソーバ30のピストンロッド30Bはその上端にてアッパサポート32により車体34に枢着されている。アッパサポート32に固定されたアッパスプリングシート36とシリンダ30Aに固定されたロアスプリングシート38との間にはサスペンションスプリングとしてのコイルばね40が弾装されている。
キャリア16にはナックルアーム42が一体に形成されており、ナックルアーム42の先端はタイロッドを介してラックアンドピニオン式のパワーステアリング装置44のラックバーに連結されている。コントロールアーム22の外端に設けられたボールジョイント24のボール部の中心及びアッパサポート32の中心は互いに共働してキングピン軸46を郭定している。従って車輪10はキングピン軸46の周りにパワーステアリング装置44によりタイロッドを介して枢動され、これにより舵角が変化される。
かくしてキャリア16、コントロールアーム22、ショックアブソーバ30、コイルばね40等は互いに共働してマクファーソンストラット式のサスペンションを構成している。またキャリア16及びショックアブソーバ30は車輪10を回転軸線18の周りに回転可能に支持し車輪10と共にキングピン軸46の周りに枢動可能な車輪支持部材を構成している。
また図1及び図2に於いて、50はスタビライザを示している。スタビライザ50は車両の横方向に延在するトーションバー部分50Aと、トーションバー部分の端部と一体をなしトーションバー部分に対し車両前後方向に傾斜して延在する一対のアーム部50Bとを有している。特に図示の実施例に於いては、トーションバー部分50Aは車輪10の回転軸線18よりも車両の後方側に位置し、一対のアーム部50Bは回転軸線18よりも車両の前方側まで延在している。アーム部50Bの先端にはボールジョイント52を介してスタビライザリンク54の下端が枢着されている。スタビライザリンク54の上端はボールジョイント56を介して連結装置58に枢着されている。
図1及び図2に示されている如く、スタビライザリンク54はキングピン軸46に対し車両のインボード側に位置している。また車輪10のトーイン方向へのキングピン軸46の周りの回転について見て、スタビライザリンク54の下端の枢点、即ちボールジョイント52の中心は、スタビライザリンク54の上端の枢点、即ちボールジョイント56の中心よりも回転方向進み側に位置している。特にボールジョイント52の中心はボールジョイント56の中心に対し車両の前方側且つインボード側にて下方に位置している。
図3に示されている如く、連結装置58は金属製の一対のブラケット部材60を有している。各ブラケット部材60は互いに隔置された一対のブラケット部60A、60Bと、一対のブラケット部の間にてこれらと一体をなす半円筒部60Cとよりなっている。一対のブラケット部材60は半円筒部60Cがショックアブソーバ30のシリンダ30Aを実質的に同心に囲繞する状態にて互いに対向するよう配置されている。
各半円筒部60Cの内面には半円筒形のゴム体62が接着等の手段により固定されており、ゴム体62はシリンダ30Aの外径よりも僅かに小さい内径を有している。各ゴム体62の幅方向の中央には径方向内方へ開いた空洞部64が設けられており、空洞部64は実質的に半楕円形の断面形状を有している。シリンダ30Aの外面には硬質の材料よりなる円柱形の一対のストッパ66が接着等の手段により固定されている。ストッパ66は車輪10がバウンド、リバウンドの中立位置にあるときに空洞部64の幅方向中央に位置し、ゴム体62より周方向に隔置されるようになっている。
一対のブラケット部60Aはボールジョイント56のボール部材68及びそのねじ部に螺合するナット70により互いに他に対し締め付けられ、一対のブラケット部60Bはボルト72及びナット74により互いに他に対し締め付けられている。従って各ゴム体62の内面はショックアブソーバ30のシリンダ30Aに対し相対的に変位しないようシリンダ30Aに当接している。また一対のブラケット部材60はショックアブソーバ30の軸線30Cの周りにシリンダ30Aに対し相対的に回転可能であるが、軸線30Cに沿ってシリンダ30Aに対し相対的に変位しないようになっている。
図4に示されている如く、操舵角θの大きさに対する車両の旋回横力Fyの大きさの関係は、操舵角θの大きさが小さい領域に於いては線形の関係をなす。しかし操舵角θの大きさが大きい領域に於いては、タイヤの非線形特性等に起因して操舵角θの大きさに対する車両の旋回横力Fyの大きさの比が小さくなるので、上記関係は非線形の関係になる。そのため本発明によるスタビライザリンクの取り付け構造が組み込まれていない車両に於いては、図5に於いて破線にて示されている如く、操舵角θの大きさが例えば基準値θ0未満の小さい領域に於いては車両の旋回横加速度Gyが操舵角θに比例するが、操舵角θの大きさが基準値θ0以上の大きい領域に於いては車両の旋回横加速度Gyが操舵角θに比例しなくなる。
一般に、旋回により車両のロール角が増大し、スタビライザ50のトーションバー部分50Aのねじれ角が増大すると、旋回外輪側に於いては車輪10のバウンドに伴ってスタビライザリンク54がスタビライザ50の反力によりショックアブソーバ30に対し相対的に下方へ付勢される。逆に旋回内輪側に於いては車輪10のリバウンドに伴ってスタビライザリンク54がスタビライザ50の反力によりショックアブソーバ30に対し相対的に上方へ付勢される。
図示の実施例に於いては、ショックアブソーバ30はキャリア16と共にキングピン軸46の周りに枢動可能に支持されている。また上述の如くスタビライザリンク54の下端の枢点は、車輪10のトーイン方向へのキングピン軸46の周りの回転について見て、スタビライザリンク54の上端の枢点よりも回転方向進み側に位置している。従って旋回外輪側に於いては、スタビライザリンク54が下方へ付勢されることにより、スタビライザリンク54の上端及び一対のブラケット部材60がシリンダ30Aに対し相対的に回転駆動されると共に、車輪10のトーイン方向へのキングピン軸46周りの回転変位が一対のブラケット部材60よりゴム体62を介してシリンダ30Aへ伝達される。
同様に、旋回内輪側に於いては、スタビライザリンク54が上方へ付勢されることにより、スタビライザリンク54の上端及び一対のブラケット部材60がシリンダ30Aに対し相対的に回転駆動されると共に、車輪10のトーアウト方向へのキングピン軸46周りの回転変位が一対のブラケット部材60よりゴム体62を介してシリンダ30Aへ伝達される。
従って各ゴム体62は、一対のブラケット部材60がスタビライザリンク54によって駆動されると、一対のブラケット部材60の回転に伴って周方向に弾性的に剪断変形すると共に、一対のブラケット部材60よりショックアブソーバ30及びキャリア16へキングピン軸46の周りの回転変位を伝達する弾性材として作用する。
上述の如くストッパ66は車輪10がバウンド、リバウンドの中立位置にあるときにはゴム体62より周方向に隔置されている。従って車両のロール角αの大きさが小さく、シリンダ30Aに対する一対のブラケット部材60の相対回転角度φの大きさが基準値φ0未満であるときには、ストッパ66はゴム体62に当接しない。
これに対し操舵角θの大きさが大きくなり、これに対応して車両のロール角αの大きさが大きくなることにより、シリンダ30Aに対する一対のブラケット部材60の相対回転角度φの大きさが基準値φ0以上になると、ストッパ66はゴム体62を押圧して圧縮変形させるようになる。従って少なくともキングピン軸46の周りの回転方向のゴム体62のばね定数が増大され、このばね定数の増大率は相対回転角度φの大きさが増大するにつれて大きくなる。
従って図6に示されている如く、相対回転角度φの大きさが基準値φ0以上になると、キングピン軸46の周りのショックアブソーバ30及びキャリア16の回転変位量ωの増大率が増大し、回転変位量ωの増大率は相対回転角度φの大きさの増大につれて大きくなる。よって図7に示されている如く、車両のロール角αに対する回転変位量ωの比も車両のロール角αの大きさが基準値φ0に対応する基準値α0以上になると増大し、また車両のロール角αに対する回転変位量ωの比の増大率も車両のロール角αの大きさの増大につれて増大する。
従って車両のロール角αの大きさが基準値α0以上であるときには、車両のロール角αの大きさが基準値α0未満であるときに比して、車輪10の舵角が増大し車輪10のコーナリングフォースが増大する。また車両のロール角αの大きさが基準値α0以上であるときには、車両のロール角αの大きさの増大につれてコーナリングフォースの増大率が増大する。
かくして図示の実施例によれば、操舵角θの大きさが大きい領域に於いてタイヤの非線形特性等に起因して低下する旋回横力をコーナリングフォースの増大によって補填することができる。よって図5に於いて実線にて示されている如く、操舵角θの大きさが大きい領域に於いて操舵角θの大きさに対する車両の旋回横力Fyの大きさの比が小さくなることを抑制し、操舵角θの大きさに対する車両の旋回横力Fyの大きさの関係を線形の関係に近づけることができる。
特に図示の実施例に於いては、相対回転角度φの基準値φ0、従って車両がロールしていないときのゴム体62とストッパ66との間の周方向の間隔は、車速が予め設定された標準車速であり且つ操舵角θの大きさが基準値θ0であるときの相対回転角度φの値に設定されている。換言すれば、相対回転角度φの基準値φ0及び車両のロール角αの基準値φ0は、車速が標準車速である場合について見て、操舵角θ、従って車輪10の舵角と車輪の旋回横力Fyとの関係が線形の関係と非線形の関係との間に変化する操舵角θ0に対応する値に設定されている。
従って操舵輪の舵角と操舵輪の旋回横力Fyとの関係、従って操舵角θと操舵輪の旋回横力Fyとの関係が線形の領域に於いて、車両のロール角αの大きさに対する車輪支持部材の回転変位量ωの比が不必要に大きくなることを防止することができる。また操舵角θと操舵輪の旋回横力Fyとの関係が非線形の領域に於いて、車両のロール角αの大きさに対する車輪支持部材の回転変位量ωの比を増大させることができ、これにより操舵角θと操舵輪の旋回横力Fyとの間の非線形の関係を効果的に線形の関係に近づけることができる。
尚、路面の凹凸に起因して車輪10がバウンド、リバウンドすることによりスタビライザリンク54がシリンダ30Aに対し相対的に変位する場合にも、一対のブラケット部材60がシリンダ30Aに対し相対的に回転する。しかしその場合の相対回転角度φの大きさは小さいので、キングピン軸46の周りのショックアブソーバ30及びキャリア16の回転変位量ωも小さく、車両の直進走行安定性が損なわれることはない。
特に図示の実施例によれば、連結装置58の一対のブラケット部材60は一対の半円筒形のゴム体62を介してシリンダ30Aの周りに相対回転可能に支持されている。従ってショックアブソーバに実質的な設計変更を加えることなく、スタビライザリンク54の上端をショックアブソーバ30に連結することができる。
以上に於いては本発明を特定の実施例について詳細に説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施例が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
例えば上述の実施例の連結装置58に於いては、ゴム体62がブラケット部材60の内面に固定され、ストッパ66がシリンダ30Aの外面に固定されているが、ゴム体62がシリンダ30Aの外面に固定され、ストッパ66がブラケット部材60の内面に固定されていてもよい。
また上述の実施例に於いては、スタビライザ50のトーションバー部分50Aが車輪10の回転軸線18よりも車両の後方側に位置し、一対のアーム部50Bの先端が回転軸線18よりも車両の前方側に位置しているが、トーションバー部分50Aが回転軸線18よりも車両の前方側に位置し、一対のアーム部50Bの先端が回転軸線18よりも車両の後方側に位置していてもよい。
また上述の実施例に於いては、サスペンションはマクファーソンストラット式のサスペンションであるが、サスペンションは例えばダブルウイッシュボーン式のサスペンションであってもよい。またその場合連結装置58がスタビライザリンク54の上端をキャリア16に対し相対回転可能にキャリア16に連結するようになっていてよい。
また上述の実施例に於いては、各スタビライザリンク54の下端がスタビライザ50のアーム部50Bの先端に枢着されているが、スタビライザリンク54の上端がスタビライザ50のアーム部50Bの先端に枢着され、スタビライザリンク54の下端が車輪支持部材に連結されてもよい。その場合には車輪10のトーイン方向へのキングピン軸46の周りの回転について見て、スタビライザリンク54の上端の枢点は下端の枢点よりも回転方向遅れ側に位置するよう二つの枢点の位置が設定される。
10…前輪、16…キャリア、22…コントロールアーム、30…ショックアブソーバ、44…パワーステアリング装置、46…キングピン軸、50…スタビライザ、54…スタビライザリンク、58…連結装置、60…ブラケット部材、62…ゴム体、64…空洞部、66…ストッパ

Claims (7)

  1. 操舵輪を回転可能に支持し前記操舵輪と共にキングピン軸の周りに枢動可能な車輪支持部材を備えた車両に於いて、一端にてスタビライザの端部に枢着され他端にて連結手段により前記車輪支持部材に連結されるスタビライザリンクの取り付け構造にして、前記キングピン軸に対する前記スタビライザリンクの一端の枢点及び他端の枢点の位置関係は、前記スタビライザリンクが旋回時の車両のロールに伴って前記車輪支持部材に対し相対的に変位すると、前記操舵輪の舵角を増大させる方向へ前記キングピン軸の周りに前記車輪支持部材を回転変位させる位置関係にあり、前記連結手段は車両のロール角の大きさが大きいときには車両のロール角の大きさが小さいときに比して、車両のロール角の大きさに対する前記車輪支持部材の回転変位量の比を大きくすることを特徴とするスタビライザリンクの取り付け構造。
  2. 前記スタビライザリンクは下端にてスタビライザの端部に枢着され上端にて前記連結手段により前記車輪支持部材に連結されており、前記操舵輪のトーイン方向への前記キングピン軸の周りの回転について見て前記下端は前記上端よりも回転方向進み側に位置していることを特徴とする請求項1に記載のスタビライザリンクの取り付け構造。
  3. 前記連結手段は車両のロール角の大きさが基準値以上になると、車両のロール角の大きさに対する前記車輪支持部材の回転変位量の比を大きくすることを特徴とする請求項1又は2に記載のスタビライザリンクの取り付け構造。
  4. 前記基準値は前記操舵輪の舵角と前記操舵輪の旋回横力との関係が線形の関係と非線形の関係との間に変化する前記操舵輪の舵角に基づいて設定されていることを特徴とする請求項3に記載のスタビライザリンクの取り付け構造。
  5. 前記連結手段は前記スタビライザリンクが旋回時の車両のロールに伴って前記車輪支持部材に対し相対的に変位すると前記車輪支持部材の周りに回転する回転部材と、前記回転部材より前記車輪支持部材へ前記キングピン軸の周りの回転変位を伝達する回転変位伝達部材とを有し、前記回転変位伝達部材は前記車輪支持部材に対する前記回転部材の相対回転角度が大きいときには前記相対回転角度が小さいときに比して、前記相対回転角度に対する前記回転変位量の比を大きくすることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一つに記載のスタビライザリンクの取り付け構造。
  6. 前記回転変位伝達部材は前記回転部材が前記車輪支持部材に対し相対的に基準値以上回転すると、前記相対回転角度に対する前記回転変位量の比を大きくすることを特徴とする請求項5に記載のスタビライザリンクの取り付け構造。
  7. 前記回転変位伝達部材は前記回転部材と前記車輪支持部材との間に介装され前記回転部材より前記車輪支持部材へ前記キングピン軸の周りの回転変位を伝達する弾性材と、前記回転部材が前記車輪支持部材に対し相対的に前記基準値以上回転すると前記弾性材を押圧することにより少なくとも前記キングピン軸の周りの回転方向の前記弾性材のばね定数を増大させる押圧手段とを含んでいることを特徴とする請求項6に記載のスタビライザリンクの取り付け構造。
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