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JP2010181017A - ベルト式無段変速機 - Google Patents

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JP2010181017A JP2009027837A JP2009027837A JP2010181017A JP 2010181017 A JP2010181017 A JP 2010181017A JP 2009027837 A JP2009027837 A JP 2009027837A JP 2009027837 A JP2009027837 A JP 2009027837A JP 2010181017 A JP2010181017 A JP 2010181017A
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Abstract

【課題】可動シーブの倒れを抑制することができるプーリを備えるベルト式無段変速機を提供すること。
【解決手段】固定シーブ3と該固定シーブ3に対して前後動するように配置された可動シーブ4とによってベルト5を挟み付け、これら固定シーブ3と可動シーブ4とからなるプーリ1に対する前記ベルト5の巻掛け半径を変化させることにより変速を行うベルト式無段変速機において、前記可動シーブ4の背面側に該可動シーブ4を前記固定シーブ3に向けて押圧する押圧機構20が設けられるとともに、前記可動シーブ4の背面における外周側の部分に前記押圧機構20の押圧力を前記可動シーブ4に伝達する張り出し部12が軸線方向に向けて突設され、前記可動シーブ4の背面のうち前記張り出し部12より内周側の部分に前記固定シーブ3に向けた押圧力を受けない非押圧領域13が設けられていることによる。
【選択図】図1

Description

この発明は、プーリに巻き掛けたベルトを介して動力の伝達を行うベルト式無段変速機に関するものである。
このベルト式無段変速機は、互いに平行に配列された動力側に伝動可能に接続された入力軸と、駆動輪側に伝動可能に接続された出力軸と、入力軸と出力軸とにそれぞれ設けられたプーリとを備えている。このプーリに多数のエレメントと複数のリングとにより構成されたベルトを巻き掛けて、その接触面の摩擦力により動力を伝達する。また、プーリは固定シーブと可動シーブとが設けられており、可動シーブ背面側に設けられたピストン機構の前後動により、プーリに形成されるV字状のプーリ溝間の距離が変更される。このため、プーリ溝間に巻き掛けられたベルトの巻き掛け半径が変わり、入力回転数と出力回転数との比、つまり変速比を変更することができる。その変速比を変更するために、可動シーブを軸線方向に移動させるピストン機構の制御は、可動プーリの背面側に設けられた油圧室に圧油を給排することにより行われる。なお、他方のプーリにおける可動シーブの背面側にも油圧室が設けられており、無段変速機に入力されるトルクに応じた油圧をその油圧室に供給することにより、入力トルクに応じた挟圧力、すなわち伝達トルク容量を設定する構成とされている。
このようなベルト式無段変速機の一例が特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載されたベルト式無段変速機は、上記の構成・効果に加えてベルトの巻き掛け半径を変えるために、プーリに挟圧力を与える際に発生する虞のある可動シーブの倒れを抑制する油圧アクチュエータと弾性部材とのいずれか一方により構成される固定シーブおよび他方により構成される可動シーブによる付勢手段が設けられた構成となっている。さらに、油圧アクチュエータと弾性部材とのいずれか一方により構成される前記付勢手段により芯ずれ防止手段も設けられている。
また、この特許文献1に記載されたベルト式無段変速機は、油圧アクチュエータが第1の油圧室と第2の油圧室とを含むものであり、この2つの油圧室の油圧を制御することと前記弾性部材の作用とによって、シーブの軸方向の移動を行って変速比を変化させ、またシーブの倒れや芯ずれを防止する。このシーブの軸方向の移動による溝幅の変化にともない発生する芯ずれ量に応じて、前記油圧アクチュエータを駆動することにより芯ずれ量を補正し、可動シーブのベルトの挟圧力による倒れを抑制もしくは軽減するものである。
特開2007−170504号公報
しかしながら特許文献1に記載されているベルト式無段変速機の油圧アクチュエータでは、可動プーリ裏面外周部も付勢されて、可動プーリの裏面全体のみで付勢するよりは倒れを軽減できるが、結局、可動プーリの裏面内周部を含む裏面全体も付勢されるため、それほど大きな効果を期待できない。また、可動シーブ側に油圧室を2つ設けなければならず、部品点数が増えてしまい、生産性が低下し、ひいてはコストが高くなってしまう虞があった。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、可動シーブの倒れを抑制することができるプーリを備えたベルト式無段変速機を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、固定シーブと該固定シーブに対して前後動するように配置された可動シーブとによってベルトを挟み付け、これら固定シーブと可動シーブとからなるプーリに対する前記ベルトの巻掛け半径を変化させることにより変速を行うベルト式無段変速機において、前記可動シーブの背面側に該可動シーブを前記固定シーブに向けて押圧する押圧機構が設けられるとともに、前記可動シーブの背面における外周側の部分に前記押圧機構の押圧力を前記可動シーブに伝達する張り出し部が軸線方向に向けて突設され、前記可動シーブの背面のうち前記張り出し部より内周側の部分に前記固定シーブに向けた押圧力を受けない非押圧領域が設けられていることを特徴とするものである。
請求項1の発明によれば、押圧機構により伝えられる押圧力が前記可動シーブに突設された張り出し部を介して行われ、前記張り出し部より内周側の部分に前記押圧力を受けない非押圧領域が設けられていることにより、相対的に可動シーブの背面における外周側の部分に押圧力が加えられる。そのため、ベルトを構成するエレメントとの接触位置を支点にしたシーブ下側部分の変形や、それに伴う可動シーブにいわゆる倒れが生じない。それに伴い、エレメントの沈み込みやエレメントの傾きが要因となる、いわゆる下当り接触などの現象が回避もしくは抑制されてトルク容量の低下や燃費の悪化を防ぐことができる。また、請求項1の発明によれば、プーリの大型化や高剛性化をせずにシーブ倒れを抑制でき、そのため、コスト・重量の増加なくトルク容量や燃費を向上できる。
この発明のプーリの第1の構成例を示す縦断面図である。 この発明のプーリのシーブ倒れを表す概略図である。
つぎに、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1はこの発明に係る無段変速機における入力側のプーリ(プライマリプーリ)1を示しており、ここに示すプーリ1は、回転軸(プーリシャフト)2と一体化されている固定シーブ3とこれに対向するように前記プーリシャフト2に嵌合させられた可動シーブ4とによって構成されている。これらのシーブ3,4の対向面は、テーパ状に形成され、これらのテーパ面によって、ベルト5を巻き掛ける(挟み込む)巻き掛け溝6が形成されている。なお、ベルト5は、従来のものと同様の構成であって、姿勢を揃えて環状に配列した多数のエレメントにリング(フープ)を巻き掛けて結束して構成されている。
上記の可動シーブ4の背面側(図1の左側)には、可動シーブ4側に開口したシリンダ部材8が配置されており、前記プーリシャフト2に嵌合している前記可動シーブ4のボス部7がそのシリンダ部材8の内部に挿入されている。そして、このボス部7の外周面と前記シリンダ部材8の内周面に前後動自在に接触したピストン部材9が設けられている。そのピストン部材9の内周部と外周部とにはシールリング10が配置され、したがってシリンダ部材8の内部に油圧室11が形成されている。
そして、前記可動シーブ4の背面における外周側の部分に前記ピストン部材9に向けた軸線方向に突出した張り出し部12が形成されており、その張り出し部12の先端部が前記ピストン部材9に当接させられている。したがって、ピストン部材9による推力が、張り出し部12を介して、可動シーブ4の背面のうちその外周側の部分に作用するように構成されている。また、可動シーブ4の背面側で、その張り出し部12と前記ボス部7との間の部分は解放空間となっており、可動シーブ4の背面における解放空間に相当する部分が、ピストン部材9から推力を受けない非押圧領域13となっている。
前記プーリシャフト2にはその中心軸線に沿って油路14が形成され、この油路14から半径方向に向けて分岐した分岐油路15,16が形成されている。一方の分岐油路15は、プーリシャフト2の外周面のうち前記ボス部7が嵌合している部分に開口しており、そのボス部7には半径方向に貫通した貫通孔17が形成され、したがってこれら分岐油路15および貫通孔17を介して前記油圧室11に圧油が供給されるようになっている。また、プーリシャフト2の外径は、可動シーブ4が嵌合している部分で大径であり、前記ボス部7が嵌合している部分で相対的に小径になっており、このように外径が変化する部分に段差部18が形成されている。そして、可動シーブ4およびそのボス部7の内径も、プーリシャフト2の外径に合わせて大小に変化しており、その結果、前記の段差部18に密閉空間19が形成されている。その密閉空間19に他方の分岐油路16が開口している。
上記のようにプーリシャフト2に設けられた油路14、分岐油路15,16、前記の段差部18に形成された密閉空間19、シリンダ部材8に形成された油圧室11、シールリング10、ピストン部材9などにより油圧アクチュエータ20が構成されている。なお、図中符号21はボールスプラインを示し、このボールスプライン21によって前記可動シーブ4を滑らかに軸線方向に前後動させるように構成されている。また、符号22,23は軸受を示し、プーリシャフト2はこれらの軸受22,23によって回転自在に支持されている。なお、プーリ1をプライマリプーリとしたが、プーリ1の形状などを調整することでセカンダリプーリにも適用可能である。
つぎに、プーリ1の動作を図1に基づいて説明する。プーリ1には、上記に記載した油圧アクチュエータ20が形成されており、図示しない油圧ポンプと油圧制御装置とにより油圧が制御・供給される。供給された油圧はプーリシャフト2に設けられた油路14から分岐油路15を介し、さらにボス部7の半径方向に貫通した貫通孔17からシリンダ部材8の内部に形成された油圧室11にオイルが供給されるようになっている。そして供給されたオイルのポンプによる圧力と油圧室11が回転運動することによるオイルの遠心力によって生じる圧力とが、可動シーブ4の背面の張り出し部12に当接し、ボス部7に隔てられて設けられたピストン部材9の圧力の受け面に付与される。
ピストン部材9の圧力の受け面に付与された圧力は、張り出し部12とピストン部材9とが当接している面を介して伝達される。そしてピストン部材9と張り出し部12とが当接し、可動シーブ4と一体化した状態で、油圧による可動シーブ4の前後動が行われる。なお、プーリシャフト2に設けられた分岐油路16にもオイルの油圧が供給され、分岐油路16を介してプーリシャフト2と可動シーブ4の嵌合する段差部18の密閉空間19にオイルが供給される。この密閉空間19に供給されるオイルによって、シャフト2の外径と可動シーブ4が嵌合している部分に対して潤滑がなされる。
そして、可動シーブ4の前後動が行われると固定シーブ3と可動シーブ4との間に形成されるテーパ状の巻き掛け溝6の幅が変化する。巻き掛け溝6の幅が変化すると挟まれているベルト5の巻き掛け半径がプーリの狭圧力とベルトの張力とによって変更される。このとき、プーリ1が摩擦伝動している状態でベルト5の巻き掛け半径が変更できるので連続的に変速比が変更される。そして、油圧による可動シーブ4の前後動が行われ、ベルト5に狭圧力を与える際に、可動シーブ4とベルト5のエレメントと固定シーブ3との接触面に互いに力が作用する。この可動シーブ4とベルト5のエレメントと固定シーブ3との接触面に力が作用することにより、いわゆるシーブ倒れが発生してしまう場合がある。
図2にこのシーブ3,4の倒れについての概略図が示されている。実線はプーリが停止した状態などの場合でシーブが正常である状態を表している。また、点線はトルク上昇などの要因でシーブの倒れが発生した場合の仮想線を表している。固定シーブ3と可動シーブ4とに対して油圧による応力が作用することにより、固定シーブ3と可動シーブ4とに変形が引き起こされる。このシーブ3,4の変形により、巻き掛け溝6の内周側にベルト5のエレメントが矢印Aの方向に沈み込んでしまう現象(エレメントの沈み込み)や、エレメントが図2の矢印Bのような方向に作用するモーメントにより傾いてしまう現象が発生する虞がある。またさらに、倒れ現象が発生することにより、固定シーブ3と可動シーブ4とに対してベルト5のエレメントが巻き掛け溝6の内周側で接触する現象(下当たり接触)も発生してしまう虞がある。
通常、可動シーブ4の背面内周側にも油圧によるシーブを押す力が作用するような構成が一般的である。このような構成の場合、ベルト5の巻き掛け溝6の外周側では固定シーブ3と可動シーブ4とベルト5のエレメントとに作用する力は互いの反力とベルト5の巻き掛け溝6の外周側に作用する圧力とにより均衡を保ちやすい状態である。しかし、可動シーブ4の内周側に圧力が付与される場合、可動シーブ4とベルト5のエレメントとの接触位置を支点としたモーメントが可動シーブ4の変形を増大させる方向に作用し、シーブ倒れを引き起こし易くなってしまう。
本発明では、この両シーブ3,4が変形することによるシーブ倒れが、可動シーブ4の内周側にも推力が作用するために発生しやすくなることを回避もしくは抑制する。そのために、可動シーブ4の背面側で、その張り出し部12と前記ボス部7との間の部分に、ピストン部材9からの推力を受けない非押圧領域13が設けられた構成となっている。そのため、ピストン部材9から推力を張り出し部12が受けると、可動シーブ4はベルト5のエレメントとの接触位置より下の位置、すなわち可動シーブ4の内周側に推力を受けなくなり、シーブ倒れを抑制もしくは回避できる。また、シーブ倒れを抑制するために、シーブの構造を補強するためのプーリの重量やコストの増加がなくシーブ倒れを抑制できる。さらにシーブ倒れが抑制できるためトルクをロスなく伝達でき、燃費を上げることができる。
3…固定シーブ、 4…可動シーブ、 5…ベルト、 12…張り出し部、 13…非押圧領域、 20…油圧アクチュエータ(押圧機構)。

Claims (1)

  1. 固定シーブと該固定シーブに対して前後動するように配置された可動シーブとによってベルトを挟み付け、これら固定シーブと可動シーブとからなるプーリに対する前記ベルトの巻掛け半径を変化させることにより変速を行うベルト式無段変速機において、
    前記可動シーブの背面側に該可動シーブを前記固定シーブに向けて押圧する押圧機構が設けられるとともに、
    前記可動シーブの背面における外周側の部分に前記押圧機構の押圧力を前記可動シーブに伝達する張り出し部が軸線方向に向けて突設され、
    前記可動シーブの背面のうち前記張り出し部より内周側の部分に前記固定シーブに向けた押圧力を受けない非押圧領域が設けられている
    ことを特徴とするベルト式無段変速機。
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