JP2010150539A - ジヒドロキシ化合物を使用したポリカーボネートの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、ポリカーボネートの製造方法に関する。特に原料中に含まれるアルデヒド量を特定のものとしたジヒドロキシ化合物を使用した透明性の高いポリカーボネートの製造方法に関するものである。
ポリカーボネートは一般的にビスフェノール類をモノマー成分とし、透明性、耐熱性、機械的強度等の優位性を生かし、電気・電子部品、自動車用部品、光学記録媒体、レンズ等の光学分野等でいわゆるエンジニアリングプラスチックスとして広く利用されている。しかしながら、最近急激に普及しつつあるフラットパネルディスプレイ等の光学補償フィルム用途では、低複屈折や低光弾性係数等、さらに高度な光学的特性が要求されるようになり、既存の芳香族ポリカーボネートではその要求に応えられなくなってきた。
また、従来のポリカーボネートは、石油資源から誘導される原料を用いて製造されるが、近年、石油資源の枯渇が危惧されており、植物などのバイオマス資源から得られる原料を用いたポリカーボネートの提供が求められている。また、二酸化炭素排出量の増加、蓄積による地球温暖化が、気候変動などをもたらすことが危惧されていることからも、使用後の廃棄処分をしてもカーボンニュートラルな、植物由来モノマーを原料としたポリカーボネートの開発が求められている。
また、従来のポリカーボネートは、石油資源から誘導される原料を用いて製造されるが、近年、石油資源の枯渇が危惧されており、植物などのバイオマス資源から得られる原料を用いたポリカーボネートの提供が求められている。また、二酸化炭素排出量の増加、蓄積による地球温暖化が、気候変動などをもたらすことが危惧されていることからも、使用後の廃棄処分をしてもカーボンニュートラルな、植物由来モノマーを原料としたポリカーボネートの開発が求められている。
かかる状況下、特殊なジヒドロキシ化合物をモノマー成分とし、炭酸ジエステルとのエステル交換によりポリカーボネートを得る方法が提案されている(例えば特許文献1〜3参照)。そして、特許文献1には、ジヒドロキシ化合物を蒸留、再結晶により得られる高純度の無水糖アルコールおよびその製法が開示されている。
一方、特許文献2には、水素化糖の内部脱水生成物であるジヒドロキシ化合物の安定性の改善のため、ジヒドロキシ化合物を蒸留精製後、安定性改善剤と接触させる方法が記載されている。また、特許文献3には、特定の構造を有するジヒドロキシ化合物と脂環式ジヒドロキシ化合物を原料とする高い耐熱性と透明性を兼ね備えたポリカーボネートにつき記載されている。
ところで、ポリカーボネートの原料となるジヒドロキシ化合物(以下、「原料ジヒドロキシ化合物」と称する場合がある。)は、保管や製造時の取扱いの際に酸化分解によってアルデヒド類が生成することがある。原料ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとのエステル交換によるポリマー重合の際に、原料モノマー中にアルデヒド類が多く含まれるようになると、得られるポリカーボネートの着色や物性の低下の原因となる。この重合反応に供給される原料ジヒドロキシ化合物のアルデヒドの量を制御するには、供給前の原料ジヒドロキシ化合物のアルデヒド量を規制することが有効であることが判明した。
特許文献3には、原料ヒドロキシ化合物である、特定の構造を有するジヒドロキシ化合物(イソソルビド)を蒸留精製して、原料ヒドロキシ化合物中の蟻酸含有量を低減させることについての記載はあるが、反応に供するアルデヒド類含有量についての記載はない。また、もうひとつの原料ヒドロキシ化合物である、脂環式ジヒドロキシ化合物について、アルデヒド類の含有量をコントロールするという記載はない。
本発明の目的は、反応に供する原料ジヒドロキシ化合物のアルデヒド含有量をコントロールすることにより、上記従来の問題点を解消したポリカーボネートを製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、ポリカーボネートの原料として、反応に供する全ジヒドロキシ化合物に含まれるアルデヒド基を600μmol/mol以下とすることで、透明性の高いポリカーボネートを製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
[1] 分子内に下記式(1)で表される構造を有するジヒドロキシ化合物と、脂肪族ジヒドロキシ化合物及び脂環式ジヒドロキシ化合物のうち少なくとも1種と、炭酸ジエステルとを含む原料を用いてポリカーボネートを製造する方法において、
反応に供する全ジヒドロキシ化合物に含まれるアルデヒド基が600μmol/mol以下であることを特徴とするポリカーボネートの製造方法。
(但し、式(1)において酸素原子に水素原子が結合した構造を除く。)
[1] 分子内に下記式(1)で表される構造を有するジヒドロキシ化合物と、脂肪族ジヒドロキシ化合物及び脂環式ジヒドロキシ化合物のうち少なくとも1種と、炭酸ジエステルとを含む原料を用いてポリカーボネートを製造する方法において、
反応に供する全ジヒドロキシ化合物に含まれるアルデヒド基が600μmol/mol以下であることを特徴とするポリカーボネートの製造方法。
[3] 前記脂肪族ジヒドロキシ化合物が、1,3−プロパンジオールである前記[1]または[2]に記載のポリカーボネートの製造方法。
[4] 前記脂環式ジヒドロキシ化合物が、トリシクロデカンジメタノール及び1,4−シクロヘキサンジメタノールのうち少なくとも1種である前記[1]または[2]に記載のポリカーボネートの製造方法。
[5] 前記ジヒドロキシ化合物を溶融状態で炭酸ジエステルへ供給する、前記[1]から[4]のいずれかに記載のポリカーボネートの製造方法。
[6] 前記ジヒドロキシ化合物のうち少なくとも1種を、予め溶融した炭酸ジエステルへ供給し混合した後、触媒の存在下に重合を行う前記[1]から[4]のいずれかに記載のポリカーボネートの製造方法。
[7] 前記ジヒドロキシ化合物の供給を、80℃以上250℃以下で行う前記[5]または[6]に記載のポリカーボネートの製造方法。
[8] 前記ジヒドロキシ化合物の供給を、酸素濃度0.0001vol%以上10vol%以下の雰囲気下で行う前記[1]から[7]のいずれかに記載のポリカーボネートの製造方法。
[4] 前記脂環式ジヒドロキシ化合物が、トリシクロデカンジメタノール及び1,4−シクロヘキサンジメタノールのうち少なくとも1種である前記[1]または[2]に記載のポリカーボネートの製造方法。
[5] 前記ジヒドロキシ化合物を溶融状態で炭酸ジエステルへ供給する、前記[1]から[4]のいずれかに記載のポリカーボネートの製造方法。
[6] 前記ジヒドロキシ化合物のうち少なくとも1種を、予め溶融した炭酸ジエステルへ供給し混合した後、触媒の存在下に重合を行う前記[1]から[4]のいずれかに記載のポリカーボネートの製造方法。
[7] 前記ジヒドロキシ化合物の供給を、80℃以上250℃以下で行う前記[5]または[6]に記載のポリカーボネートの製造方法。
[8] 前記ジヒドロキシ化合物の供給を、酸素濃度0.0001vol%以上10vol%以下の雰囲気下で行う前記[1]から[7]のいずれかに記載のポリカーボネートの製造方法。
本発明の製造方法によれば、重合反応性を損なうことなく色調や熱安定性に優れ、高い透明性を維持したポリカーボネートを製造することができる。
以下、本発明につき詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の内容に限定されない。
本発明は、分子内に下記式(1)で表される構造を有するジヒドロキシ化合物と、脂肪族ジヒドロキシ化合物及び脂環式ジヒドロキシ化合物のうち少なくとも1種と、炭酸ジエステルとを含む原料を用いてポリカーボネートを製造する方法において、反応に供する全ジヒドロキシ化合物に含まれるアルデヒド基が600μmol/mol以下(好適には550μmol/mol以下)であるポリカーボネートの製造方法に係るものである。
ここで、本発明において、「反応に供する」とは、「(重合)反応を行う反応槽に供給する」ことのみならず、その前段階として、「各原料を混合する原料調製槽に供給する」ことも含む。また、本発明において、「全ジヒドロキシ化合物」とは、下記式(1)で表される構造を有するジヒドロキシ化合物と、脂肪族および/または脂環式ジヒドロキシ化合物との合計を意味する。
本発明の特徴は、反応に供する全ジヒドロキシ化合物に含まれるアルデヒド量を特定のものとすることで、重合反応性を損なうことなく色調や熱安定性に優れたポリカーボネートの製造が可能であることを見出したことにある。
本発明のポリカーボネートの製造方法においては、原料ヒドロキシ化合物として、分子内に下記式(1)で表される構造を有するジヒドロキシ化合物を(以下、「ジヒドロキシ化合物(I)」と称することがある)、少なくとも1種類使用する。
ジヒドロキシ化合物(I)としては、具体的には、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソプロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−tert−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−シクロヘキシルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−tert−ブチル−6−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロポキシ)フェニル)フルオレン等で例示されるような、側鎖に芳香族基を有し、主鎖に芳香族基に結合したエーテル基を有する化合物、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールなどのオキシアルキレングリコール類、ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]ジフェニルメタン、1,1−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−1−フェニルエタン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[3,5−ジメチル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、1,1−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス[4−(2−−ヒドロキシエトキシ)フェニル]シクロヘキサン、1,4−−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]シクロヘキサン、1,3−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]シクロヘキサン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]プロパン、2,2−ビス[(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソプロピルフェニル]プロパン、2,2−ビス[3−tert−ブチル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−4−メチルペンタン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]オクタン、1,1−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]デカン、2,2−ビス[3−ブロモ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−シクロヘキシル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン等で例示されるような、ビス(ヒドロキシアルコキシアリール)アルカン類、1,1−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]シクロヘキサン、1,1−ビス[3−シクロヘキシル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]シクロヘキサン、1,1−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]シクロペンタン等で例示されるような、ビス(ヒドロキシアルコキシアリール)シクロアルカン類、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ジフェニルエ−テル、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−3,3’−ジメチルジフェニルエ−テル等で例示されるような、ジヒドロキシアルコキシジアリールエーテル類、4,4’−ビス(2−ヒドロキエトキシフェニル)スルフィド、4,4’−ビス[4−(2−ジヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル]スルフィド等で例示されるような、ビスヒドロキシアルコキシアリールスルフィド類、4,4’−ビス(2−ヒドロキエトキシフェニル)スルホキシド、4,4’−ビス[4−(2−ジヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル]スルホキシド等で例示されるような、ビスヒドロキシアルコキシアリールスルホキシド類、4,4’−ビス(2−ヒドロキエトキシフェニル)スルホン、4,4’−ビス[4−(2−ジヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル]スルホン等で例示されるような、ビスヒドロキシアルコキシアリールスルホン類、1,4−ビスヒドロキシエトキシベンゼン、1,3−ビスヒドロキシエトキシベンゼン、1,2−ビスヒドロキシエトキシベンゼン、1,3−ビス[2−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロピル]ベンゼン、1,4−ビス[2−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロピル]ベンゼン、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ビフェニル、1,3−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−5,7−ジメチルアダマンタン、下記式(2)で表されるジヒドロキシ化合物に代表される無水糖アルコール、および下記一般式(3)で表されるスピログリコール等の環状エーテル構造を有する化合物が挙げられ、これらは単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物としては、立体異性体の関係にある、イソソルビド、イソマンニド、イソイデットが挙げられ、これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
これらのジヒドロキシ化合物のうち、植物由来の資源として豊富に存在し、容易に入手可能な種々のデンプンから製造されるソルビトールを脱水縮合して得られるイソソルビドが、入手及び製造のし易さ、光学特性、成形性、カーボンニュートラルの面から最も好ましい。
ジヒドロキシ化合物(I)は通常25℃で固体であり、その融点は好ましくは40℃以上、さらに好ましくは50℃以上、特に好ましくは60℃以上であり、中でも220℃以下、好ましくは150℃以下、さらに好ましくは120℃以下、特には100℃以下であることが好ましい。融点が40℃未満であると、原料の調製中に予期せぬ融着や閉塞が起こり易くなり、融点が220℃を超えると原料調製に高温を必要とするため、得られるポリカーボネートの色調の悪化等の不具合を招く。ジヒドロキシ化合物の融点は、示差走査熱量計(DSC)を用いて、20℃/分で昇温した際の溶融ピークトップから求めることができる。
次に、本発明の製造方法では、ポリカーボネート原料としてジヒドロキシ化合物(I)以外の脂肪族および/または脂環式ジヒドロキシ化合物(以下、「ジヒドロキシ化合物(II)」と称す場合がある。)を、少なくとも1種類使用する。なお、ジヒドロキシ化合物(II)は、ポリカーボネート原料の他の原料である、ジヒドロキシ化合物(I)及び炭酸ジエステルと相溶性があるため、ジヒドロキシ化合物(II)が界面活性剤的な働きをすることで、すべてのポリカーボネート原料の均一混合に寄与する。
このジヒドロキシ化合物(II)としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,5−ヘプタンジオール、1,6−ヘキサンジオールのなどの脂肪族ジヒドロキシ化合物、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールなどのオキシアルキレングリコール類、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール、2,6−デカリンジメタノール、1,5−デカリンジメタノール、2,3−デカリンジメタノール、2,3−ノルボルナンジメタノール、2,5−ノルボルナンジメタノール、1,3−アダマンタンジメタノールなどの脂環式ジヒドロキシ化合物が挙げられる。
中でも、光学的特性、入手のしやすさ、取り扱いのしやすさという観点から、脂肪族ジヒドロキシ化合物としては、1,3−プロパンジオールが、また、脂環式ジヒドロキシ化合物としては、1,4−シクロヘキサンジメタノール及びトリシクロデカンジメタノールのうち少なくとも1種が特に好ましい。
このジヒドロキシ化合物(II)としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,5−ヘプタンジオール、1,6−ヘキサンジオールのなどの脂肪族ジヒドロキシ化合物、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールなどのオキシアルキレングリコール類、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール、2,6−デカリンジメタノール、1,5−デカリンジメタノール、2,3−デカリンジメタノール、2,3−ノルボルナンジメタノール、2,5−ノルボルナンジメタノール、1,3−アダマンタンジメタノールなどの脂環式ジヒドロキシ化合物が挙げられる。
中でも、光学的特性、入手のしやすさ、取り扱いのしやすさという観点から、脂肪族ジヒドロキシ化合物としては、1,3−プロパンジオールが、また、脂環式ジヒドロキシ化合物としては、1,4−シクロヘキサンジメタノール及びトリシクロデカンジメタノールのうち少なくとも1種が特に好ましい。
これらのジヒドロキシ化合物(II)を併用することにより、製造されるポリカーボネートの柔軟性の改善、耐熱性の向上、成形性の改善などの効果を得ることもできるが、ジヒドロキシ化合物(II)に由来する構成単位の含有割合が多過ぎると、本来の光学特性の性能の低下や、耐熱性の低下を招くことがある。そのため、本発明においては、ポリカーボネートを構成する全ジヒドロキシ化合物成分(ジヒドロキシ化合物(I)とジヒドロキシ化合物(II)の合計)に対するジヒドロキシ化合物(I)の割合が30〜99モル%、好ましくは40〜95モル%であることが好ましい。
なお、原料ジヒドロキシ化合物としては、本発明の目的を損なわない範囲で、ジヒドロキシ化合物(I)及びジヒドロキシ化合物(II)以外のジヒドロキシ化合物(以下、「その他のジヒドロキシ化合物」と称す場合がある。)に由来する構成単位を用いても良い。
その他のジヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[=ビスフェノールA]、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−(3,5−ジフェニル)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,4’−ジヒドロキシ−ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−5−ニトロフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジクロロジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−2,5−ジエトキシジフェニルエーテル等の芳香族ビスフェノール類が挙げられる。
なお、その他のジヒドロキシ化合物を原料ジヒドロキシ化合物として使用する場合には、前述の全ヒドロキシ化合物に、その他のジヒドロキシ化合物を含むものとする。また、その他のジヒドロキシ化合物の含有量は、全ジヒドロキシ化合物に対して50mol%以下であることが好ましく、より好ましくは30mol%以下であって、特には10mol%以下であることが好ましい。
なお、その他のジヒドロキシ化合物を原料ジヒドロキシ化合物として使用する場合には、前述の全ヒドロキシ化合物に、その他のジヒドロキシ化合物を含むものとする。また、その他のジヒドロキシ化合物の含有量は、全ジヒドロキシ化合物に対して50mol%以下であることが好ましく、より好ましくは30mol%以下であって、特には10mol%以下であることが好ましい。
上述の原料ジヒドロキシ化合物は、酸素によって徐々に酸化されやすく、酸化分解によってアルデヒド類が生成する。
例えば、ジヒドロキシ化合物(I)として好適なイソソルビドが酸化されると、アルデヒドであるフルフラールが生成する。
なお、原料ジヒドロキシ化合物の中でも、ジヒドロキシ化合物(II)は、1級のヒドロキシル基を有する場合が多く、アルデヒド類を生成しやすい。例えば、ジヒドロキシ化合物(II)として好適なトリシクロデカンジメタノールが酸化されると、アルデヒドであるトリシクロデカンモノアルデヒドやトリシクロデカンジアルデヒドが生成する。
分解生成物であるアルデヒド類を含むジヒドロキシ化合物を用いてポリカーボネートを製造すると、得られるポリカーボネートの着色を招いたり、物性を著しく劣化させたりするだけでなく、重合反応に影響を与え、高分子量の重合体が得られないこともある。
例えば、ジヒドロキシ化合物(I)として好適なイソソルビドが酸化されると、アルデヒドであるフルフラールが生成する。
なお、原料ジヒドロキシ化合物の中でも、ジヒドロキシ化合物(II)は、1級のヒドロキシル基を有する場合が多く、アルデヒド類を生成しやすい。例えば、ジヒドロキシ化合物(II)として好適なトリシクロデカンジメタノールが酸化されると、アルデヒドであるトリシクロデカンモノアルデヒドやトリシクロデカンジアルデヒドが生成する。
分解生成物であるアルデヒド類を含むジヒドロキシ化合物を用いてポリカーボネートを製造すると、得られるポリカーボネートの着色を招いたり、物性を著しく劣化させたりするだけでなく、重合反応に影響を与え、高分子量の重合体が得られないこともある。
本発明において、重合反応性を損なうことなく色調や熱安定性に優れたポリカーボネートの製造が可能なアルデヒドの量は、反応に供する全ジヒドロキシ化合物が含有するアルデヒド基濃度として、600μmol/mol以下であり、好ましくは550μmol/mol以下、更に好ましくは520μmol/mol以下である。なお、アルデヒド類含有量の測定は、例えば1H−NMRで行うことができる。
上記濃度を超えるアルデヒド類を含まないジヒドロキシ化合物を得るために、必要に応じて、上記原料ジヒドロキシ化合物に、活性炭処理や、イオン交換樹脂処理、蒸留など公知な手法を利用した精製方法を行うことが好ましい。
例えば、精製方法のひとつである、蒸留の手法としては、単蒸留、多段蒸留、薄膜蒸留などが挙げられ、これらは回分式、連続式の何れであっても良い。この中でも、本発明の目的を達成する簡易な方法として、単蒸留が好適に使用できる。また、単蒸留は得られるジヒドロキシ化合物の純度、透明性に影響を与えること無く数回繰り返し行うことができる。なお、本発明の製造方法で用いられるジヒドロキシ化合物は常圧での蒸気圧は低いことから、アルゴンや窒素などの不活性ガス雰囲気にした後、減圧下で蒸留を実施することが好ましく、熱による変性を可能な限り抑制するためには、250℃以下、好ましくは200℃以下、特には180℃以下で行うことが好ましい。この場合の、蒸留搭内の圧力は、一般に5〜400Paとなる。
上述のすべての原料ジヒドロキシ化合物は、還元剤、抗酸化剤、脱酸素剤、光安定剤、制酸剤、pH安定剤、熱安定剤等の安定剤を含んでいても良く、特に酸性下で変質しやすいことから、塩基性の安定剤を含むことが好ましい。塩基性の安定剤としては、長周期型周期表(Nomenclature of Inorganic Chemistry IUPAC Recommendations 2005)における1族または2族(以下、単に「1族」、「2族」と表記する。)の金属の水酸化物、炭酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、硼酸塩、脂肪酸塩や、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド等の塩基性アンモニウム化合物、4−アミノピリジン、2−アミノピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジン、2−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、4−メトキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、2−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、2−メチルイミダゾール、アミノキノリン等のアミン系化合物が挙げられる。その中でも、その効果と後述する蒸留除去のしやすさから、NaまたはKのリン酸塩、亜リン酸塩が好ましく、中でもリン酸水素2Na、亜リン酸水素2Naが好ましい。
これらの塩基性安定剤の含有量に特に制限はないが、少なすぎると効果がなく、多すぎると逆にジヒドロキシ化合物の変性を招くことがあるので、通常本発明の固体ジヒドロキシ化合物に対して、0.0001〜1重量%、好ましくは0.001〜0.1重量%である。
また、これらの塩基性安定剤は、除去せずにそのままポリカーボネートの原料として用いると、それ自体が重合触媒となり、重合速度や品質の制御が困難になるので、上述のアルデヒド類と同様に使用前にイオン交換樹脂や蒸留等で除去することが好ましい。
また、これらの塩基性安定剤は、除去せずにそのままポリカーボネートの原料として用いると、それ自体が重合触媒となり、重合速度や品質の制御が困難になるので、上述のアルデヒド類と同様に使用前にイオン交換樹脂や蒸留等で除去することが好ましい。
また、精製により、本発明の規定する範囲より多くのアルデヒド類を含まないジヒドロキシ化合物を得たとしても、その後の保管状態や還元剤、抗酸化剤、脱酸素剤、光安定剤、制酸剤、pH安定剤、熱安定剤等の安定剤の選択や使用量などにより、再びアルデヒド類が生成する場合がある。本発明においては、反応に供する全ジヒドロキシ化合物に含まれるアルデヒドが特定の量である必要があるため、必要に応じてアルデヒドの再生成を防止する必要があり、精製後のジヒドロキシ化合物は、水分量の少ない不活性ガス環境下で保管したり取り扱ったりすることが好ましい。より好ましくは、窒素またはアルゴン雰囲気下で扱うことであり、吸着乾燥装置や深冷分離装置により乾燥したものであることが特に好ましい。
本発明のポリカーボネートは、一般に用いられる重合方法で製造することができ、その重合方法は、ホスゲンを用いた溶液重合法、炭酸ジエステルと反応させる溶融重合法のいずれの方法でも良いが、重合触媒の存在下に、ジヒドロキシ化合物(I)と、ジヒドロキシ化合物(II)と、必要に応じて用いられるその他のジヒドロキシ化合物とを、より環境への毒性の低い炭酸ジエステルと反応させる溶融重合法が好ましい。
本発明で用いられる炭酸ジエステルとしては、通常、下記式(4)で表されるものが挙げられる。
上記式(4)で表される炭酸ジエステルとしては、例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネートに代表される置換ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート及びジ−t−ブチルカーボネート等が例示されるが、特に好ましくはジフェニルカーボネート及び置換ジフェニルカーボネートが挙げられる。これらの炭酸ジエステルは、1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
本発明においては、原料ジヒドロキシ化合物を、溶融した炭酸ジエステルへ供給し、混合して、ポリカーボネートの原料として用いることが好ましい。
原料ジヒドロキシ化合物である、ジヒドロキシ化合物(I)、ジヒドロキシ化合物(II)及びその他のジヒドロキシ化合物は、固体のまま溶融した炭酸ジエステルと混合しても良いし、溶融液、溶液、懸濁液とした後、溶融した炭酸ジエステルと混合しても良いが、各原料モノマーを迅速に均一に混合できることから、溶融液(溶融状態または溶解状態)で炭酸ジエステルに供給されることが好ましい。
ここで溶融液としては、溶融状態の液を利用することもできるし、使用時の温度で液体であるモノマーと混合して溶解状態とした液を利用することもできる。なお、「溶融状態」とは、それぞれの融点以上で、溶融した原料モノマーの状態を指すが、特に熱処理を必要とするわけではなく、例えば、ジヒドロキシ化合物(II)のうち、常温で液体のものについては、熱処理を行うことなくそのまま使用することもできる。
原料ジヒドロキシ化合物である、ジヒドロキシ化合物(I)、ジヒドロキシ化合物(II)及びその他のジヒドロキシ化合物は、固体のまま溶融した炭酸ジエステルと混合しても良いし、溶融液、溶液、懸濁液とした後、溶融した炭酸ジエステルと混合しても良いが、各原料モノマーを迅速に均一に混合できることから、溶融液(溶融状態または溶解状態)で炭酸ジエステルに供給されることが好ましい。
ここで溶融液としては、溶融状態の液を利用することもできるし、使用時の温度で液体であるモノマーと混合して溶解状態とした液を利用することもできる。なお、「溶融状態」とは、それぞれの融点以上で、溶融した原料モノマーの状態を指すが、特に熱処理を必要とするわけではなく、例えば、ジヒドロキシ化合物(II)のうち、常温で液体のものについては、熱処理を行うことなくそのまま使用することもできる。
他の好適な方法としては、前記ジヒドロキシ化合物の少なくとも1種を、予め溶融した炭酸ジエステルへ供給し混合した後、触媒の存在下に重合を行う方法が挙げられる。これにより、原料の熱劣化による重合性の悪化や、最終製品であるポリカーボネートの着色を抑制することができる。なお、先に供給するジヒドロキシ化合物は、固体でも溶融状態でもよいが溶融状態が好ましい。
溶融した原料ジヒドロキシ化合物を供給する時の温度は、溶融した炭酸ジエステルと混合させる時の温度と同温度とすることが望ましく、80℃以上250℃以下、好ましくは90℃以上200℃以下、更に好ましくは100℃以上150℃以下であり、中でも100℃以上120℃以下が好適である。温度が80℃未満であるとジヒドロキシ化合物が溶解しなかったり、溶解する場合でも溶解速度が不十分となり、しばしば溶融液の固化等の不具合を招きやすく、温度が250℃を超えるとジヒドロキシ化合物の熱劣化を招きやすい。
また、原料ジヒドロキシ化合物を、溶融した炭酸ジエステルと混合する操作は、酸素濃度10vol%以下、更には0.0001〜10vol%、中でも0.0001〜5vol%、特には0.0001〜1vol%の雰囲気下で行うことが、酸化分解生成物であるアルデヒド生成の抑制の観点から好ましい。
炭酸ジエステルは、反応に用いる全ジヒドロキシ化合物に対して、0.90〜1.10のモル比で用いることが好ましく、さらに好ましくは、0.96〜1.04のモル比である。このモル比が0.90より小さくなると、製造されたポリカーボネートの末端OH基が増加して、ポリマーの熱安定性が悪化したり、所望する高分子量体が得られなかったりする。また、このモル比が1.10より大きくなると、同一条件下ではエステル交換反応の速度が低下したり、所望とする分子量のポリカーボネートの製造が困難となるばかりか、製造されたポリカーボネート中の残存炭酸ジエステル量が増加し、この残存炭酸ジエステルが、成形時、又は成形品の臭気の原因となり好ましくない。
また、溶融重合における重合触媒(エステル交換触媒)としては、アルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物の少なくとも1種が好適に使用される。アルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物と共に、補助的に、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物等の塩基性化合物を併用することも可能であるが、アルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物の少なくとも1種のみを使用することが特に好ましい。 なお、本明細書において、「アルカリ金属」及び「アルカリ土類金属」という用語を、それぞれ、長周期型周期表(Nomenclature of Inorganic Chemistry IUPAC Recommendations 2005)における「第1族金属」及び「第2族金属」と同義として用いる。
重合触媒として用いられるアルカリ金属化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸セシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸セシウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素セシウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、フェニル化ホウ素カリウム、フェニル化ホウ素リチウム、フェニル化ホウ素セシウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸セシウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2リチウム、リン酸水素2セシウム、フェニルリン酸2ナトリウム、フェニルリン酸2カリウム、フェニルリン酸2リチウム、フェニルリン酸2セシウム、ナトリウム、カリウム、リチウム、セシウムのアルコレート、フェノレート、ビスフェノールAの2ナトリウム塩、2カリウム塩、2リチウム塩、2セシウム塩等が挙げられる。
また、アルカリ土類金属化合物としては、例えば、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、酢酸カルシウム、酢酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ストロンチウム等が挙げられる。
これらのアルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物は1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
また、アルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物のうち少なくとも1種と併用される塩基性ホウ素化合物の具体例としては、テトラメチルホウ素、テトラエチルホウ素、テトラプロピルホウ素、テトラブチルホウ素、トリメチルエチルホウ素、トリメチルベンジルホウ素、トリメチルフェニルホウ素、トリエチルメチルホウ素、トリエチルベンジルホウ素、トリエチルフェニルホウ素、トリブチルベンジルホウ素、トリブチルフェニルホウ素、テトラフェニルホウ素、ベンジルトリフェニルホウ素、メチルトリフェニルホウ素、ブチルトリフェニルホウ素等のナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、マグネシウム塩、あるいはストロンチウム塩等が挙げられる。
塩基性リン化合物としては、例えば、トリエチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、あるいは四級ホスホニウム塩等が挙げられる。
塩基性アンモニウム化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
アミン系化合物としては、例えば、4−アミノピリジン、2−アミノピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジン、2−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、4−メトキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、2−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、2−メチルイミダゾール、アミノキノリン等が挙げられる。
これらの塩基性化合物も1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
上記重合触媒の使用量は、アルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物のうち少なくとも1種を用いる場合、反応に用いる全ジヒドロキシ化合物1molに対して、金属換算量として、通常、0.1〜100μmolの範囲内で用い、好ましくは0.5〜50μmolの範囲内であり、さらに好ましくは1〜25μmolの範囲内である。重合触媒の使用量が少なすぎると、所望の分子量のポリカーボネートを製造するのに必要な重合活性が得られず、一方、重合触媒の使用量が多すぎると、得られるポリカーボネートの色相が悪化し、副生成物が発生したりして流動性の低下やゲルの発生が多くなり、目標とする品質のポリカーボネートの製造が困難になる。
以下に本発明の好ましい態様を、図を用いて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1において、1は固体ジヒドロキシ化合物の受入ホッパー、2は定量フィーダー、3はジャケットを具備した撹拌槽、4は抜出用ラインである。
固体のジヒドロキシ化合物(I)は、必要に応じて粉砕され、受入ホッパー(1)に供給される。受入ホッパー(1)の底部コーン角は好ましくは120度以下であり、内部を減圧にし、窒素置換する設備が付帯され(図示せず)、固体のジヒドロキシ化合物(I)を受け入れた後、減圧と窒素置換を繰り返し、ホッパー内部の酸素濃度を低下させる。撹拌槽(3)内部は、あらかじめ窒素置換して酸素濃度を1vol%以下に保った上で加温し、溶融したジヒドロキシ化合物を敷液しておく。次に、撹拌槽(3)を一定温度幅に制御しながら、定量フィーダー(2)で固体のジヒドロキシ化合物(I)を供給する。この時、必要に応じ撹拌や窒素バブリングを実施し、内部を均一に溶融させる。溶融が終了した後、抜出用ライン(4)を通じて、次の工程、好ましくは蒸留精製工程に供給する。ジヒドロキシ化合物(I)の溶融速度が十分大きい場合には、連続して固体状態のジヒドロキシ化合物(I)を供給しながら、連続的に抜き出すこともできる。また、ジヒドロキシ化合物(II)やその他のジヒドロキシ化合物が固体の場合には、同様な設備を使用して溶融される。
図1において、1は固体ジヒドロキシ化合物の受入ホッパー、2は定量フィーダー、3はジャケットを具備した撹拌槽、4は抜出用ラインである。
固体のジヒドロキシ化合物(I)は、必要に応じて粉砕され、受入ホッパー(1)に供給される。受入ホッパー(1)の底部コーン角は好ましくは120度以下であり、内部を減圧にし、窒素置換する設備が付帯され(図示せず)、固体のジヒドロキシ化合物(I)を受け入れた後、減圧と窒素置換を繰り返し、ホッパー内部の酸素濃度を低下させる。撹拌槽(3)内部は、あらかじめ窒素置換して酸素濃度を1vol%以下に保った上で加温し、溶融したジヒドロキシ化合物を敷液しておく。次に、撹拌槽(3)を一定温度幅に制御しながら、定量フィーダー(2)で固体のジヒドロキシ化合物(I)を供給する。この時、必要に応じ撹拌や窒素バブリングを実施し、内部を均一に溶融させる。溶融が終了した後、抜出用ライン(4)を通じて、次の工程、好ましくは蒸留精製工程に供給する。ジヒドロキシ化合物(I)の溶融速度が十分大きい場合には、連続して固体状態のジヒドロキシ化合物(I)を供給しながら、連続的に抜き出すこともできる。また、ジヒドロキシ化合物(II)やその他のジヒドロキシ化合物が固体の場合には、同様な設備を使用して溶融される。
溶融され、必要に応じ精製されたジヒドロキシ化合物(I)は、図2のライン(5A)を通じて熱媒ジャケット付きの貯槽(5)に送られる。また、溶融された、あるいは液体状のジヒドロキシ化合物(II)は、図2のライン(7A)を通じて熱媒ジャケット付きの貯槽(7)に送られる。一方、外部から溶融状態で供給された炭酸ジエステルはライン(6A)から熱媒ジャケット付きの貯槽(6)に送られ、ライン(6B)を経由して熱媒ジャケットと撹拌装置を具備した原料調製槽(8)に、定量ポンプ(図示せず)または流量計(図示せず)で定量し、一定量送られる。溶融状態(液体)のジヒドロキシ化合物(I)及びジヒドロキシ化合物(II)は、それぞれ貯槽(5)及び貯槽(7)から、定量ポンプ(図示せず)または流量計(図示せず)で定量し、所定量原料調製槽(8)に送られ、ジャケットで内温を制御しながら、溶融した炭酸ジエステルと攪拌機で均一に混合され、ポリカーボネートの原料として使用される。
貯槽は、複数設けてその他のジヒドロキシ化合物を供給することもできる。調製が終わった原料は必要に応じ、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルのモル比を分析した後、ライン(8A)を通じて、反応槽(9)へ供給される。
反応槽(9)に導入された原料ジヒドロキシ化合物は、重縮合反応が進められた後、ライン(9A)より抜出用ギヤポンプ(図示せず)を用いて、ダイスヘッド(図示せず)から溶融したストランドの形態で抜き出され、水などで冷却された後、回転式カッター(図示せず)で切断されてペレットとなる。9Bはベント管であり、必要に応じコンデンサ(図示せず)を経て、真空ポンプ(図示せず)に接続されている。
ライン(5A)、(5B)、(6A)、(6B)、(7A)、(7B)、(8A)は、内容物が固化しない程度に保温または加温しておき、ライン(8A)には必要に応じ異物を除去するためのフィルターを設置する。溶融した炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物の混合はバッチ式で行うこともできるし、連続的に行うこともできる。重合触媒は原料調製槽(8)に添加することもできるし、反応槽(9)に直接添加することもできるが、供給の安定性、重合の制御の観点からはライン(8A)の途中に触媒供給ラインを設置し(図示せず)供給することが好ましい。
なお、本実施形態では、原料を均一混合するための原料調製槽(8)を設けたが、必ずしも必要でなく、量が少なく相溶性の高い原料の場合などには反応槽(9)に直接原料を供給してもよい。
反応槽(9)に導入された原料ジヒドロキシ化合物は、重縮合反応が進められた後、ライン(9A)より抜出用ギヤポンプ(図示せず)を用いて、ダイスヘッド(図示せず)から溶融したストランドの形態で抜き出され、水などで冷却された後、回転式カッター(図示せず)で切断されてペレットとなる。9Bはベント管であり、必要に応じコンデンサ(図示せず)を経て、真空ポンプ(図示せず)に接続されている。
ライン(5A)、(5B)、(6A)、(6B)、(7A)、(7B)、(8A)は、内容物が固化しない程度に保温または加温しておき、ライン(8A)には必要に応じ異物を除去するためのフィルターを設置する。溶融した炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物の混合はバッチ式で行うこともできるし、連続的に行うこともできる。重合触媒は原料調製槽(8)に添加することもできるし、反応槽(9)に直接添加することもできるが、供給の安定性、重合の制御の観点からはライン(8A)の途中に触媒供給ラインを設置し(図示せず)供給することが好ましい。
なお、本実施形態では、原料を均一混合するための原料調製槽(8)を設けたが、必ずしも必要でなく、量が少なく相溶性の高い原料の場合などには反応槽(9)に直接原料を供給してもよい。
ジヒドロキシ化合物(I)及びジヒドロキシ化合物(II)に含まれるアルデヒド類の量は、原料調製槽(8)に供給される前段階で測定してもよいし、原料調製槽(8)で調製後に測定してもよい。
この場合、貯槽(5)、貯槽(7)及び原料調製槽(8)で測定してもよいが、ライン(5B)、(7B)、(8A)にサンプル口を設け、サンプリングすることが操作性の観点から望ましい。
また、ジヒドロキシ化合物(I)及びジヒドロキシ化合物(II)以外のその他のジヒドロキシ化合物を使用する場合も、同様にサンプリングすればよい。
この場合、貯槽(5)、貯槽(7)及び原料調製槽(8)で測定してもよいが、ライン(5B)、(7B)、(8A)にサンプル口を設け、サンプリングすることが操作性の観点から望ましい。
また、ジヒドロキシ化合物(I)及びジヒドロキシ化合物(II)以外のその他のジヒドロキシ化合物を使用する場合も、同様にサンプリングすればよい。
本発明において、原料ジヒドロキシ化合物と重合触媒の存在下で炭酸ジエステルと反応させる方法は、通常、2段階以上の多段工程で実施される。具体的には、第1段目の反応は140〜220℃、好ましくは150〜200℃の温度で0.1〜10時間、好ましくは0.5〜3時間実施される。第2段目以降は、反応系の圧力を第1段目の圧力から徐々に下げながら、同時に発生するフェノールを反応系外へ除きながら、最終的には反応系の圧力が200Pa以下で、210〜280℃の温度範囲のもとで重縮合反応を行う。
また、重合反応後半の重合速度の低下を抑止し、熱履歴による劣化を最小限に抑えるためには、重合の最終段階でプラグフロー性と界面更新性に優れた横型反応器を使用することが好ましい。
また、重合反応後半の重合速度の低下を抑止し、熱履歴による劣化を最小限に抑えるためには、重合の最終段階でプラグフロー性と界面更新性に優れた横型反応器を使用することが好ましい。
この重合反応においては、温度と反応系内の圧力のバランスを制御することが重要である。特に、温度、圧力のどちらか一方でも早く変化させすぎると、未反応のモノマーが留出し、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルのモル比を狂わせ、重合度が低下することがある。これを防止するために、第1段目等、初期の反応器に還流冷却器を用いることは有効である。
本発明のポリカーボネートを溶融重合法で製造する際に、着色や熱劣化を防止する目的で、熱安定剤を重合時または重合終了時に添加することができる。中でも、重合反応が終了した後、二軸の押出機等を用いて添加することが好ましい。
熱安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸及びこれらのエステル等が挙げられ、具体的には、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート、4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、ベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。なかでも、トリスノニルフェニルホスファイト、トリメチルホスフェート、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、及びベンゼンホスホン酸ジメチルが好ましく使用される。
熱安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸及びこれらのエステル等が挙げられ、具体的には、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート、4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、ベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。なかでも、トリスノニルフェニルホスファイト、トリメチルホスフェート、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、及びベンゼンホスホン酸ジメチルが好ましく使用される。
別の熱安定剤としては、例えば、イルガノックス1010、同1076(チバガイギー社製)等のヒンダードフェノール化合物を使用することもできる。これらの熱安定剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。かかる熱安定剤は、溶融重合時に添加した添加量に加えて更に追加で配合することもできる。
これらの熱安定剤の配合量は、ポリカーボネートを100重量部とした場合、0.0001〜1重量部が好ましく、0.0005〜0.5重量部がより好ましく、0.001〜0.2重量部が更に好ましい。
また、本発明のポリカーボネートには、溶融成形時の金型からの離型性をより向上させるために、本発明の目的を損なわない範囲で離型剤を配合することも可能である。
かかる離型剤としては、一価又は多価アルコールの高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸、パラフィンワックス、蜜蝋、オレフィン系ワックス、カルボキシ基及び/又はカルボン酸無水物基を含有するオレフィン系ワックス、シリコーンオイル、オルガノポリシロキサン等が挙げられる。
高級脂肪酸エステルとしては、炭素原子数1〜20の一価又は多価アルコールと炭素原子数10〜30の飽和脂肪酸との部分エステル又は全エステルが好ましい。かかる一価又は多価アルコールと飽和脂肪酸との部分エステル又は全エステルとしては、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸ジグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸モノソルビテート、ステアリン酸ステアリル、ベヘニン酸モノグリセリド、ベヘニン酸ベヘニル、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラペラルゴネート、プロピレングリコールモノステアレート、ステアリルステアレート、パルミチルパルミテート、ブチルステアレート、メチルラウレート、イソプロピルパルミテート、ビフェニルビフェネ−ト、ソルビタンモノステアレート、2−エチルヘキシルステアレート等が挙げられる。
なかでも、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ベヘニン酸ベヘニルが好ましく用いられる。
高級脂肪酸としては、炭素原子数10〜30の飽和脂肪酸が好ましい。かかる脂肪酸としては、ミリスチン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸などが挙げられる。
これらの離型剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
かかる離型剤の配合量は、ポリカーボネートを100重量部とした場合、0.01〜5重量部が好ましい。
本発明のポリカーボネートと上述のような各種の添加剤との配合は、例えばタンブラー、V型ブレンダー、スーパーミキサー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等で混合する方法、あるいは上記各成分を例えば塩化メチレンなどの共通の良溶媒に溶解させた状態で混合する溶液ブレンド方法などがあるが、これは特に限定されるものではなく、通常用いられるポリマーブレンド方法であればどのような方法を用いてもよいが、中でも、重合が終了した後に、好ましくは溶融状態のまま、一軸または二軸、中でも二軸の押出機で混合することが好ましい。押出機にベント口を設け脱揮処理することで、残存モノマーや揮発物を除去することもできる。
押出機の溶融混練温度は、本発明のポリカーボネートのガラス転移温度や分子量に依存するが、通常150〜300℃、好ましくは200〜270℃である。溶融混練温度が150℃より低いと、ポリカーボネートの溶融粘度が高く、押出機への負荷が大きくなり、生産性が低下する。300℃より高いと、ポリカーボネートの熱劣化が激しくなり、分子量の低下による機械的強度の低下や着色、ガスの発生を招く。
本発明のポリカーボネートの製造方法においては、異物の混入を防止するため、フィルターを設置することが望ましい。フィルターの設置位置は押出機の下流側が好ましく、フィルターの異物除去の大きさ(目開き)は、99%除去の濾過精度として100μm以下が好ましい。特に、異物の混入を嫌う場合は、40μm以下、さらには10μm以下が好ましい。
本発明におけるポリカーボネートの押出は、押出後の異物混入を防止するために、クリーンルーム中で実施することが望ましい。
また、押出されたポリカーボネートを冷却しチップ化する際は、空冷、水冷等の冷却方法を使用するのが好ましい。空冷の際に使用する空気は、ヘパフィルター等で空気中の異物を事前に取り除いた空気を使用し、空気中の異物の再付着を防ぐのが望ましい。水冷を使用する際は、イオン交換樹脂等で水中の金属分を取り除き、さらにフィルターにて、水中の異物を取り除いた水を使用することが望ましい。用いるフィルターの目開きは、99%除去の濾過精度として10〜0.45μmであることが好ましい。
こうして得られる本発明のポリカーボネート或いは、これに各種添加剤を添加してなるポリカーボネート組成物は、そのまま、又は溶融押出機で一旦ペレット状にしてから、射出成形法、押出成形法、圧縮成形法等の通常知られている方法で成形物にすることができる。
本発明の製造方法で製造された、ポリカーボネートは例えば、フィルム、シート分野、または、カメラレンズ、ファインダーレンズ、CCDやCMOS用レンズなどのレンズ分野、さらには、液晶やプラズマディスプレイなどに利用される位相差フィルム、拡散シート、偏光フィルムなどのフィルムとして用いることができる。
以下に本発明の実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらの実施例によって限定されるものではない。
なお、反応に用いたイソソルビド(以下、「ISB」と略称することがある)はロケットフルーレ社製、又は三光化学社製、トリシクロデカンジメタノール(以下、「TCDDM」と略称することがある)はセラニーズ社製、ジフェニルカーボネートは三菱化学社製、炭酸セシウムは和光純薬社製である。
なお、反応に用いたイソソルビド(以下、「ISB」と略称することがある)はロケットフルーレ社製、又は三光化学社製、トリシクロデカンジメタノール(以下、「TCDDM」と略称することがある)はセラニーズ社製、ジフェニルカーボネートは三菱化学社製、炭酸セシウムは和光純薬社製である。
<純度の測定>
下記装置を用い、純度の測定を実施した。
ガスクロマトグラフ:HP6890(ヒューレット・パッカード社製)
カラム:DB−1(J&W Scientific社製)
測定サンプルは試薬特級アセトニトリルにて、20〜100倍に希釈した。
下記装置を用い、純度の測定を実施した。
ガスクロマトグラフ:HP6890(ヒューレット・パッカード社製)
カラム:DB−1(J&W Scientific社製)
測定サンプルは試薬特級アセトニトリルにて、20〜100倍に希釈した。
<還元粘度の測定>
中央理化製DT−504型自動粘度計にてウベローデ型粘度計を用い、溶媒として、フェノールと1,1,2,2−テトラクロロエタンの1:1混合溶媒を用い、温度30.0℃±0.1℃で測定した。濃度は1.00g/dLになるように、精密に調製した。
サンプルは120℃で攪拌しながら、30分で溶解し、冷却後測定に用いた。
溶媒の通過時間t0、溶液の通過時間tから、下記式より相対粘度ηrelを求め、
ηrel=t/t0
相対粘度ηrelから、下記式より比粘度ηspを求めた。
ηsp=(η−η0)/η0=ηrel−1
比粘度ηspを濃度c(g/dL)で割って、下記式より還元粘度(換算粘度)ηredを求めた。
ηred=ηsp/c
なお、この数値が高いほど分子量が大きい。
中央理化製DT−504型自動粘度計にてウベローデ型粘度計を用い、溶媒として、フェノールと1,1,2,2−テトラクロロエタンの1:1混合溶媒を用い、温度30.0℃±0.1℃で測定した。濃度は1.00g/dLになるように、精密に調製した。
サンプルは120℃で攪拌しながら、30分で溶解し、冷却後測定に用いた。
溶媒の通過時間t0、溶液の通過時間tから、下記式より相対粘度ηrelを求め、
ηrel=t/t0
相対粘度ηrelから、下記式より比粘度ηspを求めた。
ηsp=(η−η0)/η0=ηrel−1
比粘度ηspを濃度c(g/dL)で割って、下記式より還元粘度(換算粘度)ηredを求めた。
ηred=ηsp/c
なお、この数値が高いほど分子量が大きい。
<アルデヒド含有量の測定(NMR測定)>
以下のようにして、アルデヒド含有量を測定した。
測定サンプルを10〜12mg秤量し、溶媒として、重クロロホルム0.7ml(安定剤として銀箔入り)を用い、室温で溶解した。サンプルを5mmのNMR管に入れ、Bruker社製「AVANCE400」にて、共鳴周波数400MHz、フリップ角45°、照射時間4秒、待ち時間6秒、積算128回で、測定温度25℃にて、1H−NMRを測定した。
アルデヒド量は、例えばTCDDMの場合、TCDDMのヒドロキシル基に隣接するメチレン基に由来する、3.96ppmから3.10ppmのプロトン 4H分の積分値を100として、9.67ppmから9.47ppmの領域を積算し積分値を得、以下の式からアルデヒド量を計算した。
TCDDM1molに対するアルデヒド量(μmol)
=(9.67から9.47ppmの積分値)/(3.96から3.10ppmの積分値/4)×1000000
=(9.67から9.47ppmの積分値)/25×1000000
以下のようにして、アルデヒド含有量を測定した。
測定サンプルを10〜12mg秤量し、溶媒として、重クロロホルム0.7ml(安定剤として銀箔入り)を用い、室温で溶解した。サンプルを5mmのNMR管に入れ、Bruker社製「AVANCE400」にて、共鳴周波数400MHz、フリップ角45°、照射時間4秒、待ち時間6秒、積算128回で、測定温度25℃にて、1H−NMRを測定した。
アルデヒド量は、例えばTCDDMの場合、TCDDMのヒドロキシル基に隣接するメチレン基に由来する、3.96ppmから3.10ppmのプロトン 4H分の積分値を100として、9.67ppmから9.47ppmの領域を積算し積分値を得、以下の式からアルデヒド量を計算した。
TCDDM1molに対するアルデヒド量(μmol)
=(9.67から9.47ppmの積分値)/(3.96から3.10ppmの積分値/4)×1000000
=(9.67から9.47ppmの積分値)/25×1000000
<カラー(L/a/b値)の測定>
下記装置を用い、カラー(L/a/b値)の測定を実施した。
カラーメーター: 300A(日本電色社製)
ガラスセルに、チップ(チップ径2〜5mm、チップ長2〜5mm)を所定量入れ、標準白板で装置校正後、反射測定で測定し、b値を測定した。
この数値が小さいほど、黄色みが小さい。
下記装置を用い、カラー(L/a/b値)の測定を実施した。
カラーメーター: 300A(日本電色社製)
ガラスセルに、チップ(チップ径2〜5mm、チップ長2〜5mm)を所定量入れ、標準白板で装置校正後、反射測定で測定し、b値を測定した。
この数値が小さいほど、黄色みが小さい。
<TCDDMの熱処理サンプルの取得>
TCDDMをガラス容器に約100gを入れ、窒素置換、空気下、減圧脱気後窒素置換のサンプルを所定温度のオイルバスに入れ、所定時間保管してサンプルを得た。
TCDDMをガラス容器に約100gを入れ、窒素置換、空気下、減圧脱気後窒素置換のサンプルを所定温度のオイルバスに入れ、所定時間保管してサンプルを得た。
[実施例1]
ISB26.8重量部(0.487mol)に対して、TCDDM15.4重量部(0.209mol)、ジフェニルカーボネート(以下、DPCと略称することがある)57.8重量部(0.716mol)、及び触媒として、炭酸セシウム2.83×10-4重量部(0.87×10-6mol)(0.2%水溶液として調製)を反応槽に投入し、窒素雰囲気下にて、反応の第1段目の工程として、反応槽の内温を150℃に加熱し、必要に応じて攪拌しながら、原料を溶解させた(約60分)。
反応に用いたTCDDMは、購入し、熱処理を加えずに使用した。このTCDDMのNMRチャートを図3に示す。NMRから決めたアルデヒド含有量が、TCDDM1molに対して1780μmolであった。
次いで、圧力を常圧から13.3kPaに40分で減圧し、その後保持した。減圧開始と同時に、反応槽の内温を150から220℃まで70分で上昇させながら、発生するフェノールを反応槽外へ抜き出した。220℃、13.3kPaで10分保持した。
ISB26.8重量部(0.487mol)に対して、TCDDM15.4重量部(0.209mol)、ジフェニルカーボネート(以下、DPCと略称することがある)57.8重量部(0.716mol)、及び触媒として、炭酸セシウム2.83×10-4重量部(0.87×10-6mol)(0.2%水溶液として調製)を反応槽に投入し、窒素雰囲気下にて、反応の第1段目の工程として、反応槽の内温を150℃に加熱し、必要に応じて攪拌しながら、原料を溶解させた(約60分)。
反応に用いたTCDDMは、購入し、熱処理を加えずに使用した。このTCDDMのNMRチャートを図3に示す。NMRから決めたアルデヒド含有量が、TCDDM1molに対して1780μmolであった。
次いで、圧力を常圧から13.3kPaに40分で減圧し、その後保持した。減圧開始と同時に、反応槽の内温を150から220℃まで70分で上昇させながら、発生するフェノールを反応槽外へ抜き出した。220℃、13.3kPaで10分保持した。
第2段目の工程として、反応槽の内温を230℃まで、10分で上昇させた。同時に、反応槽内の圧力を30分で0.200kPa以下とし、発生するフェノールを溜出させた。所定の攪拌トルクに到達後、反応を終了し、生成した反応物を水中に押し出して、ポリカーボネート共重合体のペレットを得た。150℃に加熱し始めてからの時間を反応時間と定義すると223分で、所定トルクである、10回転0.5Nmに到達した。
得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は0.672dL/g、カラーb値は9.4であった。これらの結果を表1に示す。なお、表1において、DPC/(ISB+TCDDM)は、DPCのISBとTCDDMとの合計に対するモル比であり、(ISB+TCDDM)中のアルデヒド含有量は、TCDDM中のアルデヒド含有量を用いて表したISBとTCDDMとの合計に対するモル比である。
[実施例2]
ISB26.8重量部(0.487mol)に対して、TCDDM15.4重量部(0.209mol)、DPC57.8重量部(0.716mol)、及び触媒として、炭酸セシウム2.83×10-4重量部(0.87×10-6mol)(0.2%水溶液として調製)を反応槽に投入し、窒素雰囲気下にて、反応の第1段目の工程として、反応槽の内温を150℃に加熱し、必要に応じて攪拌しながら、原料を溶解させた(約60分)。
反応に用いたTCDDMは、常圧から真空(0.2kPa)にして5分保持する脱気処理を3回繰り返した後、150℃で24時間保持したものである。このTCDDMのNMRチャートを図4に示す。NMRから決めたアルデヒド含有量は、TCDDM1molに対して1724μmolであった。
次いで、圧力を常圧から13.3kPaに40分で減圧し、その後保持した。減圧開始と同時に、反応槽の内温を150から220℃まで70分で上昇させながら、発生するフェノールを反応槽外へ抜き出した。 220℃、13.3kPaで10分保持した。
ISB26.8重量部(0.487mol)に対して、TCDDM15.4重量部(0.209mol)、DPC57.8重量部(0.716mol)、及び触媒として、炭酸セシウム2.83×10-4重量部(0.87×10-6mol)(0.2%水溶液として調製)を反応槽に投入し、窒素雰囲気下にて、反応の第1段目の工程として、反応槽の内温を150℃に加熱し、必要に応じて攪拌しながら、原料を溶解させた(約60分)。
反応に用いたTCDDMは、常圧から真空(0.2kPa)にして5分保持する脱気処理を3回繰り返した後、150℃で24時間保持したものである。このTCDDMのNMRチャートを図4に示す。NMRから決めたアルデヒド含有量は、TCDDM1molに対して1724μmolであった。
次いで、圧力を常圧から13.3kPaに40分で減圧し、その後保持した。減圧開始と同時に、反応槽の内温を150から220℃まで70分で上昇させながら、発生するフェノールを反応槽外へ抜き出した。 220℃、13.3kPaで10分保持した。
第2段目の工程として、反応槽の内温を230℃まで、10分で上昇させた。同時に、反応槽内の圧力を30分で0.200kPa以下とし、発生するフェノールを溜出させた。所定の攪拌トルクに到達後、反応を終了し、生成した反応物を水中に押し出して、ポリカーボネート共重合体のペレットを得た。150℃に加熱し始めてからの時間を反応時間と定義すると208分で、所定トルクである、10回転0.5Nmに到達した。
得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は0.697dL/g、カラーb値は8.6であった。これらの結果を表1に示す。
[比較例1]
ISB26.8重量部(0.487mol)に対して、TCDDM15.4重量部(0.209mol)、DPC57.8重量部(0.716mol)、及び触媒として、炭酸セシウム2.83×10-4重量部(0.87×10-6mol)(0.2%水溶液として調製)を反応槽に投入し、窒素雰囲気下にて、反応の第1段目の工程として、反応槽の内温を150℃に加熱し、必要に応じて攪拌しながら、原料を溶解させた(約60分)。
反応に用いたTCDDMは、脱気処理をせずに、窒素雰囲気下で100℃で24時間保持したものである。このTCDDMのNMRチャートを図5に示す。NMRから決めたアルデヒド含有量が、TCDDM1molに対して2600μmolであった。
次いで、圧力を常圧から13.3kPaに40分で減圧し、その後保持した。減圧開始と同時に、反応槽の内温を150から220℃まで70分で上昇させながら、発生するフェノールを反応槽外へ抜き出した。220℃、13.3kPaで10分保持した。
ISB26.8重量部(0.487mol)に対して、TCDDM15.4重量部(0.209mol)、DPC57.8重量部(0.716mol)、及び触媒として、炭酸セシウム2.83×10-4重量部(0.87×10-6mol)(0.2%水溶液として調製)を反応槽に投入し、窒素雰囲気下にて、反応の第1段目の工程として、反応槽の内温を150℃に加熱し、必要に応じて攪拌しながら、原料を溶解させた(約60分)。
反応に用いたTCDDMは、脱気処理をせずに、窒素雰囲気下で100℃で24時間保持したものである。このTCDDMのNMRチャートを図5に示す。NMRから決めたアルデヒド含有量が、TCDDM1molに対して2600μmolであった。
次いで、圧力を常圧から13.3kPaに40分で減圧し、その後保持した。減圧開始と同時に、反応槽の内温を150から220℃まで70分で上昇させながら、発生するフェノールを反応槽外へ抜き出した。220℃、13.3kPaで10分保持した。
第2段目の工程として、反応槽の内温を230℃まで、10分で上昇させた。同時に、反応槽内の圧力を30分で0.200kPa以下とし、発生するフェノールを溜出させた。所定の攪拌トルクに到達しなかったので、反応を終了し、生成した反応物を水中に押し出して、ポリカーボネート共重合体のペレットを得た。150℃に加熱し始めてからの時間を反応時間と定義すると300分たっても、所定トルクである、10回転0.5Nmに到達せず、0.27Nmで頭打ちとなった。
得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は0.606dL/g、カラーb値は10.3であった。これらの結果を表1に示す。
[比較例2]
ISB26.8重量部(0.487mol)に対して、TCDDM15.4重量部(0.209mol)、DPC57.8重量部(0.716mol)、及び触媒として、炭酸セシウム2.83×10-4重量部(0.87×10-6mol)(0.2%水溶液として調製)を反応槽に投入し、窒素雰囲気下にて、反応の第1段目の工程として、反応槽の内温を150℃に加熱し、必要に応じて攪拌しながら、原料を溶解させた(約60分)。
反応に用いたTCDDMは、脱気処理をせずに、窒素雰囲気下で150℃で24時間保持したものである。このTCDDMのNMRチャートを図6に示す。NMRから決めたアルデヒド含有量が、TCDDM1molに対して2056μmolであった。
次いで、圧力を常圧から13.3kPaに40分で減圧し、その後保持した。減圧開始と同時に、反応槽の内温を150℃から220℃まで70分で上昇させながら、発生するフェノールを反応槽外へ抜き出した。220℃、13.3kPaで10分保持した。
ISB26.8重量部(0.487mol)に対して、TCDDM15.4重量部(0.209mol)、DPC57.8重量部(0.716mol)、及び触媒として、炭酸セシウム2.83×10-4重量部(0.87×10-6mol)(0.2%水溶液として調製)を反応槽に投入し、窒素雰囲気下にて、反応の第1段目の工程として、反応槽の内温を150℃に加熱し、必要に応じて攪拌しながら、原料を溶解させた(約60分)。
反応に用いたTCDDMは、脱気処理をせずに、窒素雰囲気下で150℃で24時間保持したものである。このTCDDMのNMRチャートを図6に示す。NMRから決めたアルデヒド含有量が、TCDDM1molに対して2056μmolであった。
次いで、圧力を常圧から13.3kPaに40分で減圧し、その後保持した。減圧開始と同時に、反応槽の内温を150℃から220℃まで70分で上昇させながら、発生するフェノールを反応槽外へ抜き出した。220℃、13.3kPaで10分保持した。
第2段目の工程として、反応槽の内温を230℃まで、10分で上昇させた。同時に、反応槽内の圧力を30分で0.200kPa以下とし、発生するフェノールを溜出させた。所定の攪拌トルクに到達してなかったので、反応を終了し、生成した反応物を水中に押し出して、ポリカーボネート共重合体のペレットを得た。150℃に加熱し始めてからの時間を反応時間と定義すると300分たっても、所定トルクである、10回転0.5Nmに到達せず、0.17Nmで頭打ちとなった。
得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は0.572dL/g、カラーb値は9.2であった。これらの結果を表1に示す。
[比較例3]
ISB26.9重量部(0.487mol)に対して、TCDDM15.5重量部(0.209mol)、DPC57.5重量部(0.709mol)、及び触媒として、炭酸セシウム2.83×10-4重量部(0.87×10-6mol)(0.2%水溶液として調製)とした以外は、比較例1と同様に行った。
所定の攪拌トルクに到達後、反応を終了し、生成した反応物を水中に押し出して、ポリカーボネート共重合体のペレットを得た。150℃に加熱し始めてからの時間を反応時間と定義すると240分で、所定トルクである、10回転0.5Nmに到達した。
ISB26.9重量部(0.487mol)に対して、TCDDM15.5重量部(0.209mol)、DPC57.5重量部(0.709mol)、及び触媒として、炭酸セシウム2.83×10-4重量部(0.87×10-6mol)(0.2%水溶液として調製)とした以外は、比較例1と同様に行った。
所定の攪拌トルクに到達後、反応を終了し、生成した反応物を水中に押し出して、ポリカーボネート共重合体のペレットを得た。150℃に加熱し始めてからの時間を反応時間と定義すると240分で、所定トルクである、10回転0.5Nmに到達した。
得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は0.675dL/g、カラーb値は10.5であった。これらの結果を表1に示す。
実施例と比較例からわかるように、反応に供したTCDDM中のアルデヒド量が多くなると、反応速度が遅くなり、樹脂カラーb値が劣化することがわかる。これはTCDDMの水酸基のモル数が変化したためである。DPCと全ジヒドロキシ化合物のモル比を変えると末端のバランスが調整でき、還元粘度が上昇するが、カラーが劣化する。
以上のことから、ジヒドロキシ化合物中のアルデヒド残基量を制御することで、安定してイソソルビドを含むポリカーボネートを製造することができる。
また、連続重合実施する際に、原料であるTCDDMなどのジヒドロキシ化合物は流動性を確保するために、温度あげて保管するが、その際に脱気処理を実施することで、アルデヒド残基の生成を防止でき、安定してイソソルビドを含むポリカーボネートを製造することができ、工業的に有用であることがわかる。
以上のことから、ジヒドロキシ化合物中のアルデヒド残基量を制御することで、安定してイソソルビドを含むポリカーボネートを製造することができる。
また、連続重合実施する際に、原料であるTCDDMなどのジヒドロキシ化合物は流動性を確保するために、温度あげて保管するが、その際に脱気処理を実施することで、アルデヒド残基の生成を防止でき、安定してイソソルビドを含むポリカーボネートを製造することができ、工業的に有用であることがわかる。
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。本出願は2008年11月28日出願の特許出願(特願2008−305727)、に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
本発明のポリカーボネートは、透明性に優れたポリカーボネートを安定的に製造できるため、フィルム、シート分野、さらには、カメラレンズ、ファインダーレンズ、CCDやCMOS用レンズなどのレンズ用途、液晶やプラズマディスプレイなどに利用される位相差フィルム、拡散シート、偏光フィルムなどのフィルムといった幅広い分野への材料提供が可能である。
1 受入ホッパー
2 定量フィーダー
3 撹拌槽
4 抜出用ライン
5,6,7 貯槽
8 原料調製槽
9 反応槽
5A,5B,6A,6B,7A,7B,8A,9A ライン
9B ベント管
2 定量フィーダー
3 撹拌槽
4 抜出用ライン
5,6,7 貯槽
8 原料調製槽
9 反応槽
5A,5B,6A,6B,7A,7B,8A,9A ライン
9B ベント管
Claims (8)
- 前記脂肪族ジヒドロキシ化合物が、1,3−プロパンジオールである請求項1または請求項2に記載のポリカーボネートの製造方法。
- 前記脂環式ジヒドロキシ化合物が、トリシクロデカンジメタノール及び1,4−シクロヘキサンジメタノールのうち少なくとも1種である請求項1または請求項2に記載のポリカーボネートの製造方法。
- 前記ジヒドロキシ化合物を溶融状態で炭酸ジエステルへ供給する請求項1から4のいずれか1項に記載のポリカーボネートの製造方法。
- 前記ジヒドロキシ化合物のうち少なくとも1種を、予め溶融した炭酸ジエステルへ供給し混合した後、触媒の存在下に重合を行う請求項1から4のいずれか1項に記載のポリカーボネートの製造方法。
- 前記ジヒドロキシ化合物の供給を、80℃以上250℃以下で行う請求項5または請求項6記載のポリカーボネートの製造方法。
- 前記ジヒドロキシ化合物の供給を、酸素濃度0.0001vol%以上10vol%以下の雰囲気下で行う請求項1から7のいずれか1項に記載のポリカーボネートの製造方法。
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