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JP2010154598A - センサレス電動機制御装置および駆動装置 - Google Patents

センサレス電動機制御装置および駆動装置 Download PDF

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JP2010154598A JP2008327240A JP2008327240A JP2010154598A JP 2010154598 A JP2010154598 A JP 2010154598A JP 2008327240 A JP2008327240 A JP 2008327240A JP 2008327240 A JP2008327240 A JP 2008327240A JP 2010154598 A JP2010154598 A JP 2010154598A
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Zhiqian Chen
志謙 陳
Yoshiaki Nishimura
圭亮 西村
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Aisin AW Co Ltd
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Abstract

【課題】 低トルク(低電流)から高トルク(高電流)にわたって位置角算出の精度を高くし低トルク(低電流)での電力損失は抑制する。
【解決手段】 突極性を有する回転子を有する電動機10の磁極位置を検出するセンサを用いずに、前記電動機に高調波電圧を重畳して、前記電動機の回転子の磁極位置を推定する磁極位置推定手段45;を備えるセンサレス電動機制御装置において、前記電動機10のトルクまたは電流の大きさに基づいて、前記高調波電圧の大きさを変更する高調波電圧制御手段33;を備えることを特徴とする。電動機電流の特定周波数成分の特定高調波電流が、目標の高調波電流となるように前記高調波電圧の大きさを制御し、電動機のトルクまたは電流の大きさが大きいほど該目標の高調波電流を大きくし、電動機のトルクまたは電流の大きさが小さいほど該目標の高調波電流を小さくする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、電動機の駆動制御装置に関し、特に、電動機に流れる高調波電流に基づいて回転子の位置角を算出してベクトル制御演算の位置角に用いるセンサレスベクトル制御装置に関する。本発明のセンサレス電動機制御装置は例えば、電動機で車輪を駆動する電気自動車(EV)、および、更にエンジンで駆動されてバッテリを充電する電動機を備える電気自動車(HEV)に使用することができる。
特許文献1は、高調波電流発生器10が発生する高調波電流を、電動機ベクトル制御の2軸目標電流id,iqの一方idに重畳(加算)し、電動機電圧を検出して該電圧からq軸電圧を算出し、それを微分して位置差検出器15で位置差を算出する、ギャップ磁束に着目した位置角の算出を記載している。特許文献2は、電動機ベクトル制御のd軸電圧指令,電動機のd軸電流およびq軸電流に基づいて電動機の誘起電圧を算出し、該誘起電圧に基づいて位置角θを算出する位置演算が記載されている。
特開平11−299299号公報 特開2007−236015号公報
ベクトル制御による電動機のセンサレス駆動制御における位置角算出技術には、これらのほかに、電動機に高周波電流を通電し、あるいは電動機電流の高周波(高調波)成分に着目して、高周波電流又は高周波電流と電圧に基づいて、直交2軸のインダクタンスLd,Lqを推定し、Ld,Lqをパラメータとして位置角を算出する、高周波利用の位置角算出もある。
高周波利用の位置角算出では、直交2軸のインダクタンスLd,Lqに着目するが、電動機に注入する高調波電流、あるいは電動機電流の高調波成分、によって電動機に電力損失を生じ、ノイズが発生するため、高調波電流又は高調波電流は小さくするのが好ましいが、小さくするとLd,Lq算出のS/N比が低下し、位置角算出の誤差が大きくなる。
また、車載用モータに多い小型高出力モータにおいては、高トルク(高電流)駆動になるほど磁気飽和がおこり、突極比(Lq/Ld)が小さくなる(1に近くなる)ため、位置角算出の精度が低下する。すなわち、高調波電流又は高調波電流に対する直交2軸インダクタンスLd,Lqは、図5に示す、ステータのI/φカーブの接線角度となるダイナミックインダクタンスであるが、I/φカーブの飽和域近くでは、すなわち高トルク(高電流)領域では、Ld,Lqともに0近くになり、電流Iの高低変化に対してLd,Lqの変化量が小さく、高調波電流又は高調波電流と電圧に基くLd,Lq算出値のS/N比が低下し、Ld,Lqをパラメータとする位置角算出の精度が低下する。
本発明は、低トルク(低電流)から高トルク(高電流)にわたって位置角算出の精度を高くし低トルク(低電流)での電力損失は抑制することを目的とする。
(1)突極性を有する回転子を有する電動機(10)の磁極位置を検出するセンサを用いずに、前記電動機に高調波電圧を重畳して、前記電動機の回転子の磁極位置を推定する磁極位置推定手段(45);を備えるセンサレス電動機制御装置において、
前記電動機(10)のトルクまたは電流の大きさに基づいて、前記高調波電圧の大きさを変更する高調波電圧制御手段(33);を備えることを特徴とする、センサレス電動機制御装置。
なお、理解を容易にするためにカッコ内には、図面に示し後述する実施例の対応又は相当要素又は事項の符号を、例示として参考までに付記した。以下も同様である。
これにより、電動機の電流値が大きい高トルクでは、磁気飽和によって突極比(Lq/Ld)が小さくなるため位置角の検出精度が悪化し、逆に電動機の電流値が小さい低トルクでは、突極比(Lq/Ld)が大きいため位置角の検出精度を確保できる。このため、電動機のトルクまたは電流の大きさに基づいて、高調波電圧(Vdh*,Vqh*)の大きさを変更することによって、位置角算出精度を向上の向上と、電力損失およびノイズの抑制を両立させることができる。
(2)前記高調波電圧制御手段(33)は、前記電動機の電流の特定周波数成分の特定高調波電流が、目標の高調波電流となるように前記高調波電圧の大きさを制御し、前記電動機のトルクまたは電流の大きさが大きいほど該目標の高調波電流を大きくし、前記電動機のトルクまたは電流の大きさが小さいほど該目標の高調波電流を小さくし;
前記磁極位置推定手段(45)は、該特定高調波電流に基づいて磁極位置を推定する;
上記(1)に記載のセンサレス電動機制御装置。
すなわち、位置角算出に用いる、電動機が発生する高調波電流のレベルを目標値に制御する高調波電流レベル制御システムを構成し、該目標値を操作することにより、電動機の電流値が大きい高トルクでは目標値を大きくして高調波電流レベルを高くして位置角算出の誤差を小さくし、電動機の電流値が小さい低トルクでは、位置角算出精度が高いので、目標値を小さく高調波電流レベルを低くして高調波電流による電力損失およびノイズを低減する。
(3)前記高調波電圧制御手段(33)は、前記電動機の電流の特定周波数成分の特定高調波電流が、目標の高調波電流となるように前記高調波電圧の大きさを制御し、前記電動機のトルクまたは電流に対応した前記目標の高調波電流の振幅データ(35)、ならびに、前記特定高調波電流の振幅が該目標の高調波電流の振幅データから求めた目標振幅になるように前記特定高調波電圧を制御する手段(34,36〜39)、を含む;請求項2に記載のセンサレス電動機制御装置。
これによれば、振幅データを容易に得ることが出来、特定高調波電流を容易に制御することができる。
(4)前記センサレス電動機制御装置は、更に、第1電動機の3相電流を直交2軸電流に変換し、該直交2軸電流を直交2軸目標電流と合わせるための2軸電圧指令値(Vd*,Vq*)を算出し、該2軸電圧指令値を3相電圧指令値に変換して前記第1電動機を制御するベクトル制御部(31,32,41〜49)を含み;
前記高調波電圧制御手段(33)は、前記2軸電圧指令値(Vd*,Vq*)に前記高調波電圧を重畳し、前記特定高調波電流は、前記直交2軸電流の特定周波数成分である;上記(1)乃至(3)のいずれか1つに記載のセンサレス電動機制御装置。
本発明の他の目的および特徴は、図面を参照した以下の実施例の説明より明らかになろう。
図1に、本発明の第1実施例の概要を示す。制御対象電動機である電気モータ10は、この実施例では、車両に搭載されており車輪を回転駆動するための永久磁石埋込み形同期電動機であって、ロータに永久磁石を内蔵したものであり、ステータにはU相,V相及びW相の3相コイル11〜13がある。電気モータ10には、電圧型インバータ16が、車両上のバッテリ17の電力を供給する。
車両上の蓄電池であるバッテリ17には、車両上の電装部が電源オンのときには、1次側コンデンサ18が接続されて、バッテリ17と共に1次側直流電源を構成する。電圧センサ19が、1次側コンデンサ18の電圧(車両上バッテリ17の電圧)を表わす電圧検出信号Vdcをモータ制御装置30に与える。この実施例では、電圧センサ19に、分圧抵抗を用いた。1次側直流電源の正極(+ライン)には、コンバータ20のリアクトル21の一端が接続されている。
コンバータ20には更に、該リアクトル21の他端と1次側直流電源の負極(−ライン)の間をオン,オフする昇圧用スイッチング素子である昇圧用半導体スイッチ22,2次側コンデンサ27の正極と前記他端との間をオン,オフする回生用スイッチング素子である回生用半導体スイッチ23、および、各半導体スイッチ22,23に並列に接続された各ダイオード24,25がある。
昇圧用半導体スイッチ22をオン(導通)にすると1次側直流電源(17,18)からリアクトル21を介してスイッチ22に電流が流れ、これによりリアクトル21が蓄電し、スイッチ22がオフ(非導通)に切換るとリアクトル21がダイオード25を通して2次側コンデンサ27に高圧放電する。すなわち1次側直流電源の電圧よりも高い電圧を誘起して2次側コンデンサ27を充電する。スイッチ22のオン,オフを繰り返すことにより、2次側コンデンサ27の高圧充電が継続する。すなわち、高い電圧で2次側コンデンサ27が充電される。一定周期でこのオン,オフを繰り返すと、オン期間の長さに応じてリアクトル21が蓄積する電力が上昇するので、該一定周期の間のオン時間(オンデューティ:該一定周期に対するオン時間比)を調整することによって、すなわちPWM制御によって、1次側直流電源17,18からコンバータ20を介して2次側コンデンサ27に給電する速度(力行用の給電速度)を調整することが出来る。
回生用半導体スイッチ23をオン(導通)にすると、2次側コンデンサ27の蓄積電力が、スイッチ23およびリアクトル21を通して、1次側直流電源17,18に与えられる(逆給電:回生)。この場合も、一定周期の間のスイッチ23のオン時間を調整することによって、すなわちPWM制御によって、2次側コンデンサ27からコンバータ20を介して1次側直流電源17,18に逆給電する速度(回生用の給電速度)を調整することができる。
電圧型インバータ16は、6個のスイッチングトランジスタTr1〜Tr6を備え、ドライブ回路29が並行して発生する6連の駆動信号の各連によってトランジスタTr1〜Tr6をオン(導通)駆動して、2次側コンデンサ27の直流電圧(コンバータ20の出力電圧すなわち2次電圧)を3連の、位相差が2π/3の交流電圧、すなわち3相交流電圧に変換して、電気モータ10の3相(U相,V相,W相)のステータコイル11〜13のそれぞれに印加する。これにより電気モータ10のステータコイル11〜13のそれぞれに各相電流iU,iV,iWが流れ、電気モータ10のロータが回転する。PWMパルスによるトランジスタTr1〜Tr6のオン/オフ駆動(スイッチング)に対する電力供給能力を高くしかつ電圧サージを抑制するために、インバータ16の入力ラインである、コンバータ20の2次側出力ラインには、大容量の2次側コンデンサ27が接続されている。これに対して1次側直流電源を構成する1次側コンデンサ18は、小型かつ低コストの小容量のものであり、1次側コンデンサ18の容量は、2次側コンデンサ27の容量よりもかなり小さい。電圧センサ28が、コンバータ20の2次電圧Vucを検出してモータ制御装置30に与える。電気モータ10のステータコイル11,12に接続した給電線には、ホールICを用いた電流センサ14,15が装着されており、それぞれ、相電流iV,iWを検出し電流検出信号(アナログ電圧)を発生し、モータ制御装置30に与える。
図2に、モータ制御装置30の機能構成を示す。モータ制御装置30は、本実施例では、DSP(Digital Signal Processer)を主体とする電子制御装置であり、ドライブ回路29,電流センサ14,15,1次電圧センサ19および2次電圧センサ28との間の、図示しないインターフェイス(信号処理回路)を含み、さらに、前記車両上の図示しない車両走行制御システムのメインコントローラとの間の、図示しないインターフェイス(通信回路)も含む。
図2を参照すると、位置演算45が、電気モータ10のロータの回転角度(磁極位置)θを算出し、速度演算46が回転角度θに基づいて回転速度(角速度)ωを算出する。なお、正確にいうと、電気モータ10のロータの回転角度と磁極位置とは同一ではないが、両者は比例関係にあり比例係数が電気モータ10の磁極数pによって定まる。また、回転速度と角速度とは同一ではないが、両者も比例関係にあり比例係数が電気モータ10の磁極数pによって定まる。本書においては、回転角度θは磁極位置を意味する。回転速度ωは角速度を意味するが、回転速度を意味する場合もある。
図示しない車両走行制御システムのメインコントローラが、モータ目標トルクTM*をモータ制御装置30の制御装置30に与える。なお、該メインコントローラは、前記車両の車速及びアクセル開度に基づいて車両要求トルクTO*を算出し、該車両要求トルクTO*に対応してモータ目標トルクTM*を発生して、制御装置30に与える。制御装置30は、電気モータ10の回転速度ωrpmをメインコントローラに出力する。
モータ制御装置30は、トルク指令制限31によって、コンバータ20の出力電圧(2次電圧)の上限値Vmaxおよび回転速度ωに対応する制限トルクTM*maxを制限トルクテーブル(ルックアップテーブル)から読み出して、目標トルクTM*がTM*maxを超えていると、TM*maxを目標トルクT*に定める。TM*max以下のときには、モータ目標トルクTM*を目標トルクT*に定める。このような制限を加えて生成したモータ目標トルクT*が、出力演算32に与えられ、また、2次目標電圧算出に用いられる。
なお、制限トルクテーブルは、2次電圧の上限値Vmaxおよび回転速度範囲内の電圧の各値をアドレスとし、該各値で電気モータ10に生起させることができる最大トルクを制限トルクTM*maxとして書込んだメモリ領域であり、本実施例では制御装置30内の図示しないRAMの1メモリ領域を意味する。制限トルクTM*maxは、2次電圧の上限値Vmaxが高いほど大きく、低いほど小さい。また、回転速度ωが低いほど大きく、高いほど小さい。
モータ制御装置30内には、該制限トルクテーブルのデータTM*maxを書込んだ不揮発性メモリがあり、制御装置30に動作電圧が印加されて制御装置30が、自身および図1に示すモータ駆動システムを初期化する過程で、不揮発性メモリから読み出してRAMに書き込む。制御装置30にはその他の同様なルックアップテーブルが複数あり後に言及するが、これらも、制限トルクテーブルと同様に、不揮発性メモリにあった参照データが書き込まれた、RAM上のメモリ領域を意味する。
モータ制御装置30は、目標トルクT*と回転速度ωに基づいて「力行」か「回生」かを判定して、「力行」であると「力行」グループ内の、「回生」であると「回生」グループ内の、目標トルクT*に割り当てられた2次目標電圧テーブルから、電動機10mの回転速度ωに割り当てられた2次目標電圧Vuc*を読み出し、センサ28が検出する2次電圧が目標電圧Vuc*に合致するように、ドライブ回路26を解してコンバータ20を制御する。
モータ制御装置30は、出力演算32,モータ電流制御42および電圧変換43によって、電気モータ10のロータにおける磁極対の方向にd軸を、該d軸と直角の方向にq軸をそれぞれ採った、公知のd−q軸モデル上のベクトル制御演算、による、モータ電流のフィードバック制御を行う。そこで制御装置30は、電流センサ14,15の電流検出信号iV,iWをデジタル変換して読込み、電流帰還演算49にて、公知の固定/回転座標変換である3相/2相変換を用いて、固定座標上の3相電流値iU,iV,iWを、回転座標上のd軸およびq軸の2相電流値id,iqに変換する。なお、iU+iV+iW=0であるので、これに基づいてiUは算出される。
1つのルックアップテーブルである第1高効率トルク曲線テーブルAが出力演算32にあり、この第1高効率トルク曲線テーブルAには、モータ速度ωおよびモータ目標トルクT*に対応付けられた、各モータ速度で各目標トルクT*を発生するための各d軸電流値idが書き込まれている。
d軸電流idおよびq軸電流iqの各値に対応して電気モータの出力トルクが定まるが、1つの回転速度値に対して、すなわち同一のモータ回転速度において、同一トルクを出力するためのid,iqの組合せが無数にあり、定トルクカーブ上にある。定トルクカーブ上に、最も電力使用効率が高い(最低電力消費の)id,iqの組合せがあり、そこが高効率トルク点である。複数のトルクカーブ上の高効率トルク点を連ねる曲線が、高効率トルク曲線であって各回転速度に対して存在する。モータの回転速度宛ての高効率トルク曲線上の、与えられたモータ目標トルクT*の位置のd軸電流idおよびq軸電流iqを目標電流値として電気モータ10の付勢を行うことにより、目標トルクT*を電気モータ10が出力し、しかもモータ付勢の電力使用効率が高い。
本実施例では、高効率トルク曲線を、d軸の値を表す第1高効率トルク曲線Aと、q軸の値を表わす第2高効率トルク曲線Bの、2系統に分け、しかも、第1高効率トルク曲線Aは、力行領域に適用するものと回生領域に適用するものを対にしたものとし、いずれもモータ回転速度と目標トルクに対するd軸目標電流を表すものである。
第1高効率トルク曲線テーブルAは、目標トルクT*に宛てられた、最低電力消費で目標トルクを発生するためのd軸目標電流を書込んだメモリ領域であり、力行用の力行テーブルA1と、回生用の回生テーブルA2をあわせた1対で構成されている。力行用と回生用のいずれのテーブルを用いるかは、電気モータの回転速度ωと与えられる目標トルクT*に基づいて、力行か回生かを判定し、判定結果に従って決定する。
制御装置30は、「出力演算」32の中のd軸電流指令の算出では、トルク指令制限によって決定した目標トルクT*に対応して第1高効率トルク曲線テーブルAから読出したd軸電流値idから、d軸弱め界磁電流Δidを減算して、d軸目標電流id*を、id*=−id−Δid、と算出する。
q軸電流指令の算出では、出力演算32にある第2高効率トルク曲線テーブルBを用いる。第2高効率トルク曲線テーブルBは、高効率トルク曲線の、q軸の値を表わす第2高効率トルク曲線Bを更に、d軸弱め界磁電流Δidと対のq軸弱め界磁電流Δiqを減算したq軸目標電流を表わす曲線に補正し、補正後の第2高効率トルク曲線Bのデータ、を格納したものである。第2高効率トルク曲線テーブルBは、目標トルクT*およびd軸弱め界磁電流Δidに宛てられた、最低電力消費で目標トルクを発生するためのd軸目標電流、すなわち、補正後の第2高効率トルク曲線Bの目標電流値、を書込んだメモリ領域であり、これも、力行用の力行テーブルB1と、回生用の回生テーブルB2をあわせた1対で構成されている。力行用と回生用のいずれを用いるかは、電気モータの回転速度ωと目標トルクT*に基づいて、力行か回生かを判定し、判定結果にしたがって決定する。
q軸電流指令の算出では、目標トルクT*およびd軸弱め界磁電流Δidに宛てられたq軸目標電流iq*を、第2高効率トルク曲線テーブルBから読み出してq軸電流指令とする。
モータ制御装置30は、減算41d,41qおよびモータ電流制御42にて、d軸目標電流id*とd軸電流idとの電流偏差δid、及びq軸目標電流iq*とq軸電流iqとの電流偏差δiqを算出し、各電流偏差δid,δiqに基づいて、比例制御及び積分制御(フィードバック制御のPI演算)を行い、その出力に基づいて、電圧変換43にて、出力電圧としてのd軸電圧指令値vd*およびq軸電圧指令値vq*を算出する。
次に、回転/固定座標変換である2相/3相変換47にて、回転座標上の目標電圧vd*及びvq*を、2相/3相変換に従って固定座標上の3相目標電圧VU*,VV*,VW*に変換して、PWMパルス発生器48に送る。電圧制御モードが2相変調であるときには、2相目標電圧に変調してPWMパルス発生器48に送る。PWMパルス発生器48は、各相目標電圧が与えられると、それら各値の電圧を出力するための、PWMパルスMU,MV,MWに変換して、図1に示されるドライブ回路29に出力する。ドライブ回路29は、PWMパルスMU,MV,MWに基づいて6連の駆動信号を並行して発生し、各連の駆動信号で、電圧型インバータ16のトランジスタTr1〜Tr6のそれぞれをオン/オフする。これにより、電気モータ10のステータコイル11〜13のそれぞれに、各相目標電圧が印加され、相電流iU,iVおよびIWが流れる。2相変調モードの各相目標電圧が与えられると、PWMパルス発生器は、2相はPWMパルスを発生し残りの1相はオン又はオフ(定電圧出力)信号とする。1pulse変調モードの各相目標電圧が与えられると、各相を矩形波通電とする通電区間信号を出力する。
なお、弱め界磁電流演算では、弱め界磁制御のためのパラメータである電圧飽和指標mを算出する。すなわち、d軸電圧指令値vd*及びq軸電圧指令値vq*に基づいて、電圧飽和の程度を表す値として、電圧飽和算定値ΔVを算出し、界磁調整代を算出する。界磁調整代の算出では、ΔVを積算し、積算値ΣΔVが正の値を採る場合、積算値ΣΔVに比例定数を乗算して弱め界磁制御を行うためのd軸弱め界磁電流Δidを算出し、正の値に設定し、電圧飽和算定値ΔV又は積算値ΣΔVが零以下の値を採る場合、前記調整値Δidおよび積算値ΣΔVを零にする。調整値Δidは、d軸電流指令の算出およびq軸電流指令の算出において使用する。
回転子の位置角であるロータの回転角度(磁極位置)θは、位置演算45が、モータ10の3相電流に含まれる特定周波数の高調波電流(特定高調波電流)とその電圧に基く、高調波対応の直交2軸インダクタンスLd,Lqを介する位置角演算によって算出する。算出された位置角θは、速度演算46においてモータ回転速度ωの算出に用いられ、また、2相/3相変換47および3相/2相変換においても相変換に用いられる。
モータ10の高調波電流のレベルを制御する本実施例では、高調波電圧制御33Aで、モータ10に流れる特定高調波電流を、低目標トルク(低電流値)では低レベルに、目標トルクが高くなるに連れて高レベルに制御するための特定高調波電圧指令Vdh*,Vqh*を生成して、加減算44d,44qによって直交2軸の目標電圧値Vd*,Vq*に加算する。これにより、2相/3相変換47には、特定高調波電圧指令Vdh*,Vqh*が重畳した電圧指令が与えられる。高調波電圧制御33Aが発生する特定高調波電圧指令Vdh*,Vqh*(瞬時値)、および、電流帰還演算49が算出した2相電流値id,iqからバンドパスフィルタ50が抽出した特定高調波(本例では5次又は6次高調波)の電流idh,iqhが位置演算45に与えられ、これらの値に対応する位置角θを位置演算45が算出し、出力する。
本実施例の高調波電圧制御33Aには、特定高調波電流idh,iqhの振幅を算出する振幅計算34、ならびに、目標トルク各値をアドレスとし各目標トルクに対応付けた特定高調波振幅データを格納した高調波振幅テーブル(RAMの一領域のデータ群)35aがある。テーブル35aからは、目標トルクT*に対応付けられている特定高調波振幅(特定高調波電流の目標振幅)が読み出される。一方、モータ10に流れている特定高調波電流idh,iqh(バンドパスフィルタ50が抽出)のベクトル合成値の振幅Ai(フィードバック値)を振幅計算34が算出する。テーブル35aから読み出した目標振幅に対するフィードバック振幅の差分が、PI(比例・積分)37,37に与えられ、PI演算値にリミッタ38で上,下制限をかけ、そして電圧変換39で特定高調波電圧指令Vdh*,Vdqh*に変換されて、加算44d,44qおよび位置演算45に出力される。つまり、第1実施例の高調波電圧制御33Aは、モータ10の特定高調波電流idh,iqhを目標振幅に制御するフィードバック制御を行う。
高調波振幅テーブル35aには、目標トルク各値に対応して、それが高いほど高レベル、低いほど低レベルの特定高調波振幅を書き込んでいるので、高トルク(高電流)での位置角算出の精度が高くなり、低トルク(低電流)での電力損失が小さくなる。
図3に、第2実施例のモータ制御装置30の機能構成を示す。この第2実施例では、モータの3相電流を3相/2相変換で直交2軸値に変換したd軸電流idおよびq軸電流のベクトル合成値すなわち直交2軸座標での目標電流値ioを、ベクトル演算40で算出する。テーブル35bには、目標トルクT*対応の目標電流値ioの各値をアドレスとして、特定高調波振幅(目標振幅)が格納されている。テーブル35bから読み出した、現在の目標電流値ioに対応付けられている特定高調波振幅(目標振幅)に対する、振幅計算34が算出した、特定高調波電流idh,iqh(バンドパスフィルタ50が抽出)のベクトル合成値の振幅Ai(フィードバック値)の差分を、PI(比例・積分)37,37に与え、PI演算値にリミッタ38で上,下制限をかけ、そして電圧変換39で特定高調波電圧指令Vdh*,Vdqh*に変換して、加算44d,44qおよび位置演算45に出力する。つまり、第2実施例の高調波電圧制御33Bも、モータ10の特定高調波電流idh,iqhを目標振幅に制御するフィードバック制御を行う。第2実施例のその他の構成および機能は、上述の第1実施例と同じである。
図4に、第3実施例のモータ制御装置30の機能構成を示す。この第3実施例では、高周波電流制御33Cのテーブル35cには、モータ電流値(フィードバック値)の各値をアドレスとして、特定高調波振幅(目標振幅)が格納されている。モータの3相電流を3相/2相変換49で直交2軸値に変換したd軸電流idおよびq軸電流のベクトル合成値すなわち直交2軸座標でのモータ電流値(フィードバック電流値)ifを、ベクトル演算51で算出する。算出値(瞬時値)を低域フィルタ52で平滑化(DC変換)して、テーブル35cから算出値(モータ電流値)に対応する特定高調波振幅(目標振幅)を読み出して、該目標振幅に対する、振幅計算34が算出した、特定高調波電流idh,iqh(バンドパスフィルタ50が抽出)のベクトル合成値の振幅Ai(フィードバック値)の差分を、PI(比例・積分)37,37に与え、PI演算値にリミッタ38で上,下制限をかけ、そして電圧変換39で特定高調波電圧指令Vdh*,Vdqh*に変換して、加算44d,44qおよび位置演算45に出力する。つまり、第3実施例の高調波電圧制御33Cも、モータ10の特定高調波電流idh,iqhを目標振幅に制御するフィードバック制御を行う。第3実施例のその他の構成および機能は、上述の第1実施例と同じである。
本発明の1実施例の車輪駆動装置の電気系統の構成を示すブロック図である。 図1に示すモータ制御装置30の第1実施例の機能構成を示すブロック図である。 図1に示すモータ制御装置30の第2実施例の機能構成を示すブロック図である。 図1に示すモータ制御装置30の第3実施例の機能構成を示すブロック図である。 永久磁石埋込み形同期電動機のステータの通電電流値と磁束との関係の概略を示すグラフである。
符号の説明
10:電気モータ
11〜13:3相のステータコイル
14,15:電流センサ
17:車両上のバッテリ
18:1次側コンデンサ
19:1次電圧センサ
21:リアクトル
22:スイッチング素子(昇圧用)
23:スイッチング素子(降圧用)
24,25:ダイオード
27:2次側コンデンサ
28:2次電圧センサ
Vdc:1次電圧(バッテリ電圧)
Vuc:2次電圧(昇圧電圧)

Claims (4)

  1. 突極性を有する回転子を有する電動機の磁極位置を検出するセンサを用いずに、前記電動機に高調波電圧を重畳して、前記電動機の回転子の磁極位置を推定する磁極位置推定手段;を備えるセンサレス電動機制御装置において、
    前記電動機のトルクまたは電流の大きさに基づいて、前記高調波電圧の大きさを変更する高調波電圧制御手段;を備えることを特徴とする、センサレス電動機制御装置。
  2. 前記高調波電圧制御手段は、前記電動機の電流の特定周波数成分の特定高調波電流が、目標の高調波電流となるように前記高調波電圧の大きさを制御し、前記電動機のトルクまたは電流の大きさが大きいほど該目標の高調波電流を大きくし、前記電動機のトルクまたは電流の大きさが小さいほど該目標の高調波電流を小さくし;
    前記磁極位置推定手段は、該特定高調波電流に基づいて磁極位置を推定する;
    請求項1に記載のセンサレス電動機制御装置。
  3. 前記高調波電圧制御手段は、前記電動機の電流の特定周波数成分の特定高調波電流が、目標の高調波電流となるように前記高調波電圧の大きさを制御し、前記電動機のトルクまたは電流に対応した前記目標の高調波電流の振幅データ、ならびに、前記特定高調波電流の振幅が該目標の高調波電流の振幅データから求めた目標振幅になるように前記特定高調波電圧を制御する手段、を含む;請求項2に記載のセンサレス電動機制御装置。
  4. 前記センサレス電動機制御装置は、更に、第1電動機の3相電流を直交2軸電流に変換し、該直交2軸電流を直交2軸目標電流と合わせるための2軸電圧指令値を算出し、該2軸電圧指令値を3相電圧指令値に変換して前記第1電動機を制御するベクトル制御部を含み;
    前記高調波電圧制御手段は、前記2軸電圧指令値に前記高調波電圧を重畳し、前記特定高調波電流は、前記直交2軸電流の特定周波数成分である;請求項1乃至3のいずれか1つに記載のセンサレス電動機制御装置。
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